特許第6589758号(P6589758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6589758マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589758
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20191007BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20191007BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   H01L21/30 541J
   G03F7/20 504
   H01J37/305 B
   H01L21/30 541W
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-132690(P2016-132690)
(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-6604(P2018-6604A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 啓
(72)【発明者】
【氏名】木村 隼人
(72)【発明者】
【氏名】川名 亮
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−062326(JP,A)
【文献】 特開2014−041936(JP,A)
【文献】 特開2015−070213(JP,A)
【文献】 特開2015−109323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01J 37/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画対象の基板を載置する移動可能なステージと、
荷電粒子ビームを放出する放出部と、
複数の開口部が形成され、前記複数の開口部を前記荷電粒子ビームが通過することでマルチビームを形成するアパーチャ部材と、
前記マルチビームの各ビームのブランキング偏向を行う複数のブランカを有するブランキングプレートと、
前記基板の描画領域をメッシュ状に仮想分割した複数の照射位置毎の照射時間を規定したビットマップデータを、多重描画の描画パス毎に生成するビットマップ生成部と、
前記ビットマップ生成部からそれぞれ分割された前記ビットマップデータを受信し、前記照射時間の補正処理を行い、それぞれの処理範囲に分割された複数の照射量データを生成し、保持する複数の照射量補正部と、
前記複数の照射量補正部で生成又は保持された前記複数の照射量データを複数の信号線群を介して前記ブランキングプレートへ転送するデータ転送部と、
を備え、
前記データ転送部は、描画パス毎に、各照射量補正部で生成又は保持された前記分割された複数の照射量データの転送に使用する信号線群を、前記それぞれの処理範囲に対応して切り替えることを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項2】
前記多重描画は、描画パス毎に描画範囲をずらしながら行うことを特徴とする請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項3】
前記照射量補正部は、前記ブランキングプレートの歪みマップを参照して前記照射時間の補正処理を行い、描画パス毎に前記歪みマップの参照領域を変えることを特徴とする請求項2に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項4】
前記ビットマップ生成部は、nパス目(nは2以上の整数)の描画パスのビットマップデータのうち、(n−1)パス目の描画パスでは描画されない領域に対応するビットマップデータを、前記複数の照射量補正部のいずれか1つへ送信することを特徴とする請求項3に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項5】
荷電粒子ビームによるマルチビームを用いて多重描画を行うマルチ荷電粒子ビーム描画方法であって、
前記基板の描画領域をメッシュ状に仮想分割した複数の照射位置毎の照射時間を規定したビットマップデータを、多重描画の描画パス毎に作成する工程と、
複数の照射量補正部が、分割された前記ビットマップデータを受信し、前記照射時間の補正処理を行い、それぞれの処理範囲に分割された複数の照射量データを生成し、保持する工程と、
前記複数の照射量補正部で生成され、保持された複数の照射量データを、複数の信号線群を介して、マルチビームの各ビームに対応する複数のブランカを有するブランキングプレートへ転送する工程と、
前記複数のブランカが、前記複数の照射量データに基づいて、対応するビームのブランキング偏向を行う工程と、
を備え、
描画パス毎に、各照射量補正部で生成又は保持された前記複数の照射量データの転送に使用する信号線群を、前記それぞれの処理範囲に対応して切り替えることを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム描画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスの回路線幅はさらに微細化されてきている。これらの半導体デバイスへ回路パターンを形成するための露光用マスク(ステッパやスキャナで用いられるものはレチクルともいう。)を形成する方法として、優れた解像性を有する電子ビーム描画技術が用いられている。
【0003】
例えば、マルチビームを使った描画装置がある。マルチビームを用いることで、1本の電子ビームで描画する場合に比べて、一度(1回のショット)に多くのビームを照射できるので、スループットを大幅に向上させることができる。マルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子銃から放出された電子ビームを複数の穴を持ったアパーチャ部材に通してマルチビームを形成し、ブランキングプレートで各ビームのブランキング制御を行い、遮蔽されなかったビームが光学系で縮小され、移動可能なステージ上に載置された試料に照射される。
【0004】
マルチビーム描画では、多数のビームを用いるため、各ビームの照射時間を個別に制御するためのデータが膨大な量となる。そのため、複数の計算機を並列化し、各計算機が処理するデータ量を抑えることが検討されている。
【0005】
マルチビーム描画の描画方式の1つとして、ビーム毎の電流値のばらつきを平均化したり、レジストヒーティングの影響を抑えたりするために、必要な照射量を複数回の描画(露光)に分ける多重描画が知られている。例えば、多重描画では、ストライプ単位で照射位置をずらしながら描画を繰り返す。
【0006】
