特許第6591570号(P6591570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591570
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】基板用セルフロックホルダ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20191007BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20191007BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   C23C14/50 D
   C23C16/458
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-567597(P2017-567597)
(86)(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公表番号】特表2018-525814(P2018-525814A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】EP2015065011
(87)【国際公開番号】WO2017001010
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブリューニング, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】リンデンベルク, ラルフ
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−247660(JP,A)
【文献】 特開平06−097091(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/139594(WO,A1)
【文献】 特開2010−171117(JP,A)
【文献】 特開2004−142036(JP,A)
【文献】 米国特許第05637200(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 14/50
C23C 16/458
H01L 21/203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(101)を保持するためのキャリア本体(160)に取り付けられるように構成されたホルダ(200)であって、
第1の傾斜面(212)を有し、前記キャリア本体(160)に取り付けられるように構成されている第1の部分(210)と、
前記第1の部分(210)に対して少なくとも1つの方向(X)に移動可能であるように構成されている第2の部分(220)と
を備え、
前記第1の傾斜面(212)が、載置される基板(101)に対して第1の角度(α)だけ傾斜しており、
前記第1の部分(210)が、前記第1の傾斜面(212)に面しているステップ面(214)であって、載置される基板(101)を支持するように構成されているステップ面(214)を更に備える、ホルダ(200)。
【請求項2】
前記第2の部分(220)が、前記第1の傾斜面(212)に面している第2の傾斜面(222)であって、載置される基板(101)に対して第2の角度(α)だけ傾斜している第2の傾斜面(222)を備える、請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記第1の角度(α)及び前記第2の角度(α)が互いに等しい、請求項2に記載のホルダ。
【請求項4】
前記第1の角度(α)及び前記第2の角度(α)の少なくとも1つが10°以下又は4°以上である、請求項2又は3に記載のホルダ。
【請求項5】
力装置(240)を更に備える、請求項2から4の何れか一項に記載のホルダ。
【請求項6】
前記力装置が、少なくとも1つのばね要素又は少なくとも1つの空気圧シリンダから成る群から選択される、請求項5に記載のホルダ。
【請求項7】
前記力装置(240)が、前記第1の部分(210)と前記第2の部分(220)との間に力を及ぼし、前記第1の部分(210)に対して載置位置から締結位置まで前記第2の部分(220)を移動させるように構成されている、請求項5又は6に記載のホルダ。
【請求項8】
前記ステップ面(214)が、載置される前記基板(101)の厚さ(d)に等しい高さ(h)を有するステップ部分を備える、請求項に記載のホルダ。
【請求項9】
前記第2の部分(220)が、前記第1の傾斜面(212)に対向する接触面(224)を更に備える、請求項1からの何れか一項に記載のホルダ。
【請求項10】
基板(101)を保持するためのキャリア本体(160)に取り付けられるように構成されたホルダ(200)であって、
第1の傾斜面(212)及びステップ面(214)を有し、前記キャリア本体(160)に取り付けられるように構成されているu字型の第1の部分(210)であって、前記ステップ面(214)が、前記第1の傾斜面(212)と面しており、かつ載置される基板(101)を支持するように構成されている、u字型の第1の部分(210)と、
第2の傾斜面(222)及び接触面(224)を有し、開放位置から締結位置まで少なくとも1つの方向(X)に前記第1の部分(210)に対して移動可能である第2の部分(220)であって、前記第2の傾斜面(222)が前記第1の傾斜面(212)に面しており、前記接触面(224)が前記ステップ面(214)に面している、第2の部分(220)と
を備え、
前記第1の傾斜面(212)及び前記第2の傾斜面(222)が、前記接触面(224)に対して7°に等しい角度(α)だけ傾斜しており、
前記締結位置で前記基板(101)をセルフロックするように構成されているホルダ。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の少なくとも1つのホルダ(200)を備えるキャリア(100)。
【請求項12】
第1の側面、第2の側面、第3の側面、及び第4の側面を含むキャリア本体(160)を更に備え、前記少なくとも1つのホルダ(200)が前記キャリア本体(160)の前記第1の側面に配置され、前記第1の側面は、前記キャリア(100)が載置位置に配置される場合、重力に対して、前記第2の側面、前記第3の側面及び前記第4の側面より高い位置に配置されている、請求項11に記載のキャリア。
【請求項13】
キャリア本体(160)を有するキャリア(100)の中に基板(101)を固定するための方法(80)であって、
