(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602030
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】前駆体のバルク気化のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20191028BHJP
C23C 16/448 20060101ALI20191028BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/448
C23C16/52
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-57019(P2015-57019)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-27611(P2016-27611A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2018年3月19日
(31)【優先権主張番号】14/227,503
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・リンド
【審査官】
正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−511272(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0050492(US,A1)
【文献】
特開2013−044043(JP,A)
【文献】
特表平10−500733(JP,A)
【文献】
特開平05−239652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/448
C23C 16/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状前駆体のための気化システムであって、
前記液状前駆体を格納するように、および前記液状前駆体を気化させて気化前駆体を生成するために前記液状前駆体内へキャリアガスを供給するように構成された発泡部分と、
前記発泡部分と流体連通するように配置され、N枚の加熱バッフルを含むバッフル部分と、
を備え、
Nは、1より大きい整数であり、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれは、それぞれの開放側がそれぞれのコイルを受けるように(i)前記バッフル部分の中心から外に向いて(ii)前記N枚の加熱バッフルのそれぞれ1つの外周縁の周辺部周りに延びる通路を含み、前記通路のそれぞれの前記開放側は、前記N枚の加熱バッフルの前記それぞれ1つの前記周辺部周りに延びて、前記N枚の加熱バッフルの外側領域に露出し、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれは、バッフル板および1つ以上のフランジを含み、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの前記1つ以上のフランジは、前記N枚の加熱バッフルの対応する1つから離れるように突出し、
前記N枚の加熱バッフルの隣り合うペアは、第1の加熱バッフルおよび第2の加熱バッフルを含み、
前記第1の加熱バッフルは、第1のフランジを含み、
前記第1のフランジは、前記第1の加熱バッフルから下向きに突出し、
前記第2の加熱バッフルは、前記第1の加熱バッフルの下に配置されて第2のフランジを含み、
前記第2のフランジは、前記第1のフランジおよび前記第2のフランジが前記第1の加熱バッフルおよび前記第2の加熱バッフルの対向面を隔てるように前記第1のフランジに上向きに突出して前記第1のフランジに接触し、
前記コイルは、前記N枚の加熱バッフルに熱エネルギを伝送し、
前記発泡部分によって生成された前記気化前駆体は、基板処理システムへ流れる前に前記N枚の加熱バッフルを通過する、気化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の気化システムであって、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれは、温度センサを含む、気化システム。
【請求項3】
請求項2に記載の気化システムであって、さらに、
前記温度センサの対応する1つからの温度信号に基づいて前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成されたコントローラを備える気化システム。
【請求項4】
請求項3に記載の気化システムであって、
前記コントローラは、前記発泡部分の温度を制御するように構成される、気化システム。
【請求項5】
請求項3に記載の気化システムであって、
前記コントローラは、前記N枚の加熱バッフルの前記発泡部分に近い方から数えて1枚目が、前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの前記発泡部分に近い方から数えて2枚目の第2の温度未満である第1の温度を有するように、前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成され、
前記第2の温度は、前記N枚の加熱バッフルの前記2枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの前記発泡部分に近い方から数えて3枚目の第3の温度未満である、気化システム。
【請求項6】
請求項1に記載の気化システムであって、
前記発泡部分は、
前記液状前駆体を格納するためのボディと、
前記キャリアガスを供給するための導管と、
空洞を形成するために前記ボディの底部に隣接して配置された多孔性媒体であって、前記キャリアガスは、前記多孔性媒体と前記底部との間の前記空洞へ送り込まれる、多孔性媒体と、
を含む、気化システム。
【請求項7】
請求項6に記載の気化システムであって、さらに、
前記空洞を形成するように前記底部から間隔を置いて前記多孔性媒体を固定するためのブラケットを備える気化システム。
【請求項8】
請求項1に記載の気化システムであって、
前記第1の加熱バッフルの前記バッフル板が、第1のパターンの孔を含み、
前記第2の加熱バッフルの前記バッフル板が、前記第1の加熱バッフルの前記バッフル板に隣接して配置されて第2のパターンの孔を含み、
前記第1のパターンの孔は、前記第2のパターンの孔からずれている、気化システム。
【請求項9】
請求項8に記載の気化システムであって、
前記第1の加熱バッフルは、さらに、前記第1の加熱バッフルの前記バッフル板の中心に配置されて前記キャリアガスのための導管を受けるように構成された孔を含む、気化システム。
【請求項10】
液状前駆体を気化させるための方法であって、
液状前駆体を発泡部分のボディに供給することと、
前記液状前駆体を気化させて気化前駆体を生成するために、前記液状前駆体内へキャリアガスを供給することと、
前記気化前駆体を受けるために、N枚の加熱バッフルを含むバッフル部分を前記発泡部分と流体連通するように配置することであって、Nは、1より大きい整数であり、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれは、それぞれの開放側がそれぞれのコイルを受けるように(i)前記バッフル部分の中心から外に向いて(ii)前記N枚の加熱バッフルのそれぞれ1つの外周縁の周辺部周りに延びる通路を含み、
