(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586108
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】一体型センサを有する化学機械研磨保持リング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20190919BHJP
B24B 37/32 20120101ALI20190919BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20190919BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20190919BHJP
B24B 37/30 20120101ALI20190919BHJP
【FI】
H01L21/304 622S
H01L21/304 621D
H01L21/304 622G
B24B37/32 Z
B24B49/10
B24B37/005 Z
B24B37/30 E
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-573818(P2016-573818)
(86)(22)【出願日】2015年5月28日
(65)【公表番号】特表2017-528904(P2017-528904A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】US2015032818
(87)【国際公開番号】WO2015195284
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年5月28日
(31)【優先権主張番号】62/012,812
(32)【優先日】2014年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/720,047
(32)【優先日】2015年5月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤヴェルバーグ サイモン
【審査官】
中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0037681(US,A1)
【文献】
特開平10−180627(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0215178(US,A1)
【文献】
特開2002−160154(JP,A)
【文献】
特開2003−086551(JP,A)
【文献】
米国特許第06488569(US,B1)
【文献】
米国特許第06585562(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/463
B24B 3/00−3/60
B24B 21/00−51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対する取付け表面を有するキャリアヘッドに対する保持リングであって、
中心開口を有する環状本体と、
前記本体内に形成されたチャネルであり、前記チャネルの第1の端部が前記中心開口に近接する、チャネルと、
前記チャネル内で前記第1の端部に近接して配置されたセンサであり、前記基板上で実行されるプロセスからの音響および/または振動放出を検出するように構成されたセンサとを備える保持リング。
【請求項2】
前記チャネル内で前記センサと前記中心開口との間に配置されたシール
をさらに備える、請求項1に記載の保持リング。
【請求項3】
前記シールが、前記中心開口を前記センサから分離するシリコン膜である、請求項2に記載の保持リング。
【請求項4】
前記チャネルが、前記保持リングの外面から前記中心開口に近接する前記保持リングの内面まで延びる、請求項2または3に記載の保持リング。
【請求項5】
前記シールが、厚さ1mm〜10mmである、請求項3に記載の保持リング。
【請求項6】
前記シールが故障したかどうかを検出する第2のセンサをさらに備え、前記第2のセンサが、湿度センサまたは圧力センサの1つである、
請求項2または3に記載の保持リング。
【請求項7】
前記センサが、前記基板上で実行されるプロセスからの音響放出を検出するためのマイクロフォン、または前記基板上で実行されるプロセスから生じた振動を検出するための微小電子機械システム(MEMS)加速度計の1つである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の保持リング。
【請求項8】
前記センサが、1つまたは複数の電気リードを介して伝送器に結合される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の保持リング。
【請求項9】
前記伝送器が、前記センサから得られる音響および/または振動放出に関連する情報を無線で伝送するように構成された無線伝送器である、請求項8に記載の保持リング。
【請求項10】
前記伝送器が、前記保持リングの外面上に配置される、請求項8に記載の保持リング。
【請求項11】
台座と、
前記台座に接続された保持リングであって、
中心開口を有する環状本体、
前記本体内に形成されたチャネルであり、前記チャネルの第1の端部が前記中心開口に近接する、チャネル、および
