特許第6587619号(P6587619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587619
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】カチオン性脂質
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/12 20060101AFI20191001BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20191001BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20191001BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20191001BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20191001BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20191001BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20191001BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20191001BHJP
【FI】
   C07C229/12CSP
   A61K48/00ZNA
   A61K31/7088
   A61K31/713
   A61K31/7105
   A61K47/18
   A61K9/14
   A61P43/00 105
   A61P1/16
   A61P35/00
   A61P7/00
   !C12N15/113 Z
【請求項の数】9
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-540736(P2016-540736)
(86)(22)【出願日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】JP2015072344
(87)【国際公開番号】WO2016021683
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2018年2月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-161718(P2014-161718)
(32)【優先日】2014年8月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】帆足 保孝
【審査官】 佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/102150(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/086322(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/126803(WO,A1)
【文献】 特表2002−510713(JP,A)
【文献】 特開2009−023972(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/086354(WO,A1)
【文献】 Jones. Simon. P, et al.,Hydrophobically Modified Dendrons: Developing Structure-Activity Relationships for DNA Binding and Gene Transfection,Molecular Pharmaceutics,2011年,Vol.8/No.2,p.416-429
【文献】 Boicompare,LipofectaminTM 2000 Transfection Reagent From Invitrogen,Biocompare Product Review,2007年 7月17日,URL,https://www.biocompare.com/Product-Reviews/40611-Lipofectamine-2000-Transfection-Reagent-From-Invitrogen/
【文献】 Reul. R., et al.,Amine-modified hyperbranched polyesters as non-toxic, biodegradable gene delivery systems,Biomaterials,2009年,Vol.30/No.29,p.5815-5824
【文献】 Huang. Zhaohua, et al.,Asymmetric 1-alkyl-2-acyl phosphatidylcholine: A helper lipid for enhancednon-viral gene delivery,International Journal of Pharmaceutics,2012年,Vol.427/No.1,p.64-70
【文献】 Lizarzaburu. Mike. E, et al.,A versatile synthesis of tetraester polyamine lipids for gene transfection,Tetrahedron Letters,1999年,Vol.40/No.51,p.8985-8988
【文献】 Aberle. Alfred. M, et al.,A Novel Tetraester Construct That Reduces Cationic Lipid-Associated Cytotoxicity. Implications for the Onset of Cytotoxicity,Biochemistry,1998年,Vol.37/No.18,p.6533-6540
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
Wは、式−NRまたは式−N(Z)を、
およびRは、それぞれ独立して、C1−4アルキル基または水素原子を、
、RおよびRは、それぞれ独立して、C1−4アルキル基を、
は、陰イオンを、
Xは、置換されていてもよいC1−6アルキレン基を、
、YおよびYは、それぞれ独立して、置換されていてもよいメチン基を、
、LおよびLは、それぞれ独立して、置換されていてもよいメチレン基または結合手を、
A1、RA2、RB1、RB2、RC1およびRC2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC4−10アルキル基を示す。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
、R、R、RおよびRが、メチル基であり;
が、ハロゲン化物イオンであり;
Xが、エチレン基、トリメチレン基またはテトラメチレン基であり;
、YおよびYが、メチン基であり;
、LおよびLが、それぞれ独立して、結合手またはメチレン基であり;
A1、RA2、RB1、RB2、RC1およびRC2が、それぞれ独立して、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
3-((5-(ジメチルアミノ)ペンタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((2-ペンチルヘプタノイル)オキシ)メチル)プロピル 2-ペンチルヘプタノアート、またはその塩。
【請求項4】
3-((5-(ジメチルアミノ)ペンタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロピル 3-ペンチルオクタノアート、またはその塩。
【請求項5】
N,N,N-トリメチル-5-オキソ-5-(3-((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロポキシ)ペンタン-1-アミニウムと陰イオンとの塩。
【請求項6】
請求項1記載の化合物またはその塩を含有してなる脂質粒子。
【請求項7】
活性成分および請求項1記載の化合物またはその塩を含有してなる組成物。
【請求項8】
活性成分が、核酸である、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
核酸が、siRNAまたはmRNAである、請求項8記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分、特に核酸を、多種類の細胞、組織または臓器に導入することを可能にする、カチオン性脂質に関する。さらに本発明は、該カチオン性脂質を含有してなる脂質粒子、あるいは、活性成分および該カチオン性脂質を含有してなる組成物に関する。
【0002】
[発明の背景]
近年、活性成分として核酸を含有する核酸医薬の研究開発が盛んに行われている。例えば、siRNA、miRNA、miRNA mimicまたはアンチセンス核酸などの核酸を含む、標的mRNAの分解作用や機能抑制作用を有する核酸医薬の研究が多数行われている。また、目的タンパク質をコードするmRNA等を含む、目的タンパク質を細胞内で発現させるための核酸医薬の研究も行われている。これらの研究開発に関連して、核酸を高効率で細胞、組織または臓器に導入するための技術が、薬物送達系(DDS)技術として開発されている。
【0003】
上記DDS技術としては、核酸と脂質とを混合し、複合体を形成したあと、上記複合体を介して核酸を細胞に取り込ませる技術が従来から知られている。上記複合体形成に使用される脂質としては、カチオン性脂質、親水性ポリマー脂質、ヘルパー脂質等が従来から知られている。上記カチオン性脂質としては、特許文献1〜5に記載された化合物等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO03/102150号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO2011/153493号パンフレット
【特許文献3】国際公開WO2013/126803号パンフレット
【特許文献4】国際公開WO2012/054365号パンフレット
【特許文献5】国際公開WO2010/054401号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
核酸を高い効率で細胞に導入することを可能とするカチオン性脂質は、薬効発現、安全性(低毒性)などの面で優れた、治療上優れた効果を有する核酸医薬の創出に貢献することが期待される。また、核酸を種々の細胞に導入することを可能とするカチオン性脂質は、種々の組織で生じる各種疾患に対する核酸医薬の創出を可能とすることが期待される。しかしながら、現状では、これらを十分に満足できるものは見出されていない。
本発明の目的は、活性成分、特に核酸を、優れた効率で細胞に導入することを可能にする技術およびこれに用いられるカチオン性脂質等を提供することにある。また、別の観点では、本発明の目的は、活性成分、特に核酸を、種々の細胞に導入することを可能にする技術およびこれに用いられる化合物等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記の式で示される化合物またはその塩を用いることにより上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は少なくとも以下の発明に関する:
【0007】
[1] 式:
【化1】

[式中、
Wは、式−NRまたは式−N(Z)を、
およびRは、それぞれ独立して、C1−4アルキル基または水素原子を、
、RおよびRは、それぞれ独立して、C1−4アルキル基を、
は、陰イオンを、
Xは、置換されていてもよいC1−6アルキレン基を、
、YおよびYは、それぞれ独立して、置換されていてもよいメチン基を、
、LおよびLは、それぞれ独立して、置換されていてもよいメチレン基または結合手を、
A1、RA2、RB1、RB2、RC1およびRC2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC4−10アルキル基を示す。]
で表される化合物またはその塩(本明細書において、「化合物(I)」または「本発明の化合物」と略記する場合がある)。
[2] R、R、R、RおよびRが、メチル基であり;
が、ハロゲン化物イオンであり;
Xが、エチレン基、トリメチレン基またはテトラメチレン基であり;
、YおよびYが、メチン基であり;
、LおよびLが、それぞれ独立して、結合手またはメチレン基であり;
A1、RA2、RB1、RB2、RC1およびRC2が、それぞれ独立して、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である、上記[1]記載の化合物またはその塩。
[3] 3-((5-(ジメチルアミノ)ペンタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((2-ペンチルヘプタノイル)オキシ)メチル)プロピル 2-ペンチルヘプタノアート、またはその塩。
[4] 3-((5-(ジメチルアミノ)ペンタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロピル 3-ペンチルオクタノアート、またはその塩。
[5] N,N,N-トリメチル-5-オキソ-5-(3-((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロポキシ)ペンタン-1-アミニウムと陰イオンとの塩。
[6] 上記[1]ないし[5]のいずれかに記載の化合物またはその塩を含有してなる脂質粒子。
[7] 活性成分および上記[1]ないし[5]のいずれかに記載の化合物またはその塩を含有してなる組成物。
[8] 活性成分が、核酸である、上記[7]記載の組成物。
[9] 核酸が、siRNAまたはmRNAである、上記[8]記載の組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、活性成分、特に核酸を、細胞、組織または臓器に対して優れた効率で導入することが可能となる。また、本発明により、活性成分(特に、核酸)を、多種類の細胞、組織または臓器(例えば、肝臓、癌、脂肪、骨髄、血球系細胞)に導入することが可能となる。本発明により、活性成分(特に、核酸)を多種類の細胞、組織または臓器に導入する医薬または研究用試薬を得ることが可能となる。さらに、本発明により、活性成分を細胞、組織または臓器に導入する場合、該活性成分が有する活性(例えば、薬効)の発現効率が高い。
【0009】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の化合物、これらの製造方法および用途について詳細に説明する。
【0010】
以下、本明細書中で用いられる各置換基の定義について詳述する。特記しない限り各置換基は以下の定義を有する。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、2,2―ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルが挙げられる。
本明細書中、「C2−6アルケニル基」としては、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニルが挙げられる。
本明細書中、「C2−6アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、4−メチル−2−ペンチニルが挙げられる。
本明細書中、「C3−10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC3−10シクロアルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC3−10シクロアルキル基が挙げられる。具体例としては、シクロプロピル、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。
本明細書中、「C3−10シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルが挙げられる。
本明細書中、「C6−14アリール基」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリルが挙げられる。
本明細書中、「C7−16アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、フェニルプロピルが挙げられる。
【0011】
