特許第6589766号(P6589766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越化学工業株式会社の特許一覧

特許6589766ウエハ加工用接着材、ウエハ積層体及び薄型ウエハの製造方法
<>
  • 特許6589766-ウエハ加工用接着材、ウエハ積層体及び薄型ウエハの製造方法 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589766
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】ウエハ加工用接着材、ウエハ積層体及び薄型ウエハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/04 20060101AFI20191007BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20191007BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20191007BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20191007BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20191007BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20191007BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   C09J183/04
   C09J11/06
   C09J11/08
   C09J7/35
   H01L21/304 622J
   H01L21/02 B
   H01L21/68 N
【請求項の数】7
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-147587(P2016-147587)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-39912(P2017-39912A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年7月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-160812(P2015-160812)
(32)【優先日】2015年8月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅生 道博
(72)【発明者】
【氏名】安田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】田上 昭平
(72)【発明者】
【氏名】田辺 正人
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−525953(JP,A)
【文献】 特開2011−119427(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/115060(WO,A1)
【文献】 特開2009−030028(JP,A)
【文献】 特開2014−131004(JP,A)
【文献】 特開2005−263879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
H01L 21/02,21/304,21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハと支持体を一時的に貼り付けるためのシリコーン系接着剤を含有するウエハ加工用接着材であって、
(A)非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる第一仮接着層と、(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層及び/又は(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層を有し、
帯電防止剤が、第二仮接着層(B)及び/又は第三仮接着層(C)に含有されていることを特徴とするウエハ加工用接着材。
【請求項2】
帯電防止剤が、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤又は導電性ポリマーである請求項1記載のウエハ加工用接着材。
【請求項3】
帯電防止剤が、第二仮接着層(B)及び第三仮接着層(C)に含有されている請求項1又は2記載のウエハ加工用接着材。
【請求項4】
帯電防止剤の含有量が、帯電防止剤を含有する仮接着層中、0.01〜10質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載のウエハ加工用接着材。
【請求項5】
シリコーン系接着剤層を含有する接着材を介してウエハと支持体が貼り合わせられている積層体であって、
表面に回路面を有するウエハと、このウエハの表面に剥離可能に接着された(A)非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる第一仮接着層、この第一仮接着層に積層された(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層及び/又は(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層を有するウエハ加工用接着材と、前記接着材の第二仮接着層又は第三仮接着層上に剥離可能に積層された支持体とを備え、
前記(B)第二仮接着層及び/又は(C)第三仮接着層に帯電防止剤が含まれていることを特徴とするウエハ積層体。
【請求項6】
帯電防止剤が、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤又は導電性ポリマーである請求項5記載のウエハ積層体。
【請求項7】
ウエハと支持体を一時的に請求項1〜4のいずれか1項記載の接着材で貼り付けて、ウエハを薄型加工処理した後、加工されたウエハから支持体を剥離する剥離工程を含む薄型ウエハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティクルの発生を抑制しつつ、薄型ウエハを効率的に得ることを可能にするウエハ加工用接着材、ウエハ積層体、及び薄型ウエハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元の半導体実装は、より一層の高密度、大容量化を実現するために必須となってきている。3次元実装技術とは、1つの半導体チップを薄型化し、更にこれをシリコン貫通電極(TSV:through silicon via)によって結線しながら多層に積層していく半導体作製技術である。これを実現するためには、半導体回路を形成した基板を非回路形成面(「裏面」ともいう)研削によって薄型化し、更に裏面にTSVを含む電極形成を行う工程が必要である。従来、シリコン基板の裏面研削工程では、研削面の反対側に裏面保護テープを貼り、研削時のウエハ破損を防いでいる。しかし、このテープは有機樹脂フィルムを基材に用いており、柔軟性がある反面、強度や耐熱性が不十分であり、TSV形成工程や裏面での配線層形成工程を行うには適しない。
【0003】
そこで、半導体基板をシリコン、ガラス等の支持体に接着層を介して接合することによって、裏面研削、TSVや裏面電極形成の工程に十分耐えうるシステムが提案されている。この際に重要なのが、基板を支持体に接合する際の接着層である。これは基板を支持体に隙間なく接合でき、後の工程に耐えるだけの十分な耐久性が必要で、更に最後に薄型ウエハを支持体から簡便に剥離できることが必要である。なお、このように最後に剥離することから、本明細書では、この接着層を仮接着層(又は仮接着材層)と呼ぶことにする。
【0004】
これまでに公知の仮接着層とその剥離方法としては、光吸収性物質を含む接着材に高強度の光を照射し、接着材層を分解することによって支持体から接着材層を剥離する技術(特許文献1)、及び熱溶融性の炭化水素系化合物を接着材に用い、加熱溶融状態で接合・剥離を行う技術(特許文献2)が提案されている。前者の技術はレーザー等の高価な装置が必要であり、かつ基板1枚あたりの処理時間が長くなるなどの問題があった。また後者の技術は加熱だけで制御するため簡便である反面、200℃を超える高温での熱安定性が不十分であるため、適用範囲は狭かった。更にこれらの仮接着層では、高段差基板の均一な膜厚形成と、支持体への完全接着にも適さなかった。
【0005】
また、シリコーン粘着剤を仮接着材層に用いる技術が提案されている(特許文献3)。これは基板を支持体に付加硬化型のシリコーン粘着剤を用いて接合し、剥離の際にはシリコーン樹脂を溶解、あるいは分解するような薬剤に浸漬して基板を支持体から分離するものである。そのため、剥離に非常に長時間を要し、実際の製造プロセスへの適用は困難である。
【0006】
更に、ウエハ加工時の耐熱性に優れ、仮接着性が良好かつ常温での剥離性も良好である仮接着剤が提案されている。この方法ではウエハと支持体を剥離させるにあたり、常温で機械的に仮接着剤の界面もしくは凝集破壊により剥離させる方法が提案されている。この方法は比較的簡便にウエハと支持体を剥離させることが可能であるが、剥離の際に接着剤がパーティクルとなり、装置内を汚染することがあった。
【0007】
なお、帯電防止剤をアクリル系接着剤やエポキシ系接着剤等の接着剤・粘着剤に配合して接着剤表面における表面抵抗を抑えることが従来より行われているが(特許文献4、5)、帯電防止剤の添加により、逆に耐熱性が低下して、高温下で用いる半導体分野における仮接着剤には不向きであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−64040号公報
【特許文献2】特開2006−328104号公報
【特許文献3】米国特許第7541264号明細書
