特許第6599195号(P6599195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599195
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】座標測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20191021BHJP
   G01B 5/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G01B21/00 L
   G01B5/00 L
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-196203(P2015-196203)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2017-67700(P2017-67700A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(72)【発明者】
【氏名】大根田 隆男
(72)【発明者】
【氏名】竹迫 康次
(72)【発明者】
【氏名】菅原 智允
(72)【発明者】
【氏名】福田 満
(72)【発明者】
【氏名】河原井 一晃
【審査官】 八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−95563(JP,A)
【文献】 特開平8−261745(JP,A)
【文献】 特開2000−46543(JP,A)
【文献】 特開2000−337854(JP,A)
【文献】 特開2007−55352(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/25336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00−21/32
G01B 5/00− 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物が載置されるベースと、
前記ベースに対して相対移動可能な移動体と、
前記ベース上に立設され、中空部を有し前記移動体を支持する支持体と、
前記ベースの下方に設けられ、前記移動体の移動を制御する制御装置と、
前記移動体から前記支持体の前記中空部を通過して前記制御装置へ配線されているケーブルと、
を備え、
前記支持体の側面には、開口部が設けられている、座標測定装置。
【請求項2】
前記ベースは、前記支持体の下に形成された貫通孔を有し、
前記ケーブルは、前記貫通孔を通過して前記制御装置と接続されている、
請求項1に記載の座標測定装置。
【請求項3】
前記支持体は、前記移動体の長手方向の一端部を支持しており、
前記ケーブルは、分岐して前記移動体の前記一端部側と接続されている、
請求項1又は2に記載の座標測定装置。
【請求項4】
測定結果を表示する表示装置を支持する支持アームと、
前記支持アームをスライドさせるスライド機構と、を更に備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の座標測定装置。
【請求項5】
前記スライド機構は、前記制御装置を収容する収容部の側面に設けられたレール部を有し、
前記支持アームは、前記レール部にスライド可能に連結されている、
請求項に記載の座標測定装置。
【請求項6】
前記支持アームは、前記収容部の互いに対向する二つの側面にそれぞれ設けられた前記レール部の一方に着脱可能に連結されている、
請求項に記載の座標測定装置。
【請求項7】
前記支持体は、前記ベース上における第1方向の一端側にて、前記第1方向と直交する第2方向に移動する前記移動体を支持し、
前記レール部は、前記第1方向の他端側の前記側面に設けられている、
請求項に記載の座標測定装置。
【請求項8】
前記支持体は、前記ベース上における第2方向の一端側にて、前記第2方向と直交する第1方向に移動する前記移動体を支持し、
前記レール部は、前記第1方向の端側の前記側面に設けられている、
請求項に記載の座標測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標測定装置に関し、詳細には、移動体と制御装置とをケーブルで接続した座標測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
座標測定装置として、被測定物の形状や寸法を測定するために、被測定物の外形の座標を測定する三次元測定装置が利用されている。
