(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る撮像装置の一例であるカメラ400の模式的断面図である。カメラ400は、レンズユニット500およびカメラボディ600を備える。カメラボディ600には、レンズユニット500が装着される。レンズユニット500は、その鏡筒内に、光軸410に沿って配列された光学系を備え、入射する被写体光束をカメラボディ600の撮像ユニット300に実装された撮像チップ104へ導く。
図1に示すように、光軸410に平行な方向である前後方向をz軸方向とする。また、撮像チップ104の長手方向と平行な方向である左右方向をx軸方向とし、z軸およびx軸に直交する方向である上下方向をy軸方向とする。
【0011】
カメラボディ600は、レンズマウント550に結合されるボディマウント660の後方にメインミラー672およびサブミラー674を備える。メインミラー672は、レンズユニット500から入射した被写体光束に斜設される斜設位置と、被写体光束から退避する退避位置との間で回動可能に軸支される。サブミラー674は、メインミラー672に対して回動可能に軸支される。
【0012】
メインミラー672が斜設位置にある場合、レンズユニット500を通じて入射した被写体光束の多くはメインミラー672に反射されてピント板652に導かれる。ピント板652は、撮像チップ104の撮像面と共役な位置に配されて、レンズユニット500の光学系が形成した被写体像を可視化する。ピント板652に形成された被写体像は、ペンタプリズム654およびファインダ光学系656を通じてファインダ650から観察される。
【0013】
斜設位置にあるメインミラー672に入射した被写体光束の一部は、メインミラー672のハーフミラー領域を透過しサブミラー674に入射する。サブミラー674は、ハーフミラー領域から入射した光束の一部を、合焦光学系680に向かって反射する。合焦光学系680は、入射光束の一部を焦点検出センサ682に導く。焦点検出センサ682は、検出結果をボディ側CPU622へ出力する。
【0014】
メインミラー672およびサブミラー674の後方には、撮像ユニット300、ボディ基板620および背面表示部634が順次配される。液晶表示板等により形成される背面表示部634は、カメラボディ600の背面に現れる。ボディ基板620には、ボディ側CPU622、画像処理回路624等の電子回路が実装される。
【0015】
図2は、撮像ユニット300の模式分解斜視図である。撮像ユニット300は、背面表示部634側から順に、実装基板101、撮像チップ104、環囲部材105、光学素子106が配設されて構成される。
【0016】
実装基板101は例えば四角板状である。実装基板101のうち光学素子106に対向する主面には、凸部1011が形成されている。ここでは、凸部1011は直方体状に形成されている。そして、凸部1011表面上に撮像チップ104が実装されている。
【0017】
環囲部材105は、実装基板101の凸部1011を嵌合可能な形状を有する。ここでは、凸部1011が直方体状であるので、環囲部材105は、直方体状である凸部1011と嵌合可能な四角環状である。そして、環囲部材105の内周面に実装基板101の凸部1011の外周面が嵌合される。環囲部材105と実装基板101の凸部1011が嵌合された状態においては、実装基板101は、環囲部材105に環囲される領域が他の領域に対して凸形状を成していると言える。実装基板101の凸部1011が環囲部材105に嵌合されることにより、実装基板101は環囲部材105に固定される。
【0018】
光学素子106は、環囲部材105の開口部1050を封止可能な形状および大きさを有する。ここでは、環囲部材105が四角環状であるので、光学素子106は、四角環状である環囲部材105の開口部1050を封止可能な大きさの四角板状を有する。
【0019】
以上のように、第1実施形態の撮像ユニットは、環囲部材105に実装基板101の凸部1011を嵌め込む構成であるので、光学素子106とともに、容易に密封空間を形成できる。
【0020】
図3は、撮像ユニットの模式断面図である。上述したように、撮像ユニットは、実装基板101、撮像チップ104、環囲部材105、光学素子106を含んで構成される。
【0021】
実装基板101は、メタルコア基板である。具体的には、表面に配線パターンが形成された複数の樹脂層102と、一つ以上の金属層103とが積層された多層基板である。なお、配線パターンは、図においては省略している。ここでは、実装基板101は、z軸方向に間隔をあけて配置された2層の金属層1031、1032を含む。なお、以下の説明において、2層の金属層1031、1032を特に区別しない場合には、これらを纏めて金属層103と表現する場合もある。金属層103の材料としては、銅、ニッケル合金、鉄、アルミニウム等が挙げられる。また、上述したように、実装基板101は、光学素子106と対向する主面に凸部1011を有する。実装基板101の表面には配線パターンが形成されている。
【0022】
撮像チップ104は、受光した被写体像を光電変換する複数の画素からなる画素領域を含む。撮像チップ104の電極部と、凸部1011の表面上に形成されている配線パターンとは、ボンディングワイヤ107により接続される。なお、撮像チップ104の電極部と配線パターンは、金属バンプによって接続されてもよい。
【0023】
環囲部材105は、枠を形成するように配置される金属性の環囲部材、すなわち金属枠体であり、実装基板101の少なくとも一部を環囲することによって、実装基板101を固定する。より詳細には、環囲部材105は、実装基板101の少なくとも一部の側面を取り囲んでいる。そうすると、実装基板101の一部が環囲部材105の内部に入り込んだ状態で囲まれることになる。ここでは、上述したように、実装基板101の凸部1011を環囲することによって、実装基板101を環囲部材に対して固定している。環囲部材105は、耐水性および耐ガス性が高い材料によって構成される。具体的には、環囲部材105の材料として、アルミニウム、真鍮、鉄、ニッケル合金等が挙げられる。
【0024】
ここで、図に示すように、環囲部材105の幅と金属層103の幅は等しくなっている。そして、金属層103は、環囲部材105が環囲する領域の全体にわたって形成されている。したがって、金属層103を撮像チップ104の実装面上に投影した場合に、金属層103は、環囲部材105に環囲される領域である環囲領域(すなわち凸部1011の表面領域)を間隙無く覆っている。なお、ここでは、環囲部材105の幅と金属層103の幅は等しい場合を例示しているが、金属層103の幅が、環囲領域の幅より広くなっていてもよい。
【0025】
光学素子106は、撮像チップ104をカバーするカバーガラスである。光学素子106として、光学ローパスフィルタを用いてもよい。光学素子106は、実装基板101に対向して環囲部材105に固着される。固着剤としては、シリコン系固着剤を用いることができる。シール材108は、環囲部材105と実装基板101の境界部を外側からシールしている。シール材108としては、半導体成形用の樹脂を用いることができる。
【0026】
環囲部材105の実装基板101側の開口部は、実装基板101の凸部1011が嵌め込まれることによって封止される。つまり、環囲部材105は、実装基板101の凸部形状に接するように配置されているとも言える。また、環囲部材105の光学素子106側の開口部は、光学素子106によって封止される。したがって、環囲部材105、実装基板101、光学素子106によって、密封空間が形成される。撮像チップ104は、密封空間内に配置されることになる。
【0027】
上述のように、実装基板101は、樹脂層102を含む。樹脂層102は、外部からの水分およびガスの侵入経路となり得る。仮に撮像ユニットの内部に水分およびガスが侵入すると、撮像チップ104の撮像性能が低下する。具体的には、水分が密封空間内に浸入すると、密封空間内外の温度差によって撮像チップ104、カバーガラスに結露する。結露および結露が原因でカビが生じると、結像する光学像を歪めるので、出力される画像品質が低下してしまう。一方、ガスが密封空間内に侵入すると、撮像チップ104内部の回路の酸化および腐食を促進し、撮像チップ104の破壊を招く。
【0028】
第1実施形態の撮像ユニットでは、撮像チップ104が耐水性および耐ガス性に優れた密封空間内に実装されているので、外部からの水分およびガスに侵入され難い。ここで、外部からの水分およびガスの侵入防止のメカニズムを以下に説明する。
【0029】
図4は、外部の水分およびガスの侵入防止について説明する図である。具体的には、
図4は、
図3の領域Rに着目した図である。図において、矢印は水分およびガスの浸入を表している。図に示すように、水分およびガスの侵入経路として、上下の金属層1031、1032に挟まれた樹脂層102から、水分およびガスが侵入することが考えられる。
【0030】
しかし、第1実施形態では、環囲領域に対応する領域には、金属層1031が存在する。金属層1031は、樹脂に比べて、水分およびガスを遮断する能力が高い。したがって、上下の金属層1031、1032に挟まれた樹脂層102から侵入した水分およびガスは、上側の金属層1031によって遮断され、密封空間まで侵入することはできない。同様に、最下層の樹脂層から侵入した水分およびガスは、下側の金属層1032によって遮断され、密封空間まで侵入することはできない。
【0031】
また、他の侵入経路として、例えば環囲部材105の端面1052と実装基板101の接触部分から侵入することも考えられる。しかし、第1実施形態では、環囲部材105の端面1052が上側の金属層1031の層表面に接している。金属同士が接触しているので、金属と樹脂が接触する場合に比べて、密封性を高めることができる。したがって、水分およびガスの浸入防止に対してより効果的である。
【0032】
以上のように、実装基板101の樹脂層102からの水分およびガスの侵入が金属層103によって遮断されるとともに、環囲部材105の端面1052と実装基板101の接触部分からの水分およびガスの侵入も防止される。したがって、撮像チップ104が水分およびガスによって劣化することを防止できる。
【0033】
また、第1実施形態の実装基板101は、一部を突出させることによって側面を形成させている。この側面に沿って環囲面を接触させているので、実装基板101が平坦な場合に比べて、結果的に、沿面距離を伸ばすことができる。ここで、沿面距離は、水分およびガスが、外部から最短で密封空間に侵入しようとした場合の距離である。沿面距離が伸びることによって、撮像ユニットにおける水分およびガスに対する耐性を高めることができる。
【0034】
また、環囲部材105によって実装基板101の凸部1011の側面が環囲されているので、実装基板101の切断面に生じるパーティクルが、密封空間内に侵入することを抑制することができる。これにより、切断面に生じるパーティクルが撮像チップ104に付着することを防止することができる。さらに、環囲部材105は、実装基板101の断面から発生する基板塵が、撮像チップ104実装空間内に侵入するのを防ぐことができる。
【0035】
さらに、実装基板101の凸部1011と環囲部材105の嵌合に加えて、環囲部材105の端面1052と実装基板101の接触部分をシール材108によって封止しているので、外部からの水分およびガスの侵入をより一層防止することができる。
【0036】
<変形例1>
実装基板の形状を変えた一変形例について説明する。変形例1の実装基板は、凸部の代わりに環囲部材を嵌め込むための溝部を有する点で、
図3の実装基板と異なる。
【0037】
図5は、変形例1における撮像ユニット301の模式断面図である。上述したように、環囲部材105が例えば四角環状の場合には、実装基板111には、撮像チップ104の周囲を取り囲むように溝部114が形成される。また、ここでは、金属層113が単層の場合を示している。
【0038】
変形例1では、環囲部材105が溝部114に嵌め込まれる。環囲部材105の環囲面1051が溝部114に嵌合されると、環囲部材105の外周面1053と溝部114の側壁の間に間隙が生じてしまう。変形例1では、シール材118が、環囲部材105と実装基板111の境界部を外側からシールするとともに、溝部114と環囲部材105の間隙を埋めている。
