特許第6594345号(P6594345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594345
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ウェーハエッジ検出および検査
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20191010BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20191010BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20191010BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01N21/956 A
   H01L21/68 M
   G01B11/30 A
【請求項の数】20
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-568401(P2016-568401)
(86)(22)【出願日】2015年5月15日
(65)【公表番号】特表2017-526158(P2017-526158A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】US2015031051
(87)【国際公開番号】WO2015179233
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年4月24日
(31)【優先権主張番号】61/994,835
(32)【優先日】2014年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/709,427
(32)【優先日】2015年5月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリーヴ イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】コード ヴェンカタ
【審査官】 小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−218853(JP,A)
【文献】 特開2002−141396(JP,A)
【文献】 特開2012−064608(JP,A)
【文献】 特開2008−021884(JP,A)
【文献】 特開昭63−280435(JP,A)
【文献】 特開平04−284647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01B 11/30
G01N 21/956
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定するように構成されたウェーハ検査システムであって、
前記ウェーハのエッジ上のスポットに光を指向するように構成された照明サブシステムを形成する光源および少なくとも1つの光学素子を備え、前記スポットは、前記スポットの第1の部分が前記ウェーハおよび前記ウェーハのエッジに衝突し、前記スポットの第2の部分は前記ウェーハにも前記ウェーハのエッジにも衝突しないように、前記ウェーハのエッジを越えて延出し、
前記システムはさらに、前記ウェーハを回転させ、それにより前記スポットを前記ウェーハのエッジにわたり走査させるように構成された段を備え、前記ウェーハは、前記スポットがエッジにわたり走査される間に2回未満回転され、
前記システムはさらに、前記スポットがエッジにわたり走査される間に前記スポットからの光を検出して前記検出された光に応答して出力を生成するように構成された検出器と、
前記ウェーハのエッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標を、出力に基づいて決定して、前記ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を、エッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標に基づいて決定するように構成されたコンピュータプロセッサを含み、
前記検出器によって検出されるスポットからの光は正反射光または散乱光を含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記スポットは2mmを超える少なくとも1つの寸法を有するシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記ウェーハのエッジ上のスポットに指向された光が実質的コリメート光を含み、前記ウェーハと前記ウェーハのエッジは、前記スポットの第1の部分からの光が検出器によって検出されることを防止し、前記検出器はさらに、前記スポットの第2の部分からの光が前記検出器によって検出されるように構成されるシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記光は垂直入射角で前記スポットに指向されるシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記光は斜入射角で前記スポットに指向されるシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記検出器はマルチピクセル検出器であるシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記検出器は線形検出器であるシステム。
システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記検出器はピクセルの二次元アレイを含み、前記検出器は、時間遅延統合(TDI)モードで動作するようにさらに構成されるシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記検出器はピクセルの二次元アレイを含み、前記検出器はさらに、フレームモードで動作するように構成されるシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記検出器は、前記検出器に注ぐ光の空間分布に基づいて出力を生成するように構成された位置感知検出器であるシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記検出器と前記ウェーハの間には光学素子が配置されていないシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、前記コンピュータプロセッサはさらに、前記ウェーハのエッジに形成されたノッチのウェーハ検査座標を、前記検出器の出力に基づいて決定するように構成されたシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、前記コンピュータプロセッサはさらに、前記ウェーハのエッジに形成されたノッチを出力に基づいて検出するように構成され、前記検出器の1つ以上のパラメータは、前記ノッチを検出するために必要なサンプリングに基づいて構成されるシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、前記光源、前記少なくとも1つの光学素子および前記検出器は、前記2箇所以上の位置のウェーハ検査座標が1μm以下の精度で決定されるように構成されるシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、前記1箇所以上の固定位置はウェーハの中心を含むシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、前記コンピュータプロセッサはさらに、前記ウェーハの上面上で検出された欠陥のウェーハ検査座標を、1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標に基づいて決定するように構成されるシステム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、前記検出器はさらに、スポットからの反射光または散乱光を検出するように構成され、前記コンピュータプロセッサはさらに、前記ウェーハのエッジ上の欠陥を、出力に基づいて検出するように構成されるシステム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムであって、スポットからの反射光または散乱光を検出して、検出された反射または散乱光に応答して出力を生成するように構成された付加的な検出器をさらに含み、前記コンピュータプロセッサはさらに、前記ウェーハ上の欠陥を、前記付加的な検出器によって生成された出力に基づいて検出するように構成されるシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記付加的な検出器は、その対物面が前記ウェーハの上面に対して傾斜するように構成されるシステム。
【請求項20】
ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定する方法であって、
前記ウェーハのエッジ上のスポットに光を指向し、前記スポットは、前記スポットの第1の部分が前記ウェーハおよび前記ウェーハのエッジに衝突し、スポットの第2の部分は前記ウェーハにも前記ウェーハのエッジにも衝突しないように、前記ウェーハのエッジを越えて延出し、
前記ウェーハを回転させ、それにより前記スポットを前記ウェーハのエッジにわたり走査させ、前記ウェーハは、前記スポットがエッジにわたり走査される間に2回未満回転され、
前記スポットがエッジにわたり走査される間に前記スポットからの光を検出し、それにより、検出された光に応答して出力を生成し、前記スポットからの光は、正反射光または散乱光を含み、
前記ウェーハのエッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標を、出力に基づいて決定し、
