特許第6588009号(P6588009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許65880091つの支持体に共に配置された、可動部材を備える複数の機械の運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588009
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】1つの支持体に共に配置された、可動部材を備える複数の機械の運転方法
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/28 20060101AFI20191001BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20191001BHJP
   B07B 1/42 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   B07B1/28 Z
   F16F15/02 A
   B07B1/42 Z
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-514408(P2016-514408)
(86)(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公表番号】特表2016-525931(P2016-525931A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】EP2014060520
(87)【国際公開番号】WO2014187891
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2017年5月19日
(31)【優先権主張番号】13169177.6
(32)【優先日】2013年5月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】オスカー シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ローゼンベアガー
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−069548(JP,A)
【文献】 特開2009−291772(JP,A)
【文献】 特表2005−534471(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0206672(US,A1)
【文献】 特開2000−079372(JP,A)
【文献】 特開2007−154980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00 − 15/00
F16F 15/00 − 15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの建物の床(32)に共に配置された、可動のふるい(12)を備える複数の振動式及び/又は揺動式のふるい機(10)の運転方法であって、前記ふるいを、それぞれ実質的に同じ周波数で周期的に運動させる方法において、
1つの前記ふるい機(10)の振動(40)の位相を、1つの別の前記ふるい機(10)の振動(42)の位相に対して、互いの位相をずらすことにより、構造体部分の振動の振幅が予め設定された最大値未満に留まるように制御し、前記構造体部分は、複数の前記ふるい機(10)が配置された前記床(32)であり、前記床(32)の振動の振幅を測定して、各ふるい機(10)の振動の位相を相互に制御し、前記最大値を下回る、予め設定された限界値を超過した場合には、1つの前記ふるい機(10)の振動の位相を変更する、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
複数の前記ふるい機(10)は、前記床(32)に振動が減衰されるように配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1つの前記ふるい機(10)の振動(40,42)の位相は、該ふるい機(10)の運動の周波数を一時的に高めるか、又は低下させることによって制御される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
1つの前記ふるい機(10)の運動周波数の変更は、周波数変換器(24)を制御することにより行われる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
複数の前記ふるい機(10)の振動の位相を測定して、各ふるい機(10)の振動の位相を相互に制御する際に考慮する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
