特許第6593862号(P6593862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593862
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ハイトゲージ
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/02 20060101AFI20191010BHJP
   G01B 5/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   G01B5/02
   G01B5/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-42702(P2015-42702)
(22)【出願日】2015年3月4日
(65)【公開番号】特開2016-161502(P2016-161502A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】関 政則
(72)【発明者】
【氏名】木村 和彦
(72)【発明者】
【氏名】郷間 貴志
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−261915(JP,A)
【文献】 米国特許第04766674(US,A)
【文献】 特開平06−123602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00 − 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定部に接触する測定子を有するキャリッジと、
前記キャリッジの位置を検出する変位検出手段と、
前記キャリッジと同方向に移動可能に設けられ、かつ、駆動機構によって引き上げまたは引き下げされる原動スライダと、
前記原動スライダに対して前記キャリッジを保持するとともに、前記原動スライダと前記キャリッジとの間に力が掛かった場合には前記原動スライダと前記キャリッジと相対変位を許容し、かつ、前記力が解除されたときには前記原動スライダと前記キャリッジとの相対位置を初期位置に復帰させる連結機構と、
前記キャリッジに対して前記原動スライダが所定量相対変位したことを検出し、前記変位検出手段に検出値の出力を指令するスイッチ手段と、を備え、
前記スイッチ手段は、
前記原動スライダおよび前記キャリッジのいずれか一方に配設された磁性体と、
前記原動スライダおよび前記キャリッジのいずれか他方に配設されたホール子と、を有し、
さらに、
前記スイッチ手段は、
前記原動スライダおよび前記キャリッジのいずれか一方に取り付けられるブラケットと、
前記ブラケットに螺入され、先端が前記原動スライダおよび前記キャリッジのいずれか他方に対して進退でき、この先端に前記磁性体を保持する雄ネジと、
前記磁性体に対向するように前記原動スライダおよび前記キャリッジのいずれか他方に配設された回路基板と、
前記回路基板に上下に間隔をあけて実装された二つの前記ホール素子と、を備え、前記雄ネジがねじ込み方向に進退できることにより前記磁性体と前記ホール素子とのギャップ調整機構が構成されてい
ことを特徴とするハイトゲージ。
【請求項2】
請求項1に記載のハイトゲージにおいて、
前記ブラケットには上下方向に長さをもつ長孔が穿設され、
前記長孔を通して前記ブラケットを前記原動スライダおよび前記キャリッジのいずれか一方にネジ止めするにあたって、上下方向に関して前記磁性体が前記二つのホール素子の中間にくるように、前記ブラケットの取り付け位置を上下方向に微調整する
ことを特徴とするハイトゲージ。
【請求項3】
請求項1に記載のハイトゲージにおいて、
前記磁性体は、上下に間隔をあけて二つ設けられ、
前記ホール素子は、上下方向に関して前記二つの磁性体の中間にくるように配設されている
ことを特徴とするハイトゲージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向へ昇降可能に設けられた測定子を備え、この測定子を被測定物の測定部位に当接させて、被測定物の寸法、たとえば、高さ、段差、穴、軸などの寸法を測定する測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
上下方向へ昇降可能に設けられた測定子を備え、この測定子を被測定物の測定部位に当接させて、被測定物の寸法、たとえば、高さ、段差、穴、軸などの寸法を測定する測定機としてハイトゲージが知られている(特許文献1、2)。
図1図2図3図4を参照して、従来のハイトゲージの構造を簡単に説明する。
図1はハイトゲージの全体斜視図である。
ハイトゲージ100は、概略、ベース110に立設された支柱120と、支柱120に沿って上下方向に昇降する測定子131と、備えている。
【0003】
さらに詳細にハイトゲージ100の内部構造を説明する。
