【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数のデバイスが複数の分割線によって仕切られているデバイス領域を片面に有するウェーハを加工する方法を提供する。本方法は、ウェーハが第1の環状フレームの中央開口部内に配置されるように、ウェーハの片面またはその片面と反対のウェーハの面を第1の環状フレームによって支持される粘着テープに貼着することと、改質領域をウェーハ内に分割線に沿って形成するために、レーザー光線を分割線に沿ってウェーハに照射することと、ウェーハに貼着される粘着テープの面と反対の粘着テープの面が支持部材の支持面と接触しているように、レーザー光線をウェーハに照射する前または後に、粘着テープに貼着されたウェーハを支持面上に置くことと、を備える。支持面の平面における支持部材の外径は、第1の環状フレームの内径よりも小さい。粘着テープは、伸縮性粘着テープである。本方法は、レーザー光線をウェーハに照射した後、粘着テープを支持面の平面内にある方向に径方向に伸張させ、それによりウェーハを分割線に沿って複数のダイに分割するために、第1の環状フレームおよび支持部材の少なくとも周縁部を支持面の平面に垂直の方向に互いに対して移動させることと、第2の環状フレームを支持部材の周縁部に配置される伸張された粘着テープの部分に貼着することと、をさらに備える。第2の環状フレームは、ウェーハに貼着される粘着テープの面に貼着され、複数のダイに分離されたウェーハは、第2の環状フレームの中央開口部内に配置される。第2の環状フレームの内径は、支持面の平面における支持部材の外径よりも小さく、かつ第1の環状フレームの内径よりも小さい。
【0013】
本明細書では、「支持面の平面における支持部材の外径」という表現は、支持部材の径方向における支持部材の外径を定義する。
【0014】
本発明の加工法に従うと、第2の環状フレームが、支持部材の周縁部に配置される伸張された粘着テープの部分に貼着されると共に、複数のダイに分離されたウェーハが、第2の環状フレームの中央開口部内に配置される。第2の環状フレームの内径は、支持面の平面における支持部材の外径よりも小さく、かつ第1の環状フレームの内径よりも小さい。
【0015】
故に、第2の環状フレームは、伸張された粘着テープの周縁部分に単純な様式で貼着されることができ、テープの径方向の張力を確実に維持し、したがってダイ間の不測の接触に起因するダイへのいかなる損傷も防ぐ。
【0016】
伸張された粘着テープを張力下に維持するために追加のテープを準備する必要がないため、加工法の効率性は著しく向上される。さらに、材料損失が起きないことから、加工費が最小限に抑えられる。さらには、伸張された粘着テープの周縁部分に直接貼着される第2の環状フレームの使用に起因して、伸張されたテープに印加される張力は、長時間にわたって確実に維持されることができる。
【0017】
したがって、本発明の加工法は、効率的で信頼性が高くかつ費用効率の高い様式でウェーハが加工されることを可能にする。
【0018】
レーザー光線は、ウェーハの片面またはその片面と反対のウェーハの面に照射されてもよい。
【0019】
ウェーハの片面、即ち、デバイス領域が形成されるウェーハの前面は、第1の環状フレームによって支持される粘着テープに貼着されてもよい。この場合、レーザー光線は、その片面と反対のウェーハの面、即ち、ウェーハの背面に、分割線に沿って、特に単純な様式で照射されてもよい。
【0020】
代替的に、ウェーハの背面が、第1の環状フレームによって支持される粘着テープに貼着されてもよい。この場合、レーザー光線は、ウェーハの前面に、分割線に沿って、特に単純な様式で照射されてもよい。
【0021】
ウェーハの材料および/もしくは状態、ならびに/またはそこに形成される改質領域の種類によって、ウェーハのどちらの面が粘着テープに貼着されるかの選択がなされてもよい。
【0022】
レーザー光線は、粘着テープに貼着されるウェーハの面に照射されてもよい。この場合、レーザー光線は、粘着テープを通ってウェーハに照射される。
