【文献】
Sharmoukh, W. et al.,Designed Synthesis of Multi-Electrochromic Systems Bearing Diaryl Ketone and Isophthalates,Journal of Organic Chemistry,米国,2010年,75,pp.6708-6711
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分Bが、重合性化合物の重合のために使用される条件下において重合反応に適するアルケニル基を含む1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のLC媒体。
ポリマー維持配向(PSA:polymer sustained alignment)タイプのLCディスプレイにおける請求項1または2に記載の重合性化合物または請求項3〜10のいずれか1項に記載のLC媒体の使用。
【発明を実施するための形態】
【0060】
<用語の定義>
本明細書において使用する場合、用語「チルト」および「チルト角」は、LCディスプレイ(本明細書において、好ましくは、PSAディスプレイ)においてLC媒体のLC分子がセル表面に対してチルトした配向に関する。本明細書において、チルト角は、LC分子の分子長軸(LCダイレクタ)と、LCセルを形成する平坦で平行な外板の表面との間の平均角(90°未満)を意味する。本明細書においては、低い値のチルト角(即ち、角度90°から大きく外れている)は、大きいチルトに対応する。チルト角を測定する適切な方法は、例において与えられている。他に示さない限り、上および下で開示される角度の値は、この測定方法に関する。
【0061】
本明細書において使用する場合、用語「メソゲン基」は当業者に既知で文献に記載されており、その引力および斥力的相互作用の異方性によって、低分子量または高分子物質中で液晶(LC:liquid−crystalline)相の発生に本質的に寄与する基を意味する。メソゲン基を含有する化合物(メソゲン化合物)は、それ自身では必ずしもLC相を有する必要はない。また、他の化合物と混合後および/または重合後のみに、メソゲン化合物がLC相挙動を示すことも可能である。典型的なメソゲン基は、例えば、剛直な棒状または円盤状の形状のユニットである。メソゲンまたはLC化合物に関して使用される用語および定義の概説は、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁において与えられている。
【0062】
用語「スペーサー基」は、以降では「Sp」とも呼ばれ、当業者に既知で文献に記載されており、例えば、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。本明細書で使用する場合、用語「スペーサー基」または「スペーサー」は、重合性メソゲン化合物中でメソゲン基および重合性基(1個または複数)を連結している屈曲性の基、例えばアルキレン基を意味する。
【0063】
本明細書で使用する場合、用語「反応性メソゲン」および「RM(reactive mesogen)」は、1個のメソゲン基および重合に適切な1個以上の官能基を含有する化合物を意味し、また、その官能基を「重合性基」または「P」とも呼ぶ。
【0064】
本明細書において使用する場合、用語「重合性化合物」は、他に述べない限り、重合性モノマー化合物を意味する。
【0065】
本明細書において使用する場合、用語「低分子量化合物」および「非重合性化合物」は、通常、モノマー性で、当業者に既知の通常の条件下、特に、上および下に記載される通りの重合性化合物またはRMの重合のために使用される条件下において重合に適する官能基を含有しない化合物を意味する。
【0066】
本明細書において使用する場合、用語「活性層」および「可スイッチ層」は、電界または磁界などの外部からの刺激で分子の配向が変化し、結果として偏光または非偏光に対する層の透過性が変化する、例えばLC分子などの構造的および光学的異方性を有する1種類以上の分子を含む電気光学的ディスプレイ、例えばLCディスプレイにおける層を意味する。
【0067】
<発明の詳細な記載>
他に述べない限り、式Iの化合物は、アキラル化合物より選択される。
【0068】
上および下において、「有機基」は、炭素または炭化水素基を表す。
【0069】
「炭素基」は、少なくとも1個の炭素原子を含有する一価または多価の有機基を表し、ただし、これは、更なる種類の原子を含有しない(例えば、−C≡C−など)か、または、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの1種類以上の更なる原子を含有していてもよい(例えば、カルボニルなど)かのいずれかである。用語「炭化水素基」は、1個以上のH原子を追加的に含有しており、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの1種類以上のヘテロ原子を含有していてもよい炭素基を表す。
【0070】
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを表す。
【0071】
−CO−、−C(=O)−および−C(O)−は、カルボニル基、即ち、
【0072】
【化3】
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を表す。
【0073】
「共役基(conjugated radical)」または「共役基(conjugated group)」は、sp
2−混成(またはsp−混成でもよい)の炭素原子を主に含有する基(radicalまたはgroup)を表し、また、炭素原子は対応するヘテロ原子で置き換えられていてもよい。最も単純な場合、これは、二重および単結合が交互に存在することを意味する。この文意において、「主に」は、自然に(作為的に)生じる欠陥(その結果、共役が中断する。)のために、用語「共役」を過小に評価しないことを意味する。更に、例えば、アリールアミン単位または特定のヘテロ環(即ち、N、O、PまたはS原子を介する共役)が該基(radicalまたはgroup)内に位置している場合、本出願の文章において、用語「共役」を同様に使用する。
【0074】
炭素または炭化水素基は、飽和または不飽和基のいずれでもよい。不飽和基は、例えば、アリール、アルケニルまたはアルキニル基である。3個より多いC原子を有する炭素または炭化水素基は、直鎖状、分岐状および/または環状のいずれでもよく、また、スピロ連結または縮合環を含有していてもよい。
【0075】
また、用語「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」などは、多価の基、例えば、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンなども包含する。
【0076】
用語「アリール」は、芳香族炭素基またはそれらより誘導される基を表す。用語「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子を含有し、上で定義される通りの「アリール」を表す。
【0077】
好ましい炭素および炭化水素基は、置換されていてもよく、1〜40個、好ましくは1〜25個、特に好ましくは1〜18個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ、置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有するアリールまたはアリールオキシ、または、置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシである。
【0078】
更に好ましい炭素および炭化水素基は、C
1〜C
40アルキル、C
2〜C
40アルケニル、C
2〜C
40アルキニル、C
3〜C
40アリル、C
4〜C
40アルキルジエニル、C
4〜C
40ポリエニル、C
6〜C
40アリール、C
6〜C
40アルキルアリール、C
6〜C
40アリールアルキル、C
6〜C
40アルキルアリールオキシ、C
6〜C
40アリールアルキルオキシ、C
2〜C
40ヘテロアリール、C
4〜C
40シクロアルキル、C
4〜C
40シクロアルケニルなどである。C
1〜C
22アルキル、C
2〜C
22アルケニル、C
2〜C
22アルキニル、C
3〜C
22アリル、C
4〜C
22アルキルジエニル、C
6〜C
12アリール、C
6〜C
20アリールアルキルおよびC
2〜C
20ヘテロアリールが特に好ましい。
【0079】
更に好ましい炭素および炭化水素基は、直鎖状、分岐状または環状で、1〜40個、好ましくは1〜25個のC原子を有するアルキル基であり、該基は無置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−C(R
x)=C(R
x)−、−C≡C−、−N(R
x)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよい。
【0080】
R
xは、好ましくは、H、ハロゲン、直鎖状、分岐状または環状で1〜25個のC原子を有するアルキル鎖(ただし加えて、1個以上の隣接していないC原子は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−によって置き換えられていてもよく、ただし、1個以上のH原子はフッ素により置き換えられていてもよい。)、置換されていてもよく6〜40個のC原子を有するアリールまたはアリールオキシ基、または置換されていてもよく2〜40個のC原子を有するヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基を表す。
【0081】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−ノノキシ、n−デコキシ、n−ウンデコキシ、n−ドデコキシなどである。
【0082】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロオクチル、ペルフルオロヘキシルなどである。
【0083】
好ましいアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルなどである。
【0084】
好ましいアルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニルなどである。
【0085】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−ノノキシ、n−デコキシ、n−ウンデコキシ、n−ドデコキシなどである。
【0086】
好ましいアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなどである。
【0087】
アリールおよびヘテロアリール基は単環でも多環でもよく、即ち、それらは1個の環(例えば、フェニルなど)または2個以上の環を含有してもよく、また、該基は縮合されていてもよく(例えば、ナフチルなど)または共有結合によって連結されていてもよく(例えば、ビフェニルなど)、または、縮合および連結された環の組み合わせを含有していてもよい。ヘテロアリール基は、好ましくは、O、N、SおよびSeより選択される1個以上のヘテロ原子を含有する。
【0088】
6〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリール基および5〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式ヘテロアリール基が特に好ましく、これらの基は縮合された環を含有していてもよく、置換されていてもよい。更に、5員、6員または7員のアリールおよびヘテロアリール基が好ましく、ただし加えて、1個以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、N、SまたはOで置き換えられていてもよい。
【0089】
好ましいアリール基は、例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、[1,1’:3’,1”]ターフェニル−2’−イル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、9,10−ジヒドロフェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどである。
【0090】
好ましいヘテロアリール基は、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどの5員環;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンなどの6員環;またはインドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフタイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリダイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合基;またはこれらの基の組み合わせである。
【0091】
また、上および下で述べるアリールおよびヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フッ素、フルオロアルキルまたは更なるアリールまたはヘテロアリール基で置換されてよい。
【0092】
(非芳香族)脂環式およびヘテロ環式基は、飽和環、即ち、排他的に単結合を含有するものと、また、部分的に不飽和な環、即ち、多重結合も含有してよいものとの両者を包含する。ヘテロ環式環は、好ましくは、Si、O、N、SおよびSeより選択される1個以上のヘテロ原子を含有する。
【0093】
(非芳香族)脂環式およびヘテロ環式基は、単環式、即ち、1個のみの環を含有(例えば、シクロヘキサンなど)してもよく、または、多環式、即ち、複数の環を含有(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタンなど)していてもよい。飽和基が、特に好ましい。更に、単環式、二環式または三環式で、5〜25個の環原子を有する基が好ましく、該基は縮合環を含有していてもよく、置換されていてもよい。更に、5員、6員、7員または8員の炭素環式基が好ましく、ただし加えて、1個以上のC原子はSiで置き換えられていてもよく、および/または、1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または、1個以上の隣接していないCH
2基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよい。
【0094】
好ましい脂環式およびヘテロ環式基は、例えば、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジンなどの5員基、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、ピペリジンなどの6員基、シクロヘプタンなどの7員基、および、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイルなどの縮合基である。
【0095】
好ましい置換基は、例えば、アルキルまたはアルコキシなどの溶解促進基、フッ素、ニトロまたはニトリルなどの電子吸引基、または、ポリマーにおいてガラス転移温度(Tg)を上昇させるための置換基、特に、例えば、t−ブチルまたは置換されていてもよいアリール基などの嵩高い基である。
【0096】
上および下で「L」とも呼ばれる好ましい置換基は、例えば、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R
x)
2、−C(=O)Y
1、−C(=O)R
x、−N(R
x)
2(ただし、R
xは上で示される意味を有し、Y
1はハロゲンを表す。)、置換されていてもよいシリルまたは置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは6〜20個のC原子を有するアリール、および、直鎖状または分岐状で、1〜25個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ(ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよい。)である。
【0097】
「置換されたシリルまたはアリール」は、好ましくは、ハロゲン、−CN、R
0、−OR
0、−CO−R
0、−CO−O−R
0、−O−CO−R
0または−O−CO−O−R
0による置換を意味し、ただし、R
0は上で示される意味を有する。
【0098】
特に好ましい置換基Lは、例えば、F、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、更に、フェニルである。
【0100】
【化4】
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式中、Lは上で示される意味の1つを有する。
【0101】
重合性基(P、P
1、P
2)は、例えば、フリーラジカルまたはイオン性連鎖重合、重付加または重縮合などの重合反応に適するか、または、例えば、ポリマー主鎖上への付加または縮合といったポリマー類似反応に適する基である。連鎖重合のための基、特に、C=C二重結合またはC≡C三重結合を含有するもの、および、例えば、オキセタンまたはエポキシド基などの開環重合に適する基が特に好ましい。
【0102】
好ましい重合性基は、CH
2=CW
1−CO−O−、CH
2=CW
1−CO−、
【0103】
【化5】
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CH
2=CW
2−(O)
k3−、CW
1=CH−CO−(O)
k3−、CW
1=CH−CO−NH−、CH
2=CW
1−CO−NH−、CH
3−CH=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−OCO−、(CH
2=CH−CH
2)
2CH−OCO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−CO−、HO−CW
2W
3−、HS−CW
2W
3−、HW
2N−、HO−CW
2W
3−NH−、CH
2=CW
1−CO−NH−、CH
2=CH−(COO)
k1−Phe−(O)
k2−、CH
2=CH−(CO)
k1−Phe−(O)
k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW
4W
5W
6Si−から成る群より選択され、式中、W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、F、ClまたはCH
3を表し、W
2およびW
3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルを表し、W
4、W
5およびW
6は、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを表し、W
7およびW
8は、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを表し、Pheは、上で定義される通りの1個以上の非重合性基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンを表し、k
1、k
2およびk
3は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、k
3は、好ましくは、1を表し、k
4は1〜10の整数を表す。
【0104】
特に好ましい重合性基は、CH
2=CW
1−CO−O−、CH
2=CW
1−CO−、
【0105】
【化6】
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CH
2=CW
2−O−、CH
2=CW
2−、CW
1=CH−CO−(O)
k3−、CW
1=CH−CO−NH−、CH
2=CW
1−CO−NH−、(CH
2=CH)
2CH−OCO−、(CH
2=CH−CH
2)
2CH−OCO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−CO−、CH
2=CW
1−CO−NH−、CH
2=CH−(COO)
k1−Phe−(O)
k2−、CH
2=CH−(CO)
k1−Phe−(O)
k2−、Phe−CH=CH−およびW
4W
5W
6Si−から成る群より選択され、式中、W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、F、ClまたはCH
3を表し、W
2およびW
3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルを表し、W
4、W
5およびW
6は、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを表し、W
7およびW
8は、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを表し、Pheは1,4−フェニレンを表し、k
1、k
2およびk
3は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、k
3は、好ましくは、1を表し、k
4は1〜10の整数を表す。
【0106】
非常に特に好ましい重合性基は、CH
2=CW
1−CO−O−、特に、CH
2=CH−CO−O−、CH
2=C(CH
3)−CO−O−およびCH
2=CF−CO−O−、更に、CH
2=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−O−CO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、
【0107】
【化7】
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から成る群より選択される。
【0108】
更に非常に特に好ましい重合性基は、ビニル、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシド基から成る群より選択され、特に好ましくは、アクリレート、メタクリレートまたはオキセタン基を表す。
