(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
サスポエマルション製剤(SE)は、典型的には農薬製剤の分野において従来型の製剤である。殺有害生物剤であるSE製剤において、サスポエマルション製剤は、市販の製品においてあらかじめ形成され、従来においては、噴霧混合物を作る時に水等の担体により希釈される。
【0006】
サスポエマルション製剤は、連続水相、分散油相、及び懸濁固体相を通常含む。油相は水相の中で液滴を通常形成している。油相は水不混和性溶媒を通常含む。油相は、水不混和性溶媒に溶解している第1の殺有害生物剤を通常含む。固体相は、水相の中で固体粒子を通常形成している。固体相は、連続水相に懸濁している第2の殺有害生物剤を通常含む。
【0007】
第1の殺有害生物剤は水不混和性溶媒に溶解している。好ましくは、第1の殺有害生物剤は、サスポエマルション製剤の分散油相に少なくとも存在する。第2の殺有害生物剤は、連続水相に懸濁している。好ましくは、第2の殺有害生物剤は、サスポエマルション製剤の固体相に少なくとも存在する。
【0008】
サスポエマルション製剤は、第1の殺有害生物剤及び第2の殺有害生物剤に加えて少なくとも1種のさらなる殺有害生物剤を含み得る。さらなる殺有害生物剤は油相に及び/又は水相に存在し得る。
【0009】
油相液滴の平均液滴径は通常0.1から20μmの、特に0.3から10μmの、具体的には0.5から4.0μmの範囲である。平均液滴径はレーザー回折による粒径測定により、例えばMalvern Mastersizer 2000を使用して決定することができる。
【0010】
第2の殺有害生物剤は、結晶形態で存在してもよく、20℃で固体である非晶質粒子の形態で存在してもよい。第2の殺有害生物剤は通常、固体粒子の形態で存在する。第2の殺有害生物剤は通常、x50値が0.1から10μm、好ましくは0.2μmから5μm、とりわけ好ましくは0.5μmから2μmの粒子サイズ分布を有する。粒子サイズ分布は、当該粒子を含む水性懸濁液のレーザー光回折によって決定することができる。この測定方法では、試料調製、例えば測定濃度への希釈は、懸濁試料中における活性物質の微細度及び濃度に、並びにとりわけ使用装置(例えば、Malvern Mastersizer)に依存することになる。この手順は、当該システム用に作成されているはずであり、当業者に公知である。
【0011】
サスポエマルション製剤は水性サスポエマルション製剤であり、このことは例えば前記サスポエマルション製剤は水を含むことを意味する。サスポエマルション製剤は、サスポエマルション製剤の総重量に対して少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、とりわけ好ましくは少なくとも15重量%の水を含むことができる。サスポエマルション製剤は、サスポエマルション製剤の総重量に対して20から80重量%、好ましくは30から75重量%、とりわけ好ましくは35から70重量%の水を含むことができる。
【0012】
サスポエマルション製剤は水不混和性溶媒を含む。水不混和性溶媒は、20℃で50g/lまで、好ましくは20g/lまで、特に5g/lまでで水溶性であり得る。
【0013】
水不混和性溶媒に適した例は、
・ 炭化水素溶媒、例えば、脂肪族炭化水素、環状炭化水素及び芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンもしくはそれらの誘導体、中〜高沸点の鉱物油留分(灯油、ディーゼル油、コールタール油等))、
・ 植物油、例えばトウモロコシ油、ナタネ油、
・ 酢酸ベンジル、
・ 脂肪酸エステル、例えばC
10〜C
22-脂肪酸のC
1〜C
10-アルキルエステル、又は
・ 植物油のメチルエステル又はエチルエステル、例えばナタネ油メチルエステル又はトウモロコシ油メチルエステルである。
上記溶媒の混合物も可能である。好ましい溶媒は芳香族炭化水素である。
【0014】
適切な水不混和性溶媒は芳香族炭化水素である。芳香族炭化水素は炭素及び水素からなると共に芳香基を含む化合物である。少なくとも160℃、好ましくは少なくとも180℃の初留点を有する芳香族炭化水素及びそれらの混合物が好ましい。芳香族炭化水素の例は、ベンゼン、トルエン、o-、m-又はp-キシレン、ナフタレン、ビフェニル、o-又はm-テルフェニル、C
1〜C
20-アルキルにより一置換もしくは多置換されている芳香族炭化水素、例えば、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ヘキサデシルベンゼン、メチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ヘキシルナフタレン又はデシルナフタレンである。他に適切なものは、少なくとも160℃の初留点を有する芳香族炭化水素混合物である。好ましい芳香族炭化水素は、少なくとも160℃、好ましくは少なくとも180℃の初留点を有する芳香族炭化水素混合物である。上の芳香族炭化水素の混合物も可能である。
【0015】
通常、サスポエマルション製剤は、いずれの場合にもサスポエマルション製剤の総重量に対して、5から60重量%、好ましくは10から55重量%、とりわけ好ましくは20から45重量%の水不混和性溶媒を含む。
【0016】
サスポエマルション製剤は水不混和性溶媒に加えて水溶性溶媒も含み得る。水溶性溶媒は20℃で50g/l超で、好ましくは100g/l超で水溶性であり得る。通常、サスポエマルション製剤は、いずれの場合にもサスポエマルション製剤の総重量に対して、10重量%未満、好ましくは3重量%未満、とりわけ好ましくは1重量%未満の水溶性溶媒を含む。一形態では、サスポエマルション製剤は本質的に水溶性溶媒を含んでいない。
【0017】
殺有害生物剤という用語は、殺菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、除草剤、毒性緩和剤、生物農薬及び/又は生長調節剤の群から選択される、少なくとも1種の活性物質を指す。好ましい殺有害生物剤は、殺菌剤、殺虫剤、除草剤及び生長調節剤である。とりわけ好ましい殺有害生物剤は殺虫剤である。上記分類の2種以上のものからの殺有害生物剤の混合物も、使用し得る。当業者は、こうした殺有害生物剤に精通しており、例えば、Pesticide Manual 16th Ed.(2013), The British Crop Protection Council, Londonに見出すことができる。適切な殺虫剤は、カーバメート、有機リン酸エステル、有機塩素の殺虫剤、フェニルピラゾール、ピレスロイド、ネオニコチノイド、スピノシン、アバメクチン、ミルベマイシン、幼若ホルモン類似体、ハロゲン化アルキル、有機スズ化合物、ネライストキシン類似体、ベンゾイル尿素、ジアシルヒドラジン、METI殺ダニ剤の種類からの殺虫剤であり、及びクロルピクリン、ピメトロジン、フロニカミド、クロフェンテジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、ジアフェンチウロン、プロパルギット、テトラジホン、クロルフェナピル、DNOC、ブプロフェジン、シロマジン、アミトラズ、ヒドラメチルノン、アセキノシル、フルアクリピリム、ロテノン又はそれらの誘導体の種類からの殺虫剤である。