(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記位置調整部は、上記平面方向に平行な二方向において移動することで、上記基板及び上記支持体の夫々における中心点の位置を調整し、当該中心点を中心として回動することで、上記基板及び上記支持体の夫々の向きを調整することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の貼付システム。
上記位置調整部は、上記平面方向に垂直な方向において移動することで、位置を調整した上記支持体及び上記基板のうちの何れか一方を、上記保持部に搬送することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の貼付システム。
上記位置調整段階では、上記平面方向に平行な二方向において移動させることで、上記支持体及び上記基板の夫々における中心点の位置を調整し、当該中心点を中心として回動させることで、上記基板及び上記支持体の夫々の向きを調整することを特徴とする請求項8または9に記載の貼付方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<貼付装置>
本発明に係る貼付装置は、基板と、上記基板を支持する支持体とを、上記基板及び上記支持体の少なくとも何れかに積層された接着層を介して重ね合わせる重ね合わせ部と、重ね合わせた上記基板と上記支持体とを貼り付ける貼付部とを備えた貼付装置であって、上記重ね合わせ部は、上記基板及び上記支持体の夫々における外周端部の位置を検知して、上記基板及び上記支持体の夫々における中心点を求める複数の位置検知部と、上記中心点の位置に基づき、上記基板及び上記支持体の夫々の平面方向における位置を調整する位置調整部と、を備えており、位置調整した上記基板と上記支持体とを重ね合わせる構成である。
【0018】
〔積層体〕
まず、貼付装置により貼り付ける積層体について説明する。積層体は、基板と、上記基板を支持する支持体とを、上記基板及び上記支持体の少なくとも何れかに積層された接着層を介して重ね合わせることによって形成される。なお、本実施形態では、接着層は、基板側に形成されている。
【0019】
(基板)
基板は、サポートプレートに支持された(貼り付けられた)状態で、薄化、搬送、実装等のプロセスに供される。基板は、ウエハ基板に限定されず、例えば、サポートプレートによる支持が必要なセラミックス基板、薄いフィルム基板、フレキシブル基板等の任意の基板であってもよい。
【0020】
(サポートプレート)
サポートプレート(支持体)は、基板を支持する支持体であり、接着層を介して基板に貼り付けられる。そのため、サポートプレートは、基板の薄化、搬送、実装等のプロセス時に、基板の破損又は変形を防ぐために必要な強度を有していればよく、より軽量であることが望ましい。以上の観点から、サポートプレートは、ガラス、シリコン、アクリル系樹脂、セラミック等で構成されていることがより好ましい。
【0021】
(接着層)
接着層は、基板とサポートプレートとを接着する層であり、基板及び支持体の少なくとも何れかに接着剤を塗布することにより形成される。接着層を構成する接着剤は、例えば、加熱することによって熱流動性が向上する熱可塑性樹脂を接着材料として含んでいればよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、炭化水素系樹脂、熱可塑性エラストマー、及び、ポリサルホン系樹脂等が挙げられる。
【0022】
接着層の形成方法、即ち、基板又はサポートプレートに接着剤を塗布する塗布方法、あるいは、基材に接着剤を塗布して接着テープを形成する形成方法は、特に限定されるものではないが、接着剤の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディッピング法、ローラーブレード法、スプレー法、スリットノズル法による塗布法等が挙げられる。
【0023】
接着層の厚さは、貼り付けの対象となる基板及びサポートプレートの種類、貼り付け後の基板に施される処理等に応じて適宜設定すればよいが、10〜150μmの範囲内であることが好ましく、15〜100μmの範囲内であることがより好ましい。
【0024】
