(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンデンサは、前記第1配線と前記第1電極とが前記第1スイッチにより接続され、前記フィールドスルー電圧が供給される前記第2配線と前記第2電極とが前記第2スイッチにより接続される第1状態と、前記第1配線と前記第1電極とが前記第1スイッチにより接続されず、前記信号電圧が供給される前記第2配線と前記第2電極とが前記第2スイッチにより接続される第2状態と、を有し、
前記出力部は、前記第1状態および前記第2状態の少なくとも一方における前記第1電極の電圧を出力する、請求項1に記載の撮像素子。
前記コンデンサは、前記第1配線と前記第1電極とが前記第1スイッチにより接続された前記第1状態から、前記第1配線と前記第1電極との接続が前記第1スイッチにより切られた前記第2状態へ遷移する、請求項2に記載の撮像素子。
前記コンデンサは、前記第1状態における前記第1電極と前記第2電極との間の電圧を維持したまま、前記第1状態から前記第2状態へ遷移する、請求項2または3に記載の撮像素子。
前記第2電極は、前記第2状態において、前記第1配線と前記第1電極との接続が前記第1スイッチにより切られてから、前記信号電圧が印加される、請求項2から6のいずれか1項に記載の撮像素子。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、一つの実施形態に係る撮像素子100の概要を示す図である。撮像素子100は、複数の画素202が配列される受光部200と、順次選択される画素202の画素値を読み出す読み出し部210を備える。複数の画素202は、それぞれフォトダイオード等の光電素子を有しており、受光量に応じて電荷を蓄積する。本例の読み出し部210は、各画素202が蓄積した電荷量を読み出し、各画素202の画素値を算出する。
【0010】
本例における複数の画素202は、行列状に配列される。つまり、複数の画素202が複数の行および複数の列に沿って配置される。本明細書では、行方向をx軸方向とし、列方向をy軸方向として図示している。また、本例の読み出し部210は、画素値を読み出す画素202を行単位で選択する。本例の読み出し部210は、選択した行に属する画素202の画素値を同時に読み出す。
【0011】
図2は、受光部200および読み出し部210の概要を示す図である。本例の受光部200は、行列状に配列された複数の画素202を有する。
図2においては、一部の画素202を示しており、他の画素202を省略する。
【0012】
一つの列に含まれる複数の画素202は、共通の読み出し線204に接続される。読み出し線204は、選択された画素202における出力値を順番に読み出し部210に伝送する。また、一つの行に含まれる複数の画素202は、共通の制御線206に接続される。制御線206は、画素202が蓄積した電荷量をリセットするリセットタイミング、および、画素202の画素値を読み出し線204に出力する読み出しタイミング等の画素202の動作を制御する。
【0013】
読み出し部210は、複数のAD変換器212および複数のCDS部216を有する。AD変換器212およびCDS部216は、画素202の列毎に設けられる。それぞれのAD変換器212は、対応する読み出し線204に接続される。AD変換器212は、対応する複数の画素202のうち、選択された画素202の出力値を取り込み、デジタル値に変換する。
【0014】
CDS部216は、対応するAD変換器212の出力に基づいて、対応する画素202の出力値を相関二重サンプリングした結果を生成する。例えばAD変換器212は、画素202におけるフィードスルー電圧と、信号電圧とを順次検出する。CDS部216は、対応するAD変換器212が検出したフィードスルー電圧と、信号電圧との差分を、当該画素202における画素値として算出する。読み出し部210は、CDS部216が算出した画素値を保存するメモリを有してよい。
【0015】
なお、
図2においては受光部200の下側に読み出し部210が配置されているが、読み出し部210の位置は受光部200の下側に限定されない。読み出し部210は、受光部200と同一層において、受光部200の四方に分散して設けられてよい。また、読み出し部210は、受光部200と異なる層に設けられてもよい。
