(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
安定剤造粒物100質量%に対して、亜リン酸エステル化合物を30〜99質量%、金属酸化物および/または炭酸金属塩を1〜70質量%含有する、請求項1に記載の安定剤造粒物。
フレーク状である安定剤造粒物は、0.5〜15mmのフレーク長、および0.5〜5mmの厚みを有し、ペレット状である安定剤造粒物は、0.1〜10mmのペレット径および0.1〜20mmのペレット長を有する、請求項5に記載の安定剤造粒物。
フレーク状である安定剤造粒物は、0.5〜15mmのフレーク長、および0.5〜5mmの厚みを有し、ペレット状である安定剤造粒物は、0.1〜5mmのペレット径および0.1〜10mmのペレット長を有する、請求項5に記載の安定剤造粒物。
式(1)で表される亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩とを含有する混合物から圧縮造粒機、押出造粒機または撹拌造粒機によって安定剤造粒物を得る、請求項1〜7のいずれかに記載の安定剤造粒物を製造する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のリン系酸化防止剤を長期間保存した場合、加水分解反応が生じる。このような加水分解を起こした酸化防止剤を有機材料に添加すると、加工安定性が不十分となり、安定した品質の有機材料を得ることができない。また、上記のリン系酸化防止剤を有機材料に添加する際、ブリッジ現象が生じることがあり、均一に酸化防止剤を有機材料に添加することが困難となり、熱劣化・酸化劣化抑制機能にバラツキが生じることがある。
【0006】
そこで、本発明は、長期間保存後であっても加水分解が生じ難く、有機材料に添加した際に安定した熱劣化・酸化劣化抑制機能を発揮することができ、かつ作業性に優れる安定剤造粒物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために安定剤造粒物について詳細に検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明には、以下の好適な実施態様が含まれる。
〔1〕式(1):
【0008】
【化1】
[式中、R
1、R
2、R
4およびR
5は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、R
3は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子または−CHR
6−基を表す。R
6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Aは炭素数2〜8のアルキレン基または*−COR
7−基を表す。R
7は単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印を付した−CO−は式(1)におけるホスファイト構造の酸素原子と結合していることを表す。
YおよびZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R
4およびR
5のいずれか一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表す。
また、式(1)における2個のR
1は互いに同一でもよく、異なってもよい。さらに、式(1)における2個のR
2は互いに同一でもよく、異なってもよい。そして、式(1)における2個のR
3は互いに同一でもよく、異なってもよい。]で表される亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩とを含有する安定剤造粒物。
〔2〕安定剤造粒物100質量%に対して、亜リン酸エステル化合物を30〜99.9質量%、金属酸化物および/または炭酸金属塩を0.1〜70質量%含有する、〔1〕に記載の安定剤造粒物。
〔3〕安定剤造粒物100質量%に対して、亜リン酸エステル化合物を30〜99質量%、金属酸化物および/または炭酸金属塩を1〜70質量%含有する、〔1〕に記載の安定剤造粒物。
〔4〕さらにバインダーを含有する〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の安定剤造粒物。
〔5〕亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩との総量100質量%に対して、バインダーを1〜20質量%含有する、〔4〕に記載の安定剤造粒物。
〔6〕安定剤造粒物の形状はフレーク状および/またはペレット状である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の安定剤造粒物。
〔7〕フレーク状である安定剤造粒物は、0.5〜15mmのフレーク長、および0.5〜5mmの厚みを有し、ペレット状である安定剤造粒物は、0.1〜10mmのペレット径および0.1〜20mmのペレット長を有する、〔6〕に記載の安定剤造粒物。
〔8〕フレーク状である安定剤造粒物は、0.5〜15mmのフレーク長、および0.5〜5mmの厚みを有し、ペレット状である安定剤造粒物は、0.1〜5mmのペレット径および0.1〜10mmのペレット長を有する、〔6〕に記載の安定剤造粒物。
〔9〕式(1)で表される亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩とを含有する混合物から圧縮造粒機、押出造粒機または撹拌造粒機によって安定剤造粒物を得る、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の安定剤造粒物を製造する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の安定剤造粒物は、長期間保存後であっても加水分解が生じ難く、またブリッジ現象を生じ難く、均一に有機材料に添加することができるため、有機材料に添加した際に安定した熱劣化・酸化劣化抑制機能を発揮し、かつ作業性に優れる安定剤造粒物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の安定剤造粒物は、式(1)で表される亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩とを含有する。
