(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機表面後架橋剤は、アルキレンカーボネート、2−オキサゾリジノン、ビス−2−オキサゾリジノンおよびポリ−2−オキサゾリジノン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、N−アシル−2−オキサゾリジノン、環状尿素、二環式アミドアセタール、オキセタンおよびモルホリン−2,3−ジオンから選択されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性ポリマー粒子を懸濁重合および熱による表面後架橋によって製造する方法に関し、その際に懸濁重合によって得られたベースポリマーは、少なくとも37g/gの遠心分離保持容量を有し、および熱による表面後架橋は、100〜190℃で実施される。
【0002】
吸水性ポリマー粒子の製造は、専攻論文“Modern Superabsorbent Polymer Technology”,F.L.Buchholz and AT.Graham,Wiley−VCH,1998年,第69〜117頁に記載されている。吸水性ポリマー粒子は、通常、溶液重合または懸濁重合によって製造される。
【0003】
吸水性ポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯および他の衛生用品を製造するための、水溶液を吸収する製品として使用されているだけでなくまた農業園芸における保水剤としても使用されている。
【0004】
吸水性ポリマーの性質は、架橋度により調節されうる。架橋度が上昇すると、ゲル強度は、上昇し、および吸収能力は、低下する。
【0005】
使用特性、例えばおむつ内で膨潤されたゲルベッド中の透過性および荷重下吸収力の改善のために、吸水性ポリマー粒子は、一般に後架橋される。それによって、粒子表面の架橋度だけが上昇し、それによって、荷重下吸収力は、低下され、および遠心分離保持容量は、少なくとも部分的に低下されうる。
【0006】
特開昭63−218702号公報には、吸水性ポリマー粒子を懸濁重合によって製造するための連続的方法が記載されている。
【0007】
国際公開第2006/014031号には、吸水性ポリマー粒子を懸濁重合によって製造するための方法が記載されている。熱的後架橋の際の高い温度で、疎水性溶剤の割合は、放出される。
【0008】
国際公開第2008/068208号は、同様に、低い割合の疎水性溶剤を有する吸水性ポリマー粒子を、懸濁重合によって製造するための方法に関する。
【0009】
本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子を懸濁重合によって製造するための改善された方法を提供することであった。その際に、前記吸水性ポリマー粒子は、高い遠心分離保持容量(CRC)、49.2g/cm
2の加圧下での高い吸収力(AUHL)、遠心分離保持容量(CRC)と49.2g/cm
2の荷重下吸収力との高い総和(AUHL)、ならびに僅かな抽出可能レベルを有するべきである。
【0010】
前記課題は、
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1つのエチレン性不飽和の、酸基を含むモノマー、
b)任意に1つ以上の架橋剤、
c)少なくとも1つの開始剤、
d)任意に、a)に記載されたモノマーと共重合可能な、1つ以上のエチレン性不飽和モノマーおよび
e)任意に、1つ以上の水溶性ポリマー
を含有する、モノマー溶液を重合させることにより、吸水性ポリマー粒子を連続的に製造するための方法であって、
その際に、前記モノマー溶液は、重合中に疎水性有機溶剤中に懸濁されており、および得られたポリマー粒子の熱による表面後架橋は、有機表面後架橋剤を用いて行われる、前記方法において、架橋剤b)の量は、ポリマー粒子が表面後架橋前に少なくとも37g/gの遠心分離保持容量を有するように選択され、および前記の熱による表面後架橋が100〜190℃で実施されることを特徴とする、前記方法によって解決された。
【0011】
モノマーa)は、特に水溶性であり、すなわち、23℃での水中での溶解度は、典型的には少なくとも1g/水100g、特に少なくとも5g/水100g、特に有利に少なくとも25g/水100g、殊に有利に少なくとも35g/水100gである。
【0012】
適当なモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。アクリル酸が殊に好ましい。
【0013】
さらなる適当なモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0014】
汚染物質は、重合に対して重大な影響を及ぼしうる。したがって、使用される原料は、できるだけ高い純度を有するべきであった。したがって、モノマーa)を特に精製することは、しばしば好ましい。適当な精製方法は、例えば、国際公開第2002/055469号、国際公開第2003/078378号および国際公開第2004/035514号中に記載されている。適当なモノマーa)は、例えば、国際公開第2004/035514号によれば、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%およびヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を有する精製アクリル酸である。
【0015】
モノマーa)の全体量に対するアクリル酸および/またはその塩の割合は、特に少なくとも50mol%、特に有利に少なくとも90mol%、殊に有利に少なくとも95質量%である。
【0016】
モノマーa)の酸基は、部分的に中和されていてよい。中和は、モノマーの段階で実施される。このことは、通常、水溶液としての中和剤を混入することによって行われるか、または有利に固体としての中和剤を混入することによっても行われる。中和度は、特に25〜95mol%、特に有利に30〜80mol%、殊に有利に40〜75mol%であり、その際に、普通の中和剤、特にアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩ならびにこれらの混合物が使用されてよい。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩が使用されてもよい。ナトリウムおよびカリウムは、アルカリ金属として特に好ましいが、しかし、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムならびにこれらの混合物が殊に好ましい。
【0017】
モノマーa)は、通常、重合抑制剤、特にヒドロキノン半エーテルを貯蔵安定剤として含有する。