【0016】
図3は、第1実施例に係る画素202の構成例を示す図である。但し
図3では、
図2における2つ分の画素202を示している。当該2つの画素202は、同一の列に含まれる。それぞれの画素202は、光電素子214および選択トランジスタ61を個別に有する。光電素子214は、受光量に応じた電荷を蓄積する。選択トランジスタ61は、対応する光電素子214のカソードに接続され、光電素子214が蓄積した電荷量に応じた電圧を出力するか否かを切り替える。選択トランジスタ61は、制御線206から与えられる画素選択信号により制御される。
【0017】
それぞれの画素202は、リセットトランジスタ59、増幅トランジスタ60、接地側トランジスタ65、第1トランジスタ78、第2トランジスタ63、増幅トランジスタ66、転送トランジスタ64、および、コンデンサ10を、共通に有する。共通に設けられるトランジスタは、コンデンサ10の状態(両極にどのような電圧が印加されるかを示す状態)を制御するスイッチ部として機能する。本例の画素202は、それぞれの光電素子214の出力におけるフィードスルー電圧および信号電圧を、一つのコンデンサ10により順番に保持する。これにより、各画素202にCDS用の回路を設けつつ、各画素202のCDS用回路の面積を低減することができる。また、共通のコンデンサ10でフィードスルー電圧および信号電圧を保持するので、精度よく画素値を検出することができる。
【0018】
リセットトランジスタ59は、それぞれの選択トランジスタ61を介して光電素子214に接続される。リセットトランジスタ59は、光電素子214のカソードを、基準電圧VCCに接続するか否かを切り替える。リセットトランジスタ59は、制御線206から与えられるリセット信号RSTにより制御される。
【0019】
増幅トランジスタ60のゲートは、それぞれの選択トランジスタ61を介して光電素子214に接続される。増幅トランジスタ60は、選択トランジスタ61により選択された光電素子214が出力する電圧を増幅する。増幅トランジスタ60は、基準電圧VCCおよび接地電位との間に設けられる。増幅トランジスタ60と接地電位との間には、接地側トランジスタ65が設けられる。
【0020】
コンデンサ10は、光電素子214に蓄積された電荷量に応じた電圧で充放電される。本例のコンデンサ10は、3つの電極を有する3端子コンデンサである。第1電極と第2電極が対向して配置され、第2電極と第3電極が対向して配置される。コンデンサ10の第1電極は、第1トランジスタ78を介して基準電圧VCCに接続される。第1トランジスタ78は、第1電極に基準電圧を印加するか否かを切り替える第1スイッチとして機能する。また、コンデンサ10の第2電極は、第2トランジスタ63を介して、増幅トランジスタ60の出力端に接続される。第2トランジスタ63は、第2電極に光電素子214の出力(本例では、増幅トランジスタ60により増幅された出力)を接続するか否かを切り替える第2スイッチとして機能する。第1トランジスタ78および第2トランジスタ63は、制御線206から与えられる第1制御信号SH1および第2制御信号SH2により制御される。コンデンサ10の第3電極は、基準電位に接続される。第2電極と第3電極との間の容量により、基準電位に対する第2電極の電位が維持される。コンデンサ10は、同一位置に3つの電極を重ねて形成される。これにより、2端子のコンデンサに比べて、面積は増大しない。また、コンデンサ10は、点Bおよび点C間に設けられた2端子コンデンサと、点Bおよび基準電位間に設けられた2端子コンデンサとから構成されてもよい。
【0021】
増幅トランジスタ66は、コンデンサ10の第1電極における電圧を増幅して出力する。転送トランジスタ64は、増幅トランジスタ66が出力する電圧を、読み出し線204に転送するか否かを切り替える転送部として機能する。転送トランジスタ64は、制御線206から与えられる行選択信号SELにより制御される。
【0022】
読み出し部210は、制御線206に伝送する各信号を制御することで、コンデンサ10の状態を、第2電極にフィードスルー電圧が印加される第1状態と、第2電極に信号電圧が印加される第2状態とに順番に遷移させる。読み出し部210は、少なくとも第2状態において転送トランジスタ64をオンにして、コンデンサ10の第1電極の電圧レベルを読み出し部210に転送させる。読み出し部210は、転送された電圧レベルに基づいて、画素値を算出する。