前記コイルのそれぞれの部分は、前記N枚の加熱バッフルの前記それぞれ1つの前記周辺部周りに延びて、前記通路の対応する1つに配置されたときに、前記N枚の加熱バッフルの前記それぞれ1つの前記周辺部に沿って前記N枚の加熱バッフルの外側領域に露出し、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれは、バッフル板および1つ以上のフランジを含み、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの前記1つ以上のフランジは、前記N枚の加熱バッフルの対応する1つから離れるように突出し、
前記N枚の加熱バッフルの隣り合うペアは、第1の加熱バッフルおよび第2の加熱バッフルを含み、
前記第1の加熱バッフルは、第1のフランジを含み、
前記第1のフランジは、前記第1の加熱バッフルから下向きに突出し、
前記第2の加熱バッフルは、前記第1の加熱バッフルの下に配置されて第2のフランジを含み、
前記第2のフランジは、前記第1のフランジおよび前記第2のフランジが前記第1の加熱バッフルおよび前記第2の加熱バッフルの対向面を隔てるように前記第1のフランジに上向きに突出して前記第1のフランジに接触し、
前記コイルは、前記N枚の加熱バッフルに熱エネルギを伝送することと、
前記発泡部分によって生成された前記気化前駆体を、基板処理システムへ流す前に前記N枚の加熱バッフルに通すことと、
を備える方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
Nは、1より大きく、
前記方法は、さらに、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を感知することと、
前記感知された温度に基づいて前記温度を制御するために、前記N枚の加熱バッフルのそれぞれを選択的に加熱することと、
を備える方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、さらに、
N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を、
前記N枚の加熱バッフルの前記発泡部分に近い方から数えて1枚目が、前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの前記発泡部分に近い方から数えて2枚目の第2の温度未満である第1の温度を有するように、および
前記第2の温度は、前記N枚の加熱バッフルの前記2枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの前記発泡部分に近い方から数えて3枚目の第3の温度未満であるように、
制御することを備える方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記ボディの底部において空洞に隣接して多孔性媒体を配置することと、
前記多孔性媒体と前記底部との間の前記空洞にキャリアガスを送り込むことと、
を備える方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、さらに、
前記空洞を形成するように前記ボディの前記底部から間隔を置いて前記多孔性媒体を固定することを備える方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、
前記第1の加熱バッフルの前記バッフル板が、第1のパターンの孔を含み、
前記第2の加熱バッフルの前記バッフル板が、前記第1の加熱バッフルに隣接して配置されて第2のパターンの孔を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
前記第1の加熱バッフルの前記バッフル板を貫通する前記第1のパターンの孔を、前記第2のパターンの孔からずらすことを備える方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
前記第1の加熱バッフルの前記バッフル板の中心に孔を提供することと、
前記キャリアガスを供給するための導管を前記孔に通すことと、
を備える方法。
【請求項18】
液状前駆体のための気化システムであって、
発泡部分であって、
液状前駆体を格納するためのボディと、
前記液状前駆体を気化させて気化前駆体を生成するために前記液状前駆体内へキャリアガスを供給するための導管と、
を含む発泡部分と、
前記発泡部分と流体連通するように配置され、N枚の加熱バッフルを含むバッフル部分であって、Nは、1より大きい整数であり、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれは、
(i)温度センサ、および、
(ii)通路を含み、
前記通路は、
(a)前記バッフル部分の中心から外に向いて
(b)前記通路のそれぞれの開放側が複数のヒータのそれぞれ1つを受けるように、前記N枚の加熱バッフルのそれぞれ1つの外周縁の周辺部周りに延び、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれは、バッフル板および1つ以上のフランジを含み、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの前記1つ以上のフランジは、前記N枚の加熱バッフルの対応する1つから離れるように突出し、
前記N枚の加熱バッフルの隣り合うペアは、第1の加熱バッフルおよび第2の加熱バッフルを含み、
前記第1の加熱バッフルは、第1のフランジを含み、
前記第1のフランジは、前記第1の加熱バッフルから下向きに突出し、
前記第2の加熱バッフルは、前記第1の加熱バッフルの下に配置されて第2のフランジを含み、
前記第2のフランジは、前記第1のフランジおよび前記第2のフランジが前記第1の加熱バッフルおよび前記第2の加熱バッフルの対向面を隔てるように前記第1のフランジに上向きに突出して前記第1のフランジに接触し、
前記発泡部分によって生成された前記気化前駆体は、基板処理システムへ流れる前に、前記N枚の加熱バッフルを通過する、バッフル部分と、
前記ボディの底部に隣接して配置された多孔性媒体であって、前記キャリアガスは、前記多孔性媒体と前記底部との間の空洞に送り込まれる、多孔性媒体と、
を備える気化システム。
【請求項19】
請求項18に記載の気化システムであって、さらに、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成されたコントローラを備える気化システム。
【請求項20】
請求項19に記載の気化システムであって、
前記コントローラは、前記温度センサからの温度信号に基づいて前記発泡部分の前記ボディの温度を制御するように構成される、気化システム。
【請求項21】
請求項20に記載の気化システムであって、
前記コントローラは、前記N枚の加熱バッフルの前記発泡部分に近い方から数えて1枚目が、前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの前記発泡部分に近い方から数えて2枚目の第2の温度未満である第1の温度を有するように、および
