(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6595921
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】立軸ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/60 20060101AFI20191010BHJP
F04D 11/00 20060101ALI20191010BHJP
F04D 13/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
F04D29/60 D
F04D11/00 101
F04D13/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-5193(P2016-5193)
(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公開番号】特開2017-125451(P2017-125451A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(74)【代理人】
【識別番号】100168594
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】香川 修作
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−88999(JP,U)
【文献】
特開2009−180133(JP,A)
【文献】
特開昭59−221500(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2012−0022124(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/60
F04D 11/00
F04D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床よりも下に設置される羽根車と、
前記基礎床よりも上に設置される回転駆動源と、
前記羽根車および前記回転駆動源を互いに連結する主軸と、
前記基礎床に設置されて前記回転駆動源を支持する支持構造と、
前記支持構造を少なくとも一方に含む2つの部材によって形成される締結部における締結位置を前記主軸を中心とする径方向について調節することを可能にする締結位置調節手段と
を備え、
前記締結位置調節手段は、前記締結部に挿入される締結部材を含み、
前記締結部材は、前記径方向の位置が互いに異なる締結位置を規定する少なくとも2つの締結部材を含み、
前記少なくとも2つの締結部材のうちのいずれかを選択することによって前記締結位置が調節される、
立軸ポンプ。
【請求項2】
前記締結部は、前記支持構造と前記基礎床との間の締結部、または前記支持構造と前記回転駆動源との間の締結部を含む、請求項1に記載の立軸ポンプ。
【請求項3】
前記支持構造は、上下方向について複数の部材に分割され、
前記締結部は、前記複数の部材の間の締結部を含む、請求項1または2に記載の立軸ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立軸ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボポンプのうち、略鉛直方向に流体を圧送するものを立軸ポンプという。立軸ポンプは、例えば、ポンプケーシング内に配置される羽根車と、羽根車にトルクを伝達して回転させる主軸とを含む。ポンプケーシング内で羽根車を回転させることによって、流体を上方へと圧送することができる。立軸ポンプは、例えば河川水または工業用水の揚水など、様々な目的で利用されている。
【0003】
上記のような立軸ポンプでは、運転時に主軸に発生する振動(以下、運転時振動ともいう)によって共振現象が発生し、運転の支障になる場合があることが知られている。共振現象は、運転時振動の振動数が、立軸ポンプの固有振動数に近い場合に発生する。そこで、固有振動数を変化させて運転時振動の振動数から遠ざけることによって、共振現象を抑制することを意図した技術が提案されている。
【0004】
