(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590932
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】有機半導体材料として電子デバイスに使用するための6H−ピロロ[3,2−B:4,5−B’]ビス[1,4]ベンゾチアジン−6−カルボン酸エステル
(51)【国際特許分類】
C07D 513/14 20060101AFI20191007BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20191007BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20191007BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20191007BHJP
H01L 51/46 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
C07D513/14CSP
H01L29/28 100A
H01L29/28 250H
H01L29/78 618B
H01L31/04 154B
H01L31/04 154C
【請求項の数】11
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2017-533246(P2017-533246)
(86)(22)【出願日】2015年12月16日
(65)【公表番号】特表2018-504385(P2018-504385A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】EP2015079966
(87)【国際公開番号】WO2016096967
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年12月14日
(31)【優先権主張番号】14199287.5
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】山戸 斉
(72)【発明者】
【氏名】津田 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ウー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァイツ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル オイスタヒ
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン ヘムゲスベアク
【審査官】
早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−530978(JP,A)
【文献】
特開2014−181189(JP,A)
【文献】
Wei, Z. et al.,Organic Single Crystal Field-effect Transistors Based on 6H-pyrrolo[3,2-b:4,5-b]bis[1,4]benzothiazine and its Derivatives,Advanced Materials,2010年,22(22),pp. 2458-2462
【文献】
Hong, W. et al.,Synthesis and Properties of Heteroacenes Containing Pyrrole and Thiazine Rings as Promising n-Type Organic Semiconductor Candidates,Chinese Journal of Chemistry,2009年,27(4),pp. 846-849
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式
【化1】
(式中、
XはO、SまたはNR
10であり、
ここでR
10は、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニルまたはC(O)−OR
11であり、
R
1およびR
11は、互いに独立して、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、および置換C
5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、かつ
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、互いに独立して、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、置換C
5〜8シクロアルケニル、O−C
1〜30アルキル、置換O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキル、置換S−C
1〜30アルキル、C
6〜14アリール、置換C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、置換5〜15員ヘテロアリールおよびハロゲンからなる群から選択され;あるいはR
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、またはR
8およびR
9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6〜10員芳香族環系、置換6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系または置換5〜12員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C
1〜30アルキル、置換C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルキニル、置換O−C
1〜30アルキルおよび置換S−C
1〜30アルキルは、各場合において、それぞれ、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキルであり;
置換C
5〜8シクロアルキル、および置換C
5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルであり;
置換C
6〜14アリール、置換5〜15員ヘテロアリール、置換6〜10員芳香族環系、および置換5〜12員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系であり、
ここで、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、置換C
5〜8シクロアルケニル、O−C
1〜30アルキル、置換O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキルおよび置換S−C
1〜30アルキルの少なくとも1つのCH
2基(ただし、隣接CH
2基ではない)は、O、S、NR
12、CO、O−C(O)、C(O)−O、O−C(O)−O、S−C(O)、C(O)−S、NR
12−C(O)、C(O)−NR
12、OC(O)−NR
12およびNR
12−C(O)−Oからなる群から選択される連結基によって置き換えられていてよく、
ここで
R
12はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニルまたはC(O)−OR
dであり、
R
a、R
b、R
cおよびR
dは、互いに独立して、各場合において、H、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、C
6〜10アリール、および5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択される)
の化合物。
【請求項2】
XはO、SまたはNR10であり、
ここでR10はH、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニルまたはC(O)−OR11であり、
R1およびR11は、互いに独立して、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニル、および置換C5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して、H、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルおよび置換C5〜8シクロアルケニル、O−C1〜30アルキル、置換O−C1〜30アルキル、S−C1〜30アルキル、置換S−C1〜30アルキル、C6〜14アリール、置換C6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、置換5〜15員ヘテロアリールおよびハロゲンからなる群から選択され;あるいはR2およびR3、R3およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、またはR8およびR9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6〜10員芳香族環系、置換6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系または置換5〜12員複素芳香族環系を形成し、
ここで
置換C1〜30アルキル、置換C2〜30アルケニル、置換O−C1〜30アルキルおよび置換S−C1〜30アルキルは、各場合において、それぞれ、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、ORa、OC(O)−Ra、OC(O)−ORa、OC(O)−NRaRb、C(O)−Ra、C(O)−ORa、C(O)−NRaRb、C(O)−NRa−NRbRc、C(O)−NRa−ORb、C(O)−NRa−C(O)−Rb、C(O)−NRa−C(O)−ORb、C(O)−SRa、NRaRb、NRa−NRbRc、NRa−C(O)Rb、NRa−C(O)−ORb、NRa−C(O)−NRbRc、SRa、S−C(O)−Ra、ハロゲン、CN、およびNO2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、O−C1〜30アルキル、S−C1〜30アルキルであり;
置換C5〜8シクロアルキルおよび置換C5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、ORa、OC(O)−Ra、OC(O)−ORa、OC(O)−NRaRb、C(O)−Ra、C(O)−ORa、C(O)−NRaRb、C(O)−NRa−NRbRc、C(O)−NRa−ORb、C(O)−NRa−C(O)−Rb、C(O)−NRa−C(O)−ORb、C(O)−SRa、NRaRb、NRa−NRbRc、NRa−C(O)Rb、NRa−C(O)−ORb、NRa−C(O)−NRbRc、SRa、S−C(O)−Ra、ハロゲン、CN、およびNO2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルであり;
