(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1コーティング層は、多数のドットが、互いに所定間隔で離隔されて形成されたドットパターン層であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
前記多孔性基材の他の一面に、(メタ)アクリル酸エステル系高分子を含む第2コーティング層が形成されたことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
前記第2コーティング層は、多数のドットが、互いに所定間隔で離隔されて形成されたドットパターン層であることを特徴とする請求項6に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
前記(メタ)アクリル酸エステル系高分子は、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、及び前記エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な単量体の重合反応生成物であることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
前記セパレータは、多孔性基材、及び前記多孔性基材の一面に(メタ)アクリル酸エステル系高分子粒子を含む水系エマルジョンをコーティングして乾燥させて製造することを特徴とする請求項13に記載のリチウム二次電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、例示的な具現例による、リチウム二次電池用セパレータ、それを採用したリチウム二次電池及びその製造方法について、さらに詳細に説明する。
【0016】
リチウム二次電池用セパレータ・コーティング層の形成時に使用される接着性高分子のガラス転移温度が、常温(25℃)以下、例えば、−15℃程度に低い場合、常温で、前記接着性高分子からなるコーティング層は、その表面が粘着性を有する性質を示す。セパレータは、一般的に、ロール状で使用されるために、そのような粘着性を有することにより、セパレータ同士互いに付着して使用が困難になる。そのような問題点を解決するために、離型紙をさらに付けて使うことがある。しかし、離型紙ラミネーティング工程をさらに追加することになるので、電池製造工程が追加され、電池製造コストが上昇する。また、前述のガラス転移温度を有する接着性高分子は、ガラス転移温度が低く、高分子粒子同士凝集され、粒子間界面がくっつき、コーティングされた部分の通気度が低下し、それによってリチウムイオンの移動性が低下し、電池特性が低下する。
【0017】
本発明者らは、前述の問題点を解決するために、多孔性基材、及び前記多孔性基材の一面に形成された第1コーティング層を含むリチウム二次電池用セパレータとして、前記第1コーティング層が、ガラス転移温度が10℃ないし60℃に調節された(メタ)アクリル酸エステル系高分子を含むリチウム二次電池用セパレータを提供する。前記第1コーティング層は、リチウム二次電池の正極に直接に対面するように配置される。
【0018】
前記(メタ)アクリル酸エステル系高分子のガラス転移温度は、例えば、20℃ないし60℃、具体的には、30ないし50℃である。
【0019】
前記(メタ)アクリル酸エステル系高分子は、ガラス転移温度が10℃未満であるならば、(メタ)アクリル酸エステル系高分子であるコーティング層が、常温で表面で粘着性を有するようになり、セパレータ界面同士くっつき、セパレータ及び電極を含む電池組立体の巻き取り自体が不可能になり、60℃を超えれば、電極とセパレータとの接着力が十分ではない。
【0020】
前述のガラス転移温度を有する(メタ)アクリル酸エステル系高分子を含む第1コーティング層を有するセパレータを利用すれば、コーティング層が常温で粘着性を有するという問題点を改善し、セパレータ界面同士互いにくっつくという問題点があらかじめ防止され、コーティングされた部分の通気度低下、及びリチウムイオンの移動性低下の問題発生をあらかじめ防止するだけではなく、電極とセパレータとの接着力が向上する。そのように、電極とセパレータとの接着力が向上すれば、電極とセパレータとの界面でのリチウムイオン移動が円滑になり、充放電効率が改善され、長期間の使用時にも、電極とセパレータとの接着が維持され、寿命特性が改善される。そして、高温でのセパレータ収縮を抑制し、電池の熱的安定性が向上する。
【0021】
前記セパレータにおいて、第1コーティング層は、正極に対面している。
【0022】
前記セパレータにおいて、第1コーティング層には、多孔性基材の全面コーティングまたは部分コーティングが施される。
【0023】
一具現例によれば、第1コーティング層は、多孔性基材の表面、前記多孔性基材に存在する気孔部の一部、及び気孔部の全て、のうち選択された一つ以上に形成される。
【0024】
他の一具現例によれば、第1コーティング層は、多数のドットが互いに所定間隔で離隔されて形成されたドットパターン層でもある。そのように、第1コーティング層がドットパターン層に形成されれば、セパレータのリチウムイオン透過性がさらに優秀である。
【0025】
前記ドットパターン層は、第1コーティング層のリチウムイオン伝達能を維持することができ、電極に対する優秀な結着力が維持される範囲内で、ドットの形状、大きさ及びパターンの配列を変化させることができる。すなわち、ドットは、円形、三角形、四角形、楕円形、扇形、菱形などの形状に調節され、いくつかのドットの境界が連結されて1つのドットを形成することができる。
【0026】
図1は、一具現例によって、第1コーティング層がドットパターン層である場合について説明するためのものである。それを参照すれば、第1コーティング層12は、円形状のドット13が、所定間隔で離隔されるように形成されたドットパターン層構造を有する。
【0027】
ドットパターン層が目的とする電極との結着力向上、及びそれによる電気化学素子の性能低下の可能性を考慮するとき、ドットの平均直径は、0.1mmないし1mm、ドット間の間隔は、0.1mmないし10mm、ドットの平均厚は0.3μmないし10μmである。電極との結着力を向上させる機能を十分に遂行することができる大きさと厚さを持ちつつドットの大きさ及び厚さをできる限り小さくすれば、ドットが、第1コーティング層を構成する構成成分の結着力も向上させるので、構成成分の離脱現象をさらに改善することができる。
