(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
格子状の分割予定ラインによって区画された複数の領域に電極バンプを有するデバイスが形成されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面側に備えるウェーハの加工方法であって、
ウェーハの表面側から該分割予定ラインに沿ってウェーハの仕上がり厚さ以上の深さの第1の溝を形成する第1の溝形成ステップと、
該第1の溝にモールド樹脂を充填するとともにウェーハの表面側をモールド樹脂によって被覆することで、該電極バンプがモールド樹脂層から露出したパッケージウェーハを形成するモールディングステップと、
パッケージウェーハの該電極バンプを撮像し、該電極バンプに基づいて該第1の溝が形成された位置を推測した後に、該推測された該第1の溝の位置に基づいて該モールド樹脂層側から該第1の溝に至る深さの第2の溝を該外周余剰領域に形成することで、該第1の溝に充填されているモールド樹脂層とウェーハとの境界を該第2の溝を介して露出させる第2の溝形成ステップと、
該第2の溝を介して露出させた該境界に基づいて該第1の溝の位置を特定する第1の溝特定ステップと、
特定された該第1の溝に沿って該モールド樹脂層側から該パッケージウェーハを加工する加工ステップと、を備えることを特徴とするウェーハの加工方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の溝形成ステップでは、ウェーハの表面側から分割予定ラインに沿ってウェーハの仕上がり厚さ以上の深さの第1の溝を形成する。モールディングステップでは、第1の溝にモールド樹脂を充填するとともに、ウェーハの表面側をモールド樹脂によって被覆することで、バンプ(電極バンプ)がモールド樹脂層から露出したパッケージウェーハを形成する。
【0014】
ウェーハ薄化ステップでは、パッケージウェーハ中のウェーハを裏面側から薄化する。第2の溝形成ステップでは、バンプに基づいて第1の溝が形成された位置を推測し、推測された第1の溝の位置に基づいてこの第1の溝に至る深さの第2の溝をモールド樹脂層側に形成する。これにより、第1の溝に充填されているモールド樹脂層とウェーハとの境界を露出させることができる。
【0015】
第1の溝特定ステップでは、第2の溝を介して露出させた境界に基づいて第1の溝の位置を特定する。加工ステップでは、特定された第1の溝に沿ってモールド樹脂層側からパッケージウェーハを加工する。以下、本実施形態に係るウェーハの加工方法について詳述する。
【0016】
本実施形態に係るウェーハの加工方法では、まず、ウェーハに第1の溝を形成する第1の溝形成ステップを実施する。
図1(A)は、本実施形態で使用されるウェーハの構成例を模式的に示す斜視図であり、
図1(B)は、ウェーハのデバイス部分を拡大した拡大図である。
【0017】
図1(A)に示すように、本実施形態で使用されるウェーハ11は、例えば、シリコン等の半導体材料で円盤状に形成されており、その表面11a側は、中央のデバイス領域と、デバイス領域を囲む外周余剰領域とに分けられている。デバイス領域は、格子状に配列された分割予定ライン(ストリート)13で更に複数の領域に区画されており、各領域には、IC、LSI等の集積回路を含むデバイス15が形成されている。
【0018】
図1(B)に示すように、各デバイス15の表面11a側には、電極として機能する複数のバンプ(電極バンプ)17が配置されている。このバンプ17は、例えば、半田等の金属材料で形成される。なお、本実施形態では、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハ11を例示しているが、ウェーハ11の材質、形状等に制限はない。例えば、セラミックス、金属、樹脂等の材料でなる基板をウェーハ11として用いることもできる。同様に、デバイス15の種類等にも制限はない。
【0019】
第1の溝形成ステップを実施する前には、例えば、このウェーハ11の裏面11b側に、ウェーハ11よりも径の大きいダイシングテープ31(
図3(A)等参照)を貼り付ける。また、ダイシングテープ31の外周部分には、ステンレスやアルミニウム等の材料でなる環状のフレーム(不図示)を固定しておく。これにより、ウェーハ11は、ダイシングテープ31を介して環状のフレームに支持される。
【0020】
図2は、第1の溝形成ステップ等が実施される切削装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、切削装置(加工装置)2は、各構造を支持する基台4を備えている。基台4の上面には、X軸方向(前後方向、加工送り方向)に長い矩形状の開口4aが形成されている。
【0021】
この開口4a内には、X軸移動テーブル6、X軸移動テーブル6をX軸方向に移動させるX軸移動機構(加工送り機構)(不図示)、及びX軸移動機構を覆う防塵防滴カバー8が設けられている。X軸移動機構は、X軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール(不図示)を備えており、X軸ガイドレールには、X軸移動テーブル6がスライド可能に取り付けられている。
【0022】