【0023】
レーザー光線は、粘着テープに貼着されるウェーハの面と反対のウェーハの面に照射されてもよい。したがって、レーザー光線は、ウェーハの露出面に照射されてもよい。
【0024】
ウェーハ内に分割線に沿って形成される改質領域は、改質層の形態または複数の穴領域の形態にあってもよく、ここで各穴領域は、アモルファス領域と、ウェーハの少なくとも1つの表面、即ち、ウェーハ前面および/または背面の表面に開かれているアモルファス領域内の空間とからなる。
【0025】
そのような改質層をウェーハ内に分割線に沿って形成するために、ウェーハを通るレーザー光線の伝送を可能にする波長を有するレーザー光線が使用されてもよい。レーザー光線の焦点は、改質層が形成されるウェーハ厚さ方向におけるウェーハの深さで、ウェーハ内側に位置付けされてもよい。この深さ位置に配置される焦点は、改質層を形成するために、分割線に沿ってスキャンされてもよい。改質層は、例えば、少なくとも部分的に亀裂の入った層、または融解および再凝固したウェーハ材料の層であってもよい。
【0026】
この方法では、改質層は、ウェーハ内側にレーザー光線の焦点を位置付けることによってウェーハ内に形成されてもよいため、レーザー光線は、ウェーハの前面または背面から照射されることができる。
【0027】
代替的に、改質領域を提供するために、複数の穴領域がウェーハ内に分割線に沿って形成されてもよい。例えば、これらの穴領域は、ウェーハ内に穴領域を形成して、各穴領域がウェーハ背面からウェーハ前面に向かって延在するように、レーザー光線の焦点がウェーハの厚さ方向において背面からある距離に位置する状態で、ウェーハの背面からレーザー光線をウェーハに照射することによって、分割線に沿って複数の位置に形成されてもよい。各穴領域は、アモルファス領域と、ウェーハの背面に開かれているアモルファス領域内の空間とからなってもよい。
【0028】
改質領域を形成するために分割線に沿ってウェーハに照射されるレーザー光線は、パルスレーザー光線であってもよい。
【0029】
本発明の加工法は、ウェーハ厚を調節するための研削工程をさらに備えてもよい。研削工程は、デバイス領域が形成されるウェーハ前面と反対にあるウェーハの背面から実施されてもよい。研削工程は、改質領域をウェーハ内に分割線に沿って形成するために、レーザー光線を分割線に沿ってウェーハに照射する前または後に実行されてもよい。
【0030】
ウェーハは、例えば、半導体ウェーハ、ガラス・ウェーハ、サファイア・ウェーハ、アルミナ(Al2O3)セラミック・ウェーハなどのセラミック・ウェーハ、酸化シリコン(SiO
2)ウェーハ、窒化アルミニウム(AlN)ウェーハなどであってもよい。
【0031】
特に、ウェーハは、例えば、シリコン(Si)ウェーハ、砒化ガリウム(GaAs)ウェーハ、窒化ガリウム(GaN)ウェーハ、リン化ガリウム(GaP)ウェーハ、砒化インジウム(InAs)ウェーハ、リン化インジウム(InP)ウェーハ、炭化ケイ素(SiC)ウェーハ、窒化ケイ素(SiN)ウェーハ、リチウムタンタレート(LT)ウェーハ、ニオブ酸リチウム(LN)ウェーハなどであってもよい。
【0032】
ウェーハは、単一の材料、または、上記材料のうちの2つ以上など、異なる材料の組み合わせで作製されてもよい。例えば、ウェーハは、Siで作製されるウェーハ要素がガラスで作製されるウェーハ要素に貼り合わされる、Siおよびガラス貼り合わせウェーハであってもよい。
【0033】
ウェーハは、半導体サイズのウェーハであってもよい。本明細書では、「半導体サイズのウェーハ」という用語は、半導体ウェーハの寸法(標準化された寸法)、特に、直径(標準化された直径)、即ち、外径を有するウェーハを指す。半導体ウェーハの寸法、特に、直径、即ち、外径は、SEMI規格に定義される。例えば、半導体サイズのウェーハは、Siウェーハであってもよい。研磨後の単結晶Siウェーハの寸法は、SEMI規格M1およびM76に定義される。半導体サイズのウェーハは、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、または18インチのウェーハであってもよい。
