(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0011】
「室温」とは、25℃を意味する。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
【0012】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10
3〜1×10
8である重合体を意味する。
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10
4以下の化合物を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。高分子化合物中に2個以上存在する構成単位は、一般的に、「繰り返し単位」と呼ばれることがある。
【0013】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10である。アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルオクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基、3−フェニルプロピル基、3−(4−メチルフェニル)プロピル基、3−(3,5−ジ−ヘキシルフェニル)プロピル基、及び6−エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは4〜10である。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基及びメチルシクロヘキシル基が挙げられる。
「アルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1以上20以下であり、好ましくは1以上15以下であり、より好ましくは1以上10以下である。アルキレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基が挙げられる。
「シクロアルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3以上20以下である。シクロアルキレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0014】
「芳香族炭化水素基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基を「アリール基」ともいう。芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基を「アリーレン基」ともいう。
芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
「芳香族炭化水素基」は、例えば、単環式の芳香族炭化水素(例えば、ベンゼンが挙げられる。)、又は、多環式の芳香族炭化水素(例えば、ナフタレン及びインデン等の2環式の芳香族炭化水素;アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン及びフルオレン等の3環式の芳香族炭化水素;トリフェニレン、ナフタセン、ベンゾフルオレン、ピレン、クリセン及びフルオランテン等の4環式の芳香族炭化水素;ジベンゾフルオレン、ペリレン及びベンゾフルオランテン等の5環式の芳香族炭化水素;スピロビフルオレン等の6環式の芳香族炭化水素;並びに、ベンゾスピロビフルオレン及びアセナフトフルオランテン等の7環式の芳香族炭化水素が挙げられる。)から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0015】
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは1〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、及びラウリルオキシ基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜48である。アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、及びピレニルオキシ基が挙げられる。
【0016】
「複素環基」とは、複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基である「芳香族複素環基」が好ましい。複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子p個(pは、1以上の整数を表す。)を除いた基を「p価の複素環基」ともいう。芳香族複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子p個を除いた基を「p価の芳香族複素環基」ともいう。
「芳香族複素環式化合物」としては、例えば、アゾール、チオフェン、フラン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン及びカルバゾール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン及びベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜60であり、好ましくは2〜40であり、より好ましくは3〜20である。複素環基のヘテロ原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜30であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは1〜3である。
複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、単環式の複素環式化合物(例えば、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ジアザベンゼン及びトリアジンが挙げられる。)、又は、多環式の複素環式化合物(例えば、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾジアゾール及びベンゾチアジアゾール等の2環式の複素環式化合物;ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10−ジヒドロアクリジン、5,10−ジヒドロフェナジン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン及びジアザフェナントレン等の3環式の複素環式化合物;ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾカルバゾール及びベンゾナフトフラン等の4環式の複素環式化合物;ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール及びインデノカルバゾール等の5環式の複素環式化合物;カルバゾロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール及びベンゾインデノカルバゾール等の6環式の複素環式化合物;並びに、ジベンゾインドロカルバゾール等の7環式の複素環式化合物が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0017】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0018】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(メチルフェニル)アミノ基、及びビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0019】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0020】
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
より具体的には、置換アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0021】
「架橋性基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、架橋性基A群から選ばれる架橋性基(即ち、式(XL−1)〜式(XL−17)のいずれかで表される基)である。
【0022】
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。置換基は架橋性基であってもよい。置換基を有する基は、単一又は複数の置換基を有することができる。なお、置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよいが、環を形成しないことが好ましい。
【0023】
<式(1)で表される金属錯体>
式(1)で表される金属錯体は、通常、室温で燐光発光性を示す金属錯体であり、好ましくは、室温で三重項励起状態からの発光を示す金属錯体である。
【0024】
Mは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、イリジウム原子又は白金原子であることが好ましく、イリジウム原子であることがより好ましい。
Mがロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n
3は2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n
3は2であることが好ましい。
【0025】
E
1及びE
2の少なくとも一方が炭素原子であることが好ましく、E
1及びE
2が、炭素原子であることがより好ましい。
式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、E
1及びE
2は好ましくは同一である。また、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、E
1が複数存在する場合、それらは好ましくは同一である。また、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、E
2が複数存在する場合、それらは好ましくは同一である。
【0026】
環L
1における芳香族複素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜60であり、好ましくは2〜30であり、より好ましくは2〜15である。環L
1における芳香族複素環のヘテロ原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜10であり、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3である。
環L
1は、5員の芳香族複素環又は6員の芳香族複素環であることが好ましく、2つ以上4つ以下の窒素原子を構成原子として有する5員の芳香族複素環又は1つ以上4つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員の芳香族複素環であることがより好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。但し、環L
1が6員の芳香族複素環である場合、E
1は炭素原子であることが好ましい。
環L
1は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアゾール環又はジアゾール環であり、より好ましくは、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、トリアゾール環又はジアゾール環であり、更に好ましくは、トリアゾール環又はジアゾール環であり、特に好ましくは、ジアゾール環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、環L
1が複数存在する場合、それらは好ましくは同一である。
【0027】
環L
2における芳香族炭化水素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜18である。
環L
2における芳香族炭化水素環としては、例えば、前述の芳香族炭化水素基の項で例示した芳香族炭化水素環が挙げられ、好ましくは、前述の芳香族炭化水素基の項で例示した、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素からなる環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環又はジヒドロフェナントレン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環、フルオレン環又はジヒドロフェナントレン環であり、特に好ましくは、ベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環L
2における芳香族複素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜60であり、好ましくは2〜30であり、より好ましくは3〜15である。環L
2における芳香族複素環のヘテロ原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜30であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは1〜3である。
環L
2における芳香族複素環としては、例えば、前述の複素環基の項で例示した芳香族複素環が挙げられ、好ましくは、前述の複素環基の項で例示した、単環式、2環式又は3環式の芳香族複素環であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、更に好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、特に好ましくは、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環L
2は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、より好ましくは、ベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、環L
2が複数存在する場合、それらは好ましくは同一である。
【0028】
本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、環L
1がピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアゾール環又はジアゾール環であり、且つ、環L
2がベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であることが好ましく、環L
1がピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、トリアゾール環又はジアゾール環であり、且つ、環L