【0018】
モノマー溶液は、そのつど中和されていないモノマーa)に対して、ヒドロキノン半エーテルを、特に250質量ppmまで、有利に最大130質量ppm、特に有利に最大70質量ppm、有利に少なくとも10質量ppm、特に有利に少なくとも30質量ppm、殊に50質量ppmだけ含有する。例えば、前記モノマー溶液の製造のために、ヒドロキノン半エーテルの相応する含量を有する、エチレン性不飽和の、酸基を含むモノマーが使用されうる。
【0019】
好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および/またはα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0020】
適当な架橋剤b)は、架橋に適した、少なくとも2個の基を有する化合物である。この種の基は、ポリマー鎖中にラジカル的に重合導入されていてよいエチレン性不飽和基、およびモノマーa)の酸基と共有結合を形成しうる官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成しうる多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0021】
架橋剤b)は、とりわけ、ポリマー網状組織中にラジカル的に重合導入されていてよい、少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適当な架橋剤b)は、例えば、欧州特許出願公開第0530438号明細書A1中に記載されたようなメチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、欧州特許出願公開第0547847号明細書、欧州特許出願公開第0559476号明細書、欧州特許出願公開第0632068号明細書、国際公開第93/21237号、国際公開第2003/104299号、国際公開第2003/104300号、国際公開第2003/104301号および独国特許出願公開第10331450号明細書中に記載されたようなジアクリレートおよびトリアクリレート、独国特許出願公開第10331456号明細書および独国特許出願公開第10355401号明細書中に記載されたような、アクリレート基とともにさらなるエチレン性不飽和基を含む、混合されたアクリレート、または独国特許出願公開第19543368号明細書、独国特許出願公開第19646484号明細書、国際公開第90/15830号および国際公開第2002/032962号中に記載されたような架橋剤混合物である。
【0022】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリアリルアミンである。
【0023】
特に好ましい架橋剤b)は、メチレンビスアクリレートアミドおよび例えば国際公開番号WO 2003/104301A1中に記載されたような、アクリル酸またはメタクリル酸でジアクリレートまたはトリアクリレートへとエステル化された、ポリエトキシル化されたグリセリンおよび/またはポリプロポキシル化されたグリセリンである。メチレンビスアクリルアミド、3〜10エトキシル化されたグリセリンのジアクリレートおよび/またはトリアクリレートが特に好ましい。メチレンビスアクリルアミド、1〜5エトキシル化されたグリセリンおよび/または1〜5プロポキシル化されたグリセリンのジアクリレートまたはトリアクリレートが殊に好ましい。メチレンビスアクリルアミドおよび3〜5エトキシル化されたグリセリンおよび/または3〜5プロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレート、殊にメチレンビスアクリルアミドおよび3エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も好ましい。
【0024】
前記モノマー溶液中の架橋剤の量は、吸水性ポリマー粒子が重合後および熱による表面後架橋前(ベースポリマー)に少なくとも37g/g、特に少なくとも38g/g、特に有利に少なくとも39g/g、殊に有利に少なくとも40g/gの遠心分離保持容量(CRC)を有するように選択される。前記遠心分離保持容量(CRC)は、75g/gを超えるべきではなかった。ベースポリマーの高すぎる遠心分離保持容量(CRC)の場合、次の熱による表面後架橋で49.2g/cm
2(AUHL)の加圧下での十分な吸収は、もはや形成することができない。
【0025】
開始剤c)として、重合条件下でラジカルを生じる全ての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤が使用されてよい。
【0026】
適当なレドックス開始剤は、カリウムペルオキソジスルフェート/アスコルビン酸またはナトリウムペルオキソジスルフェート/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、カリウムペルオキソジスルフェート/ナトリウムビスルフィットまたはナトリウムペルオキソジスルフェート/ナトリウムビスルフィットおよび過酸化水素/ナトリウムビスルフィットである。とりわけ、熱開始剤とレドックス開始剤との混合物、例えばカリウムペルオキソジスルフェート/過酸化水素/アスコルビン酸またはナトリウムペルオキソジスルフェート/過酸化水素/アスコルビン酸が使用される。しかし、還元性成分として、とりわけ、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩とナトリウムビスルフィットとの混合物が使用される。この種の混合物は、Brueggolite(登録商標)FF6およびBrueggolite(登録商標)FF7(Bruggemann Chemicals社;Heilbronn在;独国)として入手可能である。
【0027】
適当な熱開始剤は、殊にアゾ開始剤、例えば2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩および2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、およびこれらのナトリウム塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]および2,2’−アゾビス(−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸である。
【0028】
適当な光開始剤は、例えば2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンおよび1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンである。
