特許第6589435号(P6589435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6589435金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物及び樹脂成型物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589435
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物及び樹脂成型物
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/16 20060101AFI20191007BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20191007BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20191007BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20191007BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   C09D175/16
   C09D4/02
   C09D5/00 D
   B32B7/12
   B32B27/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-144612(P2015-144612)
(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2017-25192(P2017-25192A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年4月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福家 良美
(72)【発明者】
【氏名】八木 政敏
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−173743(JP,A)
【文献】 特開2011−168752(JP,A)
【文献】 特開2015−058595(JP,A)
【文献】 特開2005−146110(JP,A)
【文献】 特開2006−169412(JP,A)
【文献】 特開2008−019314(JP,A)
【文献】 特開2008−255228(JP,A)
【文献】 特開2011−140554(JP,A)
【文献】 特開2010−031152(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/075806(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A1)、並びに化合物(a1)及び化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A2)からなる群から選ばれる少なくとも2種のウレタン(メタ)アクリレート(A)成分、
少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する(A)成分以外のモノマー(B)成分、
ビニル系単量体の(共)重合体(C)成分、
光重合開始剤(D)を含み、
前記(A)成分として、前記化合物(a2)が下記式(1)で示されるポリオールであるウレタン(メタ)アクリレート(A1)を含み、
前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して、前記(A)成分が5〜25質量%、前記(B)成分が35〜60質量%及び前記(C)成分が30〜60質量%である金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物。
化合物(a1):イソシアネート基を少なくとも2つ有するイソシアネート
化合物(a2):ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、又は下記式(1)で示されるポリオール
式(1)において、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基を示し、m+nは0〜10である。
化合物(a3):水酸基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物
【請求項2】
樹脂成型物の少なくとも一部の表面に、請求項1に記載の被覆材組成物の硬化塗膜及び金属膜がこの順に積層されている樹脂成型物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆材組成物に関し、より詳しくは活性エネルギー線照射により平滑性、耐ハジキ性、及び金属膜に対する付着性に優れたアンダーコート層となる塗膜を形成せしめるのに使用される金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック樹脂は、生産性、成型性及び軽量化等の利点を有し、この樹脂の成型品の表面にアンダーコート層(プライマー層)を形成し、その上にイオン化蒸着やスパッタリング等の金属化処理により金属膜を形成した成型品として、装飾品や家電製品等の分野において極めて広汎に利用されている。
【0003】
特許文献1及び2には、このような金属化処理に用いられるアンダーコート層の形成方法として紫外線を用いて硬化させる方法が記載されている。この方法は他の方法に比べて生産性に優れている利点があり、広く普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−87274号公報
【特許文献2】特開2012−77273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載の組成物を硬化して得られた硬化塗膜は耐ハジキ性が不十分という問題があった。
【0006】
本発明の目的は平滑性、耐ハジキ性、及び金属膜に対する付着性に優れた硬化塗膜を形成できる金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物、及びこの組成物の硬化塗膜及び金属膜がこの順に積層された樹脂成型物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、金属化処理用アンダーコート層形成用被覆組成物に特定のウレタン(メタ)アクリレートを特定量配合することにより、その硬化塗膜の平滑性、耐ハジキ性及び金属膜に対する付着性が向上することを見出し本発明に至った。
【0008】
本発明は次の[1]及び[2]である。
【0009】
