(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記包装体が、1つ以上の区画を有するボックスの形態、又は1つ以上の区画を有する小袋の形態、又は1つ以上の区画を有するポーチの形態、又はボックスとポーチとの組み合わせの形態である、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装体。
少なくとも2つの区画を包含し、1つの区画が水性媒体中の錯化剤(A)を含有し、少なくとも1つのさらなる区画が実質的な固体組成物を含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装体。
前記包装体が少なくとも2つの区画を包含し、前記洗剤が無機過酸化物をさらに含み、前記無機過酸化物が、錯化剤(A)を含有する水性媒体を含有する区画中に存在しない、請求項1から10のいずれか一項に記載の包装体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の包装体は単位用量の形態である。本発明に関して、「単位用量」という用語は、洗濯機において1回の洗浄又は自動食器洗浄機において1回の食器洗浄のために設計されている洗剤組成物の量に指す。単位用量は、ホームケア利用又は産業若しくは施設利用、例えば、病院、食堂、レストラン、ホテル、ユースホステル、又は商業的洗濯(これに制限しない)のために設計されてもよい。好ましくは、本発明に関する単位用量は、ホームケア利用のために設計される。また、単位用量は単回単位用量として定義されてもよく、本発明に関して、両方の用語は相互に置き換えて使用されてもよい。
【0011】
単位用量を含む本発明の包装体は、様々な利用、特に自動食器洗浄又は洗濯のための利用に適用されてもよい。利用に応じて、洗剤組成物は錯化剤(A)の他に異なる成分を含有してもよく、所望の利用に応じて、サイズが異なってもよい。ホームケアに使用される本発明の包装体は、産業又は施設の利用に使用される本発明の包装体によりもサイズが小さいことが好ましい。自動食器洗浄の利用に使用される包装体は、洗濯洗浄の利用に使用される本発明の包装体によりもサイズが小さいであることが好ましい。
【0012】
本発明の一実施態様において、単位用量を含む本発明の包装体は、それぞれの洗剤組成物の全ての成分を有する単一の区画を包含する。好ましい実施態様において、本発明の包装体は、2つ以上の区画、例えば2つ、3つ又は4つの区画を包含する。
【0013】
本発明の一実施態様において、本発明の包装体は、1つ以上の区画を有するボックスの形態、又は1つ以上の区画を有する小袋(sachet)の形態、又は1つ以上の区画を有するポーチの形態、又はボックスと1つ以上のポーチとの組み合わせの形態、特にボックスと1つのポーチとの組み合わせの形態である。このような組み合わせにおいて、ボックス及びポーチが、それらを接着剤でつけることにより互いに接着されてもよい。2つの区画を有するポーチは、2室ポーチとも称される。したがって、特定の実施態様において、本発明による包装体は、2室ポーチの形態、又はボックスと1室ポーチとの組み合わせの形態であってもよい。
【0014】
前記包装体は、機械的可撓性又は剛性を有してもよい。機械的可撓性と機械的剛性との間の区別は、2本の指で平均最終消費
者による変形可能性の程度を手動で決定することによって行うことができる。そのような平均最終消費
者が、前記包装体の形状を少なくとも5%だけ一次元に変形させることができる場合、それぞれの包装体は機械的可撓性を有すると見なされ、そうでない場合、剛性を有すると見なされる。
【0015】
特定の実施態様において、本発明の包装体は、1つの錠剤当たり少なくとも1つの空洞を有する錠剤である。1つの空洞につき、少なくとも1つのポーチを有し、好ましくは、該空洞に配置され、該錠剤に付着する少なくとも1つのポーチを有する。特定の実施態様において、錯化剤(A)の溶液を含むポーチの容積は空洞の容積に対応し、例えば、それらは同様の容積±10%、好ましくは±5%を有してもよい。空洞、及び錯化剤(A)の溶液を含むポーチの形状及びサイズはより良く互いに対応するほど、輸送中の破損が少ないことが観察することができる。このような錠剤は、例えばポリビニルアルコールのフィルムで包装されてもよい。錠剤は、それぞれの洗剤組成物の成分、例えば界面活性剤、ビルダー(単数又は複数)、酵素及び/又は漂白剤を含む。
【0016】
他の特定の実施態様において、本発明の包装体は、1つのボックス当たり1つの空洞を有するボックスである。1つの空洞につき、少なくとも1つのポーチを有し、好ましくは、該空洞に置き、該ボックスに付着する少なくとも1つのポーチを有する。特定の実施態様において、錯化剤(A)の溶液を含むポーチの容積は空洞の容積に対応し、例えば、それらは同様の容積±10%、好ましくは±5%を有してもよい。空洞、及び錯化剤(A)の溶液を含むポーチの形状及びサイズはより良く互いに対応するほど、輸送中の破損が少ないことが観察することができる。ボックスは、それぞれの洗剤組成物の成分、例えば界面活性剤、ビルダー(単数又は複数)、酵素及び/又は漂白剤を含む。
【0017】
他の特定の実施態様において、本発明の包装体は、少なくとも2つの区画、例えば2つ、3つまたは4つの区画を包含するポーチである。区画の1つは、錯化剤(A)の溶液を含有する。それぞれの洗剤組成物の他の成分は、1つ以上の他の区画中にある。
【0018】
本発明の一実施態様において、本発明の包装体に含まれる全ての錯化剤(A)は、溶解した形態で特定の区画中にある。本発明の他の実施態様において、錯化剤(A)の一部は、上述したように、溶解した形態で1つの区画中に含まれ、さらなる錯化剤(A)は、利用できるように、本発明の包装体の他の区画又は1つの他の区画中に含まれる。
【0019】
固体洗剤組成物は残留水分を含有しでもよい。残留水分は、錯化剤(A)を溶解する水性媒体の部分の水以外の水を指す。本発明の一実施態様において、残留水分の含有量は、それぞれの洗剤組成物の合計に対して、0.1〜10質量%の範囲にある。残留水分の含有量は、カールフィッシャー滴定(Karl-Fischer-Titration)により、又は乾燥した質量損失の測定により決定されてもよい。
【0020】
本発明に関して、「ポーチ」という用語は、可撓性フィルム製の包装体に指す。前記包装体は、それぞれの食器洗浄用洗剤組成物の保管時に本質的に密閉されている。食器洗浄プロセスの間に、ポーチの内容物は、好ましくはポーチを溶解することにより、ポーチ自身から取り出される。
【0021】
本発明に関して、包装体、特にポーチは、様々な形状を有してもよい。例えば、包装体は、球状、楕円体、立方体、直方体の形態であってもよいし、幾何学的に不規則な形状であってもよい。特定の例において、ポーチは、封筒、枕、両端が密閉された可撓性スリーブ又は可撓性チューブ、球状又は立方体の形状を有してもよい。
【0022】
本発明の一実施態様において、本発明による包装体、特にポーチは、0.5〜7cmの直径を有する。
【0023】
本発明の一実施態様において、本発明による包装体、特にポーチ(密閉状態で)は、15〜70ml、好ましくは18〜50ml、特に20〜30mlの範囲の容積を有する。このような本発明の包装体は、特に、ホームケア利用における自動食器洗浄に有用である。ホームケア利用における織物材料ケアに特に有用である本発明の包装体は、15〜40ml、好ましくは25〜30mlの容積を有してもよい。
【0024】
本発明の一実施態様において、個々の区画は、0.5〜50ml、好ましくは5〜25mlの内容物を有する。本発明の包装体が2つ以上の区画を包含する実施態様において、このような区画は、同様のサイズ又は異なるサイズを有してもよい。好ましくは、本発明の包装体が2つ以上の区画を包含する実施態様において、このような包装体は、1つの主要な区画、及び1つまたは2つまたは3つのより小さい区画を包含する。
