特許第6597788号(P6597788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許65977882−アミノ−4−置換フェノールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597788
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】2−アミノ−4−置換フェノールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 315/04 20060101AFI20191021BHJP
   C07C 317/36 20060101ALI20191021BHJP
   C07C 247/16 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   C07C315/04
   C07C317/36
   C07C247/16
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-547763(P2017-547763)
(86)(22)【出願日】2016年10月21日
(86)【国際出願番号】JP2016081220
(87)【国際公開番号】WO2017073468
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2019年3月18日
(31)【優先権主張番号】特願2015-214013(P2015-214013)
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】本田 祐太
【審査官】 伊藤 佑一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/104407(WO,A1)
【文献】 特表2003−501459(JP,A)
【文献】 特表平11−503110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩と式(2)
(式中、R2はC1−C6アルキル基を表し、mは0〜3のいずれかの整数を表す。)
で示される化合物とをプロトン酸の存在下で反応させることによる、式(3)
(式中、R1は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルキル基を表し、R2及びmは上記と同義である。)
で示される化合物の製造方法。
【請求項2】
プロトン酸が有機スルホン酸化合物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
プロトン酸がメタンスルホン酸である請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
1がC1−C3パーフルオロアルキル基である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
mが0である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩が式(1a1
(式中、R1は上記と同義であり、M1はナトリウム又はカリウムを表す)で示される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
1がトリフルオロメチル基である請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
式(4)
(式中、R2はC1−C6アルキル基を表し、mは0〜3のいずれかの整数を表す。)
で示される化合物をジアゾ化した後、アジ化して、式(2)
(式中、R2及びmは上記と同義である。)
で示される化合物を製造する工程を含む請求項1に記載の式(3)で示される化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬の製造中間体として有用な2−アミノ−4−置換フェノールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2−アミノ−4−置換フェノールは農薬の製造中間体として有用である。また、4−トリフルオロメチルスルホニルフェノールをニトロ化した後還元することにより、2−アミノ−4−トリフルオロメチルスルホニルフェノールを製造する方法が知られている(WO2014/104407参照)。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、2−アミノ−4−置換フェノールを製造する新たな方法を提供する。
本発明は、以下の通りである。
[1] 1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩と式(2)
【0004】
(式中、R2はC1−C6アルキル基を表し、mは0〜3のいずれかの整数を表す。)
で示される化合物(以下、化合物(2)と記載する)とをプロトン酸の存在下で反応させることによる、式(3)
【0005】
(式中、R1は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルキル基を表し、R2及びmは上記と同義である。)
で示される化合物(以下、化合物(3)と記載する)の製造方法。
[2] プロトン酸が有機スルホン酸化合物である[1]に記載の製造方法。
[3] プロトン酸がメタンスルホン酸である[1]に記載の製造方法。
[4] R1がC1−C3パーフルオロアルキル基である[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] mが0である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩が式(1a1
【0006】
(式中、R1は上記と同義であり、M1はナトリウム又はカリウムを表す)
で示される化合物である[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] R1がトリフルオロメチル基である[6]に記載の製造方法。
[8] 式(4)
【0007】
(式中、R2及びmは上記と同義である。)
で示される化合物をジアゾ化した後、アジ化して、式(2)
【0008】
(式中、R2及びmは上記と同義である。)
で示される化合物を製造する工程、及び
式(2)で示される化合物と1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩とをプロトン酸の存在下で反応させて、式(3)
【0009】
(式中、R1、R2及びmは上記と同義である。)
で示される化合物を製造する工程を含む式(3)で示される化合物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について説明する。