前記チャネル内で前記第1の端部に近接して配置されたセンサであり、化学機械研磨プロセスからの音響および/または振動放出を検出するように構成されたセンサを備える保持リングと、
前記台座および前記保持リングとは独立して可動になるように屈曲部によって前記台座に接続された支持構造と、
加圧可能なチャンバの境界を画定する可撓膜であって、前記支持構造に接続され、基板に対する取付け表面を有する膜と
を備える、化学機械研磨装置に対するキャリアヘッド。
【請求項12】
前記保持リングが、前記チャネル内で前記センサと前記中心開口との間に配置されたシールをさらに含む、請求項11に記載のキャリアヘッド。
【請求項13】
前記シールが、前記中心開口を前記センサから分離するシリコン膜である、請求項12に記載のキャリアヘッド。
【請求項14】
前記チャネルが、前記保持リングの外面から前記中心開口に近接する前記保持リングの内面まで延びる、請求項11から13までのいずれか1項に記載のキャリアヘッド。
【請求項15】
化学機械研磨状態を判定する方法であって、
化学機械研磨装置内に一体型センサを有する保持リングを設けるステップと、
前記化学機械研磨装置内に配置された基板上で化学機械研磨プロセスを実行するステップと、
実行される前記化学機械研磨プロセスからの音響および/または振動放出を、前記センサを介して捕捉するステップと、
前記センサによって捕捉された前記音響および/または振動放出に関連する情報を伝送するステップと、
前記伝送された情報の分析に基づいて化学機械研磨状態を判定するステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、基板の化学機械研磨(CMP)に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、導電性、半導電性、または絶縁性の層を順次堆積させることによって、基板、特にシリコンウエハ上に形成される。各層を堆積させた後、層をエッチングして回路の特徴を作製する。一連の層が順次堆積およびエッチングされるため、基板の外面または最上面、すなわち基板の露出表面は次第に非平面になる。この非平面の表面は、集積回路製造プロセスのフォトリソグラフィステップで問題となる。したがって、基板表面を周期的に平坦化することが必要とされている。
化学機械研磨(CMP)は、一般に認められている平坦化方法の1つである。平坦化中、基板は、典型的には、キャリアまたは研磨ヘッド上に取り付けられる。基板の露出表面は、回転式研磨パッドに対して配置される。研磨パッドは、「標準」または固定砥粒パッドとすることができる。標準研磨パッドは、耐久性のある粗面化された表面を有するのに対し、固定砥粒パッドは、閉じ込め媒体内に保持された研磨粒子を有する。キャリアヘッドは、制御可能な負荷、すなわち圧力を基板上に提供して、基板を研磨パッドに押し付ける。標準パッドが使用される場合、少なくとも1つの化学反応剤および研磨粒子を含む研磨スラリが、研磨パッドの表面に供給される。
CMPプロセスの有効性は、CMPプロセスの研磨速度、ならびにその結果得られる基板表面の仕上がり(小規模の粗さがないこと)および平坦度(大規模のトポグラフィがないこと)によって測定することができる。研磨速度、仕上がり、および平坦度は、パッドとスラリの組合せ、基板とパッドとの間の相対速度、および基板をパッドに押し付ける力によって判定される。
CMP保持リングは、研磨中に基板を保持するように機能する。CMP保持リングはまた、基板の下でスラリの輸送を可能にし、均一性に関するエッジ性能に影響を与える。しかし、典型的なCMP保持リングには、プロセス中、診断中、または化学機械研磨プロセスの終点およびたとえば基板の破損もしくは滑落などの破局的事象に関するフィードバックの提供中に閉ループ制御に使用することができる一体型センサがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明者は、化学機械研磨プロセスの終点および破局的事象の正確かつ確実な検出を実現する構造および方法が望ましいと考える。
【課題を解決するための手段】
【0004】
基板に対する取付け表面を有する化学機械研磨キャリアヘッドに対する保持リングが、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、保持リングは、中心開口を有する環状本体と、本体内に形成されたチャネルであり、チャネルの第1の端部が中心開口に近接する、チャネルと、チャネル内で第1の端部に近接して配置されたセンサであり、基板上で実行されるプロセスからの音響および/または振動放出を検出するように構成されたセンサとを含むことができる。
いくつかの実施形態では、化学機械研磨装置に対するキャリアヘッドは、台座と、台座に接続された保持リングであって、中心開口を有する環状本体、本体内に形成されたチャネルであり、チャネルの第1の端部が中心開口に近接する、チャネル、およびチャネル内で第1の端部に近接して配置されたセンサであり、化学機械研磨プロセスからの音響および/または振動放出を検出するように構成されたセンサを含む保持リングと、台座および保持リングとは独立して可動になるように屈曲部によって台座に接続された支持構造と、加圧可能なチャンバの境界を画定する可撓膜であって、支持構造に接続され、基板に対する取付け表面を有する膜とを含むことができる。