【0028】
ドットの平均径は、ドットが円形状である場合について記述したものであり、もしドットが四角形状である場合には、用語「ドットの平均径」は、四角形状を有するドットにおいて、最大長さを有する縦横の長さを意味する。そして、ドットの間隔は、ドットの中心間の距離を示す。
【0029】
前記パターンコーティング層の総面積は、セパレータ総面積対比10%ないし70%でもあり、例えば、セパレータ総面積対比20%ないし60%でもあり、例えば、セパレータ総面積対比30%ないし50%でもある。前記パターンコーティング層の総面積が、セパレータ総面積対比で前記範囲内である場合、電解質に対する含浸が容易であるだけではなく、セパレータと電極との電極接着力がさらに向上する。
【0030】
(メタ)アクリル酸エステル系高分子は、エチレン性不飽和カルボン酸エステルと、エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合が可能なそれ以外の単量体と、を重合して製造される。ここで、前記重合は、架橋反応を含む意味で使用される。
【0031】
前記重合は、乳化重合方法で共重合して製造される。
【0032】
エチレン性不飽和カルボン酸エステルの具体的な例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル及び置換アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル及び置換アルキルエステル;メチルクロトネート、エチルクロトネート、プロピルクロトネート、ブチルクロトネート、イソブチルクロトネート、n−アミルクロトネート、イソアミルクロトネート、n−ヘキシルクロトネート、2−エチルヘキシルクロトネート、ヒドロキシプロピルクロトネート、ヒドロキシエチルクロトネートなどのクロトン酸アルキルエステル及び置換アルキルエステル;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有メタクリル酸エステル;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートなどのアルコキシ基含有メタクリル酸エステル;モノオクチルマレート、モノブチルマレート、モノオクチルイタコネートなどの不飽和ジカルボン酸モノエステルなどでもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、エチレン性不飽和カルボン酸エステルとして使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0033】
エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸類;ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの2個以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類;スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルベンゾ酸、ビニルベンゾ酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系単量体;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのアミド系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどのジエン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン原子含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル、ベンゾ酸ビニルなどのビニルエステル類;アリルグリシジルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどのヘテロ環含有ビニル化合物などでもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な単量体として使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0034】
そのような共重合可能な単量体のうち、2個以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類、アミド系単量体、α,β−不飽和ニトリル化合物及びビニルエーテル類からなる群から選択される1種以上が使用される。
【0035】
エチレン性不飽和カルボン酸エステルと、エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な単量体との混合比は、0.1:99.9ないし99.9:0.1モル比である。
【0036】
一具現例によれば、前記エチレン性不飽和カルボン酸エステルは、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレートのうちから選択された一つ以上である。
【0037】
エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な単量体は、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、エチレンジメタクリレート、アクリロニトリルのうちから選択された一つ以上である。
【0038】
(メタ)アクリル酸エステル系高分子の重量平均分子量は、10,000ないし1,000,000、例えば、60,000ないし500,000である。
【0039】
前述の(メタ)アクリル酸エステル系高分子のガラス転移温度は、前記単量体の混合する組成比を調整し、ガラス転移温度を10℃ないし60℃に調整することができる。
【0040】
前記共重合反応時、乳化重合に利用される乳化剤は、一般的な乳化重合法において利用されるものが使用される。
【0041】