なお、基板からサポートプレートを剥離するときには、接着層に溶剤を供給して接着層を溶解すればよい。これにより、基板とサポートプレートとを分離することができる。このとき、サポートプレートに、その厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されていれば、この貫通孔を介して接着層に溶剤を容易に供給することができるので、より好ましい。
【0025】
また、基板とサポートプレートとの間には、両者の貼り付けを妨げない限り、接着層以外の他の層がさらに形成されていてもよい。例えば、サポートプレートと接着層との間に、光を照射することによって変質する分離層が形成されていてもよい。分離層が形成されていることにより、基板の薄化、搬送、実装等のプロセス後に光を照射することで、基板とサポートプレートとを容易に分離することができる。
【0026】
<貼付システム1>
図1は、本発明の一実施形態における貼付装置2の概略を説明する図であり、
図2は、貼付装置2を備えている貼付システム1の概略を説明する図である。
【0027】
図1に示す、本発明の一実施形態に係る貼付装置2は、重ね合わせ室(重ね合わせ部)6と貼付室(貼付部)7とを備えており、
図2に示すように、一実施形態において、基板42とサポートプレート41とを貼り付ける貼付システム1に組み込むことができる。
【0028】
また、
図2に示しているように、貼付システム1は、貼付装置2以外に、保持室3、第一外部搬送部4及び第一外部搬送部走行路5を備えている構成である。貼付装置2は、減圧可能な重ね合わせ室6及び減圧可能な貼付室7を含んで構成されている。
【0029】
図2には、さらに、貼付システム1が備えているFOUPオープナー50、基板42に接着層を塗布するスピンナー52、塗布された接着層を硬化させるベークプレート51、第二外部搬送部54、第二外部搬送部走行路55、及び、基板42を第一外部搬送部4に引き渡すためのパスライン53が図示されている。
【0030】
〔保持室3〕
図3は、保持室3の概略の構成を示す図である。
図3に示すように、保持室3は、撮像部(第一の撮像手段、第二の撮像手段)17a、17b及び位置特定部19を備えており、重ね合わされる前のサポートプレート41又は基板42を保持するようになっている(なお、
図3ではサポートプレート41を保持している場合について示す。)。
【0031】
撮像部17a、17bは、保持室3に保持されたサポートプレート41の互いに異なる端面(第一の端面、第二の端面)を含む領域18a、18bをそれぞれ撮像するようになっている。領域18a、18bは、例えば、保持室3に保持されたサポートプレート41の凡そ対角線上に設定されていることが好ましい。撮像部17a、17bは、例えば、CCDカメラであり得る。なお、
図3において、サポートプレート41の上面視における形状は円形であり、撮像部17bが撮像している、サポートプレート41の領域18bには、サポートプレート41の向きを特定するための切欠き部(ノッチ)41aが設けられている。このように、撮像部17a、17bの何れか一方において、サポートプレート41における切欠き部41aの位置を特定する。
【0032】
位置特定部19は、撮像部17a、17bが撮像した複数の画像に基づいて、保持室3に保持されたサポートプレート41の中心点Oを検出し、及び切欠き部41aの向きを特定する。基板42に関してもサポートプレート41と同様に、中心点の位置を検出し、切欠き部の位置を特定する。位置特定部19は、円板の端面の画像に基づいて、仮想円を算出し、中心点Oを検出するようになっていればよい。端面の画像に基づく中心点Oの検出技術は、公知の画像処理を用いればよく、特に限定されない。
【0033】
なお、本実施形態に係る貼付システム1において、保持室3における位置特定部19は、2つの撮像部17a、17bによって、基板42及びサポートプレート41の中心点を検出する構成であるが、例えば、保持室3において行われる、サポートプレート41及び基板42の中心点を特定する方法は、後述する重ね合わせ部における位置調整部と同様の構成によって行うこともできる。
【0034】
〔第一外部搬送部4〕
第一外部搬送部4は、サポートプレート41、基板42及び積層体40を持ち運びすることができる構成を有しており、貼付装置2との間で、サポートプレート41、基板42及び積層体40の受け渡しが可能な構成となっている。第一外部搬送部4は第一外部搬送部走行路5上を移動する。このような機能を担う第一外部搬送部4及び第一外部搬送部走行路5は従来公知の技術によって準備することができる。
【0035】
なお、第一外部搬送部4は、保持室3において中心点及び切欠き部の位置を特定した、サポートプレート41及び基板42の夫々を、