【0025】
本発明の包装体は、ポリマー製、好ましくは水溶性ポリマー製である。本発明に関するポーチは、ポリマーフィルム製である。
【0026】
前記ポリマーは、天然ポリマー、変性(modified)天然ポリマー、合成ポリマーから選択されもよい。好適な天然ポリマーの例としては、アルギネート、特にアルギン酸ナトリウム、さらにキサンタン、カラガム、デキストリン、マルトデキストリン、ゼラチン、デンプン及びペクチンが挙げられる。好適な変性天然ポリマーの例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びヒドロキシメチルセルロースが挙げられる。好適な合成ポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、好ましくはポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコール、特に少なくとも2,000g/mol、好ましくは3,000〜100,000g/molの範囲の分子量M
Wを有するポリエチレングリコール、並びに特にポリビニルアルコールが挙げられる。
【0027】
ここで使用される「ポリビニルアルコール」という用語は、酢酸ビニルのフリーラジカル重合、次の全ての又は大部分のエステル基の加水分解(鹸化)により生成することがきるポリビニルアルコールのホモポリマーだけでなく、酢酸ビニルと、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(「AMPS」)から選択される少なくとも1種のコモノマーとのフリーラジカル重合により得られうるコポリマーも含む。
【0028】
本発明の好ましい実施態様において、包装体、特にポーチの製造に使用されるポリビニルアルコールは、500〜3,000g/molの範囲の平均重合度(質量平均)を有する。好ましくは、このようなポリビニルアルコールの分子量M
Wは、6,000〜250,000g/mol、好ましくは75,000g/mol以下の範囲である。好ましくは、分子量は、それぞれのポリ酢酸ビニル又は鹸化前のそれぞれのコポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される。
【0029】
好ましくは、包装体、特にポーチの製造に使用されるポリビニルアルコールは、
1H NMR分光法によって決定されるアタクチック(atactic)である。
【0030】
包装体(特にポーチ)の製造に使用されるポリビニルアルコールは、実質的に(CH
2−CHOH)の反復単位を有する。ポリビニルアルコール中のヒドロキシル基は、主に1,3−位にあり、したがって−CH
2−CH(OH)−CH
2−CH(OH)−タイプの構造単位を形成する。少量(1〜2モル%)の末端(germinal)ヒドロキシル基が存在し、したがって−CH
2−CH(OH)−CH(OH)−CH
2−の構造単位を形成する。
【0031】
1種以上の変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール以外のポリマーとして、又はポリエチレングリコール若しくはポリビニルアルコールとの組み合わせで使用されてもよい。例としては、ポリ酢酸ビニルとグラフト化され、続いてエステル基を加水分解/鹸化するポリアルキレングリコールなどのグラフトコポリマーが挙げられる。
【0032】
ポリマーは、1種以上の添加剤の有無にかかわらず使用されてもよい。好適な添加剤は、特に、可塑剤、例えばC
4〜C
10−ジカルボン酸(例えば、アジピン酸)、並びに、グリコール、例えばエチレングリコール及びジエチレングリコールである。
【0033】
それらの製造のために、市販のポリビニルアルコールは、通常、残留の非鹸化エステル基、特にアセタート基を有する。包装体、特に本発明の実施態様のポーチの製造に使用されるポリビニルアルコールは、87〜89モル%の範囲の鹸化度を実質的に有する。鹸化度は、エステル値の決定に従って、例えばDIN EN ISO 3681 (2007−10)に従って決定することができる。
【0034】
本発明の一実施態様において、包装体の製造、特に本発明の実施態様のポーチの製造に使用されるポリビニルアルコールは、例えばDIN 53765:1994−03又はISO 11357−2:1999−03に従って決定することができる、55〜60℃(好ましくは58℃)の範囲のガラス転移温度を有する。
【0035】
本発明の一実施態様において、本発明の包装体の製造、特に本発明の実施態様のポーチの製造に使用されるポリビニルアルコールは、185〜187℃の範囲の融点を有する。
【0036】
本発明の一実施態様において、本発明の実施態様の包装体の製造、特に単回単位用量を含むポーチの製造に使用されるポリビニルアルコールは、糖類、例えばグルコース、フルクトース、又は澱粉で、部分的にアセタール化又はケタール化される。本発明の他の実施態様において、包装体、特にポーチの製造に使用されるポリビニルアルコールは、例えばマレイン酸又はイタコン酸で、部分的にエステル化される。
【0037】
本発明の一実施態様において、ポリビニルアルコールフィルムは、可塑剤を含有してもよい。可塑剤は、このようなポリビニルアルコールフィルムの剛性を低下することに使用されてもよい。ポリビニルアルコールのために使用できる可塑剤としての好適な化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、例えば400g/mol以下の平均分子量M
Wを有するポリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、及びネオ−ペンチルグリコールである。それぞれのポリビニルアルコールの25質量%以下は、可塑剤であってもよい。
【0038】
本発明の一実施態様において、前記ポーチはポリマーフィルムから製造され、前記ポリマーは、少なくとも40℃の温度、例えば40〜95℃の範囲の温度で水溶性であるが、5〜30度の範囲の温度で不溶性である。他の実施態様において、前記ポーチは、1℃でも水中に可溶性であるポリマーフィルムから製造される。本発明に関して、水溶性及び水中に可溶性という用語は、交互に使用される。それらの両方とも20℃の水中に溶解するポリマーを指し、その決定方法は下記に説明する。しかしながら、このようなポリマーは、錯化剤(A)を含有する水性媒体において、はるかに遅く溶解し、又は全く検出できない。溶解性のパーセンテージが少なくとも90%である場合、ポリマーは水溶性であると判断される。パーセンテージの好適な決定方法は、下記に開示される。
【0039】
1℃以上で可溶性であるポリマーフィルム、
及び40℃で可溶性であるポリマーフィルムの例は、Solublon(登録商標)の商標でSyntana E. Harke GmbH&Coから入手可能なポリビニルアルコールフィルムである。
【0040】
本発明の一実施態様において、本発明に使用することができるポーチの
製造に使用されるポリマーフィルム、好ましくはポリビニルアルコールフィルムは、10〜100μm、好ましくは20〜90μm、より好ましくは25〜35μmの範囲の厚さ(強度)を有する。ポリマーフィルム、特にポリビニルアルコールフィルムの強度が100μmを超える場合、洗濯サイクルの間にそれらを溶解するのに時間がかかりすぎる。ポリマーフィルム、特にポリビニルアルコールフィルムの強度が10μm未満である場合、それらは、機械的応力に敏感である。
【0041】
本発明の一実施態様において、錯化剤(A)を含有する溶液は、少なくとも1種の染料を含有する。染料の例としては、Acid Red 1、Acid Red 52、Acid Blue 9、Acid Yellow 3、Acid Yellow 23、Acid Yellow 73、Pigment Yellow 101、Acid Green 1、Solvent Green 7及びAcid Green 25が挙げられる。
