(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被覆材の前記剥離端面は、前記被覆材の軸線に対して所定角度だけ傾斜された傾斜面であり、前記傾斜面の一部が、前記導体圧着部において前記線材を圧着している端子の内側の底面と前記線材との間に介在するように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の端子付き電線。
【背景技術】
【0002】
従来、端子付き電線は、被覆電線を圧着する圧着端子の形態に応じて、クローズドバレル型およびオープンバレル型に大きく分けられる。
【0003】
クローズドバレル型の端子付き電線は、円筒状に形成された圧着部を有し、導電性の線材を剥き出しにした被覆電線の先端部をその圧着部に挿入した後、圧着部を縮径方向に塑性変形して圧着している。
【0004】
一方、オープンバレル型の端子付き電線は、上方が開放された横断面U字状の圧着端子を有し、線材を絶縁性の被覆材から剥き出しにした被覆電線の先端部を圧着端子に挿入した後、圧着端子の圧着片を互いに近づけるように内側に折り曲げて、被覆電線の線材および被覆材をそれぞれ圧着している。
【0005】
特に、オープンバレル型の端子付き電線の圧着端子は、被覆電線の被覆材から剥き出された線材を圧着片により圧着する部位であるワイヤバレル部と、被覆材を圧着片により圧着する部位であるインシュレーションバレル部と、ワイヤバレル部とインシュレーションバレル部との間に移行部として設けられたトランジション部とを有している。トランジション部は、ワイヤバレル部およびインシュレーションバレル部を形成するために圧着端子の材料である板材を打ち抜いた際に設けられる圧着端子の一部である。
【0006】
図5は、圧着端子のトランジション部200における横断面図である。圧着端子のトランジション部200においては、被覆電線の先端部から露出した線材210の一部が圧着されることなく外部に露出しており、この露出した線材210に水分が付着すると腐食してしまう。このような腐食を防止するため、トランジション部200において露出している線材210に防食用の樹脂(以下、これを「防食材」とも言う。)220を塗布してコーティングすることが行われている。
【0007】
しかしながら、この場合、トランジション部200において、樹脂220がトランジション部200と線材210との間の隙間や、線材210間の隙間を通り、時間の経過とともに矢印に示す鉛直下方に向かって流れ落ちる。その後、樹脂220は、トランジション部200の底面を通って鉛直方向と直交する図中奥行き方向のインシュレーションバレル部側へ大量に流れてしまう。
【0008】
この結果、樹脂220による線材210へのコーティングが不十分になり、コーティング部分にピンホールが発生してしまう。したがって、このような状況を改善するため、線材210に対する樹脂220の塗布量を増やさなければならず、塗布量の増加とともに樹脂220の硬化に多大な時間を要していた。
【0009】
一方、インシュレーションバレル側であるワイヤバレルの後端部側には、左右一対のインシュレーションバレル片の互いに対向する先端部と被覆材の上部とによって囲まれた凹形状の小型の後側貯留部が形成され、この後側貯留部に樹脂(防食剤)を滴下して封止することにより電食を防止する防食端子付き電線が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する第1乃至第3の実施の形態はあくまでも例示であり、本発明の範囲において、種々の形態をとり得る。
【0023】
<第1の実施の形態>
<端子付き電線の構成>
図1は、第1の実施の形態に係る端子付き電線1を示す概略斜視図である。
図1(A)は、被覆電線2と端子5とを圧着接続する前の分解斜視図であり、
図1(B)は、被覆電線2と端子5とを圧着接続した後の基端側からみた全体斜視図である。
【0024】
なお、
図1中、被覆電線2の軸線CLに沿った延在方向を「X方向」と定義する。また、端子5の被覆電線2に対する圧着側を「矢印X1側(後端側)」、非圧着側を「矢印X2側(先端側)」と定義する。
【0025】
端子付き電線1は、被覆電線2と端子5とを備えている。被覆電線2は、複数本の素線3aが束ねられた導電性の線材(以下、これを「導体」ともいう。)3と、この線材3を被覆する絶縁性の被覆材4とを有している。
