(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本発明の種々の実施形態が詳細に参照されることになり、その1つまたは複数の例が図示される。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。一般的に、個々の実施形態に関する違いのみが説明される。本発明の説明として各例が与えられるが、本発明を限定するつもりはない。さらに、1つの実施形態の一部として図示及び説明される特徴は、更なる実施形態をもたらすために、他の実施形態において用いることができるか、または他の実施形態と併用することができる。説明はそのような変更及び変形を含むことを意図している。
【0013】
本明細書において説明される実施形態は、とりわけ、パッケージング用のウェブ、フレキシブル光起電デバイスまたは他の応用形態などのフレキシブル基板を処理するのに適応した基板処理システムに言及する。詳細には、基板処理システムは、巻出しモジュールから巻き出されるウェブなどのフレキシブル基板の連続処理のために適応される。
【0014】
ここで、本明細書において説明される実施形態において用いられるようなフレキシブル基板またはウェブは、通常、可撓性であるという特徴を有することができることに留意されたい。用語「ウェブ」は、用語「ストリップ」または用語「フレキシブル基板」と同意語として用いることができる。例えば、本明細書の実施形態において説明されるようなウェブはホイルとすることができる。
【0015】
しかしながら、高速に移動しているフレキシブル基板に対する堆積プロセスにとって、簡単なプロセス制御による高い堆積速度が特に有益であると考えることができるが、高速、かつ十分に制御された堆積がスループット及び/または歩留りを増大させ、それゆえ、堆積装置の所有コストが下がるので、本明細書において説明される実施形態から他の反応性堆積プロセスも利益を享受することができる。
【0016】
本明細書において説明される実施形態によれば、反応性堆積プロセスのための閉ループ制御が提供される。それによって、通常、ヒステリシスを伴う反応性堆積プロセスに対して、簡略化された装置要件とともに、高速で、かつ信頼性のあるプロセス制御モードを与えることができる。例えば、本明細書において説明される閉ループ制御は、プラズマモニタ、ラムダセンサなどを不要にする。
【0017】
図1は、通常の反応性堆積プロセスのヒステリシス曲線を示すグラフ10を示す。これは、例えば、酸化ケイ素(SiO2)の堆積とすることができ、プラズマ内に酸素を供給しながら、カソードからシリコンがスパッタリングされる。それにより、酸化ケイ素を基板上に堆積することができる。
図1に示される曲線12は、酸素などのプロセスガスの流れの関数として、スパッタカソードに与えられる電圧のような堆積パラメータを示す。しかしながら、例えば、ラムダセンサを用いて測定することができる、プラズマ内の酸素含有量などの、他の堆積パラメータに対しても類似のヒステリシス曲線を見ることができる。したがって、グラフ10において与えられる値は正規化された値として示される。
【0018】
図1に示される矢印14によって示されるように、曲線12はヒステリシスを示す。少ないプロセスガス流に対して、比較的高いカソード電圧が与えられ、金属モードにおいて堆積プロセスが行われる。金属モードでは、高い堆積速度を与えることはできるが、吸収層が堆積されるので、複数の応用形態に対して適切ではない。より高いプロセスガス流量に対して、堆積プロセスは酸素モードに変わり、透明な酸化ケイ素層を堆積することができる。けれども、堆積速度は比較的遅い。したがって、本明細書において説明されるような反応性堆積プロセスを制御する方法は、通常、堆積プロセスが移行モードにおいて提供されるように制御し、酸化ケイ素などの透明な層を比較的速い速度で堆積することができる。
【0019】
酸素センサ(ラムダセンサ)またはプラズマ監視(PEM)を用いる電流制御モードなどの制御モードは、堆積プロセスを移行モードにおいて安定した状態に保つために、センサ装置、及び高速ロジック制御を有する制御ユニットのための追加のハードウェアを必要とする。プラズマ特性の情報を与えるそのようなセンサからの信号は、電源またはガス供給源を制御するために、高速ロジックコントローラに送ることができる。したがって、カソード電力を移行モードにおいて制御し続けるために、これまで、特殊な制御ルーチンとともに、PEMまたはラムダセンサのような特殊な監視機構が用いられた。これは余分なハードウェア及びソフトウェアを必要とし、それゆえ、費用がかかる解決法である。さらに、電流制御モードは必ずしも有益ではない。
【0020】
本明細書において説明される実施形態は、反応性堆積プロセスのための閉ループ制御を提供し、カソードを電力制御することができる。それにより、堆積速度がカソードに供給される電力に比例するので、堆積速度を一定にすることができる。
【0021】
