特許第6601517号(P6601517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6601517
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】好気性生物処理装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20060101AFI20191028BHJP
   C02F 3/08 20060101ALI20191028BHJP
   B01F 1/00 20060101ALI20191028BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20191028BHJP
   B01F 5/06 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   C02F3/12 J
   C02F3/12 A
   C02F3/08 B
   B01F1/00 A
   B01F3/04 Z
   B01F5/06
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-28200(P2018-28200)
(22)【出願日】2018年2月20日
(65)【公開番号】特開2019-141786(P2019-141786A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀樹
【審査官】 田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−090093(JP,A)
【文献】 特表2006−518661(JP,A)
【文献】 特開2010−253397(JP,A)
【文献】 特開2013−202544(JP,A)
【文献】 特開2014−036959(JP,A)
【文献】 特表2018−500166(JP,A)
【文献】 特開2015−006643(JP,A)
【文献】 特開昭57−068195(JP,A)
【文献】 特開2006−087310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00−3/34
B01D 53/22
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
B01F 1/00− 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応槽と、
該反応槽内に充填された流動床担体と、
該反応槽内に設置された酸素溶解膜モジュールと、
該酸素溶解膜モジュールに酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、
を備えてなる好気性生物処理装置の運転方法であって、
該酸素溶解膜モジュールは非多孔質の酸素溶解膜を備えており、
該反応槽の上部清澄領域の処理水又は該反応槽から流出する処理水の溶存酸素濃度を測定し、この溶存酸素濃度が1mg/L以下となるように前記酸素含有ガス供給手段を制御する好気性生物処理装置の運転方法。
【請求項2】
前記溶存酸素濃度が0.01〜1mg/Lとなるように制御を行う請求項1の好気性生物処理装置の運転方法。
【請求項3】
前記溶存酸素濃度が0.2〜1mg/Lとなるように制御を行う請求項1の好気性生物処理装置の運転方法。
【請求項4】
前記酸素溶解膜が疎水性である請求項1〜3のいずれかに記載の好気性生物処理装置の運転方法。
【請求項5】
前記酸素溶解膜は、中空糸膜であり、該中空糸膜内に前記酸素含有ガスが供給され、酸素分子が膜に溶解し、酸素分子として前記反応槽内の水に直接に溶解する請求項1〜4のいずれかの好気性生物処理装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性排水の好気性生物処理装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
好気性生物処理方法は安価であるため有機性廃水の処理法として多用されている。本方法では、被処理水への酸素の溶解が必要であり、通常は散気管による曝気が行われている。
【0003】
散気管による曝気は溶解効率が5〜20%程度と低い。また、散気管の設置される水深にかかる水圧以上の圧力で曝気することが必要であり、高圧で多量の空気を送風するため、ブロワの電力費が高い。通常は、好気性生物処理における電力費の2/3以上が酸素溶解のために使用されている。
【0004】
