【文献】
浜口ほか,CGストリーミングを用いた番組連動手話映像配信・合成システム,映像情報メディア学会 2012年年次大会講演予稿集[CD−ROM],2012年 8月 8日,16-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明について>
本発明では、例えば緊急警報発令時に放送波TS(Transport Stream)等に埋め込まれる緊急警報イベントメッセージ(Event Message)を手話CGアプリケーション用の配信トリガとして利用する。また、本発明では、例えば緊急情報を配信する際に受信機器に記録された居住地情報を利用する。これにより、自動かつ迅速に手話CGを提示すると共に、居住地に関する緊急情報についても自動で抽出し、提示することができる。
【0016】
以下に、本発明における配信装置、情報提示装置、及び情報提示プログラムを好適に実施した形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明では、配信先から情報を提供するシステムの一例として、緊急情報を提供する緊急情報提示システムを例に説明するが、これに限定されるものではない。
【0017】
<情報提示システムの概略構成例>
本実施形態における緊急情報提示システムの概略構成例について、図を用いて説明する。
図1は、緊急情報提示システムの概略構成例を示す図である。
図1に示す緊急情報提示システム10は、放送局11と、配信装置の一例としての配信サーバ12と、第1の情報提示装置の一例としての放送受信機13と、第2の情報提示装置の一例としての端末装置14とを有する。放送受信機13、配信サーバ12、及び端末装置14は、インターネットやLAN(Local Area Network)等に代表される通信ネットワーク15によりデータの送受信が可能な状態で接続されている。なお、
図1に示す緊急情報提示システム10は、各構成が1台の例を示しているが、これに限定されるものではなく、それぞれは1又は複数の構成を有していてもよい。
【0018】
放送局11は、番組等のコンテンツを放送波16を介して放送受信機13に送信する。コンテンツとは、データ放送番組として放送されるマルチメディアデータ及びモノメディアの全体又はその一部分を示す抽象的な概念である。また、放送局11は、緊急警報等の情報をイベントメッセージ等により放送受信機13に送信する。
【0019】
配信サーバ12は、放送受信機13から緊急警報のイベントメッセージを受信すると、対応する端末装置14に対して通信ネットワーク15を介して、手話CGデータ等を配信する。また、端末装置14から居住地情報を取得した場合には、その居住地に対応する緊急情報に対応する情報(例えば、避難場所、自治体情報)等があるか否かを判断し、情報がある場合には、対応する情報を送信する。
【0020】
配信サーバ12は、汎用のサーバやPC等であるが、これに限定されるものではなく、例えば1以上の情報処理装置を有するクラウドコンピューティングにより構成されたクラウドサーバ等であってもよい。
【0021】
放送受信機13は、放送波16からコンテンツを受信すると、受信したコンテンツを表示部により表示する。このとき、チャンネル毎に番組を切り替えて表示させることができる。また、本実施形態では、放送受信機13は、ハイブリッドキャスト対応型の受信機であるため、テレビ番組の他に、番組に対応付けられた関連情報(例えば、画像、映像、リンク先のアドレス情報(例えば、URL、IPアドレス)、テキスト情報)等を取得し、その取得した情報を画面に表示することができる。また、放送受信機13は、放送局11から緊急警報のイベントメッセージ等を取得した場合には、その取得した情報をトリガとして画面に緊急情報等を表示すると共に、この地域の具体的な情報を取得させるため、セカンドスクリーンとしての端末装置14に、情報を送信する。例えば、放送受信機13は、端末装置14に対して手話CG用アプリ(連携アプリケーション)への強制遷移を行わせる信号や、居住地(放送受信機13が設置されている場所)に関する情報を送信する。なお、放送受信機13と、端末装置14とは、例えばWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)、赤外線等の近距離通信等を用いてデータの送受信を行うことができるが、これに限定されるものではなく、例えば通信ネットワーク15を用いて行ってもよい。