前記第2の温度が、前記N枚の加熱バッフルの前記2枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの前記発泡部分に近い方から数えて3枚目の第3の温度未満であるように、
前記温度センサからの温度信号に基づいて前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成される、
気化システム。
【請求項22】
請求項18に記載の気化システムであって、さらに、
前記ボディの前記底部から間隔を置いて前記多孔性媒体を固定するためのブラケットを備える気化システム。
【請求項23】
請求項18に記載の気化システムであって、
前記第1の加熱バッフルの前記バッフル板が、第1のパターンの孔を含み、
前記第2の加熱バッフルの前記バッフル板が、前記第1の加熱バッフルの前記バッフル板に隣接して配置されて第2のパターンの孔を含み、
前記第1のパターンの孔は、前記第2のパターンの孔からずれている、気化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理システムに関するものであり、特に、基板処理システムにおける前駆体のバルク気化のためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本明細書で挙げられる背景の説明は、開示の内容を一般的に示すことを目的とする。この背景技術の章で説明される範囲内における、ここで挙げられた発明者らによる研究はもちろん、出願時における先行技術としてそれ以外で適格とされえない説明中の態様もまた、本開示に対抗する先行技術として、明示的にも暗示的にも認められない。
【0003】
半導体ウエハなどの基板上に膜を堆積させるおよび/または半導体ウエハなどの基板上の膜をエッチングするために、基板処理システムが使用される。例えば、基板処理システムは、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化(PE)CVD、原子層堆積(ALD)、PEALDなどを実施することができる。堆積またはエッチングは、1種以上の反応物を含むガス混合物を処理チャンバに供給することによって実施することができる。
【0004】
CVDタイプおよび/またはALDタイプのプロセスにおける反応物として使用するために、液状前駆体は、先ず気化され、次いで基板表面へ運ばれる。気化された前駆体は、いかなる液滴も含まないことが望ましく、均一な濃度および正確な投与量を有することが望ましい。前駆体を気化させるために、2つの基本的方法がよく使用される。例えば、発泡装置は、通常は高温で、液状前駆体を通じてキャリアガスを発泡させる。液状前駆体は、気化し、キャリアガスとともに運び去られる。しかしながら、発泡装置では、浴内における流量および液面レベルに応じ、液状前駆体に暴露されるキャリアガスの表面が様々である。発泡の作用は、液滴および/または泡を発生させることもあり、気化された前駆体によって、液体が基板表面へ運ばれる恐れがある。
【0005】
あるいは、気化装置を使用することができる。気化装置では、少量の液状前駆体が加熱表面上へ流れる。液状前駆体は、気化し、圧力差によりまたはキャリアガスを使用して運び去られる。ただし、気化装置は、バルク源からごく少量ずつ液体を供給する。このような低流量は、測定および正確な送出が困難である。液体送出システムは、通例、液体流量コントローラおよび毛細管を含む。液体送出システムは、閉塞および液体内で形成される泡に見舞われ、これは、蒸気送出濃度の変化ももたらす。
【発明の概要】
【0006】
液状前駆体のための気化システムは、液状前駆体を格納するように、および液状前駆体を気化させて気化前駆体を生成するために液状前駆体内へキャリアガスを供給するように構成された、発泡部分を含む。バッフル部分が、発泡部分と流体連通するように配置され、N枚の加熱されたバッフルを含む。ここで、Nは、1以上の整数である。発泡部分によって生成された気化前駆体は、基板処理システムへ流れる前に、N枚の加熱バッフルを通過する。
【0007】
その他の特徴では、Nは、1よりも大きく、N枚の加熱バッフルのそれぞれは、温度センサおよびヒータを含む。コントローラが、N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成される。コントローラは、発泡部分の温度を制御するように構成される。
【0008】
その他の特徴では、コントローラは、N枚の加熱バッフルの1枚目が、該N枚の加熱バッフルの1枚目に直接隣接して配置されたN枚の加熱バッフルの2枚目の第2の温度未満である第1の温度を有するように、N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成される。第2の温度は、N枚の加熱バッフルの2枚目に直接隣接して配置されたN枚の加熱バッフルの3枚目の第3の温度未満である。
【0009】
その他の特徴では、多孔性媒体が、空洞を形成するためにボディの底部に隣接して配置される。キャリアガスは、多孔性媒体と底部との間の空洞に送り込まれる。ブラケットが、空洞を形成するためにボディの底部から間隔を置いて多孔性媒体を固定する。
【0010】
その他の特徴では、N枚の加熱バッフルの1枚目が、バッフルボディと、該バッフルボディを貫通する第1のパターンの孔とを含む。N枚の加熱バッフルの2枚目が、N枚の加熱バッフルの1枚目に隣接して配置され、バッフルボディと、該バッフルボディを貫通する第2のパターンの孔とを含む。第1のパターンの孔は、第2のパターンの孔からずれている。
【0011】
その他の特徴では、N枚の加熱バッフルの1枚目は、さらに、バッフルボディから軸方向外向きに広がる第1および第2のフランジを含む。N枚の加熱バッフルの1枚目は、さらに、バッフルボディの周回りに配置されてヒータコイルを受けるように構成された溝を含む。
【0012】
その他の特徴では、N枚の加熱バッフルの1枚目は、さらに、ボディの中心に配置されてキャリアガスのための導管を受けるように構成された孔を含む。
【0013】
液状前駆体を気化させるための方法は、液状前駆体を発泡部分に供給することと、液状前駆体を気化させるためにおよび気化前駆体を生成するために、液状前駆体内へキャリアガスを供給することと、気化前駆体を受けるために、N枚の加熱バッフルを含むバッフル部分を発泡部分と流体連通するように配置することであって、Nは、1以上の整数である、ことと、発泡部分によって生成された気化前駆体を、基板処理システムへ流す前にN枚の加熱バッフルに通すことと、を含む。
【0014】
その他の特徴では、Nは、1より大きく、方法は、さらに、N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を感知することを含む。方法は、感知された温度に基づいて温度を制御するために、N枚の加熱バッフルのそれぞれを選択的に加熱することを含む。
【0015】
その他の特徴では、方法は、N枚の加熱バッフルの1枚目が、該N枚の加熱バッフルの1枚目に直接隣接して配置されたN枚の加熱バッフルの2枚目の第2の温度未満である第1の温度を有するように、N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御することを含む。第2の温度は、N枚の加熱バッフルの2枚目に直接隣接して配置されたN枚の加熱バッフルの3枚目の第3の温度未満である。
