(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590317
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】液滴量測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20060101AFI20191007BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20191007BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20191007BHJP
G01F 1/20 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
G01F1/00 Q
G01B11/24 K
A61M5/168 532
G01F1/00 J
G01F1/20 G
G01F1/20 F
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-199979(P2015-199979)
(22)【出願日】2015年10月8日
(65)【公開番号】特開2017-72497(P2017-72497A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100149711
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 耕市
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 高廣
(72)【発明者】
【氏名】カチョーンルンルアン パナート
(72)【発明者】
【氏名】村上 直
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵友
【審査官】
公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−062371(JP,A)
【文献】
特開昭54−128756(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0095433(US,A1)
【文献】
特開平02−051022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00
G01F 1/20
G01B 11/24
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を平行光にして、滴下ノズルから落下中の液滴及び当該液滴の落下空間に照射し、点滴筒を挟んで光源と反対側に配置したイメージセンサで、発生した影画像を検出し、この影画像の輪郭を処理することで液滴の形状を認識して、この液滴の形状から液滴流量或いは送液速度を算出する液滴量測定装置において、
前記点滴筒と前記イメージセンサの間に凸レンズを配置して、この凸レンズにより、少なくとも液滴落下方向の長さを縮小して、前記滴下ノズル先端から点滴筒内の液溜まり表面までの液滴落下距離全長に亘る前記落下空間の画像を前記イメージセンサで取得し、取得した前記画像の中の液滴部分を判別することで前記落下中の液滴全体の影画像を取得するよう構成した液滴量測定装置。
【請求項2】
前記凸レンズは、滴下ノズル先端から点滴筒内の液溜まり表面までの液滴落下距離全長に亘る平行光を受光するだけのレンズ径を有して、入射光に対して液滴落下方向のみ縮小変化を与え、焦点面で線状の集光ビームを形成する円筒凸レンズである請求項1に記載の液滴量測定装置。
【請求項3】
前記液滴を落下方向を軸にした左右の対称性がある回転体であるとみなして求めた液滴の体積から液滴流量或いは送液速度を算出する請求項1に記載の液滴量測定装置。
【請求項4】
前記光源は、滴下ノズル先端から液溜まり表面までの液滴落下距離全長に亘って、平行光線を照射することのできるレーザー、LED、発光ランプ、又は有機EL面光源である請求項1に記載の液滴量測定装置。
【請求項5】
前記光源は、滴下ノズル手前の拡散光路に、ビームエキスパンダーを介装して平行光線にした請求項4に記載の液滴量測定装置。
【請求項6】