例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩などのエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテルリン酸エステルナトリウム塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などの非イオン性乳化剤などでもある。それらは、単独または2種以上を組み合わせて使用される。
【0042】
前記乳化剤の含量は、任意に設定することができ、単量体総量100重量部に対して、0.01ないし10重量部が使用されるが、重合条件によっては、乳化剤が省略されてもよい。
【0043】
分子量調節剤として、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;テルピノレン;またはアルファ−メチルスチレンダイマーを使用する。
【0044】
そのような分子量調節剤は、重合開始前または重合中に添加される。分子量調節剤は、単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部、例えば、0.1〜5重量部の比率で使用される。
【0045】
前記共重合反応時、重合反応温度、単量体の添加速度によって、分子量を調節することができるので、分子量調節剤を省略することができる。
【0046】
重合開始剤は、一般的な乳化重合、分散重合、懸濁重合などで利用されるものでもある。例えば、重合開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物などでもあり、それらを単独で、または亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などのような還元剤と組み合わせた酸化還元系重合開始剤と共に使用することができる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノ−ペンタノン酸)などのアゾ化合物;2,2’−アゾビス(2−アミノ−ジ−プロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N、N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス(N、N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリドなどのアミジン化合物;などを使用することができる。重合開始剤は、単独または2種以上を組み合わせて利用することができる。重合開始剤の使用量は、単量体総重量100重量部に対して、0.01ないし10重量部、例えば、0.1ないし10重量部、例えば、0.1ないし5重量部でもある。
【0047】
(メタ)アクリル酸エステル系高分子を得るための共重合反応時、エイジング防止剤、防腐剤、消泡剤などが選択的に添加されてもよい。
【0048】
前記(メタ)アクリル酸エステル系高分子は、高分子粒子を含む組成物、例えば、水系エマルジョンでもある。前記水系エマルジョンは、高分子粒子が水に分散している状態を意味する。
【0049】
前記水系エマルジョンに含有された高分子粒径は、50nmないし500nm、例えば、200nmである。高分子粒径が前記範囲であるとき、粒子凝集のない均一な状態の水系エマルジョンを得ることができる。前記水系エマルジョンにおいて、固形分含量は、10重量%ないし50重量%である。固形分含量が前記範囲であるとき、前記水系エマルジョンを利用したコーティング作業性にすぐれ、エマルジョン溶液の相安定性にすぐれる。
【0050】
(メタ)アクリル酸エステル系高分子は、一具現例によれば、アクリル酸エステル系高分子を含む水系エマルジョンでもある。
【0051】
一具現例によるセパレータにおいて、多孔性基材の他の一面には、(メタ)アクリル酸エステル系高分子を含む第2コーティング層が形成される。
【0052】
第2コーティング層は、多数のドットが、互いに所定間隔で離隔されて形成されたドットパターン層でもある。ドットパターン層において、ドットの平均径、ドット間の間隔、及びドットの平均厚は、第1コーティング層で記載されたところと同様である。
【0053】
多孔性基材と第1コーティング層との間、及び/または多孔性基材と第2コーティング層との間には、無機粒子を含む無機コーティング層をさらに含んでもよい。そのように、無機コーティング層を形成すれば、電池使用時、多孔性基材の熱収縮を効率的に防ぐことができる。
【0054】
前記多孔性基材は、電気化学素子のセパレータに利用される一般的な多孔性基材であるならば、いずれも使用が可能であるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリ酸化フェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酸化エチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどをそれぞれ単独で、またはそれらのうち2種以上を混合して形成した膜状の基材またはファイバ状の基材を有することができる。
【0055】
多孔性基材の厚みは、特別に制限されるものではないが、5μmないし20μmであり、多孔性基材に存在する気孔サイズ及び気孔度も、特別に制限されるものではないが、それぞれ0.001μmないし0.1μm、及び10%ないし60%であることが望ましい。
【0056】
前記無機粒子は、当該技術分野において、無機粒子として使用されるものであるならば、いずれも使用可能であり、例えば、α−アルミナ(α−Al
2O
3)、γ−アルミナ(γ−Al
2O
3)、ベーマイト(γ−AlO(OH))、ギブサイト(γ−Al(OH)
3)、コロイダルシリカ、酸化ジルコニウム、フッ化マグネシウム、BaTiO
3、SnO
2、CeO
2、MgO、NiO、CaO、ZnO、Y
2O
3、TiO
2、SiCのうちから選択された一つ以上を有することができる。そのような無機粒子の平均粒径は、0.1μmないし3μmでもある。
【0057】
前記無機粒子の均一厚のコーティング層形成、及び適切な孔隙率のために、無機粒子の平均粒径は、具体的には0.1ないし3μmの範囲である。
【0058】
前記多孔性基材と第1コーティング層との間、及び/または多孔性基材と第2コーティング層との間に、無機粒子及びバインダを含む第3コーティング層がさらに形成されてもよい。
【0059】
