【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、少なくとも1種の鉄化合物、少なくとも1種のカリウム化合物および少なくとも1種のセリウム化合物を含む脱水素化触媒であって、少なくとも1種の鉄化合物および少なくとも1種のカリウム化合物は、一般式K
xFe
yO
z[式中、xは1から17であり、yは1から22であり、zは2から34である]の1種または複数種のK/Fe混合酸化物相の形で、少なくとも部分的に存在し、触媒は、触媒全体に対して少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも30質量%、特に少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも60質量%のK/Fe混合酸化物相を含み、10nmから30nm、好ましくは12nmから25nm、好ましくは12nmから22nm、特に好ましくは14nmから24nm、特に好ましくは14nmから22nm、非常に特に好ましくは16nmから19nmの範囲の結晶子サイズを有する結晶性二酸化セリウムを含む、脱水素化触媒を提供する。
【0020】
本発明は、少なくとも1種の鉄化合物、少なくとも1種のカリウム化合物および少なくとも1種のセリウム化合物を含む脱水素化触媒であって、少なくとも1種の鉄化合物および少なくとも1種のカリウム化合物は、一般式K
xFe
yO
z[式中、xは1から17であり、yは1から22であり、zは2から34である]の1種または複数種のK/Fe混合酸化物相の形で、少なくとも部分的に存在し、触媒は、触媒全体に対して少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも30質量%、特に少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも60質量%の1種または複数種のK/Fe混合酸化物相を含み、10nmから30nm、好ましくは12nmから25nm、好ましくは12nmから22nm、特に好ましくは14nmから24nm、特に好ましくは14nmから22nm、非常に特に好ましくは16nmから19nmの範囲の結晶子サイズを有する結晶性二酸化セリウムを含む、脱水素化触媒を提供する。
【0021】
他に特に指示されていない限り、質量%で表示されている以下の数字はすべて、全脱水素化触媒に対するものであり、いずれの場合も最も高い酸化状態にある金属酸化物に基づいて算出されている。本発明の目的のために、ppmは、ミリグラム/キログラム(mg/kg)を意味する。
【0022】
本発明の触媒は、従来技術に記載されている触媒と比較して、改善された活性を示す。
【0023】
本発明の目的のために、少なくとも1種の鉄化合物、少なくとも1種のカリウム化合物、少なくとも1種のセリウム化合物および任意にさらなる金属化合物を含む脱水素化触媒は、それぞれの金属が、触媒中任意に指示されている量で決定され得ることを意味する。以下に記載されている金属化合物の混合相(例えば酸化物混合相)および/または単独相は、典型的には触媒中に存在し得る。以下に記載されている1種または複数種の成分が、触媒生成に使用される異なる原料中に、部分的にまたは全体的に含まれることは追加的に可能である。
【0024】
本発明によると、脱水素化触媒は、少なくとも1種の鉄化合物を含むまたは少なくとも1種の鉄化合物が、脱水素化触媒の生成に使用される。少なくとも1種の鉄化合物は、好ましくは、天然または合成の酸化鉄および/または酸化水酸化鉄の中から選択される。特に、少なくとも1種の鉄化合物は、α−Fe
2O
3(ヘマタイト)、γ−Fe
2O
3、酸化水酸化鉄(例えばα−FeOOH、ゲータイト)およびFe
3O
4(マグネタイト)からなる群から選択される。合成の酸化鉄として、例えば、鉄塩溶液の熱分解によって生成された酸化鉄を使用することが可能である。
【0025】
鉄化合物として、酸化鉄、特にFe
2O
3、好ましくはα−Fe
2O
3(ヘマタイト)を使用することが好ましい。鉄化合物として、α−Fe
2O
3(ヘマタイト)を、ゲータイト(FeOOH)および/またはマグネタイト(Fe
3O
4)と組み合わせて使用することも好ましい。次いで、ゲータイト(FeOOH)および/またはマグネタイト(Fe
3O
4)の割合は、鉄化合物の総量に対して、典型的には0から30質量%である。
【0026】
鉄化合物の比表面積(例えば、BET法を用いて決定される)は、典型的には、1から50m
2/g、好ましくは1から20m
2/gの範囲である。
【0027】
少なくとも1種の鉄化合物は、典型的には、脱水素化触媒中に(脱水素化触媒の総質量に対して)、Fe
2O
3として算出して、50から90質量%、好ましくは60から80質量%、特に好ましくは65から75質量%の範囲の量で含まれる。
【0028】
本発明によると、触媒は、少なくとも1種のカリウム化合物を含むまたは少なくとも1種のカリウム化合物が、脱水素化触媒の生成に使用される。少なくとも1種のカリウム化合物は、好ましくは、酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウムの中から選択され、K/Fe混合酸化物は、特に、酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウムおよび炭酸水素カリウムの中から選択される。少なくとも1種のカリウム化合物は、特に、酸化カリウム(K
2O)または混合酸化物である。熱によって分解され得る別のカリウム化合物を使用することも可能である。触媒中では、少なくとも1種のカリウム化合物は、典型的には、触媒中に存在する金属との酸化物混合相として存在し得る。
【0029】
少なくとも1種のカリウム化合物は、典型的には、脱水素化触媒中に、脱水素化触媒の総質量に対しておよびK