適切な殺菌剤は、ジニトロアニリン、アリルアミン、アニリノピリミジン、抗生物質、芳香族炭化水素、ベンゼンスルホンアミド、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアジン、ベンジルカーバメート、カーバメート、カルボキサミド、カルボン酸ジアミド、クロロニトリル、シアノアセトアミドオキシム、シアノイミダゾール、シクロプロパンカルボキサミド、ジカルボキシミド、ジヒドロジオキサジン、ジニトロフェニルクロトネート、ジチオカーバメート、ジチオラン、エチルホスホネート、エチルアミノチアゾールカルボキサミド、グアニジン、ヒドロキシ-(2-アミノ)ピリミジン、ヒドロキシアニリド、イミダゾール、イミダゾリノン、無機物、イソベンゾフラノン、メトキシアクリレート、メトキシカーバメート、モルフォリン、N-フェニルカーバメート、オキサゾリジンジオン、オキシミノ酢酸、オキシミノアセタミド、ペプチジルピリミジンヌクレオシド、フェニルアセタミド、フェニルアミド、フェニルピロール、フェニル尿素、ホスホネート、ホスホロチオレート、フタラミン酸、フタルイミド、ピペラジン、ピペリジン、プロピオンアミド、ピリダジノン、ピリジン、ピリジニルメチルベンゾアミド、ピリミジンアミン、ピリミジン、ピリミジノンヒドラゾン、ピロロキノリノン、キナゾリノン、キノリン、キノン、スルファミド、スルファモイルトリアゾール、チアゾールカルボキサミド、チオカーバメート、チオファネート、チオフェンカルボキサミド、トルアミド、トリフェニルスズ化合物、トリアジン、トリアゾールの種類からの殺菌剤である。適切な除草剤は、アセトアミド、アミド、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンズアミド、ベンゾフラン、安息香酸、ベンゾチアジアジノン、ビピリジリウム、カーバメート、クロロアセトアミド、クロロカルボン酸、シクロヘキサンジオン、ジニトロアニリン、ジニトロフェノール、ジフェニルエーテル、グリシン、イミダゾリノン、イソオキサゾール、イソオキサゾリジノン、ニトリル、N-フェニルフタルイミド、オキサジアゾール、オキサゾリジンジオン、オキシアセトアミド、フェノキシカルボン酸、フェニルカーバメート、フェニルピラゾール、フェニルピラゾリン、フェニルピリダジン、ホスフィン酸、ホスホロアミデート、ホスホロジチオエート、フタラメート、ピラゾール、ピリダジノン、ピリジン、ピリジンカルボン酸、ピリジンカルボキサミド、ピリミジンジオン、ピリミジニル(チオ)ベンゾエート、キノリンカルボン酸、セミカルバゾン、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン、スルホニル尿素、テトラゾリノン、チアジアゾール、チオカーバメート、トリアジン、トリアジノン、トリアゾール、トリアゾリノン、トリアゾロカルボキサミド、トリアゾロピリミジン、トリケトン、ウラシル、尿素の種類からの除草剤である。
【0018】
第1の殺有害生物剤は少なくとも1種の水不溶性殺有害生物剤を含み得る。第2の殺有害生物剤は少なくとも1種の水不溶性殺有害生物剤を含み得る。水不溶性殺有害生物剤は、20℃にて、10g/l以下、好ましくは1g/l以下、特に0.5g/l以下の水に対する溶解度を有し得る。
【0019】
第1の殺有害生物剤は、例えば20℃にて、少なくとも5g/l、好ましくは少なくとも20g/l、特に少なくとも40g/lの量で、水不混和性溶媒(例えばトルエン)に可溶性であり得る。
【0020】
第1の殺有害生物剤は20℃にて、固体でもよく、液体でもよい。
【0021】
第2の殺有害生物剤は、少なくとも40℃、好ましくは50℃、特に少なくとも70℃の融点を有してよい。
【0022】
通常、サスポエマルション製剤は、いずれの場合にもサスポエマルション製剤の総重量に対して、0.1から35重量%、好ましくは0.5から20重量%、とりわけ好ましくは1から10重量%の第1の殺有害生物剤を含む。
【0023】
通常、サスポエマルション製剤は、いずれの場合にもサスポエマルション製剤の総重量に対して、0.1から35重量%、好ましくは0.5から25重量%、とりわけ好ましくは2から15重量%の第2の殺有害生物剤を含む。
【0024】
通常、サスポエマルション製剤は、いずれの場合にもサスポエマルション製剤の総重量に対して、全ての殺有害生物剤の合計(例えば第1の殺有害生物剤、第2の殺有害生物剤及びさらなる殺有害生物剤の合計)で0.1から35重量%、好ましくは0.5から25重量%、とりわけ好ましくは3から15重量%を含む。
【0025】
ポリマー粒子は、重合形態のメチル(メタ)アクリレート及びC
2〜C
12アルキル(メタ)アクリレートを含むポリマーを含む。好ましくは、ポリマー粒子は、重合形態のメチル(メタ)アクリレート及びC
2〜C
12アルキル(メタ)アクリレートを含むポリマーからなる。
【0026】
ポリマーは、重合形態のメチル(メタ)アクリレート(モノマーA)及びC
2〜C
12アルキル(メタ)アクリレート(モノマーB)を含む。
【0027】
用語「メチル(メタ)アクリレート」とは、メタクリル酸メチル及び/又はアクリル酸メチルに関する。好ましくは、メチル(メタ)アクリレート(モノマーA)はメタクリル酸メチルである。
【0028】
ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、少なくとも20wt%、好ましくは少なくとも30wt%、特に少なくとも40wt%のメチル(メタ)アクリレート(例えば、メタクリル酸メチル)を含む。ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、80wt%以下、好ましくは70wt%以下、特に60wt%以下のメチル(メタ)アクリレート(例えばメタクリル酸メチル)を含む。
【0029】
用語「C
2〜C
12アルキル(メタ)アクリレート」とは、C
2〜C
12アルキルアクリレート及び/又はC
2〜C
12アルキルメタクリレートに関する。好ましくは、モノマーBはC
2〜C
8アルキル(メタ)アクリレートであり、より好ましくはC
3〜C
6アルキル(メタ)アクリレートであり、特にアクリル酸ブチルである。別の好ましい形態では、モノマーBはC
2〜C
8アルキルアクリレートであり、より好ましくはC
3〜C
6アルキルアクリレートであり、特にアクリル酸ブチルである。
【0030】
ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、少なくとも20wt%、好ましくは少なくとも30wt%、特に少なくとも40wt%のモノマーB(例えば、アクリル酸ブチル)を含む。ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、80wt%以下、好ましくは70wt%以下、特に60wt%以下のモノマーB(例えば、アクリル酸ブチル)を含む。
【0031】
一形態では、ポリマーは重合形態のメタクリル酸メチル及びC
2〜C