2がベンゼン環であることがより好ましく、環L
1がトリアゾール環又はジアゾール環であり、且つ、環L
2がベンゼン環であることが更に好ましく、環L
1がジアゾール環であり、且つ、環L
2がベンゼン環であることが特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0029】
環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
環L
1及び環L
2のうちの少なくとも1つは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、置換基を有することが好ましい。環L
1及び環L
2のうちの少なくとも1つが有する置換基の個数は、通常、1個〜5個であり、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、好ましくは1個〜3個であり、より好ましくは1個又は2個であり、更に好ましくは1個である。
【0030】
環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基におけるアリール基としては、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、フェニル基、ナフチル基又はフルオレニル基であり、更に好ましくは、フェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基における1価の複素環基としては、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環又はトリアジン環から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基であるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0031】
環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、更に置換基を有さないことが好ましい。
環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0032】
[アニオン性の2座配位子]
A
1−G
1−A
2で表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記式で表される配位子が挙げられる。但し、A
1−G
1−A
2で表されるアニオン性の2座配位子は、添え字n
1でその数を規定されている配位子とは異なる。
【0033】
【化10】
[式中、*は、Mと結合する部位を表す。]
【0034】
式(1)で表される金属錯体としては、例えば、下記式で表される金属錯体、並びに、後述の金属錯体B1及びR1が挙げられる。式中、Z
Aは、−CH=で表される基又は−N=で表される基を表す。Z
Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0041】
式(H−1)で表される化合物の分子量は、通常1×10
2〜1×10
4であり、好ましくは2×10
2〜5×10
3であり、より好ましくは3×10
2〜3×10
3であり、更に好ましくは4×10
2〜1×10
3である。
【0042】
Ar
H1及びAr
H2におけるアリール基、並びに、L
H1におけるアリーレン基としては、好ましくは、単環式又は2〜6環式の芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個又は2個(但し、アリール基の場合、水素原子1個であり、アリーレン基の場合、水素原子2個であり、以下、同様である。)を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2〜4環式の芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個又は2個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、フェナントレン又はトリフェニレンから環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個又は2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
H1及びAr
H2における1価の複素環基、並びに、L
H1における2価の複素環基としては、好ましくは、単環式又は2〜6環式の複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個又は2個(但し、1価の複素環基の場合、水素原子1個であり、2価の複素環基の場合、水素原子2個であり、以下、同様である。)を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式、3環式又は5環式の複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個又は2個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個又は2個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個又は2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
H1及びAr
H2における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基であるアリール基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1及びAr
H2におけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基である1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1及びAr
H2における1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0043】
本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、Ar
H1及びAr
H2の少なくとも1つは、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、1価の複素環基であることがより好ましく、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基又はジベンゾフリル基であることが更に好ましく、カルバゾリル基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、Ar
H1及びAr
H2は、好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、ベンゼン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、フェニル基、フルオレニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基又はカルバゾリル基であり、特に好ましくは、カルバゾリル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0044】
本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、L
H1の少なくとも1つは、アリーレン基又は2価の複素環基であることが好ましく、2価の複素環基であることがより好ましく、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であることが更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0045】
本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、L
H1は、好ましくは、アリーレン基又は2価の複素環基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0046】
Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
H1及びAr
H2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0047】
Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
H1及びAr
H2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0048】
n
H1は、通常、0以上10以下の整数であり、好ましくは0以上5以下の整数であり、更に好ましくは1以上3以下の整数であり、特に好ましくは1である。
【0049】
式(H−1)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。なお、式中、Z
Aは、前記と同じ意味を表す。式中、Z
Bは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Z
Bが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0054】
<式(T−1)で表される化合物>
式(T−1)で表される化合物の分子量は、通常1×10
2〜1×10
4であり、好ましくは2×10
2〜5×10
3であり、より好ましくは3×10
2〜3×10
3であり、更に好ましくは4×10
2〜1.5×10
3である。
【0055】
n
T1は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0以上3以下の整数であり、より好ましくは0又は1である。
n
T2は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数であり、更に好ましくは2である。
【0056】
「二重結合を有さない窒素原子」とは、窒素原子と、その窒素原子と結合するすべての原子との間に単結合のみを有する窒素原子を意味する。
「環内に二重結合を有さない窒素原子を含む」とは、環内に−N(−R
N)−(式中、R
Nは水素原子又は置換基を表す。)又は式:
【0057】
【化20】
で表される基を含むことを意味する。
【0058】
環内に二重結合を有さない窒素原子及び=N−で表される基を含む、縮合環の1価の複素環基(以下、「Ar
T1の複素環基」ともいう。)において、環を構成する二重結合を有さない窒素原子の数は、通常、1〜10であり、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1又は2である。また、縮合環の1価の複素環基において、環を構成する=N−で表される基の数は、通常、1〜10であり、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1又は2である。縮合環の1価の複素環基において、環を構成する炭素原子の数は、通常2〜60であり、好ましくは5〜30であり、より好ましくは8〜25である。
【0059】
Ar
T1の複素環基は、環内に二重結合を有さない窒素原子を含み、且つ、環内に=N−で表される基を含まない複素環(以下、「ドナー型複素環」ともいう。)の1個以上(好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下、更に好ましくは1個)と、環内に=N−で表される基を含む複素環の1個以上(好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下、更に好ましくは1個)とが縮合した複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0060】
ドナー型複素環において、環を構成する炭素原子の数は、通常1〜60であり、好ましくは2〜30であり、より好ましくは3〜15である。ドナー型複素環において、環を構成する二重結合を有さない窒素原子の数は、通常、1〜10であり、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1又は2である。
ドナー型複素環としては、例えば、前述の複素環基の項で例示した複素環式化合物の中で、環内に二重結合を有さない窒素原子を含み、且つ、環内に=N−で表される基を含まない複素環が挙げられ、その中でも、好ましくは、単環式又は2〜5環式の複素環であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環であり、更に好ましくは、単環式又は2環式の複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
ドナー型複素環は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、ピロール環、インドール環、カルバゾール環、9,10−ジヒドロアクリジン環、5,10−ジヒドロフェナジン環、フェノキサジン環又はフェノチアジン環であり、より好ましくは、ピロール環、インドール環又はカルバゾール環であり、更に好ましくは、ピロール環又はインドール環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
ドナー型複素環が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0061】
環内に=N−で表される基を含む複素環において、環を構成する炭素原子の数は、通常1〜60であり、好ましくは2〜30であり、より好ましくは3〜15である。環内に=N−で表される基を含む複素環において、環を構成する=N−で表される基の数は、通常、1〜10であり、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1又は2である。
環内に=N−で表される基を含む複素環としては、例えば、前述の複素環基の項で例示した複素環式化合物の中で、環内に=N−で表される基を含む複素環が挙げられ、その中でも、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環であり、より好ましくは単環式の複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環内に=N−で表される基を含む複素環は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、ジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、アザアントラセン環、ジアザアントラセン環、アザフェナントレン環又はジアザフェナントレン環であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、アザカルバゾール環又はジアザカルバゾール環であり、更に好ましくは、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環内に=N−で表される基を含む複素環が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0062】