2Oとして算出して、1から30質量%、好ましくは5から25質量%、特に10から15質量%の範囲の量で含まれる。
【0030】
カリウムは、好ましくは、完成された触媒中に、以下に記載されている1種または複数種のK/Fe混合酸化物相の形で、他の触媒成分との、特に他の促進剤、例えば、モリブデン酸カリウム、タングステン酸カリウム、バナジウム酸カリウム、マンガン酸カリウムとの混合酸化物の形でおよび/またはカリウム相、例えば、酸化カリウムの形で存在する。
【0031】
本発明によると、少なくとも1種の鉄化合物および少なくとも1種のカリウム化合物は、一般式K
xFe
yO
z[式中、xは1から17であり、yは1から22であり、zは2から34である]の1種または複数種のK/Fe混合酸化物相の形で、少なくとも部分的に存在する。これらのK/Fe混合酸化物またはK/Fe混合酸化物相は、カリウムフェライトもしくはカリウムフェライト相または鉄酸カリウムもしくは鉄酸カリウム相と称されることが多い。
【0032】
本発明の目的のために、K/Fe混合酸化物相は、式K
2O・nFe
2O
3[式中、nは0.1から11である]のカリウム−鉄混合酸化物である。カリウム−鉄混合酸化物は、式K
aFe
bO
c[式中、a、bおよびcは自然数であり、a=1〜17、b=1〜22およびc=2〜34である]によって記載することもできる。K/Fe混合酸化物相は、特に、KFeO
2、K
2Fe
2O
4(K
2O・Fe
2O
3)(式中、n=1);K
2Fe
8O
13(K
2O・4Fe
2O
3)(式中、n=4);K
2Fe
10O
16(K
2O・5Fe
2O
3)(式中、n=5)、K
2Fe
22O
34(K
2O・11Fe
2O
3)(式中、n=11)、K
6Fe
2O
5、K
6Fe
2O
6、K
9(FeO
4)
2(空間群C2/c)およびK
17Fe
5O
16(空間群Cm)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり得る。K/Fe混合酸化物相は、好ましくは、K
2Fe
2O
4(K
2O・Fe
2O
3)(式中、n=1);K
2Fe
8O
13(K
2O・4Fe
2O
3)(式中、n=4);K
2Fe
10O
16(K
2O・5Fe
2O
3)(式中、n=5)およびK
2Fe
22O
34(K
2O・11Fe
2O
3)(式中、n=11)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
【0033】
上記のK/Fe混合酸化物およびそれらの混合物は、一般式K
xFe
yO
z[式中、xは1から17であり、yは1から22であり、zは2から34である]によって記載することができる。
【0034】
K/Fe混合酸化物相は、鉄化合物、すなわち、酸化鉄、水酸化鉄、オキシ水酸化鉄または他の鉄塩およびカリウム化合物、例えば、酸化カリウム、水酸化カリウムまたは他のカリウム塩の、高温での反応によって形成され得る。触媒の結晶性組成物は、X線結晶学によって、定性的におよび定量的に決定することができる。
【0035】
本発明によると、脱水素化触媒は、触媒全体に対して少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも30質量%、特に好ましくは少なくとも40質量%、特に少なくとも60質量%の、上記1種または複数種のK/Fe混合酸化物相を含む。触媒は、好ましくは、触媒全体に対して20から98質量%、好ましくは30から90質量%、特に60から85質量%の1種または複数種のK/Fe混合酸化物相を含む。
【0036】
触媒の生成に使用される鉄の大部分が、以上に記載されているように、一般式K
xFe
yO
zの1種または複数種のK/Fe混合酸化物相の形で存在する脱水素化触媒が好ましい。鉄のいくらかが、他の酸化鉄の形で、例えば、FeOOH、Fe
2O
3、特にα−Fe
2O
3(ヘマタイト)およびFe
3O
4(マグネタイト)などの酸化鉄相の形で存在することは可能である。使用される鉄の割合は、好ましくは、完成された脱水素化触媒中に、ヘマタイト(α−Fe
2O
3)として存在し得る。
【0037】
特に、使用される鉄の総量に対して、Fe
2O
3として算出して、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%の鉄は、一般式K
xFe
yO
zの1種または複数種の上記K/Fe混合酸化物相の形で存在する。特に、Fe
2O
3として算出して、0から50質量%、好ましくは0から40質量%、特に好ましくは0から20質量%の使用される鉄は、ヘマタイト相(α(アルファ)−Fe
2O
3)の形で存在し得る。
【0038】
本発明によると、脱水素化触媒は、少なくとも1種のセリウム化合物を含むまたは少なくとも1種のセリウム化合物が、脱水素化触媒の生成に使用される。少なくとも1種のセリウム化合物は、好ましくは、酸化セリウム、水酸化セリウム、炭酸セリウム、含水炭酸セリウムおよびシュウ酸セリウムの中から選択される。言及されているセリウム化合物の混合物が、好ましくは使用され得る。少なくとも1種のセリウム化合物は、好ましくは、酸化セリウム(IV)(CeO
2)、酸化セリウム(III)(Ce
2O
3)、シュウ酸セリウム(III)および炭酸セリウム(III)の中から選択され、好ましくは、酸化セリウム(IV)(CeO
2)および炭酸セリウム(III)の中から選択される。少なくとも1種のセリウム化合物は、典型的には、触媒の生成中に、二酸化セリウム、特に結晶性二酸化セリウムに変換される。
【0039】
脱水素化触媒は、好ましくは、CeO
2として算出して、2から25質量%、好ましくは5から20質量%、好ましくは7から20質量%、特に好ましくは10から20質量%の少なくとも1種のセリウム化合物を含む。
【0040】