【0022】
また、放送受信機13は、緊急警報のイベントメッセージを受信した通知を配信サーバ12に配信する。緊急警報とは、例えば、大雨、台風、地震、津波、土砂崩れ等の災害等であるが、これに限定されるものではない。また、放送受信機13は、放送波にデータ放送等の情報が含まれている場合には、データ放送に対応する付加情報を画面に表示することもできる。放送受信機13は、例えば、テレビ受像器やPC(Personal Computer)等であるが、これに限定されるものではなく、タブレット端末、スマートフォン、ゲーム機器等でもよい。
【0023】
端末装置14は、番組受信用のアプリケーション等を用いて放送受信機13との対応付けを行うことができる。また、端末装置14は、放送受信機13との対応付けを行うことで、放送受信機13が緊急受信情報等のイベントメッセージ又はその他のイベントメッセージを受信した場合に、そのメッセージに対応する情報を放送受信機13又は配信サーバ12から取得することができる。
【0024】
端末装置14は、放送受信機13から手話CG用アプリへの強制遷移信号を受信すると、予めインストールされている手話CG用アプリを起動させる。また、端末装置14は、放送受信機13から居住地情報を受信し、その居住地情報を配信サーバ12に送信し、対応する情報を配信サーバ12から取得する。配信サーバ12から取得する情報は、例えば、TVMLスクリプトや手話データ、居住地情報、自治体情報等のうち、少なくとも1つであるが、これに限定されるものではない。端末装置14は、タブレット端末やスマートフォン、ゲーム機器等であるが、これに限定されるものではない。
【0025】
端末装置14は、配信サーバ12から得られた情報を表示することで、ユーザ毎に適切な緊急情報を提示することができる。
【0026】
<配信サーバ12の機能構成例>
次に、配信サーバ12の機能構成例について、図を用いて説明する。
図2は、配信サーバの機能構成の一例を示す図である。
図2の例において、配信サーバ12は、入力手段21と、出力手段22と、記憶手段23と、居住地情報判定手段24と、配信用データ抽出手段25と、スクリプト生成手段26と、配信手段27と、通信手段28と、制御手段29とを有する。
【0027】
入力手段21は、本実施形態における配信サーバ12における情報の配信を行うための各種入力(例えば、配信処理の開始や終了、各種設定情報の入力)等を受け付ける。
【0028】
出力手段22は、入力手段21により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の出力を行う。出力手段22は、例えばディスプレイやスピーカ等である。出力手段22は、入力手段21と一体型のタッチパネルであってもよい。
【0029】
記憶手段23は、配信サーバ12が使用する各種情報や設定情報、配信履歴(ログ情報)、自己のアドレス情報(例えば、IPアドレス)、放送受信機13や端末装置14のアドレス情報(例えば、IPアドレス)等の情報を記憶する。また、記憶手段23は、端末14に関する情報と、居住地情報等とが対応付けて管理されている。また、記憶手段23は、自治体情報や、手話CGモデル(CGキャラクタモデル)に対して所定の手話動作等を行わせるための手話データ、TVMLスクリプト(スクリプト情報)を記憶する。なお、記憶手段23に記憶される情報は、これに限定されるものではない。また、記憶手段23に記憶された情報は、必要に応じて読み出すことができ、また記憶手段23に各種情報を書き込むこともできる。記憶手段23は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等から少なくとも1つを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0030】
居住地情報判定手段24は、端末装置14から得られる居住地情報を取得し、取得した居住地に該当する緊急情報があるか否かを判断する。なお、緊急情報は、各自治体等が出す情報である。配信サーバ12は、これらの情報を通信ネットワーク15を介して外部装置等から最新の情報を取得しているものとする。
【0031】
