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特許6595552デザイナ・インテント・データを使用するウェハとレチクルの検査の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6595552
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】デザイナ・インテント・データを使用するウェハとレチクルの検査の方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20191010BHJP
   G03F 1/84 20120101ALI20191010BHJP
   G03F 1/72 20120101ALI20191010BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G03F1/84
   G03F1/72
【請求項の数】15
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2017-193238(P2017-193238)
(22)【出願日】2017年10月3日
(62)【分割の表示】特願2016-93234(P2016-93234)の分割
【原出願日】2004年7月2日
(65)【公開番号】特開2018-6775(P2018-6775A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年10月3日
(31)【優先権主張番号】60/485,338
(32)【優先日】2003年7月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10/883,372
(32)【優先日】2004年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】マレラ,ポール・フランク
(72)【発明者】
【氏名】マッコウリー,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,エリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルク,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,スターリング
(72)【発明者】
【氏名】ケカレ,サガー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘス,カール
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−297109(JP,A)
【文献】 特開平10−301257(JP,A)
【文献】 特開昭63−081576(JP,A)
【文献】 特開昭59−103336(JP,A)
【文献】 特開2002−311561(JP,A)
【文献】 特開2001−281161(JP,A)
【文献】 特開2000−122265(JP,A)
【文献】 特開2003−315973(JP,A)
【文献】 特表2003−524800(JP,A)
【文献】 特表2009−516832(JP,A)
【文献】 特表2015−512051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G03F 1/72
G03F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクルのデータ表現またはレチクルの検査によって作られたデータに基づいてウェハ上の欠陥を検出する方法であって、
設計重要性が欠陥がレチクルの設計にどのように影響するかの尺度であるとして、レチクル上で検出された欠陥のその設計重要性を、レチクル上の位置に応じて、判定することと、
リソグラフィ的重要性が欠陥がレチクルを使用するリソグラフィ・プロセスによってパターン形成されるウェハにどのように影響するかの尺度であるとして、欠陥のそのリソグラフィ的重要性を、レチクル上の位置に応じて、判定することと、
レチクル上の特定の位置の欠陥の設計重要性をウェハ上の特定の位置の欠陥のリソグラフィ的重要性と組み合わせて判定することによって、欠陥の総合重要性を判定することと
を含む、コンピュータで実施される方法。
【請求項2】
レチクル上の異なる領域の設計重要性を判定することをさらに含み、欠陥の設計重要性の判定が、欠陥が突き止められたレチクル上の領域の設計重要性に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項3】
設計重要性の判定が、欠陥を表すデータをしきい値と比較し、データがしきい値を超える場合に欠陥が設計重要性を有すると判定することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
設計重要性の判定が欠陥を表すデータをしきい値と比較することを含み、しきい値がレチクル上の欠陥の位置に応じて変化する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
レチクルの異なる領域のリソグラフィ的重要性を判定することをさらに含み、欠陥のリソグラフィ的重要性の判定が、欠陥が突き止められたレチクル上の領域のリソグラフィ的重要性に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項6】
リソグラフィ的重要性の判定が、欠陥を表すデータをしきい値と比較し、データがしきい値を超える場合に欠陥がリソグラフィ的重要性を有すると判定することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
リソグラフィ的重要性の判定が欠陥を表すデータをしきい値と比較することを含み、しきい値がレチクル上の欠陥の位置に応じて変化する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
総合重要性が、リソグラフィ的重要性と設計重要性と、リソグラフィ的重要性のみと、設計重要性のみと、重要性なしとからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
レチクル上の異なる領域の総合重要性を判定し、レチクルの異なる領域の1つの製造に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータが、異なる領域のもう1つのプロセスの1つまたは複数のパラメータと異なるように、異なる領域の総合重要性に基づいてプロセスの1つまたは複数のパラメータを決定することとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
レチクル上の異なる領域の総合重要性を判定し、レチクルの異なる領域の1つの検査に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータが、異なる領域のもう1つのプロセスの1つまたは複数のパラメータと異なるように、異なる領域の総合重要性に基づいてプロセスの1つまたは複数のパラメータを変更することとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
レチクル上の異なる領域の総合重要性を判定し、レチクルの修理に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータが、異なる領域のもう1つのプロセスの1つまたは複数のパラメータと異なるように、異なる領域の総合重要性に基づいてプロセスの1つまたはパラメータを変更することとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
欠陥の総合重要性に基づいて欠陥の修理に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータを決定することをさらに含み、レチクル上の異なる欠陥を修理するのに使用される1つまたは複数のパラメータが異なる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
欠陥の総合重要性に基づいてレチクルの処理を決定することをさらに含み、処理が、レチクルを拒絶すること、レチクルを修理すること、またはレチクルを洗浄することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
欠陥の視覚的表現を生成することをさらに含み、視覚的表現が、欠陥の総合重要性を示す欠陥に割り当てられた1つまたは複数の指定を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
レチクル上の複数の個々の領域の視覚的表現を生成することをさらに含み、視覚的表現が、個々の領域の総合重要性を示す個々の領域に割り当てられた指定を含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にはデザイナ・インテント・データ(designer intent data)を使用す
るウェハとレチクルの検査の方法およびシステムに関する。一部の実施形態は、レチクル
のデータ表現またはレチクルの検査によって作られたデータに基づいてウェハ上の欠陥を
検出するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
論理デバイスやメモリ・デバイスなどの半導体デバイスの製造に、通常、半導体デバイ
スのさまざまなフューチャや複数のレベルを形成するために複数の半導体製造プロセスを
使用して半導体ウェハなどの試料を処理することが含まれる。たとえば、リソグラフィは
、通常はパターンを半導体ウェハ上に配置されたレジストに転写することを含む半導体製
造プロセスである。別の半導体製造プロセスの例には、化学的機械的研磨、エッチング、
堆積、イオン注入が含まれるが、これに制限はされない。多くの半導体デバイスを半導体
ウェハ上へ配置した形で製造し、その後、個々の半導体デバイスに分離する。
【0003】
各半導体製造プロセス中に、粒子汚染やパターン欠陥などの欠陥が、半導体デバイスに
導入される場合がある。そのような欠陥は、試料表面上でランダムに見つかるか、試料に
形成される各デバイス内で繰り返されるかのいずれかになる。たとえば、ランダム欠陥は
、製造環境内の粒子汚染の予期されない増加や、半導体デバイスの製造に使用されるプロ
セス薬品の汚染の予期されない増加などの事象によって引き起こされる。欠陥が、経時的
に系統的な形で、個々のプロセス臨界(process marginality)や複数のプロセスの相互作
用に起因して形成されることもある。個々のプロセス臨界によってまたは複数のプロセス
の間の相互作用によって引き起こされる欠陥は、線量変動に起因する薄膜厚さ変動または
横寸法変動などの欠陥となるであろう。そのような欠陥は、2つの連続する構造の間のブ
リッジなどの試料上で形成される半導体デバイスの欠陥となり、これによって、構造の間
の短絡が形成される。試料全体に形成される各半導体デバイス内で繰り返される欠陥は、
たとえば、レチクルまたはマスク上で見つかる汚染または欠陥によって系統的に引き起こ
される。レチクル上の汚染または欠陥は、リソグラフィ・プロセス中にデバイス・パター
ンと共にレジストに転写される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高度な半導体デバイスの寸法が小さくなり続けているので、半導体デバイス内の欠陥の
存在が、半導体デバイスの成功裡の製造または歩留まりを制限している。たとえば、リソ
グラフィ中にパターン形成されるレジストで再生されるレチクル欠陥は、後続処理で形成
される半導体デバイス内の開路または短絡を引き起こすことになる。半導体デバイスの製
造に、多数の複雑なプロセス・ステップが含まれるので、総歩留まりに対する欠陥の悪影
響は、欠陥によって引き起こされるエラーが経時的に製造プロセスまたは製造動作全体を
通じて伝搬する場合に、指数関数的に高まることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施態様は、レチクルの検査によって作られた検査データに基づいてウェハ上
のニューサンス欠陥(nuisance defect)を識別することを含むコンピュータで実施される
方法に関する。レチクルは、ウェハの検査の前にウェハ上でパターンを形成するのに使用
される。ニューサンス欠陥は、許容可能なレチクル欠陥と判定されたレチクルの欠陥の結
果としてウェハに形成される。一実施態様では、ニューサンス欠陥は、デザイナ・インテ
ント・データに基づいて許容可能なレチクル欠陥と判定されたレチクルの欠陥の結果とし
てウェハに形成される。さらに他の実施態様では、許容可能レチクル欠陥と判定されたレ
チクルの欠陥の結果としてニューサンス欠陥がウェハに形成された場合に、方法が、許容
可能レチクル欠陥が正しく分類されたかどうかを判定するためにニューサンス欠陥を分析
することを含む。いくつかの実施態様では、許容可能なレチクル欠陥が、正しく分類され
なかった場合に、方法は、レチクルを分析し、リワークし、または廃棄しなければならな
いかどうかを判定することを含む。さらに他の実施態様では、方法は、ニューサンス欠陥
が、ウェハに形成される半導体デバイスの歩留まりに影響するかどうかを判定することを
含む。
【0006】
いくつかの実施態様では、方法は、ニューサンス欠陥をウェハ上の実際の欠陥から分離
することを含む。そのような実施態様は、ニューサンス欠陥ではなく実際の欠陥を表すデ
ータを処理することも含む。追加の実施態様の方法は、ウェハの2次元マップを生成する
ことを含む。ニューサンス欠陥は、1つまたは複数の異なる指定によってマップ内で他の
欠陥から区別される。
【0007】
さらに他の実施態様の方法は、レチクルの検査を実行するのに使用される検査システム
から本方法を実行するように構成されたプロセッサに検査データを送ることを含む。異な
る実施態様の方法は、ファブ(fab)・データベースからコンピュータで実施される方法を
実行するように構成されたプロセッサに検査データを送ることを含む。1つのそのような
実施態様では、検査データを送ることは、レチクル上で検出された欠陥の座標と欠陥のイ
メージを送ることである。追加の実施態様では、検査データがレチクル上の欠陥の位置の
座標を含む場合に、方法が、欠陥の座標を、ウェハ上のニューサンス欠陥のうちの1つま
たは複数の位置の座標に変換することを含む。この方法は、本明細書に記載の方法のいず
れかの他のステップを含む。
【0008】
追加の実施態様は、ニューサンス欠陥が形成されるウェハ上の位置を、レチクルの検査
によって作られた検査データに基づいて識別することを含む、コンピュータで実施される
方法に関する。一実施態様では、この方法は、ニューサンス欠陥の位置が検査されないよ
うに、ウェハ検査の1つまたは複数のパラメータを選択することも含む。異なる実施態様
の方法は、ニューサンス欠陥がレビューされないように、ウェハ欠陥レビューの1つまた
は複数のパラメータを選択することを含む。さらに他の実施態様の方法は、ニューサンス
欠陥が分析されないように、ウェハ欠陥分析の1つまたは複数のパラメータを選択するこ
とを含む。
【0009】
さらに他の実施態様は、ウェハの異なる区域に関連するクリティカルさに基づいて、ウ
ェハのクリティカル部分を識別することを含むコンピュータで実施される方法に関する。
本方法は、ウェハのクリティカル部分だけが検査されるように、ウェハの検査のパラメー
タを選択することも含む。いくつかの実施態様では、パラメータは、ウェハ上のニューサ
ンス欠陥が実際の欠陥として分類されないように選択することができる。一実施態様では
、異なるクリティカルさを有するウェハのクリティカル部分が異なるパラメータを用いて
検査されるように、パラメータを選択することができる。さらに他の実施態様によれば、
方法は、クリティカル部分のクリティカルさに基づいて、ウェハ上の欠陥の分類に関する
1つまたは複数のパラメータをセットすることを含む。
【0010】
さらに他の実施態様では、方法は、欠陥が突き止められたクリティカル部分のクリティ
カルさに基づいて、ウェハ上の欠陥に指定を割り当てることを含む。異なる実施態様の方
法は、欠陥が突き止められたクリティカル部分のクリティカルさに基づいて、ウェハ上の
欠陥の処理を決定することを含む。いくつかの実施態様の方法は、クリティカル欠陥また
は非クリティカル欠陥としてウェハ上の欠陥を分類し、クリティカル欠陥または非クリテ
ィカル欠陥に基づいてウェハに対して実行されるプロセスを分析することを含む。さらに
他の実施態様の方法は、クリティカル欠陥または非クリティカル欠陥としてウェハ上の欠
陥を分類し、非クリティカル欠陥と別々にクリティカル欠陥を処理することを含む。
【0011】
さらに他の実施態様によれば、方法は、クリティカル部分の1つに含まれる欠陥が、所
定のしきい値より小さい横寸法を有し、かつ1つの部分の他のフューチャが、所定のしき
い値より大きい横寸法を有する場合に、欠陥を表す検査データを破棄することを含む。異
なる実施態様の方法は、クリティカル部分の1つに含まれる回路の要素が、所定の量の冗
長性を有し、かつ1つの部分の欠陥が、所定の密度しきい値を超えない場合に、欠陥を表
す検査データを破棄することを含む。
【0012】
いくつかの実施態様の方法は、レチクル上で検出された欠陥の位置の座標をウェハ上の
1つまたは複数の欠陥の位置の座標に変換することを含む。そのような実施態様は、レチ
クル上で検出された欠陥の印刷性を分析することも含む。もう1つのそのような実施態様
