(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液晶媒体を配向させるための配向膜を有さない又は配向処理を施していない一対の透明基板の、互いに対向する面の少なくとも一方に透明電極を形成し、前記透明基板の間に低分子極性化合物を含有する液晶媒体を封入した液晶表示素子であって、
前記液晶媒体がホモジニアス配向を示すことを特徴とする、液晶表示素子。
前記液晶媒体がさらに重合性化合物を含有し、前記低分子極性化合物及び前記重合性化合物が前記透明基板の間で重合または共重合され、オリゴマー又はポリマーに変換されていることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示素子。
前記低分子極性化合物が、下記一般式(2)、(3)又は(4)で表される化合物である、
請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示素子。
【化1】
上記式(2)および式(3)中、
R
4は水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このR
4において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、
P
1、P
2、P
3およびP
4は、独立して、上記一般式(Q−0)で表される基、または、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状のアルキルであり、このP
1、P
2、P
3およびP
4において、少なくとも1つの隣接していない−CH
2−は、独立して、N、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−N(−P
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの第3級炭素(CH基)はNで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は独立してFまたはClで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、ただし、P
1、P
2、P
3およびP
4はN、Sおよび/またはOより選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、
P
0は、独立して炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状のアルキルであり、このP
0において、少なくとも1つの隣接していない−CH
2−は、独立して、N、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−N(−P
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの第3級炭素(CH基)はNで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は独立してFまたはClで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、
上記式(Q−0)中、R
1、R
2およびR
3は、独立して、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このR
1、R
2およびR
3において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【化2】
上記式(4)中、
R
5は炭素数1〜15のアルキルであり、このR
5において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A
1および環A
4は、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、独立して、フッ素、塩素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数1〜11のアルコキシ、または炭素数2〜11のアルケニルオキシで置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素は独立してフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Z
1は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このZ
1において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
Sp
1は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
1において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
M
1およびM
2は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜5のアルキルであり;
aは0、1、2、3、または4であり;
R
6は、下記一般式(1a)または一般式(1b)で表される基であり:
【化3】
上記式(1a)および式(1b)中、
Sp
2およびSp
3は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
2およびSp
3において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
S
1は、>CH−または>N−であり;
X
1は、独立して、−OH、−NH
2、−OR
7、−N(R
7)
2、上記一般式(x1)で表される基、−COOH、−SH、−B(OH)
2、または−Si(R
7)
3で表される基であり、ここでR
7は独立して水素または炭素数1〜10のアルキルであり、このR
7において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、上記一般式(x1)中のwは1、2、3または4である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、従来用いられてきた液晶媒体を配向させるための配向膜またはそれに代わる液晶分子配列制御層の形成のための偏光UV照射やラビング、電圧印加状態でのUV照射等の配向処理を必要とすることなく、液晶媒体を基板に対してホモジニアス配向させることができる低分子極性化合物を含む液晶媒体を含有する液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討した結果、好ましくは特定構造の無極性基と極性基とからなる低分子極性化合物により、上記目的を達することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
項1. 液晶媒体を配向させるための配向膜を有さない又は配向処理を施していない一対の透明基板の、互いに対向する面の少なくとも一方に透明電極を形成し、前記透明基板の間に低分子極性化合物を含有する液晶媒体を封入した液晶表示素子。
【0010】
項2. 前記透明基板の間の液晶媒体がホモジニアス配向を示すことを特徴とする、項1に記載の液晶表示素子。
【0011】
項3. 前記低分子極性化合物が前記透明基板の間で重合され、オリゴマー又はポリマーに変換されていることを特徴とする、項1に記載の液晶表示素子。
【0012】
項4. 前記液晶媒体がさらに重合性化合物を含有し、前記低分子極性化合物及び前記重合性化合物が前記透明基板の間で重合または共重合され、オリゴマー又はポリマーに変換されていることを特徴とする、項1に記載の液晶表示素子。
【0013】
項5. 前記透明電極が櫛歯構造である、項1〜4のいずれかに記載の液晶表示素子。
【0014】
項6. 一対の透明基板のどちらか一方に透明電極を形成した、項1〜5に記載の液晶表示素子。
【0015】
項7. 前記低分子極性化合物が、下記一般式(2)、(3)又は(4)で表される化合物である、項1〜6のいずれかに記載の液晶表示素子。
【化11】
上記式(2)および式(3)中、
R
4は水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このR
4において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、
P
1、P
2、P
3およびP
4は、独立して、上記一般式(Q−0)で表される基、または、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状のアルキルであり、このP
1、P
2、P
3およびP
4において、少なくとも1つの隣接していない−CH
2−は、独立して、N、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−N(−P
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの第3級炭素(CH基)はNで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は独立してFまたはClで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、ただし、P
1、P
2、P
3およびP
4はN、Sおよび/またはOより選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、
P
0は、独立して炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状のアルキルであり、このP
0において、少なくとも1つの隣接していない−CH
2−は、独立して、N、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−N(−P
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの第3級炭素(CH基)はNで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は独立してFまたはClで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、
上記式(Q−0)中、R
1、R
2およびR
3は、独立して、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このR
1、R
2およびR
3において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【化12】
上記式(4)中、
R
5は炭素数1〜15のアルキルであり、このR
5において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A
1および環A
4は、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、独立して、フッ素、塩素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数1〜11のアルコキシ、または炭素数2〜11のアルケニルオキシで置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素は独立してフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Z
1は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このZ
1において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
Sp
1は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
1において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
M
1およびM
2は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜5のアルキルであり;
aは0、1、2、3、または4であり;
R
6は、下記一般式(1a)または一般式(1b)で表される基であり:
【化13】
上記式(1a)および式(1b)中、
Sp
2およびSp
3は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
2およびSp
3において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
S
1は、>CH−または>N−であり;
X
1は、独立して、−OH、−NH
2、−OR
7、−N(R
7)
2、上記一般式(x1)で表される基、−COOH、−SH、−B(OH)
2、または−Si(R
7)
3で表される基であり、ここでR
7は独立して水素または炭素数1〜10のアルキルであり、このR
7において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、上記一般式(x1)中のwは1、2、3または4である。
【0016】
項8. 項7に記載の低分子極性化合物の少なくとも1つを含有する液晶組成物を有する、項1〜6のいずれかに記載の液晶表示素子。
【0017】
項9. さらに下記一般式(5)〜(7)のいずれかで表される液晶性化合物の少なくとも1つを含有する液晶組成物を有する、項1〜8のいずれかに記載の液晶表示素子。
【化14】
上記式(5)〜式(7)中、
R
13は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、このR
13において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
11は、フッ素、塩素、−OCF
3、−OCHF
2、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−OCF
2CHF
2、または−OCF
2CHFCF
3であり;
環C
1、環C
2および環C
3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
14、Z
15およびZ
16は独立して、単結合、−(CH
2)
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、または−(CH
2)
4−であり;
L
11およびL
12は独立して水素またはフッ素である。
【0018】
項10. さらに下記一般式(8)で表される液晶性化合物を含有する液晶組成物を有する、項1〜9のいずれかに記載の液晶表示素子。
【化15】
上記式(8)中、
R
14は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、このR