8アルキル(メタ)アクリレートを含む。別の形態では、ポリマーは重合形態のメタクリル酸メチル及びC
3〜C
6アルキルアクリレートを含む。
【0032】
好ましい一形態では、ポリマーは重合形態の30〜70wt%のメタクリル酸メチル及び30〜70wt%のC
2〜C
8アルキル(メタ)アクリレートを含む。
【0033】
別の好ましい形態では、ポリマーは重合形態の30〜70wt%のメタクリル酸メチル及び30〜70wt%のC
3〜C
6アルキルアクリレートを含む。
【0034】
より好ましい形態では、ポリマーは重合形態の35〜65wt%のメタクリル酸メチル及び35〜65wt%のC
2〜C
6アルキル(メタ)アクリレートを含む。
【0035】
別の形態では、ポリマーは重合形態の35〜65wt%のメタクリル酸メチル及び35〜65wt%のアクリル酸ブチルを含む。
【0036】
ポリマーは、モノマーA及びモノマーBに加えて重合形態の少なくとも1種(例えば1〜5種)のさらなるモノマー(モノマーC)を含み得る。
【0037】
適切なさらなるモノマー(モノマーC)には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、及びそれらの混合物が含まれる。さらなる例には、ビニルトルエン;共役ジエン(例えば、1,3-ブタジエン及びイソプレン);α,β-モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸又はそれらの無水物(例えばイタコン酸、クロトン酸、ジメタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、シトラコン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、及びメチルマロン酸無水物);マレイン酸、フマル酸、又はイタコン酸と、C1〜C12、C1〜C8、又はC1〜C4アルカノールとのエステル、例えばマレイン酸ジメチル及びマレイン酸n-ブチル;アクリルアミド及びアルキル置換アクリルアミド(例えば、(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、及びN-メチル(メタ)アクリルアミド);ジアセトンアクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン(例えば、塩化ビニル及び塩化ビニリデン);C1〜C18モノカルボン酸又はジカルボン酸のビニルエステル(例えば、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニル);C3〜C6モノカルボン酸もしくはジカルボン酸の、特にアクリル酸、メタクリル酸もしくはマレイン酸のC1〜C4ヒドロキシアルキルエステル、又はそれらの誘導体であって2から50モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドもしくはそれらの混合物でアルコキシル化されたもの、又はそれらの酸と、C1〜C18アルコールであって2から50モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドもしくはそれらの混合物でアルコキシル化されたものとのエステル(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びメチルポリグリコールアクリレート);シランモノマー;並びにグリシジル基を含有するモノマー(例えば、メタクリル酸グリシジル)を含む。本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を含む。
【0038】
使用できるモノマーCの他の例には、直鎖の1-オレフィン、分枝鎖の1-オレフィン又は環式オレフィン(例えばエテン、プロペン、ブテン、イソブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、及びシクロヘキセン);アルキル基中に1〜40個の炭素原子を有するビニルアルキルエーテル及びアリルアルキルエーテル(例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニル4-ヒドロキシブチルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2-(ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、2-(ジ-n-ブチルアミノ)エチルビニルエーテル、メチルジグリコールビニルエーテル、及び相応するアリルエーテル)、その場合、前記アルキル基はさらなる置換基、例えばヒドロキシル基、アミノ基もしくはジアルキルアミノ基、又は1つ以上のアルコキシル化基を有することができる;スルホ官能性モノマー(例えば、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホネート、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、及びそれらの相応するアルカリ金属又はアンモニウム塩、スルホプロピルアクリレート及びスルホプロピルメタクリレート);ビニルホスホン酸、ジメチルビニルホスホネート、及び他のリンモノマー;アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートもしくはアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド又はそれらの四級化生成物(例えば2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、2-(N,N,N-トリメチルアンモニウム)エチル(メタ)アクリレートクロリド、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及び3-トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド);C1〜C30モノカルボン酸のアリルエステル;N-ビニル化合物(例えばN-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルイミダゾール、1-ビニル-2-メチルイミダゾール、1-ビニル-2-メチルイミダゾリン、N-ビニルカプロラクタム、ビニルカルバゾール、2-ビニルピリジン、及び4-ビニルピリジン)が含まれる。
【0039】