照射位置をずらしながら多重描画を行う場合、並列化した複数の計算機は、それぞれ多重描画のパス毎に異なるデータを処理する。そのため、各計算機に、処理対象のデータを保持するための大容量メモリを実装する必要があった。また、各計算機が送受信するデータ量が多くなり、データ転送に時間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−201576号公報
【特許文献2】特開2015−2189号公報
【特許文献3】特開2015−29096号公報
【特許文献4】特開2016−15528号公報
【特許文献5】特開2013−93567号公報
【特許文献6】特開2014−7327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、マルチビームを用いた多重描画において、データ転送量を削減すると共にメモリ容量を削減できるマルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるマルチ荷電粒子ビーム描画装置は、描画対象の基板を載置する移動可能なステージと、荷電粒子ビームを放出する放出部と、複数の開口部が形成され、前記複数の開口部を前記荷電粒子ビームが通過することでマルチビームを形成するアパーチャ部材と、前記マルチビームの各ビームのブランキング偏向を行う複数のブランカを有するブランキングプレートと、前記基板の描画領域をメッシュ状に仮想分割した複数の照射位置毎の照射時間を規定したビットマップデータを、多重描画の描画パス毎に生成するビットマップ生成部と、前記ビットマップ生成部からそれぞれ分割された前記ビットマップデータを受信し、前記照射時間の補正処理を行い、それぞれの処理範囲に分割された複数の照射量データを生成し、保持する複数の照射量補正部と、前記複数の照射量補正部で生成又は保持された前記複数の照射量データを複数の信号線群を介して前記ブランキングプレートへ転送するデータ転送部と、を備え、前記データ転送部は、描画パス毎に、各照射量補正部で生成又は保持された前記分割された複数の照射量データの転送に使用する信号線群を、前記それぞれの処理範囲に対応して切り替えるものである。
【0010】
本発明の一態様によるマルチ荷電粒子ビーム描画装置において、前記多重描画は、描画パス毎に描画範囲をずらしながら行う。
【0011】
本発明の一態様によるマルチ荷電粒子ビーム描画装置において、前記照射量補正部は、前記ブランキングプレートの歪みマップを参照して前記照射時間の補正処理を行い、描画パス毎に前記歪みマップの参照領域を変える。
【0012】
本発明の一態様によるマルチ荷電粒子ビーム描画装置において、前記ビットマップ生成部は、nパス目(nは2以上の整数)の描画パスのビットマップデータのうち、(n−1)パス目の描画パスでは描画されない領域に対応するビットマップデータを、前記複数の照射量補正部のいずれか1つへ送信する。
【0013】
本発明の一態様によるマルチ荷電粒子ビーム描画方法は、荷電粒子ビームによるマルチビームを用いて多重描画を行うマルチ荷電粒子ビーム描画方法であって、前記基板の描画領域をメッシュ状に仮想分割した複数の照射位置毎の照射時間を規定したビットマップデータを、多重描画の描画パス毎に作成する工程と、複数の照射量補正部が、分割された前記ビットマップデータを受信し、前記照射時間の補正処理を行い、それぞれの処理範囲に分割された複数の照射量データを生成し、保持する工程と、前記複数の照射量補正部で生成され、保持された複数の照射量データを、複数の信号線群を介して、マルチビームの各ビームに対応する複数のブランカを有するブランキングプレートへ転送する工程と、前記複数のブランカが、前記複数の照射量データに基づいて、対応するビームのブランキング偏向を行う工程と、を備え、描画パス毎に、各照射量補正部で生成又は保持された前記複数の照射量データの転送に使用する信号線群を、前記それぞれの処理範囲に対応して切り替えるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マルチビームを用いた多重描画において、描画装置内でのデータ転送量を削減すると共に、描画装置に実装されるメモリの容量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による描画装置の概略図である。
図2】(a)〜(e)は多重描画の描画方法を説明する図である。
図3】(a)〜(d)はストライプ内の描画動作を説明する図である。
図4】(a)〜(d)は同実施形態による多重描画における照射量補正部のデータ処理範囲を説明する図である。
図5】歪みマップの例を示す図である。
図6】(a)〜(d)はデータ転送部によるデータ転送処理を説明する図である。
図7】(a)〜(d)は比較例による多重描画における補正部のデータ処理範囲を説明する図である。
図8】(a)〜(d)は同実施形態による多重描画における照射量補正部のデータ処理範囲を説明する図である。
図9】(e)〜(h)は同実施形態による多重描画における照射量補正部のデータ処理範囲を説明する図である。
図10】(a)〜(d)はデータ転送部によるデータ転送処理を説明する図である。
図11】(e)〜(h)はデータ転送部によるデータ転送処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。
【0017】
図1は、本実施形態による描画装置の概略構成図である。描画装置は、制御部1と描画部2とを備えている。描画装置は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例である。描画部2は、電子鏡筒20と描画室30を備えている。電子鏡筒20内には、電子銃21、照明レンズ22、アパーチャ部材23、ブランキングプレート24、縮小レンズ25、制限アパーチャ部材26、対物レンズ27、及び偏向器28が配置されている。縮小レンズ25及び対物レンズ27は共に電磁レンズで構成され、縮小レンズ25及び対物レンズ27によって縮小光学系が構成される。
【0018】
描画室30内には、XYステージ32が配置される。XYステージ32上には、描画対象の基板40が載置される。基板40は、半導体装置を製造する際の露光用マスク、半導体装置が製造される半導体基板(シリコンウェハ)、レジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクス等である。
【0019】
制御部1は、磁気ディスク装置等の記憶装置10、ビットマップ生成部11、照射量補正部12〜15、及びデータ転送部16を備える。照射量補正部12〜15はビットマップ生成部11とデータ転送部16との間に並列に設けられている。ビットマップ生成部11、照射量補正部12〜15、及びデータ転送部16は、それぞれ、電気回路を含む計算機(コンピュータ)等の別個のハードウェアで構成されている。ビットマップ生成部11と照射量補正部12〜15とはバスを介して接続されている。また、照射量補正部12〜15とデータ転送部16とはバスを介して接続されている。
