特許第6594986号(P6594986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594986真空堆積のための材料源アレンジメント及び材料分配アレンジメント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594986
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】真空堆積のための材料源アレンジメント及び材料分配アレンジメント
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20191010BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20191010BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   C23C14/24 A
   H05B33/14 A
   H05B33/10
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-542273(P2017-542273)
(86)(22)【出願日】2014年11月7日
(65)【公表番号】特表2017-534768(P2017-534768A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2014074090
(87)【国際公開番号】WO2016070943
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2017年7月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バンゲルト, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュースラー, ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ロップ, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ディエゲス−カンポ, ホセ マヌエル
【審査官】 谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/122059(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ(110)内で蒸発した材料を基板(121)上に堆積するための線形の分配管(106)であって、
第1の方向(136)に沿って延在している分配管ハウジング(116)であって、前記第1の方向が前記線形の分配管(106)の線形の延在をもたらし、第1のハウジング材料を含む、前記分配管ハウジング(116)と、
前記分配管ハウジング(116)内の複数の開口部であって、前記複数の開口部が前記線形の分配管の前記線形の延在に沿って分配されている、複数の開口部と、
前記線形の分配管(106)のための複数のノズル(712)であって、前記複数のノズル(712)が前記真空チャンバ(110)内で前記蒸発した材料を導くように構成されており、前記複数のノズルが、前記第1のハウジング材料よりも大きな熱伝導率を有する第1のノズル材料を含む、複数のノズル(712)とを備え、前記複数のノズルがTa、Ti、Nb、DLC、及び黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、線形の分配管(106)。
【請求項2】
前記ノズル(712)が、前記蒸発した材料を前記ノズルを通して導くための通路(203)と、少なくとも前記通路(203)の表面上にあるコーティングとを含む、請求項1に記載の線形の分配管。
【請求項3】
前記通路(203)の前記表面が、前記第1のノズル材料又は蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な第2のノズル材料(208)でコーティングされている、請求項に記載の線形の分配管。
【請求項4】
前記ノズル(712)の前記通路(203)が、Ta、Nb、Ti、DLC、及び黒鉛のうちの少なくとも1つでコーティングされている、請求項に記載の線形の分配管。
【請求項5】
前記第1のノズル材料の熱伝導率が21W/mKよりも大きい、請求項1に記載の線形の分配管。
【請求項6】
前記ノズル(712)が、前記分配管(106)に対して螺合可能であるように構成された、請求項1からのいずれか一項に記載の線形の分配管。
【請求項7】
前記ノズル(712)が、前記蒸発した材料を前記ノズルを通して導くための通路(203)を備え、かつ前記ノズル(712)がcosのようなプロファイルを有するプルームを形成するように設計され、蒸発した材料のプルームを形成する前記通路の形状を提供しており、ここで、n≧4である、請求項1からのいずれか一項に記載の線形の分配管。
【請求項8】
真空チャンバ(110)内で材料を基板(121)上に堆積するための材料堆積アレンジメント(100)であって、
蒸発させられ前記基板(121)上に堆積される前記材料を提供するための蒸発源(102)と、
分配管(106)であって、前記蒸発した材料を前記分配管(106)に提供する前記蒸発源(102)と流体連通している分配管(106)と、
前記真空チャンバ(110)内で、蒸発した前記材料を導くためのノズル(712)であって、前記ノズル(712)は21W/mKよりも大きい熱伝導率を有する第1のノズル材料を含み、前記ノズル(712)は、Ta、Ti、Nb、DLC、及び黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、ノズル(712)と
を備えている材料堆積アレンジメント(100)。
【請求項9】
前記蒸発源(102)が、有機材料を供給するための蒸発源である、請求項に記載の材料堆積アレンジメント。
【請求項10】
前記分配管(106)を、堆積される前記材料の蒸発温度以上に加熱するための加熱要素(726)をさらに備えている、請求項8又は9に記載の材料堆積アレンジメント。
【請求項11】
前記分配管(106)が、請求項1からのいずれか一項に記載の線形の分配管であり、前記ノズル(712)が、前記線形の分配管の複数のノズルのうちのノズルである、請求項8から10の何れか一項に記載の材料堆積アレンジメント。
【請求項12】
真空堆積装置であって、
真空チャンバ(110)と、
請求項8から11のいずれか一項に記載の材料堆積アレンジメント(100)と
を備えている真空堆積装置。
【請求項13】
前記蒸発源(102)が、有機材料のための蒸発るつぼであり、前記材料堆積アレンジメント(100)の前記分配管(106)が、前記蒸発るつぼからの蒸発した材料を前記真空チャンバ(110)の中へと導くために、前記蒸発るつぼに接続されており、
前記ノズル(712)が、蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な第2のノズル材料(208)を含み、且つ
前記材料堆積アレンジメント(100)の前記ノズル(712)が、前記真空チャンバ(110)内で、前記蒸発した材料を基板(121)に向けて方向付けるように配置されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
真空堆積装置のための材料堆積アレンジメント(100)を設けるための方法であって、
基板(121)上に堆積される材料を蒸発させるための蒸発源(102)を設けることと、
前記蒸発源(102)と分配管(106)及びノズル(712)との間の流体連通を設けるように、前記分配管(106)及び前記ノズル(712)を前記蒸発源(102)に流体接続することであって、前記ノズル(712)が、21W/mKよりも大きい熱伝導率値を有する第1のノズル材料を含み、前記ノズル(712)がTa、Ti、Nb、DLC、及び黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、流体接続することと
を含む方法。
【請求項15】