[1] 下記の化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A1)、並びに化合物(a1)及び化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A2)からなる群から選ばれる少なくとも2種のウレタン(メタ)アクリレート(A)成分、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する(A)成分以外のモノマー(B)成分、ビニル系単量体の(共)重合体(C)成分、光重合開始剤(D)を含み、前記(A)成分として、前記化合物(a2)が下記式(1)で示されるポリオールであるウレタン(メタ)アクリレート(A1)を含み、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して、前記(A)成分が5〜25質量%、前記(B)成分が35〜60質量%及び前記(C)成分が30〜60質量%である金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物。
【0010】
化合物(a1):イソシアネート基を少なくとも2つ有するイソシアネート
化合物(a2):ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、又は下記式(1)で示されるポリオールであって、化合物(a3)以外のポリオール
【0011】
【化1】
式(1)において、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基を示し、m+nは0〜10である。
【0012】
化合物(a3):水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物
【0013】
[2]樹脂成型物の少なくとも一部の表面に、前記[1]に記載の被覆材組成物の硬化塗膜及び金属膜がこの順に積層されている樹脂成型物。
【発明の効果】
【0014】
本発明の金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物は、活性エネルギー線を照射することにより短時間で硬化し、その硬化塗膜は平滑性、耐ハジキ性、及び金属膜に対する付着性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書における「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及び/又は「メタクリロイル」を、「(メタ)アクリロニトリル」とは「アクリロニトリル」及び/又は「メタクリロニトリル」を、「(共)重合」とは「単独重合」及び/又は「共重合」を意味する。
【0016】
[(A)成分]
本発明の金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物(以下、本組成物という。)に配合されるウレタン(メタ)アクリレート(A)成分は、下記の化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A1)、並びに化合物(a1)、化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレートである。この(A)成分は、本組成物の硬化塗膜(以下、単に塗膜という。)に耐ハジキ性を付与する。
【0017】
[化合物(a1)]
化合物(a1)は、イソシアネート基を少なくとも2つ有するイソシアネートである。この化合物(a1)は、塗膜に可撓性を付与する。
【0018】
化合物(a1)としては、従来からウレタン(メタ)アクリレートの製造に使用されているものが使用できる。例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート;これらのビューレット体、アロファネート体等が挙げられる。
【0019】
これらの中でも、塗膜に優れた靭性を付与できることから、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートイソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族骨格のジイソシアネートが好ましい。
【0020】
(A)成分の合成には、化合物(a1)として1種の化合物を単独で、又は2種以上の化合物を併用して用いることができる。
【0021】
[化合物(a2)]
化合物(a2)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、又は前記式(1)で示されるポリオールであって、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールは後述する化合物(a3)以外の化合物である。この化合物(a2)は、塗膜に耐ハジキ性を付与するものである。
【0022】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1−メチルブチレングリコール等を使用できる。
【0023】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;これら多価アルコール類とコハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸又はこれら多塩基酸の酸無水物との反応によって得られるポリオール等を使用できる。
【0024】
前記式(1)で表わされるポリオールとしては、例えば、市販の各種多価アルコールを使用できる。その具体例としては、ビスフェノールA、並びにビスフェノールAにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリオールが挙げられる。このポリオールのアルキレンオキサイドの付加数(すなわちmとnの合計)は、本組成物の硬化性が良好となるので0〜10である。特にその付加数が2〜6の場合は塗膜の強伸度がさらに向上する。
【0025】
(A)成分の合成には、ポリオールとして化合物(a2)と、その他のポリオールを併用することもできる。その他のポリオールの具体例としては、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;これら多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテル変性ポリオール;これら多価アルコールと、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール;これら多価アルコール及び多塩基酸と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトンとの反応によって得られるカプロラクトン変性ポリエステルポリオール;1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリメチルヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等のジオール類と、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとのエステル交換反応により得られるポリカーボネートジオール;ポリブタジエングリコールが挙げられる。これらの中でも、多価アルコールは、本組成物の硬化性が良好となるので好ましい。
【0026】
[化合物(a3)]
化合物(a3)は、水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。この化合物(a3)は、その水酸基が化合物(a1)又は化合物(a1)から得られたイソシアネート基を有する中間体化合物のイソシアネート基とウレタン結合を形成し、(A)成分に(メタ)アクリロイルオキシ基を導入できるものであればよい。
