特許第6590181号(P6590181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DIC株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6590181-水回り部品用樹脂組成物及び流体用配管 図000017
  • 特許6590181-水回り部品用樹脂組成物及び流体用配管 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590181
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】水回り部品用樹脂組成物及び流体用配管
(51)【国際特許分類】
   C08L 81/02 20060101AFI20191007BHJP
   C08G 75/10 20060101ALI20191007BHJP
   F16L 9/12 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   C08L81/02
   C08G75/10
   F16L9/12
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-25264(P2015-25264)
(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公開番号】特開2016-147958(P2016-147958A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 創
(72)【発明者】
【氏名】古沢 高志
(72)【発明者】
【氏名】小川 智
(72)【発明者】
【氏名】高田 十志和
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−178993(JP,A)
【文献】 特開平05−320344(JP,A)
【文献】 特開平10−182823(JP,A)
【文献】 特開2004−300271(JP,A)
【文献】 特開2006−063255(JP,A)
【文献】 特開2010−195862(JP,A)
【文献】 特開2010−195962(JP,A)
【文献】 特開2015−048448(JP,A)
【文献】 特開2016−108357(JP,A)
【文献】 特開2016−108674(JP,A)
【文献】 特開2016−147957(JP,A)
【文献】 小川智ら,ポリフェニレンスルフィドの新規合成法の開発,第36回有機典型元素化学討論会要旨集,日本,2009年,第225頁〜第226頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 81/00 − 81/10
C08G 75/00 − 75/32
C08G 79/00 − 79/14
F16L 9/00 − 11/26
C07C 317/00 − 323/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレンスルフィド樹脂及び熱可塑性エラストマーを含有する水回り部品用樹脂組成物の製造方法であって、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂
下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)と、
脂肪族アミド化合物と、を反応させ、下記一般式(2)で表される構成単位を有するポリアリーレンスルフィド樹脂を得る工程を含む方法により得ること、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂が、FT−IR分光法で測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2910cm−1〜2930cm−1の範囲に吸収ピークを有するものである、
前記熱可塑性エラストマーが、オレフィン系エラストマー、弗素系エラストマー又はシリコーン系エラストマーである、
ポリアリーレンスルフィド樹脂及び熱可塑性エラストマーを混合機で均一に混合した後、1軸又は2軸混練押出機に供給して250〜350℃の温度範囲下で溶融混練する、
水回り部品用樹脂組成物の製造方法
【化1】
(式中、Rは、直接結合、−Ar−、−Ar−S−又は−Ar−O−を表し、Ar及びArは、官能基を置換基として有してもよいアリーレン基を表し、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、Xは、アニオンを表す。)
【化2】
(式中、Rは、直接結合、−Ar−、−Ar−S−又は−Ar−O−を表し、Ar及びArは、官能基を置換基として有してもよいアリーレン基を表す。)
【請求項2】
前記脂肪族アミド化合物が、脂肪族3級アミド化合物を含むものである、請求項1に記載の水回り部品用樹脂組成物の製造方法
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法により製造された水回り部品用樹脂組成物を、射出成形、射出圧縮成形または押出成形することによって流体用配管へ加工する、流体用配管の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水回り部品用樹脂組成物及び流体用配管に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換機、給湯装置、生ゴミ処理装置等に用いられる高温流動体移送用の配管は、金属材料にかわりプラスチック化が進められており、配管用プラスチック材料としては、優れた耐熱性と機械的強度とを持つポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略す場合がある)に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PAS樹脂と略す場合がある)が用いられている。
【0003】
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、例えば、p−ジクロロベンゼンと、硫化ナトリウム、又は水硫化ナトリウム及び水酸化ナトリウムとを原料として、有機極性溶媒中で重合反応させる溶液重合により製造することができる(例えば、特許文献1、2参照)。現在市販されているポリフェニレンスルフィド樹脂は、一般にこの方法により生産されている。
【0004】
しかし、この方法で得られる重合生成物は、一般に、オリゴマー等の副生成物を含むため、これらを除去するための精製処理が必要とされる。その為、精製処理の工夫によって副生成物を減らす試みが行われている(特許文献3参照)。
【0005】
一方、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、機械的強度に優れ、剛性に優れるという特徴から、上記各種装置の配管に使用した場合に冬場の内部流体の凍結によって配管が破損、破裂することがある。そこで、ポリアリーレンスルフィド樹脂製の配管の耐凍結性を改善するために、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂に熱可塑性エラストマーを配合することによって、樹脂組成物の柔軟性を高め、内部流体の凍結による破損、破裂等を防止する技術も知られている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2,513,188号明細書