の方法は、ウェハ検査データからウェハ上の座標の検査データを除去することを含む。
【0013】
一実施態様の方法は、ウェハのクリティカル部分を示す1つまたは複数の2次元マップ
を生成することを含む。検査をウェハの1レベルで実行する。一実施態様の方法は、欠陥
が突き止められたクリティカル部分のクリティカルさと1つのレベルの上または下のウェ
ハの少なくとも1つの層を表すデータに基づいて、ウェハの欠陥のクリティカルさを識別
することを含む。さらに他の実施態様の方法は、ウェハの1つのレベルの上または下のレ
ベルの欠陥、1つのレベル、少なくとも1つの層の3次元表現を生成することを含む。
【0014】
さらに他の実施態様は、ウェハの異なる区域に関連するクリティカルさに基づいてウェ
ハ欠陥レビューに関する1つまたは複数のパラメータを決定することを含む、コンピュー
タで実施される方法に関する。一実施態様の方法は、ウェハのクリティカル部分に位置す
る欠陥だけがレビューされるように1つまたは複数のパラメータを選択することを含む。
1つのそのような実施態様では、1つまたは複数のパラメータを、1つまたは複数のクリ
ティカル部分について異なるものとすることができる。さらに他の実施態様の方法は、ウ
ェハ欠陥レビューを実行するように構成されたツールにウェハの異なる部分のクリティカ
ルさに関する情報を送ることを含む。
【0015】
さらに他の実施態様は、ウェハ上の異なる区域に関連するクリティカルさに基づいてウ
ェハ欠陥分析の1つまたは複数のパラメータを決定することを含む、コンピュータで実施
される方法に関する。方法は、いくつかの実施態様は、ウェハのクリティカル部分内に位
置する欠陥だけが分析されるように1つまたは複数のパラメータを選択することを含む。
そのような実施態様では、1つまたは複数のパラメータを、1つまたは複数のクリティカ
ル部分について異なるものとすることができる。他の実施態様の方法は、ウェハの異なる
区域のクリティカルさに関する情報を、ウェハ欠陥分析を実行するように構成されたツー
ルに送ることを含む。
【0016】
追加の実施態様は、ウェハ上で不良ダイを識別することを含むコンピュータで実施され
る方法に関する。一実施態様では、不良ダイの識別が、ウェハを処理するのに使用される
製造プロセスが完了した後にウェハに対して機能テストを実行することを含む。不良ダイ
が、所定の範囲の外の機能性を有する1つまたは複数の電気要素を含む。本方法は、1つ
または複数の電気要素の設計を表す情報と組み合わされた、ウェハの検査によって生成さ
れたデータに基づいて、ウェハ上の欠陥の第1部分と欠陥の第2部分を識別することも含
む。一実施態様では、ウェハの検査によって生成されたデータが、ウェハの複数の検査に
よって生成されたデータを含み、複数の検査を、製造プロセス中の異なる時に実行するこ
とができる。欠陥の第1部分が、1つまたは複数の電気要素によって形成されるデバイス
の特性が所定の限度の外になるように特性を変更することができる。さらに、方法は、欠
陥の第1部分に基づいて、製造プロセスのプロパティを決定することを含む。一実施態様
では、プロパティを、欠陥の第1部分のキル・レシオ(kill ratio)とすることができる。
異なる実施態様では、プロパティを、製造プロセスの歩留まりとすることができる。いく
つかの実施態様の方法は、プロパティに基づいて製造プロセスの1つまたは複数のパラメ
ータを変更することを含む。本方法は、さらに、本明細書に記載の方法のいずれかの他の
ステップを含む。
【0017】
さらに他の実施態様は、製造プロセス中のウェハの検査によって生成されたデータに基
づいて集積回路(IC)の設計を変更することを含むコンピュータで実施される方法に関
する。ウェハの検査によって生成されるデータが、ウェハ上で検出された欠陥に関する情
報を含み、欠陥の実質的な部分が、ICの1つまたは複数の特性が変えられているクリテ
ィカル欠陥を含む。たとえば、方法は、設計に基づいて検査中に検出されたクリティカル
欠陥と他の非クリティカル欠陥とを区別することを含むことができる。非クリティカル欠
陥は、ICの1つまたは複数の特性が実質的に変えられていない欠陥である。
【0018】
一実施態様では、設計の変更を、フィードバック制御技法を使用して実行することがで
きる。さらに他の実施態様では、設計の変更が、製造プロセス中に形成されるクリティカ
ル欠陥の個数を減らすためにICの設計を変更することを含む。追加の実施態様の方法は
、ウェハ上で形成されるクリティカル欠陥の少なくとも一部をもたらす製造プロセスの個
々のプロセスを識別することを含む。1つのそのような実施態様の方法は、ICの設計が
クリティカル欠陥の形成に寄与するかどうかを判定することも含む。そのような実施態様
は、個々のプロセス中に形成されるクリティカル欠陥の個数を減らすためにICの設計を
変更することも含む。さらに他の実施態様の方法は、クリティカル欠陥に基づいて製造プ
ロセスの歩留まりを判定することを含む。そのような実施態様は、製造プロセスの歩留ま
りを増やすためにICの設計を変更することを含む。さらに他の実施態様は、データに基
づいて製造プロセスを変更することを含む。本方法は、さらに、本明細書に記載の方法の
いずれかの他のステップを含む。
【0019】
追加の実施態様は、記憶媒体に関する。その記憶媒体はIC設計を表すデータを含む。
記憶媒体はIC製造プロセスを表すデータも含む。さらに、記憶媒体は、IC製造プロセ
ス中にウェハ上で検出された欠陥を表す欠陥データを含む。欠陥データを、欠陥の実質的
な部分がICの1つまたは複数の特性が変えられているクリティカル欠陥を含むようにフ
ィルタリングすることができる。記憶媒体を、IC設計を表すデータ、IC製造プロセス
を表すデータ、欠陥データに基づいてIC設計を変更するのに使用することができる。一
実施態様では、記憶媒体が、クリティカル欠陥とIC設計との間の関係を表すデータも含
む。記憶媒体は、さらに、本明細書に記載のように構成することができる。
【0020】
さらに他の実施態様は、製造プロセス中のウェハの検査によって生成されたデータに基
づいてICの1つまたは複数の特性をシミュレートすることを含むコンピュータで実施さ
れる方法に関する。一実施態様では、1つまたは複数の特性が、電圧低下、タイミング低
速化、部分的デバイス障害、全体的デバイス障害を含むが、これに制限はされない。デー
タがウェハ上で検出された欠陥に関する情報を含む。一実施態様では、欠陥に関する情報
は、欠陥位置の座標と3次元欠陥プロファイルを含む。欠陥の実質的な部分が、ICの1
つまたは複数の特性が変えられているクリティカル欠陥を含む。一実施態様の方法は、設
計に基づいて検査中に検出されたクリティカル欠陥と他の非クリティカル欠陥とを区別す
ることも含む。非クリティカル欠陥は、ICの1つまたは複数の特性を実質的に変えるこ
とがない。方法は、さらに、本明細書に記載の方法のいずれかの他のステップを含む。
【0021】
追加の実施態様は、試料の検査によって生成されたデータに基づいて試料上のパターン
の配置を決定することを含む、コンピュータで実施される方法に関する。いくつかの実施
態様では、パターンの配置の決定が、パターンを横に平行移動すること、パターンを回転
すること、パターンをスケーリングすること、またはこれらの任意の組合せを含む。一実
施態様では、試料を、空白レチクル基板とすることができる。異なる実施態様では、試料
を、ウェハとすることができる。いくつかの実施態様では、パターンの配置の決定が、試
料上の欠陥の実質的な部分がパターンとオーバーラップしないようにパターンの配置を選
択することを含む。さらに他の実施態様の方法は、設計情報に基づいてパターンのクリテ
ィカル部分を識別することを含む。そのような実施態様では、パターンの配置の決定が、
試料上の欠陥の位置に関するパターンのクリティカル部分の配置を決定することを含む。
さらに他の実施態様では、パターンの配置の決定が、試料上の欠陥の実質的な部分がパタ
ーンのクリティカル部分とオーバーラップしないようにパターンの配置を選択することを
含む。異なる実施態様では、パターンの配置の決定が、試料上の欠陥とパターンのクリテ
ィカル部分との間のオーバーラップの量が所定のしきい値未満になるようにパターンの配
置を選択することを含む。
【0022】
さらに他の実施態様では、試料がレチクルを含む場合に、方法は、レチクル上の欠陥と
パターンのクリティカル部分との間のオーバーラップの量を判定することを含む。そのよ
うな実施態様は、レチクルを用いて露光されるウェハ上で作られるクリティカル欠陥の個
数を推定することも含む。さらに他の実施態様では、試料がレチクルを含む場合に、方法
は、座標系に関するパターンの配置に基づいて、露光ツールまたはウェハに関するレチク
ルのアラインメントを決定することを含む。方法は、さらに、本明細書に記載の方法のい
ずれかの他のステップを含む。
【0023】
さらに他の実施態様は、レチクル上で検出された欠陥の設計重要性を判定することを含
むコンピュータで実施される方法に関する。設計重要性は、欠陥がレチクルの設計にどの
ように影響するかの尺度である。方法は、欠陥のリソグラフィ的重要性を判定することも
含む。リソグラフィ的重要性は、欠陥がレチクルを使用するリソグラフィ・プロセスによ
ってパターン形成されるウェハにどのように影響するかの尺度である。さらに、方法は、
設計重要性とリソグラフィ的重要性に基づいて欠陥の総合重要性を判定することを含む。
総合重要性を、リソグラフィ的重要性と設計重要性、リソグラフィ的重要性のみ、設計重
要性のみ、重要性なしからなる群から選択することができる。
【0024】
一実施態様の方法は、レチクル上の異なる領域の設計重要性を判定することを含む。そ
のような実施態様では、欠陥の設計重要性の判定を、欠陥が突き止められたレチクル上の
領域の設計重要性に基づくものとすることができる。さらに他の実施態様では、設計重要
性の判定が、欠陥を表すデータをしきい値と比較し、データがしきい値を超える場合に欠
陥が設計重要性を有すると判定することを含む。いくつかの実施態様では、しきい値が、
レチクル上の欠陥の位置に応じて変化することができる。
【0025】
一実施態様の方法は、レチクルの異なる領域のリソグラフィ的重要性を判定することを
含む。1つのそのような実施態様では、欠陥のリソグラフィ的重要性の判定を、欠陥が突
き止められたレチクル上の領域のリソグラフィ的重要性に基づいておこなう。追加の実施
態様では、欠陥のリソグラフィ的重要性の判定が、欠陥を表すデータをしきい値と比較し
、データがしきい値を超える場合に欠陥がリソグラフィ的重要性を有すると判定すること
を含む。いくつかの実施態様では、しきい値が、レチクル上の欠陥の位置に応じて変化す
ることができる。
【0026】
さらに他の実施態様の方法は、レチクル上の異なる領域の総合重要性を判定することを
含む。1つのそのような実施態様の方法は、異なる領域の総合重要性に基づいてレチクル
の異なる領域の製造に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータを決定すること
を含む。異なるそのような実施態様の方法は、異なる領域の総合重要性に基づいてレチク
ルの異なる領域の検査に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータを変更するこ
とを含む。もう1つのそのような実施態様の方法は、異なる領域の総合重要性に基づいて
レチクルの修理に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータを変更することを含
む。そのようにすることで、レチクルの製造、検査、または修理に使用されるプロセスは
、異なる領域のうちの1つで、別の異なる領域のプロセスの1つまたは複数のパラメータ
と異なる1つまたは複数のパラメータを有するようになる。
【0027】
いくつかの実施態様の方法は、欠陥の総合重要性に基づいて欠陥の修理に使用されるプ
ロセスの1つまたは複数のパラメータを決定することを含む。レチクル上の異なる欠陥を
修理するのに使用される1つまたは複数のパラメータは異なっていてもよい。さらに他の
実施態様の方法は、欠陥の総合重要性に基づいてレチクルの処理を決定することを含む。
その処理は、レチクルを拒絶すること、レチクルを修理すること、またはレチクルを洗浄
することを含む。
【0028】
追加の実施態様の方法は、欠陥の視覚的表現を生成することを含む。視覚的表現が、欠
陥の総合重要性を示す欠陥に割り当てられた1つまたは複数の指定を含む。異なる実施態
様の方法は、レチクル上の個々の領域の視覚的表現を生成することを含む。そのような視
覚的表現が、個々の領域の総合重要性を示す個々の領域に割り当てられた指定を含む。方
法は、さらに、本明細書に記載の方法のいずれかの他のステップを含む。
【0029】
さらに他の実施態様は、本明細書に記載のコンピュータで実施される方法のいずれかを
実行するためにコンピュータ・システムで実行可能なプログラム命令を含む担体媒体に関
する。追加の実施態様は、本明細書に記載のコンピュータで実施される方法のいずれかを
実行するように構成されたシステムに関する。たとえば、システムは、本明細書に記載の
コンピュータで実施される方法のうちの1つまたは複数を実行するプログラム命令を実行
するように構成されたプロセッサを含む。一実施態様では、システムは独立システムであ
る。さらに他の実施態様では、システムは、検査システムの一部とするかそれに結合させ
ることができる。異なる実施態様では、システムは、欠陥レビュー・システムの一部とす
るかこれに結合させることができる。さらに他の実施態様では、システムは、ファブ・デ
ータベースに結合させることもできる。たとえば、システムを、ワイヤ、ケーブル、無線
伝送パス、および/またはネットワークなどの伝送媒体によって検査システム、レビュー
・システム、またはファブ・データベースに結合させることができる。伝送媒体は、「有
線」部分と「無線」部分を含む。
【0030】
本発明のさらなる利益は、好ましい実施態様の次の詳細な説明の利益を有し、添付図面
を参照する時に、当業者に明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】レチクル検査データに基づいてウェハ上のニューサンス欠陥を識別することを含むコンピュータで実施される方法の実施形態を示す流れ図である。
図2】ファブ・データベースに結合されたプロセッサおよび/または本明細書に記載のコンピュータで実施される方法を実行するように構成されたプロセッサであるプロセッサに結合された検査システムを示す概略図である。
図3】ウェハ上の「ドント・ケア区域」を識別するために集積回路(IC)の個々の層データをどのように操作できるかの一例を示す概略図である。
図4】ウェハ検査データをレチクル・データと組み合わせて分析することによってウェハ上の欠陥を検出することを含むコンピュータで実施される方法の実施形態を示す流れ図である。
図5】製造プロセスの分析に欠陥情報を選択的に使用するコンピュータで実施される方法の実施形態を示す流れ図である。
図6】ウェハ上で検出された欠陥の選択された部分に基づいてICの設計を変更するコンピュータで実施される方法の実施形態を示す流れ図である。
図7】IC設計の製造可能性を高めるためにIC設計を変更するのに使用できる記憶媒体の実施形態を示す概略図である。
図8】欠陥データに基づいてICの1つまたは複数の特性をシミュレートするコンピュータで実施される方法の実施形態を示す流れ図である。
図9】欠陥データに基づいて試料上のパターンの配置を決定することを含むコンピュータで実施される方法の実施形態を示す流れ図である。
図10】欠陥の重要性を判定するコンピュータで実施される方法の実施形態を示す流れ図である。
図11】レチクル上の欠陥を異なる重要性のカテゴリにどのように含めるかを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、さまざまな修正形態や代替形態を許すが、本発明の特定の実施態様を、例と
して図面に示し、本明細書で詳細に説明する。図面は、原寸通りでない場合がある。しか
し、図面とそれに対する詳細な説明が、本発明を開示された特定の形に制限することを意
図されたものではなく、逆に、その意図が、請求項によって定義される本発明の趣旨およ
び範囲に含まれるすべての修正形態、同等物、代替形態を含むことを理解されたい。
【0033】
用語「ウェハ」は、一般に、半導体材料または非半導体材料から形成された基板を指す
。そのような半導体材料または非半導体材料の例に、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、リ
ン化インジウムが含まれるが、これに制限はされない。そのような基板は、半導体製造施
設で一般に見られ、かつ/または処理されている。
【0034】
ウェハに、一般に、バージン・ウェハ(virgin wafer)など、基板だけが含まれる場合が
ある。その代わりに、ウェハに、基板上に形成できる1つまたは複数の層が含まれている
場合もある。たとえば、そのような層に、レジスト、誘電材料、導電材料が含まれるが、
これに制限はされない。レジストには、光リソグラフィ技法、電子ビーム・リソグラフィ
技法、またはX線リソグラフィ技法によってパターン形成できるレジストが含まれる。誘
電材料の例に、二酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、窒化チタニウムが含まれるが、これ
に制限はされない。誘電材料の追加の例に、米国カリフォルニア州サンタクララのApp
lied Materials,Inc.社が市販するBlack Diamond(商