【特許文献4】特開2014−141649号公報
【特許文献5】特開2015−41663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、ウエハと支持体を剥離する際に汚染源となるパーティクルの発生を抑え、耐熱性があり、仮接着が容易であり、かつ、高段差基板においても均一な膜厚での形成が可能であり、TSV形成、ウエハ裏面配線工程に対する工程適合性が高く、更には、CVDといったウエハ熱プロセス耐性に優れ、剥離も容易で、薄型ウエハの生産性を高めることができるウエハ加工用接着材、該接着材によりウエハと支持体が貼り合わせられているウエハ積層体、及びこれを使用する薄型ウエハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ウエハと支持体を一時的に貼り付けるための接着材として、帯電防止剤を含有した、シリコーン系接着剤を含有するウエハ加工用接着材、特に(A)非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる第一仮接着層と、(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層及び/又は(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層を有する複合仮接着材であって、帯電防止剤を好ましくは前記(B)層及び/又は(C)層に含有させたウエハ加工用接着材を使用することにより、ウエハと支持体を剥離する際に汚染源となるパーティクルの発生を抑え、耐熱性があり、仮接着が容易であり、かつ、高段差基板に対して均一な膜厚での形成も可能であり、TSV形成、ウエハ裏面配線工程に対する工程適合性が高く、更には、CVDといったウエハ熱プロセス耐性に優れ、剥離も容易で、薄型ウエハの生産性を高めることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
したがって、本発明は、下記ウエハ加工用接着材、ウエハ積層体及び薄型ウエハの製造方法を提供する。
〔1〕
ウエハと支持体を一時的に貼り付けるためのシリコーン系接着剤を含有するウエハ加工用接着材であって、
(A)非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる第一仮接着層と、(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層及び/又は(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層を有し、
帯電防止剤が、第二仮接着層(B)及び/又は第三仮接着層(C)に含有されていることを特徴とするウエハ加工用接着材。
〔2〕
帯電防止剤が、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤又は導電性ポリマーである〔1〕記載のウエハ加工用接着材。
〔3〕
帯電防止剤が、第二仮接着層(B)及び第三仮接着層(C)に含有されている〔1〕又は〔2〕記載のウエハ加工用接着材。
〔4〕
帯電防止剤の含有量が、帯電防止剤を含有する仮接着層中、0.01〜10質量%である〔〔3〕のいずれかに記載のウエハ加工用接着材。
〔5〕
シリコーン系接着剤層を含有する接着材を介してウエハと支持体が貼り合わせられている積層体であって、
表面に回路面を有するウエハと、このウエハの表面に剥離可能に接着された(A)非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる第一仮接着層、この第一仮接着層に積層された(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層及び/又は(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層を有するウエハ加工用接着材と、前記接着材の第二仮接着層又は第三仮接着層上に剥離可能に積層された支持体とを備え、
前記(B)第二仮接着層及び/又は(C)第三仮接着層に帯電防止剤が含まれていることを特徴とするウエハ積層体。
〔6〕
帯電防止剤が、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤又は導電性ポリマーである〔5〕記載のウエハ積層体。
〔7〕
ウエハと支持体を一時的に〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の接着材で貼り付けて、ウエハを薄型加工処理した後、加工されたウエハから支持体を剥離する剥離工程を含む薄型ウエハの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のウエハ加工用接着材は、基板接合用支持層として使用することで、他の材料との接着性が向上し、樹脂の熱分解が生じないことはもとより、高温時での樹脂の流動も生じず、耐熱性が高いために、幅広い半導体成膜プロセスに適用でき、段差を有するウエハに対しても、膜厚均一性の高い接着層を形成でき、この膜厚均一性のため容易に50μm以下の均一な薄型ウエハを得ることが可能となり、更には、薄型ウエハ作製後、このウエハを支持体より室温で容易に剥離することができ、剥離工程において発生するパーティクルの発生を防止できるため、作業効率が向上され、割れ易い薄型ウエハを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のウエハ積層体の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のウエハ加工用接着材は、ウエハと支持体を一時的に貼り付けるためのシリコーン系接着剤含有接着材であって、該接着材が帯電防止剤を含有することを特徴とするものである。
【0015】
<ウエハ加工用接着材>
本発明のウエハ加工用接着材は、ウエハと支持体とを一時的に貼り付けるために用いられるものであり、シリコーン系接着剤を含有し、更に帯電防止剤を含むものであれば特に制限されるものではないが、(A)非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる第一仮接着層と、(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層及び/又は(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層の2層構造又は3層構造を有する複合仮接着材として構成されるものが好ましく、特に前記(A)、(B)、(C)の順に形成された3層構造を有する複合仮接着材が好ましい。
【0016】
すなわち、本発明のウエハ加工用接着材は、表面に回路面を有し、裏面を加工すべきウエハを支持体に仮接着するためのウエハ加工用仮接着材であって、前記ウエハの表面に仮接着される(A)非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる第一仮接着層と、この第一仮接着層に積層され、かつ前記支持体に剥離可能に接着された(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層又は(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層の2層構造を有する複合仮接着材、又は前記ウエハの表面に仮接着される(A)非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる第一仮接着層と、この第一仮接着層に積層された(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層と、この第二仮接着層に積層され、前記支持体に剥離可能に接着される(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層の3層構造を有する複合仮接着材であることが好ましく、特にウエハ側から、前記(A)、(B)、(C)の順で形成された3層構造を有する複合仮接着材であることがより好ましく、この複合仮接着材の少なくともいずれかの仮接着層に帯電防止剤が含まれているものである。
【0017】
この場合、シリコーン系接着層である(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層、及び(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層の少なくとも1層に帯電防止剤が含有されていることが好ましい。
【0018】
このようなウエハ加工用接着材を用いれば、ウエハと支持体との仮接着が容易であり、かつ、高段差基板に対して均一な膜厚での形成も可能であり、TSV形成、ウエハ裏面配線工程に対する工程適合性が高く、更には、CVDといった熱プロセス耐性も良好かつ剥離も容易で、薄型ウエハの生産性を高めることができる。
【0019】
このように、本発明のウエハ加工用接着材として、
(A)非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる第一仮接着層と、
(B)熱硬化性シリコーン重合体層からなる第二仮接着層及び/又は(C)熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる第三仮接着層と
の2層系又は3層系からなる複合仮接着材の少なくとも1層が帯電防止剤を含有し、ウエハと支持体の接合にウエハ側から、好ましくは(A)、(B)、(C)の順で形成した構造のウエハ積層体として使用することで、貫通電極構造や、バンプ接続構造を有する薄型ウエハを、簡単に製造することができる。
【0020】