Ar
T1の複素環基としては、例えば、アザインドール、ジアザインドール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、又は、これらの環にドナー型複素環及び/若しくは環内に=N−で表される基を含む複素環が1個以上(好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下、更に好ましくは1個である。)縮合した複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基が挙げられ、好ましくは、アザカルバゾール又はジアザカルバゾールから、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
T1の複素環基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
式(T−1)で表される化合物を容易に合成できるので、Ar
T1が複数存在する場合、それらは好ましくは同一である。
【0063】
Ar
T1の複素環基は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、式(T1−1)で表される基である。
【0064】
[式(T1−1)で表される基]
X
T1は、好ましくは単結合、酸素原子、硫黄原子又は−C(R
XT1’)
2−で表される基であり、より好ましくは単結合、酸素原子又は硫黄原子であり、更に好ましくは単結合である。
【0065】
R
XT1は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
XT1’は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは、アルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
複数存在するR
XT1’は、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成しないことが好ましい。
【0066】
R
XT1及びR
XT1’におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
H1及びAr
H2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R
XT1及びR
XT1’が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0067】
環R
T1及び環R
T2における芳香族炭化水素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜18である。
環R
T1及び環R
T2における芳香族炭化水素環としては、例えば、前述の芳香族炭化水素基の項で例示した芳香族炭化水素環が挙げられ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、前述の芳香族炭化水素基の項で例示した、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素環であり、より好ましくは、単環式の芳香族炭化水素環であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
環R
T1及び環R
T2における芳香族炭化水素環としては、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環又はジヒドロフェナントレン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、フルオレン環又はジヒドロフェナントレン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環R
T1及び環R
T2における複素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜60であり、好ましくは2〜30であり、より好ましくは3〜15である。環R
T1及び環R
T2における複素環のヘテロ原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜30であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは1〜3である。
環R
T1及び環R
T2における複素環としては、例えば、前述の複素環基の項で例示した複素環が挙げられ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、前述の複素環基の項で例示した、単環式、2環式又は3環式の複素環(好ましくは、ドナー型複素環又は環内に=N−で表される基を含む複素環であり、より好ましくは、環内に=N−で表される基を含む複素環である。)であり、より好ましくは、単環式の複素環(好ましくは、ドナー型複素環又は環内に=N−で表される基を含む複素環であり、より好ましくは、環内に=N−で表される基を含む複素環である。)であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環R
T1及び環R
T2における複素環としては、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、好ましくは、カルバゾール環、9,10−ジヒドロアクリジン環、5,10−ジヒドロフェナジン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、アザカルバゾール環又はジアザカルバゾール環であり、更に好ましくは、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0068】
環R
T1は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、芳香族炭化水素環又は環内に=N−で表される基を含む複素環であり、より好ましくは、単環式の芳香族炭化水素環又は環内に=N−で表される基を含む単環式の複素環であり、更に好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環R
T2は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、環内に=N−で表される基を含む複素環であり、より好ましくは、環内に=N−で表される基を含む単環式の複素環であり、更に好ましくは、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、特に好ましくはピリジン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、環R
T1が、芳香族炭化水素環又は環内に=N−で表される基を含む複素環であり、且つ、環R
T2が、環内に=N−で表される基を含む複素環であることが好ましく、環R
T1が、単環式の芳香族炭化水素環又は環内に=N−で表される基を含む単環式の複素環であり、且つ、環R
T2が、環内に=N−で表される基を含む単環式の複素環であることがより好ましく、環R
T1が、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、且つ、環R
T2が、ピリジン環又はジアザベンゼン環であることが更に好ましく、環R
T1がベンゼン環であり、且つ、環R
T2が、ピリジン環であることが特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0069】
環R
T1及び環R
T2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0070】
L
T1におけるアリーレン基の例及び好ましい範囲は、L
H1におけるアリーレン基におけるアリーレン基の例及び好ましい範囲と同じである。
L
T1における2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、L
H1における2価の複素環基におけるアリーレン基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0071】
L
T1は、好ましくは、アリーレン基又は2価の複素環基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくはベンゼン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、フェニレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(T−1)で表される化合物を容易に合成できるので、L
T1が複数存在する場合、それらは好ましくは同一である。
【0072】
L
T1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0073】
R
T1’は、好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
T1’におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
H1及びAr
H2におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
R
T1’が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0074】
Ar
T2における芳香族炭化水素基は、好ましくは、単環式又は2〜6環式の芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、フェナントレン又はアントラセンから環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
T2における複素環基は、好ましくは、単環式又は2〜6環式の複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、フェノチアジン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン又はジアザフェナントレンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン又はジアザフェナントレンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
T2は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、ベンゼン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、ベンゼン、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
T2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
H1、Ar
H2及びL
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0075】
式(T−1)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物、及び、後述の化合物ET1〜ET3が挙げられる。なお、式中、Z
A及びZ
Bは、前記と同じ意味を表す。
【0080】
<架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物>
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する低分子化合物であっても、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物であってもよいが、好ましくは、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物である。
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物において、架橋性基A群から選ばれる架橋性基は、好ましくは、式(XL−1)、式(XL−9)、式(XL−10)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋性基であり、より好ましくは、式(XL−1)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋性基であり、更に好ましくは、式(XL−1)で表される架橋性基である。
架橋性基A群から選ばれる架橋性基において、架橋性基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、後述のAr
Y1で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0081】
[架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物]
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する架橋構成単位(以下、単に「架橋構成単位」という。)として含むことが好ましい。架橋構成単位は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物の安定性及び架橋性が優れるので、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜80モル%であり、より好ましくは3〜65モル%であり、更に好ましくは5〜50モル%である。架橋構成単位は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0082】
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、更に、後述の式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物は、正孔輸送性が優れるので、更に、後述の式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物は、正孔輸送性が優れ、且つ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、更に、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物が式(X)で表される構成単位を含む場合、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物に含まれる式(X)で表される構成単位は、正孔輸送性が優れるので、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは1〜90モル%であり、より好ましくは10〜70モル%であり、更に好ましくは30〜60モル%である。