例えば、下記の特許文献1に開示された三次元測定装置は、被測定物が載置されるベースと、このベース上の被測定物を測定するためのプローブを互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向に相対移動させる移動機構と、この移動機構を駆動制御する駆動制御装置と、前記移動機構と前記駆動制御装置とを接続するケーブルとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−42267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
座標測定装置においては、移動機構と駆動制御装置は通常離れて設けられているため、移動機構と制御装置を接続するケーブルが、外部に露出しやすい。かかる場合には、外部に露出したケーブルを配置するスペースを、確保する必要が生じる。また、ケーブルが外部に露出した場合には、当該ケーブルが汚れたり、座標測定装置の美感が損なわれたりする恐れがある。
また、露出したケーブルが不規則に屈曲して破損しないように、ケーブルベア(登録商標)でケーブルを保護する必要があるが、ケーブルベアを設けた場合にはコストアップになってしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成でケーブルの外部への露出を防止可能な座標測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、被測定物が載置されるベースと、前記ベースに対して相対移動可能な移動体と、前記ベース上に立設され、中空部を有し前記移動体を支持する支持体と、前記ベースの下方に設けられ、前記移動体の移動を制御する制御装置と、前記移動体から前記支持体の前記中空部を通過して前記制御装置へ配線されているケーブルと、を備える、座標測定装置を提供する。
【0007】
また、前記ベースは、前記支持体の下に形成された貫通孔を有し、前記ケーブルは、前記貫通孔を通過して前記制御装置と接続されていることとしてもよい。
【0008】
また、前記支持体の側面には、開口部が設けられていることとしてもよい。
【0009】
また、前記支持体は、前記移動体の長手方向の一端部を支持しており、前記ケーブルは、分岐して前記移動体の前記一端部側と接続されていることとしてもよい。
【0010】
また、前記座標測定装置は、測定結果を表示する表示装置を支持する支持アームと、前記支持アームをスライドさせるスライド機構と、を更に備えることとしてもよい。
【0011】
また、前記スライド機構は、前記制御装置を収容する収容部の側面に設けられたレール部を有し、前記支持アームは、前記レール部にスライド可能に連結されていることとしてもよい。
【0012】
また、前記支持アームは、前記収容部の互いに対向する二つの側面にそれぞれ設けられた前記レール部の一方に着脱可能に連結されていることとしてもよい。
【0013】
また、前記支持体は、前記ベース上における第1方向の一端側にて、前記第1方向と直交する第2方向に移動する前記移動体を支持し、前記レール部は、前記第1方向の他端側の前記側面に設けられていることとしてもよい。
【0014】
また、前記支持体は、前記ベース上における第2方向の一端側にて、前記第2方向と直交する第1方向に移動する前記移動体を支持し、前記レール部は、前記第1方向の端側の前記側面に設けられていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成でケーブルの外部への露出を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る座標測定装置1の構成の一例を示す斜視図である。
図2】制御装置52とX軸ビーム30の間のケーブル55の配線状態を説明するための図である。
図3】Y軸コラム20の内部構造を説明するための図である。
図4】Y軸コラム20の上部の構成を説明するための模式図である。
図5】第2の実施形態に係る座標測定装置1の構成の一例を示す斜視図である。
図6】スライド機構70の構造を示す斜視図である。
図7】支持アーム60のスライド機構70への連結構造を説明するための図である。
図8】スライド機構70の設置箇所の変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<1.第1の実施形態>
(1−1.座標測定装置の構成)
図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る座標測定装置1の構成の一例について説明する。