図4の(a)に示す、4つで1組の位置調整部22上に載置される。
【0036】
〔重ね合わせ室6〕
図1に示すように、貼付装置2が備えている重ね合わせ室6は、位置検知部21、位置調整部22、スペーサ(保持部)23、ステージ部(加熱部)24、第一支持ピン(仮止め部)25、押圧ピン(仮止め部)26、及び、内部搬送部10を備えている。また、重ね合わせ室6は、減圧部(不図示)を備えており、サポートプレート41及び基板42を重ね合わせ室6に搬入した後において、重ね合わせ室6の内部を減圧雰囲気下に置くことができるようになっている。
【0037】
〔位置検知部21〕
図1に示す、位置検知部21は、レーザ照射部21a及び受光部21bによって特定されたサポートプレート41の外周端部の位置座標に基づき、1組の位置調整部22上に載置されたサポートプレート41の中心点Oのずれを特定する。なお、位置検知部21は、重ね合わせ室6の外部に設けられている。
【0038】
より具体的には、
図4の(a)に示すように、重ね合わせ室6内は、サポートプレート41及び基板42が配置されるべき基準となる中心点を挟んで対向する一対のレーザ照射部21aを2組備えている。つまり、位置検知部21は、4つのレーザ照射部21aの中心点を、重ね合わせ室6内における基準の中心点として設定されている。
【0039】
また、
図1に示すように、レーザ照射部21aの夫々におけるZ方向における向かって下側には、受光部21bが配置されている。ここで、1組の位置調整部22上にサポートプレート41を載置すると、レーザ照射部21aと受光部21bとの間にサポートプレート41の外周端部が配置される(
図4の(a))。このため、レーザ照射部21aから受光部21bに向かって照射される光は、X−Y平面上におけるサポートプレート41の外周端部に、Z方向、つまり、サポートプレート41の平面方向に対する垂直な方向から照射される。
【0040】
これによって、当該位置調整部22上に載置されたサポートプレート41の外周端部の位置座標を特定し、1組の位置調整部22に載置されたサポートプレート41の中心点Oと基準となる中心点とのずれを検知することができる。ここで、位置検知部21は、サポートプレートの平面方向に対して垂直に光を照射することで求められる位置座標に基づき、各中心点のずれを特定することができるため、サポートプレート41の中心点Oと、基準となる中心点とのずれを高い精度で特定することができる。また、このように、サポートプレート41の外周端部の位置座標を特定することにより、第一外部搬送部4によって搬送されることにより生じ得るサポートプレート41の位置ずれを検知するこができるのみならず、サポートプレート41の個体差による0.05μm〜0.5μm程度の直径のバラつきに起因する位置ずれについても検知することができる。
【0041】
また、
図4の(a)に示すように、4つのレーザ照射部21aの内の1つは、サポートプレート41の切欠き部41aに光を照射する。これにより、切欠き部41aの位置ずれも検知する。なお、基板42においても、同様にして、中心点の位置ずれ、及び、切欠き部の位置ずれを検知することは言うまでもない。
【0042】
なお、受光部21bは、重ね合わせ室6の内部を外部から確認できる窓部21cを介して、レーザ照射部21aの光を検知する。ここで、窓部21cに配置された窓部ガラス板は、重ね合わせ室6の内部が密封されるように、重ね合わせ室6に接合されている。これにより、重ね合わせ室6の外部に設けられている受光部21bによって光を受光しつつ、重ね合わせ室6の内部を減圧環境下に置くことができる。
【0043】
(一変形例に係る位置検知部)
貼付装置2が備えている位置検知部21は、光照射部と受光部を備えたレーザセンサに限定されない。
図4の(b)に示すように、一変形例に係る貼付装置において、位置検知部21は、例えば、少なくとも3つのCCD(Charge Coupled Device)カメラ21'bと、これらCCDカメラ21'bに対応するバックスクリーン21'aによって、1組の位置調整部22の中心点と、サポートプレート41の外周端端部の位置座標を特定する構成であってもよい。
【0044】
なお、CCDカメラ21'bは、
図1に示す窓部21cの外部から、Z方向の上側に配置されているバックスクリーン21'aを背景にして、サポートプレート41の外周端部の画像を撮影する。なお、
図4の(b)に示すように、CCDカメラ21'bの1つは切欠き部41aの画像を撮影する。