置換C6〜14アリール、置換5〜15員ヘテロアリール、置換6〜10員芳香族環系、および置換5〜12員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、ORa、OC(O)−Ra、OC(O)−ORa、OC(O)−NRaRb、C(O)−Ra、C(O)−ORa、C(O)−NRaRb、C(O)−NRa−NRbRc、C(O)−NRa−ORb、C(O)−NRa−C(O)−Rb、C(O)−NRa−C(O)−ORb、C(O)−SRa、NRaRb、NRa−NRbRc、NRa−C(O)Rb、NRa−C(O)−ORb、NRa−C(O)−NRbRc、SRa、S−C(O)−Ra、ハロゲン、CN、およびNO2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系であり、
ここで、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルおよび置換C5〜8シクロアルケニル、O−C1〜30アルキル、置換O−C1〜30アルキル、S−C1〜30アルキル、および置換S−C1〜30アルキルの少なくとも1つのCH2基(ただし、隣接CH2基ではない)は、O、S、NR12、CO、O−C(O)、C(O)−O、O−C(O)−O、S−C(O)、C(O)−S、NR12−C(O)、C(O)−NR12、OC(O)−NR12およびNR12−C(O)−Oからなる群から選択される連結基によって置き換えられていてよく、
ここで
R12はH、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、またはC(O)−ORdであり、
Ra、Rb、RcおよびRdは、互いに独立して、各場合において、H、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリールおよび5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択される、請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項3】
XはO、SまたはNR10であり、
ここでR10はH、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキルまたはC(O)−OR11であり、
R1およびR11は、互いに独立して、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルおよび置換C5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して、H、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C6〜14アリール、置換C6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、および置換5〜15員ヘテロアリールからなる群から選択され;あるいはR2およびR3、R3およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、またはR8およびR9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6〜10員芳香族環系、置換6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系または置換5〜12員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C1〜30アルキルおよび置換C2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、ORa、OC(O)−Ra、OC(O)−ORa、OC(O)−NRaRb、C(O)−Ra、C(O)−ORa、C(O)−NRaRb、C(O)−NRa−NRbRc、C(O)−NRa−ORb、C(O)−NRa−C(O)−Rb、C(O)−NRa−C(O)−ORb、C(O)−SRa、NRaRb、NRa−NRbRc、NRa−C(O)Rb、NRa−C(O)−ORb、NRa−C(O)−NRbRc、SRa、S−C(O)−Ra、ハロゲン、CNおよびNO2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C1〜30アルキル、C2〜30アルケニルであり;
置換C5〜8シクロアルキルおよび置換C5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、ORa、OC(O)−Ra、OC(O)−ORa、OC(O)−NRaRb、C(O)−Ra、C(O)−ORa、C(O)−NRaRb、C(O)−NRa−NRbRc、C(O)−NRa−ORb、C(O)−NRa−C(O)−Rb、C(O)−NRa−C(O)−ORb、C(O)−SRa、NRaRb、NRa−NRbRc、NRa−C(O)Rb、NRa−C(O)−ORb、NRa−C(O)−NRbRc、SRa、S−C(O)−Ra、ハロゲン、CN、およびNO2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルであり;
置換C6〜14アリール、置換5〜15員ヘテロアリール、置換6〜10員芳香族環系、および置換5〜12員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、ORa、OC(O)−Ra、OC(O)−ORa、OC(O)−NRaRb、C(O)−Ra、C(O)−ORa、C(O)−NRaRb、C(O)−NRa−NRbRc、C(O)−NRa−ORb、C(O)−NRa−C(O)−Rb、C(O)−NRa−C(O)−ORb、C(O)−SRa、NRaRb、NRa−NRbRc、NRa−C(O)Rb、NRa−C(O)−ORb、NRa−C(O)−NRbRc、SRa、S−C(O)−Ra、ハロゲン、CNおよびNO2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系であり、
ここで、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルおよび置換C5〜8シクロアルケニルの少なくとも1つのCH2基(ただし、隣接CH2基ではない)は、O、S、NR12、CO、O−C(O)、C(O)−O、O−C(O)−O、S−C(O)、C(O)−S、NR12−C(O)、C(O)−NR12、OC(O)−NR12およびNR12−C(O)−Oからなる群から選択される連結基によって置き換えられていてよく、
ここで
R12はH、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキルまたはC(O)−ORdであり、
Ra、Rb、RcおよびRdは、互いに独立して、各場合において、H、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリール、および5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択される、請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項4】
XはO、SまたはNR10であり、
ここでR10はH、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキルまたはC(O)−OR11であり、
R1およびR11は、互いに独立して、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルおよび置換C5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して、H、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C6〜14アリール、置換C6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、および置換5〜15員ヘテロアリールからなる群から選択され;あるいはR2およびR3、R3およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、またはR8およびR9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6〜10員芳香族環系、置換6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系または置換5〜12員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C1〜30アルキルおよび置換C2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリールおよび5〜12員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C1〜30アルキル、C2〜30アルケニルであり、
置換C5〜8シクロアルキルおよび置換C5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリールおよび5〜12員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルであり;
置換C6〜14アリール、置換5〜15員ヘテロアリール、置換6〜10員芳香族環系、および置換5〜12員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、C6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系であり;
ここで、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルおよび置換C5〜8シクロアルケニルの少なくとも1つのCH2基(ただし、隣接CH2基ではない)は、O、SおよびNR12からなる群から選択される連結基によって置き換えられていてよく、
ここで
R12はH、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキルまたはC(O)−ORdであり、
Rdは、各場合において、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C5〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜10アリールおよび5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択される、請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項5】
XはSであり、