【0042】
本発明の一実施態様において、錯化剤(A)を含有する溶液は、MGDA以外の少なくとも1種のキレート剤を含有する。例としては、クエン酸及びそれらのそれぞれのアルカリ金属塩、並びに、アミノポリカルボン酸塩及びそれらのそれぞれのアルカリ金属塩、例えば、IDS及びIDS−Na
4が挙げられる。他の実施態様において、錯化剤(A)を含有する溶液は、MGDA以外の任意のキレート剤を含有しない。
【0043】
本発明の一実施態様において、錯化剤(A)を含有する溶液は、少なくとも1種の粘度調整剤、例えば増粘剤を含有する。増粘剤の例としては、寒天、カルガゲン、トラガカント、アラビアゴム、アルギン酸塩、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ゼラチン、ローカストビーンガム、架橋ポリ(メタ)アクリレート、例えばメチレンビス−(メタ)アクリルアミドで架橋されたポリアクリル酸、さらにケイ酸、粘土、例えばモンモリロナイト(これに限定しない)、ゼオライト、並びに、さらにデキストリン及びカゼインが挙げられる。
【0044】
本発明の好ましい実施態様において、前記包装体、及び好ましくはこのようなポーチは、過酸化物も酵素も含有しない。通常、このような好ましい実施態様は、より長い貯蔵寿命を有する。
【0045】
包装体、特にポーチは無色であってもよい。他の実施態様において、それらは着色されてもよい。装飾的又は宣伝のために、それらに写真、ロゴ又は文書を印刷してもよい。
【0046】
洗剤組成物の単回単位用量を含む包装体は、水性媒体中に溶解された少なくとも1種の錯化剤(A)を含有し、前記錯化剤(A)が、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、又はそのそれぞれのモノ−、ジ−若しくはトリアルカリ金属塩、又はそのモノ−、ジ−若しくはトリアンモニウム塩のL−及びD−鏡像体の混合物であり、前記混合物が、5〜85%の範囲の鏡像体過剰率(ee)を有するそれぞれのL−異性体を主に含有する。
【0047】
ここに使用される水性媒体という表現は、室温で液体又はゲルであり、全ての連続相に基づいて(よって、MGDAを含まない)少なくとも33質量%の水を含有する媒体を指す。本発明の一実施態様において、前記水性媒体は、少なくとも1種の水と混合できる有機溶媒、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、N,N−ジエタノールアミン、N,N−ジイソプロパノールアミン及びN−メチルN,N−ジエタノールアミン(これに限定しない)を含有する。他の実施態様において、前記水性媒体は任意の有機溶媒を含有しない。
【0048】
本発明に使用されるアンモニウム塩という用語は、永久に又は一時的に四級化された窒素原子を持つカチオンの少なくとも1つを有する塩を指す。永久に四級化された窒素原子の少なくとも1つを持つカチオンの例は、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、及びn−C
10〜C
20−アルキルトリメチルアンモニウムを含む。一時的に四級化されたの少なくとも1つ窒素原子を持つカチオンの例は、プロトン化アミン及びアンモニア、例えばモノメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、モノエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、n−C
10〜C
20−アルキルジメチルアンモニウム2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、N−メチル2−ヒドロキシエチルアンモニウム、N,N−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、及び特にNH
4+を含む。
【0049】
本発明の一実施態様において、錯化剤(A)は、一般式(I)、
[CH
3-CH(COO)-N(CH
2-COO)
2]M
3-xH
x (I)
[式中、xは、0〜0.5、好ましくは0〜0.25の範囲であり、
Mは、置換又は非置換の、アンモニウム、カリウム、ナトリウム及びそれらの混合物、好ましくはナトリウムから選択される。M
3−xH
xの例としては、Na
3−xH
x、[Na
0.7(NH
4)
0.3]
3−xH
x、[(NH
4)
0.7Na
0.3]
3−xH
x、(K
0.7Na
0.3)
3−xH
x、(Na
0.7K
0.3)
3−xH
x、(K
0.22Na
0.78)
3−xH
x、(Na
0.22K
0.78)
3−xH
x及びK
3−xH
xが挙げられる。M
3−xH
xの好ましい例は、Na
3、Na
2K、K
2Na、Na
2.65K
0.35、K
2.65Na
0.35、K
3、(K
0.85Na
0.15)
3−xH
x及び(Na
0.85K
0.15)
3−xH
xから選択される。]
の分子のL−及びD−鏡像体の混合物から選択される。
【0050】
好ましいのは、MGDAのトリアルカリ金属塩、例えば、MGDAのトリカリウム塩、ジナトリウムモノカリウム塩、MGDAのジカリウムモノナトリウム塩、トリアルカリ金属塩(ここで、アルカリ金属の20〜25モル%はカリウムであり、残りの75〜80モル%はナトリウムである)、トリアルカリ金属塩(ここで、アルカリ金属の20〜25モル%はナトリウムであり、残りの75〜80モル%はカリウムである)、及びMGDAのトリカリウム塩である。
【0051】
本発明の一実施態様において、錯化剤(A)中のそれぞれのL−異性体の鏡像体過剰率は、5〜85%の範囲、好ましくは10〜75%の範囲、さらにより好ましくは少なくとも20〜60%の範囲である。
【0052】
2つ以上の一般式(I)の化合物が存在する実施態様において、eeは、全てのD−異性体と比較して、それぞれの混合物中に存在する全てのL−異性体の鏡像体過剰率を指す。例えば、MGDAのジ−及びトリナトリウム塩の混合物が存在する場合において、eeは、D−MGDAのジナトリウム塩及びトリナトリウム塩の合計に関して、L−MGDAのジナトリウム塩及びトリナトリウム塩の合計を指す。
【0053】
鏡像体過剰率は、偏光(旋光測定)の測定により、又は好ましくはクロマトグラフィーにより、例えばキラルカラム(例えば、固定化相としての1つ以上のシクロデキストリン又は配位子交換(Pirkle-brush)コンセプトキラル固定相)を有するHPLCにより決定されてもよい。好ましくは、銅(II)塩の存在下で、D−ペニシラミンなどの固定化された光学活性アミンを用いたHPLCにより、eeを決定する。
【0054】
本発明の一実施態様において、錯化剤(A)は、0.1〜10質量%の1種以上の光学不活性の不純物を含有してもよく、少なくとも1種の不純物は、イミノ二酢酸、ギ酸、グリコール酸、プロピオン酸、酢酸及びそれらのそれぞれのアルカリ金属塩又はモノ−、ジ−若しくはトリアンモニウム塩から選択される。本発明の一実施態様において、本発明の混合物は、0.2質量%未満、好ましくは0.01〜0.1質量%のニトリロトリ酢酸(NTA)を含有してもよい。パーセンテージは錯化剤(A)の合計に関する。
【0055】
本発明の一実施態様において、錯化剤(A)は、0.1〜10質量%の1種以上の光学活性の不純物を含有してもよく、少なくとも1種の不純物は、L−カルボキシメチルグルタメート及びそのそれぞれのモノ−又はジアルカリ金属塩、並びに、錯化剤(A)の合成の間に不完全な鹸化から生成する光学活性のモノ−又はジアミドから選択される。好ましくは、光学活性の不純物の量は、錯化剤(A)に基づいて0.01〜1.5質量%の範囲である。さらにより好ましくは、光学活性の不純物の量は0.1〜0.2質量%の範囲である。
【0056】
本発明の一態様において、錯化剤(A)は、少量の、アルカリ金属又はアンモニウム