標)および米国カリフォルニア州サンノゼのNovellus Systems,Inc
.社が市販するCORAL(商標)などの「low−k」誘電材料、「xerogels
」などの「ultra−low k」誘電材料、五酸化タンタルなどの「high−k」
誘電材料が含まれる。さらに、導電材料の例に、アルミニウム、ポリシリコン、び銅を含
めることができるが、これに制限はされない。
【0035】
ウェハに形成される1つまたは複数の層は、パターンありまたはパターンなしとするこ
とができる。たとえば、ウェハに、再現可能なパターンフューチャを有する複数のダイを
含めることができる。材料のそのような層の形成および処理が、最終的に、完成した半導
体デバイスをもたらすことができる。したがって、ウェハに、完全な半導体デバイスの層
の一部が形成されていない基板または完全な半導体デバイスのすべての層が形成されてい
る基板が含まれる場合がある。
【0036】
「レチクル」または「マスク」は、一般に、実質的に不透明の領域および/または部分
的に不透明の領域が形成され、パターンに構成された実質的に透明の基板と定義される。
この基板に、たとえば、水晶などのガラス材料を含めることができる。レチクルは、リソ
グラフィ・プロセスの露光ステップ中にレジストによって覆われたウェハの上に置くこと
ができ、レチクルのパターンをレジストに転写することができる。たとえば、レチクルの
実質的に不透明の領域が、その下にあるレジストの領域をエネルギー源への露出から保護
することができる。
【0037】
本明細書で使用される用語「デザイナ・インテント・データ」は、用語「設計情報」と
交換可能に使用される。さらに、本明細書で、いくつかの実施形態を集積回路に関して説
明するが、これらの実施形態が、MEMS(microelectromechanic
al)デバイスやその類似物など、他の半導体デバイスにも同様に適用できることを理解
されたい。さらに、用語「集積回路」は、用語「半導体デバイス」と交換可能に使用され
る。
【0038】
ここで図面に話を移すが、図面のそれぞれに示されたステップが、それぞれの方法の実
践に必須ではないことに留意されたい。図面のそれぞれに示された方法のいずれかから1
つまたは複数のステップを省略することができ、また1つまたは複数のステップを追加す
ることができ、それでもこれらの実施形態の範囲内でそれらの方法を実践することができ
る。図1は、レチクルの検査によって作られた検査データに基づいてウェハ上のニューサ
ンス欠陥を識別することを含むコンピュータで実施される方法を示す流れ図である。図1
に示された方法は、デザイナ・インテント・データを利用することによる、ウェハ検査、
ウェハ欠陥分類、ウェハ欠陥レビュー、ウェハ欠陥分析の改善された方法を提供する。
【0039】
図1からわかるように、この方法は、ステップ10に示されているように、レチクルの
検査によって作られた検査データを入手することを含む。検査データの入手に、レチクル
を検査することを含む。いくつかの実施形態では、検査データの入手に、レチクルの検査
に使用される検査システムから検査データを受け取ることを含む。他の実施形態では、検
査データの入手に、ファブ・データベースから検査データを受け取ることを含む。ファブ
・データベースは、ツール・ヒストリ、ウェハ・ヒストリ、レチクル・ヒストリなど、フ
ァブ内で実行されたプロセスのすべてに関する情報を含む。ファブ・データベースは、全
体的なファブ管理システムで使用するのに適するデータの任意のセットをも含む。そのよ
うなシステムの例が、本明細書に全体を示されたかのように参照によって組み込まれてい
る、ラメイ(Lamey)他のPCT出願第WO 99/59200号に示されている。
データは、この方法を実行するように構成されたプロセッサまたはファブ・データベース
に送られる前に、検査システムに結合されたプロセッサによって処理される。それに加え
てまたはその代わりに、データを、この方法を実行するように構成されたプロセッサによ
って受け取られた後に処理することもできる。
【0040】
図2の概略図に示されているように、たとえば、検査システム12を使用して、レチク
ルを検査することができる。この検査システムは、レチクルの検査中に検査データを生成
する。図2に示された検査システム12の個々の構成要素は、当技術分野で既知であり、
したがって、本明細書ではこれ以上説明しない。レチクル検査システムの1つの構成が図
2に示されているが、この検査システムは、当技術分野で既知のすべてのレチクル検査シ
ステムを含む。適切な検査システムの例に、米国カリフォルニア州サンノゼのKLA−T
encor社から入手可能なSL3UVシステムやTeraStarシステムが含まれる
。さらに、この検査システムを、エリアル・イメージング(aerial imaging)ベースのレチ
クル検査システムとすることができる。検査データは、プロセッサ14によって受け取ら
れる。このプロセッサ14は検査システムに結合されている。いくつかの実施形態では、
プロセッサ14を検査システムに組み込むことができる。その場合に、データは、プロセ
ッサ14からこの方法を実行するように構成されるプロセッサ16に送られる。いくつか
の実施形態では、プロセッサ16をイメージ・コンピュータとすることができる。さらに
、プロセッサ16は、当技術分野で既知の任意の適切なプロセッサを含む。異なる実施形
態では、検査データを、プロセッサ14からファブ・データベース18に送るようにして
もよい。その場合に、データを、ファブ・データベースからプロセッサ16に送ることが
できる。上の実施形態のどれにおいても、データを、両方のプロセッサによって使用する
か解釈することができる共通データ構造(KLA−Tencor社が市販するKLARF
Fなど)を有するファイルとして送ることができる。
【0041】
検査システム12、プロセッサ11、46、ファブ・データベース18は、図2に示さ
れているように、ワイヤ、ケーブル、無線伝送パス、および/またはネットワークなどの
伝送媒体によって結合される。伝送媒体に、「有線」部分と「無線」部分を含む。いくつ
かの実施形態では、プロセッサ16に、ウェハ検査システム(図示せず)を組み込むこと
ができる。他の実施形態では、プロセッサ16を独立プロセッサとすることができる。ど
の実施形態でも、プロセッサ16をウェハ検査システムに結合することができ、このプロ
セッサは、ウェハの検査によって生成されたデータを受け取ることができる。他の実施形
態では、プロセッサ16がファブ・データベース18からウェハ検査データを受け取る。
いくつかの実施形態では、プロセッサ16に送られるデータが、レチクルで検出された欠
陥の座標と欠陥のイメージを含む。
【0042】
伝統的に、集積回路(IC)設計とIC製造は、最小限のオーバーラップを有する明ら
かに別々のアクティビティであった。しかし、技術的現状の製造テクノロジは、この2つ
のアクティビティの間の実質的な相互作用を必要としている。このコラボレーションのほ
とんどが行われる場所が、TCADレイアウト・フェーズであり、ここでは、ICデザイ
ナからの概略図が、物理的に配置され、ルーティングされる。このコラボレーションは、
一般にDFM(Design for Manufacturability)と称する
が、ウェハ検査に関する多数の問題をもたらした。しかし、本明細書で説明する方法は、
これらの問題の多くに対処している。
【0043】
たとえば、図1からわかるように、レチクルの検査によって作られた検査データ10を
デザイナ・インテント・データ20と組み合わせて使用して、ステップ22に示されてい
るようにレチクル上の許容可能な欠陥を判定することができる。デザイナ・インテント・
データに、レチクルの領域の異なるタイプ、レチクル上のフューチャの異なるタイプ、お
よび/またはレチクル上のフューチャの異なる部分を識別する指定を含む。領域、フュー
チャ、またはフューチャの部分の異なるタイプに、たとえば、本明細書で詳細に説明する
ように、クリティカル領域と非クリティカル領域、クリティカルフューチャと非クリティ
カルフューチャ、またはフューチャのクリティカル部分とフューチャの非クリティカル部
分を含む。指定は、IC設計から生成される回路パターン・データベースに応じて異なる
こともある。IC設計は、EDA(electronic design automa
tion)、コンピュータ支援設計(CAD)、その他のIC設計ソフトウェアなど、当
技術分野で既知の任意の方法またはシステムを使用して開発することができる。そのよう
な方法やシステムは、IC設計から回路パターン・データベースを生成するのに使用する
ことができる。回路パターン・データベースには、ICのさまざまな層の複数のレイアウ
トを表すデータが含まれる。したがって、回路パターン・データベースのデータを使用し
て、複数のレチクルのレイアウトを決定することができる。レチクルのレイアウトは、一
般に、レチクル上のパターン内のフューチャを定義する複数のポリゴンを含む。各レチク
ルは、ICのさまざまな層の1つを製造するのに使用される。ICの層に、たとえば、半
導体基板内の接合パターン、ゲート誘電体パターン、ゲート電極パターン、レベル間誘電
体内のコンタクト・パターン、メタライゼーション層の相互接続パターンを含む。
【0044】
回路パターン・データベースに、上で説明した指定を含む。この指定には、たとえば、
レチクル上の異なるタイプの領域、フューチャ、またはフューチャの部分に関連するフラ
グまたはタグを含む。しかし、この指定に、別のタイプからあるタイプの領域、フューチ
ャ、またはフューチャの部分を区別するのに適する目印を含む。レチクル上の領域、フュ
ーチャ、またはフューチャの部分あるいは領域、フューチャ、またはフューチャの部分の
一部のそれぞれを、指定に関連付けることができる。レチクルのレイアウトを表す回路パ
ターン・データベースのデータは、指定を表す回路パターン・データベースのデータとは
別にすることができる。さらに、異なるタイプの指定を、回路パターン・データベース内
で分離することができる。たとえば、回路パターン・データベースに、レチクル上のクリ
ティカルな領域、フューチャ、またはフューチャの部分の指定を含むデータの第1セット
と、レチクル上の非クリティカルな領域、フューチャ、またはフューチャの部分の指定を
含むデータの第2セットを含む。その代わりに、異なる指定を、データの単一のセットに
組み合わせることができる。レチクルのレイアウトと指定を表すデータは、検査システム
または別のプロセッサに結合されたプロセッサによって可読の任意の形を有するようにす
ることができる。たとえば、データに、1つまたは複数のフューチャと、そのフューチャ
に関連するレチクル内の空間的位置を含むファイルまたは他の可読データを含む。各フュ
ーチャに、本明細書に記載のように1つまたは複数のポリゴンまたは他の形状を含めるこ
とができ、レチクル内の空間的位置を、ポリゴンまたは形状のそれぞれに関連付けること
もできる。したがって、このデータを使用してレチクルを製造することができる。
【0045】
デザイナ・インテント・データとレチクル検査の使用の方法の追加の例が、本明細書に
全体を示されたかのように参照によって組み込まれている、グラッサ(Glasser)
他の米国特許第6529621号と、グラッサ(Glasser)他のPCT出願第WO
00/36525号に示されている。本明細書に記載のシステムまたは方法に、グラッ
サ(Glasser)他によって示された要素またはステップのどれでも含めることがで
きる。デザイナ・インテント・データは、ウェハ検査システム、欠陥レビュー・ツール、
および/または欠陥分析ステーションのプロセッサに直接に供給することができる。一例
では、デザイナ・インテント・データを、上で説明したものなどの伝送媒体を介して、ウ
ェハ・インスペクタ、欠陥レビュー・ツール、および/または欠陥分析ステーションのプ
ロセッサに直接に送ることができる。分析ステーションの一例が、KLA−Tencor
社が市販するKlarity defects製品である。Klarity defec
ts製品は、ウェハ・インスペクタ(wafer inspector)からとられたデータのオフライン
分析を提供する。
【0046】
一部のレチクルに、位相シフト・フューチャまたは光近接効果補正(OPC)フューチ
ャが含まれる。一実施形態では、この方法に、ウェハ上のそのようなレチクルの印刷性を
シミュレートすることを含む。このシミュレーションは、KLA−Tencor社から入
手可能なPROLITHなどのシミュレーション・プログラムまたは当技術分野で既知の
他の適切なシミュレーション・プログラムを使用して実行することができる。このシミュ
レーションは、レチクルを表すデータおよび/またはレチクルの検査によって生成された
データに基づいている。さらに、この方法に、シミュレーション結果とデザイナ・インテ
ント・データに基づいて、レチクル上のクリティカル欠陥と非クリティカル欠陥を区別す
ることを含む。さらに他の実施形態では、この方法に、レチクルを表すデータから位相シ
フト・フューチャまたはOPCフューチャを除去することを含む。位相シフト・フューチ
ャまたはOPCフューチャは、PROLITHなどのシミュレーション・プログラムを使
用することによって除去することができる。その後、デザイナ・インテント・データを使
用して、レチクル上の非クリティカル欠陥を識別し、任意選択としてレチクル上の非クリ
ティカル欠陥をフィルタ・アウトすることができる。レチクル・データから位相シフト・
フューチャまたはOPCフューチャを除去することによって、レチクル上のクリティカル
欠陥と非クリティカル欠陥の区別を単純にすることができる。
【0047】
許容可能な欠陥は、レチクルの非クリティカル部分にある、レチクル上の欠陥として識
別することができる。いくつかの場合に、許容可能な欠陥を、テスト構造など、レチクル
の非クリティカルフューチャに近接して位置する欠陥として識別することができる。さら
に、許容可能なレチクル欠陥を、所定の範囲の横寸法または横寸法に関する所定のしきい
値より小さい横寸法を有する欠陥として識別することができる。その代わりに、許容可能
なレチクル欠陥を、特性がその特性の所定の範囲の外になるようには位相や透過などのレ
チクルの特性を変更しないレチクル欠陥として識別することができる。他の場合に、許容
可能なレチクル欠陥を、そのレチクルを用いて露光されたウェハに印刷されない欠陥とし
て識別することができる。その代わりに、許容可能なレチクル欠陥を、パターンが特性の
所定の範囲の外にある1つまたは複数の特性を有しない、そのレチクルを用いて露光され
たウェハに印刷されるパターンを変更しないレチクル上の欠陥として識別することができ
る。たとえば、許容可能な欠陥は、ウェハに印刷されるフューチャの横寸法を変更するこ
とになるが、横寸法の許容範囲の外になるようには横寸法を変更しないレチクル欠陥であ
る。
【0048】
一般に、許容可能なレチクル欠陥は、レチクル、レチクルのクリティカル部分、ウェハ
上のパターン、またはウェハのクリティカル部分の特性を、その特性の所定の範囲の外に
なるようには変更しないレチクル上で見つかる欠陥である。したがって、レチクル上の許
容可能な欠陥は、製造のためにレチクルをリリースする前に修理しなくてもよい。許容可
能なレチクル欠陥を許容することは、そのような欠陥がウェハに繰り返して印刷されるこ
とになる。したがって、許容可能なレチクル欠陥は、そのレチクルを用いてウェハに印刷
されるパターンを、印刷されるパターンが「理想的な」パターンから逸脱するように変更
することになる。したがって、許容可能なレチクル欠陥によって引き起こされる印刷され
たウェハ上のパターンの変化が、ウェハの検査中にウェハ上の欠陥として識別される場合
がある。ウェハ検査システムは、これらの欠陥にフラグを立てる(これらが、一般に、ア
レイ検出モードまたはランダム検出モードで差として目立つので)。それと同時に、ユー
ザが関心を持つ、ウェハ上の他の繰り返される欠陥がある場合がある。したがって、ウェ
ハ検査プロセスでは、多数の繰り返される欠陥が見つけるが、そのうちの一部が「ニュー
サンス欠陥」である場合があり、ユーザは、欠陥分類とレビューでこれらの繰り返し欠陥
を分析しなければならない。このように、デザイナ・インテント原理を使用するようにウ
ェハ検査プロセスを適合させずにレチクル検査にデザイナ・インテント・データを適用す
ることは、ウェハ検査、欠陥分類、レビューに関する実際の問題を提示する。その結果、
ウェハ検査結果が、許容可能なレチクル欠陥から生じる許容可能なウェハ欠陥によってゆ
がめられることになる。さらに、欠陥分類とレビューの精度とスループットが、大きく下
がることになる。しかし、本明細書に記載の方法は、欠陥が「クリティカル欠陥」である
かどうか、および欠陥が単にニューサンス欠陥であるかどうかを判定する方法を提供する
ので有利である。このよにして、本明細書に記載の方法は、ウェハ検査システムまたはウ
ェハ検査プロセッサに、許容可能なレチクル欠陥によって引き起こされる多数の欠陥で溢
れるのをなくすことができる。したがって、本明細書に記載の方法は、より明瞭に分析し
利用することのできるウェハ検査結果を与える。
【0049】
本明細書で使用する用語「ニューサンス欠陥」は、一般に、ウェハに形成されるパター
ンを変更せず、そのパターンから形成される電気要素が特性の所定の範囲内の1つまたは
複数の特性を有するような、ウェハ上の欠陥を指す。対照的に、本明細書で使用する用語
「クリティカル欠陥」は、一般に、ウェハに形成されるパターンを変更し、そのパターン
から形成される電気要素が特性の所定の範囲の外の1つまたは複数の特性を有することに
なる、ウェハ上の欠陥を指す。いくつかの実施形態では、クリティカル欠陥は、欠陥によ
