特許第6593319号(P6593319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6593319発光装置、及びその発光装置を備える光照射装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593319
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】発光装置、及びその発光装置を備える光照射装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20191010BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20191010BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20191010BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20191010BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20191010BHJP
   G02B 3/06 20060101ALI20191010BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20191010BHJP
【FI】
   H01L33/58
   H01L33/54
   F21S2/00 330
   F21V5/04 600
   F21V5/04 200
   F21V5/00 320
   G02B3/06
   F21Y115:10
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-253815(P2016-253815)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-107333(P2018-107333A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】相澤 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 正人
(72)【発明者】
【氏名】岸川 大介
【審査官】 百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−203430(JP,A)
【文献】 特開2014−209078(JP,A)
【文献】 特開2008−047569(JP,A)
【文献】 特開2015−022989(JP,A)
【文献】 特開2013−065773(JP,A)
【文献】 特開2006−086191(JP,A)
【文献】 特開2013−244727(JP,A)
【文献】 特開2010−117531(JP,A)
【文献】 特開2007−106113(JP,A)
【文献】 米国特許第9025088(US,B2)
【文献】 特開2013−201746(JP,A)
【文献】 特開2001−045225(JP,A)
【文献】 特開2000−261613(JP,A)
【文献】 特開2008−311952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
B41J 2/01
B41J 2/165−2/20
B41J 2/21−2/215
B41J 2/385−2/415
B41J 2/43−2/465
B41J 2/47
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 5/04
G02B 3/06
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に載置され、3列以上の発光素子列を形成する複数の発光素子と、
前記発光素子列上にそれぞれ配置されるように、3列以上のシリンドリカルレンズ部が並列された透光性部材と、を備え、
前記複数のシリンドリカルレンズ部は、横断面視において上面側に湾曲部を有する中央凸形状であって、前記複数のシリンドリカルレンズ部の頂部の高さが略等しく形成され、
前記複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向において、少なくとも両端の列に設けられた第1シリンドリカルレンズ部と、前記第1シリンドリカルレンズ部よりも内側の列に設けられた第2シリンドリカルレンズ部とを備え、
前記第2シリンドリカルレンズ部の曲率半径は、前記第1シリンドリカルレンズ部の曲率半径よりも小さく、
前記複数の発光素子を発光ダイオードで構成してなる発光装置。
【請求項2】
前記複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向において、前記第2シリンドリカルレンズ部は、中央部の列に設けられる請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数のシリンドリカルレンズ部は、5以上の奇数列であり、
前記複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向において、前記第2シリンドリカルレンズ部は、中央部の列及びその中央部の列の両隣の列に設けられる請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数のシリンドリカルレンズ部は、6以上の偶数列であり、
前記複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向において、前記第2シリンドリカルレンズ部は、中央部の列及びその中央部の列の両隣の列に設けられる請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数のシリンドリカルレンズ部は、横断面視における断面形状が、各シリンドリカルレンズ部と対向する前記発光素子の光軸を基準としてそれぞれ左右対称である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数のシリンドリカルレンズ部は、その並列方向において、前記第2シリンドリカルレンズ部から外側に向かって曲率半径が大きくなるように設けられている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数のシリンドリカルレンズ部は、その並列方向における中央を基準として、横断面視における断面形状が左右対称になるように設けられている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記複数のシリンドリカルレンズ部は、横断面形状が略半楕円形であり、前記第2シリンドリカルレンズ部の下面側の幅は、前記第1シリンドリカルレンズ部の下面側の幅よりも小さい請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記複数のシリンドリカルレンズ部は、その並列方向における中央を基準として、下面側の幅が左右対称になるように設けられている請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第2シリンドリカルレンズ部は、前記シリンドリカルレンズ部の並列方向において中央部に設けられており、
前記発光素子列の間隔が、外側から中央部へ向かって次第に小さくなる請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記発光素子列は略等間隔に設けられている請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記発光素子列の複数の発光素子は、それぞれ略等間隔で載置されている請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項13】
隣接する前記シリンドリカルレンズ部は、下端側が連結部によって連結している請求項1乃至12のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項14】
隣接する前記シリンドリカルレンズ部は、それぞれ離間している請求項1乃至12のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項15】
前記発光素子は、上面を発光面とすると共に、前記発光面の周囲に光反射領域を設けてなる請求項1乃至14のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項16】
前記複数の発光素子は、紫外光を発する請求項1乃至15のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の発光装置を複数備え、複数の前記発光装置の出射光を被照射物に照射する光照射装置であって、
前記発光装置は、前記複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向と同じ方向に並設されており、
複数の前記発光装置の被照射物に対する相対的な移動方向が、前記複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向と同じである光照射装置。