【0020】
図1では、本実施形態を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置の動作に必要なその他の公知の構成は図示を省略している。
【0021】
アパーチャ部材23には、縦(y方向)m列×横(x方向)n列(m,n≧2)の穴(開口部)が所定の配列ピッチでマトリクス状に形成されている。例えば、512×512の穴が形成される。各穴は、共に同じ寸法形状の矩形又は円形で形成される。
【0022】
電子銃21から放出された電子ビームBは、照明レンズ22によりほぼ垂直にアパーチャ部材23全体を照明する。電子ビームBがアパーチャ部材23の複数の穴を通過することによって、例えば矩形形状の複数の電子ビーム(マルチビーム)MBが形成される。
【0023】
ブランキングプレート24には、アパーチャ部材23の各穴の配置位置に合わせて通過孔が形成されている。各通過孔には、対となる2つの電極の組(ブランカ:ブランキング偏向器)が、それぞれ配置される。各ビーム用の2つの電極の一方には、電圧を印加するアンプが配置され、他方は接地される。各通過孔を通過する電子ビームは、それぞれ独立に、対となる2つの電極に印加される電圧によって偏向される。この電子ビームの偏向によって、ブランキング制御される。
【0024】
ブランキングプレート24を通過したマルチビームMBは、縮小レンズ25によって縮小され、制限アパーチャ部材26に形成された中心の穴に向かって進む。ブランキングプレート24のブランカによって偏向された電子ビームは、制限アパーチャ部材26の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ部材26によって遮蔽される。一方、ブランカによって偏向されなかった電子ビームは、制限アパーチャ部材26の中心の穴を通過する。
【0025】
このように、制限アパーチャ部材26は、個別ブランキング機構によってビームOFFの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ部材26を通過したビームにより1回分のショットのビームが形成される。
【0026】
制限アパーチャ部材26を通過したマルチビームMBは、対物レンズ27により焦点が合わされ、所望の縮小率のパターン像となり、偏向器28によってまとめて偏向され、基板40に照射される。例えば、XYステージ32が連続移動している時、ビームの照射位置がXYステージ32の移動に追従するように偏向器28によって制御される。
【0027】
一度に照射されるマルチビームMBは、理想的にはアパーチャ部材23の複数の穴の配列ピッチに上述した所望の縮小率を乗じたピッチで並ぶことになる。描画装置は、ショットビームを連続して順に照射していくラスタースキャン方式で描画動作を行い、所望のパターンを描画する際、パターンに応じて必要なビームがブランキング制御によりビームONに制御される。
【0028】
図2(a)に示すように、基板40の描画領域50は、例えば、y方向に向かって所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域52に仮想分割される。各ストライプ領域52は、描画単位領域となる。
【0029】
例えば、XYステージ32を移動させて、第1番目のストライプ領域52の左端、或いはさらに左側の位置に一回のマルチビームMBの照射で照射可能な照射領域が位置するように調整し、描画が開始される。XYステージ32を−x方向に移動させることにより、相対的にx方向へと描画を進めることができる。
【0030】
本実施形態による描画装置は、多重描画を行う。また、多重描画を行う際、各描画パスにおいて、ストライプ領域52単位でy方向に位置をずらす。例えば、ストライプ領域幅Wの1/4ずつ位置をずらして4パス(多重度=4)で描画する場合、各描画パスの照射領域は、図2(b)〜(e)に示すようなものとなる。
【0031】
すなわち、1パス目は、y方向のストライプずらし量が0となる位置で描画する。2パス目では、y方向のストライプずらし量がW/4となる位置で描画する。3パス目では、y方向のストライプずらし量がW/2となる位置で描画する。4パス目では、y方向のストライプずらし量が3W/4となる位置で描画する。
【0032】
このように位置をずらして多重描画を行うことで、基板40上の同じ位置を照射するビームが描画パス毎に異なるものとなるため、ビーム毎の電流値のばらつきを平均化することができる。
【0033】
図3(a)〜(d)はストライプ領域52内の描画動作の一例を説明する図である。図3(a)〜(d)は例えば、x,y方向に4×4のマルチビームを用いてストライプ領域52内を描画する例を示しており、図2(b)の1パス目の描画パスに対応する。
【0034】
この例では、各ビーム間の距離を離して、例えば、y方向にマルチビーム全体の照射領域と同等の幅でストライプ領域52を分割した場合を示している。そして、x方向或いはy方向に1メッシュずつ照射位置をずらしながら16回のショットでマルチビーム全体の1つの照射領域が露光(描画)終了する場合を示している。
【0035】
図3(a)は、1回のショットで照射したメッシュ領域を示している。次に、図3(b)に示すように、y方向に1メッシュずつ位置をずらしながら、2,3,4回目のショットを順に行う。次に、図3(c)に示すように、x方向に1メッシュ位置をずらし、5回目のショットを行う。次に、y方向に1メッシュずつ位置をずらしながら、6,7,8回目のショットを順に行う。同様の動作を繰り返して、図3(d)に示すように、残りの9〜16回目のショットを順に行う。
【0036】
マルチビーム描画では、描画領域50を、ビームサイズ又はそれ以下のサイズでメッシュ状に仮想分割する。そして、図形パターンの存在するメッシュにはビームを照射し、存在しないメッシュにはビームを照射しないことによってパターンが描画される。但し、メッシュ内に図形パターンの端部が位置する場合などは、照射量を調整することで図形パターンの端部の位置を制御する。
【0037】
また、近接効果等の寸法変動を補正するために照射量を調整する必要がある。近接効果補正計算は、従来の手法で実施すればよい。照射量はマルチビームの各ビームの照射時間によって制御される。
【0038】
記憶装置10には描画データが格納されている。描画データは、例えば、各図形パターンの配置位置、図形種、及び図形サイズ等が定義されている。その他に、基準となる照射量が定義される。
【0039】
ビットマップ生成部11は、描画領域50をストライプ領域52に仮想分割し、各ストライプ領域52をメッシュ領域に仮想分割する。ビットマップ生成部11は、記憶装置10から描画データを読み出し、描画データ内に定義された図形パターンをメッシュ領域に割り当てる。ビットマップ生成部11は、メッシュ領域毎に配置される図形パターンの面積密度を算出し、メッシュ位置(ビーム照射位置)毎の総照射時間を算出する。また、ビットマップ生成部11は、メッシュ位置(ビーム照射位置)毎に、総照射時間を多重描画の各パスに均等に割り振る。ビットマップ生成部11は、各パスについて、メッシュ位置(ビーム照射位置)毎の照射時間が定義されたビットマップデータを生成する。