図1は、本発明のウエハ積層体の一例を示す断面図である。図1に示すように、本発明のウエハ積層体は、表面に回路面を有し、裏面を加工すべきウエハ(デバイスウエハ)1と、ウエハ1の加工時にウエハ1を支持する支持体3と、これらウエハ1と支持体3との間に介在する複合仮接着材2を備え、この複合仮接着材2が、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)(第一仮接着層)と、熱硬化性シリコーン重合体層(B)(第二仮接着層)と、更には熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)(第三仮接着層)との3層構造を有し、第一仮接着層がウエハ1の表面に剥離可能に接着され、第三仮接着層が支持体3に剥離可能に接着されているものである。なお、本発明のウエハ積層体は、前記複合仮接着材が、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)(第一仮接着層)と、熱硬化性シリコーン重合体層(B)(第二仮接着層)又は熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)(第三仮接着層)との2層構造を有し、第一仮接着層がウエハの表面に剥離可能に接着され、第二仮接着層又は第三仮接着層が支持体に剥離可能に接着されているものであってもよい。
【0021】
以下、前記2層又は3層構造を有する複合仮接着材について、更に詳細に説明する。
【0022】
<複合仮接着材>
−(A)第一仮接着層/非シリコーン熱可塑性樹脂層−
第一仮接着層(A)は、オルガノポリシロキサンを有しない熱可塑性樹脂(非シリコーン熱可塑性エラストマー)から構成される。第一仮接着層(A)にシロキサン結合を有する重合体を使用した場合、熱硬化性シリコーン重合体層(B)又は熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)とのインターミキシングを生じるおそれがある。段差を有するシリコンウエハ等への適用性から、良好なスピンコート性を有する熱可塑性樹脂が第一仮接着層(A)を形成する材料として好適に使用され、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー、スチレン・ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、特に耐熱性に優れた水素添加ポリスチレン系エラストマーが好適である。特にエラストマーの分子量は、1万〜50万程度であることが望ましい。具体的には、タフテック(旭化成ケミカルズ(株)製)、エスポレックスSBシリーズ(住友化学(株)製)、ラバロン(三菱化学(株)製)、セプトン((株)クラレ製)、DYNARON(JSR(株)製)等が挙げられる。またゼオネックス(日本ゼオン(株)製)に代表されるシクロオレフィンポリマー及びTOPAS(ポリプラスチック(株)製)に代表される環状オレフィンコポリマーが挙げられる。
【0023】
このような第一仮接着層(A)であれば、薄型ウエハ作製後、このウエハを支持体より室温で、より容易に剥離することができるため、割れ易い薄型ウエハをより容易に扱うことができる。
【0024】
この非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)は、前記熱可塑性樹脂を溶剤に溶解して非シリコーン熱可塑性樹脂組成物(A')とし、スピンコートやスプレーコート等の手法で、シリコンウエハ等の半導体基板等の上に形成される。これにより、この樹脂層(A)を塗布性よく、均一に塗布できる。このとき、形成される膜厚に制約はないが、その基板上の段差に応じて樹脂皮膜を形成することが望ましく、好適には、0.5〜50μm、更に好ましくは0.5〜10μmの膜厚が形成される。
【0025】
ここで、熱可塑性樹脂を溶解する溶剤としては、炭化水素系溶剤、好ましくは、イソオクタン、ノナン、p−メンタン、ピネン、イソオクタン等が挙げられるが、そのコーティング性より、ノナン、p−メンタン、イソオクタンがより好ましい。
【0026】
また、この非シリコーン熱可塑性樹脂組成物(A')には、その耐熱性向上の目的で、酸化防止剤や、コーティング性向上のため、界面活性剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。酸化防止剤の具体例としては、ジ−tert−ブチルフェノール等が好適に使用される。界面活性剤の例としては、フッ素シリコーン系界面活性剤X−70−1102(信越化学工業(株)製)等が好適に使用される。
【0027】
−(B)第二仮接着層/熱硬化性シリコーン重合体層−
本発明のウエハ積層体の構成要素である熱硬化性シリコーン重合体層(B)は、熱硬化性シリコーン組成物を硬化させて得られるものであれば特に限定されず、例えば、下記成分を含む熱硬化性シリコーン組成物(B')の硬化物層であることが好ましい。
(B−1)1分子中に2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B−2)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(B−1)成分中のアルケニル基に対する(B−2)成分中のSiH基のモル比が0.3〜10となる量、
(B−3)反応制御剤:(B−1)及び(B−2)成分の合計100質量部に対して0〜10質量部、特に0.1〜10質量部、及び
(B−4)白金系触媒:有効量。
【0028】
以下、各成分について説明する。
(B−1)成分
(B−1)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を含有する、好ましくは直鎖状又は分岐状のジオルガノポリシロキサンであり、特に、1分子中に0.3〜10mol%、更には0.5〜9mol%(アルケニル基モル数/Siモル数)のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0029】
(B−1)成分は、数平均分子量が、通常1,000〜1,000,000、好ましくは3,000〜500,000である。数平均分子量が小さすぎると硬化皮膜が脆くなる場合があり、大きすぎると塗布性が悪くなる場合がある。ここで、分子量又は重合度は、例えば、トルエンを展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均分子量、重量平均分子量又は数平均重合度等として求めることができる(以下、同じ。)。
【0030】
このようなジオルガノポリシロキサンとして、具体的には、下記式(1)及び/又は(2)で示されるものを挙げることができる。
【化1】
(式中、R1はそれぞれ独立してアルケニル基含有1価有機基であり、R2はそれぞれ独立して脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基であり、aは0〜3、特に1〜3の整数であり、mは0又は10以下の正数であり、nは1〜1,000の正数である。また、式(1)における2a+m、及び式(2)におけるm+2は1分子中にアルケニル基含有量が0.3〜10mol%となる数である。)
【0031】
前記式中、R1のアルケニル基含有1価有機基としては、炭素原子数2〜10の有機基が好ましく、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基等の(メタ)アクリロイルアルキル基;アクリロキシプロピル基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基等の(メタ)アクリロキシアルキル基;シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基等の酸素原子が介在してもよいアルケニル基含有1価炭化水素基が挙げられ、特に、工業的にはビニル基が好ましい。
【0032】
2としては、炭素原子数1〜10の1価炭化水素基が好ましく、例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基等であり、特にメチル基等のアルキル基又はフェニル基が好ましい。
【0033】
式(1)中、aは0〜3の整数であるが、aが1〜3であれば、分子鎖末端がアルケニル基で封鎖されるため、反応性のよいこの分子鎖末端アルケニル基により、短時間で反応を完結することができ好ましい。更には、コスト面において、a=1が工業的に好ましい。このアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの性状はオイル状又は生ゴム状であることが好ましい。このアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0034】
(B−2)成分
(B−2)成分は架橋剤であり、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。(B−2)成分は、直鎖状、分岐状又は環状のものを使用できる。
【0035】
(B−2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、SiH基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するが、これは分子鎖末端にあっても、分子鎖の途中にあっても、その両方にあってもよい。
【0036】
前記(B−2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における回転粘度計による粘度は、1〜5,000mPa・sであることが好ましく、5〜500mPa・sであるのが更に好ましい。なお、(B−2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの一分子中のケイ素原子の数(即ち、重合度)は、4〜1,000個、特に10〜100個であることが好ましい。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは2種以上の混合物でもよい。
【0037】
前記(B−2)成分の使用量は、(B−1)成分中のアルケニル基量に対する(B−2)成分中のSiH基のモル比(SiH基/アルケニル基)が0.3〜10、特に1〜8の範囲となるように配合することが好ましい。このSiH基とアルケニル基とのモル比が0.3以上であれば、架橋密度が低くなることもなく、粘着剤層が硬化しないといった問題も起こらない。10以下であれば、架橋密度が高くなりすぎることもなく、十分な粘着力及びタックが得られる。また、前記モル比が10以下であれば、処理液の使用可能時間を長くすることができる。