配信用データ抽出手段25は、抽出結果に基づいて、対応する情報を取得し、配信用データを抽出する。配信用データとは、例えば、該当する緊急情報の内容に対応するTVMLスクリプト、自治体情報等であるが、これに限定されるものではない。
【0032】
スクリプト生成手段26は、配信用データ抽出手段25により抽出された配信用データを用いて、端末装置14側の再生手段(例えば、TVMLプレイヤ)等で再生可能なスクリプトを生成する。例えば、スクリプト生成手段26は、緊急情報の内容に対応する手話CG映像を再生できるようなTVMLスクリプト等を生成する。
【0033】
配信手段27は、居住地情報を送信してきた端末装置14に対して、スクリプト生成手段26で生成された配信用データに対応するスクリプト等を、通信ネットワーク15を介して配信する。
【0034】
通信手段28は、通信ネットワーク15を介して放送受信機13や端末装置14、その他の外部装置と、データの送受信を行う手段である。
【0035】
制御手段29は、配信サーバ12の各構成部の動作等を制御する。また、制御手段29は、処理の開始や終了、エラー発生時の処理等を行うことができる。なお、制御手段29により制御される内容としては、これに限定されるものではない。
【0036】
<放送受信機13の機能構成例>
図3は、放送受信機の機能構成の一例を示す図である。
図3に示す放送受信機13は、入力手段31と、出力手段32と、記憶手段33と、アプリ起動手段34と、イベントメッセージ検知手段35と、緊急情報フラグ判定手段36と、連携端末管理手段37と、通信手段38と、制御手段39とを有する。
【0037】
入力手段31は、本実施形態における放送受信機13における情報の配信を行うための各種入力(例えば、放送番組の表示処理の開始や終了、各種設定情報の入力)等を受け付ける。また、入力手段31は、ユーザ等からの番組(チャンネル)の変更、端末装置14からの連携指示等の入力を受け付ける。
【0038】
出力手段32は、入力手段31により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の出力を行う。出力手段32は、例えばディスプレイやスピーカ等である。出力手段32は、入力手段31と一体型のタッチパネルであってもよい。
【0039】
記憶手段33は、放送受信機13が使用する各種情報や設定情報、自己のアドレス情報(例えば、IPアドレス)、配信サーバ12や端末装置14のアドレス情報(例えば、IPアドレス)等の情報を記憶する。また、記憶手段33は、端末装置14との連携情報(どの端末装置14と連携しているかを管理する情報)等を記憶する。なお、記憶手段33に記憶される情報は、これに限定されるものではない。また、記憶手段33に記憶された情報は、必要に応じて読み出すことができ、また記憶手段33に各種情報を書き込むこともできる。記憶手段33は、例えばROMやRAM、HDD等から少なくとも1つを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
アプリ起動手段34は、電源が入力された場合に、番組放送用のアプリを起動させ、出力手段32に対応する表示手段に放送局11から得られた放送波のうち、ユーザにより選択されたチャンネルの番組を表示する。
【0041】
また、アプリ起動手段34は、番組内容を画面に表示させるだけでなく、例えばハイブリッドキャストやデータ放送等により得られたWebブラウザ等の内容を表示させることができる。
【0042】
イベントメッセージ検知手段35は、放送波に含まれるイベントメッセージを検知し、その内容が、緊急警報のイベントメッセージか否かを判断する。イベントメッセージとは、例えば放送局11から放送受信機13で動作しているコンテンツに対して即座に、あるいは指定した時刻にメッセージ情報を送る手段であり、イベントメッセージを受けたことをトリガとして、またイベントメッセージで取得した時刻に所定の情報の表示(例えば、テロップ表示等)を行う。なお、選挙後の当選発表等は、緊急警報等のイベントメッセージではない。
【0043】