【0040】
ビットマップ生成部11は、ビットマップデータを分割し、分割ビットマップデータを照射量補正部12〜15へ転送する。この例では、1ストライプ分のビットマップデータを照射量補正部12〜15の数と同数の4個に分割し、分割ビットマップデータを照射量補正部12〜15へ転送する。
【0041】
例えば、図4(a)に示すように1パス目の描画パスのビットマップデータをy方向に向かって4つの分割ビットマップデータ61〜64に分割する。分割ビットマップデータ61は照射量補正部12へ転送される。分割ビットマップデータ62は照射量補正部13へ転送される。分割ビットマップデータ63は照射量補正部14へ転送される。分割ビットマップデータ64は照射量補正部15へ転送される。
【0042】
照射量補正部12〜15は、ブランキングプレート24の歪みや、基板40上に塗布されたレジストの感度等を考慮して、メッシュ位置(ビーム照射位置)毎の照射量(照射時間)を補正する。
【0043】
一般に、描画装置では、ブランキングプレート24の穴位置の誤差や光学的な誤差等により、基板40に照射されるマルチビームMBのビームアレイが理想格子からずれることがある。照射量補正部12〜15は、図5に示すような各ビームの位置ずれ量を規定した歪みマップ70を参照して、メッシュ位置(ビーム照射位置)毎の照射時間を補正する。
【0044】
例えば、1パス目の描画パスに対するデータ処理では、照射量補正部12は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ61に対応する歪みマップ71を参照して、分割ビットマップデータ61に定義された照射時間を補正する。
【0045】
照射量補正部13は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ62の位置に対応する歪みマップ72を参照して、分割ビットマップデータ62に定義された照射時間を補正する。
【0046】
照射量補正部14は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ63の位置に対応する歪みマップ73を参照して、分割ビットマップデータ63に定義された照射時間を補正する。
【0047】
照射量補正部15は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ64の位置に対応する歪みマップ74を参照して、分割ビットマップデータ64に定義された照射時間を補正する。
【0048】
このようにして、1パス目の描画パスにおける各ビームの照射時間を補正することができる。
【0049】
図4(b)に示すように、2パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ65が照射量補正部15へ転送される。分割ビットマップデータ65は、1パス目の描画パスでは描画されない、2パス目の描画パスで位置をずらすことで新たに描画される領域に対応する分割ビットマップデータである。分割ビットマップデータ61〜63の処理は照射量補正部12〜14で行われる。照射量補正部12〜14は、前回(1パス目)の描画パスのデータ処理にあたり分割ビットマップデータ61〜63が既に転送されている。
【0050】
2パス目の描画パスに対するデータ処理では、照射量補正部12は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ61に対応する歪みマップ72を参照して、分割ビットマップデータ61に定義された照射時間を補正する。
【0051】
照射量補正部13は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ62の位置に対応する歪みマップ73を参照して、分割ビットマップデータ62に定義された照射時間を補正する。
【0052】
照射量補正部14は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ63の位置に対応する歪みマップ74を参照して、分割ビットマップデータ63に定義された照射時間を補正する。
【0053】
照射量補正部15は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ65の位置に対応する歪みマップ71を参照して、分割ビットマップデータ65に定義された照射時間を補正する。
【0054】
このようにして、2パス目の描画パスにおける各ビームの照射時間を補正することができる。
【0055】
図4(c)に示すように、3パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ66が照射量補正部14へ転送される。分割ビットマップデータ61、62、65の処理は照射量補正部12、13、15で行われる。照射量補正部12、13、15は、前回まで(1パス目又は2パス目)の描画パスのデータ処理にあたり分割ビットマップデータ61、62、65が既に転送されている。
【0056】
3パス目の描画パスに対するデータ処理では、照射量補正部12は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ61に対応する歪みマップ73を参照して、分割ビットマップデータ61に定義された照射時間を補正する。
【0057】
照射量補正部13は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ62の位置に対応する歪みマップ74を参照して、分割ビットマップデータ62に定義された照射時間を補正する。
【0058】
照射量補正部14は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ66の位置に対応する歪みマップ71を参照して、分割ビットマップデータ66に定義された照射時間を補正する。
【0059】
照射量補正部15は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ65の位置に対応する歪みマップ72を参照して、分割ビットマップデータ65に定義された照射時間を補正する。
【0060】
このようにして、3パス目の描画パスにおける各ビームの照射時間を補正することができる。
【0061】
図4(d)に示すように、4パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ67が照射量補正部13へ転送される。分割ビットマップデータ61、65、66の処理は照射量補正部12、15、14で行われる。照射量補正部12、15、14は、前回まで(1、2又は3パス目)の描画パスのデータ処理にあたり分割ビットマップデータ61、65、66が既に転送されている。