【0023】
図4は、
図3に示した画素202の動作例を示すタイミングチャートである。
図4においては、
図3に示すように増幅トランジスタ60の出力端に対応する点A、コンデンサ10の第2電極に対応する点B、コンデンサ10の第1電極に対応する点Cのそれぞれにおける信号波形を示す。
【0024】
まず、光電素子214−1の出力を読み出す。このとき、リセット信号RSTがHレベルとなり、リセットトランジスタ59がオン状態となる。また、選択トランジスタ61−1はオン状態に制御される。これにより、光電素子214−1のカソード電圧がリセットされ、点Aにおける電圧は基準電圧VCCとなる。なお、増幅トランジスタ60および66における増幅率は1とする。
【0025】
リセットしてから所定の時間が経過すると、点Aにおける電圧はフィードスルー電圧Vftとなる。読み出し部210は、リセット信号RSTを入力して所定の時間が経過してから、第1制御信号SH1および第2制御信号SH2をHレベルにする。これにより、第1トランジスタ78および第2トランジスタ63は共にオン状態となる。このとき、コンデンサ10の第1電極(点C)には基準電圧VCCが印加され、第2電極(点B)にはフィードスルー電圧Vftが印加される(第1状態)。
【0026】
次に、第1制御信号SH1および第2制御信号SH2をLレベルにする。これにより、コンデンサ10の第1電極はフローティング状態となり、コンデンサ10の電極間電圧が維持される。そして、光電素子214−1における当該フレームの受光が終了するタイミングで、点Aにおける電圧は、光電素子214−1における蓄積電荷量に応じた電圧sig1に応じた電圧となる。具体的には、フィードスルー電圧Vftから電圧sig1だけ下がった電圧となる。
【0027】
そして、第1制御信号SH1をLレベルに維持しつつ、第2制御信号SH2をHレベルにする。これにより、第2トランジスタ63はオン状態となる(第2状態)。コンデンサ10が第2状態に遷移するとき、第1制御信号SH1がLレベルに維持されているので、第1電極はフローティング状態となる。これにより、第1状態におけるコンデンサ10の電極間電圧を維持しつつ、光電素子214−1が出力する信号電圧が第2電極に印加される。第2電極の電圧が、第1状態に比べて電圧sig1だけ低下するので、第1電極の電圧も、第1状態に比べて電圧sig1だけ低下する。
【0028】
読み出し部210は、少なくとも第2状態において、第1電極(点C)の電圧を読み出す。なお、第1状態における第1電極の電圧は、基準電圧VCCであるので、当該基準電圧が既知である場合、読み出し部210は、第1状態における第1電極の電圧を読み出さなくともよい。この場合、読み出し部210は、既知の基準電圧VCCから、第2状態における第1電極の電圧を減算することで、電圧sig1を検出する。読み出し部210は、当該既知の基準電圧VCCの値を、撮像素子100の温度等に応じて補正してもよい。なお、読み出し部210は、第1状態および第2状態のそれぞれにおいて、第1電極(点C)の電圧を読み出して、差分を算出してもよい。これにより、光電素子214−1における蓄積電荷量に応じた電圧sig1、すなわち画素値を算出する。
【0029】
次に、光電素子214−2の出力を読み出す。このとき、リセット信号RSTがHレベルとなり、リセットトランジスタ59がオン状態となる。また、選択トランジスタ61−2はオン状態に制御される。これにより、光電素子214−2のカソード電圧がリセットされ、点Aにおける電圧は基準電圧VCCとなる。以降の動作は、光電素子214−1の場合と同様である。読み出し部210は、第2状態において読み出した電圧により、光電素子214−2における蓄積電荷量に応じた電圧sig2を算出する。
【0030】
このような構成および動作により、一つのコンデンサ10を用いて、光電素子214の出力を相関二重サンプリングすることができる。このため、回路面積を低減することができ、また、コンデンサのバラツキによる誤差を無くすことができる。また、本実施例においては、2つの光電素子214で一つのコンデンサ10および周辺のスイッチ部を共有するので、更に回路面積を低減することができる。