【0045】
位置検知部21は、3つのCCDカメラ21'bが撮影した複数の画像に基づいて、サポートプレート41の外周端部の位置座標を特定する。また、中心点Oを検出する。位置検知部21は、サポートプレート41の外周端部の画像に基づいて、当該外周端部の位置座標を特定し、サポートプレート41の中心点Oと、基準となる中心点との位置ずれを検知することができる。また、位置調整部22上に配置されたときにおける切欠き部41aの位置と、当該切欠き部41aが配置されるべき所定の位置とのずれを検知することができる。
【0046】
〔位置調整部22〕
位置調整部22は、位置合わせの対象となるサポートプレート41及び基板42を支持するものであり、可動ステージ22aを可動させることにより、サポートプレート41及び基板42の位置を調整する。
【0047】
可動ステージ22aは、X−Y平面において平行に移動することができ、これにより、サポートプレート41及び基板42の平面方向に平行に1組の位置調整部22を移動させる(
図8及び
図9)。これにより、位置検知部21が検知した位置ずれに基づき、1組の位置調整部22によって、基準となる4つのレーザ照射部21aの中心点に、サポートプレート41の中心点Oを移動させる。
【0048】
また、可動ステージ22aは、回動可能であり、中心点Oを中心として位置調整部22に載置したサポートプレート41を回動させる。これにより、サポートプレート41の切欠き部41aの位置を調整し、サポートプレート41の向きを調整する。
【0049】
なお、基板42の中心点の位置及び向きも、上述のサポートプレート41の中心点Oの位置のずれを調整した動作と同様にして調整する。
【0050】
また、可動ステージ22aは、Z方向において上下に1組の位置調整部22を移動させる。これにより、1組の位置調整部22は、中心点の位置を調整したサポートプレート41(基板42の位置合わせを先に行う場合には、基板42)を、スペーサ23によって支持することができる位置まで上昇させる(
図10)。つまり、1組の位置調整部22は、サポートプレート41をX−Y平面において位置合わせをした状態を維持して、Z方向において移動し、直接的にスペーサ23にサポートプレート41を引き渡す。
【0051】
〔スペーサ23〕
スペーサ23は、位置合わせを行ったサポートプレート41(基板42の位置合わせを先に行う場合には、基板42)を、その水平位置を変化させずに重ね合わせを行うまで保持しておく部材である。
図5は、スペーサ23を上面側から見た図である。スペーサ23は、サポートプレート41の周縁部の一部をその下側から支持することによって、サポートプレート41を安定に保持する。スペーサ23は、X−Y方向、つまり、水平方向に移動可能である。サポートプレート41がステージ部24に載ってスペーサ23の上部まで運ばれるときには、スペーサ23をサポートプレート41と一切重ならない位置に移動させておく。本明細書では、この状態のとき、スペーサ23が「抜き位置」にあると呼ぶ。サポートプレート41がスペーサ23よりも上に運び込まれた後、スペーサ23によってサポートプレート41を支持できるように、スペーサ23をサポートプレート41と重なる位置に戻す。本明細書では、この状態のとき、スペーサ23が「挿入位置」にあると呼ぶ。
図5は、スペーサ23が「挿入位置」にある状態を示している。スペーサ23が挿入位置にあるときの、スペーサ23のサポートプレート41を支持する各部材とサポートプレート41との重なりの幅d
3は、非限定的に、サポートプレート41の周縁から内側にかけて1〜5mm程度であり得る。好適には5mmである。また、スペーサ23の大きさは、例えば、横幅d
4が5mmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0052】
スペーサ23の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ステンレス鋼(SUS)を面取りし、ポリテトラフルオロエチレン等で樹脂コートしたものを使用することができる。
【0053】
〔ステージ部24〕
ステージ部(加熱部)24は、サポートプレート41もしくは基板42、又はこれらを重ね合わせた積層体40を載置する。
【0054】