緊急情報フラグ判定手段36は、緊急情報のレベルが、どの程度のレベルであるかを判定する。このフラグは、ユーザがそれぞれ指定することができ、例えば、震度が5以上の場合にのみ、端末装置14での情報提供を受け付ける等の場合であるが、これに限定されるものではない。また、緊急情報フラグ判定手段36は、どの地域、どの時間帯(例えば、深夜のみ等)に対する緊急情報等を受け付けるといった情報に基づいて、緊急情報として提示する対象であるか否かの判定を行うことができる。これにより、例えば緊急情報のイベントメッセージを受信した場合でも、端末装置14によっては、情報を受けなくすることができる。
【0044】
連携端末管理手段37は、連携する端末装置14を管理する。端末装置14は、専用のアプリケーション(例えば、コンパニオンアプリ)等を用いることで、他の装置(例えば、放送受信機13)との連携を行うことができる。連携端末管理手段37は、緊急警報のイベントメッセージを受信した場合に、対応する情報を提供する端末を、端末装置14からの登録指示により管理することができる。なお、登録された端末装置14の情報は、端末装置14からの削除指示により削除することができるが、これに限定されるものではなく、所定時間(例えば、1時間経過後)に削除させてもよい。これにより、削除動作を行う必要がなく、管理する端末装置14が増加し続けることを防止することができる。
【0045】
通信手段38は、通信ネットワーク15を介して配信サーバ12や端末装置14、その他の外部装置と、データの送受信を行う手段である。また、通信手段38は、端末装置14とWiFiやBluetooth等を用いて近距離通信を行うことができる。
【0046】
制御手段39は、放送受信機13の各構成部の動作等を制御する。また、制御手段39は、処理の開始や終了、エラー発生時の処理等を行うことができる。なお、制御手段39により制御される内容としては、これに限定されるものではない。
【0047】
<端末装置14の機能構成例>
図4は、端末装置の機能構成の一例を示す図である。
図4に示す端末装置14は、入力手段41と、出力手段42と、記憶手段43と、連携情報取得手段44と、連携アプリ起動手段45と、配信データ取得手段46と、再生手段47と、通信手段48と、制御手段49とを有する。
【0048】
入力手段41は、本実施形態における端末装置14における情報の配信を行うための各種入力(例えば、放送番組の表示処理の開始や終了、各種設定情報の入力)等を受け付ける。また、入力手段41は、ユーザ等からの番組(チャンネル)の変更、放送受信機13からの手話CG用アプリへの強制遷移情報、居住地情報等の入力を受け付ける。
【0049】
出力手段42は、入力手段41により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の出力を行う。出力手段42は、例えばディスプレイやスピーカ等である。出力手段42は、入力手段41と一体型のタッチパネルであってもよい。
【0050】
記憶手段43は、放送受信機13が使用する各種情報や設定情報、自己のアドレス情報(例えば、IPアドレス)、配信サーバ12や自己以外の端末装置14のアドレス情報(例えば、IPアドレス)等の情報を記憶する。また、記憶手段43は、自己以外の端末装置14との連携情報(どの端末装置14と連携しているかを管理する情報)等を記憶する。なお、記憶手段43に記憶される情報は、これに限定されるものではない。また、記憶手段43に記憶された情報は、必要に応じて読み出すことができ、また記憶手段43に各種情報を書き込むこともできる。記憶手段43は、例えばROMやRAM、HDD等から少なくとも1つを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0051】
連携情報取得手段44は、放送受信機13からの連携情報を受信する。連携情報としては、例えば上述した手話CG用アプリの強制遷移情報や居住地情報等であるが、これに限定されるものではない。
【0052】
連携アプリ起動手段45は、連携情報取得手段44で取得した連携情報で指示されたアプリを強制的に起動する。例えば、連携アプリ起動手段45は、端末装置14で、現在、他のアプリを実行中である場合であっても、指示された連携アプリを起動する。なお、本実施形態においては、これに限定されるものではなく、例えば連携アプリを起動する旨のメッセージのみを表示し、ユーザに起動を促してもよい。
【0053】
