(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電気容量が、1〜5000nFの範囲、10〜2000nFの範囲、100〜1000nFの範囲、400〜600nFの範囲の4つの範囲のうちのいずれか1つの範囲内にある、請求項1から3のいずれか一項に記載のAC電力コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これより本発明の種々の実施形態が詳細に参照されるが、その1以上の実施例が図示されている。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。概して、個々の実施形態に関しての相違のみが説明される。各実施例は、本発明の説明として提供されているが、本発明を限定することを意図するものではない。更に、1つの実施形態の一部として図示又は説明される特徴を、他の実施形態で、又は他の実施形態と併用して、更なる実施形態を得ることが可能である。本明細書は、かかる修正及び改変を含むことが意図されている。
【0013】
図1は、本明細書で説明される一実施形態による、AC電源20をデバイス30に接続するためのAC電力コネクタ10を示している。AC電力コネクタ10は、AC電源20と接続可能な少なくとも1つの第1の要素11及びデバイス30と接続可能な少なくとも1つの第2の要素12を含み、第1の要素11及び第2の要素12が、電気容量又は電気容量の少なくとも主要部分、例えば、少なくとも70%を規定するように、互いに対して第1の距離13を隔てて配置されている。少なくとも1つの第1の要素11と少なくとも1つの第2の要素12は、互いに対して回転可能である。
【0014】
本明細書で使用される「AC」又は「AC電力」という用語は、例えば、電源によって提供される交流電流を指す。交流電流回路では、エネルギーの流れの方向の周期的な逆転が生じる。一方向におけるエネルギーの正味の移送は、「有効電力」と呼ばれ得る。本明細書で使用される「RF」(無線周波数)という用語は、AC電力の周波数域を指し得る。一実施例として、「RF電力」という用語は、9kHz〜300GHzの範囲内の周波数を有するAC電力、特に、13.56MHz又は27.12MHzの周波数を有するAC電力を指し得る。本明細書で使用される「MF」(中波)という用語は、1kHz〜3MHz、例えば、10kHz〜0.5MHzの範囲内の周波数を有するAC電力を指し得る。
【0015】
少なくとも1つの第1の要素11及び少なくとも1つの第2の要素12は、規定された電気容量又は静電容量を有するコンデンサを形成する。少なくとも1つの第1の要素11及び少なくとも1つの第2の要素12は、インピーダンス、すなわち、与えられた周波数(例えば、RF、MFなど)において、例えば、正弦曲線状に変化する電圧と、例えば、正弦曲線状に変化する電流(交流、AC)との間の振幅の位相差及び比率を表す、リアクタンスと抵抗のベクトル和を有する。一方では、インピーダンスが、電気容量が増加するに従って且つ周波数が増加するに従って減少する。したがって、より高い周波数信号又はより大きい電気容量は、電流当たりより低い電圧をもたらす。一方では、低い周波数に対して、リアクタンスが高く、それによって、それらの周波数が取り除かれる。インピーダンスは、コンデンサを規定する特徴、すなわち、電気容量に反比例する。したがって、AC電力コネクタは、回転フィードスルーであり、容量結合を提供することによって、例えば、高周波数電力の移送を可能にする。一実施例として、回転ターゲットを使用するスパッタリングシステムでは、AC電力コネクタが使用されて、特に、回転ターゲットを受け入れる真空チャンバの壁又は壁部を通って、RF電力を回転ターゲットへ運び得る。
【0016】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、少なくとも1つの第1の要素11と少なくとも1つの第2の要素12が、互いに対して同軸状に回転可能である。
図1の実施例では、第1の要素11及び第2の要素12が、回転軸14の周りで同軸状に回転可能である。ある実施形態では、回転軸14が、第1の要素11及び/又は第2の要素12の対称軸である。
図1で示されるように、第1の要素11及び第2の要素12は、円形状を有し、特に円形状の板であり、回転軸14は、典型的には、前記円形状の
第1の要素11
及び第2の要素12の中心を貫通している。
