(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本実施形態の説明をする。
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置100の構成を示す模式図である。
図1に示すように、基板処理装置100は、帯状(長尺状)に形成された基板(例えば、帯状のフィルム部材)Sを供給する基板供給部2と、基板Sの表面(被処理面)Saに対して処理を行う基板処理部3と、基板Sを回収する基板回収部4と、これらの各部を制御する制御部(制御装置)CONTと、を有している。基板処理部(パターン形成装置)3は、基板供給部2から基板Sが送り出されてから、基板回収部4によって基板Sが回収されるまでの間に、基板Sの表面に各種処理を実行する。この基板処理装置100は、基板S上に例えば有機EL素子、液晶表示素子等のアクティブ・マトリックス方式の表示パネル(電子デバイス)を形成する場合に用いることができる。
【0011】
なお、本実施形態では、
図1に示すようにXYZ座標系を設定し、以下では適宜このXYZ座標系を用いて説明を行う。XYZ座標系は、例えば、水平面に沿ってX軸及びY軸が設定され、鉛直方向に沿って上向きにZ軸が設定される。また、基板処理装置100は、全体としてX軸に沿って、そのマイナス側(−X軸側)からプラス側(+X軸側)へ基板Sを搬送する。その際、帯状の基板Sの幅方向(短尺方向)は、Y軸方向に設定される。
【0012】
基板処理装置100において処理対象となる基板Sとしては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。
【0013】
基板Sは、例えば200℃程度の熱を受けても寸法が変わらないように熱膨張係数が小さい方が好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合して熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。また、基板Sはフロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単体、或いはその極薄ガラスに上記樹脂フィルムやアルミ箔を貼り合わせた積層体であっても良い。
【0014】
基板Sの幅方向(短尺方向)の寸法は例えば1m〜2m程度に形成されており、長さ方向(長尺方向)の寸法は例えば10m以上に形成されている。勿論、この寸法は一例に過ぎず、これに限られることは無い。例えば、基板SのY軸方向の寸法が1m以下又は50cm以下であっても構わないし、2m以上であっても構わない。また、基板SのX軸方向の寸法が10m以下であっても構わない。
【0015】
基板Sは、可撓性を有するように形成されている。ここで可撓性とは、基板に自重程度の力を加えても線断したり破断したりすることはなく、前記基板を撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、上記可撓性は、前記基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、基板Sとしては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
【0016】
基板供給部2は、例えばロール状に巻かれた基板Sを基板処理部3へ送り出して供給する。この場合、基板供給部2には、基板Sを巻きつける軸部や前記軸部を回転させる回転駆動装置などが設けられる。この他、例えばロール状に巻かれた状態の基板Sを覆うカバー部などが設けられた構成であっても構わない。なお、基板供給部2は、ロール状に巻かれた基板Sを送り出す機構に限定されず、帯状の基板Sをその長さ方向に順次送り出す機構(例えばニップ式の駆動ローラー等)を含むものであればよい。
【0017】
基板回収部4は、基板処理装置100を通過した基板Sを、例えばロール状に巻きとって回収する。基板回収部4には、基板供給部2と同様に、基板Sを巻きつけるための軸部や前記軸部を回転させる回転駆動源、回収した基板Sを覆うカバー部などが設けられている。なお、基板処理部3において基板Sがパネル状に切断される場合などには、例えば基板Sを重ねた状態で回収するなど、ロール状に巻いた状態とは異なる状態で基板Sを回収する構成であっても構わない。
【0018】
基板処理部3は、基板供給部2から供給される基板Sを基板回収部4へ搬送すると共に、搬送の過程で基板Sの被処理面Saに対して処理を行う。基板処理部3は、処理装置10及び搬送装置20を有している。
【0019】