前記ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を、エッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標に基づいて決定し、前記決定ステップはコンピュータプロセッサによって実行される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にウェーハエッジ検出および検査の方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明と例は、本部分に包含されることにより、従来技術とは認められない。
【0003】
検査工程は、ウェーハ上の欠陥を検出するために半導体製造工程中の種々のステップで用いられており製造工程においてより高い歩留まりを促進し、したがってより高い利益を促進する。半導体デバイスの組立てにおいて、検査は常に重要な部分であった。しかし、半導体デバイスの寸法が減少するにつれ、より小さい欠陥はデバイスを故障させることがあるため、許容できる半導体デバイスの製造を成功させるために、検査はさらに重要となっている。
【0004】
単純な欠陥検出以上の情報は、検査工程中にそれほど頻繁に生成されない。例えば、サイズ、規模および位置等の欠陥特性は、ウェーハ検査によって生成される情報に基づいて決定されてもよい。しかし、そのような情報は典型的には、欠陥分類を決定するためには不十分である。したがって、ウェーハ検査後に、検査によって検出された欠陥に関する付加的な情報が、欠陥調査ツールを用いて生成されてもよく、次にその付加的な情報に基づいて欠陥分類が決定される。いくつかのそのような事例では、光学的欠陥検出装置によって検出された欠陥が、高分解能走査電子顕微鏡(SEM)調査ツールを用いて調査されてもよい。
【0005】
欠陥調査を成功させるためには、検査によって検出された欠陥の、ウェーハ上の特定の固定位置に対する位置を比較的高精度で把握することが必要である。例えば、ウェーハ検査中に、ウェーハ上の固定位置に対する欠陥座標が決定されてもよい。したがって、ウェーハがウェーハ検査システムから欠陥調査ツールに搬送された後で、欠陥は、ウェーハ検査システムによって報告された座標と、欠陥調査ツールによって特定された固定位置に基づいて、欠陥調査ツールによって検出されることができる。ウェーハ上の固定位置は、ウェーハの中央部であってもよいし、および/またはウェーハのエッジに形成されるノッチでもよい。このように、そのような固定位置の座標を検査中にかなりの高精度で決定することは、欠陥調査中に欠陥を検出する困難さをかなり低減することになる。
【0006】
ウェーハのエッジおよびノッチを検出するためにウェーハ検査システムによって用いられるいくつかの方法は、多重走査に基づくものであり、ウェーハ上で螺旋状にスポットを走査するウェーハ検査ツールアーキテクチャと互換性がある。それらのアーキテクチャにおいて、ウェーハは毎秒100回転までスピンする。ウェーハ検査システムは、数ミクロンから数10ミクロンまで変動するサイズを有する照明スポットを利用することがある。そのようなシステムの光学的収集サブシステムは、ウェーハ表面によって散乱された光を収集して、散乱信号の変化に基づいてウェーハ上の対象とする欠陥(DOI)の存在を検出してもよい。最短検査時間を達成するために、ウェーハ上のスポット経路は、スポットサイズによって規定される螺旋ピッチを有する螺旋状トラックである。
【0007】
螺旋状トラックの比較的狭いピッチは、ツールのスループットに影響を与えずに、エッジ検出システムが、多数の回転にわたりデータを収集することを可能にする。同じ考慮が、単一の比較的高速の感光素子を、現在用いられているエッジ検出方法の1つの自然な選択肢にしている。
【0008】
いくつかの他のウェーハ検査および計測法ルールで用いられる別の手法は、限られた数、例えば3から4の、ウェーハエッジの写真または画像を撮像する撮像センサに依存する。エッジ座標はこれらの画像それぞれの中で検出され、次にウェーハ座標の中心を計算するために用いられる。ノッチ検出は、ウェーハ全体のエッジ走査か、ノッチ位置に関する予備情報(例えばプリアライナ)のうちいずれかを要することがある。そのような手法は、一般的に、ウェーハ検査システムの螺旋走査には組み込まれない。
【0009】
エッジ検査能力を備えたエッジ検出システムは、ユーザに付加的な価値を提供できる。しかし、現在使用されている単一検出器システムは、多数のトラックにわたる検出器信号の段階的変化に依存し、したがって、エッジ検査能力を限定する直接撮像システムと比較した場合特に、限られた分解能を有する。例えば、欠陥は、単一検出器の信号では比較的小さな変化として表れ、エッジ検出器信号の段階的なトラック毎の変化に依存しながら検出するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0056216号
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0309927号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、上記の不都合さのうち1つ以上を有していないウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定するための方法およびシステムを開発することが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
様々な実施形態の以下の説明は、添付の特許請求の範囲の主題を如何なる意味でも限定すると解釈されるべきではない。
【0013】
1つの実施形態は、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定するように構成されたシステムに関する。システムは、光源と、ウェーハのエッジ上のスポットに光を指向するように構成された照明サブシステムを形成する少なくとも1つの光学素子を含む。スポットは、スポットの第1の部分がウェーハおよびウェーハのエッジに衝突し、スポットの第2の部分はウェーハにもウェーハのエッジにも衝突しないように、ウェーハのエッジを越えて延出する。システムは、ウェーハを回転させ、それによりスポットをウェーハのエッジにわたり走査させるように構成された段も含む。ウェーハは、スポットがエッジにわたり走査される間に2回未満回転される。加えて、システムは、スポットがエッジにわたり走査される間にスポットからの光を検出して、検出された光に応答して出力を生成するように構成された検出器を含む。システムはさらに、ウェーハのエッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標を、出力に基づいて決定して、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を、エッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標に基づいて決定するように構成されたコンピュータプロセッサを含む。システムはさらに、本明細書に記載されるように構成されてもよい。
【0014】
別の実施形態は、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定する方法に関する。方法は、ウェーハのエッジ上のスポットに光を指向することを含む。スポットは、スポットの第1の部分がウェーハおよびウェーハのエッジに衝突し、スポットの第2の部分はウェーハにもウェーハのエッジにも衝突しないように、ウェーハのエッジを越えて延出する。方法は、ウェーハを回転させ、それによりスポットをウェーハのエッジにわたり走査させることも含む。ウェーハは、スポットがエッジにわたり走査される間に2回未満回転される。加えて、方法は、スポットがエッジにわたり走査される間にスポットからの光を検出して、それにより検出された光に応答して出力を生成することを含む。方法はさらに、ウェーハのエッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標を、出力に基づいて決定して、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を、エッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標に基づいて決定することを含む。決定ステップはコンピュータプロセッサによって実行される。
【0015】
上記の方法の各ステップは、本明細書にさらに説明されるように実行されてもよい。上記の方法は、本明細書に説明される任意の他の方法(複数)の任意の他のステップ(複数)を含んでもよい。上記の方法は、本明細書に説明されるシステムのうちいずれを用いて実行されてもよい。
【0016】
本発明の他の目的と利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書に説明されるように構成されたシステムの実施形態の側面図を示す模式図である。
図2】本明細書に説明されるように構成されたシステムの実施形態の側面を示す模式図である。
図3】本明細書に説明される1つ以上のシステムの実施形態によって生成され得る画像例の図である。
図4】本明細書に説明される1つ以上のシステムの実施形態によって生成され得る画像例の図である。
図5】本明細書に説明される1つ以上のシステムの実施形態によって生成され得る画像例の図である。
図6】本明細書に説明される、コンピュータで実施される方法の実施形態のうち1つ以上を実行するコンピュータシステムで実行可能なプログラム命令を含む非一過性コンピュータ可読媒体の1つの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は種々の修正および別形態が可能であるが、その特定の実施形態が例として図面に示され、本明細書において詳細に説明される。しかし、図面とその詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定する意図はなく、反対に、本発明は添付の特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨と範囲に属する全ての修正、等価物または別例を網羅することを意図している。
