(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第5の処理での判定の結果、前記基板の前記被処理面が研磨不足であるときに、前記駆動部を制御して、前記初期研磨条件とは異なる追加研磨条件に基づいて前記研磨部材により前記基板の前記被処理面を研磨する第6の処理を更に実行する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記第5の処理での判定の結果、前記基板の前記被処理面が研磨不足又は研磨過剰であるときに、後続の他の基板に対して前記第1〜第5の処理を実行するにあたり、前記第3の処理において前記初期研磨条件とは異なる新初期研磨条件に基づいて前記他の基板の前記被処理面を前記研磨部材により研磨する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記第5の工程での判定の結果、前記基板の前記被処理面が研磨不足であるときに、前記初期研磨条件とは異なる追加研磨条件に基づいて前記研磨部材により前記基板の前記被処理面を研磨する第6の工程を更に含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記第5の工程での判定の結果、前記基板の前記被処理面が研磨過剰であるときに、前記研磨部材により前記第3の工程で処理された前記基板と同じ基板の前記被処理面に他の膜を形成する第7の工程と、
前記第7の工程の後に、前記初期研磨条件とは異なる再研磨条件に基づいて前記研磨部材により前記基板の前記被処理面を研磨する第8の工程とを更に含む、請求項11〜15のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記第5の工程での判定の結果、前記基板の前記被処理面が研磨不足又は研磨過剰であるときに、後続の他の基板を前記第1〜第5の工程で処理するにあたり、前記第3の工程では前記初期研磨条件とは異なる新初期研磨条件に基づいて前記他の基板の前記被処理面を前記研磨部材により研磨する、請求項11〜16のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記第1、第9及び第4の工程では、前記基板の前記被処理面の研磨の進行に伴って変化する物理量をそれぞれ前記初期状態、前記中間状態及び前記処理状態として取得し、
前記第5の工程では、前記第1、第4及び第9の処理でそれぞれ取得された前記物理量を対比することにより、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定する、請求項19に記載の基板処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2においては、複数の基板を研磨するにあたり、いずれの基板に対しても同じ基準値に基づいて基板の研磨終了を判定していた。研磨時の基板の状態は基板ごとに異なるので、この場合、研磨終了の判定精度にばらつきが生じ、製造される半導体デバイス間において性能にばらつきが生じ得る。
【0005】
そこで、本開示は、基板の研磨終了を基板ごとに高精度に判定することが可能な基板処理装置、基板処理方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの観点に係る基板処理装置は、基板の被処理面に膜を形成するように構成された膜形成部と、基板の被処理面の状態を取得するように構成された状態取得部と、基板の被処理面と接触して被処理面を研磨するように構成された研磨部材と、研磨部材を駆動するように構成された駆動部と、制御部とを備える。制御部は、状態取得部を制御して、基板の被処理面の初期状態を取得する第1の処理と、第1の処理の後に膜形成部を制御して、基板の被処理面上に膜を形成する第2の処理と、駆動部を制御して、初期研磨条件に基づいて研磨部材により基板の被処理面を研磨する第3の処理と、第3の処理の後に状態取得部を制御して、基板の被処理面の処理状態を取得する第4の処理と、初期状態及び処理状態に基づいて研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定する第5の処理を実行する。
【0007】
本開示の一つの観点に係る基板処理装置では、制御部は、状態取得部を制御して、基板の被処理面の初期状態を取得する第1の処理と、初期条件に基づいて研磨部材により基板の被処理面を研磨する第3の処理の後に状態取得部を制御して、基板の被処理面の処理状態を取得する第4の処理と、初期状態及び処理状態に基づいて研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定する第5の処理を実行している。そのため、基板の被処理面の初期状態が、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定するための基準値として機能する。従って、基準値を得るために複数のサンプル基板を予め処理するなどの必要がないので、サンプル基板を浪費することなく、基準値を直ちに得ることができる。また、基板の被処理面の状態は基板ごとに異なるが、基板ごとに被処理面の初期状態を取得しているので、研磨終了を基板ごとに極めて精度よく判定することができる。このように、本開示の一つの観点に係る基板処理装置では、基板の研磨終了の判定を、基板ごとに、低コスト且つ高精度に素早く行うことが可能となる。
【0008】
本開示の一つの観点に係る基板処理装置は、基板の被処理面に添加液を供給するように構成された添加液供給部を更に備え、保持部は、基板を保持して回転させるように構成されており、膜形成部は、基板の被処理面に塗布液を供給するように構成されており、制御部は、第2の処理において、第1の処理の後に保持部及び膜形成部を制御して、基板を回転させつつ基板の被処理面に塗布液を供給させて、基板上に塗布膜を形成し、第3の処理において、塗布膜に含まれる溶剤が揮発して塗布膜が半固化膜となった後に保持部、駆動部及び添加液供給部を制御して、回転中の基板の被処理面に添加液を供給させて研磨部材及び基板の被処理面が添加液によって濡れた状態としつつ、初期研磨条件に基づいて研磨部材及び基板の一方を他方に対して相対的に移動させて、研磨部材により基板の被処理面を研磨してもよい。この場合、研磨部材による半固化膜の研磨時において、研磨部材及び基板の被処理面が添加液によって濡れた状態となっているので、基板の被処理面に損傷が生じ難い。そのため、研磨液を多量に用いながら硬化膜を研磨する化学機械研磨処理を行わずに、基板の被処理面が研磨される。従って、基板の被処理面を低コストで平坦化することが可能となる。
【0009】
基板の表面には凹凸パターンが形成されており、被処理面は、基板のうち凹凸面側の最外面であってもよい。この場合でも、研磨部材による半固化膜の研磨時において、研磨部材及び基板の被処理面が添加液によって濡れた状態となっているので、基板の凹凸パターンに生じうる損傷を抑制することができる。
【0010】
研磨部材はポリビニルアルコール製又はポリエチレン製であってもよい。この場合、塗布膜が完全に硬化する前のある程度柔らかい状態の半固化膜が、ポリビニルアルコール製又はポリエチレン製の研磨部材によって研磨される。そのため、基板の凹凸パターンに生じうる損傷をより抑制することができる。
【0011】
研磨部材は多孔質体であってもよい。この場合、研磨部材の吸水性が高まるので、第3の処理において添加液が研磨部材に吸収される。そのため、研磨部材にしみ込んだ添加液が基板の被処理面にしみ出しながら、研磨部材によって基板の被処理面の研磨が行われる。従って、研磨部材による研磨時に、基板の凹凸パターンに生じうる損傷をいっそう抑制することができる。
【0012】
制御部は、第5の処理での判定の結果、基板の被処理面が研磨不足であるときに、駆動部を制御して、初期研磨条件とは異なる追加研磨条件に基づいて研磨部材により基板の被処理面を研磨する第6の処理を更に実行してもよい。基板の被処理面が研磨不足の場合、初期研磨条件とは異なる追加研磨条件に基づいて基板の研磨が再度行われるので、基板の被処理面をより精度よく平坦化することが可能となる。
【0013】
制御部は、第5の処理での判定の結果、基板の被処理面が研磨過剰であるときに、膜形成部を制御して、研磨部材により第3の処理で処理された基板と同じ基板の被処理面に他の膜を形成する第7の処理と、第7の処理の後に駆動部を制御して、初期研磨条件とは異なる再研磨条件に基づいて研磨部材により基板の被処理面を研磨する第8の処理とを更に実行してもよい。基板の被処理面が研磨過剰の場合、基板の被処理面に他の膜が形成された後に、初期研磨条件とは異なる再研磨条件に基づいて基板の研磨が再度行われるので、基板の被処理面をより精度よく平坦化することが可能となる。