【0017】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、少なくとも1つの第1の要素11及び少なくとも1つの第2の要素12が、板であり又は板を含み得る。前記板の間の第1の距離13は、そのとき、前記板の面積と共に、第1の距離に対する面積の比率に比例する電気容量又は静電容量を規定する。
【0018】
ある実施態様では、各板の面積が、200〜1500cm
2の範囲内、500〜1200cm
2の範囲内、800〜900cm
2の範囲内にあり、及び特に約850cm
2である。ある実施形態では、第1の距離が、1〜10mmの範囲内、1〜5mmの範囲内、1〜2mmの範囲内にあり、及び特に約1.5mmである。そのような構成を使用して、約10kWのAC電力が、AC電源20からデバイス30へ移送され得る。この実施例は、1.35mの長さ及び約130mmの直径を有する、回転(円筒形状)ターゲット又はカソードであるデバイスに対して、適切であり得る。
【0019】
一実施例として、面積が約850cm
2であり、第1の距離が約1.5mmであるときに、約500pFの電気容量が取得され得る。そのような構成を使用して、約10kWのAC電力が、AC電源20からデバイス30へ移送され得る。ある実施形態では、第1の要素及び第2の要素によって提供される電気容量が、1〜2000nFの範囲内、100〜1000nFの範囲内、又は400〜600nFの範囲内にある。ある実施形態では、第1の要素及び第2の要素によって提供される電気容量が、1〜5000pFの範囲内、10〜2000pFの範囲内、100〜1000pFの範囲内、400〜600pFの範囲内にあり、又は特に約500pFである。
【0020】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、第1の距離13が変更可能である。それによって、電気容量又は静電容量は、例えば、異なる電力又は電力値の送信に対して調整又は適合され得る。ある実施態様では、第1の距離が、手動で変更可能であり、又は例えば、ステップモータなどのモータを使用することによって、自動で変更可能であり得る。
【0021】
ある実施形態では、少なくとも1つの第1の要素11及び少なくとも1つの第2の要素12が、円形状であり又は丸い(
図1参照)。一実施例として、少なくとも1つの第1の要素11及び少なくとも1つの第2の要素12は、円形状の若しくは丸い板であり又はそれらを含む。しかしながら、第1の要素11及び第2の要素12の形状は、円形状又は丸い形状に限られず、第1の要素11と第2の要素12との間の電気容量を規定するために適切な、任意の2次元又は3次元形状であり得る(例えば、
図2〜7参照)。一実施例として、第1の要素11及び第2の要素12は、矩形状、卵形状、又は正方形状を有し得る。ある実施形態では、第1の要素11及び第2の要素12は、異なる形状を有する。一実施例として、第1の要素11は円形状であり、第2の要素12は矩形状であり得る。電気容量を規定する面積は、そのとき、第1の要素と第2の要素が重なる面積であり得る。
【0022】
ある実施態様では、少なくとも1つの第1の要素11が、RF電源であり得るAC電源20に接続可能である。一実施例として、RF電源は、13.56MHz又は27.12MHzの周波数を有するAC又はRF電力を提供し得る。
【0023】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、少なくとも1つの第2の要素12が、デバイス30に接続可能である。ある実施態様では、デバイス30が回転可能なデバイスである。例えば、デバイス30は、スパッタリング装置の回転ターゲットであり得る。ある実施形態では、AC電力コネクタ10が、チャンバ、特に、真空チャンバ
又はガスを含むチャンバの中へ電力を送信するための、回転フィードスルー(feed‐through)、特に、真空回転フィードスルーとして構成される。例えば、スパッタリング装置の回転ターゲットが真空チャンバ内に置かれたときに、AC電力コネクタは、前記真空チャンバの壁部内に又は壁部において提供され、外部AC電源から回転ターゲットへのAC電力のためのフィードスルーを提供する。本明細書で使用される「真空」という用語は、低真空、中真空、高真空、又は超高真空などの真空状態を指し得る。しかしながら、本実施形態は、それらに限られず、例えば、スパッタリングプロセスの間に、ガスが少なくとも一時的に真空チャンバ内に存在し得る。ガスは、保護ガス、搬送ガス、及び/又は不活性ガス、例えば、アルゴンであり得る。