【0034】
ウェーハの前面のデバイス領域内に形成されるデバイスは、例えば、半導体デバイス、電源デバイス、光学デバイス、医療用デバイス、電気部品、MEMSデバイス、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0035】
粘着テープを支持面の平面内にある方向に径方向に伸張させ、それによりウェーハを分割線に沿って複数のダイに分割するとき、粘着テープに貼着されていないウェーハの面は、上方または下方、即ち、重力方向の上方または下方を向くように配置されてもよい。粘着テープに貼着されていないウェーハの面が下方に配向される場合、ウェーハ分離中に生成される、破片などのいかなる粒子も、ダイの表面に付着するのを防ぐことが特に確実に保証されることができる。
【0036】
粘着テープを支持面の平面内にある方向に径方向に伸張させる前に、ウェーハを分割線に沿って破壊する追加工程が実行されてもよい。この方法では、ダイの互いからの特に明確な分離が保証されることができる。
【0037】
第1および第2の環状フレームは、剛性フレームである。第1および/または第2の環状フレームは、金属またはポリマーなどの塑性材料で作製されてもよい。
【0038】
第1および/または第2の環状フレームは、少なくとも2mm、好ましくは少なくとも3mm、およびより好ましくは少なくとも4mmの厚さを有してもよい。第1および/または第2の環状フレームは、2mm〜12mmの範囲、好ましくは3mm〜10mmの範囲、およびより好ましくは4mm〜8mmの範囲の厚さを有してもよい。
【0039】
粘着テープは、基層と、基層に適用される粘着層とを備えてもよい。基層は、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、またはポリオレフィンなどのポリマー材料で作製されてもよい。
【0040】
一実施形態において、粘着テープに貼着されるウェーハは、レーザー光線をウェーハに照射する前に支持部材の支持面上に置かれ、改質領域をウェーハ内に分割線に沿って形成するために、レーザー光線が、支持面上に置かれたウェーハに分割線に沿って照射される。この場合、同じ支持部材が、レーザー光線の照射中にウェーハを保持するため、および粘着テープを径方向に伸張させるために使用されることができ、したがって加工効率をさらに増大させる。
【0041】
別の実施形態において、粘着テープに貼着されたウェーハは、レーザー光線をウェーハに照射した後に支持部材の支持面上に置かれる。このアプローチは、特に高い自由度を提供する。例えば、この場合、単一の支持部材が、複数、例えば、2つまたは3つのレーザー光線照射手段のために、即ちそれらと組み合わせて、使用されてもよく、したがって設備費を著しく減少させる。
【0042】
洗浄プロセスなどのさらなるプロセスが、例えば、粘着テープを径方向に伸張させる前および/または後に、支持面上に置かれたウェーハで実施されてもよい。この場合、同じ支持部材が、さらなるプロセス中にウェーハを保持するため、および粘着テープを径方向に伸張させるために使用されることができ、したがって加工効率をさらに増大させる。
【0043】
支持部材は、例えば、支持面の平面において円形断面を有する、支持テーブルの形態にあってもよい。例えば、支持部材はチャック・テーブルであってもよい。支持部材は連続した支持面を有してもよい。
【0044】
粘着テープに貼着されたウェーハが支持部材の支持面上に置かれるとき、粘着テープに貼着されたウェーハの少なくとも一部分は、支持面上に置かれている、即ち、直接置かれていてもよい。粘着テープに貼着されたウェーハ全体が、支持面上に置かれている、即ち、直接置かれていてもよい。
【0045】
支持部材は、支持面の平面において略環状断面または環状断面を有してもよい。例えば、支持部材は、中空の拡張ドラムであってもよい。支持部材は、不連続の支持面を有してもよい。
【0046】