いくつかの実施形態では、化学機械研磨状態を判定する方法は、化学機械研磨装置内に一体型センサを有する保持リングを設けるステップと、化学機械研磨装置内に配置された基板上で化学機械研磨プロセスを実行するステップと、実行される化学機械研磨プロセスからの音響および/または振動放出を、センサを介して捕捉するステップと、捕捉された音響および/または振動放出に関連する情報を伝送するステップと、伝送された情報の分析に基づいて化学機械研磨状態を判定するステップとを含むことができる。
【0005】
本開示の他のさらなる実施形態は、以下に記載する。
上記で簡単に要約し、以下でより詳細に論じる本開示の実施形態は、添付の図面に示す本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容することができるため、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって本開示の範囲を限定すると見なされるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による化学機械研磨装置の分解斜視図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態によるキャリアヘッドの概略横断面図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による保持リングを示す
図2のキャリアヘッドの拡大図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による保持リングの概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による化学機械研磨状態を判定する方法に対する流れ図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による化学機械研磨プロセス中に検出された機械的な動作不良を示す電圧と時間の関係のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
理解を容易にするために、可能な場合、同一の参照番号を使用して、図に共通の同一の要素を指す。これらの図は、原寸に比例して描かれたものではなく、見やすいように簡略化されていることがある。一実施形態の要素および特徴は、さらなる記載がなくても、他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図される。
本開示の実施形態は、CMPプロセスにおける終点、異常な状態、および他の診断情報の検出を可能にする装置および方法を含む。具体的には、基板上のCMPプロセスによって生じる音響および/または振動放出情報は、一体型の音響/振動センサ302を有するCMP保持リングを使用して監視される。いくつかの実施形態では、一体型の音響/振動センサ302を有する本発明の保持リングは、CMPプロセスによって生じた音響/振動信号の実時間分析を可能にする。それらのCMP音響/振動信号は、たとえば、終点検出、基板のずれ、基板のローディングおよびアンローディングの問題などの異常な状態の検出、CMP研磨の一体部分であるCMPヘッドおよび他の関連する機械アセンブリの機械的性能の予測などのプロセス制御に使用することができる。記録された音響/振動情報は、音響/振動シグネチャに分解することができ、この音響/振動シグネチャの変化が監視され、音響/振動シグネチャのライブラリに対して比較される。音響周波数スペクトルの特徴の変化は、プロセスの終点、異常な状態、および他の診断情報を明らかにすることができる。したがって、本開示と一貫した実施形態は、有利には、統計的分析技法を使用して、事前設定された限界に対して機器パラメータを連続して監視し、機器の健康に関する予防的かつ迅速なフィードバックを提供することができる欠陥の検出および分類(FDC)システムおよび方法を提供する。そのようなFDCシステムおよび方法は、有利には、予定されないダウンタイムをなくし、ツールの利用可能性を改善し、廃物を低減させる。
いくつかの実施形態では、CMP音響/振動信号/記録は、BLUETOOTHなどの短距離無線方法または他の無線通信方法を使用して、CMPヘッドから伝送される。いくつかの実施形態では、研磨サイクルにおけるヘッドの回転中に絶えず充電することができる充電式電池によって、センサ電子機器に給電することができる。
【0008】
図1を参照すると、1つまたは複数の基板10が化学機械研磨(CMP)装置20によって研磨される。CMP装置20は、テーブルトップ23が取り付けられた下部の機台22と、取り外し可能な上部の外側カバー(図示せず)とを含む。テーブルトップ23は、一連の研磨ステーション25a、25b、および25cと、基板のローディングおよびアンローディングのための移送ステーション27とを支持する。移送ステーション27は、3つの研磨ステーション25a、25b、および25cとともに略正方形の配置を形成することができる。