配信データ取得手段46は、配信サーバ12から緊急情報に対応する配信データ(例えば、TVMLスクリプトデータ)等を取得する。なお、配信データ取得手段46は、連携アプリの起動後に、放送受信機13から取得した居住地情報を配信サーバ12に送信し、その居住地情報に対応する情報を取得してもよい。
【0054】
再生手段47は、配信データ取得手段46により取得したスクリプトを再生し、連携アプリ起動手段45により起動させたアプリに基づいて、緊急情報に対応する手話CG映像を出力手段42の画面に表示する。なお、再生手段47は、例えばTVMLプレイヤ等であるが、これに限定されるものではない。
【0055】
通信手段48は、通信ネットワーク15を介して配信サーバ12や放送受信機13、その他の外部装置と、データの送受信を行う手段である。また、通信手段48は、放送受信機13とWiFiやBluetooth等を用いて近距離通信を行うことができる。
【0056】
制御手段49は、端末装置14の各構成部の動作等を制御する。また、制御手段49は、処理の開始や終了、エラー発生時の処理等を行うことができる。なお、制御手段49により制御される内容としては、これに限定されるものではない。なお、上述した端末装置14の機能は、放送受信機13に設けられていてもよい。つまり、1台の装置で、放送番組と手話CG等を表示させてもよい。
【0057】
これにより、本実施形態では、自動かつ迅速に手話CGを提示すると共に,居住地に関する緊急情報についても自動で抽出し、端末装置14に提示することができる。
【0058】
<緊急情報提示処理例>
次に、緊急情報提示処理の一例について、シーケンス図を用いて説明する。
図5は、緊急情報提示処理の一例を示すシーケンス図である。
図5の例に示すシーケンス図は、例えば放送受信機13と、端末装置14と、配信サーバ12とを有する。
【0059】
放送受信機13は、放送局11から放送波を受信し(S01)、番組を表示する(S02)。次に、放送受信機13は、ハイブリッドキャスト用のアプリを起動し(S03)、放送波の中からイベントメッセージの検知を行う(S04)。
【0060】
ここで、放送受信機13は、緊急警報用のイベントメッセージを検知した場合、配信サーバ12に、そのイベントメッセージを送信する(S05)。また、放送受信機13は、そのイベントメッセージの内容に対応させて、緊急警報を通知する対象の端末を判定し、通知が必要と判定された端末装置14に対して手話CG用アプリへの強制遷移信号、及び居住地情報等を含む連携情報を送信する(S06)。
【0061】
端末装置14は、S06の処理で得られた連携情報のうち、手話CG用アプリへの強制遷移信号により連携アプリ(手話CG用アプリ)を起動させる(S07)。また、端末装置14は、連携情報に含まれる居住地情報を配信サーバ12に送信する(S08)。
【0062】
配信サーバ12は、放送受信機13からのイベントメッセージ(緊急警報)、及び端末装置14から送信される居住地情報に基づいて、対応する緊急警報用のスクリプトデータを抽出し(S09)、端末装置14に送信する(S10)。なお、S10の処理では、事前にCGモデル等の基本的な情報を送信しておくことで、端末装置14側でそのCGモデルの情報を読み込んだ上で、常時スクリプトを待ち受ける状態にしておいてもよい。これにより、緊急時でも遅延なく、情報提示を開始することができる。
【0063】
また、配信サーバ12は、端末装置14から得られる居住地情報を抽出し(S11)、抽出した居住地情報に対応する対象スクリプトの判定処理を行う(S12)。なお、S12の処理の詳細については、後述する。また、配信サーバ12は、S12の処理により得られる判定結果に対応するスクリプトを生成し(S13)、生成したスクリプトを端末装置14に送信する(S14)。
【0064】
端末装置14は、S14の処理により取得したスクリプトを再生して(S15)、CGモデルによる手話での緊急情報を取得することができる。
【0065】
<対象スクリプトの判定処理:S12>
次に、上述したS12の対象スクリプトの判定処理について、フローチャートを用いて説明する。
図6は、対象スクリプトの判定処理の一例を示すフローチャートである。
