特許第6595510号(P6595510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キャボット マイクロエレクトロニクス コーポレイションの特許一覧

特許6595510高い除去速度と低欠陥性を有する、ポリシリコン及び窒化物を上回り酸化物に対して選択的なCMP組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6595510
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】高い除去速度と低欠陥性を有する、ポリシリコン及び窒化物を上回り酸化物に対して選択的なCMP組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20191010BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20191010BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20191010BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   H01L21/304 622D
   H01L21/304 621D
   B24B37/00 H
   C09K3/14 550D
   C09K3/14 550Z
   C09G1/02
【請求項の数】19
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-570038(P2016-570038)
(86)(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公表番号】特表2017-526160(P2017-526160A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】US2015033277
(87)【国際公開番号】WO2015184320
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2018年5月9日
(31)【優先権主張番号】14/289,728
(32)【優先日】2014年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】キャボット マイクロエレクトロニクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】ティナ リ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ドッカリー
(72)【発明者】
【氏名】レンホーァ ジア
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ダイサード
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−101545(JP,A)
【文献】 特開2008−182213(JP,A)
【文献】 特表2011−501406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09G 1/02
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.05質量%〜10質量%のセリア研磨剤、
(b)10ppm〜1000ppmの式I:
【化1】
(式中、X1及びX2はO、C、及びSから独立に選択され、
1及びY2はOH、C1〜C10アルキル、及び式:Cxyzの基から独立に選択され、
1、R2、R3、及びR4は水素、F、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、及びヘテロ芳香族から独立に選択され、
xは1〜20の整数であり、
zは、1〜41の整数であり、
は3〜500の整数であり、かつ、
1又はY2の少なくとも一方がCxyzであるか、またはR1〜R4の少なくとも1つがFである。)
のポリマー
c)水、及び
(d)(i)式II:
【化2】
(式中、X1及びX2は水素、‐OH、及び‐COOHから独立に選択され、かつ、X1及びX2の少なくとも一方は‐COOHであり、
1及びZ2は独立にO又はSであり、
1、R2、R3、及びR4は水素、C1〜C6アルキル、及びC7〜C10アリールから独立に選択され、
nは3〜500の整数である。)
のイオン性ポリマー、及び
(ii)ポリアクリレート
から選択されるイオン性ポリマー
を含み、1〜4.5のpHを有する化学機械研磨組成物。
【請求項2】
1及びY2の各々がCxyzである、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項3】
1及びX2の各々がOである、請求項1又は2に記載の研磨組成物。
【請求項4】
1、R2、R3、及びR4が、独立に水素又はFである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨組成物。
【請求項5】
xが1〜9の整数である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨組成物。
【請求項6】
xが1〜8の整数であり、yが1〜40の整数である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨組成物。
【請求項7】
前記式Iのポリマーが500ダルトン〜10,000ダルトンの分子量を有し、mが8又はそれより大きい整数である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨組成物。
【請求項8】
前記研磨組成物が、ポリビニルアルコールをさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の研磨組成物。
【請求項9】
(i)基材を、研磨パッド並びに
(a)0.05質量%〜10質量%のセリア研磨剤、
(b)10ppm〜1000ppmの式I:
【化3】
(式中、X1及びX2はO、C、及びSから独立に選択され、
1及びY2はOH、C1〜C10アルキル、及び式:Cxyzの基から独立に選択され、
1、R2、R3、及びR4は水素、F、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、及びヘテロ芳香族から独立に選択され、
xは1〜20の整数であり、
zは、1〜41の整数であり、
は3〜500の整数であり、かつ、
1又はY2の少なくとも一方がCxyzであるか、またはR1〜R4の少なくとも1つがFである。)
のポリマー
c)水、及び
(d)(i)式II:
【化4】
(式中、X1及びX2は水素、‐OH、及び‐COOHから独立に選択され、かつ、X1及びX2の少なくとも一方は‐COOHであり、
1及びZ2は独立にO又はSであり、
1、R2、R3、及びR4は水素、C1〜C6アルキル、及びC7〜C10アリールから独立に選択され、
nは3〜500の整数である。)
のイオン性ポリマー、及び
(ii)ポリアクリレート
から選択されるイオン性ポリマー
を含み、1〜4.5のpHを有する化学機械研磨組成物と接触させることと、
(ii)前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物を前記基材に対して動かすことと、(iii)前記基材の少なくとも一部を摩耗させて前記基材を研磨することと
を含む、基材を化学機械研磨する方法。
【請求項10】
1及びY2の各々がCxyzである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
1及びX2の各々がOである、請求項又は10に記載の方法。
【請求項12】
1、R2、R3、及びR4の各々が、独立に水素又はFである、請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
xが1〜9の整数である、請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
xが1〜8の整数であり、yが1〜40の整数である、請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記式Iのポリマーが500ダルトン〜10,000ダルトンの分子量を有し、mが8又はそれより大きい整数である、請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記研磨組成物がポリビニルアルコールをさらに含む、請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記基材が酸化ケイ素を含み、前記酸化ケイ素の少なくとも一部を摩耗させて前記基材を研磨する、請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記基材が窒化ケイ素をさらに含み、前記窒化ケイ素の少なくとも一部を摩耗させて前記基材を研磨する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基材がポリシリコンをさらに含み、前記ポリシリコンの少なくとも一部を摩耗させて前記基材を研磨する、請求項17又は18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基材の表面を平坦化又は研磨するための組成物及び方法は、当分野でよく知られている。(研磨スラリーとしても知られている)研磨組成物は、典型的には液体キャリア中に研磨材料を含み、研磨組成物で飽和した研磨パッドと表面を接触させることにより表面に適用される。典型的な研磨材料としては、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、及び酸化スズが挙げられる。研磨組成物は、典型的には、研磨パッド(例えば、研磨布又はディスク)と共に使用される。研磨組成物中に懸濁されることの代わりに、又はそれに加えて、研磨材料は研磨パッドに組み込まれてよい。