本明細書において説明される実施形態は、電圧制御または上側電圧制限を用いることによって、カソードを移行モードに保つことができる電圧電源または発生器を含む。しかしながら、電源に電圧制御を与えるとき、電源は固定された1つのパラメータを保つことだけできるので、電圧電源は結果として電圧制御されることになり、電力が一定に保たれない。電圧制御が用いられる場合には、電力、それゆえ、堆積速度が、使用されるプロセスガス(あるいは脱ガス)とともに変化し、これは必ずしも許容できるとは限らない。また、電源を電圧モードにおいて動作する場合には、堆積速度の手動調整が必要とされる。
【0022】
したがって、本明細書において説明される実施形態は、電源の電圧制御に加えて、閉制御ループとして電力制御を提供し、実際の電力が監視され、プロセスガスの流量が、電力を本質的に一定に保つように制御される。それにより、本質的に一定の堆積速度を与える閉ループ制御を提供することができる。本明細書において説明される実施形態によれば、SiO
2プロセスなどの反応性堆積プロセスは、電圧制御されるか、または電圧制限され、スパッタ電力を一定に保つO
2流調節を確立する。それにより、閉ループ制御が提供される。
【0023】
本明細書において参照される例は、主にSiO
2堆積に言及するが、反応性堆積プロセスを制御する方法、反応性堆積プロセスのために構成される閉ループ制御アセンブリ、及び基板上への層の反応性堆積のための堆積装置は、Al
2O
3、TiO
2、ZnO、Nb
2O
5、SnO
2、Si
3N
4などを堆積するなどの他の反応性堆積プロセスに対しても利用することができる。
【0024】
図2は、本明細書において説明される実施形態を例示するための閉ループ制御アセンブリ200を示す。制御アセンブリは、電源210を含む。参照番号212によって示されるように、電源は通常、中周波電源などのAC電源とすることができる。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、電源の発振周波数は1kHz〜200kHzとすることができる。電源210はカソードアセンブリに接続される。
【0025】
図2に示されるように、カソードアセンブリは第1のカソード214及び第2のカソード215を含むことができる。それにより、カソードまたはカソードアセンブリにそれぞれ電力が供給される。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、AC波形の半サイクル中に、一方のカソードが他方のカソードのための対電極(アノード)をそれぞれ提供するように交替する方法で、AC電力をカソード214及びカソード215に供給することができる。カソードアセンブリに電力を供給することによって、プラズマ20が生成される。
【0026】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、電源210は、DC発生器と、中周波発振器などのAC発振器とを含むことができる。DC発生器は、発振器に対する出力として、DC電力、DC電圧、及びDC電流を有する。発振器は、カソードまたはカソードアセンブリにそれぞれ供給される、出力電力、出力電圧、出力電流、及び出力周波数を有する。矢印222によって示されるように、電源は、コントローラから電圧設定点信号を受信する。さらに、矢印224によって示されるように、電源は、コントローラに電力値を与える。その結果、通常、電力値は、電源または発振器のそれぞれによってカソードに供給される実際のAC電力である。
【0027】
矢印232によって示されるように、プラズマ20のプラズマ領域内にプロセスガスが供給される。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、通常の実施形態によれば、プロセスガスはアルゴン、酸素、窒素、H
2、H
2O及びN
2Oのうちの少なくとも1つを含むことができる。通常、反応性堆積プロセスのための反応性ガスとして酸素を供給することができる。酸素ベースの反応プロセスのためのプロセスガス内に少量の窒素を与えることは、生成されるプラズマ20を安定させることに対して有益である。
【0028】
通常の実施形態によれば、電圧設定点値222は、電源210がカソードに与えることができる、電圧に対する上限値として与えられる。
図1に関して、上限値は、例えば、0.6〜0.8、例えば、0.7の正規化された値を有することができる。それにより、金属モードから開始するプロセスにおいて、移行モード、例えば、
図1の曲線12の右側ヒステリシス部分で層を堆積するように電圧を調整することができる。
【0029】
したがって、電圧設定点値222は、その堆積プロセスを移行モード内に保つための限界値として設定することができる。その結果、電源によって供給される電力は、プラズマ領域20内の反応性ガスの流れによって決まる。例えば、酸化ケイ素堆積プロセスに対して、電力は、電圧設定点値によって制限される間の酸素流によって決めることができる。実際の電力は、矢印224によって示されるように、コントローラへの信号として与えられる。コントローラは閉ループ制御を提供し、カソードに供給される実際の電力に基づいて、矢印232によって示されるプロセスガス流を制御する。
【0030】