【0038】
(B−3)成分
(B−3)成分は反応制御剤であり、熱硬化性シリコーン組成物を調合ないし基材に塗工する際に、加熱硬化前に処理液が増粘やゲル化を起こさないようにするために必要に応じて任意に添加するものである。その具体例としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン等が挙げられ、好ましいのは1−エチニルシクロヘキサノール、及び3−メチル−1−ブチン−3−オールである。
【0039】
前記(B−3)成分を配合する場合の配合量は、通常、前記(B−1)及び(B−2)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部、特に0.1〜8質量部、とりわけ0.05〜2質量部であることが好ましい。10質量部以下であれば、熱硬化性シリコーン組成物の硬化性が低下することもなく、0.1質量部以上であると反応制御の効果が十分発揮される。
【0040】
(B−4)成分
(B−4)成分は白金系触媒(即ち、白金族金属触媒)であり、前記(B−1)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と前記(B−2)成分中のSiH基との付加反応を促進させるための触媒として使用されるものである。白金族金属触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物等が挙げられる。
【0041】
前記(B−4)成分の添加量は有効量であり、通常、前記(B−1)及び(B−2)成分の合計質量に対し、白金分(質量換算)として1〜5,000ppmであり、5〜2,000ppmであることが好ましい。1ppm以上であれば熱硬化性シリコーン組成物の硬化性が低下することもなく、架橋密度が低くなることも、保持力が低下することもない。5,000ppm以下であれば、処理浴の使用可能時間を長くすることができる。
【0042】
また、前記熱硬化性シリコーン組成物(B')には、R33SiO0.5単位(式中、R3は独立に炭素原子数1〜10の非置換もしくは置換の1価炭化水素基)及びSiO2単位を含有し、R33SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.3〜1.8であるオルガノポリシロキサンを添加してもよい。該オルガノポリシロキサンの添加量としては、前記(B−1)成分の0〜30質量%が好ましく、配合する場合は1〜30質量%とすることが好ましい。
【0043】
前記熱硬化性シリコーン重合体層(B)は、前記熱硬化性シリコーン組成物(B')をスピンコート、ロールコータ等の方法によって、支持体上に又は支持体上に形成された未硬化の熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)上に形成することができる。なお、スピンコート等の方法によって前記熱硬化性シリコーン組成物(B')を前記未硬化の熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)上に形成する場合には、前記熱硬化性シリコーン組成物(B')を溶液としてコートすることが好ましく、この場合溶剤を用いることができ、例えば、ペンタン、へキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、ノナン、デカン、p−メンタン、ピネン、イソドデカン、リモネン等の炭化水素系溶剤が好適に使用される。また、この熱硬化性シリコーン組成物(B')には、公知の酸化防止剤を耐熱性向上のために添加することができる。
【0044】
更に、この熱硬化性シリコーン組成物(B')には、耐熱性を更に高めるため、シリカ等のフィラーを(B−1)成分100質量部に対して50質量部以下添加してもよい。
【0045】
前記熱硬化性シリコーン組成物(B')は、膜厚が0.1〜30μmの間で形成されて使用されるのが好ましい。膜厚が0.1μm以上であれば、未硬化の熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)の上に塗布する場合に、塗布しきれない部分を生じることなく全体に塗布することができ、一方、膜厚が30μm以下であれば、薄型ウエハを形成する場合の研削工程に耐えることができるため好ましい。
【0046】
また、前記熱硬化性シリコーン重合体層(B)は、25mm幅のポリイミド試験片の180°ピール剥離力が、通常2gf以上かつ50gf以下であり、好ましくは3gf以上30gf以下であり、更に好ましくは5gf以上20gf以下である。2gf以上であればウエハ研削時にウエハのズレが生じるおそれがなく、50gf以下であればウエハの剥離が容易となるため好ましい。この場合、この熱硬化性シリコーン重合体層(B)の膜厚は、0.1〜30μmとすることが好ましく、更に好ましくは1〜20μmである。
【0047】
−(C)第三仮接着層/熱硬化性シロキサン変性重合体層−
本発明のウエハ積層体の構成要素である熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)は、熱硬化性シロキサン含有組成物を硬化させて得られるものであれば特に限定されないが、下記式(3)又は(4)で示される熱硬化性シロキサン変性重合体を主成分とする熱硬化性シロキサン含有組成物(C')の硬化物層であることが好ましい。
【0048】
式(3)の重合体(フェノール性シロキサン重合体):
下記式(3)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜500,000のフェノール性シロキサン重合体。
【化2】
[式中、R4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。また、pは1〜100の整数であり、Aは0又は正数であり、Bは正数である。この場合、A+B=1である。また、好ましくはAは0〜0.9、Bは0.1〜1であり、またAを添加する場合には、好ましくはAは0.1〜0.7、Bは0.3〜0.9である。Xは下記式(a)で示される2価有機基である。
【化3】
(式中、Zは
【化4】
のいずれかより選ばれる2価有機基であり、qは0又は1である。また、R5はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に同一でも異なっていてもよい。kはそれぞれ0、1、2のいずれかである。)]
【0049】
この場合、R4の具体例としては、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられ、pは、好ましくは3〜60、より好ましくは8〜40の整数である。また、B/Aは0〜20、特に0.5〜5である。また、R5の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
【0050】
式(4)の重合体(エポキシ変性シロキサン重合体):
下記式(4)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜500,000のエポキシ変性シロキサン重合体。
【化5】
[式中、R4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。また、pは1〜100の整数であり、Aは0又は正数であり、Bは正数である。この場合、A+B=1である。また、好ましくはAは0〜0.9、Bは0.1〜1であり、またAを添加する場合には、好ましくはAは0.1〜0.7、Bは0.3〜0.9である。更に、Yは下記式(b)で示される2価有機基である。
【化6】
(式中、Vは
【化7】
のいずれかより選ばれる2価有機基であり、rは0又は1である。また、R6はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に同一でも異なっていてもよい。hは0、1、2のいずれかである。)]
【0051】
この場合、R4、pの具体例は式(3)と同様である。R6の具体例としては、上述したR5と同様のものが例示できる。
【0052】
式(3)及び/又は(4)で示される熱硬化性シロキサン変性重合体を主成分とする熱硬化性シロキサン含有組成物(C')は、その熱硬化のために、式(3)のフェノール性シロキサン重合体の場合には、ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、1分子中に平均して2個以上のフェノール基、メチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選ばれるいずれか1種以上の架橋剤を含有する。
【0053】
一方、式(4)のエポキシ変性シロキサン重合体の場合には、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、あるいは1分子中に平均して2個以上のフェノール基を有するフェノール化合物のいずれか1種以上を架橋剤として含有する。
【0054】
ここで、式(3)及び(4)で示される熱硬化性シロキサン変性重合体を主成分とする熱硬化性シロキサン含有組成物(C')に用いられる架橋剤として、多官能エポキシ基を有するエポキシ化合物としては、特にその制約はないが、特に、2官能、3官能、4官能以上の多官能エポキシ樹脂、例えば、日本化薬(株)製のEOCN−1020、EOCN−102S、XD−1000、NC−2000−L、EPPN−201、GAN、NC6000や、下記式のような架橋剤を用いることができる。
【化8】
【化9】
【化10】
【0055】
前記熱硬化性シロキサン変性重合体が、式(4)のエポキシ変性シロキサン重合体の場合には、その架橋剤として、m、p−系クレゾールノボラック樹脂、例えば、旭有機材工業(株)製EP−6030Gや、3官能フェノール化合物、例えば、本州化学工業(株)製Tris−P−PA、4官能性フェノール化合物、例えば、旭有機材工業(株)製TEP−TPA等を用いることができる。
【0056】