前記キャリア(100)に基板(101)を載置すること(81)と、
請求項1から10の何れか一項に記載の少なくとも1つのホルダ(200)を前記キャリア本体(160)に対して前記基板(101)に向かって移動させること(82)と、
前記少なくとも1つのホルダ(200)の前記第2の部分(220)を前記基板(101)に向かって少なくとも1つの方向(X)に移動させることによって、前記基板(101)を前記少なくとも1つのホルダ(200)と締結すること(83)と
を含む方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの方向(X)が、前記基板(101)の平面に平行である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば層堆積などの処理中に基板を保持するホルダに関する。本開示の実施形態は、特に、真空層堆積中に基板を保持するためのキャリアのキャリア本体に取り付けるように構成されたホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
材料を基板上に堆積する方法は幾つか知られている。例えば、基板は、物理的気相堆積(PVD)プロセス、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスなどによってコーティングされてよい。典型的にはプロセスは、コーティングすべき基板が配置される処理装置や処理チャンバ内で実施される。装置内には、堆積材料が供給される。複数の材料のみならず、更にその酸化物、窒化物、又は炭化物が、基板上の堆積に使用され得る。更に、エッチング、構造化、アニーリング又はそのようなものなどの他の処理動作を処理チャンバ内で実施することができる。
【0003】
コーティングされた材料は、様々な用途や技術分野で使用することができる。例えば、用途は、半導体デバイスの製造などマイクロエレクトロニクス分野である。更に、ディスプレイ用基板もPVDプロセスによってコーティングされることが多い。更なる用途には、絶縁パネル、有機発光ダイオード(OLED)パネル、TFT付き基板、カラーフィルタなどがある。
【0004】
典型的には、ガラス基板が、処理中にキャリア上に支持される。キャリアは、ガラス又は基板を支持し、処理機械に通される。要するに、キャリアは、ガラス又は基板を駆動する。典型的には、キャリアは、基板の表面を基板の外縁に沿って支持するフレームもしくはプレートを形成し、又は、プレートの場合には、表面それ自体を支持する。特に、ガラス基板をマスキングするためにフレーム形のキャリアを使用することもでき、フレームによって取り囲まれたキャリアの開孔によって、コーティング材料を基板の露出部分に堆積する開孔、又は開孔によって露出した基板部分に他の処理ステップを作用させる開孔が提供される。
【0005】
基板をキャリア内に固定するために、利用できる種々の保持装置、例えばガラスホルダなどがある。最も単純なホルダは、適度に湾曲した板ばねである。この種のばねは、それを開放するためにキャリア/ガラスの前面からのプッシャー動作を必要とする。したがって、キャリア本体の孔が必要になる。処理中に、コーティング材料がその孔を通過し、湾曲した板ばねがもたらされる。ホルダを開放するためにプッシャーが挿入されるとき、湾曲した板ばねからコーティングが剥がれ、よってコーティング品質を阻害する粒子が生成される。粒子生成を回避することが、顧客に対する考慮事項である。キャリアの裏側から操作される他の既知のホルダは、製造及び維持するのに非常にコストがかかる。
【0006】
以上に鑑み、ホルダ、特に、当該技術分野の少なくとも一部を克服する基板を保持するためのキャリア本体に取り付けられるように構成されたホルダを提供することが有益である。
【発明の概要】
【0007】
上記に鑑み、独立請求項1及び11それぞれに記載の、基板を保持するためのキャリア本体に取り付けられるように構成されたホルダ、請求項12に記載のキャリア、及び請求項14に記載のキャリア本体を有するキャリアの中に基板を固定するための方法が提供される。本開示の更なる態様、利点、及び特徴は、従属請求項、明細書、及び添付の図面から明らかである。
【0008】
1つの実施形態によれば、基板を保持するためのキャリア本体に取り付けられるように構成されたホルダが提供される。ホルダは、第1の傾斜面を有し、キャリア本体に取り付けられるように構成されている第1の部分と、第1の部分に対して少なくとも1つの方向に移動可能であるように構成されている第2の部分とを含み、第1の傾斜面が、載置される基板に対して第1の角度だけ傾斜している。
【0009】
更なる実施形態によれば、基板を保持するためのキャリア本体に取り付けられるように構成されたホルダが提供される。ホルダは、第1の傾斜面及びステップ面を有し、キャリア本体に取り付けられるように構成されているu字型の第1の部分であって、ステップ面が、第1の傾斜面と面しており、かつ載置される基板を支持するように構成されている、u字型の第1の部分と、第2の傾斜面及び接触面を有し、開放位置から締結位置まで少なくとも1つの方向に第1の部分に対して移動可能である第2の部分であって、第2の傾斜面が第1の傾斜面に面しており、接触面がステップ面に面している、第2の部分とを含み、第1の傾斜面及び第2の傾斜面が、接触面に対して7°に等しい角度だけ傾斜しており、締結位置で基板をセルフロックするように構成されている。
【0010】
別の態様によれば、少なくとも1つのホルダを含むキャリアが提供される。少なくとも1つのホルダは、第1の傾斜面を有し、キャリア本体に取り付けられるように構成されている第1の部分と、第1の部分に対して少なくとも1つの方向に移動可能であるように構成されている第2の部分とを含み、第1の傾斜面が、載置される基板に対して第1の角度だけ傾斜している。
【0011】
更に別の態様によれば、キャリア本体を有するキャリアの中に基板を固定するための方法が提供される。方法は、キャリアに基板を載置することと、第1の部分及び第2の部分を含む少なくとも1つのホルダをキャリア本体に対して載置される基板に向かって移動させることと、少なくとも1つのホルダの第2の部分を基板に対して少なくとも1つの方向に移動させることによって、基板を少なくとも1つのホルダと締結することとを含む。
【0012】
本発明の上記の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上で簡単に概説した本発明のより具体的な説明を得ることができる。添付の図面は、本開示の実施形態に関し、次の通り説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】AからDは、各々が少なくとも1つのホルダを有している、本明細書に記載の実施形態によるキャリアを示す。