図2は、図1中のII−II線における断面図である。
ただし、構造が判りやすいように、図2においては、連結機構150およびスイッチ手段200を省略した。
図3は、カバー101を外して、内部構造を示す図である。
図4は、図1中のIV−IV線における断面図である。
【0004】
ハイトゲージ100は、キャリッジ130と、原動スライダ140と、連結機構150と、駆動機構180と、スイッチ手段200と、変位検出手段190と、を備える。
【0005】
キャリッジ130は、支柱120に昇降可能に設けられかつ測定子131を有する。キャリッジ130は、支柱120を受け入れるように(支柱120の3面を囲むように開口部分が設けられた状態で)、略コ字状に形成されている(図2参照)。キャリッジ130は、複数のローラ132を有し、これらローラ132を支柱120の前後左右の側面に当接させることで、支柱120に沿って上下方向へ摺動自在になっている。さらに、キャリッジ130は、支柱120に取り付くのとは反対側の面(キャリッジ130の開口部分と対向する面)において、原動スライダ140を上下方向にガイドする複数のローラ133を有する。
【0006】
原動スライダ140は、平板矩形状に形成されており、キャリッジ130の開口部分と対向する面側に配置されて、キャリッジ130に設けられた複数のローラ133によって側面がガイドされている(図2図3参照)。すなわち、原動スライダ140は、キャリッジ130の移動可能方向と同じ方向(上下方向)に移動できるように、キャリッジ130によってガイドされている。キャリッジ130と原動スライダ140とにより、いわゆる二重スライダが構成されている。
【0007】
連結機構150は、原動スライダ140とキャリッジ130とを連結するものであり、原動スライダ140に対してキャリッジ130を釣り下げ状態に保持する(図3参照)。連結機構150は、原動スライダ140とキャリッジ130との間に力が掛かった場合には原動スライダ140とキャリッジ130との相対変位を許容し、前記力が解除されたときには、キャリッジ130と原動スライダ140との相対位置を初期位置に復帰させる。連結機構150は、釣り下げ手段160と、中立保持手段170と、を有する。釣り下げ手段160は、比較的大きなバネ(第1バネ)であり、原動スライダ140からキャリッジ130を弾性的に釣り下げている。
【0008】
中立保持手段170は、二つのピン171A、171Bと、二つのレバー172A、172Bと、係合突起173と、二つのバネ(第2バネ)174A、174Bと、を有する。
二つのピン171A、171Bは、原動スライダ140の上端側と下端側とにそれぞれ突設されている。二つのレバー172A、172Bは、原動スライダ140の上下略中央において、上下方向に間隔を隔てて配置されている。なお、二つのレバー172A、172Bは回動可能に設けられている。係合突起173は、キャリッジ130に突設され、原動スライダ140を挿通して前記二つのレバー172A、172Bに挟まれるように配設されている。二つのバネ(第2バネ)174A、174Bは、ピン171A、171Bとレバー172A、172Bとに掛止されている。一つのバネ174Aは、上側のピン171Aと下側のレバー172Bとに掛止されている。他方のバネ174Bは、下側のピン171Bと上側のレバー172Aとに掛止されている。
【0009】
駆動機構180は、原動スライダ140を上下に引き上げまたは引き下げる(図4参照)。
駆動機構180は、2つのプーリー181A、181Bと、ベルト182と、ハンドル183と、を備える。
2つのプーリー181A、181Bは、支柱120の上下端に回転可能に設けられている。ベルト182は、これらプーリー181A、181Bの回転方向に沿って掛け回されている。ベルト182の一端は原動スライダ140の上端に接続され、ベルト182の他端は原動スライダ140の下端に接続されている。ハンドル183は、下端側のプーリー181Bに直結されている。ユーザがハンドル183を回すと、その力はベルト182を介して原動スライダ140に伝わり、原動スライダ140が支柱120に沿って上下方向へ引き上げまたは引き下げされる。
【0010】
スイッチ手段200は、原動スライダ140がキャリッジ130に対して所定量だけ相対変位したことを検出する(図3参照)。
スイッチ手段200は、二つの接点ピン210、220と、スイッチピン230と、を備える。
二つの接点ピン210、220は、原動スライダ140の側面において上下方向に間隔を隔てて配置されている。スイッチピン230は、キャリッジ130に突設され、二つの接点ピン210、220の間に位置するように配置されている。キャリッジ130に対して原動スライダ140が相対的に上下いずれかに変位すると、第1接点ピン210および第2接点ピン220のいずれかがスイッチピン230に接触する。
これにより、原動スライダ140がキャリッジ130に対して所定量だけ相対変位したことが検出される。