本明細書中、「C1−6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ基が挙げられる。具体例としては、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C3−10シクロアルキルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルチオ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルチオ基が挙げられる。具体例としては、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4−トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキル−カルボニル基」としては、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、3−メチルブタノイル、2−メチルブタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル−カルボニル基が挙げられる。具体例としては、アセチル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイルが挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルコキシ−カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。
本明細書中、「C6−14アリール−カルボニル基」としては、例えば、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイルが挙げられる。
本明細書中、「C7−16アラルキル−カルボニル基」としては、例えば、フェニルアセチル、フェニルプロピオニルが挙げられる。
本明細書中、「5ないし14員芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、ニコチノイル、イソニコチノイル、テノイル、フロイルが挙げられる。
本明細書中、「3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、モルホリニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピロリジニルカルボニルが挙げられる。
【0012】
本明細書中、「モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基」としては、例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、N−エチル−N−メチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「モノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルバモイル基」としては、例えば、ベンジルカルバモイル、フェネチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキルスルホニル基」としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルスルホニル基が挙げられる。具体例としては、メチルスルホニル、ジフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、4,4,4−トリフルオロブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「C6−14アリールスルホニル基」としては、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニルが挙げられる。
【0013】
本明細書中、「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいチオカルバモイル基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいスルファニル(SH)基、置換されていてもよいシリル基が挙げられる。
本明細書中、「炭化水素基」(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」を含む)としては、例えば、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基が挙げられる。
【0014】
本明細書中、「置換されていてもよい炭化水素基」としては、例えば、下記の置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。
[置換基群A]
(1)ハロゲン原子、
(2)ニトロ基、
(3)シアノ基、
(4)オキソ基、
(5)ヒドロキシ基、
(6)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基、
(7)C6−14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフトキシ)、
(8)C7−16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)、
(9)5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、
(10)3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、モルホリニルオキシ、ピペリジニルオキシ)、
(11)C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例、アセトキシ、プロパノイルオキシ)、
(12)C6−14アリール−カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ、1−ナフトイルオキシ、2−ナフトイルオキシ)、
(13)C1−6アルコキシ−カルボニルオキシ基(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ)、
(14)モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ)、
(15)C6−14アリール−カルバモイルオキシ基(例、フェニルカルバモイルオキシ、ナフチルカルバモイルオキシ)、
(16)5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、
(17)3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、モルホリニルカルボニルオキシ、ピペリジニルカルボニルオキシ)、
(18)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ)、
(19)C1−6アルキル基で置換されていてもよいC6−14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、
(20)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルチオ基、
(21)5ないし14員芳香族複素環基 、
(22)3ないし14員非芳香族複素環基 、
(23)ホルミル基、
(24)カルボキシ基、
(25)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、
(26)C6−14アリール−カルボニル基、
(27)5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、
(28)3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、
(29)C1−6アルコキシ−カルボニル基、
(30)C6−14アリールオキシ−カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、1−ナフチルオキシカルボニル、2−ナフチルオキシカルボニル)、
(31)C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、
(32)カルバモイル基、
(33)チオカルバモイル基、
(34)モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基、
(35)C6−14アリール−カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、
(36)5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル、チエニルカルバモイル)、
(37)3ないし14員非芳香族複素環カルバモイル基(例、モルホリニルカルバモイル、ピペリジニルカルバモイル)、
(38)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、
(39)C6−14アリールスルホニル基、
(40)5ないし14員芳香族複素環スルホニル基(例、ピリジルスルホニル、チエニルスルホニル)、
(41)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基、
(42)C6−14アリールスルフィニル基(例、フェニルスルフィニル、1−ナフチルスルフィニル、2−ナフチルスルフィニル)、
(43)5ないし14員芳香族複素環スルフィニル基(例、ピリジルスルフィニル、チエニルスルフィニル)、
(44)アミノ基、
(45)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ)、
(46)モノ−またはジ−C6−14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(47)5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、
(48)C7−16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ)、
(49)ホルミルアミノ基、
(50)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロパノイルアミノ、ブタノイルアミノ)、
(51)(C1−6アルキル)(C1−6アルキル−カルボニル)アミノ基(例、N−アセチル−N−メチルアミノ)、
(52)C6−14アリール−カルボニルアミノ基(例、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ)、
(53)C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ)、
(54)C7−16アラルキルオキシ−カルボニルアミノ基(例、ベンジルオキシカルボニルアミノ)、
(55)C1−6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、
(56)C1−6アルキル基で置換されていてもよいC6−14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ)、
(57)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基、
(58)C2−6アルケニル基、
(59)C2−6アルキニル基、
(60)C3−10シクロアルキル基、
(61)C3−10シクロアルケニル基、及び
(62)C6−14アリール基。
【0015】
「置換されていてもよい炭化水素基」における上記置換基の数は、例えば、1ないし5個、好ましくは1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書中、「複素環基」(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、(i)芳香族複素環基、(ii)非芳香族複素環基および(iii)7ないし10員複素架橋環基が挙げられる。
【0016】
本明細書中、「芳香族複素環基」(「5ないし14員芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環基が挙げられる。
該「芳香族複素環基」の好適な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルなどの5ないし6員単環式芳香族複素環基;
ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、ナフト[2,3−b]チエニル、フェノキサチイニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環基が挙げられる。
【0017】
本明細書中、「非芳香族複素環基」(「3ないし14員非芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環基が挙げられる。
該「非芳香族複素環基」の好適な例としては、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、アゾカニル、ジアゾカニルなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、ジヒドロナフト[2,3−b]チエニル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、4H−キノリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジニル、テトラヒドロベンゾアゼピニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロフェナントリジニル、ヘキサヒドロフェノチアジニル、ヘキサヒドロフェノキサジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロナフチリジニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロシンノリニル、テトラヒドロカルバゾリル、テトラヒドロ−β−カルボリニル、テトラヒドロアクリジニル、テトラヒドロフェナジニル、テトラヒドロチオキサンテニル、オクタヒドロイソキノリルなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基が挙げられる。
【0018】
本明細書中、「7ないし10員複素架橋環基」の好適な例としては、キヌクリジニル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられる。
本明細書中、「含窒素複素環基」としては、「複素環基」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよい複素環基」としては、例えば、前記した置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。
「置換されていてもよい複素環基」における置換基の数は、例えば、1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0019】
本明細書中、「アシル基」としては、例えば、「ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、5ないし14員芳香族複素環基および3ないし14員非芳香族複素環基から選ばれる1または2個の置換基」をそれぞれ有していてもよい、ホルミル基、カルボキシ基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、ホスホノ基が挙げられる。
また、「アシル基」としては、炭化水素−スルホニル基、複素環−スルホニル基、炭化水素−スルフィニル基、複素環−スルフィニル基も挙げられる。
ここで、炭化水素−スルホニル基とは、炭化水素基が結合したスルホニル基を、複素環−スルホニル基とは、複素環基が結合したスルホニル基を、炭化水素−スルフィニル基とは、炭化水素基が結合したスルフィニル基を、複素環−スルフィニル基とは、複素環基が結合したスルフィニル基を、それぞれ意味する。
「アシル基」の好適な例としては、ホルミル基、カルボキシ基、C1−6アルキル−カルボニル基、C2−6アルケニル−カルボニル基(例、クロトノイル)、C3−10シクロアルキル−カルボニル基(例、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル)、C3−10シクロアルケニル−カルボニル基(例、2−シクロヘキセンカルボニル)、C6−14アリール−カルボニル基、C7−16アラルキル−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基、モノ−またはジ−C2−6アルケニル−カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ−またはジ−C3−10シクロアルキル−カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル)、モノ−またはジ−C6−14アリール−カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルバモイル基、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)、チオカルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、N−エチル−N−メチルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C2−6アルケニル−チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C3−10シクロアルキル−チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C6−14アリール−チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C7−16アラルキル−チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)、スルフィノ基、C1−6アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル)、スルホ基、C1−6アルキルスルホニル基、C6−14アリールスルホニル基、ホスホノ基、モノ−またはジ−C1−6アルキルホスホノ基(例、ジメチルホスホノ、ジエチルホスホノ、ジイソプロピルホスホノ、ジブチルホスホノ)が挙げられる。