図2】本明細書に記載の実施形態によるホルダを示す。
図3】AからCは、特に基板を締結する処理中の異なる位置における、本明細書に記載の実施形態によるホルダを示す。
図4】本明細書に記載の実施形態によるホルダ200を示す。
図5】AからCは、特に基板を締結する処理中の異なる位置における、本明細書に記載の実施形態によるホルダを示す。
図6】本明細書に記載の実施形態によるキャリア本体を有するキャリアの中に基板を固定するための方法のフローチャートを示す。
図7】本明細書に記載の実施形態による堆積チャンバの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここから、本開示の種々の実施形態が詳細に参照されることになり、そのうちの一又は複数の例が図示される。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。概して、個々の実施形態に関する相違のみが説明される。各実施例は、本開示の説明のために提供されているが、本開示を限定することが意図されているわけではない。更に、1つの実施形態の一部として図示及び説明されている特徴は、更に別の実施形態を得るために、他の実施形態で用いられてもよく、又は他の実施形態と併用されてもよい。本明細書は、このような修正例及び変形例を含むことが意図されている。
【0015】
本明細書に記載の実施形態によれば、少なくとも1つのホルダを含むキャリアが提供される。少なくとも1つのホルダは、セルフロッキング機構によって基板を保持又は締結するように構成される。セルフロッキング機構によって、比較的小さな力をホルダに加えつつ、小さな締結面で高い締結力を実現することができる。ホルダは、第1の部分及び第2の部分を有する2つの部分から成る本体であって、第1の部分に対して移動可能であるように構成される本体を提供する。2つの部分から成る本体は、比較的低い印加力で高い締結能力を提供する。
【0016】
本明細書に記載の実施形態によれば、キャリアは、少なくとも1つのホルダを含む。各ホルダは、第1の傾斜面を有し、キャリア本体に取り付けられるように構成されている第1の部分と、第1の部分に対して少なくとも1つの方向に移動可能であるように構成されている第2の部分とを含み、第1の傾斜面が、載置される基板に対して第1の角度αだけ傾斜している。更に、力装置(force arrangement)、例えば、少なくとも1つのばね要素又は少なくとも1つの空気圧シリンダ、又はそのようなものが提供され、少なくとも1つの方向に沿って第2の部分を押すように構成されている。力装置及び第1の部分に対する第2の部分の相対運動は、第1の傾斜面と併せて、基板を締結するための高い締結力を提供する。
【0017】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、基板の厚さは、0.1mmから1.8mmまでとすることができ、ホルダは、そのような基板の厚さに適合することができる。基板の厚さが約0.9mm以下、例えば0.7mm又は0.5mm又は0.3mmなどであり、ホルダがそのような基板の厚さに特に適合される場合にとりわけ有益であるが、当業者は、ホルダがより小さな又はより大きな基板の厚さに適合されてもよいことを理解するだろう。
【0018】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、大面積基板は、少なくとも0.174mのサイズを有し得る。典型的には、そのサイズは、約1.4mから約8m、より典型的には約2mから約9m、又は最大12mとすることができる。典型的には、本明細書に記載された実施形態によるマスク構造体、装置及び方法に対して提供される長方形の基板が、本明細書に記載された大面積基板である。例えば、大面積基板は、約1.4mの基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.39mの基板(1.95m×2.25m)に対応するGEN7.5、約5.5mの基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7mの基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10とすることができる。GEN11及びGEN12のような更に大きな世代、並びに相当する基板面積を同様に実施することができる。しかしながら、当業者は、ホルダが任意の基板サイズ、即ち先ほど概説したものよりも小さい基板サイズ又は大きい基板サイズにも使用され得ることを理解するだろう。
【0019】
典型的には、基板は、材料堆積に適した任意の材料から作られてもよい。例えば、基板は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、並びに堆積プロセスによってコーティングできる任意の他の材料及び材料の組合せからなる群から選択された材料から作られてもよい。
【0020】
図1Aから図1Dは、各々が少なくとも1つのホルダ200を有している、本明細書に記載の実施形態によるキャリア100を示す。
【0021】
図1Aは、キャリア100を示す。キャリア100は、基板101を支持するように構成されている。図1Aに示されるように、基板101は、特に処理チャンバで処理される際の、キャリア100内のある位置に提供される。キャリア100は、窓又は開孔を画定するフレーム又はキャリア本体160を含む。典型的な実施態様によれば、キャリア本体160は、基板受容面を提供する。典型的には、基板受容面は、動作中に、即ち、基板101が載置されるときに、基板の周囲部分と接触するように構成される。
【0022】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、キャリア本体160は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、その合金、ステンレス鋼又はそのようなものから作ることができる。比較的小さな大面積基板、例えばGEN5基板又はGEN5基板よりも小さな基板に対して、キャリア本体160は、単一の部分から製造することができ、即ち、フレームが一体的に形成される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、キャリア本体160は、上部バー、サイドバー及び底部バーなどの2以上の要素を含むことができる。特に超大面積基板に対して、幾つかの部分を有するキャリア又はキャリア本体を製造することができる。キャリア本体のこれらの部分は、基板101を支持するためのキャリア本体160を提供するように組み立てられる。キャリア本体160は、特に、基板エリア内で基板101を受容するように構成される。