【0026】
線材3は、素線3aを複数本撚り合わせた撚り線である。素線3aは、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅あるいは銅合金からなる金属材料により形成されている。なお、線材3は、撚り線に限られることなく単線であってもよい。
【0027】
被覆材4は、線材3を外部から被覆する絶縁性物質により形成されている。被覆材4は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋ポリエチレンを含む絶縁樹脂からなる。なお、被覆材4は、線材3を外部から被覆する絶縁性物質であれば材料の種類は問わない。
【0028】
また、被覆材4における矢印X2側の先端部は、軸線CLと直交する平面に沿った剥離端面4aをなしている。被覆電線2は、剥離端面4aから矢印X2側に向かって線材3だけが露出した露出部2aと、その露出部2aを除いた残りの部位である被覆部2bとを備えている。この剥離端面4aは、露出部2aと被覆部2bとの境界面であり、当該被覆材4の先端側が軸線CLと直交する平面に沿って切断し剥離された結果生じる面である。
【0029】
端子5は、オープンバレル型のメス型圧着端子であり、線材3および被覆材4を圧着する圧着部10および接続部13を備える。なお、端子5は、メス型圧着端子に限るものではなく、オス型圧着端子であってもよい。また、端子5は、圧着部10と接続部13との間に両者を機械的および電気的に接続するトランジション部14を備える。すなわち端子5は、圧着部10、接続部13、および、トランジション部14が一体化された構成を有している。なお、端子5は、表面が錫メッキ(Snメッキ)された黄銅等の銅合金条で構成されている。
【0030】
接続部13は、中空四角柱状からなり、図示しない雄型圧着端子が備える挿入タブと接触し、その挿入タブの挿入を受容する弾性接触片13aを備えている。
【0031】
圧着部10は、導体圧着部11(ワイヤバレル部)および被覆圧着部12(インシュレーションバレル部)を備えている。また、圧着部10は、導体圧着部11および被覆圧着部12の間に、両者を機械的および電気的に接続している所定の長さのトランジション部15を備えている。なお、上述したトランジション部14と、当該トランジション部15とを区別するために、以降、トランジション部14を前方トランジション部14と呼び、トランジション部15を後方トランジション部15と呼ぶ。
【0032】
導体圧着部11は、被覆電線2の露出部2a(線材(導体)3の露出部分)を圧着する部位である。導体圧着部11は、X方向とは直交する横断面において略U字状に上方が開口された形状の圧着片11aおよび11bを備えている。この圧着片11aおよび11bは、被覆電線2の露出部2aに対する圧着時、互いに向き合うように内側に折り曲げられるように形成されている。かくして、圧着片11aおよび11bにより被覆電線2の露出部2aが導体圧着部11において端子5に圧着される(
図1(B))。
【0033】
被覆圧着部12は、被覆電線2の被覆部2bを圧着する部位である。被覆圧着部12は、X方向とは直交する横断面において略U字状に上方が開口された形状の圧着片12aおよび12bを備えている。この圧着片12aおよび12bは、被覆電線2の被覆部2bに対する圧着時、互いに向き合うように内側に折り曲げられるように形成されている。かくして、圧着片12aおよび12bにより被覆電線2の被覆部2bが被覆圧着部12において端子5に圧着される(
図1(B))。
【0034】
図2(A)に示すように、導体圧着部11による被覆電線2の露出部2aに対する圧着後においては、当該導体圧着部11の矢印X2側(先端側)に先端面11fが形成され、矢印X1側(後端側)に後端面11rが形成される。
【0035】
先端面11fは、導体圧着部11の矢印X2側(先端側)の端部(以下、これを「先端部」ともいう。)においてX方向とは直交する平面に沿った端面である。後端面11rは、導体圧着部11の矢印X1側(後端側)の端部(以下、これを「後端部」ともいう。)において、X方向とは直交する平面にほぼ沿った端面である。ただし、後端面11rは、被覆電線2の露出部2aに対する導体圧着部11の圧着力により、全体的に矢印X2側へ僅かに傾斜されている。ちなみに、導体圧着部11の後端面11rを含む後端部は、所謂「ベルマウス」と呼ばれる部分である。