そのような技術の例として、特許文献1には、吊下管を基礎床に固定するフランジの数を従来の1つから2つにした立軸ポンプが提案されている。これによって、立軸ポンプ全体の固有振動数を変化させることができる。また、特許文献2には、ポンプケーシングの下端部に重量可変部を設けた立軸ポンプが提案されている。これによって、ポンプケーシングの固有振動数を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−161285号公報
【特許文献2】特開2014−141960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、立軸ポンプで運転時に発生する共振現象は、立軸ポンプ全体、およびポンプケーシングを含む立軸ポンプの床下部分で発生するものには限られない。例えば、主軸を回転駆動させる電動機などの回転駆動源と、回転駆動源を支持する支持構造とを含む立軸ポンプの床上部分でも、共振現象が発生する。このような床上部分で発生する共振現象を抑制するための技術は、上記の特許文献1および特許文献2を含め、これまでには提案されていない。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一つは、回転駆動源を含む立軸ポンプの床上部分で運転時に発生する共振現象を効果的に抑制することが可能な立軸ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある観点によれば、基礎床よりも下に設置される羽根車と、基礎床よりも上に設置される回転駆動源と、羽根車および回転駆動源を互いに連結する主軸と、基礎床に設置されて回転駆動源を支持する支持構造と、支持構造を少なくとも一方に含む2つの部材によって形成される締結部における締結位置を主軸を中心とする径方向について調節することを可能にする締結位置調節手段とを備える立軸ポンプが提供される。
【0009】
上記の構成では、床上部分に含まれる締結部における締結位置の径方向位置を調節することによって、回転駆動源を含む床上部分の曲げ剛性を変化させ、その結果として床上部分の固有振動数を変化させることができる。これによって、床上部分の固有振動数を立軸ポンプの運転時振動数から遠ざけ、運転時に床上部分で発生する共振現象を効果的に抑制することが可能になる。
【0010】
上記の立軸ポンプにおいて、締結部は、支持構造と基礎床との間の締結部、または支持構造と回転駆動源との間の締結部を含んでもよい。また、支持構造は、上下方向について複数の部材に分割され、締結部は、複数の部材の間の締結部を含んでもよい。
【0011】
締結位置の調節は、床上部分で支持構造に関連する任意の締結部、すなわち支持構造を少なくともその一方に含む2つの部材によって形成される締結部において実施することができる。例えば、支持構造と回転駆動源のハウジングまたは基礎床との間に形成される締結部で締結位置が調整されてもよいし、支持構造に含まれる複数の部材の間に形成される締結部で締結位置が調整されてもよい。どの締結部で締結位置を調節した場合でも、曲げ剛性および固有振動数を変化させる効果が得られる。
【0012】
上記の立軸ポンプにおいて、締結位置調節手段は、締結部に挿入される締結部材を含んでもよい。この場合、締結部材は、径方向の位置が互いに異なる互いに異なる締結位置を規定する少なくとも2つの締結部材を含み、少なくとも2つの締結部材のうちのいずれかを選択することによって締結位置が調節されてもよい。
【0013】
このように、締結位置の調節は、床上部分で支持構造に関連する任意の締結部に、径方向の位置が互いに異なる締結位置を規定する締結部材を選択的に挿入することによって実施することができる。
【0014】
上記の立軸ポンプにおいて、締結位置調節手段は、2つの部材のそれぞれに設けられ、径方向の位置が異なる少なくとも2つの締結位置を規定することが可能な部分を含み、少なくとも2つの締結位置のうちのいずれかを選択することによって締結位置が調節されてもよい。
【0015】
このように、締結位置の調節は、床上部分で支持構造に関連する任意の締結部を構成する2つの部材のそれぞれに、径方向の位置が異なる少なくとも2つの締結位置を規定することが可能な部分を設けることによって実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本発明の第1の実施形態に係る立軸ポンプの構成を示す縦断面図である。
【
図1B】本発明の第1の実施形態に係る立軸ポンプの構成を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る立軸ポンプの構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1Aおよび