【0018】
図1は、第1の実施形態に係る座標測定装置1の構成の一例を示す斜視図である。座標測定装置1は、被測定物の外形の座標を測定することで、被測定物の立体形状を特定する三次元測定装置である。図1に示すように、座標測定装置1は、ベース10と、Y軸コラム20と、X軸ビーム30と、Z軸スピンドル40と、プローブ42と、設置台50とを有する。
【0019】
ベース10は、石材製の定盤であり、設置台50上に設置されている。ベース10の上面には、被測定物(ワーク)が載置される。ベース10を平面視した際の形状は、矩形形状である。
【0020】
Y軸コラム20は、ベース10の上面に立設しており、中空部を有しX軸ビーム30を支持する支持体である。Y軸コラム20は、ベース10の上面に固定されている。Y軸コラム20は、ベース10の上面の縁側にて、図1のX軸方向から見てY軸方向に延びた略T字状の形状を成している。Y軸コラム20は、X軸ビーム30の長手方向(図1のX軸方向)の一端部を移動可能に支持する。すなわち、本実施形態では、Y軸コラム20がX軸ビーム30を片持ちで支持する構成となっている。このため、X軸ビーム30の長手方向の両端側を支持する場合に比べて、座標測定装置1の小型化が可能となると共に、測定者はベース10上に被測定物を載置しやすくなる。
【0021】
X軸ビーム30は、Y軸コラム20と直交するようにX軸方向に延びている梁状の部材である。X軸ビーム30は、Y軸方向に移動する移動体である。なお、座標測定装置1は、X軸ビーム30のY軸方向の移動量(座標)を検出するためのスケール及び検出センサーを有する。また、Y軸コラム20の上部には、X軸ビーム30を移動させる駆動機構が設けられている。
【0022】
Z軸スピンドル40は、Z軸方向に延びている角柱状の部材であり、X軸ビーム30に対して移動可能に連結されている。Z軸スピンドル40は、Y軸方向及びZ軸方向にそれぞれ移動する。なお、座標測定装置1は、Z軸スピンドル40のY軸方向及びZ軸方向の移動量(座標)を検出するためのスケール及び検出センサーを有する。また、X軸ビーム30には、Z軸スピンドル40を移動させる駆動機構が設けられている。
【0023】
プローブ42は、Z軸スピンドル40の下方側の先端に設けられている。座標測定装置1は、プローブ42の先端に設けられた接触子がベース10上の被測定物に接触した際のX軸ビーム30及びZ軸スピンドル40の移動量(座標)を検出することで、被測定物の外形の座標を測定する。
【0024】
設置台50は、ベース10の下方に設けられており、ベース10を支持する。設置台50は、X軸ビーム30やZ軸スピンドル40の移動を制御する制御装置(図2に示す制御装置52)を内部に収容する収容部の機能も有する。制御装置52は、X軸ビーム30内から延びるケーブル(図2に示すケーブル55)で接続されている。
【0025】
(1−2.ケーブルの配線状態)
図2図4を参照しながら、制御装置52とX軸ビーム30の間のケーブル55の配線状態について説明する。
【0026】
図2は、制御装置52とX軸ビーム30の間のケーブル55の配線状態を説明するための図である。図3は、Y軸コラム20の内部構造を説明するための図である。図4は、Y軸コラム20の上部の構成を説明するための模式図である。なお、図2は、図1に示す座標測定装置1を背面側から見た図であり、説明の便宜上、Z軸スピンドル40や設置台50の側板等を省略している。
【0027】
図2に示すように、ケーブル55は、X軸ビーム30と制御装置52を接続している。具体的には、ケーブル55の一端側がX軸ビーム30の一端部32側と接続され、ケーブル55の他端側が制御装置52と接続されている。なお、ケーブル55の一端側は分岐している。分岐したケーブル55の一部は、Y軸コラム20の上部に設けられX軸ビーム30を移動させる駆動機構に接続されており、他の一部は、X軸ビーム30に設けられZ軸スピンドル40を移動させる駆動機構に接続されている。
【0028】
本実施形態では、ケーブル55が外部に露出しないように、ケーブル55が、X軸ビーム30と制御装置52の間に位置するY軸コラム20内の中空部22を通過している。すなわち、Y軸コラム20の中空部22が、ケーブル55を収容する収容部になっている。ケーブル55は、X軸ビーム30がY軸方向に移動する際に、X軸ビーム30と共にX軸方向に移動する。このようにケーブル55が中空部22を通過していることにより、Y軸コラム20の周辺にケーブル55を配線させるスペースを確保する必要がなくなるので、省スペース化が可能となる。
【0029】