【請求項18】
発光装置ごとに、発光波長の異なる発光素子が載置されている請求項17に記載の光照射装置。
【請求項19】
出射光が被照射物に先に照射される位置に設けられる第1発光装置と、出射光が前記第1発光装置よりも後に被照射物に照射される位置に設けられる第2発光装置と、を有し、前記第1発光装置に載置される複数の前記発光素子の発光波長が290nm〜330nmであり、前記第2発光装置に載置される複数の前記発光素子の発光波長が345nm〜385nmである請求項18に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、及びその発光装置を備える光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下「LED」ともいう。)を発光素子として用いたCOB(Chip On Board)タイプの発光装置が知られている。例えば、基板上に載置された複数の発光素子と、半円柱状のシリンドリカルレンズが複数連なってなる透光性の封止部材と、を有し、複数の発光素子からなる発光素子列上に、半円柱状のシリンドリカルレンズ部がそれぞれ配置されるように設けられた発光装置が知られている。
【0003】
このような発光装置は、例えば、紫外線領域の光を発する発光素子が実装され、樹脂硬化や印刷用の光照射装置として使用されることがある。この種の光照射装置では、一般的に、均一な強い紫外光をインクや樹脂等の被照射物に対して当てて硬化させている。以降、紫外線領域の光を紫外光と記載することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−276287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにインクや樹脂等に急に強い紫外光が当たると、その表面のみが硬化して内部まで十分に硬化できない場合がある。
【0006】
本発明の実施形態は、シリンドリカルレンズ部が複数並列された透光性部材を有する発光装置において、シリンドリカルレンズ部の並列方向における発光装置の光強度分布曲線の傾きが緩やかに変化する構成とすることを目的とする。また、被照射物に照射される光の強度を緩やかに変化させることが可能な光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態にかかる発光装置は、基板と、前記基板上に載置され、3列以上の発光素子列を形成する複数の発光素子と、前記発光素子列上にそれぞれ配置されるように、3列以上のシリンドリカルレンズ部が並列された透光性部材と、を備え、前記複数のシリンドリカルレンズ部は、横断面視において上面側に湾曲部を有する中央凸形状であって、前記複数のシリンドリカルレンズ部の頂部の高さが略等しく形成され、前記複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向において、少なくとも両端の列に設けられた第1シリンドリカルレンズ部と、前記第1シリンドリカルレンズ部よりも内側の列に設けられた第2シリンドリカルレンズ部と、を備え、前記第2シリンドリカルレンズ部の曲率半径は、前記第1シリンドリカルレンズ部の曲率半径よりも小さく、前記複数の発光素子を発光ダイオードで構成している
【0008】
本発明の実施形態にかかる光照射装置は、前記発光装置を複数備え、複数の前記発光装置の出射光を被照射物に照射する光照射装置であって、前記発光装置は、前記複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向と同じ方向に並設されており、複数の前記発光装置の被照射物に対する相対的な移動方向が、前記複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向と同じである。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の発光装置によれば、シリンドリカルレンズ部が複数並列された透光性部材を有する発光装置において、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向における発光装置の光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができる。また、上記構成の光照射装置によれば、被照射物に照射される光の強度を緩やかに変化させて、被照射物に対して急に強い光が当たるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る発光装置を示す概略斜視図である。
図2図1に示される発光装置の複数の発光素子の配列を示す概略平面図である。
図3図1に示される発光装置のIII−III線における概略断面図である。
図4図3に示される概略断面図における発光装置の光強度分布曲線を示す図である。
図5図3に示される発光装置のV−V線における一部拡大概略断面図である。
図6】実施形態2に係る発光装置の概略断面図である。
図7図6に示す発光装置の要部拡大断面図である。
図8】実施形態3に係る発光装置の概略断面図である。
図9】実施形態4に係る発光装置の概略断面図である。
図10】実施形態5に係る発光装置の概略断面図である。
図11】実施形態6に係る発光装置の概略断面図である。
図12】実施形態7に係る発光装置の概略断面図である。
図13】実施形態8に係る発光装置の概略断面図である。
図14】発光装置を備える光照射装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る発光装置及びその発光装置を備える光照射装置について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材の寸法、形状、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。更に以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。以下に記載される実施形態は、各構成等を適宜組み合わせて適用できる。
【0012】
(実施形態1)
実施形態1に係る発光装置100を、図1図5に示す。図1は、実施形態1に係る発光装置を示す概略斜視図である。図2は、図1に示される発光装置の複数の発光素子の配列を示す概略平面図である。図3は、図1に示される発光装置のIII−III線における概略断面図である。図4は、図3に示される概略断面図における発光装置の光強度分布曲線を示す図である。図5は、図3に示される発光装置のV−V線における一部拡大概略断面図である。
【0013】
発光装置100は、基板2と、基板2上に載置され、3列以上の発光素子列6を形成する複数の発光素子1と、発光素子列6上にそれぞれ配置されるように、3列以上のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材3と、を備えている。発光装置100では、基板2上に6列の発光素子列6が所定の間隔で設けられており、該発光素子列6上にそれぞれ配置されるように、6列のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材3が設けられている。
【0014】
複数のシリンドリカルレンズ部10は、その並列方向において、少なくとも両端の列に設けられた第1シリンドリカルレンズ部11と、第1シリンドリカルレンズ部11よりも内側の列に設けられた第2シリンドリカルレンズ部12とを有する。第1シリンドリカルレンズ部11と第2シリンドリカルレンズ部12は、横断面形状が異なる構造であって、第2シリンドリカルレンズ部12の上面側の湾曲部12aの曲率半径を、第1シリンドリカルレンズ部11の上面側の湾曲部11a、11bの曲率半径よりも小さくしている。第1シリンドリカルレンズ部11は、中央部より外側の第1シリンドリカルレンズ部11Aとさらに外側の第1シリンドリカルレンズ部11Bとを有する。第1シリンドリカルレンズ部11Bの上面側の湾曲部11b、第1シリンドリカルレンズ部11Aの上面側の湾曲部11a、第2シリンドリカルレンズ部12Aの上面側の湾曲部12aの順に曲率半径が小さくなっている。
【0015】
複数のシリンドリカルレンズ部10は、横断面視において上面側に第1シリンドリカルレンズ部11の湾曲部11a、11b、第2シリンドリカルレンズ部12の湾曲部12aを有する中央凸形状であって、全てのシリンドリカルレンズ部10の頂部の高さ(h)を略等しくしている。なお、本明細書において、全てのシリンドリカルレンズ部10の頂部の高さ(h)を略等しくするとは、透光性部材の高さ(h)の全長に対して1/5の差、又は、シリンドリカルレンズ部の頂部の高さ(h)の差が0.2〜1.0mm以下の微小なものを含むものとする。また、本明細書において、シリンドリカルレンズ部10の横断面とは、平面視でシリンドリカルレンズ部の延伸方向に垂直な方向における垂直断面を意味するものとする。シリンドリカルレンズ部10の高さ(h)に対して幅(a)は0.2〜2.0倍、好ましくは0.25〜1.5倍、より好ましくは0.3〜1.0倍である。
【0016】