【0029】
エチレン性不飽和の、酸基を含むモノマーa)で共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0030】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、澱粉誘導体、変性セルロース,例えばメチルセルロースもしくはヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコールまたはポリアクリル酸、特に澱粉、澱粉誘導体および変性セルロースが使用されてよい。
【0031】
任意に、モノマー溶液またはその出発物質には、金属イオンのマスキングのための1つ以上のキレート形成剤、例えば鉄が安定化のために添加されてよい。適当なキレート形成剤は、例えばアルカリ金属クエン酸塩、クエン酸、アルカリ金属酒石酸塩、ペンタナトリウムトリホスフェート、エチレンジアミンテトラアセテート、ニトリロトリ酢酸、ならびにTrilon(登録商標)の名称の下で公知のキレート形成剤、例えばTrilon(登録商標)C(ペンタナトリウムジエチレン−トリアミンペンタアセテート)、Trilon(登録商標)D(トリナトリウム−(ヒドロキシエチル)−エチレン−ジアミントリアセテート)、ならびにTrilon(登録商標)M(メチルグリシン二酢酸)である。
【0032】
好ましい重合抑制剤は、溶解された酸素の最適な作用に必要とされる。したがって、モノマー溶液から、重合前に、不活性化、すなわち不活性ガス、特に窒素または二酸化炭素での貫流によって、溶解された酸素が取り除かれうる。とりわけ、前記モノマー溶液の酸素含量は、重合前に、1質量ppm未満、特に有利に0.5質量ppm未満、殊に有利に0.1質量ppm未満に低下される。
【0033】
重合が十分な還流下に実施される場合には、不活性化は、省略されうる。この場合、溶解された酸素は、蒸発する溶剤と一緒に重合反応器から除去される。
【0034】
重合のために、前記モノマー溶液は、疎水性溶剤中に懸濁されるかまたは乳化される。
【0035】
疎水性溶剤として、懸濁重合の際に使用するために当業者に公知の全ての溶剤が使用可能である。好ましくは、脂肪族炭化水素、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、シクロヘキサンまたはこれらの混合物が使用される。疎水性溶剤は、23℃で水中での溶解度5g/100g、特に1g/100g、特に有利に0.5g/100gを有する。
【0036】
疎水性溶剤は、特に50〜150℃、特に有利に60〜120℃、殊に有利に70〜90℃の範囲内で沸騰する。
【0037】
モノマー溶液に対する疎水性溶剤の比率は、0.5〜3、有利に0.7〜2.5、特に有利に0.8〜2.2である。
【0038】
前記懸濁液中のモノマー溶液の液滴の平均直径は、特に少なくとも100μm、特に有利に100〜1000μm、殊に有利に150〜850μm、とりわけ有利に300〜600μmであり、その際に、液滴の直径は、光散乱法によって測定されることができ、かつ体積を平均化した平均直径を意味する。
【0039】
前記モノマー溶液の液滴の直径は、導入された攪拌エネルギーにより調節されることができ、かつ適当な分散助剤によって調節されることができる。
【0040】
モノマー水溶液を疎水性溶剤中に分散させるために分散助剤が添加されるか、または生じる吸水性ポリマー粒子を分散させるために分散助剤が添加される。これは、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤もしくは両性界面活性剤であることができるか、または天然ポリマー、半合成ポリマーもしくは合成ポリマーであることができる。
【0041】
陰イオン性界面活性剤は、例えばナトリウムポリオキシエチレンドデシルエーテルスルフェートおよびナトリウムドデシルエーテルスルフェートである。陽イオン性界面活性剤は、例えばトリメチルステアリルアンモニウムクロリドである。両性界面活性剤は、例えばカルボキシメチルジメチルセチルアンモニウムである。非イオン性界面活性剤は、例えばショ糖脂肪酸エステル、例えばショ糖モノステアレートおよびショ糖ジラウレート、ソルビタンエステル、例えばソルビタンモノステアレート、ソルビタンエステルをベースとするポリオキシアルキレン化合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートである。
【0042】
前記分散助剤は、通常、疎水性溶剤中に溶解されるかまたは分散される。分散剤は、モノマー溶液に対して、0.01〜10質量%、有利に0.2〜5質量%、特に有利に0.5〜2質量%の量で使用される。前記分散助剤の種類および量により、モノマー溶液の液滴の直径は、調節されうる。
【0043】
好ましくは、重合のために、幾つかの攪拌型反応器が順番に接続されている。さらなる攪拌型反応器中での後反応によって、モノマー転化率を高めることができ、かつ逆混合を減少させることができる。この場合には、さらに、第1の攪拌型反応器が大型すぎないことは、好ましい。攪拌型反応器の寸法が大きくなると、必然的に分散されたモノマー溶液の液滴の寸法は、広がる。したがって、より小型の第1の反応器は、特に狭い粒径分布を有する吸水性ポリマー粒子の製造を可能にする。
【0044】
反応は、特に、減圧下で、例えば800ミリバールの圧力で実施される。圧力により、反応混合物の沸点は、所望の反応温度に調節されうる。
【0045】
得られた吸水性ポリマー粒子は、熱により表面後架橋される。この熱による表面後架橋は、ポリマー分散液中で実施されうるか、またはポリマー分散液から分離されかつ乾燥された吸水性ポリマー粒子を用いて実施されうる。
【0046】
本発明の好ましい実施態様において、吸水性ポリマー粒子は、ポリマー分散液中で共沸脱水され、ポリマー分散液から分離され、分離された吸水性ポリマー粒子は、付着する残留疎水性溶剤を除去するために乾燥され、かつ熱により表面後架橋される。
【0047】
適当な表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成しうる基を含む化合物である。適当な化合物は、欧州特許第0083022号明細書、欧州特許出願公開第0543303号明細書および欧州特許出願公開第0937736号明細書中に記載されたような多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド、独国特許出願公開第3314019号明細書、独国特許出願公開第3523617号明細書および欧州特許出願公開第0450922号明細書中に記載されたような二価アルコールもしくは多価アルコール、または独国特許出願公開第10204938号明細書および米国特許第6239230号明細書中に記載されたようなβ−ヒドロキシアルキルアミドである。