【0011】
本発明における式(1)で示される亜リン酸エステル化合物において、置換基R
1、R
2、R
4およびR
5はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表す。置換基R
1、R
2およびR
4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましく、置換基R
5は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基であることが好ましい。ここで、炭素原子数1〜8のアルキル基の代表例としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル、イソオクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル等が挙げられる。また炭素数5〜8のシクロアルキル基の代表例としては、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基の代表例としては、例えば1-メチルシクロペンチル、1-メチルシクロヘキシル、1-メチル-4-イソプロピルシクロヘキシル等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基の代表例としては、例えばベンジル、α-メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等が挙げられる。
【0012】
なかでも、置換基R
1およびR
4は、それぞれ独立にt-ブチル、t-ペンチル、t-オクチル等のt-アルキル基、シクロヘキシル、1-メチルシクロヘキシル基であることが好ましい。置換基R
2は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル、t-ブチル、t-ペンチルであることが特に好ましい。置換基R
5は、水素原子、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
【0013】
置換基R
3は、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば前記と同様のアルキル基が挙げられる。好ましくは水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基であり、水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。
【0014】
また置換基Xは、単結合、硫黄原子または炭素数1〜8のアルキルもしくは炭素数5〜8のシクロアルキルが置換していてもよいメチレン基を表す。ここで、メチレン基に置換している炭素原子数1〜8のアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキルとしては、それぞれ前記と同様のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられる。Xは、単結合、メチレン基またはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル等が置換したメチレン基であることが好ましい。
【0015】
また置換基Aは、炭素数2〜8のアルキレン基または*−COR
7−基(R
7は単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を、*は酸素側に結合していることを示す。)を表す。ここで、炭素数2〜8のアルキレン基の代表例としては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン等が挙げられる。プロピレンが好ましく用いられる。また*−COR
7−基における*は、カルボニルがホスファイトの酸素と結合していることを示す。R
7における、炭素数1〜8のアルキレン基の代表例としては、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン等が挙げられる。R
7としては、単結合、エチレンが好ましい。
【0016】
Y、Zは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、もう一方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば前記と同様のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えばアルキル部分が前記の炭素数1〜8のアルキルと同様のアルキルであるアルコキシ基が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えばアラルキル部分が前記炭素数7〜12のアラルキルと同様のアラルキルであるアラルキルオキシ基が挙げられる。
【0017】
式(1)で表される亜リン酸エステル化合物の具体例としては、例えば、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,4,8,10−テトラ−t−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジエチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[2,2−ジメチル−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。