1及びR2のC1−C6アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、2−ペンチル基、ネオペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、ヘキシル基及び3−メチルペンチル基などの炭素原子数1〜6個のアルキル基が挙げられ、中でもC1−C3アルキル基が好ましい。
ハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
アルカリ金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムである。
プロトン酸である有機スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸が挙げられる。
1の好ましい態様はC1−C3パーフルオロアルキル基であり、具体的にはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0011】
化合物(3)は、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩と化合物(2)とを、プロトン酸の存在下で反応させることにより得られる。
【0012】
1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩において、塩は通常アルカリ金属塩又は亜鉛塩である。
【0013】
1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩のアルカリ金属塩は、式(1a)
【0014】
(式中、R1は上記と同義であり、Mはアルカリ金属を表す。)
で示され、亜鉛塩は式(1b)
【0015】
(式中、R1は上記と同義である。)
で示される。
【0016】
式(1a)で示されるスルフィン酸塩としては、例えば、メタンスルフィン酸ナトリウム、エタンスルフィン酸ナトリウム、プロパンスルフィン酸ナトリウム、イソプロパンスルフィン酸ナトリウム、ブタンスルフィン酸ナトリウム、sec−ブタンスルフィン酸ナトリウム、tert−ブタンスルフィン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルフィン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルフィン酸ナトリウム、ペンタフルオロエタンスルフィン酸カリウム、ヘプタフルオロプロパンスルフィン酸ナトリウム、ヘプタフルオロプロパンスルフィン酸カリウム、ノナフルオロブタンスルフィン酸ナトリウム、及びトリデカフルオロヘキサンスルフィン酸ナトリウムが挙げられる。式(1a)で示されるスルフィン酸塩は市販品を購入するか、又は例えばWO2011/108622に記載の方法に準じて合成することにより入手することができる。
【0017】
式(1b)で示されるスルフィン酸塩としては、例えばビス(トリフルオロメタンスルフィン酸)亜鉛、ビス(ペンタフルオロエタンスルフィン酸)亜鉛及びビス(トリデカフルオロヘキサンスルフィン酸)亜鉛が挙げられる。式(1b)で示されるスルフィン酸塩は市販品を購入するか、又は例えばNature (London, United Kingdom) (2012), 492(7427), 95-99.)に記載の方法に準じて合成することにより入手することができる。
【0018】
1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩としては、式(1a1)で示される化合物であることが好ましく、R1としてはトリフルオロメチル基がさらに好ましく、トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム又はトリフルオロメタンスルフィン酸カリウムが最も好ましい。
【0019】
化合物(2)としては、例えば2−アジドフェノール、2−アジド−3−メチルフェノール、2−アジド−5−メチルフェノール、2−アジド−6−メチルフェノール、2−アジド−3−エチルフェノール、2−アジド−5−エチルフェノール及び2−アジド−6−エチルフェノールが挙げられる。化合物(2)は、式(4)
【0020】
(式中、R2及びmは上記と同義である。)
で示される化合物より後述の方法により製造することができる。
【0021】
化合物(3)としては、例えば2−アミノ−4−メタンスルホニルフェノール、2−アミノ−3−メチル−4−メタンスルホニルフェノール、2−アミノ−4−エタンスルホニルフェノール、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノール、2−アミノ−3−メチル−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノール、2−アミノ−5−メチル−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノール、2−アミノ−6−メチル−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノール、2−アミノ−3−エチル−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノール、2−アミノ−5−エチル−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノール、2−アミノ−6−エチル−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノール及び2−アミノ−4−ペンタフルオロエタンスルホニルフェノールが挙げられる。
【0022】
1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩と化合物(2)との反応はプロトン酸の存在下で行われる。
反応に使用されるプロトン酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸化合物及び酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機カルボン酸化合物等が挙げられる。中でも有機スルホン酸化合物が好ましく、メタンスルホン酸がさらに好ましい。
使用されるプロトン酸の量は、化合物(2)1モルに対して通常1モル〜10モルの割合である。
反応は通常溶媒中で行われ、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、クメン、テトラリン等の芳香族炭化水素類、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化合物類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル類、酢酸、プロピオン酸、酪酸、エチルヘキサン酸等の有機カルボン酸類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類及びこれらの混合物が挙げられる。中でもケトン類及びエーテル類が好ましい。