14において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
12は−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
環D
1は、独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
17は、独立して、単結合、−(CH
2)
2−、−C≡C−、−COO−、−CF
2O−、−OCF
2−、または−CH
2O−であり;
L
13およびL
14は独立して水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3、または4である。
【0019】
項11. さらに下記一般式(16)〜(18)のいずれかで表される液晶性化合物の少なくとも1つを含有する液晶組成物を有する、項1〜10のいずれかに記載の液晶表示素子。
【化16】
上記式(16)〜式(18)中、
R
11およびR
12は独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルコキシアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたはジフルオロビニルであり;
環B
1、環B
2、環B
3および環B
4は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
11、Z
12およびZ
13は独立して、単結合、−(CH
2)
2−、−CH=CH−、−C≡C−、または−COO−である。
【0020】
項12. さらに下記一般式(19)で表される重合性化合物を含有する液晶組成物を有する、項1〜11のいずれかに記載の液晶表示素子。
【化17】
上記式(19)中、
環Fおよび環Iは独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、ピリミジン−2−イル、またはピリジン−2−イルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてもよく;
環Gは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてもよく;
Z
22およびZ
23は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このZ
22およびZ
23において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−CO−、または−COO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2CH
2−は、独立して、−CH=CH−、−C(CH
3)=CH−、または−C(CH
3)=C(CH
3)−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素は独立してフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Q
1、Q
2およびQ
3は独立して重合性基であり;
Sp
1、Sp
2およびSp
3は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
1、Sp
2およびSp
3において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2CH
2−は、独立して、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素は独立してフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
dは0、1、または2であり;
e、f、およびgは独立して0、1、2、3、または4であり、そしてe、f、およびgの和は1以上である。
【0021】
項13. 上記一般式(19)において、Q
1、Q
2およびQ
3が独立して下記一般式(Q−1)〜(Q−5)のいずれかで表される重合性基である、項12に記載の液晶表示素子。
【化18】
上記式(Q−1)〜式(Q−5)において、M
1、M
2およびM
3は独立して、水素、フッ素、炭素数1〜5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜5のアルキルである。
【0022】
項14. 前記一般式(19)で表される重合性化合物が、下記一般式(19−1)〜(19−7)のいずれかで表される重合性化合物である、項12又は13に記載の液晶表示素子。
【化19】
上記式(19−1)〜式(19−7)中、
L
21、L
22、L
23、L
24、L
25、L
26、L
27およびL
28は独立して、水素、フッ素、またはメチルであり;
Sp
1、Sp
2およびSp
3は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
1、Sp
2およびSp
3において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素は独立してフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Q
4、Q
5およびQ
6は独立して、下記一般式(Q−1)〜式(Q−3)のいずれかで表される重合性基であり、ここでM
1、M
2およびM
3は独立して、水素、フッ素、炭素数1〜5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜5のアルキルである。
【化20】
【0023】
項15. さらに、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤および消泡剤から選択される少なくとも1つを含有する、項1〜14のいずれかに記載の液晶表示素子。
【発明の効果】
【0024】
低分子の添加剤により液晶媒体をホモジニアス配向させることができる技術はこれまでになく、本願発明の好ましい態様によれば特定の低分子極性化合物を添加するだけで液晶媒体をホモジニアス配向させることができ、従来の液晶を配向させるための配向膜や配向処理を不要とすることができる。この結果、例えばFFS、IPSなどの横電界を用いるモードのポリイミドレス化が可能となる。さらにポリイミドレス化によって、液晶セル製造時にしばしば発生する、セル周囲を封止するために使用されるシール材と配向膜との不具合の発生を回避できる。これによって、通常密着性を確保するために液晶表示素子の通常額縁と呼ばれる非表示外周部の幅を狭くして、より面積効率の良い液晶表示素子を製造することが可能になる。また、通常、そのポリイミド構造から着色することが多い配向膜による、液晶表示素子の透過率低下の効果を低減することが可能となり、高透過率の液晶表示素子を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。「液晶媒体」とは、液晶表示素子または装置に用いられる液晶または液晶性のものであり、以下に限定されるわけではないが、例えば液晶性化合物、液晶組成物、高分子液晶等である。「液晶組成物」および「液晶表示素子」の用語をそれぞれ「組成物」および「素子」と略すことがある。「液晶表示素子」は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが、ネマチック相の温度範囲、粘度、誘電率異方性のような特性を調節する目的で組成物に混合される化合物の総称である。この化合物は、例えば1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状(rod like)である。「重合性化合物」は、組成物中に重合体を生成させる目的で添加する化合物である。「低分子」とは、「高分子」でないものをいう。「高分子」とは、重合反応が可能な構造を持つ化合物が、重合反応によって生成したモノマー単位の繰り返し構造を持つものである。重合反応ではない反応で合成され、モノマー単位の繰り返し構造を待たない高分子量の化合物は低分子である。また、重合反応が可能な構造を持つ化合物であって、重合前の化合物は低分子である。
【0027】
液晶組成物は、複数の液晶性化合物を混合することによって調製される。液晶性化合物の割合(含有量)は、この液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。この液晶組成物に、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤、色素のような添加物が必要に応じて添加される。添加物の割合(添加量)は、液晶性化合物の割合と同様に、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。重量百万分率(ppm)が用いられることもある。重合開始剤および重合禁止剤の割合は、例外的に重合性化合物の重量に基づいて表される。
【0028】
例として式(X)で表される化合物は、式(X)で表される1つの化合物、2つの化合物の混合物、または3つ以上の化合物の混合物を意味する。六角形で囲んだB
1、C
1、Fなどの記号はそれぞれ環B
1、環C
1、環Fなどに対応する。六角形は、シクロヘキサン環やベンゼン環のような六員環またはナフタレン環のような縮合環を表す。この六角形を横切る斜線は、環上の任意の水素が−Sp
1−Q
1などの基で置き換えられてもよいことを表す。eなどの添え字は、置き換えられた基の数を示す。添え字が0のとき、そのような置き換えはない。
【0029】
末端基の記号(例えばRに上付き添え字)を複数の成分化合物に用いた。これらの化合物において、任意の2つの同記号の末端基が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(Y)の末端基がエチルであり、化合物(Z)の同記号の末端基がエチルであるケースがある。化合物(Y)の末端基がエチルであり、化合物(Z)の同記号の末端基がプロピルであるケースもある。このルールは、他の末端基、環、結合基などの記号にも適用される。式(8)において、iが2のとき、2つの環D
1が存在する。この化合物において、2つの環D
1が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。このルールは、iが2より大きいときの任意の2つの環D
1にも適用される。このルールは、他の環、結合基などの記号にも適用される。
【0030】
「少なくとも1つの‘X’」の表現は、‘X’の数は任意であることを意味する。「少なくとも1つの‘X’は、‘Y’で置き換えられてもよい」の表現は、‘X’の数が1つのとき、‘X’の位置は任意であり、‘X’の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく選択できる。このルールは、「少なくとも1つの‘X’が、‘Y’で置き換えられた」の表現にも適用される。「少なくとも1つのXが、Y、Z、またはWで置き換えられてもよい」という表現は、少なくとも1つのXがYで置き換えられた場合、少なくとも1つのXがZで置き換えられた場合、および少なくとも1つのXがWで置き換えられた場合、さらに複数のXがY、Z、Wの少なくとも2つで置き換えられた場合を含むことを意味する。例えば、少なくとも1つの−CH
2−(または、−(CH
2)
2−)が−O−(または、−CH=CH−)で置き換えられてもよいアルキルには、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルが含まれる。なお、連続する2つの−CH
2−が−O−で置き換えられて、−O−O−のようになることは好ましくない。液晶性化合物においては、アルキルなどにおいて、メチル部分(−CH
2−H)の−CH
2−が−O−で置き換えられて−O−Hになることは好ましくない。
【0031】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましいハロゲンは、フッ素または塩素である。さらに好ましいハロゲンはフッ素である。アルキルは、直鎖状または分岐状であり、断りがない限りは環状アルキルを含まない。直鎖状アルキルは、一般的に分岐状アルキルよりも好ましい。これらのことは、アルコキシ、アルケニルなどの末端基についても同様である。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、ネマチック相の上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンは、下記の2つの二価基を意味する。化学式において、フッ素は左向き(L)であってもよいし、右向き(R)であってもよい。このルールは、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような、環から水素を2つ除くことによって生成した非対称な二価基にも適用される。
【化21】
【0032】
本発明は、配向膜を有さないまたは配向処理が施されておらず、かつ少なくとも一方に透明電極が形成された一対の基板の間に封入される液晶媒体であって、当該液晶媒体を基板に対してホモジニアス配向させる低分子極性化合物を含有し、基板に対して自発的にホモジニアス配向する液晶媒体に関する。すなわち、本発明は、基板に対して自発的にホモジニアス配向する液晶または液晶性のもの、例えば基板に対して自発的にホモジニアス配向する液晶性化合物、液晶組成物、高分子液晶等に関する。以下、本発明を構成する各要素について詳細に説明する。
【0033】
1.低分子極性化合物
本発明の低分子極性化合物は、液晶媒体を基板に対してホモジニアス配向させる極性化合物であり、低分子である。ここで液晶セルは液晶媒体を配向させるための配向膜を有さないまたは配向処理が施されていない2枚の基板(少なくとも一方の基板には透明電極が形成されている)とその間に挟持された液晶媒体とから構成され、液晶媒体に添加された低分子極性化合物により当該液晶媒体は当該基板に対してホモジニアス配向する。ホモジニアス配向とは、液晶媒体が基板面と平行に配向することに加えて、基板面と平行な面内においても液晶媒体が配向していることを意味する。本発明の低分子極性化合物の化学構造は好ましくは無極性基と極性基とから構成され、本発明は特定の原理に拘束されるわけではないが、当該極性基は基板や基板上に形成された電極と相互作用し、当該無極性基は液晶媒体と相互作用することで、液晶媒体を基板に対してホモジニアス配向させるものと考えられる。低分子極性化合物は重合性基を有していてもよく、重合性基を有する低分子極性化合物は液晶媒体を配向させると共に、紫外線照射等により重合および他の重合性化合物と共重合する。これによって、重合前の配向を安定化することができる。
【0034】
本発明の低分子極性化合物は、液晶媒体を基板に対してホモジニアス配向させることができればその構造は特に限定されないが、具体的な構造を以下に例示する。
【0035】
1.1 一般式(1)で表される低分子極性化合物。
【化22】
上記式(1)中、Mは炭素数1以上の無極性基であり、Pは極性基である。
