特許第6593189号(P6593189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593189
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20191010BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20191010BHJP
   F21S 41/24 20180101ALI20191010BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20191010BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20191010BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20191010BHJP
   F21W 102/10 20180101ALN20191010BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20191010BHJP
【FI】
   F21S2/00 311
   F21V8/00 357
   F21S41/24
   F21S2/00 355
   H01S5/022
   G02B6/00 301
   G02B6/42
   F21W102:10
   F21Y115:10
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-9393(P2016-9393)
(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2017-130365(P2017-130365A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松山 裕司
(72)【発明者】
【氏名】坂本 考史
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−009355(JP,A)
【文献】 特開2011−243370(JP,A)
【文献】 特開2013−246943(JP,A)
【文献】 特開平06−091015(JP,A)
【文献】 特開平01−292303(JP,A)
【文献】 特開2001−161713(JP,A)
【文献】 特開2012−059608(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/125782(WO,A1)
【文献】 特開2014−017337(JP,A)
【文献】 特開2014−232734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 41/24
F21V 8/00
G02B 6/00
G02B 6/42
H01S 5/022
F21W 102/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ素子と、前記レーザ素子を気密封止するキャップと、を有する光源ユニットと、
前記レーザ光によって励起可能な蛍光体を含む蛍光体含有部材を有する波長変換ユニットと、
第1端部と第2端部を有する中空の光導波路を有するパイプ状の遮光部材であって、前記レーザ光が前記光導波路を通って前記蛍光体含有部材に到達するように、前記第1端部の側の開口が前記光源ユニットにより塞がれ、前記第2端部の側に前記波長変換ユニットが配置される、遮光部材と、
前記レーザ光を平行状態にして前記光導波路に通す光学部材と、を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光導波路の長さは、100mm以上である請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記光学部材は、前記レーザ光を幅1mm以上の平行光とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光導波路の幅は、2mm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光導波路は、1以上の屈曲部を有し、
前記屈曲部に、前記レーザ光の方向を前記光導波路の形状に沿った方向に変えるミラーが設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記遮光部材は、前記第2端部を含む先端部分と、前記先端部分が回転可能に取り付けられた支持部分と、を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記遮光部材は、主に金属からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第2端部の側に設けられ、平行状態の前記レーザ光を集光して前記蛍光体含有部材に照射する集光レンズをさらに備える請求項1〜7のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記波長変換ユニットは、前記蛍光体含有部材の前記レーザ光が照射される側とは反対の側に設けられる、前記レーザ光と前記蛍光体による波長変換光とを反射可能な光反射部材をさらに有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記第1端部の側に設けられ、前記レーザ素子の熱を排熱する第1ヒートシンクと、