各ふるい機(10)毎に目標位相を予め設定し、1つの前記ふるい機(10)の振動(40,42)の位相を前記目標位相に制御し、このとき、前記目標位相はそれぞれ、前記床(32)の振動が最小化されるように選択される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
2つの前記ふるい機において位相を制御し、第1のふるい機の前記目標位相は0(0°)であり、第2のふるい機の前記目標位相は、前記第1のふるい機に対する前記第2のふるい機の振動伝播時間から生じる位相差を差し引くとπ(180°)である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ふるい機(10)の相互間隔、前記ふるい機(10)の相互配置形式、前記ふるい機(10)の振動減衰部(34)、前記床(32)の減衰、前記床(32)と前記ふるい機(10)との共振周波数、前記ふるい機(10)の運動の目標周波数、又はこれらのパラメータの少なくとも2つの組合せを考慮して、予め設定される前記目標位相を、数値的又は分析的に算出する、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記ふるい機(10)の運動の制御は、前記床(32)又は前記ふるい機(10)の共振周波数に相当する周波数を回避しつつ行われる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
2〜36の前記ふるい機(10)を同時に運転する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
当該方法は、プログラマブルロジックコントローラ(30)を用いて実施する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記ふるい機(10)により、ポリマー、砂、砂利、茶葉又はハーブ、又はスパイスを処理する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの支持体に共に配置された、可動部材を備える複数の機械の運転方法に関するものであり、この場合、前記可動部材はそれぞれ、実質的に同じ周波数で周期的に運動させられる。
【0002】
このような機械の一例が、揺動式ふるい機である。揺動式ふるい機は、1つ又は互いに上下に配置された複数のふるいを備えたふるい構造体を有している。この場合、ふるい構造体のふるいは、ふるいカバーとも呼ばれ、典型的な揺動式ふるい機は、1つから6つのふるいカバーを有している。ふるい分けられるべき材料は、上方からふるい構造体に供給されて、ふるい構造体を通り抜け、このときに残留する材料粒群は、各ふるいカバーを通過することにより一層微細になり、比較的粗い粒群が、徐々に分離される。この場合、ふるい構造体を通る材料の移動は、ふるい構造体の運動により支援される。このために揺動式ふるい機では、ふるい構造体がフレームに取り付けられていて、モータを介して運動させられるようになっている。この場合、ふるい構造体は、モータによって駆動される回転軸に偏心体を介して結合されているように、フレームに配置されている。偏心体に基づき、回転軸と、ふるい構造体の対称軸線との間にずれが生じる。付加的にフレームは、ふるい構造体が回転軸に対して傾斜させられるように形成されていてもよい。この配置形式に基づき、ふるい構造体は、回転軸が駆動されると、強制的に揺動運動させられる。この運動は周期的であり、周期時間は、回転軸が1回転する時間に等しい。この場合、ふるい分けられるべき材料は、この材料が供給されるふるい構造体の中心を起点とする楕円運動を行う。この場合、ふるい構造体内での材料の滞留時間は、偏心体の変位や、ふるい構造体の傾斜角の変更により、調整可能である。
【0003】
このような形式の揺動式ふるい機は、例えば独国特許第19900905号明細書から公知である。ここに記載された揺動式ふるい機は、モータを介して回転可能なベースプレートと、その上に配置された、傾斜角度を変更可能なフットプレートとを有している。フットプレートは、別の調節手段により、ベースプレートに対してずらすことができる。フットプレートにはオフセットピンが配置されており、オフセットピンは、支持装置によって保持されたふるい構造体と回動可能に結合されており、ふるい構造体は、ベースプレートが回転すると、揺動運動若しくは振動及び放物運動を行う。
【0004】
ふるい機の揺動運動により生じる振動は、床、延いては機械が設置されている建物に伝達される。これらの振動は、建物に強力な負荷を加えて、建物に亀裂又は別の損傷を生ぜしめる恐れがある。このことは特に、機械を建物の一階に設置することができない場合に問題となる。建物の振動は、高さが高くなるにつれてより大きくなるからである。よって、ふるい機により惹起される床若しくは建物の振動を最小限に抑えることが必要である。
【0005】
カウンタウェイトを設けることにより、機械の振動の振幅若しくは強さを低減させることが試みられる一方で、他方では、機械を減衰基台上に配置することも多い。減衰基台は、床若しくは建物に対する機械の振動の伝達を低減させるものである。しかしながら、振動の完全な抑制は不可能である。
【0006】