前記バインダは、電解液において、並びに電池の作動電圧において、安定した高分子として、当該技術分野において、バインダとして使用可能なものであるならば、いずれも使用可能である。非制限的な例を挙げれば、該高分子は、(メタ)アクリル酸エステル系高分子、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル化スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、熱可塑性ポリエステルゴム(PTEE)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びジアセチルセルロースからなる群で選択された一つ以上を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。
【0060】
前記バインダは、例えば、前述の高分子が粒子状で水系溶媒に分散された高分子粒子含有組成物を使用する。高分子粒子含有組成物は、水系エマルジョンでもある。前記水系エマルジョンに含有された高分子粒径は、50nmないし500nm、例えば、120nmである。高分子粒径が前記範囲であるとき、接着力にすぐれる。
【0061】
前記水系エマルジョンにおいて、固形分含量は、20重量%ないし50重量%である。固形分含量が前記範囲であるとき、前記水系エマルジョンを利用したコーティング作業性にすぐれ、エマルジョン溶液の相安定性にすぐれる。
【0062】
前記無機粒子の含量は、バインダ100重量部に対して、1重量部ないし20重量部である。無機粒子の含量が前記範囲であるとき、多孔性基材に対する第3コーティング層の結着力の低下なしに、電池の内部温度が上昇する場合、セパレータの収縮を防止する機能にすぐれる。
【0063】
一具現例によるセパレータは、厚みが10μmないし25μm、例えば、16μmないし22μmである。前記セパレータの厚みが前記範囲であるとき、セパレータの負極と正極とが効果的に分離されて短絡を防止し、かつ電池容量にすぐれる。
【0064】
以下、一具現例によるセパレータの製造方法について説明する。
【0065】
まず、多孔性基材に、ガラス転移温度が10℃ないし60℃である(メタ)アクリル酸エステル系高分子を含む組成物をコーティングして乾燥させ、前記多孔性基材の一面に形成された第1コーティング層を形成する。そのとき、第1コーティング層は、リチウム二次電池の正極に対面するように配置される。ここで、該乾燥は、20℃ないし85℃で実施する。
【0066】
前記(メタ)アクリル酸エステル系高分子を含む組成物は、(メタ)アクリル酸エステル系高分子の製造過程によって得た水系エマルジョンをそのまま使用することもでき、溶媒をさらに付加して製造することも可能である。そのとき、溶媒としては、水、アセトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサン、またはそれらの混合物を使用することができる。
【0067】
前記多孔性基材の他の一面には、前記第1コーティング層を形成する場合と同様に、(メタ)アクリル酸エステル系高分子を含む組成物をコーティングし、第2コーティング層を形成する。
【0068】
前記第1コーティング層及び第2コーティング層は、ドットパターン層に形成される。そのように、ドットパターン層に形成すれば、セパレータのイオン透過性にすぐれ、電池特性が非常に優秀である。
【0069】
前記多孔性基材と第1コーティング層との間、及び/または多孔性基材と第2コーティング層との間には、無機粒子を含む組成物をコーティングして乾燥させ、無機コーティング層を形成することができる。ここで、該乾燥は、20℃ないし85℃で実施する。
【0070】
前記無機コーティング層は、無機粒子を含む組成物を、マイクログラビアコーティング、ディップコーティングなどの方法で、乾燥厚が3μmないし4μmになるように形成する。
【0071】
前記多孔性基材と第1コーティング層との間、及び/または多孔性基材と第2コーティング層との間には、無機粒子及びバインダを含む組成物をコーティングして乾燥させ、第3コーティング層を形成することができる。
【0072】
前記無機粒子を含む組成物、並びに前記無機粒子及びバインダを含む組成物には、溶媒を付加することができる。前記溶媒としては、非制限的な例としては、アセトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサン、水、またはそれらの混合物がある。
【0073】
バインダ溶液に無機粒子を添加した後、無機粒子の破砕を実施することができる。そのとき、破砕時間は、1時間ないし20時間が適切であり、破砕された無機粒子の粒度は、前述のように、0.1μmないし3μmの範囲である。破砕方法としては、一般的な方法を使用することができ、例えば、ボールミル(ball mill)法を利用する。
【0074】
前記第1コーティング層、第2コーティング層及び第3コーティング層の形成時、コーティング方法としては、業界に公知の一般的なコーティング法を使用することができ、例えば、ディップ(dip)コーティング、ダイ(die)コーティング、ロール(roll)コーティング、コンマ(comma)コーティング、グラビアコーティング、またはそれらの混合方式など多様な方式を利用することができる。
【0075】
前記第1コーティング層及び第2コーティング層は、ドットパターン層に形成可能である。そのように、ドットパターン層を形成するためには、例えば、第1コーティング層形成用の組成物、または第2コーティング層形成用の組成物をドット形態にパターニングさせるグラビアコーティング法を利用してコーティングし、それを乾燥する過程による。ここで、該乾燥は20℃ないし85℃で実施する。
【0076】
一具現例によるセパレータを利用して、リチウム二次電池を製造する方法について説明すれば、次の通りである。
【0077】
まず、負極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒が混合された負極活物質層形成用の組成物を準備する。前記負極活物質層形成用の組成物を、金属集電体上に直接コーティングして乾燥させ、負極が製造される。
【0078】
代案としては、前記負極活物質層形成用の組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが、金属集電体上にラミネーションされて負極が製造される。前記負極は、前述の形態に限定されるものではなく、それ以外の形態でもある。