前記分配管(106)を、前記基板(121)上に堆積される前記材料の蒸発温度以上に加熱することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、材料堆積アレンジメント、材料堆積アレンジメントを有する堆積装置、及び材料堆積アレンジメントのための分配管を設ける方法に関する。本発明の実施形態は、具体的には、真空堆積チャンバのための材料堆積アレンジメント、材料堆積アレンジメントを有する真空堆積装置、及び真空堆積チャンバ内で材料堆積アレンジメントのための分配管を設ける方法に関し、特に、材料源、堆積装置、及び蒸発プロセスのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機蒸発器は、有機発光ダイオード(OLED)の生産のためのツールである。OLEDは、特殊な発光ダイオードであり、その中で発光層がある有機化合物の薄膜を含んでいる。有機発光ダイオード(OLED)は、情報を表示するためのテレビ画面、コンピュータモニタ、携帯電話、その他の携帯型デバイスなどの製造時に使用される。OLEDは、一般的な空間照明にも使用することができる。OLEDピクセルが直接発光し、バックライトを必要としないので、OLEDディスプレイで可能な色、輝度、及び視野角の範囲は、従来のLCDディスプレイの範囲よりも広い。したがって、OLEDディスプレイのエネルギー消費は、従来のLCDディスプレイのエネルギー消費よりもかなり少ない。さらに、OLEDをフレキシブル基板上で製造することができるので、さらに用途が広がる。例えば、典型的なOLEDディスプレイは、個々に通電可能なピクセルを有するマトリクスディスプレイパネルを形成するように、すべて基板上に堆積される、2つの電極の間に配置された有機材料の層を含み得る。OLEDは、一般的に、2つのガラスパネルの間に置かれ、OLEDをその中に封入するためにガラスパネルの端部が密閉される。
【0003】
このようなディスプレイデバイスを製造する際には、多くの課題に遭遇することになる。OLEDディスプレイ又はOLED照明アプリケーションは、例えば、真空の中で蒸発する、幾つかの有機材料のスタックを含む。有機材料は、シャドーマスクを通して、続けて堆積される。OLEDスタックを効率良く製造するためには、混合層/ドープ層が生じるように、2つ以上の材料(例えば、ホスト及びドーパント)を共堆積又は共蒸発することが望ましい。さらに、非常に繊細な有機材料の蒸発には、幾つかの条件があることを考慮しなければならない。
【0004】
材料を基板上に堆積するために、材料は蒸発するまで加熱される。さらに、材料を基板に導く管も加熱される場合がある。それは、例えば、蒸発した材料を制御された温度に保つため、或いは、管の中で蒸発した材料が凝縮することを避けるためである。管のための加熱要素は、管を囲むようにして設けられる場合があり、幾つかのシステムでは、蒸発器の加熱されたデバイスは、熱損失を最小限にするために熱シールドがさらに設けられる。しかしながら、このような管の形状は複雑であるため、加熱要素及び熱シールドによって分配管の均一な温度が確実に実現するわけではない。
【0005】
以上を考慮して、本明細書に記載された実施形態の目的は、材料堆積アレンジメント、材料堆積アレンジメントを有する堆積装置、線形の分配管、及び当技術分野の問題の少なくとも幾つかを克服する材料堆積アレンジメントのための分配管を設ける方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
上記を踏まえ、独立請求項に係る、材料堆積アレンジメント、堆積装置、分配管のためのノズル、及び材料堆積アレンジメントのための分配管を設ける方法が提供される。本発明のさらなる態様、利点、及び特徴は、従属請求項、明細書、及び添付の図面から明らかである。
【0007】
一実施形態によれば、真空チャンバ内で、蒸発した材料を基板上に堆積するための線形の分配管が提供される。線形の分配管は、第1の方向に沿って延在する分配管ハウジングを含んでおり、第1の方向は、線形の分配管の線形の延在をもたらす。分配管ハウジングは、第1のハウジング材料を含む。線形の分配管は、分配管ハウジング内に線形の分配管の線形の延在に沿って分配されている複数の開口部をさらに含む。さらに、線形の分配管は、蒸発した材料を真空チャンバ内で導くように構成されている、線形の分配管のための複数のノズルを含む。ノズルは、第1のハウジング材料よりも大きな熱伝導率及び/又は21W/mKよりも大きい熱伝導率を有する第1のノズル材料を含む。
【0008】
別の実施形態によれば、真空チャンバ内で材料を基板上に堆積するための材料堆積アレンジメントが提供される。材料堆積アレンジメントは、蒸発源と、蒸発源と流体連通している分配管とを含む。材料堆積アレンジメントは、真空チャンバ内で、蒸発した材料を導くためのノズルをさらに含む。ノズルは、21W/mKよりも大きい熱伝導率を有する第1のノズル材料を含む。
【0009】
さらなる実施形態によれば、真空堆積装置が提供される。真空堆積装置は、真空チャンバと、本明細書に記載された実施形態に係る材料堆積アレンジメントとを含む
【0010】
さらなる実施形態によれば、真空堆積装置のための材料堆積アレンジメントを設ける方法が提供される。この方法は、基板上に堆積される材料を蒸発させるための蒸発源を設けることと、蒸発源と分配管及びノズルとの間の流体連通を設けるように、分配管及びノズルを蒸発源に流体接続することとを含む。ノズルは、21W/mKよりも大きい熱伝導率値を有する第1のノズル材料を含む。
【0011】
実施形態は、開示された方法を実行する装置も対象としており、記載された各方法を実行する装置部分を含む。これらの方法は、ハードウェア構成要素、適切なソフトウェアによってプログラミングされたコンピュータ、これらの2つの任意の組合せ、或いは任意の他の方法で実行され得る。さらに、本発明に係る実施形態は、記載された装置を操作する方法も対象とする
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の上記の特徴を詳細に理解することができるよう、実施形態を参照することによって、上記で簡潔に概説した本発明のより詳細な説明を得ることができる。添付の図面は本発明の実施形態に関し、これらの図面について以下に説明する。
図1a-1c】本明細書に記載された実施形態に係る材料堆積アレンジメントの概略図を示す。
図2a-2d】本明細書に記載された実施形態に係る分配管のためのノズルの概略図を示す。
図3a-3b】本明細書に記載された実施形態に係る材料堆積アレンジメントのための分配管の概略断面図を示す。
図4】本明細書に記載された実施形態に係る材料堆積アレンジメントを有する堆積装置の概略図を示す。
図5】本明細書に記載された実施形態に係る材料堆積アレンジメントのための分配管を設ける方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これより、様々な実施形態を詳細に参照し、それらの1つ又は複数の実施例が図面に示される。図面についての以下の説明の中で、同じ参照番号は、同じ構成要素を表している。概括的に、個々の実施形態に関する相違のみが説明される。各例は単なる説明として提示されており、限定を意味するものではない。さらに、一実施形態の一部として図示且つ説明される特徴は、他の実施形態で用いてもよく、或いは他の実施形態と併用してもよい。それにより、さらに別の実施形態が生み出される。本記載には、このような修正例及び変形例が含まれることが意図されている。
【0014】
本明細書で使用される「流体連通」という用語は、流体連通している2つの要素が、接続を介して流体を交換することができ、それにより、2つの要素間の流体の流れが可能となることと理解してもよい。一実施例では、流体連通している要素とは、流体が流通し得る中空構造体を含み得る。幾つかの実施形態によると、流体連通している要素のうちの少なくとも1つは、管のような要素であり得る。
【0015】