ケーブル55は、中空部22内において拘束されずに垂れ下がった状態となっている。また、ケーブル55は、中空部22内に所定の撓み形状で収容されている。かかる場合には、X軸ビーム30がY軸方向に移動しても、X軸ビーム30と共に移動するケーブル55が所定の撓み形状を保持することで、ケーブル55がねじれたり絡まったりすることを防止できる。
【0030】
Y軸コラム20の底部及び上部には、ケーブル55が通過できるように開口が、それぞれ形成されている。具体的には、Y軸コラム20の底部には、図3に示すように矩形状の底部開口23が形成されている。また、Y軸コラム20の上部には、図4に示すようなガイド穴26が形成されている。ガイド穴26は、Y軸方向に沿って形成された長穴であり、ケーブル55のY軸方向への移動をガイドする。これにより、X軸ビーム30が移動する際に、ケーブル55もY軸方向に移動できる。
【0031】
ケーブル55は、図3に示すベース10の貫通孔12を通過して、制御装置52と接続されている。貫通孔12は、図3に示すように、Y軸コラム20の下部に形成された円形状の孔である。貫通孔12は、少なくとも一部の領域がY軸コラム20の中空部22の領域と重なるように、形成されている。かかる場合には、X軸ビーム30と制御装置52の間に位置するY軸コラム20及びベース10の内部を通過することになり、ケーブル55が外部に露出することを有効に防止できる。また、Y軸コラム20及びベース10の内部を通過させることで、ケーブル55を配線する長さを短くできる。
【0032】
図2に戻り、Y軸コラム20の側面である背面21には、開口部24が設けられている。開口部24には、矩形状の開口が形成されている。開口は、ケーブル55を視認できる位置に形成されている。また、開口は、例えば作業者の手が通過できる(出し入れできる)大きさとなっている。このような開口部24を設けた場合には、作業者は、開口部24の開口から手を入れてケーブル55に触ることができるので、ケーブル55をY軸コラム20内に配線しやすくなる。
【0033】
ところで、別部品であるY軸コラム20の底部とベース10は、図3に示すように、締結部材である複数(図3では8本)のネジ14で締結されている。本実施形態では、製造時に作業者がネジ14を締結しやすくするために、開口部24はY軸コラム20の背面21の底部側に設けられている。具体的には、作業者が開口から手を入れた際に指がネジ14に触れられる位置に、開口部24が設けられている。かかる場合には、作業者は、開口部24の開口から手を入れて、ネジ14を締めることができるので、Y軸コラム20をベース10に固定しやすくなる。
【0034】
ベース10の上面側には、ネジ14と螺合するネジブッシュが予め配置されている凹部が設けられている。かかる場合には、開口部24の開口から入れた手でネジ14を締めるだけでY軸コラム20をベース10に固定できるので、座標測定装置1の製造時の組立性が向上する。
【0035】
図2及び図3では省略しているが、背面21には、開口部24の開口を閉塞するカバーが取り付け可能となっている。これにより、座標測定装置1の測定者が誤って開口部24の開口から手を入れることを防止できる。
【0036】
上記では、開口部24の開口が矩形状であることとしたが、これに限定されない。例えば、開口は円形状であってもよい。また、上記では、開口部24がY軸コラム20の背面21に設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、開口部24は、背面21以外の側面に設けられていてもよい。
【0037】
また、上記では、Y軸コラム20がX軸ビーム30の長手方向の一端部を支持する片持ち支持構造であることとしたが、これに限定されない。例えば、X軸ビーム30の長手方向の両端部をそれぞれ支持するコラムを二つ設けてもよい。
また、上記では、固定されたベース10に立設されたYコラム20に支持されたX軸ビーム30がY軸方向に移動することとしたが、これに限定されない。例えば、X軸ビーム30が固定され、ベース10がY軸方向に移動してもよい。すなわち、X軸ビーム30は、ベース10に対して相対的にY軸方向に相対移動可能であればよい。
【0038】
(1−3.第1の実施形態における効果)
上述したように、第1の実施形態においては、ケーブル55が、X軸ビーム30からY軸コラム20の中空部22を通過して制御装置52へ配線されている。
かかる場合には、X軸ビーム30の移動に伴って移動するケーブル55が中空部22内に収容されるので、ケーブル55が外部へ露出することを防止できる。これにより、Y軸コラム20の周辺にケーブル55を配線させるスペースを確保する必要がなくなるので、省スペース化が可能となる。また、ケーブル55が外部へ露出しないことで、ケーブル55が汚れることを防止できると共に、座標測定装置1の美感が損なわれることを防止できる。