【0014】
制御部は、第5の処理での判定の結果、基板の被処理面が研磨不足又は研磨過剰であるときに、後続の他の基板に対して第1〜第5の処理を実行するにあたり、第3の処理において初期研磨条件とは異なる新初期研磨条件に基づいて他の基板の被処理面を研磨部材により研磨してもよい。この場合、後続の基板の被処理面をより精度よく平坦化することが可能となる。
【0015】
状態取得部は、基板の被処理面を撮像して当該被処理面の撮像画像を取得可能に構成されたカメラであり、制御部は、第5の処理において、第1及び第4の処理で状態取得部によってそれぞれ取得された撮像画像を対比することにより、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定してもよい。
【0016】
制御部は、第2の処理の後で且つ第3の処理の前に状態取得部を制御して、基板の被処理面の中間状態を取得する第9の処理をさらに実行し、第5の処理において、初期状態、中間状態及び処理状態に基づいて研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定してもよい。この場合、3つの状態(初期状態、中間状態及び処理状態)に基づいて、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰をより精度よく判定することができる。
【0017】
状態取得部は、基板の被処理面の研磨の進行に伴って変化する物理量を取得するように構成されたセンサであり、制御部は、第5の処理において、第1、第4及び第9の処理で状態取得部によってそれぞれ取得された物理量を対比することにより、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定してもよい。
【0018】
本開示の他の観点に係る基板処理方法は、基板の被処理面の初期状態を取得する第1の工程と、第1の工程の後に、基板上に膜を形成する第2の工程と、研磨部材が基板の被処理面と接触した状態で、初期研磨条件に基づいて研磨部材により基板の被処理面を研磨する第3の工程と、第3の工程の後に、基板の被処理面の処理状態を取得する第4の工程と、初期状態及び処理状態に基づいて研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定する第5の工程とを含む。
【0019】
本開示の他の観点に係る基板処理方法では、第1の工程において、基板の被処理面の初期状態を取得し、第3の工程の後の第4の工程において、基板の被処理面の処理状態を取得し、第5の工程において、初期状態及び処理状態に基づいて研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定している。そのため、基板の被処理面の初期状態が、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定するための基準値として機能する。従って、基準値を得るために複数のサンプル基板を予め処理するなどの必要がないので、サンプル基板を浪費することなく、基準値を直ちに得ることができる。また、基板の被処理面の状態は基板ごとに異なるが、基板ごとに被処理面の初期状態を取得しているので、研磨終了を基板ごとに極めて精度よく判定することができる。このように、本開示の他の観点に係る基板処理方法では、基板の研磨終了の判定を、基板ごとに、低コスト且つ高精度に素早く行うことが可能となる。
【0020】
第2の工程では、基板を回転させつつ基板の被処理面に塗布液を供給して、基板上に塗布膜を形成し、第3の工程では、塗布膜に含まれる溶剤が揮発して塗布膜が半固化膜となった後に、回転中の基板の被処理面に添加液を供給して、研磨部材と基板の被処理面とが添加液によって濡れた状態としつつ、研磨部材が基板の被処理面と接触した状態で、初期研磨条件に基づいて研磨部材により基板の被処理面を研磨してもよい。この場合、研磨部材による半固化膜の研磨時において、研磨部材及び基板の被処理面が添加液によって濡れた状態となっているので、基板の被処理面に損傷が生じ難い。そのため、研磨液を多量に用いながら硬化膜を研磨する化学機械研磨処理を行わずに、基板の被処理面が研磨される。従って、基板の被処理面を低コストで平坦化することが可能となる。
【0021】
基板の表面には凹凸パターンが形成されており、被処理面は、基板のうち凹凸面側の最外面であってもよい。この場合でも、研磨部材による半固化膜の研磨時において、研磨部材及び基板の被処理面が添加液によって濡れた状態となっているので、基板の凹凸パターンに生じうる損傷を抑制することができる。
【0022】
研磨部材はポリビニルアルコール製又はポリエチレン製であってもよい。この場合、塗布膜が完全に硬化する前のある程度柔らかい状態の半固化膜が、ポリビニルアルコール製又はポリエチレン製の研磨部材によって研磨される。そのため、基板の凹凸パターンに生じうる損傷をより抑制することができる。
【0023】
研磨部材は多孔質体であってもよい。この場合、研磨部材の吸水性が高まるので、第3の工程において添加液が研磨部材に吸収される。そのため、研磨部材にしみ込んだ添加液が基板の被処理面にしみ出しながら、研磨部材によって基板の被処理面の研磨が行われる。従って、研磨部材による研磨時に、基板の凹凸パターンに生じうる損傷をいっそう抑制することができる。
【0024】
本開示の他の観点に係る基板処理方法は、第5の工程での判定の結果、基板の被処理面が研磨不足であるときに、初期研磨条件とは異なる追加研磨条件に基づいて研磨部材により基板の被処理面を研磨する第6の工程を更に含んでもよい。基板の被処理面が研磨不足の場合、初期研磨条件とは異なる追加研磨条件に基づいて基板の研磨が再度行われるので、基板の被処理面をより精度よく平坦化することが可能となる。
【0025】
本開示の他の観点に係る基板処理方法は、第5の工程での判定の結果、基板の被処理面が研磨過剰であるときに、研磨部材により第3の工程で処理された基板と同じ基板の被処理面に他の膜を形成する第7の工程と、第7の工程の後に、初期研磨条件とは異なる再研磨条件に基づいて研磨部材により基板の被処理面を研磨する第8の工程とを更に含んでもよい。基板の被処理面が研磨過剰の場合、基板の被処理面に他の膜が形成された後に、初期研磨条件とは異なる再研磨条件に基づいて基板の研磨が再度行われるので、基板の被処理面をより精度よく平坦化することが可能となる。
【0026】
第5の工程での判定の結果、基板の被処理面が研磨不足又は研磨過剰であるときに、後続の他の基板を第1〜第5の工程で処理するにあたり、第3の工程では初期研磨条件とは異なる新初期研磨条件に基づいて他の基板の被処理面を研磨部材により研磨してもよい。この場合、後続の基板の被処理面をより精度よく平坦化することが可能となる。
【0027】
第1の工程では、基板の被処理面を撮像して当該被処理面の撮像画像を初期状態として取得し、第4の工程では、基板の被処理面を撮像して当該被処理面の撮像画像を処理状態として取得し、第5の工程では、第1及び第4の工程でそれぞれ取得した撮像画像を対比することにより、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定してもよい。
【0028】
本開示の他の観点に係る基板処理方法は、第2の工程の後で且つ第3の工程の前に、基板の被処理面の中間状態を取得する第9の工程を更に含み、第5の工程では、初期状態、中間状態及び処理状態に基づいて研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定してもよい。この場合、3つの状態(初期状態、中間状態及び処理状態)に基づいて、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰をより精度よく判定することができる。
【0029】
第1、第9及び第4の工程では、基板の被処理面の研磨の進行に伴って変化する物理量をそれぞれ初期状態、中間状態及び処理状態として取得し、第5の工程では、第1、第4及び第9の処理でそれぞれ取得された物理量を対比することにより、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定してもよい。
【0030】