【0039】
また、環囲部材105の環囲面1051および端面1052に加えて、環囲部材105の外周面1053の一部もシール材118を介して実装基板111と接触することになる。シール材118は、水分およびガスを封止するので、沿面距離をさらに伸ばすことができる。結果として、撮像ユニット301における水分およびガスに対する耐性をさらに高めることができる。
【0040】
また、変形例1では、水分およびガスの侵入経路として、例えば、実装基板111の表面と金属層113の間の樹脂層112から、水分およびガスが浸入することも考えられる。しかし、環囲部材105の端面1052が金属層113の層表面に接しているので、樹脂層112から侵入した水分およびガスを環囲部材105によって遮断することができる。
【0041】
<変形例2>
以上の説明では、実装基板に形成された配線パターンについて特に言及しなかった。上述したように、1層の金属層によって環囲領域の全体を覆うことができればよいが、実際には、当該金属層に配線パターンを挿通するための開口を形成せざるを得ない場合がある。この場合には、1層の金属層では、環囲領域の全体を覆うことができない。変形例2では、複数の金属層が全体として撮像チップ104を覆う構成を説明する。
【0042】
図6は、変形例2における金属層と環囲領域の位置関係を説明する図である。
図6(a)は、変形例2における撮像ユニット302の模式断面図である。
【0043】
実装基板121は、表面に配線パターンが形成された樹脂層122と、金属層123とが積層された多層基板である。ここでは、実装基板121は、z軸方向に間隔をあけて配置された3層の金属層1231、1232、1233を含む。
【0044】
撮像チップ104に最も近い金属層1231に着目すると、当該金属層1231には、配線パターン124を挿通するための開口部126、開口部127が設けられている。したがって、環囲領域には、当該金属層1231に覆われていない部分が存在する。
【0045】
図6(b)は、3層の金属層1231、1232、1233を撮像チップ104の実装面上に重ねて投影した図である。図に示すように、金属層1231に形成された開口部126に相当する領域は、金属層1232によって埋められている。また、金属層1231に形成された開口部127に相当する領域は、金属層1233によって埋められている。
【0046】
したがって、3層の金属層1231、1232、1233全体として見た場合には、環囲領域が間隙無く覆われている。つまり、この場合には、実装基板121をz軸方向に貫く貫通ビア(スルーホール)は形成されていない。ここでは、図に示すように、配線パターン124は、実装基板121における、シール材108による封止領域の外側の表面から引き出されている。
【0047】
仮に貫通ビアが形成されていると、貫通ビアから水分およびガスが浸入する恐れがある。変形例2の撮像ユニットにおいては、貫通ビアが形成されていないので、貫通ビアが形成されている場合に比べて、水分およびガスの浸入を低減することができる。
【0048】
なお、ここでは、3層の金属層1231、1232、1233全体として、環囲領域が間隙無く覆われているが、3層の金属層1231、1232、1233のうちの2層によって、環囲領域が間隙無く覆われていてもよい。つまり、複数の金属層の少なくとも一部を撮像チップ104の実装面上に重ねて投影した場合に、当該複数の金属層の少なくとも一部が環囲部材に環囲される領域を間隙無く覆っていればよい。
【0049】
また、変形例2では、環囲部材125は、その端面1252が階段状に形成されている。これにより、沿面距離をさらに伸ばすことができる。階段状に形成された環囲部材125の端面1252の段数は、一段に限らず、複数段であってもよい。この場合、さらに沿面距離を伸ばすことができる。
【0050】
さらに、環囲部材125の端面の形状は、階段状に限らず、環囲部材125の端面および実装基板121の一方が凹部を有し、他方が凹部に対応した形状の凸部を有していればよい。これにより、沿面距離を伸ばすことができる。
【0051】
<変形例3>
実装基板および環囲部材の形状を替えた一変形例について説明する。
図7は、変形例3における撮像ユニットの模式断面図である。ここでは、実装基板131の側面全体が環囲部材135に環囲されて固定されている。したがって、この場合には、水分およびガスの侵入経路となる、樹脂層132、および環囲部材135と実装基板131の接触部分は、撮像チップ104の実装面と反対側の面のみとなる。側面(左右)方向からの水分およびガスは、環囲部材135によって遮断されるので、水分およびガスの浸入に対する耐性をより高めることができる。また、撮像チップ104の実装面と反対側に存在する、環囲部材135と実装基板131の接触部分には、シール材138が形成されている。これにより、撮像チップ104の実装面と反対側の方向からの水分およびガスの浸入を防止することができる。
【0052】
また、金属層133と環囲領域は、同じ大きさになっている。この場合であっても、金属層133によって環囲領域の全体が覆われるので、水分およびガスの浸入に対する耐性を有する。
【0053】
さらに、変形例3においては、実装基板131を環囲する環囲部材135において、その一部が実装基板131の主面方向に延伸して形成されている。そして、延伸された部分には、撮像チップ104に対する位置基準を示す位置決め部である基準穴1351が形成されている。撮像チップ104は、実装基板131に実装されているので、実装基板131が環囲部材135に嵌合されることによって撮像チップ104は位置決めされる。そして、撮像チップ104と基準穴1351の相対位置は一意に定まる。以上のように、環囲部材135に基準穴1351が形成されているので、撮像チップ104の取り付け精度を向上させることができる。
【0054】
延伸部分には、さらに、実装基板131、撮像チップ104および光学素子106以外の構造物に取り付けるための取付部1352が形成されている。ここでは、取付部1352は、穴部により実現されているが、突起部により実現されてもよい。取付部1352は、例えばカメラ筐体に取り付けられる。したがって、変形例3の撮像ユニットにおいては、水分およびガスの浸入防止に加えて、カメラ筐体への取り付けが容易で、かつ部材数の削減によるコスト低減という効果もある。
【0055】
ところで、実装基板、環囲部材、光学素子によって形成される密封空間の内部において、光の乱反射が生じる場合が考えられる。そこで、密封空間の内部の少なくとも一部に反射防止塗装を施してもよい。これにより、密封空間の内部で乱反射を低減することができる。例えば、環囲部材の環囲面に、反射防止塗装として低反射部材を形成してもよい。低反射部材として、墨を用いることができる。環囲部材の環囲面に限らず、実装基板における、撮像チップ実装面以外の領域に低反射部材を形成してもよい。
【0056】
また、実装基板の半田レジストとして、低反射色の半田レジストを用いることによって、光の乱反射を低減させることもできる。低反射色として、黒、深緑等が挙げられる。
【0057】
以上の説明では、環囲部材の幅は一定であるとして説明したが、環囲部材の端面部分の幅が、環囲部材の他の部分の幅より広くなっていてもよい。これにより、沿面距離をさらに延ばすことができる。
【0058】
以上の説明では、環囲部材の端面が金属層の層表面に接しているとしてが、樹脂層に接触してもよい。この場合、環囲部材の端面と金属層の間の樹脂層に配線パターンを形成してもよい。この構成によれば、金属層に配線パターンを挿通するための開口部を形成せずとも、環囲領域の外部に配線パターンを引き出すことができる。
【0059】
以上の説明では、金属層と配線パターンを別体として設けたが、金属層103を配線パターンとして利用してもよい。また、実装基板は多層基板として説明したが、単層基板であってもよい。また、第1実施形態においては、撮像装置として一眼レフカメラ400を例に説明したが、カメラボディ600を撮像装置と捉えてもよい。また、撮像装置は、ミラーユニットを備えるレンズ交換式カメラに限らず、ミラーユニットを持たないレンズ交換式カメラ、ミラーユニットの有無に関わらずレンズ一体式カメラであってもよい。さらに、撮像ユニットは、例えば携帯電話に搭載される撮像ユニットに適用できる。
【0060】
以上の説明では、環囲部材は金属性であると説明したが、環囲部材の材料として、セラミック、耐水性の高いプラスチック、耐水材を塗布した部材等を用いてもよい。環囲部材の材料として、金属以外の材料を用いる場合に、環囲部材および光学素子の材料が共通であれば、環囲部材と光学素子を一体的に構成してもよい。環囲部材の材料が、例えばプラスチックである場合には、光学素子と一体的に構成することができる。
【0061】
COB構造の撮像ユニットは、小型化、薄型化の観点で、パッケージ構造の撮像ユニットより有利である一方、水分およびガス(例えば大気中の亜硫酸ガス)に対する耐性で劣るという問題があった。しかし、第1実施形態における撮像ユニットによれば、そのような問題は小さくなる。
【0062】
図8は、第2実施形態の撮像ユニット10の構成を示す図である。
図8(a)は、撮像ユニット10の模式的な上視図である。
図8(b)は、
図8(a)のA−A断面を模式的に示す断面図である。撮像ユニット10は、撮像チップ100と、実装基板120と、撮像チップ100を環囲する環囲部材としての環囲部材140と、光学素子160とを含んで構成される。
【0063】
撮像チップ100は、表面照射型のMOSイメージセンサである。撮像チップ100は、撮像領域101と周辺領域102とを含んで構成される。撮像領域101は、撮像チップ100の中央部分に形成される。撮像チップ100は、撮像領域101に、受光した被写体像を光電変換する複数の画素を有する。周辺領域102は、撮像領域101の周辺に形成される。撮像チップ100は、周辺領域102に、光電変換によって得られた画素信号を読み出して出力するバスドライバ、および出力された画素信号の信号処理を行う処理回路を有する。処理回路は、出力された画素信号をデジタル信号に変換するAD変換回路を含む。撮像チップ100は、実装基板120に実装され、環囲部材140の開口部141に収容される。
【0064】
実装基板120は、撮像チップ100を実装するメタルコア基板である。具体的には、実装基板120は、第1層121と、第2層122と、芯層123を含んで構成される。芯層123は、第1層121および第2層122により挟まれている。実装基板120の厚みは、全体として0.8mmから3mm程度である。
【0065】
第1層121は、樹脂層であるプリプレグ層124と、プリプレグ層124の表面に形成された配線パターン125を含む。配線パターン125の材料として、ニッケルと鉄の合金(例えば42alloy、56alloy)、銅、アルミニウム等を用いることができる。配線パターン125は、配線126、配線127、配線128を含む。配線パターン125の厚みは、30μm〜40μm程度である。配線126は、ボンディングワイヤ110によって撮像チップ100に電気的に接続される。配線127には撮像チップ100が実装され、配線128には環囲部材140が固着される。撮像チップ100は、放熱性の観点から、全体的に配線127に接しているほうがよい。同様に、環囲部材140は、全体的に配線128に接しているほうがよい。
【0066】
第1層121はさらに、複数のサーマルビア129を含む。複数のサーマルビア129は、撮像チップ100の直下に形成される。撮像チップ100の直下に形成された複数のサーマルビア129は、撮像チップ100と芯層123とを熱的に連結する。したがって、複数のサーマルビア129は、撮像チップ100で発生した熱を芯層123へ伝える伝熱経路として機能するといえる。複数のサーマルビア129は、撮像チップ100の発熱領域に対応して形成するとよい。周辺領域102は、画像領域に比べて多くの熱が発生するので、複数のサーマルビア129は、周辺領域102の直下に形成されていることが好ましい。特に、発熱量の多いバスドライバおよびAD変換回路の直下に形成されていることが好ましい。また、撮像領域101の直下に比べて周辺領域102の直下により多くのサーマルビア129を形成してもよい。すなわち、周辺領域102に対応する領域に設けられたサーマルビアの密度を、撮像領域101に対応する領域に設けられたサーマルビアの密度より高くしてもよい。