【0019】
ここで図面を参照すると、図は縮尺通りに描かれていないことが気付かれる。特に、図のいくつかの要素の縮尺は要素の特性を強調するために大きく誇張されている。図は同じ縮尺で描かれていないことも気付かれる。2つ以上の図で描かれた、同様の構成の要素は、同じ参照番号を用いて示されている。本明細書に明記されない限り、説明され示される要素はいずれも、任意の適切な市販の要素を含んでもよい。
【0020】
本明細書に説明される実施形態は一般にウェーハエッジ検出に関し、また、検査に関する可能性もある。したがって本明細書に説明される実施形態は、エッジおよびノッチ検出モジュール(またはENDM)と呼ばれてもよい。
【0021】
1つの実施形態は、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定するように構成されたシステムに関する。システムは、光源と、ウェーハのエッジ上のスポットに光を指向するように構成された照明サブシステムを形成する少なくとも1つの光学素子を含む。そのようなシステムの1つの実施形態が図1に示されている。このシステムの実施形態は、光源100と、ウェーハ108のエッジ106上のスポット104に光を指向するように構成された照明サブシステムを形成する光学素子102を含む。1つの実施形態において、光源は、例えば405nmまたは525nmの波長を有する単波長光を生成する発光ダイオード(LED)であってよい。本明細書に説明される実施形態で用いるのに適したLEDは、例えばニュージャージー州ニュートンのソーラボ(Thorlabs、Inc.)から市販されている。しかし、光源は、単色、多色および広帯域高原を含む、当技術分野で知られる任意の他の適切な光源を含む。本明細書に説明される実施形態で用いるのに適した光の波長(複数)は、光の可視波長(複数)を含むがそれに限定されない。システムで使用される光源のタイプは本明細書にさらに説明されるように選択され、システムおよび/またはウェーハ特性(複数)によって生成されることになっている、ウェーハに関する情報に基づいてよい。場合によっては、ウェーハ上の反射変動と斑効果に対する感応性を極減するために、例えば広帯域照明が好適であり得る。
【0022】
スポットは、スポットの第1の部分がウェーハおよびウェーハのエッジに衝突し、スポットの第2の部分はウェーハにもウェーハのエッジにも衝突しないように、ウェーハのエッジを越えて延出する。こうして、スポットは、エッジがスポット内のどこに位置しているかに基づいて2つの別々の部分に分離される。そのため、スポットはエッジによって本質的に二分される。したがって、本明細書にさらに説明されるように、スポットの1つの部分のみからの光がシステムの検出器によって検出されることになる。したがって、照明の電力の一部は失われることになるが、そのような電力損失は、ショットノイズ抑制システムには許容される。
【0023】
スポットは、スポットの中心が概ねウェーハのエッジに対応するように(例えばスポットの下でのウェーハの運動によって)ウェーハ上に位置決めされてもよい(そのような構成からの変形も許容されるが、好ましくは、スポットの大部分は、スポット内のエッジの位置が、本明細書にさらに説明されるように比較的高い信頼度で決定され得るように、ウェーハのエッジのいずれかの側部に配置されることが好ましい)。したがって、照明の重要でない部分がウェーハのエッジを越えて延出してもよい(全エッジが検査されることを確実にするためのみに)エッジ検査システムとは違って、本明細書に説明される実施形態は、本明細書にさらに説明されるように比較的高い信頼度でエッジの座標が決定され得るように、スポットの重要な部分がウェーハのエッジを越えて延出するように構成されるという点において、本明細書に説明される構成は、殆どのエッジ検査システムとは異なっている。対照的に、殆どのエッジ検査システムのように照明の外側エッジ付近にウェーハのエッジを配置することは、ウェーハのエッジをウェーハ上の照明のエッジから識別することを困難にする可能性があり、それにより、エッジが検出され得る(存在した場合)精度を減少させる。
【0024】
1つの実施形態において、スポットは2mmを超える少なくとも1つの寸法を有する。例えば、本明細書に説明される実施形態は、ウェーハのエッジを比較的大きな領域(例えば少なくとも1つの寸法が2mmから10mm)の「フラッド」または「ライン」照明スポットで照明するように構成されてもよい。本明細書において「フラッド」照明スポットは、2つの対向する方向において実質的に大きな寸法を有し、したがって対物面において円形または楕円形(比較的広幅の楕円形)形状を有するように見えるスポットとして規定される。対照的に「ライン」照明スポットは本明細書において、2つの対向する方向において実質的に異なる寸法を有し、したがって対物面に線形タイプの形状を有するように見えるスポットとして規定される。1つの特定例において、ウェーハのエッジ上で照明されるスポットは丸形状と、約10mmの直径を有してもよい。
【0025】
1つの実施形態において、ウェーハのエッジ上のスポットに指向される光は実質的にコリメート光を含む。このように、本明細書に説明される光源は、光源がウェーハと同じ側に配置された状態で、ウェーハの一方の側(上面または下面)に平行な(または実質的に平行な)光線を出すように構成されるコリメート光源でもよい。例えば、図1に示される実施形態において、光源100はウェーハの下方に位置決めされ、照明サブシステムは、ウェーハの裏側に光を指向するように構成される。ウェーハの「上面」または「表側」は本明細書においてデバイスが形成されているまたは形成されることになっているウェーハの面または側として規定される。ウェーハの「下面」または「裏側」は本明細書においてデバイスが形成されないまたは形成されることになっていないウェーハの面または側として規定される。
【0026】
しかし、本明細書に説明される別の実施形態において、光源はウェーハの上方に位置決めされてウェーハの表側にコリメート光または実質的コリメート光を指向するように構成されてもよい。例えば、システムの別の実施形態が図2に示されている。この実施形態において、光源200はウェーハの上方に位置決めされ、照明サブシステムは光をウェーハの表側に指向するように構成される。光源200はLEDまたは当技術分野で知られる任意の他の光源等の本明細書に説明される光源のうちいずれを含んでもよい。ウェーハ上のスポットに指向された光源200からの光は、図2にはコリメート光として図示されていないが、光源はコリメート光または実質的コリメート光を生成してもよく、および/または、光を光源からウェーハに、平行または実質的に平行な光線として指向するように構成された1つ以上の光学素子(図示せず)に結合されてもよい。図2に示されるように、システムは2つの別々の光源を含んでもよく、一方は光をウェーハの裏側に指向し、他方は光をウェーハの表側に指向する。しかし、システムは図1に示されるように1つのみの光源100を含んでもよいし、または図2に示されるように1つのみの光源200を含んでもよい。加えて、システムは2つ以上の光源の別の組み合わせを含んでもよい。したがって、本明細書に説明される実施形態は、光をウェーハの1つ以上の側に指向するように構成された1つ以上の光源を有するように構成されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、光は垂直入射角でスポットに指向される。例えば、光源100は、図1および2に示されるように、光を垂直入射角でスポットに指向する光学素子102に光を指向するように構成される。別の実施形態において、光はスポットに斜入射角で指向される。例えば、光源200からの光は、図2に示されるように、光をスポットに実質的に低入射角(すなわち、垂直照明ではないが、垂直照明に比較的近い可能性がある)で指向するように構成される。
【0028】
図2は、システムに含まれてもよい光源の付加的な例も示す。例えば、システムは光源202および/または光源204を含んでもよい。これらの光源は、当技術分野で知られる任意の適切な光源を含んでもよい。光源202は、図2に示されるように、この光源から生成する光がビームスプリッタ206に指向されるように位置決めされてもよい。ビームスプリッタ206は、50/50ビームスプリッタ等の、当技術分野で知られる任意の適切なビームスプリッタを含んでもよい。ビームスプリッタは、光源202からウェーハのエッジ上のスポット104への光を垂直または実質的に垂直の入射角で指向するように構成されてもよい。ビームスプリッタ206は、本明細書にさらに説明されるように構成されてもよい。加えて、図2に示されるように、光源204は、この光源から生成した光が、任意の適切な斜角を含んでもよい斜入射角でウェーハのエッジ上のスポットに指向されるように位置決めされてもよい。
【0029】
本明細書に説明されるシステムの実施形態が1つより多い光源を含む場合、それらの光源は、異なる構成でもよいし、または実質的に同じ構成を有してもよい。例えば、光源のうち2つ以上は別々の作りとモデルを有していてもよい。加えて、光源のうち2つ以上は、光を別々の波長で生成するように構成されてもよい。例えば、1つの光源(例えば光源100)は、405nmまたは525nmの波長で光を生成するように構成されてもよく、別の光源(光源200、202および204)は光を別の波長(例えば530nm)で生成するように構成されてもよい。加えて、光源のうち1つ以上が、別の光源(複数)によって生成した光とは異なる偏光を有する光を生成するように構成されてもよい。いずれにせよ、本明細書に説明される光源のうちいずれかによって生成した光の特性は、光が指向されたウェーハの側(例えば表側または裏側)の特性、ならびにその光を用いて実行されるべき機能(例えばエッジ検出対エッジ検査)に基づいて選択されてもよい。
【0030】