接点ピン210、220とスイッチピン230との接触が検知されると、スイッチ手段200から変位検出手段190に電気信号が送られる。以後の説明のため、この電気信号をトリガー信号と称することにする。接点ピン210、220とスイッチピン230との接触を検知するにあたっては、電気的導通を検出するようにしてもよいし、接触応力を歪みゲージで検出するようにしてもよい。
【0011】
変位検出手段190は、スイッチ手段200からのトリガー信号をトリガーとしてキャリッジ130の高さ位置を検出する(図2参照)。
変位検出手段190は、スケール191と、検出ヘッド192と、を有する。
スケール191は、支柱120に沿って設けられている。検出ヘッド192は、スケール191に対向した状態でキャリッジ130に配設されている。スイッチ手段200からのトリガー信号が検出ヘッド192に入ると、検出ヘッド192はスケール191に対する相対位置を検出して出力する。すなわち、キャリッジ130の高さ位置が出力される。
【0012】
測定にあたっては、測定子131を昇降させるため、ハンドル183を回す。すると、ハンドル183、プーリー181A、181B、ベルト182を介して力が伝達され、ベルト182に繋がった原動スライダ140が引き上げまたは引き下げられる。原動スライダ140とキャリッジ130とは連結機構150で連結されているので、原動スライダ140の移動に追従してキャリッジ130も支柱120に沿って上昇または下降する。そして、測定子131が被測定物に当接する。このとき、測定子131と直結しているキャリッジ130はその位置で移動が止まる。一方、原動スライダ140は、駆動機構180の力によって移動を続ける。すなわち、停止しているキャリッジ130に対して原動スライダ140が相対変位する。すると、スイッチ手段200が作動し、変位検出手段190から検出値が出力される。つまり、測定子131が被測定物に当接したときのキャリッジ130の高さ位置が検出される。
【0013】
ここで、スイッチ手段200が作動するのは、原動スライダ140とキャリッジ130とが所定量相対変位したときである。原動スライダ140とキャリッジ130とが所定量相対変位したということは、原動スライダ140とキャリッジ130との間に所定の力が掛かって、連結機構150のバネ力に抗して両者が相対変位したということである。したがって、連結機構150のバネ力を予め調整しておくことで測定力を所望の値に設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平6−123602号公報
【特許文献2】特開2001−99604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記に説明したように、スイッチ手段200によって原動スライダ140とキャリッジ130とが所定量相対変位したことを検知し、これによって測定力を所定の値に保っている。しかしながら、接点ピン210、220とスイッチピン230とのメカニカルな接触が繰り返される結果、わずかながらも接触部分の劣化が生じることがある。あるいは、接触部分に汚れ(塵埃や油)が付着することも考えられる。すると、スイッチ手段200の作動タイミングが測定ごとに違ってきてしまい、その結果、測定力にバラツキが生じる。測定力に差が生じてしまうと、ワークの変形や測定機自身の変形が生じ、測定精度の劣化に繋がる虞がある。
【0016】
本発明の目的は、経年変化や悪条件の測定環境に関わらず、測定力が安定するハイトゲージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のハイトゲージは、
被測定部に接触する測定子を有するキャリッジと、
前記キャリッジの位置を検出する変位検出手段と、
前記キャリッジと同方向に移動可能に設けられ、かつ、駆動機構によって引き上げまたは引き下げされる原動スライダと、
前記原動スライダに対して前記キャリッジを保持するとともに、前記原動スライダと前記キャリッジとの間に力が掛かった場合には前記原動スライダと前記キャリッジと相対変位を許容し、かつ、前記力が解除されたときには前記原動スライダと前記キャリッジとの相対位置を初期位置に復帰させる連結機構と、
前記キャリッジに対して前記原動スライダが所定量相対変位したことを検出し、前記変位検出手段に検出値の出力を指令するスイッチ手段と、を備え、
前記スイッチ手段は、
前記原動スライダおよび前記キャリッジのいずれか一方に配設された磁性体と、
前記原動スライダおよび前記キャリッジのいずれか他方に配設された磁気検出素子と、を有する
ことを特徴とする。
【0018】
本発明では、
前記スイッチ手段は、
前記原動スライダに取り付けられるブラケットと、
前記ブラケットに螺入され、先端が前記キャリッジに対して進退でき、この先端に前記磁性体を保持する雄ネジと、
前記磁性体に対向するように前記キャリッジに配設された回路基板と、