【0020】
本明細書中、「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−14アリール−カルボニル基、C7−16アラルキル−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基、モノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル基およびC6−14アリールスルホニル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいアミノ基が挙げられる。
置換されていてもよいアミノ基の好適な例としては、アミノ基、モノ−またはジ−(ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル)アミノ基(例、メチルアミノ、トリフルオロメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミノ)、モノ−またはジ−C2−6アルケニルアミノ基(例、ジアリルアミノ)、モノ−またはジ−C3−10シクロアルキルアミノ基(例、シクロプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、モノ−またはジ−C6−14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、モノ−またはジ−C7−16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ)、モノ−またはジ−(ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル)−カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ)、モノ−またはジ−C6−14アリール−カルボニルアミノ基(例、ベンゾイルアミノ)、モノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルボニルアミノ基(例、ベンジルカルボニルアミノ)、モノ−またはジ−5ないし14員芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ニコチノイルアミノ、イソニコチノイルアミノ)、モノ−またはジ−3ないし14員非芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ピペリジニルカルボニルアミノ)、モノ−またはジ−C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基(例、tert−ブトキシカルボニルアミノ)、5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、カルバモイルアミノ基、(モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル)アミノ基(例、メチルカルバモイルアミノ)、(モノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルバモイル)アミノ基(例、ベンジルカルバモイルアミノ)、C1−6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、C6−14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ)、(C1−6アルキル)(C1−6アルキル−カルボニル)アミノ基(例、N−アセチル−N−メチルアミノ)、(C1−6アルキル)(C6−14アリール−カルボニル)アミノ基(例、N−ベンゾイル−N−メチルアミノ)が挙げられる。
【0021】
本明細書中、「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−14アリール−カルボニル基、C7−16アラルキル−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基およびモノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいカルバモイル基の好適な例としては、カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基、モノ−またはジ−C2−6アルケニル−カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ−またはジ−C3−10シクロアルキル−カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル)、モノ−またはジ−C6−14アリール−カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルボニル−カルバモイル基(例、アセチルカルバモイル、プロピオニルカルバモイル)、モノ−またはジ−C6−14アリール−カルボニル−カルバモイル基(例、ベンゾイルカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)が挙げられる。
【0022】
本明細書中、「置換されていてもよいチオカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−14アリール−カルボニル基、C7−16アラルキル−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基およびモノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいチオカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいチオカルバモイル基の好適な例としては、チオカルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、エチルチオカルバモイル、ジメチルチオカルバモイル、ジエチルチオカルバモイル、N−エチル−N−メチルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C2−6アルケニル−チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C3−10シクロアルキル−チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C6−14アリール−チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C7−16アラルキル−チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルボニル−チオカルバモイル基(例、アセチルチオカルバモイル、プロピオニルチオカルバモイル)、モノ−またはジ−C6−14アリール−カルボニル−チオカルバモイル基(例、ベンゾイルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)が挙げられる。
【0023】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−14アリール−カルボニル基、C7−16アラルキル−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基およびモノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいスルファモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファモイル基の好適な例としては、スルファモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−スルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、N−エチル−N−メチルスルファモイル)、モノ−またはジ−C2−6アルケニル−スルファモイル基(例、ジアリルスルファモイル)、モノ−またはジ−C3−10シクロアルキル−スルファモイル基(例、シクロプロピルスルファモイル、シクロヘキシルスルファモイル)、モノ−またはジ−C6−14アリール−スルファモイル基(例、フェニルスルファモイル)、モノ−またはジ−C7−16アラルキル−スルファモイル基(例、ベンジルスルファモイル、フェネチルスルファモイル)、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルボニル−スルファモイル基(例、アセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル)、モノ−またはジ−C6−14アリール−カルボニル−スルファモイル基(例、ベンゾイルスルファモイル)、5ないし14員芳香族複素環スルファモイル基(例、ピリジルスルファモイル)が挙げられる。
【0024】
本明細書中、「置換されていてもよいヒドロキシ基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−14アリール−カルボニル基、C7−16アラルキル−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基、モノ−またはジ−C7−16アラルキル−カルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル基およびC6−14アリールスルホニル基から選ばれる置換基」を有していてもよいヒドロキシ基が挙げられる。
置換されていてもよいヒドロキシ基の好適な例としては、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニルオキシ基(例、アリルオキシ、2−ブテニルオキシ、2−ペンテニルオキシ、3−ヘキセニルオキシ)、C3−10シクロアルキルオキシ基(例、シクロヘキシルオキシ)、C6−14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフチルオキシ)、C7−16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ)、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ)、C6−14アリール−カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ)、C7−16アラルキル−カルボニルオキシ基(例、ベンジルカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ピペリジニルカルボニルオキシ)、C1−6アルコキシ−カルボニルオキシ基(例、tert−ブトキシカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、カルバモイルオキシ基、C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ)、C7−16アラルキル−カルバモイルオキシ基(例、ベンジルカルバモイルオキシ)、C1−6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ)、C6−14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0025】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファニル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−14アリール−カルボニル基および5ないし14員芳香族複素環基から選ばれる置換基」を有していてもよいスルファニル基、ハロゲン化されたスルファニル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファニル基の好適な例としては、スルファニル(−SH)基、C1−6アルキルチオ基、C2−6アルケニルチオ基(例、アリルチオ、2−ブテニルチオ、2−ペンテニルチオ、3−ヘキセニルチオ)、C3−10シクロアルキルチオ基(例、シクロヘキシルチオ)、C6−14アリールチオ基(例、フェニルチオ、ナフチルチオ)、C7−16アラルキルチオ基(例、ベンジルチオ、フェネチルチオ)、C1−6アルキル−カルボニルチオ基(例、アセチルチオ、プロピオニルチオ、ブチリルチオ、イソブチリルチオ、ピバロイルチオ)、C6−14アリール−カルボニルチオ基(例、ベンゾイルチオ)、5ないし14員芳香族複素環チオ基(例、ピリジルチオ)、ハロゲン化チオ基(例、ペンタフルオロチオ)が挙げられる。
【0026】
本明細書中、「置換されていてもよいシリル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C6−14アリール基およびC7−16アラルキル基から選ばれる1ないし3個の置換基」を有していてもよいシリル基が挙げられる。
置換されていてもよいシリル基の好適な例としては、トリ−C1−6アルキルシリル基(例、トリメチルシリル、tert-ブチル(ジメチル)シリル)が挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキレン基」としては、例えば、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH(C)−、−CH(C)−、−CH(CH(CH)−、−(CH(CH))−、−CH−CH(CH)−、−CH(CH)−CH−、−CH−CH−C(CH−、−C(CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(CH−、−C(CH−CH−CH−CH−が挙げられる。
本明細書中、「C2−6アルケニレン基」としては、例えば、−CH=CH−、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−C(CH−CH=CH−、−CH=CH−C(CH−、−CH−CH=CH−CH−、−CH−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH=CH−が挙げられる。
本明細書中、「C2−6アルキニレン基」としては、例えば、−C≡C−、−CH−C≡C−、−C≡C−CH−、−C(CH−C≡C−、−C≡C−C(CH−、−CH−C≡C−CH−、−CH−CH−C≡C−、−C≡C−CH−CH−、−C≡C−C≡C−、−C≡C−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C≡C−が挙げられる。
【0027】
本明細書中、「炭化水素環」としては、例えば、C6−14芳香族炭化水素環、C3−10シクロアルカン、C3−10シクロアルケンが挙げられる。
本明細書中、「C6−14芳香族炭化水素環」としては、例えば、ベンゼン、ナフタレンが挙げられる。
本明細書中、「C3−10シクロアルカン」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンが挙げられる。
本明細書中、「C3−10シクロアルケン」としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンが挙げられる。
本明細書中、「複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、芳香族複素環および非芳香族複素環が挙げられる。
【0028】
本明細書中、「芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環が挙げられる。該「芳香族複素環」の好適な例としては、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジンなどの5ないし6員単環式芳香族複素環;
ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、チエノピリジン、フロピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、チエノピリミジン、フロピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、オキサゾロピリミジン、チアゾロピリミジン、ピラゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、ナフト[2,3−b]チオフェン、フェノキサチイン、インド−ル、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジンなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環が挙げられる。