【0067】
第1層121はさらに、複数のサーマルビア130を含む。複数のサーマルビア130は、環囲部材140の直下に形成される。環囲部材140の直下に形成された複数のサーマルビア130は、芯層123と後述する金属体148とを熱的に連結する。したがって、複数のサーマルビア130は、芯層123に伝達された熱を金属体148へ伝える伝熱経路として機能するといえる。
【0068】
芯層123は、メタルコアである。芯層123の材料として、ニッケルと鉄の合金(例えば42alloy、56alloy)、銅、アルミニウム等を用いることができる。芯層123の厚みは、第1層121の配線パターン125および後述する第2層122の配線パターン135の厚みより厚い。具体的には、0.1mm〜0.4mm程度である。このため、芯層123の剛性は、配線パターン125および配線パターン135と芯層123の材料が同一であれば、第1層121および第2層122の剛性より高い。芯層123は、放熱性および剛性の観点から第1層121の配線パターン125および第2層122の配線パターン135と区別される。詳しくは後述するが、芯層123は、特に、撮像チップ100で発生した熱を放熱するための放熱経路としての機能を担う点で、配線パターン125および配線パターン135と区別される。
【0069】
芯層123は、グランドとしても利用できる。この場合には、芯層123は、配線パターン125および配線パターン135のグランドラインと接続されている。
【0070】
第2層122は、樹脂層であるプリプレグ層136と、プリプレグ層136の内部および芯層123とは反対側の面に形成された3層の配線パターン135を含む。配線パターン135は、配線133、配線134を含む。配線パターン135の厚みは、30μm〜40μm程度である。第2層122のうち芯層123とは反対側の面の一部は、ソルダーレジスト170により保護されている。
【0071】
配線126と配線133は、ビア131によって電気的に接続されている。ビア131は、絶縁体132により覆われている。撮像チップ100から出力された画素信号は、配線126およびビア131を介して、配線133に伝送される。
【0072】
環囲部材140は、中央部分に開口部141を有する。また、環囲部材140は、開口部141の第1辺142に沿った第1周縁部143と、第1辺142に対向する第2辺144に沿った第2周縁部145を有する。第1周縁部143および第2周縁部145はそれぞれ、取付部として取付孔146を有する。ここでは、取付孔146は、第1周縁部143における紙面の上下端にそれぞれ1つ形成されるとともに、第2周縁部145の中央部分に1つ形成されている。取付孔146は、他の構造体を取り付けるために利用される。他の構造体は、取付孔146を介して環囲部材140にビス止めされる。他の構造体としては、後述するように、例えばミラーボックスが挙げられる。
【0073】
さらに、第1周縁部143および第2周縁部145はそれぞれ、位置決め孔147を有する。ここでは、第1周縁部143に位置決め孔147として嵌合孔が、第2周縁部145に位置決め孔147として長孔が形成されている。撮像ユニット10がミラーボックスに取り付けられる場合には、ミラーボックスは撮像ユニット10側に突出した位置決めピンを有する。位置決め孔147は、位置決めピンに対応する位置に形成されている。また、シャッタユニットは撮像ユニット10とミラーボックスに共締めされる。シャッタユニットも、位置決め孔147に挿入された位置決めピンによりミラーボックスに対して精確に位置決めされる。
【0074】
環囲部材140は、撮像チップ100を環囲する。環囲部材140は、樹脂149に金属体148がインサートされて構成されている。金属体148は金属部材の一例である。金属体148は、例えば開口部141を囲むように環状に形成される。また、詳しくは後述するが、金属体148は、第1周縁部143および第2周縁部145においては立体的に形成される。金属体148の材料として、ニッケルと鉄の合金(例えば42alloy、56alloy)、銅、アルミニウムを用いることができる。環囲部材140の軽量化を重視する場合には、上記の材料の中で最も軽量なアルミニウムを用いるとよい。一方、環囲部材140の放熱特性を重視する場合には、上記の材料の中で最も熱伝導率の高い銅を用いるとよい。
【0075】
また、光学素子160の線膨張係数の値に最も近い線膨張係数の値を持つ56alloyを用いれば、光学素子160と環囲部材140の線膨張係数の違いに起因する反りを低減できる。実装基板120の芯層123、配線パターン125、配線パターン135の材料として、撮像チップ100の線膨張係数の値に最も近い線膨張係数の値を持つ42alloyを用いる場合には、環囲部材140の材料としても42alloyを用いるとよい。これにより、撮像ユニット10の反りを低減できる。
【0076】
環囲部材140の厚みについて説明する。環囲部材140の厚みは、撮像チップ100の受光面と光学素子160の間の距離確保の観点、環囲部材140の剛性の観点等の種々の観点から適宜調整される。ここで、光学素子160にゴミ、異物等が付着したり、傷がついたりする場合には、光学素子160が撮像チップ100の受光面から離れるにつれて、ゴミ等の映りこみは低減できる。よって、映りこみによる影響の低減という観点では、撮像チップ100の受光面と光学素子160の間の距離は離れているほうが好ましい。したがって、環囲部材140の厚みは、厚いほうが好ましい。映りこみは、撮像チップ100のサイズにも影響される。例えば、撮像チップ100のサイズが小さいほど被写界深度が深いので、撮像チップ100の受光面と光学素子160の間の距離を近づけた場合に影響が現れ易い。したがって、環囲部材140の厚みは、厚いほうが好ましい。加えて、環囲部材140の剛性の観点でも、環囲部材140の厚みは、厚いほうが好ましい。
【0077】
一方で、撮像チップ100の受光面と光学素子160の間の距離は、他の構造体との兼ね合いから、撮像ユニット10が実装される撮像装置の機種毎に制限される。第2実施形態によれば、環囲部材140の厚みによって、機種毎に制限される距離に調整することができる。また、厚みを持たせることにより、環囲部材140そのものが、他の構造物が直接的に結合される構造体としての機能を担うことができる。
【0078】
金属体148は、実装基板120側に形成された下端部151と、光学素子160側に形成された上端部152と、下端部151と上端部152を繋ぐ連結部153とを含む。下端部151と上端部152は、互いに異なる平面に平行に形成されている。金属体148が立体的に形成されることにより、環囲部材140の剛性を高めることができる。撮像ユニット10が他の構造体に取り付けられた場合には、上端部152は、他の構造体と接することになる。したがって、上端部152の面積を大きくするほど放熱特性を高めることができる。
【0079】
下端部151の端面、すなわち、環囲部材140における撮像チップ100側の端面は、金属体148が露出していない。金属体148が樹脂149に覆われているので、環囲部材140の開口端面で発生し得る反射を低減できる。また、下端部151は、配線128と直接接している。
【0080】
上端部152と樹脂149が積層されている部分にビス150が貫通できるように上端部152および樹脂149を貫通する取付孔146が形成されている。したがって、上端部152は、取付孔146の内壁面154の一部を形成する。このため、撮像ユニット10が他の構造体とビス止めされた場合には、上端部152とビス150が接触することになる。詳しくは後述するが、このように伝熱経路を形成すると、金属であるビス150を介して構造体側に熱を逃がすことができる。なお、取付孔146の内壁面154の全体が金属体148により形成される構成とすれば、放熱特性をより高めることができる。
【0081】
光学素子160は、撮像チップ100をカバーするカバーガラスである。光学素子160は、開口部141を覆うように環囲部材140に固定され、実装基板120と共に開口部141を密封空間とする。具体的には、光学素子160は、環囲部材140に接着剤により固着される。光学素子160の材料としてホウケイ酸ガラス、石英ガラス、無アルカリガラス、耐熱ガラス等を用いることができる。
【0082】
実装基板120と、環囲部材140と、光学素子160とによって、密封空間が形成される。撮像チップ100は、密封空間内に配置されることになる。これにより、詳しくは後述するが、画素が外部環境の影響を受け難くなるので、画像品質の低下を防止できる。
【0083】
電子部品180は、例えばコンデンサ、レジスタ、抵抗等である。これらの電子部品180は、撮像チップ100内の回路に電力を供給する電源回路等を構成する。電子部品180は、第2層122のうち芯層123とは反対側の面に実装される。電子部品180と第2層122の配線134とは、はんだによって電気的に接続される。第2層122のうち芯層123とは反対側の面には、さらにコネクタが実装されてもよい。コネクタは、例えばフレキシブル基板に接続される。この場合には、配線133に伝送された画素信号は、ビア137を介して配線134に伝送された後、コネクタおよびフレキシブル基板を介して外部の処理回路へ伝送される。
【0084】
撮像ユニット10の伝熱経路について説明する。撮像チップ100で発生した熱は、配線127および複数のサーマルビア129を介して芯層123に伝達される。芯層123に伝達された熱は、複数のサーマルビア130および配線128を介して金属体148に伝達される。金属体148に伝達された熱は、ビス150を介して他の構造体に放熱される。以上のように実装基板120が芯層123を有することによって、撮像チップ100の熱を金属体148に伝える放熱経路を構築できる。
【0085】
図8に示すように、第1層121は単層の配線層であるのに対し、第2層122は多層の配線層である。つまり、芯層123は、撮像チップ100が実装される側に偏位して配設されている。第1層121が多層の配線層であれば、第1層121のプリプレグ層の厚みが増すので、放熱特性が低下してしまう。
【0086】
第2実施形態の撮像ユニット10では、第1層121が単層の配線層であるので、第1層121が多層の配線層である場合に比べて、撮像チップ100と芯層123が近い。つまり、第1層121が多層の配線層である場合に比べて、プリプレグ層124の厚みが薄い。伝熱経路が短くなるので、第1層121が多層の配線層である場合に比べて放熱特性は高くなる。
【0087】
実装基板120は、全体として4層の配線パターンを有する。第2実施形態の撮像ユニット10では、放熱特性の観点から第1層121を単層にしたので、その分第2層に配線パターンが積層される。結果として、配線パターンの数は、芯層を中心に非対称になっている。
【0088】
また、芯層123を撮像チップ100に近づけることによって、形成すべきサーマルビアの個数を減らすことができる。したがって、芯層123を撮像チップ100に近づける構成は、放熱特性に加えて、コストおよび製造工程の観点からも有利である。
【0089】
撮像ユニット10の水分およびガス(例えば大気中の亜硫酸ガス)に対する耐性について説明する。撮像ユニット10の内部に水分およびガスが侵入すると、撮像チップ100の撮像性能が低下する。具体的には、水分が密封空間内に浸入すると、密封空間内外の温度差によって撮像チップ100、光学素子160に結露する。結露および結露が原因でカビが生じると、結像する光学像を歪めるので、出力される画像品質が低下してしまう。一方、ガスが密封空間内に侵入すると、撮像チップ100内部の回路の酸化および腐食を促進し、撮像チップ100の破壊を招く。
【0090】
第2実施形態の撮像ユニット10では、芯層123はメタルコアである。金属は、樹脂に比べて水分およびガスを遮断する能力が高い。実装基板120における撮像チップ100と反対側の面から浸入した水分およびガスは、芯層123によって遮断される。したがって、耐水性および耐ガス性を高めることができる。