【0018】
本発明の安定剤造粒物は、安定剤造粒物の全量を基準として、例えば30〜99.9質量%、好ましくは30〜99質量%、より好ましくは40〜99質量%、さらにより好ましくは50〜99質量%の、式(1)で表される亜リン酸エステル化合物を含有する。式(1)で表される亜リン酸エステル化合物の含有量が上記範囲内であると、本発明の安定剤造粒物を有機材料に添加した際の安定化効果が良好であるため望ましい。
【0019】
本発明における金属酸化物として、例えばケイ素含有酸化物[例えばアルミノケイ酸塩(アルミニウムシリケート)、シリカ(合成シリカ、天然シリカ)、珪藻土、ガラス繊維、タルク、カオリン、マイカ、ゼオライト等]、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、三酸化アンチモン、フェライト等が挙げられる。これらの金属酸化物のうち、アルミノケイ酸塩、酸化亜鉛等が好ましい。本発明における炭酸金属塩として、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、層状複水酸化物等が挙げられる。層状複水酸化物としては、ハイドロタルサイトが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中で、ハイドロタルサイトが好ましい。なお、ハイドロタルサイトは、式:
Mg
1−xAl
x(OH)
2(CO
3)
x/2・pH
2O
[式中、0<x≦0.5、0≦pの数値を表す]
で表される。
ハイドロタルサイトは、天然物であっても、合成品であってもよく、またその結晶構造、結晶粒子径などを問わず使用することができる。ハイドロタルサイトとして、例えば協和化学工業株式会社製のDHT−4A(登録商標)等を使用することができる。
【0020】
本発明の安定剤造粒物は、安定剤造粒物の全量を基準として、例えば0.1〜70質量%、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは1〜60質量%、さらにより好ましくは1〜50質量%の金属酸化物および/または炭酸金属塩を含有する。金属酸化物および/または炭酸金属塩の含有量が上記範囲内であると、本発明の安定剤造粒物は加水分解を生じ難く、長期安定性に優れるため望ましい。
【0021】
本発明の安定剤造粒物は、金属酸化物および/または炭酸金属塩の割合が小さくても(又は金属酸化物および/または炭酸金属塩の量が少量であっても)、式(1)の亜リン酸エステル化合物の加水分解を有効に抑制できる。すなわち、本発明の安定剤造粒物は、式(1)の亜リン酸エステル化合物の割合を大きくできるため、加水分解を抑制しつつ、優れた熱劣化および酸化劣化抑制機能を有効に有機材料(例えば樹脂等)に発現できる。このため、本発明の安定剤造粒物は、金属酸化物および/または炭酸金属塩の割合を、安定剤造粒物全量に対して、例えば0.1〜30質量%(例えば0.2〜20質量%)、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜9質量%にすることもできる。また、本発明の安定剤造粒物は、式(1)の亜リン酸エステル化合物の割合を、安定剤造粒物全量に対して、例えば70〜99.9質量%(例えば80〜99.8質量%)、好ましくは90〜99.5質量%、さらに好ましくは91〜99質量%にすることもできる。
【0022】
本発明の安定剤造粒物は、さらにバインダー(結合剤)を含んでいてもよい。本発明におけるバインダーとしては、造粒温度以下の融点を有するバインダーが好ましく、例えば融点が100℃以下であるバインダーが挙げられる。また、本発明におけるバインダーは低分子量のバインダーであることが好ましく、バインダーの分子量は、例えば、1000g/モル以下(例えば、100〜900g/モル)、好ましくは800g/モル以下(例えば、150〜700g/モル)、さらに好ましくは600g/モル以下(例えば、200〜600g/モル)であってもよい。このようなバインダーとしては、1000g/モル以下の分子量および/または100℃以下の融点を有するフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤および滑剤等が挙げられる。
【0023】
本発明においてバインダーとして用いられるフェノール系酸化防止剤として、例えばn−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(融点50〜55℃)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(融点69℃(凝固点))、2,2−チオ−ジ−エチレン−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点63℃以上)、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点76〜79℃)が挙げられる。
【0024】
本発明においてバインダーとして用いられるイオウ系酸化防止剤として、例えば3,3’−チオ−ジ−プロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル(融点40〜42℃)、3,3’−チオ−ジ−プロピオン酸ジ−n−テトラデシルエステル(融点49〜54℃)、3,3’−チオ−ジ−プロピオン酸ジ−n−オクタデシルエステル(融点65〜67℃)、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチルエステル(融点約46℃)が挙げられる。
【0025】
本発明においてバインダーとして用いられるリン系酸化防止剤として、例えばテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト(融点75〜90℃)、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル−6−メチル−フェニル]エチルホスファイト(融点89〜92℃)が挙げられる。なお、当該リン系酸化防止剤は、前記式(1)で示される亜リン酸エステル化合物を含まない。