【0002】
半導体装置の要素を分離するための方法としてシャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスに大きな注目が向けられており、そこでは窒化ケイ素層がシリコン基材上に形成され、シャロートレンチはエッチング又はフォトリソグラフィを介して形成され、誘電体層(例えば酸化物)がトレンチを充填するように堆積する。このように形成されたトレンチ又は線の深さの多様さのために、典型的には基材の上に過剰の誘電体材料を堆積させて、全てのトレンチの完全な充填を確実にすることが必要である。過剰な誘電体材料は、次いで典型的には窒化ケイ素層を露出させるように化学機械平坦化プロセスにより除去される。窒化ケイ素層が露出した際、化学機械研磨組成物にさらされた基材の最大面積は窒化ケイ素を含み、それは、次いで高度に平坦で均一な表面を達成するように研磨される必要がある。
【0003】
一般的に、これまでの実践は、窒化ケイ素研磨に優先する酸化物研磨に対する選択性が重視されていた。したがって、窒化ケイ素層の露出で全体の研磨速度が減少するため、窒化ケイ素層は、化学機械平坦化プロセス中にストップ層として機能している。
【0004】
近年、ポリシリコン研磨に優先する酸化物研磨に対する選択性も重視されている。例えば、一連のBRIJTM及びポリエチレンオキシド界面活性剤、並びにPLURONICTML‐64、15のHLBを有するエチレンオキシド‐プロピレンオキシド‐エチレンオキシドトリブロックコポリマーの添加は、ポリシリコンに対する酸化物の研磨選択性を増加させることが主張されている(Leeら、「Effects of Nonionic Surfactants on Oxide‐to‐Polysilicon Selectivity during Chemical Mechanical Polishing」、J.Electrochem.Soc.、149(8):G477‐G481(2002)を参照)。また、米国特許第6626968号は、ポリシリコンに対する酸化ケイ素の研磨選択性が、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ポリプロパン酸、ポリアクリル酸、及びポリエーテルグリコールビス(エーテル)から選択される親水性と疎水性の官能基を有するポリマー添加剤の使用によって改善できることを開示する。
【0005】
STI基材は、典型的には、従来の研磨媒体及び研磨剤含有研磨組成物を用いて研磨される。しかし、従来の研磨媒体及び研磨剤含有研磨組成物でのSTI基材を研磨は、基材表面の過剰研磨、又はSTIフィーチャにおける凹部の形成、及び基材表面上のマイクロスクラッチ等の他のトポグラフィー欠陥をもたらすことが観察されている。過剰研磨及びSTIフィーチャにおける凹部の形成のこの現象は、ディッシングと呼ばれている。基材フィーチャのディッシングは、トランジスタ及びトランジスタ部品の相互の分離の破壊を引き起こし、それによって短絡を引き起こすことによってデバイスの製造に悪影響を与える場合があるため、ディッシングは望ましくない。加えて、基材の過剰研磨はまた、酸化物の損失及び下にある酸化物の露出をもたらして、研磨又は化学的活性により損傷する場合があり、それは、装置の品質及び性能に悪影響を与える。
【0006】
したがって、当分野において、酸化ケイ素、窒化ケイ素及びポリシリコンの望ましい選択性を与えることができ、かつ、適した除去速度、低欠陥性、及び適したディッシング性能を有する研磨組成物及び方法に対する必要が依然として存在している。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、(a)約0.05質量%〜約10質量%のセリア研磨剤、(b)約10ppm〜約1000ppmの式I:
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、X1及びX2はO、C、及びSから独立に選択され、Y1及びY2はOH、C1〜C10アルキル、及び式Cxyzの基から独立に選択され、R1、R2、R3、及びR4は水素、F、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、及びヘテロ芳香族から独立に選択され、xは1〜約20の整数であり、zは、1〜約41の整数であり、mは約3〜約500の整数であり、かつ、Y1又はY2の少なくとも一方がCxyzであるか、またはR1〜R4の少なくとも1つがFである。)
のポリマー、及び(c)水を含み、本質的にこれからなり、またはこれからなり、約1〜約4.5のpHを有する化学機械研磨組成物を提供する。
【0010】
本発明は、(i)基材を、研磨パッド並びに(a)約0.05質量%〜約10質量%のセリア研磨剤、(b)約10ppm〜約1000ppmの式I:
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、X1及びX2はO、C、及びSから独立に選択され、Y1及びY2はOH、C1〜C10アルキル、及び式Cxyzの基から独立に選択され、R1、R2、R3、及びR4は水素、F、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、及びヘテロ芳香族から独立に選択され、xは1〜約20の整数であり、zは、1〜約41の整数であり、mは約3〜約500の整数であり、かつ、Y1又はY2の少なくとも一方がCxyzであるか、またはR1〜R4の少なくとも1つがFである。)
のポリマー、及び(c)水を含み、本質的にこれからなり、またはこれからなり、約1〜約4.5のpHを有する化学機械研磨組成物と接触させることと、(ii)研磨パッド及び化学機械研磨組成物を基材に対して動かすことと、(iii)基材の少なくとも一部を摩耗させて基材を研磨することとを含む、基材を化学機械研磨する方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、(a)約0.05質量%〜約10質量%のセリア研磨剤、(b)約10ppm〜約1000ppmの式I:
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、X1及びX2はO、C、及びSから独立に選択され、Y1及びY2はOH、C1〜C10アルキル、及び式Cxyzの基から独立に選択され、R1、R2、R3、及びR4は水素、F、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、及びヘテロ芳香族から独立に選択され、xは1〜約20の整数であり、zは、1〜約41の整数であり、mは約3〜約500の整数であり、かつ、Y1又はY2の少なくとも一方がCxyzであるか、またはR1〜R4の少なくとも1つがFである。)
のポリマー、及び(c)水を含み、本質的にこれからなり、またはこれからなり、約1〜約4.5のpHを有する化学機械研磨組成物を提供する。
【0016】
化学機械研磨組成物は、セリア研磨剤を含む。当業者に知られているように、セリアは希土類金属セリウムの酸化物であり、またセリウム(ceric)酸化物、酸化セリウム(例えば酸化セリウム(IV))、又は二酸化セリウムとしても知られている。酸化セリウム(IV)(CeO2)は、シュウ酸セリウム又は水酸化セリウムを焼成することにより形成することができる。セリウムはまた、例えばCe23等の酸化セリウム(III)も形成する。セリア研磨剤は、これらの、又はセリアの他の酸化物のいずれか1種若しくはそれより多くであることができる。
【0017】
セリア研磨剤は、任意の適した種類のものであることができる。本明細書で使用される「湿式」セリアは、沈殿、縮合重合、又は同様のプロセスにより調製されたセリアを指す(例えば、ヒュームド又は熱分解法セリアに対するものとして)。湿式セリア研磨剤を含む本発明の研磨組成物は、典型的には、本発明の方法にしたがって基材を研磨するのに使用される際、より低い欠陥を示すことが見出された。特定の理論に拘束されることは望まないが、湿式セリアは球状セリア粒子及び/又はより小さな凝集セリア粒子を含み、それによって、本発明の方法で使用される際により低い基材欠陥をもたらすと考えられる。例示的な湿式セリアは、Rhodiaから市販で入手可能なHC‐60TMセリアである。
【0018】
セリア粒子は、任意の適した平均サイズ(すなわち、平均粒子直径)を有することができる。平均セリア粒子サイズが小さすぎると、研磨組成物が十分な除去速度を示さない場合がある。対照的に、平均セリア粒子サイズが大きすぎると、研磨組成物は、例えばよくない基材欠陥等の望ましくない研磨性能を示す場合がある。したがって、セリア粒子は約10nm以上、例えば約15nm以上、約20nm以上、約25nm以上、約30nm以上、約35nm以上、約40nm以上、約45nm以上、又は約50nm以上の平均粒子サイズを有することができる。代わりに、又は加えて、セリアは約1000nm以下、例えば約750nm以下、約500nm以下、約250nm以下、約150nm以下、約100nm以下、約75nm以下、又は約50nm以下の平均粒子サイズを有することができる。したがって、セリアは、上記の端点の任意の2つにより区切られた平均粒子サイズを有することができる。例えば、セリアは約10nm〜約1000nm、約10nm〜約750nm、約15nm〜約500nm、約20nm〜約250nm、約20nm〜約150nm、約25nm〜約150nm、約25nm〜約100nm、又は約50nm〜約150nm、又は約50nm〜約100nmの平均粒子サイズを有することができる。非球状セリア粒子に関して、粒子のサイズは粒子を包含する最も小さい球の直径である。セリアの粒子サイズは、任意の適した技術を用いて、例えばレーザー回折法を用いて測定することができる。適した粒子サイズ測定装置は、例えば、Malvern Instruments(Malvern、英国)から入手可能である。
