【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.2016年3月1日 電子情報通信学会 2016年総合大会講演論文集 362頁 (B−4−42)にて発表 2.2016年3月4日 電子情報通信学会技術研究報告 Vol.115 No.509 EMCJ2015−130 33−37頁にて発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、効率良く妨害波を抑制する妨害波抑制フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明の第1の態様は、第1の電子機器と第2の電子機器とを接続する電源線に重畳された当該第1の電子機器が発する妨害波を抑制するための妨害波抑制フィルタであって、当該妨害波抑制フィルタは、変換部と、
安定性改善部と、帰還部と、抑制部とを備える。変換部は、妨害波のコモンモード電流を電圧に変換する。
安定性改善部は、上記変換部で変換された電圧を減少させる。帰還部は、変換部で変換され
かつ安定性改善部により減少された電圧を負帰還増幅させることによって逆起電力を発生させる。
また帰還部は、上記負帰還増幅のために電流駆動するオペアンプを有する。抑制部は、電源線に対して逆起電力を印加することによってコモンモード電流を抑制するようにしたものである。なお、利得を無限大と仮定する理想オペアンプの負帰還動作では差動入力電圧は0になる。本発明はこの性質を利用してコモンモード電流を0に近づけるものである。
【0007】
この発明の第2の態様は、上記第1の態様において、変換部が、一次側に電源線、二次側に帰還部を介した導線を巻いた第1のフェライトコアを含み、抑制部が、一次側に導線、二次側に電源線を巻いた第2のフェライトコアを含むようにしたものである。
【0008】
この発明の第3の態様は、上記第2の態様において、第1のフェライトコアが、一次側および二次側の巻き数をそれぞれ1回とし、第2のフェライトコアが、一次側および二次側の巻き数をそれぞれ1回とするようにしたものである。
【0009】
この発明の第4の態様は、上記第2の態様において、第1のフェライトコアが、一次側の巻き数を1回、二次側の巻き数を2回以上とし、第2のフェライトコアが、一次側および二次側の巻き数をそれぞれ1回とするようにしたものである。
【0010】
この発明の第5の態様は、上記第2の態様において、第1のフェライトコアが、一次側および二次側の巻き数をそれぞれ1回とし、第2のフェライトコアが、一次側の巻き数を2回以上、二次側の巻き数を1回とするようにしたものである。
【0011】
この発明の第6の態様は、上記第2の態様において、第1のフェライトコアが、一次側の巻き数を1回、二次側の巻き数を2回以上とし、第2のフェライトコアが、一次側の巻き数を2回以上、二次側の巻き数を1回とするようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の第1の態様および第2の態様によれば、第1の電子機器と第2の電子機器とを接続する電源線に重畳された当該第1の電子機器が発する妨害波を抑制するための妨害波抑制フィルタであって、当該妨害波抑制フィルタが、妨害波のコモンモード電流を電圧に変換する変換部と、変換された電圧を負帰還増幅させることによって逆起電力を発生させる帰還部と、電源線に対して逆起電力を印加することによってコモンモード電流を抑制する抑制部とを備えるようにしている。
【0014】
また、変換部が、一次側に電源線、二次側に帰還部を介した導線を巻いた第1のフェライトコアを含み、抑制部が、一次側に導線、二次側に電源線を巻いた第2のフェライトコアを含むようにしている。
【0015】
従って、帰還部の入力においては、入力電圧を小さくするように負帰還が働くことによって、抑制部での直列のインピーダンスが大きくなり、コモンモード電流が小さくなる。よって、従来のフェライトのみを用いた場合よりも効率良く妨害波を抑制することができる。