したがって、本明細書において説明される幾つかの実施形態によれば、電源の電圧が設定点値によって固定され、電源210の出力電力は、コントローラによってプロセスガス流を調整することによって制御される。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、コントローラはプログラム可能なロジックコントローラ(PLC)とすることができる。プロセスガス流、例えば、酸素流を調整して、出力電力を、それゆえ、堆積速度を一定に保つので、ラムダセンサまたはプラズマ監視(PEM)のような追加のハードウェアを有することなく、移行モードにおいて、一定の堆積速度を与えることができる。
【0031】
図3は、閉ループ制御アセンブリを含む堆積装置300を示す。
図3に示される堆積装置300は、電源210を含む。AC電源は、堆積装置300の回転可能なカソード314及びチャンバ32に接続される。
【0032】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、異なる実施形態によれば、AC電源を、一方のカソードと、ハウジングによって、または堆積装置の他の部品によって、または別の電極によって設けられる対電極とに接続することができる。例えば、他方の電極は、カソード314と反対側の基板面に設けることができる。更なるオプションによれば、2つのカソードを備えるカソードアセンブリを設けることができ、交流電力によって駆動されるツインカソードアセンブリを設けるために、AC電源は第1のカソード及び第2のカソードに接続される。通常、中周波電力が適用される。
【0033】
通常の実施形態によれば、カソードはマグネトロンスパッタリングカソードとすることができる。さらに、本明細書において説明されるような反応性堆積プロセス、それぞれの制御アセンブリ及び堆積装置に対して、
図2に示されるような平面カソード、または
図3及び
図5に示されるような回転するカソードを利用することができる。
【0034】
理解されるように、カソード214、215及び314、並びに本明細書において参照される他のカソードは、AC電力が供給されるときに、カソードまたはアノードのいずれかとすることができる。しかしながら、その機能がAC周波数波形の半サイクル中にアノードの機能とすることができる場合であっても、スパッタリングターゲットはカソードと呼ばれる。
【0035】
図3に示されるように、電圧設定点222がコントローラ310によって与えられ、コントローラ310は電力値を受信し、電力値は、通常、カソード314に出力される実際に供給されるMF電力である。コントローラ310は、チャンバ32内にプロセスガスを供給するためのガス導管334を含むガス供給源330に信号232を与える。基板30は、層、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、TiO
2、ZnO、Nb
2O
5、SnO
2、Si
3N
4などの反応性堆積のためにチャンバ32を通って移送される。
【0036】
チャンバ32のプラズマ領域内の導管334によって供給されるガス流量は、カソード314に供給される電源210の出力電力に比例する。コントローラ310は、電源からコントローラ310に信号として与えられる実際の電力値224が本質的に一定であるように、ガス流量を制御する。それにより、閉ループ制御が確立される。
【0037】
図4は、カソード214及び215に電力を供給するための閉ループ制御アセンブリの更に別の実施形態を示す。閉ループ制御及び閉ループ制御を動作させる方法は
図4及び
図6に関して説明される。矢印422及び424によって示されるように、設定点電圧及び設定点電力をコントローラ310に与えることができる。これは、例えば、操作者によってグラフィカルユーザインターフェースを通して行うことができる。通常、設定点電圧をDC電圧とすることができ、設定点電力を中周波電力とすることができる。しかしながら、設定点電圧を中周波電圧とすることもでき、設定点電力をDC電力とすることもでき、DC電力は電源内のDC発生器から発振器に出力される。コントローラ310は、矢印222によって示されるように、電源210に設定点電圧を与える。
【0038】
通常、電源210は、DC発生器412と、AC発振器、例えば、中周波発振器414とを含むことができる。電源210は、所望の出力電圧として、特に電源210によって供給される電圧の電圧上限値として電圧設定点222を用いるように構成される。例えば、設定点電圧がDC電圧である場合には、電源210は、DC発生器412によって発振器414に与えられるDC電圧の上限値として設定点を用いることができる。例えば、設定点電圧がMF電圧である場合には、電源210は、発振器414によってカソードに与えられるMF電圧の上限値として設定点を用いることができる。それにより、電源は
図6のステップ602に示されるように電圧制御において動作される。
【0039】
本明細書において説明される通常の実施形態によれば、電圧設定点422は、堆積プロセスが移行モードにおいて行われるように与えられる。その結果、電圧上限値に起因して、移行モードを安定させることができ、発振器414によってカソード214及び215に供給される実際のAC電力は、プラズマ領域内で利用可能なプロセスガスによって決まる。カソード214及び215に供給される実際の電力は、例えば、発振器からコントローラ310に信号224として与えられる。これは、実際の電力Pactが受信される