式(X)で表される構成単位は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物が式(Y)で表される構成単位を含み、Ar
Y1がアリーレン基である場合、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物に含まれる式(Y)で表される構成単位は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物の合計量に対して、好ましくは1〜90モル%であり、より好ましくは30〜80モル%である。
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物が式(Y)で表される構成単位を含み、Ar
Y1が2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である場合、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物に含まれる式(Y)で表される構成単位は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物の電荷輸送性が優れるので、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜50モル%であり、より好ましくは3〜30モル%である。
式(Y)で表される構成単位は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0083】
[式(Y)で表される構成単位]
【化25】
[式中、Ar
Y1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は単一又は複数の置換基を有していてもよい。前記置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0084】
Ar
Y1で表されるアリーレン基は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらは置換基を有していてもよい。
Ar
Y1で表される2価の複素環基は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族複素環であり、より好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、フェノチアジン又は9,10−ジヒドロアクリジンから、環を構成する炭素原子又は窒素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから、環を構成する炭素原子又は窒素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらは置換基を有していてもよい。
Ar
Y1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0085】
「少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基」としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0087】
Ar
Y1は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0088】
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0089】
式(Y)で表される構成単位は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、式(Y−1)又は(Y−2)で表される構成単位である。
【0090】
【化27】
[式中、
R
Y1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は単一又は複数の置換基を有していてもよい。前記置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するR
Y1は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
X
Y1は、−C(R
Y2)
2−、−C(R
Y2)=C(R
Y2)−又はC(R
Y2)
2−C(R
Y2)
2−で表される基を表す。R
Y2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は単一又は複数の置換基を有していてもよい。前記置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するR
Y2は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0091】
R
Y1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは、水素原子又はアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
Y2は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
Y1及びR
Y2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R
Y1及びR
Y2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0092】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位、並びに、後述の化合物M4、M5、M8及びM9から誘導される構成単位が挙げられる。なお、下記式中、Z
A及びZ
Bは、前記と同じ意味を表す。
【0097】
【化31】
[式中、
a
X1及びa
X2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
Ar
X1及びAr
X3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は単一又は複数の置換基を有していてもよい。前記置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
Ar
X2及びAr
X4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は単一又は複数の置換基を有していてもよい。前記置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Ar
X2及びAr
X4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
R
X1、R
X2及びR
X3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は単一又は複数の置換基を有していてもよい。前記置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R
X2及びR
X3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0098】
a
X1は、通常0〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
a
X2は、通常0〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0である。
【0099】
R
X1、R
X2及びR
X3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
X1、R
X2及びR
X3におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0100】
Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
X2及びAr
X4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
X2及びAr
X4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、Ar
Y1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0101】
Ar
X1〜Ar
X4及びR
X1〜R
X3で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0102】
式(X)で表される構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位、並びに、後述の化合物M3及びM6から誘導される構成単位が挙げられる。なお、下記式中、Z
Bは、前記と同じ意味を表す。
【0106】
[架橋構成単位]
架橋構成単位は、好ましくは、式(Z)で表される構成単位又は式(Z’)で表される構成単位である。
【0107】
[式(Z)で表される構成単位]
nは、通常1〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1又は2である。
nAは、通常0〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0108】
Ar
3は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
Ar
3で表される芳香族炭化水素基のn個の置換基を除いたアリーレン基部分の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
3で表される複素環基のn個の置換基を除いた2価の複素環基部分の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
3で表される少なくとも1種の芳香族炭化水素基と少なくとも1種の複素環基が直接結合した基のn個の置換基を除いた2価の基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0109】
L
Aで表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲と同じであるが、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、L
Aで表されるアリーレン基は、好ましくは、フェニレン基又はフルオレンジイル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
L
Aで表される2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
L
Aは、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物の合成が容易になるので、好ましくは、アリーレン基又はアルキレン基であり、より好ましくは、フェニレン基、フルオレンジイル基又はアルキレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R’は、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R’におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0110】
Ar
3、L
A及びR’で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0111】
Xにおける架橋性基A群から選ばれる架橋性基の例及び好ましい範囲は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物における架橋性基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0112】
[式(Z’)で表される構成単位]
mAは、通常0〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
mは、通常0〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
cは、通常0〜5の整数であり、本実施形態の高分子化合物の製造が容易になり、且つ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0113】
Ar
5は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
Ar
5で表される芳香族炭化水素基のm個の置換基を除いたアリーレン基部分の例及び好ましい範囲は、Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4で表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
5で表される複素環基のm個の置換基を除いた2価の複素環基部分の例及び好ましい範囲は、Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4で表される2価の複素環基部分の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
5で表される少なくとも1種の芳香族炭化水素基と少なくとも1種の複素環基が直接結合した基のm個の置換基を除いた2価の基の例及び好ましい範囲は、Ar
X2及びAr
X4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
4及びAr
6は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
Ar
4及びAr
6で表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲は、Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4で表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
4及びAr
6で表される2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4で表される2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
4〜Ar
6で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0114】
K
Aの例及び好ましい範囲は、L
Aの例及び好ましい範囲と同じである。
R’’の例及び好ましい範囲は、R’の例及び好ましい範囲と同じである。