【0091】
図9は、第2実施形態に係る撮像装置の一例であるカメラ400の模式的断面図である。カメラ400は、レンズユニット500およびカメラボディ600を備える。カメラボディ600には、レンズユニット500が装着される。レンズユニット500は、その鏡筒内に、光軸410に沿って配列された光学系を備え、入射する被写体光束をカメラボディ600の撮像ユニット10へ導く。
【0092】
カメラボディ600は、レンズマウント550に結合されるボディマウント660の後方にメインミラー672およびサブミラー674を備える。メインミラー672は、レンズユニット500から入射した被写体光束に斜設される斜設位置と、被写体光束から退避する退避位置との間で回動可能に軸支される。サブミラー674は、メインミラー672に対して回動可能に軸支される。
【0093】
ピント板652、ペンタプリズム654、メインミラー672、サブミラー674は、構造体としてのミラーボックス670に支持される。このようにミラーボックス670は、種々の構造体が取り付けられる、カメラ400において中心となる構造体である。このため、ミラーボックス670は、金属等の剛性の高い材料により形成される。また、ミラーボックス670には、撮像ユニット10の熱が放熱されるので、比熱容量の大きい材料により形成されるのが好ましい。上述したように、ミラーボックス670は、取付孔146を介して撮像ユニット10に取り付けられる。ミラーボックス670に撮像ユニット10が直接取り付けられるので、ミラーボックス670と撮像チップ100の相対的な位置関係の誤差を低減できる。ミラーボックス670は、基準となる構造体であるので、光軸に対して厳密に位置合わせできる。メインミラー672およびサブミラー674が退避位置に退避し、シャッタユニット340の先幕および後幕が開状態となれば、レンズユニット500を透過する被写体光束は、撮像チップ100の受光面に到達する。
【0094】
撮像ユニット10の後方(z軸プラス方向)には、ボディ基板620および背面表示部634が順次配置される。液晶パネル等が採用される背面表示部634は、カメラボディ600の背面に現れる。背面表示部634は、撮像チップ100からの出力信号から生成される画像を表示する。背面表示部634は、芯層123に対して撮像チップ100とは反対側に配設される。
【0095】
ボディ基板620には、CPU622、画像処理ASIC624等の電子回路が実装される。撮像チップ100の出力信号は、フレキシブル基板621を介して当該出力信号を処理する処理チップである画像処理ASIC624へ引き渡される。画像処理ASIC624は、芯層123に対して撮像チップ100とは反対側に配設される。
【0096】
撮像ユニット10の後段に配置された画像処理ASIC624等の電子回路、TFTドライバ、アクチュエータ等は、ノイズの発生源となり得る。これらノイズの発生源と撮像チップ100の間に芯層123が配置されているので、当該ノイズの発生源から発生する電磁波を、芯層123によって遮断することができる。また、撮像ユニット10の後段に配置された画像処理ASIC624等の電子回路からの輻射熱も遮断することができる。
【0097】
以上の説明では、環囲部材140は金属と樹脂がインサート成形された材料を用いるとしたが、環囲部材140の材料は、これに限らない。
図10は、変形例1に係る撮像ユニット20の模式断面図である。
図10において、
図8と同一の符号を付した要素は、
図8において説明した要素と同一の機能および構成を有する。
【0098】
撮像ユニット20では、環囲部材140は、金属単体により形成されている。この場合には、金属と樹脂がインサート成形された材料を用いる場合に比べて、さらに放熱特性を高めることができる。なお、環囲部材140と他の構造体の取り付けという観点では、環囲部材140は、構造体への取り付けに要求される剛性を満たす樹脂単体により形成されてもよい。この場合には、撮像チップ100と光学素子160の間の距離を保ちつつ、環囲部材140を軽量化できる。
【0099】
以上の説明では、環囲部材140は一様の厚みを有するとしたが、構造体への取り付けに要求される剛性等を満たすのであれば、環囲部材140は一様の厚みに限らない。
図11は、変形例2に係る撮像ユニット30の模式断面図である。
図11において、
図8と同一の符号を付した要素は、
図8において説明した要素と同一の機能および構成を有する。
【0100】
撮像ユニット30では、環囲部材140における実装基板120および光学素子160から外側に延伸した延伸部分156の厚みが、実装基板120と光学素子160に挟まれた本体部分155の厚みより薄くなっている。これにより、撮像チップ100と光学素子160の間の距離を保ちつつ、環囲部材140を軽量化できる。延伸部分156は、フライス加工により形成することができる。一方、環囲部材140の材料として金属が用いられていれば、延伸部分156の厚みを、本体部分155の厚みより厚くすることによって、環囲部材140の放熱特性を高めることもできる。延伸部分156の厚みを厚くすることにより、環囲部材140の剛性も高めることができる。
【0101】
以上の説明では、撮像チップ100の画素信号はボンディングワイヤ110を介して配線126に伝送されたが、画素信号の伝送方法は、ボンディングワイヤ110を介した方法に限らない。
図12は、変形例3に係る撮像ユニット40の模式断面図である。
図12において、
図8と同一の符号を付した要素は、
図8において説明した要素と同一の機能および構成を有する。
【0102】
撮像ユニット40では、撮像チップ100は、裏面照射型のMOSイメージセンサである。裏面照射型のMOSイメージセンサでは、画素信号を伝送する配線層は、画素よりも実装基板120側に配置されている。したがって、撮像チップ100における実装基板120側の面から画素信号を取り出すことができる。ここでは、撮像チップ100は、配線126とバンプ138によって電気的に接続されている。これにより、撮像チップの画素信号を実装基板120に伝送できる。
【0103】
撮像チップ100と実装基板120をバンプ接合する場合には、撮像チップ100の配置位置は、バンプ138の高さ分だけ実装基板120から離れる。したがって、撮像チップ100の下面に配線パターンの配線として放熱用の配線を形成する代わりに、撮像チップ100と実装基板120の間を埋めるヒートシンク139を別途設けてもよい。これにより、撮像チップ100の熱を実装基板120に逃がすことができる。
【0104】
図13は、変形例4に係る撮像ユニット50の模式断面図である。
図13において、
図8と同一の符号を付した要素は、
図8において説明した要素と同一の機能および構成を有する。撮像ユニット50は、撮像チップ100の少なくとも一部を収容する凹部138が芯層123に形成されている点で、
図8に示した撮像ユニット10の構成と異なる。凹部138は、底面と、内壁面とで形成されている。撮像チップ100は、凹部138の底面上に実装されている。
【0105】
凹部138は、芯層123を加工することで形成される。凹部138は、例えばフライス加工により形成される。このように凹部138に加工を施すことによって、凹部138の底面の平面性も向上させることができる。さらに、凹部138の底面に実装される撮像チップ100の平坦性を確保することができる。
【0106】
撮像チップ100が凹部138に収容される構成では、撮像チップ100の側面と凹部138の内壁面との間を熱伝導性の高い樹脂材139で充填するとよい。これにより、撮像チップ100の側面からも当該樹脂材139を介して芯層123に放熱できる。
【0107】
また、撮像チップ100が凹部138に収容されることにより、撮像チップ100と光学素子160の間隔を拡げることができる。光学素子160にゴミ、異物等が付着したり、光学素子160に傷がついたりする場合には、撮像画像にそれらが写りこむ恐れがあるが、撮像チップ100と光学素子160の間隔を拡げることによって、写りこみによる影響を低減できる。また、撮像チップ100が凹部138に収容されるので、その分環囲部材140の厚さを薄くすることもできる。
【0108】
凹部138の深さが、撮像チップ100の厚みより深い場合には、凹部138の開口面より撮像チップ100の受光面が低くなる。このため、撮像チップ100の周辺部に対して斜め方向から入射する光が届かない場合がある。この場合には、斜め方向から入射する光が撮像チップ100に届くよう、凹部138の内壁を面取りしてテーパー形状にするとよい。なお、凹部138の代わりに、芯層123は平面加工が施された凸部を有し、撮像チップ100は当該凸部に実装されてもよい。なお、凹部138の代わりに、芯層123はプリプレグ層124に開口が形成されることによって露出した露出面を有し、撮像チップ100は当該露出面に実装されてもよい。
【0109】
撮像ユニットの光学素子160として水晶ローパスフィルタを用いることもできる。カメラ400に水晶ローパスフィルタが複数に分けて配置する場合には、そのうちの一つを光学素子160に代えて配置してもよい。
【0110】
金属体148における撮像チップ100側の端部に立ち曲げ加工を施すこともできる。この場合には、金属体148における撮像チップ100側の端部は、実装基板120側の面から光学素子160側の面に向かって延伸する部分を有することになる。したがって、環囲部材140の剛性をさらに高めることができる。
【0111】
以上の説明では、芯層123は、実装基板120の主面方向の全体に亘って形成されていたが、芯層123は、少なくとも撮像チップ100に対応する領域に形成されていればよい。撮像チップ100に対応する領域に芯層123が形成されていれば、サーマルビア130によって撮像チップ100の熱を芯層123に伝達できる。また、耐水性および耐ガス性の観点では、実装基板120に芯層123、すなわち剛性の高い金属層が形成されていなくても、剛性に関わらず金属層が形成されていればよい。当該金属層の厚みは、例えば配線パターン125および配線パターン135と同一でもよい。金属層は、多層に形成されていてもよい。この場合には、多層に形成された金属層を撮像チップ100の実装面上に重ねて投影した場合に、多層に形成された金属層が全体として環囲部材に環囲される領域を間隙無く覆っていればよい。これにより、多層に形成された金属層全体として水分およびガスの浸入を遮断できる。
【0112】
以上の説明では、実装基板120の芯層123は金属で形成されるとしたが、環囲部材140と他の構造体の取り付けという観点では、実装基板120の剛性自体は問題にならないので、樹脂等の絶縁材料で形成されてもよい。すなわち、芯層123は、樹脂コアでもよい。絶縁材料として例えばFR4を用いることができる。同様に、環囲部材140と他の構造体の取り付けという観点では、実装基板はコア基板に限らず、有機基板でもセラミック基板でもよい。以上のように、環囲部材140が構造体への取り付けに要求される剛性を満たせばよいので、実装基板の選択に対する自由度は高い。
【0113】
以上の説明では、環囲部材140は取付部として取付孔146を有するとしたが、取付部は突起部により実現されてもよい。この場合には、金属を用いて突起部を形成することにより、取り付けられた構造体に対して効率的に放熱できる。なお、環囲部材140は他の構造体に直接取り付けられるとしたが、放熱の観点では、熱的に他の構造体に連結されていれば、環囲部材140が直接他の構造体に取り付けられていなくてもよい。また、他の構造体以外にさらに別の構造体を環囲部材140に取り付ける場合には、当該別の構造体を取り付けるための別の取付部がさらに形成されていてもよい。この場合には、当該別の取付孔に螺子溝を形成してもよい。これにより、ビス止めした場合の締結の強度を高めることができる。
【0114】
以上の説明では、撮像チップ100は配線127に実装されるとしたが、第1層121の中央部分に開口を形成し、開口が形成されることによって露出された芯層123に直接実装されてもよい。この場合には、伝熱経路は、撮像チップ100が第1層121を介さずに芯層123に接触配置された接触面として形成される。撮像チップ100と芯層123が直接接しているので、撮像チップ100で発生する熱に対する放熱特性をより高めることができる。