架橋剤の配合量は、前記熱硬化性シロキサン変性重合体100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは1〜20質量部であり、2種類又は3種類以上を混合して配合してもよい。
【0057】
これらの中でも、前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')としては、式(3)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜500,000のフェノール性シロキサン重合体100質量部に対して、架橋剤としてホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、1分子中に平均して2個以上のフェノール基、メチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選ばれるいずれか1種以上を0.1〜50質量部含有する組成物、又は式(4)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜500,000のエポキシ変性シロキサン重合体100質量部に対して、架橋剤として1分子中に平均して2個以上のフェノール基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選ばれるいずれか1種以上を0.1〜50質量部含有する組成物であることが好ましい。
【0058】
また、熱硬化性シロキサン含有組成物(C')には、酸無水物のような硬化触媒を、前記熱硬化性シロキサン変性重合体100質量部に対して10質量部以下含有させてもよい。
【0059】
熱硬化性シロキサン含有組成物(C')は溶剤を含んでもよく、その場合には、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
【0060】
また、熱硬化性シロキサン含有組成物(C')には、耐熱性を更に高めるため、公知の酸化防止剤、シリカ等のフィラーを、前記熱硬化性シロキサン変性重合体100質量部に対して50質量部以下添加してもよい。更に、塗布均一性を向上させるため、界面活性剤を添加してもよい。
【0061】
この熱硬化性シロキサン含有組成物(C')を、支持体上に塗布、具体的にはスピンコート、ロールコータ、ダイコータ等の方法によって形成することができる。前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')は、ウエハ側の段差に応じて、硬化時の膜厚が15〜150μmとなるように成膜することが好ましく、20〜120μmとなるように成膜することが更に好ましい。膜厚が15μm以上であれば、ウエハ薄型化の研削工程に十分耐えることができ、150μm以下であれば、TSV形成工程等の熱処理工程で樹脂変形を生じるおそれがなく、実用に耐えることができるため好ましい。
【0062】
<帯電防止剤>
帯電防止剤としては、通常知られているアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、導電性ポリマー等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上選択して使用できる。
【0063】
具体的には、アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩が挙げられる。具体的には、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、アシル乳酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシル−ω−アミノ酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン酸塩、ホルマリン縮合系硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、脂肪酸アミドエーテルリン酸塩等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の金属塩が挙げられる。
【0064】
カチオン系界面活性剤としては、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、4級アンモニウム塩、アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩、アルキルエーテルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
【0065】
ノニオン系界面活性剤としては、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグリコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の炭素数5〜25のエステル類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステロール、ポリオキシエチレンコレスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の炭素数5〜25のエーテル類;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミド、アルキルアミンオキシド等のアミド等が挙げられる。
【0066】
両性界面活性剤としてはアミノプロピオン酸、炭素数5〜20のカルボキシベタイン、スルホベタイン等が挙げられる。
【0067】
導電性ポリマーとしてはポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン等が挙げられる。
【0068】
なお、一般的に接着剤に使用されるフッ素系の界面活性剤は、耐汚染性を改善できず、半導体ウエハ上にパーティクルを残留させる問題を改善できない。
【0069】
本発明で使用する帯電防止剤としては、ノニオン系、両性イオン系の帯電防止剤が好ましい。
【0070】
帯電防止剤の使用方法としては、例えばシリコーン系接着剤層表面に塗布する方法、シリコーン系接着剤にあらかじめ添加しておく方法が挙げられ、好ましくはシリコーン系接着剤中に添加して用いることが望ましい。なお、接着層が複数層ある複合体においては、少なくとも1層のシリコーン系接着剤層に帯電防止剤を配合させることが好ましく、更に、シリコーン系接着剤層以外の接着剤層に帯電防止剤を配合してもよい。上述した複合接着材の場合は、少なくとも第二仮接着層(B)及び/又は第三仮接着層(C)に配合させることが好ましい。
【0071】
なお、帯電防止剤をシリコーン系接着剤層表面に塗布する場合には、溶剤に帯電防止剤を溶解させたコーティング液を、公知な塗布方法、例えば、刷毛塗り、スプレーコート、スピンコーター、バーコーター、ロールコーター等のいずれかの方法を用いて、シリコーン系接着剤層表面に塗布することができる。
【0072】
帯電防止剤の配合量としては、帯電防止有効量であり、接着材全体の0.01〜10質量%、更には0.1〜5質量%が好ましい。特に、帯電防止剤が含有された層、例えば、前記第二仮接着層(B)に帯電防止剤が配合されている場合は、この層中0.01〜10質量%、更には0.1〜5質量%であることが好ましく、第三仮接着層(C)に帯電防止剤が配合されている場合は、この層中0.01〜10質量%、更には0.1〜5質量%であることが好ましく、また第二仮接着層(B)及び第三仮接着層(C)中にそれぞれ帯電防止剤が配合されている場合は、各層の帯電防止剤合計量が0.01〜10質量%、更には0.1〜5質量%に制御することが好ましい。0.01質量%より少ないと、耐汚染性、寸法安定性、耐熱性等が低下し、10質量%を超えた場合には、接着性が低下し、ウエハの加工性が悪くなる場合がある。
【0073】
<薄型ウエハの製造方法>
本発明の薄型ウエハの製造方法は、半導体回路等を有するウエハと支持体との接着層として、上述したシリコーン系接着剤を含み、かつ帯電防止剤を含有する接着材、特には非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)と、熱硬化性シリコーン重合体層(B)及び/又は熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)を含有する複合仮接着材を用いるものである。本発明の製造方法により得られる薄型ウエハの厚さは、典型的には5〜300μm、より典型的には10〜100μmである。
【0074】
前記薄型ウエハの製造方法としては、
(a)表面に回路形成面及び裏面に回路非形成面を有するウエハの前記回路形成面を、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)と、熱硬化性シリコーン重合体層(B)及び/又は熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)を含有する複合仮接着材を介して、支持体に接合する際に、ウエハの回路形成面に非シリコーン熱可塑性樹脂組成物(A')を塗工し、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)層を形成し、前記支持体上に前記熱硬化性シリコーン組成物(B')層、前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層、又は前記支持体上に形成された前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層の上に前記熱硬化性シリコーン組成物(B')層を形成した後、該組成物(C')及び/又は(B')層が形成された支持体と、前記非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)の形成された回路付きウエハとを、それぞれ樹脂層が合わさるように真空下又は減圧下で貼り合わせる工程と、
(b)前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層及び/又は熱硬化性シリコーン組成物(B')層を熱硬化させる工程と、