R1はC1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルおよび置換C5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して、H、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C6〜10アリール、置換C6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリールおよび置換5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択され;あるいはR2およびR3、R3およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、またはR8およびR9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6員芳香族環系、置換6員芳香族環系、5〜9員複素芳香族環系または置換5〜9員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C1〜30アルキルおよび置換C2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C5〜6シクロアルキル、フェニルおよび5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C1〜30アルキル、C2〜30アルケニルであり、
置換C5〜8シクロアルキルおよび置換C5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、フェニルおよび5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルであり、
置換C6〜10アリール、置換5〜12員ヘテロアリール、置換6員芳香族環系、および置換5〜9員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、フェニル、5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、6員芳香族環系、5〜9員複素芳香族環系であり、
ここで、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C5〜8シクロアルキルおよび置換C5〜8シクロアルキルの少なくとも1つのCH2基(ただし、隣接CH2基ではない)は、連結基Oによって置き換えられていてよい、請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項6】
XはSであり、
R1はC1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルおよび置換C5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して、H、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C5〜8シクロアルキル、および置換C5〜8シクロアルキルからなる群から選択され、
ここで、
置換C1〜30アルキルおよび置換C2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C5〜6シクロアルキル、フェニルおよび5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C1〜30アルキル、C2〜30アルケニルであり、
置換C5〜8シクロアルキルおよび置換C5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキル、フェニルおよび5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルである、請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項7】
XはSであり、
R1はC1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C2〜30アルケニル、置換C2〜30アルケニル、C5〜8シクロアルキル、置換C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルおよび置換C5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R2、R4、R5、R6、R7およびR9はHであり、かつ
R3およびR8は、互いに独立して、H、C1〜30アルキル、置換C1〜30アルキル、C5〜8シクロアルキルおよび置換C5〜8シクロアルキルからなる群から選択され、
ここで、
置換C1〜30アルキルおよび置換C2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C5〜6シクロアルキルおよびフェニルからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C1〜30アルキル、C2〜30アルケニルであり、
置換C5〜8シクロアルキルおよび置換C5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C1〜20アルキル、C5〜6シクロアルキルおよびフェニルからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C5〜8シクロアルキル、C5〜8シクロアルケニルである、請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項8】
請求項1記載の式
【化2】
の化合物の製造方法であって、式
【化3】
(式中、X、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は式(1)の化合物について示された意味を有する)
の化合物を、
R
1O−C(O)−LG
(式中、R
1は式(1)の化合物について示された意味を有し、かつLGは脱離基である)
で処理して、式(1)の化合物を得る工程を含む、前記製造方法。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物を含む電子デバイス。
【請求項10】
前記電子デバイスが有機電界効果トランジスタ(OFET)である、請求項9記載の電子デバイス。
【請求項11】
請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物の半導体材料としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
有機半導体材料は、有機光起電力デバイス(OPV)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、および有機エレクトロクロミックデバイス(ECD)などの電子デバイスに使用することができる。
【0002】
効率的で長持ちする性能のために、有機半導体材料ベースのデバイスは、特に空気による酸化に対して高い電荷キャリア移動度ならびに高い安定性を示すことが望ましい。
【0003】
さらに、液体処理技術は加工性の点で都合が良く、したがって低コストの有機半導体材料ベースの電子デバイスの製造が可能であるため、有機半導体材料はスピンコーティングなどの液体処理技術と適合性があることが望ましい。さらに、液体処理技術はまた、プラスチック基材と適合性があり、したがって軽量でかつ機械的に柔軟な有機半導体材料ベースの電子デバイスの製造を可能にする。
【0004】
ピロロビス(ベンゾチアジン)の半導体材料としての使用は、当該技術分野において公知である。
【0005】
Hong, W.; Wei, Z.; Xu, W.; Wang, Q.; Zho, D. Chinese Journal of Chemistry (2009年), 27(4), 846〜849頁には、有機エレクトロニクスでの使用のための空気に安定で有望なn型半導体材料
【化1】
が記載されている。
【0006】
Hong, W.; Wei, Z.; Xi, H.; Xu, W.; Hu, W.; Wang, Q. Zhu, D. J. Mater. Chem. 2008年, 18, 4814〜4820頁には、
【化2】
およびこれらの化合物をp型半導体化合物として含む電界効果トランジスタが記載されている。式1の化合物を半導体材料として含む有機電界効果トランジスタは、0.34cm
2V
−1s
−1の移動度を示す(60℃の基材温度で真空蒸着によって堆積された場合)が、化合物1はTHF、高温DMFおよびDMSO中にわずかしか溶解しないことが分かった。式2の化合物を半導体材料として含む有機電界効果トランジスタは、わずか1.77×10
−4cm
2V
−1s
−1の移動度を示す(60℃の基材温度で真空蒸着によって堆積された場合)が、化合物2はCH
2Cl
2に非常に可溶性であることが分かった。半導体材料として式3の化合物を含む有機電界効果トランジスタは、わずか3.01×10
−3cm
2V
−1s
−1の移動度を示す(60℃の基材温度で真空蒸着によって堆積された場合)が、化合物3はCH
2Cl
2に非常に可溶性であることが分かった。
【0007】
Wei, Z. ; Hong, W. ; Geng, H. ; Wang, C. ; Liu, Y. ; Li, R. ; Xu, W. ; Shuai, Z. ; Hu, W. ; Wang, Q. , Zhu, D. Advanced Materials 22 (22), 2010年, 2458〜2468頁には、さらに
【化3】
およびこれらの化合物をp型半導体化合物として含む電界効果トランジスタも記載されている。
【0008】
化合物1の欠点は、有機溶媒への溶解度が低いことである。化合物2および化合物3の欠点は、化合物2および化合物3を半導体材料として含む有機電界効果トランジスタが低い移動度を示すことである。
【0009】
本発明の課題は、有機溶媒への高い溶解性を示し、空気による酸化に対して高い安定性を示し、そして同時に有機電子デバイスにおける層として適用される場合、良好な性能、例えば高い電荷キャリア移動度を示す有機電子デバイスをもたらすことであった。
【0010】
この課題は、請求項1記載の化合物、請求項8記載の方法、請求項9記載の電子デバイス、および請求項11記載の使用によって解決される。
【0011】
本発明の有機半導体材料は、式
【化4】
(式中、
Xは、O、SまたはNR
10であり、
ここで、R
10はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニルまたはC(O)−OR
11であり、
R
1およびR
11は、互いに独立して、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、および置換C
5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、互いに独立して、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、置換C
