【実施例】
【0043】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0044】
なお、実施例及び比較例で用いた各種材料を以下に示す。
<炭化水素>
・ケロシン:和光純薬工業株式会社製、密度=0.8g/cm
3
・原油:石油資源開発製、密度=0.8g/cm
3
<含硫黄化合物>
・n−ブチルメルカプタン(BuSH):和光純薬工業株式会社製、密度=0.83g/cm
3
・エチルメルカプタン(EtSH):和光純薬工業株式会社製、密度=0.84g/cm
3
<アルデヒド>
・セネシオアルデヒド(SAL):特開昭60−224652号公報に記載の方法に準じ、プレノールから合成したもの(純度:98.1質量%)、密度=0.87g/cm
3
・アクロレイン:東京化成工業株式会社製、純度>95質量%、安定剤としてヒドロキノン含有、密度=0.84g/cm
3
・シトラール:特開昭52−148009号公報に記載の方法に準じ、プレノールから合成したもの(純度:97.0質量%)、密度=0.89g/cm
3
<アミン>
・1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU):和光純薬工業株式会社製、pKa=11.5、密度=1.02g/cm
3
・1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG):和光純薬工業株式会社製、pKa=13.6、密度=0.92g/cm
3
・トリエチルアミン:和光純薬工業株式会社製、pKa=10.8、密度=0.73g/cm
3
・N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA):和光純薬工業株式会社製、pKa=9.1、密度=0.83g/cm
3【0045】
<溶媒>
・ソルベントナフサ:三協化学株式会社製(ソルベント#100)、密度=0.88g/cm
3
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:和光純薬工業株式会社製、密度=0.94g/cm
3
・ラウリン酸メチル:和光純薬工業株式会社製、密度=0.87g/cm
3【0046】
(実施例1)
100mLの三口フラスコに、ケロシンを50mL加え、そこにBuSHを50μL(1000体積ppm、0.46mmol)添加し、含硫黄化合物を含むケロシン溶液を得た。
次に、上記ケロシン溶液に、SALを250μL(2.59mmol)、DBUを250μL(1.71mmol)添加し、該溶液を、室温(20℃±5℃、以下においても同じである。)で、800rpmにて撹拌して、含硫黄化合物の除去反応を行った。
反応1日後に、三口フラスコ内の液相部のメルカプタン濃度を測定したところ、メルカプタン濃度は122体積ppmであり、除去率は88%であった。
【0047】
なお、液相部のメルカプタン濃度は、ガスクロマトグラフィー分析により、検量線法で測定した。ガスクロマトグラフィー分析は、以下の条件で行った。
(ガスクロマトグラフィー分析)
分析機器:GC−SCD(アジレント・テクノロジー株式会社製)
検出器:SCD(化学発光硫黄検出器)
使用カラム:DB−sulfur SCD(長さ:60m、膜厚4.2μm、内径0.32mm)(アジレント・テクノロジー株式会社製)
分析条件:Inject.Temp.250℃、Detect.Temp.250℃
昇温条件:35℃(3分間保持)→(10℃/分で昇温)→250℃(15分間保持)
内部標準物質:硫化ジフェニル
【0048】
(比較例1)
アミンを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に含硫黄化合物の除去反応を行った。結果を表1に示す。
【0049】
(実施例2並びに比較例2及び3)
DBUに代えて表1に示すアミンをそれぞれ使用したこと以外は、実施例1と同様の含硫黄化合物の除去反応を行った。結果を表1に示す。
【0050】
(実施例3)
DBUの添加量を250μLから25μL(0.17mmol)に変更したこと以外は、実施例1と同様の含硫黄化合物の除去反応を行った。結果を表1に示す。
【0051】
(実施例4)
SALに代えてアクロレインを使用すると共に、反応時間を1日から2時間に変更したこと以外は、実施例3と同様の含硫黄化合物の除去反応を行った。結果を表1に示す。
【0052】
(比較例4)
アミンを使用せず、反応時間を2時間から1日に変更したこと以外は、実施例4と同様の含硫黄化合物の除去反応を行った。結果を表1に示す。
【0053】
(実施例5)
BuSHに代えてEtSHを使用したこと以外は、実施例3と同様の含硫黄化合物の除去反応を行った。結果を表1に示す。
【0054】
(実施例6)
ケロシンに代えて原油を使用したこと以外は、実施例3と同様の含硫黄化合物の除去反応を行った。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
(実施例7)
100mLの三口フラスコに、原油を50mL加え、そこにEtSHを30μL(596質量ppm、0.36mmol)添加し、含硫黄化合物を含む原油溶液を得た。
次に、上記原油溶液に、別途調製したSAL80質量%、DBU20質量%の組成からなる混合物を300μL(SALとして2.59mmol)添加し、該溶液を、室温で、800rpmにて撹拌して、含硫黄化合物の除去反応を行った。
反応7時間後に、三口フラスコ内の液相部のメルカプタン濃度を測定したところ、メルカプタン濃度は145質量ppmであり、除去率は76%であった。