さらに、以下の記載では、材料源は、基板上に堆積される材料を供給する源であると理解してもよい。具体的には、材料源は、真空堆積チャンバ又は装置のような真空チャンバ内で、堆積される材料を基板上に供給するように構成され得る。幾つかの実施形態によると、材料源は、堆積される材料を蒸発させるように構成されることにより、堆積される材料を基板上に供給することができる。例えば、材料源は、基板上に堆積される材料を蒸発させる蒸発器又はるつぼのような蒸発源を含み得、具体的には、蒸発した材料を基板に向かう方向又は材料源の分配管の中へと放出する。幾つかの実施形態では、蒸発器は、例えば、蒸発した材料を分配するために、分配管と流体連通し得る。
【0016】
本明細書に記載された幾つかの実施形態によると、分配管は、蒸発した材料を導き且つ分配する管であると理解してもよい。具体的には、分配管は、蒸発器からの蒸発した材料を分配管内の排気口又は開口部に導くことができる。線形の分配管とは、第1の方向、特に長手方向に延在する管であると理解してもよい。幾つかの実施形態では、線形の分配管は、シリンダの形状を有する管を含んでおり、シリンダは、円形の底部形状又は任意の他の適切な底部形状をもち得る。
【0017】
本明細書に記載されたノズルは、流体を導くデバイス、特に、流体の方向又は特徴(ノズルから出る流体の流量、速度、形状、及び/又は圧力)を制御するデバイスであると理解してもよい。本明細書に記載された幾つかの実施形態によると、ノズルは、蒸気(例えば、基板上に堆積される蒸発材料の蒸気)を導くか、又は方向付けるデバイスであり得る。ノズルは、流体を受け入れるための注入口、ノズルを通して流体を導くための開口部(例えば、ボア又は通路)、及び流体を放出するための排気口を有し得る。典型的に、ノズルの開口部又は通路は、ノズルを通して流れる流体の規定された方向又は特徴を達成するための、規定された形状を含み得る。幾つかの実施形態によると、ノズルは、分配管の一部であってもよく、又は蒸発した材料を供給する分配管に接続されてもよく、分配管からの蒸発した材料を受け入れることができる。
【0018】
図1aから1cは、本明細書に記載された実施形態に係る材料堆積アレンジメント100を示す。材料源は、図1aで示されているように、分配管106と、蒸発器として蒸発源又はるつぼ104とを含み得る。分配管106は、るつぼ104によってもたらされる蒸発した材料を分配するために、るつぼと流体連通し得る。分配管は、例えば、加熱ユニット715を有する細長い立方体であり得る。蒸発るつぼは、加熱ユニット725で有機材料が蒸発されるリザーバであり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、分配管106は、線源を設ける。分配管及びるつぼは、以下でより詳しく説明される。本明細書に記載された幾つかの実施形態によると、材料堆積アレンジメント100は、少なくとも1つの線に沿って配置されているノズルのような、蒸発した材料を基板に向けて放出する複数のノズルをさらに含む。
【0019】
本明細書に記載された実施形態によると、真空チャンバ内で、蒸発した材料を基板上に堆積するための線形の分配管が提供される。分配管は、第1の方向に沿って延在する分配管ハウジングを含んでおり、第1の方向は、線形の分配管の線形の延在をもたらす。通常、分配管ハウジングは、第1のハウジング材料を含む線形の分配管は、分配管ハウジング内に複数の開口部をさらに含んでおり、複数の開口部は、線形の分配管の線形の延在に沿って分配される。本明細書に記載された実施形態によると、線形の分配管は、線形の分配管用の複数のノズルをさらに含む。複数のノズルは、真空チャンバ内で蒸発材料を導くように構成されており、第1のハウジング材料よりも大きな熱伝導率及び/又は21W/mKよりも大きい熱伝導率を有する第1のノズル材料を含む。
【0020】
分配管の一実施例では、ノズルは、Cu、Ta、Nb、DLC、及び黒鉛の少なくとも1つの材料を含む。幾つかの実施形態によると、ノズルは、蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な材料を含む。幾つかの実施形態では、蒸発した材料に対して化学的に不活性な材料は、第2のノズル材料として表され得る。具体的には、ノズルの開口部又は通路の内側のような、蒸発プロセス中に蒸発した有機材料と接触するノズルの表面は、蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な材料(具体的には、21W/mKよりも高い熱伝導率値を有する)でコーティングされ得る。一実施例では、ノズルは、銅を含んでおり、ノズルの開口部又は通路の内側に材料のコーティング(例えば、Ta、Nb、Cu、Ta、Nb、DLC、ステンレス鋼、石英ガラス、及び黒鉛)をもたらす。
【0021】
周知のシステムでは、分配管は、蒸発した材料を一定及び規定の温度に保つように加熱される。しかしながら、具体的には、ノズルは、加熱することができず、又は、ヒータで完全に覆うことができないため、分配管ハウジングと堆積チャンバとの間のインターフェースであるノズルは、温度偏差の対象となる。ノズルは、蒸発した材料の流路において温度低下をもたらすとみなしてもよい。ノズルによってもたらされる温度低下は、蒸発した材料の均一性及びコーティングされた基板の品質に対して悪影響を及ぼし得る。
【0022】
本明細書に記載された幾つかの実施形態によると、分配管ハウジングよりも大きな熱伝導率及び/又は21W/mKよりも大きい熱伝導率を有する材料を含むノズルは、少なくともノズルが積極的に加熱されない領域における熱損失を補うことができる。ノズルの熱伝導率の改善は、蒸発プロセスにおけるそれぞれの温度状況にノズルの温度を適合させることに役立つ。例えば、本明細書に記載された実施形態に係るノズルの温度は、蒸発プロセスの温度領域における変化に対してより迅速に反応できる場合がある。一実施例では、分配管を積極的に加熱することにより、ノズルは、蒸発した材料の蒸発温度を維持するのに役立つ温度まで加熱され得る。ノズルは、分配管に接続されているか、又はその一部となっている。熱伝導率の上昇により、分配管の温度は、より簡単且つ迅速にノズルに導かれて適用される。別の実施例では、蒸発した材料の過剰加熱を回避するべき場合、分配管からノズルへの温度入力を停止すれば、ノズルの温度はより迅速に低下する。ノズルが冷却され得、蒸発した材料の適切な温度が確保される。
【0023】
図2aから図2dは、本明細書に記載された実施形態に係るノズルの実施形態を示す。本明細書に記載された実施形態によると、ノズルは、蒸発した材料をコーティングされる基板へと導く方向付け部を含み得る。例えば、ノズルから放出される蒸気のプルームの規定された形状及び強度を形成するように、方向付け部は形成及び設計され得る。図2aから2dは、本明細書に記載された実施形態に係るノズル200を示す。ノズル200は、方向付け部201と、図1aから図1cに関連して説明された分配管のような分配管にノズルを接続するための接続部202とを含む。ノズル200は、蒸発した材料をノズルを通して導くための開口部203(又は通路、又はボア)を含む。幾つかの実施形態によると、ノズルの開口部(特に通路の内側)は、ノズルの方向付け部として表され得る。
【0024】
図2aは、第1のノズル材料206及び第2のノズル材料208を含むノズルを示す。例えば、第1のノズル材料206は、21W/mKよりも大きい熱伝導率値を有する材料(例えば、銅)であり得る。第2のノズル材料208は、開口部又は通路の内側に設けられてもよく、幾つかの実施形態では、蒸発した有機材料に対して化学的に不活性であり得る。例えば、第2のノズル材料は、Ta、Nb、Ti、DLC、ステンレス鋼、石英ガラス、及び黒鉛から選択され得る。図2aで示す実施形態で見ることができるように、第2のノズル材料208は、通路の内側の薄いコーティングとして設けられ得る。
【0025】
図2bは、第1のノズル材料206及び第2のノズル材料208を有するノズルの実施形態を示す。図2bで示されたノズルの実施例は、第1のノズル材料206から作られた第1の部分(例えば、21W/mKよりも大きい熱伝導率値を有する)、及び蒸発した有機材料に対して不活性であり得る第2のノズル材料208から作られた第2の部分から構成される。一実施例では、第1及び第2のノズル材料は、図2aに関連して説明されたように選択され得る。図2bで見ることができるように、第2のノズル材料208は、ノズルの一部であり、特に内側の通路面のコーティングだけではない。