X軸移動テーブル6の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレールに平行なX軸ボールネジ(不図示)が螺合されている。X軸ボールネジの一端部には、X軸パルスモータ(不図示)が連結されている。X軸パルスモータでX軸ボールネジを回転させることで、X軸移動テーブル6はX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
【0023】
X軸移動テーブル6上には、ウェーハ11を吸引、保持するための保持テーブル(チャックテーブル)10が設けられている。保持テーブル10は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、保持テーブル10は、上述したX軸移動機構でX軸方向に加工送りされる。
【0024】
保持テーブル10の表面(上面)は、ウェーハ11を吸引、保持する保持面10aとなっている。この保持面10aは、保持テーブル10の内部に形成された流路(不図示)を通じて吸引源(不図示)に接続されている。保持テーブル10の周囲には、ウェーハ11を支持する環状のフレームを固定するためのクランプ12が設けられている。
【0025】
開口4aに近接する位置には、上述したウェーハ11を保持テーブル10へと搬送する搬送ユニット(不図示)が設けられている。搬送ユニットで搬送されたウェーハ11は、例えば、表面11a側が上方に露出する態様で保持テーブル10の保持面10aに載せられる。
【0026】
基台4の上面には、ウェーハ11を切削する切削ユニット(加工ユニット)14を支持する門型の支持構造16が、開口4aを跨ぐように配置されている。支持構造16の前面上部には、切削ユニット14をY軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向に移動させる切削ユニット移動機構(割り出し送り機構)18が設けられている。
【0027】
切削ユニット移動機構18は、支持構造16の前面に配置されY軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール20を備えている。Y軸ガイドレール20には、切削ユニット移動機構18を構成するY軸移動プレート22がスライド可能に取り付けられている。Y軸移動プレート22の裏面側(後面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール20に平行なY軸ボールネジ24が螺合されている。
【0028】
Y軸ボールネジ24の一端部には、Y軸パルスモータ(不図示)が連結されている。Y軸パルスモータでY軸ボールネジ24を回転させれば、Y軸移動プレート22は、Y軸ガイドレール20に沿ってY軸方向に移動する。Y軸移動プレート20の表面(前面)には、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール26が設けられている。Z軸ガイドレール26には、Z軸移動プレート28がスライド可能に取り付けられている。
【0029】
Z軸移動プレート28の裏面側(後面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール26に平行なZ軸ボールネジ30が螺合されている。Z軸ボールネジ30の一端部には、Z軸パルスモータ32が連結されている。Z軸パルスモータ32でZ軸ボールネジ30を回転させれば、Z軸移動プレート28は、Z軸ガイドレール26に沿ってZ軸方向に移動する。
【0030】
Z軸移動プレート28の下部には、ウェーハ11を切削する切削ユニット14が設けられている。また、切削ユニット14に隣接する位置には、ウェーハ11の表面11a側を撮像するためのカメラ(撮像ユニット)34が設置されている。切削ユニット移動機構18で、Y軸移動プレート22をY軸方向に移動させれば、切削ユニット14及びカメラ34は割り出し送りされ、Z軸移動プレート28をZ軸方向に移動させれば、切削ユニット14及びカメラ34は昇降する。
【0031】
切削ユニット14は、Y軸方向に平行な回転軸を構成するスピンドル(不図示)の一端側に装着された円環状の切削ブレード36を備えている。スピンドルの他端側にはモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、スピンドルに装着された切削ブレード36を回転させる。
【0032】
X軸移動機構、保持テーブル10、搬送ユニット、切削ユニット14、切削ユニット移動機構18等の構成要素は、それぞれ、制御ユニット(不図示)に接続されている。この制御ユニットは、ウェーハ11の加工条件等に合わせて、上述した各構成要素を制御する。
【0033】
図3(A)、
図3(B)及び
図3(C)は、第1の溝形成ステップを説明するための一部断面側面図であり、
図4(A)及び
図4(B)は、第1の溝形成ステップを説明するための断面図である。なお、
図3(A)、
図3(B)及び
図3(C)では、溝が形成される分割予定ライン13に対して平行な断面(分割予定ライン13に沿った断面)を示し、
図4(A)及び
図4(B)では、溝が形成される分割予定ライン13に対して垂直な断面を示す。
【0034】
第1の溝形成ステップでは、まず、ウェーハ11の裏面11b側(ダイシングテープ31)を保持テーブル10の保持面10aに接触させて、吸引源の負圧を作用させる。また、環状のフレームをクランプ12で固定する。これにより、ウェーハ11は、表面11a側が上方に露出した状態で保持テーブル10に保持される。
【0035】