X’における架橋性基A群から選ばれる架橋性基の例及び好ましい範囲は、Xにおける架橋性基A群から選ばれる架橋性基の例及び好ましい範囲と同じである。
X’におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、環L
1及び環L
2が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
X’は、好ましくは、架橋性基A群から選ばれる架橋性基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、架橋性基A群から選ばれる架橋性基、アルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
X’で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0115】
架橋構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位、並びに、後述の化合物M1
、M7及びM10から誘導される構成単位が挙げられる。なお、下記式中、Z
Bは、前記と同じ意味を表す。X
Aは架橋性基A群から選ばれる架橋性基を表す。X
Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。X
Aの好ましい範囲は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物における、架橋性基A群から選ばれる架橋性基の好ましい範囲と同じである
。
【0121】
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物としては、例えば、高分子化合物P−1〜P−8が挙げられる。ここで、「その他」とは、式(Z)、式(Z’)、式(X)及び式(Y)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
【0122】
【表1】
[表中、p’、q’、r’、s’及びt’は、各構成単位のモル比率(モル%)を表す。
p’+q’+r’+s’+t’=100であり、且つ、70≦p’+q’+r’+s’≦100である。]
【0123】
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合した共重合体であることが好ましい。
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは5×10
3〜1×10
6であり、より好ましくは1×10
4〜5×10
5であり、更に好ましくは1.5×10
4〜1.5×10
5である。
【0124】
[架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物の製造方法]
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する高分子化合物は、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
【0125】
[架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する低分子化合物]
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する低分子化合物は、式(Z’’)で表される低分子化合物であることが好ましい。
【0126】
m
B1の例及び好ましい範囲は、mAの例及び好ましい範囲と同じである。
m
B2の例及び好ましい範囲は、cの例及び好ましい範囲と同じである。
m
B3の例及び好ましい範囲は、mの例及び好ましい範囲と同じである。
【0127】
Ar
7の例及び好ましい範囲は、Ar
5の例及び好ましい範囲と同じである。
L
B1の例及び好ましい範囲は、L
Aの例及び好ましい範囲と同じである。
R’’’の例及び好ましい範囲は、R’の例及び好ましい範囲と同じである。
X’’の例及び好ましい範囲は、X’の例及び好ましい範囲と同じである。
【0128】
架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する低分子化合物としては、例えば、以下に示す低分子化合物が挙げられる。
【0130】
<発光素子>
本実施形態の発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の層と、陽極及び第1の層との間に設けられた第2の層とを有する発光素子であり、第2の層が、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体を含有する層であり、第1の層及び第2の層の少なくとも1層に、式(T−1)で表される化合物を含有する、発光素子である。
【0131】
式(T−1)で表される化合物は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、第1の層に含有されることがより好ましい。
【0132】
<第2の層>
本実施形態の発光素子において、第2の層は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体を含有する層である。第2の層は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
本実施形態の発光素子における第2の層において、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体の含有量は、第2の層としての機能が奏される範囲であればよい。例えば、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体の含有量は、第2の層の全量基準で1質量%以上100質量%以下であってよく、30質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0133】
本実施形態の発光素子において、第2の層が式(T−1)で表される化合物を含有する場合、第2の層は、式(T−1)で表される化合物の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
本実施形態の発光素子において、第2の層が式(T−1)で表される化合物を含有する場合、式(T−1)で表される化合物の含有量は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体の含有量を100質量部とした場合、通常、1質量部以上1000質量部以下である。
【0134】
[組成物2]
第2の層は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体と、式(T−1)で表される化合物、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む組成物(以下、「組成物2」ともいう。)を含有する層であってもよい。但し、組成物2において、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体及び式(T−1)で表される化合物とは異なる。
【0135】
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物である。正孔輸送材料は、架橋性基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、トリフェニルアミン及びその誘導体、N,N’−ジ−1−ナフチル−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、並びに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン(TPD)等の芳香族アミン化合物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
組成物2において、正孔輸送材料の含有量は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体の含有量を100質量部とした場合、通常、1質量部以上1000質量部以下である。
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0136】
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋性基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
組成物2において、電子輸送材料の含有量は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体の含有量を100質量部とした場合、通常、1質量部以上1000質量部以下である。
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0137】
[正孔注入材料及び電子注入材料]
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋性基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
組成物2において、正孔注入材料及び電子注入材料の含有量は、各々、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体の含有量を100質量部とした場合、通常、1質量部以上1000質量部以下である。
電子注入材料及び正孔注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0138】
[イオンドープ]
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10
−5S/cm以上1×10
3S/cm以下である。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0139】
[発光材料]
発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋性基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする燐光発光性化合物が挙げられる。
燐光発光性化合物としては、例えば、以下に示す金属錯体、及び、式(1)で表される金属錯体が挙げられる。
【0141】
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、アントラセンジイル基及びピレンジイル基等のアリーレン基;芳香族アミンから2個の水素原子を取り除いてなる基等の芳香族アミン残基;並びに、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基及びフェノチアジンジイル基等の2価の複素環基を含む高分子化合物が挙げられる。
組成物2において、発光材料の含有量は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体の含有量を100質量部とした場合、通常、1質量部以上1000質量部以下である。
発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0142】
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
組成物2において、酸化防止剤の配合量は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体の含有量を100質量部とした場合、通常、0.001質量部以上10質量部以下である。
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0143】
[インク2]
第2の層は、例えば、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物と、溶媒とを含有する組成物(以下、「インク2」ともいう。)を用いて形成することができる。インク2は、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の湿式法に好適に使用することができる。
インク2の粘度は、湿式法の種類によって調整すればよいが、インクジェット印刷法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりが起こりづらいので、好ましくは25℃において1mPa・s以上20mPa・s以下である。
インク2に含有される溶媒は、好ましくは、インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。溶媒としては、例えば、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、多価アルコール系溶媒、アルコール系溶媒、スルホキシド系溶媒及びアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
インク2において、溶媒の含有量は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の含有量を100質量部とした場合、通常、1000質量部以上100000質量部以下である。
【0144】
<第1の層>
本実施形態の発光素子において、第1の層及び第2の層のうちの少なくとも1層は、式(T−1)で表される化合物を含有するが、本実施形態の発光素子の発光効率が優れるので、第1の層が、式(T−1)で表される化合物を含有することが好ましい。第1の層は、式(T−1)で表される化合物の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
本実施形態の発光素子において、第1の層が式(T−1)で表される化合物を含有する場合、式(T−1)で表される化合物の含有量は、第1の層としての機能が奏される範囲であればよい。例えば、式(T−1)で表される化合物の含有量は、第1の層の全量基準で1質量%以上100質量%以下であってよく、30質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0145】
[組成物1]
第1の層が式(T−1)で表される化合物を含有する場合、第1の層は、式(T−1)で表される化合物と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含む組成物(以下、「組成物1」ともいう。)を含有する層であってもよい。但し、組成物1において、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料は、式(T−1)で表される化合物とは異なる。
【0146】
組成物1に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の例及び好ましい範囲は、組成物2に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の例及び好ましい範囲と同じである。
【0147】