ステージ部24におけるサポートプレート41等の載置面は、載置物に疵を付けないよう、例えばポリテトラフルオロエチレン、PEEK等の樹脂によって形成することが好ましい。また、載置面には溝を形成することが好ましい。載置面に溝を形成することにより、重ね合わせ室6の内部を減圧するときに、サポートプレート41、基板42及び積層体40と、載置面24aとの間に気体が残留することを防止することができる。
【0055】
また、ステージ部24には、ヒータ(図示せず)が内蔵されており、基板42と、ステージ部24との接触面を加熱しておく。これによって、基板42に塗布された接着層を熱流動させる。
【0056】
なお、載置面24aの温度は、例えば、接着層の接着材料である熱可塑性樹脂の低温粘着性(タック性)により少なくとも室温以上の温度になるまで加熱されることが好ましく、ガラス転移点(Tg)以上の温度になるまで加熱されることがより好ましい。接着層を熱可塑性樹脂のガラス転移点以上の温度まで加熱することによって、接着層の熱流動性が向上し、容易に変形するようになる。接着層、即ち、接着材料である熱可塑性樹脂の材質にもよるが、接触面の温度は23〜220℃であることが好ましく、加熱時間、つまり押圧時間は3〜300秒間であることが好ましく、5〜180秒間であることがより好ましい。
【0057】
なお、ステージ部24は、一実施形態において、ステージ部24の載置面24aに近接しているが接触させないようにして第一支持ピン25に支持しながら、接着層を上面に形成した基板42、又はサポートプレート41を加熱してもよい。
【0058】
〔仮止め部〕
仮止め部は、第一支持ピン25と押圧ピン26とによって、サポートプレート41と基板42とを挟み込むようにして押圧することで仮止めする。
【0059】
(第一支持ピン25)
第一支持ピン25は、サポートプレート41及び基板42のうち、後から、重ね合わせ室6に搬入された方を、その底面から支持する。第一支持ピン25は、位置検知部21が基準とする、4つのレーザ照射部21aの中心点を中心とする円上において等間隔に少なくとも3つ配置されている。また、第一支持ピン25の素材は、特に限定されないが、熱伝導性のよいアルミニウム等によって構成することができるが、これに限定されず、ステンレス等を用いてもよい。
【0060】
(押圧ピン26)
押圧ピン26は、重ね合わせ室6内に先に搬送されたサポートプレート41又は基板42をZ方向において下側に向かって押圧するものであり、第一支持ピン25と同様に、押圧ピン26は、位置検知部21が基準とする、4つのレーザ照射部21aの中心点を中心とする円上において等間隔に少なくとも3つ配置されている。また、押圧ピン26の先端部は、第一支持ピン25の夫々の先端部に対向するように配置されている。このように、第一支持ピン25と押圧ピン26とを配置することにより、位置を調整したサポートプレート41の領域と、位置を調整した基板42の一部の領域とを重ね合わせ、挟み込むことにより押圧することができる。このため、位置調整をしたサポートプレート41及び基板42の中心点を中心として均等に押圧力を加えることができる。従って、サポートプレート41と基板42とが位置ずれすることを防止することができ、首尾よく仮止めすることができる。
【0061】
なお、押圧ピン26は、サポートプレート41(又は基板42)の上面に当接されたときにおいて、バネ(付勢部材)26aによって、Z方向に向かって下側に付勢される。また、複数の押圧ピン26は、支持軸26bによって、Z方向において同時に上下に移動可能である。ここで、押圧ピン26が下方に移動しておらず、そのためスペーサ23に保持されているサポートプレート41とは接触しない位置にあることを、本明細書では、押圧ピン26が「待機位置」にあるという。これに対し、押圧ピン26が下方に移動し、その結果、スペーサ23に保持されているサポートプレート41をバネ26aによって付勢することができる位置にあることを、本明細書では、押圧ピン26が「押圧位置」にあるという。
【0062】
〔内部搬送部10〕
重ね合わせ室6には、第一支持ピン25及び押圧ピン26によって挟み込むことで、仮止めしたサポートプレート41及び基板42を、貼付室7との間で積層体40の受け渡しを行う内部搬送部(
図6中の10)が設けられている。
【0063】