本発明によると、触媒は、10nmから30nm、好ましくは12nmから25nm、好ましくは12nmから22nm、特に好ましくは14nmから24nm、特に好ましくは14nmから22nm、非常に特に好ましくは16nmから19nmの範囲の結晶子サイズを有する結晶性二酸化セリウムを含む。
【0041】
特に、使用されるセリウムの総量に対して、CeO
2として算出して、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%のセリウムは、記載されている結晶子サイズを有する、上記の結晶性二酸化セリウムの形で存在する。
【0042】
本発明の目的のために、結晶子は、触媒物質などの多結晶性物質における単結晶(単結晶粒とも称される)であり、これらの単結晶は、非晶質、部分的に結晶性または結晶性の基質の中に埋め込まれ得るおよび/または異なるタイプの単結晶と並んで存在し得る。特に、多結晶性物質における結晶子は、それらの粒界によって、互いからおよび/または基質から隔てられている。結晶子は、恐らく周囲の基質と一緒に、多結晶性物質を形成しており、種々のタイプの結晶子が、多結晶性物質中に存在し得る。
【0043】
本発明の目的のために、結晶子サイズは、触媒中に多結晶性物質として存在する結晶子または結晶子粒の平均サイズである。特に、結晶子サイズという用語は、触媒中の結晶子の平均サイズを指し、これは、X線構造解析(X線回折XRD)およびシェラーの式を用いたピーク幅の評価を用いて決定することができる。このようにして決定される結晶子サイズは、触媒物質中の結晶性粒の寸法についての情報を与えるが、粒または結晶子の凝塊は測定されない。
【0044】
セリウムは、主に、本発明の触媒中に、二酸化セリウムの形で、特に結晶性二酸化セリウムとして、特にセリアナイトの形の結晶性二酸化セリウムとして含まれる。セリウムは、任意に、触媒中の他の触媒成分との混合化合物として、特に混合酸化物として、少なくとも部分的にも存在し得る。
【0045】
本発明の触媒は、結晶性二酸化セリウム、好ましくはセリアナイトの形の結晶性二酸化セリウムから本質的になり、10nmから30nm、好ましくは12nmから25nm、好ましくは12nmから22nm、特に好ましくは14nmから24nm、特に好ましくは14nmから22nm、非常に特に好ましくは16nmから19nmの平均直径を有する、微細分散された結晶子粒として存在する二酸化セリウム結晶子を含む。
【0046】
脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、少なくとも1種のアルカリ土類金属化合物を含むまたは少なくとも1種のアルカリ土類金属成分が、脱水素化触媒の生成に使用される。特に、脱水素化触媒は、さらなる成分として、酸化物として算出して、0.1から20質量%、特に0.1から10質量%、好ましくは1から5質量%の少なくとも1種のアルカリ土類金属化合物を含むことができる。
【0047】
好ましい実施形態では、脱水素化触媒は、さらなる成分として、少なくとも1種のマグネシウム化合物を含む。脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、MgOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは1から5質量%の少なくとも1種のマグネシウム化合物を含む。特に、少なくとも1種のマグネシウム化合物は、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムおよび水酸化マグネシウムの中から選択される。少なくとも1種のマグネシウム化合物は、好ましくは酸化マグネシウム(MgO)および/または炭酸マグネシウム(MgCO
3)である。触媒の生成に、さらなる成分として、酸化マグネシウム(MgO)および/または炭酸マグネシウム(MgCO
3)を使用することが好ましい。
【0048】
好ましい実施形態では、脱水素化触媒は、さらなる成分として、少なくとも1種のカルシウム化合物を含む。脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、CaOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは1から5質量%の少なくとも1種のカルシウム化合物を含む。特に、少なくとも1種のカルシウム化合物は、酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化カルシウムの中から選択される。少なくとも1種のカルシウム化合物は、好ましくは酸化カルシウム(CaO)である。触媒の生成に、さらなる成分として、酸化カルシウム(CaO)および/または水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)を使用することが好ましい。
【0049】
好ましい実施形態では、脱水素化触媒は、少なくとも1種のマグネシウム化合物および少なくとも1種のカルシウム化合物を含む。特に、脱水素化触媒は、MgOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは1から5質量%の少なくとも1種のマグネシウム化合物およびCaOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは1から5質量%の少なくとも1種のカルシウム化合物も含む。
【0050】
本発明の好ましい実施形態は、
Fe
2O
3として算出して、50から90質量%、好ましくは60から80質量%の少なくとも1種の鉄化合物;
K
2Oとして算出して、1から30質量%、好ましくは5から25質量%の少なくとも1種のカリウム化合物;
CeO
2として算出して、2から25質量%、好ましくは7から20質量%、好ましくは10から20質量%の少なくとも1種のセリウム化合物;
MgOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは0.1から5質量%の少なくとも1種のマグネシウム化合物;
CaOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは0.1から5質量%の少なくとも1種のカルシウム化合物、および
0から30質量%、好ましくは0.0001から10質量%の少なくとも1種のさらなる成分
を含む、脱水素化触媒を提供する。
【0051】
好ましい実施形態では、上述の成分は、合計が100質量%になる。
【0052】
さらなる成分は、0から30質量%、好ましくは0から20質量%、好ましくは0.0001から10質量%、特に0.001から5質量%、特に0.5から5質量%の量で含まれ(または加えられ)得る。
【0053】
脱水素化触媒は、典型的には、活性および/または選択性を増加させるための1種または複数種の通常の化合物を、少なくとも1種のさらなる成分として、特に促進剤またはドーパントとして含むことができる。例えば、Mn、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Ge、Zr、Nb、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、La、Hf、Ta、Re、Ir、Pt、Au、PbおよびBiからなる群から選択される金属を包含する化合物から選択される少なくとも1種の化合物が、さらなる成分として含まれ得る、または少なくとも1種のそのような化合物が、脱水素化触媒の生成に使用される。1種または複数種の上述の成分が、触媒の生成に使用される異なる原料中に、例えば酸化鉄中に、部分的にまたは全体的に含まれることも可能である。言及されている通例の成分、特に促進剤またはドーパントは、典型的には、触媒全体に対して、いずれの場合も最も高い酸化状態にある酸化物として算出して、0から10質量%、好ましくは0.0001から5質量%、好ましくは0.001から2質量%の量で含まれ得る。
【0054】
脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびタングステン(W)からなる群から選択される、好ましくはモリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびタングステン(W)からなる群から選択される金属を包含する化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含み得る;または少なくとも1種のそのような化合物が、脱水素化触媒の生成に使用される。さらなる成分は、特に、酸素化合物、例えば、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびタングステン(W)の酸化物、酸化水和物、オキソ化合物の中から選択され得る。特に、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびタングステン(W)からなる群から選択される金属を包含する化合物から選択される少なくとも1種の化合物は、脱水素化触媒の生成中に、熱の作用で分解する化合物である。
【0055】
脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、いずれの場合も最も高い酸化状態にある酸化物として算出して、0.0001から10質量%、好ましくは0.001から5質量%、特に好ましくは0.5から5質量%の、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびタングステン(W)からなる群から選択される、好ましくは、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0056】
脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、いずれの場合も最も高い酸化状態にある酸化物として算出して、0.0001から10質量%、好ましくは0.001から5質量%、特に好ましくは0.5から5質量%の、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびタングステン(W)からなる群から選択される、好ましくは、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびタングステン(W)からなる群から選択される金属を包含する化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0057】
少なくとも1種のさらなる成分として、酸化モリブデンおよびモリブデン酸塩(例えばモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カリウム)の中から選択される少なくとも1種のモリブデン化合物を使用することが好ましい。少なくとも1種のモリブデン化合物は、好ましくは酸化モリブデンである。
【0058】
特に、脱水素化触媒は、さらなる成分として、MoO
3として算出して、0.1から10質量%、好ましくは0.5から5質量%の少なくとも1種のモリブデン化合物を含む。
【0059】
特に、脱水素化触媒は、さらなる成分として、少なくとも1種のチタン化合物を含む;または少なくとも1種のチタン化合物が、脱水素化触媒の生成に使用され得る。脱水素化触媒は、触媒全体に対して、TiO
2として算出して、0から1000ppm、好ましくは10から500ppm、好ましくは30から500ppm、特に好ましくは50から220ppmの少なくとも1種のチタン化合物を含むことができる。
【0060】