組成物1において、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の含有量は、各々、式(T−1)で表される化合物を100質量部とした場合、通常、1質量部以上1000質量部以下である。
【0148】
組成物1に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、組成物2に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。組成物1において、酸化防止剤の含有量は、式(T−1)で表される化合物を100質量部とした場合、通常、0.001質量部以上10質量部以下である。
【0149】
第1の層が式(T−1)で表される化合物を含有する場合、第1の層は、例えば、式(T−1)で表される化合物と、溶媒とを含有する組成物(以下、「インク1」ともいう。)を用いて形成することができる。インク1は、インク2の項で説明した湿式法に好適に使用することができる。インク1の粘度の好ましい範囲は、インク2の粘度の好ましい範囲と同じである。インク1に含有される溶媒の例及び好ましい範囲は、インク2に含有される溶媒の例及び好ましい範囲と同じである。
インク1において、溶媒の含有量は、式(T−1)で表される化合物を100質量部とした場合、通常、1000質量部以上100000質量部以下である。
【0150】
<第3の層>
本実施形態の発光素子は、陽極及び陰極の間に設けられた第3の層を更に有することが好ましい。第3の層は、発光材料を含有する層であることが好ましい。第3の層が発光材料を含有する層である場合、第3の層は、発光材料の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。第3の層に含有されていてもよい発光材料の例及び好ましい範囲は、組成物2に含有される発光材料の例及び好ましい範囲と同じである。
本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、第3の層に含有されていてもよい発光材料は、式(1)で表される金属錯体であることが好ましい。
第3の層が発光材料を含有する層である場合、発光材料の含有量は、第3の層としての機能が奏される範囲であればよい。例えば、発光材料の含有量は、第3の層の全量基準で0.1質量%以上100質量%以下であってよく、1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上35質量%以下であることが更に好ましい。
【0151】
本実施形態の発光素子において、第3の層は、式(H−1)で表される化合物又は式(T−1)で表される化合物を含有していてもよい。本実施形態の発光素子において、第3の層が式(H−1)で表される化合物又は式(T−1)で表される化合物を含有する場合、これらの化合物は、後述のホスト材料として、第3の層に含有されることが好ましい。第3の層は、式(H−1)で表される化合物の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。第3の層は、式(T−1)で表される化合物の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
【0152】
[ホスト材料]
第3の層が発光材料を含有する層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、第3の層は、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性から選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料を更に含むことが好ましい。第3の層は、ホスト材料の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
【0153】
第3の層が、発光材料及びホスト材料を含有する層である場合、ホスト材料の含有量は、発光材料及びホスト材料の合計の含有量を100質量部とした場合、通常、1質量部以上99質量部以下であり、好ましくは10質量部以上95質量部以下であり、より好ましくは30質量部以上90質量部以下であり、更に好ましくは50質量部以上85質量部以下である。
ホスト材料の有する最低励起三重項状態(T
1)は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、発光材料の有する最低励起三重項状態(T
1)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
ホスト材料としては、本実施形態の発光素子を湿式法で作製できるので、発光材料を溶解することが可能な溶媒に対して溶解性を示すものが好ましい。
【0154】
ホスト材料は、低分子化合物(低分子ホスト)と高分子化合物(高分子ホスト)とに分類され、第3の層はいずれのホスト材料を含有していてもよい。第3の層に含有されていてもよいホスト材料としては、低分子化合物が好ましい。
低分子ホストは、例えば、後述の正孔輸送材料である低分子化合物、及び、後述の電子輸送材料である低分子化合物が挙げられ、好ましくは、式(H−1)で表される化合物又は式(T−1)で表される化合物であり、より好ましくは、式(H−1)で表される化合物である。
高分子ホストとしては、例えば、後述の正孔輸送材料である高分子化合物、及び、後述の電子輸送材料である高分子化合物が挙げられる。
【0155】
[組成物3]
第3の層は、発光材料と、前述のホスト材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む組成物(以下、「組成物3」ともいう。)を含有する層であってもよい。
【0156】
組成物3に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料及び電子注入材料の例及び好ましい範囲は、組成物3に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料及び電子注入材料の例及び好ましい範囲と同じである。
【0157】
組成物3において、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料及び電子注入材料の含有量は、各々、発光材料を100質量部とした場合、通常、1質量部以上10000質量部以下である。
【0158】
組成物3に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、組成物3に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。組成物3において、酸化防止剤の含有量は、発光材料を100質量部とした場合、通常、0.00001質量部以上10質量部以下である。
【0159】
第3の層に発光材料を含有する場合、第3の層は、例えば、発光材料と、溶媒とを含有する組成物(以下、「インク3」ともいう。)を用いて形成することができる。インク3は、インク2の項で説明した湿式法に好適に使用することができる。インク3の粘度の好ましい範囲は、インク2の粘度の好ましい範囲と同じである。インク3に含有される溶媒の例及び好ましい範囲は、インク2に含有される溶媒の例及び好ましい範囲と同じである。
インク3において、溶媒の含有量は、発光材料を100質量部とした場合、通常、1000質量部以上1000000質量部以下である。
【0160】
<発光素子の層構成>
図1は、本発明の一態様に係る発光素子の概略断面図である。
図1に示される発光素子10は、陽極11と、陰極14と、陽極11及び陰極14の間に設けられた第1の層13と、陽極11及び第1の層13との間に設けられた第2の層12とを有する。
本実施形態の発光素子は、陽極11、陰極14、第1の層13及び第2の層12以外の層を有していてもよい。
本実施形態の発光素子において、第3の層を有する場合、本実施形態の発光素子は、陽極11、陰極14、第1の層13、第2の層12及び第3の層以外の層を有していてもよい。
本実施形態の発光素子において、第1の層13は、通常、発光層(以下、「第1の発光層」と言う。)、電子輸送層又は電子注入層であり、より好ましくは電子輸送層である。
本実施形態の発光素子において、第2の層12は、通常、発光層(第1の発光層とは別個の発光層であり、以下、「第2の発光層」と言う。)、正孔輸送層又は正孔注入層であり、より好ましくは第2の発光層又は正孔輸送層であり、更に好ましくは正孔輸送層である。
本実施形態の発光素子において、第3の層を有する場合、第3の層は、通常、発光層(第1の発光層及び第2の発光層とは別個の発光層であり、以下、「第3の発光層」と言う。)である。
【0161】
本実施形態の発光素子において、第1の層13は、陰極14及び第2の層12の間に設けられた第1の発光層、電子輸送層又は電子注入層であることが好ましく、陰極14及び第2の層12の間に設けられた電子輸送層であることがより好ましい。
本実施形態の発光素子において、第2の層12は、陽極11及び第1の層13の間に設けられた第2の発光層、正孔輸送層又は正孔注入層であることが好ましく、陽極11及び第2の層12の間に設けられた第2の発光層又は正孔輸送層であることがより好ましく、陽極11及び第2の層12の間に設けられた正孔輸送層であることが更に好ましい。
本実施形態の発光素子において、第3の層を有する場合、第3の層は、第2の層12及び第1の層13との間に設けられた層であることが好ましく、第2の層12及び第1の層13との間に設けられた第3の発光層であることがより好ましい。
本実施形態の発光素子において、第3の層を有する場合、第3の層と第1の層13とは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、隣接していることが好ましい。
本実施形態の発光素子において、第3の層を有する場合、第3の層と第2の層12とは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、隣接していることが好ましい。
本実施形態の発光素子において、第3の層を有する場合、第3の層と、第1の層13及び第2の層12とは、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、隣接していることが好ましい。
【0162】
本実施形態の発光素子は、第1の発光層、第2の発光層及び第3の発光層のうちの少なくとも1層を有する。本実施形態の発光素子は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、第2の発光層及び第3の発光層のうちの少なくとも1層を有することが好ましく、第3の発光層を有することが更に好ましい。
本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陽極11と第3の発光層、第1の発光層及び第2の発光層のうちの少なくとも1層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陰極14と第3の発光層、第1の発光層及び第2の発光層のうちの少なくとも1層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
例えば、本実施形態の発光素子が第3の発光層を有する場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陽極11と第3の発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陰極14と第3の発光層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
例えば、本実施形態の発光素子が第1の発光層を有する場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陽極11と第1の発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陰極14と第1の発光層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
例えば、本実施形態の発光素子が第2の発光層を有する場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陽極11と第2の発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陰極14と第2の発光層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
例えば、本実施形態の発光素子が第1の発光層及び第2の発光層を有する場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陽極11と第2の発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、本実施形態の発光素子は、陰極14と第1の発光層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
【0163】
本実施形態の発光素子の具体的な層構成としては、例えば、(D1)〜(D12)で表される層構成が挙げられる。本実施形態の発光素子は、通常、基板を有するが、基板上に陽極から積層されていてもよく、基板上に陰極から積層されていてもよい。
【0164】
(D1)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第3の発光層(第3の層)/電子輸送層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D2)陽極/正孔注入層(第2の層)/正孔輸送層/第3の発光層(第3の層)/電子輸送層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D3)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第3の発光層(第3の層)/電子輸送層/電子注入層(第1の層)/陰極
(D4)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第3の発光層(第3の層)/電子輸送層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D5)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第3の発光層(第3の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層(第2の層)/第3の発光層(第3の層)/電子輸送層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層(第2の層)/電子輸送層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第2の発光層/電子輸送層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D9)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D10)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第3の発光層(第3の層)/第1の発光層/電子輸送層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D11)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第2の発光層/第3の発光層(第3の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D12)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第2の発光層/第3の発光層(第3の層)/第1の発光層/電子輸送層(第1の層)/電子注入層/陰極