【0048】
さらに、適当な表面後架橋剤として、独国特許第4020780号明細書中には、アルキレンカーボネートが記載されており、独国特許出願公開第19807502号明細書中には、2−オキサゾリジノンおよびその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノンが記載されており、独国特許第19807992号明細書中には、ビス−2−オキサゾリジノンおよびポリ−2−オキサゾリジノンが記載されており、独国特許出願公開第19854573号明細書中には、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジンおよびその誘導体が記載されており、独国特許出願公開第19854574号明細書中には、N−アシル−2−オキサゾリジノンが記載されており、独国特許出願公開第10204937号明細書中には、環状尿素が記載されており、独国特許出願公開第10334584号明細書中には、二環式アミドアセタールが記載されており、欧州特許出願公開第1199327号明細書中には、オキセタンおよび環状尿素が記載されており、および国際公開第2003/031482号中には、モルホリン−2,3−ジオンおよびその誘導体が記載されている。
【0049】
さらに、独国特許出願公開第3713601号明細書中に記載されたような、さらなる重合可能なエチレン性不飽和基を含む表面後架橋剤が使用されてもよい。
【0050】
さらに、適当な表面後架橋剤の任意の混合物が使用されてよい。
【0051】
好ましい表面後架橋剤は、アルキレンカーボネート、2−オキサゾリジノン、ビス−2−オキサゾリジノンおよびポリ−2−オキサゾリジノン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、N−アシル−2−オキサゾリジノン、環状尿素、二環式アミドアセタール、オキセタンおよびモルホリン−2,3−ジオンである。
【0052】
特に好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、3−メチル−3−オキセタンメタノール、2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノン、2−オキサリジノンおよびメチル−2−オキサゾリジノンである。
【0053】
エチレンカーボネートが特に好ましい。
【0054】
表面後架橋剤の量は、そのつどポリマー粒子に対して、特に0.1〜10質量%、特に有利に0.5〜7.5質量%、殊に有利に1〜5質量%である。
【0055】
前記表面後架橋剤は、典型的には、水溶液として使用される。溶剤の量は、そのつどポリマー粒子に対して、特に0.001〜8質量%、特に有利に2〜7質量%、殊に有利に3〜6質量%、殊に4〜5質量%である。非水性溶剤の含量または全溶剤量により、ポリマー粒子中への表面後架橋剤の侵入深さは、調節されうる。
【0056】
水だけを溶剤として使用する場合には、有利に界面活性剤が添加される。それによって、湿潤挙動は改善され、かつ団塊化傾向を減少させる。しかし、とりわけ、溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水およびプロピレングリコール/水が使用され、その際に、混合質量比は、特に10:90〜60:40である。
【0057】
本発明の好ましい実施態様において、熱による表面後架橋の前、間または後に、表面後架橋剤に加えて、カチオン、殊に多価カチオンが粒子表面上に施与される。
【0058】
本発明による方法で使用可能な多価カチオンは、例えば二価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄およびストロンチウムのカチオン、三価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類およびマンガンのカチオン、四価カチオン、例えばチタンおよびジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、水酸化物、塩化物、臭化物、硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、燐酸二水素塩およびカルボン酸塩、例えば酢酸塩、クエン酸塩および乳酸塩が可能である。また、異なる対イオンを有する塩、例えば塩基性アルミニウム塩、例えばモノ酢酸アルミニウムまたはモノ乳酸アルミニウムが可能である。硫酸アルミニウム、モノ酢酸アルミニウムおよび乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩以外に、ポリアミンが多価カチオンとして使用されてもよい。
【0059】
多価カチオンの使用量は、そのつどポリマー粒子に対して、例えば0.001〜1.5質量%、特に0.005〜1質量%、特に有利に0.02〜0.8質量%である。
【0060】
本発明のさらなる好ましい実施態様において、熱による表面後架橋の前、間または後に、さらに親水性化剤、例えば糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトールおよびキシリトール、水溶性ポリマーまたは水溶性コポリマー、例えばセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリアクリルアミドが施与される。
【0061】
表面後架橋は、通常、表面後架橋剤の溶液が乾燥されたポリマー粒子上に噴霧されるように実施される。噴霧に引き続いて、表面後架橋剤で被覆されたポリマー粒子は、熱により表面後架橋される。
【0062】
前記表面後架橋剤の溶液の噴霧は、特に、可動の混合工具を有するミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサーおよびパドル型ミキサー中で実施される。水平型ミキサー、例えばパドル型ミキサーが特に有利であり、縦型ミキサーが殊に有利である。水平型ミキサーと縦型ミキサーとは、混合軸の軸受により区別され、すなわち水平型ミキサーは、水平に支承された混合軸を有し、および縦型ミキサーは、垂直に支承された混合軸を有している。適当なミキサーは、例えば水平型Pflugschar(登録商標)ミキサー(Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH;Paderborn在;独国)、Vrieco−Nauta 連続式ミキサー(Hosokawa Micron BV;Doetinchem在;オランダ国)、Processall Mixmillミキサー(Processal Incorporated;Cincinnati在;USA)およびSchugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron BV;Doetinchem在;オランダ国)である。あるいはまた、表面後架橋剤溶液を流動層中で噴霧することが可能である。