って影響されるパターン形成されたウェハ上の欠陥またはフューチャを、パターン形成さ
れたウェハの設計限度と比較することによって、ニューサンス欠陥または他の「非クリテ
ィカル欠陥」から区別することができる。クリティカル欠陥は、設計限度の外の1つまた
は複数の特性を有するようにパターン形成されたウェハを変更する欠陥として分類するこ
とができる。
【0050】
この方法に、ステップ26に示されているように、レチクルを使用してウェハにパター
ン形成することも含めることができる。ウェハのパターン形成には、一般に、ウェハ上に
レジストの層を形成することが含まれる。ウェハとその上に形成されたレジストの層を、
露光ツール内に置く。露光ツールは、一般に、レチクルを介してレジスト上に光を向ける
ことによって、レジストの層を露光する。露光ツールは、走査型投影システムまたは、「
ステッパ」とも呼ばれるステップアンドリピート・システムなどである。露光ツールには
、Nikon社、ASM Lithography社、Canon社、またはInteg
rated Solutions,Inc.社から市販されているツールなどの当技術分
野で既知の露光ツールを含む。レジストを露光した後に、ウェハを現像し、レジストの一
部を除去する。レジストの残りの部分が、ウェハ上でパターンを形成する。
【0051】
この方法に、さらに、ステップ28に示されているように、ウェハを検査することが含
まれる。ウェハを、当技術分野で既知の任意の方法を使用して検査する。たとえば、ウェ
ハを、斜めの入射角でウェハを照らし、ウェハから散乱する光を検出することによって検
査することができる。その代わりにまたはそれに加えて、ウェハを、ウェハから鏡面反射
される光を検出することによって検査することができる。さらに、光学技法または電子ビ
ーム検査技法などの非光学技法を使用してウェハを検査することもできる。ウェハを、当
技術分野で既知の任意の検査システムを使用して検査することもできる。適切な検査シス
テムの例に、いずれもKLA−Tencor社から入手可能な2351システム、AIT
XPシステム、AIT TFHシステム、eS25システム、Surfscan SP
1DLSシステム、Viper 2401システム、Viper 2430システムが含ま
れる。いくつかの実施形態では、この方法に、ウェハの検査を含めないことができる。い
くつかの実施形態では、この方法に、ウェハ検査システムまたはファブ・データベースか
らウェハ検査データを入手することを含む。ウェハ検査データは、図2に示し、説明した
ように、ウェハ検査システムまたはファブ・データベースから入手することができる。
【0052】
さらに、この方法に、ステップ30に示されているように、ウェハ上のニューサンス欠
陥を識別することを含む。ニューサンス欠陥は、ウェハの検査の前にウェハ上にパターン
を形成するのに使用されたレチクルの検査によって作られた検査データに基づいて識別す
ることができる。たとえば、ニューサンス欠陥は、許容可能なレチクル欠陥と判定された
レチクル上の欠陥の結果としてウェハ上に形成される。このようにして、この方法に、許
容可能と判定されたレチクル欠陥を識別することと、これらの許容可能なレチクル欠陥か
ら生じた対応するウェハ欠陥を突き止めることを含むことになる。これらの欠陥が、許容
可能であり、半導体デバイスの歩留まりを下げないことがわかっているので、この方法を
実行するように構成されたプロセッサに、欠陥位置と他の欠陥特性(すなわち、サイズ、
アスペクト比など)など、レチクル検査プロセス中に生成することのできる、許容可能な
レチクル欠陥に関するデータを与えることができる。たとえば、この方法を実行するよう
に構成されたプロセッサは、上で説明した、ウェハにパターン形成するのに使用されたレ
チクルのレチクル検査データを受け取ることができる。このプロセッサは、許容可能なレ
チクル欠陥に対応するウェハ欠陥を識別することができ、これらの欠陥に「実際の欠陥」
としてフラグを立てないようにすることができる。用語「実際の欠陥」は、本明細書で、
許容可能なレチクル欠陥の結果でないウェハ上の欠陥を指すのに使用される。
【0053】
さらに、図1に示されているように、この方法に、ステップ24に示されているように
、レチクル上の欠陥の位置の座標をウェハ上の1つまたは複数の位置の座標に変換するこ
とを含む。いくつかの実施形態では、許容可能なレチクル欠陥の位置の座標を、ウェハ上
の1つまたは複数の位置の座標に変換する。このようにして、欠陥がウェハ上のこれらの
1つまたは複数の位置で検出された場合に、その欠陥を、許容可能なウェハ欠陥または「
ニューサンス欠陥」として識別することができる。他の実施形態では、パターン形成され
たウェハ上でのレチクル欠陥の影響が未知の場合に、レチクル欠陥の座標をウェハ上の1
つまたは複数の位置の座標に変換する。ウェハを、そのレチクルを用いて露光することが
でき、ウェハ上の1つまたは複数の位置を検査するか他の形で分析して、レチクル欠陥の
印刷性またはレチクル欠陥が印刷されたパターンに対して有する影響を判定することがで
きる。
【0054】
他の実施形態では、方法に、レチクルの検査によって作られた検査データに基づいて、
ニューサンス欠陥が形成されるウェハ上の位置を識別することを含む。その方法に、ニュ
ーサンス欠陥が形成される位置が検査されないように、ウェハ検査の1つまたは複数のパ
ラメータを選択することも含めることができる。類似する形で、この方法に、ニューサン
ス欠陥がレビューされないように、ウェハ欠陥レビューの1つまたは複数のパラメータを
選択することを含む。さらに他の実施形態では、この方法に、ニューサンス欠陥が分析さ
れないように、ウェハ欠陥分析の1つまたは複数のパラメータを選択することを含む。
【0055】
一実施形態では、レチクル上の点とウェハ上の対応する点の間の欠陥座標を、自動的に
変換する。対照的に、現在、レチクルと対応するウェハとの間の座標の変換は、通常、自
動的でない形で実行されている。たとえば、座標の自動的でない変換は、スプレッドシー
トを使用して手動で実行することができる。しかし、座標の自動変換は、設計情報に基づ
く欠陥の分析に関して特に有利である。座標変換の一実施形態を、KLA−Tencor
社が市販するX−LINKを使用し、レチクル座標とウェハ座標から変換された座標を作
成するX−LINK機能を自動化することによって実施することができる。そのような実
施形態では、レチクル欠陥イメージを、設計情報に基づいて欠陥を分析するように構成さ
れたプロセッサに送る。いくつかの実施形態では、レチクルからウェハへの座標の変換に
、変換の精度を自動的に検証することを含めることもできる。
【0056】
いくつかの実施形態では、レチクル欠陥を、上で説明したように、デザイナ・インテン
ト・データに基づいて、許容可能なレチクル欠陥と判定することができる。さらに他の実
施形態では、この方法は、デザイナ・インテント・データをウェハの検査によって生成さ
れたデータと組み合わせて使用して、ウェハ上のニューサンス欠陥を識別することを含む
。たとえば、デザイナ・インテント・データを使用して、レチクル上の異なるタイプの領
域、フューチャ、またはフューチャの部分を示す。したがって、デザイナ・インテント・
データを、同様に、そのレチクルを用いて印刷されたウェハ上の対応する領域、フューチ
ャ、またはフューチャの部分に与えることができる。このようにして、欠陥が突き止めら
れたウェハ上の領域、フューチャ、またはフューチャの部分のタイプに基づいて、ニュー
サンス欠陥またはクリティカル欠陥としてその欠陥を識別することができる。したがって
、デザイナ・インテント・データを使用して、許容可能なレチクル欠陥の結果としてウェ
ハ上に形成されたかそうでないことになる、ウェハ上のニューサンス欠陥を識別すること
ができる。たとえば、デザイナ・インテント・データを使用して、欠陥レジスト層の結果
であるウェハ上のニューサンス欠陥を識別することができる。
【0057】
そのような例の1つで、この方法に、化学的機械的研磨(CMP)ダミー・パッドなど
の「ダミー構造」に対応するデザイナ・インテント・データを使用して、ユーザが欠陥に
ついて気にしないウェハ上の区域(すなわち、「ドント・ケア区域(don't care area)」
すなわちDCA)を識別することを含む。本明細書で使用される用語「ダミー構造」は、
半導体デバイスの電気要素を形成しない、パターン形成されたフューチャを指すのに使用
される。上で説明したように、ウェハ検査は、2つの主要な課題すなわち、重要な欠陥の
検出とニューサンス欠陥のフィルタ・アウトに直面している。CMPダミー・パッドが設
計のレイアウトに追加された時に、第2の課題が重要性を増す。というのは、ダミー・パ
ッド上で検出されたニューサンス欠陥をフィルタリングするのに費やされる時間が、大幅
に増えることになるからである。さらに、ダミー・パッドの個数が増えるにつれて、ダミ
ー・パッド上で検出される可能性のあるニューサンス欠陥の個数が増える。さらに、IC
に含まれる銅ベース相互接続の個数が増えるにつれて、CMPダミー・パッドを含むIC
の層の個数が、大幅に増える。
【0058】
CMPダミー・パッド領域の周囲のDCAを手動で識別することは、極端に時間がかか
る。しかし、本明細書に記載の方法は、レイアウト・ツールまたはプロセッサを使用して
、検査のためにダミー・パッドの周囲のDCAを生成することによって、ニューサンス欠
陥のフィルタリングまたはDCAの手動生成に必要な時間を減らすことができる。さらに
、ダミー・パッド区域を、検査のためにフィルタ・アウトできるのと同時に、パターン全
体の回路区域に対する欠陥検査の感度が維持される。
【0059】
図3a〜3dに、ウェハ上のDCAを識別するためにICの個々の層データをどのよう
に操作できるかの一例を示す。この例で操作される個々の層データは、ICの第1金属(
M1)層の層データである。しかし、個々の層データの類似する操作をICのすべての層
について実行できることを理解されたい。まず、個々の層データを、GDSIIファイル
から選択する。個々の層データと基準フレームの間のAND演算を実行することによって
図3aに示されているように、M1層のオリジナル・マスクデータを生成する。次に、
図3bに示されているように、フレームと層データの間のNOT演算を実行することによ
って、M1層のうちでパターンがない領域内でダミー・パッドを生成する。したがって、
ブール演算の単純なシーケンスによって、M1層のダミー・パッドの簡単な生成が可能に
なる。
【0060】
図3cに示されているように、ダミー・データと基準フレームの間でAND演算を実行
することによって、第1DCA(DCA1)を識別することができる。しかし、この層の
上下の層に悪影響を及ぼすことになる欠陥について検査するために、DCA1のある部分
を検査することが有利である場合がある。たとえば、ほとんどの場合に、ダミー・パッド
自体の欠陥は、回路性能の展望からは重要でない。しかし、これらの欠陥の一部が、別の
層または次の層の欠陥に寄与する場合があり、この場合に、これらが、実際の回路パター
ンの崩壊を引き起こすことになる。しかし、DCAの手動生成は、DCAが決定されつつ
ある層の上下に形成される層の知識なしで実行される。対照的に、DCA1データとこの
層の上下の層のデータ(すなわち、M1層の場合に、M2層、M3層、M4層のデータ)
の間のNOT演算を実行することによって、ダミー区域をさらにフィルタリングして、実
際のDCAデータ(すなわち、DCA2)を決定することができる。たとえば、図3dに
示されているように、M2層の層データとオーバーラップするダミー区域をDCA1から
除去することができる。というのは、このオーバーラップするダミー・パッド上の欠陥が
、M2層のフューチャの1つまたは複数の特性に悪影響を及ぼすことになるからである。
【0061】
この方法に、DCAのサイズを変更することも含めることができる。たとえば、ブール
演算によって生成されたDCAの一部が、検査システム・ステージ・アセンブリおよび/
またはイメージ・コンピュータによって効果的に管理するのに小さすぎるか大きすぎる寸
法を有する場合がある。DCAの生成の後に、DCAのサイズを、検査ツールが処理でき
る最小寸法(すなわち、xμm)を介して増やすか減らすことができる(すなわち、DC
A3=DCA2−xまたはDCA3=DCA2+x)。さらに、比較的小さいDCAを、
層全体のDCAデータから除去することができる。このようにして、あるDCAを、サイ
ズを変えるかある層のDCAデータから除去すると同時に、ICの別の層の欠陥に影響を
及ぼすことになるDCA内の欠陥の識別を可能にすることができる。
【0062】
DCAデータを、レチクル検査システム、ウェハ検査システム、欠陥レビュー・システ
ム、および/または分析システムに供給する。さらに他の実施形態では、デザイナ・イン
テント・データまたはウェハの異なる区域に関連するクリティカルさに関する情報を、レ
チクル検査システム、ウェハ検査システム、ウェハ欠陥レビュー・ツール、および/また
はウェハ欠陥分析ツールに送る。レチクル検査システムまたはウェハ検査システムは、D
CAデータおよび/またはデザイナ・インテント・データを使用して、DCA内で検出さ
れたニューサンス欠陥をフィルタ・アウトすることによって、またはDCA内で検査を全
く実行しないことによって、レチクルまたはウェハ上の実際の欠陥を検出する。このよう
にして、ウェハのうちで重要なまたは最も重要な区域だけを検査するように、ウェハ・イ
ンスペクタおよび/またはレチクル・インスペクタを構成することができる。
【0063】
類似する形で、欠陥レビュー・システムは、DCAデータおよび/またはデザイナ・イ
ンテント・データを使用して、ウェハのうちで重要な区域(すなわち、非DCA区域)ま
たは最も重要な区域だけをレビューする。言い換えると、ウェハ欠陥レビューの1つまた
は複数のパラメータを、ウェハの異なる区域に関連するクリティカルさに基づいて決定す
る。一実施形態では、この1つまたは複数のパラメータを、ウェハのクリティカルな部分
に位置する欠陥だけがレビューされるように選択することもできる。このパラメータは、
ウェハの異なるクリティカルな部分について異なるものとすることができる。さらに、欠
陥レビュー・システムは、DCAデータまたはデザイナ・インテント・データを使用して
、実際の欠陥とニューサンス欠陥を区別することができる。もう1つの例で、欠陥分析シ
ステムは、DCAデータおよび/またはデザイナ・インテント・データを使用して、ウェ
ハのうちで重要な区域(すなわち、非DCA区域)または最も重要な区域だけを分析する
ことができる。たとえば、ウェハ欠陥分析の1つまたは複数のパラメータを、ウェハの異
なる区域に関連するクリティカルさに基づいて決定することができる。この1つまたは複
数のパラメータを、ウェハのクリティカルな部分に位置する欠陥だけが分析されるように
選択することができる。このパラメータは、ウェハの異なるクリティカルな部分について
異なるものとすることができる。さらに、分析ステーションは、DCAデータまたはデザ
イナ・インテント・データを使用して、実際の欠陥とニューサンス欠陥を区別することが
できる。
【0064】
異なる実施形態では、レチクル検査システムまたはウェハ検査システムによって生成さ
れたデータを、DCAを生成するように構成されたプロセッサに送る。このプロセッサは
、検査によって生成されたデータをDCAデータと組み合わせて使用して、DCA内で検
出された欠陥をフィルタ・アウトすることによって、またはDCAに対応する検査データ
に対して欠陥検出を実行しないことによって、レチクルまたはウェハ上の実際の欠陥を識
別する。
【0065】
この方法に、ステップ32に示されているように、ウェハ上の実際の欠陥からウェハ上
のニューサンス欠陥を分離することを含めることもできる。一実施形態では、ニューサン
ス欠陥を、単純にニューサンス欠陥に欠陥としてフラグを全く立てないか識別しないこと
によって、実際の欠陥から分離することができる。したがって、ウェハ検査中に生成され
るデータに、ニューサンス欠陥を表すデータが含まれなくなる。他の実施形態では、ニュ
ーサンス欠陥と実際の欠陥に異なる指定を割り当て、両方のタイプの欠陥が記録され、異
なる指定に基づいて分離できるようにする。さらに他の実施形態では、ニューサンス欠陥
ファイルまたはニューサンス欠陥リストを、実際の欠陥ファイルまたは実際の欠陥リスト
と別に生成する。ニューサンス欠陥ファイルまたはニューサンス欠陥リストは、ユーザが
アクセス可能としてもしなくてもよい。たとえば、いくつかの例で、ユーザが、実際の欠
陥だけに関心を持ち、したがって、ニューサンス欠陥ファイルまたはニューサンス欠陥リ
ストの必要がない場合がある。他の例で、ユーザが、ニューサンス欠陥の許容可能性の検
証、半導体デバイス歩留まりに対するニューサンス欠陥の影響の判定、または他のデータ
とオーバーレイさせてのニューサンス欠陥の表示など、ニューサンス欠陥のさらなる処理
または分析のためにこのリストにアクセスすることができる。他の実施形態では、ニュー
サンス欠陥データを、ツール対ツールの比較または較正に使用する。たとえば、ニューサ
ンス欠陥データを使用して、異なる型とモデルの検査システムまたは同一の型とモデルの
検査システムを較正するか比較することができる。異なる型および/またはモデルの検査
システムを比較する場合に、ニューサンス欠陥を、KLARFFなどの共通データ構造を
有するファイルとしてストアすることができる。
【0066】
ステップ34に示されているように、この方法に、ニューサンス欠陥を表すデータでは
なく、実際の欠陥を表すデータを処理することが含めまれている。たとえば、ニューサン
ス欠陥を表すデータは、この欠陥が許容可能であると前に判定されているので、さらなる