【0029】
本明細書中、「非芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環が挙げられる。該「非芳香族複素環」の好適な例としては、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、テトラヒドロイソチアゾール、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロピリミジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、アゼパニン、ジアゼパン、アゼピン、アゾカン、ジアゾカン、オキセパンなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環;
ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒドロナフト[2,3−b]チオフェン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、4H−キノリジン、インドリン、イソインドリン、テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン、テトラヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロキノキサリン、テトラヒドロフェナントリジン、ヘキサヒドロフェノチアジン、ヘキサヒドロフェノキサジン、テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロナフチリジン、テトラヒドロキナゾリン、テトラヒドロシンノリン、テトラヒドロカルバゾール、テトラヒドロ−β−カルボリン、テトラヒドロアクリジン、テトラヒドロフェナジン、テトラヒドロチオキサンテン、オクタヒドロイソキノリンなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環が挙げられる。
本明細書中、「含窒素複素環」としては、「複素環」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
【0030】
本明細書中、「C1−4アルキル基」としては、例えば、前記C1−6アルキル基で例示されたもののうち炭素原子数が1ないし4個のものが挙げられる。
本明細書中、「C4−10アルキル基」としては、例えば、前記C1−6アルキル基で例示されたもののうち炭素原子数が4個以上のもの、および、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルが挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキレン基」としては、例えば、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH(C)−、−CH(C)−、−CH(CH(CH)−、−(CH(CH))−、−CH−CH(CH)−、−CH(CH)−CH−、−CH−CH−C(CH−、−C(CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(CH−、−C(CH−CH−CH−CH−が挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよいC4−10アルキル基」としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよいC4−10アルキル基が挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよいC1−6アルキレン基」としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよいC1−6アルキレン基が挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよいメチン基」としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよいメチン基が挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよいメチレン基」としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよいメチレン基が挙げられる。
【0031】
前記一般式で示される化合物におけるR、R、R、R、R、Z、X、Y、Y、Y、L、L、L、RA1、RA2、RB1、RB2、RC1およびRC2の好ましい例を以下に示す。
は、好ましくは、C1−4アルキル基であり、より好ましくは、メチル基である。
は、好ましくは、C1−4アルキル基であり、より好ましくは、メチル基である。
は、好ましくは、メチル基である。
は、好ましくは、メチル基である。
は、好ましくは、メチル基である。
としては、薬理学的に許容される陰イオンが好ましく、その好適な例としては、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオン);硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンからなる群から選ばれる無機酸の陰イオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フタル酸イオン、フマル酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、マレイン酸イオン、クエン酸イオン、コハク酸イオン、リンゴ酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンからなる群から選ばれる有機酸の陰イオン;またはアスパラギン酸イオンおよびグルタミン酸イオンからなる群から選ばれる酸性アミノ酸の陰イオンが挙げられる。Zは、さらにより好ましくは、ハロゲン化物イオン(特に、ヨウ化物イオン)である。
Xは、好ましくは、C1−6アルキレン基であり、より好ましくは、エチレン基、トリメチレン基またはテトラメチレン基である。
は、好ましくは、メチン基である。
は、好ましくは、メチン基である。
は、好ましくは、メチン基である。
は、好ましくは、結合手またはメチレン基である。
は、好ましくは、結合手またはメチレン基である。
は、好ましくは、結合手またはメチレン基である。
A1は、好ましくは、C4−10アルキル基であり、より好ましくは、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である。
A2は、好ましくは、C4−10アルキル基であり、より好ましくは、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である。
B1は、好ましくは、C4−10アルキル基であり、より好ましくは、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である。
B2は、好ましくは、C4−10アルキル基であり、より好ましくは、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である。
C1は、好ましくは、C4−10アルキル基であり、より好ましくは、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である。
C2は、好ましくは、C4−10アルキル基であり、より好ましくは、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である。
【0032】
化合物(I)の好適な具体例としては、以下が挙げられる:
化合物(A):
、R、R、RおよびRが、メチル基であり;
が、ハロゲン化物イオン(特に、ヨウ化物イオン)であり;
Xが、エチレン基、トリメチレン基またはテトラメチレン基であり;
、YおよびYが、メチン基であり;
、LおよびLが、それぞれ独立して、結合手またはメチレン基であり;
A1、RA2、RB1、RB2、RC1およびRC2が、それぞれ独立して、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である、化合物(I)。
【0033】
化合物(B):
Wが、式−NRである化合物(A)。
【0034】
化合物(C):
Wが、式−N(Z)であり;
Z−が、ヨウ化物イオンであり;
Xが、テトラメチレン基であり;
A1、RA2、RB1、RB2、RC1およびRC2が、ペンチル基である、化合物(A)。
【0035】
化合物(I)における塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩が挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸との塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸との塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸との塩が挙げられる。
【0036】
本発明において使用される「活性成分」とは、生物学的または薬理学的活性を有する物質を指し、特に医薬的用途または研究目的用途に有用な物質を指す。活性成分としては、例えば核酸が挙げられる。
【0037】
「核酸」とは、ヌクレオチドおよび該ヌクレオチドと同等の機能を有する分子が重合した分子であればいかなるものでもよく、例えば、リボヌクレオチドの重合体であるRNA、デオキシリボヌクレオチドの重合体であるDNA、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドが混合した重合体、および、ヌクレオチド類似体を含むヌクレオチド重合体を挙げることができ、さらに、核酸誘導体を含むヌクレオチド重合体であってもよい。また、核酸は、一本鎖核酸または二本鎖核酸であってもよい。また二本鎖核酸には、一方の鎖に対し、他方の鎖がストリンジェントな条件でハイブリダイズする二本鎖核酸も含まれる。
ヌクレオチド類似体としては、RNAまたはDNAと比較して、ヌクレアーゼ耐性の向上または、安定化させるため、相補鎖核酸とのアフィニティーを上げるため、あるいは細胞透過性を上げるため、あるいは可視化させるために、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、RNAまたはDNAに修飾を施した分子であればいかなる分子でもよい。ヌクレオチド類似体としては、天然に存在する分子でも非天然の分子でもよく、例えば、糖部修飾ヌクレオチド類似体やリン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチド類似体等が挙げられる。
【0038】
糖部修飾ヌクレオチド類似体としては、ヌクレオチドの糖の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の化学構造物質を付加あるいは置換したものであればいかなるものでもよく、その具体例としては、2’−O−メチルリボースで置換されたヌクレオチド類似体、2’−O−プロピルリボースで置換されたヌクレオチド類似体、2’−メトキシエトキシリボースで置換されたヌクレオチド類似体、2’−O−メトキシエチルリボースで置換されたヌクレオチド類似体、2’−O−[2−(グアニジウム)エチル]リボースで置換されたヌクレオチド類似体、2’−O−フルオロリボースで置換されたヌクレオチド類似体、糖部に架橋構造を導入することにより2つの環状構造を有する架橋構造型人工核酸(Bridged Nucleic Acid)(BNA)、より具体的には、2’位の酸素原子と4’位の炭素原子がメチレンを介して架橋したロックド人工核酸(Locked Nucleic Acid)(LNA)、およびエチレン架橋構造型人工核酸(Ethylene bridged nucleic acid)(ENA)[Nucleic Acid Research, 32, e175(2004)]が挙げられ、さらにペプチド核酸(PNA)[Acc. Chem. Res., 32, 624 (1999)]、オキシペプチド核酸(OPNA)[J. Am. Chem. Soc., 123, 4653 (2001)]、およびペプチドリボ核酸(PRNA)[J. Am. Chem. Soc., 122, 6900 (2000)]等を挙げることができる。
【0039】
リン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチド類似体としては、ヌクレオチドのリン酸ジエステル結合の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の化学物質を付加あるいは置換したものであればいかなるものでもよく、その具体例としては、ホスフォロチオエート結合に置換されたヌクレオチド類似体、N3’−P5’ホスフォアミデート結合に置換されたヌクレオチド類似体等を挙げることができる[細胞工学, 16, 1463-1473 (1997)][RNAi法とアンチセンス法、講談社(2005)]。
【0040】
核酸誘導体としては、核酸に比べ、ヌクレアーゼ耐性を向上させるため、安定化させるため、相補鎖核酸とのアフィニティーを上げるため、細胞透過性を上げるため、あるいは可視化させるために、該核酸に別の化学物質を付加した分子であればいかなる分子でもよく、その具体例としては、5’−ポリアミン付加誘導体、コレステロール付加誘導体、ステロイド付加誘導体、胆汁酸付加誘導体、ビタミン付加誘導体、Cy5付加誘導体、Cy3付加誘導体、6−FAM付加誘導体、およびビオチン付加誘導体等を挙げることができる。
【0041】
活性成分は、好ましくは核酸であり、核酸の具体例としては、例えばsiRNA、miRNA、miRNA mimic、アンチセンス核酸、リボザイム、mRNA、デコイ核酸、アプタマーが挙げられる。核酸としては、siRNAまたはmRNAが好ましい。
【0042】
本発明において、「siRNA」とは、10〜30塩基、好ましくは15〜25塩基の二本鎖RNAまたはその類縁体であって、相補的配列を含むものを意味する。siRNAは、好ましくは、3’末端に1〜3塩基、より好ましくは2塩基の突出塩基を有する。相補的配列部分は、完全に相補的であっても良く、または相補的でない塩基を含んでいてもよいが、好ましくは完全に相補的である。
【0043】
本発明において、「mRNA」とは、タンパク質に翻訳可能な塩基配列を含むRNAを意味する。
【0044】
本発明において、化合物(I)はカチオン性脂質として使用することができる。カチオン性脂質は、溶媒または分散媒中において、複数の分子と共に複合体を形成しうる。上記複合体には化合物(I)に加えて、他の成分が含まれていてもよい。上記他の成分の例としては、その他の脂質(構造脂質(例えば、コレステロールおよびホスファチジルコリン(例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリンやジステアロイルホスファチジルコリン))、ポリエチレングリコール脂質(例えば、GM−020(NOF CORPORATION)、GS−020(NOF CORPORATION)など))および活性成分が挙げられる。
本発明において、「脂質粒子」とは、上記複合体のうち、活性成分を含まない複合体を意味する。
【0045】
(1)(i)本発明の化合物あるいは(ii)当該化合物を含有してなる脂質粒子は、(2)活性成分および(3)必要に応じて上記その他の脂質とともに組成物(本明細書中、本発明の組成物と略記することがある)とすることにより、医薬または試薬として用いることができる。本発明の組成物は、薬学的に許容される担体を用いて、製剤技術分野において自体公知の方法により製造することができる。上記医薬の剤型として、例えば、緩衝剤および/または安定剤等の慣用の助剤を配合した非経口投与用製剤(例えば、注射剤などの液剤)、慣用の医薬用担体が配合された軟膏、クリーム、液剤または膏薬等の局所用製剤を挙げることができる。
【0046】
本発明の組成物は、多数の種類の細胞、組織または臓器に活性成分を導入するために使用することができる。これらの細胞、組織または臓器としては、例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球、巨核球)、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞などや血球系細胞、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織もしくは臓器、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節及び骨格筋が挙げられる。これら細胞、組織または臓器は、癌化した癌細胞や癌組織等であってもよい。
本発明の組成物は、特に、肝臓、癌細胞、脂肪細胞、血球系細胞、骨髄細胞に活性成分を導入する効率に優れる。