【0063】
熱による表面後架橋は、とりわけ接触型乾燥機、特に有利に羽根型乾燥機、殊に有利にディスク型乾燥機中で実施される。適当な乾燥機は、例えばHosokawa Bepex(登録商標)水平パドル型乾燥機(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten在;独国)、Hosokawa Bepex(登録商標)ディスク型乾燥機(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten在;独国)、Holo−Flite(登録商標)乾燥機(Metso Minerals Industries Inc.;Danville在;USA)およびNara Paddle Dryer(NARA Machinery Europe;Frechen在;独国)である。さらに、流動層乾燥機が使用されてもよい。
【0064】
熱による表面後架橋は、ミキサー自体の中で、ジャケットの加熱または温風の吹き込みにより行うことができる。同様に、後方接続された乾燥機、例えば縦型乾燥機、回転管式乾燥機または加熱スクリューも適している。特に好ましくは、流動層乾燥機中で混合し、かつ熱により表面後架橋する。
【0065】
前記の熱による表面後架橋のためには、溶剤のできるだけ完全な除去を保証するために、前記の熱による表面後架橋を低圧中で実施するかまたは前記の熱による表面後架橋を乾燥ガス、例えば乾燥された空気および窒素を使用して実施することは、好ましい。
【0066】
引き続き、表面後架橋されたポリマー粒子は、分級されてよく、その際に、小さすぎるポリマー粒子および/または大きすぎるポリマー粒子が分離され、かつ前記方法中に返送される。
【0067】
前記の表面後架橋は、ポリマー分散液中で実施されてもよい。そのために、表面後架橋剤の溶液がポリマー分散液に添加される。この場合、例えば、熱による表面後架橋に対して望ましい温度未満で1013ミリバールで沸点を有する疎水性有機溶剤を使用する際に、過圧で熱による表面後架橋を実施することは、好ましい。ポリマー分散液中での熱による表面後架橋の後に、吸水性ポリマー粒子は、ポリマー分散液中で共沸脱水され、ポリマー分散液から分離され、分離された吸水性ポリマー粒子は、付着する残留疎水性溶剤を除去するために乾燥される。
【0068】
好ましい表面後架橋温度は、100〜190℃の範囲内、特に105〜180℃の範囲内、特に有利に110〜175℃の範囲内、とりわけ有利に120〜170℃の範囲内にある。前記温度での好ましい滞留時間は、とりわけ少なくとも10分間、特に有利に少なくとも20分間、殊に有利に少なくとも30分間、通常最大90分間である。
【0069】
本発明の好ましい実施態様において、吸水性ポリマー粒子は、熱による表面後架橋の後に接触型乾燥機中で冷却される。冷却は、とりわけ接触型冷却器、特に有利に羽根型冷却器、殊に有利にディスク型冷却器中で実施される。適当な冷却器は、例えばHosokawa Bepex(登録商標)水平パドル型冷却器(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten在;独国)、Hosokawa Bepex(登録商標)ディスク型冷却器(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten在;独国)、Holo−Flite(登録商標)冷却器(Metso Minerals Industries Inc.;Danville在;USA)およびNara Paddle Cooler(NARA Machinery Europe;Frechen在;独国)である。さらに、流動層冷却器が使用されてもよい。
【0070】
前記冷却器中で、吸水性ポリマー粒子は、20〜150℃、特に30〜120℃、特に有利に40〜100℃、殊に有利に50〜80℃に冷却される。
【0071】
接触型乾燥機中で熱により表面後架橋されたポリマー粒子は、性質をさらに改善するために、被覆されてもよいし、後湿潤されてもよい。
【0072】
この後湿潤は、とりわけ、30〜80℃、特に有利に35〜70℃、殊に有利に40〜60℃で実施される。温度が低すぎる場合には、吸水性ポリマー粒子は、団塊化の傾向があり、およびより高い温度の場合には、既に顕著に水が蒸発する。後湿潤に使用される水量は、とりわけ1〜10質量%、特に有利に2〜8質量%、殊に有利に3〜5質量%である。後湿潤によって、ポリマー粒子の機械的安定性は、高められ、かつ該ポリマー粒子の静電帯電の傾向は、減少される。
【0073】
膨潤速度ならびに透過性(SFC)の改善に適した被覆は、例えば不活性の無機物質、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、陽イオンポリマーならびに二価金属カチオンまたは多価金属カチオンである。粉塵結合に適した被覆は、例えばポリオールである。前記ポリマー粒子の望ましくないケーキング傾向に抗して適当な被覆は、例えば熱分解法ケイ酸、例えばAerosil(登録商標)200、および界面活性剤、例えばSpan(登録商標)20およびPlantacare 818 UPおよび界面活性剤混合物である。
【0074】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法により得ることができる、吸水性ポリマー粒子である。
【0075】
本発明による方法により得ることができる吸水性ポリマー粒子は、少なくとも37g/gの遠心分離保持容量(CRC)、少なくとも30g/gの、21.0g/cm
2の荷重下吸収力、少なくとも14g/gの、49.2g/cm
2の荷重下吸収力(AUHL)、少なくとも69g/gの、遠心分離保持容量と21.0g/cm
2の荷重下吸収力との総和(CRC+AUL)、少なくとも54g/gの、遠心分離保持容量と49.2g/cm
2の荷重下吸収力との総和(CRC+AUHL)および抽出可能レベル20質量%未満を有する。
【0076】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、とりわけ少なくとも38g/g、特に有利に少なくとも40g/g、殊に有利に少なくとも41g/gの遠心分離保持容量(CRC)を有する。前記吸水性ポリマー粒子の遠心分離保持容量(CRC)は、通常、75g/g未満である。
【0077】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、特に少なくとも32g/g、特に有利に少なくとも33g/g、殊に有利に少なくとも34g/gの、21.0g/cm