本開示の他の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記の基板処理方法を基板処理装置に実行させるためのプログラムを記録している。本開示の他の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体では、上記の基板処理方法と同様に、基板の研磨終了の判定を、基板ごとに、低コスト且つ高精度に素早く行うことが可能となる。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、一時的でない有形の媒体(non-transitory computer recording medium)(例えば、各種の主記憶装置又は補助記憶装置)や、伝播信号(transitory computer recording medium)(例えば、ネットワークを介して提供可能なデータ信号)が含まれる。
【発明の効果】
【0031】
本開示に係る基板処理装置、基板処理方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、基板の研磨終了を基板ごとに高精度に判定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0034】
[基板処理システム]
図1に示されるように、基板処理システム1(基板処理装置)は、塗布現像装置2(基板処理装置)と、露光装置3と、コントローラ10(制御部)とを備える。露光装置3は、ウエハW(基板)の表面Wa(
図5等参照)に形成された感光性レジスト膜の露光処理(パターン露光)を行う。具体的には、液浸露光等の方法により感光性レジスト膜(感光性被膜)の露光対象部分に選択的にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、例えばArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、g線、i線、又は極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)が挙げられる。
【0035】
塗布現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、感光性レジスト膜又は非感光性レジスト膜をウエハWの表面Waに形成する処理を行う。塗布現像装置2は、露光装置3による感光性レジスト膜の露光処理後に、当該感光性レジスト膜の現像処理を行う。
【0036】
ウエハWは、円板状を呈してもよいし、円形の一部が切り欠かれていてもよいし、矩形、多角形など円形以外の形状を呈していてもよい。本実施形態では、ウエハWとして、矩形状を呈する角形基板を例にとって説明する。ウエハWは、例えば、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。マスク基板は、例えば露光装置3のレチクルとして用いられる。ウエハWの直径は、例えば200mm〜450mm程度であってもよい。本実施形態において、ウエハWの表面Waには、凹凸パターンP(
図5等参照)が形成されている。そのため、ウエハWの表面Waは凹凸面である。
【0037】
図1〜
図4に示されるように、塗布現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インターフェースブロック6とを備える。キャリアブロック4、処理ブロック5及びインターフェースブロック6は、水平方向に並んでいる。
【0038】
キャリアブロック4は、
図1、
図3及び
図4に示されるように、キャリアステーション12と、搬入搬出部13とを有する。キャリアステーション12は複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、少なくとも一つのウエハWを密封状態で収容する。キャリア11の側面11aには、ウエハWを出し入れするための開閉扉(図示せず)が設けられている。キャリア11は、側面11aが搬入搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。
【0039】
搬入搬出部13は、キャリアステーション12及び処理ブロック5の間に位置している。搬入搬出部13は、複数の開閉扉13aを有する。キャリアステーション12上にキャリア11が載置される際には、キャリア11の開閉扉が開閉扉13aに面した状態とされる。開閉扉13a及び側面11aの開閉扉を同時に開放することで、キャリア11内と搬入搬出部13内とが連通する。搬入搬出部13は、受け渡しアームA1を内蔵している。受け渡しアームA1は、キャリア11からウエハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウエハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0040】
処理ブロック5は、
図1及び
図2に示されるように、処理モジュール14〜17を有する。処理モジュール14〜17は、床面側から処理モジュール17、処理モジュール14、処理モジュール15、処理モジュール16の順に並んでいる。処理モジュール14,16,17は、
図3に示されるように、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2とを有する。処理モジュール15は、
図4に示されるように、液処理ユニットU1(基板処理装置)と、熱処理ユニットU2と、検査ユニットU3(基板処理装置)と、研磨ユニットU4(基板処理装置)とを有する。
【0041】
液処理ユニットU1は、各種の処理液をウエハWの表面Waに供給するように構成されている(詳しくは後述する。)。熱処理ユニットU2は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。検査ユニットU3は、ウエハWの表面Waを撮像するように構成されている(詳しくは後述する。)。研磨ユニットU4は、ウエハWの表面Wa(凹凸面)側の被処理面を研磨するように構成されている。
【0042】
処理モジュール14は、ウエハWの表面Wa上に下層膜を形成するように構成された下層膜形成モジュール(BCTモジュール)である。処理モジュール14は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA2を内蔵している(
図2及び
図3参照)。処理モジュール14の液処理ユニットU1は、下層膜形成用の塗布液をウエハWの表面Waに塗布して塗布膜を形成する。処理モジュール14の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて下層膜とするための加熱処理が挙げられる。下層膜としては、例えば、反射防止(SiARC)膜が挙げられる。
【0043】
処理モジュール15は、下層膜上に中間膜を形成するように構成された中間膜(ハードマスク)形成モジュール(HMCTモジュール)である。処理モジュール15は、各ユニットU1〜U4にウエハWを搬送する搬送アームA3を内蔵している(
図2及び
図4参照)。処理モジュール15の液処理ユニットU1は、中間膜形成用の塗布液を下層膜上に塗布して塗布膜を形成する。処理モジュール15の熱処理ユニットU2は、中間膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて中間膜とするための加熱処理が挙げられる。中間膜としては、例えば、SOC(Spin On Carbon)膜、アモルファスカーボン膜が挙げられる。
【0044】
処理モジュール16は、熱硬化性を有するレジスト膜を中間膜上に形成するように構成されたレジスト膜形成モジュール(COTモジュール)である。処理モジュール16は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA4を内蔵している(
図2及び
図4参照)。処理モジュール16の液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の塗布液(レジスト液)を中間膜上に塗布して塗布膜を形成する。処理モジュール16の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させてレジスト膜とするための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)が挙げられる。
【0045】