図1に示される光学素子102は、エッジ上のスポットに、例えばコリメート光として等の任意の適切な方式で光を指向するように構成されてもよい。光学素子は図1では単一の屈折素子として示されているが、光学素子は1つ以上の屈折光学素子および/または1つ以上の反射光学素子を含んでもよい。加えて、光学素子は、光源からの光を、拡散器を備えた非球面コンデンサレンズ等のウェーハのエッジ上のスポットに指向するための任意の適切な光学素子を含んでもよい。本明細書に説明される照明サブシステムで用いる適切な光学素子は、ソーラボ(Thorlabs)等の供給者から市販で入手可能である。
【0031】
照明サブシステムは、光源のうち1つ以上によって生成した光の経路に位置決めされた任意の他の適切な光学素子(図示せず)を含んでもよい。そのような光学素子の例は、当技術分野で知られる任意のそのような適切な光学素子を含んでもよい偏光部材(複数)、スペクトルフィルタ(複数)、空間フィルタ(複数)、反射光学素子(複数)、アポダイザ(複数)、ビームスプリッタ(複数)、開口(複数)等を含むが、それらに限定されない。加えて、システムは、要素のうち1つ以上を、用いられる照明のタイプに基づいて変更するように構成されてもよい。例えば、システムは、検査に用いられる入射角、偏光、波長等を変更するために照明サブシステムのうち1つ以上の特性を変更するように構成されてもよい。
【0032】
本明細書に説明される実施形態は、改良されたウェーハエッジおよびノッチ検出手法およびウェーハ検査ツールを螺旋走査する性能を提供する。特に、システムはウェーハを回転させて、ウェーハのエッジにわたりスポットを走査させるように構成された段を含む。例えば、図1に示されるように、システムは、軸112に連結された段110を含んでもよい。軸は、軸を矢印114で示されるように回転させてそれによりウェーハを同方向に回転させるように構成された1つ以上の機械的および/またはロボット構成要素に連結されてもよい。段、軸およびそこに連結される任意の他の構成要素は、当技術分野で知られる任意の適切なそのような部材を含んでもよい。
【0033】
ウェーハは、スポットがエッジにわたり走査される間に2回未満回転される。例えば、いくつかの場合には、システムアーキテクチャの制約により、エッジおよびノッチ検出を単一のウェーハ回転にわたり実行することが望ましい場合がある。より具体的には、分解能を向上させるためにマルチピクセルセンサとイメージング収集光学素子に依存する次世代ウェーハ検査システムは、前世代ツールと比べて、走査トラック間のピッチが桁違いに大きい。例えば、ウェーハ上の突起した0.5μmピクセルサイズを持つ1つの寸法内に1000ピクセルを有するセンサは、前世代システムでの20μm単一スポットサイズに比べて約500μmのピッチサイズを要求する。それは、ウェーハ検査走査がエッジ付近に1−2トラックのみを有し、エッジ検出システムが、単一のトラックにわたってのみその機能を果たさなければならない、または、主検査システムと同時に動作できないというリスクがあり、それによりシステムスループットに影響を与えることを意味する。したがって、多数のウェーハ位置からの信号の並列取得を伴う比較的低速の多チャンネルエッジ検査検出器が有益となる。こうして、本明細書に説明される実施形態は、単一パスでウェーハエッジおよび/またはノッチを検出するように構成されてもよい。
【0034】
ウェーハの単一の回転またはエッジにわたる単一のパスは、実地上、ウェーハの一回転またはエッジにわたる一度のパスよりも少し多いことに留意すべきである。例えば、ウェーハのエッジの全体がサンプリングされることを確実にするために、単一のパスまたは回転は、パスまたは回転の開始位置を、サンプリングの最後に再びサンプリングすることを含んでもよい。したがって、ウェーハの1回転でエッジ/ノッチ検出またはその他の操作を実行するように本明細書に説明されるシステムは実際には、実地上これらの機能(複数)をウェーハの1.01回転で実行する。いずれにせよ、本明細書に説明される実施形態は、エッジ/ノッチ検出およびおそらく他の機能を2回転未満または2パス未満で実行するように構成され、それはエッジ/ノッチ検出に現在用いられているシステムに必要な回転またはパスよりも遥かに少ない。
【0035】
システムは、スポットがエッジにわたり走査される間にスポットからの光を検出して、検出された光に応答して出力を生成するように構成された検出器をも含んでもよい。例えば、図1に示されるように、システムは、スポットがエッジにわたり走査される間にスポットからの光を検出するように構成された検出器116を含む。本明細書にさらに説明されるように、本明細書に説明されるシステムによって照明されるウェーハのエッジ上のスポットは、ウェーハのエッジを越えて延出する。加えて、本明細書に説明される検出器(および任意の別の検出器)は、その対物面が被照明スポットにセンタリングされる(または少なくとも全面的に被照明スポット内に配置される)ように構成される。例えば、図1に示されるように、検出器116は、対物面118からの光が検出器上にイメージングされるように構成されてもよい。図1にさらに示されるように、対物面118は、全面的にスポット104内に位置決めされてもよく、スポットとは異なるサイズおよび形状等の特性を有してもよい。例えば、対物面が線状の形状を有するのに対し、スポットは円形または楕円形の形状を有してもよい。加えて、対物面の両方の寸法は、被照明スポットの対応する寸法よりも小さくてもよい。そのため、対物面は照明強度が若干違う、スポットのエッジ付近では被照明スポットと重ならないことがある。いずれにせよ、本明細書に説明される実施形態において、検出器の対物面は被照明スポットと同様にウェーハのエッジを越えて延出して、その結果、ウェーハのエッジが、本明細書にさらに説明されるように、エッジのウェーハ検査座標を決定するために用いられ得る、検出器によって生成される出力内の境界(例えば暗領域と明領域の間)に対応する。
【0036】
本明細書に説明される実施形態の検出器は、エッジおよびノッチ位置を単一の取り込みで検出することができる、本明細書に説明される多チャンネル検出器のうち1つであってもよい。例えば、1つの実施形態において、検出器はマルチピクセル検出器である。こうして、本明細書に説明される実施形態はエッジおよびノッチ検出にマルチピクセルセンサを用いてもよい。
【0037】
別の実施形態において、検出器は線形検出器である。こうして、本明細書に説明される実施形態はラインセンサを含んでもよい。例えば、好適な実施形態において、検出器は、電荷結合素子(CCD)または収集光学素子の分解能に適合する多数のピクセルを含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器等のラインセンサであってよい。一例において、検出器は、1536×1ピクセルを含むラインアレイであってよい。検出器は、異なる個数のピクセル(例えば2048ピクセル)を含んでもよく、用いられるピクセルの実際の数は、システムのその他のパラメータ(ピクセルの出力を処理するために用いられるエレクトロニクスの帯域幅等)に基づいて決定されてもよい。本明細書に説明される実施形態での使用に適したライン走査カメラは、カナダ、オンタリオ州ウォータールーのテレダインダルサ(Teledyne DALSA Inc.)等の供給者から市販されている。
【0038】
いくつかの実施形態において、検出器はピクセルの二次元アレイを含む。そのような1つの実施形態において、検出器は、時間遅延統合(TDI)モードで動作するように構成される。例えば、検出器は、TDIモードで動作するように構成されたCCDアレイであってよい。別のそのような実施形態において、検出器は、フレームモードで動作するように構成される。例えば、検出器は、フレームモードで動作するように構成されたCCDアレイであってよい。
【0039】
別の実施形態において、検出器は、検出器に注ぐ光の空間分布に基づいて出力を生成するように構成された位置感知検出器(PSD)である。例えば、検出器は、必ずしもマルチピクセル出力を有していなくてもよいが、センサに注ぐ光の空間分布に感応し、単一のパスでの「明」照明領域と「暗」照明領域の境界を検出する情報を提出しうるPSDであってよい。
【0040】
ウェーハのエッジ上のスポットに指向された光が実質的にコリメート光を含む上記の実施形態において、ウェーハとウェーハのエッジはスポットの第1の部分からの光が検出器によって検出されることを阻止し、検出器は、スポットの第2の部分からの光が検出器によって検出されるように構成される。このように、本明細書で説明される実施形態は、ウェーハ表面の「全通ビーム」照明向けに構成されてもよい。例えば、全通ビーム照明は、一般に、ウェーハの下/裏側(または上/正面)から平行または実質的に平行な光線を送出するコリメート光源として定義されてもよい。ウェーハによって遮断される光線は検出器に到達しない。検出器を通過する光線は検出器の一領域を照明する。こうして、「全通ビーム」照明構成では、照明はウェーハによって、検出器に到達することを部分的に阻止される。したがって、検出器上の「暗」および「明」ピクセルまたは領域はウェーハの境界線、例えばウェーハエッジまたはノッチに対応する。
【0041】
図1に示された実施形態は、そのような照明および検出向けに構成される。例えば、図1に示されるように、光源100は、光をウェーハの一方の側に指向するように構成され、検出器116はウェーハの他方の側に位置決めされる。こうして、ウェーハおよびウェーハのエッジに入射するスポットの部分は、検出器に到達することをウェーハとエッジによって防止される。対照的に、ウェーハのエッジを越えて延出し、したがってウェーハおよびウェーハのエッジに入射しないスポットの部分は、ウェーハによって遮断されず、したがって検出器によって検出される。
【0042】