前記イメージセンサは、液滴落下方向及びそれに直交する幅方向を有するマトリクス状に各画素を配置して二次元画像を取り込むCMOS又はCCDであって、かつ、液滴落下方向には、少なくとも滴下ノズル先端から液溜まりまでの全長を前記凸レンズで縮小した長さ、及び幅方向には、少なくとも液滴影に等しいだけの幅を有する請求項1に記載の液滴量測定装置。
【請求項7】
制御部を備え、該制御部は、前記光源に接続して点灯指令を出す一方、前記イメージセンサに接続して前記影画像の二値化画像を取り込んで、記憶部に格納し、かつ、前記制御部は、演算部に指示して、前記記憶部に格納されている二値化画像から求めた液滴の体積から液滴流量或いは送液速度を算出する請求項3に記載の液滴量測定装置。
【請求項8】
前記算出した液滴流量或いは送液速度を表示する表示部、或いは前記算出した液滴流量或いは送液速度に基づき、点滴チューブ内を流れる流量を制御する投与駆動部を備える請求項7に記載の液滴量測定装置。
【請求項9】
光源からの光を平行光にして、滴下ノズルから落下中の液滴及び当該液滴の落下空間に照射し、点滴筒を挟んで光源と反対側に配置したイメージセンサで、発生した影画像を取得し、この影画像の輪郭を処理することで液滴の形状を認識して、この液滴の形状から液滴流量或いは送液速度を算出する液滴量測定方法において、
前記点滴筒と前記イメージセンサの間に凸レンズを配置して、この凸レンズにより、少なくとも液滴落下方向の長さを縮小して、前記滴下ノズル先端から点滴筒内の液溜まり表面までの液滴落下距離全長に亘る前記落下空間の画像を前記イメージセンサで取得し、取得した前記画像の中の液滴部分を判別することで前記落下中の液滴全体の影画像を取得する液滴量測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液点滴の流量制御のために、落下中の液滴に平行光を照射して、イメージセンサで取得した液滴影画像を処理して、液滴の形状から液滴流量或いは送液速度を算出する液滴量測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液点滴の流量制御のために用いられている輸液ポンプは、拡張性があり弾力性の高い輸液チューブを使用し、これを機械にはめ込んでローラーなどでしごいて、設定された量の薬液を注入する。輸液ポンプは、薬液ボトルの高さや傾き、粘性、チューブや血管の抵抗の影響を受けやすいために、現在市販の輸液ポンプは、±10%程度の流量誤差がある。
【0003】
正確で安定して輸液・点滴ができるためには、正確な流量計測が必要となる。滴下数制御方式は、各液滴の大きさが一定であるとの仮定の下で、落下した液滴の滴下数をカウントし、投液量及び速度を算出する。しかし、薬剤の粘性係数の違いとか、液滴の大きさが同じでないことから流量誤差が発生する。
【0004】
従来、このような滴下数制御方式の流量誤差を低減して、落下した液滴量を正確に測定するために、液滴を撮影するイメージセンサを用いて、取得した液滴影の形状から液滴体積を算出することで、精度の高い流量を得る点滴検出装置が開発されてきた。
【0005】
図4は、このような従来の液滴量測定の原理を説明する図である。液滴量測定のために、図示のように、滴下ノズルと、該滴下ノズルから落下する液滴側面に配置された光源と、落下する液滴を挟んで光源とは対向した位置に配置された二次元イメージセンサとを備えている。イメージセンサは、CMOS(金属酸化膜半導体素子)やCCD(電荷結合素子)等を利用して形成され、各画素をマトリクス状(アレイ状)に配置して二次元画像を取り込み、液滴影画像を取得する。この取得した液滴影画像から液滴体積を算出することで、液滴流量を取得することができる。しかし、液滴が落下を開始するタイミングを正確に検知できなければ、液滴影の全体像を捉えることはできない。
【0006】
図5(A)は、特許文献1に開示の従来技術に基づく液滴量測定の概念を説明する図であり、(B)は、液滴落下状態と判定した液滴画像から体積を算出する方法を説明する図である。特許文献1は、二次元画像を取り込むイメージセンサからの撮影データに基づいて、薬液が滴下ノズルを離れて落下する瞬間を判別する。
【0007】