【0023】
使用される溶媒の量は、通常、化合物(2)の1〜100重量倍であり、好ましくは1〜10重量倍である。
【0024】
使用される1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩の量は、化合物(2)1モルに対して通常、1モル〜5モルの割合である。
【0025】
反応温度は室温〜200℃の範囲内である。
【0026】
反応時間は10分〜24時間の範囲内である。
【0027】
反応は、通常1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩、化合物(2)及びプロトン酸を混合することにより行われる。
【0028】
混合方法としては、例えば、
方法1)反応容器に1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩、化合物(2)及びプロトン酸を加えて混合する方法、
方法2)反応容器に1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩及びプロトン酸を加えて混合した後、得られた混合物に化合物(2)を滴下する方法、
方法3)反応容器に1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩を加えた後、化合物(2)とプロトン酸とを同時に滴下する方法、
及び
方法4)反応容器に1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルカンスルフィン酸塩を加えた後、プロトン酸の一部を滴下し、続いて化合物(2)とプロトン酸の残余とを同時に滴下する方法
が挙げられる。
【0029】
安全性の点で、方法2)、方法3)及び方法4)に記載の化合物(2)を滴下する方法が好ましく、また、収率の点で、方法4)に記載の方法が好ましい。
【0030】
化合物(2)は、通常溶媒で希釈して混合に用いる。
【0031】
反応には化合物(2)を脱水処理して用いるのが好ましい。
化合物(2)の脱水処理は、化合物(2)及び溶媒の混合物から溶媒を留去することで脱水する方法が好ましい。
【0032】
また、反応を脱水条件下で行うために、反応系内に脱水剤を添加しておくのが好ましい。反応系に添加される脱水剤としては例えば無水硫酸マグネシウム及び無水硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0033】
反応終了後、反応混合物を減圧濃縮、晶析等に付すことにより化合物(3)を単離することができる。また、反応混合物から溶媒を留去した後、水、メタノール等を加えて活性炭等の吸着材処理をした後、減圧濃縮することにより、化合物(3)を単離することができる。得られた化合物(3)は、さらに再結晶、抽出、クロマトグラフィー等により精製することができる。
【0034】
化合物(2)は、化合物(4)を酸性水溶液中で亜硝酸塩と反応させることによりジアゾ化して、式(5)
【0035】
(式中、X-は陰イオンを表し、R2及びmは上記と同義である。)
で示される化合物を製造し、式(5)で示される化合物にアジ化ナトリウム、アジ化カリウム等のアルカリ金属アジドを加えて式(5)で示される化合物をアジ化することにより、製造することができる。
【0036】
酸性水溶液に使用される酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸が挙げられる。酸の使用量は、通常、化合物(4)1モルに対して1〜15モルの割合である。
【0037】
使用される亜硝酸塩としては亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等が挙げられる。亜硝酸塩の使用量は、通常、化合物(4)1モルに対して1〜5モルの割合である。
【0038】
使用されるアルカリ金属アジドの使用量は、化合物(4)1モルに対して通常1〜5モルの割合である。
【0039】
ジアゾ化及びアジ化の反応温度は、通常−10℃〜100℃の範囲内である。ジアゾ化の反応時間は10分〜24時間の範囲内である。アジ化の反応時間は10分〜48時間の範囲内である。
【0040】
反応終了後、有機溶媒等で抽出及び濃縮することで化合物(2)を単離することが出来る。
抽出に使用される有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、クメン、テトラリン等の芳香族炭化水素類、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類、シクロペンチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、プロピルニトリル等のニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン等のケトン類及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
化合物(2)は、単離することなく溶液のまま次の工程に使用してもよく、その際に脱水処理を行ってもよい。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
測定条件
・測定:高速液体クロマトグラフィー
・移動相 A液:0.1%リン酸水溶液、B液:アセトニトリル
・カラム:SUMIPAX(登録商標) ODS Z-CLUE(住化分析センター製)
内径4.6mm、長さ100mm、粒子径3μm
・カラム温度:40℃
・流速:1.0 mL/min
・UV波長:250 nm
・注入量:10μl
・内部標準物質 アセトアニリド
・タイムプログラム
【0043】
実施例1−1
2−アミノフェノール45.9mmol(5g)と35%塩酸25gと水25gとを窒素雰囲気下、氷水浴で冷却しながら混合した。この混合物に、亜硝酸ナトリウム45.9mmol(3.17g)と水2.5gとの混合物を滴下した後、氷水浴で冷却しながら30分間撹拌した。次にアジ化ナトリウム55.0mmol(3.58g)を加えた後に氷水浴を外して1時間撹拌し、高速液体クロマトグラフィーにより原料である2−アミノフェノールの消失を確認した。
【0044】
反応混合物を、1回あたり50gの酢酸エチルを用いて抽出し、これを3回繰り返し、得られた有機層を合わせて減圧濃縮したのちにカラム精製することにより、2−アジドフェノールを3.44g(収率55%)得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 6.9-7.0(m,2H), 7.0-7.1(m, 2H), 7.70(s, 1H)、
MS(FD) m/z=135
実施例1−2
トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム0.5mmol(0.078g)、2−アジドフェノール0.25mmol(0.034g)及び98%硫酸0.1mLをエタノール1mLに加え100℃で3時間加熱、撹拌を行った。高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールが収率33%で生成していることを確認した。
実施例1−3
下記[表1]に記載の溶媒、スルフィン酸塩及びプロトン酸を用い、実施例1−2に記載の方法に準じて反応を行った。結果を以下に示す。
【0045】
なお、本明細書の表において、CF3S(O)ONaはトリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウムを表し、CF3S(O)OKはトリフルオロメタンスルフィン酸カリウムを表し、(CF3S(O)O)2Znはビス(トリフルオロメタンスルフィン酸)亜鉛を表す。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例2
窒素雰囲気下で2−アジドフェノール7.40mmol(1.0g)、トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム8.14mmol(1.27g)及びメタンスルホン酸16.3mmol(1.57g)を1,2−ジメトキシエタン10gに加え、90℃で6時間撹拌した。これを一部採取して高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて分析したところ、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールの収率は69%であった。
【0048】
反応混合物を室温まで冷却後、反応混合物に水20gとtert−ブチルメチルエーテル20gとを加えて抽出操作を行い、分取した有機層を減圧濃縮することで、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールを1.70g得た。これを一部採取して高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて分析したところ、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールの収率は66%であった。
実施例3
2−アミノフェノール22.9mmol(2.5g)と35%塩酸5.0gと水20gとを窒素雰囲気下、氷水浴で冷却しながら混合した。この混合物に、亜硝酸ナトリウム25.2mmol(1.74g)と水2.5gとの混合物を滴下してから、氷水浴で冷却しながら30分間撹拌した。次に、アジ化ナトリウム27.5mmol(1.79g)を加えた後に氷水浴を外して1時間撹拌した。
【0049】
反応混合物に酢酸エチル20gを加えて抽出操作を行い、分取した有機層を減圧濃縮することで、2−アジドフェノールを得た。
【0050】
上記で得られた2−アジドフェノール全量を1,2−ジメトキシエタン25gに溶解させた後に、トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム22.9mmol(3.58g)及びメタンスルホン酸45.9mmol(4.41g)を混合した液を加え、90℃で6時間撹拌した。これを一部採取して高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて分析したところ、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールの収率は60%であった。
【0051】
反応混合物を室温まで冷却後、水100gと酢酸エチル100gとを加えて抽出操作を行い、分取した有機層を減圧濃縮することで、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールを5.03g得た。
これを一部採取して高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて分析したところ、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールの収率は59%(2−アミノフェノール基準)であった。
実施例4
2−アミノフェノール22.9mmol(2.5g)と35%塩酸5.0gと水20gとを窒素雰囲気下、氷水浴で冷却しながら混合した。この混合物に、亜硝酸ナトリウム25.2mmol(1.74g)と水2.5gとの混合物を滴下してから、氷冷しながら30分間撹拌した後、アジ化ナトリウム27.5mmol(1.79g)を加えてから1時間撹拌した。
【0052】
反応混合物に酢酸エチル20gを加えて抽出操作を行い、分取した有機層を減圧濃縮することで、2−アジドフェノールを得た。
【0053】
トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム22.9mmol(3.58g)及びメタンスルホン酸45.9mmol(4.41g)を1,2−ジメトキシエタン15gに加えて90℃に昇温した後に、上記で得られた2−アジドフェノール全量と1,2−ジメトキシエタン10gとの混合物を6時間かけて滴下した。
【0054】
滴下終了後、反応混合物を室温まで冷却後、水100gと酢酸エチル100gとを加えて抽出操作を行い、分取した有機層を減圧濃縮することで、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールを6.28g得た。これを一部採取して高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて分析したところ、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールの収率は57%(2−アミノフェノール基準)であった。
実施例5
2−アミノフェノール183.2mmol(20.00g)と35%塩酸40.86gと水100.00gとを窒素雰囲気下で混合し、−2℃に冷却した。この混合物に、40%亜硝酸ナトリウム水溶液32.88gを2時間かけて滴下した後、−2℃で30分間撹拌した。次に、反応混合物にメチルイソブチルケトン40.00gを加えて混合し、28%アジ化ナトリウム水溶液46.81gを3時間かけて滴下した後、−2℃で1時間撹拌した。反応終了後、分液することで、2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液を67.08gを得た。
【0055】
トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム25.9mmol(4.06g)とメチルイソブチルケトン17.51gとを窒素雰囲気下で混合し、そこへ、メタンスルホン酸26.9mmol(2.59g)を滴下した。この混合物を40℃になるまで昇温した後、上記で得られた2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液67.08gのうち9.50gとメタンスルホン酸51.5mmol(4.95g)とを5時間かけて同時に滴下した。