図6の例において、配信サーバ12は、緊急警報のイベントメッセージを受信しているか否かを判断し(S21)、緊急警報のイベントメッセージを受信している場合(S21において、YES)、居住地情報を送信した1又は複数の端末装置14に対して緊急警報用スクリプトを一斉配信する(S22)。
【0066】
次に、配信サーバ12は、抽出した居住地情報に基づき、緊急警報の対象地域か否かを判断する(S23)。対象地域である場合(S23において、YES)、配信サーバ12は、該当居住地用緊急情報スクリプトを生成する(S24)。また、対象地域でない場合(S23において、NO)、配信サーバ12は、全国用緊急情報スクリプトを生成する(S25)。
【0067】
次に、配信サーバ12は、居住地情報に対応する自治体発表情報があるか否かを判断し(S26)、自治体情報がある場合(S26において、YES)、該当居住地用自治体発表情報スクリプトを生成する(S27)。
【0068】
また、配信サーバ12は、S21の処理において、緊急情報のイベントメッセージを受信していない場合(S21において、NO)、抽出した居住地情報に対応する居住地情報があるか否かを判断する(S28)。居住地情報がある場合(S28において、YES)、該当居住地用通常スクリプトを生成する(S29)、また、居住地情報がない場合(S28において、NO)、全国用通常スクリプトを生成する(S30)。
【0069】
ここで、S27,S29,S30の処理後、又は、S26の処理において、自治体情報がない場合(S26おいて、NO)、対象スクリプトの判定処理を終了する。
【0070】
<緊急情報提示システムの概要例>
次に、上述した緊急情報提示システム10の概要例について、図を用いて説明する。
図7は、緊急情報提示システムの概要例を示す図である。
図7の例では、上述した放送局11、配信サーバ12、放送受信機13、及び端末装置14が概略的に示している。
【0071】
放送受信機13は、ハイブリッドキャスト対応受信機である。また、端末装置14は、ハイブリッドキャスト連携受信端末である。
【0072】
放送受信機13は、放送局11から放送波で送られてくるコンテンツ61を表示すると共に、内蔵されたWebブラウザを通じて、配信サーバ12や端末装置14とテキスト情報を用いた通信を行う。
【0073】
配信サーバ12は、例えばTVMLスクリプトと、CGモデルデータに関する情報や手話モーションデータ等の手話データを記憶手段23に格納している。また、配信サーバは、居住地情報や自治体発表情報(自治体情報)を記憶手段23に格納している。
【0074】
端末装置14は、例えばコンパニオンアプリ上で手話CG描画用のWebGLベースTVMLプレイヤを動作させることができる。放送受信機13のWebブラウザ上でハイブリッドキャストプリケーションを起動すると、端末装置14のコンパニオンアプリ上で手話CG描画用のWebGLベースTVMLプレイヤを起動させ、配信サーバ12からCGモデルデータを読み込む。
【0075】
また、放送受信機13は、Webブラウザにて放送波に含まれる緊急警報イベントメッセージを検知した際、配信サーバ12に受信通知を送信すると共に、端末装置14に対して、コンパニオンアプリをWebGLベースのTVMLプレイヤに強制遷移させて手話CGを表示させる。
【0076】
また、配信サーバ12は、放送受信機13から、イベントメッセージ受信通知を受けると、連携した端末装置14に対して、緊急警報用のTVMLスクリプトと手話データを配信する。その際に、緊急警報対象地域の情報があれば、放送受信機13の不揮発性RAM等の記憶手段33に記録された居住地情報を端末装置14に送信する。端末装置14は、取得した居住地情報を配信サーバ12に送信することで、居住地情報判定部にて緊急警報対象地域であるか照合し、居住地の該当有無に基づき、端末装置14毎に異なる情報を提示させることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、上述したWebGLベースTVMLプレイヤの起動時に、放送受信機13に記録された居住地情報を端末装置14に送信し、端末装置14が取得した居住地情報を配信サーバ12に送信しておくことも可能である。これにより、緊急警報時の処理の負荷を軽減することができる。
【0078】