本発明の化合物および本発明の組成物は、安定かつ低毒性で安全に使用することができる。本発明の組成物を医薬として用いる場合、投与対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に対して、活性成分の有効量が投与されるように、該組成物を投与すればよい。
【0047】
本発明の化合物の製造方法について以下に説明する。
【0048】
以下の製造方法における各工程で用いられた原料や試薬、ならびに得られた化合物は、それぞれ塩を形成していてもよい。このような塩としては、例えば、前述の本発明の化合物における塩と同様のものが挙げられる。
【0049】
各工程で得られた化合物が遊離化合物である場合には、自体公知の方法により、目的とする塩に変換することができる。逆に各工程で得られた化合物が塩である場合には、自体公知の方法により、遊離体または目的とする他の種類の塩に変換することができる。
【0050】
各工程で得られた化合物は反応液のままか、または粗生成物として得た後に、次反応に用いることもできる、あるいは、各工程で得られた化合物を、常法に従って、反応混合物から濃縮、晶出、再結晶、蒸留、溶媒抽出、分溜、クロマトグラフィーなどの分離手段により単離および/または精製することができる。
【0051】
各工程の原料や試薬の化合物が市販されている場合には、市販品をそのまま用いることができる。
【0052】
各工程の反応において、反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分〜48時間、好ましくは10分〜8時間である。
【0053】
各工程の反応において、反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常−78℃〜300℃、好ましくは−78℃〜150℃である。
【0054】
各工程の反応において、圧力は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常1気圧〜20気圧、好ましくは1気圧〜3気圧である。
【0055】
各工程の反応において、例えば、Biotage社製InitiatorなどのMicrowave合成装置を用いることがある。反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載がない場合、通常室温〜300℃、好ましくは50℃〜250℃である。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分〜48時間、好ましくは1分〜8時間である。
【0056】
各工程の反応において、試薬は、特に記載が無い場合、基質に対して0.5当量〜20当量、好ましくは0.8当量〜5当量が用いられる。試薬を触媒として使用する場合、試薬は基質に対して0.001当量〜1当量、好ましくは0.01当量〜0.2当量が用いられる。試薬が反応溶媒を兼ねる場合、試薬は溶媒量が用いられる。
【0057】
各工程の反応において、特に記載が無い場合、これらの反応は、無溶媒、あるいは適当な溶媒に溶解または懸濁して行われる。溶媒の具体例としては、実施例に記載されている溶媒、あるいは以下が挙げられる。
アルコール類:メタノール、エタノール、tert−ブチルアルコール、2−メトキシエタノールなど;
エーテル類:ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなど;
芳香族炭化水素類:クロロベンゼン、トルエン、キシレンなど;
飽和炭化水素類:シクロヘキサン、ヘキサンなど ;
アミド類:N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなど;
ハロゲン化炭化水素類:ジクロロメタン、四塩化炭素など;
ニトリル類:アセトニトリルなど;
スルホキシド類:ジメチルスルホキシドなど;
芳香族有機塩基類:ピリジンなど;
酸無水物類:無水酢酸など;
有機酸類:ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸など;
無機酸類:塩酸、硫酸など;
エステル類:酢酸エチルなど;
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトンなど;
水。
上記溶媒は、二種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0058】
各工程の反応において塩基を用いる場合、例えば、以下に示す塩基、あるいは実施例に記載されている塩基が用いられる。
無機塩基類:水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムなど;
塩基性塩類:炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなど;
有機塩基類:トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、イミダゾール、ピペリジンなど;
金属アルコキシド類:ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど;
アルカリ金属水素化物類:水素化ナトリウムなど;
金属アミド類:ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなど;
有機リチウム類:n−ブチルリチウムなど。
【0059】
各工程の反応において酸または酸性触媒を用いる場合、例えば、以下に示す酸や酸性触媒、あるいは実施例に記載されている酸や酸性触媒が用いられる。
無機酸類:塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸など;
有機酸類:酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸など;
ルイス酸:三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、ヨウ化亜鉛、無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、無水塩化鉄など。
【0060】
各工程の反応は、特に記載の無い限り、自体公知の方法、例えば、第5版実験化学講座、13巻〜19巻(日本化学会編);新実験化学講座、14巻〜15巻(日本化学会編);精密有機化学 改定第2版(L. F. Tietze,Th. Eicher、南江堂);改訂 有機人名反応 そのしくみとポイント(東郷秀雄著、講談社);ORGANIC SYNTHESES Collective Volume I〜VII(John Wiley & SonsInc);Modern Organic Synthesis in the Laboratory A Collection of Standard Experimental Procedures(Jie Jack Li著、OXFORD UNIVERSITY出版);Comprehensive Heterocyclic Chemistry III、Vol.1〜Vol.14(エルゼビア・ジャパン株式会社);人名反応に学ぶ有機合成戦略(富岡清監訳、化学同人発行);コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(VCH Publishers Inc.)1989年刊などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
【0061】
各工程において、官能基の保護または脱保護反応は、自体公知の方法、例えば、Wiley−Interscience社2007年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 4thEd.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著);Thieme社2004年刊「Protecting Groups 3rdEd.」(P.J.Kocienski著)などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
アルコールなどの水酸基やフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、メトキシメチルエーテル、ベンジルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテルなどのエーテル型保護基;酢酸エステルなどのカルボン酸エステル型保護基;メタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステル型保護基;t−ブチルカルボネートなどの炭酸エステル型保護基などが挙げられる。
アルデヒドのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルアセタールなどのアセタール型保護基;環状1,3−ジオキサンなどの環状アセタール型保護基などが挙げられる。
ケトンのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルケタールなどのケタール型保護基;環状1,3−ジオキサンなどの環状ケタール型保護基;O−メチルオキシムなどのオキシム型保護基;N,N−ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン型保護基などが挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、例えば、メチルエステルなどのエステル型保護基;N,N−ジメチルアミドなどのアミド型保護基などが挙げられる。
チオールの保護基としては、例えば、ベンジルチオエーテルなどのエーテル型保護基;チオ酢酸エステル、チオカルボネート、チオカルバメートなどのエステル型保護基などが挙げられる。
アミノ基や、イミダゾール、ピロール、インドールなどの芳香族ヘテロ環の保護基としては、例えば、ベンジルカルバメートなどのカルバメート型保護基;アセトアミドなどのアミド型保護基;N−トリフェニルメチルアミンなどのアルキルアミン型保護基、メタンスルホンアミドなどのスルホンアミド型保護基などが挙げられる。
保護基の除去は、自体公知の方法、例えば、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミド)を使用する方法や還元法などを用いて行うことができる。
【0062】
各工程において、還元反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素テトラメチルアンモニウムなどの金属水素化物類;ボランテトラヒドロフラン錯体などのボラン類;ラネーニッケル;ラネーコバルト;水素;ギ酸などが挙げられる。炭素−炭素二重結合あるいは三重結合を還元する場合は、パラジウム−カーボンやLindlar触媒などの触媒を用いる方法がある。
【0063】
各工程において、酸化反応を行う場合、使用される酸化剤としては、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシドなどの過酸類;過塩素酸テトラブチルアンモニウムなどの過塩素酸塩類;塩素酸ナトリウムなどの塩素酸塩類;亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸塩類;過ヨウ素酸ナトリウムなどの過ヨウ素酸類;ヨードシルベンゼンなどの高原子価ヨウ素試薬;二酸化マンガン、過マンガン酸カリウムなどのマンガンを有する試薬;四酢酸鉛などの鉛類;クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、ジョーンズ試薬などのクロムを有する試薬;N−ブロモスクシンイミド(NBS)などのハロゲン化合物類;酸素;オゾン;三酸化硫黄・ピリジン錯体;四酸化オスミウム;二酸化ゼレン;2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)などが挙げられる。
【0064】
各工程において、ラジカル環化反応を行う場合、使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物;4−4’−アゾビス−4−シアノペンタン酸(ACPA)などの水溶性ラジカル開始剤;空気あるいは酸素存在下でのトリエチルホウ素;過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。また、使用されるラジカル反応試剤としては、トリブチルスタナン、トリストリメチルシリルシラン、1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、ジフェニルシラン、ヨウ化サマリウムなどが挙げられる。
【0065】
各工程において、Wittig反応を行う場合、使用されるWittig試薬としては、アルキリデンホスホラン類などが挙げられる。アルキリデンホスホラン類は、自体公知の方法、例えば、ホスホニウム塩と強塩基を反応させることで調製することができる。
【0066】
各工程において、Horner−Emmons反応を行う場合、使用される試薬としては、ジメチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチルなどのホスホノ酢酸エステル類;アルカリ金属水素化物類、有機リチウム類などの塩基が挙げられる。
【0067】
各工程において、Friedel−Crafts反応を行う場合、使用される試薬としては、ルイス酸と、酸クロリドあるいはアルキル化剤(例、ハロゲン化アルキル類、アルコール、オレフィン類など)が挙げられる。あるいは、ルイス酸の代わりに、有機酸や無機酸を用いることもでき、酸クロリドの代わりに、無水酢酸などの酸無水物を用いることもできる。
【0068】
各工程において、芳香族求核置換反応を行う場合、試薬としては、求核剤(例、アミン類、イミダゾールなど)と塩基(例、塩基性塩類、有機塩基類など)が用いられる。
【0069】
各工程において、カルボアニオンによる求核付加反応、カルボアニオンによる求核1,4−付加反応(Michael付加反応)、あるいはカルボアニオンによる求核置換反応を行う場合、カルボアニオンを発生するために用いる塩基としては、有機リチウム類、金属アルコキシド類、無機塩基類、有機塩基類などが挙げられる。
【0070】
各工程において、Grignard反応を行う場合、Grignard試薬としては、フェニルマグネシウムブロミドなどのアリールマグネシウムハライド類;メチルマグネシウムブロミドなどのアルキルマグネシウムハライド類が挙げられる。Grignard試薬は、自体公知の方法、例えばエーテルあるいはテトラヒドロフランを溶媒として、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールと、金属マグネシウムとを反応させることにより調製することができる。
【0071】
各工程において、Knoevenagel縮合反応を行う場合、試薬としては、二つの電子求引基に挟まれた活性メチレン化合物(例、マロン酸、マロン酸ジエチル、マロノニトリルなど)および塩基(例、有機塩基類、金属アルコキシド類、無機塩基類)が用いられる。
【0072】
各工程において、Vilsmeier−Haack反応を行う場合、試薬としては、塩化ホスホリルとアミド誘導体(例、N,N−ジメチルホルムアミドなど)が用いられる。
【0073】
各工程において、アルコール類、アルキルハライド類、スルホン酸エステル類のアジド化反応を行う場合、使用されるアジド化剤としては、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、トリメチルシリルアジド、アジ化ナトリウムなどが挙げられる。例えば、アルコール類をアジド化する場合、ジフェニルホスホリルアジドと1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)を用いる方法やトリメチルシリルアジドとルイス酸を用いる方法などがある。
【0074】
各工程において、還元的アミノ化反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素、ギ酸などが挙げられる。基質がアミン化合物の場合は、使用されるカルボニル化合物としては、パラホルムアルデヒドの他、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、シクロヘキサノンなどのケトン類が挙げられる。基質がカルボニル化合物の場合は、使用されるアミン類としては、アンモニア、メチルアミンなどの1級アミン;ジメチルアミンなどの2級アミンなどが挙げられる。
【0075】
各工程において、光延反応を行う場合、試薬としては、アゾジカルボン酸エステル類(例、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)など)およびトリフェニルホスフィンが用いられる。
【0076】