【0024】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、少なくとも1つの第1の要素11が、適所に固定され、少なくとも1つの第2の要素12が、少なくとも1つの第1の要素11に対して回転可能である。他の実施態様では、少なくとも1つの第2の要素12が、適所に固定され、少なくとも1つの第1の要素11が、少なくとも1つの第2の要素12に対して回転可能である。本明細書で使用される「固定された」という用語は、装置に対する第1の要素11の固定された又は変更不可能な位置を指し、例えば、スパッタリング装置、特に、スパッタリング装置の真空チャンバに、AC電力コネクタが含まれ、又はAC電力コネクタが取り付けられる。また更なる実施形態では、
第1の要素11及び
第2の要素12の両方が回転可能である。
【0025】
ある実施態様では、回転可能な第1の要素11及び/又は第2の要素12が、1〜50rpm、5〜30rpm、又は15〜25rpmの速度で回転するように構成され得る。典型的には、回転可能な第1の要素11及び/又は第2の要素11が、約20rpmの速度で回転するように構成され得る。
【0026】
ある実施形態では、デバイス30が、回転可能なデバイスであり、特に、スパッタリング装置の回転ターゲットであり得る。少なくとも1つの第2の要素12が、回転可能なデバイス30、例えば、回転ターゲットに連結されたときに、前記少なくとも1つの第2の要素12及び回転可能なデバイス30は、共に回転し得る。一実施例として、(図示せぬ)ドライブが、デバイス又はターゲット30を回転させるために提供され、少なくとも1つの第2の要素12は、デバイス又はターゲット30と共に回転するように、デバイス又はターゲット30に取り付けられ得る。言い換えると、1つのドライブが、デバイス及び少なくとも1つの第2要素12を回転させるために提供され得る。しかしながら、回転可能なデバイスとAC電力コネクタの回転可能な要素とを、個々に回転させるために、異なるドライブも提供され得る。
【0027】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、少なくとも1つの第1の要素11及び/又は少なくとも1つの第2の要素12が、Ag、Cu、及びAuのうちの少なくとも1つを含む。
【0028】
ある実施形態によれば、少なくとも1つの第1の要素11及び/又は少なくとも1つの第2の要素12が
、Ag、Cu、及びAuのうちの少なくとも1つで被覆される
か又は少なくとも部分的に被覆される。特に、導体内のAC(例えば、RF)電流の浸透深さ(depth of penetration)は低く(表皮効果)、したがって、電流は導体の表面に沿って流れ得る。電流は導体に深く浸透しないので、表面における優れた導電性が、被覆によって取得される。例えば、少なくとも1つの第1の要素11及び/又は少なくとも1つの第2の要素12は、ステンレススチールも含み、銀、銅、又は金によって被覆され得る。したがって、コスト及び材料強度のような側面も考慮され得る。
【0029】
図2は、本明細書で説明される別の一実施形態による、AC電源20をデバイス30に接続するためのAC電力コネクタ40を示している。
【0030】
図2で示されるように、ある実施形態によれば、少なくとも1つの第1の要素41が、円筒形状の要素であり、少なくとも1つの第2の要素42が、円筒形状の要素である。ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、少なくとも1つの第1の要素41が、中空の円筒形状の要素であり、及び/又は少なくとも1つの第2の要素42が、中空の円筒形状の要素である。
【0031】
ある実施態様では、
図2の実施例で示されるように、第1の要素41が、底部要素すなわち底部板43、及び第1の要素41の側面すなわち円筒形状の表面を提供する側部要素44を含む。同様に、第2の要素42は、底部要素すなわち底部板45、及び第2の要素42の側面すなわち円筒形状の表面を提供する側部要素46を含む。
【0032】
ある実施形態では、第1の要素41及び第2の要素42が、入れ子状になっており又は組み合わされている。特に、第1の要素41は、少なくとも部分的に第2の要素42の中へ挿入され、又は(