【0109】
スペーサー基Sp、Sp
1およびSp
2は、好ましくは、式Sp”−X”から選択され、ただし、Sp”は重合性基に連結されており(例えば、基P−Sp−、P
1−Sp
1−またはP
2−Sp
2−は、それぞれ、式P−Sp”−X”またはP
1/2−Sp”−X”−であるようにする。)、ただし、Sp”およびX”は以下の意味を有する。
【0110】
Sp”は、1〜20個、好ましくは1〜15個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキレンを表し、該基は、F、Cl、Br、I、CNまたはP
1−Sp
1−で一置換または多置換されていてもよく、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−N(R
0)−、−Si(R
00R
000)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−N(R
00)−CO−O−、−O−CO−N(R
00)−、−N(R
00)−CO−N(R
00)−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X”は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R
00)−、−N(R
00)−CO−、−N(R
00)−CO−N(R
00)−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
2=CY
3−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−または単結合を表し、ただし、式IにおいてX”がエステル基(O−COまたはCO−O)に隣接している場合、X”は単結合を表し、
R
00およびR
000は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
Y
2およびY
3は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、および
P
1およびSp
1は、式Iで定義される通りである。
【0111】
X”は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
0−または単結合であり、非常に好ましくは、−O−または単結合である。
【0112】
好ましいスペーサー基Sp、Sp
1、Sp
2およびSp”−X”−としては、限定することなく、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p2−O−(CH
2)
p3−、−(CH
2)
p2−S−(CH
2)
p3−、−(CH
2)
p2−NH−(CH
2)
p3−、−(CH
2)
p1−O−、−O−(CH
2)
p1−、または
【0113】
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
が挙げられ、
式中、
p1は、1〜12、好ましくは1〜6の整数であり、
p2およびp3は、それぞれ互いに独立に、1〜6の整数、好ましくは、1、2または3であり、
ただし、
基Sp
1−(O−CO)
x−においてxが1の場合、Sp
1は−(CH
2)
p1−O−または−O−(CH
2)
p1−ではなく、
基−(CO−O)
y−Sp
2−P
2においてyが1の場合、Sp
2は−(CH
2)
p1−O−または−O−(CH
2)
p1−ではない。
【0114】
本発明の好ましい実施形態は、スペーサー基Sp、Sp
1、Sp
2およびSp
3がSp’−X’を表す式Iの化合物に関し、式中、Sp’は上で定義される通りで直鎖状のアルキレンより選択される。
【0115】
本発明の他の好ましい実施形態は、少なくとも1個の基P−Sp−、P
1−Sp
1−、P
2−Sp
2−またはP
3−Sp
3−を含有する式Iの化合物に関し、式中、Sp、Sp
1、Sp
2およびSp
3は、それぞれSp’−X’を表し、式中、Sp’は上で定義される通りの基Pで置換されている分岐状のアルキレン(分岐状重合性基)である。
【0116】
A
1およびA
2は、それぞれ互いに独立に、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイル(ただし、これらの基において1個以上のCH基は、Nで置き換えられていてもよい。)、シクロヘキサン−1,4−ジイル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはSで置き換えられていてもよい。)、1,4−シクロヘキセニレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、オクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイル、アントラセン−2,7−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイルまたは9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル(ただし、これら全ての基は無置換であるか、Lで一置換または多置換されている。)を表す式Iの化合物が更に好ましい。
【0117】
式Iの更に好ましい化合物は、以下のものである。
【0121】
・A
1およびA
2の少なくとも一方は、P
1−Sp
1−(O−CO)
x−を表す基Lで置換されている。
【0122】
・mは1または2であり、一方または両方の基A
1はP
1−Sp
1−(O−CO)
x−を表す基Lで置換されている。
【0123】
・mは1または2であり、A
2はP
1−Sp
1−(O−CO)
x−を表す基Lで置換されている。
【0124】
・mは1であり、A
2はP
1−Sp
1−(O−CO)
x−を表す基Lで置換されている。
【0125】
・mは2であり、A
2はP
1−Sp
1−(O−CO)
x−を表す基Lで置換されている。
【0126】
・mは2であり、中央の基A
1はP
1−Sp
1−(O−CO)
x−を表す基Lで置換されている。
【0127】
・式Iにおいて全てのxおよびyの合計は、1である(化合物は、式P
1−Sp
1−O−CO−およびCO−O−Sp
2−P
2より選択される基を1個のみ含有する)。
【0128】
・P
1およびP
2は、アクリレート、メタクリレートおよびオキセタンから成る群より選択される。
【0129】
・Sp
1およびSp
2は、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p2−O−(CH
2)
p3−、−(CH
2)
p1−O−、−O−(CH
2)
p1−または
【0130】
【化9】
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より選択され、
式中、
p1は、1〜6の整数、好ましくは、1、2または3であり、
p2およびp3は、それぞれ互いに独立に、1、2または3であり、
ただし、
基Sp
1−(O−CO)
x−においてxが1の場合、Sp
1は−(CH
2)
p1−O−または−O−(CH
2)
p1−ではなく、
基−(CO−O)
y−Sp
2−P
2においてyが1の場合、Sp
2は−(CH
2)
p1−O−または−O−(CH
2)
p1−ではない。
【0131】
・基Sp
1またはSp
2の少なくとも一方はSp”−X”を表し、式中、Sp”は上で定義される通りの基P
1−Sp
1−で置換されており、ただし好ましくは、Sp’は、好ましくは、1個、2個または3個のC原子を有するアルキレンを表し、P
1は、好ましくは、アクリレート、メタクリレートまたはオキセタンを表す。
【0132】
・A
1およびA
2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイルおよび9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイルから成る群より選択され、ただし加えて、これらの環における1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし、これらの環は、上および下に記載されるLで一置換または多置換されていてもよい。
【0133】
・A
1およびA
2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレンおよびナフタレン−2,6−ジイルから成る群より選択される。
【0134】
・A
1およびA
2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレンおよび1,2−フェニレンから成る群より選択される。
【0135】
・Z
1は、−O−、−CO−O−、−OCO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−C≡C−および単結合から成る群より選択される。
【0137】
・A
1およびA
2の少なくとも一方は、好ましくは、F、Cl、−CNおよび1〜25個、好ましくは1〜10個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルより選択される非重合性の基である基Lで置換されており、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が直接連結しないようにして、−C(R
00)=C(R
000)−、−C≡C−、−N(R
00)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、Br、IまたはCNで置き換えられていてもよい。
【0138】
式Iの好ましい化合物は、以下のサブ式より選択される。
【0139】
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【0140】
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【0141】
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0142】
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0143】
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
Pがオルト位である式を含み、
式中、
P
1、P
2、Sp
1、Sp
2およびLは式Iで定義される通りであり、
p2およびp3は、それぞれ互いに独立に、1〜6の整数、好ましくは、1、2または3であり、
rは、0、1、2、3または4である。
【0144】
式Iの非常に好ましい化合物は、以下のサブ式より選択される。
【0145】
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0146】
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0147】
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0148】
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0149】
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【0150】
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0151】
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0152】
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
【0153】
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
【0154】
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
【0155】
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
【0156】
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
【0157】
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0158】
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
式中、「Me」はメチル基を表す。
【0159】
メタクリレート基がアクリレート基で置き換えられた上に列記する通りのサブ式I1−1〜I33−1の化合物が更に好ましい。
【0160】
本発明は、更に、式Iおよび上に列記する通りの式Iのサブ式I1〜I33およびI1−1〜I33−1の新規化合物に関する。
【0161】
本発明は、更に、式Iおよびそれのサブ式の化合物を調製するための中間体として適切で、好ましくは使用される式IIの新規化合物に関する。
【0162】
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Sp
1、Sp
2、A
1、A
2、Z
1およびmは、式Iまたは上および下に示される意味を有し、
Pg
1およびPg
2は、それぞれ互いに独立に、OH、保護されたヒドロキシ基またはマスクされたヒドロキシ基を表す。
【0163】
適切な保護されたヒドロキシ基Pg
1、2は、当業者に既知である。ヒドロキシ基のための好ましい保護基は、アルキル、アルコキシアルキル、アシル、アルキルシリル、アリールシリルおよびアリールメチル基、特に、2−テトラヒドロピラニル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、アセチル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリルまたはベンジルである。
【0164】
用語「マスクされたヒドロキシ基」は、化学的にヒドロキシ基に転化できる任意の官能基を意味すると理解される。適切なマスクされたヒドロキシ基Pg
1、2は、当業者に既知である。好ましい「マスクされたヒドロキシ基」は、アルケン、エーテル、アルデヒド、ケトン、エステル、Br、Cl、Iまたはエポキシドである。
【0165】
式IIの特に好ましい化合物は、P
1およびP
2が、それぞれPg
1およびPg
2で置き換えられた上の式I1〜I33より選択される。
【0166】
式IおよびIIおよびそれらのサブ式の化合物および中間体は、当業者に既知で、例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme−Verlag、Stuttgartなどの有機化学の標準的な著作に記載される方法に類似して調製できる。
【0167】
式IおよびIIの化合物および中間体を調製する特に適切で好ましい方法を以下のスキームに例示として示し、それらは、好ましくは、下に記載する1つ以上の工程を含む。
【0168】
例えば、重合性基P
1を含有する対応する酸、酸誘導体またはハロゲン化された化合物を使用して、Pg
1、2がOHを表す式IIの中間体をエステル化またはエーテル化することで、式Iの化合物を合成できる。
【0169】
スキーム1に例示する通り、ピリジンまたはトリエチルアミンおよび4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP:4−(N,N−dimethylamino)pyridine)などの塩基の存在下において、例えば、塩化(メタ)アクリルまたは(メタ)アクリル酸無水物などの酸誘導体で対応するアルコールをエステル化して、アクリル酸またはメタアクリル酸エステル(ただし、Sp
1,2、A
1〜2、Z
1、m、xおよびyは上で与えられる意味を有し、「Acr」はアクリレート基またはメタクリレート基を表す。)を調製できる。あるいは、脱水試薬、例えばステグリッヒによるジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC:dicyclohexylcarbodiimide)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC:N−(3−dimethylaminopropyl)−N’−ethylcarbodiimide)またはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩およびDMAPの存在下において、(メタ)アクリル酸でアルコールをエステル化して、エステルを調製できる。
【0170】
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
式IIの中間体は、文献に記載される既知の方法に類似して合成できる。化合物(1)などの式Iの化合物および化合物(1.3)などの式IIで表される式Iの化合物の中間体の合成を、スキーム2に例示する。
【0171】
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
商業的に入手可能な[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸および5−ブロモイソフタル酸よりアリール−アリールカップリングで、4’−ベンジルオキシ−ビフェニル−3,5−ジカルボン酸(1.1)を調製する。(2−ブロモエトキシメチル)ベンゼンとエステル化して、化合物(1.2)を与える。ベンジル保護基を除去して、化合物(1.3)を与える。メタクリル酸とエステル化して、化合物(1)を与える。
【0172】
式Iの他の化合物は、上記の方法に類似して調製できる。
【0173】
PSAディスプレイを製造するために、電圧を印加しながら、LCディスプレイの基板間でLC媒体中において、その場での重合により、重合性化合物を重合または架橋(1つの化合物が2個以上の重合性基を含有する場合)する。重合は単一の工程で行うことができる。また、最初に、プレチルト角を生成するために第1工程において電圧を印加して重合を行い、続いて、第2重合工程において電圧を印加せずに、第1工程において反応しなかった化合物を重合または架橋する(「最終硬化」)ことも可能である。
【0174】
適切で好ましい重合方法は、例えば、熱または光重合で、好ましくは光重合であり、特にはUV光重合である。また、任意成分として、ここに1種類以上の開始剤を加えることもできる。重合に適切な条件および開始剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、商業的に入手可能な光重合開始剤Irgacure651(登録商標)、Irgacure184(登録商標)、Irgacure907(登録商標)、Irgacure369(登録商標)またはDarocure1173(登録商標)(Ciba社)がフリーラジカル重合に適する。開始剤を用いる場合、開始剤の割合は、好ましくは、0.001〜5重量%、特に好ましくは、0.001〜1重量%である。
【0175】
また、本発明による重合性化合物は開始剤を伴わない重合にも適しており、このことは、例えば、材料費がより低く、特に、開始剤またはその劣化生成物の残存し得る量によるLC媒体の汚染がより少ないなどの特筆すべき利点を伴う。このように、開始剤を加えることなく、重合を行うこともできる。よって、好ましい実施形態において、LC媒体は重合開始剤を含まない。
【0176】
また、例えば、保存または輸送中におけるRMの好ましくない自発的な重合を防止するために、重合性成分A)またはLC媒体は1種類以上の安定剤を含んでもよい。安定剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、Irganox(登録商標)シリーズ(Ciba社)からの商業的に入手可能な安定剤、例えば、Irganox(登録商標)1076などが特に適切である。安定剤を用いる場合、安定剤の割合は、RMまたは重合性成分A)の総量を基礎として、好ましくは、10〜500,000ppm、特に好ましくは、50〜50,000ppmである。
【0177】
好ましくは、本発明によるLC媒体は、式Iの1種類以上の重合性化合物と、上および下に記載する通りのLCホスト混合物とから本質的になる。しかしながら、LC媒体またはLCホスト混合物は、好ましくは、コモノマー、キラルドーパント、重合開始剤、禁止剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、助剤、着色剤、色素、顔料およびナノ粒子が挙げられるリストより限定することなく選ばれる1種類以上の更なる成分または添加剤を追加的に含んでよい。
【0178】
PSAディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は、好ましくは、0重量%より多く5重量%未満、特に好ましくは、0重量%より多く1重量%未満、非常に特に好ましくは、0.01重量%〜0.5重量%の重合性化合物、特には、上で示した式の重合性化合物を含む。
【0179】
1種類、2種類または3種類の本発明による重合性化合物を含むLC媒体が特に好ましい。
【0180】
更に、重合性成分(成分A)が本発明による重合性化合物を排他的に含むLC媒体が好ましい。
【0181】
更に、成分B)がネマチック液晶相を有するLC化合物またはLC混合物であるLC媒体が好ましい。
【0182】
更に、本発明によるアキラルな重合性化合物と、成分A)および/またはB)の化合物がアキラルな化合物から成る群より排他的に選択されるLC媒体とが好ましい。
【0183】
更に、重合性成分または成分A)が、1個の重合性基を含有する本発明による1種類以上の重合性化合物(一反応性)と、2個以上、好ましくは2個の重合性基を含有する本発明による1種類以上の重合性化合物(二反応性または多反応性)とを含むLC媒体が好ましい。
【0184】
更に、重合性成分または成分A)が、2個の重合性基を含有する本発明による重合性化合物(二反応性)を排他的に含むPSAディスプレイおよびLC媒体が好ましい。
【0185】
本発明によるLC媒体における重合性成分または成分A)の割合は、好ましくは、0%より多く5%未満、特に好ましくは、0%より多く1%未満、非常に特に好ましくは、0.01%〜0.5%である。
【0186】
