特許第6601089号(P6601089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6601089-通信光可視化構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6601089
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】通信光可視化構造
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20191028BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   G02B6/42
   G02B6/36
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-184103(P2015-184103)
(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公開番号】特開2017-58549(P2017-58549A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】大越 幹夫
【審査官】 岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−200707(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0074616(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26−6/27,
G02B 6/30−6/34,
G02B 6/42−6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一光通信路を通じて伝送される第一通信光の一部が第一漏洩光として取り出される第一光取出空間と第二光通信路を通じて伝送される第二通信光の一部が第二漏洩光として取り出される第二光取出空間とに連通される開口部と、前記開口部に形成される案内溝と、
を有している二連型LC用通信光可視化アダプタと、
前記開口部に着脱自在に収容されると共に前記開口部と同一の断面形状に形成される台座部と、前記台座部に配置されると共に前記第一光取出空間に臨んで前記第一漏洩光を受光する第一受光部と、前記台座部に配置されると共に前記第二光取出空間に臨んで前記第二漏洩光を受光する第二受光部と、前記台座部から前記第一受光部と前記第二受光部との間に延在して形成されると共に前記台座部が前記開口部に収容されるときに前記案内溝に案内されて前記第一光取出空間と前記第二光取出空間とを遮光する遮光壁と、前記第一光通信路における通信状況と前記第二光通信路における通信状況とを個別に表示する表示部と、を有している二連型LC用通信光検知器と、
を備えており、
前記案内溝は、前記開口部と前記台座部の断面形状が一方向のみでしか合致しない異形状となる位置に形成され
前記二連型LC用通信光可視化アダプタは樹脂製であり、
前記遮光壁は、金属板が樹脂中にインサート成形されてなる
ことを特徴とする通信光可視化構造。
【請求項2】
前記第一受光部と前記第二受光部は、可視光を遮光する樹脂モールドで被覆されている請求項1に記載の通信光可視化構造。
【請求項3】
前記第一受光部と前記第二受光部は、面実装型受光素子からなる請求項1又は2に記載の通信光可視化構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信路における通信状況の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光を可視化するための通信光可視化構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光通信関連設備においては、光通信路における通信状況(例えば、光通信路が使用中であるか否か)の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光を可視化するための通信光可視化構造が使用されている。
【0003】
従来の通信光可視化構造としては、例えば、第一光通信路を通じて伝送される第一通信光の一部と第二光通信路を通じて伝送される第二通信光の一部とを纏めて漏洩光として取り出すための二連型LC用通信光可視化アダプタと、二連型LC用通信光可視化アダプタを通じて取り出される漏洩光を検知すると共に第一光通信路と第二光通信路の少なくとも一つが使用中であるか否かを人間が目視確認できる形態で出力するための二連型LC用通信光検知器と、を備えるものが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−145676号公報
【特許文献2】特開2010−231082号公報
【特許文献3】特開2011−013359号公報
【特許文献4】特開2011−013360号公報
【特許文献5】特開2013−228678号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】鈴木香菜子、外7名、「LC型に対応した通信光可視化コネクタ」、日立金属技報、日立金属株式会社、2014年、Vol.30、p.40-45