【0031】
なお、コンデンサ10およびスイッチ部は、それぞれの光電素子214に対応して設けられる。但し、
図3に示したように、複数の光電素子214に対して一組のコンデンサ10およびスイッチ部が共通に設けられてよく、一つの光電素子214に対して一組のコンデンサ10およびスイッチ部が設けられてもよい。スイッチ部は、コンデンサ10毎に設けられる。コンデンサ10が2以上の光電素子214に共有される場合、コンデンサ10は、それぞれの光電素子214の出力値を順番に保持する。また、複数のコンデンサ10は、対応する光電素子214の出力値を同時に保持する。
【0032】
図5は、第2実施例に係る画素202の構成例を示す図である。第2実施例に係る画素202は、第2トランジスタ63(63−1、63−2)を2つ有する。また、
図5においては、一つの光電素子214に対して一組のコンデンサ10およびスイッチ部を設ける例を示すが、
図3に示した例と同様に、2以上の光電素子214に対して、一組のコンデンサ10およびスイッチ部を設けてもよい。
【0033】
本例の画素202においては、コンデンサ10の第2電極と、増幅トランジスタ60の出力端との間に、2つの第2トランジスタ63−1、63−2が互いに並列に設けられる。また、第1トランジスタ78および第2トランジスタ63−1のゲートに、第1制御信号SH1が共通に印加され、第2トランジスタ63−2のゲートに、第2制御信号SH2が印加される。他の構成は、
図3に示した第1実施形態に係る画素202と同一である。
【0034】
図6は、
図5に示した画素202の動作例を示すタイミングチャートである。本例の画素202に対しては、第1状態(点Aの電圧は、フィードスルー電圧を示す)において、第1制御信号SH1のみがHレベルとなり、第2制御信号SH2はLレベルとなる。
【0035】
本例においては、第1制御信号SH1が、第1トランジスタ78および第2トランジスタ63−1に共通に印加される。このため、第1状態において、第1トランジスタ78および第2トランジスタ63−1がオン状態となる。従って、点Bにおける電圧はフィードスルー電圧Vft、第Cにおける電圧は基準電圧VCCとなる。
【0036】
第2状態(点Aの電圧は信号電圧を示す)においては、第2制御信号SH2がHレベルとなり、第1制御信号SH1はLレベルとなる。このため、第1トランジスタ78がオフ、第2トランジスタ63−2がオンとなる。従って、点Bにおける電圧が蓄積電荷量(電圧sig)に応じて低下し、これに伴い、点Cにおける電圧も電圧sigに応じて低下する。他の動作は、
図4に示したタイミングチャートと同様である。
【0037】
このような構成および動作によっても、一つのコンデンサ10を用いて、光電素子214の出力を相関二重サンプリングすることができる。このため、回路面積を低減することができ、また、コンデンサのバラツキによる誤差を無くすことができる。また、複数のコンデンサ10は、対応する光電素子214の出力値を同時に保持する。また、それぞれの光電素子214が蓄積した電荷は、同時にリセットされてよい。つまり、撮像素子100は、それぞれの光電素子214における電荷のリセットタイミングと、蓄積した電荷量に応じた電圧をコンデンサ10に保持する保持タイミングとが同時となるグローバルシャッター方式で動作することができる。
【0038】
図7は、第3実施例に係る画素202の構成例を示す図である。なお、
図7においては、一つの光電素子214に対して一組のコンデンサ10およびスイッチ部を設ける例を示すが、
図3に示した例と同様に、2以上の光電素子214に対して、一組のコンデンサ10およびスイッチ部を設けてもよい。
【0039】
第3実施例に係る画素202は、第1トランジスタ78が、コンデンサ10と並列に設けられる。つまり、第1トランジスタ78のソースおよびドレインが、コンデンサ10の対応する電極に接続される。第1トランジスタ78は、コンデンサ10の第1電極および第2電極を接続するか否かを切り替える。なお本例においては、コンデンサ10の第1電極に印加する基準電圧として、フィードスルー電圧Vftを用いる。他の構成は、
図3に示した第1実施形態に係る画素202と同一である。
【0040】
図8は、