図6のステップ604に対応する。コントローラは、ステップ606において、実際の電力Pactを設定点電力424と比較する。ステップ608に示されるように、プロセスガスのガス流、特にプロセスガスに含まれる反応性ガスのガス流が調整される。これが
図4において矢印232によって示される。例えば、実際の電力が設定点電力より小さい場合には、例えば、酸化ケイ素堆積プロセスのための酸素流を増加させる。実際の電力が設定点電力より大きい場合には、例えば、酸化ケイ素堆積プロセスのための酸素流を減少させる。他の反応性堆積プロセス及び対応する反応性プロセスガスに対して同様の制御を実施することができる。
【0040】
通常の実施形態によれば、酸素流を特定の限度内に調整することができ、所定の増分によって調整することができる。ステップ608からステップ604への矢印によって示されるように、本質的に一定の電力を供給するため閉ループ制御が実施される。それにより、移行モードにおいて本質的に一定の堆積速度が与えられ、堆積速度は電源の電圧制御によって設定される。
【0041】
図6は更なるステップ610を示しており、本明細書において説明される実施形態の幾つかの任意の変更に従って与えることができる。それにより、電源210からコントローラ310への信号として与えられる実際の電力224に加えて、実際の電圧も電源210からコントローラ310への信号として与えられる。ステップ610において、実際の電圧が監視される。実際の電圧が下限値未満に降下する場合には、酸素モードが検出される。これは
図1に関して理解されることができる。正規化された電圧が、0.4未満の値に降下する場合には、反応性堆積プロセスは
図1に示されるように酸素モードにある。幾つかの実施形態によれば、堆積プロセスのために金属モードを介して移行モードに戻すために、酸素流量を最小酸素設定点レベルに設定することができる。
【0042】
図5は、本明細書における実施形態による、基板、例えば、フレキシブル基板上への層の反応性堆積のための堆積装置500の一例を概略的に示す。
【0043】
通常の実施形態によれば、堆積装置500は、基板14の堆積及び巻取り前に、基板14を巻き出すための巻出しローラ132及び巻戻しローラ134を含むことができる。堆積装置500は、異なる処理チャンバを通って基板14を並進させるためのローラシステム(図示せず)を含むことができる。詳細には、本明細書における実施形態による堆積装置は、プラスチックフィルム上でロールツーロール堆積するためのスパッタロールコータとして構成することができる。
【0044】
装置500の処理モジュールは、基板14を処理ドラム306に適切に送り込み、そして処理された基板14’をプロセスモジュールから巻取りモジュール304に送り込むのを容易にするためのローラ310、312を更に含むことができる。堆積装置500は、本開示の実施形態による透明物体を製造するのに適応した、アプライドマテリアルズ社によって製造されるSmartWeb(商標)とすることができる。本明細書における実施形態に適応させることができるロールツーロール堆積装置の例は、2004年2月18日に出願され、公開番号EP 1 561 837 A1号で公開される「Strip coating installation with a vacuum chamber and a coating cylinder」と題する欧州特許出願公開第20040003574号において記述されており、その出願は本開示と矛盾しないかぎり、参照により本明細書に援用される。
【0045】
図5に示される例示的な装置は、6つのターゲットアセンブリ520−1〜520−6を有し、基板14上に1つの層または層スタックを堆積するように構成される第1の堆積アセンブリを含む。通常の実施形態によれば、層スタックの幾つかの層はそれぞれ、個別の堆積チャンバ内で、または堆積チャンバの個別の区画内で堆積することができる。代替的には、各区画を用いて、同じ材料層を更に堆積することができる。
【0046】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、装置500は6つの区画、チャンバまたはサブチャンバを含むことができ、各区画が個別の処理パラメータ下で、特に個別の処理ガスを用いて動作することができる。
図5に示されるように、装置はSiターゲット、例えば、噴霧式Siターゲット管522を備えた6つの回転可能なMFカソードまたはターゲットアセンブリ520−1〜520−6を含むことができる。参照を容易にするために、コントローラ310、例えば、DC発生器412及びMF発振器414を有する電源210、ガス供給源330、及びガス導管334は第1のターゲットアセンブリ520−1に対してのみ示される。
【0047】
通常の実施形態によれば、電源及びガス供給源は、堆積装置の区画のそれぞれに対して設けることができ、コントローラ310を用いて各区画内の堆積を制御することができる。代替的には、PLCなどのコントローラを各堆積プロセスに対して設けることができる。その結果、通常、共通のユーザインターフェースを設けて、各堆積ゾーンに対する設定点電圧及び設定点電力を与えることができる。更なる代替の変更形態によれば、2つ以上、更には全ての堆積ゾーンに対して、類似の設定点電圧及び設定点電力を与えることができる。