建物若しくは建物部分内に単一の機械しか配置されない場合には、この機械の運動若しくは振動を測定することにより、建物の予想され得る負荷を容易に推測することができる。建物部分の振動の振幅は、機械の運動周波数が建物の共振周波数若しくは固有周波数に相当しないように選択されている限りは、常に機械の振動よりも小さくなっている。周期的な運動の周波数は、この運動の周期時間の逆数に相当する。機械の運動の周波数として建物の共振周波数を選択した場合には、建物の振動の振幅が増幅され、場合によっては機械の振動の振幅をも超過し、これにより建物に著しい損傷が生じる恐れがある。よって機械の目標運動周波数は一般に、建物の共振周波数若しくは固有周波数に相当しないように選択される。
【0007】
建物若しくは建物部分内に複数の機械が配置されると、発生した複数の振動が重なり合う。この場合、重なり合った振動の最大振幅は、個々の振動の最大振幅の和に等しい。この場合、重なり合った振動の実際の振幅は、個々の振動の振幅のみならず、その周波数や互いの位相位置にも左右される。例えば2つの同形式の機械が同一周波数で運転されると、これらの機械は同じ周波数及び振幅の振動を生ぜしめ、建物の振動の強さは、機械の運動が同位相であるか、又は逆位相であるかに左右されることになる。機械の運動が同位相である、即ち位相差が0である、若しくは弧度で2πの整数倍である場合には、その結果生じる、重ね合わされた振動の振幅は最大であり且つ個々の振動の振幅の和に等しくなっている。これに対して機械の運動が逆位相である、即ち位相差がπである、若しくは弧度で(2n+1)πである(nは整数)場合には、結果的に生じる振動の振幅は最小であり且つ個々の振動の振幅の差に等しくなっている。
【0008】
一般に、各機械の運動は互いに独立して制御且つ駆動されるので、これらの運動の位相位置は原則として偶然のものであり、特に機械の数が比較的多い場合には、建物に作用する重なり合った振動は、理論上可能な最大振幅未満である、ということから出発することができると考えられる。
【0009】
しかしながら、これにより一方では、2つ又は3つ以上の機械の偶然的な同位相の運動は排除されず、他方では、これらの機械の運動が、共通の床を介した各機械の弱い連結に基づき同期することがある。この作用は、弱く連結された複数の発振器の同期化として知られている。
【0010】
更に、機械の運動の位相は、変動する作業負荷に基づき、ずれることがある。例えば揺動式ふるい機の運動の位相は、ふるい分けられるべき材料の供給に基づき、ずれることがある。
【0011】
よって本発明の課題は、複数の機械により建物部分に伝達される振動の振幅を低減させることのできる、1つの支持体に共に配置された、周期的に運動させられる構成部材を備える複数の機械の運転方法を提供することにある。
【0012】
この課題は、1つの支持体に共に配置された、可動部材を備える複数の機械の運転方法であって、前記可動部材を、それぞれ実質的に同じ周波数で周期的に運動させ、1つの機械の振動の位相位置を、1つの別の機械の振動の位相位置に対して、互いの位相位置をずらすことにより、構造体部分の振動の振幅が予め設定された最大値未満に留まるように制御する方法によって解決される。
【0013】
構造体部分とは、内部に機械が配置されている建物の個々の部分と、機械を取り付けることのできるスタンド、フレーム及びホルダの、両方を意味する。複数の機械が共に配置された支持体もやはり、1つの構造体部分であり且つ建物、スタンド、フレーム又はホルダの一部であってよい。
【0014】
構造体部分の振動に関して予め設定される最大値は、計算又はテストに基づき、構造体の損傷が回避され得るように決定される。構造体としての建物の場合、予め設定される最大値は、例えば壁又は床における亀裂の発生を確実に回避することができるように選択される。更に1つの実施形態では、1つ又は複数の構造体部分の振動が最小化されるように位相位置を制御することが考えられる。
【0015】
前記方法の1つの実施形態では、その振動が予め設定された最大値未満に留まるべき構造体部分は、機械が配置されている支持体である。支持体は特に、建物の床、或いはスタンド、フレーム又はホルダの部分であってよい。
【0016】
支持体としての建物の床の場合、床は、特に機械が建物の最も下の階に配置されていない場合に、激しい振動、即ち大きな振幅を伴う振動を行う可能性があり、このことは、亀裂の発生につながる恐れがある。更に、床はこれらの振動を別の建物部分、別の構造体部分、又は建物の別の設備に伝達する恐れがあるので、これらの理由からも、床の振動を制限することは有利である。
【0017】
前記方法の別の実施形態では、機械を支持体に、振動が減衰されるように配置する。
【0018】
