(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による半導体装置の製造方法は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の半導体装置および製造装置における寸法、形状、および、構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0011】
[半導体装置の製造方法の概要]
図1は、本開示のある実施形態による半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
図1に例示された発光装置の製造方法は、半導体素子の上面と、吸引口が設けられたコレットの吸着面とを対向させる工程S1と、半導体素子の上面のうち、第1領域よりも上方にある第2領域の一部にコレットの吸着面を接触させる工程S2と、半導体素子をコレットによってピックアップする工程S3とを含む。後に詳しく説明するように、本開示の実施形態では、第2領域の最上面の全体が、吸着面のうち吸引口以外の領域と接するようにして工程S2が実行される。
【0012】
本開示の実施形態によれば、半導体素子のピックアップにおいて、第1領域よりも上方にある第2領域の最上面が、コレットの吸着面のうちの吸引口以外の領域に接するようにして、コレットの吸着面が半導体素子に接触させられ、半導体素子がピックアップされる。そのため、吸引口の外縁が第2領域の最上面の直上に位置することが回避され、第2領域の最上面に局所的に力がかかることが防止される。したがって、コレットの接触による、半導体素子の上面への傷等の発生を抑制可能となり、歩留まりの向上に有利である。特に、第2領域の最上面が電極の表面を含む場合には、コレットの接触に起因した電極表面への傷等の発生を回避し得る。電極表面への傷等の発生の回避は、歩留まりの向上に加えて、最終的に得られる半導体装置の信頼性の向上にも寄与し得る。
【0013】
半導体装置の製造方法の実施形態の説明に先立ち、まず、コレットを利用した移載の対象である半導体素子のデバイス構造の典型例と、コレットの例示的な構造とを説明する。
【0014】
[半導体素子200]
図2は、半導体素子の一例の断面を模式的に示す。
図2に示す半導体素子200は、支持基板210と、支持基板210上の1以上の半導体層を含む積層構造体220と、第1電極230と、第2電極240とを有する。この例では、半導体素子200は、積層構造体220を覆う絶縁性の保護層250をさらに有する。保護層250は、例えば、0.15μm以上0.25μm以下程度の範囲の厚さを有する、リン酸ガラス(PSG)、シリコン窒化物、酸化ケイ素等の膜である。図示するように、保護層250には、第1電極230と重なる位置および第2電極240と重なる位置にそれぞれ開口APnおよび開口APpが設けられている。したがって、開口APnの位置で第1電極230の上面230aが保護層250から露出され、また、開口APpの位置で第2電極240の上面240aが保護層250から露出されている。
【0015】
図2に例示する構成において、積層構造体220は、第1導電型の第1半導体層である、支持基板210上のn型半導体層220nと、n型半導体層220nの一部上に位置する、第2導電型の第2半導体層であるp型半導体層220pとを含む。この例では、n型半導体層220nおよびp型半導体層220pの間に活性層220aが設けられている。ここで、「n型半導体層220nの一部上に位置する」とは、n型半導体層220nにp型半導体層220pが直接に接している形態に限定されず、
図2に模式的に示すように活性層220a等の他の機能層が介在された形態をも広く含むように解釈される。
【0016】
上述の第1電極230および第2電極240は、それぞれ、n型半導体層220n上およびp型半導体層220p上に設けられる。換言すれば、第1電極230は、n型半導体層220nのうちp型半導体層220pが配置された部分以外の部分上に位置し、第2電極240は、p型半導体層220p上に位置する。第1電極230および第2電極240は、例えば、Ag、Al、Au、Cu、Ti、Ni、Pt、Pd、W等の金属または合金の単層膜または積層膜である。第1電極230および第2電極240の上面視における外形は、例えば、円形である。
【0017】
半導体素子200は、下面200bおよび下面200bとは反対側の上面200aを有する。半導体素子200の下面200bは、支持基板210の主面のうち、積層構造体220が設けられた側とは反対側の主面に一致し、その全面は、概ね平坦である。これに対し、半導体素子200の上面200aは、段差を有し得る。