使用されるモノマーCは、架橋モノマー、例えば、ジビニルベンゼン;1,4-ブタンジオールジアクリレート;メタクリル酸無水物;1,3-ジケト基含有モノマー(例えばアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート又はジアセトンアクリルアミド);及びウレア基含有モノマー(例えばウレイドエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミドグリコール酸、及びメタクリルアミドグリコレートメチルエーテル);及びシラン架橋剤(例えば3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を含んでもよい。架橋剤のさらなる例には、3〜10個の炭素原子を有するα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸のN-アルキロールアミド、及びそれらと1〜4個の炭素原子を有するアルコールとのエステル(例えばN-メチロールアクリルアミド及びN-メチロールメタクリルアミド);グリオキサールベースの架橋剤;2つのビニル基を含有するモノマー;2つのビニリデン基を含有するモノマー;及び2つのアルケニル基を含有するモノマーが含まれる。例示的な架橋モノマーには、二価及び三価のアルコールと、α,β-モノエチレン性不飽和のモノカルボン酸とのジエステル又はトリエステル(例えばジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート)が含まれ、そのアクリル酸及びメタクリル酸を用いることができる。2つの非共役のエチレン性不飽和二重結合を含有するそのようなモノマーの例は、アルキレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブチレングリコールジアクリレート及びプロピレングリコールジアクリレート、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル及びメチレンビスアクリルアミドである。コポリマー中で使用される場合の架橋剤モノマーは、モノマーの総重量に対して0.2重量%から5重量%の量で存在できる。通常、ポリマーは架橋剤モノマーを含んでいない。
【0040】
好ましくは、モノマーCは、酸性単位を含み得る酸性モノマーを含む。好ましくは、酸性モノマーはカルボン酸単位、スルホン酸単位、及び/又はそれらの塩を含む。特に、酸性モノマーはカルボン酸単位及び/又はその塩を含む。
【0041】
酸性モノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミドエタンスルホン酸、2-メタクリルアミドエタンスルホン酸、2-アクリルオキシエタンスルホン酸、2-メタクリルオキシエタンスルホン酸、3-アクリルオキシプロパンスルホン酸、2-メタクリルオキシプロパンスルホン酸、及び/又はそれらの塩である。
【0042】
酸性モノマーがそれらの塩形態で存在する場合、これらは対イオンとして対応するカチオンを有する。適切なカチオンの例は、アルカリ金属カチオン、例えばNa
+又はK
+、アルカリ土類金属イオン、例えばCa
2+及びMg
2+、さらにアンモニウムイオン、例えばNH
4+、テトラアルキルアンモニウムカチオン、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びテトラブチルアンモニウム、さらにプロトン化第一級、第二級及び第三級アミン、特にC
1〜C
20-アルキル基及びヒドロキシエチル基からなる群から選択される1、2又は3個の基を有するもの、例えば、モノ-、ジ-及びトリブチルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン、エトキシル化オレイルアミン、エトキシル化ステアリルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのプロトン化形態、又はN,N-ジメチルエタノールアミンのプロトン化形態である。
【0043】
最も好ましい酸性コモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸及び/又はイタコン酸、特にアクリル酸及び/又はイタコン酸である。
【0044】
ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、少なくとも0.05wt%、好ましくは少なくとも0.2wt%、特に少なくとも0.7wt%の酸性モノマー(例えばアクリル酸及び/又はイタコン酸)を含む。ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、10wt%以下、好ましくは5.0wt%以下、特に2.5wt%以下の酸性モノマー(例えばアクリル酸及び/又はイタコン酸)を含む。
【0045】
別の好ましい形態では、モノマーCはアクリルアミドを含む。
【0046】
ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、少なくとも0.05wt%、好ましくは少なくとも0.2wt%、特に少なくとも0.7wt%のアクリルアミドを含む。ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、10wt%以下、好ましくは4.0wt%以下、特に2.0wt%以下のアクリルアミドを含む。
【0047】
より好ましい一形態では、モノマーCは酸性モノマー(例えばアクリル酸及び/又はイタコン酸)及びアクリルアミドを含む。
【0048】
ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、少なくとも0.05wt%、好ましくは少なくとも0.2wt%、特に少なくとも0.7wt%のアクリルアミドを含む。ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、10wt%以下、好ましくは4.0wt%以下、特に2.0wt%以下のアクリルアミドを含む。
【0049】
ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、少なくとも0.1wt%、好ましくは少なくとも0.8wt%、特に少なくとも2.0wt%のモノマーC(例えばアクリル酸及びアクリルアミド、並びに場合によりイタコン酸)を含む。ポリマーは通常、モノマーの総重量に対して、20wt%以下、好ましくは15wt%以下、特に10wt%以下のモノマーC(例えばアクリル酸及びアクリルアミド、並びに場合によりイタコン酸)を含む。
【0050】
一形態では、ポリマーは重合形態のメタクリル酸メチル及びC
2〜C
8アルキル(メタ)アクリレートを、並びに場合によりモノマーC(例えばモノマーCが酸性モノマー及び/又はアクリルアミドを含む場合)を含む。別の形態では、ポリマーは重合形態のメタクリル酸メチル及びC
3〜C
6アルキルアクリレートを、並びに場合によりモノマーC(例えばモノマーCが酸性モノマー及び/又はアクリルアミドを含む場合)を含む。
【0051】
好ましい一形態では、ポリマーは、重合形態の30〜70wt%のメタクリル酸メチル及び30〜70wt%のC
2〜C
8アルキル(メタ)アクリレートを、並びに場合により0.1〜20wt%のモノマーC(例えばモノマーCが酸性モノマー及び/又はアクリルアミドを含む場合)を含む。
【0052】
別の好ましい形態では、ポリマーは、重合形態の30〜70wt%のメタクリル酸メチル及び30〜70wt%のC
3〜C
6アルキルアクリレートを、並びに場合により0.8〜15wt%のモノマーC(例えばモノマーCが酸性モノマー及び/又はアクリルアミドを含む場合)を含む。
【0053】
より好ましい形態では、ポリマーは、重合形態の35〜65wt%のメタクリル酸メチル及び35〜65wt%のC