【特許文献2】米国特許第2,583,941号明細書
【特許文献3】特開2010−77347号公報
【特許文献4】特開2004−300271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ポリアリーレンスルフィド樹脂中の副生成物は加工時にガスとなり、成形時の金型汚れを引き起こし、金型メンテナンス頻度が増加するために生産性が低下する。その為、副生成物の少ないポリアリーレンスルフィド樹脂が求められている。特許文献3のように、精製処方を工夫することでポリアリーレンスルフィド樹脂中の副生成物を減らすことは可能ではあるが十分ではなく、更なる改善が必要である。
【0008】
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂に熱可塑性エラストマーを配合した樹脂組成物は、成形品の耐凍結性については効果が認められるものの、柔軟性が向上するために熱水等の高温流体に長時間接触させた場合に、成形品自体の変形が大きくなるという耐クリープ性の低下を招き、配管と接触する金属部品との界面に隙間を生じさせて、高温流体の漏れを引き起こすことがある。そのため、水回り部品用の材料としては、低温条件下では柔軟性を有しながらも、高温条件下では剛性が高く耐クリープ性に優れたものが求められている。
【0009】
さらに、複数のキャビティーを有する金型を用いた射出成形により、同時に複数の成形品を成形したときに、一部のキャビティーに成形用材料が十分に充填されないといった成形不良が発生することがある。そのため、成形用材料には、均一にムラなく充填できることも求められている。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする主な課題は、副生成物の少ないポリアリーレンスルフィド樹脂を用い、キャビティーバランスに優れ、耐クリープ特性及び耐凍結性を両立した成形品を作製できる水回り部品用樹脂組成物、及び、これらを用いた流体用配管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは種々の検討を行った結果、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)と脂肪族アミド化合物とを反応させることで得られるポリアリーレンスルフィド樹脂と、熱可塑性エラストマーと、を配合することにより、上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂及び熱可塑性エラストマーを含有する水回り部品用樹脂組成物であって、ポリアリーレンスルフィド樹脂が、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)と、脂肪族アミド化合物とを反応させ、下記一般式(2)で表される構成単位を有するポリアリーレンスルフィド樹脂を得る工程を含む方法により得ることのできるものであり、かつ、FT−IR分光法で測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2910cm−1〜2930cm−1の範囲に吸収ピークを有するものであることを特徴とする水回り部品用樹脂組成物、及びこれらを用いた流体用配管を提供する。
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、Rは、直接結合、−Ar−、−Ar−S−又は−Ar−O−を表し、Ar及びArは、官能基を置換基として有してもよいアリーレン基を表し、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、Xは、アニオンを表す。)
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、Rは、直接結合、−Ar−、−Ar−S−又は−Ar−O−を表し、Ar及びArは、官能基を置換基として有してもよいアリーレン基を表す。)
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、キャビティーバランスに優れ、耐クリープ特性及び耐凍結性を両立した成形品を作製できる水回り部品用樹脂組成物、及び、これらを用いた流動体用配管を提供することができる。また、上記水回り部品用樹脂組成物を用いることで、加工時の加熱によるガス発生を抑制でき、かつ、機械的強度に優れた成形品を作製することができる。
また、上記発生ガスの量だけでなく、質に関しても本発明は優れている。本発明によれば、ポリアリーレンスルフィドの主鎖の末端がアルキル基で封鎖されているため、従来の重合法のように末端がSH等になることはない。このため、重合のメカニズム上、チオフェノールやクロロ化合物等が発生せず、作業環境の改善につながる。
また、ポリアリーレンスルフィドの主鎖の末端がアルキル基であることにより、従来の重合法のようなSHである場合に比べて分極率が低いため、洗浄工程時にガス発生の要因となる成分が除去されやすい。このため、新たな設備導入などのコスト低減に寄与する。
さらに、樹脂中のナトリウム含有量を顕著に抑制でき、耐薬品性に優れた成形品を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1のPPS樹脂を、FT−IR分光法で測定した赤外吸収スペクトルを表す図である。図中のピーク(矢印)は、メチルスルファニル基(−SMe)の伸縮振動に由来するものである。
図2】比較例1のPPS樹脂を、FT−IR分光法で測定した赤外吸収スペクトルを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態に係る水回り部品用樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂及び熱可塑性エラストマーを含有する。
【0021】
本実施形態に用いられるポリアリーレンスルフィド樹脂は、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)と脂肪族アミド化合物とを反応させることを含む方法により得ることができる。このような方法によれば、フィリップス法をはじめとする従来法に比べ、比較的高分子量の重合体としてポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることができる。
【0022】
本実施形態に用いられる脂肪族アミド化合物は、例えば、下記一般式(10)で表される化合物を用いることができる。
【0023】
【化3】
【0024】
一般式(10)中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R11とR13は結合して環状構造を形成していてもよい。炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
【0025】
一般式(10)で表される化合物は、例えば、下記反応式で表されるようにして、いわゆる脱アルキル化剤又は脱アリール化剤として機能すると考えられる。すなわち、前記化合物は、スルホニウム塩の硫黄原子と結合するアルキル基又アリール基を脱アルキル化又は脱アリール化してスルフィド化するように機能し得る。
【0026】
【化4】
【0027】