【0079】
前記負極活物質は、非炭素系材料でもある。例えば、前記負極活物質は、リチウムと合金を形成することができる金属、リチウムと合金を形成することができる金属の合金、及びリチウムと合金を形成することができる金属の酸化物からなる群から選択された一つ以上を含んでもよい。
【0080】
例えば、前記リチウムと合金可能な金属は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、SbSi−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13〜16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13〜16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などでもある。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせでもある。
【0081】
例えば、前記遷移金属酸化物は、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などでもある。
【0082】
例えば、前記遷移金属酸化物は、SnO
2、SiOx(0<x<2)などでもある。
【0083】
具体的には、前記負極活物質は、Si、Sn、Pb、Ge、Al、SiO
x(0<x≦2)、SnO
y(0<y≦2)、Li
4Ti
5O
12、TiO
2、LiTiO
3、Li
2Ti
3O
7からなる群から選択された一つ以上でもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、非炭素系負極活物質として当該技術分野において使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0084】
また、前記非炭素系負極活物質と炭素系材料との複合体も使用され、前記非炭素系材料以外に、炭素系負極活物質を追加して含んでもよい。
【0085】
前記炭素系材料としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはそれらの混合物でもある。前記結晶質炭素は、無定形(non-shaped)、板状、鱗片状(flake)、球形またはファイバ型の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛でもあり、前記非晶質炭素は、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどでもある。
【0086】
前記導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、炭素ファイバ;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属ファイバ;などを使用することができ、またポリフェニレン誘導体などの導電性材料を、1種、または1種以上を混合して使用することができるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、導電剤として使用されるものであるならば、いずれも使用される。また、前述の結晶性炭素系材料が導電剤として追加される。
【0087】
バインダとしては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン及びその混合物、またはスチレンブタジエンゴム系高分子などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、バインダとして使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0088】
前記溶媒としては、N−メチルピロリドン、アセトンまたは水などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0089】
前記、負極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒の含量は、リチウム二次電池で一般的に使用されるレベルである。リチウム二次電池の用途及び構成によって、前記導電剤、バインダ及び溶媒のうち一つ以上が省略される。
【0090】
次に、正極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒が混合された正極活物質層形成用の組成物を準備する。前記正極活物質層形成用の組成物を、金属集電体上に直接コーティングして乾燥させて正極が製造される。代案としては、前記正極活物質層形成用の組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが金属集電体上にラミネーションされて正極が製造される。
【0091】
前記正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウム鉄リン酸化物及びリチウムマンガン酸化物からなる群から選択された一つ以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、利用可能な全ての正極活物質が使用される。
【0092】
例えば、Li
aA
1−bB’
bD
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、及び0≦b≦0.5である);Li
aE
1−bB’
bO
2−cD
c(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE
2−bB’
bO
4−cD
c(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);Li
aNi
1−b−cCo
bB’
cD
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);Li
aNi
1−b−cCo
bB’
cO
2−αF’
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cCo
bB’
cO
2−αF’