次に、保持テーブル10と切削ユニット14とを相対的に移動、回転させて、対象となる分割予定ライン13の延長線の上方に切削ブレード36を合わせる。また、
図3(A)に示すように、切削ブレード36をウェーハ11に切り込む高さまで下降させる。なお、ここでは、切削ブレード36の下端部が表面11aからウェーハ11の仕上がり厚さ(例えば、後述するウェーハ薄化ステップ後の厚さ)以上の深さの位置に達するまで切削ブレード36を下降させる。
【0036】
そして、この状態で、
図3(B)及び
図4(A)に示すように、切削ブレード36を回転させながら、対象の分割予定ライン13に対して平行な方向に保持テーブル10を移動(加工送り)させる。これにより、切削ブレード36を対象の分割予定ライン13に沿って切り込ませ、
図3(C)及び
図4(B)に示すように、仕上がり厚さ以上の深さの第1の溝11cを形成できる。
【0037】
上述の手順を繰り返し、例えば、第1の方向に伸びる全ての分割予定ライン13に沿って第1の溝11cを形成した後には、保持テーブル10と切削ユニット14とを相対的に移動、回転させて、第1の方向とは異なる第2の方向に伸びる分割予定ライン13に沿って同様の手順で第1の溝11cを形成する。全ての分割予定ライン13に沿って第1の溝11cが形成されると、第1の溝形成ステップは終了する。
【0038】
図5は、第1の溝形成ステップの後のウェーハ11を模式的に示す斜視図である。第1の溝形成ステップの後には、例えば、ウェーハ11からダイシングテープ31を剥離、除去する。なお、本実施形態では、ウェーハ11に切削ブレード36を切り込ませる方法で第1の溝11cを形成しているが、第1の溝11cの形成方法に制限はない。例えば、ウェーハ11に吸収され易い波長のレーザー光線を照射するアブレーション加工等の方法で第1の溝11cを形成することもできる。
【0039】
第1の溝形成ステップの後には、第1の溝11cにモールド樹脂を充填し、更に、ウェーハ11の表面11a側をモールド樹脂で被覆することにより、バンプ17がモールド樹脂層から露出したパッケージウェーハを形成するモールディングステップを実施する。このモールディングステップは、例えば、ウェーハ11の表面11a側にモールド樹脂層を形成する樹脂層形成ステップと、モールド樹脂層からバンプ17を露出させる樹脂層薄化ステップとで構成される。
【0040】
図6(A)及び
図6(B)は、モールディングステップ中の樹脂層形成ステップを説明するための側面図であり、
図6(C)は、樹脂層形成ステップを説明するための断面図である。樹脂層形成ステップは、例えば、
図6(A)及び
図6(B)に示すスピンコーター42を用いて実施される。
【0041】
スピンコーター42は、ウェーハ11を保持するための保持テーブル(スピンナテーブル)44を備えている。保持テーブル44は、モータ等を含む回転駆動源(不図示)に連結されており、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。保持テーブル44の上面は、ウェーハ11の裏面11b側を吸引、保持する保持面44aとなっている。
【0042】
保持面44aは、保持テーブル44の内部に形成された吸引路(不図示)等を通じて吸引源(不図示)に接続されている。吸引源の負圧を保持面44aに作用させることで、ウェーハ11は、保持テーブル44に吸引、保持される。保持テーブル44の上方には、液状のモールド樹脂21を噴出するノズル46が配置されている。
【0043】
樹脂層形成ステップでは、まず、ウェーハ11の裏面11b側を保持テーブル44の保持面44aに接触させて、吸引源の負圧を作用させる。これにより、ウェーハ11は、表面11a側が上方に露出した状態で保持テーブル44に保持される。なお、この樹脂層形成ステップでは、ウェーハ11の裏面11b側に保護部材を貼り付けておいても良い。
【0044】
続いて、
図6(A)に示すように、ノズル46から液状のモールド樹脂21を滴下し、
図6(B)に示すように、保持テーブル44を回転させる。モールド樹脂21としては、例えば、エポキシ系の熱硬化型樹脂等を用いることができる。ただし、モールド樹脂21の種類、材質等に制限はない。これにより、ウェーハ11の表面11aには、液状のモールド樹脂21でなるモールド樹脂層23が形成される。
【0045】
本実施形態では、ウェーハ11の表面11a側に第1の溝11cが形成されているので、モールド樹脂21は、
図6(C)に示すように、この第1の溝11c内にも充填される。すなわち、モールド樹脂層23(モールド樹脂21)の一部(充填部)23aは第1の溝11c内に充填された状態となり、モールド樹脂層23(モールド樹脂21)の他の一部(被覆部)23bがウェーハ11の表面11a側を被覆する。
【0046】
その後、加熱等の方法でモールド樹脂層23を硬化等させれば、樹脂層形成ステップは終了する。
図7は、樹脂層形成ステップの後のウェーハ11を模式的に示す斜視図である。
図7に示すように、樹脂層形成ステップが終了した段階では、バンプ17の全体がモールド樹脂層23によって覆われている。
【0047】
なお、本実施形態では、スピンコーター42を用いる方法でモールド樹脂層23を形成しているが、他の方法でモールド樹脂層23を形成しても良い。例えば、ウェーハ11の表面11a側に金型を被せ、ウェーハ11の表面11aと金型との隙間にモールド樹脂21を充填する方法でモールド樹脂層23を形成することもできる。
【0048】