前記第2端部の側であって前記第1ヒートシンクから離間した位置に設けられ、前記蛍光体含有部材の熱を排熱する第2ヒートシンクと、をさらに備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図12に示すように、車両用のヘッドランプ90として、半導体レーザ91と、光ファイバー92と、蛍光体を含む発光部93と、を有する構造が記載されている。半導体レーザ91の光は光ファイバー92を通って発光部93に照射される。光ファイバー92は、中芯のコアを、当該コアよりも屈折率の低いクラッドで覆った二層構造である。コアは、石英ガラスを主成分とするものであり、クラッドは、コアよりも屈折率の低い石英ガラスまたは合成樹脂材料を主成分とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−233511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体レーザも蛍光体も共に、駆動時に発熱し、温度上昇に伴って特性が劣化する。したがって、両者が近接して配置される場合は、半導体レーザ及び蛍光体のうち一方の発熱が他方の特性に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、光ファイバーを用いて半導体レーザと蛍光体の距離を離すことにより、半導体レーザ及び蛍光体のうち一方の発熱が他方に与える悪影響を抑制することができる。また、光ファイバーを任意の屈曲形状とすることで、半導体レーザを任意の場所に設置できるという利点もある。近年、車両用前照灯には、ロービーム用光源、ハイビーム用光源、昼間点灯ランプ(daytime running lamps:DRL)用光源といった複数の光源が組み込まれる傾向にある。この場合、光ファイバーを用いることで複数の光源の配置の自由度を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、光ファイバーは細い線状の部材である。そのため、ガラス製のコアを用いた光ファイバーは曲げに弱く折れやすい。一方、プラスチック製の光ファイバーであれば、ガラス製の光ファイバーよりも曲げ耐性は強いが、レーザ光に対する耐性が弱い。ヘッドランプに用いられるレーザ光は例えば1W以上の高出力であるため、プラスチック製の光ファイバーでは劣化の懸念がある。これらの懸念を解消することができれば車両用部品としてより望ましい光源装置となると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、以下の発明を含む。
レーザ光を出射するレーザ素子と、前記レーザ素子を気密封止するキャップと、を有する光源ユニットと、
前記レーザ光によって励起可能な蛍光体を含む蛍光体含有部材を有する波長変換ユニットと、
第1端部と第2端部を有する中空の光導波路を有するパイプ状の遮光部材であって、前記レーザ光が前記光導波路を通って前記蛍光体含有部材に到達するように、前記第1端部の側の開口が前記光源ユニットにより塞がれ、前記第2端部の側に前記波長変換ユニットが配置される、遮光部材と、
前記レーザ光を平行状態にして前記光導波路に通す光学部材と、を備えることを特徴とする光源装置。
【発明の効果】
【0007】
このような光源装置によれば、光ファイバーを用いていないにも関わらず、光源ユニット及び波長変換ユニットのうち一方の発熱が他方の特性に悪影響を及ぼしにくくすることができるとともに、光源ユニットの配置の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る光源装置の模式的な断面図である。
図2図1の光源装置における光の進み方を模式的に示す図である。
図3】光源ユニットの一例を示す模式的な斜視図である。
図4】波長変換ユニットの変形例1を示す模式的な断面図である。
図5】波長変換ユニットの変形例2を示す模式的な断面図である。
図6】遮光部材の変形例1を示す模式的な側面図である。
図7】遮光部材の変形例2を示す模式的な断面図である。
図8図7の光源装置における光の進み方を模式的に示す図である。
図9】遮光部材の変形例3を示す模式的な側面図である。
図10】光学部材を光源ユニットに組み込む例を示す模式的な断面図である。
図11】第1ヒートシンクおよび第2ヒートシンクを設ける例を示す模式的な側面図である。
図12】従来技術に係るヘッドランプの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を特定するものではない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る光源装置100の模式的な断面図である。図2は、光源装置100における光の進み方を模式的に示す図である。図1および図2に示すように、光源装置100は、光源ユニット1と、波長変換ユニット2と、パイプ状の遮光部材3と、光学部材4と、を備える。光源ユニット1は、レーザ光L1を出射するレーザ素子11と、レーザ素子11を気密封止するキャップ12と、を有する。波長変換ユニット2は、レーザ光L1によって励起可能な蛍光体を含む蛍光体含有部材21を有する。遮光部材3は、第1端部31aと第2端部31bを有する中空の光導波路31を有する。さらに、レーザ光L1が光導波路31を通って蛍光体含有部材21に到達するように、第1端部31aの側の開口が光源ユニット1により塞がれており、第2端部31bの側に波長変換ユニット2が配置されている。光学部材4は、レーザ光L1を平行状態にして光導波路31に通す部材である。なお、図2等では、平行状態でないレーザ光と区別するために平行状態のレーザ光を平行光L1aとしている。