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB’
cD
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB’
cO
2−αF’
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB’
cO
2−αF’
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
bE
cG
dO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);Li
aNi
bCo
cMn
dG
eO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である);Li
aNiG
bO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aCoG
bO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aMnG
bO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aMn
2G
bO
4(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);QO
2;QS
2;LiQS
2;V
2O
5;LiV
2O
5;LiI’O
2;LiNiVO
4;Li
3−fJ
2(PO
4)
3(0≦f≦2);Li
3−fFe
2(PO
4)
3(0≦f≦2);LiFePO
4の化学式のうちいずれか一つで表現される化合物を使用することができる。
【0093】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、B’は、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、F’は、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり、I’は、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0094】
その化合物の表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または前記化合物と、コーティング層を有する化合物とを混合して使用することもできるということは言うまでもない。そのコーティング層は、コーティング元素のオキサイド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含んでもよい。それらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質である。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはそれらの混合物を使用することができる。コーティング層の形成工程は、前記化合物に、そのような元素を使用し、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができるのであれば、いかなるコーティング方法を使用してもよく、それについては、当該分野の当業者に周知内容であるので、詳細な説明は省略する。
【0095】
例えば、LiNiO
2、LiCoO
2、LiMn
xO
2x(x=1または2)、LiNi
1−xMn
xO
2(0<x<1)、LiNi
1−x−yCo
xMn
yO
2(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)、LiFeO
2、V
2O
5、TiS、MoSなどが使用される。
【0096】
正極活物質層形成用の組成物において、導電剤、バインダ及び溶媒は、前記負極活物質層形成用の組成物の場合と同一のものを使用することができる。一方、前記正極活物質層形成用の組成物及び/または負極活物質層形成用の組成物に可塑剤をさらに付加し、電極板内部に気孔を形成することも可能である。
【0097】
前記正極活物質、導電剤、一般的なバインダ及び溶媒の含量は、リチウム二次電池で一般的に使用するレベルである。リチウム二次電池の用途及び構成によって、前記導電剤、一般的なバインダ及び溶媒のうち一つ以上が省略される。
【0098】
次に、前記正極と負極との間に一具現例によるセパレータを介在させる。
【0100】
例えば、前記電解質は、有機電解液でもある。また、前記電解質は、固体でもある。例えば、ボロン酸化物、リチウムオキシナイトライドなどでもあるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、固体電解質として使用されるものであるならば、いずれも使用可能である。前記固体電解質は、スパッタリングなどの方法で、前記負極上に形成される。
【0101】
例えば、有機電解液を準備することができる。有機電解液は、有機溶媒に、リチウム塩が溶解されて製造される。
【0102】
前記有機溶媒は、当該技術分野において、有機溶媒として使用されるものであるならば、いずれも使用される。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、またはそれらの混合物などである。
【0103】
前記リチウム塩も、当該技術分野において、リチウム塩として使用されるものであるならば、いずれも使用される。例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiClO
4、LiCF
3SO
3、Li(CF
3SO
2)
2N、LiC
4F
9SO
3、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF2
y+1SO2)(ただし、x、yは、自然数)、LiCl、LiI、またはそれらの混合物などである。
【0104】
図2は、一具現例によるリチウム二次電池の構造を示した模式図である。
【0105】