5〜8シクロアルケニル、O−C
1〜30アルキル、置換O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキル、置換S−C
1〜30アルキル、C
6〜14アリール、置換C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、置換5〜15員ヘテロアリールおよびハロゲンからなる群から選択され、またはR
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、またはR
8およびR
9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6〜10員芳香族環系、置換6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系または置換5〜12員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C
1〜30アルキル、置換C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルキニル、置換O−C
1〜30アルキルおよび置換S−C
1〜30アルキルは、各場合において、それぞれ、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されるC
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキルであり;
置換C
5〜8シクロアルキルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されるC
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルであり;
置換C
6〜14アリール、置換5〜15員ヘテロアリール、置換6〜10員芳香族環系、および置換5〜12員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系であり;
ここで、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、置換C
5〜8シクロアルケニル、O−C
1〜30アルキル、置換O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキルおよび置換S−C
1〜30アルキルの少なくとも1つのCH
2基(ただし、隣接CH
2基ではない)は、O、S、NR
12、CO、O−C(O)、C(O)−O、O−C(O)−O、S−C(O)、C(O)−S、NR
12−C(O)、C(O)−NR
12、OC(O)−NR
12およびNR
12−C(O)−Oからなる群から選択される連結基により置き換えられていてもよく、
ここで、
R
12はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニルまたはC(O)−OR
dであり、
R
a、R
b、R
cおよびR
dは、互いに独立して、各場合において、H、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、C
6〜10アリールおよび5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択される)
の化合物である。
【0012】
C
1〜20アルキルおよびC
1〜30アルキルは分枝鎖状または非分枝鎖状であっていてよい。C
1〜20アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−(1−エチル)プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−(2−エチル)ヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシルおよびn−イコシル(C
20)である。C
1〜30アルキルの例は、C
1〜20アルキルおよびn−ドコシル(C
22)、n−テトラコシル(C
24)、nヘキサコシル(C
26)、n−オクタコシル(C
28)およびn−トリアコンチル(C
30)である。
【0013】
C
2〜20アルケニルおよびC
2〜30アルケニルは分枝鎖状または非分枝鎖状であっていてよい。C
2〜20アルケニルの例は、ビニル、プロペニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル、3−ブテニル、シス−2−ペンテニル、トランス−2−ペンテニル、シス−3−ペンテニル、トランス−3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−メチル−3−ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、ドセニル、リノレイル(C
18)、リノレニル(C
18)、オレイル(C
18)およびアラキドニル(C
20)である。C
2〜30アルケニルの例は、C
2〜20アルケニルおよびエルシル(C
22)である。
【0014】
C
2〜20アルキニルおよびC
2〜30アルキニルは分枝鎖状または非分枝鎖状であっていてよい。C
2〜20アルキニルおよびC
2〜30アルキニルの例は、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニルおよびイコシニル(C
20)である。
【0015】
C
5〜6シクロアルキルの例は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。C
5〜8シクロアルキルの例は、C
5〜6シクロアルキルおよびシクロヘプチルおよびシクロオクチルである。
【0016】
C
5〜6シクロアルケニルの例はシクロペンテニルおよびシクロヘネキシルである。C
5〜8シクロアルケニルの例は、C
5〜6シクロアルケニルおよびシクロヘプテニルおよびシクロオクテニルである。
【0017】
C
6〜10アリールの例は
【化5】
である。
【0018】
C
6〜14アリールの例はC
6〜10アリールおよび
【化6】
である。
【0019】
5〜9員ヘテロアリールの例は
【化7】
(式中、R
100はHまたはC
1〜20アルキルである)
である。
【0020】
5〜12員ヘテロアリールの例は5〜9員ヘテロアリールおよび
【化8】
(式中、R
100はHまたはC
1〜20アルキルである)
である。
【0021】
5〜15員ヘテロアリールの例は5〜12員ヘテロアリールおよび
【化9】
(式中、R
100はHまたはC
1〜20アルキルである)
である。
【0022】
ハロゲンの例はF、Cl、BrおよびIである。
【0023】
6員芳香族環系は
【化10】
(式中、
*が付されたC原子は、R
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、R
8およびRが、それぞれ、結合されたC原子である)
である。
【0024】
6〜10員芳香族環系の例は
【化11】
(式中、
*が付されたC原子は、R
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、R
8およびRが、それぞれ、結合されたC原子である)
である。
【0025】
5〜9員複素芳香族環系の例は
【化12】
(式中、R
100はHまたはC
1〜20アルキルであり、
ここで
*が付されたC原子は、R
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、R
8およびRが、それぞれ、結合されたC原子である)
である。
【0026】
5〜12員複素芳香族環系の例は、5〜9員複素芳香族環系および
【化13】
(式中、R
100はHまたはC
1〜20アルキルであり、かつ
ここで、
*が付されたC原子は、R
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、R
8およびRが、それぞれ、結合されたC原子である)
である。
【0027】
好ましい式(I)の化合物において、
XはO、SまたはNR
10であり、
ここで、R
10はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルキル、置換C
2〜30アルケニルまたはC(O)−OR
11であり、
R
1およびR
11は、互いに独立して、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、互いに独立して、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニル、O−C
1〜30アルキル、置換O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキル、置換S−C
1〜30アルキル、C
6〜14アリール、置換C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、置換5〜15員ヘテロアリールおよびハロゲンからなる群から選択され、あるいはR
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、またはR
8およびR
9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6〜10員芳香族環系、置換6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系または置換5〜12員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C
1〜30アルキル、置換C
2〜30アルケニル、置換O−C
1〜30アルキルおよび置換S−C
1〜30アルキルは、各場合において、それぞれ、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキルであり;
置換C
5〜8シクロアルキルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルであり;
置換C
6〜14アリール、置換5〜15員ヘテロアリール、置換6〜10員芳香族環系および置換5〜12員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系であり、
ここで、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニル、O−C
1〜30アルキル、置換O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキルおよび置換S−C
1〜30アルキルの少なくとも1つのCH
2基(ただし、隣接CH
2基ではない)は、O、S、NR
12、CO、O−C(O)、C(O)−O、O−C(O)−O、S−C(O)、C(O)−S、NR
12−C(O)、C(O)−NR
12、OC(O)−NR
12およびNR