【0062】
4パス目の描画パスに対するデータ処理では、照射量補正部12は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ61に対応する歪みマップ74を参照して、分割ビットマップデータ61に定義された照射時間を補正する。
【0063】
照射量補正部13は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ67の位置に対応する歪みマップ71を参照して、分割ビットマップデータ67に定義された照射時間を補正する。
【0064】
照射量補正部14は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ66の位置に対応する歪みマップ72を参照して、分割ビットマップデータ66に定義された照射時間を補正する。
【0065】
照射量補正部15は、歪みマップ70のうち、分割ビットマップデータ65の位置に対応する歪みマップ73を参照して、分割ビットマップデータ65に定義された照射時間を補正する。
【0066】
このようにして、4パス目の描画パスにおける各ビームの照射時間を補正することができる。
【0067】
照射量補正部12は、1〜4パス目の描画パスのデータ処理において、分割ビットマップデータ61の処理を行い、歪みマップ70の参照領域(歪みマップ71〜74)を変えながら、分割ビットマップデータ61に定義された照射時間を補正する。
【0068】
照射量補正部13は、歪みマップ70の参照領域を変えながら、1〜3パス目の描画パスのデータ処理において分割ビットマップデータ62の処理を行い、4パス目の描画パスのデータ処理において分割ビットマップデータ67の処理を行う。
【0069】
照射量補正部14は、歪みマップ70の参照領域を変えながら、1、2パス目の描画パスのデータ処理において分割ビットマップデータ63の処理を行い、3、4パス目の描画パスのデータ処理において分割ビットマップデータ66の処理を行う。
【0070】
照射量補正部15は、歪みマップ70の参照領域を変えながら、1パス目の描画パスのデータ処理において分割ビットマップデータ64の処理を行い、2〜4パス目の描画パスのデータ処理において分割ビットマップデータ65の処理を行う。
【0071】
このように、照射量補正部12〜15は、各描画パスにおいて、ブランキングプレート24の異なる領域の通過孔を通過する電子ビームの照射時間を補正する。データ転送部16は、描画パス毎に、照射量補正部12〜15により補正された照射時間データの出力先を切り替える。
【0072】
図6(a)〜(d)は、データ転送部16によるデータ出力先の切り替えの例を示している。
【0073】
図6(a)に示すように、1パス目の描画パスでは、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された照射量データ(照射時間データ)を、信号線L1を介してブランキングプレート24へ転送する。例えば、この照射量データは、ブランキングプレート24を4つの領域24_1〜24_4に分割した場合、領域24_1に位置するブランカを通過するビームの照射量を規定するものである。
【0074】
データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された、領域24_2に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L2を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0075】
データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された、領域24_3に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L3を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0076】
データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された、領域24_4に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L4を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0077】
なお、信号線L1〜L4は、それぞれパラレルの信号線(信号線群)であるが、説明の便宜上、1本の信号線で図示している。信号線(信号線群)L1は、領域24_1に位置するブランカを制御するための照射量データを伝送するものである。信号線(信号線群)L2は、領域24_2に位置するブランカを制御するための照射量データを伝送するものである。信号線(信号線群)L3は、領域24_3に位置するブランカを制御するための照射量データを伝送するものである。信号線(信号線群)L4は、領域24_4に位置するブランカを制御するための照射量データを伝送するものである。
【0078】
図6(b)に示すように、2パス目の描画パスでは、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された、領域24_2に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L2を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0079】
データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された、領域24_3に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L3を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0080】
データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された、領域24_4に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L4を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0081】
データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された、領域24_1に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L1を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0082】