処理装置10は、基板Sの被処理面Saに対して、例えば有機EL素子を形成するための各種装置を有している。このような装置としては、例えば被処理面Sa上に隔壁を形成するための隔壁形成装置、電極を形成するための電極形成装置、発光層を形成するための発光層形成装置などが挙げられる。
【0020】
より具体的には、液滴塗布装置(例えばインクジェット型塗布装置など)、成膜装置(例えば鍍金装置、蒸着装置、スパッタリング装置など)、露光装置、現像装置、表面改質装置、洗浄装置などが挙げられる。これらの各装置は、基板Sの搬送経路に沿って適宜設けられる。
【0021】
搬送装置20は、基板処理部3内において基板Sを案内する複数の案内ローラー(搬送機構、
図1では、2つのローラー5、6のみを例示)と、基板Sを支持する基板支持機構(保持機構)30とを有している。案内ローラー5(搬送機構)は、基板Sの搬送経路に関し、処理装置10の上流側に配置され、案内ローラー(搬送機構)6は、基板Sの搬送経路に関して、処理装置10の下流側に配置されている。複数の案内ローラー(搬送機構)のうち少なくとも一部の案内ローラーには、回転駆動機構(不図示)が取り付けられている。本実施形態において、搬送装置20における基板Sの搬送経路の長さは、例えば全長数百メートル程度となっている。
【0022】
図2は、搬送装置20の一部の構成を示す図である。
図2に示すように、搬送装置20は、長尺状の基板Sの搬送方向の上流側から順に、案内ローラー5(
図1参照)、ニップローラー(搬送機構)R1並びにR2、基板洗浄部21、張力調整ローラー(搬送機構)R3、静電気除去部(除去装置)22、基板支持機構30、静電気除去部(除去装置)23、基板吸着ローラー(搬送機構)R4、ニップローラー(搬送機構)R5並びにR6、案内ローラー6(
図1参照)を有している。このうち、案内ローラー5、ニップローラーR1並びにR2、張力調整ローラーR3、基板吸着ローラーR4、ニップローラーR5並びにR6、案内ローラー6は、基板Sの搬送経路に沿って設けられており、上記複数の案内ローラーに含まれる構成である。
【0023】
まず、基板Sを搬送するニップローラーR1並びにR2、張力調整ローラーR3、基板吸着ローラーR4、ニップローラーR5並びにR6について説明する。各ローラーR1〜R6の中心軸(回転可能なローラーの場合には、回転軸)は、互いにY軸方向に平行に配置されている。
【0024】
ニップローラーR1及びR2は、
図1における案内ローラー5を介して搬送されてきた基板Sを挟んだ状態で回転し、前記基板Sを搬送方向の下流側(+Z軸側)へと送る。ニップローラーR1及びR2が基板Sを挟むことにより、前記ニップローラーR1及びR2の上流側から基板Sを介して伝わる振動を抑制することができる。
【0025】
張力調整ローラーR3は、基板Sの短手方向(幅方向)の張力を調整しつつ回転し、基板Sを搬送方向の下流側へ送る。張力調整ローラーR3は、例えば中心軸方向の両端部から中央部に向けて徐々に径が小さくなるように形成されている。張力調整ローラーR3によって、基板Sの短手方向の長さが調整される。なお、張力調整ローラーR3は、+Z軸方向に搬送されてくる基板Sの搬送方向を+X軸方向に変換する。
【0026】
基板吸着ローラーR4は、気体が通過可能な多孔質材料によって形成されている。基板吸着ローラーR4の外周面は、基板Sの裏面を案内する案内面R4aとして機能する。基板吸着ローラーR4は、案内面R4aからローラー内部側へ気体を吸引する吸引部25を有している。吸引部25は、基板吸着ローラーR4の内部に接続された吸引経路25bを有している。吸引経路25bには、吸引ポンプ25aが設けられている。吸引ポンプ25aの吸引動作により、基板吸着ローラーR4の内部の圧力が低下し、これにより基板吸着ローラーR4の周囲の気体が案内面R4aから内部に吸引されるようになっている。基板吸着ローラーR4は、この吸引力により、例えば基板Sを案内面R4aに吸着することができるようになっている。
【0027】
基板吸着ローラーR4は、駆動部26を有している。駆動部26は、制御部CONTの制御により、基板吸着ローラーR4を回転駆動させる。制御部CONTは、駆動部26による駆動のタイミングや、駆動力などを制御可能である。基板吸着ローラーR4は、基板Sを案内面R4aに吸着させた状態で、図中時計回りに回転することにより、基板Sを+X軸側に搬送することができるようになっている。このように、基板吸着ローラーR4は、吸引部25及び駆動部26を作動させることにより、基板Sに所定の張力を付与する張力付与機構として機能する。なお、制御部CONTが駆動部26の駆動力を調整することにより、基板Sに付与する張力を調整することができるようになっている。このため、基板吸着ローラー(第一ローラー)R4、吸引部25、駆動部26及び制御部CONTは、基板Sに付与する張力を調整する調整部として機能する。