各研磨ステーション25a〜25cは回転可能なプラテン30を含み、プラテン30上に研磨パッド32が配置される。基板10が直径8インチ(200ミリメートル)または12インチ(300ミリメートル)のディスクである場合、プラテン30および研磨パッド32は、それぞれ直径約20または30インチである。プラテン30は、機台22内に位置するプラテン駆動モータ(図示せず)に接続することができる。大部分の研磨プロセスで、プラテン駆動モータはプラテン30を1分当たり30〜200回回転させるが、より低いまたはより高い回転速度を使用することもできる。各研磨ステーション25a〜25cは、研磨パッドの研削状態を維持するために、関連するパッドコンディショナ装置40をさらに含むことができる。
【0009】
反応剤(たとえば、酸化物研磨のための脱イオン水)および化学反応触媒(たとえば、酸化物研磨のための水酸化カリウム)を含有するスラリ50を、スラリ/洗浄複合アーム52によって研磨パッド32の表面に供給することができる。研磨パッド32が標準パッドである場合、スラリ50はまた、研磨粒子(たとえば、酸化物研磨のための二酸化ケイ素)を含むことができる。典型的には、研磨パッド32全体を覆って湿らせるのに十分なスラリが提供される。スラリ/洗浄アーム52は、各研磨および調整サイクルの終了時に研磨パッド32の高圧洗浄を提供するいくつかの噴霧ノズル(図示せず)を含む。
【0010】
下部の機台22の上に回転可能なマルチヘッドカルーセル60が位置決めされ、カルーセル60は、カルーセル支持プレート66およびカバー68を含む。カルーセル支持プレート66は、中心ポスト62によって支持されており、機台22内に位置するカルーセルモータアセンブリによって中心ポスト62上でカルーセル軸64の周りを回転させられる。マルチヘッドカルーセル60は、カルーセル軸64の周りに等しい角度間隔でカルーセル支持プレート66上に取り付けられた4つのキャリアヘッドシステム70a、70b、70c、および70dを含む。キャリアヘッドシステムのうちの3つは、基板を受け取って保持し、これらの基板を研磨ステーション25a〜25cの研磨パッドに押し付けることによって研磨する。キャリアヘッドシステムのうちの1つは、移送ステーション27から基板を受け取り、また移送ステーション27へ基板を送出する。カルーセルモータは、キャリアヘッドシステム70a〜70dおよびそれらに取り付けられた基板を、研磨ステーションと移送ステーションとの間でカルーセル軸64の周りで旋回させることができる。
【0011】
各キャリアヘッドシステム70a〜70dは、研磨またはキャリアヘッド100を含む。各キャリアヘッド100は、各キャリアヘッド100自体の軸の周りを独立して回転し、カルーセル支持プレート66内に形成された半径方向のスロット72内で独立して横方向に振動する。キャリア駆動シャフト74が、スロット72を通って延び、キャリアヘッド回転モータ76(カバー68の4分の1を除去することによって示す)をキャリアヘッド100に接続する。各ヘッドに対して、1つのキャリア駆動シャフトおよびモータが存在する。各モータおよび駆動シャフトは、摺動部(図示せず)によって支持することができ、摺動部は、半径方向駆動モータによってスロットに沿って線形に駆動されて、キャリアヘッドを横方向に振動させることができる。
実際の研磨中には、キャリアヘッドのうちの3つ、たとえばキャリアヘッドシステム70a〜70cが、それぞれの研磨ステーション25a〜25cの上に位置決めされる。各キャリアヘッド100は、基板を下げて研磨パッド32に接触させる。概して、キャリアヘッド100は、研磨パッドに対して定位置で基板を保持し、基板の裏面に力を分散させる。キャリアヘッドはまた、駆動シャフトからのトルクを基板へ伝達する。
【0012】
図2を参照すると、キャリアヘッド100は、ハウジング102、台座104、ジンバル機構106、ローディングチャンバ108、保持リング110、および基板バッキングアセンブリ112を含む。ハウジング102は、駆動シャフト74に接続されて、研磨中に駆動シャフト74とともに回転軸107の周りで回転することができる。回転軸107は、研磨中に研磨パッドの表面に実質上直交する。ローディングチャンバ108は、ハウジング102と台座104との間に位置し、負荷、すなわち下向きの圧力を台座104に印加する。研磨パッド32に対する台座104の垂直位置はまた、ローディングチャンバ108によって制御される。
基板バッキングアセンブリ112は、支持構造114と、支持構造114を台座104に接続する屈曲隔膜116と、支持構造114に接続された可撓部材または膜118とを含む。可撓膜118は、支持構造114の下に延びて、基板に対する取付け表面120を提供する。台座104と基板バッキングアセンブリ112との間に位置決めされたチャンバ190を加圧することで、可撓膜118を下方へ押して基板を研磨パッドに押し付ける。
【0013】
ハウジング102は、研磨すべき基板の円形の構成に対応するように、略円形の形状である。円筒形のブッシング122が、ハウジングを通って延びる垂直孔124内に嵌合することができ、2つの通路126および128が、キャリアヘッドの空気圧制御のためにハウジングを通って延びることができる。
台座104は、ハウジング102の下に位置する略リング状の本体である。台座104は、アルミニウム、ステンレス鋼、または繊維強化プラスチックなどの剛性材料から形成することができる。通路130が、台座を通って延びることができ、2つの取付け具132および134が、通路130に通路128を流体的に結合するようにハウジング102と台座104との間に可撓管を接続するための取付け点を提供することができる。