図6(c)に示すように、3パス目の描画パスでは、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された、領域24_3に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L3を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0083】
データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された、領域24_4に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L4を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0084】
データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された、領域24_1に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L1を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0085】
データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された、領域24_2に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L2を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0086】
図6(d)に示すように、4パス目の描画パスでは、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された、領域24_4に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L4を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0087】
データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された、領域24_1に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L1を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0088】
データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された、領域24_2に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L2を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0089】
データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された、領域24_3に位置するブランカを通過するビームの照射量データを、信号線L3を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0090】
ブランキングプレート24の各ブランカは、転送された照射量データに基づいて、各ビームのブランキング制御を行い、照射時間を制御する。
【0091】
(比較例)
データ出力先の切り替えを行うデータ転送部16が設けられていない場合、照射量補正部12〜15は、各描画パスにおいて、ブランキングプレート24の同一領域の通過孔を通過する電子ビームの照射時間を補正する。例えば、照射量補正部12は、各描画パスにおいて、領域24_1に位置するブランカを通過するビームの照射量補正を行う。照射量補正部12により照射量補正された、領域24_1に位置するブランカを通過するビームの照射量データは、信号線L1を介してブランキングプレート24へ転送される。
【0092】
同様に、照射量補正部13,14,15により照射量補正された、領域24_2,24_3,24_4に位置するブランカを通過するビームの照射量データは、信号線L2,L3,L4を介してブランキングプレート24へ転送される。
【0093】
ストライプ領域幅Wの1/4ずつ位置をずらして4パスで描画する場合、図7(a)に示すように、1パス目の描画パスに対するデータ処理では、照射量補正部12,13,14,15は、それぞれ、分割ビットマップデータ61,62,63,64に定義された照射時間を補正する。
【0094】
図7(b)に示すように、2パス目の描画パスに対するデータ処理では、照射量補正部12,13,14,15は、それぞれ、分割ビットマップデータ65,61,62,63に定義された照射時間を補正する。
【0095】
図7(c)に示すように、3パス目の描画パスに対するデータ処理では、照射量補正部12,13,14,15は、それぞれ、分割ビットマップデータ66,65,61,62に定義された照射時間を補正する。
【0096】
図7(d)に示すように、4パス目の描画パスに対するデータ処理では、照射量補正部12,13,14,15は、それぞれ、分割ビットマップデータ67,66,65,61に定義された照射時間を補正する。
【0097】
このように、データ出力先の切り替えを行うデータ転送部16が設けられていない場合、照射量補正部12は、1〜4パス目の描画パスに対するデータ処理において、分割ビットマップデータ61,65,66,67の処理を行う。照射量補正部13は、1〜4パス目の描画パスに対するデータ処理において、分割ビットマップデータ62,61,65,66の処理を行う。照射量補正部14は、1〜4パス目の描画パスに対するデータ処理において、分割ビットマップデータ63,62,61,65の処理を行う。照射量補正部15は、1〜4パス目の描画パスに対するデータ処理において、分割ビットマップデータ64,63,62,61の処理を行う。
【0098】
すなわち、照射量補正部12〜15は、それぞれ異なる4つの分割ビットマップデータの処理を行う。そのため、ビットマップ生成部11から、照射量補正部12〜15へ4つの分割ビットマップデータを転送することになり、データ転送量が大きくなる。また、照射量補正部12〜15は、それぞれ4つの分割ビットマップデータを保持するため、容量の大きいメモリが必要となる。
【0099】
一方、本実施形態では、データ出力先の切り替えを行うデータ転送部16が設けられているため、照射量補正部12は、1〜4パス目の描画パスに対するデータ処理において、1つの分割ビットマップデータ(分割ビットマップデータ61)の処理を行う。照射量補正部13は、1〜4パス目の描画パスに対するデータ処理において、2つの分割ビットマップデータ(分割ビットマップデータ62、67)の処理を行う。照射量補正部14は、1〜4パス目の描画パスに対するデータ処理において、2つの分割ビットマップデータ(分割ビットマップデータ63、66)の処理を行う。照射量補正部15は、1〜4パス目の描画パスに対するデータ処理において、2つの分割ビットマップデータ(分割ビットマップデータ64、65)の処理を行う。