【0036】
上記一般式(1)において、Mは好ましくは炭素数1〜50の無極性基であり、より好ましくは炭素数3〜35の無極性基であり、さらに好ましくは炭素数4〜25の無極性基であり、アルキル鎖、シクロへキシレンおよびフェニレンなどを組み合わせた基であることが特に好ましい。
【0037】
上記一般式(1)において、Pは、好ましくは、独立して炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状の置換アルキルであり、このPにおいて、少なくとも1つの隣接していない−CH
2−は、独立して、N、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−N(−P
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの第3級炭素(CH基)はNで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は独立してFまたはClで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、ただしPはN、Sおよび/またはOより選択される1個以上のヘテロ原子を含有する。Pは、より好ましくは、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン基、エステル結合、アクリレート、メタクリレートなどである。
【0038】
なお、「−N(−P
0)−」におけるP
0は、独立して炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状のアルキルであり、このP
0において、少なくとも1つの隣接していない−CH
2−は、独立して、N、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−N(−P
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの第3級炭素(CH基)はNで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は独立してFまたはClで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
【0039】
1.2 一般式(2)または(3)で表される低分子極性化合物
上記一般式(1)の低分子極性化合物の中でも以下の一般式(2)または(3)の低分子極性化合物が好ましい。
【化23】
【0040】
上記式(2)および式(3)中、
R
4は水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このR
4において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、
P
1、P
2、P
3およびP
4は、独立して、上記一般式(Q−0)で表される基、または、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状のアルキルであり、このP
1、P
2、P
3およびP
4において、少なくとも1つの隣接していない−CH
2−は、独立して、N、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−N(−P
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの第3級炭素(CH基)はNで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は独立してFまたはClで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、ただし、P
1、P
2、P
3およびP
4はN、Sおよび/またはOより選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、
P
0は、独立して炭素数1〜25の直鎖状、分岐状または環状のアルキルであり、このP
0において、少なくとも1つの隣接していない−CH
2−は、独立して、N、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−N(−P
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの第3級炭素(CH基)はNで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は独立してFまたはClで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、
上記式(Q−0)中、R
1、R
2およびR
3は、独立して、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このR
1、R
2およびR
3において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0041】
上記式(2)におけるP
1〜P
4、上記式(3)におけるP
1〜P
3は、好ましくは、アクリレートまたはメタクリレートであり、上記式(3)におけるR
1は、好ましくはアルキル、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜10のアルキルである。
【0042】
上記式(2)または(3)の低分子極性化合物の中でも以下の化学構造を有する低分子極性化合物が好ましい。
【化24】
上記一般式(2−1)におけるR
1は独立して炭素数1〜4の直鎖状または環状のアルキルであり;
上記一般式(2−2)および式(3−1)におけるR
1、R
2、R
3およびR
4は、独立して、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このR
1、R
2、R
3およびR
4において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0043】
さらに好ましくは以下の化学構造を有する低分子極性化合物である。
【化25】
【0044】
1.3 一般式(4)で表される低分子極性化合物
上記一般式(1)の低分子極性化合物の中でも以下の一般式(4)の低分子極性化合物が好ましい。
【化26】
【0045】
上記式(4)中、
R
5は炭素数1〜15のアルキルであり、このR
5において、少なくとも1つの−CH
2−は独立して−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A
1および環A
4は、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、独立して、フッ素、塩素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数1〜11のアルコキシ、または炭素数2〜11のアルケニルオキシで置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素は独立してフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Z
1は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このZ
1において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
Sp
1は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
1において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
M
1およびM
2は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜5のアルキルであり;
aは0、1、2、3、または4であり;
R
6は、下記一般式(1a)または一般式(1b)で表される基であり:
【化27】
上記式(1a)および式(1b)中、
Sp
2およびSp
3は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
2およびSp
3において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
S
1は、>CH−または>N−であり;
X
1は、独立して、−OH、−NH
2、−OR
7、−N(R
7)
2、上記一般式(x1)で表される基、−COOH、−SH、−B(OH)
2、または−Si(R
7)
3で表される基であり、ここでR
7は独立して水素または炭素数1〜10のアルキルであり、このR
7において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、上記一般式(x1)中のwは1、2、3または4である。
【0046】
式(4)中、好ましい環A
1または環A
4は、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素はフッ素、または炭素数1から5のアルキルで置き換えられてもよい。さらに好ましい環A
1または環A
4は、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、これらの環において、例えば、1−メチル−1,4−シクロへキシレン、2−エチル−1,4−シクロへキシレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンのように、少なくとも1つの水素はフッ素、メチル、またはエチルで置き換えられてもよい。
【0047】
式(4)中、好ましいZ
1は、単結合、−(CH
2)
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、または−CF=CF−である。さらに好ましいZ
1は、単結合、−(CH
2)
2−、または−CH=CH−である。特に好ましいZ
1は、単結合である。
【0048】
式(4)中、好ましいSp
1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン、または1つの−CH
2−が−O−で置き換えられた炭素数1〜5のアルキレンである。さらに好ましいSp
1は、単結合、炭素数1〜3のアルキレン、または1つの−CH
2−が−O−で置き換えられた炭素数1〜3のアルキレンである。
【0049】
式(4)中、好ましいM
1またはM
2は、水素、フッ素、メチル、エチル、またはトリフルオロメチルである。さらに好ましいM
1またはM
2は水素である。
【0050】
式(4)中、好ましいaは、0、1、2、または3である。さらに好ましいaは、0、1、または2である。
【0051】
式(1a)および式(1b)中、好ましいSp
2またはSp
3は、炭素数1〜7のアルキレン、または1つの−CH
2−が−O−で置き換えられた炭素数1〜5のアルキレンである。さらに好ましいSp
2またはSp
3は、炭素数1〜5のアルキレン、または1つの−CH
2−が−O−で置き換えられた炭素数1〜5のアルキレンである。特に好ましいSp
2またはSp
3は、−CH
2−である。
【0052】
式(1a)および式(1b)中、好ましいX
1は、−OH、−NH
2、−OR
7、−N(R
7)
2、一般式(x1)で表される基、または−Si(R
7)
3で表される基であり、ここで、R
7は水素または炭素数1〜5のアルキルであり、このR
7において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、上記一般式(x1)におけるwは1、2、3または4である。さらに好ましいX
1は、−OH、−NH
2、または−N(R
7)
2である。特に好ましいX
1は−OHである。
【0053】
一般式(4)のより具体的な低分子極性化合物として以下が挙げられる。
【化28】
【0054】
式(4−1)〜式(4−10)中、
R
5は、炭素数1〜10のアルキルであり;
Sp
1は単結合または炭素数1〜5のアルキレンであり、このSp
1において少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
Sp
2は炭素数1〜5のアルキレンであり、このSp
2において少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく;
L
1、L
2、L
3、L
4およびL
5は独立して、水素、フッ素、メチル、またはエチルであり;
Y
1およびY
2は独立して水素またはメチルである。
【0055】
一般式(4)のより具体的な低分子極性化合物として以下が挙げられる。
【化29】
【0056】
式(4−11)〜式(4−20)中、
R
5は、炭素数1〜10のアルキルであり;
Sp
1は単結合または炭素数1〜5のアルキレンであり、このSp
1において少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
Sp
2は炭素数1〜5のアルキレンであり、このSp
2において少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく;
L
1、L
2、L
3、L
4およびL
5は独立して、水素、フッ素、メチル、またはエチルであり;
Y
1およびY
2は独立して水素またはメチルであり;
R
7は、独立して、水素、メチルまたはエチルである。
【0057】
さらに好ましくは以下の化学構造を有する低分子極性化合物である。
【化30】
【0058】
1.4 低分子極性化合物の合成
上記一般式(1)で表される低分子極性化合物、一般式(2)および(3)で表される低分子極性化合物は無極性基と極性基との結合体であり、当業者に公知の有機合成の知見を利用すれば容易に合成することができる。
【0059】
一般式(2)の低分子極性化合物
一般式(2)の低分子極性化合物に分類される例えば上記一般式(2−1)の低分子極性化合物や上記一般式(2−2)の低分子極性化合物を合成する方法としては、以下のように、ペンタエリトリトールに任意のカルボン酸または酸クロライドをエステル化させることにより合成することができる。
【0061】
一般式(3)の低分子極性化合物
また、一般式(3)の極性化合物に分類される例えば上記一般式(3−1)の低分子極性化合物を合成する方法としては、以下のように、任意のアルデヒドにパラホルムアルデヒドを塩基性条件化で反応させトリオールを合成し、さらに任意のカルボン酸または酸クロライドをエステル化させることにより合成することができる。
【0063】
一般式(4)の低分子極性化合物
上記一般式(4)で表される低分子極性化合物も無極性基と極性基との結合体であり、当業者に公知の有機合成の知見を利用すれば容易に合成することができる。
【0064】
結合基の生成
化合物(4)における結合基を生成する方法の例は、下記のスキームのとおりである。このスキームにおいて、MSG
1(またはMSG