各工程において、エステル化反応、アミド化反応、あるいはウレア化反応を行う場合、使用される試薬としては、酸クロリド、酸ブロミドなどのハロゲン化アシル体;酸無水物、活性エステル体、硫酸エステル体など活性化されたカルボン酸類が挙げられる。カルボン酸の活性化剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCD)などのカルボジイミド系縮合剤;4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド−n−ハイドレート(DMT−MM)などのトリアジン系縮合剤;1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)などの炭酸エステル系縮合剤;ジフェニルリン酸アジド(DPPA);ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスジメチルアミノホスホニウム塩(BOP試薬);ヨウ化2−クロロ−1−メチル−ピリジニウム(向山試薬);塩化チオニル;クロロギ酸エチルなどのハロギ酸低級アルキル;O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩(HATU);硫酸;あるいはこれらの組み合わせなどが挙げられる。カルボジイミド系縮合剤を用いる場合、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの添加剤をさらに反応に加えてもよい。
【0077】
各工程において、カップリング反応を行う場合、使用される金属触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、塩化1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)などのパラジウム化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)などのニッケル化合物;塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)などのロジウム化合物;コバルト化合物;酸化銅、ヨウ化銅(I)などの銅化合物;白金化合物などが挙げられる。さらに反応に塩基を加えてもよく、このような塩基としては、無機塩基類、塩基性塩類などが挙げられる。
【0078】
各工程において、チオカルボニル化反応を行う場合、チオカルボニル化剤としては、代表的には五硫化二リンが用いられるが、五硫化二リンの他に、2,4−ビス(4−メトキシフェニル−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(Lowesson試薬)などの1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド構造を持つ試薬を用いてもよい。
【0079】
各工程において、Wohl−Ziegler反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、N−ヨードコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、臭素、塩化スルフリルなどが挙げられる。さらに、熱、光、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤を反応に加えることで、反応を加速させることができる。
【0080】
各工程において、ヒドロキシ基のハロゲン化反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、ハロゲン化水素酸と無機酸の酸ハロゲン化物、具体的には、塩素化では、塩酸、塩化チオニル、オキシ塩化リンなど、臭素化では、48%臭化水素酸などが挙げられる。また、トリフェニルホスフィンと四塩化炭素または四臭化炭素などとの作用により、アルコールからハロゲン化アルキル体を得る方法を用いてもよい。あるいは、アルコールをスルホン酸エステルに変換の後、臭化リチウム、塩化リチウムまたはヨウ化ナトリウムと反応させるような2段階の反応を経てハロゲン化アルキル体を合成する方法を用いてもよい。
【0081】
各工程において、Arbuzov反応を行う場合、使用される試薬としては、ブロモ酢酸エチルなどのハロゲン化アルキル類;トリエチルフォスファイトやトリ(イソプロピル)ホスファイトなどのホスファイト類が挙げられる。
【0082】
各工程において、スルホンエステル化反応を行う場合、使用されるスルホン化剤としては、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
【0083】
各工程において、加水分解反応を行う場合、試薬としては、酸または塩基が用いられる。また、t−ブチルエステルの酸加水分解反応を行う場合、副生するt−ブチルカチオンを還元的にトラップするためにギ酸やトリエチルシランなどを加えることがある。
【0084】
各工程において、脱水反応を行う場合、使用される脱水剤としては、硫酸、五酸化二リン、オキシ塩化リン、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、アルミナ、ポリリン酸などが挙げられる。
【0085】
化合物(I)は、例えば、以下の製法Aによって製造することができる。
【0086】
(製法A)
【化2】
【0087】
で示される保護基としては、前記した水酸基の保護基が用いられる。
化合物(16)は、化合物(18)から保護基を除去することにより製造することができる。保護基の除去には、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムと酸を組み合わせて用いることもできる。
【0088】
化合物(I)は、化合物(20)のアミノ基の求核置換反応により製造することもできる。上記求核置換反応に用いられる試薬の例としては、ハロゲン化アルキル類が挙げられる。
【0089】
前記製法Aで使用される化合物(4A)は、化合物(1)もしくは化合物(7)より、例えば以下の製法Bによって製造することができる。
【0090】
(製法B)
【化3】

[式中、P、PおよびPは、それぞれ独立して、保護基を示し、その他の各記号は前記と同意義を示す。]
、PおよびPで示される保護基としては、前記したカルボキシル基の保護基が用いられる。
【0091】
化合物(4A)および化合物(10)は、化合物(9)の脱炭酸反応により製造することもできる。反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、通常室温〜300℃、好ましくは50℃〜250℃である。脱炭酸反応には酸を用いることもできる。
【0092】
化合物(5)は、化合物(3)のカルボアニオンによる求核置換反応により製造することができる。求核置換反応に用いられる試薬の例としては、ハロゲン化アルキル類およびフッ素化剤(例、N−フルオロベンゼンスルホンイミド、3,3− ジメチル−1−(トリフルオロメチル)−1,2−ベンゾヨードキソール)が挙げられる。
【0093】
化合物(6)は、化合物(2)のカルボアニオンによるMichael付加反応により製造することができる。上記付加反応に用いられる試薬の例としては、有機銅(Grignard試薬や有機リチウム試薬とハロゲン化銅を反応させることにより調製することができる)が挙げられる。また、上記試薬として、有機銅試薬に、酸またはトリメチルシリルクロリドを組み合わせたものを用いることができる。
【0094】
化合物(8)は、化合物(7)のカルボアニオンによる求核置換反応により製造することができる。上記求核置換反応に用いられる試薬の例としては、ハロゲン化アルキル類が挙げられる。
【0095】
化合物(12)は、化合物(11)のカルボアニオンによる求核置換反応により製造することができる。上記求核置換反応に用いられる試薬の例としては、ハロゲン化アルキル類が挙げられる。
【0096】
前記製法Aで用いられる化合物(4B)および(4C)も、化合物(4A)と同様の方法で製造することができる。
【0097】
本発明の化合物を含有してなる脂質粒子および組成物の製造方法について以下に説明する。
【0098】
脂質粒子は、本発明の化合物を、必要により、他の脂質成分と混合した後、有機溶媒に溶解し、得られる有機溶媒溶液を水もしくは緩衝液と混合することにより、脂質粒子分散液として製造することができる。上記混合は、微小流体混合システム(例えば、Asia microfluidic system(Syrris))を用いて行うことができる。得られた脂質粒子は、透析および滅菌ろ過に付してもよい。
【0099】
前記した「他の脂質成分」としては、例えば、構造脂質(コレステロールおよびホスファチジルコリン(例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン))およびポリエチレングリコール脂質(例えば、GM−020(NOF CORPORATION)、GS−020(NOF CORPORATION))が挙げられる。「他の脂質成分」は、例えば、本発明の化合物1モルに対して、0.25〜4モル用いられる。本発明の化合物は、他の脂質成分(特に、コレステロール、フォスファチジルコリンおよびポリエチレングリコール脂質)と混合して用いることが好ましい。本発明の化合物と他の脂質成分とを混合して用いる場合の好ましい態様は、本発明の化合物1〜4モル、コレステロール0〜3モル、フォスファチジルコリン0〜2モルおよびポリエチレングリコール脂質0〜1モルの混合物である。
【0100】
前記した有機溶媒溶液中の本発明の化合物、あるいは本発明化合物と他の脂質成分との混合物の濃度は、好ましくは0.5〜100mg/mLである。
【0101】
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、tert−ブタノール、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはこれらの混合物が挙げられる。有機溶媒は、0〜20%の水もしくは緩衝液を含有してもよい。
【0102】
緩衝液としては、酸性緩衝液(例えば、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液)や、中性緩衝液(例えば、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))が挙げられる。
【0103】
微小流体混合システムを用いて混合を行う場合、有機溶媒溶液1容積部に対して水もしくは緩衝液1〜5容積部を混合することが好ましい。また、該システムにおいて、混合液(有機溶媒溶液と水もしくは緩衝液との混合液)流速は、好ましくは0.1〜10mL/minであり、温度は、好ましくは15〜45℃である。
【0104】
本発明の組成物は、脂質粒子あるいは脂質粒子分散液を製造する際、水もしくは緩衝液に活性成分(好ましくは核酸)を添加しておくことにより、組成物を含む分散液として製造することができる。活性成分は、水もしくは緩衝液における活性成分の濃度が0.05〜2.0mg/mLとなるように添加することが好ましい。
また、本発明の組成物は、脂質粒子あるいは脂質粒子分散液と活性成分を自体公知の方法で混和することにより、組成物を含む分散液として製造することもできる。
本発明の組成物における本発明の化合物の含量は、好ましくは、20-80重量%である。
本発明の組成物における活性成分の含量は、好ましくは、1-20重量%である。
【0105】
脂質粒子分散液または組成物を含む分散液の分散媒は、透析することで水または緩衝液に置換することができる。透析には、分画分子量10〜20Kの限外ろ過膜を用い、4℃〜室温にて実施する。繰り返し透析を行ってもよい。透析には、タンジェンシャルフロー・フィルトレーションを使用してもよい。
【0106】
本発明の脂質粒子または組成物の分析方法について以下に説明する。
【0107】
脂質粒子または組成物の粒子径は、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments)を用い、自己相関関数のキュムラント解析によりZ平均粒子径として算出することができる。脂質粒子または組成物の粒子径(平均粒子径)は、好ましくは10−200nmである。
【0108】
本発明の組成物における活性成分(特に、核酸)の濃度および内封率は、Quant−iTTM RiboGreen(登録商標)(Invitrogen)を用いて測定することができる。上記濃度は、活性成分(例えば、核酸(特に、siRNA、mRNA))の標準曲線を用いて算出し、内封率は、Triton−X100の添加の有無による蛍光強度の違いを元に算出することができる。
【0109】
本発明は、更に以下の実施例および試験例によって詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下の実施例中の「室温」は通常約 10 ℃ないし約 35 ℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいて、NHと記載した場合は、アミノプロピルシラン結合シリカゲル、Diolと記載した場合は、3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)プロピルシラン結合シリカゲルを用いた。溶出溶媒の比は、特に断らない限り容量比を示す。
下記の実施例においては以下の略号を使用する。
MS :マススペクトル
M:モル濃度
N : 規定
CDCl3:重クロロホルム
1H NMR:プロトン核磁気共鳴
MALDI : Matrix-assisted laser desorption/ionization、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法
TOFMS : Time-of-flight mass spectrometry、飛行時間型質量分析
CHCA : α-cyano-4-hydroxycinnamic acid、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸
DMAP :N,N-ジメチル-4-アミノピリジン
THF :テトラヒドロフラン
DMF :N,N-ジメチルホルムアミド
DPPC :ジパルミトイルフォスファチジルコリン
【0110】
1H NMRはフーリエ変換型NMRで測定した。解析にはACD/SpecManager (商品名) などを用いた。水酸基やアミノ基などのプロトンが非常に緩やかなピークについては記載していない。
MSは、MALDI/TOFMSにより測定した。マトリックスとしてはCHCAを用いた。データは、実測値 (found)を記載した。通常、分子イオンピークが観測されるが、tert-ブトキシカルボニル基を有する化合物の場合、フラグメントイオンとして、tert-ブトキシカルボニル基あるいはtert-ブチル基が脱離したピークが観測されることもある。また、水酸基を有する化合物の場合、フラグメントイオンとして、H2Oが脱離したピークが観測されることもある。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピーク、カチオン種、アニオン種もしくはフラグメントイオンピークが観測される。
【実施例】
【0111】
[化合物の合成例]
実施例1
3-((5-(ジメチルアミノ)ペンタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((2-ペンチルヘプタノイル)オキシ)メチル)プロピル 2-ペンチルヘプタノアート
A) 2-ペンチルヘプタン酸
水素化ナトリウム(0.5 g、ミネラルオイルを40%含有)のDMF(10 mL)懸濁液を氷冷下撹拌し、マロン酸ジメチル (0.569 ml)を加えた。10分後、混合物を室温に昇温し、1-ヨードペンタン(1.95 mL)を加えた。18時間後、反応混合物に酢酸(1 mL)を加え、酢酸エチルで希釈後、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製した。得られた化合物、8 N 水酸化ナトリウム水溶液(3.75 mL)およびエタノール(10 mL)の混合物を60 ℃で20時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、1 N 塩酸(35 mL)で希釈後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣を160℃で1.5時間加熱し、室温に冷却後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製して標題化合物 (786 mg) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.77-0.97 (6H, m), 1.16-1.38 (12H, m), 1.39-1.53 (2H, m), 1.54-1.72 (2H, m), 2.26-2.42 (1H, m).
【0112】
B) 2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(5.45 g)、1H-イミダゾール(2.72 g)およびDMF(190 mL)の混合物に、tert-ブチルクロロジメチルシラン(3.01 g)のDMF(10 mL)溶液を室温で加えた。24時間撹拌後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、水で3回、飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製して標題化合物 (2.25 g) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.08 (6H, s), 0.90 (9H, s), 2.53 (3H, t, J = 5.5 Hz), 3.66 (2H, s), 3.73 (6H, d, J = 5.5 Hz).