【0027】
化合物(a3)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートや、これら(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物が挙げられる。(A)成分の合成には、化合物(a3)を1種単独で、又は2種以上を併用して使用できる。これらの中でも、低い粘度の(A)成分が得られることから、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0028】
[(A)成分の合成法]
化合物(A)の合成法は、特に限定されず、例えば従来から知られるウレタン(メタ)アクリレート合成法を使用できる。具体的な合成法としては、例えば、フラスコ内に、化合物(a1)にあたるジイソシアネートを2モル仕込み、更にジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒をジイソシアネートとジオールの合計質量に対して50〜300ppmを混合し、フラスコ内の温度を40〜60℃に保ちながら、滴下ロートを用いて化合物(a2)にあたるジオール1モルを2〜4時間かけて滴下して、ウレタンプレポリマーを得る。その後、得られたウレタンプレポリマー末端に残存するイソシアネート基に当量の水酸基を有する化合物(a3)にあたる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを滴下し、60〜85℃で付加反応させればよい。その反応終点は、残存するイソシアネート基を定量することで判定できる。終点の反応率は、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。
【0029】
[(A)成分の配合割合]
ウレタン(メタ)アクリレート(A)成分の配合割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して5〜25質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。(A)成分の配合割合の範囲の下限値は、硬化塗膜の平滑性、耐ハジキ性を良好にする点で意義がある。また上限値は、金属膜との付着性を良好にする点で意義がある。
【0030】
[(B)成分]
(B)成分は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する(A)成分以外のモノマーである。(B)成分は、塗膜の要求性能に応じて適宜選択すればよい。
【0031】
(B)成分として使用できる1個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有炭化水素骨格を有する(メタ)アクリレート;2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−イソブチル−2−メチルアクリレート等の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチルオキシエチル(メタ)アクリレート等の環骨格を有する(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有炭化水素骨格を有する(メタ)アクリレート;ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;アクリロイルモルフォリン等の複素環を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0032】
(B)成分として使用できる2個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート等の環骨格を有するジ(メタ)アクリレート;ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等のイソシアヌル酸骨格を有するジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン骨格を有するジ(メタ)アクリレート;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11−ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13−トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート等の炭化水素骨格を有するジ(メタ)アクリレート;トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエーテル骨格を有するジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0033】
(B)成分として使用できる3個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有するトリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン骨格を有するトリ(メタ)アクリレート;トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸骨格を有するトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
(B)成分として使用できる4個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの具体例としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及び、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有するポリ(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン骨格を有するポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
(B)成分として使用できるエポキシポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0036】
(B)成分として使用できるポリエステルポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応で得られる化合物が挙げられる。
【0037】
(B)成分としては、(A)成分以外のウレタン(メタ)アクリレートが使用できる。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては、化合物(a1)と化合物(a3)から合成される化合物、化合物(a1)、化合物(a2)以外のポリオール及び化合物(a3)とを反応させて得られる化合物が挙げられる。
【0038】
これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して使用できる。
