特許第6589871号(P6589871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589871
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】紫外線吸収性ガラス物品
(51)【国際特許分類】
   C03C 4/08 20060101AFI20191007BHJP
   C03C 3/087 20060101ALI20191007BHJP
   C03C 4/02 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   C03C4/08
   C03C3/087
   C03C4/02
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-547410(P2016-547410)
(86)(22)【出願日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】JP2015075109
(87)【国際公開番号】WO2016039252
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2018年2月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-182121(P2014-182121)
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100121393
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 洋一
(72)【発明者】
【氏名】赤田 修一
【審査官】 山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−504614(JP,A)
【文献】 特開平09−208229(JP,A)
【文献】 特表平09−509391(JP,A)
【文献】 特開2011−251882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00 − 14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物基準の質量%表示で、ガラス母組成として、
SiO2 66〜75%、
Na2O 10〜20%、
CaO 5〜15%、
MgO 0〜6%、
Al23 0〜5%、
2O 0〜5%、
FeO 0.2〜1.2%、
Fe23で表した全鉄 2.4〜4%、
TiO2 0.10〜1%
を含有し、CoOを50〜400質量ppm含有し、Seを0〜70質量ppm含有し、Cr23を0〜800質量ppm含有し、CoO、SeおよびCr23の合量が0.1質量%未満であり、板厚3.5mmでの紫外線透過率(TUV)(ISO9050:2003)が2%以下であり、板厚3.5mmでの標準A光源を用いて測定した可視光透過率(TVA)(JIS−R3106(1998))が5%以上15%以下であることを特徴とする紫外線吸収性ガラス物品。
【請求項2】
さらに、NiOを0〜1質量%含有する、請求項1に記載の紫外線吸収性ガラス物品。
【請求項3】
CoOを180〜400質量ppm含有する、請求項1または2に記載の紫外線吸収性ガラス物品。
【請求項4】
酸化物基準の質量%表示で、ガラス母組成として、Fe23で表した全鉄を2.4〜3.50%含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線吸収性ガラス物品。
【請求項5】
板厚2.5mmでの紫外線透過率(TUV)(ISO9050:2003)が2%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線吸収性ガラス物品。
【請求項6】
板厚2.5mmでの標準A光源を用いて測定した可視光透過率(TVA)(JIS−R3106(1998))が12%以上26%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の紫外線吸収性ガラス物品。
【請求項7】
板厚3.5mmでの日射透過率(TE)(JIS−R3106(1998))が20%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の紫外線吸収性ガラス物品。
【請求項8】
板厚2.5mmでの日射透過率(TE)(JIS−R3106(1998))が35%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の紫外線吸収性ガラス物品。
【請求項9】
板厚3.5mmでの標準C光源を用いて測定した主波長(λD)が485〜580nmであり、標準C光源を用いて測定した刺激純度(Pe)が45%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の紫外線吸収性ガラス物品。
【請求項10】