【0113】
C) 2-(ヒドロキシメチル)-2-(((2-ペンチルヘプタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル ビス(2-ペンチルヘプタノアート)
2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(75.0 mg)、DMAP(37.0 mg)および2-ペンチルヘプタン酸(198 mg)のDMF(0.75 mL)溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(230 mg)を室温で加えた。18時間撹拌後、反応混合物に酢酸エチルを加え、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製した。得られた化合物をTHF(0.6 mL)に溶解し、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムのTHF溶液(1 M、0.66 mL) および 酢酸(0.218 mL)の混合物を室温で加えた。4日間撹拌後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製して標題化合物 (189 mg) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.79-0.95 (18H, m), 1.14-1.36 (36H, m), 1.38-1.65 (12H, m), 2.29-2.43 (3H, m), 2.69 (1H, t, J = 7.2 Hz), 3.47 (2H, d, J = 7.2 Hz), 4.11 (6H, s).
【0114】
D) 3-((5-(ジメチルアミノ)ペンタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((2-ペンチルヘプタノイル)オキシ)メチル)プロピル 2-ペンチルヘプタノアート
2-(ヒドロキシメチル)-2-(((2-ペンチルヘプタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル ビス(2-ペンチルヘプタノアート)(189 mg)、DMAP(16.9 mg)、5-(ジメチルアミノ)ペンタン酸 ヒドロクロリド(60.3 mg)およびDMF(0.8 mL)の混合物に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(69.0 mg)を室温で加えた。18時間撹拌後、反応混合物に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で1回、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (diol、酢酸エチル/ヘキサン) で精製して標題化合物 (149 mg) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.80-0.92 (18H, m), 1.15-1.35 (36H, m), 1.37-1.66 (16H, m), 2.20 (6H, s), 2.22-2.42 (7H, m), 4.10 (8H, s).
【0115】
実施例7
3-((5-(ジメチルアミノ)ペンタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロピル 3-ペンチルオクタノアート
A) 3-ペンチルオクタン酸
水素化ナトリウム(1.12 g、ミネラルオイルを40%含有)のTHF(40 mL)懸濁液を氷冷下撹拌し、エチル 2-(ジエトキシホスホリル)アセタート(6.01 ml)を加えた。10分後、混合物を室温に昇温し、ウンデカン-6-オン(4.10 mL)を加えた。50℃で24時間撹拌後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製した。得られた化合物、10%パラジウム−炭素(100 mg)およびエタノール(100 mL)の混合物を水素雰囲気下室温で18時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下濃縮した。残渣に、8 N水酸化ナトリウム水溶液(10.6 mL)およびエタノール(40 mL)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、6 N塩酸(14.6 mL
を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製して標題化合物 (3.47 g) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.81-0.95 (6H, m), 1.15-1.43 (16H, m), 1.74-1.96 (1H, m), 2.28 (2H, d, J = 6.8 Hz).
【0116】
B) 2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-2-(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル ビス(3-ペンチルオクタノアート)
2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(751 mg)、DMAP(367 mg)および3-ペンチルオクタン酸(2.12 g)のDMF(10 mL)溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.07 g)を室温で加えた。18時間撹拌後、反応混合物に酢酸エチルを加え、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (NH、酢酸エチル/ヘキサン) で精製して標題化合物 (2.50 g) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.03 (6H, s), 0.76-0.96 (27H, m), 1.11-1.39 (48H, m), 1.75-1.92 (3H, m), 2.23 (6H, d, J = 6.8 Hz), 3.58 (2H, s), 4.07 (6H, s).
【0117】
C) 2-(ヒドロキシメチル)-2-(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル ビス(3-ペンチルオクタノアート)
2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-2-(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル ビス(3-ペンチルオクタノアート)(2.50 g)をTHF(6.0 mL)に溶解し、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムのTHF溶液(1 M、6.55 mL) および 酢酸(2.17 mL)の混合物を室温で加えた。4日間撹拌後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製して標題化合物 (2.05 g) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) 0.81-0.96 (18H, m), 1.13-1.40 (48H, m), 1.73-1.92 (3H, m), 2.26 (6H, d, J = 6.8 Hz), 2.56 (1H, t, J = 7.0 Hz), 3.48 (2H, d, J = 7.0 Hz), 4.10 (6H, s).
【0118】
D) 3-((5-(ジメチルアミノ)ペンタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロピル 3-ペンチルオクタノアート
2-(ヒドロキシメチル)-2-(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル ビス(3-ペンチルオクタノアート) (2.05 g)、DMAP(173 mg)、5-(ジメチルアミノ)ペンタン酸 ヒドロクロリド(822 mg)およびDMF(8.0 mL)の混合物に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(976 mg)を室温で加えた。18時間撹拌後、反応混合物に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で1回、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン、酢酸エチル/メタノール) で精製して標題化合物 (2.24 g) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.81-0.92 (18H, m), 1.15-1.37 (48H, m), 1.42-1.53 (2H, m), 1.59-1.69 (2H, m), 1.73-1.90 (3H, m), 2.18-2.38 (16H, m), 4.10 (8H, s).
【0119】
実施例8
N,N,N-トリメチル-5-オキソ-5-(3-((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロポキシ)ペンタン-1-アミニウム ヨージド
3-((5-(ジメチルアミノ)ペンタノイル)オキシ)-2,2-ビス(((3-ペンチルオクタノイル)オキシ)メチル)プロピル 3-ペンチルオクタノアート(50.0 mg)の酢酸エチル(0.6 mL)溶液に、ヨウ化メチル(7.34 μL)を室温で加えた。2時間撹拌後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/メタノール) で精製して標題化合物 (46.8 mg) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.79-0.97 (18H, m), 1.13-1.40 (48H, m), 1.68-1.92 (7H, m), 2.25 (6H, d, J = 7.2 Hz), 2.46 (2H, t, J = 6.4 Hz), 3.46 (9H, s), 3.61-3.75 (2H, m), 4.10 (8H, s).
【0120】
上記の各実施例に示した方法、またはそれらに準じた方法のいずれかに従って、以下の表中の実施例2〜6及び9〜10の化合物が製造された。これらの実施例について、実施例1、7及び8とともに、化合物の名称、構造式および製造時に実測された質量数(表中、MSで示す)を表1に示す。「塩」の欄には、化合物を構成する陰イオンを示す。
【0121】
【表1-1】

【表1-2】
【0122】
[本発明の組成物の製造例]
実施例11
脂質混合物(実施例7で得られた化合物:DPPC:Cholesterol:GS-020 = 60:10.6:28:1.4, モル比)を、90% EtOH、10% 25 mM酢酸緩衝液pH 4.0に溶解して、7.4 mg/mlの脂質溶液を得た。Luciferase (luc) siRNAおよびFactor VII (FVII) siRNA(表2参照)を等量混合し、25 mM酢酸緩衝液pH4.0に溶解して0.15 mg/mlの核酸溶液を得た。得られた脂質溶液および核酸溶液を、室温で、Asia microfluidic system (Syrris)によって、流速比 1 ml/min : 5 ml/minで混合し、組成物を含む分散液を得た。得られた分散液は、Slyde-A-Lyzer(20Kの分画分子量、Thermo scientific)を用いて水に対して室温で1時間、PBSに対して室温で18時間透析を行った。続いて、0.2 μmのsyringe filter (Iwaki)を用いてろ過を行い、4℃に保存した。分析の結果を表3に示す。
【0123】
【表2】

N(M):2'-OMe RNA, N(F): 2'-デオキシ-2'-フロオロRNA, t: 2'-デオキシチミジン, s: ホスホロチオエート結合
【0124】
【表3】
【0125】
実施例12
脂質混合物(実施例7で得られた化合物:DPPC:Cholesterol:GS-020 = 60:10.6:28:1.4, モル比)を、90% EtOH、10% 25 mM酢酸緩衝液pH 4.0に溶解して、8.9 mg/mlの脂質溶液を得た。hypoxanthine-guanine phosphoribosyltransferase (HPRT) siRNA(表4参照)を、25 mM酢酸緩衝液pH4.0に溶解して0.25 mg/mlの核酸溶液を得た。得られた脂質溶液および核酸溶液を、室温で、Asia microfluidic systemによって流速比 1 ml/min : 3 ml/minで混合し、組成物を含む分散液を得た。得られた分散液を、Slyde-A-Lyzer(20Kの分画分子量)を用いて水に対して室温で1時間、PBSに対して室温で18時間透析を行った。さらに、窒素ガス充填加圧下、PBSに対して4℃で透析し、溶液の濃縮を行った。続いて、0.2 μmあるいは0.45 μmのsyringe filterを用いてろ過を行い、4℃に保存した。分析の結果を表5に示す。
【0126】
【表4】

N(M):2'-OMe RNA, N(F): 2'-デオキシ-2'-フロオロRNA, t: 2'-デオキシチミジン, s: ホスホロチオエート結合
【0127】