【0011】
このような光源装置100において、光源ユニット1から波長変換ユニット2に至るレーザ光L1は平行状態にされて(すなわち平行光L1aとなって)中空の光導波路31を通るため、遮光部材3にはレーザ光L1が実質的に照射されない。中実構造の光ファイバーであれば、レーザ光が通るコアの材料は、コアの周囲を被覆するクラッドとの屈折率差やレーザ光に対する耐久性の高さを考慮して選択する必要がある。しかし、本実施形態の光源装置100であれば、レーザ光L1は中空の光導波路31を通るため、遮光部材3の材料選択に際して屈折率や耐久性を考慮しなくてよい。このため、例えば金属パイプ等の頑丈なものを遮光部材3として用いることが可能となる。なお、透明な部材ではなく遮光部材3でレーザ光L1の光路の周囲を覆う理由は、何かしらの理由によりレーザ光L1が直接外部に漏れることを抑制するためである。
【0012】
光ファイバーを用いることの利点としては、上述のとおり、レーザ素子及び蛍光体のうち一方の熱が他方の特性に悪影響を及ぼしにくくすることが可能であることや、レーザ素子を任意の位置に設置可能であることが挙げられる。本実施形態の光源装置100であれば、これらの利点も得ることができる。すなわち、パイプ状の遮光部材3によって光源ユニット1と波長変換ユニット2が離間されているため、光源ユニット1の熱と波長変換ユニット2の熱とをそれぞれ別経路で排熱することができるので、レーザ素子及び蛍光体のうち一方の熱が他方の特性に悪影響を及ぼしにくくすることが可能である。また、パイプ状の遮光部材3を任意の形状及び長さとすることで、光源ユニット1を任意の位置に設置することができる。このように、光源装置100は、光ファイバーを必要とせずに、光ファイバーを用いる場合と同様の利点を得ることが可能である。
【0013】
なお、中空の光導波路31を用いる場合に懸念されるのは集塵であるが、本実施形態の光源装置100では、光源ユニット1の構成および配置によって集塵の抑制を図っている。すなわち、光源装置100では、レーザ素子11を気密封止し、且つ、光導波路31のレーザ素子11に近い側の開口を光源ユニット1により塞いでいる。集塵は、光密度が高いほど促進されやすい。レーザ素子11及びその近傍は、光源装置100の中でもレーザ光L1のビーム径が比較的小さい箇所、すなわち光密度が比較的高い箇所である。したがって、まず、レーザ素子11を気密封止することにより、レーザ素子11及びその近傍における集塵を抑制することができる。加えて、光導波路31の第1端部31aの開口を光源ユニット1により塞いでいる。これは、光源ユニット1のレーザ光L1の出射部がレーザ素子11及びその近傍に次ぐ高光密度となりやすいことから、ここにおける集塵も抑制するためである。すなわち、光源ユニット1に近い側の開口を塞ぐことにより、外部の空気が光導波路31内に位置する光源ユニット1の付近に流れ込みにくいようにすることができる。また、仮に光導波路31の2つの開口の両方が開いていれば光導波路31が空気の通り道となるが、光導波路31の少なくとも一方の開口を塞げば光導波路31は空気の通り道ではなくなるため、外部の空気が光導波路31内に流れ込みにくいようにすることができる。このように光源ユニット1のレーザ光L1出射部およびその付近に外部の空気が流入しにくい構造とすれば、外部の塵も侵入しにくい。したがって、光源ユニット1のレーザ光L1の出射部およびその付近における集塵を抑制することができると考えられる。
【0014】
以下、各部材について詳述する。
【0015】
(光源ユニット1)
光源ユニット1は、レーザ光L1を出射する部材である。図3に、光源ユニット1の一例を示す。図3に示す光源ユニット1は、キャップ12がベース13に溶接等により接合されており、これによってレーザ素子11を気密封止する封止空間が形成されている。レーザ素子11を気密封止することにより、実用可能な程度の集塵抑制効果が得られると考えられる。したがって、光源ユニット1と遮光部材3との接合は、キャップ12とベース13との接合ほど高気密でなくてよい。好ましくは、光源ユニット1は遮光部材3に対して着脱可能に取り付ける。これにより、レーザ素子11が不点灯になった場合に光源ユニット1を交換することが可能となる。着脱可能な固定方法としては、例えばネジ止めが挙げられる。ネジ止めであれば、着脱可能でありながら、位置ずれが実質的に生じないように強固に固定することができると考えられる。なお、光源ユニット1と遮光部材3とは直接接していなくてもよく、接合層等を介していてもよい。
【0016】