12−C(O)−Oからなる群から選択される連結基によって置き換えられていてよく、
ここで、
R
12はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、またはC(O)−OR
dであり、
R
a、R
b、R
cおよびR
dは、互いに独立して、各場合において、H、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、および5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0028】
式(1)のより好ましい化合物において、
XはO、SまたはNR
10であり、
ここでR
10はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキルまたはC(O)−OR
11であり、
R
1およびR
11は、互いに独立して、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、互いに独立して、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
6〜14アリール、置換C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリールおよび置換5〜15員ヘテロアリールからなる群から選択され;あるいはR
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、またはR
8およびR
9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6〜10員芳香族環系、置換6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系または置換5〜12員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C
1〜30アルキルおよび置換C
2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニルであり;
置換C
5〜8シクロアルキルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されるC
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルであり;
置換C
6〜14アリール、置換5〜15員ヘテロアリール、置換6〜10員芳香族環系、および置換5〜12員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系であり、
ここで、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルの少なくとも1つのCH
2基(ただし、隣接CH
2基ではない)は、O、S、NR
12、CO、O−C(O)、C(O)−O、O−C(O)−O、S−C(O)、C(O)−S、NR
12−C(O)、C(O)−NR
12、OC(O)−NR
12およびNR
12−C(O)−Oからなる群から選択される連結基によって置き換えられていてよく、
ここで、
R
12はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキルまたはC(O)−OR
dであり、
R
a、R
b、R
cおよびR
dは、互いに独立して、各場合において、H、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリールおよび5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0029】
さらにより好ましい式(1)の化合物において、
XはO、SまたはNR
10であり、
ここでR
10はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキルまたはC(O)−OR
11であり、
R
1およびR
11は、互いに独立して、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、互いに独立して、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
6〜14アリール、置換C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリールおよび置換5〜15員ヘテロアリールからなる群から選択され;あるいはR
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、またはR
8およびR
9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6〜10員芳香族環系、置換6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系または置換5〜12員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C
1〜30アルキルおよび置換C
2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリールおよび5〜12員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニルであり、
置換C
5〜8シクロアルキルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、および5〜12員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルであり;
置換C
6〜14アリール、置換5〜15員ヘテロアリール、置換6〜10員芳香族環系および置換5〜12員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系であり;
ここで、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルの少なくとも1つのCH
2基(ただし、隣接CH
2基ではない)は、O、SおよびNR
12からなる群から選択される連結基によって置き換えられていてよく、
ここで、
R
12はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキルまたはC(O)−OR
dであり、
R
dは、各場合において、H、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、C
6〜10アリールおよび5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0030】
最も好ましい式(1)の化合物において、
XはSであり、
R
1は、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、互いに独立して、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
6〜10アリール、置換C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、および置換5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択され;あるいはR
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、またはR
8およびR
9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6員芳香族環系、置換6員芳香族環系、5〜9員複素芳香族環系または置換5〜9員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C
1〜30アルキルおよび置換C
2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C
5〜6シクロアルキル、フェニルおよび5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニルであり、
置換C
5〜8シクロアルキルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、フェニルおよび5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルであり、
置換C
6〜10アリール、置換5〜12員ヘテロアリール、置換6員芳香族環系、および置換5〜9員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、フェニル、5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、6員芳香族環系、5〜9員複素芳香族環系であり、
ここで、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
5〜8シクロアルキルおよび置換C
5〜8シクロアルキルの少なくとも1つのCH
2基(ただし、隣接CH
2基ではない)は、連結基Oによって置き換えられてよい。
【0031】
さらにより好ましい式(1)の化合物において、
XはSであり、
R
1は、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、互いに独立して、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
5〜8シクロアルキル、および置換C
5〜8シクロアルキルからなる群から選択され、
ここで、
置換C
1〜30アルキルおよび置換C
2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C
5〜6シクロアルキル、フェニルおよび5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニルであり、
置換C
5〜8シクロアルキルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキル、フェニルおよび5〜9員ヘテロアリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルである。
【0032】
特に好ましい式(1)の化合物において、
XはSであり、
R
1は、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R
2、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
9はHであり、かつ
R
3およびR
8は、互いに独立して、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
5〜8シクロアルキルおよび置換C
5〜8シクロアルキルからなる群から選択され、
ここで、
置換C
1〜30アルキルおよび置換C
2〜30アルケニルは、各場合において、それぞれ、C
5〜6シクロアルキルおよびフェニルからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニルであり、
置換C
5〜8シクロアルキルおよび置換C
5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
5〜6シクロアルキルおよびフェニルからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルである。
【0033】
また、本発明の一部は、式
【化14】
(式中、
XはO、SまたはNR
10であり、
ここでR
10は、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニルまたはC(O)−OR
11であり、
R
1およびR
11は、互いに独立して、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、および置換C
5〜8シクロアルケニルからなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、互いに独立して、H、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、置換C
5〜8シクロアルケニル、O−C
1〜30アルキル、置換O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキル、置換S−C
1〜30アルキル、C
6〜14アリール、置換C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、置換5〜15員ヘテロアリールおよびハロゲンからなる群から選択され;あるいはR
2およびR
3、R
3およびR
4、R
4およびR
5、R
6およびR
7、R
7およびR
8、またはR
8およびR
9はそれらが結合されるC原子と一緒に、6〜10員芳香族環系、置換6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系または置換5〜12員複素芳香族環系を形成し、
ここで、
置換C
1〜30アルキル、置換C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルキニル、置換O−C
1〜30アルキルおよび置換S−C
1〜30アルキルは、各場合において、それぞれ、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキルであり;
置換C
5〜8シクロアルキル、および置換C
5〜8シクロアルケニルは、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニルであり;
置換C
6〜14アリール、置換5〜15員ヘテロアリール、置換6〜10員芳香族環系、および置換5〜12員複素芳香族環系は、各場合において、それぞれ、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、C
6〜10アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、OC(O)−OR
a、OC(O)−NR
aR
b、C(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−NR
aR
b、C(O)−NR
a−NR
bR
c、C(O)−NR
a−OR
b、C(O)−NR
a−C(O)−R
b、C(O)−NR
a−C(O)−OR
b、C(O)−SR
a、NR
aR
b、NR
a−NR
bR
c、NR
a−C(O)R
b、NR
a−C(O)−OR
b、NR
a−C(O)−NR
bR
c、SR
a、S−C(O)−R
a、ハロゲン、CN、およびNO
2からなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される、C
6〜14アリール、5〜15員ヘテロアリール、6〜10員芳香族環系、5〜12員複素芳香族環系であり、
ここで、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、置換C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、置換C
5〜8シクロアルケニル、O−C
1〜30アルキル、置換O−C
1〜30アルキル、S−C
1〜30アルキルおよび置換S−C
1〜30アルキルの少なくとも1つのCH
2基(ただし、隣接CH
2基ではない)は、O、S、NR
12、CO、O−C(O)、C(O)−O、O−C(O)−O、S−C(O)、C(O)−S、NR
12−C(O)、C(O)−NR
12、OC(O)−NR
12およびNR
12−C(O)−Oからなる群から選択される連結基によって置き換えられていてよく、
ここで、
R
12はH、C
1〜30アルキル、置換C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、置換C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、置換C
2〜30アルキニルまたはC(O)−OR
dであり、
R
a、R
b、R
cおよびR
dは、互いに独立して、各場合において、H、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、C
6〜10アリール、および5〜12員ヘテロアリールからなる群から選択される)
の化合物の製造方法であって、式
【化15】
(式中、X、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は式(1)の化合物について示された意味を有する)
の化合物を、
R
1O−C(O)−LG
(式中、R
1は式(1)の化合物について示された意味を有し、かつLGは脱離基である)
で処理して、式(1)の化合物を得る工程を含む、前記製造方法である。
【0034】
脱離基LGは、−O−C(O)−OR
1(式中、R
1は式(1)の化合物について示された意味を有する)、または
【化16】
であっていてよい。
【0035】
反応は、通常、周囲温度で行われる。反応は、通常、THFなどの適切な有機溶媒中で行われる。
【0036】
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9が全てHであり、かつXがSである場合、式(2)の化合物は式
【化17】
を有し
かつo−アミノチオフェノールをジクロロマレイミドで処理することによって調製され得る。反応は、通常、高められた温度で、例えば80℃〜150℃の範囲の温度で、かつ酢酸の存在下で行われる。
【0037】
XがSである場合、式(2)の化合物は、式
【化18】
(式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は式(2)の化合物について示された意味を有する)
を有し、
かつ式
【化19】
(式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は式(2)の化合物について示された意味を有する)
の化合物を、ジクロロマレイミドで処理することによって調製され得る。
【0038】
反応は、通常、高められた温度で、例えば80℃〜180℃の範囲の温度で、かつ酢酸の存在下で行われる。R
9=R
2、R
8=R
3、R
7=R
4およびR
6=R
5である場合、式(3)の化合物は式
【化20】
(式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は式(2)の化合物について示された意味を有する)
を有し、かつ
【化21】
(式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は式(2)の化合物について示された意味を有する)
の化合物を、亜鉛で処理することによって調製され得る。
【0039】
反応は、通常、高められた温度で、例えば40℃〜80℃の範囲の温度で、かつHClまたは酢酸などの酸の存在下で行われる。
【0040】
式
【化22】
(式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は式(2)の化合物について示された意味を有する)
の化合物は、式
【化23】
(式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は式(2)の化合物について示された意味を有する)
の化合物を加熱することによって調製され得る。反応は、通常、高められた温度で、例えば160℃〜260℃の範囲の温度で行われる。
【0041】
式
【化24】
(式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は式(2)の化合物について示された意味を有する)
の化合物は、式
【化25】
の化合物を、N,N−ジメチルチオカルバモイルクロリドで処理することによって調製され得る。
【0042】
反応は、通常、塩基の存在下で行われる。塩基の例は1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)である。反応は、通常、高められた温度で、例えば50℃〜120℃の範囲の温度で行われる。反応は、通常、DMFなどの適切な有機溶媒中で行われる。
【0043】
式
【化26】
の化合物は、式
【化27】
(式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は式(2)の化合物について示された意味を有する)
の化合物を硝酸で処理することによって調製され得る。
【0044】
反応は、通常、10℃〜20℃の範囲の温度で行われる。反応は、通常、酢酸などの酸の存在下で行われる。
【0045】
また、本発明の一部は、本発明の化合物を含む電子デバイスである。
【0046】
電子デバイスは、有機光起電力デバイス(OPV)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)または有機フォトダイオード(OPD)であっていてよい。
【0047】
好ましくは、電子デバイスは、有機光起電力デバイス(OPV)、有機電界効果トランジスタ(OFET)または有機フォトダイオード(OPD)である。
【0048】
より好ましくは、電子デバイスは有機電界効果トランジスタ(OFET)である。
【0049】
通常、有機電界効果トランジスタは、誘電体層、半導体層および基材を含む。また、有機電界効果トランジスタは、通常、ゲート電極およびソース/ドレイン電極を含む。
【0050】
好ましくは、半導体層は、本発明の化合物を含む。半導体層は、5〜500nm、好ましくは10〜100nm、より好ましくは20〜50nmの厚さを有し得る。
【0051】