ここでは、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における両端の列及び両端の列に隣接する内側の列の計4列が第1シリンドリカルレンズ部11であり、第1シリンドリカルレンズ部11よりも内側の列に設けられた中央部の2列であって、湾曲部12aの曲率半径が外側の第1シリンドリカルレンズ部11の湾曲部11a、11bの曲率半径よりも小さい2列が第2シリンドリカルレンズ部12である。このような形状の透光性部材3を有することで、頂部の湾曲部の曲率半径が等しいシリンドリカルレンズ部が複数並列された形状の透光性部材を有する発光装置と比べて、並列方向の中央部の列における集光作用を高めて、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向における光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができる。言い換えると 頂部の湾曲部の曲率半径が等しいシリンドリカルレンズ部が複数並列された形状の透光性部材を有する発光装置では、両端のシリンドリカルレンズ部が被照射物に対して急に強い光を当てるようになってしまったり、両端のシリンドリカルレンズ部の光強度を抑えた場合は中央部のシリンドリカルレンズ部が被照射物に対して光の強度が不足してしまったりする。それに対し、発光装置100のように第2シリンドリカルレンズ部12の曲率と第1シリンドリカルレンズ部11の曲率とを変えることによって、光の強度は落とさずに、かつ、被照射物に対して急な強い光を当てることもない。
以下、発光装置100の構成部材について詳述する。
【0017】
(透光性部材3)
透光性部材3は、基板2上に配置された複数の発光素子1を封止する。透光性部材3は、発光素子1を外部の埃や応力から保護するとともに、所望の配光特性の発光装置となるように配光を調整する。透光性部材3は、3列以上のシリンドリカルレンズ部10がその下端側(基板側)の連結部13によって連結された形状であり、隣接するシリンドリカルレンズ部10の間には谷間7が形成されている。複数のシリンドリカルレンズ部10は、平面視でその延伸方向に垂直な方向に並列されている。このように、アレイ状の複数のシリンドリカルレンズ部10がそれらを連結する連結部13によって一体に設けられていることで、複数のシリンドリカルレンズ部10どうしが離間して設けられる場合に比べて、発光装置の光強度分布曲線を比較的滑らかな曲線とすることができる。なお、透光性部材は、複数のシリンドリカルレンズ部の他、シリンドリカルレンズ部の下端部から外側へ広がる鍔部を有していてもよい。
【0018】
シリンドリカルレンズ部10は、上面であるシリンドリカル面と、下面である平坦面とで構成される平凸タイプのレンズを有する。シリンドリカルレンズ部10は、横断面形状が中央凸の略半楕円形状又は略半円形状である。シリンドリカルレンズ部10は、その横断面形状を、楕円を短径方向にカットした略半楕円形状としており、楕円の長径方向がシリンドリカルレンズ部10の高さ(h)となるように発光素子1の光軸の方向と一致するように設けられている。複数のシリンドリカルレンズ部10は、横断面視における断面形状を、各シリンドリカルレンズ部10と対向する発光素子1の光軸を基準としてそれぞれ左右対称としている。
【0019】
透光性部材3は、各々のシリンドリカルレンズ部10が、複数の発光素子1が配列されてなる発光素子列6上にそれぞれ配置されるように、基板2上に設けられる。発光素子列6が基板2上に少なくとも3列以上設けられ、シリンドリカルレンズ部10も少なくとも3列以上設けられる。シリンドリカルレンズ部10は、中央凸であるその頂部が発光素子1の発光面の略中心上に位置するように配置される。
【0020】
透光性部材3は、複数のシリンドリカルレンズ部10の高さ(h)を等しくするが、複数の発光素子1の出射光を透過させて所望の配光を得るために、横断面形状の異なるシリンドリカルレンズ部10、すなわち、第1シリンドリカルレンズ部11と第2シリンドリカルレンズ部12とを備えている。透光性部材3では、第1シリンドリカルレンズ部11は、複数のシリンドリカルレンズ部10のうち、少なくとも両端の列を含んでおり、第2シリンドリカルレンズ部12は、第1シリンドリカルレンズ部11の内側の列に設けられている。第2シリンドリカルレンズ部12の上面側の湾曲部12aは、第1シリンドリカルレンズ部11の上面側の湾曲部11a、11bよりも、曲率半径が小さくなるように形成されている。第2シリンドリカルレンズ部12は、上面側の湾曲部12aの曲率半径が小さくなることによる集光作用により、第1シリンドリカルレンズ部11の上面側の湾曲部11a、11bよりも出射光の指向性が高くなる。
【0021】
上面側を中央凸の湾曲面とするシリンドリカルレンズ部10は、湾曲部11a、11b、12aの曲率半径を調整することで、発光素子1からの出射光の指向性を調整できる。横断面形状が略半楕円形のシリンドリカルレンズ部10の高さ(h)を変えずに、下面側の幅(a)を小さくすることで、第2シリンドリカルレンズ部12の曲率半径を第1シリンドリカルレンズ部11よりも小さくしている。すなわち、複数のシリンドリカルレンズ部10の高さ(h)を等しくして、下面側を異なる幅(a)とすることにより、湾曲部11a、11b、12aの曲率半径を変化させている。とくに、透光性部材3において、第2シリンドリカルレンズ部12Aの幅(a1)が第1シリンドリカルレンズ部11A、11Bの幅(a2、a3)よりも小さく、複数のシリンドリカルレンズ部10において第2シリンドリカルレンズ部12Aの幅(a1)が最も小さくなっている。このように、複数のシリンドリカルレンズ部10を並列してなる透光性部材3は、中央部に配置される第2シリンドリカルレンズ部12Aの幅(a1)を最も小さくすることで、上面側の湾曲部12aの曲率半径を最も小さくして、中央部における出射光の指向性を高くできる。
【0022】
第2シリンドリカルレンズ部12は、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において、中央部に設けられることが好ましい。「中央部」とは、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における全長を100とし、一端側を0、他端側を100として表すと、中央寄りの20〜80、より好ましくは40〜60の領域のことを指す。より具体的には、シリンドリカルレンズ部10が3列である場合は、「中央部」はその中央列であり、5列以上の奇数列である場合の「中央部」は、中央列に加えて、その両隣のうち少なくとも一つの列を含む列とすることができる。また、シリンドリカルレンズ部10が4列である場合の「中央部」は、中央に位置する谷間を形成する2列であり、6列以上の偶数列である場合の「中央部」は、中央に位置する谷間を形成する2列に加えて、その両隣の少なくとも一つの列を含む列とすることができる。このような範囲に、前述のような指向性の高い第2シリンドリカルレンズ部12を設けることで、光強度分布曲線の中央部において光強度が高い発光装置100とすることができる。なお、「複数のシリンドリカルレンズ部10の中央」とは、シリンドリカルレンズ部10が3列以上の奇数列である場合は、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央(真ん中)に位置する列であり、シリンドリカルレンズ部10が3列以上の偶数列である場合は、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央(真ん中)に位置する谷間7を指す。
【0023】
透光性部材3は、6列のシリンドリカルレンズ部10の両端の列及び両端の列に隣接する列の計4列が第1シリンドリカルレンズ部11であり、それらの内側の2列、すなわち複数のシリンドリカルレンズ部10の中央の谷間7を形成する2列が第2シリンドリカルレンズ部12である。複数のシリンドリカルレンズ部10は、第2シリンドリカルレンズ部12の上面側の湾曲部12aの曲率半径を最も小さくしている。
【0024】
透光性部材3は、第2シリンドリカルレンズ部12Aの幅(a1)が最も小さく、両端の第1シリンドリカルレンズ部11Bの幅(a3)が最も大きい。また、第2シリンドリカルレンズ部12Aから外側に向かって幅(a)が次第に大きくなるように、第1シリンドリカルレンズ部11A、11Bの幅(a2、a3)が設定されている。第1シリンドリカルレンズ部11及び第2シリンドリカルレンズ部12の幅(a)は、所望の配光特性、発光素子1の寸法や発光素子列6の間隔等によって適宜設定することができる。第1シリンドリカルレンズ部11及び第2シリンドリカルレンズ部12は、例えば、高さ(h)を1.0mm〜4.0mmとし、幅(a)を2.0〜10.0mmとすることが好ましく、6列のシリンドリカルレンズ部10全体の幅は10〜60mmであることが好ましい。
【0025】
複数のシリンドリカルレンズ部10の幅(a)を、第2シリンドリカルレンズ部12から外側に向かって次第に、1.1〜2.0倍、好ましくは1.2〜1.5倍の範囲で大きく設定することができる。具体的には、第1シリンドリカルレンズ部11Aの幅(a2)を第2シリンドリカルレンズ部12Aの幅(a1)よりも1.1〜2.0倍、好ましくは1.2〜1.5倍で大きく設定し、第1シリンドリカルレンズ部11Bの幅(a3)を第1シリンドリカルレンズ部11Aの幅(a2)よりも1.1〜2.0倍、好ましくは1.2〜1.5倍で大きく設定することができる。このような構成とすることで、横断面形状の等しいシリンドリカルレンズ部が複数並列された形状の透光性部材を有する従来の発光装置の光強度分布曲線と比べて、光強度分布曲線の傾きが緩やかに変化し、その中央部付近で光強度が高くなる発光装置100とすることができる。