【0115】
環囲部材の形状のバリエーションについて説明する。
図14は、環囲部材の形状の一例を説明するための図である。
図14において、
図8と同一の符号を付した要素は、
図8において説明した要素と同一の機能および構成を有する。
図14(a)は、撮像ユニット50を光学素子160側から見た図である。
図14(b)は、撮像ユニット50の側面図である。
図14(c)は、撮像ユニット50を実装基板120側から見た図である。
図14(d)は、
図14(a)のB−B断面を模式的に示す断面図である。なお、ここでは環囲部材の形状の説明を意図しているので、実装基板120については簡略化して図示している。また、撮像ユニット50では、実装基板120の面積は、光学素子160の面積より若干大きい。
【0116】
環囲部材240は、全体として紙面の上下方向に長い角丸長方形状である。環囲部材240は、中央部分に開口部181を有する。撮像チップ100は、環囲部材240の開口部181に配置されている。環囲部材240において、撮像チップ100を挟んだ紙面の上下の領域である上部領域184、下部領域185には、全体の長方形状に対して切欠部186、187、188が形成されている。
【0117】
切欠部186は、上部領域184における上端の中央部分に形成されている。一方、切欠部187、188は、下部領域185における下端の左右の両端部分にそれぞれ形成されている。切欠部186は、ファインダ光学系の迫り出し部分を避けるように設けられている。したがって、撮像ユニット50がカメラに実装された場合には、撮像ユニット50とファインダ光学系は、互いに干渉しない。切欠部187は、外部バッテリーと接続するためのコネクタ等を避けるように設けられている。したがって、撮像ユニット50がカメラに実装された場合には、撮像ユニット50と外部バッテリーと接続するためのコネクタ等は、互いに干渉しない。切欠部188は、ビデオ信号出力用のコネクタ等が配設されているインタフェース基板を避けるように設けられている。したがって、撮像ユニット50がカメラに実装された場合には、撮像ユニット50とインタフェース基板は、互いに干渉しない。このように、カメラの構成部材に応じた切欠部186、187、188が形成されることにより、カメラの構成部材に干渉することなくカメラに撮像ユニット50を配置できる。また、切欠部186、187、188が形成されることにより、環囲部材140の軽量化も図れる。
【0118】
上部領域184および下部領域185はそれぞれ、取付部として取付孔182を有する。ここでは、取付孔182は、上部領域184における上端の左右両端にそれぞれ1つ形成されるとともに、下部領域185の下端の中央部分に1つ形成されている。より詳細には、2つの取付孔182が、切欠部186を挟んで切欠部186の両側にそれぞれ形成されている。残りの1つの取付孔182が、切欠部187と切欠部188に挟まれた領域に形成されている。このように3つの取付孔182がそれぞれの間の距離を拡げて形成されているので、撮像ユニット50が他の構造体に取り付けられる場合に当該他の構造体に対する取付角度をより精確に調整できる。
【0119】
上部領域184および下部領域185はそれぞれ、位置決め孔183を有する。ここでは、位置決め孔183として嵌合孔が上部領域184の上端に1つ形成されるとともに、位置決め孔183として長孔が下部領域185の下端に1つ形成されている。より詳細には、嵌合孔が切欠部186の側部に形成され、長孔が切欠部187と切欠部188に挟まれた領域に形成されている。このように2つの位置決め孔183が当該位置決め孔183の間の距離を拡げて形成されているので、位置決め精度を高めることができる。
【0120】
環囲部材240は、撮像チップ100が配置された領域の周辺に肉抜き部189を有する。ここでは、撮像チップ100の左右の辺、および上辺の周辺にそれぞれ肉抜き部189を有する。これにより、環囲部材140を軽量化できる。
【0121】
環囲部材240の開口部181の内壁面に反射防止膜が形成されていてもよい。反射防止膜は例えば、開口部181の内壁面を黒色に塗装することにより形成できる。
【0122】
以上の説明では、切欠部187は、外部バッテリーと接続するためのコネクタ等を避けるように設けられているとしたが、切欠部187は、FPCのはんだ実装スペースに用いられる場合もある。すなわち、この場合には、切欠部187は、実装スペースを確保する目的で設けられている。
【0123】
撮像ユニットの後段に設けられた画像処理ASIC等が実装された基板に撮像ユニットを取り付けると、ミラーボックスに対する撮像チップの位置決めに累積誤差が蓄積されやすかった。しかし、第2実施形態における撮像ユニットによれば、そのような問題は小さくなる。
【0124】
図15Aは、第3実施形態に係る、実装基板の一例としての構造体基板100を備える撮像ユニット300の斜視図である。構造体基板100は、構造体として機能するメタルコア基板である。第3実施形態における構造体基板100は、メタルコア基板を形成するコアとしての金属層110が、樹脂層120の外縁部より伸延する。金属層110は、銅、アルミ、ニッケル合金等の金属により形成され、要求される剛性に見合った厚みを有する。
【0125】
第3実施形態における撮像ユニット300は、電子機器の一例として一眼レフカメラに適用される場合を想定するが、電子機器に用いられる場合の金属層110の厚さは、0.2mm以上2.0mm未満が好ましい。この程度の厚さを持たせることにより、メタルコア基板そのものが、他の構造物が直接的に結合される構造体としての機能を担うことができる。
【0126】
樹脂層120の表面には、回路パターンが設けられており、入射する被写体光束を光電変換する撮像チップ130がCOB実装により実装されている。COB実装は、実装される撮像チップ130を、例えばビスを介して構造体に取り付けられる従来のマウントよりも、構造体としての構造体基板100に対して精度良く位置決めすることができる。したがって、一眼レフカメラに撮像ユニット300を組み込む場合、構造体基板100は、公差の積み重ねを低減できるので、撮像チップ130に対する他の構造体の組み付け誤差を抑制することができる。
【0127】
なお、第3実施形態の撮像ユニット300においては、被写体光束が撮像チップ130へ入射する方向をz軸方向、撮像チップ130の長手方向をx軸方向、短手方向をy軸方向と定める。特に+方向を図示するように定める。
図15Bから
図18において、
図15Aの座標軸を基準として、それぞれの図の向きがわかるように座標軸を表示する。
【0128】
樹脂層120の表面には、撮像チップ130の他にも、種々の回路素子140、コネクタ150等が実装される。コネクタ150は、例えばフレキシブル基板に接続されて、撮像チップ130の出力を外部の処理回路へ引き渡す役割を担う。
【0129】
第3実施形態に係る構造体基板100は、コアとしての金属層110以外にも回路パターンとしての金属層と絶縁層としての樹脂層が交互に積層された多層基板である。例えば回路素子140は、ビアを介して内層の回路パターンに接続されている。また、金属層110は、グランドとしての役割を担う。したがって、金属層110は、回路パターンのグランドラインと接続されている。
【0130】
樹脂層120の外縁部より伸延した金属層110は、伸延した部位である伸延部に曲げ部を有し、曲げ部により撮像チップの実装方向へ曲げられた伸延部は壁部を形成する。壁部は、撮像チップ130の短手方向に平行な2つの垂直壁部111と、長手方向に平行な2つの水平壁部112とを含む。すなわち、垂直壁部111と水平壁部112は、樹脂層120を環囲するように形成されている。したがって、外部から撮像チップ130へ回り込む迷光を抑制することができる。また、外乱ノイズを抑制することもできる。垂直壁部111のそれぞれは、部分的な曲げ部をさらに2カ所有し、それぞれの曲げ部の先に取付部113を備える。取付部113は、樹脂層120が積層される平坦部と平行に形成される。
【0131】
垂直壁部111、水平壁部112および取付部113を有する金属層110は、剪断加工、プレス加工により金属板から形成する。そして、平坦部に絶縁層としての樹脂層と、回路パターンとしての金属層を交互に積層して構造体基板100を形成する。なお、垂直壁部111と水平壁部112を絞り加工により形成すれば、それぞれの端において互いに連続する箱形形状を実現できる。箱形形状を成す場合、外部からの迷光をより抑制することができる。
【0132】
取付部113はビス210を遊挿するための孔部を有し、他の構造体は、取付部113を介して構造体基板100にビス止めされる。他の構造体としては、後述するように、例えばミラーボックスが挙げられる。ミラーボックスは、構造体基板100側に突出した位置決めピン211を有する。取付部113の一部は、位置決めピン211に対応する位置決め孔等を有する。
【0133】
図15Bは、
図15AのA−A断面図である。上述の通り、撮像チップ130は、樹脂層120の表面に設けられた回路パターンにCOB実装されている。なお、回路パターンを形成する金属層は薄い層であるので、図においては省略している。また、図においては、撮像チップ130が実装された樹脂層120と金属層110を挟んで反対側に積層された樹脂層120を代表して表すが、上述のように、多層化されていても良い。
【0134】
金属層110には、樹脂層120に実装された内装回路素子141を収容する収容空間114が設けられている。また、撮像チップ130が実装された樹脂層120と金属層110を挟んで反対側に積層された樹脂層120の表面には、サーマルバッファ板160が積層されている。サーマルバッファ板160は、放熱板としての機能を担い、例えば、粗面加工された金属板が用いられる。
【0135】
撮像チップ130は、環囲部材としての環囲部材131により環囲される。環囲部材131は、樹脂層120の表面に固着されると共に、撮像チップ130と対向するように光学素子132を接着支持する。このような構造により、撮像チップ130は、樹脂層120、環囲部材131および光学素子132に取り囲まれた密封空間に配置されることになる。したがって、撮像チップ130は、外部から侵入する塵埃、湿気、有害ガスから保護される。なお、密封空間に面する樹脂層120の表面、および環囲部材131の表面は、反射防止塗装が施されている。光学素子132は、カバーガラスであってよい。
【0136】
図15Aを用いて説明したように、垂直壁部111と水平壁部112は、樹脂層120を環囲するように形成されているが、その端面までの高さ(z軸マイナス方向の距離)は、
図15Bに示すように、撮像チップ130の受光面よりも高い。このような高さに設定することにより、外部から進入しようとする迷光を効果的に遮断できる。なお、端面までの高さを、
図15Bに示すように、光学素子132よりも高くすれば、より効果的に迷光を遮断できる。
【0137】
図16は、シャッタユニット340を備える撮像ユニット300の分解斜視図である。シャッタユニット340は、それぞれ展開状態と収容状態を取り得る先幕と後幕から成るフォーカルプレーンシャッタと、これらを駆動する駆動ユニットにより構成される。
【0138】
シャッタユニット340は、撮像チップ130との間で、マスクゴム310、光学ローパスフィルタ320、押さえ板330を挟持するように、構造体基板100の取付部113へ取り付けられる。具体的には、シャッタユニット340および押さえ板330は、構造体基板100の取付部113と同様の取付部341、331をそれぞれ備える。取付部341、331に設けられた孔部、および取付部113に設けられた孔部を貫通するビス210により、撮像ユニット300は一体化される。また、取付部341、331は、取付部113と同様の位置決め孔等を有し、シャッタユニット340および押さえ板330も、位置決めピン211により構造体(例えばミラーボックス)に対して精確に位置決めされる。
【0139】