【0100】
ビットマップ生成部11から、照射量補正部12〜15へは1つ又は2つの分割ビットマップデータを転送することになり、上述の比較例と比較して、データ転送量が削減できる。また、照射量補正部12〜15は、1つ又は2つの分割ビットマップデータを保持すればよく、メモリ容量を削減できる。
【0101】
このように、ブランキングプレート24に対するデータ出力先の切り替えを行うデータ転送部16を設けることで、y方向に位置をずらす多重描画を行う場合において、照射量補正部12〜15が処理を行う分割ビットマップデータの数を減らすことができるため、データ転送量を削減すると共にメモリ容量を削減できる。
【0102】
上記実施形態では、ストライプ領域幅Wの1/4ずつ位置をずらして4パス(多重度=4)で描画する場合について説明したが、ずらし量や多重度はこれに限定されない。
【0103】
図8(a)〜(d)、図9(e)〜(h)、図10(a)〜(d)、図11(e)〜(h)は、ストライプ領域幅Wの1/8ずつ位置をずらして8パスで描画する場合の処理の例を示す。例えば、図8(a)に示すように1パス目の描画パスのビットマップデータが、y方向に向かって8つの分割ビットマップデータ101〜108に分割される。分割ビットマップデータ101,102は照射量補正部12へ転送される。分割ビットマップデータ103,104は照射量補正部13へ転送される。分割ビットマップデータ105,106は照射量補正部14へ転送される。分割ビットマップデータ107,108は照射量補正部15へ転送される。
【0104】
図10(a)に示すように、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された照射量データを、信号線L11,L12を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された照射量データを、信号線L13,L14を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された照射量データを、信号線L15,L16を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された照射量データを、信号線L17,L18を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0105】
図8(b)に示すように、2パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ109が照射量補正部15へ転送される。分割ビットマップデータ101,102の処理は照射量補正部12で行われる。分割ビットマップデータ103,104の処理は照射量補正部13で行われる。分割ビットマップデータ105,106の処理は照射量補正部14で行われる。照射量補正部15が、分割ビットマップデータ107,109の処理を行う。
【0106】
図10(b)に示すように、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された照射量データを、信号線L12,L13を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された照射量データを、信号線L14,L15を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された照射量データを、信号線L16,L17を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された照射量データを、信号線L11,L18を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0107】
図8(c)に示すように、3パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ110が照射量補正部15へ転送される。分割ビットマップデータ101,102の処理は照射量補正部12で行われる。分割ビットマップデータ103,104の処理は照射量補正部13で行われる。分割ビットマップデータ105,106の処理は照射量補正部14で行われる。照射量補正部15が、分割ビットマップデータ109,110の処理を行う。
【0108】
図10(c)に示すように、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された照射量データを、信号線L13,L14を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された照射量データを、信号線L15,L16を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された照射量データを、信号線L17,L18を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された照射量データを、信号線L11,L12を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0109】
図8(d)に示すように、4パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ111が照射量補正部14へ転送される。分割ビットマップデータ101,102の処理は照射量補正部12で行われる。分割ビットマップデータ103,104の処理は照射量補正部13で行われる。分割ビットマップデータ109,110の処理は照射量補正部15で行われる。照射量補正部14が、分割ビットマップデータ105,111の処理を行う。
【0110】
図10(d)に示すように、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された照射量データを、信号線L14,L15を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された照射量データを、信号線L16,L17を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された照射量データを、信号線L11,L18を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された照射量データを、信号線L12,L13を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0111】