2〜C
6アルキル(メタ)アクリレートを、並びに場合により0.8〜10wt%のモノマーC(例えばモノマーCがアクリル酸及び/又はアクリルアミドを含む場合)を含む。
【0054】
別の形態では、ポリマーは、重合形態の35〜65wt%のメタクリル酸メチル及び35〜65wt%のアクリル酸ブチルを、並びに場合により2.0〜3.0wt%のモノマーC(例えばモノマーCがアクリル酸及び/又はアクリルアミドを含む場合)を含む。
【0055】
本明細書に記載のポリマーを、フリーラジカル乳化重合を使用してモノマー(例えばモノマーA、B及び場合によりC)を重合することによって調製できる。乳化重合温度は一般に、30℃から95℃又は75℃から90℃である。重合媒体には、水単独又は水と水混和性の液体、例えばメタノールとの混合物を含めることができる。一部の実施形態では、水が単独で使用されている。乳化重合を、バッチ法、半バッチ法、又は連続法のいずれかで行うことができる。典型的には、半バッチ法が使用される。一部の実施形態では、モノマーの一部を重合温度に加熱し、部分的に重合し、且つ、次いで重合バッチの残りを重合ゾーンに連続的に、段階的に、又は濃度勾配を重ね合わせて、供給することができる。あるいは、他のヘテロ相重合法、例えばミニエマルション重合も使用することができる。重合法のさらなる例には、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Antonietti et al., Macromol. Chem. Phys., 204:207-219 (2003)に記載のものが含まれる。
【0056】
フリーラジカル乳化重合を、フリーラジカル重合開始剤の存在下で行うことができる。本方法において使用できるフリーラジカル重合開始剤は、アルカリ金属のペルオキシ二硫酸塩及びH
2O
2、又はアゾ化合物を含む、フリーラジカル水性乳化重合を開始できるもの全てである。少なくとも1種の有機還元剤及び少なくとも1種のペルオキシド及び/又はヒドロペルオキシド、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド及びヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム金属塩又は過酸化水素及びアスコルビン酸を含む、混合系も使用できる。重合媒体中で可溶性であり且つ金属成分が1よりも高い酸化状態で存在し得る少量の金属化合物、例えばアスコルビン酸/硫酸鉄(II)/過酸化水素を含有する混合系もさらに使用でき、その場合、アスコルビン酸を、ヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム金属塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム又はナトリウム金属の重亜硫酸塩によって置き換えることができ、並びに、過酸化水素を、tert-ブチルヒドロペルオキシド又はアルカリ金属のペルオキシ二硫酸塩及び/もしくはペルオキシ二硫酸アンモニウムによって置き換えることができる。混合系において、炭水化物由来の化合物を還元成分として使用することもできる。一般に、用いられるフリーラジカル開始剤系の量は、重合対象のモノマーの総量に対して0.1から2%とすることができる。一部の実施形態では、開始剤は、単独で又は混合系の構成要素として、アンモニウム及び/又はアルカリ金属のペルオキシ二硫酸塩(例えば過硫酸ナトリウム)である。フリーラジカル開始剤系を、フリーラジカル水性乳化重合の間に重合反応器に添加する方式は必要不可欠ではない。フリーラジカル開始剤系は、開始時に全てを重合反応器に導入してもよいし、連続的又は段階式に、フリーラジカル水性乳化重合の間に消費されるに連れて添加してもよい。詳細には、これは、平均的な当業者に公知の方法において、開始剤系の化学的性質及び重合温度の両方に依存する。一部の実施形態では、一部が開始時に導入され、そして消費されるに連れて残りが重合ゾーンに添加される。フリーラジカル水性乳化重合を、過圧又は減圧下で行うことも可能である。
【0057】
粒子の安定性を含めて、分散液のある特定の特性を改善するために、1種以上の重合用界面活性剤を含むことができる。例えば、ラウレス硫酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、及びアルキルベンゼンスルホン酸又はスルホネート界面活性剤を使用できるであろう。市販の界面活性剤の例には、CALFOAM ES-303(Pilot Chemical Company;Cincinnati、OH);DOWFAX 2A1、Dow Chemical Company(Midland、MI)製のアルキルジフェニルオキシドジスルホネート界面活性剤;及びALCOSPERSE 149、Akzo Nobel Surface Chemistry(Chicago、IL)製のポリアクリル酸ナトリウム界面活性剤が含まれる。一般に、用いられる重合用界面活性剤の量は、重合対象のモノマーの総量に対して0.01から5%とすることができる。
【0058】
また、ポリマーの成膜特性の調整のために、ポリマー粒子はまた、成膜強化剤(可塑剤)として公知のものも含み得るが、例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリコール及びポリグリコールのアルキルエーテル及びアルキルエーテルエステル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキシレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、モノフェニルエーテル、モノブチルエーテル及びモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、及び前記のモノアルキルエーテルのアセテート、例えばブトキシブチルアセテート、さらに脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸のアルキルエステル、例えばEastman製のTexanol(登録商標)又はコハク酸、グルタル酸及びアジピン酸のジブチルエステルの工業銘柄の混合物である。成膜助剤は通例、ポリマーに対して0.1から20重量%の量で用いられる。一形態では、ポリマー粒子は5wt%未満、好ましくは2wt%未満、特に0.3wt%未満の可塑剤を含む。ポリマー粒子は可塑剤を含んでいないのが好ましい。
【0059】
少量(例えば、モノマーの総重量に対して0.01から2重量%)の分子量調節剤、例えばメルカプタンを場合により使用できる。そのような物質は好ましくは、重合対象のモノマーとの混合物として重合ゾーンに添加され、コポリマー中に使用される不飽和モノマーの総量の一部とみなされる。
【0060】
ポリマーの平均分子量は通常、10,000から5,000,000Da、好ましくは100,000から1,000,000Da、特に300,000から800,000Daである。
【0061】
ポリマーは通常、-10から+70℃の間、好ましくは0から+70℃の間、特に+10から+60℃の間のガラス転移温度(Tg)を有する。Tgは示差走査熱量計DSCにより決定し得る。