キャップ12は、レーザ素子11のレーザ光L1を取り出す透光性の窓部12aを有する。光源ユニット1は、窓部12aを通過したレーザ光L1が光導波路31に導入される向きで配置される。なお、レーザ素子11から蛍光体含有部材21までの光の経路には蛍光体が配置されていないことが好ましいため、窓部12aは蛍光体を含まないことが好ましい。レーザ光L1であれば高い指向性を有するから、中空の光導波路31を実質的に内壁32に当らないように通過させることができるが、蛍光体を経て指向性が弱まった光ではそれが困難となるからである。同様の理由から、窓部12aは散乱剤も実質的に含まないことが好ましい。キャップ12の幅を第1端部31aの側の開口よりも小さくし、ベース13の幅を当該開口よりも大きくしてもよい。これにより、キャップ12を光導波路31に挿入し、ベース13によって第1端部31aの側の開口に蓋をすることができる。この場合、ベース13が遮光部材3に固定される。典型的には、レーザ素子11が光導波路31内に位置するように光源ユニット1を配置する。
【0017】
図3に示す光源ユニット1は、CANパッケージの例である。CANパッケージの場合、例えば、レーザ素子11は、ベース13のキャップ12との接合面から突出した凸部13aの側面にサブマウント16等を介して設けられる。2つのリード端子14はベース13を貫通して設けられており、一方がアノードで他方がカソードである。リード端子14とレーザ素子11とは、導電性のワイヤ15を介して電気的に接続されている。
【0018】
(レーザ素子11)
レーザ素子11としては、窒化物半導体レーザ素子のような半導体レーザ素子を用いることができる。窒化物半導体レーザ素子は、例えば、GaN等の基板の上にInGaN等の活性層を含む複数の層が設けられた構造を有する。レーザ素子11は、例えば、青色のレーザ光L1を出射する。具体的には、レーザ光L1として、430〜470nmの範囲にピーク波長を有するレーザ光が挙げられる。このような波長帯のレーザ光L1は、YAG系蛍光体の励起に適している。また、レーザ光L1と蛍光体の組み合わせは、紫外または紫色(例えばピーク波長415nm以下)のレーザ光と可視光線域の蛍光体(例えば赤色、青色、緑色の3種の蛍光体)でもよい。
【0019】
光源ユニット1は、複数のレーザ素子11を有してもよい。これにより、レーザ素子11が単数である場合よりも高出力化することができる。例えば、1つのキャップ12と1つのベース13によって形成された1つの封止空間の中に複数のレーザ素子11を配置する。もしくは、1つの封止空間に1以上のレーザ素子11を配置したレーザパッケージを複数配置してもよい。この場合、例えば、光導波路31の第1端部31a側をレーザパッケージと同じ数だけ枝分かれさせ、各枝分かれ端部に1つずつレーザパッケージを配置する。
【0020】
(波長変換ユニット2)
波長変換ユニット2は、レーザ光L1を異なる波長の光に変換する蛍光体含有部材21を有する。蛍光体含有部材21は、図1および図2に示すように、レーザ光L1の光路を実質的に完全に塞ぐように設けることが好ましい。散乱により蛍光体含有部材21に照射されたレーザ光L1のコヒーレンスを乱すことで、レーザ光L1と同じ波長の非レーザ光とするためである。つまり、レーザ光L1の光路を蛍光体含有部材21によって実質的に完全に塞ぐことにより、レーザ光L1が光源装置100から外部に取り出される可能性を低減することができる。
【0021】
光源装置100は、蛍光体含有部材21によって波長変換された波長変換光と、レーザ光L1と同じ波長の光と、の混合光を外部に出力することができる。光源装置100が出力する光は実質的に波長変換光のみであってもよいが、効率の点では混合光を出力する方が有利である。例えば、青色のレーザ光L1を、黄色に発光する蛍光体および/または橙色に発光する蛍光体を含有する蛍光体含有部材21に照射し、その混合光である白色光を光源装置100から取り出す。
【0022】
図1に示すように、波長変換ユニット2は、光反射部材22をさらに有してよい。光反射部材22は、レーザ光L1と蛍光体による波長変換光とを反射可能な部材であり、蛍光体含有部材21のレーザ光L1が照射される側とは反対の側に設けられる。このような構成であれば、レーザ光L1のうち蛍光体含有部材21を通過する光は、光反射部材22で反射されてから外部に取り出される。この場合、レーザ光L1のコヒーレンスを乱す機会が複数ある。すなわち、蛍光体含有部材21に入射して光反射部材22に到達するまでに蛍光体に当たる時、光反射部材22で反射されてから蛍光体含有部材21を出るまでに蛍光体に当たる時、である。このため、蛍光体含有部材21に入射してから出るまでにレーザ光L1が非レーザ光になりやすく、レーザ光L1が直接外部に取り出されにくい。また、蛍光体含有部材21のレーザ光L1が照射される面が、光が取り出される面でもあるため、後述する図5のような構造よりも高輝度の光を得ることができる。光反射部材22は、蛍光体含有部材21の1つの主面のほぼ全てに設けることが好ましい。また、光反射部材22は、レーザ光L1に対する反射率が60%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることが好ましい。光反射部材は、Ag層やAl層等の金属層を有してよく、誘電体多層膜を有してもよい。
【0023】