図2に例示する構成において、上面200aは、第1領域R1と、第1領域R1よりも上方に位置する第2領域R2とを含んでいる。ここで、「上方に位置する」とは、半導体素子の下面200bからより遠くに位置することを意味し、半導体素子200の姿勢を限定する意図ではない。
【0018】
第2領域R2は、上面200aのうち、上面視においてp型半導体層220pが位置する領域に概ね対応し、第1領域R1は、上面200aのうち、p型半導体層220pが配置されていない領域に概ね対応する。この例では、積層構造体220が保護層250で覆われているので、上面視において、第2領域R2は、p型半導体層220pの上面よりも僅かに大きな面積を有し得る。上述したように、第2電極240は、p型半導体層220p上に位置し、第1電極230は、n型半導体層220nのうちp型半導体層220pが配置された部分以外の部分上に位置する。したがって、第2領域R2および第1領域R1は、それぞれ、第2電極240を含む領域および第1電極230を含む領域であるといえる。
【0019】
半導体素子200は、LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子であり得る。以下では、半導体素子200として、半導体発光素子を例示する。この場合、積層構造体220は、第1電極230および第2電極240に所定の電流が供給されることにより、光を発することができる。積層構造体220としては、任意の波長の光を出射する構造体を選択してよい。積層構造体220が窒化物系半導体(In
xAl
yGa
1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むと、積層構造体220を紫外域〜可視域の発光が可能な発光構造とできる。積層構造体220は、例えば、青色または緑色の光を出射可能な発光構造であってもよい。あるいは、GaAlAs、AlInGaP、GaAsP、GaP等の半導体を含む積層構造体220を形成することにより、赤色の光を得ることもできる。
【0020】
積層構造体220からの光は、例えば、支持基板210側とは反対側、すなわち、半導体素子200の上面200a側から取り出される。積層構造体220が発する光は、積層構造体220の側面および支持基板210の側面からも取り出され得る。あるいは、積層構造体220からの光は、支持基板210を上側に向けてその支持基板210側から取り出されてもよい。支持基板210の側面から光が取り出される場合または支持基板210を上側に向けて支持基板210を介して光が取り出される場合、支持基板210としては、サファイア基板等の透光性基板が用いられる。ここで、本明細書における「透光性」の用語は、「透明」であることに限定されず、入射した光に対して拡散性を示すことをも包含するように広く解釈される。いずれの場合にせよ、支持基板210としては、積層構造体220を構成する1以上の半導体層を成長可能な基板を用いればよい。なお、半導体素子200は、光が取り出される側とは反対側の面に誘電体反射膜等の反射膜を有し得る。
【0021】
[コレット100A]
図3は、半導体素子200のピックアップに適合したコレットの一例を示す。
図3に例示するコレット100Aは、本体部110と、本体部110の一端に位置し、先細り形状を有する先端部120Aとを有する。コレット100Aは、超硬合金、セラミックス、硬質の樹脂等から形成され、コレット100Aの他端を受け入れるチャックを有するマウントに取り付けられて使用される。マウントは、ピックアップの対象にあわせて複数種のコレットを換装可能に構成され、ここでは、ダイボンダに取り付けられてコレット100Aを支持する。
【0022】
図3には、コレット100Aの全体の外観に加えて、先端部120Aが拡大されてあわせて一つの図に示されている。
図3において右下に示すように、コレット100Aは、先端部120Aの本体部110とは反対側の端部に吸着面120aを有する。この例では、吸着面120aは、平坦面である。ただし、吸着面120aの全体が平坦面であることは必須ではない。
【0023】
吸着面120aには、吸引口130sが設けられる。この例では、吸引口130sは、円形の開口である。もちろん、吸引口130sの形状は、円形に限定されず任意の形状であってよい。
【0024】
コレット100Aは、内部に貫通孔130Aを有し、この貫通孔130Aの一端は、吸引口130sに達している。貫通孔130Aは、コレット100Aがマウントに装着された状態において、マウントの内部に設けられた真空ラインに連通し、空気を吸い込むための流路を形成する。
【0025】
[半導体装置の製造方法の実施形態]