以外のカチオンを含有してもよい。したがって、少量の、例えばアニオンに基づいて0.01〜5モル%の全体のキレート剤は、アルカリ土類金属カチオン、例えばMg
2+若しくはCa
2+、又は遷移金属イオン、例えばFe
2+若しくはFe
3+カチオンを有することが可能である。
【0057】
本発明の一実施態様において、水性媒体は、35〜75質量%、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは45〜70質量%、さらにより好ましくは48〜65質量%の錯化剤(A)を含有してもよい。
【0058】
水性媒体は、溶媒が実質的に水である媒体を指す。一実施態様において、このような水性媒体において、水は唯一な溶媒である。他の実施態様において、水と1種以上の水混和性溶媒との混合物は水性媒体として使用される。水混和性溶媒という用語は、相分離がないで、室温で水と混合できる有機溶媒を指す。例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、イソプロパノール及びジエチレングリコールが挙げられる。好ましくは、溶媒に基づいて、少なくとも50容積%のそれぞれの水性媒体は水である。
【0059】
本発明の一実施態様において、錯化剤(A)を含有する水性媒体は、8〜14、好ましくは10.0〜13.5の範囲のpH値を有する。
【0060】
本発明の一実施態様において、錯化剤(A)を含有する水性媒体は、水酸化アルカリ金属及び炭酸アルカリ金属から選択される少なくとも1種の無機塩基性塩を含有する。好ましい例としては、例えば0.1〜1.5質量%の、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、及び特に水酸化ナトリウムが挙げられる。水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムは、それぞれ、それぞれの錯化剤(A)の製造から生成することが可能である。
【0061】
本発明の包装体中に含まれる洗剤組成物は、ゲル状、液体状、又は実質的固体であってもよい。ゲル状の洗剤組成物は、鋳型(moulds)として提供されてもよい。本発明の洗剤組成物において、液体状は、包装体で提供されてもよく、前記包装体は少なくとも2つの区画を有し、1つの区画は、溶解した錯化剤(A)を含有し、第2の区画は、錯化剤(A)以外の食器洗浄洗剤組成物の少なくとも1つの成分、例えば界面活性剤若しくは界面活性剤の組み合わせに限定せず、酵素若しくはは酵素の組み合わせ、漂白剤、漂白触媒、又は錯化剤(A)以外のビルダーを含有する。
【0062】
上記によれば、本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は錯化剤(A)以外の成分を含有する。錯化剤(A)以外の成分の例としては、界面活性剤若しくは界面活性剤の組み合わせ、1種以上の酵素、漂白剤、漂白触媒、又は錯化剤(A)以外のビルダーが挙げられる。
【0063】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、MGDA以外の1種以上の錯化剤を含有してもよい。MGDA以外の錯化剤の例としては、クエン酸塩、ホスホン酸誘導体、例えばヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸のジナトリウム塩(「HEDP」)、例えばクエン酸トリナトリウム、およびSTPP(トリポリリン酸ナトリウム)などのリン酸塩が挙げられる。リン酸塩が環境問題を引き起こすことが原因で、本発明の包装体に含まれる洗剤組成物はリン酸塩を含有しないことが好ましい。この明細書において、「リン酸塩を含有しない」という用語は、リン酸塩及びポリリン酸塩の含有量が、合計で、質量分析により決定され、洗剤組成物の合計に基づいて10ppm〜0.2質量%の範囲にある意味と理解されるべきである。
【0064】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、1種以上の界面活性剤、好ましくは1種以上の非イオン性界面活性剤を含有してもよい。
【0065】
好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのジ−及びマルチブロックコポリマー、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとソルビタンとの反応生成物、アルキルポリグリコシド(APG)、ヒドロキシアルキル混合のエーテル及びアミンオキシドである。
【0066】
アルコキシル化アルコール及びアルコキシル化脂肪アルコールの好ましい例は、例えば、一般式(II)、
【化1】
(式中、
R
1は、同一又は異なり、水素及び直鎖C
1〜C
10−アルキルから選択され、好ましくはいずれの場合にも同一であり、エチル、特に好ましくは水素又はメチルであり、
R
2は、分岐又は直鎖のC
8〜C
22−アルキルから選択され、例えば、n−C
8H
17、n−C
10H
21、n−C
12H
25、n−C
14H
29、n−C
16H
33又はn−C
18H
37であり、
R
3は、C
1〜C
10−アルキル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル又はイソデシルから選択される)
の化合物である。
【0067】
変数m及びnは、0〜300の範囲にあり、n及びmの合計は、少なくとも1、好ましくは3〜50の範囲にある。好ましくは、mは1〜100の範囲にあり、nは0〜30の範囲にある。
【0068】
一実施態様において、一般式(II)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであってもよく、好ましくはブロックコポリマーである。
【0069】
アルコキシル化アルコールの他の好ましい例は、例えば、一般式(III)、
【化2】
(式中、
R
1は、同一又は異なり、水素及び直鎖C
1〜C
0−アルキルから選択され、好ましくはいずれの場合にも同一であり、エチル、特に好ましくは水素又はメチルであり、
R
2は、分岐又は直鎖のC
6〜C
20−アルキルから選択され、特に、n−C
8H
17、n−C
10H
21、n−C
12H
25、n−C
13H
27、n−C
15H
31、n−C
14H
29、n−C
16H
33、n−C
18H
37であり、
aは、0〜10、好ましくは1〜6の範囲の数字であり、
bは、1〜80、好ましくは4〜20の範囲の数字であり、
dは、0〜50、好ましくは4〜25の範囲の数字である)
の化合物である。
【0070】
a+b+dの合計は、好ましくは5〜100の範囲、さらにより好ましくは9〜50の範囲にある。
【0071】
ヒドロキシアルキル混合エーテルの好ましい例は、一般式(IV)、
【化3】
(式中、
R
1は、同一又は異なり、水素及び直鎖C
1〜C
10−アルキルから選択され、好ましくはいずれの場合にも同一であり、エチル、特に好ましくは水素又はメチルであり、
R
2は、分岐又は直鎖のC
8〜C
22−アルキルから選択され、例えば、イソ−C
11H
23、イソ−C
13H
27、n−C
8H
17、n−C
10H
21、n−C
12H
25、n−C
14H
29、n−C
16H
33又はn−C
18H
37であり、
R
3は、C
1〜C
18−アルキル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、イソデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、及びn−オクタデシルから選択される)
の化合物である。
【0072】
変数m及びnは、0〜300の範囲にあり、n及びmの合計は、少なくとも1、好ましくは5〜50の範囲にある。好ましくは、mは1〜100の範囲にあり、nは0〜30の範囲にある。
【0073】