波長変換ユニット2は、土台23とケース24とを有してよい。例えば、ケース24に土台23が固定され、土台23に光反射部材22が固定され、光反射部材22に蛍光体含有部材21が固定される。各部材は直接接していなくてもよく、各部材の間に接合層等を設けてもよい。土台23およびケース24は、蛍光体含有部材21の熱を排熱する経路であるため、蛍光体含有部材21よりも熱伝導率の大きな材料により形成されていることが好ましい。これにより、蛍光体含有部材21の熱を効率的に放熱することができる。そのような材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金が挙げられる。なお、土台23はケース24と一体化されていてもよい。
【0024】
波長変換ユニット2は、位置ずれが実質的に生じないよう、遮光部材3に対して強固に固定することが好ましい。波長変換ユニット2は遮光部材に対して着脱可能に取り付けられていてもよいが、波長変換ユニット2は光源ユニット1と比較すると交換が必要になる可能性は低いと考えられる。しがたって、波長変換ユニット2は遮光部材3に対して着脱可能でなくてもよい。例えば、波長変換ユニット2は溶接によって遮光部材3に固定することができる。なお、波長変換ユニット2と遮光部材3とは直接接していなくてもよく、接合層等を介していてもよい。
【0025】
(波長変換ユニット2の変形例1)
波長変換ユニット2の変形例1を図4に示す。図4に示すように、波長変換ユニット2は、蛍光体含有部材21をより確実に固定するホルダー25を有してもよい。ホルダー25は、一方の端が土台23に固定され、他方の端が蛍光体含有部材21の表面にまで伸びている。これにより、蛍光体含有部材21が光反射部材22から剥離したとしても、ホルダー25によって蛍光体含有部材21を保持することができる。ホルダー25は、蛍光体含有部材21のレーザ光L1が照射される面以外の部分を保持する。また、波長変換ユニット2は、遮蔽部24aを設けてもよい。遮蔽部24aは、図4に示すように、レーザ光L1が光反射部材22で反射される場合の光路を想定し、その想定光路を遮る位置に設ければよい。このような構造であれば、蛍光体含有部材21を経た光にレーザ光が含まれていたとしても、レーザ光が外部に直接取り出されにくい。なお、図4では遮蔽部24aをケース24の一部として示すが、別の部材で構成してもよい。また、波長変換ユニット2は、蛍光体含有部材21を含む空間を密閉する蓋26を有してもよい。これにより、波長変換ユニット2における集塵を抑制することができる。なお、蓋26は、少なくとも外部に光を取り出す部分は透光性の部材で構成する。
【0026】
(波長変換ユニット2の変形例2)
波長変換ユニット2の変形例1を図5に示す。図5は、光反射部材22を設けない構造の例である。図5に示す波長変換ユニット2は、貫通孔が設けられた保持部材27と、貫通孔内に配置された蛍光体含有部材21と、を有する。レーザ光L1の光路を実質的に完全に塞ぐように蛍光体含有部材21が配置されており、レーザ光L1が照射される面と反対側の面から光が取り出される。
【0027】
(蛍光体含有部材21)
蛍光体含有部材21は、レーザ光L1を波長変換可能な蛍光体を含む。蛍光体含有部材21によって、レーザ光L1の少なくとも一部が波長変換される。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体、LAG系蛍光体、TAG系蛍光体が挙げられる。2種以上の蛍光体を1つの蛍光体含有部材21内に含めることもできる。YAG系蛍光体は、他の蛍光体よりもレーザ光に対する耐久性が高いため、特に高出力のレーザ光L1(例えば1W以上)を用いる場合に適している。
【0028】
蛍光体含有部材21は、蛍光体のみによって形成されていてもよいが、蛍光体と、蛍光体を保持するための保持体とにより形成することができる。保持体は無機材料であることが好ましい。これにより、レーザ光L1に起因する保持体の劣化、変色等を抑制することができる。無機材料としては、例えば、Al、Y等が挙げられる。
【0029】
(遮光部材3)
遮光部材3は、パイプ状の部材であり、その中空の光導波路31をレーザ光L1が通る。上述のとおり、遮光部材3を用いることによって、光ファイバーを必要とせずに、光ファイバーを用いる場合のような利点を得ることが可能であると考えられる。したがって、光源装置100は、レーザ光L1の経路として光ファイバーを用いなくてよい。具体的には、レーザ素子11から蛍光体含有部材21に至るまでのレーザ光L1の光路に光ファイバーが無い。これにより、上述した光ファイバーを用いる場合の懸念点を解消することができる。なお、ここでいう光ファイバーとは、中実構造の光ファイバー、すなわちコアがガラス等の何らかの部材からなる光ファイバーを指す。
【0030】
光導波路31を規定する遮光部材3の内壁32には、平行光L1aを含むレーザ光L1が実質的に照射されないことが好ましい。したがって、そのような位置関係となるように、遮光部材3と光源ユニット1と光学部材4とを配置することが好ましい。これにより、遮光部材3がレーザ光L1により劣化する可能性を低減することができる。
【0031】