振動が減衰されるような機械の配置は、位相位置の制御に加えて更に、機械から建物に伝達される振動を低減させる別の手段を成すものである。この場合、一般に高い機械の重量に基づいて、各機械をそれぞれ1つの専用の基台に配置することが好適である。適当な基台は、例えばコンクリート中に鋳込まれた複数の鋼板から成り、この場合、基台と機械との間に減衰板が挿入される。場合によっては、減衰板と機械との間に、更に負荷分散板が挿入され、これにより減衰板が、機械の重量により点状ではなく、大面積にわたって分散されて負荷されるようになっている。減衰板は、好適には弾性材料から成っており、この場合、材料の厚さ及び硬さは、振動減衰が最大になるように選択される。この選択の基礎としては、例えば振動系の有限要素シミュレーションを用いることができる。
【0019】
前記方法の1つの実施形態では、1つの機械の振動の位相を、1つの別の機械に対してずらすことにより、位相位置の制御を行い、この場合、1つの機械の運動の位相位置は、当該機械の運動の周波数を一時的に高めるか、又は低下させることによってずらされる。
【0020】
1つの機械の振動の、1つの別の機械に対する位相差は、位相角によって表すことができ、この場合、弧度でπの角度差がある場合には、各振動の向きは正反対であり、角度差が0の場合には、運動の向きは同じである。例えば2つの機械が円運動を行った場合に、一方の機械のアンバランス体により振動が惹起されると、角度差が0(0°)の場合には、各アンバランス体は同じ方向を指し、角度差がπ(180°)の場合には、逆方向を指す。この角度差は、2つの機械のうちの一方の運動周波数を一時的に上げるか、又は下げることにより、変更可能である。僅かに上げた場合には、例えば一方の機械のアンバランス体が他方の機械のアンバランス体よりも速く回転し、これに相応して位相角の差も変化する。周波数上昇開始時の角度差が0であると仮定すると、一方の機械の運動は徐々に、他方の機械の運動に先行する。所望の角度差、例えばπに達すると、運動は逆になり、速度若しくは周波数は再び適合され、この差は、運動周波数が全く同じであるという条件下で保たれ続ける。
【0021】
好適には、位相位置を制御するためには、一方の機械の運動周波数がごく僅かにのみ、変化させられ、これにより、機械を作動させるプロセスパラメータが、可能な限り安定的に保たれる。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、複数の機械が、周波数変換器を介して制御される1つの電気的な駆動装置によって運転される。この場合、1つの機械の運動周波数の変更は、周波数変換器を制御することにより行われる。機械内に設けられる別の制御コンポーネントは、この実施形態では不要である。
【0023】
本発明の1つの実施形態では、1つの構造体部分及び/又は複数の機械の振動の振幅及び/又は位相が測定されて、各機械の振動の位相位置を相互に制御する際に考慮される。
【0024】
例えば、各機械には、運動の目下の周波数を測定可能な回転数センサが配置されていてよい。例えばこの回転数センサは、回転軸のマーキングを監視し且つ各回転毎に1つのパルスを送信するキーフェーザーとして形成されている。この回転数センサによって、基本的には機械の運動の位相位置をも求めることができる。センサからのパルスは常に、回転軸の同じ向きにおいて送信されるからである。但し、この位相は必ずしも、機械から発生して支持体に伝達された振動の位相とは一致しない。振動の位相は、例えば円運動の場合にはアンバランス体の位置に左右され、アンバランス体の移動時に変化する。好適には、回転数の測定は、各機械の運動周波数の測定若しくは監視に用いられる。
【0025】
更に、機械の範囲、又は支持体若しくは構造体部分における別の箇所に、加速度センサを配置することができ、この加速度センサの信号から、振動振幅と、振動振幅の時間的な推移を導出することができる。時間的な推移からは、例えば最大値と最小値とを検出することにより、位相位置を推測することができる。特に建物の振動を測定するために、加速度センサは建物の床に配置されてよい。
【0026】
前記方法の1つの実施形態では、支持体の振動の振幅を測定し、構造体部分の振動に関して予め設定された最大値を下回る、予め設定された限界値を超過した場合には、1つの機械の運動の位相位置を変更する。
【0027】
限界値は、僅かに超過した場合でも振動の損傷作用を未だ確実に排除することができ、且つ予め設定された最大値未満であるように、予め設定される。この限界値の超過が検出されると、例えば2つの機械がそれぞれ同じ位相位置の振動を、支持体又は別の構造体部分に伝達していることになるので、一方の機械の運動の位相位置が変更される。このためには、一方の機械の運動周波数が僅かに上げられるか、又は下げられる。支持体の振動の測定された振幅が再び限界値未満に下がると、運動周波数は再び本来の値に調整されて、安定的に保たれる。運動周波数の変更により、各機械の運動の位相位置が相互に変化すると共に、一方の機械の、他方の機械に対するアンバランス体の位置も変化させられる。
【0028】
この方法の実施形態は特に、機械内でのアンバランス体の位置が変化し得る場合に有利である。制御用にアンバランス体の正確な位置が知られている必要もなく、一定である必要もないからである。アンバランス体の位置は、例えば処理されるべき材料を機械に供給することにより、変化され得る。
【0029】