いくつかの実施形態において、検出器によって検出されるスポットからの光は、正反射光を含む。こうして、本明細書に説明される実施形態は、ウェーハ表面からの反射向けに構成されてもよい。例えば、照明サブシステムおよび検出器は、収集(反射)ビーム経路と共線の垂直または実質的に垂直な照明ビームで面から反射するように構成されてもよい。こうして、照明ビームはビームスプリッタを介して収集ビームと空間的に融合されてもよい。例えば、図2に示すように、光源202からの光は、ビームスプリッタ206によってスポット104からの光と空間的に融合されてもよい。別法として、照明ビームは、照明ビームと収集ビームが空間的に分離されてビームスプリッタを要さないように、面上に斜入射角で注いでもよい。例えば、図2に示されるように、光源200および204は、スポットに光を斜入射角で指向し、検出器116によって検出されるスポットからの光が、入射角から空間的に分離された異なる角度で収集され得るように構成されてもよい。そのような構成において、照明ビームの入射角は垂直に近くてもよい(しかし必ずしも垂直に近くなくてもよい)。1つのそのような構成が、光源200の構成として図2に示されている。もう1つの別形態では、照明サブシステムおよび検出器は、照明ビームが比較的大きい入射角を有する暗視野(DF)構成に構成されてもよいが、収集システムは散乱信号を用いるため、必ずしも正反射(直接反射)の秩序でなくてもよい。そのような構成が光源204によって図2に示されており、そこで光源204は、スポットからの光がコレクタ120によって集光され、検出器116に非正反射角度で指向されながら、光をスポットに比較的大きな入射角で指向して示されている。
【0043】
別の実施形態において、検出器によって検出されるスポットからの光は散乱光を含む。例えば、照明サブシステムと検出器構成は、比較的低い開口数(NA)のビーム(すなわち「ペンシルビーム」)を有する垂直または実質的に垂直な照明と、垂直に対して非ゼロ角度で散乱される非正反射光を収集する収集システムを用いるように構成されてもよい。1つのそのような例において、光源200は、光をウェーハのエッジ上のスポットに、比較的低いNAでの垂直または実質的に垂直な照明角度で指向するように構成されてもよく、コレクタ120は、スポットから散乱される非正反射の反射光を収集するように構成されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、システムは、イメージング収集光学素子を含んでもよい。例えば、図1に示されるように、システムは、ウェーハ上のスポットから光を収集してその収集された光を検出器116に指向(集束)させるように構成されたコレクタ120を含んでもよい。図1においてコレクタは1つの屈折光学素子として示されているが、コレクタは、スポットから光を収集するように構成された1つ以上の屈折光学素子および/または1つ以上の反射光学素子を含んでもよい。本明細書に説明される実施形態での使用に適した適切なコレクタの例は、ニュージャージー州バーリントンのエドモンドオプティクス(Edmund Optics Inc.)等の供給者から市販されている。イメージング収集光学素子は、ウェーハからの光の経路内の任意の適切な位置に位置決めされた、ビームスプリッタ(複数)、スペクトルフィルタ(複数)、空間フィルタ(複数)、偏光部材(複数)、開口(複数)等の1つ以上の他の光学素子を含んでもよい。
【0045】
いずれにせよ、本明細書に説明されるようなエッジおよびノッチ検出システムは、厚みが非ゼロであるサンプルを支持することを要求される(照明がウェーハのエッジの上方にあり、したがって、システムの光学素子に対して別々の位置関係にある照明面(エッジの上面、斜切面および頂点等)の上方にあるため)。したがって、光学素子の焦点深度(DOF)は好ましくは、ウェーハサンプルのエッジ付近の湾曲を支持するために十分に大きい。同時に、収集光学素子は好ましくはエッジおよびノッチを分解するために十分な高分解能を提供する。DOFは、NAの逆二乗と波長に比例する。言い換えると、DOF=±λ/(NA^2)である。分解能はNAの逆数と波長に比例する。言い換えると、分解能=0.61λ/(NA)である。そのため、NAに対する矛盾する要求により(ベストな分解能には大きく、DOFには小さい)、一般に、イメージング収集光学素子は、DOFおよび分解能要求に適合するように選択されたNAと実現可能な限り短い波長を有することになる。言い換えると、エッジ検出に用いられる波長(複数)は実現可能な限り最低の波長(複数)となるように選択され、その場合NAは、最大DOFおよび最高分解能向けに選択された波長(複数)に基づいて選択されてもよい。例えば、405nmの波長で±160μmより大きいDOFを達成するために、0.05のNAが選択され(DOF≒0.405/0.05^2=±162μm)、その構成は、R≒0.610.405/0.05≒5μmの分解能も提供する。こうして、イメージング向けの約0.05のNAが、所与の波長に関するDOFと分解能を均衡させるために選択され得る。しかし、本明細書に説明される実施形態に適切なNAは、約0.04から0.07であり得る。本明細書に説明される実施形態は、したがって、比較的低NAのイメージング光学素子を含む。加えて、本明細書に説明されるシステムが構成されるDOFは、100μmから300μmの間で変動するように構成される。本明細書に説明される実施形態に適切な分解能も、4μmから7μmの間で変動する。本明細書に説明される実施形態は、検出器に対するウェーハの異なる倍率およびピクセルサイズ向けに構成されてもよいし、そのように構成されなくてもよい。一例において、システムは、2×倍率向けに構成されてもよい。したがって、ウェーハ上のピクセルのサイズが約5μmであれば、検出器上のピクセルサイズは約10μmとなる。しかしながら、明らかに、検出器およびウェーハでの別のピクセルサイズが可能である。
【0046】
いくつかの実施形態において、検出器とウェーハの間には光学素子が配置されていない。例えば、極度に低いNAのコリメート照明全通ビームであり、検出器がウェーハ表面に十分に接近して配置されている場合、全通ビームがセンサ表面を直接照明して、イメージング光学素子は完全に回避され得る。
【0047】
図1および2には2つの特定の構成が示されているが、これらの図に示される光学素子は、いくつかの異なる配置に構成されて、本明細書に説明される同じ機能を提供してもよいことに留意することが重要である。例えば、図1に示される構成の場合、光源100と検出器116(およびそれらの関連する光学素子)が配置されているウェーハの側は逆転してもよい。言い換えると、照明サブシステムは、ウェーハによって遮断されない光を検出するために検出器をウェーハの下方に配置しながら、光をウェーハの上方からウェーハのエッジ上のスポットに指向するように構成されてもよい。
【0048】
別の構成において、システムは、ウェーハ(図示せず)の両側に検出器を含んでもよく、検出器は、異なる光源の、照明によるスポットからの別種の光を検出するように構成されてもよい。例えば、1つの検出器は、ウェーハによって遮断されない光を検出する(エッジ/ノッチ検出に関して)ように構成されてもよい一方で、別の検出器は、散乱または非正反射光を検出するように構成されてもよい(エッジ/ノッチ検出および/または、本明細書にさらに説明されるように実行されてもよい検査に関して)。
【0049】
本明細書に説明されるシステム実施形態はさらに、いくつかの異なる光源および/または検出器を有するように構成されてもよく、任意の1つのウェーハに用いられる特定の光源/検出器の組み合わせはそのウェーハに基づいて決定されてもよい。そのため、システムに含まれるすべての光源および/または検出器が、任意の1つのウェーハのエッジ/ノッチ検出および/またはエッジ検査に用いられ得るわけではない。こうして、システムの構成は、任意の1つのウェーハに用いられる構成がウェーハ毎に変更され得るという点において「フレキシブル」であると言え、それは、ウェーハの研磨工程の効果によって引き起こされる、ウェーハのエッジで、またはその付近で異なる反射性を有するウェーハの検査にウェーハ検査システムが用いられる場合に有益であり得る。
【0050】
図3−5は、本明細書に説明される種々の実施形態によって構成されたプロトタイプシステムによって生成される画像である。これらの図に示される画像は、本明細書に説明される実施形態を、システムによって生成される如何なる特定の画像に限定するものではなく、また、システムによって生成され得る画像の如何なる特定の画像特性にも限定するものではない。代わりに、これらの画像は、システムの種々の実施形態によって生成され得る画像のタイプを一般的に示し、それにより本明細書に説明される実施形態をさらに理解させるために本明細書に含まれる。
【0051】
図3に示される画像は、本明細書に説明されるように構成されたエッジ検出システムによって検出された画像である。この構成において、コリメート光は、スポットがウェーハのエッジを越えて延出するように、本明細書に説明されるようにウェーハのエッジ上のスポットに指向される。この画像を生成するために、光はウェーハの下方からスポットに指向された。加えて、検出器は、ウェーハの反対側に位置決めされた。こうして、光はウェーハの一方の面に指向され、ウェーハの、他方の反対側の面からの光が検出された。そのため、ウェーハによって遮断されない光が検出器によって検出された。したがって、この画像において、より明るい部分は、ウェーハのエッジを越えて延出するスポットの部分からの光に対応して検出され、より暗い部分は、ウェーハおよびウェーハのエッジによって遮断されたスポットの部分に対応する。こうして、図3に示される画像の明部と暗部の間の境界がウェーハのエッジに相当する。図1に示されるシステム構成は、したがって図3に示されるような画像を生成するために用いられ得る。
【0052】
対照的に、図4に示される画像は、本明細書に説明されるように構成された別のエッジ検出システムによって検出された画像である。この構成において、光は、ウェーハの上方からウェーハの表面上のスポットに、垂直および斜め両方の入射角で指向された。このスポットも、ウェーハのエッジを越えて延出する。こうして、照明は、ウェーハの表側、エッジおよびエッジの頂部斜切面に入射することになる。この画像を形成した検出器は、照明が指向されたウェーハの側に位置決めされた。したがって、検出器は、ウェーハ上のスポットから反射した光(正反射光、非正反射光および散乱光を含み得る)を検出した。そのため、この画像において、光の部分はウェーハと、頂部斜切面を含むウェーハのエッジとに対応する。画像の右手側から内側に延出する画像の暗部は、ウェーハのエッジを越えて延出し、したがってウェーハのどの部分からも戻されないスポットの部分に対応する。このように、図4に示される画像の明部と暗部の間の境界が、ウェーハのエッジに対応する。加えて、この画像は、ウェーハの頂面と、頂部斜切面を含むウェーハのエッジとからの光を含むため、この画像は、本明細書にさらに説明されるように実行され得る頂面、エッジおよび頂部斜切面の検査に用いられ得る。図2に示されるように光源202および204と検出器116を含む、また図2に示されるその他の要素も含んでもよいシステム構成が、そのような画像を生成するために用いられてもよい。