【0036】
被覆圧着部12による被覆電線2の被覆部2bに対する圧着後においては、被覆圧着部12の矢印X2側(先端側)に先端面12fが形成され、矢印X1側(後端側)に後端面12r(
図1(b))が形成される。
【0037】
後方トランジション部15(
図1(a))は、導体圧着部11の後端面11rと、被覆圧着部12の先端面12fとの間において上方が開口された部位である。後方トランジション部15は、導体圧着部11の圧着片11a、11bおよび被覆圧着部12の圧着片12a、12bよりも低い凹状の段部からなる。この後方トランジション部15は、軸線CLに沿って互いに平行配置された側壁部の端縁15aおよび15bを有し、この端縁15a、15bが当該後方トランジション部15の段部を形成している。
【0038】
導体圧着部11による被覆電線2の圧着後には、前方トランジション部14において前方電線開口部14sが形成される。前方電線開口部14sは、導体圧着部11の前端面11f、接続部13の後端面13r、および、前方トランジション部14の端縁14a、14bにより囲まれた部分である。前方電線開口部14sは、被覆電線2の露出部2a(導体3)の先端部を露出させている開口部分である。
【0039】
前方電線開口部14sにおいては、被覆電線2の露出部2a(導体3)の先端部が防食材としての樹脂40fにより覆われた状態で封止され、外部からの水分の侵入が防止されている。ここで、樹脂40fとしては、例えば、シリコン系、アクリル系、ウレタン系、ポリアミド系、エポキシ系、フッ素系、ポリビニルブチラール系、フェノール系、ポリイミド系、アクリルゴム系のうちのいずれかの樹脂材料を主成分として構成することができる。
【0040】
また、被覆圧着部12による被覆電線2の圧着後には、後方トランジション部15において後方電線開口部15sが形成される。後方電線開口部15sは、導体圧着部11の後端面11r、被覆圧着部12の先端面12f、および、当該後方トランジション部15の端縁15a、15bにより囲まれた部分である。後方電線開口部15sは、被覆材4の剥離端面4aを境にして露出部2a(導体3)の一部および被覆部2bの一部をそれぞれ露出するように形成された開口部分である。
【0041】
後方電線開口部15sにおいては、導体圧着部11の後端面11rと被覆電線2の被覆部2bとの間から部分的に露出している露出部2a(導体3)を防食材としての樹脂40r(
図2)で封止するための貯留部K1(
図2)を備えている。なお、前方電線開口部14sに封止された樹脂40fと後方電線開口部15sに封止される樹脂40rは同一特性を有するものである。ただし、これに限るものではなく、樹脂40fの特性と樹脂40rの特性とが異なっていてもよい。
【0042】
<貯留部の構成>
図2(A)〜(C)に示すように、後方トランジション部15においては、導体圧着部11の後端面11rに被覆材4の剥離端面4aが当接する位置(以下、これを「当接位置」という。)に当該被覆材4が配置される。その状態で、導体圧着部11および被覆圧着部12により被覆電線2の露出部2aおよび被覆部2bが圧着されると、導体圧着部11の後端面11rと、被覆材4の剥離端面4aと、後方トランジション部15において露出した露出部2a(導体3)の一部の表面とにより貯留部K1が形成される。
【0043】
具体的には、被覆電線2の露出部2a(導体3)が導体圧着部11の圧着力により押し潰されており、その露出部2a(導体3)に対する導体圧着部11の圧着力が被覆部2bの導体3にも及び、当該導体3が鉛直下方に強く引っ張られる。このため、剥離端面4aの近傍において被覆部2bから導体3が一部離間する。
【0044】
この結果、導体圧着部11の後端面11rと、被覆材4の剥離端面4aと、後方トランジション部15において被覆部2bから離間して露出した導体3の一部の表面とにより樹脂貯留用の貯留部K1が形成される。すなわち、貯留部K1は、導体圧着部11の後端面11rと、被覆材4の剥離端面4aと、被覆部2bから離間して露出した導体3の一部の表面とにより構成された空間である。
【0045】
なお、被覆材4の配置場所としては、導体圧着部11の後端面11rに対して被覆材4の剥離端面4aが当接する当接位置である必要は必ずしもなく、その当接位置から矢印X1側(後端側)へ僅かに離れたB−B´断面で示される位置(以下、これを「非当接位置」ともいう。)に被覆材4の剥離端面4aが位置するように当該被覆材4を配置することが可能である。