【0026】
幾つかの実施形態によると、第2のノズル材料の厚さは、典型的に、数ナノメートルから数マイクロメートルの範囲内であり得る。一実施例では、ノズル開口部における第2のノズル材料の厚さは、典型的に、約10nmから約50nmの間であってもよく、より典型的には、約100nmから約50μmの間であってもよく、さらにより典型的には、約500nmから約50μmの間であってもよい。一実施例では、第2のノズル材料の厚さは、約10μmであり得る。
【0027】
図2cは、ノズル200の実施形態を示しており、ノズル200は、ノズルが接続され得る分配管の熱伝導率よりも大きな熱伝導率、又は、21W/mKより高い熱伝導率を有する第1のノズル材料から作られる。幾つかの実施形態では、第1のノズル材料206は、蒸発した有機材料に対して不活性である。一実施例では、第1のノズル材料は、Ta、Nb、Ti、DLC、又は黒鉛から選択され得る。
【0028】
図2dは、本明細書に記載された実施形態に係る図、2aに示すノズルの斜視図である。開口部203において第2のノズル材料208を確認することができるが、ノズル200の外側には第1のノズル材料206が示されている。
【0029】
本明細書に記載された幾つかの実施形態によると、ノズルの開口部又は通路を通して、蒸発した材料が、蒸発プロセス中に流れ、コーティングされる基板に達するが、ノズルの開口部又は通路は、典型的に、約1mmから約10mm、より典型的には、約1mmから約6mm、さらにより典型的には、2mmから約5mmのサイズを有し得る。幾つかの実施形態によると、通路又は開口部の寸法とは、断面の最小寸法、例えば、通路又は開口部の直径のことを指す場合がある。一実施形態では、開口部又は通路の寸法は、ノズルの排気口で測定され得る。本明細書に記載された幾つかの実施形態によると、開口部又は通路は、許容範囲H7内で製造され得る(例えば、約10μmから約18μmの許容値内で製造される)。
【0030】
本明細書に記載された幾つかの実施形態によると、真空堆積チャンバ内で材料を基板上に堆積するための材料堆積アレンジメントのためのノズルは、ノズルを繰り返し分配管に接続して分配管から外すためのねじ山を有し得る。幾つかの実施形態では、分配管に接続するためのねじ山を有するノズルは、内ねじ山及び/又は外ねじ山を有し得る。この内ねじ山及び/又は外ねじ山は、具体的には、分配管又はノズルを破壊せずにノズルを分配管に繰り返し接続可能にするためにある。例えば、規定された特徴を有する第1のノズルは、第1のプロセスのために分配管に接続され得る。第1のプロセスが完了した後に第1のノズルを外してもよく、第2のプロセスのために第2のノズルが分配管に接続され得る。第1のプロセスを再度実行する場合、第2のノズルを分配管から外してもよく、第1のプロセスを実行するために第1のノズルを再度分配管に接続してもよい。幾つかの実施形態によると、分配管もノズルを分配管に交換可能に接続するためのねじ山を備え得る。これは、例えば、分配管のねじ山をノズルのねじ山に適合させることにより実現される。
【0031】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によると、本明細書に記載されたノズルは、cosのような形状のプロファイルを有するプルームを形成するように設計され得る。ここで、nは具体的には4より大きい。一実施例では、ノズルは、cosのような形状のプロファイルを有するプルームを形成するように設計される。蒸発した材料のcos形状のプルームを実現するノズルは、狭い形状のプルームが望まれる場合に役立ち得る。例えば、開口部が小さい(約50μm以下(約20μmなど)のサイズを有する開口部など)基板用マスクを含む堆積プロセスは、狭いcos形状のプルームから恩恵を受ける場合があり、蒸発した材料のプルームは、マスクの上で広がらず、マスクの開口部を通過するため、材料の利用度が増加し得る。幾つかの実施形態によると、ノズルは、ノズルの長さとノズルの通路の直径との関係が、規定された関係に留まるように、例えば、2:1以上の比率を有するように、設計され得る。追加の又は代替の実施形態によれば、所望のプルーム形状を達成するために、ノズルの通路は、ステップ、傾斜、1つ又は複数のコリメータ構造、及び/又は圧力段階を含み得る。
【0032】
図3a及び3bは、本明細書に記載された実施形態に係る、材料堆積アレンジメントのための分配管106の実施形態の断面図を示す。幾つかの実施形態によると、分配管106は、第1の分配管ハウジング材料を含むか、又はそれから作られた分配管ハウジング116を含む。図3a及び図3bで見ることができるように、分配管は、第1の方向136に沿って延在する線形の分配管である。
【0033】
図3aは、分配管ハウジングにおいて第1の方向に沿って配置された複数の開口部107を有する分配管を示す。幾つかの実施形態では、分配管における開口部の壁109は、本明細書に記載された実施形態に係るノズルであると理解してもよい。例えば、開口部107の壁109は、(例えば、第1のノズル材料によってコーティングされることにより)第1のノズル材料を含み得、第1のノズル材料の熱伝導率値は、第1の分配管の材料の熱伝導率よりも大きいか、又は21W/mKよりも大きい。一実施例では、開口部107の壁109は、銅で覆われ得る。一実施形態では、壁は、銅及び第2のノズル材料(蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な材料など)で覆われてもよい。
【0034】
図3bは、本明細書に記載された実施形態に係る、分配管の一実施形態を示す。図3bで示す分配管106は、延在する壁108が設けられた開口部107を含む。典型的には、開口部107の延在する壁108は、分配管ハウジング116の第1の方向136に対して実質的に垂直な方向で延在する。幾つかの実施形態によると、開口部107の壁108は、分配管から任意の適切な角度で延在し得る。幾つかの実施形態では、分配管ハウジング116の開口部107の壁108は、分配管106のノズルを設け得る。例えば、壁108は、第1のノズル材料を含んでもよく、又はそれから作られてもよい。幾つかの実施形態によると、壁108は、第1のノズル材料及び/又は第2のノズル材料(蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な材料など)で内側がコーティングされ得る。
【0035】
幾つかの実施形態では、壁108は、ノズル(図2aから2dで例示されているノズルなど)を分配管ハウジング116に装着するための装着補助を設ける。幾つかの実施形態によると、壁108は、ノズルを分配管ハウジング116に螺合するためのねじ山を設け得る。
【0036】
図1aから1cに戻ると、 図1aから1cは、本明細書の実施形態に係る、上述の分配管及び上述のノズルが使用され得る材料堆積アレンジメントを示す。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によると、分配管のノズルは、蒸発した材料を分配管の長さ方向とは異なる方向(分配管の長さ方向と実質的に垂直な方向など)に放出するように適合され得る。幾つかの実施形態によると、ノズルは、水平方向に対して+/−20°の主要蒸発方向を有するよう配置される。幾つかの特定の実施形態によれば、蒸発方向は、僅かに上方に(例えば、3°から7°上方になど、水平から15°までの範囲で上方に)配向されてもよい。同様に、蒸発方向に対して実質的に垂直となるように基板を僅かに傾斜させてもよい。これにより、望ましくない粒子発生を低減させることができる。しかしながら、本明細書に記載された実施形態に係る、ノズル及び材料堆積アレンジメントは、水平に配向された基板上に材料を堆積するよう構成された堆積装置においても使用され得る。
【0037】
一実施例では、分配管106の長さは、少なくとも、堆積装置内の堆積される基板の高さに対応する。多くの場合に、分配管106の長さは、堆積される基板の高さよりも、少なくとも10%又はさらに20%長いことがあろう。これにより、基板の上端及び/又は基板の下端において均一な堆積がもたらされ得る。