図9(e)に示すように、5パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ112が照射量補正部14へ転送される。分割ビットマップデータ101,102の処理は照射量補正部12で行われる。分割ビットマップデータ103,104の処理は照射量補正部13で行われる。分割ビットマップデータ109,110の処理は照射量補正部15で行われる。照射量補正部14が、分割ビットマップデータ111,112の処理を行う。
【0112】
図11(e)に示すように、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された照射量データを、信号線L15,L16を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された照射量データを、信号線L17,L18を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された照射量データを、信号線L11,L12を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された照射量データを、信号線L13,L14を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0113】
図9(f)に示すように、6パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ113が照射量補正部13へ転送される。分割ビットマップデータ101,102の処理は照射量補正部12で行われる。分割ビットマップデータ109,110の処理は照射量補正部15で行われる。分割ビットマップデータ111,112の処理は照射量補正部14で行われる。照射量補正部13が、分割ビットマップデータ103,113の処理を行う。
【0114】
図11(f)に示すように、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された照射量データを、信号線L16,L17を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された照射量データを、信号線L11,L18を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された照射量データを、信号線L12,L13を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された照射量データを、信号線L14,L15を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0115】
図9(g)に示すように、7パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ114が照射量補正部13へ転送される。分割ビットマップデータ101,102の処理は照射量補正部12で行われる。分割ビットマップデータ109,110の処理は照射量補正部15で行われる。分割ビットマップデータ111,112の処理は照射量補正部14で行われる。照射量補正部13が、分割ビットマップデータ113,114の処理を行う。
【0116】
図11(g)に示すように、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された照射量データを、信号線L17,L18を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された照射量データを、信号線L11,L12を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された照射量データを、信号線L13,L14を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された照射量データを、信号線L15,L16を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0117】
図9(h)に示すように、8パス目の描画パスのデータ処理では、分割ビットマップデータ115が照射量補正部12へ転送される。照射量補正部12が、分割ビットマップデータ101,115の処理を行う。分割ビットマップデータ109,110の処理は照射量補正部15で行われる。分割ビットマップデータ111,112の処理は照射量補正部14で行われる。分割ビットマップデータ113,114の処理は照射量補正部13で行われる。
【0118】
図11(h)に示すように、データ転送部16は、照射量補正部12により照射量補正された照射量データを、信号線L11,L18を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部13により照射量補正された照射量データを、信号線L12,L13を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部14により照射量補正された照射量データを、信号線L14,L15を介してブランキングプレート24へ転送する。データ転送部16は、照射量補正部15により照射量補正された照射量データを、信号線L16,L17を介してブランキングプレート24へ転送する。
【0119】
照射量補正部12は、1〜8パス目の描画パスに対するデータ処理において、3つの分割ビットマップデータ(分割ビットマップデータ101,102,115)の処理を行う。照射量補正部13は、1〜8パス目の描画パスに対するデータ処理において、4つの分割ビットマップデータ(分割ビットマップデータ103,104,113,114)の処理を行う。照射量補正部14は、1〜8パス目の描画パスに対するデータ処理において、4つの分割ビットマップデータ(分割ビットマップデータ105,106,111,112)の処理を行う。照射量補正部15は、1〜8パス目の描画パスに対するデータ処理において、4つの分割ビットマップデータ(分割ビットマップデータ107〜110)の処理を行う。
【0120】
データ転送部16がデータ出力先の切り替えを行うため、照射量補正部12〜15はビットマップデータの一部のみを処理すればよく、ビットマップ生成部11から照射量補正部12〜15へのデータ転送量を低減すると共に、照射量補正部12〜15に実装されるメモリ容量を抑えることができる。
【0121】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 制御部
2 描画部
10 記憶装置
11 ビットマップ生成部
12〜15 照射量補正部
16 データ転送部
20 電子鏡筒
21 電子銃
22 照明レンズ
23 アパーチャ部材
24 ブランキングプレート
25 縮小レンズ
26 制限アパーチャ部材
27 対物レンズ
28 偏向器
30 描画室
32 XYステージ
40 基板
50 描画領域
52 ストライプ領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11