クランプリング142によって弾性および可撓膜140が台座104の下面に取り付けられて、内袋144を画定することができる。クランプリング142は、ねじまたはボルト(図示せず)によって台座104に固定することができる。内袋144に第1のポンプ(図示せず)を接続して、流体、たとえば空気などのガスを内袋内または内袋外へ誘導し、したがって支持構造114および可撓膜118にかかる下向きの圧力を制御することができる。
【0014】
ジンバル機構106は、台座を研磨パッドの表面に対して実質上平行のままに保ちながら、台座104をハウジング102に対して旋回させることを可能にする。ジンバル機構106は、円筒形のブッシング122を通って通路154内へ嵌合するジンバルロッド150と、台座104に固定される屈曲リング152とを含む。ジンバルロッド150は、台座104の垂直運動を提供するように通路154に沿って垂直に摺動することができるが、ジンバルロッド150は、ハウジング102に対する台座104のあらゆる横方向運動を防止する。
内側クランプリング162によって、折れ曲がった隔膜160の内側エッジをハウジング102に締め付けることができ、外側クランプリング164は、折れ曲がった隔膜160の外側エッジを台座104に締め付けることができる。したがって、折れ曲がった隔膜160は、ハウジング102と台座104との間の空間を密閉して、ローディングチャンバ108を画定する。折れ曲がった隔膜160は、略リング状で厚さ60ミルのシリコーンシートとすることができる。ローディングチャンバ108に第2のポンプ(図示せず)を流体的に接続して、ローディングチャンバ内の圧力および台座104に印加される負荷を制御することができる。
【0015】
基板バッキングアセンブリ112の支持構造114は、台座104の下に位置する。支持構造114は、支持プレート170、環状の下部クランプ172、および環状の上部クランプ174を含む。支持プレート170は、略ディスク状の剛性部材とすることができ、複数の開孔176が支持プレート170を貫通する。加えて、支持プレート170は、下向きに突出するリップ178をその外側エッジに有することができる。
基板バッキングアセンブリ112の屈曲隔膜116は、略平面の環状リングである。屈曲隔膜116の内側エッジは、台座104と保持リング110との間に締め付けられ、屈曲隔膜116の外側エッジは、下部クランプ172と上部クランプ174との間に締め付けられる。屈曲隔膜116は可撓性および弾性を有するが、屈曲隔膜116はまた、半径方向および接線方向に剛性を有することもできる。屈曲隔膜116は、ネオプレンなどのゴム、NYLONもしくはNOMEXなどの弾性体で被覆された布、プラスチック、またはガラス繊維などの複合材料から形成することができる。
【0016】
可撓膜118は、クロロプレンまたはエチレンプロピレンゴムなどの可撓性および弾性材料から形成された略円形のシートである。可撓膜118の一部分は、支持プレート170のエッジの周りに延びて、支持プレートと下部クランプ172との間に締め付けられる。
可撓膜118、支持構造114、屈曲隔膜116、台座104、およびジンバル機構106の間に密閉される体積は、加圧可能なチャンバ190を画定する。チャンバ190に第3のポンプ(図示せず)を流体的に接続し、チャンバ内の圧力を制御し、したがって基板にかかる可撓膜の下向きの力を制御することができる。
保持リング110は、たとえばボルト194(
図2の横断面図には1つのみを示す)によって台座104の外側エッジに固定された略環状のリングとすることができる。ローディングチャンバ108に流体が入れられ、台座104が下向きに押されたとき、保持リング110もまた下向きに押されて、研磨パッド32に負荷を印加する。保持リング110の内面188は、可撓膜118の取付け表面120とともに基板受取り凹部192を画定する。保持リング110は、基板が基板受取り凹部から外れるのを防止する。
【0017】
図3を参照すると、保持リング110は、研磨パッドに接触することができる底面182を有する環状の下部部分180と、台座104に接続された環状の上部部分184とを含む複数の区分を含む。下部部分180は、接着剤層186によって上部部分184に接合することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、保持リング110はチャネル304を有し、チャネル304内に音響/振動センサ302が配置される。いくつかの実施形態では、音響/振動センサ302は、マイクロフォンとすることができる。他のタイプの音響センサを、本開示と一貫した実施形態とともに使用することもできる。いくつかの実施形態では、音響/振動センサ302は、振動を検出/測定する微小電子機械システム(MEMS)加速度計などの加速度計とすることができる。いくつかの実施形態では、音響/振動センサ302は、表面音響波(SAW)のインシトゥ検出/測定を実行することができる受動センサであり、SAWとは、弾性を呈する材料の表面に沿って進む音響波であり、典型的には基板内への深さとともに指数的に減衰する振幅を有する。いくつかの実施形態では、音響/振動センサ302は、基板上で実行されるプロセスから生じた音響放出および振動を検出、捕捉、および/または測定することができる。基板上のCMPプロセスによって生じる音響/振動放出情報は、音響/振動センサ302によって捕捉される。