特許第6597274号(P6597274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6597274-スラグ粉及びスラグ粉の製造方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597274
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】スラグ粉及びスラグ粉の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 5/00 20060101AFI20191021BHJP
   F27D 15/00 20060101ALI20191021BHJP
   C21B 3/04 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   C04B5/00 C
   F27D15/00 A
   C21B3/04
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-246430(P2015-246430)
(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公開番号】特開2017-109906(P2017-109906A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100131635
【弁理士】
【氏名又は名称】有永 俊
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 賢司
【審査官】 西垣 歩美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−235383(JP,A)
【文献】 特開昭61−141647(JP,A)
【文献】 特開昭57−067051(JP,A)
【文献】 近松竜一、山本泰彦,高炉スラグ微粉末の粉末度評価法に関する研究,土木学会論文集,日本,土木学会,1990年 8月,第420号/v−13,p71−p80
【文献】 李長江、依田彰彦、横室隆,高炉スラグ微粉末を用いたモルタルの細孔構造と乾燥収縮,コンクリート工学年次論文報告集,日本,日本コンクリート工学会,1998年,20巻2号,P187-P192
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
C21B 3/00−5/06
C21B 11/00−15/04
F27D 7/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gであり、レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された24μm篩残分が30体積%以下であり、かつ、10μm篩通過分が35体積%以下である、スラグ粉。
【請求項2】
原料スラグのig.loss量が0.25質量%以上である、請求項1に記載のスラグ粉。
【請求項3】
レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された45μm篩残分が5体積%以下である、請求項1又は2に記載のスラグ粉。
【請求項4】
レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された90μm篩残分が0.5体積%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラグ粉。
【請求項5】
原料スラグを、ブレーン比表面積4000〜7000cm/g、且つレーザー回折式粒度分布測定法によって測定される24μm篩残分が30体積%以下であり、10μm篩通過分が35体積%以下となるように調製してスラグ粉を得る工程を含む、スラグ粉の製造方法。
【請求項6】
原料スラグのig.loss量を測定し、原料スラグの劣化の程度を確認する工程を含む、請求項に記載のスラグ粉の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉セメントの原料として、強度低下を抑制し得るスラグ粉及びスラグ粉の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉スラグ粉は、高炉セメントの原料として利用され、スラグ粉の品質は高炉セメントの品質に大きな影響を及ぼす。高炉から出銑された高炉スラグを粉砕した高炉スラグ粉の品質は、JISに定められている塩基度((CaO+MgO+Al)/SiO)を指標として管理される。JIS A6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」には、塩基度が1.6以上の高炉スラグ粉をコンクリートに用いることが定められている。
【0003】
このような高炉スラグ粉の品質を改善する方法として、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸アルカリ及び無水石こうの混合物からなる混和剤を高炉スラグ粉に加えた高炉スラグ組成物が開示されている(特許文献1)。