(c)前記支持体と接合した前記ウエハの回路非形成面を研削又は研磨する工程と、
(d)前記ウエハの回路非形成面に加工を施す工程と、
(e)前記加工を施したウエハを前記支持体から剥離する工程と
を含むことが好ましい。
【0075】
この場合、前記(a)工程として、熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層が形成された支持体と、回路付きウエハ上の非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)上に熱硬化性シリコーン組成物(B')層が形成された回路付きウエハとを、それぞれ樹脂層が合わさるように真空下又は減圧下で貼り合わせるようにしてもよい。
【0076】
このような薄型ウエハの製造方法であれば、本発明におけるウエハ加工用接着材、特には2層又は3層系からなる複合仮接着材を用いて、ウエハと支持体の接合及び剥離工程を経過することで、貫通電極構造や、バンプ接続構造を有する薄型ウエハを、容易に製造することができる。
【0077】
また、このような工程によれば、支持体を、加工を施したウエハに寸法よく接合でき、更に容易に剥離することができ、また、後のダイシング工程を容易に行うことができ、歪みがなく、破損の少ない薄型ウエハを得ることができる。
【0078】
[工程(a)]
工程(a)は、表面に回路形成面及び裏面に回路非形成面を有するウエハの前記回路形成面を、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)と、熱硬化性シリコーン重合体層(B)及び/又は熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)とからなる複合仮接着材を介して、支持体に接合する際に、前記表面に回路形成面及び裏面に回路非形成面を有するウエハの前記表面の回路形成面に前記非シリコーン熱可塑性樹脂組成物(A')を用いて非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)を形成するとともに、前記支持体の一面に前記熱硬化性シリコーン組成物(B')層又は前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層を形成し、3層の場合は、前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層の上に前記熱硬化性シリコーン組成物(B')層を形成した後、前記ウエハの非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)と、前記支持体の熱硬化性シリコーン組成物(B')層、熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層、又は熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層上の熱硬化性シリコーン組成物(B')層とを真空下又は減圧下で貼り合わせる工程である。特には、(A)層、(B)層、(C)層の順に基板上に接着層が形成される構成がよい。
【0079】
この場合、前記表面に回路形成面及び裏面に回路非形成面を有するウエハの前記表面の回路形成面に前記非シリコーン熱可塑性樹脂組成物(A')を用いて非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)を形成し、その上に前記熱硬化性シリコーン組成物(B')層を形成するとともに、前記支持体の一面に前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層を形成した後、前記ウエハの非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)上の熱硬化性シリコーン組成物(B')層と、前記支持体の熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層とを真空下で貼り合わせる工程であってもよい。
【0080】
回路形成面及び回路非形成面を有するウエハは、一方の面が回路形成面であり、他方の面が回路非形成面であるウエハである。本発明が適用できるウエハは、通常、半導体ウエハである。該半導体ウエハの例としては、シリコンウエハのみならず、ゲルマニウムウエハ、ガリウム−ヒ素ウエハ、ガリウム−リンウエハ、ガリウム−ヒ素−アルミニウムウエハ等が挙げられる。該ウエハの厚さは、特に制限はないが、典型的には600〜800μm、より典型的には625〜775μmである。
【0081】
支持体としては、シリコンウエハやガラス板、石英ウエハ等の基板が使用可能であるがなんら制約はない。本発明においては、支持体を通して接着層に放射エネルギー線を照射する必要はなく、支持体の光線透過性は不要である。
【0082】
前記非シリコーン熱可塑性樹脂組成物(A')、前記組成物(B')及び(C')は、それぞれフィルム状態で、ウエハや支持体に形成することもでき、あるいは、溶剤を含有する組成物(A')、(B')又は(C')をそれぞれスピンコート等の方法によりウエハや支持体に均一に形成することができる。この場合、スピンコート後、その溶剤の揮発条件に応じ、80〜200℃、好ましくは100〜180℃の温度で、予めプリベークを行ったのち、使用に供される。
【0083】
前記組成物(A')、(B')及び(C')の層が形成されたウエハ及び支持体は、これらの接着層を介して、接合された基板(ウエハ積層体)として形成される。このとき、好ましくは40〜200℃、より好ましくは60〜180℃の温度領域で、この温度にて真空下又は減圧下、10秒〜300秒、この基板を均一に圧着することができ、ウエハが支持体と接合したウエハ積層体(積層体基板)が形成される。なお、前記真空条件としては、減圧下であればよいが、0.01〜500Pa、好ましくは0.01〜100Paがよい。また、圧力条件は0.1〜50kNで行うことが好ましい。
【0084】
ウエハ貼り合わせ装置としては、市販のウエハ接合装置、例えば、EVG社のEVG520IS、850TB、SUSS社のXBC300等が挙げられる。
【0085】
[工程(b)]
工程(b)は、前記熱硬化性シリコーン組成物(B')層及び/又は前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層を熱硬化させる工程である。前記ウエハ積層体(積層体基板)が形成された後、120〜220℃、好ましくは150〜200℃で10分〜4時間、好ましくは30分〜2時間加熱することによって、前記熱硬化性シリコーン組成物(B')層及び前記熱硬化性シロキサン含有組成物(C')層を硬化して熱硬化性シリコーン重合体層(B)及び熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)とする。
【0086】
[工程(c)]
工程(c)は、支持体と接合したウエハの回路非形成面を研削又は研磨する工程、即ち、工程(a)にて貼り合わせて得られたウエハ積層体のウエハ裏面側を研削して、該ウエハの厚みを薄くしていく工程である。ウエハ裏面の研削加工の方式には特に制限はなく、公知の研削方式が採用される。研削は、ウエハと砥石(ダイヤモンド等)に水をかけて冷却しながら行うことが好ましい。ウエハ裏面を研削加工する装置としては、例えば(株)ディスコ製DAG−810(商品名)等が挙げられる。また、ウエハ裏面側をCMP研磨してもよい。
【0087】
[工程(d)]
工程(d)は、回路非形成面を研削したウエハ積層体、即ち、裏面研削によって薄型化されたウエハ積層体の回路非形成面に加工を施す工程である。この工程にはウエハレベルで用いられる様々なプロセスが含まれる。例としては、電極形成、金属配線形成、保護膜形成等が挙げられる。より具体的には、電極等の形成のための金属スパッタリング、金属スパッタリング層をエッチングするウェットエッチング、金属配線形成のマスクとするためのレジストの塗布、露光、及び現像によるパターンの形成、レジストの剥離、ドライエッチング、金属めっきの形成、TSV形成のためのシリコンエッチング、シリコン表面の酸化膜形成等、従来公知のプロセスが挙げられる。
【0088】
[工程(e)]
工程(e)は、工程(d)で加工を施したウエハをウエハ積層体から剥離する工程、即ち、薄型化したウエハに様々な加工を施した後、ダイシングする前にウエハ積層体からウエハを剥離する工程である。この剥離工程は、一般に室温から60℃程度の比較的低温の条件で実施され、ウエハ積層体のウエハ又は支持体の一方を水平に固定しておき、他方を水平方向から一定の角度を付けて持ち上げる方法、及び、研削されたウエハの研削面に保護フィルムを貼り、ウエハと保護フィルムをピール方式でウエハ積層体から剥離する方法等が挙げられる。本発明には、これらの剥離方法のいずれにも適用可能であるが、ウエハ積層体のウエハ又は支持体の一方を水平に固定しておき、他方を水平方向から一定の角度を付けて持ち上げる方法、及び、研削されたウエハの研削面に保護フィルムを貼り、ウエハと保護フィルムをピール方式で剥離する方法等がより適している。これらの剥離方法は、通常、室温で実施される。
【0089】
また、加工を施したウエハを支持体から剥離する工程(e)は、
(f)加工を施したウエハのウエハ面にダイシングテープを接着する工程と、
(g)ダイシングテープ面を吸着面に真空吸着する工程と、
(h)吸着面の温度が10〜100℃の温度範囲で、前記支持体を、加工を施した前記ウエハからピールオフにて剥離する工程と
を含むことが好ましい。このようにすることで、接着材付き支持体を加工を施したウエハから容易に剥離することができ、また、後のダイシング工程を容易に行うことができる。
【0090】
また、(e)加工を施したウエハを前記接着材付き支持体から剥離する工程後に、(i)剥離したウエハの回路形成面に残存する仮接着層を除去する工程
を行うことが好ましい。
【0091】
工程(e)により支持体より剥離されたウエハの回路形成面には、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)が一部残存している場合があり、該非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)の除去は、例えば、ウエハを洗浄することにより行うことができる。