図7に示した画素202の動作例を示すタイミングチャートである。本例におけるリセット信号、第1制御信号SH1および第2制御信号SH2は、
図4に示した第1実施形態におけるリセット信号、第1制御信号SH1および第2制御信号SH2と同一である。
【0041】
本例では、第1トランジスタ78がコンデンサ10と並列に設けられる。このため、第1状態において、コンデンサ10の第1電極(点C)には、フィードスルー電圧Vftが印加される。他の動作は、
図4に示した第1実施形態と同一である。
【0042】
このような構成および動作によっても、一つのコンデンサ10を用いて、光電素子214の出力を相関二重サンプリングすることができる。このため、回路面積を低減することができ、また、コンデンサのバラツキによる誤差を無くすことができる。
【0043】
図9は、撮像素子100の断面の一例を示す図である。本例では、裏面照射型の撮像素子100を示すが、撮像素子100は裏面照射型に限定されない。また、本例では積層型の撮像素子100を示すが、撮像素子100は積層型でなくともよい。本例の撮像素子100は、入射光に対応した信号を出力する撮像チップ113と、撮像チップ113からの信号を処理する信号処理チップ111と、信号処理チップ111が処理した画像データを記憶するメモリチップ112とを備える。これら撮像チップ113、信号処理チップ111およびメモリチップ112は積層されており、Cu等の導電性を有するバンプ109により互いに電気的に接続される。
【0044】
なお、図示するように、入射光は主に白抜き矢印で示す方向へ入射する。本実施形態においては、撮像チップ113において、入射光が入射する側の面を裏面と称する。撮像チップ113の一例は、裏面照射型のMOSイメージセンサである。撮像チップ113は、受光部200に対応する。PD(フォトダイオード)層106は、配線層108の裏面側に配されている。PD層106は、二次元的に配され、入射光に応じた電荷を蓄積する複数のPD部104、および、PD部104に対応して設けられたトランジスタ105を有する。本例では、一つの画素202に、一つのPD部104が設けられる。また、トランジスタ105は、
図3、5、7において説明した各トランジスタに対応してよい。
【0045】
また、一部のトランジスタが撮像チップ113に設けられ、他のトランジスタが信号処理チップ111に設けられてもよい。これにより、撮像チップ113に設けられるトランジスタの数を低減して、受光領域を大きくすることができる。例えば、
図3、5、7において説明したリセットトランジスタ59、増幅トランジスタ60および選択トランジスタ61が、トランジスタ105として撮像チップ113に設けられ、他のトランジスタが信号処理チップ111に設けられる。また、コンデンサ10は、信号処理チップ111に設けられる。
【0046】
PD層106における入射光の入射側にはパッシベーション膜103を介してカラーフィルタ102が設けられる。カラーフィルタ102は、互いに異なる波長領域を透過する複数の種類を有しており、PD部104のそれぞれに対応して特定の配列を有している。カラーフィルタ102の配列については後述する。カラーフィルタ102、PD部104および複数のトランジスタ105の組が一つの画素202を形成する。複数のトランジスタ105のオンオフを制御することで、各画素202の読み出しタイミング、受光開始タイミング(リセットタイミング)等を制御する。
【0047】
カラーフィルタ102における入射光の入射側には、それぞれの画素に対応して、マイクロレンズ101が設けられる。マイクロレンズ101は、対応するPD部104へ向けて入射光を集光する。
【0048】
配線層108は、PD層106からの信号を信号処理チップ111に伝送する配線107を有する。配線107は、
図2等に示した読み出し線204および制御線206に対応する。配線107は多層であってもよく、また、受動素子および能動素子が設けられてもよい。本例の信号処理チップ111は、読み出し部210を含む。
【0049】
配線層108の表面には複数のバンプ109が配される。当該複数のバンプ109が信号処理チップ111の対向する面に設けられた複数のバンプ109と位置合わせされて、撮像チップ113と信号処理チップ111とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。