少なくとも1種のチタン化合物は、特に、酸化チタン、チタンアルコキシドおよびカルボン酸チタンの中から選択され得る。少なくとも1種のチタン化合物は、好ましくは二酸化チタン(TiO
2)である。少なくとも1種のチタン化合物は、好ましくは、触媒の生成中に、二酸化チタン(TiO
2)として加えられる。しかし、他のチタン化合物を使用することも可能である。少なくとも1種のチタン化合物が、触媒生成に使用される異なる原料中に、例えば酸化鉄中に、部分的にまたは全体的に含まれることは追加的に可能である。
【0061】
特に、脱水素化触媒は、さらなる成分として、V
2O
5として算出して、0.1から10質量%、特に好ましくは1から5質量%の少なくとも1種のバナジウム化合物を含む。
【0062】
好ましい実施形態では、本発明は、
Fe
2O
3として算出して、50から90質量%、好ましくは60から80質量%の少なくとも1種の鉄化合物;
K
2Oとして算出して、1から30質量%、好ましくは5から25質量%、特に10から20質量%の少なくとも1種のカリウム化合物;
CeO
2として算出して、2から25質量%、好ましくは5から20質量%、好ましくは7から20質量%、特に10から20質量%の少なくとも1種のセリウム化合物;
MgOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは1から5質量%の少なくとも1種のマグネシウム化合物;
CaOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは1から5質量%の少なくとも1種のカルシウム化合物、ならびに
いずれの場合も最も高い酸化状態にある酸化物として算出して、0.0001から10質量%、好ましくは0.001から5質量%の、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびタングステン(W)からなる群から選択される金属を包含する化合物から選択される少なくとも1種の化合物
を含む、以上に記載されているような脱水素化触媒を提供する。
【0063】
好ましい実施形態では、上述の成分は、合計が100質量%になる。
【0064】
好ましい実施形態では、本発明は、
Fe
2O
3として算出して、50から90質量%、好ましくは60から80質量%の少なくとも1種の鉄化合物;
K
2Oとして算出して、1から30質量%、好ましくは5から25質量%、特に10から20質量%の少なくとも1種のカリウム化合物;
CeO
2として算出して、2から25質量%、好ましくは5から20質量%、好ましくは7から20質量%、特に10から20質量%の少なくとも1種のセリウム化合物;
MgOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは0.1から5質量%、特に1から4質量%の少なくとも1種のマグネシウム化合物;
CaOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは0.1から5質量%、特に1から4質量%の少なくとも1種のカルシウム化合物;
MoO
3として算出して、0.1から10質量%、好ましくは0.1から5質量%、特に0.5から4質量%の少なくとも1種のモリブデン化合物、および
TiO
2として算出して、1から1000ppm、好ましくは10から500ppm、好ましくは30から500ppm、特に50から220ppmの少なくとも1種のチタン化合物
を含む、以上に記載されているような脱水素化触媒を提供する。
【0065】
好ましい実施形態では、上述の成分は、合計が100質量%になる。
【0066】
好ましい実施形態では、本発明は、
Fe
2O
3として算出して、50から90質量%、好ましくは60から80質量%の少なくとも1種の鉄化合物;
K
2Oとして算出して、1から30質量%、好ましくは5から25質量%、特に10から20質量%の少なくとも1種のカリウム化合物;
CeO
2として算出して、2から25質量%、好ましくは5から20質量%、好ましくは7から20質量%、特に10から20質量%の少なくとも1種のセリウム化合物;
MgOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは0.1から5質量%、特に1から4質量%の少なくとも1種のマグネシウム化合物;
CaOとして算出して、0.1から10質量%、好ましくは0.1から5質量%、特に1から4質量%の少なくとも1種のカルシウム化合物;
MoO
3として算出して、0.1から10質量%、好ましくは0.1から5質量%、特に0.5から4質量%の少なくとも1種のモリブデン化合物;
MnO
2として算出して、0.1から20質量%、好ましくは0.1から10質量%、好ましくは0.2から5質量%、特に0.7から2質量%の少なくとも1種のマンガン化合物および
TiO
2として算出して、1から1000ppm、好ましくは10から500ppm、好ましくは30から500ppm、特に50から220ppmの少なくとも1種のチタン化合物
を含む、以上に記載されているような脱水素化触媒を提供する。
【0067】
好ましい実施形態では、上述の成分は、合計が100質量%になる。
【0068】
質量%で表示されているすべての数字は、他に特に指示されていない限り、全脱水素化触媒に関するものである。質量%で表示されているすべての数字は、他に特に指示されていない限り、いずれの場合も最も高い酸化状態にあるそれぞれの金属の酸化物に基づいて算出されている。
【0069】