前記方法の更に別の実施形態では、各機械毎に目標位相位置を予め設定し、1つの機械の振動の位相位置を目標位相位置に制御し、この場合、各目標位相位置は、構造体部分の振動が最小化されるように選択する。
【0030】
この実施形態では、各機械に設けられたアンバランス体の位置が、運転中に全く又は僅かにしかずれず、延いては床に伝達される振動の位相位置が常に、機械の運動の位相位置に対して固定的な関係にあると有利である。
【0031】
この制御方式に関しては、アンバランス体の位置を求める必要はない。この位置は、機械の振動の測定に基づき導出可能である。検出された位相位置が、予め設定された目標位相位置と相違している場合には、既に説明したように、当該機械の運動周波数を僅かに上昇又は低下させる。目標位相位置に到達すると、本来の運転周波数が再調整される。
【0032】
2つの機械において位相位置を制御する本発明の更に別の実施形態では、第1の機械の目標位相位置を0(若しくは0°)に確定し、第2の機械の目標位相位置を、第1の機械に対する第2の機械の振動伝播時間から生じる位相差を差し引いてπ(若しくは180°)に確定する。
【0033】
位相差の設定時に振動伝播時間を考慮することにより、個々の振動の位相が、振動伝播時間に起因する位相ずれにも関わらず、正反対の向きで生ぜしめられる、ということが達成される。
【0034】
前記方法の更に別の実施形態では、予め設定される目標位相位置を、数値的又は分析的に算出し、この場合、機械の相互間隔、機械の相互配置形式、機械の振動減衰部、床の減衰、構造体部分と機械との共振周波数、機械の運動の目標周波数、又はこれらのパラメータの少なくとも2つの組合せが考慮される。
【0035】
例えば算出には、有限要素シミュレーションに基づく数値法が適している。
【0036】
前記方法の1つの実施形態では、機械の運動の制御は、構造体部分又は機械の共振周波数に相当する周波数を回避しつつ行われる。
【0037】
1つの機械が、構造体部分又は1つの機械の共振周波数に相当する運動周波数で運転された場合には、この構造体部分若しくは機械に対して、大きな振幅の振動が伝達される恐れがある。よって一方では機械の目標運転周波数を、いずれの共振周波数にも相当しないように設定し、且つ他方では、例えば位相位置を変更するために運動周波数を上昇又は低下させる場合にもやはり、生ぜしめられる周波数を、いずれの共振周波数にも相当しないように選択する。
【0038】
前記方法の1つの実施形態では、当該方法により2〜36の機械が同時に運転される。
【0039】
本発明の1つの実施形態では、前記方法は、プログラマブルロジックコントローラを用いて実施される。このプログラマブルロジックコントローラ(PLC)は、全ての機械及びセンサに接続される。この場合、センサの入力値に関連してPLCにより、必要とされている制御手段の有無及び種類が決定され得る。場合によりPLCは、構造体部分の振動の予め設定した最大値の超過に際して、接続された機械のうちの1つ又は複数の遮断をも行うように形成されていてもよい。
【0040】
本発明の1つの実施形態では、前記方法により運転される複数の機械は、振動式及び/又は揺動式のふるい機であり、前記可動部材は、これらの機械の可動のふるいである。
【0041】
前記方法の1つの実施形態では、ふるい機により、ポリマー、例えばポリアクリレート、砂、砂利、茶葉、又はスパイスが処理される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】1つの支持体に共に配置された2つのふるい機を示す図である。
図2】2つの同位相の振動の振幅と、これらの振動の和を示す図である。
図3】2つの逆位相の振動の振幅と、これらの振動の和を示す図である。
【0043】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。
【0044】
図1には側方から見た2つの揺動式ふるい機が示されており、これらの揺動式ふるい機は、共に1つの支持体上に配置されている。
【0045】
図1に示す2つの揺動式ふるい機10は、共に支持体としての床32に配置されている。揺動式ふるい機10はそれぞれ、ふるい構造体11を有しており、ふるい構造体11は、図1に示した実施形態では2つのふるい12を有している。ふるい構造体11は、その上に配置された材料供給部14を有しており、材料供給部14を介して、ふるい分けられるべき材料を投入することができる。材料は、ふるい構造体11を上から下に通り抜け、このときに材料の複数の部分が、それぞれふるい12によって分離される。分離された個々の粒群は、側方に配置された3つの出口箇所16を介して取り出すことができるようになっており、この場合、粒群は、各ふるい12を通り抜けることにより、より一層微細になる。ふるい構造体11は、複数のホルダ35を介して支持される。
【0046】