フォーカルプレーンシャッタは、幕走行により静電気を発生させることがある。静電気は、円滑な幕走行に支障をきたすばかりでなく、撮像チップ130の出力にノイズ成分が混入する要因ともなる。そこで、発生する静電気をグランドに逃がすべく、フォーカルプレーンシャッタを金属層110と電気的に接続する。具体的には、シャッタユニット340の取付部341を金属で形成し、フォーカルプレーンシャッタのリンク機構と接続する。そして、金属のビス210を採用することにより、取付部341と、金属層110の一部である取付部113とを電気的に接続する。この場合、取付部341は、静電気を逃がす接続部の機能を担う。なお、接続部は、金属層110の他の部位に設けても良い。
【0140】
図17は、第3実施形態の他の例の構造体基板100を備える撮像ユニット300の一部を示す斜視図である。特に
図17(a)は、撮像チップ130が観察される方向からの斜視図であり、
図17(b)は、その反対側からの斜視図である。上述の第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0141】
図16を用いて説明した実施形態による撮像ユニット300は、押さえ板330を、シャッタユニット340と共に共締めする構成であった。
図17に示す撮像ユニット300は、押さえ板330を、シャッタユニット340とは独立して構造体基板100に固定する。具体的には、押さえ板330は、
図16で示す取付部331に代えて、樹脂層120側へ取り付けるための取付部332を備える。
【0142】
金属層110に積層された樹脂層120は、取付部332のビス孔に対応する逃げ孔122を有する。また、金属層110は、
図17(b)に示すように、背面側に突出するビス受け115を備える。ビス212は、取付部332側からビス受け115へ螺入されて、押さえ板330を構造体基板100へ固定する。このとき、マスクゴム310および光学ローパスフィルタ320も挟持されて、構造体基板100へ固定される。すなわち、ビス受け115は、樹脂層120の外縁部の内側に設けられ、シャッタユニット340と構造体基板100とに挟まれた空間に位置する構造体である押さえ板330、マスクゴム310および光学ローパスフィルタ320を固定する固定部としての役割を担う。このように構成することにより、例えば光学ローパスフィルタ320に貼着される振動素子を、樹脂層120上の回路パターンへ接続し易くなる。
【0143】
図18は、撮像ユニット300を備える一眼レフカメラ400の断面図である。一眼レフカメラ400は、レンズユニット500およびカメラボディ600を備える。カメラボディ600には、レンズユニット500が装着される。レンズユニット500は、その鏡筒内に、光軸410に沿って配列された光学系を備え、入射する被写体光束をカメラボディ600の撮像ユニット300へ導く。
【0144】
カメラボディ600は、レンズマウント550に結合されるボディマウント660の後方にメインミラー672およびサブミラー674を備える。メインミラー672は、レンズユニット500から入射した被写体光束に斜設される斜設位置と、被写体光束から退避する退避位置との間で回動可能に軸支される。サブミラー674は、メインミラー672に対して回動可能に軸支される。
【0145】
メインミラー672が斜設位置にある場合、レンズユニット500を通じて入射した被写体光束の多くはメインミラー672に反射されてピント板652に導かれる。ピント板652は、撮像チップ130の受光面と共役な位置に配されて、レンズユニット500の光学系が形成した被写体像を可視化する。ピント板652に形成された被写体像は、ペンタプリズム654およびファインダ光学系656を通じてファインダ650から観察される。斜設位置にあるメインミラー672に入射した被写体光束の一部は、メインミラー672のハーフミラー領域を透過しサブミラー674に入射する。サブミラー674は、ハーフミラー領域から入射した光束の一部を、合焦光学系680に向かって反射する。合焦光学系680は、入射光束の一部を焦点検出センサ682に導く。
【0146】
ピント板652、ペンタプリズム654、メインミラー672、サブミラー674は、構造体としてのミラーボックス670に支持される。上述したように、ミラーボックス670は、取付部113を介して撮像ユニット300に取り付けられる。メインミラー672およびサブミラー674が退避位置に退避し、シャッタユニット340の先幕および後幕が開状態となれば、レンズユニット500を透過する被写体光束は、撮像チップ130の受光面に到達する。
【0147】
撮像ユニット300の後方(z軸プラス方向)には、ボディ基板620および背面表示部634が順次配置される。液晶パネル等が採用される背面表示部634は、カメラボディ600の背面に現れる。ボディ基板620には、CPU622、画像処理ASIC624等の電子回路が実装される。撮像チップ130の出力は、フレキシブル基板を介して画像処理ASIC624へ引き渡される。
【0148】
以上の第3実施形態においては、構造体基板100を多層基板として説明したが、単層基板であっても良い。また、構造体基板100は、取付部113によりミラーボックス670に取り付ける例を説明したが、これに限らず、例えば、背面表示部634を包含する表示ユニットに取り付けても良い。あるいは、ミラーボックス670と共に表示ユニットに取り付けても良い。
【0149】
また、第3実施形態においては、樹脂層120は金属層110の平坦部に積層され、伸延部は金属層110が露出する形態を説明した。しかし、例えば、曲げ部の先の伸延部に十分な領域を設け、当該領域に独立した樹脂層および金属層を積層することにより、平坦部に積層したメタルコア基板とは別のメタルコア基板を形成しても良い。すなわち、コアとなる金属層110を共通として、複数領域に樹脂層と回路パターンを積層した多層基板を形成することができる。例えば、独立した多層基板に、フォーカルプレーンシャッタを駆動する駆動回路を設けることができる。このように構成することにより、省スペース化と相互の電機干渉の抑制を同時に図ることができる。
【0150】
また、第3実施形態においては、撮像装置として一眼レフカメラ400を例に説明したが、カメラボディ600を撮像装置と捉えても良い。また、撮像装置は、ミラーユニットを備えるレンズ交換式カメラに限らず、ミラーユニットを持たないレンズ交換式カメラ、ミラーユニットの有無に関わらずレンズ一体式カメラであっても良い。さらに、構造体基板100は、撮像装置への適用に限らず、様々な電子機器にも適用できる。
【0151】
第3実施形態に特徴的な点を示す。構造体基板は、金属層と樹脂層が積層されたメタルコア基板のうち少なくともひとつの前記金属層が前記樹脂層の外縁部よりも伸延した伸延部を有し、前記伸延部に他の構造体を取り付けるための取付部が形成されている。当該構造体基板は、伸延部において曲げ部を有する。また、曲げ部により撮像チップの実装方向に曲げられた壁部の端面は、撮像チップの受光面よりも高い。また、伸延部を有する金属層に、シャッタユニットの動作時に発生する静電気を逃がす接続部を備える。また、伸延部を有する金属層は、外縁部の内側に、シャッタユニットと構造体基板とに挟まれた空間に位置する構造体を固定する固定部を有する。また、構造体基板は、メタルコア基板を形成する樹脂層と金属層とは独立した樹脂層と金属層とが伸延部に積層された他のメタルコア基板を有する。
【0152】
なお、第2実施形態においては、環囲部材が、他の構造体を取り付けるための取付部を有している。第3実施形態における撮像ユニットにおいては、実装基板が、他の構造体を取り付けるための取付部を有している。他の構造体に取り付けるための取付部は、環囲部材および実装基板の双方が有してよい。
【0153】
以下、第4実施形態について図面を参照しながら説明するが、発明はこれに限定されない。第4実施形態の説明においては、適宜、XYZ直交座標系を設定し、そのXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。
【0154】
図19は、第4実施形態に係る撮像装置1の一例を示す分解斜視図、
図20は、断面図である。
図19及び
図20において、撮像装置1は、撮像チップ2と、撮像チップ2が実装される実装基板3とを備えている。
【0155】
撮像チップ2は、撮像センサ(半導体イメージセンサ)を含む。撮像センサは、固体撮像素子を含む。撮像センサは、CCDイメージセンサを含む。なお、撮像センサが、CMOSイメージセンサを含んでもよい。
【0156】
第4実施形態において、実装基板3は、メタル層を有する配線板である。配線板は、例えばプリント配線板を含む。メタル層を有する配線板の一例としては、メタルコア多層プリント配線板(メタルコア基板とも呼ばれる)が、この特徴を一番具現化している。なお、実装基板3が、メタル層を有する配線板と、そのメタル層を有する配線板とは別の板とを含んでもよい。例えば、実装基板3が、メタル層を有する配線板と、そのメタル層を有する配線板を支持する支持板とを含んでもよい。
【0157】
撮像チップ2は、表面2Aと、表面2Aの反対方向を向く裏面2Bとを有する。実装基板3は、表面3Aと、表面3Aの反対方向を向く裏面3Bとを有する。撮像チップ2は、実装基板3の表面3Aと対向するように配置される。撮像チップ2の裏面2Bと実装基板3の表面3Aとが対向する。
【0158】
撮像チップ2の表面2Aは、物体(被写体)からの光が入射する入射面を含む。撮像チップ2は、被写体からの光が入射する光学素子(レンズ)と、光学素子からの光が入射するカラーフィルタと、カラーフィルタからの光が入射する光電変換素子(フォトダイオード)とを有する。
【0159】
図20に示すように、撮像チップ2は、接続部材10を介して、実装基板3と電気的に接続される。第4実施形態において、接続部材10は、ワイヤを含む。撮像チップ2は、ワイヤを介して、実装基板3と電気的に接続される。すなわち、第4実施形態において、撮像チップ2は、実装基板3にワイヤボンディング(wire bonding)実装される。ワイヤは、金属線である。ワイヤは、金(Au)で形成されてもよいし、アルミニウム(Al)で形成されてもよい。ワイヤボンディング実装の場合、撮像チップ2に配置されるパッドと、実装基板3に配置されるパッドとが、ワイヤを介して電気的に接続される。
【0160】
なお、撮像チップ2が、
図21に示すような接続部材11を介して、実装基板3と電気的に接続されてもよい。
図21において、接続部材11は、バンプと呼ばれる突起電極を含む。撮像チップ2は、突起電極を介して、実装基板3と電気的に接続される。すなわち、撮像チップ2は、実装基板3にフリップチップ実装(flip chip mounting)実装されてもよい。フリップチップ実装の場合、撮像チップ2に配置される端子と、実装基板3に配置される端子とが、突起電極を介して電気的に接続される。
【0161】
図22は、実装基板3の一例を示す断面図である。
図22に示すように、実装基板3は、メタル層を有する配線板を含み、金属層31と、絶縁層32とを有する。また、実装基板3は、外層回路33と、スルーホール34とを有する。金属層31は、ベースメタル層、あるいは金属コア層とも呼ばれる。金属層31は、例えば銅(Cu)で形成されてもよいし、アルミニウム(Al)で形成されてもよい。絶縁層32は、合成樹脂で形成される。なお、絶縁層32が、無機フィラーを含んでもよい。スルーホール34の内部に、例えばめっき法により金属膜35が形成される。
【0162】
図22に示す例では、金属層31の両側に絶縁層32が配置される。実装基板3の表面3Aの少なくとも一部、及び裏面3Bの少なくとも一部は、絶縁層32の表面を含む。
【0163】
なお、
図23に示すように、実装基板30が、絶縁層32と、絶縁層32の両側に配置される金属層31とを含んでもよい。
図23に示す例では、実装基板30の表面3Aの少なくとも一部、及び裏面3Bの少なくとも一部は、金属層31の表面を含む。
【0164】
図19及び
図20に示すように、第4実施形態において、撮像装置1は、実装基板3の内部に配置される電子部品5を備えている。すなわち、第4実施形態において、実装基板3は、電子部品5を内蔵する。
【0165】
第4実施形態において、電子部品5は、例えば信号処理回路を含む。なお、電子部品5が、抵抗器、コンデンサ、及びインダクタ等の受動素子を含んでもよい。なお、電子部品5が、集積回路、及びトランジスタ等の能動素子を含んでもよい。なお、電子部品5が、レギュレータを含んでもよい。なお、電子部品5が、撮像センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を含んでもよい。