脂肪族アミド化合物は、芳香族アミド化合物に比べ水への混和性が高く、かつポリアリーレンスルフィド樹脂との相溶性が低いため、反応混合物の水洗によって容易に除去可能である。このため、ポリアリーレンスルフィド樹脂中の脱アルキル化剤又は脱アリール化剤の残存量を低減することができる。その結果、樹脂加工する際などのガス発生を抑制し、ポリアリーレンスルフィド樹脂成形品の品質向上や作業環境の改善、さらには金型のメンテナンス性を向上させることができる。また、脂肪族アミド化合物は、比較的低い分子量の有機化合物の溶解性にも優れることから、当該脂肪族アミド化合物の使用は、反応混合物からポリアリーレンスルフィドのオリゴマー成分を容易に除去することも可能にする。その結果、ガス発生の一因にもなり得る当該オリゴマー成分を当該脂肪族アミド化合物により除去することで、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の品質を相乗的に向上させ得ることができる。
【0028】
このような脂肪族アミド化合物としては、例えば、ホルムアミド等の1級アミド化合物、β−ラクタム等の2級アミド化合物、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の3級アミド化合物等の前記一般式(10)で表される化合物のほか、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン酸等の尿素系化合物を用いることができる。脂肪族アミド化合物は、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の溶解性及び水への溶解性の観点から、R12及びR13が脂肪族基である脂肪族3級アミド化合物を含むことが好ましく、中でもN−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
【0029】
脂肪族アミド化合物は、脱アルキル化剤又は脱アリール化剤として機能するほか、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)に対する溶解性に優れることから反応溶媒として用いることもできる。よって、脂肪族アミド化合物の使用量は、特に制限されるものではないが、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の総量に対し、下限が1.00当量以上の範囲であることが好ましく、1.02当量以上の範囲であることがより好ましく、1.05当量以上の範囲であることがさらに好ましい。脂肪族アミド化合物の使用量が、1.00当量以上であれば、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の脱アルキル化又は脱アリール化を充分に行うことができる。一方、上限は100当量以下であることが好ましく、10当量以下であることがより好ましい。反応溶媒として脂肪族アミド化合物のみを用いてもよいし、これとトルエン等の他の溶媒を併用してもよい。
【0030】
本実施形態に用いられるポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、下記一般式(1)で表される構成単位を有する。
【0031】
【化5】
【0032】
一般式(1)中、Rは、直接結合、−Ar−、−Ar−S−又は−Ar−O−を表し、Ar及びArは、官能基を置換基として有してもよいアリーレン基を表し、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を置換基として有していてもよいアリール基を表し、Xは、アニオンを表す。
【0033】
ここで、Xとしては、例えば、スルホネート、カルボキシレート、ハロゲンイオン等のアニオンが挙げられる。Ar及びArは、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン等のアリーレン基であってもよい。Ar及びArは、同一であっても異なってもよいが、好ましくは、同一である。
【0034】
Ar及びArの結合の態様は特に制限されるものではないが、アリーレン基中、遠い位置で結合するものであることが好ましい。例えば、Ar及びArがフェニレン基である場合、パラ位で結合する単位及びメタ位で結合する単位であることが好ましく、パラ位で結合する単位がより好ましい。パラ位で結合する単位で構成されることにより、樹脂の耐熱性及び結晶性の面で好ましい。
【0035】
Ar又はArで表されるアリーレン基が官能基を置換基として有する場合、当該官能基は、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基又はスルホ基であることが好ましい。ただし、Ar又はArが置換基を有するアリーレン基である一般式(1)の構成単位の割合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の結晶化度及び耐熱性の低下を抑制する観点から、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)全体の10質量%以下の範囲であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0036】
としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基や、フェニル、ナフチル、ビフェニル等の構造を有するアリール基が挙げられ、さらに当該アリール基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基を置換基として芳香環上に1〜4個の範囲で有していてもよい。
【0037】
一般式(1)で表される構成単位を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、例えば、芳香族スルホキシドを酸存在下で重合させる方法により得ることができる。
【0038】
芳香族スルホキシドは、例えば、下記一般式(20)で表される化合物を含む。2つの置換基の置換位置は特に限定されないが、好ましくは2つの置換位置が分子内でできる限り遠い位置にあることが望ましい。好ましい置換位置は、パラ位である。
【0039】
【化6】
【0040】
一般式(20)中、R及びArは、一般式(1)で定義したものと同様であり、R
は、水素原子、Ar−、Ar−S−又はAr−O−を表し、Arは、官能基を
置換基を有してもよいアリール基を表す。
【0041】
ここで、Arとしては、フェニル、ナフチル、ビフェニル等の構造を有するアリール基が挙げられ、当該アリール基は、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基及びスルホ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を置換基として有していてもよい。
【0042】
一般式(20)で表される化合物としては、例えば、メチルフェニルスルホキシド、メチル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシド等を用いることができる。これらの化合物のうち、メチル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシドが好ましい。芳香族スルホキシドは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