前記回路基板に上下に間隔をあけて実装された二つの磁気検出素子と、を備える
ことが好ましい。
【0019】
本発明では、
前記ブラケットには上下方向に長さをもつ長孔が穿設され、
前記長孔を通して前記ブラケットを前記原動スライダにネジ止めするにあたって、上下方向に関して前記磁性体が前記二つの磁気検出素子の中間にくるように、前記ブラケットの取り付け位置を上下方向に微調整する
ことが好ましい。
【0020】
本発明では、
前記磁性体は、上下に間隔をあけて二つ設けられ、
前記磁気検出素子は、上下方向に関して前記二つの磁性体の中間にくるように配設されている
ことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ハイトゲージの全体斜視図。
図2図1中のII−II線における断面図。
図3】カバー101を外して、ハイトゲージの内部構造を示す図。
図4図1中のIV−IV線における断面図。
図5】ハイトゲージの内部構造を示す図。
図6】スイッチ手段の取り付け部分を拡大した図。
図7】スイッチ手段のブラケットおよび緩み止めナットを断面した部分断面図である。
図8】変形例を示す例示した図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本第1実施形態の基本的構成は、背景技術で説明した構造とほぼ同様であり、本第1実施形態の特徴は、スイッチ手段を非接触式にしたことにある。
そこで、図5図6図7を参照して、本実施形態に係るスイッチ手段の構成を説明する。
図5は、図3に対応する図であり、ハイトゲージ100の内部構造を示す図である。
図6は、スイッチ手段300の取り付け部分を拡大した図である。
図7は、スイッチ手段の部分断面図である。
背景技術の説明と同じ要素には同じ符号を付す。
ベルト182がワイヤー184になっている点を除けば、基本的には同じであるので、要素ごとの詳しい説明は割愛する。
【0023】
本実施形態においては、スイッチ手段300は、マグネット(磁性体)330とホール素子(磁気検出素子)361、362との組み合わせで構成されている(図7参照)。
具体的に説明する。
スイッチ手段300は、ブラケット310と、雄ネジ320と、マグネット330と、緩み止めナット340と、回路基板350と、二つのホール素子361、362と、を備える。
【0024】
ブラケット310は、原動スライダ140に取り付け固定される。ブラケット310は、原動スライダ140の上辺や下辺ではなく、左右いずれかの辺(ブラケット310の移動方向と直交する方向に沿った辺)に近いところに固定される。図5中においては、ブラケット310は、原動スライダ140の右側辺に取り付けられている。ブラケット310は薄板であって、その一辺は原動スライダ140に固定され、他辺は原動スライダ140の外側に突き出てキャリッジ130の面に対向した状態になっている。ブラケット310の一辺側には上下方向に長さを有する長孔311が穿設されている。この長孔311を通してネジ313、313が原動スライダ140に螺入されることで、ブラケット310は原動スライダ140にネジ止めされる。このとき、長孔311を利用して、原動スライダ140に対するブラケット310の上下方向の位置は微調整可能となっている。
【0025】
このブラケット310の長孔311により、マグネット330とホール素子361、362との上下方向の相対位置を調整する上下位置調整機構が構成されている。
【0026】
ブラケット310の他辺側には、雌ネジ孔312が設けられている(図7参照)。この雌ネジ孔312には、雄ネジ320が螺入される。
【0027】
雄ネジ320には、その先端に浅い穴321が凹設されており、この穴321にマグネット330が固定されている。マグネット330は、例えば、直径3mm程度の平たい円柱状であり、雄ネジ320の先端に固定されている。マグネット330付きの雄ネジ320は、ブラケット310の雌ネジ孔312に螺入され、マグネット330がキャリッジ130の面に対向した状態となる。雄ネジ320のねじ込み量によって、マグネット330とキャリッジ130との距離(詳しくは、マグネット330と回路基板350との距離)が調整できるようになっている。
【0028】
雄ネジ320がねじ込み方向に進退できることにより、マグネット330とホール素子361、362とのギャップ調整機構が構成されている。
【0029】
緩み止めナット340は、ブラケット310の雌ネジ孔312に螺合した雄ネジ320のガタを排して、雄ネジ320を堅固に固定するものである。
【0030】
回路基板350は、キャリッジ130に取り付け固定されている。回路基板350は、ブラケット310と対向し、より具体的には、マグネット330と対向する。回路基板350は、上下方向にある程度の長さを有し、上辺側と下辺側とにそれぞれホール素子361、362が実装されている。
【0031】