さらに、変換部で変換された電圧を安定性改善部により減少させて帰還部の入力電圧を小さくし、かつ帰還部におけるオペアンプを電流駆動とするようにしている。従って、ループバックゲインを抑え、且つ、発振現象を抑えることができるため、共振現象により減衰量が負になることを防ぎ、妨害波の増加を抑えることができる。
【0016】
この発明の第3の態様乃至第6の態様によれば、変換部を構成するフェライトコアの二次側および抑制部を構成するフェライトコアの一次側の少なくとも一方の巻き数が2回以上とするようにしているため、上記第1の態様および第2の態様と同様の効果が得られる。
【0017】
また、変換部を構成するフェライトコアの二次側の巻き数のみを増やすことによって、抑制特性のさらなる広帯域化と透過特性の減衰量のさらなる増加とを両立させることができる。
【0020】
すなわちこの発明によれば、効率良く妨害波を抑制する妨害波抑制フィルタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
(構成)
図1おいて、第1の実施形態に係る妨害波抑制フィルタ100の使用例が示される。妨害波抑制フィルタ100は、第1の電子機器1と第2の電子機器2とを接続する電源線11,12の任意の位置に取り付けられる。妨害波抑制フィルタ100は、第1の電子機器1が発する妨害波を抑制し、妨害波が第2の電子機器2へ伝達することを防ぐ。具体的には、妨害波抑制フィルタ100は、第1の電子機器1が発する妨害波のコモンモード電流を検出し、当該コモンモード電流を電圧に変換して負帰還増幅を行う。そして、妨害波抑制フィルタ100は、負帰還増幅した電圧を逆起電力として電源線11,12へと印加することによって、コモンモード電流が第2の電子機器2へ伝達することを防ぐ。
【0023】
第1の電子機器1は、パーソナルコンピュータや通信装置などの妨害波を発する電気・電子機器に相当し、第2の電子機器2は、電源装置や負荷などに相当する。第1の電子機器1および第2の電子機器2は、電源線11,12とは別に共通接地線13が接続されている。尚、以降では、第1の電子機器1は妨害源、第2の電子機器2は被妨害源とも呼ばれる。
【0024】
妨害波抑制フィルタ100は、変換部110と、帰還部120と、抑制部130とを含む。
【0025】
変換部110は、第1の電子機器1が発する妨害波が重畳される電源線11,12についてのコモンモード電流を電圧に変換する。変換部110は、例えば、リング形状のフェライトコアで構成され、電源線11,12と帰還部120を介した導線とに装着される。変換部110は、変換した電圧を帰還部120へと印加する。
【0026】
帰還部120は、変換部110から変換した電圧が印加される。帰還部120は、印加された電圧を負帰還増幅させることによって逆起電力を発生させる。帰還部120は、例えば、オペアンプなどを用いた反転増幅回路などで構成される。反転増幅回路の入力側は、変換部110の導線が接続され、反転増幅回路の出力側は、後述される抑制部130の導線が接続される。帰還部120は、逆起電力を抑制部130へと印加する。
【0027】
抑制部130は、帰還部120から逆起電力が印加される。抑制部130は、逆起電力を用いてコモンモード電流を抑制する。抑制部130は、逆起電力によって電源線11,12に重畳された妨害波を抑制する。抑制部130は、例えば、リング形状のフェライトコアで構成され、電源線11,12と帰還部120を介した導線とに装着される。
【0028】
(回路構成)
図2において、
図1の妨害波抑制フィルタ100の回路構成を例示する。当該回路構成では、コモンモード電流をI
Cとし、I
Cの等価電圧源をV
C、I
Cからみた第1の電子機器1および第2の電子機器2のコモンモードインピーダンスをZ
Cとする。
【0029】
変換部110は、一次側に電源線、二次側に導線を巻いたフェライトコア(第1のフェライトコア)を用いているため、トランスの回路記号で表現している。変換部110において、自己インダクタンスをL
Aとし、相互インダクタンスをM
Aとする。また、一次側に印加される電圧をV
Aiとし、二次側に誘起される電圧をV
Aとする。
【0030】
帰還部120は、オペアンプと、抵抗R
Fと、キャパシタC
Fとを用いた反転増幅回路の出力段にインピーダンスZ