【0053】
本明細書に説明されるシステムの実施形態はさらに、同時に別の視野からの画像を生成して、それにより一種の「合成画像」を生成するように構成されてもよい。そのような画像の一例が図5に示されている。この画像は、図3−4に示した画像を生成するために用いられた上記のシステム構成両方を用いて生成された。こうして、画像は、スポットの、垂直または実質的に垂直の入射角照明および斜入射角照明の、ウェーハの下方からの照明を用いて生成された。1つの検出器を用いて、ウェーハによって遮断されないウェーハの下方から来る光ならびに反射(正反射および非正反射)光および散乱光が同時に検出された。
【0054】
したがって、この画像において、暗境界の左側の画像のより明るい部分は、ウェーハの頂面に対応し、暗境界の右側の画像のより明るい部分は、ウェーハまたはエッジによって遮断されないウェーハの下方から来る光に対応する。暗境界の左側はウェーハの頂部エッジに対応し、暗境界の右側は頂部斜切面の底部エッジに対応する。暗境界内に含まれる明るい部分はいずれも、エッジの頂部斜切面に対応する。したがって、そのような画像を生成できるシステム構成は、例えば図2に示されるように光源100、202および204と検出器116を含んでもよく、また図2に示されるその他の要素を含む可能性もある。
【0055】
図5に示される画像はウェーハのエッジをはっきりと示しているため、この画像が、本明細書にさらに説明されるエッジ検出に用いられ得る。加えて、図5に示される画像はウェーハの頂面、エッジおよび斜切面からの光に応答するため、この画像は、本明細書にさらに説明されるように実行され得る頂面、エッジおよび斜切面の検査に用いられ得る。こうして、エッジ検出用に構成された本明細書に説明される実施形態は、エッジ検出の実行中に、垂直および斜めの照明を追加するだけで頂面と斜切面の検査向けにも構成され得る。
【0056】
システムはコンピュータプロセッサも含む。例えば、図1に示されるように、システムはコンピュータプロセッサ122を含む。そのようなプロセッサは、図2に示されるシステムに含まれてもよい。コンピュータプロセッサ122は、システムの検出器(複数)によって生成された出力を取得するように構成される。例えば、走査中に検出器(複数)によって生成された出力はコンピュータプロセッサ122に供給されてもよい。特に、コンピュータプロセッサは、コンピュータプロセッサが検出器(複数)によって生成された出力を受け取るように、検出器(複数)それぞれ(例えば、当技術分野で知られる任意の適切な伝送媒体を含んでもよい、図1に破線で示される1つ以上の伝送媒体)に結合されてもよい。コンピュータプロセッサは、検出器それぞれに任意の適切な方式で結合されてもよい。コンピュータプロセッサは、さらに本明細書に説明されるように構成されてもよい(例えば、コンピュータサブシステムまたはシステムに含まれたプロセッサとして)。
【0057】
1つの実施形態において、コンピュータプロセッサは、ウェーハのエッジに形成されたノッチを出力に基づいて検出するように構成され、検出器の1つ以上のパラメータは、ノッチを検出するために必要なサンプリングに基づいて構成される。ノッチは、コンピュータサブシステムによって、いくつかの異なる方式で検出されてもよい。例えば、ノッチに関する、予期される寸法および/または形状等の情報に基づいて、コンピュータサブシステムは図3−5に示されるような画像を、ノッチの特徴に適合または実質的に適合する、画像内の境界(ウェーハのエッジに対応する境界)の変動に関してサーチできる。1つのそのような例において、ウェーハへのノッチの深さに関する情報に基づいて、同じ寸法を有する境界における変動が、ノッチに対応するものとしてコンピュータプロセッサによって識別され得る。コンピュータプロセッサは、ノッチを検出するための任意の適切な方法および/またはアルゴリズムを、本明細書に説明される検出器(複数)の出力または任意の他の適切な方式に用いてもよい。
【0058】
本明細書に説明される検出器のラインレートは、ノッチを検出するための十分なサンプリングを提供するように選択されてもよい。特に、検出器のラインレートがシステムの分解能を接線方向(すなわち、ウェーハの半径に対して実質的に垂直な方向)に決定できる状態でありながら、ウェーハの径方向におけるシステムの分解能は、システムに含まれる光学素子の波長およびピクセルサイズ等のパラメータに基づいて上記のように決定されてもよい。言い換えると、ラインレートは、エッジ上の位置にどの程度頻繁に出力が生成されるか(すなわちサンプリング周波数)を決定してもよい。より具体的には、より高いラインレートは、より高いサンプリング周波数を可能にし、したがって、より高い接線方向分解能を可能にする。1つのそのような例において、検出器のラインレートは8ビットで約100kHZである。
【0059】
接線方向へのシステムの分解能は、ウェーハが回転される速度を変更することによっても変えられる。例えば、接線方向におけるより高い分解能は、より低速の回転によって可能となる。ラインレートと回転速度が如何に分解能に影響し得るかに関する一例を挙げると、300mmウェーハは約942mmの周長を有する。ウェーハ検査システムは、ウェーハを異なる速度で回転させるように構成されてもよく、より遅い速度はより高い感度(HS)向け、より高い速度はより高いスループット(HT)向けである。そのため、両回転速度で同じラインレートを有する検出器は、HT回転速度よりもHS回転速度用のウェーハの全周長にわたりμm毎(または他の単位寸法)に、より多くのサンプルを生成する。結果として、HS回転速度では、周長はHT回転速度の場合よりも多くのサンプルに分割され、それは、サンプルが、HT回転速度に比較してHS回転速度でより小さい寸法を有するということを意味する。
【0060】
1つの実施形態において、コンピュータプロセッサは、ウェーハのエッジに形成されたノッチのウェーハ検査座標を、検出器の出力に基づいて決定するように構成される。例えば、ノッチが上記のように検出された後で、ノッチのウェーハ検査座標は、走査中のどこでノッチに対応する出力が生成されたかに関する情報、ならびに走査自体(例えば、ウェーハの走査中に、本明細書に説明される段を含むようなサブシステムを走査することによって生成する位置座標、)に関する情報に基づいて決定され得る。本明細書において用いられる「ウェーハ検査座標」という用語は、ウェーハ検査システムによって決定される任意の座標を指す。ウェーハ検査座標は、ウェーハ検査システムによって異なる基準点に関して決定されてもよい。加えて、異なるウェーハ検査システムは、異なる系統での座標を決定してもよい(例えば、極座標系vsデカルト座標系、ただし、本明細書に説明される実施形態は螺旋走査タイプのシステムに特に有用であるため、本明細書に説明される実施形態に用いられるウェーハ検査座標は極座標系で表現される可能性が高い)。いずれにせよ、「ウェーハ検査座標」という用語は、ウェーハ検査システムまたはウェーハ検査システムに含まれるサブシステムによって生成され得る任意の座標を指す。
【0061】
コンピュータプロセッサは、ウェーハのエッジの2箇所以上の位置のウェーハ検査座標を、出力に基づいて決定し、また、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を、エッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標に基づいて決定するように構成される。例えば、本明細書に説明される実施形態は、ウェーハエッジ領域の画像を生成するように構成され、コンピュータプロセッサは、検出器の出力を適切なアルゴリズムおよび/または方法で分析して、ウェーハと周囲領域からの信号の差を決定するように構成されてもよい。特に、ウェーハのエッジは、検出器によって生成される出力の暗部と明部の間の境界に対応するため、そのような境界に関する情報を用いてエッジを検出し、ウェーハ検査座標等のウェーハエッジに関する情報を決定してもよい。こうして、コンピュータプロセッサは、アルゴリズムおよび/またはソフトウェアを用いて検出器からのデータを処理し、それを物理的なサンプル配向と同期化して、対象座標系におけるエッジおよびノッチ位置情報を提供するように構成されてもよい。そのようなアルゴリズムおよび/またはソフトウェアは当技術分野で知られる任意の適切な構成を有していてよい。
【0062】
いくつかの事例では、本明細書に説明される実施形態は本明細書に説明される実施形態によって取得されるサンプルの個数分のエッジ上の位置のウェーハ検査座標を決定するように構成されてもよい。こうして、ウェーハ検査座標は、ウェーハのエッジ上の2箇所よりずっと多い位置に関して決定されてもよく、それらの位置走査は、全またはほぼ全ウェーハのエッジにわたる。しかし、いくつかの事例では、本明細書に説明される付加的な機能(例えば、ウェーハの中心を定める)に関する十分な情報を提供しながら、ずっと少ないウェーハ検査座標が決定されてもよい。例えば、対角状に対向している(すなわち、ウェーハの中心を通って引かれた想像線の対向する両端部で)ことが知られるウェーハのエッジ上の2つの位置のウェーハ検査座標が決定され得る場合、これらのウェーハ検査座標が、本明細書にさらに説明されるように、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定するために用いられ得る。
【0063】