【0023】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、キャリア100は、少なくとも1つのホルダ200を含む。少なくとも1つのホルダ200は、基板エリアに実質的に平行に移動可能に、即ち、図1Aの矢印によって示されるように、基板101の表面に実質的に平行に、かつキャリア本体160に沿って、キャリア本体160に取り付け又は連結され得る。この取り付けによって、処理状態、コーティングされるエリアなど次第で、キャリア本体160の異なる位置への、例えば、基板101の任意のエッジ位置へのホルダ200の位置付けが可能になる。
【0024】
図1Aに示される例では、2つのホルダ200は、キャリア本体160の上部又は上面(フレーム要素)に設けられ得る。2つのホルダ200が図1に示されているが、本開示はこれに限定されない。3つ以上のホルダ200をキャリア本体160の異なる位置に設けることができるだろう。例えば、2つ以上のホルダ200のうちの少なくとも1つを、キャリア本体160のコーナー領域に設けることができるだろう。更に、2つ以上のホルダ200を、キャリア本体160の側面、即ち、基板101の各側面に設けることができるだろう。
【0025】
図1Bは、2つのホルダ200がキャリア本体160の左側に設けられ、2つのホルダ200がキャリア本体160の右側に設けられている例を示す。キャリア本体160の側面に2つ以上のホルダ200を設けることによって、又はキャリア本体160の2つ以上の側面に少なくとも1つのホルダ200を設けることによって、基板101がキャリア100内で保持される安定性を増加させることができる。
【0026】
図1Cに示される例では、少なくとも1つのホルダ200が、キャリア本体160の側面に沿って提供及び/又は分散される。特に、ホルダ200がキャリア本体160に設けられる位置は、基板101の周囲に分散され得る。更に、少なくとも2つのホルダ200は、基板101の周囲に沿って均一に分散され得る。例えば、ホルダ200は、基板101の周囲に沿って300mmから1000mm毎に、例えば、基板101のエッジ周囲で300mmから800mm毎に設けることができる。更に、ホルダ200は、対の位置に設けられ得る。特に、一対のホルダ200が、ある位置で互いに隣接して設けられ得るのに対し、その対のホルダ200の間の距離は、その対の一部ではない別のホルダ200までの距離より小さい。更に、対のホルダ200は、キャリア本体160に対して共に移動可能となるように、キャリア本体160に取り付けられ又は固定され得る。
【0027】
図1Dは、少なくとも1つのホルダ200がキャリア本体160の上側に設けられる例を示す。更に、基板101は、キャリア本体160の下側に載置され、要するに、基板101の下側は、キャリア本体160の下側と接触し得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、キャリア本体160は、第1の側面、第2の側面、第3の側面、及び第4の側面を含む。少なくとも1つのホルダ200は、キャリア本体160の第1の側面に配置され得る。第1の側面(本明細書において、上側(upper or top side)とも称される)は、キャリア100及び/又はキャリア本体160が載置位置に配置されるとき、重力に対して、第2の側面、第3の側面及び第4の側面より高い位置に配置され得る。更に、基板101のエッジが、キャリア本体160の第4の側面に載置され、第4の側面(本明細書では、下側又は底部側とも称される)は、重力に対して第1の側面、第2の側面、及び第3の側面より低い位置に配置され得る。
【0028】
図2は、本明細書に記載の実施形態によるホルダ200を示す。
【0029】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、ホルダ200は、基板101を保持するためのキャリア本体160に取り付けられるように構成される。ホルダ200は、第1の部分210及び第2の部分220を含む。第1の部分210は、とりわけ上記のように、キャリア本体160に取り付けられるように構成される。第1の部分210は、傾斜面212又は第1の傾斜面212を含む。第1の傾斜面212は、載置される基板101に対して第1の角度αだけ傾斜している。第2の部分220は、第1の部分210に対して少なくとも1つの方向Xに移動可能であるように構成されている。
【0030】
特に、第2の部分220は、載置される基板101の方に移動するように構成され得る(図3Aから図3Cを参照)。典型的には、第2の部分220は、第1の部分210に対して、載置される基板101のエッジに対して(以下図3Aから図3Cを参照)、又はキャリア本体160に対して直角な方向に移動可能となるように構成され得る。
【0031】
本出願の文脈において、「〜に直角な方向」又は「〜に平行な方向」は、当業者により、基準物体にそれぞれ直角、平行な方向成分又は主方向を含む方向と理解され得る。特に横方向及び/又は斜め方向がそのような方向成分及び/又は主方向を含む限り、この物体に対する横方向又は斜め方向は、そのような用語によって包含されるものと理解されてもよい。
【0032】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、第2の部分220は、第1の傾斜面212に当接するまで、少なくとも1つの方向Xに移動し得る。要するに、第2の部分220は、第2の部分220の表面が第1の傾斜面212に接触するようになるまで、第1の部分210に対して移動するように形成され得る。
【0033】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、第2の部分220は、第2の傾斜面222を含む。第2の傾斜面222は、第1の傾斜面212に面し得る。更に、第2の傾斜面222が、載置される基板101に対して第2の角度αだけ傾斜し得る。この場合、第2の部分220は、第1の傾斜面212に当接するまで、少なくとも1つの方向Xに移動し得る。したがって、第1の部分210と第2の部分220との間で接触する表面積は増加し、第2の部分220が第1の部分210に当接するまで、第2の部分220が第1の部分に対して移動するとき、第1の部分210と第2の部分220との間で接触面積が増大する。この効果は、第1の傾斜面212及び第2の傾斜面222を同一角度で設けることによって更に増大し得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、第1の角度α及び第2の角度αは互いに等しい。