一般式(III)及び(IV)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであってもよく、好ましくはブロックコポリマーである。
【0074】
さらなる好適な非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなるジ−及びマルチブロックコポリマーから選択される。さらなる好適な非イオン性界面活性剤は、エトキシル化又はプロピシル化ソルビタンエステルから選択される。アミンオキシド又はアルキルポリグリコシド、特に直鎖C
4〜C
16−アルキルポリグリコシド、及び分岐のC
8〜C
14−アルキルポリグリコシド、例えば一般平均式(V)、
【化4】
(式中、
R
5は、C
1〜C
4−アルキル、特にエチル、n−プロピル又はイソプロピルであり、
R
6は、−(CH
2)
2−R
5であり、
G
1は、4個〜6個の炭素原子を有する単糖から、特にグルコース及びキシロースから選択され、
yは、1.1〜4の範囲にあり、yは平均数である)
の化合物は、同様に好適である。
【0075】
非イオン性界面活性剤のさらなる例は、一般式(VI)及び(VII)、
【化5】
(式中、
AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選択され、
EOは、エチレンオキシド、CH
2CH
2−Oであり、
R
7は、分岐又は直鎖のC
8〜C
18−アルキルから選択され、
A
3Oは、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選択され、
wは、15〜70、好ましくは30〜50の範囲の数字であり、
w1及びw3は、1〜5の数字であり、
w2は、13〜35の範囲の数字である)
の化合物である。
【0076】
好適なさらなる非イオン性界面活性剤の概要は、EP A 0 851 023及びDE−A 198 19 187に見出される。
【0077】
また、2種以上の非イオン性界面活性剤の混合物が存在してもよい。
【0078】
存在する可能性がある他の界面活性剤は、両性(双性イオン)界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びそれらの混合物から選択される。
【0079】
両性界面活性剤の例としては、使用条件下で同一の分子中に正電荷及び負電荷を持つものが挙げられる。両性界面活性剤の好ましい例は、いわゆるベタイン型界面活性剤である。ベタイン型界面活性剤の多くの例は、1分子当たり、1つの四級化窒素原子及び1つのルボン酸基を持つ。両性界面活性剤の特に好ましい例は、コカミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)である。
【0080】
アミノオキシド界面活性剤の例は、一般式(VII)、
R
8R
9R
10N→O (VIII)
の化合物であり、
R
10、R
8及びR
9は、互いに独立して、脂肪族、脂環式又はC
2〜C
4−アルキレンC
10〜C
20−アルキルアミド部分から選択される。好ましくは、R
10はC
8〜C
20−アルキル又はC
2〜C
4−アルキレンC
10〜C
20−アルキルアミドから選択され、R
8及びR
9の両方ともメチルである。
【0081】
特に好ましい例は、時にラウラミンオキシドとも称される、ラウリルジメチルアミノオキシドである。さらなる特に好ましい例は、時にコカミドプロピルアミンオキシドも称される、コカミジルプロピルジメチルアミノオキシドである。
【0082】
好適なアニオン性界面活性剤の例としては、アルカリ金属及びアンモニウムの、C
8〜C
18−アルキル硫酸塩、C
8〜C
18−脂肪アルコールポリエーテル硫酸塩、エトキシル化C
4〜C
12−アルキルフェノール(エトキシル化度:1〜50モルのエチレンオキシド/モル)の硫酸半エステル塩、C
12〜C
18−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、例えばC
12〜C
18−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、さらにC
12〜C
18−アルキルスルホン酸塩、及びC
10〜C
18−アルキルアリールスルホン酸塩が挙げられる。好ましくは、前述した化合物の、アルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0083】
好適なアニオン性界面活性剤のさらなる例としては、石鹸、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン
酸、エーテルカルボン
酸、及びアルキルエーテルリン酸
のナトリウム塩又はカリウム塩が挙げられる。
【0084】
本発明の一実施態様において、本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びアミンオキシド界面活性剤から選択される界面活性剤の少なくとも1種を、0.1〜60質量%含有してもよい。
【0085】
好ましい実施態様において、本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、任意のアニオン性界面活性剤を含有しない。
【0086】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、漂白剤とも称される、少なくとも1種の漂白剤を含有してもよい。漂白剤は、塩素系漂白剤及び過酸化漂白剤から選択されてもよく、過酸化漂白剤は、無機過酸化漂白剤及び有機過酸化漂白剤から選択されてもよい。好ましくは、過炭酸アルカリ金属塩、過ホウ酸アルカリ金属塩、及び過硫酸アルカリ金属塩から選択される無機過酸化漂白剤である。
【0087】
有機過酸化漂白剤の例としては、有機過カルボン酸、特に有機過カルボン酸が挙げられる。
【0088】
好適な塩素含有の漂白剤は、例えば、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−クロロスルファミド、クロラミンT、クロラミンB、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム及びジクロロイソシアヌル酸ナトリウムである。
【0089】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、例えば、3〜10質量%の塩素含有の漂白剤を含んでもよい。
【0090】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、1種以上の漂白触媒を含んでもよい。漂白触媒は、漂白促進の遷移金属塩又は遷移金属複合体、例えばマンガン−、鉄−、コバルト−、ルテニウム−若しくはモリブデン−サレン複合体、又はカルボニル複合体から選択することができる。窒素含有の三脚型配位子を有するマンガン、鉄、コバルト、ルテニウムモリブデン、チタン、バナジウム及び銅の複合体、並びに、コバルト−、鉄−、銅−及びルテニウム−アミン複合体も、漂白触媒として使用することができる。
【0091】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、1種以上の漂白活性剤、例えば、N−メチルモルホリニウム−アセトニトリル塩(「MMA塩」)、トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩、N−アシルイミド、例えばN−ノナノイルスクシンイミド、1,5−ジアセチル−2,2−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(「DADHT」)又はニトリルクワット(nitrile quats)(トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩)を含んでもよい。
【0092】