処理モジュール17は、露光されたレジスト膜の現像処理を行うように構成された現像処理モジュール(DEVモジュール)である。処理モジュール17は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA5と、これらのユニットを経ずにウエハWを搬送する直接搬送アームA6とを内蔵している(
図2及び
図3参照)。処理モジュール17の現像ユニットは、露光後のレジスト膜に現像液を供給してレジスト膜を現像する。処理モジュール17の液処理ユニットU1は、現像後のレジスト膜にリンス液を供給して、レジスト膜の溶解成分を現像液と共に洗い流す。これにより、レジスト膜が部分的に除去され、レジストパターンが形成される。処理モジュール17の熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0046】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には、
図2及び
図3に示されるように、棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面から処理モジュール15にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウエハWを昇降させる。
【0047】
処理ブロック5内におけるインターフェースブロック6側には、棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は床面から処理モジュール17の上部にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0048】
インターフェースブロック6は、受け渡しアームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。受け渡しアームA8は、棚ユニットU11のウエハWを取り出して露光装置3に渡し、露光装置3からウエハWを受け取って棚ユニットU11に戻すように構成されている。
【0049】
コントローラ10は、基板処理システム1を部分的又は全体的に制御する。コントローラ10の詳細については後述する。
【0050】
[液処理ユニットの構成]
続いて、
図5を参照して、液処理ユニットU1についてさらに詳しく説明する。液処理ユニットU1は、回転保持部20と、液供給部30(膜形成部、塗布液供給部)と、液供給部40(溶剤供給部)を備える。
【0051】
回転保持部20は、回転部21と、保持部22とを有する。回転部21は、上方に突出したシャフト23を有する。回転部21は、例えば電動モータ等を動力源として、コントローラ10からの指示に基づいてシャフト23を回転させる。保持部22は、シャフト23の先端部に設けられている。保持部22上にはウエハWが配置される。保持部22は、コントローラ10からの指示に基づいて、例えば吸着等によりウエハWを略水平に保持する。すなわち、回転保持部20は、ウエハWの姿勢が略水平の状態で、ウエハWの表面Waに対して垂直な軸(回転軸)周りでウエハWを回転させる。本実施形態では、回転軸は、円形状を呈するウエハWの中心を通っているので、中心軸でもある。本実施形態では、
図5に示されるように、回転保持部20は、上方から見て時計回りにウエハWを回転させる。
【0052】
液供給部30は、ウエハWの被処理面に処理液L1を供給するように構成されている。処理モジュール14〜16において、処理液L1は、下層膜、中間膜又はレジスト膜を形成するための各種塗布液である。この場合、液供給部30は、塗布液供給部として機能する。処理モジュール17において、処理液L1は現像液である。この場合、液供給部30は、現像液供給部として機能する。なお、本明細書において、ウエハWの被処理面とは、ウエハWの表面Wa側における最外面をいい、ウエハWの表面Wa上に膜等が設けられていない場合には当該表面Waであり、ウエハWの表面Waに膜等が設けられている場合には当該膜等の表面である。
【0053】
液供給部30は、液源31と、ポンプ32と、バルブ33と、ノズル34と、配管35とを有する。液源31は、処理液L1の供給源として機能する。ポンプ32は、コントローラ10からの指示に基づいて液源31から処理液L1を吸引し、配管35及びバルブ33を介してノズル34に送り出す。バルブ33は、コントローラ10からの指示に基づいて開閉する。ノズル34は、吐出口がウエハWの表面Waに向かうようにウエハWの上方に配置されている。ノズル34は、ポンプ32から送り出された処理液L1を、ウエハWの被処理面に吐出可能である。ノズル34は、図示しない駆動部によって水平方向及び上下方向に移動可能に構成されている。当該駆動部は、コントローラ10からの指示に基づいてノズル34を移動させる。配管35は、上流側から順に、液源31、ポンプ32、バルブ33及びノズル34を接続している。
【0054】
液供給部40は、ウエハWの被処理面に処理液L2を供給するように構成されている。処理モジュール14〜16において、処理液L2は、下層膜、中間膜又はレジスト膜をウエハWから除去するための各種有機溶剤である。この場合、液供給部40は、溶剤供給部として機能する。処理モジュール17において、処理液L2はリンス液である。この場合、液供給部40は、リンス液供給部として機能する。
【0055】
液供給部40は、液源41と、ポンプ42と、バルブ43と、ノズル44と、配管45とを有する。液源41は、処理液L2の供給源として機能する。ポンプ42は、コントローラ10からの指示に基づいて液源41から処理液L2を吸引し、配管45及びバルブ43を介してノズル44に送り出す。バルブ43は、コントローラ10からの指示に基づいて開閉する。ノズル44は、吐出口がウエハWの表面Waに向かうようにウエハWの上方に配置されている。ノズル44は、ポンプ42から送り出された処理液L2を、ウエハWの被処理面に吐出可能である。ノズル44は、図示しない駆動部によって水平方向及び上下方向に移動可能に構成されている。当該駆動部は、コントローラ10からの指示に基づいてノズル44を移動させる。配管45は、上流側から順に、液源41、ポンプ42、バルブ43及びノズル44を接続している。
【0056】
[検査ユニットの構成]
続いて、
図6を参照して、検査ユニットU3についてさらに詳しく説明する。検査ユニットU3は、筐体50と、筐体50内に配置された保持駆動部51及び撮像部52(状態取得部)とを有する。
【0057】
保持駆動部51は、保持台51aと、アクチュエータ51b,51cと、ガイドレール51dを含む。保持台51aは、例えば吸着等によりウエハWを略水平に保持する。アクチュエータ51bは、例えば電動モータであり、保持台51aを回転駆動する。アクチュエータ51cは、例えばリニアアクチュエータであり、保持台51aをガイドレール51dに沿って移動させる。すなわち、アクチュエータ51cは、コントローラ10の指示に基づき、保持台51aに保持されているウエハWをガイドレール51dの一端側と他端側との間で搬送する。ガイドレール51dは、筐体50内において線状(例えば直線状)に延びている。
【0058】
撮像部52は、カメラ52aと、ハーフミラー52bと、光源52cとを含む。カメラ52aは、例えば広角型のCCDカメラである。カメラ52aは、筐体50の側壁に取り付けられている。カメラ52aは、ハーフミラー52bに対向している。カメラ52aは、コントローラ10の指示に基づき撮像を行い、撮像画像のデータをコントローラ10に送信する。
【0059】
ハーフミラー52bは、水平方向に対して略45°傾いた状態で、筐体50の天壁に取り付けられている。ハーフミラー52bは、ガイドレール51dの中間部分の上方に位置している。光源52cは、ハーフミラー52bの上方に位置している。光源52cから出射された光は、ハーフミラー52bを通過して下方(ガイドレール51d側)に向けて照射される。ハーフミラー52bを通過した光は、ハーフミラー52bの下方にある物体によって反射した後、ハーフミラー52bによってさらに反射して、カメラ52aに入射する。すなわち、カメラ52aは、ハーフミラー52bを介して、光源52cの照射領域に存在する物体を撮像することができる。ウエハWが保持駆動部51によってガイドレール51dに沿って移動する際、撮像部52はウエハWの被処理面を撮像可能である。換言すれば、撮像部52は、ウエハWの被処理面の状態として当該被処理面の撮像画像を取得する。なお、コントローラ10では、撮像画像データを処理することにより、ウエハWの被処理面に存在する膜の膜厚等も検出することができる。
【0060】
[研磨ユニットの構成]
続いて、