【0016】
その他の特徴では、ボディの底部に隣接して多孔性媒体を配置することと、多孔性媒体と底部との間にキャリアガスを送ることと、を含む。方法は、ボディの底部から間隔を置いて多孔性媒質を固定することを含む。
【0017】
その他の特徴では、N枚の加熱バッフルの1枚目が、バッフルボディと、該バッフルボディを貫通する第1のパターンの孔とを含む。その他の特徴では、N枚の加熱バッフルの2枚目が、N枚の加熱バッフルの1枚目に隣接して配置され、バッフルボディと、該バッフルボディを貫通する第2のパターンの孔とを含む。
【0018】
その他の特徴では、方法は、N枚の加熱バッフルの1枚目のバッフルボディを貫通する第1のパターンの孔を、N枚の加熱バッフルの
2枚目のバッフルボディを貫通する第2のパターンの孔からずらすことを含む。方法は、N枚の加熱バッフルの1枚目のバッフルボディから軸方向外向きに広がる第1および第2のフランジを提供することを含む。
【0019】
その他の特徴では、方法は、N枚の加熱バッフルの1枚目のバッフルボディの周回りに配置された溝を提供することと、該溝内にヒータコイルを配置することと、を含む。
【0020】
その他の特徴では、方法は、N枚の加熱バッフルの1枚目のバッフルボディの中心に孔を提供することと、キャリアガスを供給するための導管を孔に通すことと、を含む。
【0021】
液状前駆体のための気化システムは、液状前駆体を格納するためのボディと、液状前駆体を気化させて気化前駆体を生成するために液状前駆体内へキャリアガスを供給するための導管と、を含む発泡部分を含む。バッフル部分が、発泡部分と流体連通するように配置され、N枚の加熱バッフルを含む。発泡部分によって生成された気化前駆体は、基板処理システムへ流れる前に、N枚の加熱バッフルを通過する。Nは、1よりも大きい整数である。N枚の加熱バッフルのそれぞれは、温度センサおよびヒータを含む。多孔性媒体が、ボディの底部に隣接して配置される。キャリアガスは、多孔性媒体と底部との間の空洞に送り込まれる。
【0022】
その他の特徴では、コントローラが、N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成される。コントローラは、発泡部分のボディの温度を制御するように構成される。
【0023】
その他の特徴では、コントローラは、N枚の加熱バッフルの1枚目が、該N枚の加熱バッフルの1枚目に直接隣接して配置されたN枚の加熱バッフルの2枚目の第2の温度未満である第1の温度を有するように、N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成される。その他の特徴では、第2の温度は、N枚の加熱バッフルの2枚目に直接隣接して配置されたN枚の加熱バッフルの3枚目の第3の温度未満である。
【0024】
その他の特徴では、ブラケットが、ボディの底部から間隔を置いて多孔性媒体を固定する。
【0025】
その他の特徴では、N枚の加熱バッフルの1枚目が、バッフルボディと、該バッフルボディを貫通する第1のパターンの孔とを含む。N枚の加熱バッフルの2枚目が、N枚の加熱バッフルの1枚目に隣接して配置され、バッフルボディと、該バッフルボディを貫通する第2のパターンの孔とを含む。第1のパターンの孔は、第2のパターンの孔からずれている。
【0026】
本開示の適用のさらなる分野が、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかになる。詳細な説明および具体的な例は、例示のみを目的とすることを意図しており、開示の範囲を制限することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示は、詳細な説明および添付の図面から、さらに完全に理解される。
【0028】
【
図1】本開示にしたがったバルク気化システムの一例を示した側面図である。
【0029】
【
図2】本開示にしたがったバルク気化システムの上記の例を示した斜視図である。
【0030】
【
図3】本開示にしたがったヒータコイルを示した平面図である。
【0031】
【
図4】本開示にしたがったバルク気化システムの上記の例を示した部分分解斜視図である。
【0032】
【
図5A】本開示にしたがった加熱バッフルの一例を示した側面図である。
【0033】
【
図5B】本開示にしたがった加熱バッフルの上記の例を示した別の側断面図である。
【0034】
【
図5C】本開示にしたがった加熱バッフルの上記の例を示した側断面図である。
【0035】
【
図5D】バルク気化システムのバッフル部分の様々な部分を示した断面図である。
【
図5E】バルク気化システムのバッフル部分の様々な部分を示した断面図である。
【0036】
【
図6A】本開示にしたがった加熱バッフルの一例を示した平面図である。
【0037】
【
図6B】本開示にしたがった加熱バッフルの別の例を示した平面図である。
【0038】
【
図7】本開示にしたがった、バルク気化システムを制御するための制御システムの一例を示した機能ブロック図である。
【0039】
【
図8】本開示にしたがった、バルク気化システムを制御するための方法を示した図である。
【0040】
図中、参照符号は、類似のおよび/または同一の要素を識別するために再利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示にしたがった、液状前駆体のバルク気化のためのシステムおよび方法は、発泡部分と、加熱されたバッフル部分とを含む。一部の例では、発泡部分は、キャリアガスを液状前駆体内へさらに一様に分布させるために使用される多孔性媒体を含む。多孔性媒体は、液体と気体との間の接触表面積を大きくすることができる。或る時点では、液体が、その温度/圧力条件のもとで平衡状態にある(すなわち、飽和している)ので、液体と気体との間の接触表面積の増大が、蒸気濃度の増加をもたらすことはない。一部の例では、本開示にしたがった、液状前駆体のバルク気化のためのシステムおよび方法は、飽和領域において動作するように設計される。多孔性媒体は、跳ねたり多量の液滴を形成したりすることが非常に少ない小さな泡も発生させる。
【0042】
加熱バッフル部分は、気化前駆体によって運ばれる液体を気化させる1枚以上の加熱バッフルを含む。加熱バッフルは、発泡部分にあるバルク液体よりも高温であるので、蒸気圧曲線は、液滴が形成される飽和領域から蒸気領域へ戻される。一部の例では、システムおよび方法は、孔のサイズおよび通路のアスペクト比が様々な多段階の加熱バッフルを使用する。一部の例では、加熱バッフルは、浮遊エアロゾル粒子が装置から出る前に完全に気化されることを可能にするために、温度上昇のもとで動作される。
【0043】
次に、
図1〜2を参照すると、バルク気化システムの一例10は、発泡部分12と、バッフル部分14とを含む。バルク気化システム10は、側壁21および底部24を含むボディ20と、蓋すなわち頂部28とを含む。ボディ20をバッフル部分14につなぐために、およびそれらを密着させるために、接続部29を配置することができる。バッフル部14は、互いに隣接するように配置されたバッフル30−1、30−2、......、および30−B(バッフル30と総称される)を含み、Bは、1以上の整数である。バッフル30は、蓋28と接続部29との間に配置することができる。