【0039】
[(B)成分の配合割合]
(B)成分の配合割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して35〜60質量%であり、好ましくは40〜60質量%である。(B)成分の配合割合の範囲の下限値は、硬化性を向上できる点で意義が有る。また上限値は、塗膜の金属膜との付着性を良好にする点で意義が有る。
【0040】
[(C)成分]
(C)成分は、ビニル系単量体の(共)重合体である。(C)成分の製造方法は特に限定されず、従来から知られるラジカル重合開始剤の存在下で1種又は2種以上のビニル系単量体を溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等の方法で重合することにより得ることができる。
【0041】
(C)成分の原料となるビニル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の水酸基を含まない(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキシドの付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとプロピレンオキシドの付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンの付加物等の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとアルキレンオキシド又は有機ラクトンの付加物等の水酸基含有ビニルモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン又はスチレン誘導体;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。
【0042】
(C)成分としては、1種の(共)重合体を単独で、又は2種以上の(共)重合体を併用することができる。
【0043】
[(C)成分の配合割合]
(C)成分の配合割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して30〜60質量%、好ましくは35〜50質量%である。(C)成分の配合割合の範囲の下限値は、塗膜の金属膜に対する付着性を良好にする点で意義が有る。また上限値は、塗膜の平滑性を良好にする点で意義が有る。
【0044】
[(D)成分]
(D)成分は光重合開始剤であり、本組成物を活性エネルギー照射により硬化させる成分である。
【0045】
(D)成分としては、例えば、ベンゾフェノン型、アントラキノン型、アルキルフェノン型、チオキサントン型、アシルフォスフィンオキサイド型、フェニルグリオキシレート型の光重合開始剤等が挙げられる。
【0046】
(D)成分の具体例としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト及び4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン型;t−ブチルアントラキノン及び2−エチルアントラキノン等のアントラキノン型;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン及び2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアルキルフェノン型;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン及びイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン型;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド型;フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のフェニルグリオキシレート型等が挙げられる。
【0047】
これらは1種を単独で、又は2種以上を併せて使用できる。
【0048】
これらの中でも、本組成物の指触乾燥性の点から、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンがより好ましい。
【0049】
(D)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。(D)成分の配合量の範囲の下限値は、本組成物の空気雰囲気中での硬化性の点で意義が有る。また上限値は、塗膜に残存する光重合開始剤の量が少なくなる点で意義が有る。
【0050】
更に、本組成物には、必要に応じて光増感剤を配合してもよい。具体的な光増感剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の光増感剤を挙げることができる。
【0051】
[有機溶剤]
本組成物には、粘度に調整するため等の目的で必要に応じて有機溶剤を配合することができる。具体的な有機溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系化合物;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;ペンタン、ヘキサン、石油ナフサ等の脂肪族化合物;イソプロピルアルコール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール系化合物;1−メトキシプロパノール、1−メトキシプロパノールアセテート等のプロピレングリコール系化合物を挙げることができる。
【0052】
[他の成分(添加剤)]
また、本組成物には、レベリング剤、消泡剤、沈降防止剤、潤滑剤、研磨剤、防錆剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等の添加剤を配合してもよい。
【0053】
更に、本発明の効果を妨げない範囲内であれば、付着性向上のためにアルキッド樹脂、(C)成分以外のアクリルポリマー等のポリマーを加えてもよい。
【0054】
[本組成物の使用方法]
本組成物は、基材の表面に蒸着やスパッタリング等の金属化処理により金属膜を形成する際に、予め基材の表面に形成しておくアンダーコート層の材料として使用される。この基材は樹脂成型物が好ましく、樹脂成型物としては、ABS樹脂、AES樹脂、PC樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の樹脂の他、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、PET樹脂、PBT樹脂等のポリエステル樹脂等の成型品が挙げられる。特にABS樹脂、PC樹脂、アクリル樹脂製の化粧品容器や家電製品の筐体に対して有用である。
【0055】
基材にアンダーコート層を形成するには、本組成物を基材の表面に塗布し、活性エネルギー線を照射する。アンダーコート層の膜厚は3〜40μmの範囲であることが好ましい。
【0056】
本組成物の塗布には、ハケ塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート及びフローコート等の方法が用いられるが、塗布作業性、塗膜の平滑性及び均一性の点から、スプレーコート法及びフローコート法が好ましい。