【0019】
セリア粒子は、好ましくは本発明の研磨組成物中でコロイド状に安定である。コロイドという用語は、液体キャリア(例えば水)中のセリア粒子の懸濁液を指す。コロイド安定性は、時間を通じた懸濁液の維持を指す。本発明に関して、研磨剤が100mLのメスシリンダ中に入れられ、そして無撹拌で2時間静置されたときに、メスシリンダの底部50mL中の粒子濃度(g/mLでの[B])及びメスシリンダの上部50mL中の粒子濃度(g/mLでの[T])の間の差異を、研磨組成物中の粒子の初期の濃度(g/mLでの[C])で除して、0.5以下である場合(すなわち、{[B]−[T]}/[C]≦0.5)には、研磨剤は、コロイド状に安定であると考えられる。より好ましくは、この[B]−[T]/[C]の値は0.3以下であり、最も好ましくは0.1以下である。
【0020】
研磨組成物は、任意の適した量のセリア研磨剤を含むことができる。本発明の研磨組成物が含むセリア研磨剤が少な過ぎる場合には、組成物は十分な除去速度を示さない場合がある。対照的に、研磨組成物が含む研磨剤が多過ぎる場合には、したがって研磨組成物は望ましくない研磨性能を示す場合があり、及び/又は費用効率が高くない場合があり、及び/又は安定性を欠く場合がある。研磨組成物は約10質量%以下のセリア、例えば約9質量%以下、約8質量%以下、約7質量%以下、約6質量%以下、約5質量%以下、約4質量%以下、約3質量%以下、約2質量%以下、約1質量%以下、約0.9質量%以下、約0.8質量%以下、約0.7質量%以下、約0.6質量%以下のセリア、又は約0.5質量%以下のセリアを含むことができる。代わりに、又は加えて、研磨組成物は約0.05質量%以上、例えば約0.1質量%以上、約0.2質量%以上、約0.3質量%以上、約0.4質量%以上、約0.5質量%以上、又は約1質量%以上のセリアを含むことができる。したがって、研磨組成物は、上記の端点の任意の2つにより区切られた量のセリアを含むことができる。例えば、研磨組成物は約0.05質量%〜約10質量%のセリア、例えば0.1質量%〜約10質量%、約0.1質量%〜約9質量%、約0.1質量%〜約8質量%、約0.1質量%〜約7質量%、約0.1質量%〜約6質量%、約0.1質量%〜約5質量%のセリア、約0.1質量%〜約4質量%、約0.1質量%〜約3質量%のセリア、約0.1質量%〜約2質量%のセリア、約0.1質量%〜約1質量%のセリア、約0.2質量%〜約2質量%のセリア、約0.2質量%〜約1質量%のセリア、又は約0.3質量%〜約0.5質量%のセリアを含むことができる。1つの実施態様において、研磨組成物は、使用の時点で約0.2質量%〜約0.6質量%のセリア(例えば、0.4質量%のセリア)を含む。別の実施態様において、研磨組成物は、濃縮物として約2.4質量%のセリアを含む。
【0021】
化学機械研磨組成物は、本開示に記載される式Iのポリマーを含む。
【0022】
ある実施態様において、ポリマーは、Y1又はY2の少なくとも1つがCxyzである式Iのものである。ある実施態様において、ポリマーは、Y1及びY2の両方がCxyzである式Iのものである。ある実施態様において、xは1〜9の整数である。ある実施態様において、xは1〜8の整数であり、yは1〜40の整数である。当業者により理解されるように、式Cxyzの基において、x、y及びzの任意の2つを特定することにより、第3の変数の計算を可能にするように、y+z=2x+1である。ある好ましい実施態様において、ポリマーは、X1及びX2の各々がOである式Iのものである。ある実施態様において、R1、R2、R3、及びR4の各々は、独立に水素又はFである。これらの実施態様のある種において、R1、R2、R3、及びR4の少なくとも1つはFであり、Y1及びY2は、Y1及びY2に関して本開示に記載された基のいずれかであることができる。式Iの適したポリマーの非限定的な例としては、DuPontにより供給されたポリマーのCAPSTONETMシリーズのメンバー、例えばCAPSTONETMFS‐30、CAPSTONETMFS‐31、CAPSTONETMFS‐34、CAPSTONETMFS‐35、CAPSTONETMFS‐65、CAPSTONETMFS‐81、及びCAPSTONETMST‐100HSが挙げられる。
【0023】
式Iのポリマーは、任意の適した分子量を有することができる。式Iのポリマーは約500g/モル以上、例えば約600g/モル以上、約750g/モル以上、約1,000g/モル以上、約1,500g/モル以上、約2,000g/モル以上、約2,500g/モル以上、約3,000g/モル以上、3,500g/モル以上、約4,000g/モル以上、約4,500g/モル以上、約5,000g/モル以上、約5,500g/モル以上、約6,000g/モル以上、約6,500g/モル以上、約7000g/モル以上、又は約7,500g/モル以上の平均分子量を有することができる。代わりに、又は加えて、式Iのポリマーは約10,000g/モル以下、例えば約9,000g/モル以下、約8,000g/モル以下、約7,500g/モル以下、約7,000g/モル以下、約6,500g/モル以下、約6,000g/モル以下、約5,500g/モル以下、約5,000g/モル以下、約4,500g/モル以下、約4,000g/モル以下、約3,500g/モル以下、約3,000g/モル以下、約2,500g/モル以下、又は約2,000g/モル以下の平均分子量を有することができる。したがって、式Iのポリマーは、上記の端点の任意の2つにより区切られた平均分子量を有することができる。例えば、式Iのポリマーは、約500g/モル〜約10,000g/モル、約500g/モル〜約9,000g/モル、約500g/モル〜約8,000g/モル、約500g/モル〜約7,000g/モル、約500g/モル〜約6,000g/モル、約500g/モル〜約5,000g/モル、約1000g/モル〜約10,000g/モル、約1000g/モル〜約9,000g/モル、約1000g/モル〜約8,000g/モル、約1000g/モル〜約7,000g/モル、約1000g/モル〜約6,000g/モル、又は約1000g/モル〜約5,000g/モルの平均分子量を有することができる。
【0024】
研磨組成物は、使用の時点で任意の適した量の式Iのポリマーを含む。研磨組成物は約10ppm以上、例えば約15ppmの以上、約20ppm以上、約25ppm以上、約30ppm以上、約35ppm以上、又は約40ppm以上の式Iのポリマーを含むことができる。代わりに、又は加えて、研磨組成物は約1000ppm以下、例えば約800ppm以下、約600ppm以下、約400ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約80ppm以下、約60ppm以下、又は約40ppm以下の式Iのポリマーを含むことができる。したがって、研磨組成物は上記の端点の任意の2つにより区切られた量の式Iのポリマーを含むことができる。例えば、研磨組成物は約10ppm〜約1000ppm、約15ppm〜約800ppm、約15ppm〜約600ppm、約15ppm〜約400ppm、約15ppm〜約200ppm、約15ppm〜約100ppm、約15ppm〜約80ppm、約15ppm〜約60ppm、又は約15ppm〜約40ppmの式Iのポリマーを含むことができる。
【0025】
化学機械研磨組成物は、(a)式II:
【0026】
【化4】
【0027】
(式中、X1及びX2は水素、‐OH、及び‐COOHから独立に選択され、X1及びX2の少なくとも一方は‐COOHであり、Z1及びZ2は独立にO又はSであり、R1、R2、R3、及びR4は水素、C1〜C6アルキル、及びC7〜C10アリールから独立に選択され、nは約3〜約500の整数である。)
のイオン性ポリマー、及び(b)ポリアクリレートから選択されるイオン性ポリマーを任意選択的に含む。
【0028】
ある実施態様において、イオン性ポリマーは、X1及びX2が両方とも‐COOHである式IIのものである。ある実施態様において、イオン性ポリマーは、Z1及びZ2が両方ともOであり、R1、R2、R3、及びR4が水素である式IIのものである。ある好ましい実施態様において、イオン性ポリマーは、X1及びX2が両方とも‐COOHであり、Z1及びZ2が両方ともOであり、R1、R2、R3、及びR4が水素である式IIのものである。式IIの適したイオン性ポリマーの非限定的な例は、Sigma Aldrichから入手可能な600g/モル(PDA600)の平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)ジカルボン酸である。
【0029】
ある実施態様において、イオン性ポリマーはポリアクリレートである。ポリアクリレートは、非修飾ポリアクリレートであることができる。ある実施態様において、ポリアクリレートは疎水性変性ポリアクリレートである。適したポリアクリレートの非限定的な例は、Kao Corporationから入手可能なMighty21ESである。
【0030】