中空糸膜を用いたメンブレンエアレーションバイオリアクター(MABR)は、気泡の発生なしで酸素溶解できる。MABRでは、水深にかかる水圧よりも低い圧力の空気を通気すればよいため、ブロワの必要圧力が低く、また、酸素の溶解効率が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−87310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、酸素溶解膜内から水中への酸素供給量を必要最小限とし、酸素含有ガス供給のための動力コストを低くすることができる好気性生物処理装置の運転方法を提供することを目的とする。また、本発明は、その一態様において、余剰汚泥の生成量を減少させることができる好気性生物処理装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好気性生物処理装置の運転方法は、反応槽と、該反応槽内に充填された流動床担体と、該反応槽内に設置された酸素溶解膜モジュールと、該酸素溶解膜モジュールに酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、を備えてなる好気性生物処理装置の運転方法であって、該反応槽の上部清澄領域の処理水又は該反応槽から流出する処理水の溶存酸素濃度を測定し、この溶存酸素濃度が1mg/L以下となるように酸素含有ガス供給手段を制御する。
【0008】
本発明の一態様では、前記溶存酸素濃度(DO)が0.01〜1mg/L特に0.2〜1mg/Lとなるように制御を行う。
【0009】
本発明の一態様では、酸素溶解膜モジュールは非多孔質の酸素溶解膜を備えている。
【0010】
本発明の一態様では、酸素溶解膜が疎水性である。
【0011】
本発明の一態様では、反応槽内に流動床担体が充填されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の好気性生物処理装置の運転方法では、処理水のDOが1mg/L以下となるように制御することにより、酸素含有ガスの供給量が過剰とならず、酸素含有ガスの供給のための動力コスト(例えばブロワの電力コスト)を低減することができる。
【0013】
処理水のDOが0.01mg/L〜1mg/Lであれば、酸素含有ガスの供給不足が防止される。処理水のDOが0.2〜1mg/Lであれば、反応槽内のワムシの個体数が増え反応槽の汚泥がワムシ等の微小動物で捕食されるので、余剰汚泥が減少する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態に係る生物処理装置の縦断面図である。
図2】(a)は酸素溶解膜ユニットの側面図、(b)は酸素溶解膜ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
【0016】
図1は実施の形態に係る好気性生物処理装置1の縦断面図である。この好気性生物処理装置1は、反応槽(槽体)2と、該反応槽2の下部に水平に設置されたパンチングプレート等の多孔板や、平板に複数の分散ノズルを均等に設けたものなどの透水板3と、該透水板3の上側に形成された大径粒子層4と、該大径粒子層4の上側に形成された小径粒子層5と、小径粒子層5の上側に粉粒状活性炭等の生物付着担体の充填により形成された流動床Fと、流動床F内に少なくとも一部が配置された酸素溶解膜モジュール6と、前記透水板3の下側に形成された受入室7と、該受入室7内に原水を供給する原水散布管8と、充填層の洗浄時に逆洗のためのガス等が供給される洗浄配管9と、酸素溶解膜モジュール6に空気等の酸素含有ガスを供給するためのブロワ26等を有する。反応槽2の上部には、処理水を流出させるためのトラフ10及び流出口11が設けられている。トラフ10は槽内壁に沿って環状流路を形成している。
【0017】
この反応槽2の上部か、又は流出口11に連なる処理水取出用配管12にDO計13が設置され、その検出信号がブロワ制御器14に入力されている。
【0018】
図1は、反応槽に流動床担体を充填して、酸素溶解膜の表面への生物膜の付着を担体の流動による剪断力によって抑制して生物膜の大部分が流動床担体に付着するようにしたものであり、このとき、酸素溶解膜は酸素供給の目的のみに用いられる。一方、図示しないが、反応槽に流動床担体を充填しないときは、酸素溶解膜はMABRとして作用する、つまり酸素溶解膜の表面に生物膜が付着して酸素溶解膜の一次側から溶解・供給された酸素が二次側の生物膜に消費されて好気性生物処理が行われる。
【0019】
図1では、酸素溶解膜として非多孔質(ノンポーラス)の酸素溶解膜を用い、酸素含有気体を槽外から配管を通じて酸素溶解膜の一次側に通気して、排気は配管を通じて槽外に排出するように構成している。そのため、酸素含有気体を、低圧で酸素溶解膜に通気し、酸素を酸素分子として酸素溶解膜の構成原子の間を通過し(膜に溶解し)、酸素分子として被処理水と接触させる(水に直接溶解させるので気泡を生じない)という、いわば濃度勾配による分子拡散のメカニズムを用いた処理を行っているため、従来のように散気管などによる散気が不要となる。
【0020】
また酸素溶解膜として疎水性の素材を用いると膜中に浸水しづらいので好ましいが、疎水性であっても微量の水蒸気の侵入は免れない。
【0021】