【0026】
本発明においてバインダーとして用いられるヒンダードアミン系酸化防止剤として、例えばセバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)が挙げられる。
【0027】
本発明においてバインダーとして用いられる紫外線吸収剤として、例えば2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン(融点45℃以上)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール(融点77℃以上)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル−]−5−(オクチルオキシ)フェノール(融点87〜89℃)が挙げられる。
【0028】
本発明においてバインダーとして用いられる帯電防止剤として、例えばグリセリンモノステアレート(融点65〜70℃)、グリセリンモノカプレート(融点46℃)、グリセリンモノラウレート(融点57℃)、クエン酸脂肪酸モノグリセライド(融点59℃)が挙げられる。
【0029】
本発明においてバインダーとして用いられる滑剤として、例えばオレイン酸アミド(融点約72〜77℃)、エルカ酸アミド(融点79〜81℃)、プロピレングリコールモノステアレート(融点42〜48℃)、ステアリルステアレート(融点53〜59℃)、ソルビタンステアレート(融点52〜58℃)が挙げられる。
【0030】
本発明の安定剤造粒物は、式(1)で表される亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩との総量100質量%に対して、好ましくは1〜20質量%のバインダーを含有する。バインダーの含有量が上記範囲内であると、安定した形状の造粒物を製造可能であるため望ましい。
【0031】
本発明の安定剤造粒物は、式(1)で表される亜リン酸エステル化合物および金属酸化物および/または炭酸金属塩並びに前記バインダーの他に、必要に応じて他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤としては、前記バインダーを除く添加剤であって、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、脂肪族金属塩等を含む金属石鹸、帯電防止剤、有機アンチブロッキング剤、無機アンチブロッキング剤、顔料、難燃剤等が挙げられる。
【0032】
フェノール系酸化防止剤として、例えば3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)が挙げられる。
【0033】
リン系酸化防止剤として、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。なお、当該リン系酸化防止剤は、前記式(1)で示される亜リン酸エステル化合物を含まない。
【0034】
ヒンダードアミン系光安定剤として、例えばポリ[{6−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]が挙げられる。
【0035】
紫外線吸収剤として、例えば2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートが挙げられる。
【0036】
充填剤として、例えば、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバーおよび金属粉が挙げられる。
【0037】
脂肪酸金属塩等を含む金属石鹸として、例えばステアリン酸のリチウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、または鉄塩、ラウリン酸のリチウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、または鉄塩、ベヘニン酸のカルシウム塩または亜鉛塩、12−ヒドロキシステアリン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩または亜鉛塩が挙げられる。
【0038】
帯電防止剤は、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等であってよい。カチオン界面活性剤として、例えば4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、アミン塩(第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩)、ピリジン誘導体等が挙げられる。アニオン界面活性剤として、例えばリン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等が挙げられる。ノニオン界面活性剤として、例えば、ベタイン型の両性界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等が挙げられる。両性界面活性剤として、例えばカルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等が挙げられる。また、帯電防止剤としては、アルカノールアミン、例えばトリアルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、ジアルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、テトラエタノールエチレンジアミン、テトライソプロパノールエチレンジアミン等)、モノアルカノールアミン(例えば、ジブチルイソプロパノールアミン等)]も挙げられる。