【0166】
図20に示すように、電子部品5は、撮像チップ2の裏面2Bと対向するように配置されてもよい。また、
図19に示すように、電子部品5は、撮像チップ2の周囲の少なくとも一部に配置されてもよい。換言すれば、電子部品5は、実装基板3において、撮像チップ2と対向しないように配置されてもよい。
【0167】
また、第4実施形態において、撮像装置1は、実装基板3の表面3Aに配置される電子部品8を備えている。電子部品8は、撮像チップ2の周囲の少なくとも一部に配置される。
【0168】
なお、第4実施形態において、実装基板3の内部に電子部品5が配置されなくてもよい。なお、第4実施形態において、表面3Aに電子部品8が配置されなくてもよい。
【0169】
図19及び
図20に示すように、第4実施形態において、撮像装置1は、実装基板3の裏面3Bに対向するように配置され、撮像チップ2の温度変化を抑制するための抑制部材4を備えている。抑制部材4は、プレート状であり、実装基板3の裏面3Bが対向する表面4Aと、表面4Aの反対方向を向く裏面4Bとを有する。第4実施形態において、実装基板3の裏面3Bと、抑制部材4の表面4Aとは、接触する。なお、裏面3Bと表面4Aの少なくとも一部とが離れてもよい。第4実施形態において、実装基板3の外形と、抑制部材4の外形とは、実質的に等しい。なお、抑制部材4が、実装基板3の外形よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。なお、抑制部材4が、実装基板3に対して複数配置されてもよい。換言すれば、実装基板3の裏面3Bの複数の領域と対向するように、複数の抑制部材4が配置されてもよい。また、抑制部材4は、ブロック状でもよい。換言すれば、X軸方向に関する抑制部材4の寸法が、Y軸方向又はZ軸方向に関する抑制部材4の寸法よりも大きくてもよい。
【0170】
第4実施形態において、抑制部材4は、銅(Cu)によって形成される。なお、抑制部材4は、アルミニウム(Al)によって形成されてもよいし、ニッケル合金によって形成されてもよい。ニッケル合金は、例えば42アロイを含む。
【0171】
第4実施形態において、抑制部材4は、撮像チップ2の熱を放散するヒートシンクとして機能する。撮像チップ2が発する熱は、実装基板3を介して、抑制部材4から放散される。これにより、撮像チップ2が作動した場合、その撮像チップ2の温度上昇が抑制される。なお、抑制部材4は、電子部品5、8等の熱を放散することもできる。
【0172】
また、抑制部材4は、表面4A側の熱が裏面4B側に伝達することを抑制する。また、抑制部材4は、裏面4B側の熱が表面4A側に伝達することを抑制する。例えば、抑制部材4により、撮像チップ2(あるいは電子部品5,8等)の熱が、裏面4Bが面する空間に伝達することが抑制される。これにより、表面4A側に配置される撮像チップ2(あるいは電子部品5,8等)が熱を発しても、裏面4Bが面する空間に配置される部材(例えば電気回路、制御回路等)の温度変化(温度上昇)が抑制される。
【0173】
また、抑制部材4により、裏面4Bが面する空間に配置される部材(例えば電気回路、制御回路等)の熱が、表面4A側に配置されている撮像チップ2(あるいは電子部品5,8等)に伝達することが抑制される。これにより、裏面4Bが面する空間に配置される部材(例えば電気回路、制御回路等)が熱を発しても、表面4A側に配置されている撮像チップ2(あるいは電子部品5,8等)の温度変化(温度上昇)が抑制される。
【0174】
なお、抑制部材4は、省略されてもよい。例えば、撮像チップ2(あるいは電子部品5,8等)の熱が、実装基板3から放散されてもよい。また、抑制部材4を省略した場合において、実装基板3の裏面3Bが面する空間に熱を発する部材(例えば電気回路、制御回路等)が配置される場合、その部材の熱が、実装基板3から放散されてもよい。また、実装基板3は、表面3A側の熱が裏面3B側に伝達することを抑制できるし、裏面3B側の熱が表面3A側に伝達することを抑制することができる。
【0175】
また、第4実施形態において、撮像装置1は、少なくとも一部が実装基板3に配置され、実装基板3と支持部材100との位置合わせをするためのアライメント部6を備える。アライメント部6は、実装基板3に配置された開口61と、抑制部材4に配置された開口62とを含む。なお、抑制部材4が省略される場合、アライメント部6は、開口61を含み、開口62を含まない。
【0176】
第4実施形態において、アライメント部6は、撮像チップ2の周囲に、2つ配置される。なお、アライメント部6は、撮像チップ2の周囲に1つ配置されてもよいし、3つ以上の任意の数だけ配置されてもよい。
【0177】
第4実施形態において、アライメント部6(開口61、62)に、支持部材100の突起部101が配置される。支持部材100の突起部101が開口61、62に配置されることにより、実装基板3と支持部材100とが位置合わせされる。また、アライメント部6によって、実装基板3に実装された撮像チップ2と支持部材100とが位置合わせされる。
【0178】
なお、アライメント部6が、実装基板3及び抑制部材4の少なくとも一方に配置された突起部を含んでもよい。その突起部が支持部材100に形成された開口に配置されることにより、実装基板3(撮像チップ2)と支持部材100とが位置合わせされる。
【0179】
また、撮像装置1は、実装基板3を支持部材100に固定するとともに、実装基板3に実装された撮像チップ2と支持部材100との位置を調整可能な調整機構7を備えている。
図19及び
図20に示す例では、調整機構7は、撮像チップ2の表面2AとYZ平面とが実質的に平行となるように、実装基板3を支持部材100に固定する。
【0180】
第4実施形態において、調整機構7は、実装基板3に形成された開口71と、抑制部材4に形成された開口72と、開口71、72に少なくとも一部が配置可能な固定部材70とを有する。
【0181】
アライメント部6によって実装基板3及び抑制部材4と支持部材100とが位置合わせされると、開口71の位置と開口72の位置とは一致する。固定部材70は、ロッド状であり、固定部材70の少なくとも一部は、位置が一致している開口71、72に配置可能である。
【0182】
第4実施形態において、固定部材70は、雄ねじ部材を含む。固定部材70は、雄ねじ溝が形成されたロッド部70Lと、ロッド部70Lの一端に配置されたフランジ部70Fとを有する。支持部材100には、雌ねじ溝が形成された孔100Hが形成される。ロッド部70Lは、支持部材100の孔100Hに配置可能である。
【0183】
第4実施形態において、開口71、72は、撮像チップ2の周囲において、3つ配置される。固定部材70、及び支持部材100の孔100Hも、開口71、72に対応するように、3つ配置される。なお、開口71、72、固定部材70、及び支持部材100の孔100Hが、2つ配置されてもよいし、4つ以上の任意の複数だけ配置されてもよい。なお、開口71、72、固定部材70、及び支持部材100の孔100Hは、1つでもよい。
【0184】
固定部材70が開口71、72に配置された状態で、固定部材70のロッド部70Lを支持部材100の孔100Hにねじ込むことによって、実装基板3及び抑制部材4が支持部材100に固定される。また、固定部材70のねじ込み量を調整することによって、実装基板3(実装基板3に実装された撮像チップ2)と支持部材100との位置が調整される。例えば、固定部材70のねじ込み量を調整することによって、X軸方向に関する実装基板3(撮像チップ2)の位置が調整される。また、複数の固定部材70のねじ込み量のそれぞれを調整することによって、θY、及びθZ方向に関する実装基板3(撮像チップ2)の位置が調整される。
【0185】
また、撮像装置1は、少なくとも一部が実装基板3の表面3Aに支持され、実装基板3との間において撮像チップ2が配置される空間を形成するカバー部材9を備えている。第4実施形態において、カバー部材9は、撮像チップ2の周囲に配置される環囲部材としての環囲部材92と、環囲部材92に支持される光学素子91とを有する。光学素子91は、撮像チップ2の表面2Aと対向するように配置される。被写体からの光は、光学素子91を介して、撮像チップ2の表面2Aに入射する。光学素子91は、カバーガラスであってよい。カバーガラスは、ガラスプレートであってよい。
【0186】
図24は、第4実施形態に係る撮像装置1を備える電子カメラ200の一例を示す図である。第4実施形態において、撮像装置1は、電子カメラ200のボディ100Bに固定される。調整機構7の固定部材70は、実装基板3をボディ100Bに固定する。調整機構7は、撮像チップ2とボディ100Bとの位置を調整することができる。また、調整機構7は、撮像チップ2と、電子カメラ200のレンズ200Lとの位置を調整することができる。例えば、調整機構7は、レンズ200Lの光軸に対する撮像チップ2の表面2Aの位置を調整することができる。
【0187】
図25は、第4実施形態に係る撮像装置1を備える情報端末300の一例を示す図である。
図25において、情報端末300は、表示部300Aと、撮像装置1を収容するハウジング300Bとを有する。また、情報端末300は、レンズ300Lを含み、被写体からの光は、レンズ300Lを介して、撮像装置1に入射する。撮像装置1は、レンズ300Lを介して、被写体の画像(光学像)を取得する。
【0188】
なお、撮像装置1が搭載される電子機器は、電子カメラ、情報端末のみならず、パーソナルコンピュータ、携帯電話等でもよい。
【0189】
以上説明したように、第4実施形態によれば、撮像チップ2を実装基板3に実装するようにしたので、撮像装置1の大型化を抑制することができる。例えば、撮像チップをパッケージ内に封入する構成の場合、そのパッケージをさらに支持基板で支持する必要がある等、撮像装置が大型化する可能性がある。第4実施形態によれば、撮像チップ2を実装基板3に直接実装することによって、撮像装置1の小型化を実現できる。また、第4実施形態によれば、撮像チップ2をパッケージ内に封入することなく、撮像装置1を製造できる。また、第4実施形態によれば、実装基板3を支持部材100(例えば電子カメラ200のボディ100B)に直接固定することができる。したがって、製造コストが低減される。
【0190】
また、第4実施形態によれば、実装基板3として、強度が高いメタル層を有する配線板を使用するので、撮像チップ2が大型化しても、その大型の撮像チップ2を強度が高い実装基板3で良好に支持することができる。また、実装基板3の強度が高いため、その実装基板3を支持部材100(ボディ100B等)に固定した場合、その支持部材100(ボディ100B等)の強度の向上にも寄与できる。また、実装基板3をボディ100Bの一部として使用することもできる。また、実装基板3の強度が高いため、その実装基板3に、別の部材や機構(例えば電子カメラ100Dのシャッタ機構の少なくとも一部)を取り付けることができる。
【0191】
また、第4実施形態によれば、撮像チップ2を実装基板3に直接固定するため、配線(回路部)の長さを短くすることができる。したがって、撮像装置1の電気特性の低下が抑制される。
【0192】
また、第4実施形態において、実装基板3の内部に電子部品5を配置(内蔵)することにより、撮像装置1の高密度化、小型化が実現される。また、撮像チップ2と電子部品5との距離が短くなるため、撮像装置1の電気特性の低下が抑制される。
【0193】
また、第4実施形態によれば、メタル層を有する配線板を含む実装基板3によって、撮像チップ2の温度変化を抑制できる。また、抑制部材4を設けた場合、撮像チップ2の温度変化をより一層抑制できる。したがって、撮像装置1の性能の低下が抑制される。
【0194】
撮像装置が大型化すると、その撮像装置が搭載される電子カメラ等の電子機器が大型化する可能性がある。その結果、電子機器の操作性が低下する可能性がある。しかし、第4実施形態によれば、そのような問題は小さくなる。
【0195】