レーザ光L1が遮光部材3の内壁32に当らないようにするためには、レーザ光L1の進行方向が光導波路31の延伸方向からずれるほど、光導波路31の幅W2を増大させる必要がある。つまり、レーザ光L1の進行方向のズレを低減すれば、光導波路31の幅W2の増大を抑制することができ、これによって遮光部材3の幅W1の増大を抑制することができる。したがって、レーザ光L1の進行方向が光導波路31の延伸方向と略一致するように各部材を配置することが好ましい。細い遮光部材3であれば、車両用ヘッドランプのように複数の光源が配置される場所であっても比較的自由度をもって設置しやすい。具体的な遮光部材3の幅W1としては、20mm以下が挙げられる。なお、幅とは、光導波路31の延伸方向に対して実質的に垂直な方向における最大長さを指す。例えば遮光部材3が円柱状であれば、当該円柱の直径が幅W1に相当する。幅W1の下限は、内壁32がレーザ光L1を遮らない程度であればよい。例えば5mm以上である。十分な壁の厚みTを確保する場合は、幅W1は例えば12mm以上とする。
【0032】
遮光部材3が変形すると、内壁32が突出してレーザ光L1の光路を塞ぐ虞がある。これを抑制するため、遮光部材3は、光導波路31の形状が実質的に変化しない程度に硬いことが好ましい。すなわち、光源装置100を使用する状態における遮光部材3の変形の度合いが、レーザ光L1の光路が内壁32で塞がれない程度であることが好ましい。例えば、遮光部材3は主に金属からなる。遮光部材3は、例えば、金属パイプやプラスチックパイプである。また、遮光部材3の壁の厚みTは、例えば1mm以上とし、より好ましくは5mm以上とする。遮光部材3の壁の厚みTが大きいほど、外力によって変形しにくい。遮光部材3の幅W1の増大を抑制するために、壁の厚みTは9mm以下としてよい。また、遮光部材3と光源ユニット1と光学部材4との位置関係がずれると、レーザ光L1が意図しない方向に進み、内壁32に当たる場合がある。これを抑制するために、光源ユニット1と光学部材4はそれぞれ遮光部材3に固定されていることが好ましい。例えばネジ止めや溶接により固定することができ、直接ではなく接合層等を介して固定してもよい。
【0033】
遮光部材3は、パイプ状つまり長細い形状である。すなわち、遮光部材3の長さは遮光部材3の幅W1よりも大である。遮光部材3の断面形状の外縁としては、例えば、略円形状、略楕円形状、略矩形状等が挙げられる。遮光部材3の断面形状の外縁とは、光導波路31の延伸方向と略垂直な方向の断面視における外壁33が成す形状を指す。後述するように、遮光部材3の一部を回転可能とする場合(図6図9参照)には、遮光部材3の断面形状の外縁が略円形状であれば回転させやすく好ましいと考えられる。遮光部材3の壁の厚みTは、例えば、第1端部31a側から第2端部31b側にかけて実質的に一定とする。遮光部材3の断面形状の外縁は、光導波路31の断面形状と実質的に同一の形状とすることができる。
【0034】
(遮光部材3の変形例1)
遮光部材3の変形例1を図6に示す。図6に示す遮光部材3は、第2端部31bを含む先端部分3aと、先端部分3aが回転可能に取り付けられた支持部分3bと、を有する。このように先端部分3aが回転可能であることにより、例えば、車両の進行方向に応じて照射方向を変える適応型照明システム(Adaptive Front-lighting System:AFS)のヘッドランプに適用可能であると考えられる。先端部分3aの回転の軸は、例えば、先端部分3aと支持部分3bとのジョイント部におけるレーザ光L1の進行方向と略一致させる。
【0035】
先端部分3aと支持部分3bとのジョイント部およびその付近の内壁32は凹凸を有するものとなりやすい。仮に内壁32を反射面としてレーザ光を反射させる構造であれば、レーザ光が凹凸により意図しない方向に反射されて損失に繋がる虞がある。しかし、上述したレーザ光L1が光導波路31の内壁32に照射されない配置であれば、このような意図しない反射による損失は生じにくい。なお、先端部分3aと支持部分3bのジョイント部において遮光部材3の厚みTを部分的に変化させることで嵌合させてもよい。また、光源装置100は、例えば集光レンズのような外部レンズ81と組み合わせて使用することができる。図6中の矢印は光源装置100が出力する光のおおまかな方向を示す。
【0036】
(遮光部材3の変形例2)
遮光部材3の変形例2を図7および図8に示す。図8は、図7の光源装置100における光の進み方を模式的に示す図である。図7および図8に示す遮光部材3は、光導波路31が、1以上の屈曲部31cを有する。屈曲部31cには、レーザ光L1の方向を光導波路31の形状に沿った方向に変えるミラー6が設けられている。これにより、他の光源モジュール等を避けて遮光部材3を配置することが可能となる。屈曲部31cの数、位置、屈曲角度等は、光源装置100を設置したい場所に応じて調整すればよい。
【0037】
ミラー6は、レーザ光L1を反射可能な部材であり、レーザ光L1が内壁32に当らないように反射する。例えば、図7および図8に示すように、略垂直に屈曲する屈曲部31cには、レーザ光L1の進行方向に対して45°傾斜した反射面を有するミラー6を配置する。ミラー6は、遮光部材3とは異なる材料で構成してよい。例えば、表面にAl等を含む金属膜を設けたガラス、誘電体膜で構成された反射部材、増反射ミラーをミラー6として用いることができる。
【0038】
(遮光部材3の変形例3)
遮光部材3の変形例3を図9に示す。変形例3は、変形例2のような形状の遮光部材3を変形例1のように一部回転可能とした例である。すなわち、図9に示す遮光部材3は、第2端部31bを含む先端部分3aと、先端部分3aが回転可能に取り付けられた支持部分3bと、を有する。先端部分3aが回転可能であるため、例えばAFSのヘッドランプに適用可能であると考えられる。先端部分3aの回転の軸は、先端部分3aと支持部分3bとのジョイント部におけるレーザ光L1の進行方向と略一致させればよい。先端部分3aは1以上の屈曲部を含んでよい。また、光源装置100は、例えば、外部リフレクタ82や、集光レンズのような外部レンズ81と組み合わせて使用することができる。図9中の矢印は光源装置100が出力する光のおおまかな方向を示す。