また、高炉スラグ粉を用いた高炉セメントの水和硬化特性を改善し、効率的に粉砕を行なうために、ガラス質高炉スラグ、セメントクリンカー及び石こうから選択される1種又は2種以上の混合物を、乾式媒体撹拌ミルを用いた閉回路微粉砕方式により微粉砕化し分級して粒径が15μm以下の粒子を90重量%以上含有する粉砕方法が開示されている(特許文献2)。
また、高炉スラグ粉を用いた高炉セメントの流動性を改善するために、ブレーン比表面積が4000〜9000cm/gであり、且つロジン・ラムラー式におけるn値が1.00〜1.20である高炉スラグ粉末が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平5−8132号公報
【特許文献2】特許第2548558号公報
【特許文献3】特開2014−108910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高炉スラグは、保管状態によって劣化が進行し、特に高温、且つ湿潤状態に暴露された高炉スラグを用いた高炉スラグ粉は、表面にカルシウム等が溶出され、大気中の水分等を反応して表層部に水酸化物(水酸化カルシウム)が生成され、水酸化物の一部が大気中の二酸化炭素等と反応して炭酸塩(炭酸カルシウム)が生成される場合がある。高炉から出銑後のスラグは、屋外に保管される場合が多く、高温状態や降雨よる湿潤状態に暴露されて劣化する。
劣化した高炉スラグを粉砕したスラグ粉は、JIS R5202:2010「セメントの化学分析方法」に基づき測定した強熱減量(ig.loss量)は増加する傾向があるものの、塩基度に関わる化学組成は大きな変化がなく、塩基度による評価では、劣化した原料スラグから得られるスラグ粉の品質を評価することができない。このように劣化した原料スラグから得られたスラグ粉を含む高炉セメントは、品質が目標レベルに達しない場合がある。
【0006】
特許文献1に示すような混和剤を添加した場合であっても、劣化した原料スラグから得られたスラグ粉を用いた高炉セメントの品質を向上することはできない。
劣化した原料スラグは、劣化していない原料スラグと比べて表面が脆弱化しており、脆弱化した部分が優先的に微粉化する傾向がある。特許文献2に示すように、粒径が15μm以下の粒子を90重量%以上含有するようにした場合であっても、原料スラグが劣化している場合には、劣化部分が微粉化され、微粉化された劣化部分を多く含むスラグ粉が得られると推測されるため、微粉化されたスラグ粉を含む高炉セメントは流動性が低下する場合があり、劣化部分を多く含むスラグ粉を含む高炉セメントを用いたモルタルの圧縮強度が低下する場合がある。
【0007】
劣化し表面が脆弱化した原料スラグを微粉化した場合、原料スラグの表面の脆弱な劣化した部分のみが微粉化され、健全な部分から得られるスラグ粉は粗粉部に偏在する。通常、スラグ粉は、表面積が大きく、微粉化されているほど反応活性が向上すると考えられているが、劣化した部分のみが微粉化されたスラグ粉を多く含むスラグ粉は反応活性が低下し、高炉セメントの品質が低下する場合がある。
特許文献3に示すようなブレーン比表面積やロジン・ラムラー式におけるn値はスラグ粉の流動性の改善を図るための指標であり、スラグ粉の劣化の程度を示す指標とならないため、劣化したスラグ粉を用いた場合には、スラグ粉の反応活性の低下を抑制することはできない。
【0008】
そこで、本発明は、原料スラグの劣化の有無に関わらず、スラグ粉の反応活性の低下の抑制し、硬化物の圧縮強度の低下を抑制し、目標とされる流動性及び圧縮強度を満たすことのできる高炉セメントに使用し得るスラグ粉及びスラグ粉の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、粒度分布によってスラグ粉の反応活性が異なり、モルタルの強度発現性に影響を及ぼすことを見出した。本発明者らは、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gであり、且つレーザー回折式粒度分布測定法によって測定された24μm篩残分が体積基準の割合で30体積%以下であるスラグ粉は、反応活性の低下が抑制されており、硬化物の圧縮強度の低下を抑制し、目標とされる流動性及び圧縮強度を満たすことのできる高炉セメントに使用し得るスラグ粉が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gであり、レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された24μm篩残分が30体積%以下である、スラグ粉。
[2]原料スラグのig.loss量が0.25質量%以上である、上記[1]に記載のスラグ粉。
[3]レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された45μm篩残分が5体積%以下である、上記[1]又は[2]に記載のスラグ粉。