図2は、酸素溶解膜モジュール6の一例を示している。この酸素溶解膜モジュール6は酸素溶解膜として非多孔質の中空糸膜22を用いたものである。この実施の形態では、中空糸膜22は上下方向に配列されており、各中空糸膜22の上端は上部ヘッダー20に連なり、下端は下部ヘッダー21に連なっている。中空糸膜22の内部は、それぞれ上部ヘッダー20及び下部ヘッダー21内に連通している。各ヘッダー20,21は中空管状である。なお、平膜やスパイラル膜を用いる場合にも、通気方向が上下方向となるように配列されることが望ましい。
【0022】
図2(b)の通り、1対のヘッダー20,21と中空糸膜22とからなるユニットが複数個平行に配列されている。図2(a)の通り、各上部ヘッダー20の一端又は両端が上部マニホルド23に連結され、各下部ヘッダー21の一端又は両端が下部マニホルド24に連結されていることが好ましい。
【0023】
この実施の形態では、ブロワ26から給気配管27を介して酸素溶解膜モジュール6の下部に酸素含有ガスとして空気を供給し、酸素溶解膜モジュール6の上部から非透過ガスを排ガス配管28から排出する。空気等の酸素含有ガスは下部ヘッダー21から中空糸膜22を通って上部ヘッダー20へ流れ、この間に酸素が中空糸膜22を透過して反応槽2内の水に溶解する。
【0024】
このブロワ26からの空気の供給量は、制御器14によって制御される。
【0025】
各ヘッダー20,21及び各マニホルド23,24は流水勾配を有するように設けられてもよい。酸素溶解膜モジュール6は上下に多段に設置されてもよい。
【0026】
この酸素溶解膜モジュール6に空気を供給するために、ブロワ26と給気配管27とが設けられており(酸素含有ガス供給手段を構成)、該給気配管27が下部マニホルド24に接続されている。上部マニホルド23には排ガス配管28が接続されている。
【0027】
このように構成された好気性生物処理装置1において、原水は散布管8を通じて受入室7に導入され、透水板3及び大径・小径の粒子層4,5を上向流通水されてSSが濾過され、次いで生物膜付着の粉粒状活性炭の流動床Fにおいて、一過式で上向流通水され生物反応を行って上部清澄領域からトラフ10と流出口11を通じて処理水として取り出される。
【0028】
給気配管27から供給された空気等の酸素含有気体は、酸素溶解膜モジュール6を上向流通気した後、酸素溶解モジュール6の上端位置より流出し、排空気は排ガス配管28から大気中へ排出される。
【0029】
本発明では、活性炭等の生物担体の流動床に非多孔性の酸素溶解膜を設置することで、供給酸素量が多くなるため、対象とする原水の有機性排水濃度に上限が無い。
【0030】
また、生物担体を流動床で運転するため、激しい撹乱にさらされることがない。したがって、多量の生物を安定して維持できるため、負荷を高くとることができる。
【0031】
また、本発明では酸素溶解膜を使用するため、プリエアレーション、直接曝気と比較すると、酸素の溶解動力が小さい。
【0032】
これらのことから、本発明によると、低濃度から高濃度までの有機性排水を高負荷で、かつ安価に処理することが可能となる。
【0033】
<生物担体>
生物担体としては、活性炭が好適である。
【0034】
流動床担体の充填量は反応槽の容積の30〜70%程度、特に40〜60%程度が好ましい。この充填量は、多いほうが生物量が多く活性は高いが、多すぎると担体が流出するおそれがある。従って、流動床が20〜50%程度展開するLV(例えば7〜30m/hr特に8〜15m/hr程度)で通水するのが良い。
【0035】
なお、流動床担体として活性炭以外のゲル状物質、多孔質材、非多孔質材等も同様の条件で使用できる。例えば、ポリビニルアルコールゲル、ポリアクリルアミドゲル、ポリウレタンフォーム、アルギン酸カルシウムゲル、ゼオライト、プラスチック等も用いることができる。ただし、担体として活性炭を用いると、活性炭の吸着作用と生物分解作用による相互作用により、広範囲な汚濁物質の除去を行うことが可能である。
【0036】
活性炭の平均粒径は0.2〜1.2mm特に0.3〜0.6mm程度が好ましい。平均粒径が大きいと高LVとすることが可能であり、処理水の一部を反応槽に循環する場合は循環量を増やせるため高負荷が可能となる。しかし、比表面積が小さくなるため、生物量が少なくなる。平均粒径が小さいと、低LVで流動できるため、ポンプ動力が安価となる。かつ、比表面積が大きいため、付着生物量が増える。
【0037】
最適粒径は廃水の濃度にも依存し、TOC:50mg/Lであれば0.2〜0.4mm程度が好ましい。
【0038】
流動床の展開率は、20〜50%程度が好ましい。展開率が20%よりも低いと、目詰まり、短絡のおそれがある。展開率が50%よりも高いと、担体の流出のおそれがあると共に、ポンプ動力コストが高くなる。
【0039】