2)は、少なくとも1つの環を有する一価の有機基である。複数のMSG
1(またはMSG
2)が表す一価の有機基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。化合物(1A)から(1G)は、化合物(4)または化合物(4)の中間体に相当する。
【0071】
(I)単結合の生成
アリールホウ酸(21)と化合物(22)を、炭酸塩、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下で反応させ、化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下で化合物(22)を反応させても合成される。
【0072】
(II)−COO−と−OCO−の生成
化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで二酸化炭素を反応させ、カルボン酸(24)を得る。このカルボン酸(24)と、化合物(21)から誘導したフェノール(25)とをDCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させて−COO−を有する化合物(1B)を合成する。この方法によって−OCO−を有する化合物も合成する。
【0073】
(III)−CF
2O−と−OCF
2−の生成
化合物(1B)をローソン試薬で硫黄化し、化合物(26)を得る。化合物(26)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N−ブロモスクシンイミド)でフッ素化し、−CF
2O−を有する化合物(1C)を合成する。M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照。化合物(1C)は化合物(26)をDAST((ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド)でフッ素化しても合成される。W. H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照。この方法によって−OCF
2−を有する化合物も合成する。
【0074】
(IV)−CH=CH−の生成
化合物(22)をn−ブチルリチウム、次いでDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)と反応させてアルデヒド(27)を得る。ホスホニウム塩(28)とカリウムt−ブトキシドを反応させて発生させたリンイリドを、アルデヒド(27)と反応させて化合物(1D)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
【0075】
(V)−(CH
2)
2−の生成
化合物(1D)をパラジウム炭素触媒の存在下で水素化し、化合物(1E)を合成する。
【0076】
(VI)−C≡C−の生成
ジクロロパラジウムとヨウ化銅の触媒存在下で、化合物(23)に2−メチル−3−ブチン−2−オールを反応させたのち、塩基性条件下で脱保護して化合物(29)を得る。ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下、化合物(29)を化合物(22)と反応させて、化合物(1F)を合成する。
【0077】
(VII)−CH
2O−と−OCH
2−の生成
化合物(27)を水素化ホウ素ナトリウムで還元して化合物(30)を得る。これを臭化水素酸で臭素化して化合物(31)を得る。炭酸カリウムの存在下、化合物(25)と化合物(31)を反応させて、化合物(1G)を合成する。この方法によって−OCH
2−を有する化合物も合成する。
【0078】
(VIII)−CF=CF−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理したあと、テトラフルオロエチレンを反応させて化合物(32)を得る。化合物(22)をn−ブチルリチウムで処理したあと化合物(32)と反応させて、化合物(1H)を合成する。
【0079】
環A
1および環A
2の生成
1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、2−エチル−1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルなどの環に関しては出発物が市販されているか、または合成法がよく知られている。
【0080】
一般式(4)の低分子極性化合物に分類される具体的な化学構造を有する化合物を合成する他の方法は、次のとおりである。以下の合成方法の説明において、R
5、M
1およびM
2の定義は前記と同一である。なお「MES」は、一般式(4)中のA
1、Z
1およびA
4から構成される部位を示す。
【0081】
一般式(4)中のR
6が−CH
2−OHである化合物(4−51)は、以下の方法で合成できる。化合物(a)と化合物(b)を、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)の存在下で反応させ、化合物(c)を得る。化合物(c)とHCHO(ホルムアルデヒド)を、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)の存在下で反応させる事によって、化合物(4−51)へと導く事ができる。なお、化合物(c)は、化合物(a)と化合物(d)をトリエチルアミンなどの塩基の存在下で反応させる事によっても合成できる。
【0083】
化合物(4−51)は、以下の方法でも合成できる。化合物(e)とホルムアルデヒドを、DABCOの存在下で反応させ、化合物(f)を得る。次にt−ブチルジメチルシリルクロリド(TBSCl)とイミダゾールを作用させて化合物(g)を得た後、水酸化リチウムなどの塩基で加水分解させて化合物(h)を得る。化合物(a)と化合物(h)をDCCおよびDMAPの存在下で反応させ、化合物(i)を得た後、TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)を用いて脱保護させる事により、化合物(4−51)へと導く事ができる。
【0085】
一般式(4)中のR
6が−(CH
2)
2−OHである化合物(4−52)は、以下の方法で合成できる。化合物(4−51)に三臭化リンを作用させて、化合物(j)を得る。次に化合物(j)にインジウムを作用させた後、ホルムアルデヒドと反応させる事によって、化合物(4−52)へと導く事ができる。
【0087】
2.液晶性化合物
本発明で使用する好ましい一般式(5)〜(8)、(16)〜(18)のいずれかで表される液晶性化合物を以下に説明する。これらの化合物を適切に組み合わせることによって、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性の少なくとも1つを充足する液晶組成物を調製することができる。必要に応じて、これらの化合物とは異なる液晶性化合物を添加してもよい。
【0088】
2.1 下記一般式(5)〜(7)の液晶性化合物
【化42】
【0089】
上記式(5)〜式(7)中、
R
13は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、このR
13において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
11は、フッ素、塩素、−OCF
3、−OCHF
2、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−OCF
2CHF
2、または−OCF
2CHFCF
3であり;
環C
1、環C
2および環C
3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
14、Z
15およびZ
16は独立して、単結合、−(CH
2)
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、または−(CH
2)
4−であり;
L
11およびL
12は独立して水素またはフッ素である。
【0090】
式(5)〜(7)の液晶性化合物は、右末端にハロゲンまたはフッ素含有基を有する化合物である。好ましい例として、化合物(5−1)〜(5−16)、化合物(6−1)〜(6−113)、化合物(7−1)〜(7−57)を挙げることができる。これらの式において、R
13およびX
11は式(5)〜(7)と同一の定義である。
【0097】
式(5)〜(7)の液晶性化合物は、誘電率異方性が正であり、熱、光などに対する安定性が非常に優れているので、IPS、FFS、OCBなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。これらの化合物の含有量は、液晶組成物の重量に基づいて1〜99重量%の範囲が適しており、好ましくは10〜97重量%の範囲、さらに好ましくは40〜95重量%の範囲である。これらの化合物を誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、その含有量は液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。これらの化合物を添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
【0098】
2.2 下記一般式(8)で表される液晶性化合物
【化49】
【0099】
上記式(8)中、
R
14は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、このR
14において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
12は−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
環D
1は、独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
17は、独立して、単結合、−(CH
2)
2−、−C≡C−、−COO−、−CF
2O−、−OCF
2−、または−CH
2O−であり;
L
13およびL
14は独立して水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3、または4である。
【0100】
式(8)で表される液晶性化合物は、右末端基が−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nである化合物である。好ましい例として、化合物(8−1)〜(8−64)を挙げることができる。これらの式において、R
14およびX
12は、式(8)と同一の定義である。
【0103】
式(8)で表される液晶性化合物は、誘電率異方性が正であり、その値が大きいので、TNなどのモード用の組成物を調製する場合に主として用いられる。この化合物を添加することにより、組成物の誘電率異方性を大きくすることができる。この化合物は、液晶相の温度範囲を広げる、粘度を調整する、または光学異方性を調整する、という効果がある。この化合物は、素子の電圧−透過率曲線の調整にも有用である。
【0104】
TNなどのモード用の組成物を調製する場合には、式(8)で表される液晶性化合物の含有量は、液晶組成物の重量に基づいて1〜99重量%の範囲が適しており、好ましくは10〜97重量%の範囲、さらに好ましくは40〜95重量%の範囲である。この化合物を誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、その含有量は液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。この化合物を添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
【0105】
2.3 下記一般式(16)〜(18)の液晶性化合物
【化52】
【0106】
上記式(16)〜式(18)中、
R
11およびR
12は独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルコキシアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたはジフルオロビニルであり、このR
11およびR
12において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環B
1、環B
2、環B
3および環B
4は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
11、Z
12およびZ
13は独立して、単結合、−(CH
2)
2−、−CH=CH−、−C≡C−、または−COO−である。
【0107】
式(16)〜(18)の液晶性化合物は、2つの末端基がアルキルなどである化合物である。好ましい例として、化合物(16−1)〜(16−11)、化合物(17−1)〜(17−19)、および化合物(18−1)〜(18−7)を挙げることができる。これらの式において、R
11およびR
12は、式(16)〜(18)と同一の定義である。
【0109】
式(16)〜(18)の液晶性化合物は、誘電率異方性の絶対値が小さいので、中性に近い化合物である。式(16)の化合物は、主として粘度の減少または光学異方性の調整に効果がある。式(17)の化合物および式(18)の化合物は、上限温度を高くすることによってネマチック相の温度範囲を広げる効果、または光学異方性の調整に効果がある。
【0110】
式(16)〜(18)の液晶性化合物の含有量を増加させるにつれて組成物の誘電率異方性が小さくなるが粘度は小さくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は多い方が好ましい。IPSなどのモード用の組成物を調製する場合には、式(16)〜(18)の液晶性化合物の含有量は、液晶組成物の重量に基づいて、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。
【0111】
3.重合性化合物
重合性化合物は、液晶組成物中に重合体を生成させる目的で添加される。電極間に電圧を印加した状態で紫外線を照射して、重合性化合物を重合させることによって、液晶組成物の中に重合体を生成させる。この方法によって、配向の初期状態を安定化させることができるので、応答時間が短縮され、画像の焼き付きが改善された液晶表示素子が得られる。重合性化合物の好ましい例は、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、およびビニルケトンである。さらに好ましい例は、少なくとも1つのアクリロイルオキシを有する化合物および少なくとも1つのメタクリロイルオキシを有する化合物である。さらに好ましい例には、アクリロイルオキシとメタクリロイルオキシの両方を有する化合物も含まれる。具体的な重合性化合物を以下に例示する。
【0112】
3.1 一般式(19)の重合性化合物
【化54】
【0113】
上記式(19)中、