図2の実施例で示されるように)第2の要素42が、少なくとも部分的に第1の要素41の中へ挿入され、第1の要素41の側部要素44と第2の要素42の側部要素46との重なりを提供する。
図2では、重なりの量すなわち高さが、参照番号15で表示されている。
【0033】
第1の要素41及び第2の要素42の電気容量又は電気容量の少なくとも主要部分、例えば、70%が、特に、側部要素44、46の重なり面積及び前記側部要素44、46の間の第1の距離13によって規定され得る。今度は、重なり面積が、側部要素44及び46の重なり高さ15及び直径によって画定される。電気容量に関して、これらの直径は、側部要素44と46の対向する表面の直径である。
図2の実施例では、側部要素44の直径が、前記側部要素44の内側の直径であり、側部要素46の直径が、前記側部要素46の外側の直径である。電気容量を規定するために、側部要素44と46のそれぞれの直径の平均直径を使用して、重なり面積が決定され得る。
【0034】
第1の距離13は、側部要素44と46の対向する表面の間の距離である。ある実施形態では、側部要素44、46、すなわち第1の要素41及び第2の要素42の円筒形状の表面が、同軸状に配置され、それによって第1の距離13が一定になる。(暗部距離(dark space distance)とも呼ばれる)第1の距離が一定に保たれたとき、望ましくないプラズマ又はプラズマスポットの発生が低減され得る。
【0035】
ある実施態様では、重なり面積が、200〜1500cm
2の範囲内、500〜1200cm
2の範囲内、800〜900cm
2の範囲内にあり、及び特に約850cm
2である。ある実施形態では、第1の距離が、1〜10mmの範囲内、1〜5mmの範囲内、1〜2mmの範囲内にあり、及び特に約1.5mmである。ある実施態様では、重なり高さ15が、1〜500mmの範囲内、10〜200mmの範囲内、又は50〜100mmの範囲内にある。そのような構成を使用して、約10kWのAC電力が、AC電源20からデバイス30へ移送され得る。
【0036】
一実施例として、重なり面積が約850cm
2であり、第1の距離が約1.5mmであるときに、約500pFの電気容量が取得され得る。そのような構成を使用して、約10kWのAC電力が、AC電源20からデバイス30へ移送され得る。ある実施形態では、第1の要素及び第2の要素によって提供される電気容量が、1〜2000nFの範囲内、100〜1000nFの範囲内、又は400〜600nFの範囲内にある。ある実施形態では、第1の要素及び第2の要素によって提供される電気容量が、1〜5000pFの範囲内、100〜1000pFの範囲内、400〜600pFの範囲内にあり、又は特に約500pFである。
【0037】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、重なり高さ15が変更可能である。それによって、電気容量又は静電容量は、例えば、異なる電力又は電力値の送信に対して調整又は適合され得る。ある実施態様では、重なり高さが、手動で変更可能であり、又は例えば、ステップモータなどのモータを使用することによって、自動で変更可能であり得る。
【0038】
図3は、本明細書で説明される更に別の一実施形態による、AC電力コネクタ50の概略図を示している。この実施形態は、
図2に関連して上述された実施形態に類似し、第2の要素52が、2つの側部要素
又は表面56及び57を含む。したがって、上述の説明が、
図3にも適用される。
【0039】
図3で示されるように、ある実施形態によれば、第1の要素51が、底部要素すなわち底部板53、及び第1の要素51の側面すなわち円筒形状の表面を提供する側部要素54を含む。第2の要素52は、底部要素すなわち底部板55、及び2つの側部要素
又は表面56及び57を含む。
【0040】
ある実施形態では、
図3で示されるように、第1の要素51及び第2の要素52が、入れ子状になっており又は組み合わされている。特に、第1の要素51は、(
図3の実施例で示されるように)少なくとも部分的に第2の要素52の中へ挿入され、又は第2の要素52が、少なくとも部分的に第1の要素51の中へ挿入され、第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の側部要素
又は表面56及び57との重なりを提供する。図
3では、重なりの量又は高さが、参照番号15で表示されている。
【0041】
ある実施形態では、第1の要素51の側部要素54が、第2の要素52の2つの側部要素