【0026】
図4に示されるグラフは、実施形態1の発光装置の光強度分布曲線を実線で、参考例の発光装置の光強度分布曲線を鎖線でそれぞれ示している。図4において実線で示されるグラフは、平面視1.4mm×1.4mm、厚さ0.3mmの発光素子1を用い、横断面形状を略半楕円形状とする各シリンドリカルレンズ部10の高さ(h)が3.0mmであり、第2シリンドリカルレンズ部12Aの幅(a1)に対して、第1シリンドリカルレンズ部11Aの幅(a2)が1.25倍、第1シリンドリカルレンズ部11Aの幅(a2)に対して第1シリンドリカルレンズ部11Bの幅(a3)が1.2倍である透光性部材3を有する発光装置100の光強度分布曲線を示す。また、図4において鎖線で示されるグラフは、参考例として、複数のシリンドリカルレンズ部の横断面形状を全て等しく、すなわち、各シリンドリカルレンズ部10の高さ(h)と幅(a)を等しくして、曲率半径を全て等しくしてなる発光装置の光強度分布曲線を示す。この図に示されるように、参考例の発光装置においては、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向における両端部で光強度分布曲線が急激に立ち上がり、両端部から中央部にかけて光強度がほぼ均一でフラットになる曲線が得られるのに対し、実施形態1の発光装置では、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向における両端から中央部に向かって光強度が緩やかに増加し、その中央部付近で光強度がピークとなる曲線が得られる。
【0027】
さらに、複数のシリンドリカルレンズ部10で構成される透光性部材3の横断面形状は、その並列方向における中央谷間7を基準として、左右対称になっている。すなわち、中央部に設けられる2列の第2シリンドリカルレンズ部12Aの幅(a1)は略等しく、第2シリンドリカルレンズ部12Aの両隣に設けられる左右2列の第1シリンドリカルレンズ部11Aの幅(a2)は略等しく、さらにその両外側の列、すなわち両端の列に設けられる左右2列の第1シリンドリカルレンズ部11Bの幅(a3)は略等しい。このように、複数のシリンドリカルレンズ部10の幅(a)がその並列方向における中央を基準として左右対称であると、シリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置100の光強度分布曲線を左右対称とすることができる。これにより、発光装置100を基板等に固定して光照射装置を構成する際には、発光装置100を左右の方向性なく能率良く配置して組み立てできる。なお、透光性部材は、複数のシリンドリカルレンズ部10の幅(a)を、その並列方向の中央を基準として左右非対称にして所望の配光を実現してもよい。
【0028】
透光性部材3の材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂、ガラス等を用いることができる。樹脂としては、例えば、耐久性、成形のしやすさ等の観点から、シリコーン樹脂等を使用することができる。透光性部材3は、圧縮成形、トランスファ成形、キャスティング成形等で設けることができ、例えば、複数の発光素子1が載置された基板2の上面を、複数のシリンドリカルレンズ部10を形成可能な凹部を備えた金型で型閉すると共に、基板と金型とで形成された空間に液状の材料を注入した後、硬化させることで成形することができる。その他、粘度等の条件を調整することで、各発光素子列上に樹脂等の材料をライン状に描画して硬化することで形成してもよい。
【0029】
ここで、基板2表面の凹凸状態や、注入する際の樹脂の粘度、温度、注入圧等を調整することで、透光性部材3にボイドが発生することを防止できる。基板2上の複数の発光素子1間に十分な間隔を確保しておくことで、注入される透光性部材3の流動性を向上させてボイドの発生を抑制することができる。また、透光性部材3を注入する前工程として、発光素子1が実装された基板2上を有機溶剤等で濡らすことによっても、成形時における透光性部材3の流動性を向上させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)等を用いることができる。
【0030】
(発光素子1)
発光素子1は、発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることが好ましい。このような半導体発光素子としては、窒化物半導体等を形成させたものが好適に用いられる。発光素子1は、少なくとも発光層を含む半導体層と、正負の電極と、を有する。例えば、発光層の材料として、InXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)等が利用できる。本実施形態では、発光素子として紫外光から赤外光まで種々の発光波長のものを選択することができるが、特に紫外光を発するものを使用することができる。ここで、紫外光とは、発光波長400nm以下のものを指し、特に、発光波長330nm〜380nmの近紫外と言われる領域の光を発するものを好適に用いることができる。
【0031】
発光素子1は、上面と下面に電極を備えており、下面電極が基板2上の導電層5に導電性接着剤等によって接合される。導電性接着剤としては、Au−Sn、Au−In等の半田が挙げられる。また、発光素子1の上面電極は、導電性ワイヤ4によって、下面電極が接続される導電層5に隣接する導電層5に通電される。発光素子1は、上面の中央部に電極が設けられており、この電極と導電層5とが1本の導電性ワイヤ4で接続されているが、これに限らず、電極の位置、電極及び導電性ワイヤの数等は適宜変更することができる。なお、発光素子は、同一面上に正負の電極が設けられたものでもよく、電極を有する面が導電性接着剤によって導電層に接合されていてもよいし、電極を有する面と反対側の面が絶縁性接着剤によって導電層と接続され、導電性ワイヤによってそれぞれの電極と導電層とが電気的に接続されていてもよい。
【0032】
発光素子1は、チップタイプの発光ダイオードであって、平面視形状が四角形のダイス形状としている。四角形の例としては、正方形、矩形が挙げられる。ただし、発光素子の平面視形状はこれに限らず、例えば六角形等の多角形や円形、楕円形等とすることもできる。また、発光素子1の大きさ及び厚みは、適宜選択することができる。例えば、一例として平面視1.4mm×1.4mm、厚み0.3mmの発光素子1を用いることができる。また、発光素子1は、ダイス上面を発光面1xとすると共に、この発光面1xの周囲に沿って光反射領域8を設けている。発光素子2は、ダイスの側面1yを白色樹脂等の光反射材8aで直接被覆することで光反射領域8を設けている。この発光素子1は、ダイス側面1yから漏れる光を光反射領域8で反射することで、光軸方向への光の取り出し効率を向上できる。
【0033】
複数の発光素子1は、ライン状に配置されて少なくとも3列以上の発光素子列6を形成すると共に、発光素子列6が複数並べられて縦横に配置されている。1列の発光素子列6に12個の発光素子1が載置されており、発光素子列6が6列設けられている。したがって、発光装置100は72個の発光素子1を備えている。しかし、これに限らず、発光素子1の配列パターンや発光素子1の数、発光素子列6の数は適宜変更することができる。発光素子列6の発光素子1どうしは略等間隔で載置されている。このように略等間隔で発光素子1を載置することで、発光素子列6の列方向における出射光の斑を低減して均等に照射できる。また、発光素子1の載置が容易となるため好ましい。
【0034】
複数の発光素子1は、導電層5と導電性ワイヤ4を介して12直列6並列に接続されている。ただし、接続パターンはこれに限らず、適宜変更することができる。また、直列に接続された複数の発光素子1の並列方向と、シリンドリカルレンズ部10の延伸方向とが一致するように設けられている。このようにすることで、透光性部材3の厚みが比較的薄くなる谷間7と、発光素子1に接続する導電性ワイヤ4と導電層5との接続部とが重ならないように設けやすいため、接続部に外部からの応力がかかりにくく、導電性ワイヤ4の断線を抑制することができる。
【0035】
複数の発光素子1は、シリンドリカルレンズ部10の延伸方向においては等間隔で直線上に配列されている。また、並列方向に配列される複数の発光素子列6は、上側に配置されるシリンドリカルレンズ部10の幅(a)に対応してその間隔(d)を変化させている。発光装置100は、発光素子列6の真上の位置に各シリンドリカルレンズ部10の中心線が位置するように配置している。したがって、複数列の発光素子列6を被覆する透光性部材3として、幅(a)が異なる複数のシリンドリカルレンズ部10をその下端部において並列方向に連結する構造は、複数のシリンドリカルレンズ部10の中心間距離が変化するため、これに対応する発光素子列6の間隔(d)も変化するようにしている。すなわち、中央部に第2シリンドリカルレンズ部12を配置して、その両側に第1シリンドリカルレンズ部11を配置する構造は、中央部に配置される発光素子列6から両側に配置される発光素子列6に向かって間隔(d)が広くなるようにしている。
【0036】