端末装置14では、配信サーバ12から受信したTVMLスクリプトと手話データを基に手話CGで緊急情報を提示する。更に、配信サーバ12は、居住地情報判定部に随時更新される自治体発表情報を格納しておくことで、居住地情報と照合し、自治体発表情報の中でも居住地に関する情報のみを抽出して、更新毎に追加送信することができる。
【0079】
また、情報を提供するタイミングは、例えば治体発表情報が取得・更新されたタイミングでもよく、端末装置14から配信サーバ12へ情報要求するタイミングでもよいが、これに限定されるものではない。
【0080】
なお、自治体発表情報の多くは定型化されたテキスト情報であるため、地名や震度の数値等の具体的な項目を抽出することで、事前に用意した定型文の項目置換により手話データを生成することで,居住地毎に効率的な情報提示か可能となる。なお、事前に用意した定型文の項目置換により手話データを生成する手法としては、例えば「東、宮崎、井上、道家、梅田、加藤、清水、比留間、"外部データを利用した手話アニメーション自動生成システムの開発"、2014年映像情報メディア学会、年次大会講演予稿集、ROMBUNNO.14−8、2014」等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0081】
また、手話CGは、端末装置14上で描画するため、居住地情報に応じて個別にキャラクタや背景色やカメラ画角を変更することも可能である。本実施形態では、端末装置14側で描画内容を選択するようなインターフェースを設けてもよい。また、居住地情報については、緊急警報に限らず平常時想定されるイベントメッセージによる居住地に特化した手話CG情報提示の際にも利用可能である。
【0082】
本実施形態により、災害が発生し緊急警報が発令された直後に手話CGによる緊急情報を提示できると共に、居住地に特化したきめ細かな情報についても自動で提示することが可能となる。
【0083】
<データ例>
次に、本実施形態におけるデータ例について、図を用いて説明する。
図8,9は、TVMLスクリプトの一例を示す図(その1,その2)である。また、
図10は、自治体情報の一例を示す図である。
【0084】
図8、
図9は、異なる地域(愛知県岩倉市、宮城県青葉区)のTVMLスクリプトを示している。それぞれ手話CG映像を表示する際のスタジオセット(Set)と、番組内の照明(Light)と、手話動作を行うCGモデル(Character)と、CGモデルを表示する倍率や角度等のカメラパラメータ(画角)を設定するカメラ(Camera)等の設定情報が含まれている。
【0085】
図8に示すTVMLスクリプトでは、CGモデルは、「shuwa1.bm」を使用し(A1)、手話モーションデータは、「aichi_iwakura.bvh」を使用する(B1)ことが記述されている。一方、
図9に示すTVMLスクリプトでは、CGモデルは、「shuwa2.bm」を使用し(A2)、手話モーションデータは、「miyagi_sendai.bvh」を使用する(B2)ことが記述されている。
【0086】
このように、本実施形態では、居住地情報に応じて、提示する情報だけでなく、CGキャラクタや、手話動作等を変更することができる。また、本実施形態では、居住地情報毎にTVMLスクリプトを有することで、例えばカメラパラメータやスタジオセット等も変更することできる。
【0087】
また、
図10の例では、自治体避難情報の一例を示している。
図10の例において、カンマで区切られた情報は、それぞれ左から「災害モードコード(例えば、01)」,「自治体コード(例えば、23228)」,「発令区分コード(例えば、1)」,「発令・解除区分コード(例えば、1)」,「地域名(例えば、岩倉市)」,「対象世帯(例えば、10)」,「対象人数(例えば、50)」等を示している。
【0088】
例えば、
図10の例において、左から2要素目の「自治体コード」が地域固有の番号(岩倉市:23228,田原市:23231等)となるため、端末装置14が放送受信機13から取得した郵便番号や地域コードと照会して避難地域に該当するかを判定することが可能となる。
【0089】
図11は、地区毎に異なる情報を提示している例を示す図である。
図11に示すように、居住地情報を利用することで、災害発生時に端末装置14で指定された地域毎に配信サーバ12から異なるスクリプトと素材データを送信することが可能となる。
【0090】