図5(A)において、二次元画像を取り込むイメージセンサの一部に相当する上部検出センサと下部検出センサの各検出画像を用いて、液滴落下状態を検出する。上部検出センサは、滴下ノズルの下端に近接し、残渣よりやや下に位置する領域に設け、かつ、下部検出センサは、滴下ノズルに対して、より下方であって、くびれ部よりもやや下方の領域に設ける。液滴落下前状態において、液滴は残渣とくびれ部を介して繋がっている。くびれ部の有無を検出することにより、液滴落下前状態か、或いは液滴と残渣とに分かれた液滴落下状態かを検出することができる。
【0008】
次に、液滴落下状態と判定した液滴画像を用いて、
図5(B)に示すようにして体積を算出する。図示のように、液滴の画像を微小な高さhをもつn個の長方形に分割し、実際の液滴がこの長方形の幅を直径とする円盤がn個積み重なったものと仮定する。そして長方形の幅および高さからn個の円盤の体積を計算し、その合計を液滴の体積とする(すなわち区分求積によって体積を算出する)。
【0009】
このように、液滴が落下することを検知するセンサを必要とせずに、二次元画像を取り込むイメージセンサの一部を落下検知センサとして利用して、液滴落下状態を検出することができる。しかし、液滴の落下速度が比較的大きいため、液滴影の全体像を捉えるのが困難という問題点を完全には解決することができない。
【0010】
図6は、液滴影の全体像を捉えるのが困難という問題点を説明する図であり、(A)は、液滴量測定装置の側面図を示し、かつ、(B)は、落下中の液滴影を例示している。
図6(A)に示すように、落下する液滴側面に配置された光源(レーザー)と、落下する液滴を挟んで光源とは対向した位置に配置された二次元イメージセンサとを備えている。
図6(B)は、時間的に0.005Sだけ間隔を開けて撮影した4枚の撮影像を例示している。このように、落下速度が比較的大きいために、液滴影の全体像をイメージセンサで捉えるのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011-62371
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それ故に、本発明は、係る問題点を解決して、比較的小さなエリアのイメージセンサを用いても、撮影した液滴影の全体像を捉えることを可能にして、精度の高い(1%以下)点滴量測定を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
光源からの光を平行光にして、滴下ノズルから落下中の液滴
及び当該液滴の落下空間に照射し、点滴筒を挟んで光源と反対側に配置したイメージセンサで、発生した影画像を検出する。この影画像の輪郭を処理することで液滴の形状を認識して、この液滴の形状から液滴流量或いは送液速度を算出する。
【0014】
本発明の液滴量測定装置及び方法は、前記点滴筒と前記イメージセンサの間に凸レンズを配置して、この凸レンズにより、少なくとも液滴落下方向の長さを縮小して、前記
滴下ノズル先端から点滴筒内の液溜まり表面までの液滴落下距離全長に亘る前記落下空間の画像を前記イメージセンサで取得し、取得した前記画像の中の液滴部分を判別することで前記落下中の液滴全体の影画像を取得する。
【0015】
前記凸レンズは、滴下ノズル先端から点滴筒内の液溜まり表面までの液滴落下距離全長に亘る平行光を受光するだけのレンズ
径を有して、入射光に対して少なくとも液滴落下方向に縮小変化を与え、焦点面で線状の集光ビームを形成する円筒凸レンズが好ましい。液滴
を落下方向を軸にした左右の対称性がある回転体であるとみなして求めた液滴の体積から液滴流量或いは送液速度を算出する。
【0016】
光源は、滴下ノズル先端から液溜まり表面までの液滴落下距離全長に亘って、平行光線を照射することのできるレーザー、LED、発光ランプ、又は有機EL面光源である。この光源は、滴下ノズル手前の拡散光路に、ビームエキスパンダーを介装して平行光線にすることができる。
【0017】
イメージセンサは、液滴落下方向及びそれに直交する幅方向を有するマトリクス状に各画素を配置して二次元画像を取り込むCMOS又はCCDであって、かつ、液滴落下方向には、少なくとも滴下ノズル先端から液溜まりまでの全長を前記凸レンズで縮小した長さ、及び幅方向には、少なくとも液滴影に等しいだけの幅を有する。
【0018】