【0034】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、第1の角度αは、10°以下であり、典型的には8°以下であり、及び/又は4°以上であり、典型的には6°以上である。特に、第1の角度αは、7°に等しい。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、第2の角度αは、10°以下であり、典型的には8°以下であり、及び/又は4°以上であり、典型的には6°以上である。特に、第2の角度αは、7°に等しい。
【0035】
図2の例に示されるように、第1の部分210は、第2の部分220の少なくとも一部を受容するための受容空間を提供するように構成され得る。実質的にu字型を有する受容空間が形成され得る。この文脈では、「実質的にu字型」又は「実質的にu字型」を有するとは、3つの内面又は1つの開口部を有する境界面によって形成されていると理解され得る。例えば、第1の部分210は、第1の傾斜面212に面しているステップ面214を含み得る。更に、第1の部分210は、第1の傾斜面212及びステップ面214を結合する第1の結合面216を含み得る。第1の傾斜面212、ステップ面214及び第1の結合面216は、第1の部分210の受容空間の境界面又は内面を提供し得る。更に、結合面216に対向する第1の部分210の受容空間の一部は、第2の部分220又は第2の部分220の一部がそれを通して第1の部分210に受容される又は挿入される、特に第1の部分210の受容空間に受容される又は挿入される、開口部で構成され得る。
【0036】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるであろう幾つかの実施形態によれば、ステップ面214は、載置される基板101を支持するように構成される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるであろう幾つかの実施形態によれば、ステップ面214が、載置される基板101の厚さdに等しい高さhを有するステップ部分を含む。したがって、ステップ面は、異なるレベルで配置されかつステップ部分によって分離される2つの表面セグメントを含み得る。これら2つの表面セグメントのうちの1つは、第1の結合面216に結合され得る。これら2つの表面セグメントのうちのもう1つは、基板101に支持を提供し得る。ステップ部分に基板10の厚さdと同じ高さhを提供することによって、ステップ面124に対向する基板101の表面及び結合面216に結合されるステップ面216の表面セグメントが、同じレベルで提供され得る。本明細書に記載の実施形態によれば、載置された基板101を伴うステップ面214は、以下で更に説明されることになるように、第2の部分220に滑走面を提供し得る。
【0037】
第2の部分220は、図2の例に示されるように鉛筆型断面を有し得る。例えば、第2の部分220は、第1の傾斜面212に対向する接触面224を含み得る。特に、接触面224は、第2の傾斜面222に対向するように提供され得る。更に、第2の部分220は、第2の傾斜面222及び接触面224を結合する第2の結合面226を含み得る。第2の傾斜面222、接触面224及び第2の結合面226は、境界面、又は第2の部分220の一部、特に第1の部分210の受容空間に少なくとも部分的に収容され得る第2の部分220の一部の周辺部を提供し得る。
【0038】
図2の例に示されるように、接触面224は、第1の部分210のステップ面214に面し得る。更に、第2の結合面226は、第1の結合面216に面し得る。以下で更に詳しく説明されるように、第2の部分220が第1の部分210に対して移動するとき、第1の結合面216と第2の結合面226との間の間隙は、サイズが変わり得る。特に、第1の結合面216と第2の結合面226との間の間隙は、第2の部分220が基板101に向かって方向Xに移動するとき、即ち、第1の部分210の受容空間から移動するとき、より大きくなり得る。
【0039】
ホルダ200の第2の部分220の位置を基準点と考えると、基板101の方への第1の部分210に対する第2の部分220の移動は、等しく又は代替的には、ホルダ200の第1の部分210が取り付けられる、キャリア本体160の部分から遠ざかるような第1の部分210に対する第2の部分220の移動と理解され得る。
【0040】
更に、本出願の文脈では、「傾斜面」は、基準物体に対してある角度だけ傾斜する少なくとも傾斜面セグメントを含む表面と理解され得る。要するに、「傾斜面」は、例えば、図2の例に示されるように、第1の傾斜面212に対してそうであるように、基準物体に対して傾斜し得る。しかしながら、「傾斜面」は、少なくとも2つの表面セグメント中で、例えば、第2の傾斜面222について図2の例に示すように、これらのセグメントの一方のみが基準物体に対して傾斜しているような、少なくとも2つの表面セグメントを含む表面としても理解され得る。その点で、第2の傾斜面222は、載置される基板101に対して傾斜がない第1の表面セグメント222a、及び載置される基板101に対して第2の角度αだけ傾斜する第2の傾斜面セグメント222bを含み得る。
【0041】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、ホルダ200は、基板受容空間230を更に含む。基板受容空間230は、基板載置を促進し得る。基板受容空間230は、第1の部分210及び第2の部分220によって形成され得る。特に、基板受容空間230は、第1の部分210のステップ面214、特に第1の結合面216に結合されていないステップ面214の表面セグメント、及び第2の部分220の延長面225によって形成され得る。延長面は、基板受容空間230を開放するためにステップ面214から突出する表面セグメント、及び第2の部分220に向かって基板受容空間230の範囲を定める更なる表面セグメントを有する接触面の延長部分であり得る。
【0042】
基板受容空間230は、基板101の厚さdより大きい幅wを有し得る。幅wは、上記のようにステップ面214と更なる表面セグメントとの間の距離と理解され得る。特に、幅wは、基板101の厚さd次第で、0.4mmから8mmまでの範囲内となり得る。とりわけ、幅wは、基板101の厚さの2倍から8倍であり、特に3倍から5倍、典型的には4倍であり得る。例えば、約0.3mmの厚さdを有する基板101について、幅wは約1.2mmであり得る。
【0043】
