【実施例】
【0038】
以下に実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
〔下記合成例で得られたポリマーの重量平均分子量の測定〕
ポリマーの分子量はGPC装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として重量平均分子量Mwを算出した。
GPC装置:昭和電工(株)製GPCシステム(Shodex〔登録商標〕GPC−101)
カラム:Shodex〔登録商標〕KD−800RH、KD−800RL、KD−803及びKD−805
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー(株)製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw)約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)約12,000、4,000、1,000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、1,000の4種を混合したサンプル、及び150,000、30,000、4,000の3種を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定。
【0039】
[ポリマーの合成]
<合成例1>
2−ヒドロキシエチルアクリレート40.0g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.1gを乳酸エチル80.1gに溶解させた後、この溶液を、乳酸エチル49.2gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、ポリマーの溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは7,300であった。
【0040】
<合成例2>
2−ヒドロキシエチルアクリレート8.0g、メチルアクリレート32.0g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテル78.0gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル48.0gを65℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、ポリマーの溶液(固形分濃度25.0質量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは7,000であった。
【0041】
<合成例3>
2−ヒドロキシエチルメタクリレート40.0g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテル80.0gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル49.0gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、ポリマーの溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは24,200であった。
【0042】
<合成例4>
4−ヒドロキシブチルアクリレート40.0g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.2gをプロピレングリコールモノメチルエーテル80.2gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル49.4gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、ポリマーの溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは5,500であった。
【0043】
<合成例5>
2−ヒドロキシプロピルアクリレート30.2g、ベンジルアクリレート10.0g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.4gをプロピレングリコールモノメチルエーテル80.9gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル49.8gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、ポリマーの溶液(固形分濃度25.0質量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは13,500であった。
【0044】
<合成例6>
スチレン8.0g、グリシジルメタクリレート32.0g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.4gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート78.7gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48.5gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、ポリマーの溶液(固形分濃度25.0質量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは6,500であった。
【0045】
<合成例7>
メチルメタクリレート40.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.7g、メタクリル酸2.4g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.1gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61.2gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55.7gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、ポリマーの溶液(固形分濃度30.0質量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは9,300であった。
【0046】
<合成例8>
スチレン25.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.1g、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BP(昭和電工(株)製))27.4g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.8gをプロピレングリコールモノメチルエーテル65.4gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル32.7gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、ポリマーの溶液(固形分濃度40.0質量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは22,500であった。
【0047】
<合成例9>
2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート(ブレンマー〔登録商標〕GLM(日油(株)製))40.0g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテル80.0gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル49.0gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、ポリマーの溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは19,400であった。
【0048】
[カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物の調製]
<実施例1>
合成例1で得られたポリマーの溶液8.0g及び酸化合物としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル72.0g及び乳酸エチル24.9gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0049】
<実施例2>
合成例1で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.02g及び架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル76.1g及び乳酸エチル26.6gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0050】
<実施例3>
合成例1で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.02g及び架橋剤としてメチル化メラミン樹脂(ニカラック〔登録商標〕MW−390((株)三和ケミカル製))0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル76.1g及び乳酸エチル26.6gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0051】
<実施例4>
合成例2で得られたポリマーの溶液8.0g及び酸化合物としてピリジニウムp−トルエンスルホナート0.02g及び架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル70.1g及び乳酸エチル32.6gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0052】
<実施例5>
合成例3で得られたポリマーの溶液8.0g及び酸化合物としてピリジニウムp−トルエンスルホナート0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル69.5g及び乳酸エチル32.3gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0053】
<実施例6>
合成例3で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてピリジニウムp−トルエンスルホナート0.2g及び界面活性剤としてDFX−18((株)ネオス製)0.01gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル69.8g及び乳酸エチル32.5gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0054】
<実施例7>
合成例3で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてピリジニウムp−トルエンスルホナート0.02g、架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))0.2g及び界面活性剤としてDFX−18((株)ネオス製)0.01gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル70.5g及び乳酸エチル32.8gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0055】
<実施例8>
合成例4で得られたポリマーの溶液8.0g及び酸化合物としてピリジニウムp−トルエンスルホナート0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル69.5g及び乳酸エチル32.3gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0056】
<実施例9>