以下、コレット100Aを利用した、半導体装置の製造方法をより詳細に説明する。ここでは、半導体発光素子としての半導体素子200をその一部に含む半導体装置の製造、換言すれば、発光装置の製造を例にとって説明する。半導体発光素子を含む発光装置の製造の過程において、半導体素子200の選別、実装等に際して、コレット100Aを利用した半導体素子200の移載が実行され得る。以下では、導電性のリードフレームに樹脂体が一体的に形成された複合基板に対するダイボンディングへの適用例を説明する。
【0026】
まず、
図4に示すように、第1の位置にある半導体素子200の上面200aと、ダイボンダに取り付けられたコレット100Aの吸着面120aとを対向させる(
図1の工程S1)。このとき、ダイボンダのカメラ等を利用した画像認識等によってアラインメントを実行することができる。第1の位置は、ここでは、ダイボンダの内部の所定の位置である。ダイボンダの内部において、半導体素子200は、ダイシングテープ、半導体素子200を収容する凹部が設けられたキャリアテープ等によって支持され得る。
【0027】
次に、
図5に示すように、コレット100Aの吸着面120aを半導体素子200の第2領域R2の一部に接触させる(
図1の工程S2)。本開示の実施形態では、このとき、第2領域R2の最上面MFが、吸着面120aのうち吸引口130s以外の領域と接する。
【0028】
この例では、第2電極240の上面240a上に保護層250の一部が位置するので、保護層250の表面のうち、第2電極240を取り囲む例えば環状の領域が最上面MFを構成する。なお、
図5では、最上面MFが平坦面であるように表現されているが、最上面MFは、一定以上の面積を有する平坦面に限定されず、例えば、線または点とみなせるような細い領域またはそのような領域の集合であり得る。第2領域R2が曲面および/または段差を含む場合には、第2領域R2のうち、半導体素子の下面200bに対して最も遠い領域が、最上面MFを構成する。第2電極240の上面240a上に保護層250が位置しておらず、第2電極240が保護層250よりも大きな厚さを有していたり、あるいは、半導体素子が保護層250を有しないような場合には、第2電極240の上面240aが、最上面MFを構成する。
【0029】
本発明者の検討によると、コレット100Aのように吸着面に吸引口を有する、硬質のコレットを半導体素子の上面に接触させる場合、吸引口の外縁が半導体素子の上面のうち最も高い部分に重なる位置にあると、半導体素子の上面のうち最も高い部分に力が集中し、その最も高い部分に傷等の損傷が生じるおそれがある。コレットの押し付けによる半導体素子の上面への損傷の発生は、発光装置の歩留まりの低下につながる。
【0030】
これに対し、本開示の実施形態では、半導体素子200の上面200aのうち、第1領域R1よりも上方にある第2領域R2の最上面MFを、吸着面120aのうち吸引口130s以外の領域に接触させる。第2領域R2の最上面MFを、吸着面120aのうち吸引口130s以外の領域に接するようにすることにより、コレットによる圧力が最上面MFの一部に集中することを防止し得る。すなわち、コレットの接触による半導体素子200の上面200aへの損傷の発生を回避し得る。特に、
図5に示す例では、第2領域R2の最上面MFの全体が吸着面120aのうち吸引口130s以外の領域に接するように吸着面120aを最上面MFに接触させており、コレットの接触による半導体素子200の上面200aへの損傷の発生をより効果的に回避し得る。
【0031】
図6は、コレット100Aの吸着面120aを半導体素子200Aの第2領域R2の最上面MFに接触させた状態の上面透視図である。ここで、半導体素子200Aは、上述の半導体素子200の一例であり、
図5に示す断面は、
図6のV−V断面に相当する。
図6に例示する構成において、上面視における半導体素子200Aの外形は、長方形状であり、吸着面120aも、半導体素子200Aの外形に対応した長方形状の外形を有している。ただし、本開示の実施形態において、平面視における吸着面120aの形状が半導体素子200の外形に一致している必要はない。平面視における吸着面120aの形状が半導体素子200の外形に相似である必要もない。
【0032】
この例では、吸引口130sは、その一部が第1領域R1に対向し、かつ、残余の部分が、第2領域R2のうち第2電極240Aが配置されている部分以外の部分に重なる位置にある(
図4および