[4]レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された90μm篩残分が0.5体積%以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のスラグ粉。
[5]レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された10μm篩通過分が35体積%以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のスラグ粉。
[6]原料スラグを、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/g、且つレーザー回折式粒度分布測定によって測定される24μm篩残分が30体積%以下となるように調製してスラグ粉を得る工程を含む、スラグ粉の製造方法。
[7]原料スラグのig.loss量を測定し、原料スラグの劣化の程度を確認する工程を含む、上記[6]に記載のスラグ粉の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原料スラグの劣化の有無に関わらず、スラグ粉の反応活性の低下が抑制され、硬化物の圧縮強度の低下を抑制し、目標とされる流動性及び圧縮強度を満たすことのできる高炉セメントに使用し得るスラグ粉及びスラグ粉の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、原料スラグを用いたスラグ粉を含む高炉セメントを用いたモルタルの圧縮強度と、原料スラグのig.loss量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のスラグ粉を説明する。
本発明のスラグ粉は、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gであり、レーザー回折散乱式粒度分布測定によって測定された24μm篩残分が体積基準の割合で30体積%以下である。
【0013】
本発明に用いる原料スラグは、高炉で銑鉄と同時に生成する溶融状態の高炉スラグを出銑し、水によって急冷した高炉スラグを、乾燥し、粗く砕いたものである。
【0014】
本発明に用いる原料スラグは、JIS A6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に定められている塩基度が1.6以上であるものを用いる。原料スラグは、好ましくは塩基度が1.7以上であり、より好ましくは塩基度が1.8以上である。また、原料スラグの塩基度の上限値は特に限定されないが、通常、原料スラグの塩基度は2.0以下である。原料スラグの塩基度が1.6以上であれば、JISの規格値を満たすことができる。また、原料スラグの塩基度が2.0以下であれば、硬化物に要求される圧縮強度を満たす高炉セメントに使用し得るスラグ粉を提供することができる。
【0015】
JIS A6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に定められている塩基度は、原料スラグ中に酸化カルシウム(CaO)の含有量、酸化マグネシウム(MgO)の含有量、酸化アルミニウム(Al)の含有量、二酸化ケイ素(SiO)の含有量から、下記式(i)に基づき、求めることができる。
塩基度(b)=(CaO+MgO+Al)/SiO (i)
【0016】
原料スラグ中の酸化カルシウム(CaO)の含有量、酸化マグネシウム(MgO)の含有量、酸化アルミニウム(Al)の含有量、二酸化ケイ素(SiO)の含有量は、JIS R5202:2010「セメントの化学分析方法」に準拠して測定することができる。
【0017】
本発明者らは、原料スラグを用いたスラグ粉を含む高炉セメントを用いたモルタルの圧縮強度と、原料スラグのig.loss量とは相関関係があることを見出した。図1に示すように、原料スラグのig.loss量が増加するほど、この原料スラグを用いたスラグ粉を含む高炉セメントを用いたモルタルの圧縮強度(材齢28日)が低下した。ig.loss量の大きい原料スラグは劣化が進んでおり、スラグ粉を得る際に脆弱化した原料スラグの表面の劣化部分が微粉化して、劣化部分のみが微粉化されたスラグ粉を多く含むため、スラグ粉の反応活性が低下し、このスラグ粉の反応活性の低下がモルタルの圧縮強度の低下に繋がると考えられた。原料スラグのig.loss量が0.25質量%以上であると、原料スラグが劣化していると推測することができる。
ここで原料スラグが劣化しているとは、表面にカルシウム等が溶出され、大気中の水分等を反応して表層部に水酸化物(水酸化カルシウム)が生成され、水酸化物の一部が大気中の二酸化炭素等を反応して炭酸塩(炭酸カルシウム)が生成されているような状態をいう。
原料スラグが劣化していると、JIS A6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に定められている塩基度1.60以上の数値を満たすものであっても、この原料スラグを用いたスラグ粉の反応活性が低下し、このスラグ粉を含む高炉セメントを用いたモルタルは圧縮強度が低下し、目標の品質レベルを有する高炉セメントが得られない場合がある。