材料搬送を支援するために、ふるい構造体11を揺動させることができる。このためにふるい構造体11は、回動可能なホルダ25を介して偏心体26と結合されている。偏心体26もやはり、駆動軸18を介して回動させられる。図示の実施形態では、駆動軸18に回転数センサ27が配置されており、回転数センサ27は、1回転毎に1つのパルスを制御装置30に送信する。駆動軸18は、ベルト20を介して電動モータ22に接続されており、この電動モータ22によって駆動される。電動モータ22は、周波数変換器24を介して制御され、この場合、周波数変換器24は、制御装置30と接続されている。
【0047】
ふるい構造体11が行う運動は周期的であり、周期時間は、駆動軸18が1回転する時間に等しい。このとき、材料供給部14において最も上側のふるい12に供給される、ふるい分けられるべき材料は、ふるい構造体11の中心を起点とする楕円運動を行う。この場合、ふるい構造体11内での材料の滞留時間は、偏心体26の変位や、ふるい構造体11の傾斜角及び運動の周期時間若しくは周波数の変更により、調整可能である。
【0048】
ふるい構造体11の運動に際しては、振動が発生する。ふるい構造体11は含有している材料に基づき、決して完全には均衡を保つことができないからである。これらの振動は、ホルダ35と駆動軸18とを介して床32に伝達される。しかしながら、床32の振動は望ましくない。振動により、床32は大きな負荷に晒されることになり、振動は、場合によっては別の建物部分等の別の構造体部分、又は別の機械に伝達される恐れがあるからである。よって減衰用に減衰基台34が、床32と揺動式ふるい機10との間に配置される。
【0049】
減衰基台34による減衰にもかかわらず、揺動式ふるい機10の振動の複数部分が常に床32に伝達される。床32のこれらの振動は、やはり制御装置30と接続されたセンサ29を介して監視することができる。制御装置30には更に、床32の振動の強さ若しくは振幅に関する限界値が記録され、この限界値を超過した場合には介入が行われる。このような超過は、両方の揺動式ふるい機10の個々の振動が同位相であり、これにより床32の振動の振幅が増大していることを示唆するものである。
【0050】
床32の振動の予め設定された限界値を超過すると、モータ22を制御する周波数を変更するために、制御装置30によって双方の周波数変換器24のうちの一方が制御される。例えば、周波数が上げられる。これにより、当該揺動式ふるい機10のふるい構造体11が行う運動が加速させられる。今や、当該機械10のアンバランス体の回転は、他方の機械10の回転よりも速くなっており、その時々の振動の位相角の差は、相応して変化する。周波数増大開始時に、双方の振動の角度差が0であると仮定すると、一方の機械10の運動は徐々に、他方の機械の運動に先行する。所望の角度差、例えばπに達すると、各運動は逆になり、速度若しくは周波数は再び適合され、この差は、各運動周波数が全く同じであるという条件下で保たれ続ける。制御装置30による介入が行われると、両方の揺動式ふるい機10の振動は逆位相になり、総振動の振幅が大幅に減少されて、理想的な条件下では0になるはずである。
【0051】
別の実施形態では、制御装置30は、各機械10の振動の位相を、各機械10に配置された加速度センサ28の測定値からも導き出すことができる。次いで制御装置30は、運動周波数の一時的な上昇又は低下により、床32の振動が最小限に抑えられるように、振動の位相を調整することができる。これらの最適な位相は、例えば予め、有限要素シミュレーションを介して求めて、やはり制御装置30に記録することができる。
【0052】
図2には、2つの同位相の振動の振幅と、これらの振動の和が示されている。
【0053】
図2に示した線図では、Y軸線上に振動の振幅が示されており、X軸線上に時間が示されている。曲線40,42で、例えば基台で測定された2つの揺動式ふるい機10の、その時々の各振動が示されている。双方の振動の間の位相差は0なので、振幅が加算され、総振動44は、一方の機械の振動の振幅の2倍の高さの振幅を有している。より良好に図示するために、Y軸線上の各曲線は、互いにずらして示してある。
【0054】
図3には、2つの逆位相の振動の振幅と、これらの振動の和が示されている。
【0055】
図3に示した線図では、Y軸線上に振動の振幅が示されており、X軸線上に時間が示されている。曲線40,42で、例えば基台で測定された2つの揺動式ふるい機10の、その時々の各振動が示されている。図示の状態では、双方の振動の間の位相差はπなので、振動は逆向きになっている。よって総振動44では、双方の個別振動が互いに打ち消し合った結果、振幅は一定して0である。より良好に図示するために、Y軸線上の各曲線は、互いにずらして示してある。
【符号の説明】
【0056】
10 揺動式ふるい機、 11 ふるい構造体、 12 ふるい、 14 材料供給部、 16 出口箇所、 18 駆動軸、 20 ベルト、 22 モータ、 24 周波数変換器、 25 回動可能なホルダ、 26 偏心体、 27 回転数センサ、 28 加速度センサ若しくは振動測定器(機械)、 29 振動センサ(床)、 30 制御装置、 32 床、 34 基台、 35 ホルダ、 36 軸線、 40 第1の機械のみの振動、 42 第2の機械のみの振動、 44 総振動、 46 差、 A 振幅、 t 時間
図1
図2
図3