図3Aから図3Cは、本明細書に記載の実施形態によるホルダ200、特に基板101を締結する処理中の異なる位置における、本明細書に記載の実施形態によるホルダ200を示している。
【0044】
上記ホルダ200は、第2の部分220の少なくとも一部を受容するための受容空間を提供するように構成された第1の部分210を含み得る。受容空間は、少なくとも1つの傾斜面212で構成され得る。第1の部分210及び第2の部分220のうちの少なくとも1つは、もう1つに対して移動可能に構成され得る。
【0045】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるであろう幾つかの実施形態によれば、第1の部分210及び第2の部分220は、セルフロッキング機構によって基板101を保持するように構成される。当業者は、「セルフロッキング」又は「セルフロッキング機構」という用語を、閉じられると自動的にロックする機構と理解し得る。したがって、第2の部分220が第1の部分210に当接するまで、特に第1の部分210の第1の傾斜面212に当接するまで、第1の部分210に対して第2の部分220が移動したときの位置は、閉鎖位置又は締結位置と称され得る(より詳しくは図3C及び図5Cを参照)。
【0046】
特に、当業者は、「セルフロッキング」が、2つの隣接する物体のスライディング又は滑走への摩擦抵抗によって引き起こされる2つの隣接する物体のロッキング効果を説明することを認識し得る。いったん静摩擦が超過すると、物体はもはやセルフロッキングしていない。セルフロッキングは、例えば、接触面の傾斜角及び表面粗さなどによって影響されると認識され得る。特に、セルフロッキングを達成するために、傾斜角は、静摩擦係数のアークタンジェントより小さく作られ得る。
【0047】
図3Aの例に示されるように、ホルダ200の第1の部分210は、外面218を更に含み得る。外面218は、第2の部分220を受容するための受容空間に隣接して配置され得る。即ち、外面218は、受容空間内に配置されなくてもよい。特に、外面218は、第1の傾斜面212に結合され得る。更に、外面218は、第2の部分220の対向面228に面し得る。対向面228により制約されている第2の部分220の一部と第2の傾斜面222により制約されている第2の部分220の一部、接触面224、及び第2の結合面226がL字型となり得るように、第2の部分の対向面228は、第2の傾斜面222に結合され得る。更に、ホルダ200は、結合部材250によって、キャリア100のキャリア本体160に連結又は結合され得る。
【0048】
図3Aの例は、載置位置又は開放位置のホルダ200、即ち、ホルダ200が基板101を締結していない場合のホルダ200を示している。この位置で、第2の部分220は、第1の部分210の受容空間に挿入又は収容されている。図3Aの例では、第1の結合面216と第2の結合面226との間の間隙は、比較的小さい。更に、接触面224は、第1の結合面216に結合されるステップ面214の表面セグメントに面し得る。特に、結合面は、第1の結合面216に結合されるステップ部分の側面に、即ち、ステップ部分として受容空間内により深く、提供又は配置され得る。
【0049】
図3Aの例は、基板101を更に示す。基板101は、上記のようにキャリア100に載置されていてもよい。図3Aに示される例では、基板101は、ホルダ200からの遠隔位置にあり、即ち、ホルダ200と接触しない。
【0050】
図3Bの例は、ホルダ200が基板101に向かって接近している状態の、即ち、ホルダ200が基板101に向かって移動しているときのホルダ200を示す。特に、ホルダ200は、基板101が第1の部分210のステップ面214のステップ部分に当接するまで、基板101に向かって移動し得る。更に、基板101の表面、及び第2の部分220の接触面224に面しているステップ面214の表面セグメントが、第2の部分220の滑走面を形成するように、基板101は、ステップ面によって支持され得る。特に、接触面224に面しているステップ面214の表面セグメント及び基板101の上面は、同一レベルであり得る。このレベリングは、例えば、ステップ部分の高さhが基板101の厚さdと等しい場合などに実現され得る。
【0051】
基板101に向かったホルダ200の移動中に、基板101は、ステップ面214のステップ部分に当接する前に、基板受容空間230に受容又は挿入され得る。基板受容空間にステップ部分の高さhよりも大きい幅wを提供することによって、ホルダ200は、基板101を挿入するための遊隙又は許容空間を有して構成され得る。幾つかの実施形態によれば、基板101に対するホルダ200の位置のずれを補償することができる。
【0052】
図3Cの例は、締結位置のホルダ200、即ち、ホルダ200が基板101を締結するときのホルダ200を示している。キャリア100又はキャリア本体160に事前に載置されている基板101を締結するために、第2の部分220は、第1の部分210に対して少なくとも方向Xに、特に基板101に向かって移動し得る。
【0053】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるであろう幾つかの実施形態によれば、ホルダ200は、力装置(force arrangement)240を更に含む。例えば、力装置240は、少なくとも1つのばね要素又は少なくとも1つの空気圧シリンダを含み得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるであろう幾つかの実施形態によれば、力装置240は、第1の部分210と第2の部分220との間に力を及ぼし、第1の部分210に対して、図3A及び図3Bに示される載置位置から、図3Cに示される締結位置まで、第2の部分220を移動させるように構成されている。
【0054】
特に、力装置240は、第1の部分210の受容空間に対して外に向かう方向に、第2の部分220を移動させてもよく又は押してもよい。例えば、力装置240は、第2の部分220が第1の傾斜面212に当接するまで、少なくとも1つの方向Xに第2の部分220を移動させ得る。図3Cに示される例では、力装置240は、第2の部分220の第2の傾斜面222が第1の部分210の第1の傾斜面212と接触するようになるまで、少なくとも1つの方向Xに第2の部分220を移動させる又は押す。
【0055】
第1の部分210に対する少なくとも1つの方向Xへの第2の部分220の上記移動中に、第2の部分220の接触面224は、図3Bに示される第1の結合面216に結合されるステップ面214の表面セグメントに面している位置から、ステップ面214の別の表面セグメントに面している位置まで移動する。特に、ステップ面214のステップ部分に基板101の厚さdと同一の高さhを提供することによって、接触面224は、ステップ面214から基板101まで滑らかに滑走し得る。