図5も参照のこと)。このように、吸着面120aにおいて、第2電極240Aと重ならない位置に吸引口130sを配置することにより、吸引口130sの外縁が第2電極240Aに接することを回避できる。したがって、例えば、第2領域R2の最上面MFが第2電極240Aの上面240aを含んでいても、コレット100Aの接触に起因する、第2電極240Aへの傷の発生を抑制できる。したがって、最終的に得られる発光装置の信頼性を向上し得る。
【0033】
なお、
図6に示す例では、吸引口130sの一部が第1電極230Aに重なっている。しかしながら、
図4および
図5を参照すればわかるように、ここでは、第1電極230Aは、第1領域R1内にあり、その上面230aは、第2領域R2の最上面MFよりも低い位置にある。したがって、吸引口130sの外縁は、第1電極230Aの上面230aに接触しない。
【0034】
あるいは、
図7に例示するように、吸引口130sの全体が、第1領域R1に対向してもよい(
図4および
図5も参照)。このような構成によっても同様に、半導体素子200Aの上面200aへの損傷の発生を抑制する効果が得られる。特に、吸引口130sの全体が第1領域R1に対向していれば、吸引口130sが第2電極240Aと重ならないので、コレット100Aの接触に起因する、第2電極240への傷の発生をより確実に防止し得る。
【0035】
次に、半導体素子200の第1領域R1とコレット100Aの吸着面120aとの間の空気を吸引口130sを介して吸い込みながら、半導体素子200をコレット100Aによってピックアップする(
図1の工程S3)。吸引口130sを介した空気の吸い込みは、吸着面120aを第2領域R2の最上面MFに接触させてから開始してもよいし、吸着面120aを第2領域R2の最上面MFに接触させる前から開始してもよい。
【0036】
図5を参照すればわかるように、ここでは、吸引口130sは、半導体素子200の上面200aによって閉塞されておらず、吸引口130sと第1領域R1との間に空間が存在している。しかしながら、第1領域R1と、第2領域R2の最上面MFとの間の、下面200bの法線方向に沿った距離は、1.5μm程度に過ぎないので、吸引口130sの全体が半導体素子200の上面200aによって閉塞されていなくても、吸引口130sを介した空気の吸い込みによって、半導体素子200をピックアップ可能である。
【0037】
なお、
図6を参照して説明した例では、吸引口130sの外縁が、半導体素子200Aの中心上に位置している。
図6では、黒丸Crで半導体素子200Aの中心の位置を示している。
図6に例示するように、吸引口130sの外縁を半導体素子200の中心に近い位置とすることにより、半導体素子200をよりバランスよくピックアップすることが可能となり、吸着面120aからの半導体素子200の脱落の防止に有利である。第1領域R1に半導体素子200の中心が位置する場合には、吸引口130sの全体が、
図7に例示するように第1領域R1に対向し、かつ、吸引口130sの外縁が、半導体素子200の中心上に位置するようにしてもよい。
【0038】
半導体素子200をコレット100Aによってピックアップ後、
図8に模式的に示すように、半導体素子200を、第1の位置とは異なる第2の位置に移動させる。ここでは、表面に接合部材が付与された支持体300を準備し、第2の位置に支持体300を配置しておく。上述したように、ここでは、支持体300として複合基板を例示する。
図8に例示する構成において、支持体300は、導電性のリードフレーム310と、複数の凹部325が設けられた樹脂体320とを含む。支持体300としての複合基板は、
図8に例示するように、それぞれが凹部325を含む単位の繰り返し構造を有し得る。
【0039】
図9は、支持体300の例示的な構造を示す。
図9では、それぞれが凹部325を含む複数の単位のうちの4つを取り出して示している。
【0040】
支持体300のリードフレーム310は、第1導電部材である第1リード311および第2導電部材である第2リード312の複数の組と、互いに隣接する組の間に配置され、これらの組を互いに接続する複数の連結部313とを有する。第1リード311および第2リード312は、それぞれ、例えばCuから形成された基材と、基材を被覆する金属層とを有し得る。基材を被覆する金属層は、Ag、Al、Ni、Pd、Rh、Au、Cu、または、これらの合金等を含む、例えばめっき層である。
【0041】
図9に示すように、第1リード311の一部および第2リード312の一部は、樹脂体320の凹部325のそれぞれの底部において露出されている。
図9中、ハッチングが付された領域は、第1リード311および第2リード312のうち、凹部325の底部において露出された部分を表している。凹部325内において互いに対向する第1リード311および第2リード312の組のそれぞれは、第1リード311および第2リード312が互いに空間的に分離されることによって形成されたギャップGpを有する。ギャップGpは、樹脂体320を構成する材料によって埋められる。