本発明によるLC媒体における液晶成分または成分B)の割合は、好ましくは、95%〜100%未満、特に好ましくは、99%〜100%未満である。
【0187】
本発明による重合性化合物は個別に重合できるが、また、本発明による2種類以上の重合性化合物を含む混合物、または、本発明による1種類以上の重合性化合物と、好ましくは、メソゲンまたは液晶である1種類以上の更なる重合性化合物(「コモノマー」)とを含む混合物を重合することも可能である。そのような混合物を重合する場合、コポリマーが形成される。本発明は、更に、上および下で述べる重合性混合物に関する。重合性化合物およびコモノマーは、メソゲンまたは非メソゲン、好ましくは、メソゲンまたは液晶である。
【0188】
特に、PSAディスプレイにおける使用に適切で好ましいメソゲンコモノマーは、例えば、以下の式より選択される。
【0189】
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0190】
【化33】
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【0191】
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【0192】
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【0193】
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
式中、個々の基は以下の意味を有する:
P
1、P
2およびP
3は、それぞれ互いに独立に、P
1に対して上および下で示される意味の1つを有する重合性基、特に好ましくは、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、オキセタン、ビニル、ビニルオキシまたはエポキシド基を表し、
Sp
1、Sp
2およびSp
3は、それぞれ互いに独立に、単結合またはスペーサー(好ましくは、Spに対して、上および下で示される意味の1つを有する。)を表し、特に好ましくは、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−(CH
2)
p1−CO−O−または−(CH
2)
p1−O−CO−O−を表し、式中、p1は1〜12の整数であり、ただし、最後に述べた基において隣接する環への連結はO原子を介して起こり、
ただし加えて、存在する基P
1−Sp
1−、P
2−Sp
2−およびP
3−Sp
3−の少なくとも1つがR
aaと異なることを条件として、1個以上の基P
1−Sp
1−、P
2−Sp
2−およびP
3−Sp
3−はR
aaを表してもよく、
R
aaは、H、F、Cl、CN、または、1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、C(R
0)=C(R
00)−、−C≡C−、−N(R
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、CNまたはP
1−Sp
1−で置き換えられていてもよい。)、特に好ましくは、直鎖状または分岐状で一フッ素化または多フッ素化されていてもよく1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ(ただし、アルケニルおよびアルキニル基は少なくとも2個のC原子を有し、分岐状の基は少なくとも3個のC原子を有する。)を表し、
R
0、R
00は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
R
yおよびR
zは、それぞれ互いに独立に、H、F、CH
3またはCF
3を表し、
X
1、X
2およびX
3は、それぞれ互いに独立に、−CO−O−、−O−CO−または単結合を表し、
Z
1は、−O−、−CO−、−C(R
yR
z)−または−CF
2CF
2−を表し、
Z
2およびZ
3は、それぞれ互いに独立に、−CO−O−、−O−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−または−(CH
2)
n−を表し、ただし、nは、2、3または4であり、
Lは、それぞれの出現において同一または異なって、F、Cl、CN、または、直鎖状または分岐状で一フッ素化または多フッ素化されていてもよく1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、好ましくは、Fを表し、
L’およびL”は、それぞれ互いに独立に、H、FまたはClを表し、
rは、0、1、2、3または4を表し、
sは、0、1、2または3を表し、
tは、0、1または2を表し、
xは、0または1を表す。
【0194】
式M1〜M28の化合物が特に好ましい。
【0196】
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
ただし、Lは、それぞれの出現において同一または異なって、上および下で与えられる意味の1つを有し、好ましくは、F、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5またはP−Sp−、非常に好ましくは、F、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、OCH
3、COCH
3、OCF
3またはP−Sp−、より好ましくは、F、Cl、CH
3、OCH
3、COCH
3またはOCF
3、特に、FまたはCH
3である。
【0197】
上記の重合性化合物に加え、本発明によるLCディスプレイにおいて使用するためのLC媒体は、1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(即ち、モノマーまたは未重合の)化合物を含むLC混合物(「ホスト混合物」)を含む。低分子量化合物は、重合性化合物の重合のために使用される条件下において重合反応に対して安定または非反応性である。原理的には、従来のVAおよびOCBディスプレイにおける使用に適する任意のLC混合物がホスト混合物として適する。適切なLC混合物は当業者に既知で文献に記載されており、例えば、欧州特許出願公開第1 378 557号公報におけるVAディスプレイ中の混合物、および、欧州特許出願公開第1 306 418号公報およびドイツ国特許出願公開第102 24 046号公報におけるOCBディスプレイ中の混合物である。
【0198】
式Iの重合性化合物は、アルケニル基を含む1種類以上の化合物(「アルケニル化合物」)を含むLCホスト混合物における使用に特に適しており、ただし、このアルケニル基は、式Iの重合性化合物またはLC媒体中に含有される他の重合性化合物を重合するために使用される条件下における重合反応に対して安定である。先行技術より既知の反応性メソゲンと比較して、そのようなLCホスト混合物において、式Iの重合性化合物は、溶解性、反応性またはチルト角を生成する能力などの改良された特性を示す。
【0199】
LCホスト混合物は、好ましくは、ネマチックLC混合物である。
【0200】
アルケニル化合物におけるアルケニル基は、好ましくは、特に2〜25個のC原子を有する、特に好ましくは2〜12個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状のアルケニルより選択され、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はFおよび/またはClで置き換えられていてもよい。
【0201】
好ましいアルケニル基は、2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニルおよびシクロヘキセニルであり、特に、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1,4−シクロヘキセン−1−イルおよび1,4−シクロヘキセン−3−イルである。
【0202】
アルケニル基を含有する化合物のLCホスト混合物における濃度(即ち、重合性化合物は一切関与しない。)は、好ましくは5%〜100%、非常に好ましくは20%〜60%である。
【0203】
アルケニル基を有する化合物を1〜5種類、好ましくは1種類、2種類または3種類含有するLC混合物が特に好ましい。
【0204】
アルケニル基を含有する化合物は、好ましくは、以下の式から選択される。
【0205】
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
式中、個々の基は、それぞれの出現において同一または異なって、それぞれ互いに独立に以下の意味を有する:
【0206】
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0207】
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
【0208】
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
R
11は、2〜9個のC原子を有するアルケニルで、環X、YおよびZの少なくとも1つがシクロヘキセニルを表す場合、R
dの意味の1つも表し、
R
12は、1〜12個のC原子を有するアルキルで、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
Z
xは、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CO−O−、−O−CO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CH−CH
2O−または単結合、好ましくは単結合であり、
L
1〜4は、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2FまたはCHF
2H、好ましくは、H、FまたはClであり、
xは、1または2であり、
zは、0または1である。
【0209】
R
22は、好ましくは、1〜8個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシまたは2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニルである。
【0210】
LC媒体は、好ましくは、末端ビニルオキシ基(−O−CH=CH
2)を含有する化合物を含まず、特に、R
11またはR
12が末端ビニルオキシ基(−O−CH=CH
2)を表すか含有する式AまたはBの化合物を含まない。
【0211】
好ましくは、L
1およびL
2がFを表すか、または、L
1およびL
2の一方がFを表し他方がClを表し、および、L
3およびL
4がFを表すか、または、L
3およびL
4の一方がFを表し他方がClを表す。
【0212】
式ANの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される。
【0213】
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0214】
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
alkylは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、
alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0215】
式AYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される。
【0216】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0217】
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0218】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0219】
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
alkylは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、
alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0220】
式ANの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式より選択される。
【0221】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
mは、1、2、3、4、5または6を表し、
iは、0、1、2または3を表し、
R
b1は、H、CH
3またはC
2H
5を表す。
【0223】
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
式AN1a1の化合物が最も好ましい。
【0224】
式AYの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式より選択される。
【0225】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
mおよびnは、それぞれ互いに独立に、1、2、3、4、5または6を表し、
iは、0、1、2または3を表し、
R
b1は、H、CH
3またはC
2H
5を表し、
alkenylは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0226】
第1の好ましい実施形態において、LC媒体は、負の誘電異方性を有する化合物を基礎とするLCホスト混合物を含有する。その様なLC媒体は、特に、PSA−VAディスプレイにおける使用に適する。そのようなLC媒体の特に好ましい実施形態は、下の項目a)〜y)のものである。
【0227】
a)式CYおよび/またはPYの1種類以上の化合物を含むLC媒体。
【0228】
【化51】
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式中、
aは、1または2を表し、
bは、0または1を表し、
【0229】
【化52】
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R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキル(ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよい。)、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、
Z
xおよびZ
yは、それぞれ互いに独立に、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CO−O−、−O−CO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CH−CH
2O−または単結合、好ましくは、単結合を表し、
L
1〜4は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2F、CHF
2を表す。
【0230】
好ましくは、L
1およびL
2の両方がFを表すか、または、L
1およびL
2の一方がFを表し、他方がClを表すか、または、L
3およびL
4の両方がFを表すか、または、L
3およびL
4の一方がFを表し、他方がClを表す。
【0231】
式CYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0232】
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0233】
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0234】
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0235】
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0236】
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
式中、aは1または2を表し、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表す。alkenylは、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0237】
式PYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0238】
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
【0239】
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0240】
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表す。alkenylは、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0241】
b)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0242】
【化61】
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式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【0243】
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【0244】
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
R
3およびR
4は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−O−CO−または−CO−O−で置き換えられていてもよく、
Z
yは、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CO−O−、−O−CO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−または単結合、好ましくは、単結合を表す。
【0245】
式ZKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0246】
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylは、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0247】
c)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0248】
【化65】
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式中、個々の基は、それぞれの出現において同一または異なって、以下の意味を有する:
R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立に、上でR
1に示される意味の1つを有し、
【0249】
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
【0250】
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
および、
eは、1または2を表す。
【0251】
式DKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0252】
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0253】
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0254】
d)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0255】
【化70】
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式中、個々の基は以下の意味を有する:
【0256】
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
fは、0または1を表し、
R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
Z
xおよびZ
yは、それぞれ互いに独立に、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CO−O−、−O−CO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−または単結合、好ましくは、単結合を表し、
L
1およびL
2は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2F、CHF
2を表す。
【0257】
好ましくは、基L
1およびL
2の両方がFを表すか、または、基L
1およびL
2の一方がFを表し、他方がClを表す。
【0258】
式LYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0259】
【化72】
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【0260】
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
【0261】
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
1は上で示される意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表し、vは1〜6の整数を表す。R
1は、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル、または、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル、特に、CH