【0039】
<2.第2の実施形態>
(2−1.座標測定装置の構成)
図5を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る座標測定装置1の構成について説明する。
【0040】
図5は、第2の実施形態に係る座標測定装置1の構成の一例を示す斜視図である。第2の実施形態に係る座標測定装置1は、図5に示すように、ベース10と、Y軸コラム120と、X軸ビーム130と、Z軸スピンドル40と、プローブ42と、設置台50と、支持アーム60と、スライド機構70とを有する。ベース10、Z軸スピンドル40、プローブ42及び設置台50の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0041】
X軸ビーム130は、第1の実施形態で説明したX軸ビーム30(図1)と同様に、X軸方向に延びている梁状の部材である。移動体であるX軸ビーム130は、Y軸方向に移動する。
【0042】
Y軸コラム120は、X軸方向の一端側において、Y軸方向に延びるように設けられている。Y軸コラム120は、X軸ビーム130の長手方向(X軸方向)の一端部を移動可能に支持する。Y軸コラム120は、第1の実施形態のX軸ビーム30と同様に、内部に中空部(図2の中空部22)を有する。中空部には、X軸ビーム130と制御装置(図2の制御装置52)と接続するケーブル(図2のケーブル55)が通過する。これにより、ケーブルが外部に露出することを防止できる。
【0043】
支持アーム60は、ディスプレイ80、キーボード81、マウス82及びジョイスティック83を支持する。支持アーム60は、測定結果を表示する表示装置であるディスプレイ80を支持する第1支持部61と、入力装置であるキーボード81及びマウス82を支持する第2支持部62と、測定者がX軸ビーム130及びZ軸スピンドル40の移動を操作可能なジョイスティック83を支持する第3支持部63とを有する。第1支持部61及び第2支持部62は、ディスプレイ80等の向きを調整できるように、アーム本体60aに対して回動可能な構成となっている。
【0044】
なお、支持アーム60は、ディスプレイ80、キーボード81、マウス82及びジョイスティック83の全てを支持しなくてもよい。例えば、ディスプレイ80にタッチパネルが重畳されている場合には、支持アーム60は、ディスプレイ80を支持する一方で、キーボード81やマウス82を支持しなくてもよい。
【0045】
スライド機構70は、支持アーム60をY軸方向にスライドさせる。スライド機構70は、設置台50におけるY軸コラム120が設けられている側とは反対側の端部に設けられている。支持アーム60は、スライド機構70によって、図5において実線で示す位置(前方位置)と二点鎖線で示す位置(後方位置)との間でスライドする。例えば、測定中でない場合には、支持アーム60が後方位置に位置することで、測定者は被測定物をベース10に載置しやすくなる。一方で、測定の際には、支持アーム60が前方位置に位置することで、操作者がディスプレイ80の表示を視認しやすくなると共に、キーボード81等の入力操作を行いやすくなる。
【0046】
(2−2.スライド機構の詳細)
図6及び図7を参照しながら、スライド機構70の詳細について説明する。
図6は、スライド機構70の構造を示す斜視図である。図7は、支持アーム60のスライド機構70への連結構造を説明するための図である。
【0047】
図6に示すように、スライド機構70は、設置台50の側面51に設けられたレール部71を有する。レール部71は、固定ネジ73で側面51の上方(別言すれば、ベース10の下)に固定されている。レール部71には、支持アーム60がスライド可能に連結されている。レール部71は、Y軸方向に沿って設けられており、支持アーム60のY軸方向の移動をガイドする。レール部71の支持アーム60が連結される面には、Y軸方向に沿ってスロット72が形成されている。
【0048】
図7に示すように、支持アーム60の下部65は、ネジ66が差込口であるスロット72内をスライド可能なスライダと螺合することで、レール部71にスライド可能に連結している。例えば、ネジ66を締めることにより、スロット72が下部65側に引き込まれて、下部65とレール部71が連結される。かかる場合には、簡易な構成にて、支持アーム60をY軸方向にスライドさせることが可能となる。
【0049】