図2から分かるように、前記リチウム二次電池20は、正極23、負極22及びセパレータ24を含む。前述の正極23、負極22及びセパレータ24が巻き取られるか、あるいは折り畳まれて電池ケース25に収容される。次に、前記電池ケース25に、有機電解液が注入され、キャップアセンブリ26で密封され、リチウム二次電池20が完成される。前記電池ケースは、円筒状、角形、薄膜型などでもある。例えば、前記リチウム二次電池は、薄膜型電池である。前記リチウム二次電池は、リチウムイオン電池でもある。前記リチウム二次電池は、リチウムポリマー電池でもある。
【0106】
前記正極及び負極の間にセパレータが配置され、電池構造体が形成される。前記電池構造体を巻き取ったり、あるいは積層したりした後、それを、80℃ないし120℃、例えば、100℃ないし120℃で、熱圧着プレスによって、一体化する段階を経る。
【0107】
前記電池構造体は、巻き取る過程以以外に、セパレータと電極との積層(lamination,stack)工程及び折り畳み(folding)工程が可能である。
【0108】
前記熱圧着プレス温度が前記範囲であるとき、電極とセパレータとの接着力にすぐれる。
【0109】
次に、前記一体化された電池構造体に有機電解液を含浸し、得られた結果物がポーチに収容されて密封されれば、リチウム二次電池が完成される。
【0110】
また、前記電池構造体は、複数個積層されて電池パックを形成し、そのような電池パックが高容量及び高出力が要求される全ての機器に使用される。例えば、ノート型パソコン、スマートフォン、電気車両などに使用される。
【0111】
特に、前記リチウム二次電池は、高率特性及び寿命特性にすぐれるので、電気車両(EV)に適する。例えば、プラグインハイブリッド車(PHEV)などのハイブリッド車に適する。
【0112】
以下の実施例及び比較例を介して、本発明についてさらに詳細に説明する。ただし、実施例は、例示するためのものであり、それらだけで本発明の範囲が限定されるものではない。
【0113】
製造例1:アクリル酸エステル系高分子エマルジョンの製造
コンデンサ、温度計、単量体乳化液導入管、窒素ガス導入管及び撹拌器を装着したフラスコ反応器の内部を窒素で置き換え、軟水40重量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5重量部を添加し、70℃に昇温させた。次に、軟水40重量部、下記表1に示されているような組成の単量体乳化液の10重量%を反応器に添加し、5分間撹拌した後、過硫酸アンモニウムの5重量%水溶液10重量部を反応器に添加し、反応を開始させた。1時間後、残りの前記単量体乳化液を3時間にわたって反応器に滴加した。そのとき、過硫酸アンモニウムの5重量%水溶液6重量部を、同時に3時間にわたって滴加した。単量体乳化液体の滴加終了後、反応を2時間さらに続けた後、重合転化率は、98.2%であった。
【0114】
その次に、反応混合物を20℃に冷却し、減圧して残留単量体を除去し、pHを8に調整すると共に、固形分濃度を40重量%に調整し、アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−1を得た。
【0115】
前記アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−1において、アクリル酸エステル系高分子粒子の平均粒径は、約120nmであり、アクリル酸エステル系高分子の重量平均分子量は、400,000であった。
【0116】
製造例2:アクリル酸エステル系高分子エマルジョンの製造
単量体乳化液を下記表1に示された組成で使用したことを除いては、製造例1と同一の方法によって実施し、アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−2を得た。
【0117】
前記アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンにおいて、アクリル酸エステル系高分子粒子の平均粒径は、約130nmであり、アクリル酸エステル系高分子の重量平均分子量は、450,000であった。
【0118】
製造例3:アクリル酸エステル系高分子エマルジョンの製造
単量体乳化液を、下記表1に示された組成で使用したことを除いては、製造例1と同一の方法によって実施し、アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−3を得た。
【0119】
前記アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−3において、アクリル酸エステル系高分子粒子の平均粒径は、約130nmであり、アクリル酸エステル系高分子の重量平均分子量は、400,000であった。
【0120】
比較製造例1,2:アクリル酸エステル系高分子エマルジョンの製造
単量体乳化液を、下記表1に示された組成で使用したことを除いては、製造例1と同一の方法によって実施し、アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンB−1、及びアクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンB−2を得た。
【0121】
前記アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンB−1及びB−2において、アクリル酸エステル系高分子粒子の平均粒径は、約150nmであり、アクリル酸エステル系高分子の重量平均分子量は、350,000であった。
【0122】
下記表1において、各成分の含量単位は、重量部である。
【0124】
実施例1:セパレータの製造
前記製造例1によって製造されたアクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−1を、グラビアカッタを利用して、厚み18μmのポリエチレン多孔成膜(気孔度45%)の第1面に、乾燥厚が1.0μmになるようにコーティングし、80℃で乾燥させ、第1コーティング層を形成した。その後、前記アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−1を、グラビアカッタを利用して、前記ポリエチレン多孔成膜の第2面に、乾燥厚が1.0μmになるようにコーティングし、80℃で乾燥させ、第2コーティング層を形成することにより、セパレータを製造した。
【0125】