3、C
2H
5、n−C
3H
7、n−C
4H
9、n−C
5H
11、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0262】
e)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0263】
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
式中、alkylはC
1〜6−アルキルを表し、L
xはHまたはFを表し、Xは、F、Cl、OCF
3、OCHF
2またはOCH=CF
2を表す。XがFを表す式G1の化合物が特に好ましい。
【0264】
f)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0265】
【化76】
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【0266】
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
5はR
1に上で示される意味の1つを有し、alkylはC
1〜6−アルキルを表し、dは0または1を表し、zおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6の整数を表す。これらの化合物におけるR
5は、特に好ましくは、C
1〜6−アルキルまたは−アルコキシまたはC
2〜6−アルケニルであり、dは、好ましくは、1である。本発明によるLC媒体は、好ましくは、上述の式の1種類以上の化合物を、5重量%以上の量で含む。
【0267】
g)以下の式から成る群より選択される1種類以上のビフェニル化合物を追加的に含むLC媒体。
【0268】
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0269】
LC混合物における式B1〜B3のビフェニルの割合は、好ましくは、少なくとも3重量%、特に5重量%以上である。
【0271】
式B1〜B3の化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0272】
【化79】
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式中、alkyl
*は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表す。本発明による媒体は、特に好ましくは、式B1aおよび/またはB2cの1種類以上の化合物を含む。
【0273】
h)以下の式の1種類以上のターフェニル化合物を追加的に含むLC媒体。
【0274】
【化80】
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式中、R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立に、上でR
1に示される意味の1つを有し、および
【0275】
【化81】
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式中、L
5は、FまたはCl、好ましくは、Fを表し、L
6は、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2FまたはCHF
2、好ましくは、Fを表す。
【0276】
式Tの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0277】
【化82】
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【0278】
【化83】
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【0279】
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Rは1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表し、R
*は2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表し、mは1〜6の整数を表す。R
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0280】
Rは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはペントキシを表す。
【0281】
本発明によるLC媒体は、好ましくは、式Tおよびその好ましいサブ式のターフェニルを、0.5〜30重量%、特に、1〜20重量%の量で含む。
【0282】
式T1、T2、T3およびT21の化合物が特に好ましい。これらの化合物において、Rは、好ましくは、それぞれ1〜5個のC原子を有するアルキル、更に、アルコキシを表す。
【0283】
混合物のΔnの値が0.1以上となる場合、好ましくは、本発明による混合物中においてターフェニルを用いる。好ましい混合物は、好ましくは、化合物T1〜T22の群より選択され、2〜20重量%の1種類以上の式Tのターフェニル化合物を含む。
【0284】
i)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0285】
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
1およびR
2は上で示される意味を有し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニルを表す。
【0286】
好ましい媒体は、式O1、O3およびO4より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0287】
k)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に、好ましくは3重量%より多く、特には5重量%以上、非常に特に好ましくは5〜30重量%の量で含むLC媒体。
【0288】
【化86】
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式中、
【0289】
【化87】
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R
9は、H、CH
3、C
2H
5またはn−C
3H
7を表し、(F)は任意のフッ素置換基を表し、qは、1、2または3を表し、R
7はR
1に示される意味の1つを有する。
【0290】
式FIの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0291】
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
7は、好ましくは、直鎖状のアルキルを表し、R
9は、CH
3、C
2H
5またはn−C
3H
7を表す。式FI1、FI2およびFI3の化合物が特に好ましい。
【0292】
l)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0293】
【化89】
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式中、R
8はR
1に示される意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0294】
m)例えば、以下の式から成る群より選択される化合物などのテトラヒドロナフチルまたはナフチル単位を含有する1種類以上化合物を追加的に含むLC媒体。
【0295】
【化90】
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【0296】
【化91】
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式中、R
10およびR
11は、それぞれ互いに独立に、R
1に示される意味の1つを有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニルを表し、Z
1およびZ
2は、それぞれ互いに独立に、−C
2H
4−、−CH=CH−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CH−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH=CH−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CO−O−、−O−CO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CH
2−または単結合を表す。
【0297】
n)以下の式の1種類以上のジフルオロジベンゾクロマンおよび/またはクロマンを追加的に、好ましくは3〜20重量%の量、特に3〜15重量%の量で含むLC媒体。
【0298】
【化92】
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式中、
R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味を有し、
環Mは、トランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、
Z
mは、−C
2H
4−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CO−O−または−O−CO−であり、
cは、0または1である。
【0299】
式BC、CRおよびRCの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0300】
【化93】
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【0301】
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
【0302】
【化95】
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式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表し、cは1または2であり、alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0303】
1種類、2種類または3種類の式BC−2の化合物を含む混合物が、非常に特に好ましい。
【0304】
o)以下の式の1種類以上のフッ素化されたフェナントレンおよび/またはジベンゾフランを追加的に含むLC媒体。
【0305】
【化96】
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式中、R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味を有し、bは0または1を表し、LはFを表し、rは1、2または3を表す。
【0306】
式PHおよびBFの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0307】
【化97】
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式中、RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表す。
【0308】
p)以下の式の1種類以上の単環化合物を追加的に含むLC媒体。
【0309】
【化98】
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式中、
R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキル(ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよい。)、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、
L
1およびL
2は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2FまたはCHF
2を表す。
【0310】
好ましくは、L
1およびL
2の両方がFを表すか、L
1およびL
2の一方がFで他方がClを表す。
【0311】
式Yの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0312】
【化99】
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式中、AlkylおよびAlkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、Alkoxyは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルコキシ基を表し、AlkenylおよびAlkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、Oは酸素原子または単結合を表す。AlkenylおよびAlkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0313】
特に好ましい式Yの化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0314】
【化100】
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式中、Alkoxyは、好ましくは、3個、4個または5個のC原子を有する直鎖状のアルコキシを表す。
【0315】
q)特に、式Iまたはそのサブ式の本発明による重合性化合物およびコモノマーは別として、末端ビニルオキシ基(−O−CH=CH
2)を含有する化合物を含まないLC媒体。
【0316】
r)好ましくは、特に、式Iまたはそのサブ式の本発明による重合性化合物より選択され、1〜5種類、好ましくは、1、2または3種類の重合性化合物を含むLC媒体。
【0317】
s)特に、式Iまたはそのサブ式の重合性化合物の割合は、混合物全体において、0.05〜5%、好ましくは、0.1〜1%であるLC媒体。
【0318】
t)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式CY1、CY2、PY1および/またはPY2の化合物を含むLC媒体。これらの化合物の混合物全体における割合は、好ましくは5〜60%、特に好ましくは10〜35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、それぞれの場合で2〜20%である。
【0319】
u)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式CY9、CY10、PY9および/またはPY10の化合物を含むLC媒体。これらの化合物の混合物全体における割合は、好ましくは5〜60%、特に好ましくは10〜35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、それぞれの場合で2〜20%である。
【0320】
v)1〜10種類、好ましくは1〜8種類の式ZKの化合物、特に、式ZK1、ZK2および/またはZK6の化合物を含むLC媒体。これらの化合物の混合物全体における割合は、好ましくは3〜25%、特に好ましくは5〜45%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、それぞれの場合で2〜20%である。
【0321】
w)混合物全体における式CY、PYおよびZKの化合物の割合は70%を超え、好ましくは、80%を超えるLC媒体。
【0322】
x)LCホスト混合物が、アルケニル基を含有する1種類以上の化合物、好ましくは、R
1およびR
2の一方または両方が2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニルを表す式CY、PYおよびLY;R
3およびR
4の一方または両方が2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニルを表す式ZKおよびDK;および式B2およびB3から成る群より選択される化合物、非常に好ましくは、式CY15、CY16、CY34、CY32、PY15、PY16、ZK3、ZK4、DK3、DK6、B2およびB3より選択される化合物、最も好ましくは、式ZK3、ZK4、B2およびB3より選択される化合物を含有するLC媒体。これらの化合物のLCホスト混合物中における濃度は、好ましくは、2〜70%、非常に好ましくは、3〜55%である。
【0323】
y)式PY1〜PY8、非常に好ましくは式PY2より選択される1種類以上、好ましくは1〜5種類の化合物を含有するLC媒体。混合物全体におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは1〜30%、特に好ましくは2〜20%である。これらの個々の化合物の割合は、好ましくは、それぞれの場合で1〜20%である。
【0324】
z)1種類以上、好ましくは1種類、2種類または3種類の式T2の化合物を含有するLC媒体。混合物全体におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは1〜20%である。
【0325】
第2の好ましい実施形態において、LC媒体は、正の誘電異方性を有する化合物を基礎とするLCホスト混合物を含有する。そのようなLC媒体は、特に、PSA−OCB、PSA−TN、PSA−正−VA、PSA−IPSまたはPSA−FFSディスプレイにおける使用に適している。
【0326】
式AAおよびBBの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含有し、任意成分として、式AAおよび/またはBBの化合物に加え、式CCの1種類以上の化合物を含有する、この第2の好ましい実施形態のLC媒体が特に好ましい。
【0327】
【化101】
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【0328】
【化102】
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式中、個々の基は以下の意味を有する:
【0329】
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
【0330】
【化104】
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R
21、R
31、R
41、R
42は、それぞれ互いに独立に、1〜9個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキルまたはフルオロアルキル、または、2〜9個のC原子を有するアルケニルを表し、
X
0は、F、Cl、1〜6個のC原子を有するハロゲン化アルキルまたはアルコキシ、または、2〜6個のC原子を有するハロゲン化アルケニルまたはアルケニルオキシを表し、
Z
31は、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−または単結合、好ましくは、−CH
2CH
2−、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合、特に好ましくは、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合を表し、
Z
41、Z
42は、−CH
2CH
2−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−、−CF
2O−、−C≡C−または単結合、好ましくは、単結合を表し、
L
21、L
22、L
31、L
32は、HまたはFを表し、
gは、1、2または3を表し、
hは、0、1、2または3を表し、
X
0は、好ましくは、F、Cl、CF
3、CHF
2、OCF
3、OCHF
2、OCFHCF
3、OCFHCHF
2、OCFHCHF
2、OCF
2CH
3、OCF
2CHF
2、OCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCFHCF
2CF
3、OCFHCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CF
3、OCF
2CF
2CClF
2、OCClFCF
2CF
3またはCH=CF
2、非常に好ましくは、FまたはOCF
3である。
【0331】
式AAの化合物は、好ましくは、以下の式から成る群より選択される。
【0332】
【化105】
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式中、A
21、R
21、X
0、L
21およびL
22は、式AAにおいて与えられる意味を有し、L
23およびL
24は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、X
0は、好ましくは、Fである。式AA1およびAA2の化合物が特に好ましい。
【0333】
式AA1の特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0334】
【化106】
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式中、R
0は式AA1においてR
21に与えられる意味を有し、X
0、L
21およびL
22は、式AA1において与えられる意味を有し、L
23、L
24、L
25およびL
26は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、X
0は、好ましくは、Fである。
【0335】
式AA1の非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0336】
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
0は式AA1においてR
21に与えられる意味を有する。
【0337】