【表5】

実施例13
脂質混合物(実施例7で得られた化合物:実施例8で得られた化合物:DPPC:Cholesterol:GM-020 = 59.1:0.9:10.6:28:1.4, モル比)を、90% EtOH、10% 25 mM酢酸緩衝液pH 4.0に溶解して、7.6 mg/mlの脂質溶液を得た。HPRT siRNA(表4参照)を、25 mM酢酸緩衝液pH4.0に溶解して0.21 mg/mlの核酸溶液を得た。得られた脂質溶液および核酸溶液を、室温で、Asia microfluidic system によって流速比 1 ml/min : 3 ml/minで混合し、組成物を含む分散液を得た。得られた分散液は、Slyde-A-Lyzer(20Kの分画分子量)を用いて水に対して室温で1時間、PBSに対して室温で18時間透析を行った。続いて、0.2 μm syringe filterを用いてろ過を行い、4℃に保存した。分析の結果を表6に示す。
【0128】
【表6】
【0129】
実施例14
脂質混合物(実施例1で得られた化合物:DPPC:Cholesterol:GM-020 = 60:10.6:28:1.4, モル比)を、90% EtOH、10%RNaseフリー水に溶解して、8.4 mg/mlの脂質溶液を得た。Fluc mRNA(TriLink BioTechnologies)を、10 mMクエン酸緩衝液pH3.0に溶解して0.125 mg/mlの核酸溶液を得た。得られた脂質溶液および核酸溶液を、室温で、Asia microfluidic systemによって流速比 1 ml/min : 3 ml/minで混合し、組成物を含む分散液を得た。得られた分散液は、Slyde-A-Lyzer(20Kの分画分子量)を用いて水に対して4℃で1時間、PBSに対して4℃で18時間透析を行った。続いて、0.2 μm syringe filterを用いてろ過を行い、4℃に保存した。分析の結果を表7に示す。
【0130】
【表7】
【0131】
実施例15
脂質混合物(実施例7で得られた化合物:DPPC:Cholesterol:GM-020 = 60:10.6:28:1.4, モル比)を、90% EtOH、10%RNaseフリー水に溶解して、8.7 mg/mlの脂質溶液を得た。Fluc mRNA(TriLink BioTechnologies)を、10 mMクエン酸緩衝液pH3.0に溶解して0.125 mg/mlの核酸溶液を得た。得られた脂質溶液および核酸溶液を、室温で、Asia microfluidic systemによって流速比 1 ml/min : 3 ml/minで混合し、組成物を含む分散液を得た。得られた分散液は、Slyde-A-Lyzer(20Kの分画分子量)を用いて水に対して4℃で1時間、PBSに対して4℃で18時間透析を行った。続いて、0.2 μm syringe filterを用いてろ過を行い、4℃に保存した。分析の結果を表8に示す。
【0132】
【表8】
【0133】
[試験例]
試験例1:肝臓におけるin vivo ノックダウン試験
FVIIは外因系血液凝固反応における重要な凝固因子であり、肝実質細胞で産生されて血中に分泌される。また、血漿中FVII濃度はプレートを用いる簡便な比色分析で測定できることから、FVIIはsiRNAによる肝実質細胞でのノックダウン(KD)を測定する有用なモデルの典型である。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)もしくは実施例11で透析を行った後の分散液(FVII siRNAとして0.25mg/kg)をBALB/cA マウス(9週齢、雌、日本クレア株式会社)に尾静脈より投与し、投与24時間後に血液を採取した(N=3)。血液は直ちにEDTA(最終濃度0.1%)と混合し5000gで10分遠心した。上清のFVII濃度をBIOPHEN FACTOR 7 CHROMOGENIC ASSAY(HYPHEN BioMed)を用いて測定した。残存率は、PBS投与群のFVII濃度を100%として算出した。表9に示すように、実施例11投与群のFVII濃度は6.9%であった。この結果より、本発明の化合物を用いることにより、siRNAを肝臓に導入できることが明らかとなった。
【0134】
【表9】
【0135】
試験例2:癌組織におけるin vivo ノックダウン試験
ヌードマウス(BALB/c-nu/nu、6週齢、雌、日本チャールスリバー)の右わき腹皮下にHCT116細胞(ヒト大腸癌細胞株、American Type Culture Collection(ATCC)、1x106cells/mouse)をマトリゲル(Becton Dickinson and Company、356237、液量で50%)と共移植し、15日後腫瘍体積をもとに群分けした(1群4匹、群平均腫瘍体積521〜544mm3)。PBSもしくは実施例12で透析を行った後の分散液(HPRT siRNAとして10 mg/kg)を尾静脈より投与し、投与48時間後、2.5%イソフルラン麻酔下に頚椎脱臼にて安楽死させたマウスの皮下腫瘍を摘出、重量測定後速やかにドライアイスで凍結させた。凍結皮下腫瘍塊はTRIzol Reagent (Invitrogen)を加えホモジナイズ後クロロホルムを加えて遠心しRNAを含む水相を分離回収した。これをRNeasy mini Kit (QIAGEN)を用いて抽出精製しtotalRNAを得た。SuperScript VILO cDNA Synthesis Kit (Invitrogen)を用いて逆転写反応を行い、qPCR法によりhuman HPRT (hHPRT)のmRNA量を測定した。hHPRTのプローブおよびプライマーは、Applied Biosystems Inc. (ABI)より入手した(Probe: FAM-TAMRA, 5'-CCATCACATTGTAGCCCTCTGTGTGCTC-3'(配列番号7); Forward primer: 5'-CGTCTTGCTCGAGATGTGATG-3'(配列番号8); Reverse primer: 5'-CCAGCAGGTCAGCAAAGAATT-3'(配列番号9))。標準化遺伝子にはhuman actin beta (hACTB)を用い、PBS投与群の値を100%としhHPRTのmRNA量を算定した。hACTBのプローブおよびプライマーは、ABIより入手した(Probe: FAM-TAMRA, 5'-ATCAAGATCATTGCTCCTCCTGAGCGC-3'(配列番号10); Forward primer: 5'-CCTGGCACCCAGCACAAT-3'(配列番号11); Reverse primer: 5'-GCCGATCCACACGGAGTACT-3'(配列番号12))。その結果、表9に示すように、PBS投与群に対して、実施例12で透析を行った後の分散液を投与した群のhHPRT残存量は48%であった。この結果より、本発明の化合物を用いることにより、siRNAを癌に導入できることが明らかとなった。
【0136】
【表10】
【0137】
試験例3:脂肪組織におけるin vivo ノックダウン試験
ヌードマウス(BALB/c-nu/nu、7週齢、雌、日本チャールスリバー)の右わき腹皮下にHT29-Luc細胞(ATCCより購入したヒト大腸癌細胞株HT29にLuciferaseを強制発現させた細胞株、5x106cells/mouse)を移植し、16日後腫瘍体積をもとに群分けした(1群4匹、群平均腫瘍体積271〜288mm3)。PBSもしくは実施例12と同様の方法にて得られた分散液(HPRT siRNAとして5 mg/kg)を尾静脈より投与し、投与48時間後、2.5%イソフルラン麻酔下に頚椎脱臼にて安楽死させたマウスの生殖器周囲脂肪を摘出、重量測定後速やかにドライアイスで凍結させた。凍結脂肪組織はTRIzol Reagent (Invitrogen)を加えホモジナイズ後クロロホルムを加えて遠心しRNAを含む水相を分離回収した。これをRNeasy mini Kit (QIAGEN)を用いて抽出精製しtotalRNAを得た。SuperScript VILO cDNA Synthesis Kit (Invitrogen)を用いて逆転写反応を行い、qPCR法によりmouse HPRT (mHPRT)のmRNA量を測定した。mHPRTのプローブおよびプライマーは、ABIより購入した(Mm01545399_m1)。標準化遺伝子にはmouse actin beta (mACTB)を用い、PBS投与群の値を100%としmHPRTのmRNA量を算定した。mACTBのプローブおよびプライマーは、ABIより購入した(4352341E)。その結果、PBS投与群に対して、実施例12と同様の方法にて得られた分散液投与群のmHPRT残存量は44%であった(表11)。この結果より、本発明の化合物を用いることにより、siRNAを脂肪に導入できることが明らかとなった。
【0138】
【表11】
【0139】
試験例4:骨髄におけるin vivo ノックダウン試験
ヌードマウス(BALB/c-nu/nu、6週齢、雌、日本クレア)の右わき腹皮下にHT29-Luc細胞(ATCCより購入したヒト大腸癌細胞株HT29にLuciferaseを強制発現させた細胞株、5x106cells/mouse)を移植し、17日後腫瘍体積をもとに群分けした(1群4匹、群平均腫瘍体積321〜329mm3)。PBSもしくは実施例12と同様の方法にて得られた分散液(HPRT siRNAとして5 mg/kg)を尾静脈より投与し、投与48時間後、2.5%イソフルラン麻酔下に頚椎脱臼にて安楽死させたマウスの左右大腿骨から骨髄細胞を回収し、RNeasy mini Kit (QIAGEN)を用いて抽出精製しtotalRNAを得た。SuperScript VILO cDNA Synthesis Kit (Invitrogen)を用いて逆転写反応を行い、qPCR法によりmouse HPRT (mHPRT)のmRNA量を測定した。mHPRTのプローブおよびプライマーは、ABIより購入した(Mm01545399_m1)。標準化遺伝子にはmouse actin beta (mACTB)を用い、PBS投与群の値を100%としmHPRTのmRNA量を算定した。mACTBのプローブおよびプライマーは、ABIより購入した(4352341E)。その結果、PBS投与群に対して、実施例12と同様の方法にて得られた分散液投与群のmHPRT残存量は56%であった(表12)。この結果より、本発明の化合物を用いることにより、siRNAを骨髄に導入できることが明らかとなった。
【0140】
【表12】
【0141】
試験例5:浮遊血球系細胞Ramosにおけるin vitro ノックダウン試験
Ramos細胞(ヒトB細胞リンパ腫由来細胞株)を96-Well plateに1×104 cells/wellの密度で播種した(RPMI1640 basic, 10% FBS, penicillin-streptomycin)。PBS、HPRT siRNAとLipofectamine(登録商標)RNAiMAX(Life technologies)の混合物(プロトコールに従って混合)、または実施例13で透析を行った後の分散液を添加し(N=3、HPRT siRNAの最終濃度は100 nM)、48時間後に細胞を回収した。これを、RNeasy Midi Kit (Qiagen)を用いて抽出精製し、total RNAを得た。SuperScript VILO cDNA Synthesis Kitを用いて逆転写反応を行い、qPCR法によりhHPRTのmRNA量を測定した。hHPRTのプローブおよびプライマーは、試験例2と同じものである。標準化遺伝子にはhACTBを用い、PBS投与群の値を100%としhHPRTのmRNA量を算定した。hACTBのプローブおよびプライマーは、試験例2と同じものである。その結果、PBS投与群に対して、実施例13投与群のhHPRT残存量は17%であった。一方、RNAiMAXは109%であった(表13)。この結果より、本発明の化合物を用いることにより、siRNAを血球系細胞に導入できることが明らかとなった。
【0142】
【表13】
【0143】
試験例6:Luciferaseのin vivo発現試験
動物は日本クレア株式会社から購入した雌のBALB/cマウスを使用した。6週齢で納入した後に通常飼育で約3週間馴化させ、実施例14または実施例15で透析を行った後の分散液(Fluc mRNAとして0.25 mg/kg)を尾静脈投与した(N=2)。6時間後に、Isoflurane麻酔下でD-luciferin (15 mg/ml)を 200 μl 腹腔内投与し、D-luciferin 投与10分後にin vivo imaging system (IVIS、Caliper)を用いて全身の発光を観測し、発光量の平均値を算出した。結果を表14に示す。この結果より、本発明の化合物を用いることにより、mRNAを、in vivoにおいて導入できることが明らかとなった。
【0144】
【表14】
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明の化合物、脂質粒子または組成物は、種々の細胞、組織または臓器に対し効率的に核酸を導入することを可能にする。したがって、本発明の化合物、脂質粒子または組成物は、核酸医薬におけるDDS技術として利用可能である。また、本発明の化合物、脂質粒子または組成物は、研究用核酸導入試薬としても利用可能である。
【0146】
本出願は、日本で出願された特願2014−161718を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含される。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]