重ね合わせ室6および貼付室7は、一つの処理室の内部を二つの処理室に仕切る壁を設けた構造とすることができる。このほかにも重ね合わせ室6および貼付室7は、重ね合わせ室6と貼付室7とがそれぞれの側面において隙間なく互いに接している構造であってもよい。重ね合わせ室6および貼付室7の境界には、重ね合わせ室6および貼付室7間で積層体40の受け渡しを行うためのゲート8が設けられている。ゲート8はシャッターによって開閉が制御されている。また、重ね合わせ室6には、貼付装置2と第一外部搬送部4との間でサポートプレート41、基板42および積層体40の受け渡しを行うための開閉可能な受け渡し窓9が設けられている。重ね合わせ室6および貼付室7にはそれぞれ、公知の減圧手段が設けられており(図示せず)、各室の内部圧の状態を独立に制御することができる。
【0064】
貼付室7が減圧可能な構成であるため、減圧雰囲気下において基板42とサポートプレート41とを接着層を介して貼り合わせることができる。減圧雰囲気下において接着層に基板42を圧着させることによって、基板42表面の凹凸パターンの窪みに空気が存在しない状態において、接着層を当該窪みに入り込ませることができるため、接着層と基板42との間の気泡の発生をより確実に防止することが可能である。
【0065】
ゲート8は、シャッターが開いた状態で、位置合わせがなされた積層体40を重ね合わせ室6から貼付室7に移動させることができるように、また、接合後の積層体40を貼付室7から重ね合わせ室6に移動させることができるように形成されている。重ね合わせ室6および貼付室7の何れも減圧させた状態でシャッターを開けることにより、接合前の積層体40を重ね合わせ室6から貼付室7に減圧下で移動させることができる構造となっている。
【0066】
図6は、内部搬送部10を含めた貼付装置2の内部構成を上方から見た構成図である。内部搬送部10は、積層体40を重ね合わせ室6と貼付室7との間で移動させることができる構成である限り、具体的な機構に特に制限はない。本実施の形態では、
図6に示すように、内部搬送部10は、内部搬送アーム11およびアーム回動軸12によって構成されている。内部搬送部10は、積層体40をその下面から支持できる内部搬送アーム11のアーム回動軸12を回転中心とした回動によって、積層体40を移動させる機構となっている。詳しくは後述するが、本実施の形態では、回動の回動軸が共通する2つの内部搬送部10が設けられている。アーム回動軸12は重ね合わせ室6側に設けられているが、貼付室7側に設けられた構成であってもよい。重ね合わせ室6と第一外部搬送部4との間での受け渡しのストロークを短くすることができるという観点から、アーム回動軸12は、受け渡し窓9が形成されている側面に近い側に形成されていることが好ましい。
図6中、「B」で示す二点鎖線は、内部搬送アーム11の待機位置を表しており、「C」で示す二点鎖線は、内部搬送アーム11の貼付室7での位置(貼付部受け渡し位置)を表している。
【0067】
内部搬送アーム11の回動速度は状況に応じた速度を設定することができる。そのため、内部搬送アーム11が積層体40を保持しているときには、内部搬送アーム11を低速で回動させることができ、積層体40を保持していないときには、内部搬送アーム11を高速で回動させることができる。また、内部搬送アーム11の回動の立ち上がりと停止とがスムーズになるように加減速を制御することができる。
【0068】
図6に示すように、ゲート8は、シャッターが開いた状態において、回動する内部搬送アーム11がゲート8を通過して積層体40を貼付部受け渡し位置Cにまで運べるような幅の開口となっている。ゲート8の開閉には従来公知の手段を用いることができ、例えばゲートバルブ構造を適用することができる。
【0069】
〔貼付室7〕
貼付室(貼付部)7は、重ね合わせ室において重ね合わせたサポートプレート41及び基板42を貼り付けることにより、積層体40を形成する。貼付室7は、第二支持ピン31、プレスプレート32及び33を備えている。
【0070】
第二支持ピン31は、重ね合わせ室6において重ね合わせられたサポートプレート41と基板42とを、内部搬送部10から受け取り支持する。なお、第二支持ピン31も、第一支持ピン25と同様に、サポートプレート41及び基板42の中心点を中心とする円上に等間隔に配置されるように構成されている。
【0071】
貼付室7内に設けられたプレスプレート32及び33には、ヒータ(不図示)が内蔵されている。これにより、第二支持ピン31に支持されたサポートプレート41と基板42とプレスプレート32及び33の間において、サポートプレート41と基板42とを加熱しながら、挟み込むようにして押圧することができる。
【0072】
〔貼付装置2の動作〕
続いて、本実施形態に係る貼付装置2(重ね合わせ室6及び貼付室7)におけるサポートプレート41と基板42とを貼り付けるための概略動作について説明する。