【0038】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によれば、分配管の長さは、1.3m以上、例えば、2.5m以上であり得る。一構成によれば、図1aに示されるように、蒸発るつぼ104は、分配管106の下端に設けられる。有機材料は、蒸発るつぼ104の中で蒸発する。有機材料の蒸気は、分配管106の底部で分配管に入り、分配管の複数のノズルを通って、例えば、実質的に垂直な基板に向かって、実質的に側方に導かれる。
【0039】
図1bは、分配管106が蒸発るつぼ104に接続されている状態の蒸発源の一部の拡大概略図を示す。蒸発るつぼ104と分配管106との間の接続を設けるように構成されたフランジユニット703が設けられる。例えば、蒸発るつぼと分配管は、例えば、材料源を動作させるためにフランジユニットにおいて分離及び接続又は組み立てすることができる別々のユニットとして設けられる。
【0040】
分配管106は、内部空洞710を有する。分配管を加熱するように加熱ユニット715が設けられ得る。したがって、蒸発るつぼ104によって供給される有機材料の蒸気が分配管106の壁の内側部で凝縮しない温度まで分配管106を加熱することができる。
【0041】
例えば、分配管は、基板上に堆積される材料の蒸発温度より高い、典型的に、約1℃から約20℃、より典型的には、約5℃から約20℃、さらにより典型的には、約10℃から約15℃の温度に保たれ得る。2つ以上の熱シールド717が、分配管106の管周囲に設けられる。
【0042】
幾つかの実施形態によると、分配管ハウジングよりも高い熱伝導率又は21W/mKよりも高い熱伝導率を有する材料を含むノズルは、加熱された分配管ハウジングの温度をノズルに導き得る。ノズルと分配管ハウジングとの温度の均一性の向上は、本明細書に記載された実施形態に係る分配管を使用することにより実現することができる。材料堆積アレンジメントにおける均一性の向上により、蒸発した材料の均一性、並びに堆積された材料、コーティングされた基板、及び製品の品質が向上し得る。
【0043】
動作中、分配管106は、フランジユニット703において蒸発るつぼ104に接続され得る。蒸発るつぼ104は、蒸発される有機材料を受け入れ、且つ有機材料を蒸発させるように構成される。幾つかの実施形態によると、蒸発される有機材料は、ITO、NPD,Alq、キナクリドン、Mg/AG、スターバスト材料(starburst material)などのうちの少なくとも1つを含み得る。図1bは、蒸発るつぼ104のハウジングを通る断面図を示す。補充開口部が、例えば、蒸発るつぼの上部に設けられており、この補充開口部は、プラグ722、蓋、カバー、又は蒸発るつぼ104の筐体を閉じるための同種のものを使用して閉じることができる。
【0044】
外側加熱ユニット725が蒸発るつぼ104の筐体内に設けられる。外側加熱要素は、少なくとも蒸発るつぼ104の壁の一部に沿って延在し得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の中央加熱要素726を追加的に又は代替的に設けてもよい。図1bは、2つの中央加熱要素726を示す。幾つかの実装態様によれば、蒸発るつぼ104は、シールド727をさらに含み得る。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、図1a及び図1bに関連して例示されているように、蒸発るつぼ104は、分配管106の下側に設けられている。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得るさらなる実施形態によれば、蒸気導管732を、分配管の中央部分で、又は、分配管の下端と分配管の上端との間の別の位置で、分配管106に設けてもよい。図1cは、分配管106と、分配管の中央部分に設けられた蒸気導管732とを有する材料源の一例を示す。有機材料の蒸気は、蒸発るつぼ104の中で生成され、蒸気導管732を通って、分配管106の中央部分に導かれる。蒸気は、図2aから2dに関連して説明されたノズルであり得る複数のノズル712を通って、分配管106から出る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得るさらなる実施形態によれば、分配管106の長さに沿って種々の位置で2つ以上の蒸気導管732が設けられ得る。蒸気導管732は、1つの蒸発るつぼ104に接続されてもよく、又は幾つかの蒸発るつぼ104に接続されてもよい。例えば、各蒸気導管732は、対応する蒸発るつぼ104を有し得る。代替的には、蒸発るつぼ104は、分配管106に接続されている2つ以上の蒸気導管732と流体連通し得る。
【0046】
本明細書に記載されているように、分配管は、中空シリンダであり得る。シリンダという用語は、円形の底部形状、円形の上部形状、及び上部の円と下部の小さな円とを連結する湾曲した表面領域又は外郭を有するものとして一般に認められていると理解することができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る、さらに追加的又は代替的な実施形態によれば、シリンダという用語は、数学的意味において、任意の底部形状、一致する上部形状、及び上部形状と下部形状とを連結する湾曲した表面領域又は外郭を有するとさらに理解することができる。したがって、シリンダは、必ずしも円形断面を有する必要がない。代わりに、ベース面及び上部面は、円形と異なる形状を有し得る。
【0047】
図4は、本明細書に記載された実施形態に係る、材料堆積アレンジメント又はノズルが使用され得る堆積装置300を示す。堆積装置300は、真空チャンバ110の中のある位置における材料源100を含む。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によれば、材料源は、並進運動及び軸周囲の回転のために構成される。材料源100は、1つ又は複数の蒸発るつぼ104と、1つ又は複数の分配管106とを有する。2つの蒸発るつぼと2つの分配管が図4で示されている。分配管106は、支持体102によって支持される。さらに、幾つかの実施形態によれば、蒸発るつぼ104を支持体102によって支持してもよい。2つの基板121が、真空チャンバ110内に設けられる。典型的には、基板上の層堆積のマスキングのためのマスク132は、基板と材料源100との間に設けてもよい。有機材料は、分配管106から蒸発する。幾つかの実施形態によると、この材料堆積アレンジメントは、図1aから1cに示す材料堆積アレンジメントであり得る。
【0048】
本明細書に記載された実施形態によれば、基板は、実質的に垂直位置において有機材料でコーティングされる。図4に示された図は、材料源100を含む装置の上面図である。典型的には、分配管は、線形の蒸気分配シャワーヘッドである。幾つかの実施形態では、分配管は、実質的に垂直に延在する線源を設ける。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る、本明細書に記載された実施形態によれば、実質的に垂直とは、特に基板の配向に対して言及する場合、垂直方向から20度以下(例えば、10度以下)の偏差を許容すると理解されたい。例えば、垂直配向から幾らか偏差を有する基板支持体がより安定した基板位置をもたらす場合があるので、このような偏差を設けてもよい。しかし、有機材料の堆積中の基板配向は、実質的に垂直であると見なされ、水平な基板配向とは異なると見なされる。これにより、基板の表面は、一方の基板寸法に対応する1つの方向に延びる線源、及び他方の基板寸法に対応する他方の方向に沿った並進運動によって通常コーティングされる。他の実施形態によれば、堆積装置は、実質的に水平配向された基板上に材料を堆積するための堆積装置であり得る。例えば、堆積装置の基板コーティングは、上方向又は下方向で実行され得る。
【0049】