ある実施形態では、上記の脱水素化触媒は、さらなる成分として、特にランタン(La)、プラセオジム(Pr)およびネオジム(Nd)からなる群から選択される、セリウム以外の少なくとも1種のさらなる希土類金属化合物を含む。脱水素化触媒は、好ましくは、いずれの場合も最も高い酸化状態にある酸化物として算出して、1から1000ppm、好ましくは10から500ppm、特に好ましくは20から300ppmの、セリウム以外の少なくとも1種のさらなる希土類金属化合物を含む。特に、触媒は、1から1000ppm、好ましくは10から500ppm、特に好ましくは20から300ppmの、ランタン、プラセオジムおよびネオジムからなる群から選択される少なくとも1種の希土類金属化合物を含む。脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、La
2O
3として算出して、1から1000ppm、好ましくは3から500ppm、特に好ましくは10から100ppmの少なくとも1種のランタン化合物を含み得る。脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、PrO
2として算出して、1から1000ppm、好ましくは3から500ppm、特に好ましくは10から100ppmの少なくとも1種のプラセオジム化合物を含み得る。脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、Nd
2O
3として算出して、1から1000ppm、好ましくは3から500ppm、特に好ましくは10から100ppmの少なくとも1種のネオジム化合物を含み得る。
【0070】
上記の脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、周期表の8族から12族の遷移金属の少なくとも1種の化合物を含み得る。上記の脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、マンガン(Mn)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される;好ましくはコバルト(Co)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される;特に好ましくはマンガン(Mn)、銅(Cu)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される金属の少なくとも1種の化合物を含む。上記の脱水素化触媒は、特に、さらなる成分として、いずれの場合も最も高い酸化状態にある酸化物として算出して、1から1000ppm、好ましくは50から500ppm、特に好ましくは50から200ppmの、周期表の8族から12族の遷移金属の少なくとも1種の化合物を含み得る。好ましい実施形態では、上記の脱水素化触媒は、いずれの場合も最も高い酸化状態にある酸化物として算出して、1から1000ppm、好ましくは50から500ppm、特に好ましくは50から200ppmの、マンガン(Mn)、銅(Cu)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される金属の少なくとも1種の化合物を含む。脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、MnO
2として算出して、1から1000ppm、好ましくは30から500ppm、特に好ましくは30から200ppmの少なくとも1種のマンガン化合物を含み得る。脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、CuOとして算出して、1から1000ppm、好ましくは10から200、特に好ましくは30から100ppmの少なくとも1種の銅化合物を含み得る。脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、ZnOとして算出して、1から1000ppm、好ましくは1から500ppm、特に好ましくは10から100ppmの少なくとも1種の亜鉛化合物を含み得る。
【0071】
加えて、脱水素化触媒は、さらなる成分として、元素周期表の第4主族の元素の少なくとも1種の化合物を含み得る。上記の脱水素化触媒は、好ましくは、さらなる成分として、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)および鉛(Pb)化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、好ましくは少なくとも1種のケイ素化合物を含む。特に、脱水素化触媒は、いずれの場合も最も高い酸化状態にある酸化物として算出して、1から1000ppm、好ましくは5から500ppm、特に好ましくは10から100ppmの、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)および鉛(Pb)化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。一実施形態では、記載されている脱水素化触媒は、SiO
2として算出して、1から1000ppm、好ましくは5から500ppm、特に好ましくは10から100ppmの少なくとも1種のケイ素化合物を含む。
【0072】
上記の脱水素化触媒は、典型的には、周期表の第5主族から第7主族の非金属の中から選択される、特に、酸素以外の非金属として、窒素、リン、硫黄および塩素からなる群から選択される少なくとも1種の非金属を含み得る。
【0073】
本発明の脱水素化触媒は、特に、1から3m
2/g、特に1.5から2.5m
2/gの範囲の比表面積を有し得る。触媒の比表面積は、例えば、窒素吸着法を用いて、例えば、DIN ISO9277に記載されているように決定することができる。
【0074】
特に、本発明は、水蒸気/炭化水素のモル比が、1から20、好ましくは1から10の範囲であり、特に1から9の範囲であり、特に好ましくは5から8.5である、炭化水素の接触脱水素化のための、以上に記載されているような脱水素化触媒を提供する。
【0075】
さらなる態様では、本発明は、以上に記載されているような脱水素化触媒を生成するための方法であって、