ポリ(アリーレンスルホニウム塩)を合成する際に使用する酸は、有機酸、無機酸のいずれも使用することができる。酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、青酸、テトラフルオロほう酸等の非酸素酸;硫酸、リン酸、過塩素酸、臭素鍛、硝酸、炭酸、ホウ酸、モリブデン酸、イソポリ酸、ヘテロポリ酸等の無機オキソ酸;硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、プロトン残留ヘテロポリ酸塩、モノメチル硫酸、トリフルオロメタン硫酸等の硫酸の部分塩もしくは部分エステル;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、コハク酸、安息香酸、フタル酸等の1価もしくは多価のカルボン酸;モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン置換カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等の1価もしくは多価のスルホン酸;ベンゼンジスルホン酸ナトリウム等の多価のスルホン酸の部分金属塩;五塩化アンチモン、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化亜鉛、塩化銅、塩化鉄等のルイス酸などを挙げることができる。これらの酸のうち、反応性の観点から、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸の使用が好ましい。これらの酸は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
また本反応は脱水反応のため、脱水剤を併用してもよい。脱水剤としては、例えば、酸化リン、五酸化二リン等のリン酸無水物;ベンゼンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、パラトルエンスルホン酸無水物等のスルホン酸無水物;無水酢酸、無水フルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸等のカルボン酸無水物;無水硫酸マグネシウム、ゼオライト、シリカゲル、塩化カルシウムなどを挙げることができる。これらの脱水剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
ポリ(アリーレンスルホニウム塩)を合成する際には、適宜溶媒を使用することができる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等の含ハロゲン系溶媒、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素系溶媒、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、スルホラン、DMSOなどの含硫黄系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒などを挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0046】
本実施形態に係るポリ(アリーレンスルホニウム塩)と脂肪族アミド化合物とを反応させる際の条件は、脱アルキル化又は脱アリール化が適切に進行するように、適宜調整することができる。反応温度は、40〜250℃の範囲であることが好ましく、70〜220℃の範囲であることがより好ましい。
【0047】
本実施形態の製造方法によれば、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂中の脱アルキル化剤又は脱アリール化剤の残存量を低減することが可能である。樹脂中の脱アルキル化剤又は脱アリール化剤の残存量は、ポリアリーレンスルフィド樹脂と脱アルキル化剤又は脱アリール化剤等の他の成分とを含む樹脂の質量を基準として、1000ppm以下の範囲であることが好ましく、700ppm以下の範囲がより好ましく、100ppm以下の範囲であることが更に好ましい。1000ppm以下とすることにより、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の品質に対する実質的な影響を低減できる。本実施形態の製造方法により得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は、混在する脱アルキル化剤又は脱アリール化剤等の成分の種類及び含有量に基づいて、他の方法により製造されたポリアリーレンスルフィド樹脂と区別され得る。
【0048】
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を水、水溶性溶媒又はこれらの混合溶媒で洗浄する工程を更に含んでもよい。このような洗浄工程を含むことにより、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂に含まれる脱アルキル化剤又は脱アリール化剤等の残存量をより確実に低減することができる。
【0049】
かかる洗浄工程において使用する溶媒は、特に制限されるものではないが、未反応物を溶解させるものであることが好ましい。溶媒としては、例えば、水、塩酸水溶液、酢酸水溶液、シュウ酸水溶液、硝酸水溶液等の酸性水溶液、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルム等の含ハロゲン溶剤などを挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの溶媒のうち、反応試薬の除去及び樹脂のオリゴマー成分の除去の観点から、水、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0050】
本実施形態に係る製造方法によれば、下記一般式(2)で表される構成単位を含み、スルフィド基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂が得られる。
【0051】
【化7】
【0052】
一般式(2)中、R及びArは、一般式(1)で定義したものと同様である。
【0053】
本実施形態の製造方法により得られるポリアリーレンスルフィド樹脂のガラス転移温度は、50〜250℃の範囲であることが好ましく、80〜180℃の範囲であることがより好ましい。樹脂のガラス転移温度は、DSC装置により測定される値のことを示す。
【0054】
本実施形態の製造方法により得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の融点は、100〜400℃の範囲であることが好ましく、150〜300℃の範囲であることがより好ましい。樹脂の融点は、DSC装置により測定される値のことを示す。
【0055】
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂のナトリウム含有量は、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましい。ナトリウム含有量がこのような範囲にあるポリアリーレンスルフィド樹脂を用いることにより、耐薬品性に優れた成形品を作製することができる。
【0056】
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂のMtopは、5000〜100000であることが好ましく、10000以上80000以下の範囲であることがより好ましい。また、Mwも同様の範囲である。本明細書において、Mtopはゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されるクロマトグラムの検出強度が最大となる点の平均分子量(ピーク分子量)を示し、Mwは重量平均分子量を示す。