【0039】
有機アンチブロッキング剤としては、例えば、ポリメチルメタアクリル酸架橋物等が挙げられる。
【0040】
顔料として、例えばカーボンブラック、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレンまたはペリニン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロ−ピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料やベンズイミダゾロン系顔料が挙げられる。
【0041】
難燃剤として、例えばデカブロモビフェニル、リン系難燃剤、水酸化アルミニウムが挙げられる。
【0042】
本発明の安定剤造粒物は、安定剤造粒物の全量を基準として、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜50質量%の他の添加剤を含有する。なお、本発明の安定剤造粒物において、構成成分の含有量の合計、すなわち式(1)で表される亜リン酸エステル化合物、金属酸化物および/または炭酸金属塩、ならびに必要に応じてバインダーおよび他の添加剤の含有量の合計は、100質量%である。
【0043】
本発明の安定剤造粒物は、例えば、式(1)で表される亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩と、必要に応じてバインダーとを含有する混合物を造粒することにより得られる。本発明の安定剤造粒物は、長期間保存後であっても酸価が低く、加水分解が生じ難いために、熱劣化・酸化劣化抑制機能にバラツキが生じ難い。本発明の安定剤造粒物の形状としては、ペレット状、リング状、フレーク状、筒状、中空状およびハニカム状等が挙げられる。本発明の安定剤造粒物の形状は、好ましくはフレーク状、ペレット状である。安定剤造粒物の形状がフレーク状および/またはペレット状であると、有機材料への添加時においてブリッジ現象がより生じ難く流下性がより高いため、作業性により優れ、同時に有機材料により均一に安定剤造粒物を配合することができるため、熱劣化・酸化劣化抑制機能にバラツキがより生じ難い。
なお、本発明において、フレーク状の造粒物とは、薄片状(又は薄板状)、鱗片状等の形状の造粒物を示し、その表面又は裏面は平面または曲面であってもよい。また、ペレット状の造粒物とは、球状、円柱状、楕円柱状、多角柱(例えば三角柱、四角柱、五角柱、六角柱など)等の略一定の厚みを有する固形状の造粒物を示し、その断面は円形状、楕円形状、多角形等である。ペレット状の造粒物の表面は凹凸があってもよく、略球状、略円柱状、略楕円柱状、略多角柱等であってもよい。
【0044】
本発明の安定剤造粒物の形状がフレーク状である場合、本発明の安定剤造粒物は、取扱い性の観点から、好ましくは0.5〜15mm、より好ましくは0.5〜10mmのフレーク長を有し、好ましくは0.5〜5mm、より好ましくは0.5〜4mmの厚みを有する。ここで、安定剤造粒物のフレーク長とは、フレーク状の造粒物のアスペクト比による長軸側の長さを表す。また、安定剤造粒物の厚みとは、造粒物の表面および裏面間の長さを表す。
本発明において、フレーク長および厚みは、例えば任意に100個の安定剤造粒物を抽出し、1つ1つについてフレーク長および厚みを定規、ノギスまたはマイクロメータ等によって測定し、平均値をとることによって測定することができる。
本発明の安定剤造粒物の形状がペレット状である場合、本発明の安定剤造粒物は、取扱い性の観点から、例えば0.1〜10mm(例えば0.1〜8mm)、好ましくは0.1〜5mm、より好ましくは0.5〜3mmのペレット径を有し、例えば0.1〜20mm(例えば、0.1〜15mm)、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmのペレット長を有する。ここで、安定剤造粒物がペレット状である場合、ペレット径は前記断面(例えば円状または楕円形状の断面)の短径と長径の平均値であり、ペレット長とは前記断面に対して垂直な方向のペレットの最大長さである。
本発明において、ペレット径およびペレット長は、上述したフレーク長および厚みと同様の方法により、短径および長径を測定し求めることができる。
【0045】
本発明の安定剤造粒物は、例えば慣用の造粒法(例えば、圧縮造粒法、押出造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、噴霧造粒法、流動層造粒法等)を利用し、それぞれ対応する造粒機(例えば、圧縮造粒機、押出造粒機、撹拌造粒機、転動造粒機、噴霧造粒機、流動層造粒機等)を用いて所定形状(例えば、前記形状)に製造することができる。好ましい製造方法としては、圧縮造粒法、撹拌造粒法、押出造粒法が挙げられる。また、造粒は乾式造粒であってもよく、湿式造粒(バインダー等を含む造粒)であってもよい。
【0046】
本発明の安定剤造粒物を圧縮造粒法によって製造する場合、本発明においては、乾式で圧縮造粒を行うことができ、既知の圧縮造粒機(ローラーコンパクター)を用いて行うことができる。
本発明の安定剤造粒物を乾式の圧縮造粒法によって造粒する場合は、溶媒等、所望しない成分を含むことなく造粒する事が可能であるため好ましい。乾式圧縮造粒法において、例えば、式(1)の亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩とを含有する混合物を1軸または2軸押出機によって混練する。続いて、相対的に回転させた2個のロール間にこれを通し、ロール間の圧力によってシート状とし、これを解砕機によって適当なサイズに加工することによって、フレーク状の安定剤造粒物を得ることができる。圧縮造粒機として、例えばフロイントターボ株式会社製FT160等が挙げられる。安定剤造粒物のサイズは、圧縮造粒機のスクリュー回転数、ロール圧縮圧およびロール回転数、ならびに解砕機の回転数等を調整することによって制御することができる。