イオン性ポリマーは、任意の適した分子量を有することができる。イオン性ポリマーは、約250g/モル以上、例えば約300g/モル以上、約400g/モル以上、約500g/モル以上、約600g/モル以上、約750g/モル以上、約1,000g/モル以上、約1,500g/モル以上、約2,000g/モル以上、約2,500g/モル以上、約3,000g/モル以上、約3,500g/モル以上、約4,000g/モル以上、約4,500g/モル以上、約5,000g/モル以上、約5,500g/モル以上、約6,000g/モル以上、約6,500g/モル以上、約7,000g/モル以上、又は約7,500g/モル以上の平均分子量を有することができる。代わりに、又は加えて、イオン性ポリマーは約15,000g/モル以下、例えば約14,000g/モル以下、約13,000g/モル以下、約12,000g/モル以下、約11,000g/モル以下、約10,000g/モル以下、約9,000g/モル以下、約8,000g/モル以下、約7,500g/モル以下、約7,000g/モル以下、約6,500g/モル以下、約6,000g/モル以下、約5,500g/モル以下、約5,000g/モル以下、約4,500g/モル以下、約4,000g/モル以下、約3,500g/モル以下、約3,000g/モル以下、約2,500g/モル以下、又は約2,000g/モル以下の平均分子量を有することができる。したがって、イオン性ポリマーは、上記の端点の任意の2つにより区切られた平均分子量を有することができる。例えば、イオン性ポリマーは約250g/モル〜約15,000g/モル、約250g/モル〜約14,000g/モル、約250g/モル〜約13,000g/モル、約250g/モル〜約12,000g/モル、約250g/モル〜約11,000g/モル、約250g/モル〜約10,000g/モル、約400g/モル〜約10,000g/モル、約400g/モル〜約8,000g/モル、約400g/モル〜約6,000g/モル、約400g/モル〜約4,000g/モル、約400g/モル〜約2,000g/モルなどの平均分子量を有することができる。
【0031】
研磨組成物は、使用の時点で任意の適した量のイオン性ポリマーを含む。研磨組成物は、約0.001質量%以上、例えば約0.005質量%以上、約0.01質量%以上、約0.025質量%以上、約0.05質量%以上、約0.075質量%以上、又は約0.1質量%以上のイオン性ポリマーを含むことができる。代わりに、又は加えて、研磨組成物は約1質量%以下、例えば約0.9質量%以下、約0.8質量%以下、約0.7質量%以下、約0.6質量%以下、約0.5質量%以下、約0.4質量%以下、又は約0.3質量%以下のイオン性ポリマーを含むことができる。したがって、研磨組成物は、上記の端点の任意の2つにより区切られた量のイオン性ポリマーを含むことができる。例えば、研磨組成物は約0.001質量%〜約1質量%、約0.01質量%〜約0.9質量%、約0.025質量%〜約0.8質量%、約0.05質量%〜約0.7質量%、又は約0.1質量%〜約0.5質量%などのイオン性ポリマーを含むことができる。
【0032】
化学機械研磨組成物は、任意選択的に1種又はそれより多くのポリビニルアルコールを含む。ポリビニルアルコールは、任意の適したポリビニルアルコールであることができ、また直鎖又は分岐ポリビニルアルコールであることができる。適した分岐ポリビニルアルコールの非限定的な例は、日本合成(日本)から入手可能なNichigo G‐ポリマー、たとえばOKS‐1009及びOKS‐1083製品である。
【0033】
ポリビニルアルコールは、任意の適した加水分解度を有することができる。加水分解度は、遊離のヒドロキシル基及びアセチル化ヒドロキシル基の合計に対する、ポリビニルアルコール上に存在する遊離のヒドロキシル基の量を指す。好ましくは、ポリビニルアルコールは約90%以上、例えば約92%以上、約94%以上、約96%以上、約98%以上、又は約99%以上の加水分解度を有する。
【0034】
ポリビニルアルコールは、任意の適した分子量を有することができる。ポリビニルアルコールは約250g/モル以上、例えば約300g/モル以上、約400g/モル以上、約500g/モル以上、約600g/モル以上、約750g/モル以上、約1,000g/モル以上、約2,000g/モル以上、約3,000g/モル以上、約4,000g/モル以上、約5,000g/モル以上、約7,500g/モル以上、約10,000g/モル以上、約15,000g/モル以上、約20,000g/モル以上、約25,000g/モル以上、約30,000g/モル以上、約50,000g/モル以上、又は約75,000g/モル以上の平均分子量を有することができる。代わりに、又は加えて、ポリビニルアルコールは約250,000g/モル以下、例えば約200,000g/モル以下、約180,000g/モル以下、約150,000g/モル以下、約100,000g/モル以下、約90,000g/モル以下、約85,000g/モル以下、約80,000g/モル以下、約75,000g/モル以下、約50,000g/モル以下、約45,000g/モル以下、約40,000g/モル以下、約35,000g/モル以下、約30,000g/モル以下、約25,000g/モル以下、約20,000g/モル以下、約15,000g/モル以下、約12,500g/モル以下、又は約10,000g/モル以下の平均分子量を有することができる。したがって、ポリビニルアルコールは、上記の端点の任意の2つにより区切られた平均分子量を有することができる。例えば、ポリビニルアルコールは約250g/モル〜約250,000g/モル、250g/モル〜約200,000g/モル、250g/モル〜約180,000g/モル、250g/モル〜約150,000g/モル、250g/モル〜約100,000g/モル、約250g/モル〜約75,000g/モル、約250g/モル〜約50,000g/モル、約250g/モル〜約25,000g/モル、約250g/モル〜約10,000g/モル、約10,000g/モル〜約100,000g/モル、約10,000g/モル〜約75,000g/モル、約10,000g/モル〜約50,000g/モル、約10,000g/モル〜約40,000g/モル、約50,000g/モル〜約100,000g/モル、約75,000g/モル〜約100,000g/モル、約25,000g/モル〜約200,000g/モル、又は約50,000g/モル〜約180,000g/モルなどの平均分子量を有することができる。
【0035】
研磨組成物は、使用の時点で任意の適した量のポリビニルアルコールを含む。研磨組成物は約0.001質量%以上、例えば約0.005質量%以上、約0.01質量%以上、約0.025質量%以上、約0.05質量%以上、約0.075質量%以上、又は約0.1質量%以上のポリビニルアルコールを含むことができる。代わりに、又は加えて、研磨組成物は約1質量%以下、例えば約0.9質量%以下、約0.8質量%以下、約0.7質量%以下、約0.6質量%以下、約0.5質量%以下、約0.4質量%以下、又は約0.3質量%以下のポリビニルアルコールを含むことができる。したがって、研磨組成物は、上記の端点の任意の2つにより区切られた量のイオン性ポリマーを含むことができる。例えば、研磨組成物は、約0.001質量%〜約1質量%、約0.01質量%〜約0.9質量%、約0.025質量%〜約0.8質量%、約0.05質量%〜約0.7質量%、又は約0.1質量%〜約0.5質量%などのポリビニルアルコールを含むことができる。
【0036】
化学機械研磨組成物は、任意選択的に、ポリビニルアルコールとは異なる1種又はそれより多くのノニオン性ポリマーを含む。本発明の1つの実施態様によれば、研磨組成物は、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルアミン、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー、疎水性変性ポリアクリレートコポリマー、親水性ノニオン性ポリマー、多糖類、及びこれらの混合物からなる群から選択された1種又はそれより多くのノニオン性ポリマーを含む。ノニオン性ポリマーは、好ましくは水溶性であり、研磨組成物の他の成分と相溶性である。幾つかの実施態様において、ノニオン性ポリマーは界面活性剤及び/又は湿潤剤として機能する。
【0037】
化学機械研磨組成物は、研磨組成物のpHを調整することができる(すなわち、調整する)1種又はそれより多くの化合物(すなわち、pH調整化合物)を含むことができる。研磨組成物のpHは、研磨組成物のpHを調整することができる任意の適した化合物を用いて調整することができる。望ましいpH調整化合物は水溶性であり、研磨組成物の他の成分と相溶性である。典型的には、化学機械研磨組成物は、使用の時点で約1〜約7のpHを有する。好ましくは、化学機械研磨組成物は、使用の時点で約1〜約4.5のpHを有する。
【0038】
本発明の研磨組成物は、緩衝能力を提供するように構成することができる。典型的には、研磨組成物のバッファリングは、塩基性化合物、又はpKa値若しくは式IIのイオン性ポリマーのpKa値の範囲内の値に研磨組成物のpH値を調整する化合物の添加により達成することができる。任意の適した塩基性化合物を用いてpH値を調整し、緩衝能力を与えてよい。適した塩基性化合物の非限定的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、及びトリエタノールアミン等の有機アミン類が挙げられる。式IIのイオン性ポリマーは、本質的に酸性である。したがって、研磨組成物が式IIのイオン性ポリマーを含む場合、塩基性化合物の存在は研磨組成物に緩衝能力を与える。
【0039】
他の実施態様において、研磨組成物は、pHを調整することができる別の化合物(それは、研磨組成物の酸性のpHを別個に緩衝することができる)を含むことが望ましい。したがって、これらの実施態様において、研磨組成物のpHは7.0未満(例えば、6.5±0.5、6.0±0.5、5.5±0.5、5.0±0.5、4.5±0.5、4.0±0.5、3.5±0.5、3.0±0.5、2.5±0.5、2.0±0.5、1.5±0.5、又は1.0±0.5)であることが望ましい。典型的には、これらの実施態様における研磨組成物のpHは、使用の時点で約1〜約4.5である。したがって、研磨組成物のpHを調整することができる化合物は、典型的には、25℃で測定した場合に約3〜約7のpKaを有する少なくとも1種のイオン化可能基を有する。
【0040】
pHを調整し、緩衝することができる化合物は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、カルボン酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、ホウ酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0041】