【0057】
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂のMw/Mtopは、0.5以上3.5以下の範囲であり、好ましくは0.7以上2.5以下の範囲である。Mw/Mtopをこのような範囲とすることで、ポリアリーレンスルフィド樹脂の加工性を向上させることができ、クリープ特性及び耐薬品性に優れた成形品を得られる。Mw/Mtopは、測定対象の分子量の分布を示し、通常、この値が1に近いと分子量の分布が狭いことを示し、この値が大きくなるにつれて、分子量の分布が広いことを示す。なお、ゲル浸透クロマトグラフィーの測定条件は、本明細書の実施例と同一の測定条件とする。ただし、Mw、Mw/Mtopの値に実質的な影響を及ぼさない範囲で、測定条件を変更することは可能である。
【0058】
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂の重量平均分子量は、本発明の効果を損なわなければ特に限定されるものではないが、8000〜100000が好ましく、10000〜80000がより好ましい。
【0059】
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂の非ニュートニアン指数は、0.5以上2.3以下の範囲であり、好ましくは0.9以上1.8以下の範囲である。非ニュートニアン指数をこのような範囲とすることで、ポリアリーレンスルフィド樹脂の加工性を向上させることができる。本明細書において、非ニュートニアン指数は温度300℃の条件下におけるせん断速度とせん断応力との下記関係式を満たす指数をいう。非ニュートニアン指数は、測定対象の分子量、又は直鎖、分岐、架橋といった分子構造に関する指標となりえ、通常、この値が1に近いと樹脂の分子構造が直鎖状であることを示し、この値が大きくなるにつれて、分岐や架橋構造が多く含まれることを示す。
D=α×S
(上記式中、Dはせん断速度を表し、Sはせん断応力を表し、αは定数を表し、nは非ニュートニアン指数を表す。)
【0060】
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂は、FT−IR分光法で測定した場合のFT−IRスペクトル(赤外吸収スペクトル)において、2910cm−1〜2930cm−1の範囲に吸収ピークを有するものであり、これにより、低分子量体成分の溶剤に対する溶解性が良好である為、前述の洗浄プロセスで除かれやすく、発生ガス量が少ないポリマーとなる。
【0061】
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂の300℃における溶融粘度(V6)は、機械的強度に優れつつ、かつ、良好なキャビティーバランスを付与できる観点から、好ましくは1〜2000[Pa・s]の範囲、より好ましくは5〜1700[Pa・s]の範囲である。ここで、溶融粘度(V6)は、フローテスターを用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との比(オリフィス長/オリフィス径)が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の溶融粘度を意味する。
【0062】
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂の加熱時のガス発生量は、0.2質量%以下の範囲とすることができ、好ましくは0.15質量%以下の範囲とすることができる。加熱時のガス発生量を抑制することができることにより、作業環境の改善等に寄与することができ、成形時の金型腐食も抑えられる。
【0063】
本実施形態に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、弗素系エラストマー及びシリコーン系エラストマーが挙げられる。
【0064】
熱可塑性エラストマーは、官能基を有することが好ましい。これにより、接着性及び耐衝撃性等の点で特に優れた樹脂組成物を得ることができる。係る官能基としては、エポキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、及び、式:R(CO)O(CO)−又はR(CO)O−(式中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。)で表される基が挙げられる。係る官能基を有する熱可塑性エラストマーは、例えば、α−オレフィンと前記官能基を有するビニル重合性化合物との共重合により得ることができる。α−オレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン−1等の炭素原子数2〜8のα−オレフィン類が挙げられる。前記官能基を有するビニル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びその他の炭素原子数4〜10のα,β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体(モノ若しくはジエステル、及びその酸無水物等)、並びにグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基、カルボキシ基、及び、式:R(CO)O(CO)−又はR(CO)O−(式中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエチレン−プロピレン共重合体及びエチレン−ブテン共重合体が、靭性及び耐衝撃性の向上の点から好ましい。
【0065】
熱可塑性エラストマーの含有量は、その種類、用途により異なるため一概に規定することはできないが、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して好ましくは1〜300質量部の範囲、より好ましくは3〜100質量部の範囲、更に好ましくは5〜45質量部の範囲である。熱可塑性エラストマーの含有量がこれらの範囲にあることにより、成形品の耐熱性、靭性の確保の点でより一層優れた効果が得られる。
【0066】
本実施形態に係る水回り部品用樹脂組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、架橋性樹脂を含有することができる。架橋性樹脂は、2以上の架橋性官能基を有する。架橋性官能基としては、エポキシ基、フェノール性水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、酸無水物基、及びイソシアネート基などが挙げられる。架橋性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びウレタン樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。芳香族系エポキシ樹脂は、ハロゲン基又は水酸基等を有していてもよい。好適な芳香族系エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、及びビフェニルノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの芳香族系エポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら芳香族系エポキシ樹脂の中でも特に、他の樹脂成分との相溶性に優れる点から、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