粘着テープに貼着されたウェーハが支持部材の支持面上に置かれるとき、ウェーハは、粘着テープを介して支持面上に支持されてもよい。粘着テープに貼着されたウェーハのいずれの部分も支持面上に直接置かれていなくてもよい。
【0047】
粘着テープを支持面の平面内にある方向に径方向に伸張させ、それによりウェーハを分割線に沿って複数のダイに分割するために、第1の環状フレーム、および支持部材全体、例えば、支持テーブルまたは略環状もしくは環状断面を有する支持部材は、支持面の平面に垂直の方向に互いに対して移動されてもよい。
【0048】
第1の環状フレームと支持部材との間の相対移動は、第1の環状フレームだけを移動させて支持部材を静止状態に維持することによって、支持部材だけを移動させて第1の環状フレームを静止状態に維持することによって、または第1の環状フレームおよび支持部材を反対の方向に互いに対して移動させることによって達成されてもよい。支持部材は、中央部、および中央部を囲む略環状または環状の周縁部を備えてもよい。
【0049】
中央部は、例えば、支持面の平面において円形断面を有する、支持テーブルの形態にあってもよい。例えば、中央部はチャック・テーブルの形態にあってもよい。中央部は連続した支持面を有してもよい。
【0050】
周縁部は、支持面の平面において略環状断面または環状断面を有してもよい。例えば、周縁部は、中空の拡張ドラムの形態にあってもよい。周縁部は不連続の支持面を有する。
【0051】
支持部材の周縁部は、支持部材の中央部に対して支持面の平面に垂直の方向に移動可能であってもよい。粘着テープを支持面の平面内にある方向に径方向に伸張させ、それによりウェーハを分割線に沿って複数のダイに分割するために、第1の環状フレームおよび支持部材の周縁部は、支持面の平面に垂直の方向に互いに対して移動されてもよい。支持部材の周縁部のみと第1の環状フレームとが互いに対して移動されてもよい。支持部材の中央部は静止状態に維持されてもよい。
【0052】
本発明の加工方法は、第2の環状フレームを伸張された粘着テープに貼着した後、第2の環状フレームに貼着される粘着テープの部分の外側、即ち、径方向に外側に配置される位置で粘着テープを周方向に切断することをさらに備えてもよい。この方法では、第2の環状フレームに貼着された粘着テープの部分は、テープの残りから単純かつ効率的な様式で分離されることができ、第2の環状フレーム、および粘着テープによってそこに貼着された分割ウェーハが、ウェーハ加工システムから取り外されることを可能にする。その後、第2の環状フレームによって支持された分割ウェーハは、例えば、さらなる加工に供されるか、保存されるか、または輸送されてもよい。
【0053】
例えば、チャック・テーブルなどの支持テーブルの形態にある支持部材は、支持部材の直径が支持面の平面に垂直の方向において支持面からの距離が増大するにつれて減少するように、面取りされた、またはテーパ状の周縁部分を有してもよい。そのような面取りされた、またはテーパ状の周縁部分は、粘着テープを切断するのに使用される切断器具用に、粘着テープへの特に良好なアクセスを可能にする。故に、この場合、切断プロセスは、特に効率的かつ正確な様式で実行されることができる。
【0054】
本発明の加工法は、粘着テープを切断した後、粘着テープが切断された位置と第2の環状フレームに貼着される粘着テープの部分との間に配置される粘着テープの一部分を第2の環状フレームに貼着することをさらに備えてもよい。この方法では、粘着テープの一部分が、第2の環状フレームから分離、例えば、剥離され得ることを確実に防ぐことができる。したがって、第2の環状フレームへの粘着テープの特に安定性および信頼性の高い固定が保証されることができる。
【0055】
粘着テープが切断された位置と第2の環状フレームに貼着される粘着テープの部分との間に配置される粘着テープの部分は、例えば、1つのローラ、または一対など複数のローラを使用することによって、第2の環状フレームに貼着されてもよい。例えば、1つのローラまたは複数のローラが、第2の環状フレームに貼着されるべき粘着テープの部分に沿って周方向に移動されて、粘着テープの部分を第2の環状フレームに対して押圧し、それによりこれら2つの構成要素を互いに貼着してもよい。