【0018】
原料スラグのig.loss量が0.63質量%を超えると、この原料スラグから得られるスラグ粉のブレーン比表面積が大きくなる傾向があり、劣化部分が微粉化されたスラグ粉の割合が多くなる傾向がある。なお、JIS A6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」には、高炉スラグ微粉末の強熱減量(ig.loss)が3.0%以下であることが規定されている。本明細書において、ig.loss量は、JIS R5202:2010「セメントの化学分析方法」に準拠して測定することができる。
原料スラグのig.loss量が3.0質量%以下の場合であっても、ig.loss量が0.63質量%を超えると、原料スラグの劣化の程度が進み、劣化部分が優先的に微粉化されて、劣化部分が微粉化されたスラグ粉が多く含まれて、ブレーン比表面積が大きくなり、このスラグ粉を含む高炉セメントが要求される流動性を満たさない場合があり、また、スラグ粉の反応活性が低下して、このスラグ粉を含む高炉セメントは、要求される圧縮強度を満たさない場合がある。
原料スラグのig.loss量が0.63質量%を超えて3.0質量%以下であっても、この原料スラグから得られるスラグ粉のブレーン比表面積が4000〜7000cm/gであれば、このスラグ粉を含むセメントは要求される流動性を満たすことができ、スラグ粉のレーザー回折式粒度分布測定法によって測定される24μm篩残分が30体積%以下であれば、原料スラグの劣化してない健全な部分が微粉化されたスラグ粉も含有させることもできるため、反応活性の低下を抑制し、要求される圧縮強度を満たす高炉セメントに使用し得るスラグ粉を得ることができる。
【0019】
本発明は、原料スラグの劣化の有無に関わらず、スラグ粉の粒度分布を特定の範囲にすると、スラグ粉の反応活性の低下を抑制することができ、硬化物の圧縮強度の低下を抑制し、目標の品質レベルを有する高炉セメントを製造し得るスラグ粉が提供できることを見出したものである。
【0020】
本発明のスラグ粉は、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gであり、レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された24μm篩残分が30体積%以下である。スラグ粉の前記24μm篩残分は、好ましくは29.5体積%以下、より好ましくは29.0体積%以下、よりさらに好ましくは28.5体積%以下である。
レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された24μm篩残分が30体積%以下であるスラグ粉は、脆弱化したスラグ粉の表面の劣化部分が微粉化するとともに、劣化していない健全なスラグ粉も微粉化された状態となり、劣化部分が微粉化されたスラグ粉と、劣化していない健全な部分が微粉化されたスラグ粉が混在するため、劣化部分のみが微粉化されたスラグ粉を多く含むスラグ粉と比較して、スラグ粉の反応活性の低下が抑制されるため、硬化物の圧縮強度の低下を抑制する高炉セメントに使用し得るスラグ粉を提供することができる。
【0021】
本発明のスラグ粉は、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gである。本発明のスラグ粉は、ブレーン比表面積が、好ましくは4000〜6800cm/gであり、より好ましくは4200〜6500cm/gであり、さらに好ましくは4200〜6000cm/gであり、よりさらに好ましくは4300〜5500cm/gである。
スラグ粉のブレーン比表面積が4000〜7000cm/gであれば、要求される流動性を満たす高炉セメントに使用し得るスラグ粉を提供することができる。
レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された24μm篩残分が30体積%以下であり、スラグ粉のブレーン比表面積が4000〜7000cm/gであると、原料スラグの劣化の有無に関わらず、スラグ粉の反応活性を低下させる劣化部分のみが微粉化されたスラグ粉が多量に含まれることなく、劣化部分が微粉化されたスラグ粉と、劣化していない健全な部分が微粉化されたスラグ粉とを含むスラグ粉を得ることができ、スラグ粉の反応活性の低下が抑制され、硬化物の圧縮強度の低下を抑制する高炉セメントに使用し得るスラグ粉を提供することができる。
本明細書において、スラグ粉の比表面積は、JIS R5201:2013「セメントの物理試験方法」に準拠して測定することができる。
【0022】
スラグ粉は、レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された45μm篩残分が5体積%以下であることが好ましく、45μm篩残分が4.7体積%以下であることがより好ましく、45μm篩残分が4.5体積%以下であることがさらに好ましい。
レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された45μm篩残分が5体積%以下であるスラグ粉は、脆弱化したスラグ粉の表面に近いより劣化した部分が微粉化されるとともに、劣化していない健全なスラグ粉も微粉化された状態となり、劣化部分が微粉化されたスラグ粉と、劣化していない健全な部分が微粉化されたスラグ粉が混在するため、劣化部分のみが微粉化されたスラグ粉を多く含むスラグ粉と比較して、スラグ粉の反応活性の低下が抑制されるため、硬化物の圧縮強度の低下を抑制する高炉セメントに使用し得るスラグ粉を提供することができる。
【0023】
スラグ粉は、レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された90μm篩残分が0.5体積%以下であることが好ましく、90μm篩残分が0.3体積%以下であることがより好ましく、90μm篩残分が0.2体積%以下であることがさらに好ましい。
レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された90μm篩残分が0.5体積%以下であるスラグ粉は劣化していない原料スラグがより細かく粉砕されているので、劣化したスラグ微分量が多いスラグ粉と比較して、スラグ粉の反応活性の低下が抑制されるため、硬化物の圧縮強度の低下を抑制する高炉セメントに使用し得るスラグ粉を提供することができる。
【0024】
スラグ粉は、レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された10μm篩通過分が30体積%以上であることが好ましく、10μm篩通過分が31体積%以上であることがより好ましい。
レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された10μm篩通過分が30体積%以上であるスラグ粉は、スラグ粉中に、脆弱化したスラグ粉の表面に近い劣化した部分が微粉化されたスラグ粉とともに、劣化していない健全なスラグ粉も微粉化されたスラグ粉が含まれる量が多くなり、劣化部分のみが微粉化されたスラグ粉を多く含むスラグ粉と比較して、スラグ粉の反応活性の低下が抑制されるため、硬化物の圧縮強度の低下を抑制する高炉セメントに使用し得るスラグ粉を提供することができる。
【0025】
また、スラグ粉は、レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された10μm篩通過分が35体積%以下であることが好ましく、10μm篩通過分が34体積%以下であることがより好ましい。
レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された10μm篩通過分が35体積%以下であれば、原料スラグの劣化の有無に関わらず、劣化部分が微粉化されたスラグ粉と、劣化していない健全な部分が微粉化されたスラグ粉を混在するようにすることができ、劣化部分のみが微粉化されたスラグ粉を多く含むスラグ粉と比較して、スラグ粉の反応活性の低下が抑制されるため、硬化物の圧縮強度の低下を抑制する高炉セメントに使用し得るスラグ粉を提供することができる。
原料スラグの劣化の程度が比較的進んでいる場合、例えば、原料スラグのig.loss量が0.63質量%を超えるような場合には、劣化部分が微粉化されたスラグ粉を、10μm篩通過分が35体積%以下となるように除く操作を行なってもよい。
【0026】
本明細書において、90μm篩残分、45μm篩残分、24μm篩残分、10μm篩通過分は、レーザー回折式粒度分布測定法によりレーザー回折式粒度分析計(日機装株式会社製、製品名:マイクロトラックMT−3300EX)を用いて測定することができる。
【0027】
[スラグ粉の製造方法]
次に、本発明のスラグ粉の製造方法を説明する。
(I)本発明のスラグ粉の製造方法は、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/g、且つレーザー回折式粒度分布測定によって測定される24μm篩残分が30体積%以下となるように調製してスラグ粉を得る工程を含む。
具体的には、本発明のスラグ粉の製造方法は、粉砕機を用いて、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/g、且つレーザー回折式粒度分布測定によって測定された24μm篩残分が30体積%以下となるように原料スラグを粉砕し、スラグ粉を得る。
粉砕機としては、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウェットミル、ジェットミル、縦型ミル、ローラーミル等を使用することができる。一般的には、粉砕機として縦型ミル(ローラーミル)が用いられる。
スラグ粉を得る方法として、具体的には、粉砕直前に輸送中の原料スラグに散水(水分量は原料スラグ量に対して5〜10%程度)し、原料スラグをミル内に導入し、ミル内で粉砕と同時に250℃程度の空気を送り込み、乾燥させて、ミルからスラグ粉を排出し、スラグ粉を得ることができる。