【0092】
工程(i)は、仮接着層中の非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)を構成する非シリコーン熱可塑性樹脂を溶解するような洗浄液であればすべて使用可能であり、具体的には、ペンタン、へキサン、シクロヘキサン、デカン、イソノナン、p−メンタン、ピネン、イソドデカン、リモネン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0093】
また、除去しにくい場合は、前記溶剤に、塩基類、酸類を添加してもよい。塩基類の例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、アンモニア等のアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウム塩類が使用可能である。酸類としては、酢酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸が使用可能である。これらの添加量は、洗浄液中濃度で、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。また、残存物の除去性を向上させるため、既存の界面活性剤を添加してもよい。
【0094】
洗浄方法としては、前記洗浄液を用いてパドルでの洗浄を行う方法、スプレー噴霧での洗浄方法、洗浄液槽に浸漬する方法が可能である。温度は10〜80℃、好ましくは15〜65℃が好適であり、必要があれば、これらの洗浄液で非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)を溶解したのち、最終的に水洗又はアルコールによるリンスを行い、乾燥処理させて、薄型ウエハを得ることも可能である。
【実施例】
【0095】
以下、合成例、作製例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0096】
[樹脂合成例1]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備したフラスコ内に、下記式(M−1)で示される9,9'−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン43.1g、下記平均構造式(M−3)で示されるオルガノハイドロジェンシロキサン29.5g、トルエン135g、塩化白金酸0.04gを仕込み、80℃に昇温した。その後、下記式(M−5)で示される1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン17.5gを1時間掛けてフラスコ内に滴下した。このとき、フラスコ内温度は、85℃まで上昇した。滴下終了後、更に80℃で2時間熟成した後、トルエンを留去するとともに、シクロヘキサノンを80g添加して、樹脂固形分濃度50質量%のシクロヘキサノンを溶剤とする樹脂溶液を得た。この溶液の樹脂分の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量45,000であった。更に、この樹脂溶液50gに、架橋剤として、エポキシ架橋剤であるEOCN−1020(日本化薬(株)製)を7.5g、硬化触媒として、和光純薬工業(株)製、BSDM(ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン)を0.2g、更に、酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン(商品名:アデカスタブAO−60)を0.1g添加し、1μmのメンブレンフィルターで濾過して、熱硬化性シロキサン含有組成物溶液(C−1)を得た。
【0097】
[樹脂合成例2]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に、下記式(M−2)で示されるエポキシ化合物84.1gをトルエン600gに溶解後、下記式(M−3)で示される化合物294.6g、下記式(M−4)で示される化合物25.5gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)1gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認後、更に、90℃まで加温し、3時間熟成した。次いで室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン(MIBK)600gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。この樹脂溶液中の溶剤を減圧留去するとともに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)270gを添加して、樹脂固形分濃度60質量%のPGMEAを溶剤とする樹脂溶液を得た。この樹脂溶液中の樹脂の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量28,000であった。更にこの樹脂溶液100gに、架橋剤として、4官能フェノール化合物であるTEP−TPA(旭有機材工業(株)製)を9g、硬化触媒として、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、リカシッドHH−A)0.2gを添加して、1μmのメンブレンフィルターで濾過して、熱硬化性シロキサン含有組成物溶液(C−2)を得た。
【0098】
[樹脂合成例3]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に、下記式(M−1)で示される9,9'−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン10.8g、下記式(M−2)で示されるエポキシ化合物21.0gをトルエン900gに溶解後、下記式(M−6)で示される化合物325.9g、下記式(M−4)で示される化合物25.5gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)1gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認後、更に、90℃まで加温し、3時間熟成した。次いで室温まで冷却後、MIBK600gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。この樹脂溶液中の溶剤を減圧留去するとともに、PGMEA240gを添加して、固形分濃度60質量%のPGMEAを溶剤とする樹脂溶液を得た。この樹脂溶液中の樹脂の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量35,000であった。更にこの樹脂溶液100gに4官能フェノール化合物であるTEP−TPA(旭有機材工業(株)製)を5g、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、リカシッドHH−A)0.2gを添加して、1μmのメンブレンフィルターで濾過して、熱硬化性シロキサン含有組成物溶液(C−3)を得た。
【化11】
【0099】
[樹脂溶液作製例1]
重量平均分子量3万の水素添加スチレンブタジエン共重合体である熱可塑性樹脂24gをイソノナン176gに溶解し、12質量%のスチレンブタジエン共重合体のイソノナン溶液を得た。得られた溶液を、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、非シリコーン熱可塑性(熱可塑性オルガノポリシロキサン非含有)樹脂のイソノナン溶液(A−1)を得た。
【0100】
[樹脂溶液作製例2]
0.5モル%のビニル基を分子側鎖に有し、数平均分子量(Mn)が3万のポリジメチルシロキサン80質量部、及びイソドデカン400質量部からなる溶液に、下記式(M−7)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを3.0質量部、エチニルシクロヘキサノール0.7質量部を添加し、混合した。なお、SiH/SiViのモル比は1.1であった。更に白金触媒CAT−PL−5(信越化学工業(株)製)を0.5質量部添加し、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−1)を得た。この熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−1)100質量部に対して、帯電防止剤として、ニッサンアノンBL(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、日油(株)製)を2質量部添加し、帯電防止剤添加熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−1A)を得た。
【化12】
【0101】
[樹脂溶液作製例3]
0.5モル%のビニル基を分子側鎖に有し、数平均分子量(Mn)が3万のポリジメチルシロキサン60質量部、及び0.15モル%のビニル基を両末端鎖に有し、数平均分子量(Mn)が6万のポリジメチルシロキサン20質量部、及びイソドデカン400質量部からなる溶液に前記式(M−7)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを2.5質量部、エチニルシクロヘキサノール0.7質量部を添加し混合した。なお、SiH/SiViのモル比は1.2であった。更に白金触媒CAT−PL−5(信越化学工業(株)製)を0.5質量部添加し、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−2)を得た。この熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−2)100質量部に対して、帯電防止剤として、ノニオンS−207(ポリオキシエチレンステアリルエーテル、日油(株)製)を3質量部添加し、帯電防止剤添加熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−2A)を得た。