複数の発光素子列6どうしの間隔(d)は、これらと対向する複数のシリンドリカルレンズ部10の中心間距離と等しくなるように構成されている。複数のシリンドリカルレンズ部10は、第2シリンドリカルレンズ部12Aの幅(a1)を、第1シリンドリカルレンズ部11Aの幅(a2)よりも小さくし、第1シリンドリカルレンズ部11Bの幅(a3)を第1シリンドリカルレンズ部11Aの幅(a2)よりも大きくしている。したがって、発光装置100は、第2シリンドリカルレンズ部12Aと対向する2列の発光素子列6Aの間隔(d1)を、第2シリンドリカルレンズ部12Aと対向する発光素子列6Aと、第1シリンドリカルレンズ部11Aと対向する発光素子列6Bとの間隔(d2)よりも小さくすると共に、第1シリンドリカルレンズ部11Bと対向する発光素子列6Cと、第1シリンドリカルレンズ部11Aと対向する発光素子列6Bとの間隔(d3)を、第2シリンドリカルレンズ部12Aと対向する発光素子列6Aと、第1シリンドリカルレンズ部11Aと対向する発光素子列6Bとの間隔(d2)よりも大きくしている。すなわち、発光装置100は、複数の発光素子列6どうしの間隔(d)を外側から中央部に向かって次第に小さくしている。
【0037】
各シリンドリカルレンズ部10の幅(a1、a2、a3)、及び各発光素子列6の間隔(d1、d2、d3)は、a1<a2<a3、かつd1<d2<d3であって、以下のように特定される。
d1=a1
d2=(a1+a2)/2
d3=(a2+a3)/2
【0038】
以上のように、複数列の発光素子列6の間隔(d)が外側から中央部に向かって次第に小さくなる構造は、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において、中央部における出射光の強度を両端部よりも強くできる。このことは、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央部に第2シリンドリカルレンズ部12を配置することにより、中央部における出射光の指向性を高くすることとの相乗効果により、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置の光強度分布曲線をより理想的に変化させることができる。
【0039】
(基板2)
基板2は、絶縁性の基材2Aと、基材2A上に設けられ、発光素子1に給電するための導電層5と、を有する。基板2は、その両端側に、固定具19を用いて発光装置100を実装基板に固定するための孔18を有していてもよい。孔18は閉口しているものだけでなく、一部が開口しているものであってもよい。
【0040】
基材2Aの材料としては、セラミックス、樹脂、ガラス等の絶縁性材料が挙げられる。特に、放熱性の観点から、無機材料であるセラミックスが好ましい。セラミックスとしては、特に放熱性の高いAlNが好ましい。
【0041】
導電層5の材料は、発光素子1と電気的に接続可能なものであれば特に限定されず、当該分野で公知の材料によって形成することができる。例えば、Cu、Ni、Pd、W、Cr、Ti、Al、Ag、Au又はそれらの合金等を用いることができる。特に、放熱性の観点から、Cu又はCu合金が好ましい。なお、導電層5の表面には、Ag、Pt、Sn、Au、Cu、Rd、又はこれらの合金や、酸化物の被膜が形成されていてもよい。導電層5は、めっき、スパッタ、その他の公知の方法で形成してもよいし、リードフレームを用い、リードフレームに樹脂等の基材を成形して基板2としてもよい。
【0042】
(導電性ワイヤ4)
導電性ワイヤ4は、発光素子1の上面電極と、該発光素子1が載置される導電層5に隣接する導電層5とを電気的に接続する。導電性ワイヤ4は金属線であり、所定のループ形状を形成するように接続されている。導電性ワイヤ4の材料としては、例えばAuが挙げられる。
【0043】
その他、発光装置100は、保護素子等の電子部品を備えていてもよい。保護素子としては、例えば、ツェナーダイオード、コンデンサ、バリスタ等が挙げられる。特に発光装置100に保護素子としてツェナーダイオードを載置することで、駆動における信頼性が高い発光装置100を提供することができる。
【0044】
(実施形態2)
実施形態2に係る発光装置について図面を用いて説明する。図6は、実施形態2に係る発光装置200の概略断面図である。図7は、図6に示す発光装置の要部拡大断面図である。
実施形態2の発光装置200は、透光性部材23の形状が、実施形態1の透光性部材3の形状と異なる。透光性部材23は、実施形態1の透光性部材3と同様に6列のシリンドリカルレンズ部10が連結部13によって連結された形状であって、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において、両端の列及び両端の列に隣接する内側の列の計4列が第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dであり、第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dよりも内側の列に設けられた中央部の2列が第2シリンドリカルレンズ部12Bである。第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dと第2シリンドリカルレンズ部12Bは、横断面形状が異なる構造であって、第2シリンドリカルレンズ部12Bの上面側の湾曲部12bの曲率半径を、第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dの上面側の湾曲部11c、11dの曲率半径よりも小さくしている。また、中央部に近い第1シリンドリカルレンズ部11Cの上面側の湾曲部11cの方が、第1シリンドリカルレンズ部11Dの上面側の湾曲部11dの方よりも曲率半径が小さくなっている。
【0045】
シリンドリカルレンズ部10は、横断面形状が中央凸の略半長円形状、又は略半円形状である。横断面形状が略半長円形状であるシリンドリカルレンズ部10は、横断面形状が略半円形状の湾曲部11c、11d、12bの下方に、シリンドリカルレンズ部10の高さ方向に幅(a)が均一な柱状部10tを連結してなる形状としている。このシリンドリカルレンズ部10は、柱状部10tの幅(a)を変化させることにより、柱状部10tの上側に形成される略半円状の湾曲部11c、11d、12bの曲率半径を変化させている。複数のシリンドリカルレンズ部10は、発光素子1の光軸が略半円形状の湾曲部11c、11d、12bの中心を通るように設けられており、横断面視における断面形状を、各シリンドリカルレンズ部10と対向する発光素子1の光軸を基準としてそれぞれ左右対称としている。
【0046】
透光性部材23は、各シリンドリカルレンズ部10の横断面形状が略半長円形であり、シリンドリカルレンズ部10の高さ(h)を変えずに、下面側である柱状部10tの幅(a)を小さくすることで、第2シリンドリカルレンズ部12の湾曲部12bの曲率半径を第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dの湾曲部11c、11dの曲率半径よりも小さくしている。すなわち、複数のシリンドリカルレンズ部10の高さ(h)を等しくして、柱状部10tの幅(a)を変化させることにより、略半円形状の湾曲部11c、11d、12bの曲率半径を変化させている。とくに、第2シリンドリカルレンズ部12Bの柱状部10tの幅(a1)が第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dの柱状部10tの幅(a2、a3)よりも小さく、複数のシリンドリカルレンズ部10において第2シリンドリカルレンズ部12Bの柱状部10tの幅(a1)が最も小さくなっている。このように、複数のシリンドリカルレンズ部10を並列してなる透光性部材3は、中央部に配置される第2シリンドリカルレンズ部12Bの柱状部10tの幅(a1)を最も小さくすることで、上面側の湾曲部12bの曲率半径を最も小さくして、中央部における出射光の指向性を高くできる。
【0047】
透光性部材23では、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央部の2列の第2シリンドリカルレンズ部12Bの上面側の湾曲部12bの曲率半径が最も小さく、第2シリンドリカルレンズ部12Bから外側に向かって上面側の湾曲部11c、11dの曲率半径が次第に大きくなっている。このように、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において、外側から中央部に向かって、横断面視が略半円形状の湾曲部11d、11c、12bの曲率半径が次第に小さくなるように設定された透光性部材23を設けることで、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置200の光強度分布曲線の傾きを外側から中央部に向かって緩やかに変化させることができる。
【0048】
さらに、複数のシリンドリカルレンズ部10で構成される透光性部材23の横断面形状は、その並列方向における中央、真ん中の谷間7を基準として、左右対称になっている。すなわち、中央部に設けられる2列の第2シリンドリカルレンズ部12Bの幅(a1)は略等しく、第2シリンドリカルレンズ部12Bの両隣に設けられる2列の第1シリンドリカルレンズ部11Cの幅(a2)は略等しく、第1シリンドリカルレンズ部11Cの外側の列、すなわち複数のシリンドリカルレンズ部10の両端の列に設けられる第1シリンドリカルレンズ部11Dの幅(a3)は略等しい。