2の荷重下吸収力(AUL)を有する。前記吸水性ポリマー粒子の21.0g/cm
2の荷重下吸収力(AUL)は、通常、50g/g未満である。
【0078】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、特に少なくとも16g/g、特に有利に少なくとも18g/g、殊に有利に少なくとも20g/gの、49.2g/cm
2の荷重下吸収力(AUHL)を有する。前記吸水性ポリマー粒子の49.2g/cm
2の荷重下吸収力(AUHL)は、通常、35g/gである。
【0079】
本発明による吸水性ポリマー粒子の、遠心分離保持容量(CRC)と21.0g/cm
2の荷重下吸収力(AUL)との総和は、特に少なくとも71g/g、特に有利に少なくとも73g/g、殊に有利に少なくとも74g/gである。
【0080】
本発明による吸水性ポリマー粒子の、遠心分離保持容量(CRC)と49.2g/cm
2の荷重下吸収力(AUHL)との総和は、特に少なくとも56g/g、特に有利に少なくとも58g/g、殊に有利に少なくとも59g/gである。
【0081】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、特に17質量%未満、特に有利に少なくとも15質量%未満、殊に有利に14質量%未満の抽出可能レベルを含有する。
【0082】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、特に少なくとも30質量%、特に有利に少なくとも40質量%、殊に有利に少なくとも50質量%の、300〜600μmの粒径を有する粒子の割合を有する。
【0083】
本発明のさらなる対象は、
(A)上部液体不透過層、
(B)下部液体透過層、
(C)繊維材料0〜30質量%および本発明による方法により得ることができる吸水性ポリマー粒子70〜100質量%を含有する、層(A)と層(B)との間の液体吸収性蓄積層、
(D)任意に、繊維材料80〜100質量%および本発明による方法により得ることができる吸水性ポリマー粒子0〜20質量%を含有する、層(A)と層(C)との間の捕捉/分配層、
(E)任意に、層(C)の直上および/または直下の織物層、および
(F)さらなる任意の構成要素
を含む衛生用品である。
【0084】
前記液体吸収性蓄積層(C)中での本発明による方法により得ることができる吸水性ポリマー粒子の割合は、特に少なくとも75質量%、特に有利に少なくとも80質量%、殊に有利に少なくとも90質量%である。
【0085】
前記液体吸収性蓄積層(C)中での本発明による方法により得ることができる吸水性ポリマー粒子の平均真球度は、0.84、有利に少なくとも0.86、特に有利に少なくとも0.88、殊に有利に少なくとも0.90である。
【0086】
通常の溶液重合(ゲル重合)によって製造された吸水性ポリマー粒子は、乾燥後に微粉砕されかつ分級され、その際に、不規則なポリマー粒子が得られる。前記の吸水性ポリマー粒子の平均真球度は、約0.72〜約0.78である。
【0087】
前記吸水性ポリマー粒子は、次に記載された試験方法により試験される。
【0088】
方法:
測定は、別記しない限り、23±2℃の環境温度および50±10%の相対空気湿度で実施される。吸水性ポリマーは、測定前に良好に十分に混合される。
【0089】
残留モノマー
吸水性ポリマー粒子の残留モノマーの含量を、EDANA推奨試験方法第WSP210.2−05「残留モノマー」により測定する。
【0090】
篩分析
篩分析を、EDANA推奨試験方法第WSP220.3(11)により実施し、その際に、次の目開き100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、710μm、800μm、900μmおよび1000μmを有する篩を使用する。
【0091】
全ての画分wの百分率での割合は、次のように計算される:
w = (m
ni − m
si)×100/m
1
ただし、
m
niは、全ての篩によって保持された、g(グラム)でのポリマー粒子質量であり、
m
siは、空の篩のg(グラム)での質量であり、
m
1は、g(グラム)での秤量されたポリマー粒子全質量である。
【0092】
湿分含量
吸水性ポリマー粒子の湿分含量を、EDANA推奨試験方法第WSP230.3(11)「加熱下での質量損失」により測定する。
【0093】
遠心分離保持容量(Centrifuge Retention Capacity)
遠心分離保持容量(CRC)を、EDANA推奨試験方法第WSP241.3(11)「食塩水中での流体保持能力、遠心分離後」により測定する。
【0094】
0.0g/cm2の荷重下吸収力
0.0g/cm
2の荷重下吸収力(AUNL)を、EDANA推奨試験方法第WSP242.3(11)「荷重下吸収力の重量測定」により測定し、その際に、21.0g/cm
2(AUL0.3psi)の圧力の代わりに、圧力は、0.0g/cm
2(AUL0.0psi)に調節される。
【0095】
21.0g/cm2の荷重下吸収力
吸水性ポリマー粒子の21.0g/cm
2(AUL)の荷重下吸収力を、EDANA推奨試験方法第WSP242.3(11)「荷重下吸収力の重量測定」により測定する。
【0096】
49.2g/cm2の荷重下吸収力
49.2g/cm
2(AUHL)の荷重下吸収力を、EDANA推奨試験方法第WSP242.3(11)「荷重下吸収力の重量測定」と同様に測定し、その際に、21.0g/cm
2(AUL0.3psi)の圧力の代わりに、圧力は、49.2g/cm
2(AUL0.7psi)に調節される。
【0097】
嵩密度
嵩密度を、EDANA推奨試験方法第WSP250.3(11)「密度の重量測定」により測定する。
【0098】
抽出可能レベル
吸水性ポリマー粒子の抽出可能成分の含量を、EDANA推奨試験方法第WSP270.3(11)「抽出可能レベル」により測定する。抽出時間は、16時間である。
【0099】
膨潤速度(Free Swell Rate)
膨潤速度(FSR)を測定するために、吸水性ポリマー粒子1.00g(=W1)を25mlのビーカー中に秤量し、かつその底に均一に分配させる。次に、0.9質量%の食塩溶液20mlをディスペンサーにより第二のガラスビーカー中に供給し、かつこのビーカーの内容物を第一のビーカーに素早く添加し、かつストップウォッチをスタートさせる。塩溶液の最後の1滴が吸収されたら直ちにストップウォッチを止めるが、このことは液体表面上の反射の消失によって確認可能である。第二のビーカーから注がれかつ第一のビーカー中のポリマーにより吸収された液体の正確な量を、第二のビーカーの秤量により正確に測定する(=W2)。ストップウォッチで測定した、吸収に必要とされた時間間隔を、tと呼称する。表面上で液体の最後の1滴の消失は、時点tとして測定される。