処理、分類、レビュー、または分析を行わない。ニューサンス欠陥データの処理を除去す
ることによって、実際の欠陥データの処理が、より単純に、おそらくはより正確に、より
すばやくなる。実際の欠陥を表すデータの処理は、実際の欠陥の横寸法の判定、実際の欠
陥の材料の判定、実際の欠陥の分類、実際の欠陥のレビュー、実際の欠陥の根本原因の分
析を含むが、これに制限はされない。
【0067】
いくつかの実施形態では、この方法に、ステップ36に示されているように、ウェハの
2次元マップを生成することを含む。一実施形態では、ニューサンス欠陥を、ウェハ上で
検出された他の欠陥と共にこのマップに示す。そのような実施形態では、ニューサンス欠
陥を、1つまたは複数の異なる指定によって、マップ内の他の欠陥から区別する。他の実
施形態では、ニューサンス欠陥を、このマップに示さない。したがって、そのマップは、
ウェハ上で検出された実際の欠陥だけを示する。このようにすると、ニューサンス欠陥が
除去されているので、マップを、ユーザまたはプロセッサがよりすばやく分析することが
できる。2次元マップは、ウェハ全体(すなわち、ウェハ・マップ)またはウェハの一部
だけ(すなわち、1つまたは複数のダイ・マップ)を示す。一実施形態では、この方法に
、ウェハのさまざまな部分を示す複数の2次元マップを生成することを含む。さらに、こ
の方法に、ウェハのクリティカル部分を示す複数の2次元マップを生成することを含む。
ウェハのさまざまな部分のタイプは、マップ内で、異なる色、フラグ、または他のしるし
を使用して示してもよい。いくつかの実施形態では、2次元マップを、PROLITHデ
ータ区域、欠陥区域、検査区域などの他のデータにオーバーレイさせることができる。
【0068】
追加の実施形態では、この方法に、ステップ38に示されているように、ニューサンス
欠陥がウェハ上で最終的に製造される半導体デバイスの歩留まりに影響するかどうかを判
定することを含む。たとえば、歩留まりに対する許容可能なレチクル欠陥の実際の影響を
適宜分析する。一実施形態では、許容可能なレチクル欠陥の実際の影響を、パターン形成
されたウェハ上に形成された電気要素に対して実行される電気テストによって分析するこ
とができる。電気テストは、完全な半導体デバイスが電気要素から形成される前またはそ
の後に実行することができる。他の実施形態では、許容可能なレチクル欠陥の実際の影響
を、パターン形成されたウェハから形成される電気要素の電気的特性のシミュレーション
によって分析する。シミュレーション・プログラムに、許容可能なレチクル欠陥から生じ
たウェハ欠陥に関する特定の情報を供給する。この特定の情報に、計測学、検査、または
他の分析テストの結果を含む。
【0069】
他の実施形態では、この方法に、ステップ40に示されているように、許容可能なレチ
クル欠陥が正しく分類されたかどうかを判定するためにニューサンス欠陥を分析すること
を含む。たとえば、ニューサンス欠陥が、ウェハ上で製造された半導体デバイスの歩留ま
りに対して有する影響(ステップ38で判定することができる)を使用して、レチクル欠
陥が実際に許容可能であるかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、レチクル欠陥
の許容可能性を判定するためにニューサンス欠陥を分析することに、さらに、高解像度イ
メージングなど、計測学技法または実験的技法を含む。他の実施形態では、レチクル欠陥
の許容可能性を判定するためにニューサンス欠陥を分析することに、ニューサンス欠陥を
表すデータの分析または処理を含む。たとえば、モデル化を使用して、ニューサンス欠陥
がウェハ上に形成されるデバイスの電気的特性に対して有する影響を判定する。
【0070】
許容可能なレチクル欠陥が正しく分類されなかった場合に、この方法に、ステップ42
に示されているように、レチクルを分析し、リワークし、または廃棄しなければならない
かどうかを判定することを含む。たとえば、レチクルを分析して、サイズ、材料、位相特
性と伝送特性、レチクル上の他のフューチャへの近接など、不正に分類された欠陥に関す
る情報を生成する。さらに、レチクルのリワークに、不正に分類された欠陥の修理または
不正に分類された欠陥のレチクルからの除去を含む。修理プロセスに、ケミカリ・アシス
テッド・レーザ・リムーバル(chemically assisted laser removal)、レーザ誘起衝撃波
除去(laser induced shock wave removal)、またはパーティクル・ビーム・アシステッド
・リペア(particle beam assisted repair)を含む。ケミカリ・アシステッド・レーザ・
リムーバル・ツールの例が、本明細書に全体を示されたかのように参照によって組み込ま
れている、イスラエル国のOramir Semiconductor Equipme
nt Ltd.社のジェヌ(Genut)他、「Chemically Assiste
d Laser Removal of Photoresist and Parti
cles from Semiconductor Wafers」、28th Ann
ual Meeting of the Fine Particle Society
、1998年4月1〜3日で提示に示されている。レーザ誘起衝撃波除去ツールの例が、
本明細書に全体を示されたかのように参照によって組み込まれている、ヴォート(Vau
ght)への米国特許第5023424号に示されている。パーティクル・ビーム・アシ
ステッド・リペア・ツールの例を、当技術分野で既知の収束イオン・ビーム(FIB)技
法を実行するように構成することができる。そのようなパーティクル・ビーム・アシステ
ッド・リペア・ツールは、たとえば、米国マサチューセッツ州ピーボディのMicrio
n Corporation社から市販されている。その代わりに、レチクルのリワーク
に、エッチング・プロセスまたはストリッピング・プロセスなど、湿式または乾式の洗浄
プロセスを使用してレチクルを洗浄することを含む。不正に分類された欠陥が修理可能で
ない場合には、レチクルを廃棄する。さらに、不正に分類された欠陥の個数が修理のコス
トを実質的に高める場合に、レチクルを廃棄する。図1に示された方法に、本明細書に記
載のすべての方法の他のどのステップでも含めることができる。
【0071】
図4は、ウェハの検査によって生成されたデータをレチクルを表すデータと組み合わせ
て分析することによってウェハ上の欠陥を検出することを含むコンピュータで実施される
方法を示す流れ図である。この方法は、ステップ44に示されているように、レチクルを
表すデータを入手することを含む。レチクルを表すデータに、マクロ・レベル情報(SR
AMなど)を含む。マクロ・レベル情報に、一緒にマクロ・レベルにすることができる中
間レベル図(メモリ・ページなど)に集められた繰り返される小さい図(セルなど)を含
む。レチクルを表すデータを、ロジック内の別個の微細フューチャとすることもできる。
そのようなデータは、MEBESファイル、GDSIIファイル、またはレチクルの他の
標準ファイル記述で記述される。このファイルに、異なるタイプのレチクルの部分、レチ
クルのフューチャ、またはレチクルのフューチャの部分を区別する指定など、上で説明し
たデザイナ・インテント・データを含む。
【0072】
この方法には、ステップ46に示されているように、ウェハ検査のパラメータを決定す
ることも含まれている。たとえば、ウェハ検査のパラメータの決定に、レチクルを表すデ
ータに基づいて、異なるタイプのレチクルの部分、レチクル上のフューチャ、またはレチ
クル上のフューチャの部分に対応する異なるタイプのウェハの部分、フューチャ、または
ウェハ上のフューチャの部分を識別することを含む。一実施形態では、この方法に、ステ
ップ52に示されているように、ウェハの異なる部分を区別することを含めることもでき
る。ウェハの異なる部分は、レチクルを表すデータに基づいて判定する。具体的に言うと
、ウェハの異なる部分は、本明細書に記載のようにウェハの異なる部分に相関するレチク
ルの部分の異なるタイプを識別する指定に基づいて判定する。たとえば、レチクルの異な
る部分を、レチクルのこれらの異なる部分が印刷されるウェハ上の区域に相関させる。こ
のようにして、ウェハの異なる部分を、クリティカルまたは非クリティカルとして識別す
ることができる。
【0073】
代替案では、ウェハのクリティカル部分を、ウェハの異なる区域に関連するクリティカ
ルさに基づいて識別する。ウェハの異なる区域のクリティカルさは、上でさらに説明した
ように、デザイナ・インテント・データに反映させることができる。したがって、ウェハ
の異なる部分、フューチャ、またはウェハ上のフューチャの部分を、クリティカルまたは
非クリティカルとして識別できる。
【0074】
検査の異なるパラメータを、ウェハの異なる部分、フューチャまたはウェハ上のフュー
チャの部分に関連付ける。たとえば、異なるクリティカルさを有するクリティカル部分が
異なるパラメータを用いて検査されるように、パラメータを選択する。変更できるパラメ
ータに、感度とスループットを含むが、これに制限はされない。一例で、ウェハの部分が
非クリティカルとして識別された場合に、ウェハのこの部分を、ウェハのクリティカル部
分より低い感度と高いスループットで検査する。もう1つの例で、ウェハのフューチャが
クリティカルとして識別された場合に、ウェハのこのフューチャを、ウェハの非クリティ
カルフューチャより高い感度と低いスループットで検査する。このようにして、ウェハ検
査のパラメータをウェハ上で変更して、ウェハのクリティカル部分での検出の精度を下げ
ずに、感度とスループットの間のトレードオフのバランスをとることができる。さらに、
ウェハのクリティカル部分またはウェハの重要な部分だけが検査されるように、ウェハの
検査のパラメータを選択することができる。したがって、クリティカル部分または重要な
部分の検査の適度な感度を維持すると同時に、ウェハ検査の全体的なスループットを高め
ることができる。
【0075】
検査の他のパラメータを、類似する形で変更することができる。変更できる追加パラメ
ータに、明視野アレイ検査(bright field array inspection)に使用されるセル・サイズ
や、KLA−Tencor社から入手可能なAITシステムに含まれるものなどのアレイ
検出器に使用される点像分布関数が含まれる。さらに、検査のパラメータを、ウェハごと
に変更することができる。この方法に、ウェハ検査のパラメータをセットすることを含め
ることもできる。ウェハ検査のパラメータをセットすることに、ウェハ検査システムのハ
ードウェアおよび/またはソフトウェアをセット・アップすることを含む。
【0076】
ステップ48に示されているように、ウェハを、ステップ46で決定されたパラメータ
を使用して検査する。ウェハは、上で説明したように検査する。さらに、ウェハを、上で
説明したウェハ検査システムのいずれかを使用して検査する。いくつかの実施形態では、
ウェハ検査を、プロセス・モニタ検査として実行する。そのような検査は、プロセス中ま
たはプロセスがウェハに対して実行された後に実行することができる。さらに、そのよう
なウェハ検査は、プロセス中またはプロセス後にウェハを自動的に検査するように適切に
構成された検査システムによって自動的に実行することができる。プロセス・モニタ検査
の結果は、本明細書に記載のように、プロセスを分析するのに使用することができ、プロ
セスの1つまたは複数のパラメータを変更するのに使用することもできる。ステップ50
に示されているように、ウェハの検査はウェハの検査によって生成されたデータを作る。
【0077】
さらに、ステップ54に示されているように、この方法に、ウェハ上の欠陥検出のパラ
メータを決定することを含む。欠陥検出のパラメータの決定は、ウェハの部分のタイプに
基づいて行われる。変更できるパラメータに、たとえば、しきい値、アルゴリズムのタイ
プ、および/または検査方法(すなわち、アレイまたはランダム)を含む。いくつかの実
施形態では、所定のしきい値を、ウェハの部分の異なるタイプに関連付ける。このように
して、所定のしきい値を、ウェハの部分のタイプに基づいて、ウェハのその部分で欠陥を
検出するために選択することができる。一例で、ウェハの部分が、レチクル情報またはデ
ザイナ・インテント・データに基づいてウェハのクリティカル部分であると判定された場
合に、ウェハのこの部分に、ウェハの非クリティカル部分に使用されるしきい値より低い
しきい値を使用する。このようにして、欠陥検出の感度または方法を、ウェハのクリティ
カル部分と非クリティカル部分で異なるものにすることができる。さらに、特定の欠陥を
、検出された場合であっても無視できるように、検出のパラメータを選択することができ
る。たとえば、ニューサンス欠陥が検出された場合であってもこれらを無視するように、
検出のパラメータをセットする。このようにして、この方法に、異なる領域(すなわち、
複数しきい値に基づく領域)の欠陥を検出するための「差しきい値」について、プロセッ
サまたはイメージ・コンピュータでの検出に関するパラメータをセットすることを含む。
したがって、ウェハ上のニューサンス欠陥が、ウェハ上の実際の欠陥として分類されず、
検出されないようにすることができる。
【0078】
さらに他の実施形態によれば、レチクル・データまたはデザイナ・インテント・データ
と設計のフォールトトレランスに関する情報を使用して、どの欠陥を破棄し、またはニュ
ーサンス欠陥として分類するかを判定する。たとえば、欠陥の検出に、ウェハのある部分
の他のフューチャが所定のしきい値より大きい横寸法を有する場合に、ウェハのこの部分
に関連する所定のしきい値より小さい横寸法を有するウェハのこの部分の欠陥または事象
を破棄すること含める。そのような欠陥は、「キラー欠陥(killer defect)」でないこと
になるので、破棄することができる。異なる例で、ウェハのある部分または設計のセクシ
ョン内の回路の要素が所定の量の冗長性を有し、ウェハのこの部分の欠陥が所定の密度し
きい値を超えない場合に、ウェハのこの部分の欠陥を破棄する。そのような実施形態の1
つでは、完成時に回路をテストして、欠陥のある冗長要素を識別する。さらに、この回路
を再構成して、非欠陥冗長要素だけを残す。
【0079】
もう1つの例で、ウェハのクリティカル部分と非クリティカル部分について、異なるア
ルゴリズムが使用される。したがって、欠陥検出のパラメータを、ウェハ上で変更するこ
とができる。さらに、欠陥検出のパラメータを、ウェハごとに変更することもできる。検
出の他のパラメータを、類似する形で変更することができる。たとえば、検出された欠陥
に、欠陥が突き止められたウェハの部分またはウェハの部分のタイプを示す指定を用いて
自動的にタグを付けるように、検出のパラメータを選択する。そのような指定を使用して
、クリティカル・ディメンション(CD)測定、走査型電子顕微鏡分析、プロファイル分
析、または材料分析などの欠陥の適切な分析を判定する。類似する形で、欠陥に、個々の
欠陥に対して実行すべき分析のタイプを直接に示す指示を自動的に割り当てる。
【0080】
一実施形態では、レチクルの異なる部分をウェハの異なる部分に相関させることに、ス
テップ56に示されているように、レチクルの座標をウェハの座標に変換することを含む
。さらに、この方法に、レチクル上で検出された欠陥の位置の座標をウェハ上の1つまた
は複数の欠陥の位置の座標に変換することを含む。レチクルの座標のウェハの座標への変
換は、上で説明したように実行する。
【0081】
この方法に、ステップ58に示されているように、ウェハ上の欠陥を検出することを含
む。ウェハ上の欠陥の検出は、ウェハの検査によって生成されたデータをレチクルを表す
データと組み合わせて使用することによって実行する。たとえば、欠陥検出は、ウェハの
検査によって生成されたデータを、レチクルを表すデータに基づいて決定された検出のパ
ラメータと組み合わせて使用することによって実行する。
【0082】
この方法は、ステップ60に示されているように、ウェハ上の層を表すデータを入手す
ることをも含む。この層は、検査されるウェハのレベルの上または下である。一実施形態
では、ウェハの検査によって生成されたデータを、レチクルを表すデータとウェハの1つ
のレベルの上または下のウェハの少なくとも1つの層を表すデータと組み合わせて分析す
ることによって、欠陥検出を実行する。データのこの組合せは、欠陥の上または下のデバ
イスのフューチャが、いくつかの場合に欠陥のクリティカルさを変更する場合があるので
、クリティカル欠陥と非クリティカル欠陥の区別に使用することもできる。たとえば、欠
陥が突き止められたレベルに関してクリティカルでない欠陥が、そのウェハの別のレベル
の、その欠陥の上または下に位置するフューチャに関してクリティカルである場合がある
【0083】
1つの例で、検査される層が、ICのM3層の形成に使用される場合に、そのICのM
2層および/またはM4層に関する情報を入手し、欠陥検出に使用する。このようにして
、この方法に、現在処理されまたは検査されている層の上および/または下の1つまたは
複数の層を含むIC設計の複数の層の設計情報を使用して、クリティカル欠陥を識別し、
非クリティカル欠陥をフィルタ・アウトすることを含む。たとえば、ICの層の「ドント
・ケア区域」を、図3a〜3dに関して上で説明したように、ICの別の層のデータに基
づいて判定することができる。さらに、「ドント・ケア区域」内で検出された欠陥を、破
棄することができる。したがって、ウェハ上の欠陥のクリティカルさは、その欠陥が突き
止められた部分のクリティカルさと、その欠陥が突き止められたウェハのレベルの上また