式AA2の非常に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0338】
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
【0339】
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
0は式AA1においてR
21に与えられる意味を有し、X
0、L
21およびL
22は、式AAにおいて与えられる意味を有し、L
23、L
24、L
25およびL
26は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、X
0は、好ましくは、Fである。
【0340】
式AA2の非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0341】
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
【0342】
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
0は式AA1においてR
21に与えられる意味を有する。
【0343】
式AA3の特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0344】
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
0は式AA1においてR
21に与えられる意味を有し、X
0、L
21およびL
22は、式AA3において与えられる意味を有し、X
0は、好ましくは、Fである。
【0345】
式AA4の特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0346】
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
0は式AA1においてR
21に与えられる意味を有する。
【0347】
式BBの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0348】
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
式中、A
31、A
32、R
31、X
0、L
31およびL
32は、式BBにおいて与えられる意味を有し、X
0は、好ましくは、Fである。式BB1およびBB2の化合物が特に好ましい。
【0349】
式BB1の特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0350】
【化115】
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式中、R
3は式BB1においてR
31に与えられる意味を有し、X
0、L
31およびL
32は、式BB1において与えられる意味を有し、X
0は、好ましくは、Fをである。
【0351】
式BB1aの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0352】
【化116】
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式中、R
3は式BB1においてR
31に与えられる意味を有する。
【0353】
式BB1bの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0354】
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
3は式BB1においてR
31に与えられる意味を有する。
【0355】
式BB2の特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0356】
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
【0357】
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
0は式BB2においてR
21に与えられる意味を有し、X
0、L
31およびL
32は、式BB2において与えられる意味を有し、L
33、L
34、L
35およびL
36は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、X
0は、好ましくは、Fである。
【0358】
式BB2の非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0359】
【化120】
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式中、R
3は式BB2においてR
31に与えられる意味を有する。
【0360】
式BB2bの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0361】
【化121】
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式中、R
3は式BB2においてR
31に与えられる意味を有する。
【0362】
式BB2cの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0363】
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
3は式BB2においてR
31に与えられる意味を有する。
【0364】
式BB2dおよびBB2eの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0365】
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
3は式BB2においてR
31に与えられる意味を有する。
【0366】
式BB2fの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0367】
【化124】
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式中、R
3は式BB2においてR
31に与えられる意味を有する。
【0368】
式BB2gの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0369】
【化125】
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式中、R
3は式BB2においてR
31に与えられる意味を有する。
【0370】
式BB2hの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0371】
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
3は式BB2においてR
31に与えられる意味を有する。
【0372】
式BB2iの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0373】
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
3は式BB2においてR
31に与えられる意味を有する。
【0374】
式BB2kの非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0375】
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
3は式BB2においてR
31に与えられる意味を有する。
【0376】
式BB1および/またはBB2の化合物に代えるか加えて、LC媒体は、また、上で定義される通りの式BB3の1種類以上の化合物を含んでもよい。
【0377】
式BB3の特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0378】
【化129】
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式中、R
3は式BB3においてR
31に与えられる意味を有する。
【0379】
好ましくは、この第2の好ましい実施形態によるLC媒体は、式AAおよび/またはBBの化合物に加えて、−1.5〜+3の範囲内の誘電異方性を有し、好ましくは、上で定義される通りの式CCの化合物群より選択される1種類以上の誘電的に中性の化合物を含む。
【0380】
式CCの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0381】
【化130】
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【0382】
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
41およびR
42は式CCにおいて与えられる意味を有し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルまたはフッ素化アルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化アルケニルを表し、L
4はHまたはFである。
【0383】
好ましくは、この第2の好ましい実施形態によるLC媒体は、式CCの誘電的に中性の化合物に加えるか代えて、−1.5〜+3の範囲内の誘電異方性を有し、式DDの化合物群より選択される1種類以上の誘電的に中性の化合物を含む。
【0384】
【化132】
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式中、A
41、A
42、Z
41、Z
42、R
41、R
42およびhは、式CCにおいて与えられる意味を有する。
【0385】
式DDの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0386】
【化133】
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式中、R
41およびR
42は式DDにおいて与えられる意味を有し、R
41は、好ましくは、アルキルを表し、式DD1において、R
42は、好ましくは、アルケニル、特に好ましくは、−(CH
2)
2−CH=CH−CH
3を表し、式DD2において、R
42は、好ましくは、アルキル、−(CH
2)
2−CH=CH
2または−(CH
2)
2−CH=CH−CH
3を表す。
【0387】
本発明によるLC媒体において、式AAおよびBBの化合物は、好ましくは、混合物全体中の2%〜60%、より好ましくは、3%〜35%、非常に特に好ましくは、4%〜30%の濃度において使用する。
【0388】
本発明によるLC媒体において、式CCおよびDDの化合物は、好ましくは、混合物全体中の2%〜70%、より好ましくは、5%〜65%、更により好ましくは、10%〜60%、非常に特に好ましくは、10%〜、好ましくは、15%〜55%の濃度において使用する。
【0389】
上述の好ましい実施形態の化合物を、上記の重合された化合物と組み合わせることにより、本発明によるLC媒体において、低い閾電圧、低い回転粘度および非常に良好な低温安定性と、同時に、常に高い透明点および高いHR値とが生じ、PSAディスプレイにおいて特に低いプレチルト角を迅速に確立できる。特に、先行技術からの媒体と比較し、PSAディスプレイにおいて、LC媒体は、著しく短縮された応答時間、また、特に、短縮された中間調(灰色遮光)応答時間を示す。
【0390】
液晶混合物は、好ましくは、少なくとも80K、特に好ましくは、少なくとも100Kのネマチック相範囲、および、20℃において、250mPa・s以下、好ましくは、200mPa・s以下の回転粘度を有する。
【0391】
本発明によるVAタイプのディスプレイにおいては、スイッチオフ状態で、LC媒体層における分子は電極表面に垂直に配向しているか(ホメオトロピック的)、または、チルトホメオトロピック配向を有している。電極に電圧を印加すると、分子長軸が電極表面に平行なLC分子の再配向が起きる。
【0392】
特に、PSA−VAタイプのディスプレイにおいて使用するためで、第1の好ましい実施形態による負の誘電異方性を有する化合物を基礎とする本発明によるLC媒体は、20℃および1kHzにおいて、好ましくは、−0.5〜−10、特に、−2.5〜−7.5の負の誘電異方性Δεを有する。
【0393】
PSA−VAタイプのディスプレイにおいて使用するためで、本発明によるLC媒体における複屈折率Δnは、好ましくは、0.16未満、特に好ましくは、0.06〜0.14、非常に特に好ましくは、0.07〜0.12である。
【0394】
本発明によるOCBタイプのディスプレイにおいては、LC媒体層における分子は「ベンド(bend)」配向を有している。電圧を印加すると、分子長軸が電極表面に垂直なLC分子の再配向が起きる。
【0395】
PSA−OCBタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は、好ましくは、第2の好ましい実施形態による正の誘電異方性を有する化合物を基礎とするものであり、20℃および1kHzにおいて、好ましくは、+4〜+17の正の誘電異方性Δεを有するのものである。
【0396】
PSA−OCBタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体における複屈折率Δnは、好ましくは、0.14〜0.22、特に好ましくは、0.16〜0.22である。
【0397】
PSA−TN、PSA−正−VA、PSA−IPSまたはPSA−FFSタイプのディスプレイにおいて使用するためで、第2の好ましい実施形態による正の誘電異方性を有する化合物を基礎とする本発明によるLC媒体は、20℃および1kHzにおいて、好ましくは、+2〜+30、特に好ましくは、+3〜+20の正の誘電異方性を有する。
【0398】
PSA−TN、PSA−正−VA、PSA−IPSまたはPSA−FFSタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体における複屈折率Δnは、好ましくは、0.07〜0.15、特に好ましくは、0.08〜0.13である。
【0399】
また、本発明によるLC媒体は、当業者に既知で文献に記載されている、例えば、重合開始剤、禁止剤、安定剤、表面活性化物質またはキラルドーパントなどの更なる添加剤を含んでもよい。これらは重合性でも非重合性でもよい。従って、重合性の添加剤は重合性成分または成分A)に属すると見なす。従って、非重合性の添加剤は非重合性成分または成分B)に属すると見なす。
【0400】
好ましい実施形態において、LC媒体は、例えば、1種類以上のキラルドーパントを、好ましくは、0.01〜1%、非常に好ましくは、0.05〜0.5%の濃度において含有する。キラルドーパントは、好ましくは、下の表Bからの化合物から成る群より選択され、非常に好ましくは、R−またはS−1011、R−またはS−2011、R−またはS−3011、R−またはS−4011およびR−またはS−5011から成る群より選択される。
【0401】
もう一つの好ましい実施形態において、LC媒体は、1種類以上のキラルドーパントのラセミ体を含有し、キラルドーパントは、好ましくは、先の段落で述べたキラルドーパントより選択される。
【0402】
更に、例えば、0〜15重量%の多色性色素、更に、導電性を向上するために、ナノ粒子、導電性塩、好ましくは、エチルジメチルドデシルアンモニウム4−ヘキソキシベンゾエート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートまたはクラウンエーテルの錯塩(例えば、Hallerら、Mol.Cryst.Liq.Cryst.24巻、249〜258頁(1973年)参照)、または、ネマチック相の誘電異方性、粘度および/または配向を改変するための物質をLC媒体に加えることも可能である。このタイプの物質は、例えば、独国特許出願公開第22 09 127号公報、独国特許出願公開第22 40 864号公報、独国特許出願公開第23 21 632号公報、独国特許出願公開第23 38 281号公報、独国特許出願公開第24 50 088号公報、独国特許出願公開第26 37 430号公報および独国特許出願公開第28 53 728号公報に記載されている。
【0403】
本発明によるLC媒体の好ましい実施形態a)〜z)の個々の成分は既知であるか、それらを調製する方法は文献に記載されている標準的な方法に基づいているため、それらを調製する方法は当業者によって先行技術より容易に導くことができるかの何れかである。式CYの対応する化合物は、例えば、欧州特許出願公開第0 364 538号公報に記載されている。式ZKの対応する化合物は、例えば、独国特許出願公開第26 36 684号公報および独国特許出願公開第33 21 373号公報に記載されている。
【0404】
本発明に従って使用できるLC媒体は、例えば、1種類以上の上述の化合物を、上で定義される通りの1種類以上の重合性化合物と、および、任意成分として、更なる液晶化合物および/または添加剤と混合することで、それ自身は従来の様式によって調製される。一般に、より少量で使用される成分の所望量を、主要な構成成分を構成する成分に、有利には昇温して、溶解する。また、有機溶媒中、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノール中における成分の溶液を混合し、完全に混合後、例えば蒸留により、溶媒を再び除去することも可能である。本発明は、更に、本発明によるLC媒体を調製する方法に関する。
【0405】
また、本発明によるLC媒体が、例えば、H、N、O、Cl、Fが対応する同位体に置き換えられた化合物も含んでもよいことは、当業者に言うまでもない。
【0406】
本発明によるLCディスプレイの構造は、冒頭で引用した先行技術に記載される通りのPSAディスプレイにおける通常の構成に対応している。突起のない構成が好ましく、特に加えて、カラーフィルター側の電極が構造化されておらず、TFT側の電極のみがスロットを有するものが好ましい。PSA−VAディスプレイ用に特に適切で好ましい電極構造は、例えば、米国特許出願公開第2006/0066793号公報に記載されている。
【0407】
以下の例は、本発明を限定することなく本発明を説明する。しかしながら、それらは、当業者に対して、好ましく用いられる化合物、それらのそれぞれの濃度およびそれらの互いの組み合わせと共に、好ましい混合の考え方を示す。加えて、例は、どのような特性および特性の組み合わせが入手可能であるかを例示する。
【0408】
以下の略称を使用する:
(n、m、z:それぞれの場合において互いに独立に、1、2、3、4、5または6。)
【0409】
【表1】
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【0410】
【表2】
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【0411】
【表3】
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【0412】
【表4】
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【0413】
【表5】
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本発明の好ましい実施形態において、本発明によるLC媒体は、表Aからの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0414】
表Bに、本発明によるLC媒体に添加できる可能なキラルドーパントを示す。
【0415】
【表6】
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LC媒体は、好ましくは0〜10重量%、特には0.01〜5重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%のドーパントを含む。LC媒体は、好ましくは、表Bからの化合物から成る群より選択される1種類以上のドーパントを含む。
【0416】
表Cに、本発明によるLC媒体に添加できる可能な安定剤を示す(nは、ここで、1〜12の整数、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7または8を表し、末端のメチル基は示していない)。
【0417】
【表7】
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【0418】
【表8】
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【0419】
【表9】
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【0420】
【表10】
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LC媒体は、好ましくは0〜10重量%、特には1ppm〜5重量%、特に好ましくは1ppm〜1重量%の安定剤を含む。LC媒体は、好ましくは、表Cからの化合物から成る群より選択される1種類以上の安定剤を含む。
【0421】
表Dに、本発明によるLC媒体において、好ましくは、反応性メソゲン化合物として使用できる例示的な化合物を示す。
【0422】
【表11】
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【0423】
【表12】
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【0424】
【表13】
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【0425】
【表14】
[この文献は図面を表示できません]
【0426】
【表15】
[この文献は図面を表示できません]
【0427】
【表16】
[この文献は図面を表示できません]
【0428】
【表17】
[この文献は図面を表示できません]
【0429】
【表18】
[この文献は図面を表示できません]
【0430】
【表19】
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【0431】
【表20】