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の通信光可視化構造は、第一光通信路を通じて伝送される第一通信光と第二光通信路を通じて伝送される第二通信光とを個別に検知することはできず、第一光通信路における通信状況と第二光通信路における通信状況とを個別に判断することができないという課題を抱えている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、第一光通信路における通信状況と第二光通信路における通信状況とを個別に判断することが可能な通信光可視化構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第一光通信路を通じて伝送される第一通信光の一部が第一漏洩光として取り出される第一光取出空間と第二光通信路を通じて伝送される第二通信光の一部が第二漏洩光として取り出される第二光取出空間とに連通される開口部と、前記開口部に形成される案内溝と、を有している二連型LC用通信光可視化アダプタと、前記開口部に着脱自在に収容されると共に前記開口部と同一の断面形状に形成される台座部と、前記台座部に配置されると共に前記第一光取出空間に臨んで前記第一漏洩光を受光する第一受光部と、前記台座部に配置されると共に前記第二光取出空間に臨んで前記第二漏洩光を受光する第二受光部と、前記台座部から前記第一受光部と前記第二受光部との間に延在して形成されると共に前記台座部が前記開口部に収容されるときに前記案内溝に案内されて前記第一光取出空間と前記第二光取出空間とを遮光する遮光壁と、前記第一光通信路における通信状況と前記第二光通信路における通信状況とを個別に表示する表示部と、を有している二連型LC用通信光検知器と、を備えており、前記案内溝は、前記開口部と前記台座部の断面形状が一方向のみでしか合致しない異形状となる位置に形成されている通信光可視化構造である。
【0009】
前記遮光壁は、金属板が樹脂中にインサート成形されてなることが望ましい。
【0010】
前記第一受光部と前記第二受光部は、可視光を遮光する樹脂モールドで被覆されていることが望ましい。
【0011】
前記第一受光部と前記第二受光部は、面実装型受光素子からなることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第一光通信路における通信状況と第二光通信路における通信状況とを個別に判断することが可能な通信光可視化構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る通信光可視化構造を示す斜視図である。
図2図1のA−A線部分断面図である。
図3図1の二連型LC用通信光可視化アダプタを示す上方斜視図である。
図4図1の二連型LC用通信光検知器を示す上方斜視図である。
図5図1の二連型LC用通信光検知器を示す下方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に順って説明する。
【0015】
図1,2に示す通り、本発明の実施の形態に係る通信光可視化構造100は、第一光通信路101を通じて伝送される第一通信光102の一部を第一漏洩光103として取り出すと共に第二光通信路104を通じて伝送される第二通信光105の一部を第二漏洩光106として取り出すための二連型LC用通信光可視化アダプタ107と、二連型LC用通信光可視化アダプタ107を通じて取り出される第一漏洩光103と第二漏洩光106のそれぞれを第一受光部108と第二受光部109とを使用して個別に検知すると共に第一光通信路101と第二光通信路104のそれぞれが使用中であるか否かを人間が目視確認できる形態で個別に出力するための二連型LC用通信光検知器110と、を備えている。
【0016】
図2,3に示す通り、二連型LC用通信光可視化アダプタ107は、第一光通信路101を通じて伝送される第一通信光102の一部が第一漏洩光103として取り出される第一光取出空間111と第二光通信路104を通じて伝送される第二通信光105の一部が第二漏洩光106として取り出される第二光取出空間112とに連通される開口部113と、開口部113に形成される案内溝114と、を有している。
【0017】
第一光通信路101と第二光通信路104は、例えば、クラッドがコアの周囲に形成されてなる光ファイバからなり、第一光通信路101を通じて伝送される第一通信光102の一部と第二光通信路104を通じて伝送される第二通信光105の一部は、例えば、第一光通信路101の途中と第二光通信路104の途中とに設けられる光取出部(不図示)を通じて取り出される。
【0018】
なお、光取出部は、光ファイバに溝を設けたり、光ファイバの光軸をずらしたりすることにより形成することができる(例えば、特許文献1から5を参照)。
【0019】
第一光取出空間111と第二光取出空間112は、二連型LC用通信光検知器110が二連型LC用通信光可視化アダプタ107に取り付けられていないときは相互に連通されているが、二連型LC用通信光検知器110が二連型LC用通信光可視化アダプタ107に取り付けられているときは相互に遮光されている。
【0020】
そのため、第一光通信路101における通信状況の目視確認と第二光通信路104における通信状況の目視確認とを行うときの第一漏洩光103と第二漏洩光106との干渉(クロストーク)を抑制することができ、第一光通信路101における通信状況と第二光通信路104における通信状況とを個別に判断することが可能となる。
【0021】
更に、第一光取出空間111と第二光取出空間112は、二連型LC用通信光検知器110が二連型LC用通信光可視化アダプタ107に取り付けられていないときは開口部113を通じて他の空間と連通されているが、二連型LC用通信光検知器110が二連型LC用通信光可視化アダプタ107に取り付けられているときは他の空間と光学的に隔離されている。
【0022】
開口部113は、二連型LC用通信光検知器110が二連型LC用通信光可視化アダプタ107に取り付けられるときに、第一受光部108と第二受光部109とを収容する。収容された二連型LC用通信光検知器110は、第一受光部108が第一漏洩光103のみを受光することができると共に第二受光部109が第二漏洩光106のみを受光することができるように、第一受光部108と第二受光部109とを外光から遮光する。