Lを適用した構成とする。また、当該反転増幅回路の出力段における電圧をV’
Aとする。
【0031】
抑制部130は、一次側に導線、二次側に電源線を巻いたフェライトコア(第2のフェライトコア)を用いているため、トランスの回路記号で表現している。抑制部130において、自己インダクタンスをL
Bとし、相互インダクタンスをM
Bとする。また、一次側に印加される電圧をV
Bとし、二次側に誘起される電圧をV
B0とする。
【0032】
以上のような構成において、オペアンプの閉ループ電圧利得をK’とし、直流電圧利得をK
0とし、ユニティゲイン周波数F
UGとすると、K’は周波数fの関数として、以下の数式(1)のように近似できる。
【0034】
また、オペアンプの出力インピーダンスをZ’
outとし、出力電流をI
0とすると、V
A、V’
A、およびI
0の間には以下の数式(2)に示す関係式が成り立つ。
【0036】
上記数式(2)は、変形することによって以下の数式(3)で表すことができる。
【0038】
上記数式(3)より、反転増幅回路の電圧利得K、反転増幅回路の出力インピーダンスZ
outはそれぞれ以下の数式(4),(5)で表すことができる。
【0041】
(コモンモード電流の抑制原理)
図3において、
図2の変換部110および抑制部130をT型等価回路で表現し、帰還部120をそれぞれ入力回路301および出力回路302に分割した等価回路で表現した回路図を示す。
【0042】
変換部110および抑制部130の各インダクタのインダクタンスは、一次側および二次側の巻き数をそれぞれ1回とすると、それぞれ以下の数式(6),(7)で表される。
【0045】
ここで、出力回路302の出力インピーダンスをZ
B0とすると、
図2のZ
L、数式(5)のZ
out、およびZ
B0の間は、以下の数式(8)に示す関係式で結びつけられる。
【0047】
このとき、入力回路301の入力インピーダンスをZ
Aiとすると、V
AiおよびV
B0はそれぞれ以下の数式(9),(10)で表すことができる。
【0050】
また、妨害波抑制フィルタ100がI
Cに作用する直列のインピーダンスをZ
Fとすると、Z
F、I
C、V
Ai、およびV
B0との間には以下の数式(11)に示す関係式が成り立ち、Z
Fは以下の数式(12)で表すことができる。
【0053】
ここで、上記数式(12)に対して、数式(1)、数式(4)、数式(5)、および数式(6)を代入すると、以下の数式(13)となる。
【0055】
上記数式(13)の第5項は、帰還部120によるZ
Fの増分を示す項であり、帰還部120のフィードバックによって、Z
Fの増加に伴いI
Cが抑制されることがわかる。
【0056】
このとき、帰還部120の入力電圧V
A(入力回路301)は、以下の数式(14)で表すことができる。
【0058】
(電源線における透過特性)
以下、妨害波抑制フィルタ100を電源線11,12に適用した際の妨害波の減衰特性を検証するために、電源線11,12における透過特性S
21を理論計算する。ここで、S
21およびZ
Fは、特性インピーダンスZ
0を用いて、以下の数式(15)を用いて関連付けられる。
【0060】
図4において、従来のフェライトコアのみを用いた場合と妨害波抑制フィルタ100を用いた場合との電源線11,12における周波数に対する透過特性S
21を比較したグラフが示される。
図4のグラフは、フェライトコアのみを用いた場合および妨害波抑制フィルタ100を用いた場合の透過特性S
21の論理計算の結果である。
図4より、フェライトコアのみ(
図4の実線)の場合と比べて、妨害波抑制フィルタ100(
図4の破線)を用いた場合は、100kHzから1MHzの周波数帯において20dB程度、減衰量が大きくなっていることがわかる。
【0061】
上記の理論計算において、変換部110および抑制部130のフェライトコアは、TDK製のHS12(外形:14.40mm、内径:8.14mm、長さ:12.77mm)を、帰還部120のオペアンプは、National Semiconductor製のLM7171(GB積:200MHz、K
0=85dB、Z’
out=15Ω、Z
Ai=40MΩ)を用い、R