図7を参照して、研磨ユニットU4についてさらに詳しく説明する。研磨ユニットU4は、筐体60と、筐体60内に配置された回転保持部70、カップ80、液供給部90(添加液供給部)及び研磨部100を備える。
【0061】
回転保持部70は、回転部71と、保持部72とを有する。回転部71は、上方に突出したシャフト73を有する。回転部71は、例えば電動モータ等を動力源として、コントローラ10からの指示に基づいてシャフト73を回転させる。保持部72は、シャフト73の先端部に設けられている。保持部72上にはウエハWが配置される。保持部72は、コントローラ10からの指示に基づいて、例えば吸着等によりウエハWを略水平に保持する。すなわち、回転保持部70は、ウエハWの姿勢が略水平の状態で、ウエハWの表面Waに対して垂直な軸(回転軸)周りでウエハWを回転させる。本実施形態では、回転軸は、円形状を呈するウエハWの中心を通っているので、中心軸でもある。本実施形態では、
図7に示されるように、回転保持部70は、上方から見て時計回りにウエハWを回転させる。
【0062】
カップ80は、回転保持部70の周囲に設けられている。ウエハWが回転すると、液供給部90からウエハWの表面に供給された添加液が周囲に振り切られて落下するが、カップ80は、当該落下した添加液を受け止めるように構成されている。カップ80は、液受け部81と、傾斜部82とを有する。液受け部81は、有底円筒形状を呈している。液受け部81の内部には隔壁83が設けられており、隔壁83によって液受け部81の内部が外側領域と内側領域とに区画されている。液受け部81の底壁のうち外側領域に対応する部分には、液体を排出する排液管84が設けられている。液受け部81の底壁のうち内側領域に対応する部分には、処理雰囲気を排気する排気管85が設けられている。傾斜部82は、液受け部81の上端に一体的に設けられている。
【0063】
液供給部90は、ウエハWの被処理面に添加液L3を供給するように構成されている。添加液L3は、例えば純水である。
【0064】
液供給部90は、液源91と、ポンプ92と、バルブ93と、ノズル94と、配管95とを有する。液源91は、添加液L3の供給源として機能する。ポンプ92は、コントローラ10からの指示に基づいて液源91から添加液L3を吸引し、配管95及びバルブ93を介してノズル94に送り出す。バルブ93は、コントローラ10からの指示に基づいて開閉する。ノズル94は、吐出口がウエハWの表面Waに向かうようにウエハWの上方に配置されている。ノズル94は、ポンプ92から送り出された添加液L3を、ウエハWの被処理面に吐出可能である。ノズル94は、図示しない駆動部によって水平方向及び上下方向に移動可能に構成されている。当該駆動部は、コントローラ10からの指示に基づいてノズル94を移動させる。配管95は、上流側から順に、液源91、ポンプ92、バルブ93及びノズル94を接続している。
【0065】
研磨部100は、研磨部材101と、アクチュエータ102(駆動部)と、センサ103(状態取得部)とを有する。研磨部材101は、ウエハWの被処理面と接触して、ウエハWの被処理面を研磨するように構成されている。研磨部材101は、略円柱形状を呈していてもよい。研磨部材101の直径は、例えば65mm程度であり、下面が平坦である。研磨部材101は、樹脂製であってもよく、例えばポリビニルアルコール(PVA)製又はポリエチレン製であってもよい。研磨部材101は、多孔質体であってもよい。
【0066】
ポリビニルアルコールは吸水性に優れる。ポリビニルアルコールは、ポリウレタン、セーム皮等と比較して摩擦抵抗が高いので、研磨能力に優れる。ポリビニルアルコールは、炭素、水素及び酸素によって構成されており、例えば上述のSOC膜の構成成分と組成が近似する。ポリビニルアルコールの硬度は、比較的低い。
【0067】
ポリエチレンは、ポリビニルアルコールよりは吸水性に劣るが、添加液L3に濡れることにより摩擦抵抗及びウエハWに対する密着性が高まる。ポリエチレンは、炭素、水素及び酸素によって構成されており、例えば上述のSOC膜の構成成分と組成が近似する。研磨部材101がポリエチレン製である場合には、添加液L3の量が多くても十分な研磨能力が得られる。ポリエチレンは、例えば密度が0.942以上の高密度ポリエチレンであってもよい。高密度ポリエチレンの硬度は、比較的高い。そのため、高密度ポリエチレンは研磨能力に優れる。
【0068】
アクチュエータ102は、回転保持部70に保持されたウエハWの被処理面に沿って研磨部材101が移動するように研磨部材101を駆動させる。アクチュエータ102は、コントローラ10からの指示に基づいて研磨部材101を水平方向及び上下方向に移動させる。アクチュエータ102は、コントローラ10からの指示に基づいて研磨部材101を回転駆動させる。アクチュエータ102は、回転保持部70に保持されたウエハWの被処理面に沿って研磨部材101が移動するように回転保持部70を駆動させてもよい。すなわち、アクチュエータ102は、回転保持部70に保持されたウエハWの被処理面に対して研磨部材101を相対的に移動させてもよい。
【0069】
センサ103は、ウエハWの被処理面の研磨の進行に伴って変化する物理量を取得するように構成されている。センサ103は、例えば、アクチュエータ102による研磨部材101の回転数、アクチュエータ102が研磨部材101を回転駆動させる際にアクチュエータ102に流れる電流量、研磨部材101の振動数、研磨部材101によってウエハWの被処理面を研磨する際に研磨部材101とウエハWの被処理面との間に生ずる摩擦音の周波数、当該摩擦音の音量等を取得可能に構成されている。センサ103は、回転保持部70の振動数を取得可能に構成されていてもよい。センサ103によって取得された物理量のデータは、コントローラ10に出力される。
【0070】
[コントローラの構成]
コントローラ10は、
図8に示されるように、機能モジュールとして、読取部M1と、記憶部M2と、処理部M3と、指示部M4とを有する。これらの機能モジュールは、コントローラ10の機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラ10を構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
【0071】
読取部M1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取る。記録媒体RMは、基板処理システム1の各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMとしては、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。
【0072】
記憶部M2は、種々のデータを記憶する。記憶部M2は、例えば、読取部M1において記録媒体RMから読み出したプログラム、カメラ52aにおいて撮像された撮像画像データ、センサ103で取得された物理量のデータの他、ウエハWを処理する際の各種データ(いわゆる処理レシピ)、外部入力装置(図示せず)を介してオペレータから入力された設定データ等を記憶する。
【0073】
処理部M3は、各種データを処理する。処理部M3は、例えば、記憶部M2に記憶されている各種データに基づいて、液処理ユニットU1(例えば、回転部21、保持部22、ポンプ32、バルブ33等)、熱処理ユニットU2、検査ユニットU3(例えば、保持台51a、アクチュエータ51b,51c、カメラ52a等)及び研磨ユニットU4(例えば、回転部71、保持部72、ポンプ92、バルブ93、アクチュエータ102等)を動作させるための動作信号を生成する。処理部M3は、カメラ52aにおいて撮像された撮像画像のデータに基づいて、研磨部材101によるウエハWの被処理面の研磨条件を設定又は変更する。処理部M3は、センサ103において取得された物理量のデータに基づいて、研磨部材101によるウエハWの被処理面の研磨条件を設定又は変更する。
【0074】
指示部M4は、処理部M3において生成された動作信号を各種装置に送信する。
【0075】
コントローラ10のハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラ10は、ハードウェア上の構成として、例えば