は下のウェハの少なくとも1つの層を表すデータとに基づいて識別することができる。さ
らに、「ドント・ケア区域」内で生成された検査データを、欠陥検出中に分析しないよう
にすることができる。その代わりに、「ドント・ケア区域」を全く検査しないようにする
こともできる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本方法は、ウェハの1つのレベルで検出された欠陥の3次元
表現を生成することを含む。そのような実施形態の1つで、3次元表現に、ウェハのその
1つのレベルのおよび/またはこの1つのレベルの上または下のウェハの少なくとも1つ
の層の他のフューチャの3次元表現を含む。このようにして、この方法に、設計層の3次
元合成物を生成し、レビューされている欠陥のイメージのとなりに表示することを含む。
一実施形態では、欠陥が突き止められた層を強調表示することができ、この層の関連する
設計構造を、ある種の指定を用いて識別することができる。
【0085】
一実施形態によれば、レチクル設計情報またはデザイナ・インテント・データを、欠陥
の後続分析を決定する要因として使用する。たとえば、この方法は、さらに、ステップ6
2に示されているように、欠陥が突き止められた部分のクリティカルさに基づいて欠陥の
処理を決定することを含む。この処理に、クリティカル・ディメンション(CD)測定、
走査型電子顕微鏡分析、または当技術分野で既知の他の計測学、レビュー、もしくは分析
などの欠陥の追加の分析テストを含む。一実施形態では、適切な処理を、上で説明したよ
うに検出中に欠陥に割り当てられた指定に基づいて決定することができる。たとえば、光
学ウェハ検査システムを使用して検出された欠陥を、設計情報によって示されるウェハの
クリティカル区域内で突き止めることができる。この場合に、その欠陥を、電子ビーム・
レビュー・ツールを使用してレビューする。その代わりに、欠陥が、設計情報から明白な
ウェハのクリティカル区域に含まれないと思われる場合に、その欠陥のそれ以上のレビュ
ーを実行しないようにすることができる。このようにして、クリティカル欠陥として識別
された欠陥を、非クリティカル欠陥と別々に処理することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、欠陥の処理に、ウェハ上の欠陥を修理することを含む。ウェ
ハ上の欠陥の修理は、たとえば、洗浄プロセス、エッチング・プロセス、またはCMPプ
ロセスを使用してウェハ上の複数の欠陥を同時に修理することを含む。その代わりに、ウ
ェハ上の欠陥の修理は、たとえばFIB技法を使用して一時に1つずつ欠陥を修理するこ
とを含む。異なるタイプの欠陥を、異なる修理プロセスにかけることができる。たとえば
、クリティカル欠陥を、非クリティカル欠陥より正確な修理プロセスにかけることができ
る。すなわち、クリティカル欠陥と非クリティカル欠陥を別々に修理する。さらに、ウェ
ハ上で検出されたすべての欠陥のうちの一部だけを修理してもよい。たとえば、クリティ
カル欠陥を修理し、非クリティカル欠陥を修理しないようにすることができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、本方法は、ステップ64に示されているように、レチクル上
で検出された欠陥の印刷性を分析することを含む。たとえば、レチクル上の欠陥を、ウェ
ハの座標に変換されたレチクルの座標に基づいてウェハ上の欠陥または位置に相関させる
。さらに、レチクル欠陥に対応するウェハ上の欠陥または位置を識別し、分析して、その
レチクル欠陥がパターン形成されたウェハにどのように影響するかを判定する。許容可能
なレチクル欠陥の印刷性を判定して、これらの欠陥の許容可能性を確認し、または否定す
る。さらに、許容可能として識別されなかったレチクル欠陥の印刷性も、このようにして
分析する。
【0088】
本方法は、ステップ66に示されているように、ウェハ上で検出された欠陥をクリティ
カル欠陥または非クリティカル欠陥として分類することをも含む。一実施形態では、欠陥
を、その欠陥が突き止められたウェハ上の部分に基づいて、クリティカル欠陥または非ク
リティカル欠陥として分類する。異なる実施形態では、欠陥を、ウェハ上のクリティカル
なまたは非クリティカルなフューチャまたはフューチャの部分への欠陥の近さに基づいて
、クリティカル欠陥または非クリティカル欠陥として分類する。たとえば、クリティカル
フューチャから約100nm以内にある欠陥を、クリティカルとして識別し、クリティカ
ルフューチャから少なくとも約1000nmにある欠陥を、クリティカルでないものとし
て識別する。これらの距離は、単に例示的であり、たとえば、フューチャのタイプ(すな
わち、ゲート構造またはコンタクト構造)や欠陥のサイズに大きく依存する。追加の実施
形態では、レチクル上の許容可能な欠陥に相関するウェハ上の欠陥を、非クリティカル欠
陥またはニューサンス欠陥として識別する。さらに他の実施形態では、欠陥を、位相、透
過、横寸法など、欠陥の特性に基づいて、クリティカル欠陥または非クリティカル欠陥と
して分類する。分類のパラメータは、欠陥が突き止められたウェハの部分または欠陥が突
き止められたウェハの部分のクリティカルさに基づいて判定される。この場合、欠陥が突
き止められたウェハの部分は、欠陥に分類を割り当てる際の要因である。欠陥の分類は、
イメージ・コンピュータによってまたは検出後ソフトウェアによって実行される。欠陥の
分類に、他の「タイプ」を欠陥に割り当てることをも含めてもよい。たとえば、欠陥の分
類に、欠陥をスクラッチ、粒子、またはピットとして識別することを含む。いくつかの実
施形態では、欠陥の分類に、当技術分野で既知のDSA(defect source
analysis)アルゴリズムまたは当技術分野で既知の他のアルゴリズムもしくは欠
陥分類法を使用することを含む。
【0089】
本方法は、ステップ68に示されているように、上で説明したように検出中に指定が割
り当てられていない場合に、欠陥に指定を割り当てることを含む。この指定は、欠陥が突
き止められたウェハの異なる部分に関連付ける。さらに、欠陥に割り当てられる指定は、
欠陥が突き止められたウェハの部分のクリティカルさに基づいて行われる。この指定に、
フラグ、英数字文字、または異なるタイプの欠陥を区別するのに使用できる他の目印を含
む。欠陥を表すデータと欠陥に割り当てられた指定は、単一のファイルにストアされる。
その代わりに、欠陥を表すデータをあるファイルにストアし、欠陥に割り当てられた指定
を異なるファイルにストアすることができる。
【0090】
ステップ70に示されているように、本方法は、クリティカル欠陥を非クリティカル欠
陥から分離することを含む。クリティカル欠陥を非クリティカル欠陥から分離することは
、上で説明したように実行する。いくつかの実施形態では、本方法は、許容可能なレチク
ル欠陥の位置に対応するウェハ上の座標でのウェハの検査によって生成されたデータを、
そのウェハ検査によって生成されたデータから除去することを含む。さらに、本方法は、
ステップ72に示されているように、クリティカル欠陥を表すデータと非クリティカル欠
陥を表すデータを別々に処理することを含む。クリティカル欠陥を表すデータと非クリテ
ィカル欠陥を表すデータを別々に処理することは、上で説明したように実行する。
【0091】
ステップ74に示されているように、本方法は、さらに、クリティカル欠陥と非クリテ
ィカル欠陥に関する情報に基づいて、ウェハに対して実行される処理を分析することを含
む。デザイナ・インテント・データを使用することによって、上で説明したように、検査
とレビューのためのクリティカル欠陥の識別と非クリティカル欠陥のフィルタ・アウトが
可能になる。しかし、一実施形態では、製造プロセスに関する問題の分析と解決に、クリ
ティカル欠陥情報と非クリティカル欠陥情報の両方が使用される。異なる実施形態では、
非クリティカル欠陥データを、プロセス分析とトラブルシューティングに選択的に使用す
ることができる。たとえば、本方法は、レチクルを用いてウェハにパターン形成するのに
使用されたリソグラフィ・プロセスを分析することを含む。さらに、クリティカル欠陥と
非クリティカル欠陥に関する情報を使用して、リソグラフィ・プロセスの1つまたは複数
のパラメータを変更する。たとえば、本方法は、フィードバック制御技法を使用してリソ
グラフィ・プロセスの1つまたは複数のパラメータを変更することを含む。リソグラフィ
・プロセスの1つまたは複数のパラメータを変更して、そのレチクルを使用して処理され
る追加のウェハで作られるクリティカル欠陥の数を減らすことができる。図4に示された
方法に、本明細書に記載のすべての他の方法の他のどのステップでも含めることができる
【0092】
図5は、製造プロセスの分析に欠陥情報を選択的に使用するコンピュータで実施される
方法の一実施形態を示す流れ図である。現在の実践では、ファウンドリ(foundry)または
IC製造施設が、特有の欠陥分布を入手するために、さまざまなIC製造ステージを通じ
てウェハ上で発生する欠陥を検査し、レビューしている。この欠陥分布は、その後、歩留
まりの予測、プロセス限度の識別、対処を含むさまざまな目的に使用される。この手法の
限度は、欠陥分布が、それぞれの完成したICデバイスの動作に悪影響を有しない欠陥を
無視できないことである。本明細書に記載のコンピュータで実施される方法は、製造プロ
セスの分析に関係する欠陥のより正確な優先順位付けを実現するために欠陥分布を洗練す
ることによってこの制限に対処する。
【0093】
一実施形態によれば、製造プロセスのプロパティを判定するコンピュータで実施される
方法に、その製造プロセス中の異なる時に実行されたウェハ検査によって生成された欠陥
情報を入手することを含む。各検査によって生成された欠陥情報はストアされる。たとえ
ば、欠陥情報を、メモリ媒体、データベース、またはファブ・データベースにストアする
ことができる。図5に示されているように、本方法は、ステップ76に示されているよう
に、製造プロセスを使用して処理されたウェハ上の不良ダイを識別することを含むことも
できる。ウェハ上の不良ダイを識別することに、製造プロセスの終りにダイに対して機能
テストを実行することを含む。その代わりに、ウェハ上の不良ダイを識別することは、製
造プロセス中にある点でダイに対して電気テストを実行することを含んでもよい。不良ダ
イには、所定の範囲の外の機能性を有する1つまたは複数の電気要素が含まれる。
【0094】
さらに、本方法は、ステップ78に示されているように、ウェハ上の欠陥の異なる部分
を識別することが含まれる。一実施形態では、ウェハ上の欠陥の異なる部分は、ウェハの
検査よって生成されたデータと、不良ダイ内の1つまたは複数の電気要素の設計を表す情
報との組合せに基づいて識別される。検査データは、ウェハの複数の検査(すなわち、製
造プロセス中の異なる時に実行された検査)によって生成されたデータを含む。欠陥の1
つの部分が、1つまたは複数の電気要素によって形成されるデバイスの特性を変更し、そ
の特性が所定の限度の外になる場合がある。たとえば、不良ダイの欠陥情報を効率的に正
確に分析して、非クリティカル欠陥を選択的に無視しながらクリティカル欠陥を識別する
ために設計情報が使用される。クリティカル欠陥は、本明細書に記載のように非クリティ
カル欠陥から区別することができる。もう1つの例で、設計情報を使用して、ウェハ検査
中またはレビュー中に識別された、最終的なICデバイスに影響を有する、存在しないか
あるしきい値未満の欠陥をフィルタ・アウトすることができる。結果の欠陥分布は、製造
プロセスに関係する欠陥の個数とタイプのより正確な測定値をもたらす。
【0095】
本方法は、さらに、ステップ80に示されているように、欠陥の1つの部分に基づいて
製造プロセスのプロパティを決定することが含まれる。たとえば、製造プロセスのプロパ
ティが、非クリティカル欠陥ではなくクリティカル欠陥に基づいて決定される。一実施形
態では、製造プロセスのプロパティが、欠陥の部分のキル・レシオ(kill ratio)である。
さらに他の実施形態では、製造プロセスのプロパティは製造プロセスの歩留まりである。
ある非クリティカル欠陥を検討から除去することによって、このコンピュータで実施され
る方法の一実施形態は、製造プロセスの「キル・レシオ」特性のより正確な判定を容易に
し、これによって、固有の歩留まりのより正確な推定が可能になる。
【0096】
本方法は、ステップ82に示されているように、製造プロセスのプロパティに基づいて
製造プロセスの1つまたは複数のパラメータを変更することを含む。製造プロセスの1つ
または複数のパラメータは、フィードバック制御技法を使用して変更される。製造プロセ
スのキル・レシオまたは歩留まりのより正確な判定に基づいてパラメータを決定できるの
で、変更されたパラメータを使用する製造プロセスの実行を、大きく改善することができ
る。この製造プロセスを、そのような形で複数回分析し、変更して、この製造プロセスの
キル・レシオを減らし、歩留まりをさらに高めることができる。図5に示された方法に、
本明細書に記載のすべての他の方法の他のどのステップでも含めることができる。
【0097】
図6は、製造プロセス中に実行されたウェハの検査によって生成されたデータに基づい
てICの設計を変更することを含むコンピュータで実施される方法を示す流れ図である。
一実施形態によれば、この方法は、ICデバイスの製造プロセス中に得られた欠陥情報に
基づいてICデバイスの設計プロセスの質を高めるのに使用することができる。欠陥情報
は設計情報に関して分析される。この方法は、ICデバイスの設計フェーズと製造フェー
ズが設計情報に基づいて漸進的に最適化されるフィードバック方法を提供する。
【0098】
現在、ICデバイスの製造フェーズ中の欠陥検査とレビューは、製造プロセスごとに大
量の欠陥関連データを作る。ファウンドリは、一般に、この欠陥データの使用を、ICデ
バイスの後続バッチの欠陥をなくすという目的を有するプロセス問題の即座のトラブルシ
ューティングに制限している。しかし、製造されるICデバイスの特性によっておよび製
造フェーズ中に使用されるプロセスによって課されるさまざまに制約する制限に依存して
、プロセスのさらなる改善が、ある点で困難かつ高価になり、欠陥削減に対する影響が減
る場合がある。たとえば、マイクロプロセッサの製造フェーズ中に実行される1つまたは
複数のプロセスが、クリティカル・ディメンション要件を信頼できる形で満足できない場
合がある。
【0099】
このコンピュータで実施される方法に、ステップ84に示されているように、ICを設
計することが含まれる。ICは、当技術分野で既知の任意の方法を使用して設計される。
この方法には、ステップ86に示されているように、製造プロセスを使用してウェハを処
理することも含まれる。製造プロセスに、堆積、リソグラフィ、エッチング、化学的機械
的平坦化、めっき、イオン注入、洗浄、エピタキシなどの複数の個々のプロセスを含む。
さらに、製造プロセスに、個々のプロセスのいくつかを複数回実行することを含む。ステ
ップ88に示されているように、本方法は、製造プロセス中にウェハを検査することが含
まれる。ウェハを、製造プロセス中に複数回検査する。たとえば、ウェハを、リソグラフ
ィ・プロセスの後、エッチング・プロセスの後、化学的機械的平坦化プロセスの後、およ
び/または洗浄プロセスの後に検査する。いくつかの場合に、ウェハを、1つまたは複数
の個々のプロセス中に検査する。
【0100】
クリティカル欠陥と非クリティカル欠陥を、ウェハの検査中にウェハ上で検出すること
ができる。ステップ90に示されているように、本方法は、IC設計に基づいてウェハ上
のクリティカル欠陥と非クリティカル欠陥を区別することを含む。たとえば、IC設計に
、設計の異なる部分を示す指定を含む。この指定を、さらに、上で説明したように構成す
ることができる。一実施形態では、欠陥のクリティカルさを、その欠陥が突き止められた
設計の部分に基づいて判定することができる。さらに他の実施形態では、クリティカル欠
陥は、ICの1つまたは複数の特性を変更することになる欠陥を含む。対照的に、非クリ
ティカル欠陥は、ICの1つまたは複数の特性を実質的に変えない欠陥である。
【0101】
いくつかの実施形態では、本方法は、ステップ92に示されているように、クリティカ
ル欠陥を非クリティカル欠陥から分離することを含む。このようにして、クリティカル欠
陥を、非クリティカル欠陥と別々に簡単に処理することができる。クリティカル欠陥と非
クリティカル欠陥は、上で説明したように分離される。さらに、本方法は、ステップ94
に示されているように、その実質的な部分にクリティカル欠陥を含むウェハ上で検出され
た欠陥に基づいて、ICの設計を変更することが含まれる。このように設計情報を使用す
ることによって、この方法は、完成したICデバイスの機能性にクリティカルでない欠陥
を選択的に無視し、これによって、現在使用されている方法の制限を減らすか除去する。
図6に示されているように、ICの設計の変更は、フィードバック制御技法を使用して実
行される。
【0102】
一実施形態では、製造プロセス中に形成されるクリティカル欠陥の個数を減らすように
、ICの設計を変更する。さらに他の実施形態では、本方法は、ステップ96に示されて
いるように、クリティカル欠陥に基づいて製造プロセスの歩留まりを判定することを含む
。そのような実施形態では、製造プロセスの歩留まりを高めるようにICの設計を変更す
る。いくつかの実施形態では、本方法は、ステップ98に示されているように、ウェハ上
に形成されたクリティカル欠陥の少なくとも一部をもたらした製造プロセスの1つまたは
複数の個々のプロセスを識別することを含む。したがって、設計情報を使用することによ