【0102】
[樹脂溶液作製例4]
樹脂合成例1で得られた熱硬化性シロキサン含有組成物溶液(C−1)固形分100質量部に対し、帯電防止剤として、ニッサンアノンBL(日油(株)製)を3質量部添加し、熱硬化性シロキサン含有組成物溶液(C−1A)を得た。
【0103】
[樹脂溶液作製例5]
樹脂合成例2で得られた熱硬化性シロキサン含有組成物溶液(C−2)固形分100質量部に対し、帯電防止剤として、プロノン#202B(ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール(ブロックコポリマー)、日油(株)製)を4質量部添加し、熱硬化性シロキサン含有組成物溶液(C−2A)を得た。
【0104】
[樹脂溶液作製例6]
樹脂合成例3で得られた樹脂溶液(C−3)固形分100質量部に、帯電防止剤としてニッサンアノンBL(日油(株)製)を3部添加し、樹脂溶液(C−3A)を得た。
【0105】
[樹脂溶液作製例7]
メチルエチルケトン400質量部、2−(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド30質量部、メチルメタクリレート60質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部を攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに投入した。そして、80℃にて窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。その後、AIBN0.1質量部を投入し、80℃で1時間反応させた。その後、70℃でAIBN0.2質量部を投入し、4時間反応させ、続いて80℃で4時間反応させて得られたポリマー溶液を得た。
ポリマー固形分100質量部に対して、帯電防止剤として、ニッサンアノンBL(日油(株)製)を2質量部添加し、重合体溶液Dを得た。
【0106】
[樹脂溶液作製例8](エポキシ+帯電防止剤)
エポキシ樹脂(商品名 EOCN1020(日本化薬(株)製))100質量部に対して架橋剤(TEP−TPA(旭有機材工業(株)製))80質量部、硬化促進剤(2PHZ−PW(四国化成工業(株)製)1質量部及びシクロペンタノン180質量部を加え、固形分50質量%の溶液とし、更に固形分100質量部に対して、帯電防止剤としてニッサンアノンBL(日油(株)製)を2質量部添加し、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、樹脂溶液(E)を得た。
【0107】
〔樹脂の特性測定〕 測定例1〜12
直径200mmシリコンウエハ(厚さ:725μm)に、表1、2に示す樹脂溶液をスピンコート後、ホットプレートにて、150℃で5分間加熱して表1、2に示す膜厚の樹脂膜を形成した。得られた樹脂膜付ウエハにおける樹脂層の帯電性を評価し、結果を表1、2に示す。なお、帯電性の評価は、JIS K 6911(重リング電極法)により行った。
【0108】
[実施例1〜7、比較例1〜4]
表面に高さ10μm、直径40μmの銅ポストが全面に形成された直径200mmシリコンウエハ(厚さ:725μm)に、(A)層に対応する非シリコーン熱可塑性樹脂溶液(A−1)をスピンコート後、ホットプレートにて、150℃で5分間加熱することにより、表3に示す膜厚で、(A)層をウエハバンプ形成面に成膜した。その後、(B)層に相当する熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−1)、(B−2)、(B−1A)又は(B−2A)を、シリコンウエハ上に形成された(A)層上に、やはり、スピンコートすることで、表3に記載された膜厚で、(B')層を形成した。更にその後、150℃で3分間、ホットプレート上で加熱した。
一方、直径200mm(厚さ:500μm)のガラス板を支持体とし、この支持体に(C)層に対応する熱硬化性シロキサン含有組成物溶液(C−1)、(C−2)、(C−1A)、(C−2A)又は(C−3A)をスピンコートし、ホットプレートにより、150℃で5分間加熱することで、表3に記載された膜厚で、(C')層をガラス支持体上に形成した。
このようにしてこの非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)と、その(A)層上に熱硬化性シリコーン組成物からなる(B')層を有するシリコンウエハ、及び熱硬化性シロキサン含有組成物からなる(C')層と、その(C')層を有するガラス板とをそれぞれ、樹脂面((B')層及び(C')層)が合わされるように、真空貼り合わせ装置(EVG社のEVG520IS)内で10-3mbar以下の減圧条件のもと、表3に示す接着温度条件にて貼り合わせ(接着させ)、ウエハと支持体が接着層(樹脂層)を介して接合されているウエハ積層体を作製した。次に(B')層及び(C')層をオーブンにて190℃で1時間加熱処理を施し、硬化させた。
なお、実施例7は、(B)層を形成しない以外は、実施例1と同様に積層体を製造し、硬化させた。また、比較例3、4は、(C)層を形成せず、(C)層の代わりに(B)層(溶液(D)又は(E))をガラス支持体上に形成し、(A)層を有するシリコンウエハと、(B)層を有するガラス板とをそれぞれ、樹脂面((A)層及び(B)層)が合わされるよう貼り合わせた以外は、実施例1と同様に積層体を製造し、硬化させた。
【0109】
なお、ここで、基板接着後の異常を目視で判別するために支持体としてガラス板を使用したが、本発明においては、ウエハ等の光を透過しないシリコン基板も使用可能である。
【0110】
その後、この接合された基板(ウエハ積層体)に対し、下記試験を行い、実施例及び比較例の結果を表3に示した。寸法安定性及び帯電性評価の項目以外のその他の項目については、下記に示す評価を実施し、途中で異常(判定が「×」)となった時点で、それ以後の評価を中止した。
【0111】
−帯電防止性試験−
前記ウエハ積層体中の接着層(樹脂層)の23℃における表面固有抵抗をJIS K 6911二重リング電極法により測定した。1013Ω以上で「×」、1012Ω以下で「○」とし、109以下で「◎」として帯電性効果の評価とした。
【0112】
−接着性試験−
前記ウエハ積層体中の接着層(樹脂層)の(B')層と(C')層(実施例1〜6、比較例1〜2)、(A)層と(C')層(実施例7)、(A)層と(B')層(比較例3〜4)の界面の接着状況を目視で確認し、界面での気泡等の異常が発生しなかった場合を良好と評価して「○」で示し、異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
【0113】
−裏面研削耐性試験−
グラインダー(DISCO製、DAG810)でダイヤモンド砥石を用いてシリコンウエハの裏面研削を行った。最終基板厚50μmまでグラインドした後、光学顕微鏡(100倍)にてクラック、剥離等の異常の有無を調べた。異常が発生しなかった場合を良好と評価して「○」で示し、異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
【0114】
−CVD耐性試験−
シリコンウエハを裏面研削した後のウエハ積層体をCVD装置に導入し、2μmのSiO2膜の生成実験を行い、その際の外観異常の有無を電子顕微鏡で調べた。外観異常が発生しなかった場合を良好と評価して「○」で示し、ボイド、ウエハ膨れ、ウエハ破損等の外観異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
CVD耐性試験の条件は、以下のとおりである。
装置名:プラズマCVD PD270STL(サムコ社製)
RF500W、内圧40Pa
TEOS(テトラエチルオルソシリケート):O2=20sccm:680sccm
【0115】
−異物量測定−
剥離した50μmまで薄型化したウエハの表面の中心部分及びウエハエッジ部分の2か所について、それぞれ1cm×1cmのエリアについてレーザー顕微鏡で観察し、1μm以上のパーティクルについて集計した。合計のパーティクル数が100以下の場合を良好と評価して「○」で示し、100を超えた場合を不良と評価して「×」で示した。
【0116】
−剥離性試験−
基板の剥離性は、まず、耐熱性試験を終えたウエハ積層体の50μmまで薄型化したウエハ側にダイシングフレームを用いてダイシングテープを貼り、このダイシングテープ面を真空吸着によって、吸着板にセットした。その後、室温にて、ガラスの1点をピンセットにて持ち上げることで、ガラス基板及び接着材を剥離した。50μmのウエハを割ることなく剥離できた場合を良好と評価して「○」で示し、割れ等の異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
【0117】
−洗浄除去性試験−
前記剥離性試験終了後のダイシングテープを介してダイシングフレームに装着された200mmウエハ(耐熱性試験条件に晒されたもの)を、接着層を上にしてスピンコーターにセットし、洗浄溶剤としてp−メンタンを5分間噴霧したのち、ウエハを回転させながらイソプロピルアルコール(IPA)を噴霧にてリンスを行った。その後、外観を観察して残存する接着剤樹脂の有無を目視でチェックした。樹脂の残存が認められないものを良好と評価して「○」で示し、樹脂の残存が認められたものを不良と評価して「×」で示した。
【0118】
−総合判定−
全ての評価項目で良好であったものを「○」として、一つでも不良があったものは「×」とした。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【符号の説明】
【0122】
1…デバイスウエハ
2…複合仮接着材
(A)…非シリコーン熱可塑性樹脂層(第一仮接着層)
(B)…熱硬化性シリコーン重合体層(第二仮接着層)
(C)…熱硬化性シロキサン変性重合体層(第三仮接着層)
3…支持体
図1