一体型の音響/振動センサ302を有する本発明の保持リングは、音響/振動センサ302によって捕捉されるCMPプロセスによって生じた音響信号の実時間分析を可能にする。音響/振動センサ302によって捕捉されるCMP音響/振動信号は、たとえば、終点検出、ウエハのずれ、基板のローディングおよびアンローディングの問題などの異常な状態の検出、CMP研磨の一体部分であるCMPヘッドおよび他の関連する機械アセンブリの機械的性能の予測などのプロセス制御に使用することができる。いくつかの実施形態では、捕捉された音響/振動情報は、音響/振動シグネチャに分解することができ、この音響/振動シグネチャの変化が監視され、音響/振動シグネチャのライブラリと比較される。音響/振動周波数スペクトルの特徴の変化は、プロセスの終点、異常な状態、および他の診断情報を明らかにすることができる。捕捉された音響/振動情報を分析し、たとえば、研磨プロセスによって引き起こされる基板の引っ掻きの検出、スラリアームとヘッドの衝突、ヘッドの摩耗(たとえば、シール、ジンバルなど)、欠陥のある軸受、コンディショナヘッドの作動、過度の振動などの機械的な動作不良を明らかにすることができる。
図6は、たとえば音響/振動センサ302によって検出されたスラリアームの衝突を示す電圧と時間の関係のグラフを示す。電圧は、監視されているプロセスから放出される音響/振動エネルギーを音響/振動センサ302によって検出した測定値である。
【0019】
いくつかの実施形態では、音響/振動センサ302は、研磨パッド32が基板10に物理的に接触して基板10に擦り付けられるときに放出される振動機械エネルギーを検出するように構成されたトランスデューサを含むことができる。音響/振動センサ302によって受け取られる音響/振動放出信号は、電気信号に変換され、次いで電気リード308を介して伝送器310に電子的に通信される。
【0020】
伝送器310は、受け取った音響/振動信号を分析のためにコントローラ/コンピュータ340へ送り、CMP装置20を制御することができる。いくつかの実施形態では、伝送器310は、伝送アンテナ312を有する無線伝送器とすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、音響/振動センサ302によって検出されるCMP音響/振動信号は、BLUETOOTH、無線周波数識別(RFID)信号方式および規格、近距離通信(NFC)信号方式および規格、米国電気電子学会(IEEE)802.11xまたは802.16xの信号方式および規格、または他の無線通信方法などの短距離無線方法を使用して、伝送器310を介してCMPヘッドから伝送される。受信器は、これらの信号を受け取り、これらの信号は上記で論じたように分析される。いくつかの実施形態では、研磨サイクルにおけるヘッドの回転中に絶えず充電することができる充電式電池によって、センサ電子機器に給電することができる。
【0021】
コントローラ/コンピュータ340は、音響/振動センサ302によって捕捉された音響/振動放出に関連する伝送器310によって伝送される情報を分析するようにともに通信可能に結合された1つまたは複数のコンピュータシステムとすることができる。コントローラ/コンピュータ340は、概して、中央処理装置(CPU)342と、メモリ344と、CPU342のための支持回路346とを備え、CMP処理状態(すなわち、プロセスの終点、異常な状態など)の判定、および判定されたCMPプロセス状態に基づくCMP装置20の構成要素の制御を容易にする。
【0022】
上記のCMP装置20の制御を容易にするために、コントローラ/コンピュータ340は、様々なCMP装置およびサブプロセッサを制御するために工業的な環境で使用することができる任意の形の汎用コンピュータプロセッサの1つとすることができる。CPU342のメモリ344またはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、またはローカルもしくは遠隔の任意の他の形のデジタルストレージなど、容易に入手可能なメモリの1つまたは複数とすることができる。支持回路346は、従来の方法でプロセッサを支持するようにCPU342に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電力供給、クロック回路、入出力回路、およびサブシステムなどを含む。本明細書に記載する本発明の方法は、概して、ソフトウェアルーチンとしてメモリ344内に記憶される。ソフトウェアルーチンはまた、CPU342によって制御されているハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶および/または実行することもできる。
いくつかの実施形態では、伝送器310は、保持リング110の外面に結合することができる。伝送器310と保持リング110の半径方向外側の表面との間にシール314を配置して、チャネル304の最も外側の直径開口を密閉することができる。
【0023】