って、この方法は、製造フェーズ中の真に制限的なプロセスをより正確に識別することが
できる。
【0103】
一実施形態によれば、改善された信頼の度合でこれらの制限的プロセスを識別したなら
ば、制限的プロセスの失敗を誘導する傾向がある設計の特定の特性に関する情報を使用し
て、ICデバイスの設計を洗練する。このようにして、ICの設計を、ウェハ上のクリテ
ィカル欠陥を作る個々のプロセスに応答して変更する。そのような実施形態の1つで、本
方法は、ステップ100に示されているように、ICの設計がクリティカル欠陥の形成に
寄与しているかどうかを判定することを含む。さらに、ICの設計を変更して、個々のプ
ロセス中に形成されるクリティカル欠陥の個数を減らすことができる。
【0104】
製造フェーズ中のクリティカル欠陥を減らす質を高められた設計は、後続の検査とレビ
ュー中に高い感度とスループットをもたらすことができる。IC設計フェーズの質を高め
るこのフィードバック方法を複数回実行して、製造フェーズの歩留まりを漸進的に改善す
ることができる。追加の実施形態では、製造プロセスを、ウェハ上で検出された欠陥に関
する情報に基づいて変更することができる。図6に示された方法に、本明細書に記載のす
べての他の方法の他のどのステップでも含めることができる。
【0105】
図7は、記憶媒体102を示す概略図である。一実施形態では、この記憶媒体をデータ
ベースとすることができる。さらに他の実施形態では、この記憶媒体が、当技術分野で既
知のデータのストアに適するすべての媒体を含む。この記憶媒体102は、IC設計を表
すデータ104を含む。この記憶媒体102は、IC製造プロセスを表すデータ106も
含む。さらに、この記憶媒体102は、IC製造プロセス中にウェハ上で検出された欠陥
を表す欠陥データ108を含む。この欠陥データは、欠陥の実質的な部分に、ICの1つ
または複数の特性を変更するクリティカル欠陥が含まれるようにフィルタリングされる。
具体的に言うと、欠陥情報を、設計情報を使用してフィルタリングして、完成したICデ
バイスの機能性に影響しないか、あるいは限られた影響だけを有する非クリティカル欠陥
を除外することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、この記憶媒体は、クリティカル欠陥とIC設計の間の関係を
表すデータ110も含む。具体的に言うと、この関係は、IC設計特性と、さまざまな製
造プロセスに関する製造フェーズ中に発生することになる欠陥との間の関係である。一実
施形態では、この記憶媒体を使用して、IC設計を表すデータ104、IC製造プロセス
を表すデータ106、欠陥データ108に基づいてIC設計を変更することができる。い
くつかの実施形態では、この記憶媒体を使用して、IC設計特性と欠陥の間の関係を使用
してIC設計を変更する。したがって、この記憶媒体を、設計フェーズ中に使用して、製
造可能性に関する設計の適応度を高めることができる。さらに、図7に示された記憶媒体
は、図6に示された方法を実行するのに使用することができる。
【0107】
図8は、製造プロセス中のウェハの検査によって生成された欠陥データに基づいてIC
の1つまたは複数の特性をシミュレートすることを含むコンピュータで実施される方法の
実施形態を示す流れ図である。欠陥の実質的な部分は、ICの1つまたは複数の特性を変
更することのできるクリティカル欠陥を含む。いくつかの実施形態では、この方法を使用
して、完全なICデバイスの機能性に対する欠陥の影響をシミュレートする。対照的に、
現在のIC設計ツールは、製造プロセス情報を使用せずにIC設計の性能をシミュレート
している。その代わりに、そのようなシミュレーションは、一般に、設計ルールとタイミ
ングの間の関係など、非プロセス関連の関係に焦点を合わせている。さらに、完全に製造
されたICデバイスに対する欠陥の影響をシミュレートするツールは、現在、欠陥に関す
る限られた情報だけを考慮に入れている。その結果、IC設計に対する欠陥の影響を予測
する能力は、比較的不正確であり、信頼できない。対照的に、本明細書に記載の方法は、
製造プロセス情報を考慮に入れることによって、IC設計の性能のシミュレーションの質
を高められた方法をもたらす。さらに、本明細書に記載の方法は、最終的な完成したIC
デバイスの機能性に対する欠陥の影響をシミュレートしながら総合的な欠陥情報を利用す
ることによって、他のシミュレーション方法の制限に対処する。製造プロセス情報と総合
的な欠陥情報は、IC設計情報を使用することによって入手することができる。
【0108】
ステップ112に示されているように、本方法は、ウェハを検査することによってデー
タを生成することを含む。ウェハは、製造プロセス中のいつでも検査する。代替実施形態
では、本方法は、上で説明したようにウェハの検査によって生成されたデータを入手する
ことを含む。一実施形態では、データを、ICデバイスの製造プロセスのさまざまなステ
ージ中に実行される検査とレビューによって生成することができる。いくつかの実施形態
では、欠陥に関する情報はウェハ上の欠陥位置の座標と3次元欠陥プロファイルを含む。
しかし、欠陥に関する情報は、検査中またはレビュー中に生成できる欠陥に関する他のす
べての情報をも含む。
【0109】
本方法は、ステップ114に示されているように、クリティカル欠陥を非クリティカル
欠陥から分離することも含む。クリティカル欠陥は、本明細書に記載のようにデザイナ・
インテント・データを使用することによって非クリティカル欠陥から分離することができ
る。たとえば、本方法は、ICの設計に基づいて検査中に検出されたクリティカル欠陥と
非クリティカル欠陥を区別することを含む。非クリティカル欠陥は、ICの1つまたは複
数の特性を実質的に変えない欠陥(すなわち、ICデバイスの性能にクリティカルでない
欠陥)として識別することができる。このようにして、設計情報に基づいて完成したIC
デバイスの性能にクリティカルでないと判定された欠陥を選択的に無視することによって
、製造フェーズ中に使用されるさまざまなプロセスの歩留まりと性能に関する情報を得る
ことができる。
【0110】
本方法は、ステップ116に示されているように、欠陥データに基づいてICの1つま
たは複数の特性をシミュレートすることを含む。いくつかの実施形態では、上で入手され
たさまざまな製造プロセスに関する情報を、ICの1つまたは複数の特性のシミュレーシ
ョンに使用することもできる。上で入手されたさまざまな製造プロセスに関する情報を使
用して、ICデバイスの設計の性能をより正確にシミュレートすることができる。さらに
、欠陥情報のそのような前処理は、シミュレーションをより効率的に、高速に、より少な
い計算リソースを使用して実行できることを保証する。特定の実施形態では、シミュレー
ションに使用される欠陥データに、欠陥座標と3次元欠陥プロファイルが含まれる。IC
の1つまたは複数の特性に、電圧低下、タイミング低速化、部分的デバイス障害、全体的
デバイス障害を含むが、これに制限はされない。図8に示された方法に、本明細書に記載
のすべての他の方法の他のどのステップでも含めることができる。
【0111】
図9は、欠陥データに基づいて試料上のパターンの配置を決定することを含むコンピュ
ータで実施される方法の実施形態を示す流れ図である。一実施形態では、本方法は、設計
情報を使用して、設計パターンと欠陥を示す空白媒体とを選択的に突き合わせることが含
まれる。一実施形態では、試料は空白レチクル基板である。代替実施形態では、試料はウ
ェハである。ウェハは、空白ウェハまたはパターン形成された層を形成される前のウェハ
とすることができる。しかし、ウェハは、前に形成された他のパターン形成された層を有
していても良い。そのような前にパターン形成された層は、パターン形成されようとして
いる層の下に形成されている。しかし、本明細書に記載のコンピュータで実施される方法
は、半導体産業以外の技術分野で既知の試料を含む、欠陥を示すことになる媒体または試
料にパターンがインプリントまたは他の形でインプリントされるほとんどの場合に適用す
ることができる。
【0112】
ステップ118に示されているように、本方法は、試料を検査することによってデータ
を生成することを含む。異なる実施形態では、本方法は、上で説明したように試料の検査
によって生成されたデータを入手することを含む。本方法は、ステップ120に示されて
いるように、パターンのクリティカル部分を識別することを含む。いくつかの実施形態で
は、パターンのクリティカル部分の識別を、本明細書に記載のように設計情報に基づいて
行われる。代替実施形態では、本方法は、そのような設計情報なしでパターンのクリティ
カル部分を識別することを含む。たとえば、空白レチクル基板に関するパターンのアライ
ンメントを、設計情報を使用せずに実行することができる。
【0113】
さらに、本方法は、ステップ122に示されているように、試料上のパターンの配置を
決定することを含む。パターンの配置の決定に、パターンを横に平行移動させること、パ
ターンを回転させること、パターンをスケーリングすること、またはこれらの任意の組合
せを含む。パターンを横に平行移動させることに、x方向および/またはy方向でパター
ンを横に平行移動させることを含む。一実施形態では、パターンの配置の決定に、試料上
の欠陥の実質的な部分がパターンとオーバーラップしないようにパターンの配置を選択す
ることを含む。いくつかの実施形態では、パターンの配置の決定に、試料上の欠陥の位置
に関するパターンのクリティカル部分の配置を決定することを含む。たとえば、パターン
の配置の決定に、試料上の欠陥の実質的な部分がパターンのクリティカル部分とオーバー
ラップしないようにパターンの配置を選択することを含む。特定の一例で、空白レチクル
基板の検査によって、基板上の複数の欠陥を識別する。そのレチクル基板に印刷される設
計パターンを、空白レチクル基板上の欠陥が設計パターンのどのクリティカル区域ともオ
ーバーラップしないように、レチクル基板にアラインし、印刷することができる。追加の
実施形態では、パターンの配置の決定に、試料上の欠陥とパターンのクリティカル部分の
間のオーバーラップの量が所定のしきい値未満になるようにパターンの配置を選択するこ
とを含む。このようにして、試料上の欠陥と試料上のクリティカル区域の間のオーバーラ
ップのある度合を許容することができ、設計パターンを、オーバーラップの度合があるし
きい値未満になるように印刷することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、本方法は、ステップ124に示されているように、試料上の
欠陥とパターンのクリティカル部分の間のオーバーラップを決定することをも含む。さら
に他の実施形態では、試料が空白レチクル基盤である場合に、本方法は、レチクル上の欠
陥とパターンのクリティカル部分の間のオーバーラップの量を決定することを含む。空白
レチクル上の欠陥と設計パターンのクリティカル区域の間のオーバーラップの度合は、パ
ターン形成されたレチクルをウェハの露光に使用することによって作られるクリティカル
欠陥の期待される個数のインジケータとすることができる。したがって、そのような実施
形態に、ステップ126に示されているように、そのレチクルを使用することによってウ
ェハ上で作られることになるクリティカル欠陥の個数を推定することを含めることもでき
る。さらに他の実施形態では、ステップ128に示されているように、試料が空白のレチ
クル基板である場合に、本方法は、座標系に関するパターンの配置に基づいて、露光ツー
ルおよび/またはウェハに関するレチクルのアラインメントを決定することを含む。たと
えば、公称座標に関する設計パターンの変位に関する情報を、ストアすることができ、後
にこれを使用して、レチクルをステッパおよび/またはウェハに正しくアラインさせるこ
とができる。類似する形で、レチクルを、ウェハ・パターン形成中に、欠陥を示すウェハ
に選択的にアラインさせることができる。
【0115】
図9に示されたコンピュータで実施される方法は、空白のレチクル基板とウェハ上の欠
陥を許容する能力、空白のレチクル基板、ウェハを交換または修理する必要を減らし、さ
らにはなくすことによるコスト節約や、欠陥がある空白のレチクル基板とウェハの拒絶お
よび交換に関連する処理の遅れを減らし、さらにはなくすことによる時間の節約を含むが
これに制限されない複数の利益をもたらす。図9に示された方法に、本明細書に記載のす
べての他の方法の他のどのステップでも含めることができる。
【0116】
図10は、欠陥の重要性を判定するコンピュータで実施される方法の実施形態を示す流
れ図である。レチクルは、半導体デバイスの製造でマスタ・パターンとして使用される。
レチクルの自動化検査は、これらの半導体デバイスの生産の標準的なステップである。検
査は、欠陥廃棄判断基準に基づいて拒絶され、修理され、洗浄され、または合格すること
になるレチクルの欠陥を検出するのに使用される。レチクル上の重要な欠陥が、1つであ
っても、そのレチクルを用いて製造されるすべての半導体デバイスの故障または何らかの
形のきずを引き起こすことになるので、検査はクリティカルである。より複雑な半導体設
計が開発された時に、その設計が、より複雑なレチクルやより複雑なリソグラフィ技法を
もたらす。より小さい設計サイズが、高まる複雑さと組み合わされて、レチクル欠陥の検
出と正確な処理の高まる難しさをもたらした。たとえば、レチクルにあるもの(設計また
は欠陥)とどの結果のパターンがウェハに生成されるかの間に実質的に非線形の関係があ
る。
【0117】
欠陥の印刷性を判定する方法が開発されてきた。たとえば、レチクル欠陥印刷性を判定
するシステムと方法は、本明細書に全体を示されたかのように参照によって組み込まれて
いる、バッカ(Vacca)他の米国特許第6076465号、バッカ(Vacca)他
の米国特許第6381358号、およびバッカ(Vacca)他の2002年2月11日
出願の米国特許出願第10/074857号、名称「System and Metho
d for Determining Reticle Defect Printab
ility」に示されている。デザイナ・インテント・データの例と、レチクル検査の使
用の方法の例が、本明細書に全体を示されたかのように参照によって組み込まれている、
グラッサ(Glasser)他の米国特許第6529621号およびグラッサ(Glas
ser)他のPCT出願第WO 00/36525号に示されている。
【0118】
本明細書に記載のコンピュータで実施される方法は、レチクル上の欠陥の重要性または
潜在的な重要性を判定する方法を提供する。この方法は、レチクル・パターン生成システ
ムまたはレチクル検査システムを利用することができる。ステップ130に示されている
ように、本方法は、レチクル上の異なる領域の設計重要性を判定することが含まれる。い
くつかの実施形態では、レチクル上のより高いまたはより低い設計重要性を有する領域を
、レチクルに関する情報とレチクル設計全体のコンテキストを用いて自動コンピュータ・
プログラムによって判定することができる。レチクル上の異なる領域の設計重要性の判定
は、検査の前に実行される前処理ステップ中に実行しても、しなくてもよい。その代わり
に、異なる領域の設計重要性の判定を、検査中に、または検査後に実行される後処理ステ
ップ中に実行することができる。
【0119】
本方法は、ステップ132に示されているように、レチクル上で検出された欠陥の設計
重要性を判定することを含めることもできる。設計重要性は、欠陥がレチクルの設計にど
のように影響するかの尺度である。欠陥の設計重要性は、欠陥が突き止められたレチクル
上の領域の設計重要性に基づいて判定することができる。その代わりに、欠陥の設計重要
性は、欠陥を表すデータをしきい値と比較し、データがしきい値を超える場合にその欠陥
が設計重要性を有すると判定することによって判定される。いくつかの実施形態では、欠
陥を表すデータに、欠陥の位相および/または透過、欠陥の横寸法、あるいは欠陥とレチ
クル上の他のフューチャの間の距離を含む。一実施形態では、しきい値を、レチクル上の
欠陥の位置に応じて変更することができる。したがって、レチクル上の各欠陥または各位
置は、それを超えると欠陥が設計重要性を有すると判定できるしきい値を有する。たとえ
ば、このしきい値は、より高い設計重要性を有するレチクルの領域内で、より低い設計重
要性を有するレチクルの領域内のしきい値の値より小さい値を有する。
【0120】
本方法は、ステップ134に示されているように、レチクル上の異なる領域のリソグラ
フィ的重要性を判定することも含まれる。たとえば、レチクルが使用されるリソグラフィ
・プロセスに関する情報を入手することができる。一実施形態では、リソグラフィ・プロ
セスに関する情報を、ファブ・データベースから入手することができる。さらに他の実施
形態では、リソグラフィ・プロセスに関する情報を、リソグラフィ・プロセスに関するプ
ロセス・ウィンドウを判定するのに使用できるシミュレーション・ソフトウェアから入手
することができる。異なる実施形態では、リソグラフィ・プロセスに関する情報を、PW
C(process window characterization)レチクルを使
用して得られた実験結果から入手することができる。レチクル上のより高いまたはより低
いリソグラフィ的クリティカルさの領域を、いくつかの実施形態では、レチクルの設計と
リソグラフィ・プロセスに関する情報を用いて自動コンピュータ・プログラムによって判
定することができる。レチクル上の異なる領域のリソグラフィ的重要性の判定は、レチク
ル検査の前に実行される前処理ステップ中、レチクル検査中、および/またはレチクル検
査の後に実行される後処理ステップ中に実行することができる。