【0049】
さらに、複数の発光素子列6どうしの間隔(d)は、これらと対向する複数のシリンドリカルレンズ部10の中心間距離と等しくなるように構成されている。発光装置200は、中央部に配置される2列の第2シリンドリカルレンズ部12Bの左右の外側に第1シリンドリカルレンズ部11Cを配置し、さらにその両外側に第1シリンドリカルレンズ部11Dを配置している。複数のシリンドリカルレンズ部10は、第2シリンドリカルレンズ部12Bの幅(a1)を、第1シリンドリカルレンズ部11Cの幅(a2)よりも小さくし、第1シリンドリカルレンズ部11Dの幅(a3)を第1シリンドリカルレンズ部11Cの幅(a2)よりも大きくしている。したがって、発光装置200は、第2シリンドリカルレンズ部12Bと対向する2列の発光素子列6Aの間隔(d1)を、第2シリンドリカルレンズ部12Bと対向する発光素子列6Aと、第1シリンドリカルレンズ部11Cと対向する発光素子列6Bとの間隔(d2)よりも小さくすると共に、第1シリンドリカルレンズ部11Dと対向する発光素子列6Cと、第1シリンドリカルレンズ部11Cと対向する発光素子列6Bとの間隔(d3)を、第2シリンドリカルレンズ部12Bと対向する発光素子列6Aと、第1シリンドリカルレンズ部11Cと対向する発光素子列6Bとの間隔(d2)よりも大きくしている。すなわち、発光装置200は、複数の発光素子列6どうしの間隔(d)を外側から中央部に向かって次第に小さくしている。
【0050】
さらに、透光性部材23は、互い隣接するシリンドリカルレンズ部10の間であって、対向する柱状部10tの間に幅の狭い溝14を設けている。溝14は、隣接するシリンドリカルレンズ部10の湾曲部11c、11d、12bで形成される谷間7の下端が、基板2に向かって接近させるように深く切り込まれた形状になっている。これにより、シリンドリカルレンズ部10の柱状部10tを設けつつ、シリンドリカルレンズ部12の指向性を高めることができる。それは、隣接するシリンドリカルレンズ部10の間に形成される溝14によって、シリンドリカルレンズ部10の間に形成される連結部13の高さを低くして、連結部13の方向への光漏れや、隣接する発光素子列6間での干渉を抑制することができるからである。
【0051】
さらに、複数のシリンドリカルレンズ部10の間であって、シリンドリカルレンズ部10の側面に、発光素子1から照射される光を反射させる光反射領域8を設けている。このように、光反射領域8をシリンドリカルレンズ部10の側面に設けることで、シリンドリカルレンズ部10の側面への光の漏れを抑制でき、これにより光軸方向への光の取り出し特性を向上できる。透光性部材23は、シリンドリカルレンズ部12Bの柱状部10tの側面であって、隣接するシリンドリカルレンズ部10の間に設けた溝14に光反射部材8bを充填して光反射領域8としている。このような光反射部材8bとして、白色塗料や金属粉末を含有する塗料、金属膜、金属箔、金属板等が使用できる。
【0052】
透光性部材23は、互いに隣接する第2シリンドリカルレンズ部12どうしの間、または互いに隣接する第1シリンドリカルレンズ部11と第2シリンドリカルレンズ部12との間に光反射領域8を設けている。このように、複数のシリンドリカルレンズ部10の中央部に配置される第2シリンドリカルレンズ部12Bの側面に光反射領域8を設けて、両端部に配置される第1シリンドリカルレンズ11Dの側面に光照射領域8を設けない構造は、中央部の第2シリンドリカルレンズ部12Bでは、発光素子1の光を光反射領域8により湾曲部12b側へ効果的に反射させ、両端の第1シリンドリカルレンズ部11Dでは、発光素子1の光を湾曲部11d側へ反射させることなく透過させる。このため、第2シリンドリカルレンズ部12Bの指向性をより高くして発光装置の配光をより理想的にできる。
【0053】
以上の実施形態の発光装置100、200は、複数の発光素子列6の間隔(d)を、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において外側から中央部に向かって次第に小さくしている。ただ、他の実施形態における発光装置は、複数の発光素子列の間隔を等しくすることもできる。以下、複数の発光素子列を等間隔に配置する実施形態を示す。
【0054】
(実施形態3)
実施形態3について、図面を用いて説明する。図8は、実施形態3に係る発光装置の概略断面図である。
発光装置300は、基板2上に配置される複数の発光素子列6を等間隔で設けて、発光素子列6上にそれぞれ配置されるように複数のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材33を設けている。このように略等間隔で発光素子列6を設ける構造は、発光素子1の載置を容易にできる。なお、略等間隔とは、その間隔の差が2.0mm以下の微小なものを含むものとする
【0055】
実施形態3の発光装置300は、透光性部材33を構成する複数のシリンドリカルレンズ部10の個数、及び各シリンドリカルレンズ部10の横断面形状を、実施形態1に示されるシリンドリカルレンズ部10の横断面形状と略等しくするが、これらのシリンドリカルレンズ部10の下端部を連結する連結部13の形状が異なっている。基板2上に等間隔に配置された発光素子列6の上に複数のシリンドリカルレンズ部10を配置すると共に、隣接するシリンドリカルレンズ部10の中心間距離(k)と隣接する発光素子列6の間隔(d)とを等しくしている。透光性部材33では、複数のシリンドリカルレンズ部10の幅(a)を中央部の第2シリンドリカルレンズ部12Cから外側の第1シリンドリカルレンズ部11E、11Fに向かって次第に大きくしている。図においては、a1<a2<a3としている。したがって、これらのシリンドリカルレンズ部10を下端で連結する連結部13の幅(b)を、複数のシリンドリカルレンズ部10の外側から中央部に向かって次第に大きくしている。図においては、b3<b2<b1としている。連結部13は、基板2の表面に対して所定の高さとなるように、水平姿勢で形成されている。第1シリンドリカルレンズ部11Fの上面側の湾曲部11f、第1シリンドリカルレンズ部11Eの上面側の湾曲部11e、第2シリンドリカルレンズ部12Cの上面側の湾曲部12cの順に曲率半径が小さくなっている。
【0056】
透光性部材33は、下端側の幅(a)の異なる複数のシリンドリカルレンズ部10を幅(b)の異なる連結部13で連結することにより、隣接するシリンドリカルレンズ部10同士の中心間距離(k)を等しくしている。これにより、等間隔で配置される複数の発光素子列6の真上であって、発光素子1の発光面の略中心上に各シリンドリカルレンズ部10の頂部が位置するように配置している。なお、透光性部材33は、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における両端のシリンドリカルレンズ部10の下端部から外側へ広がる鍔部15を設けている。
【0057】
(実施形態4)
実施形態4について、図面を用いて説明する。図9は、実施形態4に係る発光装置の概略断面図である。
実施形態3と同様、実施形態4の発光装置400は、基板2上に配置される複数の発光素子列6を等間隔で設けて、発光素子列6上にそれぞれ配置されるように複数のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材43を設けている。
実施形態4の発光装置400は、透光性部材43を構成する複数のシリンドリカルレンズ部10の個数、及び各シリンドリカルレンズ部10の上面側の湾曲部11g、11h、12dの曲率半径を、実施形態1に示されるシリンドリカルレンズ部10と等しくするが、複数のシリンドリカルレンズ部10の中心間距離(k)を等しくするために、第1シリンドリカルレンズ部11の横断面形状を実施形態1の第1シリンドリカルレンズ部11とは異なる形状としている。
【0058】
透光性部材43は、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における両端の列及び両端の列に隣接する内側の列の計4列を第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hとしているが、隣接する第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hどうしの中心間距離(k)を小さくするために、第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hを発光素子1の光軸を基準として左右非対称としている。具体的には、隣接する第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hどうしの境界部分では、湾曲部11g、11hの下方を互いに接近させて、第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hどうしの中心間距離(k)を小さくしている。ここで、隣接する第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hどうしは、境界部分を一体的に連結することで、その連結部13を第2シリンドリカルレンズ部12Dの連結部13よりも高くすることができる。この場合、第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hと対向する発光素子1から照射される光が連結部13を通過することで、第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hを透過する光の集光特性が低下する。これにより、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における光強度分布曲線の傾きをより効果的に変化させることができる。第1シリンドリカルレンズ部11Hの上面側の湾曲部11h、第1シリンドリカルレンズ部11Gの上面側の湾曲部11g、第2シリンドリカルレンズ部12Dの上面側の湾曲部12dの順に曲率半径が小さくなっている。