【0047】
本発明の安定剤造粒物を撹拌造粒法によって製造する場合、例えば、式(1)の亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩と、必要によりバインダー(特にバインダーを用いることが好ましい)とを含有する混合物を撹拌造粒機内において昇温下で混合、造粒することによって、本発明の安定剤造粒物を製造することができる。撹拌造粒機は、その内部に回転撹拌翼を有する。なお、この際の温度は、バインダーを用いる場合、バインダーの融点以上であることが好ましい。撹拌造粒機としては、例えば株式会社アーステクニカ製のハイスピードミキサーおよび株式会社パウレック製のバーチカルグラニュレーター等が挙げられる。安定剤造粒物のサイズは、撹拌造粒機のアジテーターおよびチョッパーの回転数等を調整することによって制御することができる。
【0048】
本発明の安定剤造粒物を押出造粒法によって製造する場合、例えば、式(1)の亜リン酸エステル化合物と金属酸化物および/または炭酸金属塩と、必要によりバインダーとを含有する混合物を、昇温下において押出造粒機に投入し、押し出された混合物を切断し、例えばペレット化することによって、安定剤造粒物を製造することができる。バインダーを用いる場合、造粒時の温度は、安定剤造粒物の成形性の観点から、バインダーが溶融する温度以上であることが好ましい。
【0049】
押出造粒機としては、スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ディスクペレッター型押出造粒機、ペレットミル型押出造粒機、バスケット型押出造粒機、ブレード型押出造粒機、オシレーティング型押出造粒機、ギア式押出造粒機、リングダイス式押出造粒機等が挙げられる。なお、押出造粒機の具体例としては、例えばダルトン社製のディスクペレッター、ツインドームグラン、バスケットリューザ、ペレッターダブル、株式会社畑鉄工所の畑式造粒機等が挙げられる。安定剤造粒物のサイズは、押出造粒機の各種パラメーターを調整することによって制御することができ、例えばディスクペレッター型押出造粒機の場合、ディスク回転数等を調整することによって制御することができる。また、押出造粒機(スクリュー型押出造粒機)は単軸押出造粒機であってもよく、二軸押出造粒機であってもよい。特に混練性(又は混合性)の観点から二軸押出造粒機が好ましく、例えば、バインダーがなくても所定形状の安定剤造粒物を得られる場合が多い。
このように、本発明の安定剤造粒物を撹拌造粒法または押出造粒法によって造粒する場合は、造粒効率がより高く、経済性の向上が可能であるため望ましい。
【0050】
本発明の安定剤造粒物が配合される有機材料としては例えば熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリオレフィン[例えば、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂(高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体など)、環状ポリオレフィン、メチルペンテンポリマー]、ポリスチレン類[ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、アクリロニトリル−スチレン共重合体、特殊アクリルゴム−アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体など]、塩素化樹脂(例えば、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン)、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸など)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートプレポリマー、シリコーン樹脂、ポリイソプレン、ブタジエン重合体などが挙げられる。特に、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリスチレン類、ブタジエン重合体が好ましく、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂またはブタジエン重合体が特に好ましい。これらの樹脂は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
ここで、エチレン系樹脂とは、エチレンに由来する構造単位を含有し、かつプロピレン構造単位を含まないポリオレフィンを意味し、前記例示された樹脂が挙げられる。
プロピレン系樹脂とは、プロピレンに由来する構造単位を含有するポリオレフィンを意味し、エチレン構造単位とプロピレン構造単位の両方を含有する樹脂を含む。具体的には、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合
体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体などが挙げられる。
【0051】
本発明において有機材料としてプロピレン系樹脂を用いる場合、プロピレン系樹脂としては1種類で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
【0052】
α−オレフィンとしては、通常、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられ、さらに好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0053】
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えばプロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体などが挙げられる。
【0054】