【0073】
図7〜18は、本実施形態における貼付装置2の動作について、重ね合わせ室6及び貼付室7の内部の状態により説明する図である。なお説明の便宜上、レーザ照射部21a、スペーサ23、及び押圧ピン26を支持及び制御するためのそれぞれの部材については、その図示を省略している。
【0074】
(1.重ね合わせ室6へのサポートプレート41の搬入)
初期の段階において、サポートプレート41を搬入する前における重ね合わせ室6における位置調整部22の中心点は、X−Y平面において、4つのレーザ照射部21aの中心点に一致するように配置されている(
図7参照)。この状態において、第一外部搬送部4を用い、重ね合わせ室6の受け渡し窓9を介して、サポートプレート41を搬入する。ここで、サポートプレート41は、保持室3において特定された中心点O及び切欠き部41aの向きを基準として、第一外部搬送部4によって1組の位置調整部22上の所定の位置に載置される。なお、この段階において、スペーサ23は抜き位置にしておき、押圧ピン26は待機位置にしておくことが好ましい。
【0075】
(2.サポートプレート41の位置検知)
次に、4つのレーザ照射部21aによって、位置調整部22に載置されたサポートプレート41の外周端部に光を照射することにより、4つのレーザ照射部21aの中心点と、サポートプレート41の中心点Oとのずれを検知する(
図8参照)。また、4つのレーザ照射部21aのうちの1つによって、サポートプレート41の切欠き部41aの向きを検知する。
【0076】
(3.サポートプレート41の位置調整)
次に、可動ステージ22aをX−Y平面に平行に移動させることにより、位置調整部22に載置されたサポートプレート41の中心点Oが、4つのレーザ照射部21aの中心点(重ね合わせの基準となる中心点)に重なるように位置を調整する(
図9参照)。なお、ここで、可動ステージ22aを回動させることにより、サポートプレート41の切欠き部41aが所定の向きを向くように調整する。
【0077】
(4.スペーサ23へのサポートプレート41受け渡し)
次に、可動ステージ22aは、Z方向において、スペーサ23よりも上側であり、押圧ピン26に接触しない位置にまで、位置調整部22に載置したサポートプレート41を移動させる。そして、スペーサ23を挿入位置に移動させた後、可動ステージ22aは、Z方向において、スペーサ23よりも側に移動する。これにより、位置合わせを終えたサポートプレート41の水平方向の位置を変えずにスペーサ23によって支持させる(
図10参照)。なお、Z方向においてサポートプレート41を移動させる前の段階において、レーザ照射部21aの夫々は、サポートプレート41に接触しない位置にまで移動している。
【0078】
(5.重ね合わせ室6への基板42の搬入)
次に、サポートプレート41の場合と同様に、この状態において、第一外部搬送部4を用い、重ね合わせ室6の受け渡し窓9を介して、基板42を搬入する。ここで、基板42は、保持室3において特定された中心点及び切欠き部の向きを基準として、第一外部搬送部4によって1組の位置調整部22上の所定の位置に載置される(
図11参照)。その後、受け渡し窓9を閉じた後に、重ね合わせ室6の減圧を開始する。重ね合わせ室6の減圧は、仮止めが終了した時点における重ね合わせ室6の減圧状態及び貼付室7の減圧状態が、互いにほぼ同じ状態になるように行えばよい。好適には、10Pa以下である。
【0079】
(6.基板42の加熱)
次に、1組の位置調整部22をZ方向の下側に移動させることにより、基板42をステージ部24に載置して加熱する。これにより、基板42の上面に形成された接着層を熱流動させる(
図12参照)。
【0080】
(7.基板42の位置検知)
次に、サポートプレート41の場合と同様に、4つのレーザ照射部21aによって、位置調整部22に載置された基板42の外周端部に光を照射することにより、4つのレーザ照射部21aの中心点と、基板42の中心点とのずれを検知する(
図13参照)。また、4つのレーザ照射部21aのうちの1つによって、基板42の切欠き部の向きを検知する。
【0081】
(8.基板42の位置調整)
次に、可動ステージ22aをX−Y平面に平行に移動させることにより、位置調整部22に載置された基板42の中心点が、4つのレーザ照射部21aの中心点(重ね合わせの基準となる中心点)に重なるように位置を調整する(