【0165】
(D1)〜(D12)中、「/」は、その前後の層が隣接して積層していることを意味する。具体的には、「正孔輸送層(第2の層)/第3の発光層(第3の層)/電子輸送層(第1の層)」とは、正孔輸送層(第2の層)と第3の発光層(第3の層)と電子輸送層(第1の層)とが隣接して積層していることを意味する。
【0166】
本実施形態の発光素子において、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第3の発光層、第1の発光層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極は、それぞれ、必要に応じて、2層以上設けられていてもよい。
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第3の発光層、第1の発光層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第3の発光層、第1の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極の厚さは、通常、1nm以上1μm以下であり、好ましくは2nm以上500nm以下であり、更に好ましくは5nm以上150nm以下である。
本実施形態の発光素子において、積層する層の順番、数、及び厚さは、発光素子の発光効率、駆動電圧及び素子寿命を勘案して調整すればよい。
【0167】
[第1の発光層]
第1の発光層は、通常、第1の層又は発光材料を含有する層であり、好ましくは、発光材料を含有する層である。第1の発光層が発光材料を含有する層である場合、第1の発光層に含有される発光材料としては、例えば、前述の組成物2が含有していてもよい発光材料が挙げられる。第1の発光層に含有される発光材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が第1の発光層を有し、且つ、第1の層が後述の電子輸送層及び後述の電子注入層ではない場合、第1の発光層は第1の層であることが好ましい。
【0168】
[第2の発光層]
第2の発光層は、通常、第2の層又は発光材料を含有する層であり、好ましくは、発光材料を含有する層である。第2の発光層が発光材料を含有する層である場合、第2の発光層に含有される発光材料としては、例えば、前述の組成物2が含有していてもよい発光材料が挙げられる。第2の発光層に含有される発光材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が第2の発光層を有し、且つ、第2の層が後述の正孔輸送層及び後述の正孔注入層ではない場合、第2の発光層は第2の層であることが好ましい。
【0169】
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、通常、第2の層又は正孔輸送材料を含有する層であり、好ましくは、第2の層である。正孔輸送層が正孔輸送材料を含有する層である場合、正孔輸送層に含有される正孔輸送材料としては、例えば、前述の組成物2が含有していてもよい正孔輸送材料が挙げられる。正孔輸送層に含有される正孔輸送材料は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が正孔輸送層を有し、且つ、第2の層が前述の第2の発光層及び後述の正孔注入層ではない場合、正孔輸送層は第2の層であることが好ましい。
【0170】
[電子輸送層]
電子輸送層は、通常、第1の層又は電子輸送材料を含有する層であり、好ましくは、第1の層である。電子輸送層が電子輸送材料を含有する層である場合、電子輸送層に含有される電子輸送材料としては、例えば、前述の組成物2が含有していてもよい電子輸送材料が挙げられる。電子輸送層に含有される電子輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が電子輸送層を有し、且つ、第1の層が前述の第1の発光層及び後述の電子注入層ではない場合、電子輸送層は第1の層であることが好ましい。
【0171】
[正孔注入層及び電子注入層]
正孔注入層は、第2の層又は正孔注入材料を含有する層であり、好ましくは、正孔注入材料を含有する層である。正孔注入層に含有される正孔注入材料としては、例えば、前述の組成物2が含有していてもよい正孔注入材料が挙げられる。正孔注入層に含有される正孔注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が正孔注入層を有し、且つ、第2の層が前述の第2の発光層及び前述の正孔輸送層ではない場合、正孔注入層は第2の層であることが好ましい。
電子注入層は、第1の層又は電子注入材料を含有する層であり、好ましくは、電子注入材料を含有する層である。電子注入層が電子注入材料を含有する層である場合、電子注入層に含有される電子注入材料としては、例えば、前述の組成物2が含有していてもよい電子注入材料が挙げられる。電子注入層に含有される電子注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が電子注入層を有し、且つ、第1の層が前述の第1の発光層及び前述の電子輸送層ではない場合、電子注入層は第1の層であることが好ましい。
【0172】
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板であってよい。不透明な基板を使用する場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0173】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0174】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
【0175】
本実施形態の発光素子において、陽極及び陰極の少なくとも一方は、通常、透明又は半透明であるが、陽極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極及び陰極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法及びラミネート法が挙げられる。
【0176】
[発光素子の製造方法]
本実施形態の発光素子において、第1の層、第2の層、第3の層、及び、その他の層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、真空蒸着法等の乾式法及びインク2の項で説明した湿式法が挙げられ、また、高分子化合物を用いる場合、例えば、インク2の項で説明した湿式法が挙げられる。第1の層、第2の層、第3の層、及び、その他の層は、上述した各種インク、各種材料を含むインクを用いて、前述のインク2の項で説明した湿式法により形成してもよいし、真空蒸着法等の乾式法により形成してもよい。
【0177】
第1の層を湿式法により形成する場合、インク1を用いることが好ましい。第1の層は、本実施形態の発光素子の製造が容易になるので、湿式法により形成することが好ましい。例えば、第2の層(又は第3の層)の上に、第2の層(又は第3の層)との溶解性の差を利用して第1の層を積層する場合、第2の層(又は第3の層)に対して溶解性の低い溶液を用いることで第1の層を積層することが容易となる。
第2の層を湿式法により形成する場合、インク2を用いることが好ましい。第2の層は、本実施形態の発光素子の製造が容易になるので、湿式法により形成することが好ましい。
第2の層を形成後、加熱又は光照射することで、第2の層に含有される架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物を架橋させることができる。第2の層を形成後、加熱することで、第2の層に含有される架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物を架橋させることが好ましい。第2の層は、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物が架橋した状態(架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体)で含有されているため、第2の層は溶媒に対して実質的に不溶化されている。そのため、第2の層は、発光素子の積層化に好適に使用することができる。
架橋させるための加熱の温度は、通常、25℃〜300℃であり、好ましくは50℃〜260℃であり、より好ましくは130℃〜230℃であり、更に好ましくは180℃〜210℃である。
加熱の時間は、通常、0.1分〜1000分であり、好ましくは0.5分〜500分であり、より好ましくは1分〜120分であり、更に好ましくは10分〜60分である。
光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
第3の層を湿式法により形成する場合、インク3を用いることが好ましい。第3の層は、本実施形態の発光素子の製造が容易になるので、湿式法により形成することが好ましい。
【0178】
本実施形態の発光素子は、例えば、基板上に各層を順次積層することにより製造することができる。具体的には、基板上に陽極を設け、その上に正孔注入層、正孔輸送層等の層を設け、その上に発光層を設け、その上に電子輸送層、電子注入層等の層を設け、更にその上に、陰極を積層することにより、発光素子を製造することができる。他の製造方法としては、基板上に陰極を設け、その上に電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層等の層を設け、更にその上に、陽極を積層することにより、発光素子を製造することができる。更に他の製造方法としては、陽極又は陽極上に各層を積層した陽極側基材と陰極又は陰極上に各層を積層させた陰極側基材とを、対向させて接合することにより製造することができる。
【0179】
本実施形態の発光素子の作製において、正孔注入層の形成に用いる材料、発光層の形成に用いる材料、正孔輸送層の形成に用いる材料、電子輸送層の形成に用いる材料、及び、電子注入層の形成に用いる材料が、各々、正孔注入層、発光層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することが回避されることが好ましい。材料の溶解を回避する方法としては、i)架橋性基を有する材料を用いる方法、又は、ii)隣接する層の溶媒への溶解性に差を設ける方法が好ましい。上記i)の方法では、架橋性基を有する材料を用いて層を形成した後、該架橋性基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。また、上記ii)の方法としては、例えば、発光層の上に、溶解性の差を利用して電子輸送層を積層する場合、発光層に対して溶解性の低いインクを用いることで電子輸送層を発光層上に積層することができる。
【0180】
[発光素子の用途]
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極とが重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源及び表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0181】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0182】
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、移動相にテトラヒドロフランを用い、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めた。SECの測定条件は、次のとおりである。
測定する高分子化合物を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。移動相は、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
【0183】
LC−MSは、下記の方法で測定した。
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、LC−MS(Agilent製、商品名:1290 Infinity LC及び6230 TOF LC/MS)に約1μL注入した。LC−MSの移動相には、アセトニトリル及びテトラヒドロフランの比率を変化させながら用い、1.0mL/分の流量で流した。カラムは、SUMIPAX ODS Z−CLUE(住化分析センター製、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径3μm)を用いた。
【0184】
NMRは、下記の方法で測定した。
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重テトラヒドロフランに溶解させ、NMR装置(JEOL RESONANCE製、商品名:JNM−ECZ400S/L1)を用いて測定した。
【0185】
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特に記載がない限り、HPLC(島津製作所製、商品名:LC−20A)でのUV=254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01〜0.2質量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、濃度に応じてHPLCに1〜10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリル/テトラヒドロフランの比率を100/0〜0/100(容積比)まで変化させながら用い、1.0mL/分の流量で流した。カラムは、SUMIPAX ODS Z−CLUE(住化分析センター製、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径3μm)を用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD−M20A)を用いた。
【0186】
<合成例M> 化合物M1〜M11の合成