例えば、原料スラグを試験用ボールミルで粉砕する場合、試験用ボールミル(株式会社セイワ技研製 直径508mm、長さ610mm、回転数:最大50rpm、容量100L)に用いる粉砕媒体としては、金属ボール等を使用することができる。粉砕媒体は、ボール径が7mm〜15mmのもの好ましい。ボール径が7mm未満であると、粉砕能力が低下し、ボール径が15mmを超えると所望の粒度分布となるように粉砕できない場合がある。粉砕時間は、150〜300分が好ましい。粉砕時間が150分未満であると、所望の粒度分布となるように粉砕できない場合があり、粉砕時間が300分を超えると、粉砕後のスラグ粉のブレーン比表面積が7000cm/gを超える場合がある。
【0028】
スラグ粉の製造方法は、原料スラグのig.loss量を測定し、原料スラグの劣化の程度を確認する工程を含んでいてもよい。具体的には、ig.loss量を測定し、ig.loss量が0.25質量%以上である場合には、原料スラグが劣化していると推測することができる。また、原料スラグのig.loss量が0.63質量%を超える場合には、原料スラグの劣化している部分が、原料スラグの健全な部分よりも先に微粉化される傾向にあるため、レーザー回折式粒度分布測定法によって測定された10μm篩通過分が35体積%以下となるように、10μ篩通過分から微粉化されたスラグ粉を除く操作を行なうとともに、ブレーン比表面積を4000〜7000cm/gに調製してもよい。
【0029】
スラグ粉の製造方法において、下記工程を含んでいてもよい。
(II)ブレーン比表面積が4000〜7000cm/g、且つレーザー回折式粒度分布測定によって測定される90μm篩残分が0.5体積%以下となるように調製する工程。
(III)ブレーン比表面積が4000〜7000cm/g、且つレーザー回折式粒度分布測定によって測定される45μm篩残分が5体積%以下となるように調製する工程。
(IV)ブレーン比表面積が4000〜7000cm/g、且つレーザー回折式粒度分布測定によって測定される10μm篩通過分が30体積%以上となるように調製する工程。
(V)原料スラグのig.loss量を測定し、原料スラグのig.loss量が0.63体積%を超える場合には、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/g、且つレーザー回折式粒度分布測定によって測定される10μm篩通過分が35体積%以下となるように調製する工程。レーザー回折式粒度分布測定によって測定される10μm篩通過分が35体積%以下となるように調製する工程は、例えば10μm篩通過分が35体積%以下となるように分級する方法が挙げられる。
【0030】
本発明のスラグ粉は、セメントクリンカーと石こうと混合し、高炉セメントの原料として使用することができる。本発明のスラグ粉を含む高炉セメントを用いたモルタルは、混練時の流動性を維持しつつ、スラグ粉の劣化による反応活性の低下が抑制されているため、圧縮強度の低下が抑制される。
【実施例】
【0031】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0032】
[原料スラグのig.loss量とモルタルの圧縮強度との関係]
表1に示すig.loss量を有する複数の原料スラグを用いて、ブレーン比表面積が4450cm/gである参考例1〜5のスラグ粉を準備した。参考例1〜5のスラグ粉の塩基度は1.81である。参考例1〜5のスラグ粉を用いて、後述する実施例のスラグ粉を用いた高炉B種セメントと同様にして、高炉B種セメントを製造し、この高炉B種セメントを用いてモルタルを製造し、後述する試験方法と同様にして、材齢28日のモルタルの圧縮強度を測定した。結果を表1及び図1に示す。参考例1〜5のレーザー回折式粒度分布測定法によりレーザー回折式粒度分析計(日機装株式会社製、製品名:マイクロトラックMT−3300EX)を用いて測定した24μm篩残分は37体積%であった。
【0033】
【表1】
【0034】
表1及び図1に示す結果から、原料スラグのig.loss量と、この原料スラグを用いたスラグ粉を含む高炉セメントを用いたモルタルの圧縮強度とは相関関係があり、原料スラグ中のig.loss量が増加するほど、この原料スラグを用いたスラグ粉を含む高炉セメントを用いたモルタルの圧縮強度(材齢28日)は、低下した。これは、ig.loss量が多い原料スラグほど、原料スラグの表面の劣化が進んでおり、スラグ粉を得る際に脆弱化した原料スラグの表面の劣化部分が微粉化して、劣化部分のみが微粉化されたスラグ粉を多く含むため、スラグ粉の反応活性が低下し、このスラグ粉の反応活性の低下がモルタルの圧縮強度の低下に繋がったためと推測された。原料スラグのig.loss量とモルタル圧縮強度の関係から、原料スラグのig.loss量から原料スラグの劣化の程度を推測することができ、ig.loss量が0.25質量%以上の原料スラグは、高炉セメントを用いたモルタルに一般的に要求される60N/mm以上の圧縮強度を満たさない場合があると推測された。