樹脂層形成ステップの後には、モールド樹脂層23を薄化してバンプ17を露出させる樹脂層薄化ステップを実施する。
図8(A)は、樹脂層薄化ステップを説明するための側面図であり、
図8(B)は、樹脂層薄化ステップを説明するための断面図である。樹脂層薄化ステップは、例えば、
図8(A)に示す研磨装置52を用いて実施される。
【0049】
研磨装置52は、ウェーハ11を吸引、保持するための保持テーブル(チャックテーブル)54を備えている。保持テーブル54は、モータ等を含む回転駆動源(不図示)に連結されており、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、保持テーブル54の下方には、移動機構(不図示)が設けられており、保持テーブル54は、この移動機構で水平方向に移動する。
【0050】
保持テーブル54の上面は、ウェーハ11の裏面11b側を吸引、保持する保持面54aとなっている。保持面54aは、保持テーブル54の内部に形成された吸引路(不図示)等を通じて吸引源(不図示)に接続されている。吸引源の負圧を保持面54aに作用させることで、ウェーハ11は、保持テーブル54に吸引、保持される。
【0051】
保持テーブル54の上方には、研磨ユニット56が配置されている。研磨ユニット56は、昇降機構(不図示)に支持されたスピンドルハウジング(不図示)を備えている。スピンドルハウジングには、スピンドル58が収容されており、スピンドル58の下端部には、円盤状のマウント60が固定されている。
【0052】
マウント60の下面には、マウント60と概ね同径の研磨パッド62が装着されている。この研磨パッド62は、例えば、不織布や発泡ウレタン等でなる研磨布を含んでいる。スピンドル58の上端側(基端側)には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、研磨パッド62は、この回転駆動源で発生する回転力によって、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。
【0053】
樹脂層薄化ステップでは、まず、ウェーハ11の裏面11b側を保持テーブル54の保持面54aに接触させて、吸引源の負圧を作用させる。これにより、ウェーハ11は、表面11a側に形成されたモールド樹脂層23が上方に露出した状態で保持テーブル54に保持される。なお、この樹脂層薄化ステップでも、ウェーハ11の裏面11b側に保護部材を貼り付けておいて良い。
【0054】
次に、保持テーブル54を研磨ユニット56の下方に移動させる。そして、
図8(A)に示すように、保持テーブル54と研磨パッド62とをそれぞれ回転させながら、スピンドルハウジング(スピンドル58)を下降させる。スピンドルハウジングの下降量は、モールド樹脂層23に研磨パッド62の下面(研磨面)が押し当てられる程度に調整される。
【0055】
これにより、モールド樹脂層23(モールド樹脂層23の一部(被覆部)23b)を研磨して、
図8(B)に示すように、バンプ17が露出したパッケージウェーハ1を完成させることができる。
図9は、完成したパッケージウェーハ1を模式的に示す斜視図である。なお、この樹脂層薄化ステップでは、研磨液を用いる湿式研磨及び研磨液を用いない乾式研磨のいずれを用いても良い。
【0056】
モールディングステップ(樹脂層薄化ステップ)の後には、パッケージウェーハ1中のウェーハ11を薄化して裏面11b側に第1の溝11cを露出させるウェーハ薄化ステップを実施する。
図10(A)は、ウェーハ薄化ステップを説明するための側面図であり、
図10(B)は、ウェーハ薄化ステップを説明するための断面図である。なお、このウェーハ薄化ステップでは、予めパッケージウェーハ1のモールド樹脂層23側に保護部材33を貼り付けておく。
【0057】
ウェーハ薄化ステップは、例えば、
図10(A)に示す研削装置72を用いて実施される。研削装置72は、パッケージウェーハ1を吸引、保持するための保持テーブル(チャックテーブル)74を備えている。保持テーブル74は、モータ等を含む回転駆動源(不図示)に連結されており、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、保持テーブル74の下方には、移動機構(不図示)が設けられており、保持テーブル74は、この移動機構で水平方向に移動する。
【0058】
保持テーブル74の上面は、パッケージウェーハ1のモールド樹脂層23側に貼り付けられている保護部材33を吸引、保持する保持面74aとなっている。保持面74aは、保持テーブル74の内部に形成された吸引路(不図示)等を通じて吸引源(不図示)に接続されている。吸引源の負圧を保持面74aに作用させることで、パッケージウェーハ1は、保護部材33を介して保持テーブル74に吸引、保持される。
【0059】
保持テーブル74の上方には、研削ユニット76が配置されている。研削ユニット76は、昇降機構(不図示)に支持されたスピンドルハウジング(不図示)を備えている。スピンドルハウジングには、スピンドル78が収容されており、スピンドル78の下端部には、円盤状のマウント80が固定されている。
【0060】