二つのホール素子361、362のうちのいずれかが磁界を検出した場合には、変位検出手段190にトリガー信号が送られる。例えば、二つのホール素子361、362をOR回路351の入力端に接続し、OR回路351の出力信号をゲイン352を介して検出ヘッド192に入力するようにすればよい。
【0032】
スイッチ手段300の組み付けについて説明する。
図7は、原動スライダ140とキャリッジ130との間に力が掛かっておらず、原動スライダ140に対してキャリッジ130が中立位置を保っている状態とする。この状態で、上下方向に関してマグネット330が二つのホール素子361、362の中間に位置するようにブラケット310の位置を調整する。(ちなみに、本実施形態では、マグネット330とホール素子361、362との上下方向の間隔L1、L2はそれぞれ4mmであり、バネ力との兼ね合いから、これにより測定力が1.5Nになるようにしてある。)マグネット330の上下方向の位置は、ブラケット310の長孔311によって微調整可能である。
【0033】
また、マグネット330と回路基板350との距離(ギャップ)Gが総ての製品で略同じになるようにする。マグネット330と回路基板350とのギャップGは雄ネジ320の進退によって微調整可能である。例えば、所定の厚みを持った治具(スペーサ)を使って、回路基板350とマグネット330との距離(ギャップ)Gが同じになるようにする。
【0034】
設計通りに各部品が製造されたとしても、それらを組み合わせたときに累積公差がある程度生じるのは仕方無い。さらに、連結機構150はバネ力でキャリッジ130を釣り下げ状態に保持するので、中立位置がどこになるかは現物を組み立ててみないと厳密にはわからない。累積公差の影響で、例えば、1mmから2mm程度のズレは十分に予想される。この点、長孔311によってブラケット310の上下位置を微調整でき、これにより、マグネット330が二つのホール素子361、362の中間にくるようにできる。同じく、原動スライダ140とキャリッジ130とのギャップが製品ごとに違っているとしても、雄ネジ320を進退させることで回路基板350(より具体的にはホール素子361、362)とマグネット330との距離(G)を一定にすることができる。
【0035】
このような構成によれば、原動スライダ140とキャリッジ130との所定量相対変位を検知するにあたって非接触式の検知手段とできる。メカニカルな接触を排することができたので、経年劣化は殆どなくなる。また、仮に汚れ(塵埃や油)が付着したとしても検知能力には何ら影響しないので、(塵埃や油が多いなど)過酷な測定環境であっても安定した測定が可能になる。
【0036】
(変形例1)
例えば、図8のように、二つのマグネット331、332と一つのホール素子361とでスイッチ手段300を構成することもできる。
【0037】
(変形例2)
信号を出力するホール素子はキャリッジ130側についていた方が好ましいと言える。なぜならば、検出ヘッド192もキャリッジ130についているからである。
ただし、本発明の技術的範囲としては、ホール素子を原動スライダ側に設け、マグネットをキャリッジ側に設ける態様を含む。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
マグネットを雄ネジの先端に保持するとしたが、雄ネジでなくても回路基板に対して進退できるものであればよい。
本明細書では、測定子を有するキャリッジが支柱に摺動可能に設けられ、駆動機構に直結した原動スライダが上下方向移動可能にキャリッジにガイドされているとした。
この関係はもちろん逆になってもよい。駆動機構に直結した原動スライダが支柱に摺動可能に設けられ、測定子を有するキャリッジが上下方向移動可能に原動スライダにガイドされていてもよい。
【0039】
ホール素子に代えてホールICを用いてももちろんよい。つまり、ホール素子に更に信号処理回路を組み込んで、磁気検出に応じてON/OFF信号が出るようにしたホールICを用いてもよい。
【符号の説明】
【0040】
100…ハイトゲージ、101…カバー、110…ベース、120…支柱、130…キャリッジ、131…測定子、132、133…ローラ、140…原動スライダ、150…連結機構、160…釣り下げ手段、170…中立保持手段、171A、171B…ピン、172A、172B…レバー、173…係合突起、174A、174B…バネ、180…駆動機構、181A、181B…プーリー、182…ベルト、183…ハンドル、184…ワイヤー、190…変位検出手段、191…スケール、192…検出ヘッド、200…スイッチ手段、210、220…接点ピン、230…スイッチピン、300…スイッチ手段、310…ブラケット、311…長孔、312…雌ネジ孔、313…ネジ、320…雄ネジ、321…穴、330、331、332…マグネット、340…緩み止めナット、350…回路基板、351…OR回路、361…ホール素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8