【0056】
力装置240は、第1の部分210と第2の部分220との間に力を及ぼし、第2の部分220を第1の部分210に対して方向Xに移動させる。この移動中に、第2の部分220は、第1の部分210の第1の傾斜面212に接触するようになる。第1の傾斜面212の角度αだけの傾斜に起因し、方向Xに沿って及ぼされた力は、方向Xに直交し得る方向Yに沿って作用する力に伝達される。したがって、第2の部分220、特に第2の部分220の接触面224は、ホルダ200の中で基板101を締結するために、基板101に押し付けられ得る。特に、方向Yは、基板101の表面に直角であり得る。
【0057】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるであろう幾つかの実施形態によれば、動作中に、即ち、基板101がキャリア100によって運搬されるときに、基板101は、第1の部分210のステップ面214と第2の部分の接触面224との間に挿入される又は挟まれる。基板101のエッジ、例えば、側面は、ステップ面214のステップ部分と接触することができる。基板101は、画定された位置で締結することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、第2の位置220の移動方向は、少なくとも1つの方向X、即ち基板101に向かう方向である。幾つかの実施形態によれば、第1の部分210に対する第2の部分220の移動方向は、代替的又は追加的には、ステップ面214のステップ部分に当接する基板101のエッジに直角及び/又は基板の平面に平行とすることもできるだろう。
【0058】
上記で概説したように、ホルダ200は、基板101を締結又は保持するためにセルフロッキング機構を使用又は適用し得る。本明細書に記載の幾つかの実施形態によれば、高い締結力は、小さな締結面、即ち、接触面224に対応する表面で、適度なばね力を用いて実現できる。要するに、力装置240が及ぼす力と比較して高い締結力が実現できる。
【0059】
図3Aから図3Cまでの例では、力装置240は、第1の部分210の外面218と第2の部分の対向面228との間に配置されるように示されている。当業者は、本開示がこれに限定されないことを理解するだろう。例えば、力装置240は、例えば、第1の結合面216と第2の結合面226との間に力を及ぼすように、第1の部分210又は第2の部分220内に提供され得る。したがって、本開示は、力装置240の任意のそのような変形例を包含する。
【0060】
図4は、本明細書に記載の実施形態によるホルダ200を示す。
【0061】
図4に示される例によれば、ホルダ200は、案内装置260を更に含み得る。案内装置260は、第1の部分210に対する第2の部分220の移動に案内を提供し得る。特に、案内装置260は、第2の部分220がそれに沿って第1の部分210に対して移動可能である方向を決定し得る。本明細書に記載の実施形態によれば、第1の部分210に対する第2の部分220の滑らかな移動が提供され得る。
【0062】
図4の例は、載置装置300を更に示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるだろう幾つかの実施形態によれば、載置装置300は、載置中に載置位置でホルダ200を保持するように構成される。特に、保持装置300は、第1の部分210及び第2の部分220を共に保持し、即ち、第1の結合面216と第2の結合面226との間の間隙が比較的小さい位置で第2の部分220を保持し得る。要するに、載置装置300は、力装置240が及ぼす力を相殺し得る。
【0063】
図5Aから図5Cは、本明細書に記載の実施形態によるホルダ200、特に基板101を締結する処理中の異なる位置における、本明細書に記載の実施形態によるホルダ200を示している。
【0064】
図5Aの例は、基板101がキャリア100又はキャリア本体160に載置される、開放位置又は載置位置のホルダ200を示している。更に、ホルダ200は、基板101からの遠隔位置に配置される。図5から分かるように、載置装置300は、ホルダ200に結合され、第1の部分210及び第2の部分220を共に保持し、即ち、第2の部分220が第1の部分210の受容空間に挿入又は受容されている状態でホルダ200を保持している。
【0065】
図5Bの例は、ホルダ200が基板101に接近した又は基板101に向かって移動した後のホルダ200を示している。特に、基板101は、上記のように、第1の部分210のステップ面214に位置付けられ得る。更に、載置装置300は、載置位置でホルダ200をなおも保持し得る。
【0066】
図5Cの例は、締結位置のホルダ200を示している。力装置240を妨害する載置装置300は、除去又は解放されている。力装置240は、基板101に向かって第2の位置220を押すか又は移動させ得る。第1の部分210、特に基板101の接触面214は、基板101と接触し得る。第1の傾斜面212の傾斜に起因して、接触面224は、力装置によって基板101に向かって押される。したがって、基板101は、第1の部分210と第2の部分220との間に挟まれ得る。第1の部分210に対する第2の部分220の移動は、案内装置260によって案内され、第1の部分210に対する第2の部分220の滑らかな移動を提供する。
【0067】
載置装置300が載置位置でホルダ200を機械的に保持するように図示されているが、当業者は、載置装置300が他の機構によって載置位置でホルダ200を保持し得ることを理解するだろう。例えば、載置装置300は、例えば、電磁気装置によって印加される、磁気力によって載置位置でホルダ200を保持し得る。
【0068】
ステップ面214及び第1の結合面216が、ホルダ200の第1の部分210の一部又は第1の部分210として説明されてきたが、当業者は、ステップ面214及び/又は結合面216がキャリア100の一部であってもよいことを理解するだろう。例えば、ステップ面は、例えばキャリア本体160に結合される、キャリア100の突出部材の表面であり得る。この場合、基板101は、キャリア100によって支持され得る。特に、基板101は、締結位置において、ホルダの第2の部分220とキャリア100の突出部材との間に挟まれ得る又は締結され得る。更に、結合面216は、ステップ面214がキャリア100により提供されるときには省略され得る。
【0069】