マウント80の下面には、マウント80と概ね同径の研削ホイール82が装着されている。研削ホイール82は、ステンレス、アルミニウム等の金属材料で形成されたホイール基台84を備えている。ホイール基台84の下面には、複数の研削砥石86が環状に配列されている。スピンドル78の上端側(基端側)には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、研削ホイール82は、この回転駆動源で発生する回転力によって、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。
【0061】
ウェーハ薄化ステップでは、まず、パッケージウェーハ1のモールド樹脂層23側に貼り付けられている保護部材33を保持テーブル74の保持面74aに接触させて、吸引源の負圧を作用させる。これにより、パッケージウェーハ1は、ウェーハ11の裏面11b側が上方に露出した状態で保持テーブル74に保持される。なお、ウェーハ11の裏面11b側に保護部材が貼り付けられている場合には、予めこの保護部材を剥離、除去しておく。
【0062】
次に、保持テーブル74を研削ユニット76の下方に移動させる。そして、
図10(A)に示すように、保持テーブル74と研削ホイール82とをそれぞれ回転させながら、スピンドルハウジング(スピンドル78)を下降させる。スピンドルハウジングの下降量は、ウェーハ11の裏面11b側に研削砥石86の下面が押し当てられる程度に調整される。
【0063】
これにより、ウェーハ11の裏面11b側を研削して、
図10(B)に示すように、第1の溝11c(及びモールド樹脂層23の一部(充填部)23a)を裏面11b側に露出させることができる。ウェーハ11が仕上がり厚さまで薄化されると、ウェーハ薄化ステップは終了する。
【0064】
なお、本実施形態では、1組の研削ユニット76を用いてウェーハ11を研削しているが、2組以上の研削ユニットを用いてウェーハ11を複数のステップで研削することもできる。また、研削後のウェーハ11の裏面11b側を研磨等して、ウェーハ11の平坦性を更に高めても良い。
【0065】
ウェーハ薄化ステップの後には、バンプ17から推測した第1の溝11cの位置に基づいて第2の溝を形成する第2の溝形成ステップを実施する。
図11(A)は、第2の溝形成ステップで第1の溝11cの位置が推測される様子を説明するための一部断面側面図であり、
図11(B)は、第1の溝11cの位置が推測される様子を説明するための平面図である。
【0066】
なお、第2の溝形成ステップを実施する前には、パッケージウェーハ1を構成するウェーハ11の裏面11b側に、パッケージウェーハ1よりも径の大きいダイシングテープ35(
図11(A)等参照)を貼り付ける。また、ダイシングテープ35の外周部分には、ステンレスやアルミニウム等の材料でなる環状のフレーム(不図示)を固定しておく。これにより、パッケージウェーハ1は、ダイシングテープ35を介して環状のフレームに支持される。
【0067】
図11(A)に示すように、第2の溝形成ステップは、例えば、上述した切削装置2を用いて実施される。ただし、この第2の溝形成ステップでは、第1の溝形成ステップで使用した切削ブレード36よりも幅の広い(厚い)切削ブレード38を使用することが望ましい。もちろん、上述した切削ブレード36と同等以下の幅の切削ブレードを使用しても良い。
【0068】
第2の溝形成ステップでは、まず、パッケージウェーハ1を構成するウェーハ11の裏面11b側(ダイシングテープ35)を保持テーブル10の保持面10aに接触させて、吸引源の負圧を作用させる。これにより、パッケージウェーハ1は、モールド樹脂層23側が上方に露出した状態で保持テーブル10に保持される。
【0069】
次に、例えば、切削装置2の制御ユニットに予め登録されている位置情報等に基づいてパッケージウェーハ1のモールド樹脂層23側をカメラ34で撮像し、
図11(B)に示すように、第1の溝11c(分割予定ライン13)の位置を推測するために必要な複数のバンプ17でなるマクロターゲット19bを複数の位置で探し出す。
【0070】
切削装置2の制御ユニットには、マクロターゲット19bに対する分割予定ライン13の位置関係(例えば、マクロターゲット19bと、マクロターゲット19bに近接する分割予定ライン13との距離等)が登録されている。よって、検出された複数のマクロターゲット19bに基づいて、分割予定ライン13の大凡の向きを特定できる。分割予定ライン13の大凡の向きを特定した後には、保持テーブル10を回転させて、この分割予定ライン13の向きをX軸方向(加工送り方向)に対して平行にする。
【0071】
次に、第1の溝11c(分割予定ライン13)の位置を推測する際に基準となる1つのバンプ17でなるミクロターゲット19aを複数の位置で探し出す。切削装置2の制御ユニットには、ミクロターゲット19aに対する分割予定ライン13の位置関係(例えば、ミクロターゲット19aと、ミクロターゲット19aに近接する分割予定ライン13との距離等)が登録されている。よって、ミクロターゲット19aを複数の位置で探し出すことにより、モールド樹脂層23に覆われている第1の溝11c(分割予定ライン13)の位置等を推測できる。
【0072】
その後、推測された第1の溝11cの位置に基づいて、この第1の溝11cに至る深さの第2の溝を外周余剰領域に形成する。
図12(A)は、第2の溝形成ステップで第2の溝が形成される様子を説明するための一部断面側面図であり、
図12(B)は、第2の溝が形成される様子を説明するための平面図である。
【0073】