図1Bは、本発明の第1の実施形態に係る立軸ポンプの構成を示す縦断面図である。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、立軸ポンプ1は、吊下管2と、ポンプケーシング3と、羽根車4と、主軸5と、電動機6と、架台7と、締結部材8a,8bとを含む。ここで、吊下管2は、フランジ2aを介して基礎床9に固定される。また、吊下管2は、フランジ2aよりも下の縦管部分2bと、フランジ2aよりも上の曲管部分2cとを含む。なお、吊下管2は、例えば縦管部分2bと曲管部分2cとが一体として形成されて
もよいし、縦管部分2bと曲管部分2cとの間、および/または他の箇所で分割され、分割された複数の部分がフランジなどを用いて互いに連結されてもよい。
【0019】
ポンプケーシング3は、吊下管2の縦管部分2bの下端部に接続される。ポンプケーシング3内には、羽根車4が配置される。ポンプケーシング3の下端部は開放され、流体の吸込口を形成している。なお、ポンプケーシング3および羽根車4の形状は、斜流ポンプを構成するように図示されているが、このような例には限られず、例えばポンプケーシング3と羽根車4とによって軸流ポンプが構成されてもよい。また、案内羽根3bなどのポンプの他の付属部材が、必要に応じてポンプケーシング3内に配置されてもよい。図示された例ではポンプケーシング3内に単一の羽根車4が配置されるが、他の例では、ポンプケーシング3内に、直列に配列された複数の羽根車4が配置されてもよい。さらに、立軸ポンプ1は、それぞれ1または複数の羽根車4が中に配置された複数のポンプケーシング3を含んでもよく、この場合、ポンプケーシング3は、吊下管2の縦管部分2bの下端部に限らず、例えば縦管部分2bの途中に配置されてもよい。
【0020】
主軸5は、吊下管2の縦管部分2bを縦貫して延びる回転軸である。主軸5の下端部は、ポンプケーシング3内で羽根車4に連結されている。また、主軸5の他方の端部は、吊下管2の曲管部分2cを貫通してさらに上方に延び、電動機6に連結されている。これによって、主軸5は、電動機6が発生させたトルクを羽根車4に伝達し、羽根車4を回転させることができる。主軸5を回転可能に支持するために、ポンプケーシング3内に水中軸受3aが、吊下管2の曲管部分2cに上部軸受2dが、それぞれ配置される。吊下管2の縦管部分2bに追加の水中軸受が配置されてもよい。
【0021】
電動機6は、基礎床9および吊下管2の上方に配置されている。電動機6は、主軸5を介して羽根車4を回転させる回転駆動源の一例である。他の実施形態では、回転駆動源として内燃機関などが用いられてもよい。架台7は、基礎床9に設置されて電動機6を支持する支持構造の一例である。架台7は、例えば図示されているように、上下方向について分割された複数の部材(天板7aおよび脚部7b)が互いに連結されることによって構成される。この例には限られず、架台7は、例えば天板7aと脚部7bとの間に設けられる梁などの他の部材を含んでもよいし、脚部7bがさらに複数の部分に分割されてもよい。また、架台7は、例えば図示されているように直接的に基礎床9に設置されてもよいし、例えば吊下管2のフランジ2aを介して間接的に基礎床9に設置されてもよい。
【0022】
上記のような立軸ポンプ1では、電動機6が、主軸5を介して、ポンプケーシング3内に配置された羽根車4を回転させる。これによって、例えば水などの流体が下方からポンプケーシング3内に吸い込まれ、加圧される。加圧された流体は、吊下管2の縦管部分2bを上方へと圧送され、曲管部分2cを経て吐出される。このようにして、立軸ポンプ1は、例えば揚水などの機能を実現することができる。しかしながら、立軸ポンプ1では、運転時に主軸5に発生する振動によって共振現象が引き起こされ、運転の支障になる場合があることは既に述べたとおりである。
【0023】
図示された例において、電動機6と架台7との間の締結部には、締結部材8a,8bのいずれかが選択的に挿入される。締結部材8a,8bは、当該締結部における締結位置を主軸5を中心とする径方向について調節することを可能にする締結位置調節手段であり、後述するように径方向について互いに異なる締結位置を規定する。換言すれば、本実施形態では、締結部材8a,8bのいずれかを選択することによって、締結位置が主軸5を中心とする径方向について調節される。締結位置の調節によって、架台7および電動機6を含む立軸ポンプ1の床上部分の曲げ剛性が変化する。より具体的には、締結位置が主軸5に近づけば曲げ剛性は低くなり、締結位置が主軸5から遠ざかれば曲げ剛性は高くなる。床上部分の曲げ剛性が変化すれば、床上部分の固有振動数も変化する。従って、締結部材