このことから、原料スラグのig.loss量が0.25質量%以上の場合は、原料スラグの表面にカルシウム等が溶出され、大気中の水分等を反応して表層部に水酸化物(水酸化カルシウム)が生成され、水酸化物の一部が大気中の二酸化炭素等を反応して炭酸塩(炭酸カルシウム)が生成され、スラグ粉が規定されている塩基度を満たしている場合であっても、劣化した状態になっていると推測された。なお、参考例1において、ig.loss量が「−0.29」となっており、減少量がマイナスの値となっているのは、JIS R5202:2010「セメントの化学分析方法」に準拠して測定した場合、質量が却って増加する場合があり、これは原料スラグ中に含まれる硫黄が酸化されたことに起因すると推測される。
【0035】
(原料スラグ)
原料スラグは、初期(受け入れ時)のig.loss量、酸化カルシウム(CaO)の含有量、酸化マグネシウム(MgO)の含有量、酸化アルミニウム(Al)の含有量、二酸化ケイ素(SiO)等の化学成分(酸化物)の含有量を測定した。また、JIS A 6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に準拠して、下記(i)に基づき塩基度を測定した。
塩基度(b)=(CaO+MgO+Al)/SiO (i)
【0036】
【表2】
【0037】
[実施例1〜5のスラグ粉の製造]
実施例1において、初期において表2に示すig.loss量及び化学成分の値を有する原料スラグを用い、実施例2〜5において、初期において表2に示すig.loss量及び化学成分の値を有し、保管中に表3に示すig.loss量となった各原料スラグを用いて、レーザー回折式粒度分布測定法によりレーザー回折式粒度分析計(日機装株式会社製、製品名:マイクロトラックMT−3300EX)を用いて測定した24μm篩残分が30体積%以下の表3に示す値となるように、粉砕媒体として直径9mmの金属ボールを用いて、試験用ボールミル(株式会社セイワ技研製、装置名:AXB−100)を用いて、150〜240分かけて粉砕し、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gの表3に示す値となるように調製した、実施例1〜5のスラグ粉を得た。なお、実施例1〜5のスラグ粉は、原料スラグの塩基度と同じ塩基度であった。
【0038】
[比較例1〜3のスラグ粉の製造]
初期において表2に示すig.loss量及び化学成分の値を有し、保管中に表3に示すig.loss量となった各原料スラグを用いて、レーザー回折式粒度分布測定法によりレーザー回折式粒度分析計(日機装株式会社製、製品名:マイクロトラックMT−3300EX)を用いて測定した24μm篩残分が30体積%を超える表3に示す値となるように、粉砕媒体として直径15〜24mmの金属ボールを用いて、試験用ボールミル(株式会社セイワ技研製 、装置名:AXB−100)を用いて、200〜300分かけて粉砕し、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gの表3に示す値となる比較例1〜3のスラグ粉を得た。なお、比較例1〜3のスラグ粉は、原料スラグの塩基度と同じ塩基度であった。
【0039】
[比較例4のスラグ粉の製造]
初期において表2に示すig.loss量及び化学成分の値を有し、保管中に表3に示すig.loss量となった原料スラグを用いて、ブレーン比表面積が7000cm/gを超える表3に示す値であり、レーザー回折式粒度分布測定法によりレーザー回折式粒度分析計(日機装株式会社製、製品名:マイクロトラックMT−3300EX)を用いて測定した24μm篩残分が30体積%以下である表3に示す値となるように、粉砕媒体として直径9mmの金属ボールを用いて、試験用ボールミル(株式会社セイワ技研製、装置名:AXB−100)を用いて、360分かけて粉砕し、ブレーン比表面積が7000cm/gを超える表3に示す値となる比較例4のスラグ粉を得た。なお、比較例4のスラグ粉は、原料スラグの塩基度と同じ塩基度であった。
【0040】
[実施例1〜5及び比較例1〜4のスラグ粉の測定]
粉砕後、得られた実施例1〜5及び比較例1〜4のスラグ粉について、下記測定方法に基づき、表3に示す項目を測定した。
【0041】
(1)ig.loss量及び化学成分の測定
JIS R5202:2010「セメントの化学分析方法」に準拠して測定した。
(2)ブレーン比表面積の測定
JIS R5201:2013「セメントの物理試験方法」に準拠して測定した。
(3)レーザー回折式粒度分布測定法により篩残分及び篩通過分
レーザー回折式粒度分布測定法によりレーザー回折式粒度分析計(日機装株式会社製、製品名:マイクロトラックMT−3300EX)を用いて、90μm篩残分、45μm篩残分、10μm篩通過分を測定した。
【0042】
[スラグ粉を用いた試験用セメント]