【0059】
なお、透光性部材43は、両外側に設けた2列ずつの第1のシリンドリカルレンズ部11G、11Hの境界に、幅の狭い溝17を設けている。溝17は、隣接する第1のシリンドリカルレンズ部11G、11Hの湾曲部11g、11hで形成される谷間7の下端が、基板2に向かって接近させるように深く切り込まれた形状になっている。溝17の深さは、発光素子1を基準に基板2から30°、より好ましくは20°の角度より下側であることが好ましい。この溝17は、その深さを調整することで、第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hの間に形成される連結部13の高さを調整して、連結部13の方向への光漏れや、隣接する発光素子列6間での干渉を抑制でき、また、両側に位置する第1シリンドリカルレンズ部11G、11Hの指向性をコントロールすることができる。
【0060】
実施形態4の発光装置400は、実施形態1や実施形態3の発光装置100、300と比較して、複数のシリンドリカルレンズ部10の数を6列と等しくしながら、並列方向の全長を短く、言い換えると発光装置を小型化して、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができる。
【0061】
(実施形態5)
実施形態5について、図面を用いて説明する。図10は、実施形態5に係る発光装置の概略断面図である。
実施形態3と同様、実施形態5の発光装置500は、基板2上に配置される複数の発光素子列6を等間隔で設けて、発光素子列6上にそれぞれ配置されるように複数のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材53を設けている。
実施形態5の発光装置500は、透光性部材53の形状が、実施形態1〜4の透光性部材の形状と異なる。具体的には、実施形態5の発光装置500の透光性部材53は、奇数列、ここでは5列のシリンドリカルレンズ部10を備えており、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央列及びその両隣の列からなる3列を第2シリンドリカルレンズ部12Eとし、その外側である両端の2列を第1シリンドリカルレンズ部11Iとしている。複数の各シリンドリカルレンズ部10は、中央凸の湾曲部11i、12eを有しており、湾曲部12eの曲率は、湾曲部11iの曲率よりも小さい。
【0062】
透光性部材53は中央部の3列の第2シリンドリカルレンズ部12Eの横断面形状を等しくすると共に、外側の2列の第1シリンドリカルレンズ部11Iの横断面形状を等しくしており、その並列方向における中央列である第2シリンドリカルレンズ部12Eを基準として左右対称になっている。第2シリンドリカルレンズ部12Eは、横断面形状が略半楕円形状であって、第1シリンドリカルレンズ部11Iは、横断面形状が略半長円形状である。複数のシリンドリカルレンズ部10は、略半楕円形状の第2シリンドリカルレンズ部12Eの幅(a1)と、略半長円形状の第1シリンドリカルレンズ部11Iの柱状部10tの幅(a3)とを等しくして、隣接するシリンドリカルレンズ部10どうしの中心間距離(k)を等しくしている。透光性部材53は、5列のシリンドリカルレンズ部10が下端側において連結部13で一体的に連結されている。
【0063】
この発光装置500は、中央部に設けた3列の第2シリンドリカルレンズ部12Eにより、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において、中央部の光強度分布を広い範囲で強くできる。また、3列の第2シリンドリカルレンズ部のうち、中央列の第2シリンドリカルレンズ部の側面に前述の光反射領域を設けることで、中央列の第2シリンドリカルレンズ部の指向性を、隣接する両側の第2シリンドリカルレンズ部よりも高めることもできる。
【0064】
(実施形態6)
実施形態6について、図面を用いて説明する。図11は、実施形態6に係る発光装置の概略断面図である。
実施形態3と同様、実施形態6の発光装置600は、基板2上に配置される複数の発光素子列6を等間隔で設けて、発光素子列6上にそれぞれ配置されるように複数のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材63を設けている。
実施形態6の発光装置600は、透光性部材63のシリンドリカルレンズ部10を5列の奇数列とし、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央列を第2シリンドリカルレンズ部12Fとし、外側である両端側の2列ずつを第1シリンドリカルレンズ部11J、11Kとしている。実施形態6の透光性部材63は、各シリンドリカルレンズ部10の横断面形状が、実施形態1〜5のシリンドリカルレンズ部10の横断面形状と異なる。具体的には、複数の各シリンドリカルレンズ部10は、中央凸の湾曲部11j、11k、12fの下方に柱状部10tを連結してなる横断面形状としている。複数の各シリンドリカルレンズ部10は、中央凸の湾曲部11j、11k、12fを有しており、湾曲部12fの曲率は、湾曲部11j、11kの曲率よりも小さい。第1シリンドリカルレンズ部11Kの上面側の湾曲部11k、第1シリンドリカルレンズ部11Jの上面側の湾曲部11j、第2シリンドリカルレンズ部12Fの上面側の湾曲部12fの順に曲率半径が小さくなっている。
【0065】
シリンドリカルレンズ部10は、柱状部10tの横断面形状を上方に向かって幅が小さくなる等脚台形状としており、柱状部10tの側面を傾斜面11z、11x、12zとしている。各シリンドリカルレンズ部10の柱状部10tの傾斜面11z、11x、12zの傾斜角(基板2の表面に対する傾斜角)は、中央列である第2シリンドリカルレンズ部12Fの傾斜角12zから両外側の第1シリンドリカルレンズ部11Jの傾斜角11zさらに外側の第1シリンドリカルレンズ部11Kの傾斜角11xに向かって次第に大きくしている。これにより、等脚台形状の柱状部10tの上端側の幅を、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において、外側から中央に向かって次第に小さくし、上に形成される湾曲部11k、11j、12fの曲率半径を外側から中央に向かって次第に小さくしている。また、各シリンドリカルレンズ部10の柱状部10tの傾斜面11x、11z、12zの傾斜角を、並列方向の外側から中央に向かって次第に小さくすることで、傾斜面12zにおける屈折光による集光特性を外側よりも中央側で高めることができる。
【0066】
さらに、シリンドリカルレンズ部10は、並列方向の両端に位置する第1シリンドリカルレンズ部11Kの上端側に湾曲部11kを設けている。湾曲部11kは上面が平坦な部分を有しているが、説明の便宜上、湾曲部と表現する。このように、シリンドリカルレンズ部10の湾曲部11kが上面に平坦な部分を有することで、その部分の光を拡散させることができるので、発光装置の光強度分布曲線の傾きをより緩やかに変化させることが可能である。このように、第1シリンドリカルレンズ部11Kは、上端側に平坦な部分を有する湾曲部11kを設けることもできる。この場合、第1シリンドリカルレンズ部11Kの湾曲部11kの曲率半径は、湾曲部11kの下端の幅に対する湾曲部11kの高さの比から平均的に演算された値として求めることができる。
【0067】
(実施形態7)
実施形態7について、図面を用いて説明する。図12は、実施形態7に係る発光装置の概略断面図である。
実施形態1〜6では、透光性部材が基板2上の発光素子1を直接被覆する形態を示したが、これに限らず、実施形態7においては透光性部材73と発光素子1との間に空間を有する形態としてもよい。透光性部材73は、偶数列、ここでは6列のシリンドリカルレンズ部10を備えており、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央列の2列を第2シリンドリカルレンズ部12Gとし、その外側の1列を第1シリンドリカルレンズ部11L、さらにその外側である両端の1列を第1シリンドリカルレンズ部11Mとしている。第1シリンドリカルレンズ部11Mの上面側の湾曲部11m、第1シリンドリカルレンズ部11Lの上面側の湾曲部11l、第2シリンドリカルレンズ部12Gの上面側の湾曲部12gの順に曲率半径が小さくなっている。発光素子1を被覆する透光性部材73は、例えば金型を用いた成形等により設けることができる。例えば、下面に予め発光素子1を収納可能な凹部16を設けた透光性部材73を準備し、基板2上の発光素子1がそれぞれ収納されるように、基板2上に載置する。このように透光性部材73を設けることで、透光性部材73と発光素子1とを離間させることができるので、透光性部材73が発光素子1の光や熱で劣化することを抑制することができる。また、予め準備した透光性部材73を基板2上に載置することで、発光素子が載置された基板上に透光性部材を直接成形する場合に比べて、基板2や発光素子1にかかる熱による影響を減らすことができる。予め所定の形状に形成された透光性部材73は、接着等により基板2上に固定することができる。発光素子6はそれぞれの列において複数個配置されており、第2シリンドリカルレンズ部12Gに配置される発光素子6A、第1シリンドリカルレンズ部11Lに配置される発光素子6B、第1シリンドリカルレンズ部11Mに配置される発光素子6Cの順に発光ピーク波長が長くなるものを用いてもよい。