また、制御部を備え、該制御部は、前記光源に接続して点灯指令を出す一方、前記イメージセンサに接続して前記影画像の二値化画像を取り込んで、記憶部に格納し、かつ、前記制御部は、演算部に指示して、前記記憶部に格納されている二値化画像から求めた液滴の体積から液滴流量或いは送液速度を算出する。この算出した液滴流量或いは送液速度を表示する表示部、或いは前記算出した液滴流量或いは送液速度に基づき、点滴チューブ内を流れる流量を制御する投与駆動部を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、比較的小さなエリアのイメージセンサを用いても、撮影した液滴影の全体像を捉えることができ、この全体像の液滴影から液滴体積を算出することで、正確な値の液滴流量を取得することができる。この取得した液滴流量値を用いて、例えば、輸液ポンプを制御することにより、現在の一般的な輸液ポンプを用いた際の流量精度±10%より、10分の1以下の±1%の流量精度を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に基づき構成した液滴量測定装置の概略を例示する図である。
【
図2】
図1とは異なる別の液滴量測定装置の概略を例示する図であり、(A)は落下する液滴部で切断して、上方から見た平面図、及び(B)は落下する液滴部で切断した側面図である。
【
図3】液滴画像から液滴の体積を算出する方法を説明する図である。
【
図4】従来の液滴量測定の原理を説明する図である。
【
図5】(A)は、特許文献1に開示の従来技術に基づく液滴量測定の概念を説明する図であり、(B)は、液滴落下状態と判定した液滴画像から体積を算出する方法を説明する図である。
【
図6】液滴影の全体像を捉えるのが困難という問題点を説明する図であり、(A)は、液滴量測定装置の側面図を示し、かつ、(B)は、落下中の液滴影を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明に基づき構成した液滴量測定装置の概略を例示する図である。例示の液滴量測定装置において、光源からの光を平行光にして、滴下ノズルから落下中の液滴に照射し、点滴筒を挟んで光源と反対側に配置したイメージセンサで、発生した影を検出する。液滴によってさえぎられた部分が影となり、その結果イメージセンサは液滴の形状を映すことが可能となる。この影画像の輪郭を処理することで薬液の形状を認識することができる。
【0022】
このような液滴量測定装置において、本発明は、液滴により発生した影を円筒(シリンドリカル)凸レンズを用いて縮小し、滴下ノズル先端からの長い落下距離全長(落下方向のみ)に亘って発生した影をイメージセンサで取得し、液滴の対称性を利用して体積を求める。円筒凸レンズは、周知のように、レンズ表面の少なくとも一面が円筒面形状である凸レンズである。円筒凸レンズでは、入射光に対して一軸方向のみ変化を与え、焦点面で線状の集光ビームを形成することができる。
【0023】
図1において、点滴筒は、上部に備えた滴下ノズルから薬液を滴下すると共に、最下端に備えた点滴チューブから送液するそれ自体周知のものである。輸液ポンプ又は自然落下などを用いて輸液をおこなう場合、薬液は滴下ノズルから落下し、点滴筒下方に液溜まりとして蓄えられる。このとき薬液は表面張力の影響によってすぐには落下せずに滴下ノズルに保持された状態で蓄えられる。滴下ノズルに保持された薬液の量が一定以上になると重力が表面張力より大きくなることによって薬液が滴下ノズルから離れ、液滴となって落下する。
【0024】
光源は、滴下ノズル先端から液溜まり表面までの液滴落下距離全長に亘って、平行光線を照射可能のものであれば、レーザー、LED、通常のバルブ球などの発光ランプ、或いは有機EL等の面光源などが使用可能である。また、後述する
図2に例示するように、滴下ノズル手前の拡散光路に、コリメータレンズを介装して平行光線にしたものも使用できる。
【0025】
イメージセンサは、CMOS(金属酸化膜半導体素子)やCCD(電荷結合素子)等を利用して形成され、少なくとも各画素をマトリクス状(アレイ状)に配置して二次元画像を取り込む。イメージセンサの液滴落下方向のアレイ長さは、滴下ノズル先端から液溜まりまでの全長を、円筒レンズで縮小した長さ以上であり、かつ、このアレイ長さ方向に直交するイメージセンサのアレイ幅は、液滴影の幅以上である。
【0026】
制御部は、光源に接続されて、点灯指令を出す一方、イメージセンサに接続して二次元画像の二値化画像の取り込みを行って、記憶部に格納する。液滴の撮影は連続的に行なって、二値化画像の取り込みを所定のタイミングで行う。本発明は、上述したように、凸レンズを用いて液滴影を縮小して、長い落下距離全長に亘って画像取り込み可能であるので、