又は表面56、57の間に配置されている。それによって、電気容量は、特に、第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の側部要素
又は表面56との間、及び第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の側部要素
又は表面57との間で提供される。この入れ子は、電力コネクタの寸法又はサイズにおける最小の増加を伴って、電気容量の増加を可能にする。
【0042】
ある実施形態では、第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の側部表面
又は要素56、57とは同軸状に配置され、それによって、第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の一方の側部表面
又は要素56との間、及び第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の他方の側部表面
又は要素57との間で第1の距離13が一定になる。ある実施態様では、第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の一方の側部表面
又は要素56との間、及び第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の他方の側部表面
又は要素57との間の第1の距離13は等しく/同じである。しかしながら、第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の一方の側部表面
又は要素56との間、及び第1の要素51の側部要素54と第2の要素52の他方の側部表面
又は要素57との間の第1の距離13は、異なっていてもよい。
【0043】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、合計で少なくとも3つの側部要素が、入れ子状に、特に、交互に入れ子状に提供される。特に、(
図3の実施例で示されるように)第1の要素は1つの側部要素が提供され、第2の要素は2つの側部要素が提供され、又は第2の要素は1つの側部要素が提供され、第1の要素は2つの側部要素が提供され得る。しかしながら、本開示は、全部で3つの側部要素に限定されることなく、任意の望ましい数の側部要素が提供され得る。
【0044】
図4は、本明細書で開示される更に別の一実施形態による、AC電力コネクタ60の概略図を示し、
図5は、
図4のAC電力コネクタの断面図を示している。この実施形態は、
図2及び
図3に関連して上述された実施形態と類似し、第1の要素61は複数の側部要素を含み、第2の要素62も複数の側部要素を含む。したがって、上述された説明は、
図4及び
図5の実施形態にも適用される。
【0045】
図4で示されるように、AC電力コネクタ60は、第1の要素61及び第2の要素62を含む。連結ロッド65(例えば、RFコネクタインフィード(connector infeed))が、第1の要素61に取り付けられる。第2の要素62は、デバイス、例えば、回転ターゲットが取り付けられ得る又は設置され得る、ベースプレート63を含み得る。ベースプレート63は、オプションとして、AC(RF)出力部67を含み得る。
【0046】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、少なくとも1つの第1の要素及び少なくとも1つの第2の要素が、真空状態下で提供される。それによって、特に高いAC(RF)電力に対して、アーク放電が避けられ得る。ある実施態様では、AC電力コネクタが、真空外被(vacuum enclosure)を更に含む。少なくとも1つの第1の要素及び少なくとも1つの第2の要素は、前記真空外被内に提供される。一実施形態では、真空外被が、回転可能な第1及び/又は第2の要素と共に回転するように構成され得る。第1の要素と第2の要素との間の第1の距離の値は、真空状態、特に、第1の要素及び第2の要素が配置される真空外被内の真空圧力に応じて選択され得ることに留意されたい。本明細書で使用される「真空」という用語は、低真空、中真空、高真空、又は超高真空などの真空状態を指し得る。しかしながら、本開示の実施形態は、それらに限られず、第1の要素と第2の要素との間すなわち外被内の真空状態の代わりに、ガスが存在し得る。ガスは、保護ガス、又は不活性ガス、例えば、アルゴン、及び/又は六フッ化硫黄(SF