【0056】
滴下終了後、反応混合物を40℃で5時間撹拌した後、室温まで冷却し、8%水酸化ナトリウム水溶液29.14gを加えて洗浄操作を行った。分液することで、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールのメチルイソブチルケトン溶液を得た。これを一部採取して高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて分析したところ、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールの収率は69%(2−アジドフェノール基準)であった。
実施例6
2−アミノフェノール274.9mmol(30.00g)と35%塩酸61.28gと水150.00gとを窒素雰囲気下で混合し、−2℃に冷却した。この混合物に、40%亜硝酸ナトリウム水溶液49.32gを2時間かけて滴下した後、−2℃で30分間撹拌した。
【0057】
反応混合物にメチルイソブチルケトン60.00gを加えて混合し、28%アジ化ナトリウム水溶液70.21gを3時間かけて滴下した後、−2℃で1時間撹拌した。反応終了後、分液することで、2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液を98.64g得た。
【0058】
次に、上記で得られた2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液にメチルイソブチルケトン45.00gを加え、留出液の重量が45.00gとなるまで、減圧条件下で溶媒留去を行うことで、脱水処理を行った2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液を98.64g得た。
【0059】
トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム5.55mmol(0.87g)、無水硫酸マグネシウム0.31mmol(37.5mg)及びメチルイソブチルケトン3.75gを窒素雰囲気下で混合し、そこへ、メタンスルホン酸5.55mmol(0.53g)を滴下した。この混合物を40℃になるまで昇温した後、前記の脱水処理を行った2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液98.64gのうち1.99gとメタンスルホン酸11.1mmol(1.07g)とを5時間かけて同時に滴下した。
【0060】
滴下終了後、反応混合物を40℃で5時間撹拌した後、室温まで冷却し、8%水酸化ナトリウム水溶液5.58gを加えて洗浄操作を行った。分液することで、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールのメチルイソブチルケトン溶液を得た。これを一部採取して高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて分析したところ、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールの収率は81%(2−アジドフェノール基準)であった。
実施例7
2−アミノフェノール229.1mmol(25.00g)と35%塩酸51.07gと水125.00gとを窒素雰囲気下で混合し、−2℃に冷却した。この混合物に、40%亜硝酸ナトリウム水溶液41.10gを2時間かけて滴下した後、−2℃で30分間撹拌した。
【0061】
反応混合物にメチルイソブチルケトン50.00gを加えて混合し、28%アジ化ナトリウム水溶液58.51gを3時間かけて滴下した後、−2℃で1時間撹拌した。反応終了後、分液することで、2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液を82.42g得た。
【0062】
次に、上記で得られた2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液にメチルイソブチルケトン37.50gを加え、留出液の重量が37.50gとなるまで、減圧条件下で溶媒留去を行うことで、脱水処理を行った2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液を82.42g得た。
【0063】
トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム148.0mmol(23.10g)と無水硫酸マグネシウム8.3mmol(1.00g)とメチルイソブチルケトン100.0gとを窒素雰囲気下で混合し、そこへ、メタンスルホン酸148.0mmol(14.22g)を滴下した。この混合物を40℃になるまで昇温した後、前記の脱水処理を行った2−アジドフェノールのメチルイソブチルケトン溶液82.42gのうち53.25gとメタンスルホン酸296.0mmol(28.45g)とを5時間かけて同時に滴下した。
【0064】
滴下終了後、反応混合物を40℃で5時間撹拌した後、室温まで冷却し、8%水酸化ナトリウム水溶液148.01gを加えて洗浄し、分液することで、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールのメチルイソブチルケトン溶液を210.60g得た。これを一部採取して高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて分析したところ、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールの収率は76%(2−アジドフェノール基準)であった。
【0065】
得られた2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールのメチルイソブチルケトン溶液38.82gを減圧濃縮してメチルイソブチルケトンを留去した。残渣に水7.50g及びメタノール7.50gを加え、活性炭による吸着処理を行った後、減圧条件下で溶媒を留去した後、水10.00g及びメタノール5.00gを加えて冷却晶析を行い、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールを4.75g得た。これを一部採取して高速液体クロマトグラフィーによる内部標準分析法にて分析したところ、2−アミノ−4−トリフルオロメタンスルホニルフェノールの収率は72%(2−アジドフェノール基準)であった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明により、農薬の製造中間体として有用な2−アミノ−4−置換フェノールを製造することができる。