配信サーバ12は、上述したように自治体が発表する避難指示や避難勧告の情報をテキスト形式の電子データで取得し、居住地が避難地域に該当するかを判定する機能を有する。情報提供の一例として、該当していれば第一報スクリプトに加えて個別に避難を呼びかけるスクリプトとその素材データを送信し、該当していなければ端末装置14にてそのまま第一報スクリプトを基に描画し続ける。また、配信サーバ12は、予め設定された運用ケースに応じて必要となる素材データを予め用意しておき、送信するスクリプトを置き換えることで、複数の居住地において同時に異なる情報を提示できる。例えば、
図11の各地区(例えば、A〜C地区)にある端末装置14に表示される画面71−1〜71−3に示すように、居住地毎に背景色やCGモデルを変更し、地震の震度や被害規模に応じて異なる情報を手話で提示することも容易に行うことができる。
【0091】
上述した処理により、本実施形態では、例えば聴覚障がい者等は、端末装置14から手話による緊急情報を即時に取得することができる。なお、上述の例では、ハイブリッドキャストにおいて、緊急情報を取得する例を示したが、これに限定されるものではなく、例えばイベントメッセージに対応する他のコンテンツ情報(例えば、オリンピックによる金メダルを取得した等のスポーツ情報等)を取得してもよい。
【0092】
なお、上述した実施形態では、放送番組を表示する放送受信機(第1の情報提示装置)13と、上述した緊急時の手話CGを表示する端末装置(第2の情報提示装置)14とを用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば放送受信機13の画面中に、放送番組を表示する領域と、手話CGを提示する領域とを設けて、それぞれの情報をPinP(Picture in Picture)で提示してもよい。また、手話を行うCGモデルのファイル容量は、CGモデル毎に異なるため、本実施形態では、端末装置14の性能や機種に応じて提供するCGモデルの種類を変更してもよい。また、本実施形態では、端末装置14毎に任意に設定してもよく、固定のCGモデルを用いてもよい。
【0093】
<実行プログラム>
ここで、上述した緊急情報提示システム10における配信サーバ12、放送受信機13、及び端末装置14は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、マウスやキーボード、ポインティングデバイス等の入力装置、CGモデルやCGモデルに対するモーションデータ、TVMLスクリプト、自治体情報、緊急情報等の各種画像等の各種データを表示する表示部、並びに外部と通信するためのインタフェースを備えたコンピュータによって構成することができる。
【0094】
したがって、緊急情報提示システム10が有する各機能は、これらの機能を記述したプログラム等をCPUに実行させることによりそれぞれ実現可能となる。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0095】
つまり、上述した各構成における処理をコンピュータに実行させるための実行プログラム(例えば、情報提示プログラム)を生成し、例えば、汎用のパーソナルコンピュータやサーバ、タブレット端末等に、生成したプログラムをインストールすることにより、ハードウェア資源とソフトウェアとが協働して本実施形態における情報提示処理等を実現することができる。
【0096】
上述したように本発明によれば、ユーザ毎に適切な緊急情報を提示することができる。本実施形態によれば、例えば緊急警報発令時に放送波に埋め込まれる緊急警報イベントメッセージを手話CGアプリケーション用の配信トリガとして利用すると共に、緊急情報を配信する際に受信機器に記録された居住地情報を利用する。これにより、災害発生時に緊急情報を手話CGで自動提示することが可能となり、居住地に特化した情報のみを抽出して提示することが可能となる。また、本実施形態では、警報の種類や閥値を事前に設定しておくことで,ユーザにとって不要な情報を除外すると共に、配信サーバ側の負荷を軽減した効率的な配信が可能となる。
【0097】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。また、上述した各実施形態の一部又は全部を組み合わせることも可能である。