1つの実施形態において、1箇所以上の固定位置はウェーハの中心を含む。例えば、ウェーハのエッジ上の少なくとも2つの位置のウェーハ検査座標が決定されると、ウェーハ周囲のウェーハ検査座標またはウェーハ直径のウェーハ検査座標等のウェーハに関する付加的な情報が決定され得る。次にその情報は、1)円の外周および円の中心、2)円の直径および円の中心、の間の関係に基づいて任意の適切な方式でウェーハのウェーハ検査座標を決定するために用いられ得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、コンピュータプロセッサは、ウェーハの上面上で検出された欠陥のウェーハ検査座標を1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標に基づいて決定するように構成される。例えば、本明細書に説明されるシステムによって実行されるウェーハエッジ/ノッチ検出は、ウェーハに実行されるウェーハ検査工程の一部であってもよい。そのようないくつかの事例において、ウェーハエッジ/ノッチ検出は、上面の欠陥検査の前に実行されてもよいが、走査は逆の順にも実行され得る。
【0065】
ウェーハ検査の前に実行されるエッジ検出に関しては、ウェーハがウェーハ検査システムに装填されると、システムはウェーハを、上記のHSまたはHT走査速度であってよいエッジ走査速度にスピンさせ始める。システムがウェーハを回転させ始めると、本明細書に説明される段はウェーハをxおよび/またはy方向に移動させて、ウェーハエッジをスポットの下方またはスポット内に位置決めする。ウェーハエッジがそのように位置決めされてウェーハがエッジ走査速度でスピンすると、光は、スポットに指向されて、本明細書に説明されるように、エッジ検出速度でウェーハの1.01回転で実行されるエッジ検出のためにスポットから検出され得る。
【0066】
次に、エッジ検出走査中に生成された出力(例えばエッジ検出画像データ)は、コンピュータプロセッサまたは、コンピュータプロセッサに結合された記憶媒体に転送されてもよい。データ転送が終了すると、コンピュータプロセッサはウェーハ座標の中心を、本明細書に説明されるようにエッジ検出データに基づいて計算してもよい。
【0067】
1.01回転に関するエッジ検出とデータ転送が完了すると、ウェーハ検査システムはウェーハの上面の走査を、エッジ検出に用いられたエッジ走査速度と同じであってよいウェーハ検査速度で開始してもよい。この走査によって生成したデータ(例えば欠陥データ)は、バッファに記憶されてもよい。ウェーハの中心が計算され終わると、バッファに記憶された斜めの走査データをウェーハの中心情報と共に用いて、報告された欠陥座標の、ウェーハの中心情報およびx/y校正データを用いたマッピングを実行してもよい。言い換えると、検査システムによって報告されたウェーハの中心のウェーハ検査座標と、本明細書に説明されるシステムの実施形態によって決定されたウェーハ検査座標の間のマッピング、オフセット、変換またはその他の関係が決定されて、次にそれが、検査システムによって報告された欠陥に関するウェーハ検査座標を、本明細書に説明される実施形態によって決定されたマッピング、オフセット、変換またはその他の関係に基づいて修正されたウェーハ検査座標に変換するために用いられ得る。さらに、補正された座標が、ウェーハの中心または、ノッチ等の別のウェーハ上の固定位置に関して決定されてもよい。言い換えると、ウェーハの中心またはノッチは、補正された座標の起源として用いられてもよい。いずれにせよ、補正された座標は、これらの座標および欠陥調査システム等の別のシステムによって決定されたウェーハ上の固定位置の座標が、欠陥調査等の別の工程に欠陥を移転するために用いられ得るように、ウェーハ上の固定位置に対して決定されることが好ましい。
【0068】
別の実施形態において、光源、少なくとも1つの光学素子および検出器は、2箇所以上の位置のウェーハ検査座標が、1μm以下の精度で決定されるように構成される。こうして、本明細書に説明される実施形態は、1秒未満の総検出時間での、1μm未満のエッジおよびノッチ検出精度故に次世代ツールに用いられ得る。典型的には、精度要求は、カリフォルニア州ミルピタスのケーエルエー−テンカー(KLA−Tencor)から市販されているeDRシリーズ等の評価ツールの必要に従う。ウェーハ検査システムのより高い精度は、調査システムが、ウェーハ検査システムによって報告される対象欠陥(DOI)を探索するのに費やす時間を劇的に低減することを可能にする。
【0069】
したがって、本明細書に説明される実施形態は、ウェーハ検査ツールのウェーハアライメントサブシステムによって提供され得る情報とは異なる情報を提供する。例えば、物理的なサンプル配向は典型的に、アライメント工程、ウェーハプリアライナ等のアライメントハードウェアおよび段によって規定され得る。したがって、アライメント工程およびハードウェアは、ノッチ位置に関する情報を提供でき、それらの動作のために、ウェーハエッジ位置に関する特定の情報を必要とする。例えば、ウェーハの中心は100ミクロンまたは数百ミクロンの範囲内で段の中心と一致しなければならない。対照的に、本明細書に説明される実施形態は、エッジおよびノッチ位置に関するより正確な、すなわち概ね1μmの検出精度で情報を提供するように構成される。したがって、本明細書に説明される実施形態は、改善された分解能を提供し、それによりエッジ/ノッチ検出の改善された精度と正確さを可能にする。
【0070】
いくつかの実施形態において、検出器は、スポットからの反射または散乱する光を検出するように構成され、コンピュータプロセッサは、ウェーハのエッジ上の欠陥を、出力に基づいて検出するように構成される。例えば、エッジおよびノッチ検出に加えて、いくつかのエッジ検査能力が本明細書に説明される実施形態によって提供されてもよい。特に、本明細書に説明される実施形態は、それらの比較的高分解能のイメージング光学素子および多チャンネル検出器によってエッジ検査能力を提供する。1つのそのような例において、本明細書に説明される光学的構成に関して、より低速の回転速度、すなわち本明細書に説明されるHT動作と比較して、HS動作において4×まで低速の、接線方向での(すなわちウェーハの周長に沿って)より高い分解能が提供され得る。そのようなより低速の回転は、比較的高分解能(例えば5μm)に備えることができ、それにより、システムをウェーハのエッジ検査に適切なものにする。スポットからの反射または散乱する光を検出する構成すべてはその目的のために用いられてもよい。
【0071】
コンピュータプロセッサは、ウェーハのエッジ上の欠陥を、任意の適切な欠陥検出方法(複数)および/またはアルゴリズム(複数)を用いて任意の適切な方式で検出するように構成されてもよい。例えば、検出器によって生成される出力は閾値と比較されてもよく、閾値を上回る値を有していない出力は、潜在的な欠陥に対応するものとして識別されない一方で、閾値を上回る値を有する出力はいずれも、潜在的な欠陥として識別される。閾値と比較される出力の値は、例えば強度を含んでもよい。閾値の適切な値は、任意の適切な方式で決定されてもよい(例えばウェーハエッジ上の予期されるノイズの数倍)。しかし、多くの他の欠陥検出方法および/またはアルゴリズムが可能であり、出力と共に用いられる方法および/またはアルゴリズムは、ウェーハの特性および/またはウェーハ上の対象欠陥と組み合わせる可能性のある出力の特性に基づいて選択および/または決定されてもよい。ウェーハのエッジ上に欠陥が検出され終わると、エッジ欠陥走査用のウェーハ検査座標が決定され、本明細書にさらに説明されるように修正されてもよい。
【0072】
そのようないくつかの事例において、ウェーハがウェーハ検査システム内に装填されると、システムは、上記のようにHSまたはHT走査速度であってよいエッジ走査速度にウェーハをスピンさせ始める。システムがウェーハを回転させ始めると、本明細書に説明される段はウェーハをxおよび/またはy方向に移動させて、ウェーハエッジを本明細書に説明されるようにスポットの下およびスポット内に位置決めする。ウェーハエッジがそのように位置決めされてウェーハがエッジ走査速度でスピンすると、光は、スポットに指向されて、本明細書に説明されるように、エッジ走査速度で1.01回転で実行されるエッジ検出のためにスポットから検出され得る。
【0073】
エッジ検査走査中に生成された出力(例えばエッジ検査画像データ)は、コンピュータプロセッサまたは、コンピュータプロセッサに結合された記憶媒体に転送されてもよい。エッジ検査データの転送が終了すると、コンピュータプロセッサは、データを処理して、ウェーハエッジ上の欠陥を検出してもよいが、それは本明細書に説明されるように実行されてもよい。システムはさらに、エッジ検査データをデシメートして、エッジ欠陥画像またはデータのみを識別してそれをコンピュータプロセッサに転送してもよい。エッジデータ転送が終了すると、コンピュータプロセッサは、ウェーハ座標の中心を、エッジ検出データに基づいて計算してもよい。
【0074】
1.01回転に関するエッジ検出とデータ転送が完了すると、ウェーハ検査システムは、ウェーハエッジ走査速度を、ウェーハ検査速度に適合するように増加させて、次にウェーハの上面の走査をウェーハ検査速度で開始してもよい。この走査によって生成したデータ(例えば欠陥データ)はバッファに記憶されてもよい。ウェーハの中心が計算され終わると、バッファに記憶された斜めの走査データをウェーハの中心情報と共に用いて、報告された欠陥座標の、ウェーハの中心情報およびx/y校正データを用いたマッピングを実行してもよく、それについては本明細書でさらに説明される。
【0075】