環Fおよび環Iは独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、ピリミジン−2−イル、またはピリジン−2−イルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてもよく;
環Gは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてもよく;
Z
22およびZ
23は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このZ
22およびZ
23において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2CH
2−は、独立して、−CH=CH−、−C(CH
3)=CH−、−CH=C(CH
3)−、または−C(CH
3)=C(CH
3)−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素は独立してフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Q
1、Q
2およびQ
3は独立して重合性基であり;
Sp
1、Sp
2およびSp
3は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
1、Sp
2およびSp
3において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2CH
2−は、独立して、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素は独立してフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
dは0、1、または2であり;
e、f、およびgは独立して0、1、2、3、または4であり、そしてe、f、およびgの和は1以上である。
【0114】
上記一般式(19)において、Q
1、Q
2およびQ
3が独立して下記一般式(Q−1)〜(Q−5)のいずれかで表される重合性基であることが好ましい。
【化55】
上記式(Q−1)〜式(Q−5)において、M
1、M
2およびM
3は独立して、水素、フッ素、炭素数1〜5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜5のアルキルである。
【0115】
一般式(19)の重合性化合物の好ましい例は、以下の重合性化合物(19−1)〜(19−7)である。
【化56】
【0116】
上記式(19−1)〜式(19−7)中、
L
21、L
22、L
23、L
24、L
25、L
26、L
27およびL
28は独立して、水素、フッ素、またはメチルであり;
Sp
1、Sp
2およびSp
3は独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このSp
1、Sp
2およびSp
3において、少なくとも1つの−CH
2−は、独立して、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH
2)
2−は独立して−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において少なくとも1つの水素は独立してフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Q
4、Q
5およびQ
6は独立して、下記一般式(Q−1)〜式(Q−3)のいずれかで表される重合性基であり、ここでM
1、M
2およびM
3は独立して、水素、フッ素、炭素数1〜5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜5のアルキルである。
【化57】
【0117】
一般式(19)の重合性化合物のさらに好ましい例は、以下の重合性化合物(M−1)〜(M−17)である。これらの化合物において、R
25からR
31は独立して水素またはメチルであり;vおよびxは独立して0または1であり;tおよびuは独立して1〜10の整数であり;sは0または1であり;L
21からL
26は独立して水素またはフッ素であり、L
27およびL
28は独立して、水素、フッ素、またはメチルである。
【0120】
4.添加剤
4.1 重合開始剤
重合性化合物は、重合開始剤を添加することによって、速やかに重合させることができる。反応温度を最適化することによって、残存する重合性化合物の量を減少させることができる。光ラジカル重合開始剤の例は、BASF社のダロキュアシリーズからTPO、1173、および4265であり、イルガキュアシリーズから184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、および2959である。
【0121】
光ラジカル重合開始剤のさらなる例は、4−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物である。
【0122】
液晶組成物に光ラジカル重合開始剤を添加したあと、電場を印加した状態で紫外線を照射することによって重合を行うことができる。しかし、未反応の重合開始剤または重合開始剤の分解生成物は、素子に画像の焼き付きなどの表示不良を引き起こすかもしれない。これを防ぐために重合開始剤を添加しないまま光重合を行ってもよい。照射する光の好ましい波長は150〜500nmの範囲である。さらに好ましい波長は250〜450nmの範囲であり、最も好ましい波長は300〜400nmの範囲である。
【0123】
4.2 重合禁止剤
重合性化合物を保管するとき、重合を防止するために重合禁止剤を添加してもよい。重合性化合物は、通常は重合禁止剤を除去しないまま組成物に添加される。重合禁止剤の例は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノンのようなヒドロキノン誘導体、4−t−ブチルカテコール、4-メトキシフェノ−ル、フェノチアジンなどである。
【0124】
4.3 光学活性化合物
光学活性化合物は、液晶分子にらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与えることによって逆ねじれを防ぐ、という効果を有する。光学活性化合物を添加することによって、らせんピッチを調整することができる。らせんピッチの温度依存性を調整する目的で2つ以上の光学活性化合物を添加してもよい。光学活性化合物の好ましい例として、下記の化合物(Op−1)〜(Op−18)を挙げることができる。化合物(Op−18)において、環Jは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、R
28は炭素数1〜10のアルキルである。
【0126】
4.4 酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤
酸化防止剤は、大きな電圧保持率を維持するために有効である。酸化防止剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−1)および(AO−2);IRGANOX 415、IRGANOX 565、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 3114、およびIRGANOX 1098(商品名:BASF社)を挙げることができる。紫外線吸収剤は、上限温度の低下を防ぐために有効である。紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。具体例として下記の化合物(AO−3)および(AO−4);TINUVIN 329、TINUVIN P、TINUVIN 326、TINUVIN 234、TINUVIN 213、TINUVIN 400、TINUVIN 328、およびTINUVIN 99−2(商品名:BASF社);および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を挙げることができる。
【0127】
立体障害のあるアミンのような光安定剤は、大きな電圧保持率を維持するために好ましい。光安定剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−5)および(AO−6);TINUVIN 144、TINUVIN 765、およびTINUVIN 770DF(商品名:BASF社)を挙げることができる。熱安定剤も大きな電圧保持率を維持するために有効であり、好ましい例としてIRGAFOS 168(商品名:BASF社)を挙げることができる。消泡剤は、泡立ちを防ぐために有効である。消泡剤の好ましい例は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどである。
【0129】
化合物(AO−1)において、R
40は炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−COOR
41、または−CH
2CH
2COOR
41であり、ここでR
41は炭素数1〜20のアルキルである。化合物(AO−2)および(AO−5)において、R
42は炭素数1〜20のアルキルである。化合物(AO−5)において、R
43は水素、メチル、またはO
・(酸素ラジカル)であり、環Gは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、zは1、2、または3である。
【0130】
5.液晶組成物
本発明の液晶組成物は、少なくとも(1)低分子極性化合物と(2)液晶性化合物とを含む。また、(3)重合性化合物、(4)重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤などの添加剤を含んでもよい。液晶組成物は公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。
【0131】
本発明の液晶組成物を調製するときには、正または負の誘電率異方性の大きさなどを考慮して液晶性化合物の種類を選択することが好ましい。成分を適切に選択した組成物は、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性(すなわち、大きな光学異方性または小さな光学異方性)、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、熱または紫外線に対する安定性、および適切な弾性定数(すなわち、大きな弾性定数または小さな弾性定数)を有する。
【0132】
液晶組成物中の(1)極性化合物の含有量は0.01〜20重量%であり、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.3〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%である。
【0133】
6.液晶表示素子
液晶組成物は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、FFS(fringe field switching)、FPA(field-induced photo-reactive alignment)などのモードの、アクティブマトリックス方式で駆動する液晶表示素子に使用できる。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、FFS、FPAなどの動作モードの、パッシブマトリクス方式で駆動する液晶表示素子にも使用することができる。これらの素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。
【0134】
この組成物は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子、液晶中に三次元網目状高分子を形成して作製したポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)、そしてポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)にも使用できる。重合性化合物の添加量が液晶組成物の重量に基づいて約10重量%以下であるとき、PSモードの液晶表示素子が作製される。好ましい割合は約0.1〜約2重量%の範囲である。さらに好ましい割合は、約0.2〜約1.0重量%の範囲である。PSモードの素子は、アクティブマトリックス、パッシブマトリクスのような駆動方式で駆動させることができる。このような素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。重合性化合物の添加量を増やすことによって、高分子分散(polymer dispersed)モードの素子も作製することができる。
【0135】
高分子支持(PS;polymer sustained)型の液晶表示素子では、重合体を含有する液晶組成物が用いられる。まず、少量の重合性化合物を添加した組成物を素子に注入する。次に、組成物に紫外線を照射する。重合性化合物は重合して、組成物中に重合体の網目構造を生成する。この組成物では、重合体によって液晶分子の配向を制御することが可能になるので、素子の応答時間が短縮され、画像の焼き付きが改善される。本発明の低分子極性化合物は、液晶分子が配列するのを促す。すなわち、本発明の低分子極性化合物は、配向処理の代わりに用いることができる。このような素子を製造する方法の一例は、次のとおりである。配向処理または液晶媒体を配向させるための配向膜を施していない一対の透明基板を有する素子を用意する。この基板の少なくとも1つは、電極層を有する。液晶性化合物を混合して液晶組成物を調製する。この組成物に重合性化合物および低分子極性化合物を添加する。必要に応じて添加物をさらに添加してもよい。この組成物を素子に注入する。この素子に光照射する。紫外線が好ましい。光照射によって重合性化合物を重合させる。この重合によって、重合体を含む組成物が生成し、高分子支持配向型を有する素子が作製される。
【0136】
この手順において、低分子極性化合物は、極性基が基板表面と相互作用するので、基板上に偏在する。この低分子極性化合物が、液晶分子を配向させる。この配向に従って重合性化合物も配向する。この状態で重合性化合物が紫外線によって重合するので、この配向を維持した重合体が生成する。この重合体の効果によって、液晶分子の配向が追加的に安定化するので、素子の応答時間が短縮される。画像の焼き付きは、液晶分子の動作不良であるから、この重合体の効果によって焼き付きも同時に改善されることになる。特に本発明の低分子極性化合物が重合性基を有している場合、液晶分子を配向させると共に、他の重合性化合物と共重合する。これによって低分子極性化合物が液晶組成物中に漏れ出す事が無くなるため、電圧保持率の大きな液晶表示素子が得られる。
【0137】
6.1 液晶表示素子に使用する基板