化学機械研磨組成物は、任意選択的に、1種又はそれより多くの添加剤を更に含む。例示的な添加剤としては、コンディショナー、酸(例えばスルホン酸)、錯化剤(例えばアニオン性ポリマー錯化剤)、キレート化剤、殺生物剤、スケール抑制剤、分散剤などが挙げられる。
【0042】
殺生物剤は、存在する場合には、任意の適した殺生物剤であることができ、任意の適した量で研磨組成物に存在することができる。適した殺生物剤は、イソチアゾリノン殺生物剤である。研磨組成物に用いられる殺生物剤の量は、典型的には約1〜約50ppm、好ましくは約10〜約20ppmである。
【0043】
酸、塩基又は塩(例えば、イオン性ポリマー、塩基、水酸化アンモニウムなど)である研磨組成物のいずれかの成分は、研磨組成物の水中に溶解された場合には、カチオン及びアニオンとして、解離された形態で存在することができることが理解されるであろう。本開示に記載された研磨組成物中に存在する係る化合物の量は、研磨組成物の調製に用いられる解離されていない化合物の質量を指すことが理解されるであろう。
【0044】
研磨組成物は、任意の適した技術により製造することができ、その多くが当業者に知られている。研磨組成物は、バッチ又は連続プロセスで調製することができる。通常は、研磨組成物は、研磨組成物の成分を混合することにより調製される。本開示で用いられる用語「成分」は、個々の材料(例えば、セリア研磨剤、式Iのポリマー、任意選択的なイオン性ポリマー、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマー、任意選択的なpH調整剤、及び/又は任意の任意選択的な添加剤)、及び材料(例えば、セリア研磨剤、式Iのポリマー、任意選択的なイオン性ポリマー、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマーなど)の任意の組み合わせを含む。
【0045】
例えば、研磨組成物は、(i)液体キャリアの全部又は一部を与えること、(ii)セリア研磨剤、式Iのポリマー、任意選択的なイオン性ポリマー、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマー、任意選択的なpH調整剤及び/又は任意の任意選択的な添加剤を、そのような分散液を調製するための任意の適した手段を用いて分散させること、(iii)その分散液のpHを必要に応じて調整すること、並びに(iv)任意選択的に、適した量の任意の他の任意選択的な成分及び/又は添加剤を混合物に加えること、により調製することができる。
【0046】
代わりに、研磨組成物は、(i)酸化セリウムスラリー中の1種又はそれより多くの成分(例えば液体キャリア、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマー、任意選択的なpH調整剤、及び/又は任意の任意選択的な添加剤)を与えること、(ii)添加剤溶液中の1種又はそれより多くの成分(例えば液体キャリア、式Iのポリマー、任意選択的なイオン性ポリマー、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマー、任意選択的なpH調整剤、及び/又は任意の任意選択的な添加剤)を与えること、(iii)酸化セリウムスラリーと添加剤溶液とを混合して混合物を形成すること、(iv)任意選択的に、適した量の任意の他の任意選択的な添加剤を混合物に加えること、並びに(v)混合物のpHを必要に応じて調整すること、により調製することができる。
【0047】
研磨組成物は、セリア研磨剤、式Iのポリマー、任意選択的なイオン性ポリマー、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマー、任意選択的なpH調整剤、及び/又は任意の任意選択的な添加剤、及び水を含む1パッケージの系として供給することができる。代わりに、本発明の研磨組成物は、第一のパッケージ中の酸化セリウムスラリー及び第二のパッケージ中の添加剤溶液を含む2パッケージの系として供給され、そこでは、酸化セリウムスラリーは、セリア研磨剤、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマー、任意選択的なpH調整剤、及び/又は任意の任意選択的な添加剤及び水から本質的になり、またはこれからなり、添加剤溶液は、式Iのポリマー、任意選択的なイオン性ポリマー、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマー、任意選択的なpH調整剤、及び/又は任意の任意選択的な添加剤から本質的になり、またはこれからなる。2パッケージの系は、2つのパッケージ、すなわち酸化セリウムスラリー及び添加剤溶液の混合比率を変えることによって、基材の広範囲な平坦化特性及び研磨速度の調整を可能にする。
【0048】
種々の方法により、そのような2パッケージの研磨系を用いることができる。例えば、酸化セリウムスラリー及び添加剤溶液は、供給配管の出口で合流し、接続されている異なるパイプによって研磨台に輸送されることができる。酸化セリウムスラリー及び添加剤溶液は、研磨の少し前又は直前に混合することができ、または研磨台上に同時に供給することができる。さらに、2つのパッケージを混合する際に、所望により、脱イオン水を加えて研磨組成物及び得られる基材研磨特性を調整することができる。
【0049】
同様に、3、4、又はそれより多くのパッケージの系を本発明に関して用いることができ、ここで複数の容器の各々は、本発明の化学機械研磨組成物の異なる成分、1種又はそれより多くの任意選択的な成分、及び/又は異なる濃度の1種又はそれより多くの同じ成分を含む。
【0050】
2つ又はそれより多くの貯蔵装置中に入れられた成分を混合して、使用の地点又は使用の地点の近傍で研磨組成物を製造するために、貯蔵装置は、典型的には、各貯蔵装置から研摩組成物の使用の地点(例えば、プラテン、研磨パッド、又は基材表面)に導く、1つ又はそれより多くのフローラインを備えている。本開示で用いられる用語「使用の地点」は、研磨組成物が、基材表面に適用される地点(例えば、研磨パッド又は基材表面自体)を指す。用語「フローライン」は、個々の貯蔵容器からそこに貯蔵された成分の使用の地点までの流れの経路を意味する。フローラインは、各々が使用の地点に直接に導くことができ、または2つ又はそれより多くのフローラインが、任意の地点で使用の地点へと導く単一のフローラインにまとめられることができる。さらに、フローライン(例えば、個々のフローライン又はまとめられたフローライン)のいずれかは、1種又は複数種の成分の使用の地点に到達する前に、先ず1つ又はそれより多くの他の装置(例えば、パイプ装置、測定装置、混合装置など)に導くことができる。
【0051】
研磨組成物の成分は、独立に使用の地点に輸送されることができ(例えば、これらの成分は基材表面に輸送され、そこでこれらの成分が研磨プロセスの間に混合される)、または1種又はそれより多くの成分を、使用の地点への輸送の前に、例えば使用の地点への輸送の少し前、又は直前に混合することができる。成分が、プラテン上に混合された形態で加えられる約5分間以内前に、例えばプラテン上に混合された形態で加えられる約4分間以内、約3分間以内、約2分間以内、約1分間以内、約45秒間以内、約30秒間以内、約10秒間以内前に、又は使用の地点で成分の輸送と同時に(例えば、成分は分配器において混合される)混合される場合には、成分は、「使用の地点への輸送の直前に」混合される。また、成分が、使用の地点の5m以内、たとえば使用の地点の1m以内、又は使用の地点の10cm以内(例えば、使用の地点の1cm以内)で混合される場合には、成分は、「使用の地点への輸送の直前に」混合される。
【0052】
研磨組成物の2種又はそれより多くの成分が使用の地点に到達する前に混合される場合には、成分はフローライン中で混合されることができ、混合装置の使用なしに使用の地点に輸送されることができる。代わりに、1つ又はそれより多くのフローラインを混合装置中に導いて、2種又はそれより多くの成分の混合を促進することができる。任意の適した混合装置を用いることができる。例えば、混合装置はノズル又はジェット(例えば、高圧ノズル又はジェット)であることができ、それを通して、2種又はそれより多くの成分が流れる。代わりに、混合装置は1つ又はそれより多くの入口(それらの入口によって、研磨スラリーの2種又はそれより多くの成分が、混合器に導入される)、及び少なくとも1つの出口(それを通して、混合された成分がその混合器を出て、使用の地点に直接的に、又は装置の他の要素を介して(例えば、1つ又はそれより多くのフローラインを介して)輸送される)を含む容器型の混合装置であることができる。さらに、混合装置は2つ以上のチャンバーを含むことができ、各チャンバーは少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有し、2種又はそれより多くの成分が各チャンバー中で混合される。容器型の混合装置が用いられる場合には、混合装置は、好ましくは成分の混合を更に促進する混合機構を含む。混合機構は、当分野で一般的に知られており、攪拌機(stirrer)、混合機、攪拌機(agitator)、パドル付きバッフル、ガススパージャー装置、振とう機などが挙げられる。
【0053】