【0121】
この方法には、さらに、ステップ136に示されているように、レチクル上で検出され
た欠陥のリソグラフィ的重要性を判定することが含まれる。リソグラフィ的重要性は、欠
陥がレチクルを使用するリソグラフィ・プロセスによってパターン形成されるウェハにど
のように影響するかの尺度である。欠陥のリソグラフィ的重要性は、欠陥が突き止められ
たレチクル上の領域のリソグラフィ的重要性に基づいて判定する。その代わりに、欠陥の
リソグラフィ的重要性を、欠陥を表すデータをしきい値と比較し、データがしきい値を超
える場合にその欠陥がリソグラフィ的重要性を有すると判定することによって判定するよ
うにしてもよい。欠陥を表すデータに、上で説明したデータのどれでも含めることができ
る。一実施形態では、しきい値を、レチクル上の欠陥の位置に応じて変えるようにするこ
ともできる。このようにすれば、レチクル上の各欠陥または各位置が、それを超えると欠
陥がリソグラフィ的重要性を有すると判定できるしきい値を有することになる。たとえば
、このしきい値は、より高いリソグラフィ的重要性を有するレチクルの領域内では、より
低いリソグラフィ的重要性を有するレチクルの領域内のしきい値の値より小さい値を有す
ることができる。
【0122】
ステップ138に示されているように、本方法は、レチクル上で検出された欠陥の総合
重要性を判定することを含む。欠陥の総合重要性は、欠陥の設計重要性とリソグラフィ的
重要性に基づいて判定する。したがって、この方法を使用して、レチクル上の特定の位置
の欠陥の設計重要性をウェハ上の特定の位置の欠陥のリソグラフィ的重要性と組み合わせ
て判定することによって、欠陥の総合重要性を判定する。欠陥の総合重要性は、次の4つ
のカテゴリのうちの1つから選択することができる。リソグラフィ的重要性と設計重要性
、リソグラフィ的重要性のみ、設計重要性のみ、重要性なし。各欠陥を、この4つのカテ
ゴリのうちの1つに割り当てることができる。
【0123】
図11に示されたチャートは、欠陥をこのカテゴリのそれぞれにどのように含めるかを
示す概念図である。図11からわかるように、欠陥の重要性は、サイズの関数に対する振
幅(または透過率)と位相として変化する。しかし、欠陥の重要性は、欠陥とレチクル上
の他の特性の関数として変化することもある。たとえば、欠陥の重要性は、レチクルの欠
陥と他のフューチャとの間の距離の関数として変化する。さらに図11に示されているよ
うに、レチクル上で検出された異なる欠陥が、設計重要性またはリソグラフィ的重要性を
有する。ある種の重要性を有するすべての欠陥のうちで、これらの欠陥のうちの小さい部
分であっても、設計重要性とリソグラフィ的重要性の両方を有する。重要性に関する両方
の判断基準を欠陥に適用することによって、より重要でない領域または欠陥に関する情報
を保存しながら(望まれる場合に)、レチクルに関する最も重要な領域または欠陥に基づ
いて半導体製造プロセスを分析し、または変更することが可能になる。
【0124】
いくつかの実施形態では、本方法は、図10のステップ140に示されているように、
レチクルの処理を決定することを含む。そのような実施形態の1つで、レチクルの処理を
、レチクル上の個々の欠陥の設計重要性、リソグラフィ的重要性、および/または総合重
要性に基づいて決定することができる。レチクルの処理に、レチクルの拒絶、レチクルの
修理、および/またはレチクルの洗浄を含むが、これに制限はされない。両方のタイプの
重要性に関する情報を組み合わせることによって、あるレチクルを拒絶し、修理し、また
は洗浄する必要性を減らすかなくすことを可能にすることができる。
【0125】
追加の実施形態では、本方法は、ステップ142に示されているように、レチクル上の
欠陥を修理するのに使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータを決定することを
含む。たとえば、欠陥を修理するのに使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータ
を、欠陥の設計重要性、リソグラフィ的重要性、および/または総合重要性に基づいて決
定することができる。このようにして、レチクル上の異なる欠陥を修理するのに使用され
る1つまたは複数のパラメータを、異なるものにすることができる。たとえば、より高い
総合重要性を有する欠陥を、より低い総合重要性を有する欠陥の修理に使用されるプロセ
スより高い精度を有するプロセスを使用して修理するようにすることができる。修理プロ
セスに、本明細書に記載の修理プロセスおよび当技術分野で既知のすべての他の修理プロ
セスのどれであっても含めることができる。レチクルの処理またはレチクル上の欠陥の修
理に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータの決定は、自動化された形で実行
することができ、これによって、欠陥の処理に関する判断を人間が行う必要を減らすか、
なくすことができる。
【0126】
一実施形態では、本方法は、ステップ144に示されているように、レチクル上で検出
された欠陥の視覚的表現を生成することを含む。この視覚的表現に、欠陥の設計重要性、
リソグラフィ的重要性、および/または総合重要性を示す、欠陥に割り当てられた1つま
たは複数の指定を含む。この視覚的表現に、欠陥の2次元視覚的表現、欠陥の3次元視覚
的表現、欠陥が突き止められたレチクル上の領域の2次元マップ、または欠陥が突き止め
られたレチクルの2次元マップを含めることもできる。さらに、欠陥の視覚的表現を、欠
陥、欠陥が突き止められたレチクルの領域、または欠陥が突き止められたレチクルを表す
他のデータにオーバーレイさせることができる。たとえば、欠陥の視覚的表現に、欠陥に
近接することになるレチクル上の他のフューチャの視覚的表現を含めることができ、いく
つかの場合に、これらのフューチャの設計重要性、リソグラフィ的重要性、および/また
は総合重要性を示しても示さなくてもよい、フューチャに割り当てられた指定を含む。い
くつかの実施形態では、本方法は、ステップ146に示されているように、レチクル上の
個々の領域の視覚的表現を生成することを含む。そのような実施形態の1つで、視覚的表
現に、個々の領域の設計重要性、リソグラフィ的重要性、および/または総合重要性を示
す、個々の領域に割り当てられた指定を含む。この視覚的表現を、さらに、上で説明した
ように構成することができる。このようにして、この方法を使用して、結果をユーザに提
示する時に、より高いまたはより低い重要性を有する領域または欠陥を示すことができる
ようになる。さらに、クリティカル設計領域および/またはクリティカル・リソグラフィ
領域や高いMEEF(mask error enhancement factor)
を有する領域を示すことができる。
【0127】
一実施形態では、本方法は、ステップ148に示されているように、レチクル上の異な
る領域の総合重要性を判定することを含む。レチクル上の異なる領域の総合重要性は、レ
チクル上の異なる領域の設計重要性とリソグラフィ的重要性に基づいて判定することがで
きる。いくつかの実施形態では、レチクル上の異なる領域の総合重要性を使用して、レチ
クル上の欠陥の総合重要性を判定することができる。たとえば、レチクル上の欠陥に、そ
の欠陥が突き止められたレチクル上の領域と同一の総合重要性を割り当てることができる
。そのような実施形態では、欠陥の設計重要性とリソグラフィ的重要性を、上で説明した
ように判定してもしなくてもよい。
【0128】
両方のタイプの重要性に関する情報を組み合わせることによって、この方法を、レチク
ルに関する半導体製造プロセスの歩留まり、サイクル・タイム、効率、その他の態様を改
善するのに使用することができる。具体的に言うと、レチクル上の特定の位置の重要性に
基づいてシステム・パラメータを調整することによって、パターン生成プロセスを改善す
ることが可能である。一実施形態では、本方法は、ステップ150に示されているように
、レチクルの製造に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータを決定することを
含む。プロセスのパラメータは、レチクルの異なる領域の設計重要性、リソグラフィ的重
要性、および/または総合重要性に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態
では、プロセスのパラメータを、レチクル上の異なる領域について独立に決定することが
できる。このようにすることで、プロセスの1つまたは複数のパラメータを、レチクル上
の複数の領域について異なるものにすることができる。したがって、プロセスのパラメー
タを、レチクル上で独立に変更することができる。たとえば、レチクルの別の領域より高
い総合重要性を有するレチクルの領域のレチクル製造プロセスのパラメータを、より高い
総合重要性を有する領域が他の領域より高い書込忠実度で処理されるように選択すること
ができる。変化する重要性を有する領域での製造プロセス・ツール・パラメータに関する
ルールは、ユーザが手動でセットすることができ、あるいは、図10に示された方法を実
行するように構成されたプロセッサによって自動的にセットすることができる。レチクル
製造プロセスの例に、パターン生成、エッチング、洗浄、その他当技術分野で既知のレチ
クル製造プロセスが含まれる。
【0129】
さらに他の実施形態では、本方法は、ステップ152に示されているように、レチクル
の検査に使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータを決定することを含む。変更
できるパラメータは、レチクル検査を実行するように構成された検査ツールのパラメータ
である。検査プロセスのパラメータは、上で説明したように決定することができる。した
がって、検査プロセスのパラメータを、レチクル上で領域ごとに独立に変えることができ
る。たとえば、検査プロセスのパラメータは、ある領域内で、レチクル上の他の領域の検
査に使用される感度より高い感度を有するように選択する。具体的に言うと、レチクル検
査の欠陥感度を、レチクルのリソグラフィ的重要性と設計重要性が最も高い領域で最高に
する。レチクルのリソグラフィ的重要性と設計重要性が最も高い領域での高められた感度
は、そのようなレチクルを使用して製造される半導体デバイスの歩留まりまたは性能を高
めることになる。レチクルに関する検査プロセスは、レチクルを透過した光および/また
はレチクルによって反射された光に基づく検査やエリアル・イメージングに基づく検査な
ど、当技術分野で既知の任意の適切な検査プロセスである。
【0130】
レチクル検査によって生成されたデータの処理に関して、複数のモードのいずれか(ダ
イ:ダイ検出、ダイ:データベース検出、または当技術分野で既知の他のモード)での欠
陥検出を実行することができる。検査データ処理の1つまたは複数のパラメータを、レチ
クル上の特定の領域または欠陥の重要性に基づいて変更することができる。変更できるデ
ータ処理の1つまたは複数のパラメータに、欠陥検出に使用されるしきい値の値またはア
ルゴリズムが含まれる。類似する形で、レチクル上の欠陥をレビューするのに使用される
プロセスのパラメータを、上で説明したように決定することができる。変化する重要性を
有する領域の検査システム・パラメータおよび/またはレビュー・システム・パラメータ
に関するルールは、ユーザが手動でセットすることができ、あるいは、本明細書に記載の
方法を実行するように構成されたプロセッサによって自動的にセットすることができる。
【0131】
さらに他の実施形態では、本方法は、ステップ154に示されているように、レチクル
を修理するのに使用されるプロセスの1つまたは複数のパラメータを決定することを含む
。修理プロセスのパラメータは、上で説明したように決定することができる。したがって
、修理プロセスのパラメータを、レチクル上で領域ごとに独立に変更することができる。
たとえば、修理プロセスのパラメータを、ある領域内で、レチクル上の他の領域の修理に
使用される精度より高い精度を有するように選択する。変化する重要性を有する領域の修
理ツール・パラメータに関するルールは、ユーザが手動でセットすることができ、あるい
は、本明細書に記載の方法を実行するように構成されたプロセッサによって自動的にセッ
トすることができる。レチクルの修理プロセスは、上で詳細に説明した、ケミカリ・アシ
ステッド・レーザ・リムーバル、レーザ誘起衝撃波除去、パーティクル・ビーム・アシス
テッド・リペア、または湿式または乾式の洗浄プロセスを使用するレチクルの洗浄など、
当技術分野で既知の任意の適切な修理プロセスとすることができる。その際のレチクル洗
浄にはエッチング・プロセスもしくはストリッピング・プロセスなどを含む。図10に示
された方法に、本明細書に記載のすべての他の方法の他のどのステップでも含めることが
できる。
【0132】
上で説明したものなどの方法を実施するプログラム命令を、担体媒体を介して送るか担
体媒体にストアすることができる。このプログラム命令は、本明細書に記載のコンピュー
タで実施される方法のいずれかを実行するためにコンピュータ・システムで実行可能であ
る。担体媒体は、ワイヤ、ケーブル、または無線伝送リンクなどの伝送媒体とするか、ワ
イヤ、ケーブル、またはリンクに沿って移動する信号とすることもできる。担体媒体は、
読取専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、磁気ディスク、光ディスク、または磁気
テープなどの記憶媒体とすることもできる。1つまたは複数のデータ構造および/または
ルール・データベースを、同様に、そのような担体媒体を介して送るかストアすることが
できる。
【0133】
本明細書に記載のコンピュータで実施される方法のいずれかを実行するように構成され
たシステムに、プロセッサを含む。このプロセッサは、本明細書に記載のコンピュータで
実施される方法の1つまたは複数を実行するためにプログラム命令を実行するように構成
される。このプロセッサは、当技術分野で既知の任意の適切なプロセッサとすることがで
きる。一例で、プロセッサを、イメージ・コンピュータとすることができる。もう1つの
例で、プロセッサを、当技術分野で既知の任意の適切なマイクロプロセッサとすることが
できる。
【0134】
このシステムとプロセッサを、さまざまな形で構成することができる。一実施形態では
、このシステムを、独立システムとして構成することができる。その場合、このシステム
は、伝送媒体によるものを除いて別のシステムまたはツールに結合されない。たとえば、
このシステムのプロセッサを、伝送媒体によってレチクル検査システムおよび/またはウ
ェハ検査システムのプロセッサに結合することができる。そのような構成の1つを、図2
に示す。伝送媒体に、上で説明した伝送媒体のどれでも含めることができる。一実施形態
では、このシステムを、検査システム、欠陥レビュー・システム、レチクル製造ツール、
および/または修理ツールに結合された独立システムとすることができる。いくつかの実
施形態では、このシステムを、複数のシステムおよび/または複数のツールに結合するこ
とができる。さらに他の実施形態では、このシステムを、ファブ・データベースに結合さ
れた独立システムとすることができる。追加の実施形態では、このシステムを、別のシス
テムおよび/またはツールに追加してファブ・データベースに結合することができる。
【0135】
他の実施形態では、このシステムのプロセッサを、検査システム、欠陥レビュー・シス
テム、レチクル製造ツール、または修理ツールに組み込むことができる。たとえば、検査
システムのプロセッサを、そのようなプロセッサの他の標準的機能に加えて、上で説明し
たコンピュータで実施される方法の1つまたは複数を実行するように構成することができ
る。検査システムの場合に、そのような標準的機能の例では、検査システムの検出器によ
って生成された信号を受け取り、処理し、検査システムを較正することを含む。
【0136】
上の実施形態のどれにおいても、プロセッサを、検査システム、欠陥レビュー・システ
ム、レチクル製造ツール、および/または修理ツールの1つまたは複数のパラメータを制
御するように構成することができる。たとえば、プロセッサを、上の実施形態のいずれか
に従って、検査システム、欠陥レビュー・システム、レチクル製造ツール、および/また
は修理ツールの1つまたは複数のパラメータを変更するように構成することができる。さ
らに他の実施形態では、プロセッサを、検査システム、欠陥レビュー・システム、レチク
ル製造ツール、および/または修理ツールのプロセッサに、変更されたパラメータを送っ
たり、パラメータを変更するための命令を送るように構成することができる。
【0137】
本発明のさまざまな態様のさらなる修正形態と代替実施形態は、この説明に鑑みて当業
者に明白であろう。たとえば、デザイナ・インテント・データを使用するウェハとレチク
ルの検査の方法およびシステムが実現される。したがって、この説明は、例示のみと解釈
されなければならず、本発明を実行する一般的な形を当業者に教示するためのものである
。図示され、本明細書で説明された本発明の形が、現在好ましい実施形態と解釈されなけ
ればならないことを理解されたい。本発明のこの説明の利益を有した後に当業者に明白で
あるように、要素や材料を、図示され本明細書で説明されたものと置換することができ、
処理を、逆転させることができ、本発明のあるフューチャを、独立に利用することができ
る。請求項に記載の本発明の趣旨と範囲から外れずに、本明細書に記載の要素で変更を行
うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11