【0028】
ニップローラーR5及びR6は、基板吸着ローラーR4を介して搬送されてきた基板Sを挟んだ状態で回転し、前記基板Sを搬送方向の下流側へと送る。ニップローラーR5及びR6が基板Sを挟むことにより、前記ニップローラーR5及びR6の下流側から基板Sを介して伝わる振動を抑制することができる。なお、基板吸着ローラーR4、ニップローラーR5及びR6は、基板Sのうち前記基板吸着ローラーR4とニップローラーR5及びR6との間の部分が弛んだ状態となるように基板Sを搬送する。このため、ニップローラー(第二ローラー)R5及びR6は、基板Sに付与する張力を調整する調整部の一部として機能する。
【0029】
また、基板洗浄部21は、ニップローラーR1及びR2と張力調整ローラーR3との間の位置に設けられている。基板洗浄部21は、例えば不図示の超音波発生装置及び吸引装置などを有している。基板洗浄部21は、ニップローラーR1及びR2から張力調整ローラーR3へと搬送される基板Sの被処理面Saを、超音波を用いたドライクリーナ等で前記基板S上の異物を除去することが可能である。なお、基板洗浄部21としては、液体吹付及び乾燥機能を備えた洗浄装置を用いることもできる。
【0030】
静電気除去部22は、張力調整ローラーR3の基板Sの搬送方向の下流側、例えば、張力調整ローラーR3と基板支持機構30との間であって、基板Sを挟んだ上方に設けられている。静電気除去部22は、基板支持機構30に搬送される基板Sに帯電する静電気(電荷)を除去する。また、静電気除去部23は、基板吸着ローラーR4の上流側、例えば、基板支持機構30と基板吸着ローラーR4との間であって、基板Sを挟んだ上方に設けられている。静電気除去部23は、基板支持機構30から下流側に搬送される基板Sに帯電する静電気(電荷)を除去する。
【0031】
基板支持機構30は、張力調整ローラーR3と基板吸着ローラーR4との間に配置されている。なお、基板Sのうち前記張力調整ローラーR3と基板吸着ローラーR4との間の部分には、処理装置10による処理領域10pが設定される。基板支持機構30は、基板Sのうち処理領域10pを通過する部分を支持しつつ、張力調整ローラーR3と基板吸着ローラーR4との間における基板Sの搬送速度と同期した速度で、前記基板Sの裏面を支持する。
基板支持機構30は、ベルト部(支持部材)31、ベルト搬送部32及び案内ステージ33を有している。また、基板支持機構30は、ベルト部31の表面を洗浄するベルト洗浄部37と、ベルト部31に帯電する静電気を除去する静電気除去部38とを有している。
【0032】
ベルト部31は、基板Sよりも剛性が高い材料、例えばステンレスなどの金属材料を薄板状に加工した部材を用いて無端状に形成されている。ベルト部31は、外周面に設けられた支持面31aによって基板Sの被支持面(処理面に対して裏面)Sbを支持する。ベルト部31には、周方向に並んで配置される複数の貫通孔31hが一周に亘って設けられている。各貫通孔31hは、ベルト部31の支持面31aと、前記支持面31aの裏側に設けられる裏面31bとの間を貫通して形成されている。本実施形態において、この複数の貫通孔31hは、Y軸方向に5列形成されている。ベルト部31の一部は、基板Sの被支持面Sbに対向して配置されている。
ベルト部31は、基板Sの被支持面Sbを支持する。なお、Y軸方向のおける複数の貫通孔31hの列の数は、5列に限らず、何列であってもよい。また、一周に亘って設けられる貫通孔31hの数も任意であってよい。
【0033】
ベルト搬送部32は、4つの搬送ローラー(駆動部)32a〜32dを有している。搬送ローラー32a〜32dには、ベルト部31が掛け回されている。すなわち、4つの搬送ローラー32a〜32dは、ベルト部31の内周面に接触している。4つのローラーのうち2つの搬送ローラー32a及び搬送ローラー32bは、案内ステージ33よりも基板Sの搬送方向の上流側(−X軸側)に配置されている。他の2つの搬送ローラー32c及び搬送ローラー32dは、案内ステージ33よりも基板Sの搬送方向の下流側(+X軸側)に配置されている。このため、処理装置10による処理領域10pに対して、ベルト部31がX軸方向に横切るように移動する構成となっている。
【0034】
搬送ローラー32a及び搬送ローラー32bは、その軸方向がY軸方向に平行に配置される。また、搬送ローラー32a及び搬送ローラー32bは、Z軸方向に並ぶように互いに間隔を空けて配置されている。同様に、搬送ローラー32c及び搬送ローラー32dは、その軸方向がY軸方向に平行に配置される。また、搬送ローラー32c及び搬送ローラー32dは、Z軸方向に並ぶように互いに間隔を空けて配置されている。
【0035】