【0044】
後述されるように、液状前駆体が、ボディ20に供給される。導管40の下端42が、蓋28を通って空洞40内に至る。キャリアガスは、空洞41内にある液状前駆体へ流れ込み、次いで、多孔性媒体44を経る。ほんの一例を挙げると、多孔性媒体44は、間隔を置いて孔を設けられた板を含むことができる。多孔性媒体44は、空洞41と、残りのボディ20との間に多孔性の分離を提供する。ほんの一例を挙げると、孔サイズは、おおよそ20μmであってよい。一部の例では、多孔性媒体44は、焼結されたステンレス鋼で作成することができる。空洞41に相対的に多孔性媒体44の位置を維持するために、1つ以上のブラケット46を使用することができる。
【0045】
ほんの一例を挙げると、ブラケット46は、軸方向に孔47が貫通した環状板45を含むことができる。孔47は、環状板45の周回りに等間隔で配置することができる。環状板を底部24に取り付けるために、孔47に、ネジ切りされたボルトなどの締め具48を挿入することができる。環状板45は、半径方向内向きに突出したフランジ49をその上部近くに含むことができる。半径方向内向きに突出したフランジ49は、空洞41の上方における適所に多孔性媒体44を保持する。
【0046】
一部の例では、バルク気化システム10の温度を制御することができる。例えば、底部は、底部24に熱を供給するために、ヒータコイルと、コネクタアセンブリ(不図示)とを含むことができる。底部24の温度を監視するために、熱電対または温度センサ50を提供することができる。同様に、ボディ20は、同様なやり方で加熱することができる。
【0047】
図2では、バッフル30のそれぞれが、対応するヒータコイルと、コネクタアセンブリ32−1、32−2、......、および32−B(ヒータコイル・コネクタアセンブリ32と総称される)と、を含むこともできる。対応する各バッフルおよび蓋28の温度をそれぞれ監視するために、熱電対アセンブリ54−1、54−2、......、および54−B(熱電対コネクタアセンブリ54と総称される)および56も提供することができる。バッフル30および/または蓋28もしくは底部24などのその他の構成要素に形成された溝内には、ヒータコイル62を配置することができる。
図3には、ヒータコイル62の一例が示されている。
【0048】
図1および
図2に戻り、蓋28を通る様々な通路が示されている。ボディ20内における液状前駆体の液面レベルを感知するために、図に示されるように、レベルセンサ70を配置することができる。任意の適切なタイプのレベルセンサ70を使用することができる。ほんの一例を挙げると、L段階のレベルに配置された水晶を使用した超音波レベルセンサを使用することができる。Lは、2以上の整数である。例えば、Lは、4に設定されてよく、液状前駆体は、満たされて、通常動作中は2番目のレベルと3番目のレベルとの間のレベルに維持することができる。液状前駆体のレベルが上昇して3番目のレベルを超えたらまたは4番目のレベルに達したら、警告またはその他の信号を生成することができる。
【0049】
一部の例では、ガス弁72が、蓋28の中心に配置されてよく、このガス弁には、コネクタ78を通じてガスを供給することができる。ガスは、蓋28内の通路79(
図1)を通ってガス弁72の入口に流れ込むことができる。蓋28内の通路79は、バルク気化システム10に入るガスを事前加熱する。
【0050】
通路79に入る流れを制御するために、1つ以上のさらなる弁をコネクタ78につなぐことができる。ガス弁72は、通路79と連通している入口と、ボディ20と連通している出口とを含む。コネクタ76は、ボディ20へ/ボディ20から液状前駆体を送り込むおよび/または取り除くために使用することができる。コネクタ76を通る流れを制御するために、1つ以上のさらなる弁をコネクタ76につなぐことができる。
【0051】
図2における孔80は、ボディ20内の圧力を測定するために、圧力センサ81または圧力計を受ける。一部の例では、圧力センサ81は、ダイヤフラムを含む静電容量型の圧力計であってよいが、その他のタイプの圧力センサを使用することもできる。ダイヤフラムには、板が取り付けられる。圧力下でダイヤフラムが移動するにつれて、板が静止板に相対的に移動し、静電容量が変化する。孔80は、圧力センサ81による圧力測定を可能にするために、蓋28を貫通している。一部の例では、圧力測定エリアは、最上部にあるバッフル30と、バルク気化システム10の蓋28との間の領域である。しかしながら、もし、測定されるべき圧力がボディ20内の圧力であるならば、孔80は、バッフル30を通ってボディ20内に達していてもよい。
【0052】
図4では、接続部29は、ボディ20に結合された底側シール部分84と、バッフル部分14に結合された上側シール部分86とを含むものとして示されている。底側シール部分84は、上側シール部分86によって提供される対応する平坦面と嵌り合うシール92を受けるための溝(通路)90を形成している。溝(通路)90と、上側シール部分86によって提供される平坦面とを使用することによって、シール92の圧縮が制御される。
【0053】
一部の例では、シール92は、「C」字形、「V」字形、「O」字形、「W」字形であってよい、または別の断面を有していてよい。シール92は、アセンブリを溶接によって閉じることによって排除することもできる。
【0054】
底側シール部分84を上側シール部分86に取り付けるために、締め具を提供することができる。ほんの一例を挙げると、締め具は、底側シール部分84に挿入されるとともに、上側シール部分86内に形成された対応する孔96によって受けられる、ネジ切りされたボルトまたはネジ84を含むことができる。ボルトまたはネジ94には、ナットまたはその他の締め具を結合することができる。ボディ20内へ液状前駆体を供給するまたは除去するために、第2の導管98を提供することができる。第2の導管98は、一方の端をコネクタ76につなぐことができる。
【0055】
使用の際は、第2の導管98を通じてボディ20内へ液状前駆体が供給される。導管40を通じて空洞41内へキャリアガスが供給される。キャリアガスは、泡を発生させ、これらの泡は、液状前駆体をさらに効果的に発泡させるために、多孔性媒体44によってさらに分散される。液状前駆体の気化が発生し、気化された前駆体は、バッフル部分14を通って流れ、次いで、1つ以上の基板処理システムへ供給される。一部の例では、バッフル30−1、30−2、および30−Bの温度は、同じ温度に設定される、または順次増加するように設定される、順次低下するように設定される、またはその他の温度値に設定される。
【0056】
次に、
図5A〜5Cを参照すると、バッフルの一例30が示されている。
図5Aでは、バッフル30は、ボディ100を含むものとして示されている。一部の例では、ボディ100は、円形である。例えば、ボディ100は、ボディ20の直径とおおよそ等しい直径を有する。ボディ100は、ヒータコイル62を受けるために、その外表面上にまたはその外周上に溝(通路)104を形成している。ボディは、また、上側フランジ110と、下側フランジ112とを形成している。上側フランジ110および下側フランジ112は、ボディ100の外周回りに突き出した突出を含む。ボディ100の切り欠き116は、熱電対をつなぐための場所を提供している。
【0057】