誘電体層は誘電体材料を含む。誘電体材料は、二酸化ケイ素または酸化アルミニウム、または有機ポリマー、例えばポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(4ビニルフェノール)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ベンゾシクロブテン(BCB)、またはポリイミド(PI)であっていてよい。誘電体層は、10〜2000nm、好ましくは50〜1000nm、より好ましくは100〜800nmの厚さを有していてよい。
【0052】
誘電体層は、誘電体材料に加えて、有機シラン誘導体または有機リン酸誘導体の自己組織化単分子膜を含み得る。有機シラン誘導体の一例はオクチルトリクロロシランである。有機リン酸誘導体の例はデシルリン酸である。誘電体層に含まれる自己組織化単分子膜は、通常、半導体層と接している。
【0053】
ソース/ドレイン電極は、任意の適切な有機または無機ソース/ドレイン材料から作られていてよい。無機ソース/ドレイン材料の例は、金(Au)、銀(Ag)または銅(Cu)、ならびにこれらの金属のうち少なくとも1つを含む合金である。ソース/ドレイン電極は、1nm〜100nm、好ましくは20nm〜70nmの厚さを有していてよい。
【0054】
ゲート電極は、高ドープシリコン、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、インジウムスズ酸化物または金(Au)などの任意の適切なゲート材料、またはこれらの金属のうち少なくとも1つを含む合金から作られていてよい。ゲート電極は1nm〜200nm、好ましくは5nm〜100nmの厚さを有していてよい。
【0055】
基材は、ガラス、またはプラスチック基材、例えばポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのあらゆる適切な基材であっていてよい。有機電界効果トランジスタの設計によっては、ゲート電極、例えば高ドープシリコンも基材として機能し得る。
【0056】
有機電界効果トランジスタは、当該技術分野で知られる方法によって製造され得る。
【0057】
例えば、ボトムゲートトップコンタクト有機電界効果トランジスタは、次のようにして製造され得る:誘電体材料、例えばAl
2O
3または二酸化ケイ素は、高ドープシリコンウェハなどのゲート電極上に層として適用することができ、これも原子層堆積(ALD)または熱蒸着などの適切な堆積方法によって基材として機能する。有機リン酸誘導体または有機シラン誘導体の自己組織化単分子膜は、誘電体材料の層に適用することができる。例えば、有機リン酸誘導体または有機シラン誘導体は、溶液析出技術を用いて溶液から適用することができる。半導体層は、本発明の化合物を、有機リン酸誘導体または有機シラン誘導体の自己組織化単分子膜上に、溶液析出または真空中で熱蒸着することにより形成され得る。ソース/ドレイン電極は、適切なソース/ドレイン材料、例えばタンタル(Ta)および/または金(Au)を、シャドウマスクを介して半導体層上に堆積することによって形成され得る。チャネル幅(W)は、通常、500μmであり、チャネル長(L)は、通常、100μmである。
【0058】
例えば、トップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタは、以下のようにして製造され得る:ソース/ドレイン電極は、適切なソース/ドレイン材料、例えば金(Au)を、フォトリソグラフィで規定された電極上で、適切な基材、例えばガラス基材に蒸着することによって形成され得る。半導体層は、本発明の化合物の溶液を、ソース/ドレイン電極上に堆積、例えばスピンコーティングし、続いて高められた温度、例えば、80℃〜360℃の範囲の温度でアニーリングすることによって形成され得る。誘電体層は、半導体層をクエンチした後、ポリ(メチルメタクリレート)などの適切な誘電体材料の溶液を、半導体層上に適用、例えばスピンコーティングすることによって形成され得る。適切なソース/ドレイン材料、例えば金(Au)のゲート電極は、シャドウマスクを通して誘電体層上に蒸着させることができる。
【0059】
また、本発明の一部は、本発明の化合物の半導体材料としての使用である。
【0060】
本発明の化合物は、トルエン、DMF、THF、クロロベンゼンおよびCHCl
3などの有機溶媒への溶解性が高く、したがって液処理技術に適合する。同時に、本発明の化合物は、有機電子デバイスの層として適用される場合、良好な性能、例えば高い電荷キャリア移動度、好ましくは約5.0×10
−3cm
2/V
−1s
−1を超える電荷キャリア移動度を示す有機電子デバイスをもたらす。
【0061】
また、本発明の化合物は、空気による酸化に対しても高い安定性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、−11V、−10V、−9Vおよび−8Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1aを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
ds(出力曲線)を示す。
【
図2】
図2は、−5Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1aを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)を示す。
【
図3】
図3は、−11V、−10V、−9Vおよび−7Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1bを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
ds(出力曲線)を示す。
【
図4】
図4は、−5Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1bを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)を示す。
【
図5】
図5は、−10V、−8Vおよび−6Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1eを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
ds(出力曲線)を示す。
【
図6】
図6は、−5Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1eを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)を示す。
【
図7】
図7は、−10V、−9Vおよび−8Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1gを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
ds(出力曲線)を示す。
【
図8】
図8は、−5Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1gを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)を示す。
【
図9】
図9は、−80V、−60V、−40V、−20Vおよび0Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1bを含む実施例16の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(出力曲線)を示す。
【
図10】
図10は、−80Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1bを含む実施例16の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)を示す。
【0063】
実施例
実施例1
化合物1aの調製
【化28】
【0064】
化合物2aの調製
ジクロロマレイミド0.83g(5ミリモル)およびo−アミノチオフェノール1.25g(10ミリモル)を、酢酸30mlに加え、N
2下にて120℃で6時間撹拌した。室温まで冷却した後、沈殿物を濾過により単離し、メタノールおよびTHFで洗浄した。化合物2a(1.26g)をさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0065】
化合物1aの調製
215mg(0.7ミリモル)の化合物2a、13mg(0.1ミリモル)の4−ジメチルアミノピリジン、および458mg(2.1ミリモル)のジ−tert−ブチルジカーボネートを10mlのTHFに加え、N
2下にて室温で一晩撹拌した。沈殿物を濾過により単離し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄すると、232mg(0.57ミリモル;81%)の化合物1aが橙色固体として得られた。
【表1】
【0066】
実施例2
化合物1bの調製
【化29】
【0067】
化合物6aの調製
酢酸70ml中の4−ペンチルフェノール9.85g(60ミリモル)の溶液に、酢酸20mlに溶解した硝酸7.6gを、温度を10℃〜15℃の範囲に保ちながら滴加した。反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相をNaHCO
3水溶液と水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。化合物6aをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0068】
化合物5aの調製
10.5g(50ミリモル)の化合物6a、15.1g(135ミリモル)のDABCOのDMF溶液50mlに、7.73g(63ミリモル)のN,N−ジメチルチオカルバモイルクロリドを少しずつ加えた。反応混合物を70℃で3時間撹拌し、次いで水に注ぎ、6NのHClで酸性化した。化合物5aを酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。溶離液としてヘキサンとCH
2Cl
2(1:1)を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで残渣を精製すると、13.0g(44ミリモル;88%)の化合物5aが褐色液体として得られる。
【表2】
【0069】
化合物4aの調製
12.7g(43ミリモル)の化合物5aを反応容器に入れ、N
2下にて3時間撹拌しながら210℃で加熱した。室温まで冷却した後、80mlのTHFを加えた。この溶液に、メタノール20mlに溶解した水酸化カリウム5.31g(95ミリモル)を、氷浴で冷却しながら滴加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、氷に注ぎ、濃HClで酸性化した。化合物4aを酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。
【表3】
【0070】
化合物3aの調製