【0062】
ポリマーは通常、-10から+70℃の間、好ましくは0から+70℃の間、特に+10から+60℃の間の最低成膜温度(MFFT)を有する。MMFTは市販のMMFT機器により決定し得る。
【0063】
ポリマー粒子は、ポリマー粒子の水性分散液の形態で使用してもよい、又は調製してもよい。前記分散液の固体含量は20から80wt%とすることができる。
【0064】
ポリマー粒子は、5000nm以下の、好ましくは1000nm以下の、特に400nm以下の粒子径を有し得る。ポリマー粒子の粒子径は多くの場合、1000から10nmの間、好ましくは300から30nmの間、特に200から50nmの間である。粒子径は通常、ポリマー粒子の平均粒子径(z平均)である。これは、23℃にて水中0.01重量パーセント分散で動的光散乱法(光子相関分光分析)により決定し得る。
【0065】
ポリマー粒子は通常、殺有害生物剤を本質的に含んでいない。殺有害生物剤を本質的に含んでいないという用語は、ポリマー粒子の総質量に対して、5wt%未満の濃度を指す。
【0066】
好ましい一実施形態では、ポリマー粒子は2wt%未満の殺有害生物剤、特に好ましい一実施形態では、0.1wt%未満の殺有害生物剤を含有する。
【0067】
通常、サスポエマルション製剤は、いずれの場合にもサスポエマルション製剤の総重量に対して、0.1から20重量%、好ましくは0.5から12重量%、とりわけ好ましくは1.5から8重量%のポリマー粒子を含む。
【0068】
一形態では、サスポエマルション製剤は、0.1から20重量%の第1の殺有害生物剤(例えば、10g/l以下の水に対する溶解度)、0.1から35重量%の第2の殺有害生物剤(例えば、10g/l以下の水に対する溶解度)、5〜60重量%の水不混和性溶媒(例えば、芳香族炭化水素)、0.1〜10重量%のポリマー粒子、及び場合により0.1〜10重量%の水溶性非イオン性乳化剤を含み、その場合これら成分の合計は、いずれの場合にもサスポエマルション製剤の総重量に対して、25から75wt%である。
【0069】
別の形態では、サスポエマルション製剤は、0.5から20重量%の第1の殺有害生物剤(例えば、5g/l以下の水に対する溶解度)、0.5から25重量%の第2の殺有害生物剤(例えば、5g/l以下の水に対する溶解度)、10〜55重量%の水不混和性溶媒(例えば、芳香族炭化水素)、0.2〜7重量%のポリマー粒子、及び場合により0.2〜7重量%の水溶性非イオン性乳化剤を含み、その場合これら成分の合計は、いずれの場合にもサスポエマルション製剤の総重量に対して、30から70wt%である。
【0070】
別の形態では、サスポエマルション製剤は、0.1から35重量%の第1の殺有害生物剤(例えば、1g/l以下の水に対する溶解度)、2から15重量%の第2の殺有害生物剤(例えば、1g/l以下の水に対する溶解度)、20〜45重量%の水不混和性溶媒(例えば、芳香族炭化水素)、0.4〜5重量%のポリマー粒子、及び場合により0.5〜5重量%の水溶性非イオン性乳化剤を含み、その場合これら成分の合計は、いずれの場合にもサスポエマルション製剤の総重量に対して、35から65wt%である。
【0071】
サスポエマルション製剤は、農薬製剤向けの助剤を含み得る。適切な助剤の例は、固体担体又は充填剤、界面活性剤、分散剤、乳化剤、湿潤剤、補助剤、可溶化剤、浸透促進剤、保護コロイド、付着剤、増粘剤、保湿剤、忌避剤、誘引剤、摂食刺激剤、適合剤、殺細菌剤、凍結防止剤、消泡剤、着色剤、粘着付与剤、及び結合剤である。
【0072】
適切な固体担体又は充填剤は、鉱物土、例えばケイ酸、シリカゲル、タルク、カオリン、石灰石、石灰、チョーク、粘土、ドロマイト、珪藻土、ベントナイト、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム;多糖粉末、例えばセルロース、デンプン;肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素;植物性製品、例えば穀粉、樹皮粉、おがくず、堅果殻粉、及びそれらの混合物である。
【0073】
適切な界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性界面活性剤、ブロックポリマー、高分子電解質、及びそれらの混合物等の界面活性化合物である。このような界面活性剤は、乳化剤、分散剤、可溶化剤、湿潤剤、浸透促進剤、保護コロイド、又は補助剤として使用することができる。界面活性剤の例は、McCutcheon's, Vol.1:Emulsifiers & Detergents, McCutcheon's Directories, Glen Rock, USA, (2008)(国際版又は北米版)に列挙されている。
【0074】
適切なアニオン性界面活性剤は、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、カルボキシレートのアルカリ塩、アルカリ土類塩又はアンモニウム塩及びそれらの混合物である。スルホネートの例は、アルキルアリールスルホネート、ジフェニルスルホネート、アルファ-オレフィンスルホネート、リグニンスルホネート、脂肪酸及び油のスルホネート、エトキシル化アルキルフェノールのスルホネート、アルコキシル化アリールフェノールのスルホネート、縮合ナフタレンのスルホネート、ドデシルベンゼン及びトリデシルベンゼンのスルホネート、ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホネート、スルホスクシネート又はスルホスクシナメートである。スルフェートの例は、脂肪酸及び油のスルフェート、エトキシル化アルキルフェノールのスルフェート、アルコールのスルフェート、エトキシル化アルコールのスルフェート、又は脂肪酸エステルのスルフェートである。ホスフェートの例は、リン酸エステルである。カルボキシレートの例は、カルボン酸アルキル、及びカルボキシル化アルコール又はアルキルフェノールエトキシレートである。
【0075】
サスポエマルション製剤はアニオン性界面活性剤を含んでいることが好ましい。好ましいアニオン性界面活性剤はスルホネートであり、この場合縮合ナフタレンのスルホネートがより好ましい。サスポエマルション製剤は、0.1から12wt%、好ましくは0.5から7wt%、特に1から4wt%のアニオン性界面活性剤(例えば前記スルホネート)を含み得る。
【0076】
適切な非イオン性界面活性剤は、アルコキシレート、N-置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖ベースの界面活性剤、ポリマー性界面活性剤、及びそれらの混合物である。アルコキシレートの例は、1〜50当量でアルコキシル化されているアルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸又は脂肪酸エステル等の化合物である。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドをアルコキシル化に用い得るが、好ましくはエチレンオキシドである。N-置換脂肪酸アミドの例は、脂肪酸グルカミド又は脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセロールエステル又はモノグリセリドである。糖ベースの界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシル化ソルビタン、スクロースエステル及びグルコースエステル又はアルキルポリグルコシドである。ポリマー性界面活性剤の例は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、もしくはビニルアセテートのホモポリマー又はコポリマーである。