第2の溝を形成する際には、まず、保持テーブル10と切削ユニット14とを相対的に移動、回転させて、例えば、デバイス領域と外周余剰領域との境界に位置する分割予定ライン13の延長線の上方に切削ブレード38を合わせる。より具体的には、例えば、この分割予定ライン13に形成された第1の溝11cの延長線に対し、第1の溝11cの幅方向において外周余剰領域側に食み出るがデバイス領域側には食み出ない位置に切削ブレード38を合わせる。
【0074】
また、ウェーハ11に対して僅かに切り込む高さまで切削ブレード38を下降させる。そして、この状態で、
図12(A)に示すように、切削ブレード38を回転させながら、対象の第1の溝11c(分割予定ライン13)に対して平行な方向に保持テーブル10を移動(加工送り)させる。これにより、対象となる第1の溝11cの外周余剰領域側に切削ブレード38を切り込ませて、
図12(A)及び
図12(B)に示すように、第1の溝11cに至る深さの第2の溝1aを形成できる。
【0075】
本実施形態では、切削ブレード36よりも幅の広い切削ブレード38を使用しているので、第2の溝1aは、第1の溝11cの幅よりも広い幅で形成される。また、この第2の溝1aを介して、第1の溝11cに充填されているモールド樹脂層23の一部(充填部)23aとウェーハ11との境界が露出するので、次の第1の溝特定ステップで第1の溝11cの位置を高精度に特定できるようになる。
【0076】
例えば、第1の方向に伸びる第2の溝1aを形成した後には、保持テーブル10と切削ユニット14とを相対的に移動、回転させて、第1の方向とは異なる第2の方向に伸びる第2の溝1aを同様の手順で形成する。第1の方向に伸びる第2の溝1aと第2の方向に伸びる第2の溝1aとが形成されると、第2の溝形成ステップは終了する。
【0077】
なお、本実施形態では、切削ブレード36よりも幅の広い切削ブレード38を用いて、第1の溝11cよりも幅の広い第2の溝1aを形成しているが、例えば、切削ブレード36と同程度以下の幅を持つ切削ブレードを2回以上切り込まることで、第1の溝11cよりも幅の広い第2の溝1aを形成しても良い。
【0078】
第2の溝形成ステップの後には、第2の溝1aを介して露出させたモールド樹脂層23とウェーハ11との境界に基づいて第1の溝11cの位置を特定する第1の溝特定ステップを実施する。
図13は、第1の溝特定ステップを説明するための一部断面側面図である。
図13に示すように、第1の溝特定ステップも、例えば、上述した切削装置2で実施される。
【0079】
第1の溝特定ステップでは、まず、第2の溝形成ステップで第2の溝1aが形成された位置をカメラ34で撮像し、
図13に示すように、第2の溝1aを介して露出するモールド樹脂層23とウェーハ11との境界を探し出す。ここで、第1の溝11cを形成する際に使用された切削ブレード36の厚み(すなわち、第1の溝11cの幅)は既知である。よって、モールド樹脂層23とウェーハ11との境界に基づいて、例えば、第1の溝11cの幅方向の中央の位置(幅方向に2等分する位置)を高精度に特定できる。
【0080】
第1の溝特定ステップの後には、特定された第1の溝11cに沿ってモールド樹脂層23側からパッケージウェーハ1を加工する加工ステップを実施する。本実施形態では、この加工ステップでパッケージウェーハ1を複数のパッケージデバイスへと分割する。
図14(A)及び
図14(B)は、加工ステップを説明するための側面図であり、
図15(A)及び
図15(B)は、加工ステップを説明するための断面図である。
【0081】
加工ステップは、引き続き切削装置2で実施される。ただし、この加工ステップでは、第1の溝形成ステップで使用した切削ブレード36よりも幅の狭い(薄い)切削ブレード40が使用される。
【0082】
具体的には、まず、保持テーブル10と切削ユニット14とを相対的に移動、回転させて、第1の溝形成ステップで特定された第1の溝11cの延長線の上方に切削ブレード38を合わせる。また、
図14(A)に示すように、切削ブレード30をダイシングテープ35に接する高さまで下降させる。
【0083】
そして、この状態で、
図14(B)及び
図15(A)に示すように、切削ブレード40を回転させながら、対象の第1の溝11c(分割予定ライン13)に対して平行な方向に保持テーブル10を移動(加工送り)させる。これにより、対象の第1の溝11cに沿って切削ブレード40を切り込ませて、パッケージウェーハ1を分割できる。
【0084】
なお、ここでは、切削ブレード36よりも幅の狭い切削ブレード40を使用するとともに、
図15(A)に示すように、第1の溝11cの幅方向の中央の位置に切削ブレード40の幅方向の中央の位置を合わせている。よって、切削ブレード38によるカーフ(切り口)1bはモールド樹脂層23にのみ形成され、第1の溝11cの壁面が露出することはない。
【0085】
上述のような手順を繰り返し、例えば、第1の方向に伸びる全ての第1の溝11cに沿ってパッケージウェーハ1を分割した後には、保持テーブル10と切削ユニット14とを相対的に移動、回転させて、第2の方向に伸びる第1の溝11cに沿って同様の手順でパッケージウェーハ1を分割する。全ての第1の溝11cに沿ってパッケージウェーハ1が分割され、
図15(B)に示すように、複数のパッケージデバイス3が完成すると、加工ステップは終了する。
【0086】