架橋性樹脂の含有量は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部の範囲、より好ましくは3〜100質量部の範囲、更に好ましくは5〜30質量部の範囲である。架橋性樹脂の含有量がこれら範囲にあることにより、成形品の剛性及び耐熱性の向上という効果が特に顕著に得られる。
【0067】
本実施形態に係る水回り部品用樹脂組成物は、官能基を有するシラン化合物を含有することができる。係るシラン化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
【0068】
本実施形態に係る水回り部品用樹脂組成物は、シリコーン化合物を含有することができる。係るシリコーン化合物としては、例えば、反応性シリコーンオイルが挙げられる。反応性シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイルの側鎖又は末端に、アミノ基、グリシジル基、カルボキシ基等の官能基を導入した化合物を用いることができる。
シラン化合物の含有量は、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、さらに0.1〜5質量部の範囲であることがより好ましい。シラン化合物の含有量がこれらの範囲にあることにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂と前記他の成分との相溶性向上という効果が得られる。
本実施形態に係る水回り部品用樹脂組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、離型剤、着色剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤及び滑剤等のその他の添加剤を含有してもよい。添加剤の含有量は、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、1〜10質量部の範囲であることが好ましい。
【0069】
本実施形態に係る水回り部品用樹脂組成物は、上記方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂及び熱可塑性エラストマーと、必要に応じてその他の材料をタンブラー又はヘンシェルミキサーのような混合機で均一に混合した後、1軸又は2軸混練押出機に供給して250℃〜350℃の温度範囲下で溶融混練する方法により、例えば、ペレット状のコンパウンド等の形態で得ることができる。本実施形態に係る水回り部品用樹脂組成物は、射出成形、射出圧縮成形、押出成形等の熱可塑性樹脂に関する公知の成形方法によって目的とする成形品への加工が可能であるが、特に高精度な成形品を安価に生産性良く得られる点で、射出成形が特に適している。
【0070】
本実施形態に係る水回り部品用樹脂組成物は、耐熱水性、機械特性、靭性、耐衝撃性に優れ、酸性及びアルカリ性環境中での耐久性にも優れ、更に熱水環境下での機械的強度の低下が認められないという特性を有する。この特長により本発明の樹脂組成物はトイレ関連部品、給湯器関連部品、ポンプ関連部品、風呂関連部品等の水廻り用途に適した材料である。特に弁、栓といった開閉部品は、一般に恒常的に高応力負荷が係り、酸性或いはアルカリ性の洗浄剤及び熱水によるダメージが大きく、その結果長期に亘る使用が困難なため、本発明の組成物は、特にこの開閉部品の分野において有用である。
【0071】
本実施形態に係る流体用配管は、上記水回り部品用樹脂組成物を成形してなるものである。これら流体用配管としては、例えばパイプ、ライニング管、袋ナット類、管継ぎ手類(エルボー、ヘッダー、チーズ、レデューサ、ジョイント、カプラー、等)、各種バルブ、流量計、ガスケット(シール、パッキン類)、など流体を搬送する為の配管及び配管に付属する各種の部品が挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0073】
以下に示す実施例では、下記の試薬を使用した。
メチルフェニルスルホキシド:東京化成工業(株)製、純度98%
チオアニソール:和光純薬工業(株)製、純度99%
メタンスルホン酸:和光純薬工業(株)製、和光特級
60%過塩素酸:和光純薬工業(株)製、和光一級
ピリジン:和光純薬工業(株)製、試薬特級
炭酸水素カリウム:和光純薬工業(株)製、試薬特級
臭素:和光純薬工業(株)製、試薬特級
トリフルオロメタンスルホン酸:和光純薬工業(株)製、和光特級
キノリン:和光純薬工業(株)製、試薬特級
N−メチルピロリドン:和光純薬工業(株)製、和光一級
【0074】
1.モノマーの評価法
1−1.同定方法(H−NMR、13C−NMR)
BRUKER製DPX−400の装置にて、各種重溶剤に溶解させて測定した。
【0075】
2.モノマーの合成
(過塩素酸メチルフェニル[4−(メチルチオ)フェニル]スルホニウムの合成)
【0076】
【化8】
【0077】
3Lの3つ口フラスコに、メチルフェニルスルホキシド70.0[g]とチオアニソール62.0[g]を入れて、窒素雰囲気下、氷浴で5℃以下に冷却した。メタンスルホン酸1[L]を10℃以下に保って、反応溶液に加えた。その後氷浴を外して、室温に温度を上げ、20時間攪拌した。次に、攪拌後の反応溶液を、60%過塩素酸水溶液2[L]に投入し、1時間攪拌した。水1[L]及びジクロロメタン1[L]加えて、抽出/分液操作により、有機層を回収した。さらに水層にジクロロメタン500[mL]を加えて、有機層を回収する操作を2回行った。回収した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水した。脱水後、ろ過によって硫酸マグネシウムをろ別し、ロータリーエバポレーターでろ液を濃縮し、溶媒を除去した。残った粘調性固体にエーテルを加えて結晶化させた。結晶物をろ過によってろ別し、得られた固体を20時間減圧乾燥させることで、過塩素酸メチルフェニル[4−(メチルチオ)フェニル]スルホニウム130.0[g](収率75%)を得た。H−NMR測定により、目的物が合成されたことを確認した。
H−NMR(溶媒CDCl):2.49,3.63,7.40,7.65,7.78.7.85[ppm]
【0078】
(メチル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフィドの合成)
【0079】
【化9】
【0080】
2Lの3つ口フラスコに、過塩素酸メチルフェニル[4−(メチルチオ)フェニル]スルホニウム100.0[g]を入れて、窒素雰囲気下、ピリジン500[mL]を添加して30分攪拌した。その後、100[℃]に昇温し、30分攪拌した。反応溶液を3[L]の10%HCl溶液に投入して、10分攪拌し、ジクロロメタンで抽出/分液操作により有機層を回収した。回収した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水した。ろ過によって硫酸マグネシウムをろ別し、ロータリーエバポレーターでろ液を濃縮し、溶媒を除去した。ヘキサン/クロロホルム=3/1(体積比)の展開溶媒を用いて、カラムクロマトグラフィーにより、目的成分を回収し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。
得られた液体を20時間減圧乾燥することで、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルフィド55.5[g](収率83%)を得た。H−NMR測定により、目的物が合成されたことを確認した。