【0056】
本発明の加工法は、例えば、粘着テープを切断する前に、例えば、1つのローラ、または一対など複数のローラを使用することによって、第2の環状フレームに貼着される伸張された粘着テープの部分に圧力を印加することをさらに備えてもよい。例えば、1つのローラまたは複数のローラが、第2の環状フレームに貼着される粘着テープの部分に沿って周方向に移動されて、粘着テープの部分を第2の環状フレームに対して押圧してもよい。この方法では、第2の環状フレームへの粘着テープの特に安定性および信頼性の高い固定が保証されることができる。
【0057】
第2の環状フレームの内径は、支持面の平面における支持部材の外径よりも小さくてもよく、および/または第1の環状フレームの内径よりも20mm以上、好ましくは30mm以上小さくてもよい。それにより、第2の環状フレームに貼着される粘着テープの部分が、少なくとも10mm、好ましくは少なくとも15mmのリング幅を有する環状テープ部分であることを単純かつ効率的な様式で保証することができる。本明細書では、「リング幅」という用語は、環状要素の外径とその内径との間の差の半分、即ち、外径から内径を引いて2で割ったものと定義する。
【0058】
この方法では、粘着テープと第2の環状フレームとの間の特に信頼性および安定性の高い接合が達成される。
【0059】
第1の環状フレームおよび第2の環状フレームは、同じリング幅を有してもよい。第1の環状フレームは、第2の環状フレームのリング幅よりも小さいリング幅を有してもよい。第1の環状フレームは、第2の環状フレームのリング幅よりも大きいリング幅を有してもよい。
【0060】
第1および/または第2の環状フレームは、20mm〜70mmの範囲、好ましくは30mm〜60mmの範囲、およびより好ましくは40mm〜50mmの範囲のリング幅を有してもよい。
【0061】
第1および第2のフレームは、環状フレームである。本明細書では、「環状」という用語は、例えば、環の外周および/または内周における、1つまたは複数の平坦もしくは直線部分、切欠き、および/または溝の存在に起因する、完全な環から外れた形状を包含する。第1および/または第2の環状フレームは、例えば、平坦もしくは直線部分、切欠き、および/または溝が存在する環の位置において、20mm〜70mmの範囲、好ましくは30mm〜60mmの範囲、およびより好ましくは40mm〜50mmの範囲の最小リング幅を有してもよい。
【0062】
第1の環状フレームの外径は、第2の環状フレームの外径と実質的に同じであってもよい。この方法では、第1および第2の環状フレームをそれぞれ保持するための第1および第2のフレーム保持手段が、実質的に同じサイズを有するように選択されることができるため、特に効率的で省スペースの配置が提供されることができる。
【0063】
第1の環状フレームの外径は、第2の環状フレームの外径よりも大きくてもよい。第1の環状フレームの外径は、第2の環状フレームの外径よりも小さくてもよい。
【0064】
第2の環状フレームは、半導体サイズの環状フレームであってもよい。本明細書では、「半導体サイズの環状フレーム」という用語は、半導体ウェーハを保持するための環状フレームの寸法(標準化された寸法)、特に内径(標準化された内径)を有する環状フレームを指す。
【0065】
また、半導体ウェーハを保持するための環状フレームの寸法、特に、内径は、SEMI規格に定義される。例えば、300mmウェーハ用のテープ・フレームの寸法は、SEMI規格SEMI G74に定義され、300mmウェーハ用のプラスチック・テープ・フレームの寸法は、SEMI規格SEMI G87に定義される。環状フレームは、例えば、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、または18インチのサイズを有する半導体サイズのウェーハを保持するためのフレームサイズを有してもよい。
【0066】