また、研磨組成物は、使用の前に、適切な量の水で希釈されることが意図されている濃縮物として提供することができる。係る実施態様において、研磨組成物濃縮物は、適切な量の水で濃縮物を希釈すると、研磨組成物の各成分が、各成分について上記した適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在するような量で、研磨組成物の成分を含む。例えば、セリア研磨剤、式Iのポリマー、任意選択的なイオン性ポリマー、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマー、任意選択的なpH調整剤、及び/又は任意の任意選択的な添加剤は、各成分について上記した濃度よりも約2倍(例えば、約3倍、約4倍又は約5倍)を超える量で濃縮物中にそれぞれ存在することができ、それによって、その濃縮物が、等体積の水(例えば、それぞれ2等体積の水、3等体積の水、又は4等体積の水)で希釈された場合に、各成分は、研磨組成物中に各成分について上記で記載した範囲内の量で存在するようになる。さらに、当業者により理解されるように、セリア研磨剤、式Iのポリマー、任意選択的なイオン性ポリマー、任意選択的なポリビニルアルコール、任意選択的なノニオン性ポリマー、任意選択的なpH調整剤、及び/又は任意の任意選択的な添加剤が、濃縮物中に少なくとも部分的に、又は完全に溶解されていることを確実にするために、濃縮物は、最終的な研磨組成物中に存在する水の適切なフラクションを含むことができる。
【0054】
また、本発明は、(i)基材を、研磨パッド及び本開示に記載した化学機械研磨組成物と接触させることと、(ii)基材に対して研磨パッドを、化学機械研磨組成物をそれらの間に置いて動かすことと、(iii)基材の少なくとも一部を摩耗させて基材を研磨することとを含む、基材を化学機械研磨する方法も提供する。
【0055】
化学機械研磨組成物は、任意の適した基材を研磨するのに用いることができ、低誘電体材料で構成される少なくとも1つの層(典型的には表面層)を含む基材を研磨するために特に有用である。適した基材としては、半導体産業で用いられるウエハが挙げられる。ウエハは、例えば金属、金属酸化物、金属窒化物、金属複合体、金属アロイ、低誘電体材料、又はこれらの組み合わせを典型的に含み、又はこれからなる。本発明の方法は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び/又はポリシリコン、例えば前記の材料のいずれかの1つ、2つ、又は特に3つ全部を含む基材を研磨するために特に有用である。
【0056】
ある実施態様において、基材は、ポリシリコンを酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素との組み合わせで含む。ポリシリコンは、任意の適したポリシリコンであることができ、その多くは当分野で知られている。ポリシリコンは、任意の適した相を有することができ、アモルファス、結晶性、又はこれらの組み合わせであることができる。酸化ケイ素は、同様に任意の適した酸化ケイ素であることができ、その多くは当分野で知られている。適した酸化ケイ素の種類としては、ホウリンケイ酸塩ガラス(BPSG)、PETEOS、熱酸化物、ドーブされていないケイ酸塩ガラス、及びHDP酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本発明の化学機械研磨組成物は、望ましくは、本発明の方法により酸化ケイ素を含む基材を研磨する場合に高い除去速度を示す。例えば、本発明の実施態様態様により高密度プラズマ(HDP)酸化物及び/又はプラズマ増強テトラエチルオルトシリケート(PETEOS)及び/又はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含むシリコンウエハを研磨する場合に、研磨組成物は、望ましくは約500Å/分以上、例えば700Å/分以上、約1,000Å/分以上、約1,250Å/分以上、約1,500Å/分以上、約1,750Å/分以上、約2,000Å/分以上、約2,500Å/分以上、約3,000Å/分以上、又は約3,500Å/分以上の酸化ケイ素除去速度を示す。1つの実施態様において、酸化ケイ素の除去速度は、約4,000Å/分以上、約4,500Å/分以上、又は約5,000Å/分以上であることができる。
【0058】
本発明の化学機械研磨組成物は、望ましくは、本発明の方法により窒化ケイ素を含む基材を研磨する際に低い除去速度を示す。例えば、本発明の実施態様により窒化ケイ素を含むシリコンウエハを研磨する場合には、研磨組成物は、望ましくは約250Å/分以下、例えば約200Å/分以下、約150Å/分以下、約100Å/分以下、約75Å/分以下、約50Å/分以下、又は約25Å/分以下の窒化ケイ素の除去速度を示す。
【0059】
本発明の化学機械研磨組成物は、望ましくは、本発明の方法によりポリシリコンを含む基材を研磨する際に低い除去速度を示す。例えば、本発明の実施態様によりポリシリコンを含むシリコンウエハを研磨する際に、研磨組成物は、望ましくは約1,000Å/分以下、例えば約750Å/分以下、約500Å/分以下、約250Å/分以下、約100Å/分以下、約50Å/分以下、約25Å/分以下、約10Å/分以下、又は約5Å/分以下のポリシリコン除去速度を示す。
【0060】
本発明の研磨組成物は、望ましくは、基材を研磨した際に、適した技術によって決定される低い粒子欠陥を示す。好ましい実施態様において、本発明の化学機械研磨組成物は、低欠陥性に寄与する湿式セリアを含む。本発明の研磨組成物で研磨された基材上の粒子欠陥は、任意の適した技術により決定することができる。例えば、暗視野ノーマルビームコンポジット(DCN)及び暗視野斜光ビームコンポジット(DCO)等のレーザー光散乱技術を用いて、研磨された基材上の粒子欠陥を決定することができる。粒子欠陥を評価するための適した器具類は、例えばKLA‐Tencorから入手可能である(例えば、120nmの閾値又は160nmの閾値で操作されるSURFSCANTMSP1機器)。
【0061】
本発明の研磨組成物で研磨された基材、特に酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素及び/又はポリシリコンを含むシリコンは、望ましくは約20,000カウント以下、例えば約17,500カウント以下、約15,000カウント以下、約12,500カウント以下、約3,500カウント以下、約3,000カウント以下、約2,500カウント以下、約2,000カウント以下、約1,500カウント以下、又は約1,000カウント以下のDCN値を有する。好ましくは、本発明の実施態様により研磨された基材は、約750カウント以下、例えば約500カウント、約250カウント、約125カウント、又は約100カウント以下のDCN値を有する。代わりに、又は加えて、本発明の化学機械研磨組成物による基材研磨は、望ましくは、適した技術により決定された、低い引掻き傷を示す。例えば、本発明の実施態様により研磨されたシリコンウエハは、望ましくは、当分野で知られている任意の適した方法により決定された約250以下の引掻き傷、又は約125以下の引掻き傷を有する。
【0062】
本発明の化学機械研磨組成物は、特定の薄層材料に選択的な所望の研磨範囲で効果的な研磨を与えるように調整することができ、一方で、同時に、表面の欠点、欠陥、腐食、浸食、及び停止層の除去を最小化する。この選択性は、研磨組成物の成分の相対的な濃度を変更することによって、ある程度制御することができる。望ましい場合には、本発明の化学機械研磨組成物を用いて、約5:1以上(例えば約10:1以上、約15:1以上、約25:1以上、約50:1以上、約100:1以上、又は約150:1以上)のポリシリコンに対する二酸化ケイ素の研磨選択性で基材を研磨することができる。また、本発明の化学機械研磨組成物を用いて、約2:1以上(例えば約4:1以上、又は約6:1以上)のポリシリコンに対する窒化ケイ素の研磨選択性で基材を研磨することができる。ある配合は、さらに高いポリシリコンに対する二酸化ケイ素の選択性、たとえば約20:1以上、又は約30:1以上を示すことができる。好ましい実施態様において、本発明の化学機械研磨組成物は、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の選択的な研磨、及びポリシリコンに対する二酸化ケイ素の選択的な研磨を同時に与える。
【0063】
本発明の化学機械研磨組成物及び方法は、化学機械研磨装置と共に用いるのに特に適している。典型的には、この装置は、使用中に動作し、軌道、直線、又は円形運動から生じる速度を有するプラテンと、プラテンに接触しており、動作中にプラテンと共に動く研磨パッドと、基材を研磨パッドの表面に対して接触させ、動かすことによって研磨されるように基材を保持するキャリアとを含む。基材の研磨は、基材を研磨パッド及び本発明の研磨組成物と接触させて配置すること、及び次いで基材の少なくとも一部を摩耗させて基材を研磨するように、研磨パッドを基材に対して動かすことにより起こる。
【0064】
基材を、任意の適した研磨パッド(例えば研磨表面)を用いて化学機械研磨組成物により研磨することができる。適した研磨パッドとしては、例えば織られた、及び不織の研磨パッドが挙げられる。さらに、適した研磨パッドは、種々の密度、硬度、厚さ、圧縮性、圧縮に対する回復の能力、及び圧縮弾性率の任意の適したポリマーを含むことができる。適したポリマーとしては、例えばポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、これらの共形成された製造物、及びこれらの混合物が挙げられる。軟質ポリウレタン研磨パッドは、本発明の研磨方法と組み合わせて特に有用である。典型的なパッドとしては、SURFINTM000、SURFINTMSSW1、SPM3100(例えばEminess Technologiesから市販で入手可能)、POLITEXTM、及びFujibo POLYPASTM27が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい研磨パッドは、Cabot Microelectronicsから市販で入手可能なEPICTMD 100パッドである。別の好ましい研磨パッドは、Dow,Inc.から入手可能なIC1010パッドである。
【0065】