チャネル304の最も内側の直径に沿ってシール306を配置して、音響/振動センサ302をCMPプロセス環境から分離することができる。シール306は、CMP処理材料および環境状態がチャネル304に入るのを防止しながら、高いレベルの音響/振動伝導性を提供する。いくつかの実施形態では、シール306は、チャネル304内へプレス嵌めすることができ、プランジャのようにチャネル304の最も内側の直径の方へ押し込むことができる。いくつかの実施形態では、シール306は、シリコン膜とすることができる。他の実施形態では、シール306は、保持リング110壁のうち穿孔または機械加工されていない部分とすることができる。シール306は、厚さ約1mm〜約10mmとすることができる。いくつかの実施形態では、音響/振動センサ302は、シール306が故障/破断したかどうかを検出するために、湿度または圧力センサを含むことができる。他の実施形態では、音響/振動センサ302によって検出される音響/振動信号の分析を使用して、シール306が故障したかどうかを判定することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、チャネル304は、音響/振動センサ302を収容するために、ガンドリルまたは他の方法で機械加工することができる。
図3に示すように、いくつかの実施形態では、チャネル304は、保持リング110内に完全に配置することができる。チャネル304は、保持リング110の外面から中心開口に近接する保持リング110の内面(たとえば、内面188)まで延びることができる。いくつかの実施形態では、チャネル304は、環状の下部部分180、環状の上部部分184、または両方の組合せの中に完全に配置することができる。
図4は、チャネル402が保持リング110および台座104内に配置され、台座104の上面上に配置された伝送器310に電気リード308が取り付けられる少なくとも1つの他の実施形態を示す。
図4では、台座104および保持リング110の交差部でチャネル402および電気リード308の周りにシール404が配置される。
【0025】
動作の際、本開示の実施形態は、
図5に方法500に関して記載するように、化学機械研磨状態を判定するために使用することができる。方法500は、502から始まって504へ進み、504で、一体型の音響/振動センサ302を有する保持リング110が、化学機械研磨装置20内に設けられる。506で、化学機械研磨装置20内に配置された基板10上で化学機械研磨プロセスを実行することができる。いくつかの実施形態では、化学機械研磨プロセスは、研磨プロセス、基板ローディングまたはアンローディングプロセス、洗浄プロセスなどを含むことができる。
方法500は508へ進み、508で、保持リング110内に埋め込まれた音響/振動センサ302が、実行される化学機械研磨プロセスからの音響/振動放出を捕捉する。
510で、音響/振動センサ302によって捕捉された音響/振動放出に関連する情報が、伝送器310によって伝送される。いくつかの実施形態では、音響/振動放出に関連する情報は、伝送器310によってコントローラ/コンピュータ340へ無線で伝送される。
512で、伝送される情報の分析に基づいて、1つまたは複数の化学機械研磨状態が判定される。たとえば、いくつかの実施形態では、判定される状態は、CMPプロセスの終点検出、基板のずれ、基板のローディングおよびアンローディングの問題などの異常な状態の検出、CMP研磨の一体部分であるCMPヘッドおよび他の関連する機械アセンブリの機械的性能の状態などを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラ/コンピュータ340は、伝送器310によって伝送される情報を分析して、1つまたは複数のCMPプロセス状態を判定することができる。
514で、判定された化学機械研磨状態に基づいて、化学機械研磨装置をコントローラ/コンピュータ340によって制御することができる。方法500は、516で終了する。
【0026】
図3を参照すると、下部部分180は、CMPプロセスにおいて化学的に不活性の材料から形成される。加えて、下部部分180は、基板エッジが保持リングに接触することで基板が欠けたりひび割れたりしないような十分な弾性を有するべきである。他方では、下部部分180は、保持リングにかかる下向きの圧力が下部部分180を基板受取り凹部192内へ押し出すほどの弾性を有するべきではない。具体的には、下部部分180の材料は、ショアDの尺度で約80〜95のジュロメータ測定値を有することができる。概して、下部部分180の材料の弾性係数は、約0.3〜1.0 106psiの範囲内とすることができる。下部部分はまた、耐久性および低い摩耗率を有するべきである。しかし、下部部分180が徐々に擦り減ることは許容することができる。これは、基板エッジが内面188内に深い溝を切り込むことを防止すると考えられるためである。たとえば、下部部分180は、インディアナ州エバンズビルのDSM Engineering PlasticsからTechtron(商標)の商品名で入手可能なポリフェニレンスルフィド(PPS)などのプラスチックから作ることができる。デラウェア州ウィルミントンのDupontから入手可能なDELRIN(商標)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、もしくはポリブチレンテレフタレート(PBT)、または同じくDupontから入手可能なZYMAXX(商標)などの複合材料などの他のプラスチックも適している。
【0027】