【0077】
適切なカチオン性界面活性剤は、第四級界面活性剤、例えば1又は2個の疎水基を有する第四級アンモニウム化合物、又は長鎖第一級アミンの塩である。適切な両性界面活性剤は、アルキルベタイン及びイミダゾリンである。適切なブロックポリマーは、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックを含むA-B型もしくはA-B-A型のブロックポリマー、又はアルカノール、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドを含むA-B-C型のブロックポリマーである。
【0078】
適切な補助剤は、それ自体の殺有害生物活性は無視し得るか、又はそれ自体は殺有害生物活性を有さず、標的に対する化合物Iの生物学的性能を改良する化合物である。例には、界面活性剤、鉱物油又は植物油、及び他の助剤がある。さらなる例は、Knowles, Adjuvants and additives, Agrow Reports DS256, T&F Informa UK, 2006, chapter 5により列挙されている。
【0079】
適切な増粘剤は、多糖(例えばキサンタンガム、カルボキシメチルセルロース)、(有機修飾又は非修飾)無機粘土、ポリカルボキシレート、及びケイ酸である。
【0080】
適切な殺細菌剤は、ブロノポール及び、アルキルイソチアゾリノン及びベンズイソチアゾリノン等のイソチアゾリノン誘導体である。
【0081】
適切な凍結防止剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素及びグリセリンである。
【0082】
適切な消泡剤は、シリコーン、長鎖アルコール、及び脂肪酸の塩である。
【0083】
適切な着色剤(例えば、赤色、青色、又は緑色)は、水難溶性の顔料及び水溶性染料である。例としては無機着色剤(例えば、酸化鉄、チタン酸化物、ヘキサシアノ鉄酸鉄)及び有機着色剤(例えば、アリザリン着色剤、アゾ着色剤、及びフタロシアニン着色剤)である。
【0084】
適切な粘着付与剤又は結合剤は、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、生物ロウ又は合成ロウ、及びセルロースエーテルである。
【0085】
サスポエマルション製剤は、植物繁殖材料の処理、特に種子を処理するために用い得る。当該組成物は、2倍から10倍に希釈後、すぐに使用できる調製物において0.01から60重量%、好ましくは0.1から40重量%の活性物質濃度を与える。施用は、播種の前又は播種の間に行うことができる。サスポエマルション製剤を植物繁殖材料、とりわけ種子に施用する又はそれらに処理する方法には、ドレッシング、被覆、ペレット形成、散粉、浸漬、及び繁殖材料を畝間施用する方法が含まれる。好ましくは、サスポエマルション製剤を、発芽が誘導されないような方法により、例えば種子のドレッシング、ペレット形成、被覆及び散粉により、植物繁殖材料上に施用する。
【0086】
植物保護において用いられる場合、施用される活性物質の量は、所望の効果の種類に応じて、1ヘクタール当たり0.001から2kg、好ましくは1ヘクタール当たり0.005から2kg、より好ましくは1ヘクタール当たり0.05から0.9kg、特に1ヘクタール当たり0.1から0.75kgである。例えば種子の散粉、被覆又は灌注による、種子等の植物繁殖材料の処理において、植物繁殖材料(好ましくは種子)100キログラム当たり、0.1から1000g、好ましくは1から1000g、より好ましくは1から100g、最も好ましくは5から100gの活性物質の量が一般的に必要とされる。資材又は保存製品の保護において使用される場合、施用される活性物質の量は、施用地域の種類及び所望の効果によって決まる。資材の保護において慣習的に施用される量は、処理対象の資材1立方メートル当たり、活性物質0.001g〜2kg、好ましくは0.005g〜1kgである。
【0087】
様々なタイプの油、湿潤剤、補助剤、肥料、又は微量栄養素、及び他の殺有害生物剤(例えば、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、生長調節剤、毒性緩和剤)をサスポエマルション製剤に、プレミックスとして加えるか、又は、適切な場合は、使用間際に加えることができる(タンクミックス)。これらの作用剤は、本発明によるサスポエマルション製剤と、1:100〜100:1、好ましくは、1:10〜10:1の重量比で混ぜることができる。
【0088】
使用者は、サスポエマルション製剤又はサスポエマルション製剤から調製されたタンクミックスを、通常、予備調剤(pre-dosage)装置、背負噴霧機、噴霧タンク、散布航空機、又は灌漑システムから施用する。通常、サスポエマルション製剤は、水、緩衝液及び/又はさらなる助剤によって所望の施用濃度とされ、本発明によるすぐに使用できるスプレー液又は農薬サスポエマルション製剤がかくして得られる。通常、農業有用面積1ヘクタール当たり20〜2000リットル、好ましくは50〜400リットルのすぐに使用できるスプレー液が施用される。
【0089】
本発明はさらに、水、第1の殺有害生物剤、第2の殺有害生物剤、水不混和性溶媒及びポリマー粒子、並びに場合により助剤を接触させることにより、サスポエマルション製剤を調製する方法に関する。このような接触は、例えば、Mollet and Grubemann, Formulation technology、Wiley VCH, Weinheim, 2001;又はKnowles, New developments in crop protection product formulation, Agrow Reports DS243, T&F Informa, London, 2005に記載の公知の方法でなし得る。通常、接触は、大気温度(例えば10〜40℃)にて混合することにより(例えば高剪断ミキサー中で)なし得る。
【0090】
本発明はさらに、植物病原性菌及び/又は望まれていない植物生長及び/又は望まれていない昆虫もしくはダニの攻撃を防除し、且つ/又は植物の生長を調節する方法であって、サスポエマルション製剤を、個々の有害生物、それらの環境もしくは個々の有害生物から保護されるべき作物植物に、土壌に及び/又は望まれていない植物に及び/又は作物植物に及び/又はそれらの環境に作用させる、方法に関する。
【0091】