図9に示される回路10Aを有する。回路10Aは、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路10Aは、具体的には、プロセッサ10Bと、メモリ10C(記憶部)と、ストレージ10D(記憶部)と、ドライバ10Eと、入出力ポート10Fとを有する。プロセッサ10Bは、メモリ10C及びストレージ10Dの少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポート10Fを介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。メモリ10C及びストレージ10Dは、記憶部M2として機能する。ドライバ10Eは、基板処理システム1の各種装置をそれぞれ駆動する回路である。入出力ポート10Fは、ドライバ10Eと基板処理システム1の各種装置(例えば、回転部21,71、保持部22,72、ポンプ32,42,92、バルブ33,43,93、保持台51a、アクチュエータ51b,51c,102、カメラ52a、センサ103等)との間で、信号の入出力を行う。
【0076】
本実施形態では、基板処理システム1は、一つのコントローラ10を備えているが、複数のコントローラ10で構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。基板処理システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラ10によって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラ10の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10が複数のコンピュータ(回路10A)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータ(回路10A)によって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータ(回路10A)の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10は、複数のプロセッサ10Bを有していてもよい。この場合、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのプロセッサ10Bによって実現されていてもよいし、2つ以上のプロセッサ10Bの組み合わせによって実現されていてもよい。
【0077】
[ウエハ処理方法]
続いて、
図10を参照して、ウエハWの処理方法(基板処理方法)について説明する。以下では、処理モジュール15において、凹凸パターンPを有するウエハWの表面WaにSOC膜を形成する場合の処理について説明するが、他の膜の場合にもウエハWを同様に処理してもよい。他の膜としては、例えば、SOG(Spin On Glass)膜、レジスト膜、自己組織的リソグラフィー技術に用いられるブロック共重合体の塗布膜などが挙げられる。
【0078】
まず、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、凹凸パターンPを有するウエハW(
図11(a)参照)を検査ユニットU3に搬送する。次に、コントローラ10(指示部M4)は、保持駆動部51を制御して、ウエハWを保持台51aで保持しつつガイドレール51dの一端側から他端側に搬送する。このとき同時に、コントローラ10(指示部M4)は、撮像部52を制御して、ウエハWの表面Waを撮像する(
図10のステップS11参照)。カメラ52aにおいて撮像された撮像画像のデータは、コントローラ10の記憶部M2に記憶される。こうして、ウエハWの被処理面の初期状態(後述する半固化膜Rが存在していないウエハWの表面Waの状態)が取得される(第1の処理;第1の工程)。
【0079】
次に、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを検査ユニットU3から液処理ユニットU1に搬送する。次に、コントローラ10(指示部M4)は、回転保持部20を制御して、ウエハWを保持部22に保持させると共に、回転部21によって所定の回転数でウエハWを回転させる。この状態で、コントローラ10は、ポンプ32、バルブ33及びノズル34(より詳しくはノズル34を駆動する駆動部)を制御して、ウエハWの表面Waに対して処理液L1(レジスト液)をノズル34から吐出し、固化していない状態の塗布膜(未固化膜)をウエハWの表面Waに形成する。次に、未固化膜に含まれる溶剤が揮発して未固化膜が半固化膜Rとなるまで、ウエハWを静置する(
図10のステップS12及び
図11(b)参照;第2の処理;第2の工程)。なお、このとき、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを液処理ユニットU1から熱処理ユニットU2に搬送し、熱処理ユニットU2においてウエハWを加熱することで未固化膜を半固化膜としてもよい。半固化膜Rの硬度は、研磨部材101の硬度よりも低い。
【0080】
次に、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを研磨ユニットU4に搬送する。次に、コントローラ10(指示部M4)は、回転保持部70を制御して、ウエハWを保持部72に保持させると共に、回転部71によって所定の回転数でウエハWを回転させる。また、コントローラ10(指示部M4)は、液供給部90を制御して、ウエハの被処理面(半固化膜Rの表面)に添加液L3を供給させる。これにより、ウエハWが回転しつつ、ウエハWの被処理面が添加液L3で濡れた状態となる。この状態で、コントローラ10(指示部M4)は、研磨部100を制御して、研磨部材101をウエハWの被処理面と接触させた状態で、初期研磨条件に基づいて研磨部材101をウエハWの被処理面に対して移動させて、研磨部材101によりウエハWの被処理面を研磨させる(
図10のステップS13参照;第3の処理;第3の工程)。
【0081】
ここで、研磨条件としては、例えば、
(1)研磨部材101がウエハWの被処理面を押圧する圧力、
(2)研磨部材101の回転数、
(3)ウエハWの回転数、
(4)研磨部材101によるウエハWの被処理面の研磨時間、
(5)研磨部材101の硬度、
(6)添加液L3の流量
などが挙げられる。研磨条件1に関して、圧力が高いほど研磨部材101によるウエハWの被処理面の研磨が促進される。研磨条件2,3に関して、回転数が高いほど研磨部材101によるウエハWの被処理面の研磨が促進される。研磨条件4に関して、研磨時間が長いほどウエハWの被処理面の研磨が促進される。研磨条件5に関して、研磨部材101の硬度が高いほどウエハWの被処理面の研磨が促進される。研磨条件6に関して、流量が多いほど研磨部材101の保水量が高まるのでウエハWの被処理面の研磨が促進される。なお、初期研磨条件は、わずかに研磨不足となるような条件に設定しておくと、再度の半固化膜Rの形成処理(詳しくは後述する)が不要となるので好ましい。
【0082】
次に、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを研磨ユニットU4から検査ユニットU3に搬送する。次に、コントローラ10(指示部M4)は、保持駆動部51を制御して、ウエハWを保持台51aで保持しつつガイドレール51dの一端側から他端側に搬送する。このとき同時に、コントローラ10(指示部M4)は、撮像部52を制御して、ウエハWの表面Waを撮像する(
図10のステップS14参照)。カメラ52aにおいて撮像された撮像画像のデータは、コントローラ10の記憶部M2に記憶される。こうして、ウエハWの被処理面の処理状態(研磨処理が行われた後におけるウエハWの被処理面の状態)が取得される(第4の処理;第4の工程)。
【0083】
次に、コントローラ10(処理部M3)は、ステップS11で取得した初期状態の撮像画像データと、ステップS14で取得した処理状態の撮像画像データとに基づいて、研磨不足か否かを判定する(
図10のステップS15参照;第5の処理;第5の工程)。ここで、研磨不足とは、
図12に示されるように、ウエハWの凹凸パターンPのうち凸部の表面に半固化膜Rが残存している場合をいう。コントローラ10(処理部M3)は、例えば、処理状態の撮像画像データにおける各画素の輝度値を初期状態の撮像画像データにおける各画素の輝度値で減算して補正画像を生成し、当該補正画像におけるコントラスト差等に基づいて、ウエハWの凹凸パターンPのうち凸部の表面に半固化膜Rが残存しているか否かを判定する。
【0084】
コントローラ10(処理部M3)による判定の結果、研磨不足である場合(