図4〜
図6を参照して説明したような従来技術程には厳密な画像取り込みタイミングを必要としない。本発明は、画像取り込みタイミング検出のために、専用の検出センサを用いることも可能であるが、別途の検出センサを設けること無く、例えば、図示のイメージセンサの(液滴落下方向の)上部だけ、連続的に撮影し、変化があった時(落下があった)にエリア全体で撮影するように切り替えることができる。
【0027】
或いは、セットされた輸液供給量に対応して、二値化画像の取り込み速度を予め適切に設定しておくことにより、取得した画像の中に、1つのみの液滴が写るようにすることが可能である。例えば、市販の輸液ポンプ(TE-161S)の場合、最大の供給量が500ml/hであることから、(輸液セット0.05ml/滴の場合)1秒間に3滴以下になる。したがって、この場合、2滴以上を同時に測定することが無いように設定可能である。ただし、本液滴に加えて、その体積の約0.4%程度のサテライト滴が同時に落下することがある。このサテライト滴は、仮に無視し続けた場合、最大で+0.4%の誤差発生が見積もられる。この場合、2滴以上同時に画像検出した場合、画像を本液滴とサテライト液の各滴に範囲分割するアルゴリズムを設ければ、同様な計算法で、各滴の体積を個別に求めることが可能になる。
【0028】
また、制御部は、演算部に指示して、記憶部に格納されている二値化画像から、後述するように、必要な体積を求め、流量(送液速度)を算出する。さらに、制御部は、算出した流量(送液速度)を表示部に表示させる。また、算出した流量(送液速度)に基づき、点滴チューブ内を流れる流量を制御する投与駆動部を制御する。投与駆動部は、例えば、輸液ポンプ、或いはチューブ押圧部とそれを駆動するモータを備えて、算出した流量に基づきチューブ内を流れる流量を制御する。例えば、チューブを扱く時間当たりの回数を調整することにより、流量を制御する。具体的には、検出した体積が目標値の±x%小さかった場合、次にチューブを扱くタイミングをそのx%補うよう常に短くしたり、長くしたりする。或いは、算出した流量に基づき自然落下による送液の速度を制御するための調整弁を制御することができる。
【0029】
本発明は、光源からの光を照射することにより発生した影を、円筒(シリンドリカル)凸レンズを用いて縮小し、長い落下距離全長に亘って取得する。円筒凸レンズを用いて縮小する必要があるのは、液滴の落下方向であって、それに直交する幅方向に縮小する必要は無い。但し、幅方向にも縮小することにより、イメージセンサの幅方向サイズを小さくすることができる。円筒凸レンズは、点滴筒とイメージセンサの間に配置される。光源は、滴下ノズル先端から液溜まりまでの点滴落下長の全長に亘って平行光を発生し、かつ、円筒凸レンズは、少なくとも光源からの平行光の全体を受光できる径とする。例えば、20mmのレンズ径(もしくはレンズ幅)、焦点距離50mmの円筒凸レンズを用いて、落下方向に1/4に縮小する場合、イメージセンサとして高さ5mmのCMOS素子を用いて、円筒凸レンズから40mmの位置に配置する。このような配置で、測定を行った結果、±0.25%(±1%以下)の測定精度が得られた。
【0030】
図2は、
図1とは異なる別の液滴量測定装置の概略を例示する図であり、(A)は落下する液滴部で切断して、上方から見た平面図、及び(B)は落下する液滴部で切断した側面図である。
図2において、光源と、点滴筒の間に、焦点距離f1及びf2の2つのコリメータレンズを用いたビームエキスパンダーが配置されている。ビームエキスパンダーは、ビームを一定の倍率の平行光束に広げるときに使用する光学系として周知である。このようなビームエキスパンダーを用いて、広範囲の撮影を可能にすることができる。
【0031】
図3は、液滴画像から液滴の体積を算出する方法を説明する図である。液滴の形状は変わっても、左右の対称性があるので、落下方向を軸にした回転体であるとみなせる。それ故に、イメージセンサは、各幅方向ラインの画素を縦方向にマトリクス状に配置したものであるので、取得した影画像から各幅方向ライン方向の長さを、直径aとして、幅方向ライン毎に検出する。この検出した各断面の直径aを用いて、回転体の積分により、液滴の体積を求めることができる。この体積算出方法自体は、
図5(B)を参照して説明した従来技術と同様である。