【0023】
これらにより、第一漏洩光103と外光との干渉、並びに第二漏洩光106と外光との干渉が抑制されるため、第一光通信路101における通信状況と第二光通信路104における通信状況とを正確に判断することが可能となる。
【0024】
案内溝114は、開口部113と後述する台座部115の断面形状が一方向のみでしか合致しない異形状となる位置に形成されている。
【0025】
これにより、二連型LC用通信光検知器110が二連型LC用通信光可視化アダプタ107に取り付けられるときに二連型LC用通信光可視化アダプタ107に対する二連型LC用通信光検知器110の向きが一意に決まり、第一光通信路101における通信状況と第二光通信路104における通信状況とを誤認して逆に判断してしまうことを防止することが可能となる。
【0026】
図2,4,5に示す通り、二連型LC用通信光検知器110は、開口部113に着脱自在に収容されると共に開口部113と同一の断面形状に形成される台座部115と、台座部115に配置されると共に第一光取出空間111に臨んで第一漏洩光103を受光する第一受光部108と、台座部115に配置されると共に第二光取出空間112に臨んで第二漏洩光106を受光する第二受光部109と、台座部115から第一受光部108と第二受光部109との間に延在して形成されると共に台座部115が開口部113に収容されるときに案内溝114に案内されて第一光取出空間111と第二光取出空間112とを遮光する遮光壁116と、第一光通信路101における通信状況と第二光通信路104における通信状況とを個別に表示する表示部117と、を有している。
【0027】
台座部115は、二連型LC用通信光検知器110が二連型LC用通信光可視化アダプタ107に取り付けられるときに開口部113に収容される。
【0028】
これにより、第一受光部108を第一光通信路101の光取出部に近接させることができると共に第二受光部109を第二光通信路104の光取出部に近接させることができるため、光取出部を通じて取り出される漏洩光の光量が少なくても、即ち、光取出部における伝送損失を最小限に抑えても、第一受光部108によって第一漏洩光103を確実に検知することが可能となり、また第二受光部109によって第二漏洩光106を確実に検知することが可能となる。
【0029】
また、先記の通り、二連型LC用通信光検知器110が二連型LC用通信光可視化アダプタ107に取り付けられるときに台座部115が開口部113に収容されるため、第一漏洩光103と外光との干渉、並びに第二漏洩光106と外光との干渉が抑制されるため、第一光通信路101における通信状況と第二光通信路104における通信状況とを正確に判断することが可能となる。
【0030】
第一受光部108と第二受光部109は、外光(可視光)を遮光する樹脂モールド118で被覆されていることが望ましい。これにより、外光が第一受光部108と第二受光部109とに到達することを抑制することができるため、第一漏洩光103と外光との干渉、並びに第二漏洩光106と外光との干渉を効果的に抑制することが可能となる。
【0031】
また、第一受光部108と第二受光部109は、面実装型受光素子からなることが望ましい。これにより、第一受光部108を第一光通信路101の光取出部に近接させることができると共に第二受光部109を第二光通信路104の光取出部に近接させることができるため、第一光通信路101における通信状況と第二光通信路104における通信状況とを正確に判断することが可能となる。
【0032】
遮光壁116は、金属板119が樹脂中にインサート成形されてなることが望ましい。これにより、たとえ第一漏洩光103や第二漏洩光106が樹脂中を透過したとしても、金属板119で確実に反射させることができるため、第一漏洩光103と第二漏洩光106との干渉を効果的に防止すると共に第一漏洩光103と第二漏洩光106とを第一受光部108と第二受光部109とで効率的に受光することが可能となる。
【0033】
表示部117は、例えば、発光素子や液晶画面を通じて第一光通信路101と第二光通信路104のそれぞれが使用中であるか否かを人間が目視確認できる形態で個別に出力する。これにより、第一光通信路101における通信状況と第二光通信路104における通信状況とを目視確認することが可能となる。
【0034】
また、表示部117は、電源スイッチ120を通じて電源がオン/オフされる。これにより、無駄な電力消費を無くすことが可能となる。
【0035】
なお、通信光可視化構造100においては、遮光の必要な部分に黒色の樹脂、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を使用することができる。
【0036】
以上の通り、本発明によれば、第一光通信路101における通信状況と第二光通信路104における通信状況とを個別に判断することが可能な通信光可視化構造100を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
100 通信光可視化構造
101 第一光通信路
102 第一通信光
103 第一漏洩光
104 第二光通信路
105 第二通信光
106 第二漏洩光
107 二連型LC用通信光可視化アダプタ
108 第一受光部
109 第二受光部
110 二連型LC用通信光検知器
111 第一光取出空間
112 第二光取出空間
113 開口部
114 案内溝
115 台座部
116 遮光壁
117 表示部
118 樹脂モールド
119 金属板
120 電源スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5