【0068】
(実施形態8)
実施形態8について、図面を用いて説明する。図13は、実施形態8に係る発光装置の概略断面図である。
発光装置800の透光性部材83は、隣接する複数のシリンドリカルレンズ部10がそれぞれ離間して並列されており、連結部を有さない。具体的には、発光装置800は、上面側に中央凸の湾曲部11n、11o、12hを有する複数のシリンドリカルレンズ部10をそれぞれ独立して基板2上に設けている。透光性部材73は、偶数列、ここでは6列のシリンドリカルレンズ部10を備えており、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央列の2列を第2シリンドリカルレンズ部12Hとし、その外側の1列を第1シリンドリカルレンズ部11N、さらにその外側である両端の1列を第1シリンドリカルレンズ部11Oとしている。第1シリンドリカルレンズ部11Oの上面側の湾曲部11o、第1シリンドリカルレンズ部11Nの上面側の湾曲部11n、第2シリンドリカルレンズ部12Hの上面側の湾曲部12hの順に曲率半径が小さくなっている。複数のシリンドリカルレンズ部10は、横断面形状を高さ(h)の等しい略半楕円形状としており、その並列方向において、外側から中央部に向かって下端部の幅(a)を小さくしている。
【0069】
また、複数のシリンドリカルレンズ部10は、その並列方向における中央の2列の第2シリンドリカルレンズ部12Hの中間を基準として、左右対称になっている。すなわち、中央部に設けられる2列の第2シリンドリカルレンズ部12Hの横断面形状は略等しく、その両隣に設けられる2列の第1シリンドリカルレンズ部11Nの横断面形状は略等しく、さらに外側の列、すなわち複数のシリンドリカルレンズ部10の両端に設けられる第1シリンドリカルレンズ部11Oの横断面形状は略等しい。また、発光装置800は、基板2上に配置される複数の発光素子列6を等間隔で設けて、発光素子列6上にそれぞれ配置されるように複数のシリンドリカルレンズ部10を並列している。
【0070】
上記構成により、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置800の光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができると共に、隣接する複数のシリンドリカルレンズ部10がそれぞれ離間して並列されることで、発光装置の光強度分布曲線において複数の谷部を形成することが可能である。
【0071】
なお、発光装置800では、基板2上に配置される複数の発光素子列6を等間隔で配置しているが、複数の発光素子列の間隔(d)は、中央部に向かって次第に小さくすることもでき、この場合は、基板2上に独立して形成されるシリンドリカルレンズ部10の幅(a)に応じて決定することができる。
【0072】
以上の実施形態1〜8において、6列のシリンドリカルレンズ部を備え、中央の谷間の両隣の列を第2シリンドリカルレンズ部12とした透光性部材を有する発光装置、あるいは、5列のシリンドリカルレンズ部を備え、中央列、または、中央列及びその両隣の列の計3列を第2シリンドリカルレンズ部12とした透光性部材を有する発光装置を示したが、シリンドリカルレンズ部の列の数は3列以上であれば特に限定されない。例えば、6列のシリンドリカルレンズ部を備える透光性部材において、中央の谷間の両隣の列及びその両隣の列の計4列を第2シリンドリカルレンズ部12としてもよい。
【0073】
(光照射装置)
以上のような発光装置を、所定の配列で複数並設することで、光照射装置として用いることができる。図14は、発光装置を備える光照射装置の概略構成図である。なお、光照射装置において、複数の発光装置は基板20等に実装された状態であり、発光装置の下に図示された矢印のいずれかの方向(図中では左右)に移動する。また、被照射物Sも同様に、被照射物Sの上に図示される矢印のいずれかの方向に移動する。なお、光照射装置は、発光装置又は被照射物Sのいずれか一方が移動する形態であってもよいし、両方が移動する形態であってもよい。
【0074】
光照射装置は、2個の発光装置100を備えており、これらの発光装置100が、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向が一致するように並設されている。また、光照射装置の2つの発光装置100は、その出射光が下方に向かって照射されるように下向きに配置されている。さらに、この光照射装置は、複数の発光装置100の被照射物Sに対する相対的な移動方向が、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向と同じとなるように設けられている。
【0075】
光照射装置に、前述のような構成のシリンドリカルレンズ部を有する発光装置を用いることで、被照射物に照射される光の強度を緩やかに変化させることができる。さらに、このような発光装置を複数並設することで、緩やかに強度が大きくなる光を繰り返し照射させることができ、例えばインク等を確実に硬化することが可能である。
【0076】
また、光照射装置において、発光装置100ごとに、発光波長の異なる発光素子が載置されていてもよい。例えば、2つの発光装置100のうち、光が被照射物Sに先に照射される位置に配置される第1発光装置100Aに載置される複数の発光素子1の発光波長を290nm〜330nmとし、光が第1発光装置100Aよりも後に被照射物Sに照射される位置に配置される第2発光装置100Bに載置される複数の発光素子の発光波長を345nm〜430nmとすることができる。より具体的には、第1発光装置100Aに載置される複数の発光素子1の発光波長を310nmとし、第2発光装置100Bに載置される複数の発光素子1の発光波長を365nmとすることができる。このような構成とすることで、第1発光装置100Aの光によって被照射物S、より具体的にはインクの内部を硬化させた後、第2発光装置100Bの光によってインクの表面を緩やかに硬化させることができる。したがって、光照射装置によって、より確実にインクを硬化させることが可能な光照射装置とすることができる。
【0077】
なお、光照射装置は、2つの発光装置100が、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向が一致するように並設されているが、並列方向に配置される発光装置は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。すなわち、光照射装置は、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向に並設される発光装置の個数を、所望の配光や被照射物Sの大きさ等によって適宜を変更することができる。また、光照射装置は、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向と同じ方向に発光装置を並設させるだけでなく、シリンドリカルレンズ部の延伸方向と同じ方向に発光装置を配列してもよい。
【符号の説明】
【0078】
100、200、300、400、500、600、700、800 発光装置
100A 第1発光装置
100B 第2発光装置
1 発光素子
1x 発光面
1y 側面
2 基板
2A 基材
3、23、33、43、53、63、73、83 透光性部材
4 導電性ワイヤ
5 導電層
6、6A、6B、6C 発光素子列
7 谷間
8 光反射領域
8a 光反射材
8b 光反射部材
9 発光ユニット
10 シリンドリカルレンズ部
10t 柱状部
11、11A、11B、11C、11D、11E、11F、11G、11H、11I、11J、11K、11L、11M、11N、11O 第1シリンドリカルレンズ部
12、12A、12B、12C、12D、12E、12F、12G、12H 第2シリンドリカルレンズ部
11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11i、11j、11k、11l、11m、11n、11o、12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h 湾曲部
11x、11z、12z 傾斜面
13 連結部
14 溝
15 鍔部
16 凹部
17 溝
18 孔
19 固定具
20 基板
S 被照射物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14