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【0432】
【表21】
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本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Dからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0433】
加えて、以下の略称および記号を使用する:
V
0は20℃における容量閾電圧[V]であり、
n
eは20℃および589nmにおける異常屈折率であり、
n
0は20℃および589nmにおける通常屈折率であり、
Δnは20℃および589nmにおける光学的異方性であり、
ε
⊥は20℃および1kHzにおけるダイレクターに垂直な誘電率であり、
ε
‖は20℃および1kHzにおけるダイレクターに平行な誘電率であり、
Δεは20℃および1kHzにおける誘電異方性であり、
cl.p.、T(N,I)は透明点[℃]であり、
γ
1は20℃における回転粘度[mPa・s]であり、
K
1は20℃における「スプレイ(splay)」変形に対する弾性定数[pN]であり、
K
2は20℃における「ツイスト(twist)」変形に対する弾性定数[pN]であり、
K
3は20℃における「ベンド(bend)」変形に対する弾性定数[pN]である。
【0434】
他に明記しない限り、本出願において全ての濃度は重量パーセントで示され、対応する混合物全体に関し、全ての固体または液晶成分を含み、溶媒を含まない。
【0435】
他に明記しない限り、例えば、融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの本出願において示される全ての温度の値は摂氏度(℃)で示される。m.p.は融点を表し、cl.p.は透明点である。更に、Cは結晶状態であり、Nはネマチック相であり、Sはスメクチック相であり、Iは等方相である。これらの記号の間のデータは、転移温度を表す。
【0436】
全ての物理的特性は「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社に従って決定されるか決定されたものであり、それぞれの場合で他に明示しない限り、20℃の温度が適用され、Δnは589nmで決定され、Δεは1kHzで決定される。
【0437】
本発明については、用語「閾電圧」は、他に明示しない限り、フレデリックス閾値としても既知の容量閾値(V
0)に関する。また、例において、一般的に通常であるが、10%相対コントラスト(V
10)に対する光学的閾値も示す場合がある。
【0438】
他に明記しない限り、上および下に記載される通り、PSAディスプレイ内で重合性化合物を重合するプロセスは、LC媒体が液晶相、好ましくは、ネマチック相を示す温度において行われ、最も好ましくは、室温において行われる。
【0439】
他に明記しない限り、試験用セルを調製し、それらの電気光学的および他の特性を測定する方法は、以降に記載する通りの方法またはそれらに類似して行う。
【0440】
容量閾電圧の測定用に使用されるディスプレイは25μmの間隔で離れている2枚の平坦で平行なガラス製外板から成り、それぞれの外板は内側に電極層および最上部にラビングされていないポリイミド配向層を有しており、液晶分子のホメオトロピックエッジ配向を生じる。
【0441】
チルト角の測定用に使用されるディスプレイまたは試験用セルは4μmの間隔で離れている2枚の平坦で平行なガラス製外板から成り、それぞれの外板は内側に電極層および最上部にポリイミド配向層を有しており、ただし、2つのポリイミド層は互いに逆平行にラビングされており、液晶分子のホメオトロピックエッジ配向を生じる。
【0442】
重合性化合物は、同時に電圧をディスプレイに印加(通常、10V〜30Vの交流、1kHz)しながら、所定の時間で規定の強度のUVA光での照射によって、ディスプレイまたは試験用セル内で重合する。例においては、他に示さない限り、重合のために、強度100mW/cm
2のメタルハライドランプを使用する。強度は、標準的なUVAメーター(UVAセンサーを備える高域Hoenle UVメーター)を使用して強度を測定する。
【0443】
チルト角は、結晶回転実験(Autronic−Melchers TBA−105)によって決定される。ここで、低い値(即ち、角度90°からの大きな外れ)が大きなチルトに対応する。
【0444】
VHR値を以下の通り測定する:0.3%の重合性モノマー化合物をLCホスト混合物に加え、得られた混合物をVA−VHR試験用セル(ラビングせず、VA−ポリイミド配向層、LC層厚dは、およそ6μm)中に導入する。1V、60Hz、64μ秒パルスにおいてUV曝露の前後における、100℃での5分後のHR値を決定する(測定装置:Autronic−Melchers VHRM−105)。
【実施例】
【0445】
<例1>
式I2−1の重合性モノマー化合物1を、以下の通り調製する。
【0446】
【化134】
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<1.1 4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸>
商業的に入手な[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸および5−ブロモイソフタル酸より、4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸を調製する。
【0447】
蒸留水(135ml)中の炭酸ナトリウム(31.26g、295.0mol)溶液に、1,4−ジオキサン(210ml)、5−ブロモイソフタル酸(14.46g、59.0mmol)および[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸(14.82g、65.0mol)、次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.83g、1.2mmol)、トリフェニルホスフィン(0.31g、1.2mmol)およびトリエチルアミン(0.12g、1.2mmol)を窒素雰囲気下で加える。反応混合物を還流で2時間加熱する。室温まで冷却後、400mlの蒸留水を加え、濃塩酸で反応混合物を冷却下でpH約1に中和する。析出する粗生成物を濾過し、蒸留水で洗浄し、アセトニトリルより再結晶して更に精製し、4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸の灰色結晶(17.4g)を与える。
【0448】
<1.2 4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(2−ベンジルオキシエチル)エステル>
DMF(50ml)中の4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸(8.00g、105.64mmol)溶液に、炭酸カリウム(7.62g、55.12mmol)を加える。得られる懸濁液に、(2−ブロモエトキシメチル)ベンゼン(10.87g、50.52mmol)を加える。反応混合物を70℃で一晩攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を100mlの水に加え、60mlのメチルt−ブチルエーテル(MTBE)で抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、油状の残渣をヘプタン/酢酸エチル7:3でシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(2−ベンジルオキシエチル)エステルを白色のオイル(8.0g)として与える。
【0449】
<1.3 4’−ヒドロキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(2−ヒドロキシシエチル)エステル>
テトラヒドロフラン(80ml)中の4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(2−ベンジルオキシエチル)エステル(8.0g、13.0mmol)溶液を活性炭(2.0g)上パラジウム(5%)で処理し、水素化を15時間行う。次いで、触媒を濾別し、残った溶液を真空中で濃縮する。残渣をトルエン/酢酸エチル溶媒混合物より再結晶して、4’−ヒドロキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(2−ヒドロキシシエチル)エステルを白色の固体(4.2g)として与える。
【0450】
<1.4 4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス[2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチル]エステル>
メタクリル酸(5.95g、69.1mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.15g、1.2mmol)を、ジクロロメタン(110ml)中の4’−ヒドロキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(2−ヒドロキシシエチル)エステル(4.2g、12.1mmol)懸濁液に加える。ジクロロメタン(50ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(10.7g、69.1mmol)溶液で反応混合物を滴下で0℃において処理し、20時間、室温で攪拌する。真空中で溶媒を除去後、油状の残渣をヘプタン/酢酸エチル8:2でシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。得られる生成物をエタノール/アセトニトリル溶媒混合物より再結晶し、4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス[2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチル]エステルの白色結晶(2.6g、融点47℃)を与える。
【0451】
【表22】
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<例2>
式I2−4の重合性モノマー化合物2を以下の通り調製する。
【0452】
【化135】
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<2.1 4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸>
例1で記載した通りに、4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸を調製する。
【0453】
<2.2 4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(3−ベンジルオキシプロピル)エステル>
DMF(50ml)中の4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸(8.00g、22.96mmol)溶液に、炭酸カリウム(7.62g、55.12mmol)を加える。得られる懸濁液に、(2−ブロモプロポキシメチル)ベンゼン(11.58g、50.52mmol)を加える。反応混合物を70℃で3時間攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を100mlの氷水混合物に注ぎ、60mlのMTBEで抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、固体の残渣をイソプロパノールより再結晶し、4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(3−ベンジルオキシプロピル)エステルを白色の結晶(8.1g)として得る。
【0454】
<2.3 4’−ヒドロキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(3−ヒドロキシプロピル)エステル>
テトラヒドロフラン(80ml)中の4’−ベンジルオキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(3−ベンジルオキシプロピル)エステル(8.1g、12.6mmol)溶液を活性炭(2.0g)上パラジウム(5%)で処理し、水素化を15時間行う。次いで、触媒を濾別し、残った溶液を真空中で濃縮する。残渣をトルエン/酢酸エチル溶媒混合物より再結晶して、4’−ヒドロキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(3−ヒドロキシプロピル)エステルの白色結晶(4.5g)を与える。
【0455】
<2.4 4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロピル]エステル>
メタクリル酸(5.77g、67.0mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.14g、1.2mmol)を、ジクロロメタン(100ml)中の4’−ヒドロキシビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス(3−ヒドロキシプロピル)エステル(4.40g、11.8mmol)懸濁液に加える。ジクロロメタン(60ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(10.4g、67.0mmol)溶液で反応混合物を滴下で0℃において処理し、20時間、室温で攪拌する。真空中で反応混合物を濃縮し、シリカゲルに通して濾過する。溶媒を除去後、粗生成物をエタノール/アセトニトリル溶媒混合物より再結晶し、4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3,5−ジカルボン酸ビス[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロピル]エステルの白色結晶(2.5g、融点42℃)を与える。
【0456】
【表23】
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<例3>
式I3−4の重合性モノマー化合物3を以下の通り調製する。
【0457】
【化136】
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<3.1 4’−ベンジルオキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸>
商業的に入手な[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸および5−ブロモフタル酸より、4’−ベンジルオキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸を調製する。
【0458】
蒸留水(135ml)中の炭酸ナトリウム(31.27g、295.1mol)溶液に、1,4−ジオキサン(210ml)、5−ブロモフタル酸(14.46g、59.0mmol)および[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸(14.82g、65.0mol)、次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.83g、1.2mmol)、トリフェニルホスフィン(0.31g、1.2mmol)およびトリエチルアミン(0.12g、1.2mmol)を窒素雰囲気下で加える。反応混合物を還流で2時間加熱する。室温まで冷却後、400mlの蒸留水を加え、濃塩酸で反応混合物を冷却下でpH約1に中和する。析出する粗生成物を濾過し、蒸留水で洗浄し、アセトニトリルより再結晶して更に精製し、4’−ベンジルオキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸の灰色結晶(15.8g)を与える。
【0459】
<3.2 4’−ベンジルオキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸ビス(3−ベンジルオキシプロピル)エステル>
DMF(50ml)中の4’−ベンジルオキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸(8.00g、22.96mmol)溶液に、炭酸カリウム(7.62g、55.12mmol)を加える。得られる懸濁液に、(2−ブロモプロポキシメチル)ベンゼン(11.58g、50.52mmol)を加える。反応混合物を70℃で3時間攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を100mlの氷水混合物に注ぎ、60mlのMTBEで抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、油状の残渣を溶離液ヘプタン/酢酸エチル7:3でシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。4’−ベンジルオキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸ビス(3−ベンジルオキシプロピル)エステルを無色の固体(6.0g)として得る。
【0460】
<3.2 4’−ヒドロキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸ビス(3−ヒドロキシプロピル)エステル>
テトラヒドロフラン(60ml)中の4’−ベンジルオキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸ビス(3−ベンジルオキシプロピル)エステル(6.0g、9.3mmol)溶液を活性炭(0.6g)上パラジウム(5%)で処理し、水素化を20時間行う。次いで、触媒を濾別し、残った溶液を真空中で濃縮する。高真空中で更に乾燥後、4’−ヒドロキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸ビス(3−ヒドロキシプロピル)エステル(3.4g)をオイルとして得て、更に精製することなく使用する。
【0461】
<3.3 4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3,4−ジカルボン酸ビス[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロピル]エステル>
メタクリル酸(4.46g、51.8mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.11g、0.9mmol)を、ジクロロメタン(100ml)中の4’−ヒドロキシビフェニル−3,4−ジカルボン酸ビス(3−ヒドロキシプロピル)エステル(3.40g、9.1mmol)懸濁液に加える。ジクロロメタン(60ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(8.04g、51.8mmol)溶液で反応混合物を滴下で0℃において処理し、20時間、室温で攪拌する。真空中で反応混合物を濃縮し、シリカゲルに通して濾過する。溶媒を除去後、粗生成物を溶離液ヘプタン/酢酸エチル7:3でシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3,4−ジカルボン酸ビス[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロピル]エステルを、無色のオイル(1.7g)として得る。
【0462】
【表24】
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<例4>
式I4−1の重合性モノマー化合物4を以下の通り調製する。
【0463】
【化137】
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<4.1 4’−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸>
商業的に入手な[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸および5−ブロモ−2−ヒドロキシル安息香酸より、4’−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸を調製する。
【0464】
蒸留水(160ml)中の炭酸ナトリウム(36.63g、345.6mmol)溶液に、1,4−ジオキサン(245ml)、5−ブロモ−2−ヒドロキシル安息香酸(15.00g、69.1mmol)および[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸(15.76g、69.1mmol)、次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.97g、1.4mmol)、トリフェニルホスフィン(0.36g、1.4mmol)およびトリエチルアミン(0.14g、1.4mmol)を窒素雰囲気下で加える。反応混合物を還流で2時間加熱する。室温まで冷却後、200mlの蒸留水を加え、濃塩酸で反応混合物を冷却下でpH約1に中和する。析出する粗生成物を濾過し、蒸留水で洗浄する。真空中で乾燥後、得られた4’−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシルビフェニル−3−カルボン酸の灰色結晶(22g)を更に精製することなく使用した。
【0465】
<4.2 4’−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル>