H−NMR(溶媒CDCl):2.48,7.18〜7.23、7.28〜7.31[ppm]
【0081】
(メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシドの合成)
【0082】
【化10】
【0083】
5Lの3つ口フラスコに、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルフィド50.0[g]と炭酸水素カリウム43.0[g]、水390[mL]、ジクロロメタン500[mL]、を入れて30分攪拌した。ジクロロメタン500[mL]に臭素34.5[g]溶解させた溶液を反応容器内に5分間で滴下し、30分攪拌した。反応溶液に塩化カリウム(KCl)飽和溶液1[L]とジロロメタン1[L]を投入し、抽出/分液操作により有機層を回収した。残った水層にジクロロメタン500[mL]を加えて、有機層を回収する操作を2回行った。回収した有機層を水洗し、分液操作により有機層を回収、無水硫酸マグネシウムを加えて脱水した。脱水後、ろ過により硫酸マグネシウムをろ別し、ロータリーエバポレーターでろ液を濃縮し、溶媒を除去した。残った粘調性固体にエーテルを加えて結晶化させた。結晶物をろ過によってろ別し、得られた固体を20時間減圧乾燥させることで、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシド30.5[g](収率57%)を得た。H−NMR、13C−NMR測定により、目的物が合成されていることを確認した。
H−NMR(溶媒CDCl):2.71,7.34,7.39,7.46,7.52[ppm]
13C−NMR(溶媒CDCl):46.0,124.5,128.5,129.7,133.0,133.5,141.5,144.3[ppm]
【0084】
3.ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の合成
【0085】
【化11】
【0086】
500mLの3つ口フラスコに、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシド2.0[g]を入れ、窒素雰囲気下、氷浴にて冷却した。その後、トリフルオロメタンスルホン酸10[mL]をゆっくり滴下した。室温まで昇温し、20時間攪拌した。攪拌後の反応溶液に水を入れて、10分攪拌した後、ろ過した。その後、水洗及びろ過し、固体を回収した。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、減圧乾燥することで、目的物であるポリ[トリフルオロメタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]2.8[g](収率91%)を得た(表1においてPPS−1と表記)。
分析用に得られた目的物から少量を分取し、過剰のメタンスルホン酸によってイオン交換後、重DMSOに溶解させたものについてH−NMR測定を行うことにより、目的物が合成されていることを確認した。
H−NMR(重DMSO):3.27,3.83,7.66,8.08[ppm]
【0087】
4.合成したポリアリーレンスルフィド樹脂の評価方法
4−1.ガラス転移温度及び融点
パーキンエルマー製DSC装置 Pyris Diamondを用いて、50mL/minの窒素流下、20℃/minの昇温条件で40〜350℃まで測定を行い、ガラス転移温度及び融点を求めた。
4−2.赤外吸収スペクトル
得られたPPS樹脂を350℃でプレスしたのち、急冷することによって非晶性を示すフィルムを作成し、フーリエ変換赤外分光装置(以下「FT−IR装置」と略記する日本分光製FTIR―6100を用いた)で測定した。赤外吸収スペクトルのうち、2920cm−1の吸収の有無を測定した。
4−3.ポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度
ポリアリーレンスルフィド樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT−500Cを用い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10/1にて、6分間保持した後に溶融粘度を測定した。
4−4.Mw及びMtop(分子量分布)
ポリアリーレンスルフィド樹脂の重量平均分子量及びピーク分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、下記の測定条件により測定した。得られたMw及びMtopからMw/Mtopを算出した。6種類の単分散ポリスチレンを校正に用いた。
装置:超高温ポリマー分子量分布測定装置(株式会社センシュー科学製「SSC−7000」)
カラム:UT−805L(昭和電工株式会社製)
カラム温度:210℃
溶媒:1−クロロナフタレン
測定方法:UV検出器(360nm)
4−5.非ニュートニアン指数
ポリアリーレンスルフィド樹脂をキャピラリーレオメーターにて、300℃の条件下、直径1mm、長さ40mmのダイスを用いて100〜1000(sec−1)の剪断速度に対する剪断応力を測定し、これらの対数プロットした傾きから計算した値である。
4−6.発生ガス量
ガスクロマトグラフ質量分析装置(島津製作所製 GC-2010)を用いて、ポリアリーレンスルフィド樹脂又は樹脂組成物の所定量のサンプルを325℃で15分間加熱し、そのときの発生ガス量を質量%として定量した。
4−7.ナトリウム含有量
白金製のるつぼに、試料約0.5gを秤量し、これに97%濃硫酸約2mlを添加した後ヒーター上で加熱分解を行った。分解終了後、500℃の電気炉内で灰化した後に残渣を蒸留水に溶解させ、メスアップしたものをサンプルとして、Optima 4300DV(パーキンエルマー製)にて定量した。
【0088】
5.ポリアリーレンスルフィド樹脂の合成(ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の脱アルキル化又は脱アリール化)
(実施例1)
【0089】
【化12】
【0090】
合成例1で得られたポリ[トリフルオロメタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]2.0[g]を100mLナスフラスコに入れ、脱アルキル化剤又は脱アリール化剤として、N−メチル−2−ピロリドン5.5[mL](10当量)を加えて、室温で30分攪拌した後に、100℃に昇温し48時間攪拌した。攪拌後の反応溶液を室温まで冷却した後に、水に投入し、析出物をろ過にてろ別し、水80[mL]で3回洗浄した。得られた固体を、熱風乾燥機を用いて120℃で一晩乾燥して、ポリフェニレンスルフィド0.83[g](収率73%)を得た(表1においてPPS−1と表記)。
得られた固体について熱分析を行った結果、ガラス転移温度(Tg)92℃、融点278℃であったことから、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)が生成していることを確認した。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図1のように、2917cm−1のピークの存在が認められた。
このポリマーの溶融粘度は370Pa・s、Mtopは52000、Mwは49000であった。
非ニュートニアン指数は1.1であった。
発生ガス量は0.1[wt%]と少なかった。