F=1MΩ、C
F=1.5μF、およびZ
L=100Ωとした。また、自己インダクタンスL
A,L
Bは、フェライトコアの特性を測定した値を用い、理論計算において、L
A=M
A、L
B=M
Bとした。
【0062】
(効果)
以上詳述したように第1の実施形態では、第1の電子機器と第2の電子機器とを接続する電源線に重畳された当該第1の電子機器が発する妨害波を抑制するための妨害波抑制フィルタであって、当該妨害波抑制フィルタが、妨害波のコモンモード電流を電圧に変換する変換部と、変換された電圧を負帰還増幅させることによって逆起電力を発生させる帰還部と、電源線に対して逆起電力を印加することによってコモンモード電流を抑制する抑制部とを備えるようにしている。
【0063】
また、変換部が、一次側に電源線、二次側に帰還部を介した導線を巻いた第1のフェライトコアを含み、抑制部が、一次側に導線、二次側に電源線を巻いた第2のフェライトコアを含むようにしている。
【0064】
従って、帰還部の入力においては、入力電圧を小さくするように負帰還が働くことによって、抑制部での直列のインピーダンスが大きくなり、コモンモード電流が小さくなる。よって、従来のフェライトのみを用いた場合よりも効率良く妨害波を抑制することができる。
【0065】
[第2の実施形態]
(構成/動作)
図5において、第2の実施形態に係る妨害波抑制フィルタ500の回路図が示される。妨害波抑制フィルタ500は、変換部110を構成するフェライトコアの二次側および抑制部130を構成するフェライトコアの一次側の少なくとも一方の巻き数が2回以上となることを含める点において、第1の実施形態に係る妨害波抑制フィルタ100と異なる。
【0066】
変換部110および抑制部130の各インダクタのインダクタンスは、変換部110の一次側の巻き数を1回、二次側の巻き数をn
A回(ただし、n
Aは1以上の整数)、抑制部130の一次側の巻き数をn
B回(ただし、n
Bは1以上の整数)、二次側の巻き数を1回とすると、それぞれ以下の数式(16),(17)で表される。
【0069】
このとき、変換部110の二次側(或いは、抑制部130の一次側)に流れる電流をI
CAとすると、V
AiおよびV
B0はそれぞれ以下の数式(18),(19)で表すことができる。
【0072】
また、妨害波抑制フィルタ500がI
Cに作用する直列のインピーダンスをZ
FnABとすると、Z
FnABは以下の数式(20)で表すことができる。
【0074】
即ち、上記数式(20)より、n
Aおよびn
Bに比例してZ
FnABが大きくなり、抑制特性の向上が期待できる。
【0075】
図6において、妨害波抑制フィルタ500の条件別の周波数に対する透過特性S
21を比較したグラフが示される。
図6のグラフは、n
Aおよびn
Bをそれぞれ4パターン{(n
A,n
B)=(1,1),(10,1),(1,10),(10,10)}に変更した場合の透過特性S
21の理論計算の結果である。尚、
図6の実線((n
A,n
B)=(1,1))のグラフは、
図4の破線と同じグラフである。
【0076】
図6の(n
A,n
B)=(1,1)の場合と(n
A,n
B)=(10,1)の場合とを比較すると、コモンモード電流を20dB以上抑制することが可能な周波数帯域は、100kHz〜1MHzの範囲から20kHz〜5MHzの範囲へと広帯域化することがわかる。また、最大減衰量は23dBから43dBとなり、減衰量が大きくなることがわかる。
【0077】
図6の(n
A,n
B)=(1,1)の場合と(n
A,n
B)=(1,10)の場合とを比較すると、コモンモード電流を20dB以上抑制することが可能な周波数帯域は、100kHz〜1MHzの範囲から20kHz〜500kHzの範囲へと帯域が低周波数側へシフトし、狭帯域化することがわかる。また、最大減衰量は23dBから20dBとなり、減衰量が小さくなることがわかる。
【0078】
図6の(n
A,n
B)=(1,1)の場合と(n
A,n
B)=(10,10)の場合とを比較すると、コモンモード電流を20dB以上抑制することが可能な周波数帯域は、100kHz〜1MHzの範囲から10kHz〜4MHzの範囲へと広帯域化することがわかる。また、最大減衰量は23dBから40dBとなり、減衰量が大きくなることがわかる。