液晶表示素子に使用する基板は、ガラス、ITOその他の透明基板を用いることができ、そこに絶縁膜(例えばポリイミド)などが形成されていてもよい。用いる一対の基板の少なくともどちらか一方には、透明電極を形成しておく必要がある。本発明の低分子極性化合物がその効果を十分に発揮するためには、基板には所定の凹凸構造があると好ましく、その構造パターンに沿って液晶性化合物が配向する。凹凸構造のパターン間隔は1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、5μm程度が特に好ましい。
【0138】
基板上の凹凸構造は電極によって形成されていてもよく、使用する電極はITOなどの透明電極が好ましい。
【0139】
本発明の低分子極性化合物により液晶性化合物が配向する原理は、本発明は特にこれに限定されるわけではないが、液晶組成物を液晶セルに注入した際に低分子極性化合物が有する極性基により基板表面に低分子極性化合物が偏在し、液晶性化合物に作用する基板側の表面張力を操作することによるものと考えられる。
【0140】
6.2 液晶表示素子中の液晶媒体の配向状態
本発明での液晶表示素子中の液晶媒体は、ホモジニアス配向している。ホモジニアス配向している状態とは、液晶媒体が基板面と平行に配向することに加えて、基板面と平行な面内においても液晶媒体が配向している状態である。面内配向の向きは、以下に限定されるわけではないが、電極等によって形成される凹凸構造に沿って配向する。
図1には、低分子極性化合物101が透明基板102及び透明電極103と相互作用することによりその近傍に偏在し、液晶性化合物104が透明電極103の凹凸に沿ってホモジニアス配向した状態の素子100を示す。
【実施例】
【0141】
実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によっては制限されない。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。化合物および組成物の物性値は、下記に記載した方法により測定した。
【0142】
NMR分析
測定装置は、DRX−500(ブルカーバイオスピン(株)社製)を用いた。
1H−NMRの測定では、試料をCDCl
3などの重水素化溶媒に溶解させ、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で行った。テトラメチルシランを内部標準として用いた。
19F−NMRの測定では、CFCl
3を内部標準として用い、積算回数24回で行った。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
【0143】
測定試料
相構造および転移温度を測定するときには、化合物そのものを試料として用いた。ネマチック相の上限温度、粘度、光学的異方性、誘電率異方性などの物性を測定するときには、化合物を母液晶に混合して調製した組成物を試料として用いた。
【0144】
測定方法
物性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology Industries Association;以下、JEITAと略す)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
【0145】
(1)相構造
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に試料を置き、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
【0146】
(2)転移温度(℃)
パーキンエルマー社製走査熱量計DSC−7システム、またはDiamond DSCシステムを用いて、3℃/分速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿により求め、転移温度を決定した。化合物が固体からスメクチック相、ネマチック相などの液晶相に転移する温度を「液晶相の下限温度」と略すことがある。化合物が液晶相から液体に転移する温度を「透明点」と略すことがある。
【0147】
結晶はCと表した。結晶の種類の区別がつく場合は、それぞれC
1またはC
2と表した。スメクチック相はS、ネマチック相はNと表した。スメクチック相の中で、スメクチックA相、スメクチックB相、スメクチックC相、またはスメクチックF相の区別がつく場合は、それぞれS
A、S
B、S
C、またはS
Fと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。転移温度は、例えば、「C 50.0 N 100.0 I」のように表記した。これは、結晶からネマチック相への転移温度が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度が100.0℃であることを示す。
【0148】
(3)低温相溶性
化合物の割合が、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%、および1重量%となるように母液晶と化合物とを混合した試料を調製し、試料をガラス瓶に入れた。このガラス瓶を、−10℃または−20℃のフリーザー中に一定期間保管したあと、結晶(または、スメクチック相)が析出しているかどうか観察をした。
【0149】
(4)ネマチック相の上限温度(T
NIまたはNI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。試料が化合物と母液晶との混合物であるときは、T
NIの記号で示した。試料が化合物と成分Bなどとの混合物であるときは、NIの記号で示した。
【0150】
(5)ネマチック相の下限温度(T
C;℃)
ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、T
Cを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0151】
(6)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s)
E型回転粘度計を用いて測定した。
【0152】
(7)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s)
測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
【0153】
(8)光学的異方性(屈折率異方性;25℃で測定;Δn)
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学的異方性(Δn)の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0154】
(9)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0155】
(10)弾性定数(K;25℃で測定;pN)
測定には横河・ヒューレットパッカード株式会社製のHP4284A型LCRメータを用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである水平配向素子に試料を入れた。この素子に0Vから20Vの電荷を印加し、静電容量(C)と印加電圧(V)を測定した。これらの測定値を「液晶デバイスハンドブックク」(日刊工業新聞社)、75頁にある等式(2.98)、等式(2.101)を用いてフィッティングし、等式(2.99)からK11およびK33の値を得た。次に171頁にある等式(3.18)に、先ほど求めたK11およびK33の値を用いてK22を算出した。弾性定数Kは、このようにして求めたK11、K22、およびK33の平均値で表した。
【0156】
(11)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が0.45/Δn(μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧で表した。
【0157】
(12)電圧保持率(VHR−1;25℃で測定;%)
測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
【0158】
(13)電圧保持率(VHR−2;80℃で測定;%)
測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
【0159】
(14)応答時間(τ;25℃で測定;ms)
測定には浜松フォト二クス株式会社製のR374型ヘッドオン型光電子倍増管を用いた。光源はニコンGIFフィルターを設置したLEDランプである。この素子に矩形波(240Hz)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。電圧を印加した際の駆動時間(τ
on;ミリ秒)は、透過率が10%から90%に変化するのに要した時間である。電圧を切った際の駆動時間(τ
off;ミリ秒)は透過率90%から10%に変化するのに要した時間である。
【0160】
原料:ソルミックスA−11(登録商標)は、エタノール(85.5重量%)、メタノール(13.4重量%)とイソプロパノール(1.1重量%)の混合物であり、日本アルコール販売(株)から入手した。
【0161】
<低分子極性化合物(2−1−1)の合成例>
【化62】
【0162】
低分子極性化合物(2−1−1)は東京化成工業株式会社より入手した。
【0163】
<低分子極性化合物(2−2−1)の合成例>
【化63】
【0164】
低分子極性化合物(2−2−1)は東京化成工業株式会社より入手した。
【0165】
<低分子極性化合物(3−1−1)の合成例>
【化64】
【0166】
低分子極性化合物(3−1−1)は東京化成工業株式会社より入手した。
【0167】
<低分子極性化合物(3−1−2)の合成例>
【化65】
【0168】
第1工程
パラホルムアルデヒド(12g)および2−メチル2−メトキシプロパン(t−BuOMe、31g)を反応器にとり、系内を40℃程度に維持しながら、水(6g)、NaOH(8g)およびノナナール(10.5g)の水溶液を滴下した。その後、水(2g)およびNaOH(2g)の水溶液を添加し、1時間還流した。系内をギ酸で中和し、それを水に注いでトルエンで抽出した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:酢酸エチル)を通して精製することで、中間化合物(T−1)(10g)を得た。
【0169】
第2工程
中間化合物(T−1)(3.5g)、トリエチルアミン(6.1g)およびジクロロメタン(30ml)を反応器に入れ、0℃まで冷却した。そこにアクリル酸クロライド(6.2g)のジクロロメタン溶液(10ml)を滴下し、室温まで昇温しながら1時間撹拌した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層をジクロロメタンで抽出した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=20/1(容量比))を通して精製することで、油状の低分子極性化合物(3−1−2)(5g)を得た。
【0170】
【化66】
【0171】
得られた低分子極性化合物(3−1−2)のNMR分析値は以下のとおりである。
1H−NMR:化学シフトδ(ppm;CDCl
3):6.40(d,3H)、6.11(dd,3H)、5.86(d,3H)、4.67(s,6H)、1.52−1.19(m,12H)0.87(t,3H).
【0172】
<低分子極性化合物(4−11−1)の合成例>
【化67】
【0173】
後述する化合物(A)(3.00g)、ジエチルアミン(1.30g)、およびシクロヘキサン(100ml)を反応器に入れ、75℃で12時間撹拌した。不溶物を濾別した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=1/1(容量比))を通して精製することで、低分子極性化合物(4−11−1)(0.52g、収率15%)を得た。
【0174】
【化68】
【0175】
得られた低分子極性化合物(4−11−1)のNMR分析値は以下のとおりである。
1H−NMR:化学シフトδ(ppm;CDCl
3):6.18(s,1H)、5.74(s,1H)、4.74−4.67(m,1H)、3.23(s,2H)、2.50(q,J=7.1Hz,4H)、2.03−2.01(m,2H)、1.78−1.68(m,6H)、1.37−0.80(m,28H).
【0176】
低分子極性化合物(4−11−1)の物性は以下のとおりであった。
転移温度:C 14.1 S
A 58.9 I.
【0177】
なお、化合物(A)は以下のようにして合成した。
【化69】
【0178】
第1工程
化合物(T−1)(25.0g)、アクリル酸(7.14g)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP、1.21g)、およびジクロロメタン(300ml)を反応器に入れ、0℃に冷却した。そこへN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、24.5g)のジクロロメタン(125ml)溶液をゆっくりと滴下し、室温に戻しつつ12時間攪拌した。不溶物を濾別した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層をジクロロメタンで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:ヘプタン/トルエン=2/1(容量比))を通して精製した。さらにソルミックス(登録商標)A−11からの再結晶により精製することで、中間化合物(T−2)(11.6g、収率38%)を得た。
【0179】
第2工程
パラホルムアルデヒド(2.75g)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO、4.62g)および水(40ml)を反応器に入れ、室温で15分間撹拌した。そこへ中間化合物(T−2)(6.31g)のTHF(90ml)溶液を滴下し、室温で72時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ込み、水層を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=5/1(容量比))で精製した。さらにヘプタンとトルエンとの混合溶媒(1:1(容量比))からの再結晶により精製することで、化合物(A)(1.97g、収率29%)を得た。
【0180】
【化70】
【0181】
得られた化合物(A)のNMR分析値は以下のとおりである。
1H−NMR:化学シフトδ(ppm;CDCl
3):6.23(s,1H)、5.79(d,J=1.2Hz,1H)、4.79−4.70(m,1H)、4.32(d,J=6.7Hz,2H)、2.29(t,J=6.7Hz,1H)、2.07−2.00(m,2H)、1.83−1.67(m,6H)、1.42−1.18(m,8H)、1.18−0.91(m,9H)、0.91−0.79(m,5H).