【0042】
樹脂体320は、例えば、光反射性のフィラーが分散された樹脂材料から形成される光反射性部材である。光反射性のフィラーの例は、金属の粒子、または、母材としての樹脂よりも高い屈折率を有する無機材料もしくは有機材料の粒子である。
【0043】
ここでは、コレット100Aによってピックアップされた半導体素子200を、上述の凹部325内に移載させる。
図10は、リードフレーム310に付与された、接合部材350上に半導体素子200が配置された状態の断面を模式的に示す。接合部材350としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料等の絶縁性の材料、または、Agペースト等の導電性の材料を用いることができる。
図10に示す断面は、
図9のX−X断面に相当する。コレット100Aによって半導体素子200をピックアップした後、半導体素子200を凹部325の上方に移動させ、コレット100Aを降下させて、接合部材350上に半導体素子200を配置する。その後、吸引口130sを介した空気の吸い込みを解除する。この動作の繰り返しにより、各凹部325内に半導体素子200を配置することができる。
【0044】
図9および
図10からわかるように、この例では、各凹部325の底部において、樹脂体320から露出された部分の面積は、第2リード312と比較して第1リード311の方が大きい。そのため、ここでは、第1リード311上に接合部材350が配置されている。接合部材350の硬化により第1リード311に半導体素子200が固定される。
【0045】
凹部325内に半導体素子200を配置後、
図11に示すように、半導体素子200の第1電極230および第2電極240を第1リード311および第2リード312に電気的に接続する。
図11では、Au、Al、Cu等の導電性ワイヤ316により、第1電極230を第1リード311に接続し、第2電極240を第2リード312に接続している。あるいは、設計に応じて、第1電極230を第2リード312に接続し、第2電極240を第1リード311に接続してもよい。
図10に示すように、第1リード311の下面311bおよび第2リード312の下面312bは、支持体300の下面300b側において樹脂体320から露出されており、したがって、第1リード311および第2リード312の組を正極および負極の組として機能させることができ、最終的に、フリップチップ接続による実装に適合した発光装置が得られる。
【0046】
その後、
図12に示すように、各凹部325を樹脂材料で充填し、樹脂材料を硬化させることにより、半導体素子200を覆う透光性の封止部材370を形成する。封止部材370を形成するための樹脂材料としては、例えばシリコーン樹脂を用いることができる。封止部材370の材料として、母材としての樹脂に、蛍光体の粒子等の波長変換部材が分散された材料を用いてもよい。酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等の光散乱粒子が母材としての樹脂に分散させられていてもよい。
【0047】
封止部材370の形成後、ダイシング装置等によって、封止部材370が形成された構造を切断する。このとき、
図12中に破線DLで示すように、互いに隣接する2つの半導体素子200の間の位置で樹脂体320およびリードフレーム310の連結部を切断する。以上の工程により、それぞれが半導体素子200を含む複数の発光装置400を得ることができる。
【0048】
以上に説明したように、本開示の実施形態によれば、ピックアップの際に、第2領域R2の最上面MFの直上にコレットの吸着面120aのうち吸引口130s以外の領域が位置するので、コレットの接触による半導体素子200の損傷の発生を回避し得る。特に、ピックアップの際にコレットの吸着面120aのうち吸引口130s以外の領域が第2電極240の直上に位置するようにすることにより、吸引口130sが部分的に第2電極240に重なることに起因する第2電極240の損傷を防止することが可能である。
【0049】
[改変例]
本開示の実施形態は、上述した例に限定されず、種々の改変が可能である。例えば、支持体300として、ツェナーダイオード等の保護素子を各単位に有する複合基板を用いてもよい。あるいは、