図5Bでは、バッフル30は、下側バッフル表面132から上側バッフル表面134に至る複数の孔130を形成している。
図5Bおよび
図5Cに見られるように、上側フランジ110および下側フランジ112は、上側バッフル表面134および下側バッフル表面132の周りに位置付けられる。バッフル板に導管40を通すことを可能にたるために、孔120を提供することができる。
【0058】
一部の例では、孔130は、規則的なまたは不規則なパターンに配置される。孔は、同じ大きさの直径を有していてよい、または異なる大きさの直径を有していてよい。孔は、同じアスペクト比を有していてよい、または異なるアスペクト比を有していてよい。孔は、放射状の線に沿って配置されてボディを同じ方向に貫通するものとして示されているが、孔の方向および並び方は、様々であってよい。
図5Bに示された断面は、孔130を含む放射状の線の1本に沿ったところに位置している。
図5Cでは、しかしながら、孔を含む放射状の線の1本から隔てられたところの断面が示されている。
【0059】
次に、
図5Dおよび
図5Eを参照すると、バルク気化システム10のバッフル部分14の断面図が示されている。
図5Dでは、バッフル30−1の下側フランジ112が、上側シール部分86の軸方向フランジ136に接触している。バッフル30−1の上側フランジ110は、バッフル30−2の下側フランジ112に接触している。つまり、真空シールを提供するために、隣り合うバッフル30の上側フランジ110と下側フランジ112とを、溶接によってまたはそれ以外のやり方で合わせることができる。バッフル間に提供されるこの限られた接触面積および間隔は、バッフル間に温度差が形成されて維持されることを可能にするための熱抵抗を提供する。
図5Eでは、レベルセンサ70に関係付けられた孔71が、蓋28およびバッフル30を通って上側シール部分86の上方の位置に至るものとして示されている。
【0060】
次に、
図6A〜6Bを参照すると、バッフルの例が示されている。
図6Aでは、ボディ100−1の上側バッフル表面134が示されている。ボディ100−1は、第1のパターン114−1の孔130を含む。この例では、第1のパターン114−1は、ボディ100−1の放射状の線に沿って規則的なパターンに配置されている。孔の放射状の線どうしは、所定の間隔または不規則な間隔を置かれている。例えば、孔の放射状の線どうしは、30度の間隔を置かれている。ボディ100−1は、また、第1の孔140および第2の孔142も形成している。孔140は、蓋28の孔80と揃えることができる。孔142は、第2の導管98を受けることができる。
【0061】
図6Bには、別のボディ100−2の上側バッフル表面134が示されている。ボディ100−2は、第2のパターン114−2の孔130を含む。第2のパターン114−2の孔130もやはり、ボディ100−2の放射状の線に沿って規則的なパターンに配置された孔を含む。孔の放射状の線は、やはり、所定の間隔を置かれている。しかしながら、第2のパターン114−2の孔130は、
図6Aのボディ100−1における第1のパターン114−1の孔から回転されている。この例では、
図6Bの孔は、ボディ100−1に示された孔からおおよそ15度回転されている。蒸気の一部は、バッフル30に直接接触することなくバッフルを流れる。なぜならば、蒸気は気体であり、多くの分子が気体の流れの中に取り込まれ、加熱バッフル表面に接触しないからである。しかしながら、回旋状の経路は、液滴が取り込まれているだろうガスの流れに方向変化を与える。方向変化は、液滴の慣性を使用して、液滴を加熱バッフル表面に衝突させる。その結果、液滴が加熱バッフルから出て行く可能性は、大幅に低くなる。
【0062】
次に、
図7を参照すると、バルク気化システムを制御するための制御システム300が示されている。制御システム300は、コントローラ302を含む。コントローラ302は、キャリアガスを供給する弁304を制御する。コントローラ302は、また、弁306−1、306−2、......、および306−V(弁306と総称される)も制御する。Vは、1以上の整数である。弁306は、気化された前駆体を、対応する基板処理システムに供給する。
【0063】
コントローラ302は、バッフル308−1、308−2、......、および308−B(バッフル308と総称される)の加熱を制御する。コントローラ302は、温度センサ312から温度信号を受信し、それぞれのバッフル308のためのヒータコイル310に電流を供給する。コントローラ302は、ボディ320に関係付けられたヒータ322および温度センサ324と通信する。コントローラ302は、底部330に関係付けられたヒータ332および温度センサ334と通信する。
【0064】
コントローラ302は、蓋340に関係付けられたヒータ342および温度センサ344とも通信する。コントローラ302は、レベルセンサ350から液状前駆体のレベルを受信し、液状前駆体をボディに供給するために弁352を選択的に制御する。コントローラ302は、また、システム圧力を測定する圧力センサ360および362から圧力信号も受信する。例えば、一方の圧力センサは、蓋よりも上方のボディ領域における圧力を感知することができ、もう一方の圧力センサは、加熱バッフルよりも上方の出口領域における圧力を感知することができる。2つの圧力センサの使用は、加熱バッフルの閉塞を識別するのに役立つだろう。例えば、閉塞は、圧力差が所定の圧力差を超えたときに識別することができる。
【0065】
各バッフル、ボディ、底部、および/または蓋は、個別の温度感知部および制御部を伴うものとして示されているが、これらの構造は、そのうちの任意の2つ以上を1つのゾーンとして制御することが可能である。ほんの一例として、ボディおよび底部は、1つの温度センサと、直列につながれた一連のヒータとによって、1つのゾーンとして制御することができる。
【0066】
次に、
図8には、バルク気化システムを制御するための方法400が示されている。404において、制御は、気化前駆体を求めるリクエストがあるかどうかを決定する。410において、制御は、バッフル、ボディ、底部、および/または蓋の温度を感知する。414において、制御は、バッフル、ボディ、底部、および/または蓋の温度が正しいかどうかを判定する。もし、正しくないならば、制御は、416において、温度フィードバックに基づいて1つ以上の温度を制御する。もし、414において、温度が正しいならば、制御は、422において、キャリアガスをオンにする。制御は、システム内に気化前駆体が蓄積することを可能にするために、所定の期間にわたって待機することができる。426において、制御は、気化前駆体を1つ以上のプロセスへ送るために、必要に応じ、選択された弁を開く。430において、制御は、気化前駆体を求めるリクエストが終了したかどうかを判定する。もし、終了していない場合は、制御は、426に戻る。もし、そうでない場合は、制御は、434において、プロセスへの弁の1つ以上を閉じる。438において、制御は、随意として、キャリアガスまたはヒータもオフにする。制御は、ボディ内における液状前駆体のレベルを監視し、必要に応じて液状前駆体でボディを満たすために弁を選択的に動作させることも可能であることがわかる。
【0067】