別の実施形態において、システムは、スポットからの反射光または散乱光を検出して、検出された反射または散乱光に応答して出力を生成するように構成された付加的な検出器を含み、コンピュータプロセッサは、ウェーハ上の欠陥を、付加的な検出器によって生成された出力に基づいて検出するように構成される。例えば、検査能力は、多数の検出器と収集光学素子の構成を導入することによって増強されてもよい。一例において、図2に示される光源200、202、204のうち1つまたは2つは、光源のうち少なくとも1つによる照明によるウェーハエッジから反射されたおよび/または散乱された光を検出するように構成された付加的な検出器として構成されてもよい。しかし、図2に示された全ての光源は光源として保たれてもよく、システムは、光源200、202、204のうち1つ以上によるスポット照明によってスポットから散乱されたおよび/または反射された光を検出するように構成された付加的な検出器(図示せず)を含んでもよい。いくつかの事例では、付加的な検出器(複数)は、反射光および/または散乱光の検出に関しては入射面に位置決めされてもよいし(散乱光の場合は「頂部」、「前部」または「後部」コレクタとして)、または非正反射光の検出に関しては入射面外に位置決めされてもよい(「側部」コレクタとして)。付加的な検出器(複数)はさらに、検出器116に関して本明細書に説明されるように構成されてもよい。検出器116と付加的な検出器(複数)は、実質的に同じ構成を有してもよいし、別の構成を有してもよい。例えば、検出器116がリニアセンサとして構成されながら、付加的な検出器(複数)は二次元(2D)アレイセンサとして構成されてもよい。検出器それぞれは、その独自のコレクタに結合されてもよいし、複数の検出器が1つ以上のコレクタを共有してもよい。本明細書に説明される任意の別の光学素子(複数)も、付加的な検出器(複数)に結合されて(光学経路に位置決めされて)もよい。コンピュータプロセッサは、ウェーハ上の欠陥を、本明細書にさらに説明されるように、付加的な検出器によって生成された出力に基づいて検出するように構成されてもよい。
【0076】
1つのそのような実施形態において、付加的な検出器は、その対物面がウェーハの上面に対して傾斜するように構成されてもよい。例えば、付加的な検出器(複数)および収集光学素子構成によって検査能力が提供された場合、個々の検出器の対物面は、この目的のために構成されて、検出器がウェーハ斜切面の側部および底部を「見る」ことを含めてサンプル上面に対して傾斜していてもよい。こうして、システムが多数の検出器を含む場合、検出器のうち1つ以上は、他の検出器(複数)とは異なる対物面を有してもよい。エッジの斜切面または側部からの光を検出するように構成された検出器のうち1つの対物面を傾斜させることは、その出力が、斜切面または側部上の欠陥を検出するために用いられる検出器には有益であろう。例えば、検出器の対物面が、エッジの上部斜切面と実質的に平行となるように傾斜され得る場合、検出器から生成される出力は、上部斜切面上の欠陥に対してより応答性が高くなり、それにより、より高い感応性でのそのような欠陥の検出を可能にする。
【0077】
本明細書に説明される実施形態は、ウェーハのエッジ上の欠陥を検出するように構成された完全に異なる光学サブシステムをも含んでいてもよい。そのような適切な光学サブシステムの一例が、本明細書に完全に説明された如くに組み込まれた、2007年10月9日に交付されたローゼンガウス(Rosengaus)の米国特許第7,280,197号明細書に記載されている。本明細書に説明される実施形態は、エッジ検査に関するこの特許に記載されるようにさらに構成されてもよい。
【0078】
しかし、ローゼンガウスによって記述されたようなエッジ検査システムは、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置(例えばウェーハの中心)を決定するためにエッジ検出が用いられ得る方式において、ウェーハのエッジ検出に必ずしも適していない。例えば、エッジ検査システムは必ずしも、ウェーハを越えて延出するウェーハ上のスポットを照明し、ウェーハのエッジに対応する出力(システムによって生成される)内の境界を識別し、ウェーハの中心または別のウェーハ上の固定位置を決定するために用いられ得るエッジのウェーハ検査座標を決定しなくてもよい。加えて、本明細書に説明されるように実質的に正確にウェーハの中心を計算するために、検出器は回転中にウェーハの角位置に基づいて出力を生成する必要がある。しかし、エッジ検査システムは一般にそのような能力を含まない。さらに、エッジ検査システムで典型的に用いられる照明スキームは、本明細書に説明される照明スキームとは実質的に異なり、エッジ検査システムと比べて、本明細書に説明される実施形態ではずっと簡略化され得る。
【0079】
本明細書に説明されるシステムの実施形態それぞれは、本明細書に説明される任意の別の実施形態(複数)に従って構成されてもよい。加えて、本明細書に説明されるシステムの実施形態それぞれは、本明細書に説明される方法の実施形態のうち1つ以上を実行するように構成されてもよい。
【0080】
別の実施形態は、本明細書に説明されるウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定するためにコンピュータで実施される方法を実行するためのコンピュータシステムで実行可能なプログラム命令を記憶する非一過性のコンピュータ可読媒体に関する。1つのそのような実施形態が図6に示される。例えば、図6に示されるように、コンピュータ可読媒体600は本明細書に説明される方法の1つ以上のステップを実行するコンピュータシステム604で実行可能なプログラム命令602を記憶する。
【0081】
本明細書に説明されるような方法を実行するプログラム命令602は、コンピュータ可読媒体600に記憶されてもよい。コンピュータ可読媒体は、磁気もしくは光学ディスクまたは磁気テープ、あるいは当技術分野で知られる任意の他の適切な非一過性のコンピュータ可読媒体であってよい。
【0082】
プログラム命令は、種々の方式のうちいずれで実行されてもよく、それはとりわけ、手順に基づく技法、構成要素に基づく技法、および/またはオブジェクト指向技法である。例えば、プログラム命令は、Matlab、Visual Basic、ActiveXコントロール、C、C++オブジェクト、C#、JavaBeans(登録商標)、Microsoft Foundation Classes(「MFC」)または、その他の所望の技法もしくは方法論を用いて実行されてもよい。
【0083】
コンピュータシステム604は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、システムコンピュータ、画像コンピュータ、プログラム可能な画像コンピュータ、並列プロセッサ、または当技術分野で知られる任意の他のデバイスを含む種々の形態をとってもよい。一般に、「コンピュータシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広義に定義され得る。
【0084】
1つの付加的な実施形態は、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定する方法に関する。方法は、ウェーハのエッジ上のスポットに光を指向することを含み、それは、本明細書に説明される照明サブシステムのいずれかを用いて、本明細書に説明される実施形態のうちいずれかによって実行されてもよい。スポットは、本明細書に説明されるように構成されてもよい。方法は、ウェーハを回転させて、それによりスポットをウェーハのエッジにわたり走査させることも含み、それは、本明細書に説明されるいずれかの段を用いて本明細書に説明される実施形態のうちいずれかによって実行されてもよい。本明細書にさらに説明されるように、ウェーハは、スポットがエッジにわたり走査される間に2回未満回転される。加えて、方法は、スポットがエッジにわたり走査される間にスポットからの光を検出し、それにより検出された光に応答して出力を生成することを含み、それは、本明細書に説明される検出器のうちいずれかを用いて、本明細書に説明される実施形態のうちいずれかによって実行されてもよい。
【0085】
方法はさらに、ウェーハのエッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標を出力に基づいて決定することを含み、それは、本明細書に説明されるコンピュータプロセッサのうちいずれかを用いて本明細書に説明される実施形態のうちいずれかによって実行されてもよい。方法は、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を、エッジ上の2箇所以上の位置のウェーハ検査座標に基づいて算定することも含み、それは、本明細書に説明されるコンピュータプロセッサのうちいずれかを用いて、本明細書に説明される実施形態のうちいずれかによって実行されてもよい。同じコンピュータプロセッサが、上記の決定ステップ両方を実行してもよい。
【0086】
上記の方法のステップそれぞれは、本明細書にさらに説明されるように実行されてもよい。上記の方法は、本明細書に説明される任意の他の方法(複数)の任意の他のステップ(複数)を含んでもよい。上記の方法は、本明細書に説明されるシステムのうちいずれを用いて実行されてもよい。
【0087】
本明細書に説明される方法は、コンピュータ可読記憶媒体での任意の方法の任意のステップ(複数)の結果を記憶することを含んでもよい。結果は、本明細書に説明される結果のうちいずれを含んでもよく、当技術分野で知られる任意の方式で記憶されてもよい。記憶媒体は、当技術分野で知られる任意の適切な記憶媒体を含んでもよい。結果が記憶された後で、結果は記憶媒体内でアクセスされて、本明細書に説明されるように用いられ、ユーザに表示するためにフォーマットされ、別のソフトウェアモジュール、方法またはシステム等によって用いられてもよい。
【0088】
本発明の種々の態様のさらなる変更および別の実施形態は、本発明の説明を考慮すれば、当業者には明白となろう。例えば、ウェーハ上の1箇所以上の固定位置のウェーハ検査座標を決定するための方法およびシステムが提供される。したがって、この説明は、例示のためのみであると解釈されるべきであり、当業者に本発明を実行する一般的な方式を教示する目的である。本明細書に図示され説明される本発明の形態は、目下の好適な実施形態と看做されるべきであることを理解すべきである。要素および材料は、本発明のこの説明の利益を得た後で、当業者には明らかとなるように、本明細書に図示され説明されるものと置き換えてもよく、部品および工程は逆転されてもよく、本発明の特定の特徴は独立して利用されてもよい。以下の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本明細書に説明される要素に変更がなされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6