実施例及び比較例のスラグ粉と市販の普通ポルトランドセメントを、スラグ粉:普通ポルトランドセメントを40:60の割合で混合し、試験用の高炉B種セメントを製造した。試験用の高炉B種セメントのブレーン比表面積は、3800±100cm/gであった。比較例4及び実施例5の高炉B種セメントのブレーン比表面積は4800±100cm/gであった。スラグ粉と普通ポルトランドセメントを混合した場合、得られた高炉B種セメントのブレーン比表面積は、100cm/gの範囲でブレーン比表面積の数値にバラツキが生じる場合がある。
【0043】
[試験用高炉B種セメントを用いたモルタル]
各試験用の高炉B種セメントに、砂、水を混合してモルタルを製造した。砂は、JIS R5201:2015「セメント物理試験方法」に準拠して、セメント試験用標準砂を使用した。水は、水道水を使用した。試験用の高炉B種セメント450g、砂1350g、水225gを配合し、モルタルを製造した。
【0044】
試験用高炉B種セメントを用いたセメントペーストのフロー値と、試験用高炉B種セメントを用いたモルタルの圧縮強度及び圧縮強度比を以下のように測定した。結果を表3に示す。
(4)セメントペーストのフロー値
試験用高炉B種セメント200g、混練水(水道水)68.7g、混和剤(BASF株式会社、高性能AE減水剤マスターグレニウム(登録商標)SP8S)1.3gを混練し、試験用高炉B種セメントペーストを得た。JIS R5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して、試験用高炉B種セメントペーストのフロー値を測定した。
(5)モルタルの圧縮強度
試験用高炉B種セメントを用いたモルタルは、JIS R5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して、材齢28日の圧縮強度を測定した。
(6)圧縮強度比
JIS R5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して、試験用高炉B種セメントを用いたモルタルの材齢28日の圧縮強度(BB)と、普通ポルトランドセメントを用いたモルタルの材齢28日の圧縮強度(NC)の圧縮強度比(BB/NC)を測定した。
【0045】
【表3】
【0046】
表3に示すように、実施例1〜4のスラグ粉を使用したモルタルの圧縮強度比は、100を超えており、原料スラグの劣化の有無に関わらず、スラグ粉の反応活性の低下が抑制され、モルタルの圧縮強度の低下を抑制する高炉セメントに使用し得るスラグ粉が得られることが確認できた。
また。実施例1〜4のスラグ粉を使用したモルタル圧縮強度は、比較例1〜3のモルタル圧縮強度よりも高く、モルタル圧縮強度の数値からも、原料スラグの劣化の有無に関わらず、スラグ粉の反応活性の低下が抑制され、モルタルの圧縮強度の低下を抑制する高炉セメントに使用し得るスラグ粉が得られることが確認できた。
実施例1〜4のスラグ粉を使用した高炉B種セメントのセメントペーストは、高炉セメントに要求される流動性を維持していた。
【0047】
比較例1〜3のスラグ粉を使用したモルタルは、ig.loss量が実施例1〜3のスラグ粉と同程度であっても、原料スラグの劣化が影響し、圧縮強度比が100以下と小さくなっており、実施例1〜3のスラグ粉を含む高炉セメントを用いたモルタルよりも材齢28日の圧縮強度が低下した。
【0048】
実施例5のスラグ粉を使用したモルタルは、圧縮強度が66.9N/mmと高い数値を示し、モルタル圧縮強度比も106と高い数値を示し、セメントペーストフローも通常の高炉セメントに要求される流動性を維持することが確認できた。これは、原料スラグのig.loss量が0.64質量%と劣化の程度が比較的進んでいる場合であっても、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gであり、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した24μm篩残分が30体積%以下の粒度分布を満たすことによって、スラグ粉の中に、原料スラグの劣化していない健全な部分が微粉化されたスラグ粉も含有させることができ、スラグ粉の反応活性の低下が抑制され、圧縮強度の低下を抑制する高炉セメントに使用し得るスラグ粉を得ることができたと考えられる。また、実施例5のスラグ粉を使用したモルタルは、ブレーン比表面積が4000〜7000cm/gの数値を満たすスラグ粉を使用することによって、通常の高炉セメントに要求される流動性も維持することができた。
一方、比較例4のスラグ粉を使用したモルタルは、スラグ粉のブレーン比表面積が大きく、モルタル圧縮強度比が107と高い数値を示すが、セメントペーストフローが小さくなり、通常の高炉セメントに要求される流動性を維持することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明よれば、原料スラグの劣化の有無に関わらず、スラグ粉の粒度分布が特定の範囲であると、スラグ粉の反応活性の低下を抑制することができ、硬化物の圧縮強度の低下を抑制し、目標とされる流動性及び圧縮強度を満たすことのできる高炉セメントを製造し得るスラグ粉を提供することができ、産業上有用である。
図1