好適な漂白活性剤のさらなる例としては、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)及びテトラアセチルへキシレンジアミンが挙げられる。
【0093】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、1種以上の腐食防止剤を含んでもよい。本発明において、金属の腐食を抑制する化合物を含むと理解されるべきである。好適な腐食防止剤の例としては、トリアゾール、特にベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾール、及びフェノール誘導体、例えばヒドロキノン、ピロカテコール、ヒドロキシヒドロキノン、没食子酸、フロログルシノール又はピロガロールが挙げられる。
【0094】
本発明の一実施態様において、本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、合計で、0.1〜1.5質量%の腐食防止剤を含む。
【0095】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、有機及び無機ビルダーから選択される1種以上のビルダーを含んでもよい。好適な無機ビルダーの例としては、硫酸ナトリウム又は炭酸ナトリウム又はケイ酸塩、特にジケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウム、ゼオライト、層状ケイ酸塩、特に式α−Na
2Si
2O
5、β−Na
2Si
2O
5及びδ−Na
2Si
2O
5のもの、また、脂肪酸スルホン酸塩、α−ヒドロキシプロピオン酸、マロン酸アルカリ金属塩、脂肪酸スルホン酸塩、ジコハク酸アルキル及びアルケニル、ジ酢酸酒石酸、モノ酢酸酒石酸、酸化澱粉、並びに、ポリマービルダー、例えばポリカルボン酸塩及びポリアスパラギン酸が挙げられる。
【0096】
有機ビルダーの例は、特にポリマー及びコポリマーである。本発明の一実施態様において、有機ビルダーは、ポリカルボン酸塩、例えば(メタ)アクリル酸ホモポリマー又は(メタ)アクリル酸コポリマーのアルカリ金属塩から選択される。
【0097】
好適なコモノマーは、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸及びシトラコン酸である。好適なポリマーは、特に、2000〜40000g/mol、好ましくは2000〜10000g/mol、特に3000〜8000g/molの範囲の平均分子量M
Wを好ましく有するポリアクリル酸である。また、好適であるのは、同様の範囲の分子量を有する、共重合ポリカルボン酸塩、特にメタアクリル酸とアクリル酸、及びマレイン酸及び/又はフマル酸とメタアクリル酸の共重合体である。
【0098】
また、モノエチレン性不飽和C
3〜C
10−モノ−若しくはC
4〜C
10−ジカルボン酸又はそれらの無水物、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸からなる群からの少なくとも1種のモノマーと、下記の少なくとも1種の親水性又は疎水性モノマーとのコポリマーを使用することが可能である。
【0099】
好適な疎水性モノマーは、例えば、イソブテン、ジイソブテン、ブテン、ペンテン、ヘキセン及びスチレン、10個以上の炭素原子を有するオレフィン、例えば1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン及び1-ヘキサコセン、又はそれらの混合物、C
22−α−オレフィン、C
22〜C
24−α−オレフィンと1分子当たり平均12〜100個の炭素原子を有するポリイソブテンとの混合物である。
【0100】
好適な親水性モノマーは、スルホン酸基又はホスホン酸基を有するモノマー、及びヒドロキシル官能基又はアルキレンオキシド基を有する非イオン性モノマーである。例としては、アリルアルコール、イソプレノール、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(プロピレンオキシド−コ−エチレンオキシド)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート及びエトキシポリ(プロピレンオキシド−コ−エチレンオキシド)(メタ)アクリレートが挙げられる。ここで、ポリアルキレングリコールは、1分子当たり、3〜50個、特に5〜40個、特に10〜30個アルキレンオキシド単位を含んでもよい。
【0101】
ここで、特に好ましいスルホン酸基含有のモノマーは、1−アクリルアミド−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタアリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、スルホメタアクリルアミド、スルホメチルメタアクリルアミド、及び前記酸の塩、例えばそれらのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩である。
【0102】
特に好ましいホスホン酸基含有のモノマーは、ビニルホスホン酸及びその塩である。
【0103】
ビルダーのさらなる例は、カルボキシメチルイヌリンである。
【0104】
さらに、両性ポリマーもビルダーとして使用することができる。
【0105】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、例えば、合計で、10〜70質量%、好ましくは50質量%以下のビルダーを含んでもよい。本発明に関して、MGDAはビルダーと見なされない。
【0106】
本発明の一実施態様において、本発明の包装体に含まれるこのような洗剤組成物は、1種以上のコビルダーを含んでもよい。
【0107】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、例えばシリコーンオイル及びパラフィンオイルから選択される少なくとも1種の消泡剤を含んでもよい。本発明の一実施態様において、本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、合計で、0.05〜0.5質量%の範囲の消泡剤を含む。
【0108】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、1種以上の酵素を含んでもよい。酵素の例としては、リパーゼ、加水分解酵素、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ及びペルオキシダーゼが挙げられる。
【0109】
本発明の一実施態様において、本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、例えば、5質量%以下、好ましくは0.1〜3質量%の酵素を含んでもよい。前記酵素は、例えば少なくとも1種のC
1〜C
3−カルボン酸又はC
4〜C
10−ジカルボン酸のナトリウム塩で安定化されてもよい。好ましくは、ギ酸塩、酢酸塩、アジピン酸塩及びコハク酸塩である。
【0110】
本発明の一実施態様において、本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は、少なくとも1種の亜鉛塩を含む。亜鉛塩は、水溶性又は非水溶性亜鉛塩から選択することができる。これに関して、この明細書において、非水溶性という用語は、25℃で0.1g/l以下の蒸留水中の溶解性を有する亜鉛塩を指す。したがって、より高い水溶解性を有する亜鉛塩は、この明細書において水溶性亜鉛塩を指す。
【0111】
本発明の一実施態様において、亜鉛塩は、安息香酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ZnCl
2、ZnSO
4、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、Zn(NO
