(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602194
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】力率改善回路及び力率改善方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20191028BHJP
【FI】
H02M7/12 Q
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-242877(P2015-242877)
(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公開番号】特開2017-112641(P2017-112641A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】矢田 智春
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義規
【審査官】
遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103280965(CN,A)
【文献】
特開2013−027200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00−7/98
3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を整流して第1の入力電圧を生成する整流器と、該整流器の出力側に接続された昇圧用のインダクタと、該インダクタに流れる電流をオン/オフするスイッチングトランジスタと、前記インダクタに流れる電流を整流するダイオードと、該ダイオードの出力電圧を平滑して出力電圧を生成する出力キャパシタと、前記インダクタに流れる電流の平均値が前記第1の入力電圧とほぼ相似形となるように前記スイッチングトランジスタのオン/オフを制御するゲートドライブ演算回路とを備えた力率改善回路において、
前記ゲートドライブ演算回路は、前記インダクタに流れる電流のゼロ値を検出する電流ゼロ検出器と、前記第1の入力電圧のピーク付近のみのレベルを低減させて第2の入力電圧を演算するリファレンス演算器と、前記第2の入力電圧のレベルを前記出力電圧に対応して調整して電流基準値を生成する乗算器と、前記電流ゼロ検出器で前記インダクタの電流ゼロが検出されると前記スイッチングトランジスタをオンさせ、前記インダクタの電流が前記電流基準値を超えると前記スイッチングトランジスタをオフさせるSRFF回路とを有
し、
前記リファレンス演算器は、前記第1の入力電圧に対して次式で与えられる係数K1を乗算して前記第2の入力電圧を得ることを特徴とする力率改善回路。
ただし、aは定数、ωは2πfであり、fは前記第1の入力電圧の周波数である。
【請求項2】
交流電圧を整流した第1の入力電圧を昇圧用のインダクタに印加し、該インダクタに流れる電流をスイッチングトランジスタによりオン/オフし、前記インダクタに流れる電流をダイオードで整流し出力キャパシタで平滑して出力電圧とし、前記インダクタに流れる電流の平均値が前記第1の入力電圧とほぼ相似形となるように前記スイッチングトランジスタのオン/オフを制御する力率改善方法において、
前記インダクタに流れる電流がゼロ値になると前記スイッチングトランジスタをオンさせ、
前記第1の入力電圧のピーク付近のみのレベルを低減させて第2の入力電圧を得、
該第2の入力電圧を前記出力電圧に応じてレベル調整して電流基準値を得、
前記インダクタに流れる電流が前記電流基準値を超えると前記スイッチングトランジスタをオンさせ、
前記第2の入力電圧は、前記第1の入力電圧に対して次式で与えられる係数K1を乗算することで得ることを特徴とする力率改善
方法。
ただし、aは定数、ωは2πfであり、fは前記第1の入力電圧の周波数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リプル低減を図った力率改善回路及び力率改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に力率改善回路を備えた従来の電源回路を示す。この電源回路は、50Hzあるいは60Hzの商用周波数電源である交流電源10の力率を改善するための力率改善回路20Aと、力率改善回路20Aの出力電圧Vout1の昇圧又は降圧を行うDC/DCコンバータ30とを備え、そのDC/DCコンバータ30の出力側に負荷40が接続されている。
【0003】
力率改善回路20Aは、力率改善回路20Aの内部から交流電源10側に放射するノイズをカットする入力フィルタ回路21と、入力交流電圧Vinの全波整流を行う整流器22と、ノイズ除去用の入力キャパシタC1と、昇圧用のインダクタL1と、スイッチングトランジスタM1と、整流用のダイオードD1と、平滑用の出力キャパシタC2と、トランジスタM1のスイッチングを制御するゲートドライブ演算回路25Aとを備える。
【0004】