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えばプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
【0055】
プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、例えばプロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分などが挙げられ、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分としては、例えばプロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分などが挙げられる。なお、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分におけるエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの含有量は、通常、0.01〜20質量%である。
【0056】
また、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体としては、例えばプロピレン−エチレンブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体などが挙げられる。
【0057】
また本発明において有機材料としてプロピレン系樹脂を用いる場合、好ましくは、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体である。さらに好ましくは、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体である。
【0058】
本発明におけるブタジエン重合体とは、ブタジエンに由来する構造単位を含有する重合体または該重合体の水素添加物である。かかるブタジエン重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB)などのスチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエンの単独重合体であるポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などが挙げられる。ブタジエン重合体は、例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法などの通常の方法で製造することができる。ブタジエン重合体は、樹脂であってもよいし、ゴムであってもよい。ブタジエン重合体がポリブタジエンである場合には、溶液重合法により製造されたポリブタジエンゴムであってもよいし、乳化重合法により製造されたポリブタジエンゴムであってもよい。
【0059】
本発明の安定剤造粒物は、通常、有機材料100質量部に対して、好ましくは0.0001〜5質量部、より好ましくは0.0005〜3質量部、さらにより好ましくは0.01〜2質量部配合される。
【0060】
本発明の安定剤造粒物を、均質な混合物を得るための公知のあらゆる方法および装置を用いて、有機材料に配合することができる。例えば有機材料が固体ポリマーである場合は、本発明の安定剤造粒物を、その固体ポリマーに直接ドライブレンドすることもできる。有機材料が液状ポリマーである場合は、上記添加方法に加えて、重合途中あるいは重合直後のポリマー溶液に、本発明の安定剤造粒物を、溶液または分散液の形で配合することもできる。一方、有機材料が油などの液状媒体と混合される場合は、上記添加方法に加えて、本発明の安定剤造粒物を有機材料と液状媒体との混合物に直接添加して溶解させることもできるし、あるいは、本発明の安定剤造粒物を液状媒体に溶解または懸濁させた状態で添加することもできる。
【0061】
本発明の安定剤造粒物は、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂をはじめとする各種有機材料の安定剤として優れた性能を有する。本発明の安定剤造粒物は、加水分解が生じ難く、また有機材料に添加する際にブリッジ現象が生じ難く、有機材料に均一に含有させることができるため、熱劣化・酸化劣化抑制機能にバラツキが生じることなく、安定した性能を発揮することができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
3789gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)および211gのハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製)を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。その後、この混合物を乾式造粒機(ローラーコンパクター、フロイントターボ株式会社製FT160)に投入し、ロール圧力5.0MPa、粉体供給スクリュー回転速度35.0rpm、ロール回転数15.0rpmでローラー圧縮を行った。得られた圧縮物を、解砕機で解砕し、フレーク状の乾式造粒物である安定剤a(フレーク長:2.0〜4.0mm、厚み:2.5mm)を4000g得た。
【0064】
(実施例2)
2815gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)、296gのハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製)および889gのトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを混合した以外は、実施例1と同様にしてフレーク状の乾式造粒物である安定剤b(フレーク長:2.0〜4.0mm、厚み:3.0mm)を4000g得た。
【0065】
(実施例3)