スライド機構70には、支持アーム60のスライド位置をロックするロック機構が設けられていてもよい。例えば、ロック機構は、後方位置(図5の二点鎖線で示す位置)に位置する支持アーム60をロックする。測定者は、例えば測定する際に、ロック機構を解除して支持アーム60を前方位置(図5の実線で示す位置)へ移動させる。ロック機構を設けることで、例えば座標測定装置1に外力が働いた際に支持アーム60が移動してしまうことを防止できる。
【0050】
なお、上記では、図5に示すように、Y軸コラム120がX軸方向(第1方向に該当)の一端側に設けられ、スライド機構70がX軸方向の他端側に設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、スライド機構70の設置箇所は、図8に示すような位置であってもよい。
【0051】
図8は、スライド機構70の設置箇所の変形例を説明するための模式図である。図8では、座標測定装置1を上方から見た図であり、説明の便宜上、ベース10、Y軸コラム20及びスライド機構70のみを示している。また、図8では、測定者Pが、座標測定装置1の前の位置(測定時の位置)にいるものとする。
【0052】
Y軸コラム20は、測定者Pから見てベース10の奥側、具体的にはX軸方向(第2方向に該当)の一端側に設けられている。スライド機構70は、X軸方向と直交するY軸方向の両端側に、それぞれ設けられている。そして、変形例においては、支持アーム60(図5参照)は、二つのレール部71のいずれか一方に着脱可能に連結されている。かかる場合には、座標測定装置1の設置場所や測定者の利き手等に応じて、支持アーム60を取り付けることが可能となるので、利便性の高い座標測定装置1を実現できる。
【0053】
変形例ではY軸方向の両端側にスライド機構70が設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、スライド機構70は、Y軸方向の一端側又は他端側に設けられていてもよい。
【0054】
また、上記では、スライド機構70が、設置台50の側面51(図6)に設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、スライド機構70は、ベース10の側面に設けられていてもよい。ただし、石材製のベース10に比べて、金属製の設置台50の方がスライド機構70を取り付けるための加工を施しやすいので、スライド機構70を設置台50に設ける方が望ましい。
【0055】
(2−3.第2の実施形態における効果)
上述したように、第2の実施形態においては、スライド機構70が、ディスプレイ80等を支持する支持アーム60をスライドさせる。具体的には、図5に示すように、支持アーム60がY軸方向において前方位置と後方位置との間でスライドする。
かかる場合には、座標測定装置1の使用状態に応じて支持アーム60をスライドさせることができる。例えば、測定していない場合には支持アーム60を後方位置に位置させることで、測定者は、ベース10に被測定物を載置したり、ベース10から被測定物を取り除いたりする際に、支持アーム60に支持されたディスプレイ80等が邪魔にならず、操作しやすくなる。一方で、測定の際には、支持アーム60を前方位置に位置させることで、ディスプレイ80の表示内容を視認しやすくなると共に、キーボード81等の入力操作を行いやすくなる。
【0056】
また、第2の実施形態でも、X軸ビーム130と制御装置を接続するケーブル(図2のケーブル55)が、第1の実施形態のY軸コラム20と同様に、Y軸コラム120の内部の中空部を通過している。かかる場合には、ケーブルが支持アーム60の移動を妨げることを防止できるので、支持アーム60をスライドさせる座標測定装置1において効果がより有効に奏される。
【0057】
なお、上記では、座標測定装置1が、ベース10上に載置された被測定物の外形の座標を測定する三次元測定装置であることとしたが、これに限定されない。例えば、座標測定装置1は、ベース10上の載置された被測定物を、移動しながら撮像する測定装置であってもよい。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0059】
1 座標測定装置
10 ベース
12 貫通孔
20 Y軸コラム
22 中空部
24 開口部
30 X軸ビーム
50 設置台
52 制御装置
55 ケーブル
60 支持アーム
70 スライド機構
71 レール部
120 Y軸コラム
130 X軸ビーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8