図13に示すように、セラミック基板330Sの表面に第1導電部材である第1配線311’および第2導電部材である第2配線312’を有する複合基板330を支持体300として用いてもよい。この例では、第1配線311’および第2配線312’は、セラミック基板330S内に設けられたビア333を介して、セラミック基板330Sの下面330b側に配置された電極331および332にそれぞれ電気的に接続されている。なお、
図8〜
図13に示す例は、ダイボンディングへの適用例であるので、導電性のリードまたは配線を有する構造体を支持体300として用いているが、半導体素子200の選別に本開示の実施形態を適用する場合には、支持体として、表面に粘着層を有する樹脂シート等が第2の位置に配置され得る。
【0050】
上述の例において、上面視における第2電極240の形状は、円形である。しかしながら、上面視における第2電極240の形状は、円形に限定されず、任意の形状を有し得る。また、吸着面120aに設けられる吸引口130sの形状、数および配置は、上述の例に限定されず、ピックアップの対象の上面の形状に応じて適宜に設計され得る。
【0051】
図14は、本開示の実施形態に適用可能なコレットの他の例を示す。
図14に示すコレット100Bは、先端部120Bを有する。
図14に例示する構成において、先端部120Bの端面である吸着面120aには、1つの吸引口130sと、2つの吸引口130tとが設けられている。吸引口130sは、吸着面120aの中央に位置し、2つの吸引口130tに挟まれている。なお、
図3を参照して説明した例と同様に、この例においても、吸着面120aは、平坦面である。
【0052】
図15は、コレット100Bの断面を模式的に示す。
図15に模式的に示すように、コレット100Bの内部には、分岐を有する貫通孔130Bが形成されている。吸着面120aに位置する吸引口130sおよび吸引口130tのそれぞれは、貫通孔130Bに連通している。
【0053】
図16は、コレット100Bの吸着面120aを半導体素子200Bの第2領域R2の最上面MFに接触させた状態の上面透視図である。
図16に示す半導体素子200Bは、上述の半導体素子200の他の一例であり、例えば、半導体発光素子である。
【0054】
図16に例示する構成において、半導体素子200Bは、概ね正方形状の外形を有している。正方形状の一辺の長さは、例えば、150μm以上1400μm以下の範囲である。特に、
図16に例示するような位置に第1電極230Bおよび第2電極240Bを有する、一辺の長さが650μm以上670μm以下の範囲であるような半導体素子に、本開示の実施形態を好適に用いることができる。この例では、第2電極240Bは、上面視において概ね円形の部分と、円形の部分から延長された2つの直線状の部分とを含む。第1電極230Bは、第2電極240Bのうちの2つの直線状の部分に挟まれている。図示するように、第1電極230Bおよび第2電極240Bのいずれも、
図16中に破線DGで示す、正方形状の対角線に関して対称な形状および配置を有している。
【0055】
半導体素子200Bでは、第2領域R2は、第1領域R1を取り囲むような形状を有し、ここでは、第2電極240Bの上面240aのうち、2つの直線状の部分が接続される位置の付近にある円形の部分の表面が最上面MFに相当する。
図5等を参照して説明した例と同様に、この例においても、第2領域R2の最上面MFが吸着面120aのうち吸引口130s以外の領域に接するようにして半導体素子200Bのピックアップを実行する。そのため、コレット100Bによる圧力が最上面MFの一部に集中することが防止され、コレット100Bの接触による半導体素子200Bの上面200aへの損傷の発生が回避される。
【0056】
この例では、吸引口130sは、その一部が第1領域R1に対向し、残余の部分が第2領域R2のうち第2電極240Bが配置されている部分以外の部分に重なっている。換言すれば、吸引口130sの外縁は、第2電極240Bの直上に位置しない。また、2つの吸引口130tの外縁も、第2電極240Bの直上に位置しない。したがって、コレット100Bの接触に起因する、第2電極240Bの上面240aへの損傷の発生も回避することができる。
【0057】
ここで、吸引口130sおよび吸引口130tの配置に注目すると、これらは、第1電極230Bおよび第2電極240Bの形状および配置に対応して、
図16中に破線DGで示す対角線に関して対称に配置されている。半導体素子200Bの外縁と吸引口130tの外縁との間の距離、および、第2電極240Bの外縁と吸引口130tの外縁との間の距離は、例えば、40μm以上に設定され得る。このようなアライメントマージンの設定によれば、30μm程度のアライメントずれが発生した場合であっても、吸引口130tの外縁が第2電極240Bの直上に位置することを回避することができる。