合成例4で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてピリジニウムp−トルエンスルホナート0.02g及び架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル70.1g及び乳酸エチル32.6gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0057】
<実施例10>
合成例5で得られたポリマーの溶液8.0g及び酸化合物としてピリジニウムp−トルエンスルホナート0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル69.5g及び乳酸エチル32.3gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0058】
<実施例11>
合成例5で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてピリジニウムp−トルエンスルホナート0.02g及び架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル70.1g及び乳酸エチル32.6gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0059】
<実施例12>
合成例1で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.02g及び架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))0.6gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル89.9g及び乳酸エチル32.5gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0060】
<実施例13>
合成例1で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.02g及び架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))0.8gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル96.7g及び乳酸エチル35.5gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0061】
<実施例14>
合成例1で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.02g及び架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))1.0gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル103.6g及び乳酸エチル38.4gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0062】
<実施例15>
合成例9で得られたポリマーの溶液8.0g及び酸化合物としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル69.5g及び乳酸エチル32.3gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0063】
<実施例16>
合成例9で得られたポリマーの溶液8.0g及び酸化合物としてK−PURE〔登録商標〕TAG−2689(King Industries Inc.製)0.1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル66.0g及び乳酸エチル30.9gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0064】
<比較例1>
合成例6で得られたポリマーの溶液7.0g、エポキシ樹脂jER〔登録商標〕828(三菱化学(株)製)0.4g及び酸化合物としてサンエイド〔登録商標〕SI−100L(γ−ブチロラクトン溶液、固形分濃度49質量%)(三新化学工業(株)製)0.08gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート89.1gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0065】
<比較例2>
合成例7で得られたポリマーの溶液7.0g及び架橋剤としてメチル化メラミン樹脂(ニカラック〔登録商標〕MX−706(2−プロパノール溶液、固形分濃度70質量%)((株)三和ケミカル製))0.6gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル33.4g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート73.5gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0066】
<比較例3>
合成例8で得られたポリマーの溶液5.0gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル65.6g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.4gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0067】
<比較例4>
合成例1で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.02g及び架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))1.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル111.8g及び乳酸エチル41.9gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0068】
<比較例5>
合成例1で得られたポリマーの溶液8.0g、酸化合物としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.02g及び架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK〔登録商標〕1174(日本サイテックインダストリーズ(株)製))1.4gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル118.7g及び乳酸エチル44.9gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、カラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0069】
[耐溶剤性試験]
実施例1乃至実施例16及び比較例1乃至比較例5で調製したカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物をそれぞれ、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに200℃で5分間ベークを行い、膜厚0.06μmの膜を形成した。これらの膜に対して、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、シクロヘキサノン、2−プロパノール及び2.38質量%濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHと略称する。)水溶液に、それぞれ23℃の温度条件下、5分間浸漬した後、100℃で1分間乾燥ベークを行った。浸漬前及び乾燥ベーク後の膜厚測定を行い、膜厚変化を算出した。前記浸漬溶剤のうち1つでも、浸漬前の膜厚に対して10%以上の膜厚増減があった場合は“×”、全ての溶剤について膜厚増減が10%未満であった場合は“○”として耐溶剤性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0070】
[透過率測定]
実施例1乃至実施例16及び比較例1乃至比較例5で調製したカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物をそれぞれ、石英基板上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに200℃で5分間ベークを行い、膜厚0.06μmの膜を形成した。これらの膜に対して、紫外線可視分光光度計UV−2550((株)島津製作所製)を用いて、波長400nm〜800nmの範囲で波長を2nmずつ変化させて透過率を測定した。さらにこの膜を260℃で5分間加熱した後、再び波長400nm〜800nmの範囲で波長を2nmずつ変化させて透過率を測定した。260℃で5分間加熱する前及び後での、波長400nm〜800nmの範囲で測定された最低透過率の値を表1に示す。
【0071】
[カラーレジスト残渣]
実施例1乃至実施例16及び比較例1乃至比較例5で調製したカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物をそれぞれ、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに200℃で5分間ベークを行い、膜厚0.06μmの膜を形成した。この膜上に、顔料としてC.I.Pigment Blue 15:6及びC.I.Pigment Violet 23を含む、光ラジカル重合性顔料分散型青色カラーレジスト液を塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間ベークを行い、膜厚0.5μmの青色カラーレジスト膜を形成した。次いで、i線ステッパーNSR−2205i12D(NA=0.63)((株)ニコン製)を用いて、前記青色カラーレジスト膜を、マスクを介して露光し、2.38質量%のTMAH水溶液で60秒間現像し、超純水で20秒間リンス後、乾燥して、100μm×100μmの矩形パターンを形成した。走査型電子顕微鏡S−9260((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、矩形パターン周囲のカラーフィルター下層膜上の青色カラーレジスト残渣の観察を行った。比較例1と比較した際の残渣レベル評価結果を表1に示す。さらに矩形パターン周囲を30,000倍の倍率で撮影した写真を
図1乃至
図21に示す。カラーフィルター下層膜上に観察される青色カラーレジスト残渣が、比較例1よりも“少ない”、“多い”、“同等”の3レベルで、残渣レベルを評価した。
【0072】
【表1】
【0073】
表1の結果から、本発明のカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物から形成された膜は、高耐溶剤性、高透明性であると共に、260℃で加熱した後でも着色しない高耐熱性を有するものであった。また、本発明のカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物から形成された膜上では、カラーレジストの残渣がほとんど観察されず、本発明のカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物から形成された膜はカラーレジストの残渣の発生を抑える効果に優れるものであった。一方、比較例1乃至比較例5で調製したカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物から形成された膜についても、高耐溶剤性、高透明性であると共に、260℃で加熱した後でも着色しない高耐熱性を有するものであった。しかし、比較例1乃至比較例5で調製したカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物から形成された膜上では、本発明のカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物から形成された膜上と比較してカラーレジストの残渣が多く観察された。すなわち、比較例1乃至比較例5で調製したカラーフィルター下層膜形成用樹脂組成物から形成された膜は、カラーレジストの残渣の発生を抑える効果は無い又は不十分なものであった。