【0048】
本明細書において説明される幾つかの実施形態によれば、特に異なる層を含む層スタックの堆積のため、堆積アセンブリ520−1〜520−6のうちの1つまたは複数を、反応性堆積プロセスのために、そして本明細書において説明される実施形態による閉ループ制御アセンブリと一緒に設けることができる。
【0049】
例えば、本明細書において説明される実施形態による閉ループ制御を用いて、3つのシリコン含有誘電体膜(SiO2またはSi3N4)を有する3層透明層スタックを製造することができる。それにより、堆積区画のうちの1つまたは複数に対して、ラムダセンサまたはPEMを回避することができる。
【0050】
更なる実施形態によれば、
図5に示され、6つの区画、ターゲットアセンブリまたはカソードを有する装置500は、例えば、8、10、更には12個の区画、ターゲットアセンブリまたはカソードまで更に拡大することもできる。通常、追加のカソードを用いて、層厚及び/または堆積速度に基づいて基板の速度を制限しながら層を堆積することができるので、そのような拡大によって、少なくともスループットを更に高めることができる。
【0051】
カソードアセンブリ520−1に対して例示的に示されるように、コントローラ310に設定点電圧422及び設定点電力424を与えることができる。コントローラ310は電源210に設定点電圧を与える。通常、電源210は、DC発生器412及びAC発振器、例えば、中周波発振器414を含むことができる。電源は、堆積プロセスが移行モードにおいて行われるように、電圧制御において動作される。その結果、電圧上限値に起因して、移行モードを安定させることができ、発振器414によってカソード214及び215に供給される実際のAC電力は、ガス供給源330によって導管334に供給される利用可能なプロセスガスによって決まる。カソード522に供給される実際の電力は、コントローラ310への信号として与えられる。プロセスガスのガス流は、実際の電力に基づいて調整される。
【0052】
上記のように、本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、MF発生器はP
MF制御されるか、またはU
MF制御される。その場合に、通常、電圧限界値に達していないとき、発生器またはプロセスの電力制御をプロセスガスの流量の閉ループ制御によって利用することができる。電源に与えられるP
MF設定点を要求されるプロセスP
MF−Set設定点より約10%高く設定することができる。U
DC/MF限界設定点は、プロセスによって要求される設定点U
DC/MF−Setに変更される。
【0053】
酸素流は、要求されるMF−電力(PMF−Set)及び実際のMF−電力(PMF−Act)の差に応じて変更される。PMF−ActがPMF−Setより小さい場合には、ガス流、例えば、酸素流を増加させる。PMF−ActがPMF−Setより大きい場合には、ガス流、例えば、酸素流を減少させる。
【0054】
ガス流、例えば、酸素流は、毎分流量Δだけ限度(最小流量限度及び最大流量限度)内で変更することができる。ガス流量を変更することによるMF−電力制御に加えて、実際の電圧(UDC/MF−Act)は通常、設定点電圧(UDC/MF−Set)のすぐ近くにすべきである。実際の電圧がしきい値限度を下回る場合には、酸素モード堆積が検出され、上記のような対抗措置を提供することができる。
【0055】
本明細書において説明される実施形態によれば、本明細書において説明されるような、閉ループ制御アセンブリ、閉ループ制御アセンブリを含む装置及び反応性層堆積の方法を用いて、PEMまたはラムダセンサのような追加のハードウェアを不要にする。さらに、移行モードにおける安定した堆積速度、すなわち、十分な堆積速度を提供することができる。
【0056】
明細書は、最良の形態を含む本発明を開示し、かつ任意の当業者が本発明を実施し、利用できるようにするために複数の例を用いる。本発明は種々の具体的な実施形態に関して説明されてきたが、特許請求の範囲の精神及び範囲内で、変更を加えて本発明を実施できることは、当業者には認識されよう。特に、上記の実施形態及び変更形態の複数の例の互いに非排他的な特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0057】
本発明に関して特許を受けることができる範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に思い浮かぶ他の例も含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【0058】
これまでの説明は本発明の実施形態に向けられてきたが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態及び更なる実施形態を考案することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。