板厚2.5mmでの標準C光源を用いて測定した主波長(λD)が485〜580nmであり、標準C光源を用いて測定した刺激純度(Pe)が35%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の紫外線吸収性ガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用(特に、自動車用)濃グレー色ガラスとして好適な紫外線吸収性ガラス物品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ガラスのリアサイドガラスおよびリアガラスとして、可視光線透過率を大幅に低減させた濃色のグレーガラス(いわゆる、濃グレー色ガラス若しくはプライバシーガラスという)が実用化されている。このプライバシーガラスは、紫外領域から赤外領域までの広い波長域の太陽光線遮蔽性能が高いことによる室内の快適性や空調負荷低減、高級感を与える色調の選択が可能、デザイン的に優れた意匠性、車内のプライバシー保護、等の面で優れている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2は、従来のプライバシーガラスを開示している。
【0004】
特許文献1は、ソーダ石灰シリカガラスの成分に加えて、赤外線吸収材料、紫外線吸収材料、および、着色剤として作用する成分を使用した、赤外線吸収性、紫外線吸収性のガラス物品を開示している。このガラス物品は、緑色に着色しており、約60%以下の光透過率、約40%以下の全太陽紫外線透過率、約45%以下の全太陽赤外線透過率、約50%以下の全太陽エネルギー透過率である。特許文献2は、1%以下の全太陽紫外線透過率であるガラス物品を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特表2003−508338号公報
【特許文献2】国際公開第2013/022225号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、紫外線対策についての関心が高まっている。これに対応するため、さらに紫外線透過率(TUV)が低いプライバシーガラスが求められている。一方、安全走行のために、後方の視界確保も求められている。
しかしながら、特許文献1のガラスは、低い紫外線透過率(TUV)を満足しているものの、色が濃くなることにより、視界確保の点で要求を満足できていない。また、特許文献2のガラスは、発明者らの検討によると、粘度が100ポアズのときの温度が高く(1443℃)、ガラス製造が難しい場合がある。
【0007】
本発明は、上記した問題点を解決するため、製造しやすく、車両用プライバシーガラスとして好適な、紫外線透過率(TUV)が低く、視界確保の要求を満足する紫外線吸収性ガラス物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明は、酸化物基準の質量%表示で、ガラス母組成として、
SiO2 66〜75%、
Na2O 10〜20%、
CaO 5〜15%、
MgO 0〜6%、
Al23 0〜5%、
2O 0〜5%、
FeO 0.2〜1.2%、
Fe23で表した全鉄 2.4〜4%、
TiO2 0%超1%以下、
を含有し、CoOを50〜400質量ppm含有し、Seを0〜70質量ppm含有し、Cr23を0〜800質量ppm含有し、CoO、SeおよびCr23の合量が0.1質量%未満であり、板厚3.5mmでの紫外線透過率(TUV)(ISO9050:2003)が2%以下であることを特徴とする紫外線吸収性ガラス物品を提供する。
【0009】
本発明の紫外線吸収性ガラス物品は、さらに、NiOを0〜1質量%含有してもよい。
【0010】
本発明の紫外線吸収性ガラス物品は、板厚2.5mmでの紫外線透過率(TUV)(ISO9050:2003)が2%以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の紫外線吸収性ガラス物品は、板厚3.5mmでの標準A光源を用いて測定した可視光透過率(TVA)(JIS−R3106(1998))が5%以上15%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の紫外線吸収性ガラス物品は、板厚2.5mmでの標準A光源を用いて測定した可視光透過率(TVA)(JIS−R3106(1998))が12%以上26%以下であることが好ましい。
【0013】
本発明の紫外線吸収性ガラス物品は、板厚3.5mmでの日射透過率(TE)(JIS−R3106(1998))が20%以下であることが好ましい。
【0014】
本発明の紫外線吸収性ガラス物品は、板厚2.5mmでの日射透過率(TE)(JIS−R3106(1998))が35%以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の紫外線吸収性ガラス物品は、板厚3.5mmでの標準C光源を用いて測定した主波長(λD)が485〜580nmであり、標準C光源を用いて測定した刺激純度(Pe)が45%以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の紫外線吸収性ガラス物品は、板厚2.5mmでの標準C光源を用いて測定した主波長(λD)が485〜580nmであり、標準C光源を用いて測定した刺激純度(Pe)が35%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