図15(C)は、完成したパッケージデバイス3を模式的に示す斜視図である。本実施形態では、第2の溝1aを介して露出するモールド樹脂層23とウェーハ11との境界に基づいて第1の溝11cの位置を高精度に特定できるので、例えば、カーフ1bが第1の溝11cからずれて、パッケージデバイス3の側面に第1の溝11cの壁面が露出することはない。これにより、パッケージデバイス3の信頼性を高めることができる。
【0087】
なお、本実施形態では、パッケージウェーハ1に切削ブレード40を切り込ませる方法でカーフ1bを形成し、複数のパッケージデバイス3へと分割しているが、カーフ1bの形成方法に制限はない。例えば、パッケージウェーハ1(モールド樹脂層23)に吸収され易い波長のレーザー光線を照射するアブレーション加工等の方法でカーフ1bを形成することもできる。
【0088】
以上のように、本実施形態に係るウェーハの加工方法では、第1の溝11cが形成されたウェーハ11の表面11a側をモールド樹脂21(モールド樹脂層23)によって被覆した後に、この第1の溝11cに至る深さの第2の溝1aを外周余剰領域に形成し、第1の溝11cに充填されているモールド樹脂層23とウェーハ11との境界を第2の溝1aを介して露出させるので、露出させた境界に基づいて第1の溝11cの位置を高精度に特定できる。すなわち、第1の溝11cが形成されているウェーハ11の表面11a側をモールド樹脂21(モールド樹脂層23)で被覆する場合にも、第1の溝11cの位置を高精度に特定して適切に加工できる。
【0089】
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、デバイス領域と外周余剰領域との境界に位置する第1の溝11cと同等の長さの第2の溝1aを形成しているが、第1の溝11cより短い第2の溝1aを形成しても良い。また、パッケージウェーハ1の外周縁に沿ってモールド樹脂層23を除去することで、複数の第1の溝11cと重なる環状の第2の溝1aを形成することもできる。
【0090】
図16(A)は、変形例に係る第2の溝形成ステップを説明するための斜視図であり、
図16(B)は、変形例に係る第2の溝形成ステップを説明するための平面図である。
図16(A)及び
図16(B)に示すように、変形例に係る第2の溝形成ステップでは、任意の第1の溝11cの端部に相当する位置(外周余剰領域に相当する位置)に第2の溝1aを形成する。
【0091】
より具体的には、第1の溝11cの幅方向の中央の位置と第2の溝1aの幅方向の中央の位置とが一致するように、第1の溝11cよりも幅の広い第2の溝1aを形成する。この場合にも、第2の溝1aを介して、第1の溝11cに充填されているモールド樹脂層23の一部(充填部)23aとウェーハ11との境界が露出するので、第1の溝特定ステップで第1の溝11cの位置を高精度に特定できるようになる。
【0092】
また、上記実施形態では、ウェーハ11の表面11a側にモールド樹脂層23を形成する樹脂層形成ステップと、モールド樹脂層23からバンプ17を露出させる樹脂層薄化ステップとで構成されたモールディングステップを実施しているが、モールディングステップの内容は任意に変更できる。例えば、供給されるモールド樹脂21の量を適切に調節して、モールド樹脂層23を薄化することなくバンプ17を露出させても良い。
【0093】
また、上記実施形態では、切削装置2を用いて第1の溝形成ステップ、第2の溝形成ステップ、第1の溝特定ステップ及び加工ステップを実施しているが、これらの一部又は全部をレーザー加工装置等の他の加工装置で実施することもできる。
【0094】
図17は、第1の溝形成ステップ、第2の溝形成ステップ、第1の溝特定ステップ、加工ステップ等に使用可能なレーザー加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図17に示すように、レーザー加工装置(加工装置)102は、各構造を支持する基台104を備えている。基台104の端部には、Z軸方向(鉛直方向、高さ方向)に延在する支持構造106が設けられている。
【0095】
支持構造106から離れた基台104の角部には、上方に突き出た突出部104aが設けられている。突出部104aの内部には空間が形成されており、この空間には、昇降可能なカセットエレベータ108が設置されている。カセットエレベータ108の上面には、複数のウェーハ11(又は、パッケージウェーハ1)を収容可能なカセット110が載せられる。
【0096】
突出部104aに近接する位置には、上述したウェーハ11を仮置きするための仮置き機構112が設けられている。仮置き機構112は、例えば、Y軸方向(割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら接近、離隔される一対のガイドレール112a,112bを含む。
【0097】
各ガイドレール112a,112bは、ウェーハ11(環状のフレーム)を支持する支持面と、支持面に概ね垂直な側面とを備え、搬送機構(搬送ユニット)114によってカセット110から引き出されたウェーハ11(環状のフレーム)をX軸方向(加工送り方向)において挟み込んで所定の位置に合わせる。なお、搬送機構114の突出部104a側には、環状のフレームを把持するための把持部114aが設けられている。
【0098】
基台104の中央には、移動機構(加工送り機構、割り出し送り機構)116が設けられている。移動機構116は、基台104の上面に配置されY軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール118を備えている。Y軸ガイドレール118には、Y軸移動テーブル120がスライド可能に取り付けられている。