搬送ローラー32a〜32dは、ベルト部31が張力を有する状態で回転移動するように位置が調整されている。また、搬送ローラー32bと搬送ローラー32cとの間、及び、搬送ローラー32dと搬送ローラー32aとの間については、ベルト部31がX軸方向に平行に移動するように、X軸方向の位置が揃った状態で配置されている。
【0036】
搬送ローラー(ローラー部材)32a〜32dのうち少なくとも1つは、ベルト部31を駆動する駆動ローラーとなる。搬送ローラー32dには、駆動部32eが設けられている。本実施形態では、例えば搬送ローラー(駆動部)32dが駆動ローラーであり、残りの搬送ローラー32a〜32cは従動ローラーである。なお、駆動ローラーである搬送ローラー32dを、例えば多孔質材料によって形成し、そして、不図示の吸引装置に接続し、外周面にベルト部31を吸着させて、ベルト部31に動力を伝達してもよい。
【0037】
案内ステージ33は、例えば気体が通過可能な多孔質材を複数組み合わせることによって形成されている。案内ステージ33の形状は、矩形の板状である。案内ステージ33の+Z軸側の面(案内面)33aは、XY平面に平行に形成されている。案内ステージ33は、基板Sの長手方向及びベルト部31が移動する方向(X軸方向)へ移動するように基板Sを案内する。
【0038】
案内ステージ33は、X軸方向について搬送ローラー32bと搬送ローラー32cとの間に配置されている。また、案内ステージ33は、Y軸方向についてベルト部31と重なるように配置されている。案内ステージ33は、ベルト部31の内側に配置されている。案内ステージ33の案内面33aは、ベルト部31の裏面(内周面)31bに対向して設けられている。案内ステージ33は、不図示の固定機構によって位置が固定されている。
【0039】
図3は、基板支持機構30を+Z軸側から見たときの構成を示す図である。
図3では、ベルト部31の下方に案内ステージ33が配置されている。
【0040】
気体吸引部33sは、X軸方向に延びる多孔質材によって形成され、ベルト部31の裏面のうち貫通孔31hの列が形成された第一領域AR1に対向して配置されている。このため、ベルト部31が回転移動すると、各列の貫通孔31hは、気体吸引部33s上を移動するようになっている。
【0041】
気体供給部33tは、気体吸引部33sと同様、X軸方向に延びる多孔質材によって形成され、気体吸引部33sと気体供給部33tとは、Y軸方向(幅方向)に交互に設けられている。気体吸引部33sと気体供給部33tとの間は、仕切り部材34によって区切られている。仕切り部材34は、案内ステージ33の−X軸側の端部から+X軸側の端部まで、案内ステージ33をX軸方向に横切るように設けられている。
【0042】
気体供給部33tは、ベルト部31の裏面のうち第一領域AR1とは異なる第二領域AR2に対向して配置されている。すなわち、気体供給部33tは、ベルト部31の裏面のうち貫通孔31hの列の間に対向して配置されている。なお、第二領域AR2は、ベルト部31のY軸方向に対して5箇所に形成された各第一領域AR1の間に形成される。したがって、ベルト部31には、Y軸方向について第二領域AR2と第一領域AR1とが交互に配置されており、ベルト部31のY軸方向の両端には第二領域AR2が配置されている。
【0043】
図4は、
図3におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。
図4に示すように、気体吸引部33sは、吸引系35に接続されている。吸引系35は、吸引ポンプ35a及び吸引経路35bを有する。気体吸引部33sは、吸引経路35bを介して吸引ポンプ35aに接続されている。吸引経路35bは、案内ステージ33の底面(−Z軸側の面)33b側に接続されている。このため、気体吸引部33sでは、案内面33aから気体吸引部33sを通過して底面33bへ抜ける方向に気体が吸引される。
【0044】
また、気体供給部33tは、供給系36に接続されている。供給系36は、気体供給源36a及び供給経路36bを有する。気体供給部33tは、供給経路36bを介して気体供給源36aに接続されている。供給経路36bは、案内ステージ33の底面33b側に接続されている。このため、気体供給部33tでは、底面33bから気体供給部33tを通過して案内面33aへ抜ける方向に気体が供給される。
【0045】
なお、
図3に示すように、上記のベルト部31には位置基準部31cが形成されている。位置基準部31cは、例えばベルト部31の−Y軸側の端部に周方向に形成されている。
位置基準部31cは、基板SのX軸方向又はY軸方向の位置を検出するための基準を示している。ベルト部31の+Z軸側には、位置基準部31cを検出するエンコーダECが設けられている。エンコーダECの検出結果は、制御部CONTに送信されるようになっている。