第2の環状フレームとして半導体サイズの環状フレームを提供することによって、ウェーハが分割された後のウェーハのさらなる加工、例えば、ウェーハの保管または輸送後のさらなる加工が促進される。特に、半導体サイズの環状フレームを選択することによって、例えば、ウェーハの分割が実行された場所とは異なる施設における一般的な半導体ウェーハ加工設備との、ウェーハ、粘着テープ、および第2の環状フレームによって形成されるユニットの互換性が保証される。
【0067】
本発明は、複数のデバイスが複数の分割線によって仕切られているデバイス領域を片面に有するウェーハを加工するためのウェーハ加工システムをさらに提供する。本システムは、ウェーハを上に置くための支持面を有する支持部材と、第1の環状フレームを保持するための第1のフレーム保持手段と、レーザー光線を分割線に沿ってウェーハに照射するためのレーザー光線照射手段と、半導体サイズの第2の環状フレームを保持するための第2のフレーム保持手段とを備える。支持部材および第1のフレーム保持手段は、第1のフレーム保持手段および支持部材の少なくとも周縁部が、支持面の平面に垂直の方向に互いに対して移動可能であるように構成される。支持部材および第2のフレーム保持手段は、第2のフレーム保持手段および支持部材の少なくとも周縁部が、支持面の平面に垂直の方向に互いに対して移動可能であるように構成される。支持面の平面における支持部材の外径は、半導体サイズの第2の環状フレームの内径よりも大きい。
【0068】
本発明のウェーハ加工システムは、本発明のウェーハ加工法を実行するために構成されるシステムである。したがって、ウェーハ加工システムは、ウェーハ加工法について上で既に詳細に記載される技術的な効果および利点を提供する。
【0069】
本発明のウェーハ加工法について上に記載される機能は、本発明のウェーハ加工システムにも当てはまる。特に、ウェーハ加工システムの支持部材が、上に詳細に記載されている。
【0070】
第1のフレーム保持手段および支持部材の少なくとも周縁部を支持面の平面に垂直の方向に互いに対して移動させることによって、第1の環状フレームによって支持される粘着テープは、支持部材によって支持面の平面内にある方向に径方向に伸張され、それにより粘着テープに貼着されたウェーハを分割線に沿って複数のダイに分割する。
【0071】
第2のフレーム保持手段および支持部材の少なくとも周縁部を支持面の平面に垂直の方向に互いに対して移動させることによって、半導体サイズの第2の環状フレームは、支持部材の周縁部に配置される伸張された粘着テープの一部分に貼着される。
【0072】
レーザー光線照射手段は、レーザー光線を支持部材の支持面上に置かれたウェーハに照射するために構成されてもよい。
【0073】
ウェーハ加工システムは、第1のフレーム保持手段および支持部材の少なくとも周縁部を支持面の平面に垂直の方向に互いに対して移動させるための第1の移動手段をさらに備えてもよい。
【0074】
ウェーハ加工システムは、第2のフレーム保持手段および支持部材の少なくとも周縁部を支持面の平面に垂直の方向に互いに対して移動させるための第2の移動手段をさらに備えてもよい。
【0075】
ウェーハ加工システムは、第1の環状フレームによって支持された粘着テープを切断するための切断手段をさらに備えてもよい。切断手段は、第2の環状フレームに貼着される粘着テープの部分の外側、即ち、径方向に外側に配置される位置で粘着テープを周方向に切断するために構成されてもよい。
【0076】
ウェーハ加工システムは、粘着テープの一部分に圧力を印加するための押圧手段をさらに備えてもよい。例えば、押圧手段は、1つのローラ、または一対など複数のローラを備えてもよい。
【0077】
押圧手段は、粘着テープを切断した後、粘着テープが切断された位置と第2の環状フレームに貼着される粘着テープの部分との間に配置される粘着テープの一部分を第2の環状フレームに貼着するために構成されてもよい。例えば、押圧手段の1つのローラまたは複数のローラが、第2の環状フレームに貼着されるべき粘着テープの部分に沿って周方向に移動されて、粘着テープの部分を第2の環状フレームに対して押圧し、それによりこれら2つの構成要素を互いに貼着してもよい。