8a,8bのいずれかを選択することによって、立軸ポンプ1の床上部分の固有振動数を運転時振動の振動数から遠ざけ、運転時に立軸ポンプ1の床上部分で発生する共振現象を効果的に抑制することができる。
【0024】
図1Aに示す第1の構成では、締結部材8aが、架台7の天板7aと、電動機6のハウジングの下側に形成されるフランジ6aとの間に挿入される。締結部材8aは、例えば図示されたような矩形断面を有する。締結部材8aの上側および下側には、2つのねじ孔81a,82aが形成される。ねじ孔81aには、フランジ6aを貫通したボルトが貫入する。また、ねじ孔82aには、天板7aを貫通したボルトが貫入する。ねじ孔81a,82aは、いずれも、締結部材8aを挿入したときに、主軸5からの距離がD1になる位置に形成されている。従って、締結部材8aは、上側および下側の両方において、主軸5からの距離がD1の位置に締結位置を規定する。なお、ねじ孔81a,82aは、図示されているように共通の貫通孔として形成されてもよい。
【0025】
一方、
図1Bに示す第2の構成では、締結部材8bが、天板7aとフランジ6aとの間に挿入される。締結部材8bは、例えば図示されたようなZ形の断面を有する。締結部材8bの上側および下側には、2つのねじ孔81b,82bが形成される。ねじ孔81bには、フランジ6aを貫通したボルトが貫入する。ねじ孔82bには、天板7aを貫通したボルトが貫入する。ねじ孔81bは、第1の構成における締結部材8aの場合と同様に、主軸5からの距離がD1の位置に形成されている。その一方で、ねじ孔82bは、第1の構成とは異なり、主軸5からの距離がD1よりも小さいD2の位置に形成されている。従って、締結部材8bは、上側では主軸5からの距離がD1の位置に締結位置を規定し、下側では主軸5からの距離がD2の位置に締結位置を規定する。
【0026】
上記の通り、距離D2はD1よりも小さいため、第2の構成における電動機6と架台7との間の締結部では、締結部材8bの下側で規定される締結位置が、第1の構成で締結部材8aの下側で規定される締結位置よりも主軸5に近くなる。それゆえ、第2の構成では、架台7および電動機6を含む立軸ポンプ1の床上部分の曲げ剛性が第1の構成における曲げ剛性よりも(構造的には支障のない範囲で)低くなり、床上部分の固有振動数が第1の構成における固有振動数とは異なる値になる。従って、例えば、第1の構成および第2の構成のどちらで床上部分の固有振動数が運転時振動数からより離れているかをシミュレーションまたは実測によって特定し、その結果に基づいて締結部材8a,8bのいずれかを選択すれば、運転時に床上部分で発生する共振現象を抑制することができる。
【0027】
代替的な構成として、締結部材8a,8bは、本実施形態における支持構造である架台7を少なくとも一方に含む2つの部材によって形成される他の締結部に挿入されてもよい。例えば、締結部材8a,8bは、基礎床9と架台7の脚部7bとの間に挿入されてもよい。この場合、締結部材8a,8bは、基礎床9および脚部7bのそれぞれと直接的に連結されてもよいし、例えば脚部7bとは直接的に連結される一方で、基礎床9には吊下管2のフランジ2aを介して間接的に連結されてもよい。あるいは、締結部材8a,8bは、上下方向について分割された架台7の複数の部材の間に挿入されてもよい。例えば、架台7の天板7aと脚部7bとが分離可能に構成され、天板7aと脚部7bとの間に締結部材8a,8bが挿入されてもよい。いずれの場合も、締結部材8a,8bのいずれかを選択することによって締結位置が主軸5を中心とする径方向について調節されるため、床上部分の曲げ剛性、および固有振動数を変化させることによって共振現象を効果的に抑制することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る立軸ポンプの構成を示す縦断面図である。
図2に示された立軸ポンプ11は、吊下管2と、ポンプケーシング3と、羽根車4と、主軸5