【0046】
このB−B´断面で示される非当接位置は、導体圧着部11の圧着力が被覆材4に及んで後方トランジション部15の内側の底面に接触している被覆部2bを押し潰すことが可能な、当接位置から矢印X1側(後端側)へ最大に離間した位置である。すなわち、B−B´断面で示される非当接位置であれば、導体圧着部11の圧着力が被覆材4に及んで被覆部2bが押し潰されるので、当該被覆部2bによるシール性を発揮することが可能である。したがって、被覆材4の剥離端面4aは、導体圧着部11の圧着力が剥離端面4aに及ぶ当接位置から上述した非当接位置までの範囲の任意の位置において端子5の内側の底面と線材(導体)3との間に介在するように配置されることが望ましく、この非当接位置から更に矢印X1側(後端側)へ離れた位置に被覆材4の剥離端面4aが配置されることは好ましくない。
【0047】
<作用および効果>
このように、後方トランジション部15の後方電線開口部15sに形成された貯留部K1は、導体圧着部11の後端面11rに対して被覆材4の剥離端面4aが当接する当接位置に配置された後に圧着されるだけで、極めて小さな貯留空間として容易に形成される。
【0048】
これにより、導体圧着部11の後端面11rから遠く離れた位置に被覆材4が配置された従来の端子付き電線に比べて、貯留部K1に塗布する樹脂40rの容量を減らしながら、少ない容量の樹脂40rで後方トランジション部15において露出した導体3を効率的に封止することができる。かくして、外部から水分が浸入することを貯留部K1の樹脂40rにより防止することができる。
【0049】
なお、被覆材4の剥離端面4aは、被覆材4の軸線CLとは直交する面に沿った端面であることにより、導体圧着部11の後端面11rと被覆材4の剥離端面4aとの間の貯留部K1の開口が狭くなり、当該貯留部K1に貯留された樹脂40rの漏れを防止することができる。
【0050】
この場合、
図2(B)のA−A´断面および
図2(C)のB−B´断面に示すように、導体圧着部11の後端面11rに被覆材4の剥離端面4aが当接した当接位置の近傍では、被覆部2bの矢印X2側(先端側)の鉛直下方部分が導体3と後方トランジション部15の内側の底面との間で潰されて密着している。このため、樹脂40rが貯留部K1に塗布された際、後方トランジション部15の矢印X1側(後端側)へ樹脂40rが流れ込むことを被覆部2bにより防止することができる。かくして、樹脂40rの塗布量を従来よりも格段に低減し、樹脂40rによるコーティング部分の表面にピンホール等が生じるリスクを低減し、導体3を一段と少ない樹脂40rで効率的に封止することができる。
【0051】
また、被覆部2の周方向における鉛直下方部分が導体3と後方トランジション部15の内側の底面との間で潰されて密着しているため、後方トランジション部15の矢印X1側(後端側)から矢印X2側(先端側)へ向かって外部から水分が浸入することについても被覆部2bにより防止することができる。
【0052】
<第2の実施の形態>
図3(A)〜(C)に示すように、第2の実施の形態に係る端子付き電線50は、端子5が第1の実施の形態と共通であるため、その共通する構成および作用効果については省略し、第1の実施の形態と異なる被覆電線52および貯留部K2についてのみ説明する。
【0053】
第2の実施の形態における被覆電線52の被覆材4は、軸線CLに対して所定角度(例えば90度以下)傾斜された傾斜面からなる剥離端面52aを備えている。被覆電線52は、この剥離端面52aから矢印X2側(先端側)に向かって線材3だけが露出した露出部2aと、その露出部2aを除いた残りの部位である被覆部2bとを備えている。剥離端面52aは、露出部2aと被覆部2bとの境界面をなし、被覆材4の先端側が軸線CLに対して所定角度傾斜された面に沿って切断し剥離された結果生じる面である。
【0054】
この被覆電線52は、導体圧着部11の後端面11rに当接される当接位置の近傍において、後方トランジション部15の内側の底面と導体3との間で剥離端面52aが矢印X2側(先端側)へ最も飛び出るように被覆電線52の周方向の向きが調整された状態で配置されている。
【0055】