望ましくは、化学機械研磨装置は、インサイチューの研磨終点検知システムをさらに含み、その多くは当分野で知られている。研磨されている基材の表面から反射された光又は他の輻射線を分析することによって研磨プロセスを検知及び監視するための技術が、当分野において知られている。係る方法は、例えば米国特許第5,196,353号明細書、米国特許第5,433,651号明細書、米国特許第5,609,511号明細書、米国特許第5,643,046号明細書、米国特許第5,658,183号明細書、米国特許第5,730,642号明細書、米国特許第5,838,447号明細書、米国特許第5,872,633号明細書、米国特許第5,893,796号明細書、米国特許第5,949,927号明細書、及び米国特許第5,964,643号明細書に記載されている。望ましくは、研磨されている基材に関する研磨プロセスの進行の検査又は監視は、研磨の終点の決定、すなわち特定の基材について研磨プロセスをいつ停止するかの決定を可能とする。
【実施例】
【0066】
これらの以下の例は本発明を更に説明するが、勿論のこと、その範囲を多少なりとも限定するものと解釈すべきでない。
【0067】
例を通して、以下の略語が用いられる:除去速度(RR);テトラエチルオルトシリケート(TEOS);窒化ケイ素(SiN);ポリシリコン(polySi);分子量(MW);及びポリエチレングリコール(PEG)。
【0068】
以下の例において、基材、シリコン上にコーティングされたTEOS酸化ケイ素(テトラエトキシシランから調製された)、シリコン上にコーティングされたHDP(高密度プラズマ)酸化ケイ素、シリコン上にコーティングされたポリシリコン、シリコン上にコーティングされた窒化ケイ素、及びSilyb Inc.から得られたパターン化されたウエハは、MIRRATM(Applied Materials,Inc.)又はREFLEXIONTM(Applied Materials,Inc.)のいずれかのツールを用いて研磨された。パターン化されたウエハは、酸化ケイ素コーティングされた基材上の100μmの窒化ケイ素フィーチャを含んでいた。IC 1010TM研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials)を、全ての組成物に関して同じ研磨パラメータで用いた。標準のMirra研磨パラメータは以下の通りである:IC 1010TMパッド、下向き力=20.68kPa(3psi)、ヘッド速度=85rpm、プラテン速度=100rpm、全流速=150mL/分。除去速度は、分光学的な偏光解析法を用いて膜厚を測定し、初期の厚さから最終的な厚さを差し引くことにより計算された。
【0069】
本明細書に記載の例において、研磨組成物は、等量の湿式セリア配合物及び添加剤配合物を混合することにより調製された。以下に記載のように、幾つかの場合において、研磨組成物は、研磨組成物中の特定の量のセリアを与えるように水でさらに希釈された。湿式セリアは、RhodiaからのHC‐60TM製品であった。
【0070】
湿式セリア配合物及び添加剤配合物は、それぞれ表1及び2に記載されている。PEGは、8000の分子量を有するポリエチレングリコールを指し、Dow Corporationから得られた。式Iのポリマーは、DuPontから得られた種々のCAPSTONETMのポリマーであった。それは、各研磨組成物に関して表2で特定されている。アニオン性ポリマーPDA600(すなわち、式IIのイオン性ポリマー)は、Sigma‐Aldrichから得られた600の分子量を有するポリエチレングリコール二酸であった。アニオン性ポリマーMighty21ES(すなわち、ポリアクリレートであるイオン性ポリマー)は、花王から得られた。ポリビニルアルコール(「PVA」)は、日本合成からのOKS1009の製品であった。Kordekは、Dow Chemicalから得られた殺生物剤であった。TEAはトリエタノールアミンである。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
例1
TEOSとポリシリコンとを含むシリコンウエハは、研磨組成物1A〜1Mと同じ条件で研磨した。研磨組成物は、表3に記載された組み合わせで、等量の表1及び2に記載の研磨剤配合物及び添加剤配合物を混合することによって得られた。研磨組成物1A〜1Mの各々のpHは、4に調整された。研磨組成物1A〜1Mのそれぞれは、0.4質量%の湿式セリアを含んでいた。
【0074】
研磨後、TEOS及びポリシリコンの除去速度が決定され、ポリシリコンに対するTEOSの選択性が計算された。結果は、表3に記載されている。
【0075】
【表3】
【0076】
表3に記載された結果から明らかであるように、式Iのポリマーを含んでいた研磨組成物1C〜1H、1K、及び1M(本発明)は、約105〜502のTEOS:ポリシリコン選択性を示した。研磨組成物1Iは、約47のTEOS:ポリシリコン選択性示したが、約1881Å/分のTEOS除去速度を示した。研磨組成物1A、1B、及び1J(比較)は、約32〜97のTEOS:ポリシリコン選択性示した。研磨組成物1J(比較)は、約97のTEOS:ポリシリコン選択性を示したが、約1460Å/分のTEOS除去速度を示した。研磨組成物1Lの結果は、外れ値であると考えられた。
【0077】
例2
この例は、本発明の実施態様による本発明の研磨組成物によって示されるポリシリコン除去速度のばらつきの減少を示す。
【0078】
高密度プラズマ(「HDP」)酸化物コーティングシリコン、TEOSコーティングシリコン、窒化ケイ素コーティングシリコン、及びポリシリコンコーティングシリコンを含む別個の基材は、4種の異なる研磨組成物、すなわち研磨組成物2A〜2Dにより研磨された。0.23質量%の湿式セリアを与えるように、研磨組成物2A(本発明)は、水により1:1.7に希釈された湿式セリア配合物WPC1、及び水により1:1.5に希釈された添加剤配合物F3の等量を含んでいた。0.4質量%の湿式セリアを与えるように、研磨組成物2B(本発明)は、等量の湿式セリア配合物WPC1及び添加剤配合物F3を含んでいた。0.23質量%の湿式セリアを与えるように、研磨組成物2C(比較)は、水により1:1.7に希釈された湿式セリア配合物WPC1、及び水により1:1.5に希釈された添加剤配合物F1の等量を含んでいた。0.4質量%の湿式セリアを与えるように、研磨組成物2D(比較)は、等量の湿式セリア配合物WPC1及び添加剤配合物F1を含んでいた。研磨組成物2A〜2Dの各々は、4のpHに調整された。
【0079】
研磨後、HDP、TEOS、窒化ケイ素、及びポリシリコンの除去速度が決定された。研磨組成物2C及び2Dの各々は2回評価された。結果は、表4に記載されている。
【0080】
【表4】
【0081】
表4に記載された結果から明らかであるように、それぞれ0.23質量%及び0.4質量%の湿式セリア、並びにそれぞれ13ppm及び20ppmのCAPSTONETMFS‐31を含んでいた研磨組成物2A及び2B(本発明)は、ほぼ同一のポリシリコン除去速度を示した。0.23質量%の湿式セリアを含み、CAPSTONETMFS‐31を含まない研磨組成物2C(比較)、及び0.4質量%の湿式セリアを含み、CAPSTONETMFS‐31を含まない研磨組成物2D(比較)は、非常にばらつきのあるポリシリコン除去速度を示した。
【0082】
例3
この例は、湿式セリアと、本発明の実施態様による式Iのポリマーとを含む研磨組成物で観察されたディッシング及び浸食、並びにポリシリコン損失及び酸化物損失に対する効果を示す。
【0083】
約3200Åの酸化物トレンチ深さを有する酸化ケイ素でコーティングされた基材上に、最初に約1300Åの酸化物でコーティングされた100μm及び900μmのポリシリコンフィーチャ(約2200Å厚さフィーチャ)を含む別個のパターン化された基材が、3種の異なる研磨組成物、研磨組成物3A〜3Cにより研磨された。研磨組成物3A(比較)は、等量の湿式セリア配合物WPC1及び添加剤配合物F9の混合物を含んでいた。研磨組成物3B(比較)は、等量の湿式セリア配合物WPC1及び添加剤配合物F1の混合物を含んでいた。研磨組成物3C(本発明)は、等量の湿式セリア配合物WPC1及び添加剤配合物F3の混合物を含んでいた。添加剤の配合物F1及びF9は、式Iのポリマーを含んでいなかった。
【0084】
基材は、終点に加えて40%過剰研磨まで研磨された。研磨後、100μmフィーチャのポリシリコン損失(デルタポリシリコンとして表される)、100μm及び900μmフィーチャのトレンチ酸化物の残留、浸食及びディッシングが決定された。結果は、表5に記載されている。終点及び過剰研磨時間までの研磨時間も表5に示されている。
【0085】
【表5】
【0086】
表5に記載された結果から明らかであるように、20ppmのCAPSTONETMFS‐31を含んでいた研磨組成物3C(本発明)は、100μm及び900μmフィーチャの両方で改善されたトレンチ酸化物保護を示した。本発明の配合物3Cに対して、比較例3A及び3Bは、それぞれ100μmフィーチャに関して本発明の配合物3Cにより示されるトレンチ保護の81%及び97%を示す。900μmフィーチャ関して、比較例3A及び3Bは、それぞれ本発明の配合物3Cにより示されるトレンチ保護の40%及び93%を示す。研磨組成物3C(本発明)は、それぞれ研磨組成物3A及び3B(比較)により示されるディッシングの約5%及び36%、並びに浸食の約40%及び72%を示した。
【0087】
例4
この例は、本発明の実施態様による式Iのポリマーを含む研磨組成物で観察されたディッシング及び浸食、並びに窒化ケイ素損失及び酸化物損失に対する効果を示す。
【0088】
約3200Åの酸化物トレンチ深さを有する酸化ケイ素でコーティングされた基材上に、最初に約1600Åの酸化物でコーティングされた100μm及び900μmの窒化ケイ素フィーチャ(約1600Å厚さフィーチャ)を含む別個のパターン化された基材が、3種の異なる研磨組成物、研磨組成物4A〜4Cにより研磨された。研磨組成物4A〜4Cの各々は、等量の湿式セリア配合物WPC1及び添加剤配合物を混合することにより調製された。研磨組成物4A(比較)は、添加剤配合物F9を用いて調製された。研磨組成物4B(比較)は、添加剤配合物F1を用いて調製された。研磨組成物4C(本発明)は、添加剤配合物F3を用いて調製された。