前記第1コーティング層及び第2コーティング層において、ドットの平均径は、約0.25mm、ドット間の間隔は、0.15mm、ドットの平均厚は、1μmである。そして、ドットパターン層である第1コーティング層及び第2コーティング層の総面積は、セパレータ総面積対比約46%であった。
【0126】
実施例2−3:セパレータの製造
製造例1によって製造されたアクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−1の代わりに、製造例2及び製造例3によって製造されたアクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−2及びA−3をそれぞれ使用したことを除いては、実施例1と同一の方法によって実施し、セパレータを製造した。
【0127】
比較例1,2:セパレータの製造
製造例1によって製造されたアクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンA−1の代わりに、比較製造例1及び比較製造例2によって製造されたアクリル酸エステル系高分子水系エマルジョンB−1及びB−2をそれぞれ使用したことを除いては、実施例1と同一の方法によって実施し、セパレータを製造した。
【0128】
製作例1:リチウム二次電池の製造
正極活物質としてLiCoO
2、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及び導電剤としてカーボンを、92:4:4の重量比で混合した後、N−メチル−2−ピロリドンに分散させ、正極スラリーを製造した。そのスラリーを、厚み20μmのアルミニウムホイルにコーティングした後、乾燥させて圧延し、正極を製造した。
【0129】
負極活物質として人造黒鉛、バインダとしてスチレン−ブタジエンラバー、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを、96:2:2の重量比で混合した後、水に分散させ、負極活物質スラリーを製造した。そのスラリーを、厚み15μmの銅ホイルにコーティングした後、乾燥させて圧延し、負極を製造した。
【0130】
前記製造された正極、負極、及び実施例1によって得たセパレータを使用し、積層型単電池を作り、電極とセパレータとを接着させるために、ヒートプレス(heat press)を使用して、90℃、200kgfの圧力で40秒間プレスした。
【0131】
その後、前記単電池をポーチ内部に入れ、1.3M濃度のLiPF
6を含むエチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC):ジエチルカーボネート(DEC)(体積比:3/5/2)混合電解液を注液し、真空に封止し、リチウム二次電池を製造した。
【0132】
製作例2,3:リチウム二次電池の製造
実施例1によって得たセパレータの代わりに、実施例2,3のセパレータをそれぞれ使用したことを除いては、製作例1と同一の方法によって実施し、リチウム二次電池を製造した。
【0133】
比較製作例1,2:リチウム二次電池の製造
実施例1によって得たセパレータの代わりに、比較例1,2のセパレータをそれぞれ使用したことを除いては、製作例1と同一の方法によって実施し、リチウム二次電池を製造した。
【0134】
評価例1:ガラス転移温度の測定
示差走査熱量計(DSC)を利用して、前記製造例1ないし3及び比較製造例1,2によって製造されたアクリルエステル系高分子エマルジョンを利用して製造されたアクリルエステル系高分子のガラス転移温度を測定した。
【0135】
前記測定結果は、下記表2の通りである。
【0137】
評価例2:セパレータと電極との接着力評価
前記実施例1ないし3及び比較例1,2のセパレータを使用して製造された製作例1ないし3、及び比較製作例1,2による積層型単電池のセパレータと電極との接着力について、UTM(universal testing machine)で、180゜接着強度(peel strength)を評価した。
【0138】
前記接着強度評価結果を、下記表3に示した。
【0140】
前記表3から分かるように、製作例1ないし3のリチウム二次電池は、比較製作例1,2のリチウム二次電池に比べ、セパレータと電極との結着力が向上した。
【0141】
評価例3:セパレータの粘着性評価
前記実施例1ないし3、及び比較例1,2のセパレータ2枚を積層し、プレスを使用して、200kgfの圧力で40秒間プレスした後、セパレータ間の接着力を、UTMで180剥離(peel)強度を評価した。
【0142】
前記評価結果は、下記表4の通りである。
【0144】
前記表4を参照すれば、実施例1,2のセパレータは、比較例2の場合と比べ、剥離強度が低く、粘着性が改善されるということが分かった。比較例1の場合は、粘着性は小さいが、前記評価例2の結果のように、接着力が低くて使用が不可能である。
【0145】
評価例4:充放電特性評価
前記実施例1ないし3、及び比較例1,2のセパレータを使用して製造された製作例1ないし3、及び比較製作例1,2のリチウム二次電池であるポーチセルを、25℃で、0.2C rateの電流で、電圧が4.2Vに至るまで定電流充電し、4.2Vを維持しながら、電流が0.01Cになるまで定電圧充電した。次に、放電時に、電圧が3.05Vに至るまで、0.2Cの定電流で放電した(化成段階)。
【0146】
前記化成段階を経たリチウム二次電池を、25℃で、0.5C rateの電流で、電圧が4.2Vに至るまで定電流充電し、4.2Vを維持しながら、電流が0.01Cになるまで定電圧充電した。次に、放電時に、電圧が3.0Vに至るまで、0.5Cの定電流で放電するサイクルを30回反復した。
【0147】
前記充放電実験結果を、下記表5に示した。
【0148】
充放電効率は、下記数式1で定義され、容量維持率は、下記式2で定義される。
【0149】
[数1]
充放電効率=(1次サイクルでの放電容量/1次サイクルでの充電容量)×100
【0150】
[数2]
容量維持率=(30回目のサイクルでの放電容量/最初のサイクルでの放電容量)×100
【0152】
前記表5から、製作例1ないし3によって製造されたリチウム二次電池は、比較製作例1の場合に比べ、容量維持率及び充放電効率の特性が向上するということが分かった。比較製作例2のリチウム二次電池は、表5に示されているように、容量維持率及び充放電効率の特性は良好であるが、前記評価例3で記述されたように、セパレータの粘着性現象が改善していない。