DMF(50ml)中の4’−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシルビフェニル−3−カルボン酸(18.00g、39.3mmol)溶液に、炭酸カリウム(4.72g、47.2mmol)を加える。得られる懸濁液に、(2−ブロモエトキシメチル)ベンゼン(12.69g、59.0mmol)を加える。反応混合物を40℃で一晩攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を200mlの氷水混合物に注ぎ、120mlのMTBEで抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、油状の残渣を溶離液ヘプタン/酢酸エチル8:2でシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、アセトニトリルより再結晶して、4’−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシルビフェニル−3−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステルを白色結晶(4.2g)として与える。
【0466】
<4.3 4,4’−ジヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル>
テトラヒドロフラン(40ml)中の4’−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシルビフェニル−3−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル(4.2g、9.2mmol)溶液を活性炭(1.0g)上パラジウム(5%)で処理し、水素化を21時間行う。次いで、触媒を濾別し、残った溶液を真空中で濃縮する。固体の残渣をアセトニトリルより再結晶して、4,4’−ジヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステルの白色結晶(1.8g)を与える。
【0467】
<4.4 4,4’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステル>
メタクリル酸(3.22g、37.4mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.08g、0.66mmol)を、ジクロロメタン(80ml)中の4,4’−ジヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル(1.80g、6.6mmol)懸濁液に加える。ジクロロメタン(30ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(5.81g、37.4mmol)溶液で反応混合物を滴下で0℃において処理し、20時間、室温で攪拌する。真空中で反応混合物を濃縮し、シリカゲルに通して濾過する。溶媒を除去後、粗生成物をエタノールより再結晶して、4,4’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステルの白色結晶(2.2g、融点84℃)を与える。
【0468】
【表25】
[この文献は図面を表示できません]
<例5>
式I9−1の重合性モノマー化合物5を以下の通り調製する。
【0469】
【化138】
[この文献は図面を表示できません]
<5.1 3,4−ビスベンジルオキシフェニルボロン酸>
商業的に入手な1,2−ビスベンジルオキシ−4−ブロモベンゼンより、3,4−ビスベンジルオキシフェニルボロン酸を調製する。
【0470】
窒素雰囲気下、乾燥THF(250ml)中に1,2−ビスベンジルオキシ−4−ブロモベンゼン(20.00g、54.2mmol)を溶解する。ドライアイス浴中で、溶液を−70℃まで冷却する。温度が−60℃より低くなるよう制御しながら、n−ヘキサン中のn−ブチルリチウム15%溶液37mlを滴下で加える。この温度で1時間、反応混合物を攪拌し続ける。6ml乾燥THF中のホウ酸トリメチル(6.19g、59.6mmol)溶液を滴下で加える。反応混合物を放置して攪拌下0℃まで徐々に温め、次いで、水を滴下で注意深く加えることで加水分解する。濃塩酸で反応混合物を冷却下でpH約1に酸性化する。有機相を分離する。水相をMTBEで抽出する。合わされた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、粗生成物をヘプタンより再結晶して、3,4−ビスベンジルオキシフェニルボロン酸のピンク色結晶(13.8g)を与える。
【0471】
<5.2 3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸>
蒸留水(95ml)中の炭酸ナトリウム(21.88g、206.5mmol)溶液に、1,4−ジオキサン(150ml)、5−ブロモ安息香酸(8.38g、41.3mmol)および3,4−ビスベンジルオキシフェニルボロン酸(13.80g、41.3mmol)、次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.58g、0.8mmol)、トリフェニルホスフィン(0.22g、0.8mmol)およびトリエチルアミン(0.08g、0.8mmol)を窒素雰囲気下で加える。反応混合物を還流で2時間加熱する。室温まで冷却後、200mlの蒸留水を加え、濃塩酸で反応混合物を冷却下でpH約1に中和する。析出する粗生成物を濾過し、蒸留水で洗浄する。真空中で乾燥後、得られた3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸の灰色結晶(14.6g)を更に精製することなく使用した。
【0472】
<5.3 3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル>
DMF(30ml)中の3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸(8.00g、19.5mmol)溶液に、炭酸カリウム(3.23g、23.4mmol)を加える。得られる懸濁液に、(2−ブロモエトキシメチル)ベンゼン(4.61g、21.4mmol)を加える。反応混合物を70℃で3時間攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を100mlの氷水混合物に注ぎ、60mlのMTBEで抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、粗生成物をイソプロパノール/アセトニトリルより再結晶して精製し、3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステルを、くすんだ白色の結晶(7.2g)として与える。
【0473】
<5.4 3’,4’−ジヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル>
テトラヒドロフラン(70ml)中の3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル(7.2g、12.0mmol)溶液を活性炭(2.0g)上パラジウム(5%)で処理し、水素化を18時間行う。次いで、触媒を濾別し、残った溶液を真空中で濃縮する。固体の残渣をアセトニトリルより再結晶して、3’,4’−ジヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステルの灰色結晶(2.7g)を与える。
【0474】
<5.5 3’,4’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステル>
メタクリル酸(4.83g、56.1mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.12g、0.98mmol)を、ジクロロメタン(100ml)中の3’,4’−ジヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル(2.7g、9.8mmol)懸濁液に加える。ジクロロメタン(40ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(8.71g、56.1mmol)溶液で反応混合物を滴下で0℃において処理し、20時間、室温で攪拌する。真空中で反応混合物を濃縮し、シリカゲルに通して濾過する。溶媒を除去後、粗生成物をエタノール/アセトニトリルより再結晶して、3’,4’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステルの白色結晶(1.7g、融点63℃)を与える。
【0475】
【表26】
[この文献は図面を表示できません]
<例6>
式I9−2の重合性モノマー化合物6を以下の通り調製する。
【0476】
【化139】
[この文献は図面を表示できません]
例5に記載した通りにして、3,4−ビスベンジルオキシフェニルボロン酸および3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸を調製する。
【0477】
<6.1 3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸3−ベンジルオキシプロピルエステル>
DMF(30ml)中の3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸(8.00g、19.5mmol)溶液に、炭酸カリウム(3.23g、23.4mmol)を加える。得られる懸濁液に、(3−ブロモプロポキシメチル)ベンゼン(4.91g、21.4mmol)を加える。反応混合物を70℃で3時間攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を100mlの氷水混合物に注ぎ、60mlのMTBEで抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、粗生成物をイソプロパノール/アセトニトリルより再結晶して精製し、3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸3−ベンジルオキシプロピルエステルを白色結晶(7.5g)として与える。
【0478】
<6.2 3’,4’−ジヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸3−ヒドロキシプロピルエステル>
テトラヒドロフラン(80ml)中の3’,4’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸3−ベンジルオキシプロピルエステル(7.5g、13.4mmol)溶液を活性炭(2.0g)上パラジウム(5%)で処理し、水素化を19時間行う。次いで、触媒を濾別し、残った溶液を真空中で濃縮する。固体の残渣をアセトニトリルより再結晶して、3’,4’−ジヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸3−ヒドロキシプロピルエステルの灰色結晶(3.3g)を与える。
【0479】
<6.3 3’,4’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロピルエステル>
メタクリル酸(5.45g、63.3mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.14g、1.11mmol)を、ジクロロメタン(100ml)中の3’,4’−ジヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸3−ヒドロキシプロピルエステル(3.2g、11.1mmol)懸濁液に加える。ジクロロメタン(40ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(9.82g、63.2mmol)溶液で反応混合物を滴下で0℃において処理し、20時間、室温で攪拌する。真空中で反応混合物を濃縮し、油状の残渣をジクロロメタンでシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、3’,4’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロピルエステルを無色のオイル(2.3g)としてを与える。
【0480】
【表27】
[この文献は図面を表示できません]
<例7>
式I8−1の重合性モノマー化合物7を以下の通り調製する。
【0481】
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
<7.1 3,5−ビスベンジルオキシフェニルボロン酸>
商業的に入手な1,3−ビスベンジルオキシ−5−ブロモベンゼンより、3,5−ビスベンジルオキシフェニルボロン酸を調製する。
【0482】
窒素雰囲気下、乾燥THF(250ml)中に1,3−ビスベンジルオキシ−5−ブロモベンゼン(20.00g、54.16mmol)を溶解する。ドライアイス浴中で、溶液を−70℃まで冷却する。温度が−60℃より低くなるよう制御しながら、n−ヘキサン中のn−ブチルリチウム15%溶液37mlを滴下で加える。この温度で1時間、反応混合物を攪拌し続ける。6ml乾燥THF中のホウ酸トリメチル(6.19g、59.6mmol)溶液を滴下で加える。反応混合物を放置して攪拌下0℃まで徐々に温め、次いで、水を滴下で注意深く加えることで加水分解する。濃塩酸で反応混合物を冷却下でpH約1に酸性化する。有機相を分離する。水相をMTBEで抽出する。合わされた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、粗生成物をヘプタンより再結晶して、3,5−ビスベンジルオキシフェニルボロン酸のピンク色結晶(13.8g)を与える。
【0483】
<7.2 3’,5’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸>
蒸留水(95ml)中の炭酸ナトリウム(21.88g、206.5mmol)溶液に、1,4−ジオキサン(150ml)、4−ブロモ安息香酸(8.38g、41.3mmol)および3,5−ビスベンジルオキシフェニルボロン酸(13.80g、41.3mmol)、次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.58g、0.8mmol)、トリフェニルホスフィン(0.22g、0.8mmol)およびトリエチルアミン(0.08g、0.8mmol)を窒素雰囲気下で加える。反応混合物を還流で2時間加熱する。室温まで冷却後、200mlの蒸留水を加え、濃塩酸で反応混合物を冷却下でpH約1に中和する。析出する粗生成物を濾過し、蒸留水で洗浄する。真空中で乾燥後、粗生成物をアセトニトリル中で再結晶し、3’,5’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸の灰色結晶(6.0g)を与える。
【0484】
<7.3 3’,5’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル>
DMF(30ml)中の3’,5’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸(6.00g、14.6mmol)溶液に、炭酸カリウム(2.42g、17.5mmol)を加える。得られる懸濁液に、(2−ブロモエトキシメチル)ベンゼン(3.46g、16.1mmol)を加える。反応混合物を70℃で3時間攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を100mlの氷水混合物に注ぎ、60mlのMTBEで抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、3’,5’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステルが得られ(8.0g)、更に精製することなく次の工程のために使用する。
【0485】
<7.4 3’,5’−ジヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル>
テトラヒドロフラン(100ml)中の3’,5’−ビスベンジルオキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル(8.0g、14.6mmol)溶液を活性炭(1.0g)上パラジウム(5%)で処理し、水素化を20時間行う。次いで、触媒を濾別し、残った溶液を真空中で濃縮する。固体の残渣をアセトニトリルより再結晶して、3’,5’−ジヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステルの白色結晶(2.3g)を与える。
【0486】
<7.5 3’,5’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステル>
メタクリル酸(4.12g、47.8mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.10g、0.84mmol)を、ジクロロメタン(100ml)中の3’,5’−ジヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル(2.30g、8.4mmol)懸濁液に加える。ジクロロメタン(40ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(7.42g、47.8mmol)溶液で反応混合物を滴下で0℃において処理し、20時間、室温で攪拌する。真空中で反応混合物を濃縮し、シリカゲルに通して濾過する。溶媒を除去後、粗生成物をエタノールより再結晶して、3’,5’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステルの白色結晶(2.5g、融点66℃)を与える。
【0487】
【表28】
[この文献は図面を表示できません]
<例8>
式I1−1の重合性モノマー化合物8を以下の通り調製する。
【0488】
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
<8.1 4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル>
商業的に入手可能な4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸より、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステルを調製する。
【0489】
DMF(30ml)中の4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸(4.28g、20mmol)溶液に、炭酸カリウム(2.40g、24.0mmol)を加える。得られる懸濁液に、(2−ブロモエトキシメチル)ベンゼン(6.45g、30.0mmol)を加える。反応混合物を40℃で一晩攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を100mlの氷水混合物に注ぎ、60mlのMTBEで抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、粗生成物をヘプタンより再結晶して精製し、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステルを白色結晶(3.0g)として与える。
【0490】
<8.2 4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル>
テトラヒドロフラン(30ml)中の4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル(3.0g、8.0mmol)溶液を活性炭(1.0g)上パラジウム(5%)で処理し、水素化を15時間行う。次いで、触媒を濾別し、残った溶液の溶媒を真空中で除去する。4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステルを白色結晶(2.1g)を得て、更に精製することなく次の工程のために使用する。
【0491】
<8.3 4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステル>
メタクリル酸(2.05g、23.0mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.1g、0.8mmol)を、ジクロロメタン(90ml)中の4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル(2.10g、7.9mmol)懸濁液に加える。ジクロロメタン(30ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(3.70g、23.8mmol)溶液で反応混合物を滴下で0℃において処理し、20時間、室温で攪拌する。真空中で反応混合物を濃縮し、シリカゲルに通して濾過する。溶媒を除去後、粗生成物をエタノールより再結晶して、4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステルの白色結晶(1.7g、融点79℃)を与える。
【0492】
【表29】
[この文献は図面を表示できません]
<例9>
例4と同じ合成の方針を適用し、商業的に入手可能な[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸および3−ブロモ−5−ヒドロキシル安息香酸より出発し、以下の通り類似して、重合性モノマー化合物9を調製する。
【0493】
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
最後の工程のために、調製された5,4’−ジヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル(5.30g、19.3mmol)を50mlのジクロロメタン中に溶解する。この溶液に、メタクリル酸(6.56ml、77.3mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.24g、1.93mmol)を室温で加える。次いで、反応混合物を0℃まで冷却し、ジクロロメタン(10ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(13.56ml、77.3mmol)溶液で処理する。放置して室温まで温めた後、反応混合物を更に20時間攪拌する。溶媒を除去後、粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって溶離液としてジクロロメタン/酢酸エチル9:1で精製する。更にエタノールより再結晶して、5,4’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステルの白色結晶(4.8g、融点62℃)を与える。