制御部CONTの制御により、エンコーダECの検出結果に応じて、例えば搬送ローラー32dの回転速度と、基板Sの搬送速度との調整が行われる。
【0046】
上記のように構成された基板処理装置100は、制御部CONTの制御により、ロール方式によって有機EL素子、液晶表示素子などの表示素子(電子デバイス)を製造する。
以下、上記構成の基板処理装置100を用いて表示素子を製造する工程を説明する。
【0047】
まず、不図示のローラーに巻き付けられた帯状の基板Sを基板供給部2に取り付ける。
制御部CONTの制御により、この状態の基板供給部2から前記基板Sが送り出されるように、不図示のローラーが回転される。そして、基板処理部3を通過した前記基板Sが、基板回収部4に設けられた不図示のローラーで巻き取られる。この基板供給部2及び基板回収部4を制御することによって、基板Sの被処理面Saを基板処理部3に対して連続的に搬送することができる。
【0048】
制御部CONTの制御により、基板Sが基板供給部2から送り出されてから基板回収部4で巻き取られるまでの間に、基板処理部3の搬送装置20によって前記基板Sが前記基板処理部3内で搬送されつつ、処理装置10によって表示素子の構成要素が基板S上に順次形成される。
【0049】
処理装置10による処理を行う際に、搬送装置20の基板支持機構30を用いて基板Sを搬送する場合には、制御部CONTの制御により、まず、基板SがニップローラーR1及びR2によって挟まれた状態となるようにする。この動作により、前記ニップローラーR1及びR2の上流側からの振動が基板Sに伝達されにくくなる。
【0050】
制御部CONTの制御により、ニップローラーR1及びR2によって基板Sは張力調整ローラーR3へ向けて搬送される。制御部CONTの制御により、基板Sが張力調整ローラーR3に到達する途中で、基板洗浄部21を用いた基板Sの洗浄が行われる。基板Sが張力調整ローラーR3に到達し、前記張力調整ローラーR3に掛けられることにより、基板SにY軸方向の張力が付与される。
【0051】
制御部CONTの制御により、張力調整ローラーR3によって基板Sが基板吸着ローラーR4へ向けて搬送される。また、制御部CONTの制御により、ベルト部31が回転する。このとき、制御部(制御装置)CONTの制御により、基板Sの移動速度とベルト部31の移動速度とが等しくなるように、基板吸着ローラーR4の回転と搬送ローラー32dの回転とが同期される。基板Sが基板支持機構30に至る前に、制御部CONTの制御により、静電気除去部22を用いて基板Sに帯電する静電気が除去される。制御部CONTの制御により、基板Sが基板支持機構30の上流側に配置されている間に静電気の除去が行われる。
【0052】
その後、制御部CONTの制御により、基板Sが+X軸側へ搬送され、基板支持機構30が+X軸方向に通過する。このとき、制御部CONTの制御により、静電気除去部23を用いて基板Sの静電気は除去されている。制御部CONTの制御により、基板吸着ローラーR4を用いて基板SにX軸方向の張力が付与される。
【0053】
基板SにX軸方向の張力を付与した後、制御部CONTの制御により、気体供給部33tから気体が供給されると共に、気体吸引部33sが気体を吸引することで、基板Sがベルト部31の支持面31aに吸着する。なお、制御部CONTは、基板Sをベルト部31の支持面31aに吸着させる瞬間には、ベルト部31の回転速度よりも基板Sの搬送速度の方が高くなるように制御する。
【0054】
図5は、
図3におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。
図5は、気体供給部33tによる気体の供給及び気体吸引部33sによる気体の吸引が行われた場合の態様を示す図である。
図5に示すように、気体供給部33tから気体が供給されると、前記気体は、案内ステージ33の案内面33aとベルト部31の裏面31bとの間に、気体層を形成する。また、気体吸引部33sによって吸引が行われると、気体層を構成する一部の気体が気体吸引部33sに吸引される。このとき、制御部CONTは、気体の供給量と吸引量とを調整することで、気体層を一定の厚さに保持することができる。このときの制御部CONTによる調整量については、予め実験やシミュレーションなどを行うことで得られたデータなどを用いることができる。
【0055】
また、気体吸引部33sの吸引により、前記気体吸引部33sに対向するベルト部31の各貫通孔31hを介して、支持面31aに基板Sの被支持面Sbが吸着される。
【0056】