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0196】
第1実施形態における光学素子106、第2実施形態における光学素子160、第3実施形態における光学素子132および第4実施形態における光学素子91は、互いに対応する要素である。第1実施形態における環囲部材105、第2実施形態における環囲部材140、第3実施形態における環囲部材131および第4実施形態における環囲部材92は、互いに対応する要素である。環囲部材は、撮像チップを環囲するフレームであってよい。フレームは、支持構造体であってよい。フレームは、少なくとも光学素子を支持する構造体であってよい。
【0197】
第1実施形態における実装基板105、第2実施形態における実装基板120、第3実施形態における構造体基板100および第4実施形態における実装基板3は、互いに対応する要素である。
【0198】
第1実施形態における樹脂層102、第2実施形態におけるプリプレグ層135、第3実施形態における樹脂層120および第4実施形態における絶縁層32は、互いに対応する要素である。第1実施形態における樹脂層102に形成された配線パターン、第2実施形態における配線パターン135、第3実施形態における回路パターンおよび第4実施形態における実装基板3が有する配線板は、互いに対応する要素である。
【0199】
第1実施形態における金属層103、金属層113、金属層123および金属層133、第2実施形態における芯層123、第3実施形態における金属層110ならびに第4実施形態における金属層31は、互いに対応する要素である。第1実施形態における金属層103、金属層113、金属層123および金属層133、第2実施形態における芯層123、第3実施形態における金属層110ならびに第4実施形態における金属層31は、他の2つの層に接して挟まれた中間層である。なお、第1実施形態における金属層103、金属層113、金属層123および金属層133、第2実施形態における芯層123、第3実施形態における金属層110ならびに第4実施形態における金属層31は、金属を含んで形成されるとしたが、金属を含まずに形成されてよい。例えば、樹脂で形成されてもよい。例えば、剛性の高い樹脂等の絶縁材料で形成される。樹脂で形成される場合、樹脂コアとみなせる。剛性の高い絶縁材料として例えばFR4を用いることができる。
【0200】
第1実施形態から第4実施形態において説明した各要素の構成は、任意の組み合わせで組み合わせて撮像ユニットまたは撮像装置等に適用できる。例えば、第1実施形態から第4実施形態において説明した各要素の構成は、任意の組み合わせで対応する要素に適用できる。
【0201】
図26は、第5実施形態の撮像ユニット90の構成を示す図である。撮像ユニット90は、撮像チップ6100と、実装基板6120と、撮像チップ6100を環囲する環囲部材6140と、光学素子6160とを含んで構成される。実装基板6120は、絶縁層6136aと、絶縁層6136bと、絶縁層6136cと、絶縁層6136dと、絶縁層6136eと、第1金属層6135と、第2金属層6123と、第3金属層6190a、第4金属層6190bとを有する。
【0202】
撮像ユニット90において光学素子6160は、第1実施形態における光学素子106、第2実施形態における光学素子160、第3実施形態における光学素子132、第4実施形態における光学素子91に対応する。
【0203】
環囲部材6140は、第1実施形態における環囲部材105、第2実施形態における環囲部材140、第3実施形態における環囲部材131、第4実施形態における環囲部材92等に対応する。
【0204】
実装基板6120は、第1実施形態における実装基板105、第2実施形態における実装基板120、第3実施形態における構造体基板100、第4実施形態における実装基板3等に対応する。
【0205】
絶縁層6136a、絶縁層6136b、絶縁層6136c、絶縁層6136d及び絶縁層6136eは、例えば樹脂層である。絶縁層6136a、絶縁層6136b、絶縁層6136c、絶縁層6136d及び絶縁層6136eは、第1実施形態における樹脂層102、第2実施形態におけるプリプレグ層135、第3実施形態における樹脂層120、第4実施形態における絶縁層32等に対応する。
【0206】
第1金属層6135は、例えば配線層である。第1金属層6135は、第1実施形態における樹脂層102に形成された配線パターン、第2実施形態における配線パターン135、第3実施形態における回路パターン、第4実施形態における実装基板3が有する配線板等に対応する。
【0207】
第2金属層6123は、中間層の一例である。第2金属層6123は、芯層の一例である。第2金属層6123は、第1実施形態における金属層103、金属層113、金属層123および金属層133、第2実施形態における芯層123、第3実施形態における金属層110、第4実施形態における金属層31等に対応する。
【0208】
よって、撮像ユニット90が有する撮像チップ6100、環囲部材6140、光学素子6160、絶縁層6136a、絶縁層6136b、絶縁層6136c、絶縁層6136d、絶縁層6136e、第1金属層6135および第2金属層6123には、第1実施形態から第4実施形態における対応する要素が有する任意の構成と同様の構成を適用できるので、説明を省略する。
【0209】
実装基板6120において、光軸に沿って、撮像チップ6100、絶縁層6136a、第3金属層6190a、絶縁層6136b、第1金属層6135、絶縁層6136c、第2金属層6123、絶縁層6136d、第4金属層6190b、絶縁層6136eの順で配される。撮像チップ6100は、絶縁層6136a上に実装される。
【0210】
第3金属層6190aは、絶縁層6136aにおいて撮像チップ6100が実装された面と反対側の面に位置する。第3金属層6190aは、絶縁層6136aおよび絶縁層6136aに接して挟まれている。第1金属層6135は、絶縁層6136bおよび絶縁層6136cに接して挟まれている。第2金属層6123は、絶縁層6136cおよび絶縁層6136dに接して挟まれている。第3金属層6190bは、絶縁層6136dおよび絶縁層6136eに接して挟まれている。
【0211】
第3金属層6190aの材料としては、銅、ニッケル合金、鉄、アルミニウム等が挙げられる。第3金属層6190aは、一例として厚銅層である。第3金属層6190aは、実質的に金属性の平板であってよい。第3金属層6190aは、接地として使用されてよい。第3金属層6190aは、配線として使用されてもよい。第4金属層6190bの材料としては、銅、ニッケル合金、鉄、アルミニウム等が挙げられる。第4金属層6190bは、一例として厚銅層である。第4金属層6190bは、実質的に金属性の平板であってよい。第4金属層6190bは、接地として使用されてよい。第4金属層6190bは、配線として使用されてもよい。
【0212】
実装基板6120においては、第3金属層6190a及び第4金属層6190bが設けるようにしたが、第3金属層6190a及び第4金属層6190bのいずれかの金属層だけを設けるようにしてもよい。第3金属層6190aだけを設ける場合、第3金属層6190aは、第2金属層6123より撮像チップ6100側に設けるようにしてもよい。第3金属層6190aは、第2金属層6123より撮像チップ6100側であり、かつ、第1金属層6135より撮像チップ6100側に設けるようにしてもよい。第3金属層6190aは、実装基板6120に設けられる金属層のうち最も撮像チップ6100側に設けるようにしてもよい。第3金属層6190aを撮像チップ6100のより近傍に設けることで、実装基板6120は、撮像チップ6100を実装する実装面の平面性を向上することができる。さらに、実装基板6120に実装される撮像チップ6100の平坦性を確保することができる。
【0213】
実装基板6120においては、第3金属層6190a及び第4金属層6190bに加えて、第3金属層6190a及び第4金属層6190bと同様の剛性を有する金属層を1つ以上設けるようにしてもよい。これにより、実装基板6120は、撮像チップ6100を実装する実装面の平面性を向上することができる。さらに、実装基板6120に実装される撮像チップ6100の平坦性を確保することができる。
【0214】
実装基板6120においては、第3金属層6190a及び第4金属層6190bに加えて、第3金属層6190a及び第4金属層6190bと同様の厚みを有する金属層を1つ以上設けるようにしてもよい。これにより、実装基板6120は、撮像チップ6100を実装する実装面の平面性を向上することができる。さらに、実装基板6120に実装される撮像チップ6100の平坦性を確保することができる。
【0215】
第2金属層6123は、第3金属層6190aより剛性が高い。第2金属層6123は、第4金属層6190bより剛性が高い。第2金属層6123は、実装基板6120に含まれる層のいずれよりも剛性が高い。第2金属層6123は、接地として使用されてよい。第2金属層6123は、配線として使用されてよい。
【0216】
絶縁層6136の厚みは、30μm〜40μm程度である。第1金属層6135の厚みは、30μm〜40μm程度である。第3金属層6190aの厚みは、30μm〜50μm程度である。第4金属層6190bの厚みは、30μm〜50μm程度である。第2金属層6123の厚みは、100μm〜400μm程度である。例えば、第2金属層6123が金属で形成される場合、第2金属層6123の厚みは100μm〜400μm程度である。第2金属層6123の厚みは、第3金属層6190aより厚い。第2金属層6123の厚みは、第4金属層6190bより厚い。第2金属層6123の厚みは、実装基板6120に含まれる層のうち厚みが最も厚い。
【0217】
第2金属層6123は、第3金属層6190aの厚みの少なくとも2倍の厚みを有する。第2金属層6123は、第3金属層6190aの厚みの10倍以上であってよい。第3金属層6190aの厚みは、第1金属層6135の厚みより厚くてよい。第3金属層6190aの厚みは、絶縁層6136a、絶縁層6136b、絶縁層6136c、絶縁層6136d及び絶縁層6136eいずれの厚みより厚くてよい。第4金属層6190bの厚みは、第1金属層6135の厚みより厚くてよい。第4金属層6190bの厚みは、絶縁層6136a、絶縁層6136b、絶縁層6136c、絶縁層6136d及び絶縁層6136eいずれの厚みより厚くてよい。実装基板6120の厚みは、0.8mm〜3mm程度であってよい。実装基板6120の厚みは、第2金属層6123の厚みの倍以上であってよい。実装基板6120の厚みは、第2金属層6123の厚みの3倍以下であってよい。
【0218】
実装基板6120においては、第1金属層6135に加えて、第1金属層6135と同様の剛性を有する金属層を1つ以上設けるようにしてもよい。この場合、当該金属層は、第2金属層6123に対して撮像チップ6100側に設けるようにしてもよいし、第2金属層6123に対して撮像チップ6100の反対側に設けるようにしてもよい。実装基板6120においては、第1金属層6135を設けなくてもよい。この場合、第1金属層6135と同様の剛性を有する金属層を1つ以上、第2金属層6123に対して撮像チップ6100の反対側に設けるようにしてもよい。
【0219】
なお、第2金属層6123に代えて中間層を樹脂で形成してもよい。第2金属層6123に代えて中間層を樹脂で形成した場合、中間層の厚みは200μm〜400μm程度である。第2金属層6123に代えて中間層を樹脂で形成した場合、実装基板6120において、中間層は、複数の金属層に接して挟まれるようにしてもよいし、複数の樹脂層に接して挟まれるようにしてもよいし、金属層及び樹脂層に接して挟まれるようにしてもよい。
【0220】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。上記の各実施形態相互の間において互いに対応する要素に同一の符号が付されている場合があるが、互いに対応する要素に同一の符号が付されていない場合もあるし、同一の符号が付されている要素が互いに対応する要素ではない場合もある。
【0221】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。