図14参照)。なお、ここで、可動ステージ22aを回動させることにより、基板42の切欠き部が、サポートプレート41と同じ所定の向きを向くように調整する。
【0082】
(9.仮止め)
次に、押圧ピン26を支持軸26bによって、待機位置から押圧位置に移動させることで、スペーサ23によって支持されたサポートプレート41が、バネ26aによってZ方向の下側に向かって付勢されるように力を加える。続いて、1組の位置調整部22に載置されている基板42を、第一支持ピン25をZ方向の上側に移動させる。これにより、基板42の上面に形成された接着層を、スペーサ23に支持されたサポートプレート41の底面の近傍にまで移動させる。その後、スペーサ23を抜き位置に移動させることにより、押圧ピン26のバネ26aによって加えられた力により、第一支持ピン25と押圧ピン26とよって挟み込むようにして、サポートプレート41と基板42とを押圧する(
図15参照)。これにより、サポートプレート41と基板42とを重ね合わせ、仮止めする。
【0083】
(10.重ね合わせ終了)
サポートプレート41を基板42と重ね合わせた後、押圧ピン26を待機位置に戻す。また、第一支持ピン25をZ方向の下側に移動させる。これにより、重ね合わせたサポートプレート41と基板42とを、内部搬送部10に受け渡す(
図16参照)。
【0084】
(11.貼付室7への積層体40の搬送)
次に、ゲート8のシャッターを開き、重ね合わせ室6から貼付室7へと内部搬送部10によって、重ね合わせたサポートプレート41と基板42とを搬送する。ここで、重ね合わせたサポートプレート41と基板42とは、貼付室7において、第二支持ピン31上によって支持される(
図17参照)。
【0085】
(12.サポートプレート41と基板42との貼り付け)
次に、第二支持ピン31に支持した状態において、プレスプレート33をZ方向において下降させることにより、サポートプレート41の上面に接触させる。続いて、第二支持ピン31と、プレスプレート33とを同じ速度で降下させる。これにより、プレスプレート32及び33の間に、サポートプレート41と基板42と挟み込み、押圧しながら加熱する(
図18参照)。これにより、サポートプレート41と基板42とを貼り付け、積層体40を形成する。
【0086】
<貼付方法>
本発明の一実施形態に係る貼付方法は、基板42と、基板42を支持するサポートプレート41とを、重ね合わせ室6内において、重ね合わせる重ね合わせ工程と、重ね合わせた基板42とサポートプレート41とを、貼付室7内において貼り付ける貼付工程とを備えた貼付方法であって、重ね合わせ工程は、基板42及びサポートプレート41の夫々における外周端部の位置を検知して、基板42及びサポートプレート41の夫々における中心点を求める位置検知段階と、求めた中心点の位置に基づき、基板42及びサポートプレートOの夫々の平面方向における位置を調整する位置調整段階と、位置を調整した基板42とサポートプレート41とを重ね合わせる重ね合わせ段階とを包含する。
【0087】
また、一実施形態に係る貼付方法は、基板42及びサポートプレート41が互いに対向する二面のうちの少なくとも何れかには、接着層が積層されており、重ね合わせ段階では、接着層が形成されている、基板42又はサポートプレート41を加熱した後、位置を調整した基板42及びサポートプレート41のうちの何れか一方の一部の領域と、位置を調整した基板42及びサポートプレート41のうちの他方の一部の領域とを重ね合わせ、挟み込むことにより押圧することがより好ましい。
【0088】
また、一実施形態に係る貼付方法は、位置検知段階では、平面方向(X−Y方向)に垂直な一方向から、基板42及びサポートプレート41の夫々の外周端部の位置を検知するとよい。
【0089】
また、一実施形態に係る貼付方法は、上記位置調整段階では、平面方向に平行な二方向において移動させることで、サポートプレート41及び基板42の夫々における中心点の位置を調整し、当該中心点を中心として回動させることで、基板42及びサポートプレート41の夫々の向きを調整することがより好ましい。
【0090】
つまり、一実施形態において、貼付方法の重ね合わせ工程及び貼付工程は、上述した本発明に係る貼付システム1、及び、貼付装置2を用いて実施し得る。また、本発明に係る貼付方法の一実施形態は、上述した貼付システム1、及び貼付装置2の説明に準じるものであるため、その詳細な説明を省略する。
【0091】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。