3)
2、Zn(CH
3SO
3)
2及び没食子酸亜鉛、好ましくはZnCl
2、ZnSO
4、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、Zn(NO
3)
2、Zn(CH
3SO
3)
2及び没食子酸亜鉛から選択される。
【0112】
本発明の他の実施態様において、亜鉛塩は、ZnO、ZnO・aq、Zn(OH)
2及びZnCO
3から選択される。好ましくはZnO・aqである。
【0113】
本発明の一実施態様において、亜鉛塩は、10nm〜100μmの範囲の平均粒径(質量平均)を有する酸化亜鉛から選択される。
【0114】
亜鉛塩中のカチオンは、複合形態、例えばアンモニア配位子又は水配位子と複合される形態で存在することができ、特に水和形態で存在することができる。表記を簡略化するために、この明細書において、配位子が水配位子である場合、一般に配位子を省略する。
【0115】
本発明の包装体に含まれる洗剤組成物は多くの利点を有する。それらは、自動食器洗浄の利用において良好な洗浄特性を示す。それらは、良好な貯蔵寿命及び貯蔵寿命挙動(shelf-life behaviour)、並びに、変色、特に黄変する低い傾向を示す。錯化剤(A)は、鏡像異性的にラセミMGDAと比較して、包装体中に望ましくない沈殿物形成の傾向は極めて少ない又は全くない、向上された溶液挙動を示す。
【0116】
本発明の他の態様は、食器洗浄又は洗濯洗浄に本発明の包装体を使用する方法に関する。食器洗浄及び洗濯洗浄は、ホームケア又は産業及び施設利用、好ましくはホームケア利用に関する。特に好ましくは、ホームケア利用中の自動食器洗浄である。
【0117】
本発明の他の態様は、単回単位用量を含む本発明の包装体の製造方法に関し、前記方法は本発明の方法とも称される。本発明の他の態様は、本発明による包装体の区画の製造方法(以下、本発明の方法とも称される)に関する。本発明の方法は、以下工程(a)〜(e)とも称される複数の工程を含み、前記工程は、以下のように要約される:
(a)ポリマーを用意する工程と、
(b)液体を含むことができるように、少なくとも1つの凹部を有するようにポリマーを成形する工程と、
(c)水性媒体中に溶解された錯化剤(A)を用意する工程であって、前記錯化剤(A)は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、又はそのそれぞれのモノ−、ジ−若しくはトリアルカリ金属塩、又はモノ−、ジ−若しくはトリアンモニウム塩のL−及びD−鏡像体の混合物であり、前記混合物が、5〜85%の範囲の鏡像体過剰率(ee)を有するそれぞれのL−異性体を主に含有する、工程と、
(d)工程(c)による錯化剤(A)を含有する前記水性媒体を、工程(b)により形成された凹部に入れる工程と、
(e)開いている包装体又は区画を、それぞれ、閉じる工程と。
【0118】
好ましい実施態様において、包装体はポリマーフィルム製のポーチである。好ましくは、ポリマーはポリビニルアルコールである。以下、工程(a)〜(e)をより具体的に説明する。
【0119】
工程(a)は、ポリマー、好ましくはポリマーフィルム、さらにより好ましくはポリビニルアルコール製のフィルムを用意する工程である。
【0120】
包装体又はそのそれぞれの区画がポーチと異なる実施態様において、このようなポリマーは、フィルムと比較して、異なる厚さ、好ましくはより大きい厚さを有してもよい。それは顆粒の形態であってもよく、工程(b)(ポリマーを成形する工程)は、例えば射出成形により行われてもよい。
【0121】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の組成物のためのポーチの製造に使用されるポリマーフィルム、好ましくはポリビニルアルコールフィルムは、10〜100μm、好ましくは20〜90μm、さらにより好ましくは25〜35μmの範囲の厚さ(強度)を有する。ポリマーフィルム、特にポリビニルアルコールフィルムの強度が100μmを超える場合、洗濯サイクルの間にそれらを溶解するのに時間がかかりすぎる。ポリマーフィルム、特にポリビニルアルコールフィルムの強度が10μm未満である場合、それらは、機械的応力に敏感である。
【0122】
工程(b)において、ポリマー、好ましくはポリマーフィルムは、液体を含むことができるように、少なくとも1つの凹部を有するように成形される。例としては、特にそれぞれのポリマーの融点より5〜20℃低い温度での熱成形法が挙げられる。
【0123】
前記包装体がポーチである実施態様において、成形する工程は、ホース中で成形し、ホースをより短い部分にカットし、それぞれ片側を閉じることにより行われてもよく、それにより小袋を成形する。
【0124】
本発明の方法の特定の実施態様において、工程(b)は、少なくとも1つの空洞、好ましくは複数の空洞を有する成形型(forming die)を用いて行われる。このような空洞は、開口(孔)を有してもよく、該開口に通して減圧(「真空」)を適用してもよい。このような特定の実施態様において、ポリマーフィルムを成形型中に置く。その後、加熱装置によりポリマーを加熱する。同時に、例えば空洞/複数の空洞の開口に通して真空を適用することによりポリマーフィルムを成形する。
【0125】
真空を適用することに加えて、それを成形型と密接に接触させるために、ポリマーフィルムに対して空気又は不活性ガスを吹き込むことが可能である。
【0126】
工程(c)において、性媒体中に溶解された錯化剤(A)を用意する。このような錯化剤(A)の溶液の製造方法を、下記で開示する。
【0127】
それぞれの鏡像体を、例えば水溶液として混合することは可能であるが、D−MGDAの合成が面倒であるため、このような方法は好ましくない。部分的に中和されたL−アラニンから出発して、ダブルストレッカー(double Strecker)合成の意味でシアン化水素酸及びホルムアルデヒドと反応させ、次いで部分ラセミ化が起こる条件下でニトリル基を鹸化することが好ましい。
【0128】
例えば、ダブルストレッカー合成に付してもよい33〜37モル%のL−アラニン(遊離酸)と63〜67モル%のL−アラニンのアルカリ金属塩との混合物が好ましい。このようなダブルストレッカー合成は、2モルのHCN(遊離酸又はアルカリ金属塩として)及び2モルのホルムアルデヒドを水性媒体中に添加することによって行ってもよい。ダブルストレッカー合成は、20〜80℃、好ましくは35〜65℃の範囲の温度で行ってもよい。モノナトリウムL−ABAN(B)は、好ましくは部分的に中和された形態で得られる。
【0130】
鹸化は、アルカリ金属水酸化物を用いて行われる。所望であれば、異なるアルカリ金属の量及び比は、その比が一般式(I)中のMの所望の比に一致するように設定される。したがって、鹸化は、好ましくは2段階プロセスで行われ、この2つの段階は異なる温度で行われる。通常、検出可能なラセミ化が起こらない第1の段階は、20〜100℃、好ましくは40〜90℃の範囲の温度で行われる。好ましい圧力は標準圧である。
【0131】
鹸化の第2の段階は、155〜195℃、好ましくは175〜195℃の範囲の平均温度、及び5〜180分の範囲の平均滞留時間で行ってもよい。このような反応条件は、高圧、例えば3〜40atmで達成される。
【0132】
MがNaである実施態様において、190〜195℃のようなケン化の第2段階の温度間隔のより高い範囲は、5〜20分のような短い滞留時間と組み合わせられるか、又は155℃〜170℃のような第2段階の鹸化の温度間隔のより低い範囲は、50〜70分のようなより長い滞留時間と組み合わせられるか、又は175〜185℃のような中間温度は、21〜49分のような中間停滞時間と組み合わせられる。
【0133】
少なくとも一部のアルカリ金属がカリウムである実施態様において、さらにより短い停滞時間、例えば、160℃で15〜20分の停滞時間が可能である。
【0134】