ゲートドライブ演算回路25Aにおいて、251は整流器22の出力側に現れる入力電圧Vin1(正弦波)の全体レベルを電圧Vin1’に調整する定数乗算器、252は出力キャパシタC2の出力側に現れる出力電圧Vout1の全体レベルを電圧Vout1’に調整する定数乗算器である。OP2は誤差増幅器であり、定数乗算器252でレベル調整された出力電圧Vout1’と目標出力電圧としての電圧基準値Vref1との誤差電圧Verを演算する。253はその誤差増幅器OP2から出力する誤差電圧VerをPI(比例・積分)演算して制御信号VPIを生成するPI制御器である。254は乗算器であり、定数乗算器251から出力するレベル調整された入力電圧Vin1’のレベルを、PI制御器253から出力する制御信号VPIによってさらにレベル調整して電流基準値Iref2を生成する。CP2は電流比較器であり、乗算器254で得られる電流基準値Iref2よりもインダクタL1に流れるインダクタ電流I
Lが大きくなる(Iref1<I
L)と、リセット信号Vrを生成する。255は電流ゼロ検出器であり、インダクタL1のインダクタ電流I
Lのゼロ値を検出してセット信号Vsを生成する。256はSRFF回路であり、電流ゼロ検出器255から出力するセット信号Vsが“H”になるとセットされてQ出力を“H”にし、電流比較器CP2から出力するリセット信号Vrが“H”になるとリセットされてQ出力を“L”にする。257はドライバであり、SRFF回路256のQ出力が“H”のときトランジスタM1をオンさせ、“L”のときオフさせる。
【0005】
図7は
図6説明したアナログ制御の力率改善回路25Aをデジタル制御の力率改善回路25Bに置き換え、入力電圧Vin1、インダクタ電流I
L、出力電圧Vout1をデジタル信号に変換するA/D変換器241,242,243を備えたものである。このデジタル制御の力率改善回路25Bを構成する要素は、力率改善回路25Aを構成する要素の機能と同じであるので、同じ符号をつけている。
【0006】
図6、
図7に示した電源回路のゲートドライブ演算回路25A,25Bは、
図8に示すように臨界モードで動作する。インダクタ電流I
Lがゼロになったことが電流ゼロ検出器255で検出されると、SRFF回路256のQ出力が“H”となって、トランジスタM1のゲート電圧Vgが“H”になりそのトランジスタM1がオンし、インダクタ電流I
Lが増大傾向を示す。その後、そのインダクタ電流I
Lが乗算器254で得られる電流基準値Iref2を超えると、SRFF回路256のQ出力が“L”となって、トランジスタM1のゲート電圧Vgが“L”に変化してそのトランジスタM1がオフになり、インダクタ電流I
Lが減少傾向に反転する。トランジスタM1のオン/オフによって鋸歯形状に変化するインダクタ電流I
Lの平均値が入力電流Iinとなる。
【0007】
このようにして、ゲートドライブ演算回路25A(又は25B)によってトランジスタM1のスイッチングが制御されることで、インダクタ電流I
Lの平均値である入力電流Iinが、
図9に示すように、入力電圧Vinの波形と相似した同相の波形となり、力率の改善と高調波電流が規制される。以上説明したような力率改善回路については、例えば特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−193818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、
図6、
図7で説明した力率改善回路20A,20Bでは、DC/DCコンバータ30に入力する出力電圧Vout1に含まれるリプル電圧が大きくなる問題がある。このリプル電圧を小さくするには、出力キャパシタC2の容量値を大きくすればよいが、この手法を採用すると、コスト増大、基板面積増大を招く。また、リプル電圧によってピーク電流が大きくなるとノイズ増大の問題も惹起される。
【0010】
本発明の目的は、出力キャパシタの容量を増大させることなく、出力信号に含まれるリプル電圧を効果的に低減でき、ノイズ成分も低減できるようにした力率改善回路及び力率改善方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明の力率改善回路は、交流電圧を整流して第1の入力電圧を生成する整流器と、該整流器の出力側に接続された昇圧用のインダクタと、該インダクタに流れる電流をオン/オフするスイッチングトランジスタと、前記インダクタに流れる電流を整流するダイオードと、該ダイオードの出力電圧を平滑して出力電圧を生成する出力キャパシタと、前記インダクタに流れる電流の平均値が前記第1の入力電圧とほぼ相似形となるように前記スイッチングトランジスタのオン/オフを制御するゲートドライブ演算回路とを備えた力率改善回路において、前記ゲートドライブ演算回路は、前記インダクタに流れる電流のゼロ値を検出する電流ゼロ検出器と、前記第1の入力電圧のピーク付近のみのレベルを低減させて第2の入力電圧を演算するリファレンス演算器と、前記第2の入力電圧のレベルを前記出力電圧に対応して調整して電流基準値を生成する乗算器と、前記電流ゼロ検出器で前記インダクタの電流ゼロが検出されると前記スイッチングトランジスタをオンさせ、前記インダクタの電流が前記電流基準値を超えると前記スイッチングトランジスタをオフさせるSRFF回路とを有