【0057】
実施例1〜7で示されるように、アルデヒドと、pKa値が11.3以上のアミンとを併用した場合には、アルデヒド単独で用いる場合(比較例1及び4)、又はアルデヒドとpKa値が11.3未満のアミンとを併用した場合(比較例2及び3)に比べて、液体中のメルカプタン(含硫黄化合物)をより効率よく除去できることが確認された。
【0058】
(実施例8)
100mLの三口フラスコに、原油を50mL加え、硫化水素ガス(硫化水素99.99体積%)を10mL/minの流速で45分間流通させて、硫化水素を吸収した原油溶液を得た。上記原油溶液を、別の100mLの三口フラスコに移し、さらに原油で希釈して50mLとした。希釈後の原油溶液の液相部の硫化水素濃度は、465質量ppm(0.53mmol)であった。
次に、上記希釈後の原油溶液に、別途調製したSAL91質量%、DBU9質量%の組成からなる混合物を75μL(SALとして0.62mmol)添加し、該溶液を、室温で、三口フラスコ内を800rpmにて撹拌して、含硫黄化合物の除去反応を行った。
反応3時間後に、三口フラスコ内の液相部の硫化水素濃度を測定したところ、303質量ppmであり、除去率は35%であった。
なお、液相部の硫化水素濃度は、メルカプタン濃度の場合と同様に上記ガスクロマトグラフィー分析により、検量線法で測定した。
【0059】
実施例8で示されるように、アルデヒドと、pKa値が11.3以上のアミンとを併用した場合には、液体中の硫化水素の除去率にも優れることが確認された。
【0060】
(実施例9)
100mLの三口フラスコに、ケロシンを30mL加え、硫化水素1体積%、窒素99体積%の組成からなる混合ガスを50mL/minの流速で流通させ、800rpmで撹拌しながら三口フラスコ内の気体を置換した。1時間後に混合ガスの流通を止め、三口フラスコを密閉した後、三口フラスコ内の気相部の硫化水素濃度を測定したところ、8400体積ppmであった。
次に、上記ケロシン溶液に、別途調製したSAL90質量%、DBU10質量%の組成からなる混合物を1g(SALとして10.7mmol)添加した後、該溶液を、室温で、三口フラスコ内を800rpmにて撹拌して、含硫黄化合物の除去反応を行った。
反応30分後に三口フラスコ内の気相部の硫化水素濃度を測定したところ、0体積ppmであり、除去率は100%であった。
なお、気相部の硫化水素濃度は、北川式ガス検知管(光明理化学工業株式会社製の硫化水素ガス検知管をガス採取器「AP−20」に取り付けて使用)を用いて測定した。具体的には、まず、上記三口フラスコ内の気相部から、ガス試料を4mL採取し、これを空気96mLで希釈して、測定用サンプル100mLを調製した。次に、該測定用サンプルを、上記ガス採取器に流入し、1分後の上記ガス検知管の指示値を観察した。その後、該指示値に対して希釈倍率をかけて補正し、補正後の値を気相部の硫化水素濃度とした。
【0061】
(実施例10)
SAL90質量%、DBU10質量%の組成からなる混合物を、シトラール90質量%、DBU10質量%の組成からなる混合物(シトラールとして5.91mmol)に変更すると共に、反応時間を30分から1時間に変更したこと以外は、実施例9と同様の含硫黄化合物の除去反応を行った。
実施例10では、反応開始前の気相部の硫化水素濃度が4800体積ppmであり、反応1時間後、気相部の硫化水素濃度は140体積ppmであり、除去率は97%であった。
【0062】
実施例9及び10で示されるように、アルデヒドと、pKa値が11.3以上のアミンとを併用することで、液体及び気体中の硫化水素(含硫黄化合物)を効率よく除去できることが確認された。
【0063】
(参考例1)
9mLのサンプル管に、ケロシンを2g加え、SAL90質量%、DBU10質量%の組成からなる混合物を2gを添加し混合したところ、混合液の外観は均一であった。
【0064】
(参考例2)
ケロシンに代えてソルベントナフサを使用したこと以外は、参考例1と同様に評価した。得られた混合液の外観は均一であった。
【0065】
(参考例3)
ケロシンに代えてジエチレングリコールジメチルエーテルを使用したこと以外は、参考例1と同様に評価した。得られた混合液の外観は均一であった。
【0066】
(参考例4)
ケロシンに代えてラウリン酸メチルを使用したこと以外は、参考例1と同様に評価した。得られた混合液の外観は均一であった。
【0067】
(参考例5)
500mLのナスフラスコに、ジエチレングリコールジメチルエーテルを360g加え、SAL90質量%、DBU10質量%の組成からなる混合物を40gを添加し混合したところ、混合液の外観は均一であった。
【0068】
(参考例6)
参考例5で得られた混合液を室温にて7日間保管した後、ガスクロマトグラフィー分析にてSALの含有量を分析したところ、初期に対し残存量は97%であった。
【0069】
(実施例11)
250mLのガス洗浄瓶(焼結フィルター付き)に参考例5で得られた混合液を200mL加え、硫化水素0.1体積%、窒素99.9体積%の組成からなる混合ガスを100mL/minの流速で流通させた。流通1時間後、ガス洗浄瓶の出口の気相部の硫化水素濃度を測定したところ、7体積ppmであり、除去率は99%であった。
【0070】
参考例1〜6で示されるように、本発明の組成物がこれらの溶媒を含有していても均一な溶液が得られ、かつアルデヒドを劣化させることなく保管することができることが分かる。また、実施例11で示されるように、溶媒を添加した組成物であっても、含硫黄化合物の除去効率に優れることが分かる。