【0078】
押圧手段は、例えば、粘着テープを切断する前に、第2の環状フレームに貼着される伸張された粘着テープの部分に圧力を印加するために構成されてもよい。例えば、押圧手段の1つのローラまたは複数のローラが、第2の環状フレームに貼着される粘着テープの部分に沿って周方向に移動されて、粘着テープの部分を第2の環状フレームに対して押圧してもよい。
【0079】
ウェーハ加工システムは、例えば、ウェーハが分割された後、ウェーハを洗浄するための洗浄手段をさらに備えてもよい。
【0080】
ウェーハ加工システムは、粘着テープを支持面の平面内にある方向に径方向に伸張させる前に、ウェーハを分割線に沿って破壊するための破壊手段をさらに備えてもよい。
【0081】
ウェーハ加工システムは、単一のウェーハ加工装置、または複数、例えば、2つもしくは3つのウェーハ加工装置を備えてもよい。複数のウェーハ加工装置は、互いに接続されてもよい。
【0082】
例えば、ウェーハ加工システムは2つのウェーハ加工装置、即ち、第1のウェーハ加工装置および第2のウェーハ加工装置を備えてもよい。第1のウェーハ加工装置および第2のウェーハ加工装置は、互いに、例えば一列に、接続されてもよい。第1のウェーハ加工装置は、レーザー光線照射手段を備えてもよい。第2のウェーハ加工装置は、支持部材ならびに第1および第2のフレーム保持手段を備えてもよい。さらに、第2のウェーハ加工装置は、第1の移動手段および第2の移動手段を備えてもよい。第2のウェーハ加工装置は、洗浄手段を備えてもよい。
【0083】
ウェーハ加工システムは、互いに接続された3つ以上のウェーハ加工装置を備えてもよい。ウェーハ加工装置のうちの1つは、支持部材ならびに第1および第2のフレーム保持手段を備えてもよい。他のウェーハ加工装置は、レーザー光線照射手段をそれぞれ備えてもよい。この場合、単一の支持部材ならびに単一の第1および第2のフレーム保持手段は、複数、例えば、2つまたは3つのレーザー光線照射手段のために、即ちそれらと組み合わせて、使用されてもよく、したがって設備費を著しく減少させる。
【0084】
代替的に、ウェーハ加工システムは、レーザー光線照射手段、支持部材、ならびに第1および第2のフレーム保持手段を備える単一のウェーハ加工装置を備えてもよい。さらに、単一のウェーハ加工装置は、第1の移動手段および第2の移動手段を備えてもよい。単一のウェーハ加工装置は、洗浄手段を備えてもよい。
【0085】
ウェーハ加工システムは、システムの構成要素を制御するための制御部を備えてもよい。
【0086】
制御部は、例えば、第1の移動手段を制御することによって、第1のフレーム保持手段および支持部材の少なくとも周縁部の、支持面の平面に垂直の方向への互いに対する移動を制御するように構成されてもよい。
【0087】
制御部は、例えば、第2の移動手段を制御することによって、第2のフレーム保持手段および支持部材の少なくとも周縁部の、支持面の平面に垂直の方向への互いに対する移動を制御するように構成されてもよい。
【0088】
制御部は、レーザー光線照射手段を制御することによって、ウェーハに対する分割線に沿ったレーザー光線の照射を制御するように構成されてもよい。
【0089】
制御部は、本発明のウェーハ加工法を実行するために、ウェーハ加工システムを制御するように構成されてもよい。
【0090】
制御部は、切断手段、および/または押圧手段、および/または洗浄手段、および/または破壊手段を制御するように構成されてもよい。
【0091】
ウェーハ加工システムは、第1の環状フレームをさらに備えてもよく、ここで支持面の平面における支持部材の外径は、第1の環状フレームの内径よりも小さい。
【0092】
半導体サイズの第2の環状フレームの内径は、第1の環状フレームの内径よりも小さい。
【0093】
ウェーハ加工システムは、半導体サイズの第2の環状フレームをさらに備えてもよい。
【0094】
これより、図面を参照して本発明の非限定的な例を説明する。