し、前記リファレンス演算器は、前記第1の入力電圧に対して次式で与えられる係数K1を乗算して前記第2の入力電圧を得ることを特徴とする。
ただし、aは定数、ωは2πfであり、fは前記第1の入力電圧の周波数である。
【0012】
請求項2にかかる発明の
力率改善方法は、
交流電圧を整流した第1の入力電圧を昇圧用のインダクタに印加し、該インダクタに流れる電流をスイッチングトランジスタによりオン/オフし、前記インダクタに流れる電流をダイオードで整流し出力キャパシタで平滑して出力電圧とし、前記インダクタに流れる電流の平均値が前記第1の入力電圧とほぼ相似形となるように前記スイッチングトランジスタのオン/オフを制御する力率改善方法において、前記インダクタに流れる電流がゼロ値になると前記スイッチングトランジスタをオンさせ、前記第1の入力電圧のピーク付近のみのレベルを低減させて第2の入力電圧を得、該第2の入力電圧を前記出力電圧に応じてレベル調整して電流基準値を得、前記インダクタに流れる電流が前記電流基準値を超えると前記スイッチングトランジスタをオンさせ、前記第2の入力電圧は、前記第1の入力電圧に対して次式で与えられる係数K1を乗算することで得ることを特徴とする。
ただし、aは定数、ωは2πfであり、fは前記第1の入力電圧の周波数である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、整流器から出力する第1の入力電圧に対してそのピーク付近のみのレベルを低減させて当該ピーク付近が正弦波よりも歪んだ第2の入力電圧を生成し、この第2の入力電圧を使用して電流基準値を生成するので、インダクタに流れる電流の平均値のピーク部分が同様に低減する。このため、出力電圧に含まれるリプル電圧が効果的に低減され、出力キャパシタ容量を低減することができ、ノイズ成分も低減することができる。また、高調波電流を抑制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例のゲートドライブ演算回路を備えた力率改善回路を有する電源回路の回路図である。
【
図2】本実施例のリファレンス演算器で生成する全波整流電圧の波形図である。
【
図3】本実施例の電源回路の入力電圧と入力電流の波形図である。
【
図4】本実施例と従来例の電源回路の力率改善回路の出力電圧に含まれるリプル電圧の波形図である。
【
図5】高調波電流規格値例と本実施例による電源回路の高調波電流例の特性図である。
【
図6】従来のゲートドライブ演算回路を備えた力率改善回路を有する電源回路の回路図である。
【
図7】別の従来のゲートドライブ演算回路を備えた力率改善回路を有する電源回路の回路図である。
【
図8】従来の力率改善回路におけるインダクタの電流とスイッチングトランジスタのゲート電圧の波形図である。
【
図9】従来の電源回路の入力電圧と入力電流の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に力率改善回路を備えた本発明の1つの実施例の電源回路を示す。この電源回路は、50Hzあるいは60Hzの商用周波数電源である交流電源10の力率を改善するための力率改善回路20と、力率改善回路20の出力電圧Vout1の昇圧又は降圧を行うDC/DCコンバータ30とを備え、そのDC/DCコンバータ30の出力側に負荷40が接続されている。
【0018】
力率改善回路20は、力率改善回路20の内部から交流電源10側に放射するノイズをカットする入力フィルタ回路21と、入力交流電圧Vinの全波整流を行う整流器22と、ノイズ除去用の入力キャパシタC1と、昇圧用のインダクタL1と、スイッチングトランジスタM1と、整流用のダイオードD1と、平滑用の出力キャパシタC2と、トランジスタM1のスイッチングを制御するデジタル回路で構成されたゲートドライブ演算回路23と、整流器22で全波整流された入力電圧Vin1、インダクタL1に流れるインダクタ電流I
L、出力キャパシタC2に得られる出力電圧Vout1を、それぞれアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換器241,242,243を備える。
【0019】
ゲートドライブ演算回路23において、231は整流器22の出力側に現れる第1の入力電圧Vin1(正弦波)の全体のレベルを電圧Vin1’に調整する定数乗算器、232はその電圧Vin1’のピーク付近のみのレベルを歪ませて低減させる演算を行って第2の入力電圧Vin2を生成するレファレンス演算器、233は出力キャパシタC2の出力側に現れる出力電圧Vout1の全体のレベルを電圧Vout1’に調整する定数乗算器である。OP1は誤差増幅器であり、定数乗算器233でレベル調整された出力電圧Vout1’と目標出力電圧である電圧基準値Vref1との誤差電圧Verを演算する。234はその誤差増幅器OP1で得られた誤差電圧VerをPI(比例・積分)演算して制御信号VPIを生成するPI制御器である。235は乗算器であり、レファレンス演算器232から出力する入力電圧Vin2の全体レベルを、PI制御器234から出力する制御信号VPIによってさらにレベル調整して電流基準値Iref1を生成する。CP1は電流比較器であり、乗算器235で得られる電流基準値Iref1よりもインダクタL1に流れるインダクタ電流I