【0050】
同様に、信号処理チップ111およびメモリチップ112の互いに対向する面には、複数のバンプ109が配される。これらのバンプ109が互いに位置合わせされて、信号処理チップ111とメモリチップ112とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。
【0051】
なお、バンプ109間の接合には、固相拡散によるCuバンプ接合に限らず、はんだ溶融によるマイクロバンプ結合を採用してもよい。また、バンプ109は、後述する一つの単位ブロックに対して一つ程度設ければよい。したがって、バンプ109の大きさは、PD部104のピッチよりも大きくてもよい。また、画素が配列された撮像領域以外の周辺領域において、撮像領域に対応するバンプ109よりも大きなバンプを併せて設けてもよい。
【0052】
信号処理チップ111は、表裏面にそれぞれ設けられた回路を互いに接続するTSV(シリコン貫通電極)110を有する。TSV110は、周辺領域に設けられることが好ましい。また、TSV110は、撮像チップ113の周辺領域、メモリチップ112にも設けられてよい。
【0053】
図10は、一つの実施形態に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。撮像装置500は、撮影光学系としての撮影レンズ520を備え、撮影レンズ520は、光軸OAに沿って入射する被写体光束を撮像素子100へ導く。撮影レンズ520は、撮像装置500に対して着脱できる交換式レンズであっても構わない。撮像装置500は、撮像素子100、システム制御部501、駆動部502、測光部503、ワークメモリ504、記録部505、表示部506および駆動部514を主に備える。
【0054】
撮影レンズ520は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。なお、
図10では瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで当該撮影レンズ520を代表して表している。
【0055】
駆動部514は撮影レンズ520を駆動する。より具体的には駆動部514は撮影レンズ520の光学レンズ群を移動させて合焦位置を変更し、また、撮影レンズ520内の虹彩絞りを駆動して撮像素子100へ入射する被写体光束の光量を制御する。
【0056】
駆動部502は、システム制御部501からの指示に従って撮像素子100のタイミング制御、領域制御等の電荷蓄積制御を実行する制御回路である。駆動部502は、撮像素子100の受光部200および読み出し部210を、
図1から
図9に関連して説明したように動作させる。また、操作部508はレリーズボタン等により撮像者からの指示を受け付ける。
【0057】
撮像素子100は、
図1から
図9に関連して説明した撮像素子100と同一である。撮像素子100は、画素信号をシステム制御部501の画像処理部511へ引き渡す。画像処理部511は、ワークメモリ504をワークスペースとして種々の画像処理を施し、画像データを生成する。例えば、JPEGファイル形式の画像データを生成する場合は、ベイヤー配列で得られた信号からカラー映像信号を生成した後に圧縮処理を実行する。生成された画像データは、記録部505に記録されるとともに、表示信号に変換されて予め設定された時間の間、表示部506に表示される。
【0058】
測光部503は、画像データを生成する一連の撮影シーケンスに先立ち、シーンの輝度分布を検出する。測光部503は、例えば100万画素程度のAEセンサを含む。システム制御部501の演算部512は、測光部503の出力を受けてシーンの領域ごとの輝度を算出する。演算部512は、算出した輝度分布に従ってシャッタ速度、絞り値、ISO感度を決定する。測光部503は撮像素子100で兼用してもよい。なお、演算部512は、撮像装置500を動作させるための各種演算も実行する。駆動部502は、一部または全部が撮像素子100に搭載されてよい。システム制御部501の一部が撮像素子100に搭載されてもよい。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。