i)少なくとも1種の鉄化合物、少なくとも1種のカリウム化合物、少なくとも1種のセリウム化合物、ならびに任意にさらなる金属化合物、任意にさらなる成分および任意に少なくとも1種の結合剤を溶媒と混合することにより、触媒予備混合物を生成する工程;
ii)工程i)で得られた触媒予備混合物から成形触媒体を生成する工程;
iii)成形触媒体のか焼を、600℃から1000℃、好ましくは700℃から950℃、好ましくは750℃から900℃、特に600℃から850℃の範囲の温度にて、10分から300分、好ましくは15分から240分の時間行う、成形触媒体を乾燥し成形触媒体をか焼する工程
を含む、方法を提供する。
【0076】
脱水素化触媒を生成するための方法では、脱水素化触媒に関して、以上に記載されている鉄化合物、カリウム化合物、セリウム化合物およびさらなる成分、特にさらなる金属化合物を、好ましくは記載されている量で使用することが好ましい。上記の成分は、生成方法に、任意に使用することができ、1種または複数種の成分は、使用される原料の1種中に、例えば、使用される酸化鉄および/または炭酸セリウム中に、部分的にまたは完全に、任意に存在する。
【0077】
脱水素化触媒の生成の基本的な手法は、当業者に知られている。上記の脱水素化触媒の生成は、例えば、US6,551,958に記載されているように行うことができる。
【0078】
触媒成分(出発物質、原料)の選択および生成条件、特にか焼条件の選択は、記載されている構造的特徴の組合せを有する本発明による触媒が、得られるようなやり方で行うことができる。工程がほとんどない、特にか焼工程がほとんどない生成方法が、特に有利である。
【0079】
例えば、構造的特徴の上記の有利な組合せ(K/Fe混合酸化物相の割合およびCeO
2結晶子サイズ)を有する本発明の触媒は、好ましくは、温度およびまたか焼の継続期間または滞留時間を設定および制御することによって得ることができることが見出された。一般式K
xFe
yO
z[式中、xは1から17であり、yは1から22であり、zは2から34である]のK/Fe混合酸化物相は、例えば、触媒の他のすべての構成成分の存在下、触媒の最終か焼中に、少なくとも1種の鉄化合物および少なくとも1種のカリウム化合物の反応によって形成され得る。
【0080】
特に、高いか焼温度および長いか焼時間が、K/Fe混合酸化物相の形成に必要であるが、他方では、高温および長いか焼時間は、二酸化セリウム結晶子サイズの増加につながり、これは、例えば、二酸化セリウム結晶子が焼結し、ひいてはサイズが大きくなることに起因し得ることが見出された。とりわけ、工程iii)における温度およびか焼の継続期間の最適な組合せが見出された。基本的には、本発明による触媒は、工程iii)が、指示されている限度内の、より低いか焼温度でより長い期間にわたって行われる、またはより高いか焼温度でより短い期間にわたって行われることによって得ることができる。
【0081】
触媒予備混合物を生成するために、典型的には固体粉末の形である成分が、大体混合され、次いで、溶媒、特に水と、任意に結合剤を加えて混合される。混合は、好ましくは、完全な混合によって、例えば、撹拌容器、ミックスマラー、ミキサー、ニーダーまたは押出機中で、好ましくはミックスマラー、ニーダーまたはミキサー中で、混練することによって行われる。この状況において、溶媒は、特に、固体触媒成分が分散される液体溶媒および/または分散媒である。
【0082】
溶媒として、特に、水または水と極性溶媒、例えばアルコール、エステルとの混合物が使用される。結合剤として(可塑剤としても)、例えば、アルギネート、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびポリビニルアルコールを使用することが可能である。結合剤は、典型的には、水溶液の形で使用される。
【0083】
成形触媒体は、次いで、典型的には、得られた触媒予備混合物から生成され、続いて乾燥されか焼される。
【0084】
触媒予備混合物からの成形触媒体の生成は、典型的には、押出成形または加圧成形(打錠)によって行われる。成形触媒体の例は、円柱型(ペレット)、環型、星型体およびハニカム体である。工程i)において得られた触媒予備混合物からの成形触媒体の生成は、好ましくは、押出成形を用いて行われる。
【0085】
成形後、湿式成形体は、典型的には、50℃から500℃、好ましくは80から350℃の温度で乾燥される。乾燥は、例えば、乾燥オーブン内で(例えば、金属トレイ上で)、乾燥ドラム内でおよび/またはベルト乾燥機上で行われ得る。
【0086】
次いで、成形体は、一般に、か焼される。か焼は、マッフル炉、ベルトか焼炉、回転式管状炉内などで行われ得る。触媒押出成形物は、好ましくは、回転式管状炉内でか焼される。
【0087】
成形触媒体は、工程iii)において、好ましくは、600℃から1000℃、好ましくは700℃から950℃、好ましくは750℃から900℃、特に600℃から850℃の範囲の温度でか焼される。か焼は、例えば、回転式管状炉内で行われ得る。
【0088】
好ましい実施形態では、本発明は、以上に記載されているような脱水素化触媒を生成するための方法であって、工程iii)における成形触媒体のか焼を、
600℃から850℃、好ましくは750℃から850℃、特に好ましくは775℃から825℃の範囲の温度にて、10分から300分、好ましくは30分から180分、特に好ましくは30分から90分、非常に特に好ましくは30分から60分の時間で、または
800℃から1000℃、好ましくは850℃から1000℃、好ましくは850℃から900℃の範囲の温度にて、10分から60分、好ましくは10分から50分、好ましくは10分から30分の時間にわたって
行う、方法を提供する。
【0089】