化合物M1は国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。
化合物M2は国際公開第2013/146806号に記載の方法に従って合成した。
化合物M3は国際公開第2005/049546号に記載の方法に従って合成した。
化合物M4は、特開2010−189630号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M5、化合物M6及び化合物M9は国際公開第2002/045184号に記載の方法に準じて合成した。
化合物M7は国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した。
化合物M8は特開2011−174062号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M10は特開2008−106241号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M11は特開2010−215886号公報に記載の方法に従って合成した。
【0187】
【化42】
【0188】
【化43】
【0189】
【化44】
【0190】
<合成例HTL−1> 高分子化合物HTL−1の合成
高分子化合物HTL−1は、化合物M1、化合物M2及び化合物M3を用いて、国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL−1のMnは2.3×10
4であり、Mw=1.2×10
5であった。
高分子化合物HTL−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位とが、45:5:50のモル比で構成された共重合体である。
【0191】
<合成例HTL−2> 高分子化合物HTL−2の合成
高分子化合物HTL−2は、化合物M5、化合物M6及び化合物M7を用いて、国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL−2のMnは8.9×10
4であり、Mw=4.2×10
5であった。
高分子化合物HTL−2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M7から誘導される構成単位とが、50:42.5:7.5のモル比で構成された共重合体である。
【0192】
<合成例HTL−3> 高分子化合物HTL−3の合成
高分子化合物HTL−3は、化合物M8、化合物M3、化合物M9及び化合物M10を用いて、特開2012−144722号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL−3のMnは7.8×10
4であり、Mwは2.6×10
5であった。
高分子化合物HTL−3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M8から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M9から誘導される構成単位と、化合物M10から誘導される構成単位とが、50:30:12.5:7.5のモル比で構成された共重合体である。
【0193】
<合成例HTL−C1> 高分子化合物HTL−C1の合成
高分子化合物HTL−C1は、化合物M4及び化合物M3を用いて、国際公開第2015/194448号に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL−C1のMnは4.5×10
4であり、Mwは1.5×10
5であった。
高分子化合物HTL−C1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成された共重合体である。
【0194】
<合成例HTL−C2> 高分子化合物HTL−C2の合成
高分子化合物HTL−C2は、化合物M5及び化合物M6を用いて、特開2012−36381号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL−C2のMnは8.1×10
4であり、Mwは3.4×10
5であった。
高分子化合物HTL−C2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成された共重合体である。
【0195】
<合成例HTL−C3> 高分子化合物HTL−C3の合成
高分子化合物HTL−C3は、化合物M8、化合物M3、化合物M9及び化合物M11を用いて、特開2012−144722号公報に記載の方法に準じて合成した。高分子化合物HTL−C3のMnは5.0×10
4であり、Mwは2.5×10
5であった。
高分子化合物HTL−C3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M8から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M9から誘導される構成単位と、化合物M11から誘導される構成単位とが、50:30:12.5:7.5のモル比で構成された共重合体である。
【0196】
<化合物HM−1及び化合物HTM−1>
化合物HM−1及び化合物HTM−1はLuminescence Technology社より購入した。
【0197】
【化45】
【0198】
<金属錯体B1、金属錯体R1及び化合物ET1>
金属錯体B1は、国際公開第2006/121811号及び特開2013−048190号公報に記載の方法に準じて合成した。
金属錯体R1はAmerican Dye Source社より購入した。
【0199】
【化46】
【0200】
<合成例ET1> 化合物ET1及び化合物ET3の合成
化合物ET1及び化合物ET3は、特開2010−235575号公報に記載の方法に準じて合成した。
【0201】
【化47】
【0202】
<化合物ET2> 化合物ET2の合成
【0203】
【化48】
【0204】
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物ET2a(8.7g)、化合物ET2b(8.1g)、ジメチルスルホキシド(218mL)、酸化銅(I)(1.3g)、リン酸三カリウム(16.7g)及びジピバロイルメタン(3.2g)を加え、150℃で10時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却した後、トルエン及びイオン交換水を加え、セライトを敷いたグラスフィルターでろ過した。得られたろ液をイオン交換水で洗浄した後、得られた有機層を濃縮することにより、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及び酢酸エチルの混合溶媒)により精製し、次いで、アセトニトリル及びトルエンの混合溶媒を用いて晶析を行った。得られた固体を50℃で減圧乾燥させることにより、化合物ET2(8.0g)を得た。化合物ET2のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
【0205】
化合物ET2の分析結果は以下のとおりであった。
LC−MS(ESI,positive):m/z=573[M+H]
+
1H−NMR(400MHz,THF−d
8):δ(ppm)=1.01(t,3H),1.58−1.68(m,2H),1.95−2.05(m,2H),3.14−3.19(m,2H),7.32−7.39(m,4H),7.49−7.57(m,4H),7.72(s,1H),7.79−7.88(m,3H),8.34−8.42(m,3H),8.55−8.68(m,4H).
【0206】
<実施例D1> 発光素子D1の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるND−3202(日産化学工業製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜した。大気雰囲気下において、ホットプレート上で50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0207】
(第2の層の形成)
キシレンに高分子化合物HTL−3を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより、第2の層(正孔輸送層)を形成した。この加熱により、高分子化合物HTL−3は、架橋体となった。
【0208】
(第3の層の形成)
トルエンに、化合物HM−1及び金属錯体B1(化合物HM−1/金属錯体B1=75質量%/25質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、第2の層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより第3の層(発光層)を形成した。
【0209】
(第1の層の形成)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールに、化合物ET1を0.25質量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール溶液を用いて、第3の層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより第1の層(電子輸送層)を形成した。
【0210】
(陰極の形成)
第1の層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、第1の層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D1を作製した。
【0211】
(発光素子の評価)
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。0.1mA/cm
2における発光効率[cd/A]及びCIE色度座標(x,y)を測定した。なお、CIE色度座標(x,y)は、国際照明委員会CIE(Commission Internationale de l’Eclairage)が1931年に策定した国際表示法であるXYZ表色系に基づくxy色度座標(x,y)である。
【0212】
<実施例D2及び比較例CD1〜CD2> 発光素子D2、CD1及びCD2の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−3」に代えて、表2に記載の材料を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D2、CD1及びCD2を作製した。
発光素子D2、CD1及びCD2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。0.1mA/cm
2における発光効率[cd/A]及びCIE色度座標(x,y)を測定した。
【0213】
実施例D1〜D2及び比較例CD1〜CD2の結果を表2に示す。発光素子CD1の発光効率を1.0としたときの発光素子D1、D2及びCD2の発光効率の相対値を示す。
【0214】
【表2】
【0215】
<実施例D3及び比較例CD3> 発光素子D3及びCD3の作製と評価
実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物ET1」に代えて、表3に記載の材料を用い、更に、実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−3」に代えて、表3に記載の材料を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D3及びCD3を作製した。
発光素子D3及びCD3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。3mA/cm
2における発光効率[cd/A]及びCIE色度座標(x,y)を測定した。
【0216】
実施例D3及び比較例CD3の結果を表3に示す。発光素子CD3の発光効率を1.0としたときの発光素子D3の発光効率の相対値を示す。
【0217】
【表3】
【0218】
<実施例D4及び比較例CD4> 発光素子D4及びCD4の作製と評価
実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物ET1」に代えて、表4に記載の材料を用い、更に、実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−3」に代えて、表4に記載の材料を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D4及びCD4を作製した。
発光素子D4及びCD4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。2mA/cm
2における発光効率[cd/A]及びCIE色度座標(x,y)を測定した。
【0219】
実施例D4及び比較例CD4の結果を表4に示す。発光素子CD4の発光効率を1.0としたときの発光素子D4の発光効率の相対値を示す。
【0220】
【表4】
【0221】
<実施例D5及び比較例CD5> 発光素子D5及びCD5の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−3」に代えて、表5に記載の材料を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D5及びCD5を作製した。
発光素子D5及びCD5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1mA/cm
2における発光効率[cd/A]及びCIE色度座標(x,y)を測定した。
【0222】
実施例D5及び比較例CD5の結果を表5に示す。発光素子CD5の発光効率を1.0としたときの発光素子D5の発光効率の相対値を示す。
【0223】
【表5】
【0224】
<実施例D6及び比較例CD6> 発光素子D6及びCD6の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−3」に代えて、表5に記載の材料を用い、更に、実施例D1の(第3の層の形成)における「化合物HM−1及び金属錯体B1」に代えて、表6に記載の材料を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D6及びCD6を作製した。
発光素子D6及びCD6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。0.02mA/cm
2における発光効率[cd/A]及びCIE色度座標(x,y)を測定した。
【0225】
実施例D6及び比較例CD6の結果を表6に示す。発光素子CD6の発光効率を1.0としたときの発光素子D6の発光効率の相対値を示す。
【0226】
【表6】
【解決手段】陽極及び陰極の間に設けられた第1の層と、陽極及び第1の層との間に設けられた第2の層とを有する発光素子であり、第2の層が、架橋性基A群から選ばれる架橋性基を有する化合物の架橋体を含有する層であり、第1の層及び第2の層の少なくとも1層に、式(T−1)で表される化合物を含有する、発光素子。