6)であり得る。
【0047】
また更なる実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、真空チャンバ、すなわち、処理チャンバが、例えば、0.3Paの異なる真空圧力を有し、コネクタの真空外被が、5.0×10
−5Paの真空圧力を有し得る。また更に、追加的に又は代替的に、コネクタの真空外被は、個別の真空ポンプを用いてガスを抜かれ得る。
【0048】
図4及び
図5の実施例では、真空外被又は真空チャンバが、絶縁部材64及び管状部材69を含む。管状部材69は、ガラス又はセラミックを含み又はそれらから作られ、特に、ガラスパイプ又はセラミックパイプであり得る。絶縁部材64は、第1の絶縁部材77及び第2の絶縁部材78を有し得る。この実施例では、絶縁部材64が、第1の絶縁部材77及び第2の絶縁部材78を有しているが、本実施形態は、それらに限定されるものではない。特に、絶縁部材64は、単一の要素であってもよく、すなわち、ワンピースで形成され得る。管状部材69の一端は、第2の要素62、例えば、ベースプレート63と接触し、且つベースプレート63によって密封され得る。第1の密封部材75、例えば、Oリング又はクワッドリング(quad ring)が、管状部材69の一端と第2の要素62、例えば、ベースプレート63との間に提供され得る。管状部材69の他端は、第1の絶縁部材77と接触し得る。第2の密封部材76、例えば、Oリング又はクワッドリングが、管状部材69の他端と第1の絶縁部材77との間に提供され得る。
【0049】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、絶縁部材64が、第1の絶縁部材77及び第2の絶縁部材78を含む。第1の絶縁部材77及び第2の絶縁部材78は、アイソレータ、例えば、ピークセラミック(peek ceramic)を含み、又はそれらから作られ得る。第1の絶縁部材77及び第2の絶縁部材78は、第2の要素62と共に回転するように構成され得る。摺動シール70が、第2の絶縁部材と第1の要素61との間の連結を密封するように使用され得る。
【0050】
第1の絶縁部材77、第2の絶縁部材78、及び/又は管状部材69は、第2の要素62の第1の要素61との、例えば、連結ロッドなどの第1の要素61の導電性被覆との短絡を避けるために、シャドーグルーブ(shadow groove)を含み得る。「シャドーグルーブ」という用語は、スパッタリング材料が覆われた部分に配置されることを妨げるために特に覆われ得る、第1の絶縁部材77、第2の絶縁部材78、又は管状部材69などの前記覆われた部分を指し得る。
【0051】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、第1の絶縁部材77、第2の絶縁部材78、管状部材69、及び第2の要素62が、第1の要素61に対して共に回転するように構成される。軸受71、例えば、セラミック軸受が、第1の絶縁部材77と第1の要素61との間に提供され、第1の要素61に対する第1の絶縁部材77の回転を可能にし得る。
【0052】
ある実施態様では、真空ポンプの真空外被との連結を可能にするために、真空連結が提供される。一実施例として、第2の絶縁部材78は、個別に提供されるポンプ又は処理チャンバ、例えば、スパッタリングチャンバのポンピングシステムなどの、真空ポンプと連結するように構成された、開口部66を含み得る。本明細書で使用される「真空」という用語は、低真空、中真空、高真空、又は超高真空などの真空状態を指し得る。しかしながら、本実施形態は、それらに限られず、ガスが真空外被内に存在し得る。ガスは、保護ガス、又は不活性ガス、例えば、アルゴン、及び/又は六フッ化硫黄(SF
6)であり得る。
【0053】
図5で示されるように、ある実施形態によれば、第1の要素61は、複数の側部要素(
図5では6つ)を含み、第2の要素62も、複数の側部要素(
図5では6つ)を含む。側部要素は、入れ子状になっており又は組み合わされており、それによって、電気容量が、第1の要素61及び第2の要素62の側部要素の対向する側面すなわち(重なっている)表面によって規定される。この入れ子は、電力コネクタの寸法又はサイズにおける最小の増加を伴って、電気容量の増加を可能にする。
【0054】
ある実施形態では、第1の要素
61の側部要
素と第2の要素
62の側部要