上記合成の後、このようにして得られた錯化剤(A)の溶液は、例えば1つ以上の精製工程を実施することによって製造されてもよい。好適な精製工程は、アンモニアストリッピング、木炭による処理及び過酸化物による漂白である。
【0135】
錯化剤(A)の溶液を得る。錯化剤(A)を適用すべき濃度によって、合成の後、例えば蒸発によって水を除去する1つ以上の濃縮工程に付してもよい。
【0136】
工程(d)において、こうして得られた錯化剤(A)を含有する水性媒体を工程(b)で得られた凹部に入れる。工程(d)は、圧力を適用すること、又は単に重力を用いることにより行うことができる。圧力を適用することが好ましい。複数の空洞を有する金型(die)を使用した実施態様において、複合化剤(A)を含有する水性媒体を複数の凹部に同時に入れることが好ましい。
【0137】
一実施態様において、凹部を完全に充填する。他の実施態様において、凹部は、部分的にのみ、例えば50〜90容積%充填され、下記の工程(e)における水性媒体の流出を防止するために、後者の実施態様が好ましい。
【0138】
本発明の方法の工程(e)において、充填されて未だに開いている包装体を閉じる。このような閉じる工程は、密封、例えば加熱密封によって行うことが好ましい。他の実施態様は、開いている包装体に密封装置、例えばポリマーフィルム、好ましくは水溶性ポリマー製のフィルムを接着することを指す。
【0139】
ポーチの密封又は加熱密封を達成するために、別のポリマーフィルムを用意して、錯化剤(A)を含有する水性媒体を含有する成形フィルムを含む成形型の上にそれを置くことが好ましい。
【0140】
ポリマーフィルムの小袋が形成され、錯化剤(A)を含有する水性媒体で少なくとも部分的に充填される他の実施態様において、例えば加熱された金属装置などを介して、小袋の上部リムに単に加熱を適用することによって閉じてもよい。他の実施態様において、ポリマーフィルム製の包装体は、密封物質の化学反応を行うことによって閉じられてもよい。前記化学反応は、真空を適用することによって促進することが可能である。
【0141】
他の実施態様において、工程(b)、(d)及び(e)は、錯化剤(A)を含有する水性媒体を含有する封筒形ポーチを生成する垂直的成形−充填−密封のルートのように、行われる。
【実施例】
【0142】
実施例により、本発明をさらに説明する。
【0143】
Chirex 3126カラム((D)−ペニシラミン、5μm、250x4.6mm)を使用するHPLCにより、ee値を決定した。移動相(溶離液)は0.5mMのCuSO
4水溶液であった。注射:10μl、流速:1.3ml/分。254nmの紫外光により検出した。温度:20℃。実行時間は25分であった。L−及びD−MGDAピークの面積%の合計で割られたL−及びD−MGDAピークの面積%の差として、ee値を決定した。試料の作製:50mgの試験材料を10mlのメスフラスコ中に入れ、次に溶離液でマークを充填し、次に均質化した。
【0144】
ポリマーの水中の溶解度を、以下のように決定する:予め秤量した400mlのビーカーに、50g±0.1gのそれぞれのポリマーと245ml±1mlの蒸留水を入れる。このようにして得た混合物を、毎分600回転で、室温で30分磁気攪拌することによって撹拌する。このようにして得た溶液を、最大孔径20μmの濾過定性焼結ガラスフィルター(filtered qualitative sintered-glass filter)で濾過する。蒸発により、濾液から水を除去する。残渣は水溶性部分に対応する。真空下で50℃の温度で乾燥した後、%溶解度を決定することができる。
【0145】
I.L−とD−MGDA−Na
3との混合物の合成
他に明記されていない限り、ee値以外の実施例中のパーセンテージは質量%を指す。
【0146】
I.1 部分的に中和されたL−アラニンの溶液の合成
5リットルの攪拌フラスコに2,100gの脱イオン水を入れ、40℃まで加熱した。1,200gのL−アラニン(13.47mol、98%ee)を添加した。700gの50質量%の水酸化ナトリウム水溶液(8.75mol)を、30分わたって、生成したスラリーに添加した。前記添加の間に温度を60℃まで上げた。水酸化ナトリウムの添加を完了した後、60℃で30分攪拌した。透明な溶液を得た。
【0147】
I.2 錯化剤(A.1)、(A.2)及び(A.3)の水溶液の合成
約40%の錯化剤(A.1)〜(A.3)溶液の連続合成を、総容積8.5lの6つの撹拌タンク反応器のカスケードで行った。反応混合物は、全ての6つの攪拌タンク反応器(STR.1〜STR.6)を連続的に通過した。最後に通過する攪拌タンク反応器STR.6を管状反応器TR.7に接続した。最初の3つの攪拌タンク反応器STR.1〜STR.3では、ダブルストレッカー合成を行い、STR.1〜STR.3を40℃で運転した。STR.1〜STR.3中の平均滞留時間は、合計で45〜90分であった。3つの撹拌タンク反応器STR.4〜STR.6において、鹸化を行った。STR.4〜STR.6を60℃で運転した。STR.4〜STR.6の平均滞留時間は、合計で150〜400分であった。その後、130〜195℃の温度プロフィールで運転した管状反応器TR.7中で、鹸化を完了した。蒸気を用いて、標準圧下でカラム中で最後のアンモニアストリッピングを行った。ホルムアルデヒド(30%の水溶液)、I.1により得たL−アラニン(I)及びそのナトリウム塩の水溶液、並びに80モル%の所要のHCNをSTR.1に添加し、残りの20%の所要のHCNをSTR.2に添加し、所要の水酸化ナトリウム溶液をSTR.4に添加した。
【0148】
供給材料のモル比は、下記である:
L−アラニン及びそのナトリウム塩の合計:1.00、
ホルムアルデヒド=1.95〜2.05、
HCN=1.95〜2.10、及び
水酸化ナトリウム=3.15(工程(I.1)で添加した水酸化ナトリウムを含む水酸化ナトリウムの総量)。
【0149】
40質量%の錯化剤(A)溶液は、優れた嗅覚挙動(olfactory behavior)を示し、特に木炭による処理又は過酸化水素による漂白の後、黄変の傾向が低かった。
【0150】
【表1】
【0151】
濃度が50%になるまで、70℃で水の蒸発により、溶液の濃度を上げた。
【0152】
II.本発明のポーチの製造
鹸化度88モル%、厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルムを、それぞれ0.5mlの容量の6つの半球形空洞を有する金型の上に置く。手動圧力を加えることにより、1つの空洞につき、1つの凹部を形成する。ピペットを用いて、7〜8滴の錯化剤(A.1)、(A.2)又は(A.3)の溶液を各凹部に入れる(1mlは20滴に相当する)。次に、厚さ25μmの別のポリビニルアルコールフィルムを第1の金型の上に置く。熱(すなわち、180℃)又は真空を、1秒〜5秒のような短時間それぞれ適用することにより、凹部を密封する。次に、充填された予め成形されたポーチは、手動でカットすることができる。区画として機能する本発明のポーチを得る。各ポーチは、それぞれの錯化剤(A.1)〜(A.3)の溶液を含有する。5℃の冷蔵庫に保存しても、溶液からの固体の沈殿は観察することができない。
【0153】
III.洗剤組成物の製造
表2による実施例の洗剤組成物を、乾燥状態の個々成分を混合することにより製造する。
【0154】
【表2】
【0155】
錠剤(質量:18g)を、上記混合物のいずれかから形成してもよく、(II)からの1つのポーチをそれぞれの錠剤の上に置いてもよい。錠剤を(ポーチと一緒に)、ポリビニルアルコールのフィルム(鹸化度:88モル%、厚さ:35μm)中にパックする。自動食器洗浄機では錠剤を単位用量として使用し、優れた食器洗浄の結果を得る。錠剤の使用は便利である。
【0156】
上記で適用した非ラセミ混合物の代わりにラセミMGDA−Na
3を使用する場合、数時間後に、MGDAが存在するポーチ中に沈殿物の形成が観察することができる。