【0100】
ここから、膨潤速度(FSR)を以下のとおりに算出する:
FSR[g/g s] = W2/(W1xt)
しかし、吸水性ポリマー粒子の湿分含量が3質量%を上回る場合には、質量W1は、この質量含量だけ補正すべきである。
【0101】
渦試験
寸法30mm×6mmの電磁攪拌小棒を含む、100mlのビーカー中に、0.9質量%の食塩水溶液50.0ml±1.0mlを入れる。電磁攪拌機を用いて、食塩容器を600rpmで攪拌する。次に、できるだけ迅速に吸水性ポリマー粒子2.000g±0.010gを添加し、および攪拌の渦が吸水性ポリマー粒子による食塩溶液の吸収によって消失するまでの時間を測定する。この場合、ビーカーの全内容物は、単一のゲル塊として依然として回転しうるが、しかし、ゲル化された食塩溶液の表面は、個々の乱流をもはや示さない。必要とされる時間を渦時間として報告する。
【0102】
残留シクロヘキサン
残留溶剤の割合(シクロヘキサン)をヘッドスペースGC−MS法により測定する。
【0103】
平均真球度(mSPHT)
平均真球度(mSPHT)をPartAn(登録商標)3001 L 粒子分析計(Microtrac Europe GmbH社;DE)で測定する。
【0104】
分析すべき試料を漏斗中に注入する。コンピューター制御された測定システムは、計量供給装置をスタートさせ、かつ連続的な、濃度調整された粒子流を準備する。粒子は、散発的に試料チャンバーを通って落下し、かつ光源と高解像度カメラとの間でコントラストに富んだ影絵を生じる。前記光源は、カメラによって制御され、かつ極めて短い露出時間に基づいて、全ての個々の粒子の繰り返される評価のために欠陥のない画像情報をリアルタイムで生じる。
【0105】
3D法で、全ての粒子は、繰り返し分析され、および本方法は、こうして長さ、幅、厚さ、面積および円周についての絶対的な結果を提供する。粒子によって覆われたピクセルの数により、寸法および形状が計算される。また、このことから、平均真球度(mSPHT)および平均粒子直径D
50のより正確な測定結果が得られる。
【実施例】
【0106】
例:
ベースポリマーの製造:
例1
インペラー攪拌機および還流冷却器を装備した、2Lのフラットフランジ容器中に、シクロヘキサン896.00gおよびエチルセルロース6.00gを予め装入し、かつ撹拌下および窒素導入下に内部温度を75℃へ加熱した。さらに、アクリル酸150.00g(2.082mol)、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液129.00g(1.613mol)、水136.80g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.113g(0.73mmol)(MBA)および過硫酸カリウム0.500g(1.85mmol)から製造されたモノマー溶液を、供給容器中に充填し、かつ空気でパージした。1時間に亘り、モノマー溶液を滴加する直前に、この溶液を窒素導入により不活性化した。攪拌機回転数は、300rpmであった。モノマー計量供給の全時間中、還流条件を維持した。供給の終了後に、60分の後反応時間を続けた。引き続き、還流冷却器を水分離器と交換し、かつ水を遠心分離した。
【0107】
この懸濁液を60℃へ冷却し、および得られたポリマー粒子を、ろ紙を有するビュヒナー漏斗によりろ別した。さらなる乾燥を、45℃で空気循環乾燥キャビネットおよび任意に真空乾燥キャビネット中で800ミリバールで、残留湿分が5質量%未満になるまで行った。
【0108】
得られたポリマー粒子の性質は、第2表および第3表中にまとめられている。
【0109】
例2〜6
ベースポリマーを、例1と同様に、第1表中に記載された量で製造した。
【0110】
得られたポリマー粒子の性質は、第2表および第3表中にまとめられている。
【0111】
例7
ベースポリマーを例4と同様に製造し、その際に30個のバッチ量を合わせた。
【0112】
得られたポリマー粒子の性質は、第2表および第3表中にまとめられている。
【0113】
例8
インペラー攪拌機および還流冷却器を装備した、2Lのフラットフランジ容器中に、シクロヘキサン896.00gおよびエチルセルロース6.00gを予め装入し、かつ撹拌下および窒素導入下に内部温度を75℃へ加熱した。さらに、アクリル酸150.00g(2.082mol)、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液129.00g(1.613mol)、水136.80g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.113g(0.73mmol)(MBA)、過硫酸カリウム0.250g(0.925mmol)および2,2’−アゾビス(−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩の11.1%の水溶液2.250g(0.711mmol)から製造されたモノマー溶液を、供給容器中に充填し、かつ空気でパージした。1時間に亘り、モノマー溶液を滴加する直前に、この溶液を窒素導入により不活性化した。攪拌機回転数は、300rpmであった。モノマー計量供給の全時間中、還流条件を維持した。供給の終了後に、60分の後反応時間を続けた。引き続き、還流冷却器を水分離器と交換し、かつ水を遠心分離した。
【0114】
この懸濁液を60℃へ冷却し、および得られたポリマー粒子を、ろ紙を有するビュヒナー漏斗によりろ別した。さらなる乾燥を、45℃で空気循環乾燥キャビネットおよび任意に真空乾燥キャビネット中で800ミリバールで、残留湿分が5質量%未満になるまで行った。
【0115】
得られたポリマー粒子の性質は、第2表および第3表中にまとめられている。
【0116】
例9
ベースポリマーを、例1と同様に、内部架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.113g(0.73mmol)の代わりに、3エトキシル化したグリセリンのトリアクリレート0.075g(0.194mmol)(Gly−(EO−AA)
3)を使用して製造した。
【0117】
得られたポリマー粒子の性質は、第2表および第3表中にまとめられている。
【0118】
例10
ベースポリマーを、例9と同様に製造し、その際に、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液129.00g(1.613mol)の代わりに、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液118.00g(1.475mol)を使用した。
【0119】