素とが同軸状に配置され、それによって、第1の要素61の側部要素と第2の要素62の側部要素との対向する表面の間の第1の距離13が一定になる。ある実施形態では、第1の要素61の側部要素と第2の要素62の側部要素との対向する表面の間の第1の距離13が、同じであり又は等しい。しかしながら、第1の要素61の側部要素と第2の要素
62の側部要素との間の第1の距離13は、異なっていてもよい。
【0055】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、複数の側部要素が、入れ子状に、特に、交互に入れ子状に提供される。本開示は、
図5で示されるような全部で12個の側部要素に限定されることなく、任意の望ましい数の側部要素が提供され得る。
【0056】
図6は、本明細書で説明される、ある実施形態を説明するために使用され得る、AC電力コネクタの概略図を示す。この実施形態は、
図4及び
図5に関連して上述された実施形態に類似し、したがって、上述の説明は本実施形態にも適用される。
【0057】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、AC電力コネクタ60が、カウンタ軸受(counter bearing)73を含み、又はそれに取り付けられる。スパッタリング装置の場合では、カウンタ軸受73が、標準ターゲットのカウンタ軸受であり得る。磁石又はマグネトロンとの連結のためのコネクタロッド74が、カウンタ軸受に提供される。ある実施形態では、AC電力コネクタ60が、AC電力インフィード72、特に、RF電力インフィードを更に含み、又はそれに取り付けられる。
【0058】
図7は、本明細書で説明される実施形態による、AC電力コネクタ80を有するスパッタリング装置の詳細な図を示している。
【0059】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、真空チャンバ内のスパッタ堆積のためのスパッタリング装置が、壁部
90を有する真空チャンバ、真空チャンバ内の回転ターゲット92、回転ターゲット92にAC電力を提供するためのAC電源、及び本明細書で説明される実施形態による、壁部90内に提供されたAC電力コネクタ80を含み、少なくとも1つの第1の要素81が、AC電源に接続され、少なくとも1つの第2の要素82が、回転ターゲット92に接続される。
【0060】
図7の実施形態では、AC電力コネクタが、
図2で示され且つ上述された実施形態に類似するように構成される。しかしながら、本開示はそれに限定されるものではなく、
図7の電力コネクタは、本明細書で説明される実施形態のうちの任意の1つに従って構成され得る。
【0061】
図7で示されるように、スパッタリング装置は、回転ターゲットであり得るターゲット92を含む。スパッタリング装置は、(図示せぬ)マグネトロンも含み得る。マグネトロンは、磁石アセンブリであり、典型的には、スパッタ堆積の間にプラズマを封じ込めるために、永久磁石によって提供される。ある実施形態によれば、マグネトロンは、
回転ターゲット92の表面上で少なくとも1つの方向に移動され得る。
【0062】
RF電源は、AC電力コネクタ80を介して、
回転ターゲット92に接続される。ある実施形態では、RF周波数が、スパッタリングに対して、5〜30MHzの範囲内にあり、典型的には、13.56又は27.12MHzである。しかしながら、本実施形態は、それらに限られず、他の周波数が使用されてもよい。
【0063】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、AC電力コネクタ80が、第1の要素81に取り付けられた導電性ロッド85を更に含み得る。ある実施形態では、導電性ロッド85及び第1の要素81が、一体的に、例えば、同じ材料から形成され得る。ある実施形態では、導電性ロッド85が、壁部90内の開口部内に挿入されるように構成される。導電性ロッド85は、それによって、真空チャンバの内側から真空チャンバの外側へ延在する。ある実施形態によれば、導電性ロッド85が溝を含み、それによって、1以上の密封リング91、例えば、Oリングが、技術的真空のための真空密封を提供するために、そこに挿入され得る。
【0064】
ある実施形態によれば、(図示せぬ)絶縁体が、導電性ロッド85と壁部90との間に提供され得る。絶縁体は、各々が密封リングを受け入れるための1以上の溝を含み得る。溝及び密封リングに対する代替案として、導電性ロッド85は、真空密封を提供するように構成された、粗さを有する表面を有し得る。