【0039】
(光導波路31)
光導波路31は中空である。すなわち、気体で満たされた空間である。特定の雰囲気で光導波路31を満たしてもよいが、特定の雰囲気を維持するためには気密封止が必要である。気密封止するための接合方法では光源ユニット1等の着脱が困難となるため、光導波路31は気密封止でなくてよい。この場合、光導波路31は大気で満たされた空間であるといえる。また、光導波路31を気密封止すると結露の発生が懸念されることから、光導波路31は気密封止せず、光導波路31と外部とを繋ぐ通気孔が存在していることが好ましい。
【0040】
気密封止しない光導波路31は、気密封止する場合よりも集塵が生じやすい。このため、光密度を低減するために、光導波路31を通るレーザ光L1、特に平行光L1aの幅は、集塵が抑制可能な程度に大きくすることが好ましい。そして、光導波路31の幅W2は、そのような平行光L1aが内壁32に実質的に当たらない程度に大きいことが好ましい。具体的には、光導波路31の幅W2を2mm以上とすることが挙げられる。これにより、内壁32に到達しないように、集塵が抑制可能な程度に幅を大きくした平行光L1aを光導波路31に通すことが可能である。幅W2は、例えば10mm以下とする。また、図1に示すように光源ユニット1のベース13によって光導波路31の開口を塞ぐ場合は、幅W2はベース13の幅よりも小さく、キャップ12の幅よりも大きいことが好ましい。
【0041】
光導波路31の長さLeは、レーザ素子11と蛍光体含有部材21とが互いへの熱伝達を実質的に防ぐことができる十分な距離を有する程度に長いことが好ましい。また、長さLeは、蛍光体含有部材21の排熱とレーザ素子11の排熱をそれぞれ別々のヒートシンクから行える程度の距離であることが好ましい。これにより、蛍光体含有部材21用のヒートシンクを小型化できるため、波長変換ユニット2の設置に必要なスペースを小さくすることができる。具体的には、長さLeは100mm以上であることが好ましい。これにより、光ファイバーのように光源ユニット1と波長変換ユニット2との距離を離間させることができる。なお、光導波路31の長さLeとは、光導波路31の延伸方向の長さを指す。光導波路31が屈曲部31cを有する場合は、光導波路31の中心部における光導波路31の延伸方向の長さが、光導波路31の長さLeである。内壁32が概ね平坦であれば、内壁32の第1端部31aの側の端から第2端部31bの側の端までの長さを光導波路31の長さLeと見做してもよい。
【0042】
平行光L1aが若干の広がり角を有していた場合、レーザ光L1の光路が長くなるほどレーザ光L1が内壁32に当たりやすくなる。このように、レーザ光L1の光路が長くなるほど、各部材の設計値からのズレがレーザ光L1に及ぼす影響が大きくなり、レーザ光L1が内壁32に当たる可能性が高くなる。したがって、長さLeは例えば500mm以下とする。
【0043】
光導波路31は、長細い形状である。すなわち、光導波路31の長さLeは、光導波路31の幅W2よりも大である。光導波路31の断面形状としては、例えば、略円形状、略楕円形状、略長円形状、略矩形状等が挙げられる。レーザ光L1の断面形状は典型的には略楕円形状である。よって、レーザ光L1が回転ずれを生じても内壁32に実質的に当たりにくいように、光導波路31の断面形状は略円形状が好ましいと考えられる。また、上述のように遮光部材3の一部を回転可能とする場合(図6図9参照)にも、光導波路31の断面形状は略円形状が好ましいと考えられる。これにより、先端部分3aを回転させた時にもレーザ光L1が内壁32に当たりにくくすることができる。なお、光導波路31の断面形状とは、光導波路31の延伸方向と略垂直な方向の断面視において内壁32が成す形状を指す。また、レーザ光L1は直進性を有するため、屈曲部31c以外の光導波路31は略直線状であることが好ましい。これにより、光導波路31が曲線状の部分を有する場合と比較して、レーザ光L1が内壁32に実質的に当たりにくいように各部材を容易に配置することができる。
【0044】
(光学部材4)
光学部材4によって、レーザ光L1は平行状態となり、平行光L1aとなる。上述のとおり、平行光L1aの幅は、集塵が抑制可能な程度に大きくすることが好ましい。具体的には、光学部材4は、レーザ光L1を幅1mm以上の平行光L1aとすることが好ましい。これにより、集塵を生じにくくすることができる。また、平行光L1aの幅を光導波路31の幅W2よりも小さくすることで、平行光L1aが遮光部材3の内壁32に実質的に当らない構成とすることができる。この場合、レーザ素子11から出射するレーザ光L1が、その幅が光導波路31の幅W2に達する前に光学部材4に入射するように、光学部材4を配置する。光学部材4としては、例えばコリメートレンズを用いる。
【0045】