【0089】
基材は、終点に加えて約40%過剰研磨まで研磨された。研磨後、100μmフィーチャの窒化ケイ素損失(デルタ窒化物として表される)、100μm及び900μmフィーチャのトレンチ酸化物の残留、浸食及びディッシングが決定された。結果は、表6に記載されている。終点及び過剰研磨時間までの研磨時間も表6に示されている。
【0090】
【表6】
【0091】
表6に記載された結果から明らかであるように、20ppmのCAPSTONETMFS‐31を含んでいた研磨組成物4C(本発明)は、100μm及び900μmフィーチャの両方で改善されたトレンチ酸化物保護を示した。本発明の配合物の4Cに対して、比較例4A及び4Bは、それぞれ100μmフィーチャに関して本発明の配合物4Cにより示されるトレンチ保護の72%及び96%を示す。900μmフィーチャ関して、比較例4A及び4Bは、それぞれ本発明の配合物4Cにより示されるトレンチ保護の10%及び98%を示す。研磨組成物4C(本発明)は、それぞれ研磨組成物4A及び4B(比較)により示されるディッシングの約45%及び80%、並びに浸食の約38%及び76%を示した。
【0092】
本開示で引用された刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個々に、また特に、参照により組み入れられるように示された場合、及びその全体が本開示に記載された場合と同程度に、参照により本開示に組み入れられる。
【0093】
不定冠詞、定冠詞、及び類似の指示物の使用は、本発明の記載の文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、本開示で別段の示唆がなく、または文脈により明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」は、別段の注釈がない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、それに限定されないこと」を意味する)であると解釈されるべきである。本開示の値の範囲の列挙は、本開示で別段の示唆がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に指す簡単な方法として機能することが意図されるに過ぎず、各別個の値は、それが本開示に個々に記載されたように本明細書に組み入れられる。本開示に記載された全ての方法は、本開示で別段の示唆がなく、または文脈により明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本開示に与えられた任意の及び全ての例、又は例示的な語句(例えば「等」)の使用は、本発明をより良好に説明することを意図するにすぎず、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定しない。本明細書中のどの語句も、本発明の実行に必須として、任意の特許請求の範囲に記載されていない要素を指すと解釈されるべきはでない。
【0094】
本発明の好ましい実施態様は、本開示に記載され、本発明を実施するために本発明者らに知られたベストモードを含む。これらの好ましい実施態様の変形は、前記の記載を読んだ当業者に明らかとなるであろう。本発明者らは、当業者がこのような変形を必要に応じて用いることを予期し、本発明者らは、本発明が具体的に本開示に記載されたものと異なって実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用可能な法律により許容された添付の特許請求の範囲に記載の内容の全ての改変及び均等を含む。さらに、これらの全ての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせは、本開示で別段の示唆がなく、または文脈により明確に否定されない限り、本発明に包含される。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)(a)約0.05質量%〜約10質量%のセリア研磨剤、
(b)約10ppm〜約1000ppmの式I:
【化5】
(式中、X1及びX2はO、C、及びSから独立に選択され、
1及びY2はOH、C1〜C10アルキル、及び式:Cxyzの基から独立に選択され、
1、R2、R3、及びR4は水素、F、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、及びヘテロ芳香族から独立に選択され、
xは1〜約20の整数であり、
zは、1〜約41の整数であり、
mは約3〜約500の整数であり、かつ、
1又はY2の少なくとも一方がCxyzであるか、またはR1〜R4の少なくとも1つがFである。)
のポリマー、及び
(c)水
を含み、約1〜約4.5のpHを有する化学機械研磨組成物。
(2)Y1及びY2の各々がCxyzである、(1)に記載の研磨組成物。
(3)X1及びX2の各々がOである、(1)又は(2)に記載の研磨組成物。
(4)R1、R2、R3、及びR4が、独立に水素又はFである、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の研磨組成物。
(5)xが1〜9の整数である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の研磨組成物。
(6)xが1〜8の整数であり、yが1〜40の整数である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の研磨組成物。
(7)前記ポリマーが約500ダルトン〜約10,000ダルトンの分子量を有し、mが8又はそれより大きい整数である、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の研磨組成物。
(8)前記研磨組成物が、
(a)式II:
【化6】
(式中、X1及びX2は水素、‐OH、及び‐COOHから独立に選択され、かつ、X1及びX2の少なくとも一方は‐COOHであり、
1及びZ2は独立にO又はSであり、
1、R2、R3、及びR4は水素、C1〜C6アルキル、及びC7〜C10アリールから独立に選択され、
nは約3〜約500の整数である。)
のイオン性ポリマー、及び
(b)ポリアクリレート
から選択されるイオン性ポリマーをさらに含む、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の研磨組成物。
(9)前記研磨組成物が、ポリビニルアルコールをさらに含む、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の研磨組成物。
(10)(i)基材を、研磨パッド並びに
(a)約0.05質量%〜約10質量%のセリア研磨剤、
(b)約10ppm〜約1000ppmの式I:
【化7】
(式中、X1及びX2はO、C、及びSから独立に選択され、
1及びY2はOH、C1〜C10アルキル、及び式:Cxyzの基から独立に選択され、
1、R2、R3、及びR4は水素、F、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、及びヘテロ芳香族から独立に選択され、
xは1〜約20の整数であり、
zは、1〜約41の整数であり、
mは約3〜約500の整数であり、かつ、
1又はY2の少なくとも一方がCxyzであるか、またはR1〜R4の少なくとも1つがFである。)
のポリマー、及び
(c)
を含み、約1〜約4.5のpHを有する化学機械研磨組成物と接触させることと、
(ii)前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物を前記基材に対して動かすことと、(iii)前記基材の少なくとも一部を摩耗させて前記基材を研磨することと
を含む、基材を化学機械研磨する方法。
(11)Y1及びY2の各々がCxyzである、(10)に記載の方法。
(12)X1及びX2の各々がOである、(10)又は(11)に記載の方法。
(13)R1、R2、R3、及びR4の各々が、独立に水素又はFである、(10)〜(12)のいずれか1項に記載の方法。
(14)xが1〜9の整数である、(10)〜(13)のいずれか1項に記載の方法。
(15)xが1〜8の整数であり、yが1〜40の整数である、(10)〜(13)のいずれか1項に記載の方法。
(16)前記ポリマーが約500ダルトン〜約10,000ダルトンの分子量を有し、mが8又はそれより大きい整数である、(10)〜(15)のいずれか1項に記載の方法。
(17)前記研磨組成物が、(a)式II:
【化8】
(式中、X1及びX2は水素、‐OH、及び‐COOHから独立に選択され、かつ、X1及びX2の少なくとも一方は‐COOHであり、
1及びZ2は独立にO又はSであり、
1、R2、R3、及びR4は水素、C1〜C6アルキル、及びC7〜C10アリールから独立に選択され、
nは約3〜約500の整数である。)
のイオン性ポリマー、及び
(b)ポリアクリレート
から選択されるイオン性ポリマーをさらに含む、(10)〜(16)のいずれか1項に記載の方法。
(18)前記研磨組成物がポリビニルアルコールをさらに含む、(10)〜(17)のいずれか1項に記載の方法。
(19)前記基材が酸化ケイ素を含み、前記酸化ケイ素の少なくとも一部を摩耗させて前記基材を研磨する、(10)〜(18)のいずれか1項に記載の方法。
(20)前記基材が窒化ケイ素をさらに含み、前記窒化ケイ素の少なくとも一部を摩耗させて前記基材を研磨する、(19)に記載の方法。
(21)前記基材がポリシリコンをさらに含み、前記ポリシリコンの少なくとも一部を摩耗させて前記基材を研磨する、(19)又は(20)に記載の方法。