9mlの濃HClおよび170mlの酢酸中の5.15g(23ミリモル)の化合物4aの溶液に、亜鉛18.0g(275ミリモル)を60℃で少しずつ加えた。反応混合物を60℃で一晩撹拌した。室温まで冷却した後、不溶性固体をろ過で除去した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣に水を加えて沈殿物を得た。沈殿物を濾過により単離し、エタノールで洗浄した。化合物3bが白色固体として収量5.16g(11ミリモル、99%)で得られた。
【表4】
【0071】
化合物2bの調製
酢酸300mlに、7.26g(16ミリモル)の化合物3aおよび2.66g(16ミリモル)の3,4−ジクロロマレイミドを加え、140℃で一晩撹拌した。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、残渣を水に懸濁させた。固体をろ過により単離し、メタノールで洗浄した。化合物2bを橙色の固体として得た。化合物2bをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0072】
化合物1bの調製
THF30mlに、1.34g(3ミリモル)の化合物2b、55mg(0.45ミリモル)の4−ジメチルアミノピリジンおよび1.96g(9ミリモル)のジ−tert−ブチルジカーボネートを加え、N
2下にて室温で一晩撹拌した。生成物をCH
2Cl
2で抽出し、水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮した。残渣を酢酸エチルとヘキサン(1:1)の溶液から再結晶することにより精製し、1.06g(1.9ミリモル;65%)の化合物1bを橙色固体として得た。
【表5】
【0073】
実施例3
化合物1cの調製
【化30】
化合物1cを、実施例2の化合物1bと同様に4−ペンチルフェノールの代わりに4−ヘプチルフェノールから出発して調製し、橙色の固体として得る。
【表6】
【0074】
実施例4
化合物1dの調製
【化31】
化合物1dを、実施例2の化合物1bと同様に4−ペンチルフェノールの代わりに4−ドデシル−フェノールから出発して調製し、橙色の固体として得る。
【表7】
【0075】
実施例5
化合物1eの調製
【化32】
化合物1eを、実施例2の化合物1bと同様に4−ペンチルフェノールの代わりに4−テトラデシル−フェノールから出発して調製し、橙色の固体として得る。
【表8】
【0076】
実施例6
化合物1fの調製
【化33】
化合物1fを、実施例2の化合物1bと同様に、4−ペンチルフェノールの代わりに4−ドコシルフェノールから出発して調製し、橙色の固体として得る。
【表9】
【0077】
実施例7
化合物1gの調製
【化34】
化合物1gを、実施例2の化合物1bと同様に、4−ペンチルフェノールの代わりに4−[4−ペンチル−シクロヘキシル]−フェノールから出発して調製し、橙色の固体として得る。
【表10】
【0078】
実施例8
化合物1hの調製
【化35】
化合物1hを、実施例2の化合物1bと同様に、4−ペンチルフェノールの代わりに4−ドデシル−フェノールから出発して調製し、橙色の固体として得る。
【表11】
【0079】
実施例9
化合物1iの調製
【化36】
化合物1iを、実施例2の化合物1bと同様にジ−tert−ブチルジカーボネートの代わりにジ−(2−メチル−sec−ブチル)ジカーボネートを用いて調製し、橙色の固体として得る。
【表12】
【0080】
実施例10
化合物1jの調製
【化37】
化合物1jを、実施例2の化合物1bと同様にジ−tert−ブチルジカーボネートの代わりにジ−(1−メチル−シクロヘキシル)ジカーボネートを用いて調製し、橙色の固体として得る。
【表13】
【0081】
実施例11
化合物1kの調製
【化38】
化合物1kを、実施例2の化合物1bと同様にジ−tert−ブチルジカーボネートの代わりにジ−(1−エチル−1,5−ジメチル−ヘキシル)ジカーボネートを用いて調製し、橙色の固体として得る。
【表14】
【0082】
実施例12
化合物1lの調製
【化39】
化合物1lを、実施例2の化合物1bと同様にジ−tert−ブチルジカーボネートの代わりにジ−(1−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキサ−3−エン−1−イル)ジカーボネートを用いて調製し、橙色の固体として得る。
【表15】
【0083】
実施例13
化合物1mの調製
【化40】
化合物1mを、実施例2の化合物1bと同様にジ−tert−ブチルジカーボネートの代わりにジ−(1,1−ジメチルアリル)ジカーボネートを用いて調製し、橙色の固体として得る。
【表16】
【0084】
実施例14
化合物1a、1b、1e、1gを、それぞれ、半導体材料として含む電界効果トランジスタの製造
30nmのALD Al
2O
3でコーティングした高ドープシリコンウェハを、アセトンおよびイソプロパノールで完全に洗浄し、短い酸素プラズマ処理後にイソプロパノール中のデシルホスホン酸の溶液で処理した。化合物1a、1b、1e、1gを、それぞれ、高真空(<10
−5ミリバール)中で熱蒸着させた。厚さ50nmのソース・ドレイン電極用Au層を、シャドウマスクを介して堆積し、トップコンタクトOFETデバイスを得た。チャネル幅(W)500μmであり、チャネル長さ(L)100μmであった。
【0085】
すべての電気測定を、B1500 Agilentパラメータアナライザを使用して暗所にて周囲空気中で行った。
【0086】
図1では、−11V、−10V、−9Vおよび−8Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1aを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
ds(出力曲線)が示される。
【0087】
図2では、−5Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1aを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)が示される。
【0088】
図3では、−11V、−10V、−9Vおよび−7Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1bを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
ds(出力曲線)が示される。
【0089】
図4では、−5Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1bを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)が示される。
【0090】
図5では、−10V、−8Vおよび−6Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1eを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
ds(出力曲線)が示される。
【0091】
図6では、−5Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1eを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)が示される。
【0092】
図7では、−10V、−9Vおよび−8Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1gを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
ds(出力曲線)が示される。
【0093】
図8では、−5Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1gを含む実施例14の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)が示される。
【0094】
1a、1b、1e、1gをそれぞれ含む電界効果トランジスタは典型的なp型特性を示した。
【0095】
電荷キャリア移動度(μ)を、飽和領域で等式μ=2L/(W
*C
i)
*(dI
DS1/2/dV
GS)
2を用いてV
GSに対する(I
DS)
1/2の傾きから求め、ここでLはチャネル長であり、Wはチャネル幅であり、C
iは誘電体層の単位面積あたりの容量であり、I
DSはドレイン−ソース間電流であり、かつV
GSはゲート−ソース間電圧である。
【0096】
I
DS1/2対V
GSプロットの線形補外とV
GS軸との交点から、しきい値電圧(V
th)を求めた。
【0097】
結果を第1表に示す。
【表17】
【0098】
実施例15
化合物1a、1b、1cおよび1dの25℃での溶解度を、式
【化41】
の化合物の溶解度と比較した。
【0099】
結果を第2表にまとめる。
【表18】
【0100】
実施例16
化合物1bを半導体材料として含む電界効果トランジスタの製造
SiO
2/Si基材を、ピラニア溶液、超純水で洗浄し、続いてイソプロパノールで十分に洗浄し、そして基材を溶液からオクタデシルトリクロロシラン(OTS)で官能化した。化合物1bの薄膜を、CHCl
3中の化合物1bの溶液5mg/mlを4000rpmで30秒間スピンコーティングすることによりOTS処理したSiO
2/Si基材上に形成し、ホットプレート上で、200℃で10分間アニールした。有機薄膜の上に、ソース電極とドレイン電極としてシャドウマスクを介してAu層を堆積し、トップコンタクトOFETデバイスを得た。チャネル幅(W)は3mmであり、チャネル長さ(L)は50μmであった。
【0101】
すべての電気測定を、Keithley 4200パラメータアナライザを使用して暗所にて周囲空気中で行う。
【0102】
図9では、−80V、−60V、−40V、−20Vおよび0Vのゲート電圧V
GSで半導体材料として化合物1bを含む実施例16の電界効果トランジスタに関するドレイン−ソース間電圧V
DSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(出力曲線)が示される。
【0103】
図10では、−80Vのドレイン−ソース間電圧V
DSで半導体材料として化合物1bを含む実施例16の電界効果トランジスタに関するゲート−ソース間電圧V
GSに対するドレイン−ソース間電流I
DS(伝達曲線)が示される。
【0104】
1bを含む電界効果トランジスタは典型的なp型特性を示した。
【0105】
伝達曲線を記録するために、ドレイン−ソース間電圧(V
DS)を−80Vに保った。電荷キャリア移動度(μ)を、飽和領域で等式μ=2L/(W
*C
i)
*(dI
DS1/2/dV
GS)
2を用いてV
GSに対する(I
DS)
1/2の傾きから求め、ここでLはチャネル長であり、Wはチャネル幅であり、C
iは誘電体層の単位面積あたりの容量であり、I
DSはドレイン−ソース間電流であり、かつV
GSはゲート−ソース間電圧である。
【0106】
I
DS1/2対V
GSプロットの線形補外とV
GS軸との交点から、しきい値電圧(V
th)を求めた。
【0107】
この結果を第3表に示す。
【表19】