Lが大きくなる(Iref1<I
L)と、リセット信号Vrを生成する。236は電流ゼロ検出器であり、インダクタL1のインダクタ電流I
Lのゼロ値を検出してセット信号Vsを生成する。237はSRFF回路であり、電流ゼロ検出器236から出力するセット信号Vsが“H”になるとセットされてQ出力を“H”にし、電流比較器CP1から出力するリセット信号Vrが“H”になるとリセットされてQ出力を“L”にする。238はドライバであり、SRFF回路237のQ出力が“H”のときトランジスタM1をオンさせ、“L”のときオフさせる。
【0020】
本実施例の電源回路のゲートドライブ演算回路23も、
図8で説明した臨界モードで動作する。インダクタ電流I
Lがゼロになったことが電流ゼロ検出器236で検出されると、SRFF回路237のQ出力が“H”となって、トランジスタM1のゲート電圧Vgが“H”になりそのトランジスタM1がオンし、インダクタ電流I
Lが増大傾向を示す。その後、そのインダクタ電流I
Lが乗算器235で得られる電流基準値Iref1を超えると、SRFF回路2237のQ出力が“L”となって、トランジスタM1のゲート電圧Vgが“L”に変化してそのトランジスタM1がオフになり、インダクタ電流I
Lが減少傾向に反転する。トランジスタM1のオン/オフによって鋸歯形状に変化するインダクタ電流I
Lの平均値が入力電流Iinとなる。
【0021】
図6、
図7で説明したように、従来回路では、定数乗算器251の出力電圧Vin1’をPI電圧VPIによって調整した信号によって、インダクタ電流I
Lの電流基準値Iref2を生成し、この電流基準値Iref2を現在のインダクタ電流I
Lと比較することで、トランジスタM1のオフタイミングを作成していた。そしてこれにより、インダクタ電流I
Lの平均値である入力電流Iinを制御していた。
【0022】
この手法によれば、入力電流Iinが入力電圧Vinに相似形で同相の波形となるので、電源10の力率改善を図ることはできるが、入力電流Iinのピーク値が大きくなると、出力電圧Vout1に含まれるリプル電圧が大きくなり、出力キャパシタC2の容量を大きくしなければならなかった。
【0023】
そこで本実施例では、乗算器235で生成される電流基準値Iref1のピーク値が緩和されるように、リファレンス演算器232において、式(1)に示すような係数K1を乗算する演算を行う。
aは定数、ωは2πfであり、fは入力電圧の周波数である。したがって、リファレンス演算器232で生成される入力電圧Vin2は、
となる。なお、入力電圧Vin1’は式(2)で表される。bは定数である。
【0024】
このようにして得られる入力電圧Vin2は、
図2に示すように、正弦波の波形に対してピーク部分が緩和されて歪んだ波形となる。この入力電圧Vin2の全体レベルが、乗算器235において、出力電圧Vout1に対応したPI電圧VPIによって調整されて、電流基準値Iref1が生成される。
【0025】
このことから、入力電圧Vin1’に対応した場合(
図6、
図7)の電流基準値Iref2に対して、本実施例の入力電圧Vin2に対応した電流基準値Iref1は、入力電圧Vin2のピーク部分のレベルが低くなる。したがって、電流比較器CP1の出力側に得られるリセット信号Vrは、入力電圧Vin2のピーク部分においてその発生タイミングが早まる。つまり、電源10の電圧Vinの正弦波のピーク部分において、
図6、
図7で説明した例よりも、インダクタ電流I
Lの平均値である入力電流Iinの値が小さくなり、出力電圧Vout1に含まれるリプル成分を低減することができる。
【0026】
図4に、上記式(1)を用いてピーク部分を歪ませて緩和させた入力電圧Vin2を使用した本実施例の場合のリプル電圧Vrip1と、入力電圧Vin1を歪ませずにそのまま用いた従来例の場合のリプル電圧Vrip2の波形を示す。本実施例の場合のリプル電圧Vrip1の方が、従来例の場合のリプル電圧Vrip2よりも、約15%だけレベルが低減していることが分かる。これにより、従来例で出力キャパシタC2の容量増大によりリプル電圧の低減を図っていた場合と比較すると、その出力キャパシタC2の容量を約15%低減することができる。
【0027】
図5に、電源回路の高調波電流(規格値)の例と本実施例による電源回路の高調波電流の例を示す。本実施例ではピーク部分を歪ませた入力電圧Vin2を使用することから高調波電流が発生しているが、いずれも規格値の範囲内に収まっていることがわかる。
【符号の説明】
【0028】
10:交流電源、20,20A,20B:力率改善回路、30:DC/DCコンバータ、40:負荷
21:入力フィルタ、22:全波整流器、23:ゲートドライブ演算回路、241〜243:A/D変換器、25A,25B:ゲートドライブ演算回路
231:定数演算器、232:レファレンス演算器、233:定数乗算器、234:PI制御器、235:乗算器、236:電流ゼロ検出器、237:SRFF回路、238:ドライバ
251:定数演算器、252:定数乗算器、253:PI制御器、254:乗算器、255:電流ゼロ検出器、256:SRFF回路、257:ドライバ