【0182】
化合物(A)の物性は以下のとおりであった。
転移温度:C 40.8 S
A 109 I.
【0183】
<低分子極性化合物(4−21−1)の合成例>
【化71】
【0184】
第1工程
化合物(T−64)(10.0g)およびTHF(200ml)を反応器に入れ、0℃まで冷却した。メチルマグネシウムブロミド(MeMgBr、1.00M、THF溶液、48ml)をゆっくりと加え、室温に戻しつつ6時間撹拌した。不溶物を濾別した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1(容量比))を通して精製することで、中間化合物(T−65)(4.58g、収率43%)を得た。
【0185】
第2工程
中間化合物(T−65)(4.58g)、トリエチルアミン(2.87ml)およびTHF(200ml)を反応器に入れ、0℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(1.68ml)をゆっくりと加え、室温に戻しつつ5時間撹拌した。不溶物を濾別した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/ヘプタン=3/2(容量比))を通して精製することで、中間化合物(T−66)(3.20g、収率58%)を得た。
【0186】
第3工程
中間化合物(T−66)(3.20g)を原料として用い、化合物(A)の合成方法における第2工程と同様の手法により、低分子極性化合物(4−21−1)(1.12g、収率32%)を得た。
【0187】
【化72】
【0188】
得られた低分子極性化合物(4−21−1)のNMR分析値は以下のとおりである。
1H−NMR:化学シフトδ(ppm;CDCl
3):6.15(s,1H)、5.73(d,J=1.2Hz,1H)、4.28(d,J=6.6Hz,2H)、2.34−2.32(m,1H)、2.13−2.11(m,2H)、1.76−1.67(m,8H)、1.54(s,3H)、1.32−1.03(m,13H)、0.97−0.80(m,7H).
【0189】
低分子極性化合物(4−21−1)の物性は以下のとおりであった。
転移温度:C 66.5 S
A 81.1 I.
【0190】
<低分子極性化合物(4−22−1)の合成例>
【化73】
【0191】
第1工程
化合物(T−49)(15.0g)およびトリフェニルホスフィン(PPh
3、24.8g)を反応器に入れて、100℃にて6時間撹拌した。氷冷したヘプタンで濾過洗浄し、中間化合物(T−50)(16.4g、収率52%)を得た。
【0192】
第2工程
化合物(T−51)(10.0g)およびTHF(200ml)を反応器に入れ、−70℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(1.63M、ヘキサン溶液、25ml)をゆっくりと加え、1時間撹拌した。DMF(4.0ml)をゆっくり加え、室温に戻しつつ12時間撹拌した。不溶物を濾別した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1(容量比))を通して精製することで、中間化合物(T−52)(6.37g、収率77%)を得た。
【0193】
第3工程
中間化合物(T−50)(14.3g)およびTHF(200ml)を反応器に入れ、−30まで冷却した。そこへカリウムt−ブトキシド(3.21g)をゆっくりと加え、−30℃で1時間撹拌した。中間化合物(T−52)(6.37g)のTHF(100ml)溶液をゆっくりと加え、室温に戻しつつ4時間撹拌した。不溶物を濾別した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン)を通して精製することで、中間化合物(T−53)(7.50g、収率85%)を得た。
【0194】
第4工程
中間化合物(T−53)(7.50g)、Pd/C(0.11g)、IPA(200ml)およびトルエン(200ml)を反応器に入れて、室温にて水素雰囲気下で12時間撹拌した。不溶物を濾別した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン)を通して精製することで、中間化合物(T−54)(7.21g、収率95%)を得た。
【0195】
第5工程
中間化合物(T−54)(7.21g)、ギ酸(9.70g)およびトルエン(200ml)を反応器に入れて、100℃にて4時間撹拌した。不溶物を濾別した後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、水層をトルエンで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン)を通して精製することで、中間化合物(T−55)(5.65g、収率90%)を得た。
【0196】
第6工程
水素化アルミニウムリチウム(LAH、0.43g)およびTHF(100ml)を反応器に入れて氷冷した。中間化合物(T−55)(5.65g)のTHF(100ml)溶液をゆっくりと加え、室温に戻しつつ2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ込み、水層を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1(容量比))を通して精製した。さらにヘプタンからの再結晶により精製することで、中間化合物(T−56)(4.83g、収率85%)を得た。
【0197】
第7工程
中間化合物(T−56)(4.83g)、化合物(T−18)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)およびジクロロメタンを反応器に入れ、0℃に冷却した。そこへN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のジクロロメタン溶液をゆっくりと滴下し、室温に戻しつつ12時間攪拌した。不溶物を濾別した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層をジクロロメタンで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:ヘプタン/トルエン=1/1(容量比))を通して精製することで、中間化合物(T−57)(8.41g、収率84%)を得た。なお、合成スキーム中の「OTBDPS」はt−ブチルジフェニルシリルオキシ基である。
【0198】
第8工程
中間化合物(T−57)(8.41g)およびTHFを反応器に入れて、0℃に冷却した。そこへテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF、1.00M、THF溶液)をゆっくりと加え、室温に戻しつつ1時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ込み、水層を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1(容量比))を通して精製した。さらにヘプタンからの再結晶により精製することで、低分子極性化合物(4−22−1)(3.22g、収率62%)を得た。
【0199】
【化74】
【0200】
得られた低分子極性化合物(4−22−1)のNMR分析値は以下のとおりである。
1H−NMR:化学シフトδ(ppm;CDCl
3):7.13(d,J=8.2Hz,2H)、7.10(d,J=8.2Hz,2H)、6.26(s,1H)、5.82(d,J=1.1Hz,1H)、4.92−4.87(m,1H)、4.34(d,J=6.7Hz,2H)、2.60(t,J=7.3Hz,2H)、2.54−2.49(m,1H)、2.31(t,J=6.5Hz,1H)、2.15−2.04(m,4H)、1.98−1.96(m,2H)、1.66−1.52(m,8H).
【0201】
低分子極性化合物(4−22−1)の物性は以下のとおりであった。
転移温度:C 62.0 I.
【0202】
上述した合成例に記載された合成方法に準じて、以下に示す化合物(2−1−1)〜(2−1−4)、化合物(2−2−1)〜(2−2−7)および化合物(3−1−1)〜(3−1−11)を合成することができる。
【0203】
【化75】
【0204】
<液晶組成物(i)の調製>
液晶組成物(i)を以下の成分割合で混合することにより調製した。
・3HHV 23重量%
・1BHHV 5重量%
・1BB(F)B2V 6重量%
・3BB(F)B2V 5重量%
・3BB(F,F)XB(F,F)−F 12重量%
・3HHXB(F,F)−F 24重量%
・3HBB(F,F)−F 11重量%
・4BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F 7重量%
・5BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F 7重量%
【0205】
【化76】
【0206】
<実施例1>
低分子極性化合物(3−1−2)が3重量%となるように液晶組成物(i)に溶解させ、本発明の液晶組成物(1)を得た。
NI=80.6℃;η=18.0mPa・s;Δn=0.123;Δε=10.3.
【0207】
得られた液晶組成物(1)をセル(上面:ベアガラス、下面:ITOパターニングガラス、セルギャップ5μm、電極間距離5μmかつ電極幅5μmの櫛歯状電極)に毛管力で注入した。なお、セルのガラス基板は配向処理を施していない。このセルをクロスニコルにした2枚の偏光板に挟み、セルを回転させながら目視および偏光顕微鏡で観察した。その結果、45度周期で明暗を繰り返すことからホモジニアス配向であることを確認した。
【0208】
このセルをノーマリーブラックになるように偏光板で挟んで素子を作製し、0Vから11Vまで電圧(60Hz、矩形波)をかけた。この際に素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量の変化を測定して、電圧−透過率曲線(
図2)を得た。
【0209】
<実施例2〜8>
低分子極性化合物(3−1−2)を他の低分子極性化合物に変更した以外は実施例1に準じて、本発明の液晶組成物(2)〜(8)を調製した。各液晶組成物について、実施例1と同様に偏光顕微鏡で観察した結果、ホモジニアス配向であることを確認した。また、作製した素子から電圧と透過率を測定して透過光量が大きく変化することを確認した。
【0210】
実施例4において液晶組成物(4)から作製したセルに6mW/cm
2の紫外線を15分間照射しセル内の低分子極性化合物(3−1−1)を重合させポリマーとした。紫外線の照射には、ウシオ電機株式会社製のUV−ランプ250BYを用いた。このセルを用いて実施例1と同様にして電圧−透過率曲線(
図3)を得た。さらに6.8Vの電圧をかけ応答時間を測定したところ、τ
on=6.64ms、τ
off=9.82msという値を得た。
【0211】
さらに、実施例1に準じて、本発明の液晶組成物(9)〜(19)を調製した。各液晶組成物について、実施例1と同様に偏光顕微鏡で観察した結果、ホモジニアス配向であることを確認した。また、作製した素子から電圧と透過率を測定して透過光量が大きく変化することを確認した。液晶組成物(9)〜(19)における化合物は、下記の表2の定義に基づいて記号により表した。表2において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の物性値をまとめた。物性は、先に記載した方法にしたがって測定し、測定値を外挿することなくそのまま記載した。
【0212】
【表1】
【0213】
[液晶組成物9]
2−HB−C 7%
3−HB−C 5%
3−HB−O2 12%
2−BTB−1 6%
3−HHB−F 5%
3−HHB−1 7%
3−HHB−O1 7%
3−HHB−3 13%
3−HHEB−F 5%
5−HHEB−F 5%
2−HHB(F)−F 7%
3−HHB(F)−F 7%
5−HHB(F)−F 7%
3−HHB(F,F)−F 7%
上記の組成物に下記の化合物(3−1−2)を3重量%の割合で添加した。
【化77】
NI=105.7℃;η=19.4mPa・s;Δn=0.104;Δε=4.4.