図4は、真空チャンバ110内で有機材料を堆積するための堆積装置300の実施形態を示す。材料源100は、例えば、真空チャンバ110内でトラック(例えば、ループ状トラック又は線形ガイド320など)上に設けられる。トラック又は線形ガイド320は、材料源100の並進運動のために構成される。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る異なる実施形態によれば、並進運動のためのドライブが、真空チャンバ110又はその組み合わせの中で、トラック又は線形ガイド320において、材料源100において設けられ得る。図4は、例えば、ゲートバルブなどのバルブ205を示す。バルブ205は、隣接する真空チャンバ(図4で図示せず)に対する真空密封を可能にする。バルブは、真空チャンバ110の中への又は真空チャンバ110の外への基板121又はマスク132の搬送のために開放され得る。
【0050】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によれば、保守真空チャンバ210などのさらなる真空チャンバが、真空チャンバ110に隣接するように設けられる。幾つかの実施形態によれば、真空チャンバ110及び保守真空チャンバ210は、バルブ207で接続される。バルブ207は、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間の真空密封を開閉するように構成される。材料源100は、バルブ207が開放状態にある間、保守真空チャンバ210に移送することができる。その後、バルブは、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間に真空密封を設けるよう閉じることができる。バルブ207が閉じられた場合、真空チャンバ110内の真空を破壊せずに、材料源100の保守のために保守真空チャンバ210を換気且つ開放することができる。
【0051】
図4で示す実施形態では、2つの基板121が、真空チャンバ110内のそれぞれの搬送トラック上で支持されている。さらに、その上にマスク132を設けるための2つのトラックが設けられる。基板121のコーティングは、それぞれのマスク132によってマスキングすることができる。典型的な実施形態によれば、マスク132、すなわち、第1の基板121に対応する第1のマスク132と、第2の基板121に対応する第2のマスク132とは、マスクフレーム131内に設けられ、それにより、マスク132が所定位置に保持される。
【0052】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によれば、基板121は、位置合わせユニット112に接続された基板支持体126によって支持され得る。位置合わせユニット112は、マスク132に対する基板121の位置を調整することができる。図4は、基板支持体126が位置合わせユニット112に接続されている実施形態を示す。したがって、有機材料の堆積中に基板とマスクとの間の適切な位置合わせを行うため、基板がマスク132に対して移動させられる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得るさらなる実施形態によれば、代替的に又は追加的に、マスク132及び/又はマスク132を保持するマスクフレーム131は、位置合わせユニット112に接続され得る。幾つかの実施形態によれば、マスクを基板121に対して位置付けてもよく、又は、マスク132及び基板121の両方を互いに対して位置付けてもよい。基板121とマスク132との間の互いに対する位置を調整するように構成された位置合わせユニット112は、堆積プロセス中のマスキングの適切な位置合わせを可能にし、高品質なLEDディスプレイ製造又はOLEDディスプレイ製造にとって有益である。
【0053】
図4に示されるように、線形ガイド320は、材料源100の並進運動の方向を設ける。材料源100の両側に、マスク132が設けられる。マスク132は、並進運動の方向に対して実質的に平行に延在し得る。さらに、材料源100の両側の基板121も並進運動の方向に実質的に平行に延在し得る。典型的な実施形態によれば、基板121を、バルブ205を介して、真空チャンバ110の中へ及び真空チャンバ110の外へ移動させることができる。堆積装置300は、各基板121の搬送用の対応する搬送トラックを含み得る。例えば、搬送トラックは、図4に示す基板位置に対して平行に、真空チャンバ110の中と外へ延在し得る。
【0054】
典型的に、マスクフレーム131及びマスク132を支持するようにさらなるトラックが設けられる。したがって、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態は、真空チャンバ110内に4つのトラックを含み得る。例えばマスク132の洗浄のためにマスクのうちの1つをチャンバから外に移動させるよう、マスクフレーム131及びマスクを基板121の搬送トラック上に移動させることができる。次いで、それぞれのマスクフレームは、基板用の搬送トラック上で真空チャンバ110を出入りすることができる。真空チャンバ110の内外へマスクフレーム131用に別々の搬送トラックを設けることは可能であるとしても、2つのトラック(すなわち、基板用搬送トラック)のみが真空チャンバ110の内外へ延在し、さらに、適切なアクチュエータ又はロボットによって、マスクフレーム131を基板用搬送トラックのそれぞれ1つの上に移動させることができる場合、堆積装置の所有コストを減らすことができる。
【0055】
図4は、材料源100の例示的な実施形態を示す。材料源100は、支持体102を含む。支持体102は、線形ガイド320に沿った並進運動のために構成される。支持体102は、2つの蒸発るつぼ104、及び蒸発るつぼ104の上に設けられた2つの分配管106を支持する。蒸発るつぼ内で生成された蒸気は、上に向かって移動し、分配管の1つ又は複数の排出口から排出され得る。
【0056】
本明細書に記載された実施形態によれば、材料源は、1つ又は複数の蒸発るつぼ、及び1つ又は複数の分配管を含み、1つ又は複数の分配管のそれぞれ1つは、1つ又は複数の蒸発るつぼのそれぞれ1つと流体連通し得る。OLEDデバイス製造に対する様々な応用例には、2つ以上の有機材料が同時に蒸発する処理ステップが含まれる。したがって、図4で示された実施例のように、2つの分配管及び対応する蒸発るつぼを、互いに隣接するように設けてもよい。したがって、材料源100は、例えば、1種類より多くの有機材料が同時に蒸発する材料源アレイと呼ばれ得ることもある。本明細書に記載されているように、材料源アレイ自体は、2つ以上の有機材料のための材料源と呼ばれ得るが、例えば、材料源アレイは、3つの材料を蒸発させて1つの基板上に堆積させるように設けられ得る。
【0057】
分配管の1つ又は複数の開口部は、例えば、シャワーヘッド又は別の蒸気分配システムにおいて設けられ得る1つ又は複数のノズルを含み得る。本明細書に記載された分配管に対して設けられるノズルは、図2aから図2dに関連して記載されたノズルのような、本明細書の実施形態に記載されたノズルであり得る。本明細書では、分配管は、分配管の中の圧力が分配管の外(例えば、分配管が配置されている真空チャンバ)の圧力よりも、例えば少なくとも1桁ほど高くなるように、開口部を有する筐体を含むと理解することができる。一実施例では、分配管内の圧力は、約10−2から10−1mbarの間、又は、約10−2から約10−3mbarの間であり得る。幾つかの実施形態によると、真空チャンバ内の圧力は、約10−5から約10−7mbarの間であり得る。
【0058】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る本明細書に記載された実施形態によれば、分配管の回転は、少なくとも分配管が装着されている蒸発器制御ハウジングの回転によりもたらされ得る。追加的又は代替的に、分配管の回転は、ループ状トラックの湾曲部分に沿って材料源を移動させることによってもたらされ得る。典型的には、蒸発るつぼも蒸発器制御ハウジング上に装着される。したがって、材料源は、分配管と蒸発るつぼとを含み、その双方が、例えば共に回転可能に装着され得る。