4750gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)および250gの酸化亜鉛(1種、本荘ケミカル株式会社製)を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。その後、この混合物を二軸押出造粒機(Nanjing SUNUP Granulation Equipment Co.,Ltd.製SET-180)に投入し、ジャケット温度55℃、スクリュー回転周波数15Hzで押出し、冷却後、得られたストランド状物を解砕機で解砕し、ペレット状の安定剤c(ペレット長:3.0〜15.0mm、ペレット径:3.0〜5.0mm)を5000g得た。
【0066】
(実施例4)
4750gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)、125gの酸化亜鉛(1種、本荘ケミカル株式会社製)および125gのハイドロタルサイト(DHT−4C、協和化学工業株式会社製)を混合したこと以外は、実施例3と同様にしてペレット状の安定剤d(ペレット長:3.0〜15.0mm、ペレット径:3.0〜5.0mm)を5000g得た。
【0067】
(実施例5)
4750gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)および250gのアルミノケイ酸塩(JC−50、水澤化学工業株式会社製)を混合したこと以外は、実施例3と同様にしてペレット状の安定剤e(ペレット長:3.0〜15.0mm、ペレット径:3.0〜5.0mm)を5000g得た。
【0068】
(実施例6)
4750gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)、125gのアルミノケイ酸塩(JC−50、水澤化学工業株式会社製)および125gのハイドロタルサイト(DHT−4C、協和化学工業株式会社製)を混合したこと以外は、実施例3と同様にしてペレット状の安定剤f(ペレット長:3.0〜15.0mm、ペレット径:3.0〜5.0mm)を5000g得た。
【0069】
(実施例7)
4750gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)、125gのトリイソプロパノールアミン(TIPA、東京化成工業株式会社製)および125gのハイドロタルサイト(DHT−4C、協和化学工業株式会社製)を混合したこと以外は、実施例3と同様にしてペレット状の安定剤g(ペレット長:3.0〜15.0mm、ペレット径:3.0〜5.0mm)を5000g得た。
【0070】
(実施例8)
4950gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)および50gのハイドロタルサイト(DHT−4C、協和化学工業株式会社製)を混合したこと以外は、実施例3と同様にしてペレット状の安定剤h(ペレット長:3.0〜15.0mm、ペレット径:3.0〜5.0mm)を5000g得た。
【0071】
(実施例9)
4750gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)および250gのハイドロタルサイト(DHT−4C、協和化学工業株式会社製)を混合したこと以外は、実施例3と同様にしてペレット状の安定剤i(ペレット長:3.0〜15.0mm、ペレット径:3.0〜5.0mm)を5000g得た。
【0072】
(実施例10)
1548gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製)、871gのハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製)、194gのトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、および387gのn−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(Irganox1076、BASF社製)を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。その後、この混合物をディスクペレッター(ダルトン社製、F−5型)に投入し、材料温度を65〜75℃として、回転式ローラーの回転数132rpmで運転させ、ローラー下のディスクダイより押出されその直後にカッティングされたペレット状の安定剤j(ペレット径:3.0mm、ペレット長:2.0〜6.0mm)を3000g得た。
【0073】
(比較例1)
また、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンのみを比較例として安定剤kとした。
【0074】
(比較例2)
さらに、947gの6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンおよび53gのハイドロタルサイトをドライブレンドしたものを比較例として安定剤lとした。
【0075】
上記で製造した安定剤a〜lについて耐加水分解性評価を行い、安定剤a〜lについて流下性評価を行った。各評価方法は以下のとおりである。その結果を表1に示した。
【0076】
(耐加水分解性評価)
安定剤をそれぞれ、温度50℃、湿度80%RHの恒温恒湿槽に4週間保管した後、JIS 0070 1992(フェノールフタレイン変色によるKOH滴定法)に従って酸価を計算した。酸価が低い程、耐加水分解性が高いことを意味する。この結果を表1に示す。
【0077】
(流下性評価)
安定剤a〜lを、温度50℃、湿度80%RHの恒温恒湿槽に4週間保管した後、口径100mm、足外径25mmの漏斗(止栓付)に安定剤をそれぞれ100g投入した。止栓を引き抜いてから安定剤が全て落下するまでの時間を計測した。落下時間が短い程、流下性が高いことを意味する。この結果を表1に示す。
【0078】
【表1】