後方トランジション部15の後方電線開口部15sにおいては、周方向の向きが調整された状態で配置された被覆電線52の被覆部2bから露出した導体3の部分を樹脂(防食材)40rにより封止するための樹脂貯留用の貯留部K2(
図2)を備えている。
【0056】
具体的には、導体圧着部11の後端面11rと、被覆材4の剥離端面52aと、後方トランジション部15において被覆部2bから露出した導体3の表面とにより樹脂貯留用の貯留部K2が形成される。すなわち、貯留部K2は、導体圧着部11の後端面11rと、被覆材4の剥離端面52aと、被覆部2bから露出した導体3の表面とにより構成された空間である。
【0057】
なお、この場合も、被覆材4の配置場所としては、当接位置の近傍である必要は必ずしもなく、その当接位置の近傍から矢印X1側(後端側)へ僅かに離れたB−B´断面で示される非当接位置に対して、被覆材4の剥離端面52aが位置するように被覆電線52を配置することも可能である。
【0058】
すなわち、導体圧着部11の圧着力が被覆材4に及んで剥離端面52aを含む被覆部2bの端部を押し潰すことが可能であれば、B−B´断面で示される非当接位置に剥離端面52aが位置するように被覆電線52を配置してもよい。この場合も、導体圧着部11の圧着力が被覆材4に及んで被覆部2bが押し潰されるので、当該被覆部2bによるシール性を発揮することが可能である。
【0059】
ちなみに、被覆電線52の剥離端面52aが導体圧着部11の後端面11rと当接する当接位置に配置された場合、剥離端面52aの鉛直下方部分が当接位置よりも矢印X2側(先端側)に向かって飛び出た状態となる。しかしながら、この場合でも、導体圧着部11の圧着力の影響を受けて被覆部2bが押しつぶされ、シール性が確保されるので何ら問題はない。
【0060】
このように、後方電線開口部15sに形成された貯留部K2は、導体圧着部11の後端面11rに対して被覆材4の剥離端面52aが当接する当接位置の近傍に配置されている。これにより、貯留部K2においても、第1の実施の形態における貯留部K1と同様に、少ない容量の樹脂40rで貯留部K2を効率的に封止し、かつ、外部から水分が浸入することを防止することができる。
【0061】
また、
図3(B)のA−A´断面および
図3(C)のB−B´断面に示すように、被覆部2bの矢印X2側(先端側)の周方向における鉛直下方部分が導体3と後方トランジション部15の内側の底面との間で潰されて密着している。これにより、樹脂40rが貯留部K2に滴下された際であっても後方トランジション部15の矢印X1側(後端側)へ樹脂40rが流れ込むことを被覆部2bにより防止することができる。かくして、樹脂40rの塗布量を低減し、樹脂40rによるコーティング部分の表面にピンホール等が生じるリスクを低減し、導体3を一段と少ない樹脂40rで効率的に封止することができる。
【0062】
さらに、被覆部2の周方向における鉛直下方部分が導体3とトランジション部15の内側の底面との間で潰されて密着しているため、後方トランジション部15の矢印X1側(後端側)から矢印X2側(先端側)へ向かって外部から水分が浸入することについても被覆部2bにより防止することができる。
【0063】
<第3の実施の形態>
図4(A)および(B)に示すように、第3の実施の形態に係る端子付き電線80は、端子5および被覆電線2が第1および第2の実施の形態と共通であるため、その共通する構成および作用効果については省略し、第1および第2の実施の形態と異なる貯留部K3についてのみ説明する。
【0064】
この場合、後方トランジション部15の後方電線開口部15sにおいては、後方トランジション部15の端縁15a、15bの上方に凸状に設けられた堰部81を備えている。堰部81は、高粘度樹脂からなる。高粘度樹脂は、防食材として用いられる樹脂40rよりも高粘度の樹脂、すなわち、樹脂40rよりも分子数が大きい第2の樹脂である。
【0065】
堰部81に用いられる第2の樹脂としての高粘度樹脂は、例えば、シリコン系、アクリル系、ウレタン系、ポリアミド系、エポキシ系、フッ素系、ポリビニルブチラール系、フェノール系、ポリイミド系、アクリルゴム系のうちのいずれかの樹脂材料を主成分として構成したり、オレフィン系のような熱可塑性樹脂であってもよい。
【0066】
堰部81は、後方トランジション部15の端縁15a、15bにそれぞれ設けられた側壁81a、81bを有している。この側壁81a、81bは、軸線CLを中心として互いに対向配置されるように形成される。