このように、基板支持機構30では、案内ステージ33がベルト部31の裏面31bを非接触状態で支持すると共に、ベルト部31が基板Sを支持面31aに吸着させて支持する。このとき、基板吸着ローラーR4によって基板SにはX軸方向の張力が付与されており、また、張力調整ローラーR3によって基板SにはY軸方向の張力が付与されているため、基板Sにシワなどが形成されること無く、平坦な状態で保持されることになる。制御部CONTの制御により、この状態で、処理装置10を用いた基板Sの被処理面Saに対する処理が行われる。
【0057】
また、制御部(制御装置)CONTの制御により、この状態で、基板吸着ローラーR4が回転すると共に搬送ローラー32dが回転することにより、基板Sの搬送速度とベルト部31の移動速度とを等速で同期させることができる。そのため、基板Sの平坦な状態が維持されつつ、基板Sとベルト部31とが+X軸方向へ移動される。また、制御部(位置調整部)CONTの制御により、エンコーダECを用いてベルト部31の支持面31aに形成された位置基準部31cが検出され、その検出結果に基づいて基板Sとベルト部31との間の位置関係が調整される。なお、制御部CONTの制御により、ベルト洗浄部37を用いて適宜ベルト部31の洗浄が行われるとともに、静電気除去部38を用いてベルト部31の静電気の除去が行われる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る搬送装置20は、基板Sの被支持面Sbを支持する支持面31aを有し、支持面31aと前記支持面31aの裏面31bとを貫通する複数の貫通孔31hが形成されたベルト部31と、ベルト部31の裏面31bのうち、複数の貫通孔31hを含む第一領域AR1に対向して配置される気体吸引部33sと、ベルト部31の裏面31bのうち、第一領域AR1とは異なる第二領域AR2に対向して配置される気体供給部33tとを備え、ベルト部31の裏面31bに対して気体の供給及び吸引を行うことによって、ベルト部31の裏面31bを非接触状態で保持するとともに、複数の貫通孔31hを介して基板Sを支持面31aに吸着させる基板支持機構30とを備えるので、基板Sを平坦な状態で保持することができると共に、前記基板Sを平坦な状態で搬送することができる。
【0059】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、処理装置10による処理領域10pの形状が、矩形の形状である構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
例えば、
図6に示すように、処理装置10として複数の投影光学系(PL1〜PL5)を有する露光装置EXが設けられている場合には、投影光学系PL1〜PL5による投影領域が処理領域10pとなる。
【0060】
図6には、投影光学系PL1、PL3及びPL5が基板Sの搬送方向の上流側にY軸方向に沿って一列に配置されており、投影光学系PL2及びPL4が基板Sの搬送方向の下流側にY軸方向に沿って一列に配置されている。このように、露光装置EXは、投影光学系PL1、PL3及びPL5と、投影光学系PL2及びPL4とが、X軸方向にずれて配置された構成となっている。なお、投影光学系PL1〜PL5による各投影領域10pは、X軸方向視において、互いに隣接する投影領域10pとの間でY軸方向の一部が重なるように配置されている。
【0061】
なお、投影光学系の数及び配置については、
図6に示す例に限られることは無い。例えば、投影光学系が4つ以下、若しくは6つ以上配置された構成であっても構わない。また、複数の投影光学系が一列に配置された構成、又は、複数の投影光学系が三列以上に配置された構成であっても構わない。
【0062】
また、
図7に示すように、複数の処理ヘッドHが並んで配置された構成であっても構わない。この場合、基板Sの搬送方向の上流側に1つの処理ヘッドHが設けられており、基板Sの搬送方向の下流側には2つの処理ヘッドHが設けられている。このため、処理領域10pが基板S上の3箇所に形成される。この場合においても、処理ヘッドHが2つあるいは4つ以上配置された構成であっても構わないし、
図7の配置とは異なる配置で設けられていても構わない。
【0063】
また、上記実施形態では、案内ステージ33において、気体吸引部33sと気体供給部33tとの間に、気体を遮断する仕切り部材34が設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば仕切り部材34が設けられていない構成であっても構わない。
【0064】
また、本実施形態において、静電気除去部22、23、及び基板洗浄部21を設ける構成について説明したが、静電気除去部22、23、及び基板洗浄部21の両方又はいずれか一方を省略してもよい。