一部の例では、バルク気化システム10の出力が、4つの処理チャンバへ供給される。バルク気化システム10の出力は、各処理チャンバに関係付けられたチャージボリュームに供給される。圧力は、所定値まで一定比率で増加し、次いで、チャージボリュームから各処理チャンバへのチャージが行われる。次いで、各チャージボリュームにおける圧力は、一定比率でもとに戻る。
【0068】
本明細書で説明されるシステムおよび方法は、大量の材料から均一濃度の気化前駆体の流れを生じさせる。システムおよび方法は、所定の材料について飽和した領域において動作するので、流れの増加、減少、開始、および停止は、比較的均一な蒸気濃度を提供する。本明細書で説明されるシステムおよび方法は、また、欠陥を減少させ、気化前駆体の濃度の制御を向上させた。
【0069】
以上の説明は、例示的性質なものに過ぎず、開示、その適用、またはその使用を限定することを決して意図していない。開示された広範囲の教示内容は、多岐にわたる形態で具現化することができる。したがって、本開示が、特定の例を含む一方で、本開示の真の範囲は、図面、明細書、および添付の特許請求の範囲を吟味することによってその他の変更が明らかになるゆえにそれらの例に限定されるべきではない。本明細書で使用される、A、B、およびCの少なくとも1つという表現は、非排他的な論理ORを使用する論理(AまたはBまたはC)を意味するものと見なされるべきである。方法における1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく異なる順序で(または同時に)実行可能であることが理解されるべきである。
【0070】
以下の定義を含むこの適用において、コントローラという用語は、回路という用語で置き換え可能である。コントローラという用語は、特殊用途向け集積回路(ASIC)、デジタル、アナログ、もしくはアナログ/デジタル混合のディスクリート回路、デジタル、アナログ、もしくはアナログ/デジタル混合の集積回路、組み合わせ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行する(共有、専用、もしくはグループの)プロセッサ、プロセッサによって実行されるコードを格納する(共有、専用、もしくはグループの)メモリ、所望の機能性を提供するその他の適切なハードウェア構成要素、またはシステムオンチップにおけるなどの上記の一部もしくは全部の組み合わせを指していてよい、またはその一部であってよい、またはそれを含んでいてよい。
【0071】
上で使用されているコードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含んでよく、プログラム、ルーチン、関数、クラス、および/またはオブジェクトを指すことができる。共有プロセッサという用語は、複数のコントローラからの一部のまたは全部のコードを実行する1つのプロセッサをその範囲内に含む。グループプロセッサという用語は、追加のプロセッサと組み合わさって、1つ以上のコントローラからの一部または全部のコードを実行するプロセッサをその範囲内に含む。共有メモリという用語は、複数のコントローラからの一部または全部のコードを格納する1つのメモリをその範囲内に含む。グループメモリという用語は、追加のメモリと組み合わさって、1つ以上のコントローラからの一部または全部のコードを格納するメモリをその範囲内に含む。メモリという用語は、コンピュータ読み取り可能媒体という用語の部分集合であってよい。コンピュータ読み取り可能媒体という用語は、媒体を通じて伝搬される一過性の電気信号および電磁信号をその範囲内に含まず、したがって、有形的であって且つ非一時的であると見なすことができる。非一時的な有形的コンピュータ読み取り可能媒体の非限定的な例として、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、磁気ストレージ、および光ストレージが挙げられる。
【0072】
本出願で説明される装置および方法は、1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のコンピュータプログラムによって一部をまたは全部を実現することができる。コンピュータプログラムは、少なくとも1つの非一時的な有形のコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたプロセッサによって実行可能な命令を含む。コンピュータプログラムは、記憶されたデータも含むことができる、および/または記憶されたデータに依存することができる。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
液状前駆体のための気化システムであって、
液状前駆体を格納するように、および前記液状前駆体を気化させて気化前駆体を生成するために前記液状前駆体内へキャリアガスを供給するように構成された発泡部分と、
前記発泡部分と流体連通するように配置され、N枚の加熱バッフルを含むバッフル部分と、
を備え、
Nは、1以上の整数であり、
前記発泡部分によって生成された前記気化前駆体は、基板処理システムへ流れる前に前記N枚の加熱バッフルを通過する、システム。
適用例2:
適用例1の気化システムであって、
Nは、1よりも大きく、前記N枚の加熱バッフルのそれぞれは、温度センサと、ヒータとを含む、気化システム。
適用例3:
適用例2の気化システムであって、さらに、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成されたコントローラを備える気化システム。
適用例4:
適用例3の気化システムであって、
前記コントローラは、前記発泡部分の温度を制御するように構成される、気化システム。
適用例5:
適用例3の気化システムであって、
前記コントローラは、前記N枚の加熱バッフルの1枚目が、前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの2枚目の第2の温度未満である第1の温度を有するように、前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成され、
前記第2の温度は、前記N枚の加熱バッフルの前記2枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの3枚目の第3の温度未満である、気化システム。
適用例6:
適用例1の気化システムであって、
前記発泡部分は、
前記液状前駆体を格納するためのボディと、
前記キャリアガスを供給するための導管と、
空洞を形成するために前記ボディの底部に隣接して配置された多孔性媒体であって、前記キャリアガスは、前記多孔性媒体と前記底部との間の前記空洞へ送り込まれる、多孔性媒体と、
を含む、気化システム。
適用例7:
適用例6の気化システムであって、さらに、
前記空洞を形成するように前記底部から間隔を置いて前記多孔性媒体を固定するためのブラケットを備える気化システム。
適用例8:
適用例1の気化システムであって、
前記N枚の加熱バッフルの1枚目が、バッフルボディと、前記バッフルボディを貫通する第1のパターンの孔とを含み、
前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目に隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの2枚目が、バッフルボディと、前記バッフルボディを貫通する第2のパターンの孔とを含み、