、製造しやすく、車両用プライバシーガラスとして好適な、紫外線透過率(TUV)が低く、視界確保の要求を満足する紫外線吸収性ガラス物品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の紫外線吸収性ガラス物品(以下、本発明のガラスということがある)は、酸化物基準の質量%表示で、ガラス母組成として、SiO2:66〜75%、Na2O:10〜20%、CaO:5〜15%、MgO:0〜6%、Al23:0〜5%、K2O:0〜5%、FeO:0.2〜1.2%、Fe23で表した全鉄:2.4〜4%、TiO2:0%超1%以下、を含有し、CoOを50〜400質量ppm含有し、Seを0〜70質量ppm含有し、Cr23を0〜800質量ppm含有し、CoO、SeおよびCr23の合量が0.1質量%未満であり、板厚3.5mmでの紫外線透過率(TUV)(ISO9050:2003)が2%以下であることを特徴とする。
【0019】
本発明のガラス中の各成分の含有量の限定理由を以下に述べる。なお、特に明記がない限り、%は質量%、ppmは質量ppmを意味するものとする。
【0020】
SiO2は、ネットワークを構築する成分であり、必須成分である。SiO2は、含有量が66%以上であれば耐候性が良くなり、75%以下であれば粘度が高くなりすぎず、熔融に都合が良い。66%以上72%以下であれば好ましく、67%以上70%以下であればより好ましい。
【0021】
Na2Oは、原料の熔融を促進する成分であり、必須成分である。Na2Oは、含有量が10%以上であれば原料の熔融を促進させ、20%以下であれば耐候性が悪くならない。11%以上18%以下であれば好ましく、12%以上16%以下であればより好ましい。
【0022】
CaOは、原料の熔融を促進し耐候性を改善する成分であり、必須成分である。CaOは、含有量が5%以上であれば原料の熔融を促進し耐候性を改善させ、15%以下であれば失透を抑制する。6%以上13%以下であれば好ましく、7%以上11%以下であればより好ましい。
【0023】
MgOは、原料の熔融を促進し耐候性を改善する成分であり、選択成分である。MgOは、含有量が6%以下であれば失透を抑制する。5%以下であれば好ましく、4%以下であればより好ましい。
【0024】
Al23は、耐候性を改善する成分であり、選択成分である。Al23は、含有量が5%以下であれば粘度が高くなりすぎず、熔融に都合が良い。4%以下であれば好ましく、3%以下であればより好ましい。
【0025】
2Oは、原料の熔融を促進する成分であり、選択成分である。K2Oは、含有量が5%以下であれば揮発による熔融窯の耐火物へのダメージを抑制する。4%以下であれば好ましく、3%以下であればより好ましい。
【0026】
FeOは、熱エネルギーを吸収する成分であり、必須成分である。FeOは、含有量が0.2%以上であれば充分に低い日射透過率が得られる。一方、含有量が1.2%以下であれば熔融時の熱効率が悪化せず、加熱源から遠い熔融炉の底部において素地が滞留することを抑制する。0.2%以上0.8%以下であれば好ましく、0.3%以上0.6%以下であればより好ましい。
【0027】
Fe23に換算した全鉄の含有量は、2.4%以上であれば可視光透過率を大きくさせず、4%以下であれば可視光透過率を小さくさせない。すなわち、可視光透過率が適切な範囲となる。より好ましい全鉄の含有量は、2.6〜3.0%である。
【0028】
TiO2は、紫外線透過率(TUV)を小さくする成分であり、必須成分である。TiO2は、含有量が0%より多いと紫外線透過率を大きくせず、1%以下であれば黄色味が抑えられ刺激純度を大きくすることを抑制する。0.5%以上0.9%以下であればより好ましい。
【0029】
Seは、必須ではないが、ガラスに赤みを帯びさせる成分であるため、含有できる。Seは、ガラスの色調が青みを帯びるのを抑制するには、含有量が3ppm以上であるのが好ましく、70ppm以下であれば黄色みを帯びるのを抑制する。5ppm以上50ppm以下であればより好ましく、10ppm以上30ppm以下であればさらに好ましい。
【0030】
CoOは、ガラスに青みを帯びさせる成分であり、必須成分である。CoOは、含有量が50ppm以上であればガラスの色調が黄色みを帯びるのを抑制し、400ppm以下であればガラスの色調が青みを帯びるのを抑制する。より好ましいCoOの含有量は、180〜320ppmである。
【0031】
Cr23は、本発明のガラスにおいて、さほど刺激純度を高めないで、可視光透過率を低減させる成分であり、任意成分である。Cr23は、含有量が800ppm以下であれば刺激純度が大きくなることを抑制する。好ましいCr23の含有量は、300ppm以下である。
【0032】
ここで、本発明のガラスにおいては、可視光透過率を小さくしすぎないとの観点から、CoO、SeおよびCr23の合量は0.1%未満であり、好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.06%以下である。
【0033】
なお、実生産においては、芒硝などの清澄剤が用いられるため、その痕跡として、0.05〜1.0%程度のSO3がガラス中に残存するのが通常である。
【0034】