図10のステップS15でYES)、コントローラ10(処理部M3)は研磨条件を初期研磨条件とは異なる追加研磨条件に変更する(
図10のステップS16)。具体的には、コントローラ10(処理部M3)は、残存した半固化膜Rの大きさ(例えば、面積、厚さ等)に基づいて、当該残存した半固化膜Rを除去しうる研磨条件を追加研磨条件として設定する。
【0085】
その後、ステップS13に戻ってウエハWの処理が行われる。具体的には、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを検査ユニットU3から研磨ユニットU4に搬送する。次に、コントローラ10(指示部M4)は、回転保持部70を制御して、ウエハWを保持部72に保持させると共に、回転部71によって所定の回転数でウエハWを回転させる。また、コントローラ10(指示部M4)は、液供給部90を制御して、ウエハの被処理面(半固化膜Rの表面)に添加液L3を供給させる。これにより、ウエハWが回転しつつ、ウエハWの被処理面が添加液L3で濡れた状態となる。この状態で、コントローラ10(指示部M4)は、研磨部100を制御して、研磨部材101をウエハWの被処理面と接触させた状態で、追加研磨条件に基づいて研磨部材101をウエハWの被処理面に対して移動させて、研磨部材101によりウエハWの被処理面を研磨させる(第6の処理;第6の工程)。その後は、ステップS14以下の処理が順次実行される。
【0086】
一方、コントローラ10(処理部M3)による判定の結果、研磨不足ではない場合(
図10のステップS15でNO)、ステップS11で取得した初期状態の撮像画像データと、ステップS14で取得した処理状態の撮像画像データとに基づいて、研磨過剰か否かを判定する(
図10のステップS17参照;第5の処理;第5の工程)。ここで、研磨過剰とは、
図13に示されるように、ウエハWの凹凸パターンPのうち凹部に半固化膜Rが充填されていない場合をいう。コントローラ10(処理部M3)は、例えば、処理状態の撮像画像データにおける各画素の輝度値を初期状態の撮像画像データにおける各画素の輝度値で減算して補正画像を生成し、当該補正画像におけるコントラスト差等に基づいて、ウエハWの凹凸パターンPのうち凹部に半固化膜Rが充填されているか否かを判定する。
【0087】
コントローラ10(処理部M3)による判定の結果、研磨過剰である場合(
図10のステップS17でYES)、コントローラ10(処理部M3)は研磨条件を初期研磨条件とは異なる再研磨条件に変更する(
図10のステップS18)。具体的には、コントローラ10(処理部M3)は、ウエハWの被処理面が初期研磨条件よりも研磨され難い研磨条件を再研磨条件として設定する。
【0088】
その後、ステップS12に戻ってウエハWの処理が行われる。具体的には、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを研磨ユニットU4から液処理ユニットU1に搬送し、ウエハWの被処理面に半固化膜Rを再度形成する(第7の処理;第7の工程)。
【0089】
次に、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを液処理ユニットU1から研磨ユニットU4に搬送する。次に、コントローラ10(指示部M4)は、回転保持部70を制御して、ウエハWを保持部72に保持させると共に、回転部71によって所定の回転数でウエハWを回転させる。また、コントローラ10(指示部M4)は、液供給部90を制御して、ウエハの被処理面(半固化膜Rの表面)に添加液L3を供給させる。これにより、ウエハWが回転しつつ、ウエハWの被処理面が添加液L3で濡れた状態となる。この状態で、コントローラ10(指示部M4)は、研磨部100を制御して、研磨部材101をウエハWの被処理面と接触させた状態で、再研磨条件に基づいて研磨部材101をウエハWの被処理面に対して移動させて、研磨部材101によりウエハWの被処理面を研磨させる(第8の処理;第8の工程)。その後は、ステップS14以下の処理が順次実行される。
【0090】
一方、コントローラ10(処理部M3)による判定の結果、研磨過剰ではない場合(
図10のステップS17でNO)、研磨が適切に行われて研磨終了であると判定され、ウエハWの研磨が完了する。その後は、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを研磨ユニットU4から熱処理ユニットU2に搬送し、熱処理ユニットU2においてウエハWを加熱することで半固化膜Rを固化してSOC膜R1を形成する(
図11(c)参照)。なお、SOC膜R1の硬度は、研磨部材101の硬度よりも高い。
【0091】
[作用]
以上のような本実施形態では、塗布膜(未固化膜)に含まれる溶剤が揮発して塗布膜が半固化膜Rとなった後に、ステップS13において、回転中のウエハWの被処理面に対して添加液L3を供給し、研磨部材101及び当該被処理面が添加液L3によって濡れた状態としつつ、研磨部材101がウエハWの被処理面と接触した状態で、初期研磨条件に基づいて研磨部材101によってウエハWの被処理面を研磨している。そのため、研磨部材101による半固化膜Rの研磨時において、研磨部材101及びウエハWの被処理面が添加液L3によって濡れた状態となっているので、ウエハWの被処理面及び凹凸パターンPに損傷が生じ難い。従って、研磨液を多量に用いながら硬化膜を研磨する化学機械研磨処理を行わずに、ウエハWの被処理面が研磨される。その結果、ウエハWの被処理面を低コストで平坦化することが可能となる。
【0092】
本実施形態では、ステップS11において、ウエハWの被処理面の初期状態をカメラ52aによって撮像画像データとして取得している。また、ステップS14において、ウエハWの被処理面の処理状態(半固化膜Rの表面状態)をカメラ52aによって撮像画像データとして取得している。さらに、これらの初期状態及び処理状態に基づいて研磨不足か否か(ステップS15)及び研磨過剰か否か(ステップS17)を判定している。そのため、ウエハWの被処理面の初期状態が、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰を判定するための基準値として機能する。従って、基準値を得るために複数のサンプル基板を予め処理するなどの必要がないので、サンプル基板を浪費することなく、基準値を直ちに得ることができる。また、ウエハWの被処理面の状態はウエハWごとに異なるが、ウエハWごとに被処理面の初期状態を取得しているので、研磨終了をウエハWごとに極めて精度よく判定することができる。以上より、本実施形態によれば、ウエハWの研磨終了の判定を、ウエハWごとに、低コスト且つ高精度に素早く行うことが可能となる。
【0093】
本実施形態では、ウエハWの表面Waに凹凸パターンPが形成されており、ウエハWの被処理面は、ウエハWのうち表面Wa(凹凸面)側の最外面である。この場合でも、研磨部材101による半固化膜Rの研磨時において、研磨部材101及びウエハWの被処理面が添加液によって濡れた状態となっているので、ウエハWの凹凸パターンPに生じうる損傷を抑制することができる。
【0094】
本実施形態では、研磨部材101が、例えばポリビニルアルコール製又はポリエチレン製である。そのため、塗布膜が完全に硬化する前のある程度柔らかい状態の半固化膜Rが、ポリビニルアルコール製又はポリエチレン製の研磨部材によって研磨される。従って、ウエハWの凹凸パターンPに生じうる損傷をより抑制することができる。
【0095】
本実施形態では、ステップS15での判定の結果、ウエハWの被処理面が研磨不足である場合(ステップS15でYES)、ステップS13に戻って追加研磨条件に基づきウエハWの研磨を行っている。そのため、ウエハWの被処理面をより精度よく平坦化することが可能となる。
【0096】
本実施形態では、ステップS17での判定の結果、ウエハWの被処理面が研磨過剰である場合(ステップS17でYES)、ステップS12に戻ってウエハWに半固化膜Rを形成すると共に、ステップS13において再研磨条件に基づきウエハWの研磨を行っている。そのため、ウエハWの被処理面をより精度よく平坦化することが可能となる。
【0097】
本実施形態では、研磨部材101が多孔質体である。そのため、研磨部材101の吸水性が高まるので、ステップS13において添加液L3が研磨部材101に吸収される。従って、研磨部材101にしみ込んだ添加液L3がウエハWの被処理面にしみ出しながら、研磨部材101によってウエハWの被処理面の研磨が行われる。その結果、研磨部材101による研磨時に、ウエハWの凹凸パターンに生じうる損傷をより抑制することができる。