【0059】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によれば、分配管又は蒸発管を三角形に設計してもよく、それにより、分配管の開口部又はノズルをできるだけ互いに接近させることが可能となる。例えば、2つ、3つ、又はさらにそれより多くの異なる有機材料の共蒸発の場合、ノズルをできるだけ互いに接近させることにより、種々の有機材料の改善された混合物の実現が可能となる。
【0060】
本明細書に記載された実施形態によると、分配管の排気口側(開口部を含む分配管の側面)の幅は、断面の最大寸法の30%以下である。これを考慮すると、分配管の開口部又は隣接する分配管のノズルは、より短い距離で設けられ得る。距離がより短いと、互いに隣り合って蒸発する有機材料の混合が改善される。さらに、追加的に又は代替的に、有機材料の混合の改善とはまた別に、実質的に平行に基板に面する壁の幅を縮小させることができる。したがって、実質的に平行に基板に面する壁の表面領域を減少させることができる。このアレンジメントにより、堆積エリア内で又は堆積エリアのわずか前方で支持されているマスク又は基板に供給される熱負荷が低減される。
【0061】
追加的に又は代替的に、材料源の三角形状という観点からすると、マスクに向かって放射状に広がるエリアが減少する。さらに、材料源からマスクへの熱伝達を減少させるために金属板のスタック(例えば、最大10枚の金属板)を設けてもよい。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によれば、熱シールド又は金属板は、ノズルのためのオリフィスを設けてもよく、少なくとも、源の前側、すなわち、基板に面する側面に取り付けてもよい。
【0062】
図4に示す実施形態では、移動可能な源を有する堆積装置が提供されているが、当業者であれば、上述の実施形態は、処理中に基板が移動する堆積装置にも適用され得ることを理解されよう。例えば、コーティングされる基板は、静止した材料源に沿って導かれ、且つ駆動され得る。
【0063】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によると、真空チャンバ内で1つ、2つ、又はそれより多くの蒸発した材料を基板上に堆積するための材料堆積アレンジメントが提供される。材料堆積アレンジメントは、基板上に堆積される第1の材料を蒸発させるように構成された第1の材料蒸発源又は第1の材料蒸発器を含む第1の材料源を含む。第1の材料源は、第1の分配管ハウジングを含む第1の分配管をさらに含んでおり、第1の分配管は、第1の材料蒸発器と流体連通しており、材料源は、第1の分配管ハウジング内に複数の第1のノズルをさらに含む。典型的に、複数の第1のノズルのうちの1つ又は複数のノズルは、開口部の長さ及び開口部のサイズを含み、複数の第1のノズルのうちの1つ又は複数のノズルの長さ対サイズの比率は、2:1以上である。材料堆積装置は、基板上に堆積される第2の材料を蒸発させるように構成された第2の材料蒸発器を含む第2の材料源を含む。第2の材料源は、第2の分配管ハウジングを含む第2の分配管をさらに含んでおり、第2の分配管は、第2の材料蒸発器と流体連通している。第2の材料源は、第2の分配管ハウジング内に複数の第2のノズルをさらに含む。本明細書に記載された実施形態によると、複数の第1のノズルのうちの第1のノズルと複数の第2のノズルのうちの第2のノズルとの間の距離は、30mm以下である。幾つかの実施形態によると、第1の材料及び第2の材料は、同じ材料であり得る。
【0064】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得るさらなる実施形態によると、真空チャンバ内で1つ、2つ、又はそれより多くの蒸発した材料を基板上に堆積するための材料堆積アレンジメントが提供される。材料堆積アレンジメントは、基板上に堆積される第1の材料を蒸発させるように構成された第1の材料蒸発器を含む第1の材料源を含む。第1の材料源は、第1の分配管ハウジングを含む第1の分配管をさらに含んでおり、第1の分配管は、第1の材料蒸発器と流体連通しており、さらに、第1の材料源は、第1の分配管ハウジング内に複数の第1のノズルを含んでおり、複数の第1のノズルのうちの1つ又は複数のノズルは、開口部の長さ及び開口部のサイズを含み、第1の分配方向を設けるように構成されている。複数の第1のノズルのうちの1つ又は複数のノズルの長さ対サイズの比率は、2:1以上である。材料堆積アレンジメントは、基板上に堆積される第2の材料を蒸発させるように構成された第2の材料蒸発器を含む第2の材料源と、第2の分配管とを含んでおり、第2の分配管は、第2の分配管ハウジングを含んでおり、第2の分配管は、第2の材料蒸発器と流体連通している。第2の材料源は、第2の分配管ハウジング内で複数の第2のノズルをさらに含んでおり、第2のノズルのうちの1つ又は複数は、第2の分配方向を設けるように構成される。本明細書に記載された実施形態によると、複数の第1のノズルのうちの1つ又は複数のノズルの第1の分配方向、及び複数の第2のノズルのうちの1つ又は複数のノズルの第2の分配方向は、互いに対して平行に配置されるか、又は平行配置から最大5°の偏差で配置される。幾つかの実施形態によると、第1の材料及び第2の材料は、同じ材料であり得る。
【0065】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によると、真空チャンバ内で蒸発した材料を基板上に堆積するための分配管が提供される。分配管は、分配管ハウジング、及び分配管ハウジング内のノズルを含む。ノズルは、開口部の長さ及び開口部のサイズを含んでおり、ノズルの長さ対サイズの比率は、2:1以上である。さらに、ノズルは、蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な材料を含む。一実施例では、蒸発した有機材料は、約150℃から約650℃の温度を有し得る。
【0066】
本明細書に記載された実施形態は、特に、例えば、大面積基板上でのOLEDディスプレイ製造のための、有機材料の堆積に関する。幾つかの実施形態によれば、大面積基板、或いは、1つ又は複数の基板を支持するキャリア、すなわち、大面積キャリアは、少なくとも0.174mのサイズを有し得る。例えば、堆積装置は、約1.4mの基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29mの基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7mの基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又はさらに約8.7mの基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10の基板などの大面積基板を処理するように適合され得る。GEN11及びGEN12のようなさらに次の世代、並びにそれに相当する基板面積を同様に実装し得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る典型的な実施形態によれば、基板の厚さは、0.1から1.8mmであり得、この基板のための保持アレンジメントは、このような基板の厚さに適合され得る。しかしながら、具体的には、基板の厚さは、約0.9mm以下(0.5mm又は0,3mmなど)であり得、保持アレンジメントは、このような基板の厚さに適合される。典型的には、基板は、材料堆積に適した任意の材料から作られてもよい。例えば、基板は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、並びに堆積プロセスによってコーティングできる任意の他の材料及び材料の組合せからなる群から選択された材料から作られてもよい。
【0067】
本明細書に記載された実施形態によると、材料堆積アレンジメントを設けるための方法が提供される。材料堆積アレンジメントは、上述の実施形態に関して説明される材料堆積アレンジメントであってもよく、且つ/又は、本明細書に記載された実施形態に係る堆積装置において使用され得る材料堆積アレンジメントであってもよい。本明細書に記載された実施形態に係る方法400のフロー図は、図5で確認することができる。この方法は、ボックス410では、特に真空堆積チャンバ内で、基板上に堆積される材料を蒸発させるための材料源を設けることを含む。