工程iii)におけるか焼は、好ましくは、700℃から850℃、好ましくは700℃から825℃、特に好ましくは750℃から800℃の温度にて、15分から90分、好ましくは30分から60分のか焼時間で行われ得る。方法は、例えば、固定式の方法として、例えば、マッフル炉内で行われ得る。
【0090】
工程iii)におけるか焼は、好ましくは、800℃から950℃、好ましくは850℃から900℃温度にて、10分から30分、好ましくは10分から20分のか焼時間で行われ得る。方法は、例えば、連続式の方法として、例えば、連続式の回転式管状炉内で行われ得る。連続式の方法では、滞留時間は、典型的には、上記のか焼時間に相当する。
【0091】
化合物およびさらなる成分として、完成された触媒中にそれらが存在する形の化合物、または完成された触媒中にそれらが存在する形の化合物に、生成方法中に変換される化合物を使用することが可能である。本発明の脱水素化触媒と関連して記載されている化合物を使用することが好ましい。
【0092】
特に、本発明は、全鉄化合物に対して、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%の酸化鉄(III)(Fe
2O
3)を含む鉄化合物が使用される、記載されているような脱水素化触媒を生成するための方法を提供する。ヘマタイト(Fe
2O
3)は、主に、鉄成分として使用される。鉄の一部は、ゲータイト(FeOOH)またはマグネタイト(Fe
3O
4)として使用することができ、この割合は、0から30%であり得る。特に、本発明は、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムおよび/または炭酸水素カリウムが、カリウム化合物として使用される、記載されているような脱水素化触媒を生成するための方法を提供する。セリウム化合物として、酸化セリウム、特に、二酸化セリウム、炭酸セリウム、水酸化セリウムおよび/または炭酸水素セリウムを使用することが好ましい。マグネシウム化合物として、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムを使用することが好ましい。カルシウム化合物として、酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび/または水酸化カルシウムを使用することが好ましい。チタン化合物として、酸化チタン、特に、TiO
2、チタンアルコキシドおよび/またはカルボン酸チタンを使用することが好ましい。モリブデン化合物として、酸化モリブデン、特にMoO
3を使用することが好ましい。バナジウム化合物として、酸化バナジウムを使用することが好ましい。
【0093】
さらなる態様では、本発明は、水蒸気および少なくとも1種の炭化水素の混合物を、以上に記載されているような脱水素化触媒と接触させる、炭化水素の接触脱水素化のための方法を提供する。
【0094】
本発明の脱水素化触媒およびそれを生成するための方法に関連して、以上に記載されている好ましい実施形態は、炭化水素の接触脱水素化のための本発明の方法と同じように適用される。
【0095】
本発明の脱水素化触媒を使用する、炭化水素の接触脱水素化のための方法は、知られている方法または脱水素化触媒と比較して、改善された収率、例えば、改善されたスチレン収率を示す。
【0096】
本発明は、好ましくは、水蒸気/炭化水素のモル比が、1から20、好ましくは1から10、特に1から9、特に好ましくは5から8.5の範囲である、水蒸気および少なくとも1種の炭化水素の混合物を使用する、炭化水素の接触脱水素化のための方法を提供する。特に、本発明は、水蒸気/炭化水素の質量比が、0.17から3.4、好ましくは0.17から1.7、特に0.17から1.5、特に好ましくは0.9から1.45の範囲である、水蒸気およびエチルベンゼンの混合物を使用する、エチルベンゼンからスチレンへの接触脱水素化のための方法を提供する。炭化水素の本発明による接触脱水素化は、特に好ましくは、0.9から1.45(kg/kg)の範囲の水蒸気/炭化水素の平均質量比を使用して行われ得る。
【0097】
接触脱水素化のための本発明の方法では、使用される炭化水素に対して、40から80%、好ましくは50から75%、特に好ましくは60から70%の収率が、典型的には、反応器を通過する毎に達成される。特に、エチルベンゼンの接触脱水素化では、使用されるエチルベンゼンに対して、40から80%、好ましくは50から75%、特に好ましくは60から70%のスチレン収率が、反応器を通過する毎に達成される。指示されている収率は、mol%に基づいている。
【0098】
炭化水素の接触脱水素化のための方法は、典型的には、500から650℃の温度および0.2から2barの絶対圧力で行われる。
【0099】
記載されている方法は、アルキル芳香族または脂肪族の炭化水素の脱水素化であり得る;それは、好ましくは、アルキル芳香族炭化水素の脱水素化、特に好ましくはエチルベンゼンからスチレンへの脱水素化である。炭化水素の脱水素化のための本発明の方法は、例えば、エチルベンゼンからスチレンへの、イソプロピルベンゼンからα−メチルスチレンへの、ブテンからブタジエンへのまたはイソアミレンからイソプレンへの脱水素化であり得る。炭化水素は、好ましくはエチルベンゼンである。
【0100】
さらに、本発明は、炭化水素、特にアルキル芳香族または脂肪族の炭化水素、好ましくはアルキル芳香族炭化水素、特に好ましくはエチルベンゼンの接触脱水素化のための、以上に記載されているような脱水素化触媒を使用する方法を提供する。本発明は、好ましくは、炭化水素の接触脱水素化のための、以上に記載されているような脱水素化触媒を、1から20の範囲の、好ましくは1から10の範囲の、特に1から9の範囲の、特に好ましくは5から8.5の範囲の水蒸気/炭化水素のモル比で使用する方法を提供する。
【0101】
図を以下に説明する。