ナトリウム含有量は50ppm以下であった。
【0091】
(比較例1)
圧力計、温度計、コンデンサ−、デカンタ−を連結した撹拌翼付きジルコニウムライニングの1リットルオートクレーブにp−ジクロロベンゼン(以下、「p−DCB」と略記する。)220.5g(1.5モル)、NMP29.7g(0.3モル)、47.43質量%NaSH水溶液177.29g(1.5モル)、及び48.71質量%NaOH水溶液123.18g(1.5モル)を仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で173℃まで2時間掛けて昇温して、水177.98gを留出させた後、釜を密閉した。その際、共沸により留出したp−DCBはデカンタ−で分離して、随時釜内に戻した。脱水終了後、内温を160℃に冷却し、NMP267.65g(2.7モル)を仕込み、230℃まで昇温し、230℃で5時間撹拌した後、250℃まで40分で昇温し、250℃で1時間撹拌した。冷却後、得られたスラリーを3リットルの水に注いで80℃で1時間撹拌した後、濾過した。このケーキを再び3リットルの温水で1時間撹拌し、洗浄した後、濾過した。この操作を4回繰り返し、濾過後、熱風乾燥機を用いて120℃で一晩乾燥して白色の粉末状のPPS 154gを得た(表1においてPPS−2と表記)。
得られた固体について熱分析を行った結果、ガラス転移温度(Tg)92℃、融点277℃であったことから、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)が生成していることを確認した。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図2のように、2910cm−1〜2930cm−1の範囲に吸収ピークの存在は認めらなかった。
このポリマーの溶融粘度は220Pa・s、Mtopは45000、Mwは44000であった。
非ニュートニアン指数は1.1であった。
発生ガス量は0.5wt%であった。
ナトリウム含有量は600ppmであった。
【0092】
6.PPSコンパウンド(PPS樹脂組成物)
<原料> PPS樹脂組成物を調製するため、以下の材料を準備した。
(熱可塑性エラストマー)
・ELA−1:エチレン/グリシジルメタクリル酸(3質量%)/アクリル酸メチル(27質量%)の共重合体(住友化学株式会社製、「ボンドファースト7L」)
・ELA−2:エチレン/グリシジルメタクリル酸(6質量%)/アクリル酸メチル(27質量%)の共重合体(住友化学株式会社製、「ボンドファースト7M」)
(シリコーン化合物)
・Si:アミノ基含有シリコーン(信越化学工業株式会社製、「KF−868」)
(シラン化合物)
・エポキシシラン:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(架橋性樹脂)
・エポキシ樹脂:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、「エピクロン N−695」、エポキシ当量214g/eq、軟化点94℃)
【0093】
<コンパウンドの作製>
表1に記載する配合組成で各原料をタンブラーを用いて均一に混合した後、2軸混練押出機(東芝機械株式会社製、「TEM−35B」)を用いて300℃で溶融混練して、ペレット状のコンパウンドを得て以下の評価試験に供した。結果を表1に示す。
【0094】
<評価>
6−1.引張強さ及び引張伸び
得られたコンパウンドから、ASTM4号ダンベル形状に射出成形した評価用成形品を、ASTM D638に従って、株式会社島津製作所製の「オートグラフ AG−5000C」を用いて、引張強さ及び引張破断伸びを測定した。
【0095】
6−2.耐クリープ性
得られたコンパウンドから、フランジ部を有する内径22mm、外径28mm、厚み3mmの円筒形状を含むL字型の配管用管継ぎ手を射出成形で作製し評価用成形品とした。
評価用成形品中に空気層を含まないよう、水中にて水を充填し、L字状継ぎ手の両端部をホースと結合した金属製治具で塞ぐと共に、該ホースを圧力ポンプに繋ぎ、該評価用成形品内部に80℃の温水を2MPaの圧力で100時間循環させ、その後の成形品外観を観察した。
(評価基準)
A:クリープ変形が殆ど見られず水漏れは生じない。
B:大幅なクリープ変形又はクリープ破壊により水漏れが生じる。
【0096】
6−3.真円度寸法変化量
上記6−2.における温水の循環を行った後の評価用成形品の真円度寸法変化量を真円度計にて測定した。
【0097】
6−4.低温耐破断性(耐充満水凍結試験)
評価用成形品中に空気層を含まないよう、水中にて水を充填し、L字状継ぎ手の両端部をこれと同一樹脂組成物で構成され、かつ、接合部がねじ切りされた蓋材で、ねじ締め付けによって両端を密閉した後、水から出して、−20℃の冷凍庫に入れ、1時間放置して内部の水を凍らせた。次いで、これを冷蔵庫から取り出し、30℃で1時間放置した。この操作を50回繰り返し、管継ぎ手の割れを調べて耐低温破断性の評価を行った。
○:成形品は破断しない。
×:成形品は破断する。
【0098】
6−5.耐酸性試験/耐アルカリ性試験
得られたコンパウンドから、1.6mm(厚)×12.7mm(幅)×127mm(長)の形状に成型した評価用成形品を試験片とし、所定の曲げ歪みとなるように試験片に曲げ応力を負荷した状態で、試験片を試験溶液に浸漬し、試験片が破断するまでの時間を調べた。試験片中央部には切削ノッチを設けた。
・耐酸性試験溶液:サンポール原液(商品名、塩酸及び界面活性剤を含有する界面活性剤、大日本除虫菊株式会社製)
・耐アルカリ性試験溶液:ドメスト原液(商品名、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び界面活性剤を含有するアルカリ性洗剤、ユニリーバ・ジャパン製)
・曲げ歪み:1.2%(ASTM D−790に定める曲げ特性試験方法での曲げ応力を試験片に負荷した状態。)
・評価項目:試験片が破断するまでの時間
・試験結果:試験数n=5の平均値
【0099】
6−6.キャビティーバランス
40個分のキャビティーを有するワッシャー金型を用いて、一次スプルーに最も近い位置のキャビティー(C1)が完全に充填される限りで最低の成形条件でPPSコンパウンドを射出成形した。成形条件は75トン成形機、シリンダー温度320℃、金型温度140℃、保圧無しとした。
成形後の、キャビティー(C1)と同じランナーにある一次スプルーから最も遠いキャビティー(C10)の充填度を比較した。充填度(質量%)は、キャビティー(C1)の成形品に対する、キャビティー(C10)の成形品の質量比から求めた。キャビティー(C10)の充填度が高いほど、キャビティーバランスが優れていると言える。充填度に基づいて、各組成物のキャビティーバランスを以下の基準で判定した。
AA:100〜90質量%
A:89〜80質量%
B:79〜70質量%
C:69〜60質量%
D:59%質量以下
【0100】
6−7.発生ガス量
ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて、PPSコンパウンドについて、所定量のサンプルを325℃で15分間加熱し、そのときの発生ガス量を質量%として定量した。
【0101】
【表1】
【0102】
表1に示される結果から明らかなように、実施例の樹脂組成物は成形加工時の発生ガスが少なくキャビティーバランスに優れ、かつ得られた成形品は耐クリープ特性及び耐凍結性を両立している。さらに実施例は、耐酸性、耐アルカリ性及び機械的強度にも優れる。
図1
図2