【0068】
幾つかの実施形態によると、設けられた材料源は、例えば、図1又は図3に関連して説明された材料源であり得る。例えば、材料源は、有機材料を蒸発させるための源であり得る。一実施例では、材料源は、約150℃から約500℃の蒸発温度を有する材料を蒸発させるように適合され得る。幾つかの実施形態では、材料源は、るつぼであってもよい。
【0069】
ブロック420では、方法400は、材料源と分配管及びノズルとの間の流体連通を設けるように、分配管及びノズルを蒸発源に流体接続することを含む。本明細書に記載された実施形態によると、ノズルは、21W/mKよりも大きい熱伝導率値を有する第1のノズル材料を含む。幾つかの実施形態では、ノズルは、第1のノズル材料から作られてもよい。一実施例では、ノズルは、例えば、ノズル開口部又はノズル通路を第2のノズル材料で内側をコーティングすることにより、第2のノズル材料で内側がコーティングされる。幾つかの実施形態によると、第2のノズル材料は、蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な材料であり、例えば、典型的に、約100℃から650℃の間、より典型的には、約100℃から約500℃の間の温度を有する有機材料であり得る。
【0070】
幾つかの実施形態によると、分配管は、上記の実施形態、具体的には、図1から3に関連して説明された実施形態において説明された分配管であり得る。幾つかの実施形態では、分配管は、例えば、空間を最適な方法で使用し得る三角断面を有し得る。幾つかの実施形態では、分配管のノズルは、図2aから図2dに関連して説明されたノズルであり得る。
【0071】
幾つかの実施形態では、この方法は、分配管を、基板上に堆積される材料の蒸発温度以上に加熱することを含む。分配管の加熱は、加熱デバイスによって実行され得る。一実施例では、加熱デバイスの性能は、例えば、図1aから図1cに関連して以上で説明されたように、熱シールドによって支持される。
【0072】
さらに、線形の分配管、本明細書に記載された実施形態に係る材料堆積アレンジメント、及び本明細書に記載された実施形態に係る材料堆積アレンジメントを有する堆積装置のうちの少なくとも1つの使用が説明される。
【0073】
これまでの記述は、種々の実施形態を対象としているが、その基本的な範囲から逸脱しなければ、他の実施形態及びさらなる実施形態を考案してもよく、その範囲は、下記の特許請求の範囲によって定められる。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
真空チャンバ(110)内で蒸発した材料を基板(121)上に堆積するための線形の分配管(106)であって、
第1の方向(136)に沿って延在している分配管ハウジング(116)であって、前記第1の方向が前記線形の分配管(106)の線形の延在をもたらし、前記分配管ハウジング(116)が第1のハウジング材料を含む、分配管ハウジング(116)と、
前記分配管ハウジング(116)内の複数の開口部であって、前記線形の分配管の前記線形の延在に沿って分配される複数の開口部と、
前記線形の分配管(106)のための複数のノズル(712)であって、前記複数のノズルが、前記真空チャンバ(110)内で前記蒸発した材料を導くように構成され、前記ノズルが、前記第1のハウジング材料よりも大きな熱伝導率及び/又は21W/mKよりも大きい熱伝導率を有する第1のノズル材料を含む、複数のノズル(712)と
を備えている線形の分配管(106)。
(態様2)
前記ノズル(712)が、Cu、Ta、Ti、Nb、DLC、及び黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様1に記載の線形の分配管。
(態様3)
前記ノズル(712)が、前記蒸発した材料を前記ノズルを通して導くための通路(203)と、少なくとも前記通路(203)の表面上にあるコーティングとを含む、態様1又は2に記載の線形の分配管。
(態様4)
前記通路(203)の前記表面が、前記第1のノズル材料又は蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な第2のノズル材料(208)でコーティングされている、態様3に記載の線形の分配管。
(態様5)
前記ノズル(712)の前記通路(203)が、Ta、Nb、Ti、DLC、及び黒鉛のうちの少なくとも1つでコーティングされている、態様4に記載の線形の分配管。
(態様6)
前記ノズル(712)が銅を含む、態様1から5のいずれか一項に記載の線形の分配管。
(態様7)
前記ノズル(712)が、前記分配管(106)に対して螺合可能であるように適合されている、態様1から6のいずれか一項に記載の線形の分配管。
(態様8)
前記ノズル(712)が、前記蒸発した材料を前記ノズルを通して導くための通路(203)を備え、且つ蒸発した材料のプルームを形成する前記通路の形状を提供しており、前記ノズル(712)が、cosのようなプロファイルを有するプルームを形成するように設計され、ここで、n≧4である、態様1から7のいずれか一項に記載の線形の分配管。
(態様9)
真空チャンバ(110)内で材料を基板(121)上に堆積するための材料堆積アレンジメント(100)であって、
蒸発させられて前記基板(121)上に堆積される前記材料を供給するための蒸発源(102)と、
蒸発した前記材料を分配管(106)に供給する前記蒸発源(102)と流体連通している前記分配管(106)と、
前記真空チャンバ(110)内で、蒸発した前記材料を導くためのノズル(712)であって、21W/mKよりも大きい熱伝導率を有する第1のノズル材料を含むノズル(712)と
を備えている材料堆積アレンジメント(100)。
(態様10)
前記蒸発源(102)が、有機材料を供給するための蒸発源である、態様9に記載の材料堆積アレンジメント。
(態様11)
前記分配管(106)を、堆積される前記材料の蒸発温度以上に加熱するための加熱要素(726)をさらに備えている、態様9又は10に記載の材料堆積アレンジメント。
(態様12)
前記分配管(106)が、態様1から8のいずれか一項に記載の線形の分配管であり、前記ノズル(712)が、前記線形の分配管の複数のノズルのうちのノズルである、態様9から11のいずれか一項に記載の材料堆積アレンジメント。
(態様13)
真空堆積装置であって、
真空チャンバ(110)と、
態様9から12のいずれか一項に記載の材料堆積アレンジメント(100)であって、前記蒸発源(102)が、有機材料のための蒸発るつぼであり、前記材料堆積アレンジメント(100)の前記分配管(106)が、前記蒸発るつぼからの蒸発した材料を前記真空チャンバ(110)の中へと導くために、前記蒸発るつぼに接続されている、材料堆積アレンジメント(100)と
を備えており、
前記ノズル(712)が、蒸発した有機材料に対して化学的に不活性な第2のノズル材料(208)を含み、且つ
前記材料堆積アレンジメント(100)の前記ノズル(712)が、前記真空チャンバ(110)内で、前記蒸発した材料を基板(121)に向けて方向付けるように配置されている、真空堆積装置。
(態様14)
真空堆積装置のための材料堆積アレンジメント(100)を設けるための方法であって、
基板(121)上に堆積される材料を蒸発させるための蒸発源(102)を設けることと、
前記蒸発源(102)と分配管(106)及びノズル(712)との間の流体連通を設けるように、前記分配管(106)及び前記ノズル(712)を前記蒸発源(102)に流体接続することであって、前記ノズル(712)が、21W/mKよりも大きい熱伝導率値を有する第1のノズル材料を含む、流体接続することと
を含む方法。
(態様15)
前記分配管(106)を、前記基板(121)上に堆積される前記材料の蒸発温度以上に加熱することをさらに含む、態様14に記載の方法。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図4
図5