【0065】
ある実施形態によれば、
図7で示されるスパッタリング装置は、真空チャンバ内でのスパッタ堆積のためのものである。スパッタリング装置は、回転ターゲット
92であり得るターゲッ
トを含む。概して、区分けされた平面的な、モノリシックで平面的な、回転ターゲットが、スパッタリングのために使用され得る。カソードの形状寸法及び設計により、回転ターゲットは、典型的には、平面ターゲットよりも活用度が高く且つ動作時間が長い。したがって、回転ターゲットの使用は、典型的には、耐用年数を長くし且つコストを削減する。
【0066】
図7の実施例では、
回転ターゲット92が、連結要素86を介して第2の要素82に連結される。ある実施形態では、第2の要素82及び
回転ターゲット92は、両方とも回転可能に提供される。したがって、少なくとも1つの第2の要素82と回転ターゲット92は、共に回転され得る。一実施例として、(図示せぬ)ドライブが、
回転ターゲット92を回転させるために提供され、少なくとも1つの第2の要素
82は、
回転ターゲット92と共に回転するように、デバイス又はターゲット92に取り付けられ得る。言い換えると、1つのドライブが、デバイス30及び少なくとも1つの第2の要素
82を同時に回転させるために提供され得る。
【0067】
本明細書で説明される実施形態によれば、AC電力コネクタは、優れた電気伝導度(Ag、Cu、Au、又はこれらの被覆)を有する、2以上の(円筒形状の)板を含む。
これら2以上の(円筒形上の)板のうちの一方は固定され、他方は、例えば、ターゲットと共に回転する。AC電力コネクタは、真空下でのフィードスルーとして構成され、真空は、個別の真空ポンプによって又は処理チャンバのポンピングシステムによって生成され得る(フィードスルーは、ターゲットに取り付けられ得る)。板どうしの距離は、真空度及びRF電力の電圧に依存する。板は、互いに同軸状に回転し得る。板は、アイソレータ、例えば、ガラス又はセラミックで保護され得る。ある実施態様では、アイソレータが、ミーンダーシールド(meander shield)で保護される。本明細書で使用される「真空」という用語は、低真空、中真空、高真空、又は超高真空などの真空状態を指し得る。しかしながら、本実施形態は、それらに限られず、ガスがコネクタの真空外被内に存在し得る。ガスは、保護ガス、又は不活性ガス、例えば、アルゴン、及び/又は六フッ化硫黄(SF
6)であり得る。
【0068】
望ましくないプラズマ又はプラズマスポットの発生のために、容量結合の電力インフィード(power in‐feed)は、プラズマ絶縁(plasma‐insulated)され得る。これは、必要とされる暗部距離のために真空条件下で困難であり得るので、AC電力コネクタの上方に配置され得る、雰囲気の空間又はチャンバが提供され得る。この雰囲気の空間又はチャンバ内では、AC(例えば、HF、MF、又はRF)フィードアウト(feed‐out)が、提供され得る。ある実施態様では、無効電流又はアイドル電流の埋め合わせが、更に提供され得る。そのような埋め合わせは、カソードのインピーダンスに応じて提供され得る。フィードアウトに対する接続は、そのとき、金属可撓管を通して外側へガイドされ得るHF同軸ケーブルを使用して行われ得る。
【0069】
図8は、本明細書で説明される実施形態による、AC電源からデバイスへAC電力を提供するための方法100のフローチャートを示している。
【0070】
ある実施形態によれば、本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされて、該方法100は、ブロック101では、少なくとも1つの第1の要素を介して、電源から少なくとも1つの第2の要素へAC電力を移送することであって、少なくとも1つの第1の要素と少なくとも1つの第2の要素が、互いに対して第1の距離を隔てて配置される、移送すること、及びブロック102では、少なくとも1つの第1の要素と少なくとも1つの第2の要素のうちの少なくとも1つを互いに対して回転させることを含む。
【0071】
上記の記述は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の実施形態及び更なる実施形態が、本発明の基本的な範囲を逸脱せずに考案され、したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。