【0098】
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、ウエハWの被処理面の研磨完了を、カメラ52aによって取得された撮像画像データに代えて、センサ103によって取得された物理量のデータに基づいて判断してもよい。具体的には、
図14に示されるような手順でウエハWを処理してもよい。
【0099】
まず、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、凹凸パターンPを有するウエハW(
図11(a)参照)を研磨ユニットU4に搬送する。次に、コントローラ10(指示部M4)は、研磨部100を制御して、ウエハWの表面Waの物理量のデータをセンサ103によって取得する(
図14のステップS21参照)。こうして、ウエハWの被処理面の初期状態(半固化膜Rが存在していないウエハWの表面Waの状態)が取得される。
【0100】
次に、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを研磨ユニットU4から液処理ユニットU1に搬送し、ステップS12と同様に、ウエハWに半固化膜Rを形成する(
図14のステップS22参照)。
【0101】
次に、コントローラ10(指示部M4)は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWを液処理ユニットU1から研磨ユニットU4に搬送する。次に、コントローラ10(指示部M4)は、研磨部100を制御して、ウエハWの被処理面の物理量のデータをセンサ103によって取得する(
図14のステップS23参照)。こうして、ウエハWの被処理面の中間状態(半固化膜Rの表面の状態)が取得される(第9の処理;第9の工程)。
【0102】
次に、コントローラ10(指示部M4)は、研磨部100を制御して、ウエハWを研磨ユニットU4から液処理ユニットU1に搬送し、ステップS13と同様に、初期研磨条件に基づいて研磨部材101によってウエハWの被処理面を研磨する(
図14のステップS24参照)。
【0103】
次に、コントローラ10(指示部M4)は、研磨部100を制御して、ウエハWの被処理面の物理量のデータをセンサ103によって取得する(
図14のステップS25参照)。こうして、ウエハWの被処理面の処理状態(研磨処理が行われた後におけるウエハWの被処理面の状態)が取得される。
【0104】
次に、コントローラ10(処理部M3)は、ステップS21で取得した初期状態の物理量のデータと、ステップS23で取得した中間状態の物理量のデータと、ステップS25で取得した処理状態の物理量のデータとに基づいて、研磨不足か否かを判定する(
図14のステップS26参照)。
【0105】
コントローラ10(処理部M3)による判定の結果、研磨不足である場合(
図14のステップS26でYES)、コントローラ10(処理部M3)は、ステップS16と同様に、研磨条件を初期研磨条件とは異なる追加研磨条件に変更する(
図14のステップS27)。その後、ステップS13に戻って、追加研磨条件に基づいてウエハWの処理が行われる。その後は、ステップS14以下の処理が順次実行される。
【0106】
一方、コントローラ10(処理部M3)による判定の結果、研磨不足ではない場合(
図14のステップS26でNO)、ステップS21で取得した初期状態の物理量のデータと、ステップS23で取得した中間状態の物理量のデータと、ステップS25で取得した処理状態の物理量のデータとに基づいて、研磨過剰か否かを判定する(
図14のステップS28参照)。
【0107】
コントローラ10(処理部M3)による判定の結果、研磨過剰である場合(
図14のステップS28でYES)、コントローラ10(処理部M3)は研磨条件を初期研磨条件とは異なる再研磨条件に変更する(
図14のステップS29)。その後、ステップS12に戻ってウエハWの被処理面に半固化膜Rを再度形成し、ステップS13において再研磨条件に基づいてウエハWの処理が行われる。その後は、ステップS14以下の処理が順次実行される。
【0108】
一方、コントローラ10(処理部M3)による判定の結果、研磨過剰ではない場合(
図14のステップS28でNO)、研磨が適切に行われて研磨終了であると判定され、ウエハWの研磨が完了する。この場合も、3つの状態(初期状態、中間状態及び処理状態)に基づいて、研磨終了、研磨不足又は研磨過剰をより精度よく判定することができる。
【0109】
ここで、センサ103によって取得される物理量が研磨部材101の回転数である場合について説明する。ステップS21では、研磨部材101は主として、比較的硬度の大きなウエハWの凹凸パターンPに接触する。そのため、研磨部材101とウエハWの被処理面との摩擦抵抗が比較的大きくなるので、研磨部材101が所定の回転数に到達するまでの時間T1が長くなる。ステップS23では、研磨部材101は主として、比較的硬度の小さな半固化膜Rに接触する。そのため、研磨部材101とウエハWの被処理面との摩擦抵抗が比較的小さくなるので、研磨部材101が所定の回転数に到達するまでの時間T2が短くなる。従って、ステップS25で研磨部材101が所定の回転数に到達するまでの時間T3を取得し、時間T1,T2と比較することにより、研磨不足、研磨過剰又は研磨終了を判定することができる。例えば、時間T1が時間T3以上(T1≧T3)で且つ時間T2と時間T3とが略等しければ(T2=T3)、ウエハWの被処理面に比較的多くの半固化膜Rが残存しているため、研磨不足と判断することができる。また、時間T1が時間T3と略等しければ(T1=T3)、ウエハWの被処理面に半固化膜Rがほとんど残存していないため、研磨過剰と判断することができる。一方、研磨不足でも研磨過剰でもなければ、研磨終了と判断することができる。
【0110】
センサ103によって取得される物理量が研磨部材101を回転させるアクチュエータ102の電流値である場合について説明する。ステップS21では、研磨部材101は主として、比較的硬度の大きなウエハWの凹凸パターンPに接触する。そのため、研磨部材101とウエハWの被処理面との摩擦抵抗が比較的大きくなるので、研磨部材101を回転させるために電流値I1が大きくなる。ステップS23では、研磨部材101は主として、比較的硬度の小さな半固化膜Rに接触する。そのため、研磨部材101とウエハWの被処理面との摩擦抵抗が比較的小さくなるので、研磨部材101を回転させるための電流値I2が小さくなる。従って、ステップS25で研磨部材101を回転させるアクチュエータ102の電流値I3を取得し、電流値I1,I2と比較することにより、研磨不足、研磨過剰又は研磨終了を判定することができる。例えば、電流値I1が電流値I3以上(I1≧I3)で且つ電流値I2と電流値I3とが略等しければ(I2=I3)、ウエハWの被処理面に比較的多くの半固化膜Rが残存しているため、研磨不足と判断することができる。また、電流値I1が電流値I3と略等しければ(I1=I3)、ウエハWの被処理面に半固化膜Rがほとんど残存していないため、研磨過剰と判断することができる。一方、研磨不足でも研磨過剰でもなければ、研磨終了と判断することができる。
【0111】
コントローラ10(処理部M3)によって研磨不足又は研磨過剰であると判定された場合、後続のウエハWを、初期研磨条件とは異なる新初期研磨条件に基づいて研磨部材101によって研磨してもよい。具体的には、現在のウエハWが研磨不足であった場合には、後続のウエハWの被処理面が初期研磨条件よりも研磨され易い研磨条件を新初期研磨条件として設定する。現在のウエハWが研磨過剰であった場合には、後続のウエハWの被処理面が初期研磨条件よりも研磨され難い研磨条件を新初期研磨条件として設定する。この場合、後続のウエハWの被処理面をより精度よく平坦化することが可能となる。
【0112】
上記の実施形態では、半固化膜Rが形成されたウエハWの表面Waを樹脂製の研磨部材101によって研磨している。しかしながら、研磨対象の膜は、塗布膜に限られず、例えばCVD、PVD、ALD等で形成された各種の薄膜であってもよい。また、研磨部材101の材質は、ウエハWと接触してウエハWの被処理面を研磨可能であれば特に限定されない。そのため、ウエハWの被処理面を化学機械研磨処理によって研磨してもよい。
【0113】
上記の実施形態では、表面Waに凹凸パターンPが形成されたウエハWの被処理面を研磨していたが、凹凸パターンPを有しないウエハW、すなわち表面Waが略平坦なウエハWの被処理面を研磨してもよい。