得られたポリマー粒子の性質は、第2表および第3表中にまとめられている。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
熱による表面後架橋:
例1−1および1−2
例1からのベースポリマー20gを、Waring(登録商標)ブレンダー 型式32BL80(8011)中に装入した。引き続き、Waring(登録商標)ブレンダーを段階1にスイッチオンした。その直後に、第4表による、炭酸エチレン0.5gと水1.0gとからなる水溶液1.5gを注射器内に詰め、かつ2秒以内で前記ブレンダー中に供給した。3秒後に、Waring(登録商標)ブレンダーをスイッチオフし、および得られたポリマー粒子を、20cmの直径を有するガラスシャーレ中に均一に分配させた。熱による表面後架橋のために、ポリマー粒子で満たされたガラスシャーレを、空気循環乾燥キャビネット中で160℃で60分間または75分間、温度調節した。ポリマー粒子を冷たいガラスシャーレ中に詰め替えた。最終的に、より粗大な粒子を、850μmの目開きを有する篩で除去した。
【0124】
ポリマー粒子の性質は、第5表中にまとめられている。
【0125】
例2−1および2−2
熱による表面後架橋を、例1−1および1−2と同様に行ったが、しかし、例2からのベースポリマーを使用して行った。温度処理時間は、60分間または75分間であった。条件は、第4表中にまとめられている。
【0126】
ポリマー粒子の性質は、第5表中にまとめられている。
【0127】
例3−1および3−2
熱による表面後架橋を、例1−1および1−2と同様に行ったが、しかし、例3からのベースポリマーを使用して行った。温度処理時間は、75分間または90分間であった。条件は、第4表中にまとめられている。
【0128】
ポリマー粒子の性質は、第5表中にまとめられている。
【0129】
例4−1および4−2
熱による表面後架橋を、例1−1および1−2と同様に行ったが、しかし、例4からのベースポリマーを使用して行った。温度処理時間は、60分間または75分間であった。条件は、第4表中にまとめられている。
【0130】
ポリマー粒子の性質は、第5表中にまとめられている。
【0131】
例4−3
熱による表面後架橋を、例1−1と同様に行ったが、しかし、例4からのベースポリマーを使用しかつさらにトリ乳酸アルミニウムを使用して行った。温度処理時間は、90分間であった。条件は、第4表中にまとめられている。
【0132】
ポリマー粒子の性質は、第5表中にまとめられている。
【0133】
例4−4および4−5
熱による表面後架橋を、例1−1および1−2と同様に行ったが、しかし、例4からのベースポリマーを使用しかつさらに表面後架橋剤としてのN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(Primid(登録商標)XL−552)を使用して行った。温度処理時間は、60分間または75分間であった。条件は、第4表中にまとめられている。
【0134】
ポリマー粒子の性質は、第5表中にまとめられている。
【0135】
例5−1および5−2
熱による表面後架橋を、例1−1および1−2と同様に行ったが、しかし、例2からのベースポリマーを使用して行った。温度処理時間は、75分間または90分間であった。条件は、第4表中にまとめられている。
【0136】
ポリマー粒子の性質は、第5表中にまとめられている。
【0137】
例6−1および6−2
熱による表面後架橋を、例1−1および1−2と同様に行ったが、しかし、例6からのベースポリマーを使用して行った。温度処理時間は、60分間または75分間であった。条件は、第4表中にまとめられている。
【0138】
ポリマー粒子の性質は、第5表中にまとめられている。
【0139】
例7−1〜7−2
例7からの吸水性ポリマー粒子1.5kgを、23℃でPflugschar(登録商標)パドル型乾燥機 型式M5R(Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH社、Paderborn在、独国)中に供給し、およびPflugschar(登録商標)パドル型乾燥機の回転数を200rpmに調節した。炭化エチレン37.5gと水75.0gとからなる溶液を、1バールの窒素を有するビュッヒ(Buechi)社の二物質流ノズルを用いて約2分間以内に上方から生成物上に噴霧し、および引き続き生成物混合物を約5分間、後攪拌した。
【0140】
引き続き、生成物をさらなるPflugschar(登録商標)パドル型乾燥機中に移した。Pflugschar(登録商標)パドル型乾燥機は、190℃の壁温度に予熱されていた。引き続き、Pflugschar(登録商標)パドル型乾燥機を200rpmの回転数に調節した。温度は、生成物の導入によって著しく低下した。攪拌機をスタートさせた。生成物の温度が143℃に達した後に、オイルヒーターのサーモスタットを250℃から190℃へ再設定した。試験の間、加熱を、約20分後に160℃の一定の生成物温度が生じるように、制御した。冷却された生成物を型式AS400のフラット型篩別機(Retsch GmbH、Haan在、独国)上で850μm未満に篩別した。
【0141】
ポリマー粒子の性質は、第6表および第7表中にまとめられている。
【0142】
例7−3および7−4
熱による表面後架橋を例7−1および7−2と同様に行ったが、しかし、より低い温度で行った。
【0143】
Pflugschar(登録商標)パドル型乾燥機は、110℃の壁温度に予熱されていた。温度は、生成物の導入によって著しく低下した。生成物の温度が83℃に達した後に、オイルヒーターのサーモスタットを250℃から110℃へ再設定した。試験の間、加熱を、約20分後に90℃の一定の生成物温度が生じるように、制御した。
【0144】
ポリマー粒子の性質は、第6表中にまとめられている。
【0145】
例7−5および7−6
熱による表面後架橋を例7−1および7−2と同様に行ったが、しかし、より高い温度で行った。
【0146】
Pflugschar(登録商標)パドル型乾燥機は、220℃の壁温度に予熱されていた。温度は、生成物の導入によって著しく低下した。生成物の温度が183℃に達した後に、オイルヒーターのサーモスタットを250℃から230℃へ再設定した。試験の間、加熱を、約20分後に200℃の一定の生成物温度が生じるように、制御した。
【0147】
ポリマー粒子の性質は、第6表中にまとめられている。
【0148】
例8−1、8−2、9−1および10−1
熱による表面後架橋を例1−1と同様に行ったが、しかし、例8、9または10からのベースポリマーを使用して行った。条件は、第4表中にまとめられている。
【0149】
【表4】
【0150】
【表5】
【0151】
【表6】
【0152】
【表7】
【0153】
【表8】
【0154】
【表9】