通常の生物活性炭では、活性炭流動床の展開率は10〜20%程度であるがこの場合、活性炭の流動状態が不均一で上下左右に流動する。結果として同時に設置した膜が活性炭によってこすられ、すり減って消耗することになる。これを防止するため、本発明では、活性炭等の流動床担体は十分に流動させることが必要で、展開率は20%以上とするのが望ましい。このため、担体の粒径は通常の生物活性炭よりも小さいほうが好ましい。なお、活性炭の場合、やしがら炭、石炭、木炭等、特に限定されない。形状は球状炭が好ましいが、通常の粒状炭や破砕炭でも良い。
【0040】
<酸素含有ガス>
酸素含有ガスは空気、酸素富化空気、純酸素等、酸素を含む気体であればよい。通気する気体はフィルターを通過させて微細粒子を予め除去することが望ましい。
【0041】
通気量はDO計13で検出されるDOが1mg/L以下となるようにする。このように処理水DOを1mg/L以下とすることにより、ブロワ26の消費電力を抑制することができる。また、DOがほぼ0mg/Lであると、硝化と脱窒とが同時に進行するため、生物処理効率が向上する。なお、DOが過度に多くなると、活性炭に付着する生物膜が肥大化し、生物膜の深部にまで酸素が行き届かなくなり、生物膜深部が嫌気化して生物反応効率が低下するおそれがある。また、肥大化した生物膜付着活性炭が反応槽外に流失するおそれもある。
【0042】
DOの下限値は、0(ゼロ)でもよいが、好気処理に必要な酸素が供給されていることを確認するために、0.01mg/L以上特に0.2mg/L以上であることが好ましい。
【0043】
本発明の一態様では、DO計13の検出DOが0.2〜1mg/Lとなるようにする。DOを0.2mg/L以上とすることにより、反応槽2内のワムシ生育量が増加し、ワムシによって汚泥が捕食され、汚泥が減容され、余剰汚泥が少なくなる。
【0044】
本発明では、DOが1mg/L以下となるように酸素含有ガス供給量を少なくするところから、酸素含有ガスを中空糸膜22に上向きに流すことが好ましい。これは、反応槽1内では、下部に原水が供給されるため、下部ほど膜透過酸素量が多いことが好ましいためである。酸素含有ガスを中空糸膜22の下端に供給すると、中空糸膜22内の下部ほど酸素分圧が高く、上部になる程(酸素が透過して水中に溶解していくため)酸素分圧が低くなる。反応槽2内の上部ほど、水中のTOC成分濃度は低くなるので、中空糸膜22内の酸素分圧が中空糸膜22上部で低くなり、それ故に中空糸膜22を透過する酸素の透過速度が小さくなっても、生物処理に必要な量の酸素が中空糸膜22を透過して水中に供給される。
【0045】
なお、空気等の酸素含有ガスを中空糸膜22に上向きに流すと、酸素含有ガスからの凝縮水が中空糸膜22内に滞留するおそれがある。
【0046】
そこで、本発明では、凝縮水を酸素透過膜モジュールの下部から流出させるための排水用配管を下部マニホルド24に接続し、通常運転時は酸素含有ガスを上向きに供給し、間欠的に酸素含有ガスを下向きに流し、凝縮水を排出する凝縮水排出運転を行うようにしてもよい。
【0047】
<被処理水の流速>
被処理水の反応槽内の流速はLV7m/hr以上とし、TOC濃度20mg/L以下の低濃度排水では処理水を循環せず、ワンパスで処理することもできる。一過式で処理するとポンプ動力削減することができる。
【0048】
LVを高くすると、それに比例して酸素溶解速度が向上する。LVが高い場合は、粒径が大きい活性炭を使い、展開率をあまり大きくしないようにするのが好ましい。生物量、酸素溶解速度から、最適LV範囲は7〜30m/hr特に8〜15m/hr程度である。
【0049】
<滞留時間>
槽負荷0.5〜4kg−TOC/m/dayとなるように滞留時間を設定するのが好ましい。
【0050】
<ブロワ>
ブロワは、吐出風圧が水深からくる水圧以下のもので十分である。但し、配管等の圧損以上であることは必要である。通常、配管抵抗は1〜2kPa程度である。
【0051】
5mの水深の場合、通常は0.55MPa程度までの出力の汎用ブロワが用いられ、それ以上の水深では高圧ブロワが用いられてきている。
【0052】
本発明では、5m以上の水深であっても0.5MPa以下の圧力の汎用ブロワを用いることができ、0.1MPa以下の低圧ブロワを用いることが好ましい。
【0053】
酸素含有ガスの供給圧は、中空糸膜の圧力損失より高く、さらに膜が水圧でつぶれないこと、が条件となる。平膜、スパイラル膜は膜の圧損が水圧と比較すると無視できるため、極めて低い圧力、5kPa程度以上、水深圧力以下、望ましくは20kPa以下である。
【0054】
中空糸膜の場合、内径と長さによって圧力損失は変化する。通気する空気量は膜1mあたり50〜200mL/dayであるから、膜長さが2倍になると空気量は2倍になり、膜径が2倍になっても空気量は2倍にしかならない。したがって、膜の圧力損失は膜長さに正比例し、直径に反比例する。
【0055】
圧力損失の値は、内径50μm、長さ2mの中空糸で3〜20kPa程度である。
【符号の説明】
【0056】
1 好気性生物処理装置
2 反応槽
6 酸素溶解膜モジュール
13 DO計
20,21 ヘッダー
22 中空糸膜
26 ブロワ
27 給気配管
28 排ガス配管
図1
図2