本発明のガラスは、上記以外にガラスに黄緑みを帯びさせる成分であるNiの酸化物を含有することが好ましい。この場合、酸化物換算(NiO)の含有量は0〜1質量%である。
【0035】
本発明のガラスは、上記以外にB、Ba、Sr、Li、Zn、Pb、P、Zr、Biの各酸化物を含有してもよい。これらの酸化物換算(B23、BaO、SrO、Li2O、ZnO、PbO、P25、ZrO2、Bi23)の含有量は各々、0〜1質量%であってよい。
【0036】
また、Sb、As、Cl、Fを含有してもよい。これらの元素は溶融補助剤、清澄剤から意図的に混入し得る。あるいは原料やカレット中の不純物として含有し得る。これらの含有量は、各々0〜0.1質量%であってよい。
【0037】
また、Snの酸化物を含有してもよい。Snはフロート法における成形時にガラスと接触し、ガラス中に侵入する。酸化物換算(SnO2)の含有量は0〜0.1質量%であってよい。
【0038】
また、Mn、Cu、Mo、Nd、Erの各酸化物を含有してもよい。これらの酸化物換算(MnO2、CuO、MoO3、Nd23、Er23)の含有量は、各々0〜0.1質量%であってよい。
【0039】
なお、V、W等の紫外線吸収剤は実質的に含まない。ここで実質的に含まないとは意図的に含有させないことを意味し、具体的にはこれらの元素の含有率がガラス中にそれぞれ100ppm程度以下であることを意味する。
【0040】
本発明のガラスを車両用プライバシーガラスとして用いる場合、上記組成のガラスであって、以下のような光学特性を有することが好ましい。
まず、3.5mm厚さで、可視光透過率(TVA)は5%以上15%以下であることが好ましく、7%以上13%以下がより好ましい。また、3.5mm厚さで、日射透過率(TE)は20%以下であることが好ましく、15%以下がより好ましい。
3.5mm厚さで、紫外線透過率(TUV)は2%以下であることが好ましく、1%がより好ましい。
また、上記光学特性に加えて、3.5mm厚さで、主波長λDが485〜580nm、刺激純度が45%以下であることが好ましく、刺激純度が41%以下であるガラスが特に好ましい。
本明細書を通じて、日射透過率、可視光透過率はJIS−R3106(1998)により、紫外線透過率はISO 9050(2003)により、それぞれ求めたものである。また、可視光透過率は標準A光源2度視野を、主波長と刺激純度は標準C光源2度視野を、それぞれ用いて算出したものである。
【0041】
本発明のガラスを薄板の車両用プライバシーガラスとして用いる場合、上記組成のガラスであって、以下のような光学特性を有することが好ましい。
2.5mm厚さで、可視光透過率(TVA)は12%以上26%以下であることが好ましく、14%以上24%以下がより好ましい。また、2.5mm厚さで、日射透過率(TE)は35%以下であることが好ましく、32%以下がより好ましい。
2.5mm厚さで、紫外線透過率(TUV)は2%以下であることが好ましく、1%がより好ましい。
また、上記光学特性に加えて、2.5mm厚さで、主波長λD が485〜580nm、刺激純度(Pe)が35%以下であることが好ましく、刺激純度(Pe)が32%以下であるガラスが特に好ましい。
【0042】
本発明のガラスの製造法は、特に限定されないが、たとえば、次のようにして製造できる。調合した原料を連続的に熔融炉に供給し、重油等により約1500℃に加熱してガラス化する。次いで、この熔融ガラスを清澄した後、フロート法等により所定の厚さのガラス板に成形する。次いで、このガラス板を所定の形状に切断することにより、本発明のガラスが製造される。その後、必要に応じて、切断したガラスを強化処理し、合わせガラスに加工し、または複層ガラスに加工することができる。
【実施例】
【0043】
原料としてケイ砂、長石、苦灰石、ソーダ灰、芒硝、高炉スラグ、酸化第二鉄、酸化チタン、酸化コバルト、亜セレン酸ソーダ、酸化クロム、酸化ニッケルを用いて原料バッチを調合した。母成分として、SiO2:65〜70、Al23:1.8、CaO:8.4、MgO:4.6、Na2O:13.3、K2O:0.7およびSO3:0.2(単位:質量%)からなるソーダライムシリケートガラスを使用した。母成分と、吸収成分として加えるt−Fe23(Fe23に換算した全鉄)、CoO、Se、TiO2、Cr23およびNiOの合計が100質量%になるようにSiO2含有量を調整して目標組成とした。バッチを白金―ロジウム製のルツボに入れて、電気炉中で熔融(O2濃度0.5%程度の雰囲気)し、カーボン板状に流し出した後、別の電気炉内で徐冷した。得られたガラスブロックを切断し、一部を研磨して蛍光X線分析装置により組成を分析した。別の一部の表面を研磨して鏡面状に、かつ下記表1に記載の厚み(3.5mm又は2.5mm)になるように仕上げて、分光光度計により分光透過率を測定した。なおFeOについては波長1000nmの赤外線透過率から計算により求めた。以下、表1に、得られた各ガラス中の吸収成分の含有量と、厚みが3.5mmの場合の光学特性ならびに厚みが2.5mmの場合の光学特性を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2014年9月8日付けで出願された日本特許出願(特願2014−182121)に基づいており、その全体が引用により援用される。