下部部分180の厚さT1は、基板10の厚さTSより大きくするべきである。具体的には、下部部分は、基板がキャリアヘッドにチャック締めされたときに基板が接着剤層に触れないように十分に厚くするべきである。他方では、下部部分が厚すぎる場合、保持リングの底面は、下部部分の可撓性による変形を受ける。下部部分180の最初の厚さは、約200〜400ミルとすることができる(溝の深さは100〜300ミルである)。溝が擦り減ると、下部部分を交換することができる。したがって、下部部分180の厚さT1は、約400ミル(最初の厚さを400ミルとする)〜約100ミル(深さ300ミルの溝が擦り減ったものとする)で変動することができる。保持リングが溝を含まない場合、下部部分は、保持リングの下部部分の厚さが基板の厚さに等しくなったときに交換することができる。
【0028】
下部部分180の底面は実質上平坦とすることができ、または底面は、保持リングの外側から基板へのスラリの輸送を容易にするために、複数のチャネルもしくは
溝を有することができる。
保持リング110の上部部分184は、金属、たとえばステンレス鋼、モリブデン、もしくはアルミニウム、またはセラミック、たとえばアルミナなどの剛性材料、あるいは他の例示的な材料から形成される。上部部分の材料は、約10〜50 106psi、すなわち下部部分の材料の弾性係数の約10〜100倍の弾性係数を有することができる。たとえば、下部部分の弾性係数は、約0.6 106psiとすることができ、上部部分の弾性係数は、約30 106psiとすることができ、したがって比は約50:1である。上部部分184の厚さT2は、下部部分180の厚さT1より大きくするべきである。具体的には、上部部分は、約300〜500ミルの厚さT2を有することができる。
【0029】
接着剤層186は、2つの部分からなる低速硬化エポキシとすることができる。低速硬化とは、概して、エポキシが固まるのに数時間から数日程度かかることを示す。エポキシは、ジョージア州チャンブリーのMagnolia Plasticsから入手可能なMagnobond−6375(商標)とすることができる。あるいは、接着剤で取り付けるのではなく、ねじまたはプレス嵌めで下層を上部部分に接続することもできる。
【0030】
保持リングの底面の平坦度は、エッジ作用に影響を与える。具体的には、底面が非常に平坦である場合、エッジ作用は低減される。保持リングが比較的可撓性である場合、保持リングがたとえばボルト194によって台座に連結されると、保持リングは変形する可能性がある。この変形は、非平面の底面をもたらし、したがってエッジ作用が増大する。保持リングは、キャリアヘッド上に設置後にラッピングまたは機械加工することができるが、ラッピングは、基板を損傷しまたはCMPプロセスを汚染する可能性のある破片を底面内に埋め込む傾向があり、機械加工は、時間がかかり不便である。他方では、ステンレス鋼リングなどの完全に剛性の保持リングは、基板にひび割れを引き起こし、またはCMPプロセスを汚染する可能性がある。
【0031】
本開示の保持リングでは、保持リング110の上部部分184の剛性により、完全にPPSなどの可撓性材料から形成された保持リングと比較すると、保持リングの全体的な曲げ剛性がたとえば30〜40倍増大する。剛性の上部部分によって提供される剛性を増大させることで、保持リングを台座に取り付けることによって引き起こされるこの変形が低減され、またはなくなり、したがってエッジ作用が低減する。さらに、この保持リングは、保持リングがキャリアヘッドに固定された後にラッピングする必要はない。加えて、PPSの下部部分は、CMPプロセスにおいて不活性であり、基板エッジが欠けたりひび割れたりするのを防止するのに十分な弾性を有する。
【0032】
本開示の保持リングの剛性を増大させる別の利益は、保持リングの剛性を増大させることで、研磨プロセスがパッドの圧縮性の影響を受けにくくなることである。いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、特に可撓性の保持リングの場合、エッジ作用に対する1つの可能な寄与は、保持リングの「撓み」と呼ぶことができるものである。具体的には、キャリアヘッドの後方エッジで保持リングの内面にかかる基板エッジの力は、研磨パッドの表面に対して平行な軸の周りでわずかに保持リングを撓ませ、すなわち局部的に捩じる可能性がある。これにより、保持リングの内径は研磨パッド内へより深く押されて、研磨パッドにかかる圧力を増大させ、基板のエッジの方へ研磨パッド材料の「流れ」を引き起こして変位させる。研磨パッド材料の変位は、研磨パッドの弾性特性に依存する。したがって、パッド内へ撓む可能性のある比較的可撓性の保持リングの場合、研磨プロセスはパッド材料の弾性特性の影響を極めて受けやすい。しかし、剛性の上部部分によって提供される剛性を増大させることで、保持リングの撓みが減少し、したがってパッドの変形が低減され、パッドの圧縮性の影響を受けにくくなり、エッジ作用が低減される。
【0033】
上記の実施形態は、CMPプロセスに対する音響/振動センサ302が埋め込まれた保持リングに焦点を当てているが、同じ設計を基板処理チャンバ内などのエッジリングにも使用することができる。加えて、いくつかの実施形態は、異なる観点から様々な処理状態を検出して「スマートチャンバ」を作製するために、基板処理チャンバの様々な部分に配置された1つまたは複数の音響/振動センサ302を含むことができる。
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考案することができる。