とを含む。これらの構成要素については、第1の実施形態に係る立軸ポンプ1と同様であるため、重複した説明は省略する。立軸ポンプ11は、さらに、電動機16と、架台17とを含む。電動機16は、第1の実施形態の電動機6と同様の構成要素であるが、フランジ6aに延長部16aが設けられる点で異なる。また、架台17も、第1の実施形態の架台7と同様の構成要素であるが、天板7aに延長部17aが設けられる点で異なる。
【0029】
図示された例において、電動機16と架台17との間の締結部では、延長部16aを含むフランジ6aと、延長部17aを含む天板7aとが直接的に締結される。フランジ6aおよび天板7aには、互いに対応する位置に貫通孔61,71が形成されており、これらの貫通孔を貫通するボルトおよびナットによってフランジ6aと天板7aとを締結することができる。さらに、延長部16aおよび延長部17aにも、互いに対応する位置に貫通孔161,171が形成されており、これらの貫通孔を貫通するボルトおよびナットによってフランジ6aと天板7aとを締結することもできる。それぞれの貫通孔によって、電動機16と架台17との間の締結位置が規定される。本実施形態では、フランジ6aおよび延長部16a、ならびに天板7aおよび延長部17aによって形成される部分が、締結位置調節手段を構成する。これらの部分は、主軸5を中心とする径方向について少なくとも2つの締結位置を規定することが可能な部分である。図示された例ではこれらの部分によって2つの締結位置が規定されているが、3つ以上の締結位置が規定されてもよい。
【0030】
より具体的には、図示された例において、貫通孔61,71は、いずれも主軸5からの距離がD1の位置に形成されている。また、貫通孔161,171は、いずれも、主軸5からの距離がD1よりも大きいD3の位置に形成されている。従って、貫通孔61,71を貫通するボルトおよびナットによってフランジ6aと天板7aとを締結した第1の構成では、電動機16と架台17との間の締結位置が、主軸5からの距離がD1の位置に規定される。一方、貫通孔161,171を貫通するボルトおよびナットによってフランジ6aと天板7aとを締結した第2の構成では、電動機16と架台17との間の締結位置が、主軸5からの距離がD3の位置に規定される。
【0031】
上記の通り、距離D3はD1よりも大きいため、上記の第2の構成において、電動機16と架台17との間の締結位置は、第1の構成における締結位置よりも主軸5から遠くなる。それゆえ、第2の構成では、電動機16および架台17を含む立軸ポンプ1の床上部分の曲げ剛性が第1の構成よりも高くなり、床上部分の固有振動数が第1の構成における固有振動数とは異なる値になる。従って、例えば、第1の構成および第2の構成のどちらで床上部分の固有振動数が運転時振動数からより離れているかをシミュレーションまたは実測によって特定し、その結果に基づいて貫通孔61,71または貫通孔161,171のいずれかを選択することによって、運転時に床上部分で発生する共振現象を抑制することができる。
【0032】
代替的な構成として、本実施形態における支持構造である架台17を少なくとも一方に含む2つの部材によって形成される他の締結部において、2つの部材のそれぞれに形成される部分が、径方向について複数の締結位置を規定してもよい。例えば、基礎床9および架台17の脚部7bのそれぞれに、径方向の位置が異なる複数の貫通孔が形成された部分が設けられてもよい。この場合、脚部7bが吊下管2のフランジ2aを介して間接的に基礎床9に連結されるのであれば、フランジ2aに複数の貫通孔が形成されうる。あるいは、上下方向について分割された架台17の複数の部材のそれぞれに、径方向の位置が異なる複数の貫通孔が形成された部分が設けられてもよい。例えば、架台17の天板7aおよび脚部7bのそれぞれに、径方向の位置が異なる複数の貫通孔が形成された部分が設けられてもよい。いずれの場合も、規定された複数の締結位置のいずれかを選択することによって締結位置が主軸5を中心とする径方向について調節されるため、床上部分の曲げ剛性、および固有振動数を変化させることによって共振現象を効果的に抑制することができる
。
【0033】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0034】
1,11 立軸ポンプ
2 吊下管
2a フランジ
2b 縦管部分
2c 曲管部分
3 ポンプケーシング
4 羽根車
5 主軸
6,16 電動機
6a フランジ
16a 延長部
7,17 架台
7a 天板
17a 延長部
7b 脚部
8a,8b 締結部材
9 基礎床
61,71,161,171 貫通孔