異なる実施形態によれば、PVD堆積プロセス、CVD堆積プロセス、基板構造化エッジング(substrate structuring edging)、加熱(例えばアニール)又は任意の種類の基板処理に対して、キャリア100を利用することができる。本明細書に記載されたキャリアの実施形態及びこのようなキャリアを利用する方法の実施形態は、非定常の、即ち、連続基板処理に特に有用である。典型的には、垂直に配向された大面積ガラス基板を処理するためのキャリアが提供される。非定常の処理は、一般に、キャリアが処理用のマスキング要素も提供することを含む。
【0070】
図6は、本明細書に記載の実施形態によるキャリア本体160を有するキャリア100の中に基板101を固定するための方法80のフローチャートを示す。
【0071】
ブロック81で、基板101は、キャリア100に載置される。ブロック82で、少なくとも1つのホルダ200は、キャリア本体160に対して載置された基板101に向かって移動する。少なくとも1つのホルダ200は、第1の部分210及び第2の部分220を含む。ブロック83では、少なくとも1つのホルダ200の第2の部分220を基板101に向かって少なくとも1つの方向Xに移動させることによって、基板101は、少なくとも1つのホルダ200と締結される。特に、少なくとも1つの方向Xは、基板101の平面に平行であり得る。要するに、少なくとも1つのホルダ200は、ホルダ200が基板101を支持するまで、基板101に向かってまず移動し得る。次いで、ホルダ200の第2の部分220が、更に基板101に向かって、即ち、少なくとも1つの方向Xに移動する一方で、第1の部分210は、基板101に対してその位置を維持する。
【0072】
特に、第2の部分220は、ホルダ200がキャリア本体160に対して載置された基板101に向かって移動したときに解放される基板101に向かって、力装置240によって移動させられ又は押されることがある。力装置240が及ぼす力は、セルフロッキング機構によってホルダ200で基板101を保持又は締結するために使用され得る。例えば、ホルダ200の第1の部分210は、第1の角度αによって基板101に対してずらされている第1の傾斜面212を含み得る。第1の傾斜面212は、例えば方向Xに沿って、力装置が及ぼす力を、基板101の表面に直角な方向Yに沿った力に伝達し得る。
【0073】
図7は、本明細書に記載の実施形態による堆積チャンバ600の概略図を示す。堆積チャンバ600は、PVDプロセス、又はCVDプロセスなどの堆積プロセスに対して適合される。基板101は、基板輸送装置620上のキャリア100内に又はキャリア100に位置するように示されている。チャンバ612内には、基板101がコーティングされる側に面して、堆積材料源630が配置されている。堆積材料源630は、基板101の上に堆積される堆積材料を提供する。
【0074】
図7では、材料源630は、その上に堆積材料を有するターゲット、又は材料が基板101上への堆積のため放出されることを可能にする他の任意の装置であり得る。典型的には、材料源630は、回転ターゲットであり得る。幾つかの実施形態によれば、材料源を配置しかつ/又は交換するために、材料源630は移動可能でありうる。他の実施形態によれば、材料源は平面ターゲットでありうる。
【0075】
幾つか実施形態によれば、堆積材料は、堆積プロセス及びコーティングされた基板のその後の用途によって選択され得る。例えば、材料源の堆積材料は、アルミニウム、モリブデン、チタン、銅などの金属、シリコン、酸化インジウムスズ及び他の透明な導電性酸化物からなる群から選択される材料とすることができる。典型的には、かかる材料を含みうる酸化物、窒化物又は炭化物の層を、材料源から材料を供給することによって、又は反応性堆積、すなわち材料源からの材料が処理ガスからの酸素、窒化物又は炭素のような要素と反応することによって、堆積させることが可能である。
【0076】
典型的には、基板101は、キャリア100内に又はキャリア100に提供され、エッジ除外マスク、特に非定常の堆積プロセス用のエッジ除外マスクとしての役目も果たすことができる。点線665は、チャンバ600の動作中の堆積材料の経路を例示的に示す。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態によれば、マスキングを、チャンバ612内に提供される別個のエッジ除外マスクによって提供することができる。それによって、本明細書に記載された実施形態によるキャリアは、定常のプロセスに対して、また非定常のプロセスに対しても有益となりうる。
【0077】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ホルダ200は、特に堆積処理中に、基板101のエッジをしっかりと保持する。実施形態は、特に基板の長さ及び高さがより大きくなっているにもかかわらず、基板の厚さが減少する事実を考慮すると、ガラスの破損を減らすことができる。図7の例では、1つのホルダ200が、基板の両側に提供された状態で示されている。例えば図1Aから図1Dを参照して先ほど説明されたように、本開示は、そのような配置に限定されていない。例えば、重力に関して、少なくとも1つのホルダがキャリア100の上側に提供され得るが、基板101は、キャリア100の下側に置かれる。
【0078】
「垂直方向」又は「垂直配向」という用語は、「水平方向」又は「水平配向」と区別するものと理解される。つまり、「垂直方向」又は「垂直配向」は、例えば、キャリア及び基板の、実質的に垂直な配向に関連し、正確な垂直方向又は垂直配向からの数度、例えば、10°まで若しくは15°まで、のずれは、依然として「実質的に垂直な方向」又は「実質的に垂直な配向」と見なされる。垂直方向は、重力に実質的に平行とすることができる。
【0079】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載された実施形態によれば、実質的に垂直とは、特に基板の配向に対して言及する場合、垂直方向から20度以下、例えば、10度以下のずれを許容すると理解される。例えば、垂直配向から幾らかのずれを有する基板支持体がより安定した基板位置をもたらすことができるので、このようなずれを提供することができる。しかし、有機材料の堆積中の基板配向は、実質的に垂直であると見なされ、水平な基板配向とは異なると見なされる。
【0080】
「実質的に直角」という用語は、例えば、回転軸及び支持面若しくは基板表面の、実質的に直角な配向に関係し、正確な直角配向からの数度、例えば10°まで、若しくは15°までさえ、それらのずれは、依然として「実質的に直角」と見なされる。
【0081】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7