なお、平行光L1aの幅とは、平行光L1aの進行方向に対して垂直な方向における最大幅を指す。GaN系等の半導体レーザ素子であれば、通常、レーザ光の遠視野像(Far Field pattern:FFP)は平行方向の幅よりも垂直方向の幅のほうが大である。しがたって、平行光L1aの幅とは、垂直方向のビーム径、すなわち、レーザ素子11が有する半導体層の積層面(すなわち積層方向に垂直をなす面)に対して略垂直な方向におけるビーム径を指すといえる。なお、レーザ光L1のビーム径は、例えば、ピーク強度値から1/e等の任意の強度に落ちたときの強度における幅として特定する。レーザ光L1のビーム径は、アパーチャ径によって特定することもできる。また、上述した、レーザ光L1(または平行光L1a)が内壁32に実質的に当たらないとは、レーザ光L1のうちビーム径として特定される範囲が内壁32に当たらないことを指す。
【0046】
光学部材4は、図1等に示す例では、遮光部材3に直接または保持部材等を介して固定される。これに替えて、図10に示すように、光学部材4を光源ユニット1に組み込んでもよい。具体的には、レーザ素子11を第1のキャップ121によって封止し、その外側に配置した光学部材4を第2のキャップ122によって封止することができる。このように、キャップ12によって封止された空間内に光学部材4を配置することによって、光学部材4の表面の集塵をより抑制することができる。なお、第1のキャップ121は省略することもできる。
【0047】
(集光レンズ5)
図1等に示すように、第2端部31bの側に集光レンズ5を設けることが好ましい。集光レンズ5を設けることにより、平行状態のレーザ光L1(平行光L1a)を集光して蛍光体含有部材21に照射することができる。これにより、平行光L1aをそのまま蛍光体含有部材21に照射する場合と比較して、輝度の高い光を得ることができる。
【0048】
集光レンズ5は、平行光L1aの光路上であって、光学部材4と蛍光体含有部材21との間に配置される。集光レンズ5は、直接または保持部材等を介して遮光部材3に固定することができる。図1等に示すように、集光レンズ5によって光導波路31の第2端部31bの側の開口を塞ぐことが好ましい。これにより、光導波路31の内部に塵が侵入しにくい構造とできるため、光導波路31の内部における集塵をさらに抑制することができると考えられる。
【0049】
(第1ヒートシンク7a、第2ヒートシンク7b)
図11に示すように、光源装置100は、第1ヒートシンク7aおよび第2ヒートシンク7bを有することができる。第1ヒートシンク7aは、第1端部31aの側に設けられており、レーザ素子11の熱を排熱する。第2ヒートシンク7bは、第2端部31bの側であって第1ヒートシンク7aから離間した位置に設けられており、蛍光体含有部材21の熱を排熱する。光源装置100における主な発熱源はレーザ素子11と蛍光体含有部材21である。遮光部材3によってこれらを離間して配置することにより、それぞれに第1ヒートシンク7aと第2ヒートシンク7bとを設けることが可能である。第1ヒートシンク7aおよび第2ヒートシンク7bとしては、例えば放熱フィンを用いる。
【0050】
遮光部材3を設けず、レーザ素子11と蛍光体含有部材21とが互いへの熱伝達を実質的に防ぐことができない程度に接近して配置されている場合は、蛍光体含有部材21の近くに設けるヒートシンクによって、蛍光体含有部材21の熱のみならず、伝達されたレーザ素子11の熱をも排熱することが求められる。したがって、この場合は、蛍光体含有部材21用のヒートシンクとして、蛍光体含有部材21の発熱を引くために十分なサイズよりも大きなサイズのヒートシンクを設置する。しかし、図11に示すように、遮光部材3によってレーザ素子11と蛍光体含有部材21とが離間された光源装置100であれば、互いへの熱伝達を抑制することができる。したがって、蛍光体含有部材21用のヒートシンクは、蛍光体含有部材21の発熱を引くために十分なサイズであればよい。なお、波長変換ユニット2のケース24を蛍光体含有部材21用のヒートシンクと兼用してもよい。この場合、例えばケース24を放熱フィンを備える構造とする。
【0051】
このように、光源装置100では、1つのヒートシンクが排熱すべき熱量を小さくすることができるため、蛍光体含有部材21用の第2ヒートシンク7bのサイズを小さくすることができる。これにより、波長変換ユニット2の設置に必要なスペースを縮小することができるため、上述のように複数の光源が配置される車両用ヘッドランプにおいて、設置の自由度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0052】
100 光源装置
1 光源ユニット
11 レーザ素子
12 キャップ
121 第1のキャップ
122 第2のキャップ
13 ベース
13a 凸部
14 リード端子
15 ワイヤ
16 サブマウント
2 波長変換ユニット
21 蛍光体含有部材
22 光反射部材
23 土台
24 ケース
24a 遮蔽部
25 ホルダー
26 蓋
27 保持部材
3 遮光部材
3a 先端部分
3b 支持部分
31 中空の光導波路
31a 第1端部
31b 第2端部
31c 屈曲部
32 内壁
33 外壁
4 光学部材
5 集光レンズ
6 ミラー
7a 第1ヒートシンク
7b 第2ヒートシンク
81 外部レンズ
82 外部リフレクタ
L1 レーザ光
L1a 平行光
L2 波長変換光
T 遮光部材の壁の厚み
W1 遮光部材の幅
W2 光導波路の幅
Le 光導波路の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12