【0067】
側壁81a、81bは高粘度樹脂が塗布されたものであり、互いに同じ形状を有する訳ではないが、基本的な機能としては同一であるため、以下、側壁81aについてのみ説明する。側壁81aは、後方トランジション部15の端縁15aの上方に所定の量だけ塗られるが、防食材としての樹脂40rに比べて流動性が低い高粘度樹脂であるため同一形状を維持する。
【0068】
この側壁81aは、後方トランジション部15の端縁15aだけではなく、導体圧着部11の後端面11r、被覆材4の剥離端面4a、および、後方トランジション部15において被覆部2bから露出した導体3の表面にそれぞれ接触されるように形成されている。
【0069】
したがって、後方トランジション部15の後方電線開口部15sにおいては、導体圧着部11の後端面11rと、被覆材4の剥離端面4aと、後方トランジション部15の端縁15a、15bの上に設けられた堰部81の側壁81a、81bとにより樹脂貯留用の貯留部K3が形成される。
【0070】
すなわち、貯留部K3は、導体圧着部11の後端面11r、被覆材4の剥離端面4a、堰部81の側壁81a、81b、および、後方トランジション部15において被覆部2bから露出した導体3の表面とにより囲まれた凹空間として形成されるものである。ただし、これに限るものではなく、導体圧着部11の後端面11rに被覆材4の剥離端面4aを当接するように当該被覆材4を配置し、導体圧着部11の後端面11rと被覆材4の剥離端面4aとの間に、軸線CLを中心として互いに対向配置されるように側壁81a、81bを形成するようにしてもよい。
【0071】
このような構成の貯留部K3は、当該貯留部K3に樹脂40rが塗布された場合でも、その樹脂40rが貯留部K3から溢れ出ることを側壁81a、81bにより防止する機能を有している。
【0072】
その後、貯留部K3の凹空間に貯留された樹脂40rが堰部81により漏れることの無い状態で、UV照射により樹脂40rおよび堰部81が硬化されると、後方トランジション部15の後方電線開口部15sにおいて被覆部2bから露出している導体3の部分が当該樹脂40rにより完全に封止される。
【0073】
このような構成の端子付き電線80は、導体圧着部11の後端面11rから遠く離れた位置に被覆材4の剥離端面4aが配置された従来の端子付き電線に比べて、貯留部K3の容量が少なく、樹脂40rの塗布量を減らすことができるので、少ない容量の樹脂40rで貯留部K3を効率的に封止することができる。かくして、外部から水分が浸入することを貯留部K3の樹脂40rにより防止することができる。
【0074】
また、
図4(A)のA−A´断面に示すように、導体圧着部11の後端面11rと被覆材4の剥離端面4aとの間に堰部81の側壁81a、81bが設けられたことにより、防食材として用いられる樹脂40rが貯留部K3に塗布された際、導体3の表面と接触している側壁81a、81bにより樹脂40rが鉛直下方に流れ落ちることを抑制することができる。かくして、樹脂40rの塗布量を従来よりも格段に減らし、樹脂40rによるコーティング部分の表面にピンホール等が生じるリスクを低減し、導体3を一段と少ない樹脂40rで効率的に封止することができる。
【0075】
さらに、被覆部2の鉛直下方部分が導体3と後方トランジション部15の内側の底面との間で潰されて密着しているため、後方トランジション部15の矢印X1側(後端側)から矢印X2側(先端側)へ向かって外部から水分が浸入することについても被覆部2bにより防止することができる。
【0076】
さらに、被覆部2の鉛直下方部分が導体3とトランジション部15の内側の底面との間で潰されているため、後方トランジション部15の矢印X1側(後端側)から矢印X2側(前端側)へ向かって外部から水分が浸入することについても被覆部2bにより防止することができる。
【0077】
なお、第3の実施の形態においては、樹脂40rよりも流動性の低い高粘度の第2の樹脂からなる堰部81を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、堰部81に用いられる流動性の低い第2の樹脂としては、表面張力の高い樹脂等、同一形状を有したまま維持することが可能なその他種々の構造的特性を有する樹脂を用いるようにしてもよい。