前記第1のパターンの孔は、前記第2のパターンの孔からずれている、気化システム。
適用例9:
適用例8の気化システムであって、
前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目は、さらに、前記バッフルボディから外向きに広がる第1および第2のフランジを含む、気化システム。
適用例10:
適用例8の気化システムであって、
前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目は、さらに、前記バッフルボディの周回りに配置されヒータコイルを受けるように構成された溝を含む、気化システム。
適用例11:
適用例8の気化システムであって、
前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目は、さらに、前記バッフルボディの中心に配置されて前記キャリアガスのための導管を受けるように構成された孔を含む、気化システム。
適用例12:
液状前駆体を気化させるための方法であって、
液状前駆体を発泡部分のボディに供給することと、
前記液状前駆体を気化させるためにおよび気化前駆体を生成するために、前記液状前駆体内へキャリアガスを供給することと、
前記気化前駆体を受けるために、N枚の加熱バッフルを含むバッフル部分を前記発泡部分と流体連通するように配置することであって、Nは、1以上の整数である、ことと、
前記発泡部分によって生成された前記気化前駆体を、基板処理システムへ流す前に前記N枚の加熱バッフルに通すことと、
を備える方法。
適用例13:
適用例12の方法であって、
Nは、1より大きく、
方法は、さらに、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を感知することと、
前記感知された温度に基づいて前記温度を制御するために、前記N枚の加熱バッフルのそれぞれを選択的に加熱することと、
を備える方法。
適用例14:
適用例13の方法であって、さらに、
N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を、
前記N枚の加熱バッフルの1枚目が、前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの2枚目の第2の温度未満である第1の温度を有するように、および
前記第2の温度は、前記N枚の加熱バッフルの前記2枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの3枚目の第3の温度未満であるように、
制御することを備える方法。
適用例15:
適用例12の方法であって、さらに、
前記ボディの底部において空洞に隣接して多孔性媒体を配置することと、
前記多孔性媒体と前記底部との間の前記空洞にキャリアガスを送り込むことと、
を備える方法。
適用例16:
適用例15の方法であって、さらに、
前記空洞を形成するように前記ボディの前記底部から間隔を置いて前記多孔性媒体を固定することを備える方法。
適用例17:
適用例12の方法であって、
前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目が、バッフルボディと、前記バッフルボディを貫通する第1のパターンの孔とを含み、
前記N枚の加熱バッフルの2枚目が、前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目に隣接して配置され、バッフルボディと、前記バッフルボディを貫通する第2のパターンの孔とを含む、方法。
適用例18:
適用例17の方法であって、さらに、
前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目の前記バッフルボディを貫通する前記第1のパターンの孔を、前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目の前記バッフルボディを貫通する前記第2のパターンの孔からずらすことを備える方法。
適用例19:
適用例17の方法であって、さらに
前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目の前記バッフルボディから外向きに広がる第1および第2のフランジを提供することを備える方法。
適用例20:
適用例17の方法であって、さらに、
前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目の前記バッフルボディの周回りに配置された溝を提供することと、
前記溝内にヒータコイルを配置することと、
を備える方法。
適用例21:
適用例17の方法であって、さらに、
前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目の前記バッフルボディの中心に孔を提供することと、
前記キャリアガスを供給するための導管を前記孔に通すことと、
を備える方法。
適用例22:
液状前駆体のための気化システムであって、
発泡部分であって、
液状前駆体を格納するためのボディと、
前記液状前駆体を気化させて気化前駆体を生成するために前記液状前駆体内へキャリアガスを供給するための導管と、
を含む発泡部分と、
前記発泡部分と流体連通するように配置され、N枚の加熱バッフルを含むバッフル部分であって、前記発泡部分によって生成された前記気化前駆体は、基板処理システムへ流れる前に、前記N枚の加熱バッフルを通過し、Nは、1よりも大きい整数であり、前記N枚の加熱バッフルのそれぞれは、温度センサおよびヒータを含む、バッフル部分と、
前記ボディの底部に隣接して配置された多孔性媒体であって、前記キャリアガスは、前記多孔性媒体と前記底部との間の空洞に送り込まれる、多孔性媒体と、
を備える気化システム。
適用例23:
適用例22の気化システムであって、さらに、
前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成されたコントローラを備える気化システム。
適用例24:
適用例23の気化システムであって、
前記コントローラは、前記発泡部分の前記ボディの温度を制御するように構成される、気化システム。
適用例25:
適用例23の気化システムであって、
前記コントローラは、前記N枚の加熱バッフルの1枚目が、前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの2枚目の第2の温度未満である第1の温度を有するように、前記N枚の加熱バッフルのそれぞれの温度を制御するように構成され、
前記第2の温度は、前記N枚の加熱バッフルの前記2枚目に直接隣接して配置された前記N枚の加熱バッフルの3枚目の第3の温度未満である、気化システム。
適用例26:
適用例22の気化システムであって、さらに、
前記ボディの前記底部から間隔を置いて前記多孔性媒体を固定するためのブラケットを備える気化システム。
適用例27:
適用例22の気化システムであって、
前記N枚の加熱バッフルの1枚目が、バッフルボディと、前記バッフルボディを貫通する第1のパターンの孔とを含み、
前記N枚の加熱バッフルの2枚目が、前記N枚の加熱バッフルの前記1枚目に隣接して配置され、バッフルボディと、前記バッフルボディを貫通する第2のパターンの孔とを含み、
前記第1のパターンの孔は、前記第2のパターンの孔からずれている、気化システム。