【0099】
Y軸移動テーブル120の裏面側(下面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール118に平行なY軸ボールネジ122が螺合されている。Y軸ボールネジ122の一端部には、Y軸パルスモータ124が連結されている。Y軸パルスモータ124でY軸ボールネジ122を回転させれば、Y軸移動テーブル120は、Y軸ガイドレール118に沿ってY軸方向に移動する。
【0100】
Y軸移動テーブル120の表面(上面)には、X軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール126が設けられている。X軸ガイドレール126には、X軸移動テーブル128がスライド可能に取り付けられている。
【0101】
X軸移動テーブル128の裏面側(下面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール126に平行なX軸ボールネジ130が螺合されている。X軸ボールネジ130の一端部には、X軸パルスモータ(不図示)が連結されている。X軸パルスモータでX軸ボールネジ130を回転させれば、X軸移動テーブル128は、X軸ガイドレール126に沿ってX軸方向に移動する。
【0102】
X軸移動テーブル128の表面側(上面側)には、テーブルベース132が設けられている。テーブルベース132の上部には、ウェーハ11を吸引、保持するための保持テーブル(チャックテーブル)134が配置されている。保持テーブル134の周囲には、ウェーハ11を支持する環状のフレームを四方から固定する4個のクランプ136が設けられている。
【0103】
保持テーブル134は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向、高さ方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。上述した移動機構116でX軸移動テーブル128をX軸方向に移動させれば、保持テーブル134はX軸方向に加工送りされる。また、移動機構116でY軸移動テーブル120をY軸方向に移動させれば、保持テーブル134はY軸方向に割り出し送りされる。
【0104】
保持テーブル134の上面は、ウェーハ11を保持する保持面134aとなっている。この保持面134aは、X軸方向及びY軸方向に対して概ね平行に形成されており、保持テーブル134やテーブルベース132の内部に形成された流路(不図示)等を通じて吸引源(不図示)に接続されている。
【0105】
支持構造106には、基台104の中央側に向けて突出する支持アーム106aが設けられており、この支持アーム106aの先端部には、下方に向けてレーザー光線を照射するレーザー光線照射ユニット(加工ユニット)138が配置されている。また、レーザー光線照射ユニット138に隣接する位置には、ウェーハ11を撮像するカメラ(撮像ユニット)140が設置されている。
【0106】
レーザー光線照射ユニット138は、ウェーハ11又はモールド樹脂層23に対して吸収性を示す波長のレーザー光線をパルス発振するレーザー発振器(不図示)を備えている。例えば、シリコン等の半導体材料でなるウェーハ11をアブレーション加工したい場合には、波長が355nmのレーザー光線をパルス発振するNd:YAG等のレーザー媒質を備えたレーザー発振器等を用いることができる。
【0107】
また、レーザー光線照射ユニット138は、レーザー発振器からパルス発振されたレーザー光線(パルスレーザー光線)を集光する集光器(不図示)を備えており、保持テーブル134に保持されたウェーハ11等に対してこのレーザー光線を照射、集光する。レーザー光線照射ユニット138でレーザー光線を照射しながら、保持テーブル134をX軸方向に加工送りさせることで、ウェーハ11をX軸方向に沿ってレーザー加工(アブレーション加工)できる。
【0108】
加工後のウェーハ11は、例えば、搬送機構114によって保持テーブル134から洗浄ユニット142へと搬送される。洗浄ユニット142は、筒状の洗浄空間内でウェーハ11を吸引、保持するスピンナテーブル144を備えている。スピンナテーブル144の下部には、スピンナテーブル144を所定の速さで回転させる回転駆動源(不図示)が連結されている。
【0109】
スピンナテーブル144の上方には、ウェーハ11に向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した二流体)を噴射する噴射ノズル146が配置されている。ウェーハ11を保持したスピンナテーブル144を回転させて、噴射ノズル146から洗浄用の流体を噴射することで、ウェーハ11を洗浄できる。洗浄ユニット142で洗浄されたウェーハ11は、例えば、搬送機構114で仮置き機構112に載せられ、カセット110に収容される。
【0110】
搬送機構114、移動機構116、保持テーブル134、レーザー光線照射ユニット138、カメラ140、洗浄ユニット142等の構成要素は、それぞれ、制御ユニット(不図示)に接続されている。この制御ユニットは、ウェーハ11の加工に必要な一連の工程に合わせて、上述した各構成要素を制御する。
【0111】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。