【0079】
以上の比較から、フェライトコアの巻き数を増やすことによってコモンモード電流の抑制効果が向上していることがわかる。特に、変換部110を構成するフェライトコアの二次側の巻き数のみを増やすことによって、抑制特性のさらなる広帯域化と透過特性の減衰量のさらなる増加とを両立させることができる。
【0080】
(効果)
以上詳述したように第2の実施形態では、変換部を構成するフェライトコアの二次側および抑制部を構成するフェライトコアの一次側の少なくとも一方の巻き数が2回以上とするようにしているため、コモンモード電流に作用する直列のインピーダンスが大きくなり、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0081】
また、変換部を構成するフェライトコアの二次側の巻き数のみを増やすことによって、抑制特性のさらなる広帯域化と透過特性の減衰量のさらなる増加とを両立させることができる。
【0082】
[第3の実施形態]
(構成/動作)
図7において、第3の実施形態に係る妨害波抑制フィルタ700の使用例が示される。妨害波抑制フィルタ700は、変換部110と、安定性改善部710と、帰還部120と、抑制部130とを含む。妨害波抑制フィルタ700は、変換部110と帰還部120との間に安定性改善部710が挿入される点において、妨害波抑制フィルタ100および妨害波抑制フィルタ500と異なる。
【0083】
安定性改善部710は、変換部110から変換した電圧が印加される。安定性改善部710は、印加された電圧を減少させる。安定性改善部710は、減少した電圧を帰還部120へと出力する。尚、安定性改善部710の具体的な動作については後述される。
【0084】
帰還部120は、安定性改善部710から減少した電圧が印加される。帰還部120は、安定性改善部710で減少された電圧を負帰還増幅させることによって逆起電力を発生させる。また、帰還部120は、負帰還増幅するためのオペアンプを電流駆動とする。尚、帰還部120の具体的な動作については後述される。
【0085】
上述の第1の実施形態および第2の実施形態においては、コモンモード電流が高周波になると
図2に示されるインピーダンスZ
Lのリアクタンス成分が大きくなり、電流が電圧に対して位相遅れとなる。このとき、帰還部120のオペアンプのループバックゲインが1以上、且つ、電流と電圧との間の位相が90度遅れた場合は、発振現象により減衰量が負になることがある。即ち、妨害波が増加してしまう問題がある。
【0086】
上記問題に対して、上記数式(14)に示される入力電圧V
Aを小さくすることによって、ループバックゲインを1以下とすることができる。
【0087】
図8において、妨害波抑制フィルタ700の回路図が示される。妨害波抑制フィルタ700は、安定性改善部710として変換部110と帰還部120との間に並列に配置されたインピーダンスZ
Rが用いられる。このとき、帰還部120の入力電圧V
Aは、以下の数式(21)で表すことができる。
【0089】
即ち、上記数式(21)より、インピーダンスZ
Rの影響によって、帰還部120の入力電圧V
Aが小さくなることがわかる。従って、ループバックゲインが小さくなり、共振現象の条件を満足しないため、妨害波の増加が起こらない。
【0090】
また、帰還部120において、負帰還増幅するためのオペアンプを電流駆動とすることによって、電流の位相遅れが補正される。従って、共振現象の条件を満足しないため、妨害波の増加が起こらない。
【0091】
(効果)
以上詳述したように第3の実施形態では、変換部で変換された電圧を減少させ帰還部の入力電圧を小さくし、帰還部におけるオペアンプを電流駆動とするようにしている。
【0092】
従って、ループバックゲインを抑え、且つ、発振現象を抑えることができるため、共振現象により減衰量が負になることを防ぎ、妨害波の増加を抑えることができる。
【0093】
[他の実施形態]
この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。