【0214】
[液晶組成物10]
3−HB−CL 15%
3−HB−O2 12%
3−HHB(F,F)−F 6%
3−HBB(F,F)−F 30%
5−HBB(F,F)−F 25%
5−HBB(F)B−2 6%
5−HBB(F)B−3 6%
上記の組成物に下記の化合物(2−1−1)を2重量%の割合で添加した。
【化78】
さらに下記の化合物(RM−1)を0.3重量%の割合で添加した。
【化79】
NI=70.5℃;η=22.3mPa・s;Δn=0.125;Δε=6.1.
【0215】
[液晶組成物11]
7−HB(F,F)−F 5%
3−HB−O2 8%
2−HHB(F)−F 10%
3−HHB(F)−F 10%
5−HHB(F)−F 11%
2−HBB(F)−F 7%
3−HBB(F)−F 8%
5−HBB(F)−F 14%
2−HBB−F 4%
3−HBB−F 4%
5−HBB−F 3%
3−HBB(F,F)−F 8%
5−HBB(F,F)−F 8%
上記の組成物に下記の化合物(2−2−1)を2重量%の割合で添加した。
【化80】
NI=81.9℃;η=23.9mPa・s;Δn=0.111;Δε=5.4.
【0216】
[液晶組成物12]
5−HB−CL 18%
3−HHB−F 10%
3−HHB−CL 5%
4−HHB−CL 4%
3−HHB(F)−F 12%
4−HHB(F)−F 9%
5−HHB(F)−F 9%
7−HHB(F)−F 8%
5−HBB(F)−F 4%
1O1−HBBH−5 3%
3−HHBB(F,F)−F 4%
4−HHBB(F,F)−F 3%
5−HHBB(F,F)−F 4%
3−HH2BB(F,F)−F 4%
4−HH2BB(F,F)−F 3%
上記の組成物に下記の化合物(3−1−1)を3重量%の割合で添加した。
【化81】
NI=125.2℃;η=26.4mPa・s;Δn=0.104;Δε=4.9.
【0217】
[液晶組成物13]
3−HHB(F,F)−F 8%
3−H2HB(F,F)−F 8%
4−H2HB(F,F)−F 8%
5−H2HB(F,F)−F 9%
3−HBB(F,F)−F 17%
5−HBB(F,F)−F 19%
3−H2BB(F,F)−F 12%
5−HHBB(F,F)−F 5%
5−HHEBB−F 2%
3−HH2BB(F,F)−F 4%
1O1−HBBH−4 4%
1O1−HBBH−5 4%
上記の組成物に下記の化合物(4−11−1)を1重量%の割合で添加した。
【化82】
さらに下記の化合物(4−21−1)を2重量%の割合で添加した。
【化83】
NI=102.2℃;η=36.2mPa・s;Δn=0.117;Δε=8.9.
【0218】
[液晶組成物14]
5−HB−F 12%
6−HB−F 9%
7−HB−F 7%
2−HHB−OCF3 9%
3−HHB−OCF3 5%
4−HHB−OCF3 7%
5−HHB−OCF3 7%
3−HH2B−OCF3 5%
5−HH2B−OCF3 4%
3−HHB(F,F)−OCF2H 5%
3−HHB(F,F)−OCF3 3%
3−HH2B(F)−F 3%
3−HBB(F)−F 8%
5−HBB(F)−F 8%
5−HBBH−3 5%
3−HB(F)BH−3 3%
上記の組成物に下記の化合物(4−22−1)を1重量%の割合で添加した。
【化84】
さらに下記の化合物(RM−2)を0.3重量%の割合で添加した。
【化85】
NI=89.3℃;η=14.8mPa・s;Δn=0.092;Δε=4.2.
【0219】
[液晶組成物15]
5−HB−CL 13%
3−HHB−1 7%
3−HHB(F,F)−F 8%
3−HBB(F,F)−F 20%
5−HBB(F,F)−F 16%
3−HHEB(F,F)−F 12%
4−HHEB(F,F)−F 5%
5−HHEB(F,F)−F 4%
2−HBEB(F,F)−F 4%
3−HBEB(F,F)−F 3%
5−HBEB(F,F)−F 3%
3−HHBB(F,F)−F 5%
上記の組成物に下記の化合物(3−1−2)を2重量%の割合で添加した。
【化86】
NI=80.5℃;η=25.0mPa・s;Δn=0.106;Δε=9.2.
【0220】
[液晶組成物16]
3−HB−CL 3%
5−HB−CL 5%
3−HHB−OCF3 6%
3−H2HB−OCF3 5%
5−H4HB−OCF3 15%
V−HHB(F)−F 6%
3−HHB(F)−F 5%
5−HHB(F)−F 6%
3−H4HB(F,F)−CF3 8%
5−H4HB(F,F)−CF3 10%
5−H2HB(F,F)−F 3%
5−H4HB(F,F)−F 7%
2−H2BB(F)−F 5%
3−H2BB(F)−F 10%
3−HBEB(F,F)−F 6%
上記の組成物に下記の化合物(2−1−1)を2重量%の割合で添加した。
【化87】
NI=72.8℃;η=26.1mPa・s;Δn=0.098;Δε=8.5.
【0221】
[液晶組成物17]
5−HB−CL 19%
7−HB(F,F)−F 5%
3−HB−O2 17%
3−HHB−1 12%
3−HHB−O1 8%
2−HHB(F)−F 6%
3−HHB(F)−F 7%
5−HHB(F)−F 7%
3−HHB(F,F)−F 8%
3−H2HB(F,F)−F 6%
4−H2HB(F,F)−F 5%
上記の組成物に下記の化合物(2−2−1)を1重量%の割合で添加した。
【化88】
さらに下記の化合物(3−1−1)を1重量%の割合で添加した。
【化89】
NI=73.0℃;η=17.5mPa・s;Δn=0.081;Δε=3.5.
【0222】
[液晶組成物18]
5−HB−CL 5%
7−HB(F)−F 7%
3−HB−O2 16%
3−HHEB−F 10%
5−HHEB−F 10%
3−HHEB(F,F)−F 12%
4−HHEB(F,F)−F 7%
3−GHB(F,F)−F 6%
4−GHB(F,F)−F 8%
5−GHB(F,F)−F 8%
2−HHB(F,F)−F 5%
3−HHB(F,F)−F 6%
上記の組成物に下記の化合物(4−11−1)を1重量%の割合で添加した。
【化90】
NI=70.4℃;η=26.8mPa・s;Δn=0.074;Δε=7.8.
【0223】
[液晶組成物19]
1V2−BEB(F,F)−C 15%
3−HB−C 20%
2−BTB−1 13%
3−HHB−1 7%
VFF−HHB−1 10%
VFF2−HHB−1 14%
3−H2BTB−2 8%
3−H2BTB−3 7%
3−H2BTB−4 6%
上記の組成物に下記の化合物(4−21−1)を2重量%の割合で添加した。
【化91】
NI=94.1℃;η=23.0mPa・s;Δn=0.168;Δε=13.6.
【0224】
[液晶組成物20]
3−HH−V 36%
3−HH−V1 9%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F 2%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F 10%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F 9%
V2−HHB−1 11%
3−HBBXB(F,F)−F 7%
4−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F 6%
5−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F 5%
3−GB(F,F)XB(F,F)−F 5%
上記の組成物に下記の化合物(2−2−1)を2重量%の割合で添加した。
【化92】
NI=86.7℃;η=13.1mPa・s;Δn=0.108;Δε=11.9.
【0225】
[液晶組成物21]
3−HH−V 23%
3−HH−V1 5%
2−HH−3 7%
3−HB−O2 5%
3−GB(F,F)XB(F,F)−F 4%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F 9%
2−HHB−1 3%
3−HHB−1 6%
2−BB(F)B−3 4%
3−HHB−O1 2%
3−HHBB(F,F)−F 4%
4−HHBB(F,F)−F 3%
4−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F 2%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F 5%
V−HHB−1 14%
V2−HHB−1 4%
上記の組成物に下記の化合物(4−11−1)を1重量%の割合で添加した。
【化93】
NI=91.2℃;Δn=0.099;Δε=4.8.
【0226】
[液晶組成物22]
3−HH−V 35%
3−HH−V1 5%
1V2−HH−3 4%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F 12%
V−HHB−1 14%
V2−HHB−1 10%
2−BB(F)B−3 4%
4−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F 2%
3−HBB(F,F)XB(F,F)−F 5%
3−HBBXB(F,F)−F 9%
上記の組成物に下記の化合物(3−1−2)を3重量%の割合で添加した。
【化94】
NI=90.5℃;η=11.0mPa・s;Δn=0.100;Δε=4.6.
【0227】
<比較例1>
低分子極性化合物を添加しないで液晶組成物(i)自体を比較の液晶組成物(C1)とした。この液晶組成物について、実施例1と同様に偏光顕微鏡で観察したところ、ホモジニアス配向は確認できなかった。
【0228】
以下に、液晶組成物(1)〜(8)について、使用した低分子極性化合物、液晶組成物中の含有量(重量%)を示す。
【表2】