適切な作物植物の例は、穀物、例えばコムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、エンバク又はイネ;ビート、例えばサトウダイコン又は飼料ビート;リンゴ類果実、核果類及びソフトフルーツ、例えばリンゴ、西洋ナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー、スグリ又はグーズベリー;マメ科植物、例えばマメ類(beans)、レンズマメ、エンドウマメ、ムラサキウマゴヤシ又はダイズ;油料作物、例えばナタネ、マスタード、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、カカオ、トウゴマ、アブラヤシ、ピーナッツ又はダイズ;ウリ科植物、例えばカボチャ(pumpkin)/カボチャ(squash)、キュウリ又はメロン;繊維作物、例えばワタ、アマ、アサ又はジュート;柑橘類果実、例えばオレンジ、レモン、グレープフルーツ又はタンジェリン;野菜植物、例えばホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、カボチャ(pumpkin)/カボチャ(squash)又はトウガラシ;ゲッケイジュ科の植物、例えばアボカド、シナモン又はショウノウ;エネルギー作物及び産業用供給原料作物、例えばトウモロコシ、ダイズ、コムギ、ナタネ、サトウキビ又はアブラヤシ;トウモロコシ;タバコ;堅果;コーヒー;チャ;バナナ;ブドウの木(デザートグレープ及びワイン醸造用ブドウ);ホップ;イネ科草本、例えばシバ;ハイノキ(Stevia rebaudania);ゴムノキ及び森林植物、例えば花、潅木、落葉樹及び針葉樹、並びに繁殖材料、例えば種子、並びにこれらの植物の収穫された農産物である。
【0092】
作物植物という用語は、市販されている又は開発過程にある生物工学的な農業製品を含めて、品種改良法、突然変異誘発法又は組換え法によって改変された植物も含む。遺伝子組換え植物は、その遺伝子物質が、ハイブリッド形成、変異又は自然な組換え(すなわち、遺伝子物質の組換え)により、天然条件下では起こらない方法で改変された植物である。この場合、植物の特性を改善するために、1つ以上の遺伝子が、当該植物の遺伝子物質に一般に組み込まれることになる。こうした組換え改変はまた、例えばグリコシル化による、又は例えば、プレニル化残基、アセチル化残基もしくはファネシル化残基、又はPEG残基等のポリマーの結合による、タンパク質、オリゴペプチド又はポリペプチドの翻訳後修飾も含む。
【0093】
本発明はさらに、サスポエマルション製剤を含有する種子にも関する。
【0094】
本発明によるサスポエマルション製剤の利点は、温度が変化しても又は低温であっても、高い保存安定性である。特に、保存中に相分離又は凝集が観察されない。サスポエマルション製剤の液滴径は小さく及び/又は安定である。さらに、本発明によるサスポエマルション製剤は、必要な場合には、油相又は水相に大量の脂溶性又は水溶性補助剤を加えることが可能である。良好な保存安定性はこのような物質を加える場合でも維持される。別の利点は、作物に対する本サスポエマルション製剤の高耐雨性、低減した毒性(例えば眼毒性)、界面活性剤量の低減、例えば地表噴霧又は気中噴霧施用の間の漂流飛散の低減である。
【実施例】
【0095】
以下の実施例は、制限することなく、本発明を例示するものである。
【0096】
実施例
ポリマー粒子A: 約49wt%のメタクリル酸メチル、約48wt%のアクリル酸ブチル、1.1wt%のアクリル酸、及び1.75wt%のアクリルアミドを含むポリマー粒子の水性懸濁液、固体含量約50wt%、平均粒子径約100nm、Tg約22℃。
炭化水素A: 芳香族炭化水素溶媒、初留点約230℃、芳香族含量少なくとも99vol%、引火点100〜110℃。
消泡剤: シリコーン消泡剤。
助剤A: オレイルアルコール、酸化エチレン(ehtylene)の3ユニットでエトキシル化、HLB 6〜7、水不溶性。
乳化剤A: ヒマシ油、酸化エチレンの50〜60ユニットでエトキシル化、HLB 50〜60、融点30〜35℃、冷水に可溶性。
湿潤剤:ナフタレンスルホン酸塩縮合物のナトリウム塩、粉末水溶剤(water-soluble powder)、湿潤力(Draves、25℃、0.1%)>5分。
助剤B: 酸化エチレン/プロピレンオキシド/酸化エチレントリブロックポリマー(約50wt% EO)、HLB 17〜18、水溶性(25℃で>10%)、分子量約6000〜7000Da。
殺生物剤: 2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オンの水性ミックス。
【0097】
実施例1-調製
表1による組成を有する、ピラクロストロビン及びメトコナゾールのサスポエマルション製剤Aを調製した。
【0098】
【表1】
【0099】
殺有害生物剤のサスポエマルション製剤を以下の手順により生産した。
I.水中油型エマルションの調製
a) ピラクロストロビン及び助剤Aを炭化水素Aに加え、これらが溶解するまで攪拌した(油相)。
b) ポリマー粒子、乳化剤A、プロピレングリコール、殺生物剤及び消泡剤を水と混合して、均一性を得た(水相)。
c) 油相を水相に攪拌下で注いだ。
d) シルバーソン(Silverson)高剪断ミキサーを用いて7000rpmで2分間混合することによりホモジナイズを行った。
e) 液滴径を評価し、油滴径が3μm未満の値となるまで剪断を続けた。
II. 懸濁液の調製
f) メトコナゾール、湿潤剤、安定剤及び消泡剤を水に攪拌下で加えた。
g) 次いで上記混合物を、ビーズミルを使用しておよそ2μmの粒子径に湿式粉砕した。
III. 最終サスポエマルション製剤の調製
h) 増粘剤及び上記懸濁液を上記エマルションに加え、均一性が得られるまで混合した。
【0100】
実施例2-安定性
実施例1のサスポエマルション製剤の保存安定性を、一試料で40℃にて2週間、別の試料で-10℃から+10℃の日周温度にて2週間、別の試料で21℃にて2週間及びさらに別の試料で-10℃にて2週間、試験した。
【0101】
乳化安定性は、試料の目視により決定した。サスポエマルション製剤Aについて顕著な相分離は生じなかった。
【0102】
油滴径については、Malvern(登録商標) Mastersizer 2000により保存の前後に測定した。サスポエマルション製剤Aについて液滴径の増大はみられなかった。
【0103】
実施例3-調製
表2による組成を有する、アルファ-シペルメトリン及びクロルフェナピルのサスポエマルション製剤Bを実施例1に記載の手順により調製した。
【0104】
【表2】
【0105】
実施例4-安定性
実施例3のサスポエマルション製剤の保存安定性を、一試料で54℃にて2週間、別の試料で-10℃から+10℃の日周温度にて2週間、別の試料で21℃にて2週間及びさらに別の試料で-10℃にて2週間、試験した。
【0106】
乳化安定性は、試料の目視により決定した。サスポエマルション製剤Bについて顕著な相分離は生じなかった。
【0107】
油滴径については、Malvern(登録商標) Mastersizer 2000により保存の前後に測定した。サスポエマルション製剤Bについて液滴径の増大はみられなかった。