【0494】
【表30】
[この文献は図面を表示できません]
<例10>
例1と同じ合成の方針を適用し、商業的に入手可能な[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸および3,5−ジブロモ安息香酸より出発し、以下の通り類似して、重合性モノマー化合物10を調製する。
【0495】
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
最後の工程のために、調製された4,4”−ジヒドロキシ−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル(7.00g、20.0mmol)を80mlのジクロロメタン中に溶解する。この溶液に、メタクリル酸(6.27ml、73.9mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.25g、2.00mmol)を室温で加える。次いで、反応混合物を0℃まで冷却し、ジクロロメタン(20ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(12.97ml、73.9mmol)溶液で処理する。放置して室温まで温めた後、反応混合物を更に20時間攪拌する。溶媒を除去後、粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって溶離液としてヘプタン/酢酸エチルで精製し、4,4”−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステルの白色結晶(7.0g、融点125℃)を与える。
【0496】
【表31】
[この文献は図面を表示できません]
<例11>
重合性モノマー化合物11を、以下の通り調製する。
【0497】
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
<11.1 3−ブロモ−5−ヨード安息香酸2−ベンジルオキシエチルエステル>
3−ブロモ−5−ヨード安息香酸2−ベンジルオキシエチルエステルを、商業的に入手可能な3−ブロモ−5−ヨード安息香酸および2−ブロモエトキシメチルベンゼンより調製する。
【0498】
DMF(70ml)中の3−ブロモ−5−ヨード安息香酸(25.00g、76.5mmol)溶液に、炭酸カリウム(12.68g、91.8mmol)を加える。得られる懸濁液に、(2−ブロモエトキシメチル)ベンゼン(13.30ml、84.12mmol)を加える。反応混合物を70℃で3時間攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を1000mlの水に加え、300mlのメチルt−ブチルエーテル(MTBE)で3回抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、3−ブロモ−5−ヨード安息香酸2−ベンジルオキシエチルエステルを褐色のオイル(38.0g)として得る。
【0499】
<11.2 4’−ベンジルオキシ−5−ブロモビフェニル−3−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル(11a)>
蒸留水(70ml)中のメタホウ酸ナトリウム四水和物(18.49g、132.7mmol)溶液に、250mlTHF中、3−ブロモ−5−ヨード安息香酸2−ベンジルオキシエチルエステル(34.00g、73.7mmol)および[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ボロン酸(16.82g、73.7mmol)の溶液を加える。アルゴンで完全に脱気後、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(2.95g、4.1mmol)を加え、続いて、水酸化ヒドラジニウム(0.05ml、1mmol)を加える。反応混合物を還流するまで加熱し、3時間攪拌する。室温まで冷却後、塩酸で反応混合物を注意深く中和する。水相を分離後、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥する。有機溶媒を除去後、油状の残渣を、溶離液としてヘプタン/酢酸エチルでシリカゲル上においてカラムクロマトグラフィーで精製する。更にアセトニトリルより再結晶して、4’−ベンジルオキシ−5−ブロモビフェニル−3−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル11aの白色結晶(14.3g)を与える。
【0500】
<11.3 1−(2−ベンジルオキシエトキシ)−4−ブロモベンゼン>
1−(2−ベンジルオキシエトキシ)−4−ブロモベンゼンを、商業的に入手可能な2−ブロモエトキシメチルベンゼンおよび4−ブロモフェノールより調製する。
【0501】
300mlのメチルエチルケトン中4−ブロモフェノール(28.00g、157.0mmol)の溶液に、炭酸カリウム(26.03g、188.0mmol)を加える。得られる懸濁液に、2−ブロモエトキシメチルベンゼン(40.0g、186.0mmol)を加える。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を500mlの水中に加え、200mlのメチルt−ブチルエーテル(MTBE)で3回抽出する。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、油状の残渣を、溶離液として1−クロロブタンでシリカゲル上においてカラムクロマトグラフィーで精製し、1−(2−ベンジルオキシエトキシ)−4−ブロモベンゼンを無色のオイル(48.0g)として与える。
【0502】
<11.4 4−(2−ベンジルオキシエトキシ)フェニルボロン酸(11b)>
500mlの乾燥THF中1−(2−ベンジルオキシエトキシ)−4−ブロモベンゼン(46.00g、150.0mmol)およびホウ酸トリイソプロピル(41.22ml、180.0mmol)の溶液に、n−ブチルリチウム溶液(n−ヘキサン中15%溶液、103.5ml、164.7mmol)を、−70℃において滴下で加える。この温度で、反応混合物を1時間攪拌する。放置して0℃まで徐々に温め、反応混合物を500mlの氷水混合物に加え、塩酸で反応混合物をpH約1に注意深く中和する。水相を分離し、300mlのMTBEで2回抽出する。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、固体の残渣をヘプタン/酢酸エチルで再結晶して、4−(2−ベンジルオキシエトキシ)フェニルボロン酸(11b)を白色結晶(18.1g)として与える。
【0503】
<11.5 4−ベンジルオキシ−4”−(2−ベンジルオキシエトキシ)−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル>
1000mlの乾燥1,4−ジオキサン中4−(2−ベンジルオキシエトキシ)フェニルボロン酸(17.40g、64.0mmol)および4’−ベンジルオキシ−5−ブロモビフェニル−3−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル(33.09g、64.0mmol)の溶液に、炭酸カリウム(73.6g、320.0mmol)を加える。アルゴンで完全に脱気後、得られる懸濁液に、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)(1.17g、1.3mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−ビフェニル(SPhos、2.16g、5.1mmol)を加える。反応混合物を還流するまで加熱し、3時間攪拌する。室温まで冷却後、反応混合物を1000mlの氷水に加え、濃塩酸で反応混合物を注意深く中和する。水相を分離し、300mlの酢酸エチルで3回抽出する。有機相を合わせて、飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中で溶媒を除去後、油状の残渣を、溶離液としてヘプタン/酢酸エチルでシリカゲル上においてカラムクロマトグラフィーで精製し、4−ベンジルオキシ−4”−(2−ベンジルオキシエトキシ)−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステルを白色結晶(19.2g)として与える。
【0504】
<11.6 4−ヒドロキシ−4”−(2−ヒドロキシエトキシ)−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル>
テトラヒドロフラン(200ml)中の4−ベンジルオキシ−4”−(2−ベンジルオキシエトキシ)−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−ベンジルオキシエチルエステル(19.2g、28.9mmol)溶液を活性炭(8.5g)上パラジウム(5%)で処理し、水素化を20時間行う。次いで、触媒を濾別し、残った溶液を真空中で濃縮する。固体の残渣をアセトニトリルより再結晶して、4−ヒドロキシ−4”−(2−ヒドロキシエトキシ)−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステルを白色結晶(10.0g)として与える。
【0505】
<11.7 4−(2−メチルアクリロイルオキシ)−4”−[2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エトキシ]−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステル>
メタクリル酸(12.44g、144.5mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.31g、2.5mmol)を、ジクロロメタン(240ml)中の4−ヒドロキシ−4”−(2−ヒドロキシエトキシ)−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル(10.0g、25.3mmol)懸濁液に加える。ジクロロメタン(50ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(22.4g、144.5mmol)溶液で反応混合物を滴下で0℃において処理し、20時間、室温で攪拌する。真空中で溶媒を除去し、油状の残渣をヘプタン/酢酸エチルでシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。得られた生成物をヘプタン/MTBE溶媒混合物より再結晶して、4−(2−メチルアクリロイルオキシ)−4”−[2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エトキシ]−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステルの白色結晶(10.3g、融点73℃)を与える。
【0506】
【表32】
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<例12>
例11と同じ合成の方針を適用し、商業的に入手可能な3−ブロモ−5−ヨード安息香酸および4−ブロモ−2−フルオロフェノールより出発し、以下の通り類似して、重合性モノマー化合物12を調製する。
【0507】
【化145】
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最後の工程のために、調製された3”−フルオロ−4−ヒドロキシ−4”−(2−ヒドロキシエトキシ)−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル(2.30g、5.7mmol)を50mlのジクロロメタン中に溶解する。この溶液に、メタクリル酸(2.74ml、31.8mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.068g、0.56mmol)を室温で加える。次いで、反応混合物を0℃まで冷却し、ジクロロメタン(10ml)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(4.94ml、31.8mmol)溶液で処理する。放置して室温まで温めた後、反応混合物を更に20時間攪拌する。溶媒を除去後、粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって溶離液としてヘプタン/酢酸エチルで精製する。ヘプタン/MTBE溶媒混合物より更に再結晶して、3”−フルオロ−4−(2−メチルアクリロイルオキシ)−4”−[2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エトキシ]−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−5’−カルボン酸2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチルエステルの白色結晶(1.8g、融点72℃)を与える。
【0508】
【表33】
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<混合物例1>
ネマチックLCホスト混合物Aを、以下の通り調合する。
【0509】
【表34】
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例1、2、5、8、9、11および12のモノマー1、2、5、8、9、11または12を、それぞれLCホスト混合物Aに0.3重量%の濃度で加え、重合性混合物を調製する。
【0510】
<混合物例2>
ネマチックLCホスト混合物Bを、以下の通り調合する。
【0511】
【表35】
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例1および8のモノマー1または8を、それぞれLCホスト混合物Bに0.3重量%の濃度で加え、重合性混合物を調製する。
【0512】
<混合物例3>
ネマチックLCホスト混合物Cを、以下の通り調合する。
【0513】
【表36】
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例1、2、5、8、9、11または12のモノマー1、2、5、8、9、11または12を、それぞれLCホスト混合物Cに0.3重量%の濃度で加え、重合性混合物を調製する。
【0514】
<混合物例4>
ネマチックLCホスト混合物Dを、以下の通り調合する。
【0515】
【表37】
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例2、5、9、11または12のモノマー2、5、9、11または12を、それぞれLCホスト混合物Dに0.3重量%の濃度で加え、重合性混合物を調製する。
【0516】
<混合物例5>
ネマチックLCホスト混合物Eを、以下の通り調合する。
【0517】
【表38】
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例2、5、9、11または12のモノマー2、5、9、11または12を、それぞれLCホスト混合物Eに0.3重量%の濃度で加え、重合性混合物を調製する。
【0518】
<比較例>
比較の目的のために、ネマチックLCホスト混合物A、BおよびCおよび以下のモノマーより更なる重合性混合物を調製した。
【0519】
・モノマー1と類似しているが、スペーサーおよび芳香族環の間のエステル基がエーテル基に置き換えられている三反応性重合性モノマーC1。
【0520】
・モノマー8と類似しているが、スペーサーおよび芳香族環の間のエステル基が逆向きとなっている三反応性重合性モノマーC8。
【0521】
・エステル基なしでアルキルスペーサーを有する二反応性モノマーC−D1。
【0522】
・スペーサーを有さない二反応性モノマーC−D2。
【0523】
ネマチックLCホスト混合物DおよびEおよび二反応性モノマーC−D2より、更なる比較混合物を調製した。
【0524】
全ての重合性混合物において、ネマチックLCホスト混合物におけるそれぞれのモノマーの濃度は0.3重量%であった。
【0525】
本発明によるモノマー1、2、5、8、9、11および12と、比較例のモノマーC1、C8、C−D1およびC−D2との構造を下に示す。
【0526】
【化146】
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【0527】
【化147】
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<使用例>
本発明による重合性混合物および重合性比較混合物を、それぞれ、VA e/o試験用セル中に挿入する。試験用セルはVA−ポリイミド配向層(JALS−2096−R1)を含み、該配向層は逆平行にラビングされている(ホスト混合物DおよびEを有する試験用セルには、ポリイミドAL64101を使用した)。LC層の厚みdは、およそ4μmである。
【0528】
24V
rms(交流)の電圧を印加しながら、それぞれの試験用セルに100mW/cm
2の強度を有するUV光を表記の時間で照射し、重合性モノマー化合物の重合を起こす。
【0529】
UV照射の前後において、重合性混合物のVHR値を上に記載の通り測定する。混合物のVHR値を表1に示す。
【0530】
【表39】
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表1より見て取れる通り、本発明によるモノマー1または8を含む重合性混合物のUV曝露後のVHR値は、モノマーC−D2を含む重合性混合物のVHR値よりも著しく高い。
【0531】
重合速度を決定するために、種々の曝露時間後においてHPLCにより、試験用セル内における未重合RMの残存含有量(重量%)を測定する。この目的のために、表記の条件下で試験用セル内において、それぞれの混合物を重合する。次いで、MEK(メチルエチルケトン)を使用して試験用セルより混合物を濯ぎ流し、測定する。
【0532】
異なる曝露時間後の混合物における、それぞれのモノマーの残存濃度を表2に示す。
【0533】
【表40】
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表2より見て取れる通り、モノマーC−D1、C1またはC8を有する重合性混合物を含有するPASディスプレイと比較して、本発明によるモノマー1または8を有する重合性混合物を含有するPASディスプレイにおいて、著しくより迅速で完全な重合が達成される。
【0534】
結晶回転実験(Autronic−Melchers TBA−105)により、UV照射の前後において、チルト角を決定する。
【0535】
チルト角を表3に示す。
【0536】
【表41】
[この文献は図面を表示できません]
表3より見て取れる通り、本発明によるモノマー1または8を有する重合性混合物を含有するPASディスプレイにおいて、重合後に小さいチルト角が迅速に達成されており、それらは、モノマーC−D1、C1またはC8を有する重合性混合物を含有するPSAディスプレイよりも小さい。
【0537】
また、VHR、残存モノマー含有量およびプレチルト角の上の測定を、それぞれLCホスト混合物A、B、DおよびEの1つにおいてモノマーC−D2を含む重合性混合物と比較して、LCホスト混合物A、B、DおよびEの1つにおいてモノマー2、5、9、11または12をそれぞれ含む重合性混合物についても行った。
【0538】
【表42】
[この文献は図面を表示できません]
日照試験後にアルケニル化合物を有さないホスト混合物Aにおいて、モノマーC−D2と比較して、本発明によるモノマー2、5、9、11および12は、より高いVHR値に至る。加えて、初期VHR値と比較して2時間の日照試験後に、本発明のモノマーはVHRの非常に小さい減少または増加を示すのみである。
【0539】
また、アルケニル化合物(CC−3−V)を含有するホスト混合物B、DおよびEにおいても、モノマーC−D2と比較して日照試験後に、本発明によるモノマー2、5、9、11および12は、より高いVHR値を示す。
【0540】
【表43】
[この文献は図面を表示できません]
全てのホスト混合物A、B、DおよびEにおいて先行技術のモノマーC−D2と比較し、本発明によるモノマー2、5、9、11および12は、より低い残存RM含有量で、より速い重合を示す。
【0541】
【表44】
[この文献は図面を表示できません]
チルト角を測定して、残存モノマー含有量の測定結果を確認する。よって、全てのホスト混合物A、B、DおよびEにおいて先行技術のモノマーC−D2と比較し、本発明によるモノマー2、5、9、11および12は、より高いチルト角のより速い生成を示す。
【0542】
溶解性を測定するために、それぞれ例1、5、8、9および11のモノマー1、5、8および9、および先行技術のモノマーC−D2を、商業的に入手可能なネマチックLC混合物MJ011412(メルク・ジャパン社)に0.3〜30重量%の種々の濃度で、それぞれ溶解する。サンプルを室温で1000時間保存し、サンプルが均一な溶液を維持しているかチェックする。その後、サンプルを遠心分離し、濾過し、上澄み液における残存モノマー濃度を決定する。
【0543】
室温における1000時間後の最大残存モノマー濃度は、以下の通りである:
モノマーC−D2:0.46%
モノマー8:1.66%
モノマー1:1.00%
モノマー5:1.00%
モノマー9:1.00%
モノマー11:0.60%。
【0544】
本発明によるモノマーは、先行技術のモノマーC−D2より著しく良好な溶解性を示していることが見て取れる。
【0545】
モノマー11でさえ0.6%の残存濃度を示しており、これはPSAディスプレイにおいて典型的に使用される0.3%のRM濃度より100%高いのに対し、モノマーC−D2は残存濃度0.46%有しており、これは典型的に使用されるRM濃度0.3%より50%高いのみであることが見て取れる。