【0057】
本組成物が有機溶剤を含む場合には、塗布した本組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる前に、有機溶剤を揮発させることが好ましい。その際には、IRヒーターや温風で加温し、30〜70℃で、2〜8分間かけて有機溶剤を揮発させることが好ましい。
【0058】
また、本組成物を硬化するために用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等が挙げられる。例えば、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射する場合、そのエネルギー量は500〜2000mJ/cm程度とすることが好ましい。
【0059】
本組成物の硬化塗膜であるアンダーコート層の上に金属膜を形成するには蒸着やスパッタリング等の公知の金属化処理方法を用いることができる。金属膜の表面には更にその腐食防止等の目的で熱硬化型トップコート、紫外線硬化トップコートを形成してもよく、またプラズマ重合等による処理を施してよい。
【実施例】
【0060】
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明する。以下の記載中「部」は「質量部」を意味する。まず、実施例の評価項目及びその評価方法を以下に示す。
【0061】
[合成例1]ウレタンアクリレート(UA−1:(A1)成分)の製造
2リットルの4つ口フラスコに、化合物(a1)としてイソホロンジイソシアネート435.71g(1.96モル)と酢酸ブチル243.88gをジブチル錫ジラウレート0.20gと共に仕込み、ウォーターバスでフラスコ内温が60℃になるように加熱した。次いで、フラスコ内温を60℃に保ち、その混合物を撹拌しながら、化合物(a2)として式(1)においてRがプロピレンオキサイド基、m+nが2である多価アルコール(商品名アデカポリエーテルBPX−11、ADEKA製、数平均分子量356)284.96g(0.8モル)とネオペンチグリコール(分子量104.15)20.83g均一に混合し、40℃に保温した状態で側管付きの滴下ロートを用いて4時間の等速滴下で加え、更に、同温度で2時間撹拌して反応させた。その後、フラスコ内温を70℃に保ちながら、化合物(a3)として2−ヒドロキシエチルアクリレート232.24g(2モル)とハイドロキノンモノメチルエーテル1.59gの均一混合溶液を滴下ロートを用いて2時間の等速滴下で加え、更に、フラスコ内温を75℃に保ちながら、4時間撹拌してウレタンアクリレートUA−1を得た。
【0062】
[合成例2]ウレタンアクリレート(UA−2:(A2)成分)の製造
化合物(a2)とネオペンチグリコールの混合液を加えず、酢酸ブチルの使用量を225.05gに変更し、2−ヒドロキシエチルアクリレートの量を464.48g(4モル)に変更したこと以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA−2を製造した。
【0063】
[合成例3]ウレタンアクリレート(UA−3:(A1)成分)の製造
酢酸ブチルの使用量を416.99gに変更し、化合物(a2)をポリエステルジオール(商品名アデカニューエースF18−62、ADEKA製、数平均分子量1000)1000.00g(1モル)に変更したこと以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA−3を製造した。
【0064】
[合成例4]ウレタンアクリレート(UA−4:(A1)成分)の製造
酢酸ブチルの使用量を383.99gに変更し、化合物(a2)をポリエーテルポリオール(商品名PTG850SN、保土谷化学工業製、数平均分子量868)868.00g(1モル)に変更したこと以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA−4を製造した。
【0065】
[合成例5]共重合体(PA−1:(C)成分)の製造
2Lの4つ口フラスコに、トルエン500gを仕込み、内温が80℃になるように加温した。次いで、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド125g(25質量%)、メチルメタクリレート200g(40質量%)、スチレン175g(35質量%)と重合触媒としてアゾビスイソブチルニトリル1gを混合したものを2時間等速滴下によりフラスコ内に滴下した。滴下は、フラスコ内を攪拌し、内温を80℃に保ちながら行った。その後1時間毎にアゾビスイソブチルニトリル0.2gを合計4回追加投入しながら80℃で6時間攪拌し、共重合体PA−1を製造した。PA−1のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は2.5×10であった。
【0066】
[合成例6]共重合体(PA−2:(C)成分)の製造
合成例5のメチルメタクリレート200g(40質量%)をメチルメタクリレート100g(20質量%)及びジシクロペンタニルメタクリレート100g(20質量%)に変更したこと以外は、合成例5と同様にして、GPC測定により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が3.1×10の共重合体PA−2を得た。
【0067】
[トップコート材の調製]
トップコート材に配合する共重合体PA−3を、滴下する単量体の混合比率を、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド150g(30質量%)、メチルメタクリレート50g(10質量%)、スチレン50g(10質量%)及びイソボルニルメタアクリレート250g(50質量%)とすること以外は、合成例2と同様にして調製した。PA−3のGPC測定により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は5.0×10であった。PA−3のトルエン溶液20質量部(固形分換算で10質量部)と、DPHA(日本化薬製、商品名:KAYARAD DPHA)30質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬製 商品名KAYARAD TMPTA)20質量部、EO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート(第一工業製薬製 商品名:ニューフロンティアHBPE―4)25質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業製 商品名:ビスコート#150)10質量部、ベンゾフェノン5質量部、キシレン30質量部、酢酸ブチル50質量部、酢酸エチル30質量部及びn−ブタノール30質量部を混合攪拌してトップコート材を調製した。
【0068】
[実施例1]
(1)被覆材組成物の調製:
(A)成分として上記1で合成したUA−1 8質量部(固形分換算で6.4質量部)及び2官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業製 商品名紫光UV−3000B)1.5質量部、(B)成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬製 商品名KAYARAD TMPTA)9.5質量部、EO4モル変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業製 商品名NKエステルA−BPE−4)19質量部、ポリエステルアクリレート(Miwon製 商品名Miramer PS−4140)17質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業製 ビスコート#150)4.6質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(三菱化学製 アクリル酸―2−エチルヘキシル)5質量部、(C)成分として上記2で合成したPA−1 74質量部(固形分換算で37質量部)、(D)成分として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1部及びベンゾフェノン3部、並びに有機溶剤としてトルエン30部、キシレン30部、n−ブタノール30部及び酢酸エチル20部を、混合溶解して被覆材組成物を得た。
【0069】
[評価用硬化塗膜の作製]
上記(1)で調製した被覆材組成物をABS樹脂で成型された縦9cm、横5cm、厚さ3mmの長方形のテストピースに硬化後の塗膜の膜厚が約15μmになるようにスプレー塗装した。次いで、オーブン中で60℃で2分間加熱処理することにより有機溶剤を揮発させた。その後、空気中で、塗布面の上方より、高圧水銀灯を用いて、積算光量1000mJ/cm(波長340nm〜380nmの紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射して硬化させ、アンダーコート層を形成した。引き続きアンダーコート層の表面にアルミを真空蒸着法により蒸着させて、更に金属膜の腐食防止等を目的として上記で調製したトップコート材を用いてアンダーコート塗膜層と同じ条件で紫外線硬化トップコート層を形成し、評価用硬化塗膜を作製した。
【0070】
1.平滑性
組成物をスプレーにより、ABS製テストピースに硬化後のアンダーコート膜厚が約15μmとなるように塗布し、硬化後塗膜の外観を目視評価した。目視評価の判定は以下の基準で行った。
◎…表面が平滑であり、高光沢である。
〇…表面が平滑である。
△…表面にやや凹凸が有り、平滑ではない。
×…表面の凹凸が酷く平滑ではない。
【0071】
2.ハジキ性
組成物をスプレーにより、ABS製テストピースに硬化後のアンダーコート膜厚が約15μmとなるように塗布し、硬化後塗膜の外観を目視評価した。目視評価の判定は以下の基準で行った。
◎…ピンホールが発生しなかった。
〇…極めて小さなピンホールが1〜2個発生するものの実用上問題がない。
△…極めて小さなピンホールが3個以上発生する。
×…大きな目立つピンホールが発生する。
【0072】
3.付着性
アンダーコート硬化塗膜を形成させ、引き続きアルミ蒸着し、更に金属膜の上にトップコート層を形成し、塗膜の付着性を評価した。試験方法はカッターナイフで碁盤目に1mm間隔で基材まで達するカットを入れ1mm の碁盤目を100個作り、その上にニチバン製のセロテープ(登録商標)を貼りつけ急激にはがし、アンダーコートと蒸着膜との層間剥離した碁盤目の状態を観察した。
◎…碁盤目カット剥離試験で剥離なし。
〇…碁盤目カット試験で剥離なしだが、切り溝がややかける。
△…碁盤目カット試験でやや剥離。
×…碁盤目カット試験で全面剥離。
【0073】
4.耐湿性
アンダーコート硬化塗膜を形成させ、引き続きアルミ蒸着し、更に金属膜の上にトップコート層を形成した金属化成型品を、50℃・98%RHの雰囲気中に72時間放置後取り出し、外観を以下の基準で評価し、さらに上記「3.付着性」に記載の方法で試験及び評価を行った。
・外観
〇…異常なし。
△…やや塗膜に白化あり。
×…塗膜の白化大。
・付着性
◎…碁盤目カット剥離試験で剥離なし。
〇…碁盤目カット試験で剥離なしだが、切り溝がややかける。
△…碁盤目カット試験でやや剥離。
×…碁盤目カット試験で全面剥離。
【0074】
5.耐アルコール性
アンダーコート硬化塗膜を形成させ、引き続きアルミ蒸着し、更に金属膜の上にトップコート層を形成した金属化成型品を、50℃エタノール中に48時間浸漬後取り出し、外観を以下の基準で評価し、さらに上記「3.付着性」に記載の方法で試験及び評価を行った。
・外観
〇…異常なし。
△…やや塗膜に白化あり。
×…塗膜の白化大。
・付着性
◎…碁盤目カット剥離試験で剥離なし。
〇…碁盤目カット試験で剥離なしだが、切り溝がややかける。
△…碁盤目カット試験でやや剥離。
×…碁盤目カット試験で全面剥離。
【0075】
[実施例2〜7、比較例1〜3]
表1の組成欄に示す配合及び組成とする以外は、実施例1と同様にして被覆材組成物を調製し、評価した。なお、実施例2、3及び4は参考例である。
【0076】
【表1】
【0077】
表1中の略号は、以下の化合物を示す。
・UA−1:合成例1で得たウレタンアクリレートUA−1
・UA−2:合成例2で得たウレタンアクリレートUA−2
・UA−3:合成例3で得たウレタンアクリレートUA−3
・UA−4:合成例4で得たウレタンアクリレートUA−4
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬製 商品名:KAYARAD TMPTA)
・BPAEODA:EO4モル変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業製 商品名:NKエステルA−BPE−4)
・NPGPODA:PO2モル変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(Miwon製 商品名:Miramer M216)
・UV−3000B:2官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業製 商品名:紫光UV−3000B)
・PS−4140:ポリエステルアクリレート(Miwon製 商品名:Miramer PS−4140)
・THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業製 商品名:ビスコート#150)
・EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(三菱化学製 アクリル酸―2−エチルヘキシル)
・PA−1:合成例5で得た共重合体PA−1
・PA−2:合成例6で得た共重合体PA−2
・HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・BPN:ベンゾフェノン
【0078】
以上の実施例から、本発明は平滑性、耐ハジキ性、及び金属膜に対する付着性に優れた金属化処理用アンダーコート組成物、及びこの組成物を用いて得られる物品を提供できることが分かった。比較例1においてはA成分を使用しなかったので、平滑性、耐ハジキ性が不十分であった。比較例2においてはA成分の使用量が少ないので、平滑性、耐ハジキ性が不十分であった。比較例3においてはA成分の使用量が多いので、平滑性、初期付着性、耐湿性、耐アルコール性が不十分であった。